説明

光学フィルムの検査方法

【課題】面内位相差をRe、厚さ方向の位相差をRthとしたとき、Re≦20nmかつ|Rth|≧20nmを満たす液晶フィルムを含む光学フィルムの欠陥の検査を的確に行うことができる光学フィルムの検査方法を提供する。
【解決手段】下記式を満たす第1液晶フィルムを含む光学フィルムの検査方法であって、前記光学フィルムに対し、光源から第1偏光板を通して光を照射し、前記光学フィルムに対して、前記光源と反対側に1軸延伸フィルムからなる第1位相差フィルムと第2偏光板とを積層した欠陥検査用素子を、前記第1位相差フィルムを前記光学フィルム側に隣接するように配置し、前記光学フィルムを検査することを特徴とする光学フィルムの検査方法。
Re≦20[nm]
|Rth|≧20[nm]
(ここで、Reは前記第1液晶フィルムの面内の位相差値、Rthは前記第1液晶フィルムの厚さ方向の位相差を意味する。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面内位相差をRe、厚さ方向の位相差をRthとしたとき、Re≦20nmかつ|Rth|≧20nmを満たす液晶フィルムを含む光学フィルムの検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、液晶表示装置としては、正の誘電率異方性を有する液晶を相互に対向する基板間にねじれ水平配向した、いわゆるTNモードの液晶表示装置が主として使われている。しかし、TNモードではその駆動特性上、黒表示をしようとしても基板近傍の液晶分子が基板表面の配向規制力に影響されて複屈折が生じる結果、光漏れが生じてしまい、完全な黒表示を行うことが困難であった。これに対し、横電界方式であるIPSモードや、液晶セル内の液晶分子が基板表面に対して垂直に配列するVAモードでは、TNモード方式等に比較して、完全な黒色表示が可能であり、広い視野角が得られるという利点がある。このようなモードの液晶表示装置における視野角に依存するコントラストの低下の抑制や、カラーシフトを改善するための方法として、正の一軸性の光学異方性を有し、その光学軸が基板面に垂直な方向である位相差フィルム(positive−Cフィルムと呼ぶ)を用いる方法が提案されている(特許文献1、特許文献2)。
これらの液晶表示装置に用いられる光学フィルム面内に欠陥が存在すると、液晶ディスプレイの表示特性に悪影響を与える。このため、光学フィルムについて欠陥の検査を行い、欠陥が多い光学フィルムについては事前に排除しておくことが必要であるが、上記のpositive−Cフィルムに関しては、製品化されるといった実績は少なく、また面内の位相差値が小さいため、欠陥を検出しづらいという課題があった。
【特許文献1】特開平11−133408号公報
【特許文献2】特開2002−55342号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、面内位相差をRe、厚さ方向の位相差をRthとしたとき、Re≦20nmかつ|Rth|≧20nmを満たす液晶フィルムを含む光学フィルムの欠陥の検査を的確に行うことができる光学フィルムの検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、特定の欠陥検査用素子を用いることにより上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
【0005】
〔1〕 下記式を満たす第1液晶フィルムを含む光学フィルムの検査方法であって、前記光学フィルムに対し、光源から第1偏光板を通して光を照射し、前記光学フィルムに対して、前記光源と反対側に1軸延伸フィルムからなる第1位相差フィルムと第2偏光板とを積層した欠陥検査用素子を、前記第1位相差フィルムを前記光学フィルム側に隣接するように配置し、前記光学フィルムを検査することを特徴とする光学フィルムの検査方法。
Re≦20[nm]
|Rth|≧20[nm]
(ここで、Reは前記第1液晶フィルムの面内の位相差値を意味し、Rthは前記第1液晶フィルムの厚さ方向の位相差を意味する。前記Re及びRthは、それぞれRe=(Nx−Ny)×d[nm]、Rth={(Nx+Ny)/2−Nz}×d[nm]である。また、dは前記第1液晶フィルムの厚さ、Nx,Nyは前記第1液晶フィルムの面内の主屈折率、Nzは厚さ方向の主屈折率であり、Nx>Nyである。)
【0006】
〔2〕 下記式を満たす第1液晶フィルムを含む光学フィルムの検査方法であって、前記光学フィルムに対し、光源から第1偏光板を通して光を照射し、前記光学フィルムに対して、前記光源と反対側に、液晶をホメオトロピック配向させた第2液晶フィルム、1軸延伸フィルムからなる第1位相差フィルムと第2偏光板とを順次積層した欠陥検査用素子を、前記第2液晶フィルムを前記光学フィルム側に隣接するように配置し、前記光学フィルムを検査することを特徴とする光学フィルムの検査方法。
Re≦20[nm]
|Rth|≧20[nm]
(ここで、Reは前記第1液晶フィルムの面内の位相差値を意味し、Rthは前記第1液晶フィルムの厚さ方向の位相差を意味する。前記Re及びRthは、それぞれRe=(Nx−Ny)×d[nm]、Rth={(Nx+Ny)/2−Nz}×d[nm]である。また、dは前記第1液晶フィルムの厚さ、Nx,Nyは前記第1液晶フィルムの面内の主屈折率、Nzは厚さ方向の主屈折率であり、Nx>Nyである。)
【0007】
〔3〕 下記式を満たす第1液晶フィルムを含む光学フィルムの検査方法であって、前記光学フィルムに対し、光源から第1偏光板を通して光を照射し、前記光学フィルムに対して、前記光源と反対側に、1軸延伸フィルムからなる第3位相差フィルム、1軸延伸フィルムからなる第2位相差フィルム、1軸延伸フィルムからなる第1位相差フィルムと第2偏光板とを順次積層した欠陥検査用素子を、前記第3位相差フィルムを前記光学フィルム側に隣接するように配置し、前記光学フィルムを検査することを特徴とする光学フィルムの検査方法。
Re≦20[nm]
|Rth|≧20[nm]
(ここで、Reは前記第1液晶フィルムの面内の位相差値を意味し、Rthは前記第1液晶フィルムの厚さ方向の位相差を意味する。前記Re及びRthは、それぞれRe=(Nx−Ny)×d[nm]、Rth={(Nx+Ny)/2−Nz}×d[nm]である。また、dは前記第1液晶フィルムの厚さ、Nx,Nyは前記第1液晶フィルムの面内の主屈折率、Nzは厚さ方向の主屈折率であり、Nx>Nyである。)
【0008】
〔4〕 下記式を満たす第1液晶フィルムを含む光学フィルムの検査方法であって、前記光学フィルムに対し、光源から第1偏光板を通して光を照射し、前記光学フィルムに対して、前記光源と反対側に、液晶をホメオトロピック配向させた第2液晶フィルム、1軸延伸フィルムからなる第3位相差フィルム、1軸延伸フィルムからなる第2位相差フィルム、1軸延伸フィルムからなる第1位相差フィルムと第2偏光板とを順次積層した欠陥検査用素子を、前記第2液晶フィルムを前記光学フィルム側に隣接するように配置し、前記光学フィルムを検査することを特徴とする光学フィルムの検査方法。
Re≦20[nm]
|Rth|≧20[nm]
(ここで、Reは前記第1液晶フィルムの面内の位相差値を意味し、Rthは前記第1液晶フィルムの厚さ方向の位相差を意味する。前記Re及びRthは、それぞれRe=(Nx−Ny)×d[nm]、Rth={(Nx+Ny)/2−Nz}×d[nm]である。また、dは前記第1液晶フィルムの厚さ、Nx,Nyは前記第1液晶フィルムの面内の主屈折率、Nzは厚さ方向の主屈折率であり、Nx>Nyである。)
【0009】
〔5〕 前記第1位相差フィルムの遅相軸と前記第2偏光板の吸収軸とが略直交であることを特徴とする上記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の光学フィルムの検査方法。
【0010】
〔6〕 前記第3位相差フィルムの遅相軸と前記第2位相差フィルムの遅相軸とが略直交であることを特徴とする上記〔3〕または〔4〕に記載の光学フィルムの検査方法。
【0011】
〔7〕 前記第2位相差フィルム、前記第3位相差フィルムの波長λ=550nmにおける面内位相差をそれぞれRe2、Re3とした時、
|Re2−Re3|≦30[nm]
を満たすことを特徴とする上記〔3〕または〔4〕に記載の光学フィルムの検査方法。
【0012】
〔8〕 波長λ=450nm及びλ=590nmにおける屈折率異方性Δnの比である複屈折波長分散Dを
D=Δn(450)/Δn(590)
と定義した場合、前記第3位相差フィルムの複屈折波長分散D3、前記第2位相差フィルムの複屈折波長分散D2が、D3≠D2であることを特徴とする上記〔3〕または〔4〕に記載の光学フィルムの検査方法。
【0013】
〔9〕 前記第1液晶フィルムが棒状液晶分子をホメオトロピック配向させて得られるものであることを特徴とする上記〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の光学フィルムの検査方法。
【0014】
〔10〕 前記第1液晶フィルムが円盤状液晶分子からなることを特徴とする上記〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の光学フィルムの検査方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明の検査方法により、面内位相差をRe、厚さ方向の位相差をRthとしたとき、Re≦20nmかつ|Rth|≧20nmを満たす液晶フィルムを含む光学フィルムの欠陥の検査を的確に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付図面とともに、本発明の光学フィルムの検査方法の実施形態について詳細に説明する。
【0017】
(第1実施形態)
まず本発明に係る光学フィルムの検査方法の第1実施形態について説明する。
はじめに、本発明の光学フィルムの検査方法において検査対象となる光学フィルムについて図1を参照して説明する。
図1は、本発明の方法により検査される光学フィルムの一例を示す図である。図1に示すように、光学フィルム1は、第1液晶フィルムとして、面内の位相差値をRe、厚み方向の位相差値をRthとした時、下記式を満たす第1液晶フィルム(液晶層2)を含む。
Re≦20[nm]
|Rth|≧20[nm]
ここで、前記第1液晶フィルムの厚さをd、面内の主屈折率をNx、Ny(Nx>Ny)、厚さ方向の主屈折率をNzとしたとき、それぞれRe=(Nx−Ny)×d[nm]、Rth={(Nx+Ny)/2−Nz}×d[nm]である。
【0018】
図1では一例として棒状液晶分子3がホメオトロピック配向した液晶層を図示しているが、上記式を満たすものであればよく、棒状液晶分子がコレステリック配向したものや、円盤状液晶分子からなるものであっても良い。
なお、第1液晶フィルムは上記のReおよびRthの条件を満たす必要があるが、特に、Rthは、より具体的には−400nm〜−20nm、好ましくは−300nm〜−50nmの範囲が、あるいは、20nm〜400nm、好ましくは50nm〜300nmの範囲である。この範囲外では当該液晶フィルムの作製が困難であったり、楕円偏光板とした時に充分な性能が発現しにくいなどして好ましくない。
【0019】
光学フィルム1は、上記式を満たす液晶層2を含むものであればよく、従って、液晶層2のほかに、他のフィルムを含んでいてもよい。他のフィルムには通常、図1に示すように、液晶層2を支持する支持基板4などがある。かかる支持基板4は液晶層2を支持し得るものであり、且つ厚さ方向に直交する面内において等方性を示すものであれば特に限定されないが、光学的に等方な基板が好ましく、例えばフジタック(富士フィルム社製品)やコニカタック(コニカミノルタオプト社製品)などのトリアセチルセルロース(TAC)フィルム、アートンフィルム(JSR社製品)やゼオノアフィルム、ゼオネックスフィルム(日本ゼオン社製品)などのシクロオレフィン系ポリマー、TPXフィルム(三井化学社製品)、アクリプレンフィルム(三菱レーヨン社製品)が挙げられる。光学フィルムの用途、例えば楕円偏光板とする場合の平面性、耐熱性や耐湿性などからトリアセチルセルロース、シクロオレフィン系ポリマーが好ましい。支持基板4の厚さは、一般には、1〜100μmが好ましく、特に5〜50μmとするのが好ましい。支持基板4の面内方向の屈折率をnx,ny、厚さ方向の屈折率をnz、また膜厚をd(nm)とした時、支持基板4の面内方向の位相差値Re(=(nx−ny)・d)は20nm以下が好ましく、より好ましくは0〜10nm以下、特に0〜5nm以下とするのが好ましい。厚さ方向の位相差値Rth(={(nx+ny)/2−nz}・d)は、0〜200nmの範囲が好ましく、より好ましくは0〜100nm、特に好ましくは0〜50nmの範囲である。なお、支持基板4と液晶層2との間には、光学用途に使用しうる粘着剤や接着剤からなる層が形成されていてもよい。
【0020】
光学フィルム1は、例えば、各種の液晶化合物や組成物を、無処理でもホメオトロピック配向しうる機能を有する支持基板や表面にホメオトロピック配向能を持たせる機能を付与した支持基板上に塗布・配向させ、該配向を固定化することにより製造することができる。使用した支持基板が不透明であったり着色したりしている場合は、上述のトリアセチルセルロース、シクロオレフィン系ポリマー等からなるフィルムへ、光学分野で使用される光学的に等方性の粘着剤や接着剤を用いて液晶層を転写してもよい。
【0021】
このような光学フィルム1の欠陥は以下のように検査される。なお、光学フィルム1の欠陥とは、具体的には、光学フィルム1に含まれる液晶層2における液晶層の配向欠陥や、光学フィルム1を作製中に混入した異物10(図2参照)とそれに伴う配向異常等を意味する。
図3は、本実施形態における光学フィルムの検査光学系の一例を示す図である。
図4は、偏光板5の吸収軸51、1軸延伸フィルムである第1位相差フィルムの遅相軸71及び偏光板8の吸収軸81の配置関係の一例を示す図である。なお、光学フィルム1に含まれる液晶層2は面内位相差が0またはほぼ0に近く、配向軸は存在しないと見なせる。
【0022】
第1位相差フィルム7としては、プラスチックフィルムを1軸延伸して得られるフィルムから適宜選定することが出来るが、例えばポリカーボネートフィルム、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム、ノルボルネン系からなるアートン(JSR社製)、ゼオノア(日本ゼオン社製)などが用いられる。1軸延伸フィルムは、上記フィルムを厚さ方向に直交する面内の1方向に延伸することにより得られる。1軸延伸フィルムの位相差としては275nmを用いた。
光学フィルム1の欠陥検査にあたっては、まず光学フィルム1にバックライト6を対向配置し、バックライト6と光学フィルム1との間に、偏光板(第1偏光板)5を配置する。そして、図3に示すように、バックライト6を点灯し、光学フィルム1に対してバックライト6と反対側で、欠陥検査用素子9を用いて光学フィルム1を覗き込み、光学フィルム1に含まれる液晶層2における欠陥を検査する。
【0023】
ここで、欠陥検査用素子9について詳細に説明する。
図3に示すように、欠陥検査用素子9は、偏光板8(第2偏光板)と、1軸延伸フィルム7(第1位相差フィルム)とを積層したものである。
本実施形態の欠陥検査用素子9では、図4に示すように、1軸延伸フィルム7の配向軸71が、偏光板8の吸収軸81に対して略直交となるように偏光板8に積層されている。
欠陥検査の際は、まず上記のように構成される欠陥検査用素子9を光学フィルム1に対向配置する。このとき、1軸延伸フィルム7を光学フィルム1側に向け、偏光板8を光学フィルム1と反対側に向けると共に、偏光板5と偏光板8がクロスニコル配置となるようにする。なお、本発明において略直交とは、交わる角度が90度±5度、好ましくは90度±3度、より好ましくは90度±2度を意味する。
【0024】
こうして欠陥検査用素子9を光学フィルム1に対して配置すると、偏光板5と偏光板8がクロスニコル配置であり、かつ光学フィルム1の面内位相差がほぼ0であるため、無欠陥部分は黒色となる。これに対し、例えば図2に示すように、液晶層2に異物などが混入した部分では、周囲の液晶分子の配向に乱れが生じるため位相差が発生し、無欠陥部分に比べて明るい輝点となる。このため無欠陥部分と欠陥部分とで明暗比が生じ、欠陥の検査を的確に行うことができる。
1軸延伸フィルム(第1位相差フィルム)の面内位相差は、50〜500nmの範囲であり、好ましくは70〜400nm、更に好ましくは90〜300nmの範囲である。この範囲を外れた場合、欠陥検査の視認性が著しく悪化する恐れがある。
上記のような1軸延伸フィルムに限らず、直交する2方向に2軸延伸した2軸延伸フィルムでも同様の視認性向上は可能である。
【0025】
(比較形態)
次に、本発明に係る光学フィルムの検査方法の比較のために用いた比較形態について、図5〜図6を用いて説明する。図5〜図6において、第1実施形態と同一または同等の構成要素については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図5は、比較形態における光学フィルムの検査光学系の一例を示す図である。
図6は、偏光板5の吸収軸51および偏光板8の吸収軸81の配置関係の一例を示す図である。なお、光学フィルム1に含まれる液晶層2は面内位相差がほぼ0であり、配向軸は存在しない。
光学フィルム1の欠陥検査にあたっては、まず光学フィルム1にバックライト6を対向配置し、バックライト6と光学フィルム1との間に、偏光板5(第1偏光板)を配置する。
そして、図5に示すように、バックライト6を点灯し、光学フィルム1に対してバックライト6と反対側で、偏光板8(第2偏光板)を用いて光学フィルム1を覗き込み、光学フィルム1に含まれる液晶層2における欠陥を検査する。
欠陥検査の際は、まず偏光板8を光学フィルム1に対向配置すると共に、偏光板5と偏光板8がクロスニコル配置となるようにする。
【0026】
表1に、第1の実施形態である図3の条件と、比較形態として図5の条件で観察した場合の欠陥部分の見え方と視認性をまとめる。表1に示すとおり、正面観察時では図3、図5の条件と同等の見え方であったが、斜め方向から観察した際には、図5の条件では無欠陥部分でも茶色く光漏れが起こり明るくなってしまうのに対し、図3の条件は、無欠陥部分の光漏れが抑えられている。この為、斜め方向から観察した時でも欠陥部の検出が容易となり、欠陥の視認性が向上していることが確認できた。
【0027】
【表1】

【0028】
すなわち、比較形態に一軸延伸フィルムを追加することにより欠陥の視認性を向上させることが可能となる。この理由について以下に説明する。
一般に、偏光板はクロスニコル配置とした場合でも、斜め方向から観察した場合は、その吸収軸は直交から外れるため光漏れが生じることが知られている。光学フィルム検査においては、正面から観察する場合が最も欠陥部と無欠陥部の明暗比が高いが、バックライトから出る光は拡散して入射され、バックライト、偏光板5、光学フィルム1、検査用素子9がそれぞれ数cm(5〜15cm程度)離れているため、正面から観察したとしても斜めからの光漏れの影響を受ける。この光漏れが大きい場合には正面から観察した時でも周辺から漏れてきた光により無欠陥部分でも明るくなってしまい、その結果、欠陥部視認性が低下し好ましくない。また、実際の検査ラインにおいては、正面のみならず斜め方向からも欠陥を観察する、あるいは検査用素子を被検査フィルムに対して斜めに傾けることにより、更に検査性を向上させることが出来る。本実施形態において欠陥視認性が向上したのは、1軸延伸フィルムを追加することにより、斜め方向から観察した時の偏光板自体の光漏れを減少させることで視野角特性が向上し、また無欠陥部分が青色に着色したことで、欠陥部分の視認性が向上したためである。
【0029】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る光学フィルムの検査方法の第2実施形態について図7〜図8を用いて説明する。図7〜図8において、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
本実施形態の検査方法は、欠陥検査用素子12が以下のように構成されている点で第1実施形態と異なる。欠陥検査用素子12について詳細に説明する。
図7に示すように、欠陥検査用素子12は、偏光板8、1軸延伸フィルム7、ホメオトロピック配向液晶フィルム11を積層したものである。
図8は、偏光板5の吸収軸51、1軸延伸フィルム7の配向軸71および偏光板8の吸収軸81の配置関係の一例を示す図である。なお、光学フィルム1に含まれる液晶層2、ホメオトロピック配向液晶フィルム(第2液晶フィルム)11は面内位相差がほぼ0である為、配向軸は存在しない。ここで、1軸延伸フィルム7の位相差は275nmを用いた。ホメオトロピック配向液晶フィルムとは、ネマチック液晶分子の配向が、垂直配向したフィルムを言い、例えば特開2006−220770号公報に記載の方法で作製できる。ホメオトロピック配向液晶フィルムの位相差としては、面内方向の主屈折率をNx1、Ny1、厚さ方向の主屈折率をNz1、フィルムの厚さをd1とした場合、面内方向の位相差値Re1=(Nx1−Ny1)×d1=0nm、厚さ方向の位相差値Rth1={(Nx1+Ny1)/2−Nz1}×d1=−80nmのものを用いた。
【0030】
本実施形態の欠陥検査用素子12では、図8に示すように、1軸延伸フィルム7の遅相軸71と偏光板8の吸収軸81は略直交となるように積層されている。
欠陥検査の際は、まず上記のように構成される欠陥検査用素子12を光学フィルム1に対向配置する。このとき、ホメオトロピック配向液晶フィルム11を光学フィルム1側に向け、偏光板8を光学フィルム1と反対側に向けると共に、偏光板5と偏光板8がクロスニコル配置となるようにする。
表2に、図3、図5、図7の条件で、観察した場合の欠陥部分の見え方と視認性の比較を示す。第1実施形態の図3の場合と比較し、斜め方向から観察時の、無欠陥部分の光漏れがより抑えられ、欠陥の視認性が更に向上していることが確認できた。
【0031】
【表2】

【0032】
すなわち、第1実施形態の欠陥検査用素子に更にホメオトロピック配向液晶フィルムを追加することにより更に欠陥の視認性を向上することが可能となる。この理由について、以下に説明する。
第1実施形態では第1位相差フィルムを加えることで直交した偏光板を斜め方向から見た際に生じる光漏れを減少させたが、偏光板の間に位相差フィルムを1枚、または複数枚配置した場合、その光漏れの度合いは配置した位相差フィルムの面内位相差、厚み方向の位相差の影響を受ける。本実施形態において欠陥視認性が更に向上したのは、第1実施形態にホメオトロピック液晶フィルムを加えることで、厚み方向の位相差が最適化され、斜め方向から観察した時の偏光板自体の光漏れがより減少したためである。
従って、本実施形態において追加されるホメオトロピック配向液晶フィルムの厚み方向の位相差Rth1は、光学フィルム1に含まれる液晶層2、および1軸延伸フィルムの厚み方向の位相差に応じて適宜選択されるのが望ましいが、好ましくは−50〜−500nm、より好ましくは−50〜−400nm、更に好ましくは−50〜−300nmの範囲である。また、1軸延伸フィルム7の面内位相差は、50〜500nmの範囲であり、好ましくは70〜400nm、更に好ましくは90〜300nmの範囲である。この範囲を外れた場合、欠陥検査の視認性が著しく悪化する恐れがある。
また、本実施形態で用いた1軸延伸フィルムは、直交する2方向に2軸延伸した2軸延伸フィルムでも同様の視認性向上は可能である。
【0033】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る光学フィルムの検査方法の第3実施形態について図9〜図10を用いて説明する。図9〜図10において、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
本実施形態の検査方法は、欠陥検査用素子15が以下のように構成されている点で前述の実施形態と異なる。
【0034】
欠陥検査用素子15について詳細に説明する。
図9に示すように、欠陥検査用素子15は、偏光板8、1軸延伸フィルム(第1位相差フィルム)7、1軸延伸フィルム(第2位相差フィルム)13、1軸延伸フィルム(第3位相差フィルム)14を順次積層したものである。
図10は、偏光板5の吸収軸51、1軸延伸フィルムである第1位相差フィルム7の遅相軸71、第2位相差フィルム13の遅相軸131、第3位相差フィルム14の遅相軸141および偏光板8の吸収軸81の配置関係の一例を示す図である。なお、光学フィルム1に含まれる液晶層2は面内位相差がほぼ0である為、配向軸は存在しない。ここで、1軸延伸フィルム7の位相差は275nmを用いた。1軸延伸フィルム(第2位相差フィルム)13、1軸延伸フィルム(第3位相差フィルム)14としては、第1位相差フィルム同様に、プラスチックフィルムを1軸延伸して得られるフィルムから適宜選定することが出来る。本実施形態では、第2位相差フィルムとして、面内の位相差135nmのゼオノアフィルム、第3位相差フィルムとして面内の位相差138nmのポリカーボネートフィルムを用いた。また、波長λ=450nm及びλ=590nmにおける屈折率異方性Δnの比である複屈折波長分散Dを
D=Δn(450)/Δn(590)
と定義した場合、前記第2位相差フィルムの複屈折波長分散D2、前記第3位相差フィルムの複屈折波長分散D3は、それぞれD2=1.01、D3=1.09であった。
【0035】
本実施形態の欠陥検査用素子15では、図10に示すように、第1位相差フィルム7の遅相軸71と偏光板8の吸収軸81は略直交、第2位相差フィルム13の遅相軸131と第3位相差フィルム14の遅相軸141も略直交となるように積層されている。第2位相差フィルムの遅相軸と第2偏光板8の吸収軸は略45度の角度となるよう積層した。
欠陥検査の際は、まず上記のように構成される欠陥検査用素子15を光学フィルム1に対向配置する。このとき、1軸延伸フィルム14を光学フィルム1側に向け、偏光板8を光学フィルム1と反対側に向けると共に、偏光板5と偏光板8がクロスニコル配置となるようにする。
【0036】
表3に、図3、図5、図9の条件で、観察した場合の欠陥部分の見え方と視認性の比較を示す。比較形態の図5の場合と比較し、斜め方向観察時の光漏れが抑えられることで視認性が向上し、更に第1実施形態の図3の場合と比較し、正面観察時の無欠陥部分が青色に暗い着色することで欠陥視認性が更に向上していることが確認できた。
【0037】
【表3】

【0038】
すなわち、第1実施形態に1軸延伸フィルムである第2位相差フィルムおよび第3位相差フィルムを追加することにより更に欠陥の視認性を向上することが可能となる。この理由について、以下に説明する。
第1実施形態では第1位相差フィルム7を配置することで、偏光板自体の光漏れを抑え、欠陥の視認性を向上させることが出来たが、正面観察時と斜め方向観察時とで無欠陥部分の色味が異なってしまう問題があった。このため、検査員が欠点を観察した場合、正面と斜めとで欠陥部分の見え方が異なるため、欠陥の視認性が悪化する恐れがあり、また通常欠点検査は暗室またはほぼ類似の環境下で行われるため、無欠陥部分が黒色であると、焦点が合いづらく、欠陥視認性が悪化する問題があった。本実施形態において欠陥視認性が更に向上したのは、1軸延伸フィルムである第2位相差フィルムと第3位相差フィルムを加えることで、正面・斜め方向観察時の両方とも無欠陥部分が暗い青色となったためである。
【0039】
以下に、無欠陥部分の見え方の違いの原因を詳細に説明する。
まず、図3および図4の条件である第1実施形態の無欠陥部分の正面観察時について説明する。
第1実施形態において、光学フィルム1の面内位相差はほぼ存在せず、かつ第1位相差フィルムの遅相軸71が偏光板5の吸収軸51とほぼ直交である。従って、偏光板5を通った光は、可視光の全波長領域で位相差の影響をほぼ受けることなく偏光板8に入射されるため、全ての光は透過されず黒色となる。
次に図9および図10の条件である本実施形態の場合について説明する。本実施形態においては第1位相差フィルムの下には、第2位相差フィルムと第3位相差フィルムが、波長550nmにおける位相差はほぼ等しく、かつ互いの遅相軸が略直交となるように積層される。この時、波長550nmの光においては、第2位相差フィルムと第3位相差フィルムの合計の位相差はほぼ0となるため、偏光板5を通った光は位相差の影響をほぼ受けることなく、偏光板8に入射され、透過しない。
ここで、本実施形態において第3位相差フィルムとして用いたポリカーボネートフィルムの複屈折波長分散D3、第2位相差フィルムとして用いたゼオノアフィルムの複屈折波長分散D2に注目すると、これらはD3≠D2の条件を満たすため、例えば青色の波長450nmの光においては、面内の位相差が異なるため、互いの位相差を打ち消すことが出来ない。従って偏光板5を通った450nmの光は第3位相差フィルムと第2位相差フィルムの合計の位相差の影響を受け、偏光板8に入射された光の一部は透過され、その結果青色を呈する。
D3=D2の条件においても無欠陥部分を青色とすることは可能だが、その効果は小さいため、D3≠D2かつD3/D2=0.70〜1.20とすることが好ましい。
【0040】
第2位相差フィルムの遅相軸と偏光板8の吸収軸がなす角度は、無欠陥部分を青色に着色させる目的において、45〜5度の範囲にすることが好ましく、より好ましくは45〜15度、さらに好ましくは45〜25度の範囲である。上記の範囲を外れた場合、十分に着色しない恐れがある。
本実施形態において、波長550nmにおける第3位相差フィルムの面内位相差Re3と第2位相差フィルムの面内位相差Re2は|Re3−Re2|≦30nmを満たすことが好ましい。より好ましくは|Re3−Re2|≦20nmであり、更に好ましくは|Re3−Re2|≦10nmである。上記の範囲を外れた場合、無欠陥部分においても光漏れが大きくなり欠陥部の視認性が著しく悪化する恐れがある。
互いの位相差を打ち消すためには、第3位相差フィルムと第2位相差フィルムの遅相軸とのなす角度は60〜120度の範囲になるよう積層するのが好ましい。より好ましくは70〜110度の範囲であり、更に好ましくは80〜100度の範囲である。上記の範囲を外れた場合、全ての波長の光の透過率が増大するため、無欠陥部分においても光漏れが大きくなり、欠陥部の視認性が著しく悪化する恐れがある。
【0041】
第2位相差フィルムと第3位相差フィルムの面内位相差Re2およびRe3は、上記条件(|Re3−Re2|≦30nm)を満たす必要があるが、Re2は、30〜200nm、好ましくは50〜150nmの範囲が、またRe3は、30〜200nm、好ましくは50〜150nmの範囲がよい。この範囲外では、斜め方向から見た時の光漏れが増大するなどして好ましくない。
また、本実施形態で用いた1軸延伸フィルムは、直交する2方向に2軸延伸した2軸延伸フィルムでも同様の視認性向上は可能である。
【0042】
(第4実施形態)
次に、本発明に係る光学フィルムの検査方法の第4実施形態について図11〜図12を用いて説明する。図11〜図12において、第1〜3実施形態と同一又は同等の構成要素については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
本実施形態の検査方法は、欠陥検査用素子16が以下のように構成されている点で前述の実施形態と異なる。
【0043】
欠陥検査用素子16について詳細に説明する。
図11に示すように、欠陥検査用素子16は、偏光板8、1軸延伸フィルム(第1位相差フィルム)7、1軸延伸フィルム(第2位相差フィルム)13、1軸延伸フィルム(第3位相差フィルム)14、ホメオトロピック配向液晶フィルム11を積層したものである。
図12は、偏光板5の吸収軸51、1軸延伸フィルムである第1位相差フィルム7の遅相軸71、第2位相差フィルム13の遅相軸131、第3位相差フィルム14の遅相軸141および偏光板8の吸収軸81の配置関係の一例を示す図である。なお、光学フィルム1に含まれる液晶層2、ホメオトロピック配向液晶フィルム(第2液晶フィルム)11は面内位相差がほぼ0である為、配向軸は存在しない。本実施形態では、1軸延伸フィルム(第1位相差フィルム)7の位相差は275nmを用いた。1軸延伸フィルム(第2位相差フィルム)13として、位相差135nmのゼオノアフィルム、1軸延伸フィルム(第3位相差フィルム)14としては位相差138nmのポリカーボネートフィルムを用いた。また、波長λ=450nm及びλ=590nmにおける屈折率異方性Δnの比である複屈折波長分散Dを
D=Δn(450)/Δn(590)
と定義した場合、前記第2位相差フィルムの複屈折波長分散D2、前記第3位相差フィルムの複屈折波長分散D3は、それぞれD2=1.01、D3=1.09であった。ホメオトロピック配向液晶フィルムとしては、面内方向の主屈折率をNx1、Ny1、厚さ方向の主屈折率をNz1、フィルムの厚さをd1とした場合、面内方向の位相差値Re1=(Nx1−Ny1)×d1=0nm、厚さ方向の位相差値Rth1={(Nx1+Ny1)/2−Nz1}×d1=−150nmのものを用いた。
【0044】
本実施形態の欠陥検査用素子16では、図12に示すように、第1位相差フィルム7の遅相軸71と偏光板8の吸収軸81は略直交、第2位相差フィルム13の遅相軸131と第3位相差フィルム14の遅相軸141も略直交となるように積層されている。第2位相差フィルムの遅相軸と偏光板8の吸収軸は略45度の角度となるよう積層した。
欠陥検査の際は、まず上記のように構成される欠陥検査用素子16を光学フィルム1に対向配置する。このとき、ホメオトロピック配向液晶フィルム11を光学フィルム1側に向け、偏光板8を光学フィルム1と反対側に向けると共に、偏光板5と偏光板8がクロスニコル配置となるようにする。
表4に、図3、図5、図11の条件で、観察した場合の欠陥部分の見え方と視認性の比較を示す。第1実施形態の図3の場合と比較し、斜め方向から観察時の、無欠陥部分の光漏れがより抑えられ、更に正面観察時の無欠陥部分が青色に暗い着色することで欠陥視認性が更に向上していることが確認できた
【0045】
【表4】

【0046】
すなわち、第1実施形態に、1軸延伸フィルムである第2位相差フィルム、第3位相差フィルムおよびホメオトロピック配向液晶フィルムを追加することにより、更に欠陥の視認性を向上することが可能となる。この理由について、以下に説明する。
まず正面観察時において、無欠陥部分が暗い青色となることで欠陥の視認性が向上するのは、第3実施形態で説明した通りである。本実施形態で追加したホメオトロピック配向液晶フィルムの正面位相差はほぼ0であり、正面観察時の無欠陥部分の見え方は第3実施形態と同様に考えることが出来る。本実施形態で用いられる第1位相差フィルム、第2位相差フィルム、第3位相差フィルムとしては、上記第3実施形態と同様のものを用いることが出来る。
【0047】
次に、斜め方向から観察した場合について説明する。欠陥視認性が向上したのは、第2実施形態で述べた理由と同様である。偏光板はクロスニコル配置とした場合でも、斜め方向から観察した場合は、その吸収軸は直交から外れるため光漏れが生じることが知られているが、偏光板の間に位相差フィルムを1枚、または複数枚配置した場合、その光漏れの度合いは挿入した位相差フィルムの面内位相差、厚み方向の位相差の影響を受ける。本実施形態において、第1実施形態と比較して斜め方向からの欠陥視認性が更に向上したのは、ホメオトロピック液晶フィルムを加えることで、厚み方向の位相差が最適化され、偏光板自体の光漏れがより減少したためである。
【0048】
従って、本実施形態において追加されるホメオトロピック配向液晶フィルムの厚み方向の位相差Rth1は、光学フィルム1に含まれる液晶層2、および1軸延伸フィルムである第1位相差フィルム、第2位相差フィルム、第3位相差フィルムの合計の厚み方向の位相差に応じて適宜選択されるのが望ましいが、好ましくは−50〜−500nm、より好ましくは−50〜−400nm、更に好ましくは−50〜−300nmの範囲である。1軸延伸フィルム7の面内位相差は、50〜500nmの範囲であり、好ましくは70〜400nm、更に好ましくは90〜300nmの範囲である。この範囲を外れた場合、欠陥検査の視認性が著しく悪化する恐れがある。
【0049】
1軸延伸フィルムである第1位相差フィルム、第2位相差フィルム、第3位相差フィルムの正面位相差値の範囲は、第1〜第3実施形態に記載した範囲から選定することができる。
また、本実施形態で用いた1軸延伸フィルムは何れも、直交する2方向に2軸延伸した2軸延伸フィルムを用いても同様の視認性向上は可能である。
また、上記第1〜第4実施形態においては、第1位相差フィルムの遅相軸が偏光板8の吸収軸に対してなす角度が上記各実施形態で示す値とされているが、偏光板の斜め方向の光漏れを低減し、また青色に着色させるという目的のためであれば、これらの角度は、上記各実施形態に示す値に対して±15度の範囲でずれていても構わない。
【0050】
上記第1〜第4実施形態においては、第1偏光板、光学フィルム1および欠陥検査用素子の各面は互いに平行が好ましいが、平行から±45度程度のずれの範囲であれば検査に支障はない。
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。例えば上記第1〜4の実施形態に対し、第1および第2偏光板を略直交を保ったまま、90度回転した場合も同様に欠陥部分の視認性を向上させることが可能となり、欠陥の検査を的確に行うことができる。
また、本発明による方法で欠陥検査用素子から透過される透過光を光センサで捕捉し、対応する画像を形成してこの画像を分析することにより欠陥を見出してもよい。この方法によれば、電子的処理が可能で、欠陥部位に自動的にマーキングすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の光学フィルムの検査方法に用いる光学フィルムの構成の一例を示す図である。
【図2】第1液晶フィルムに欠陥部のある光学フィルムを示す断面図である。
【図3】本発明の光学フィルムの検査方法の第1実施形態における光学フィルムの検査光学系の一例を示す側面図である。
【図4】第1実施形態の欠陥検査用素子、光学フィルム1、第1偏光板の吸収軸の関係の一例を示す図である。
【図5】本発明の比較形態として用いた光学フィルムの検査方法における光学フィルムの検査光学系の一例を示す側面図である。
【図6】比較形態として用いた検査方法の欠陥検査用素子、光学フィルム1、第1偏光板の吸収軸の関係の一例を示す図である。
【図7】本発明の光学フィルムの検査方法の第2実施形態における光学フィルムの検査光学系の一例を示す側面図である。
【図8】第2実施形態の欠陥検査用素子、光学フィルム1、第1偏光板の吸収軸の関係の一例を示す図である。
【図9】本発明の光学フィルムの検査方法の第3実施形態における光学フィルムの検査光学系の一例を示す側面図である。
【図10】第3実施形態の欠陥検査用素子、光学フィルム1、第1偏光板の吸収軸の関係の一例を示す図である。
【図11】本発明の光学フィルムの検査方法の第4実施形態における光学フィルムの検査光学系の一例を示す側面図である。
【図12】第4実施形態の欠陥検査用素子、光学フィルム1、第1偏光板の吸収軸の関係の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0052】
1:光学フィルム(第1液晶フィルム)
2:液晶層
3:液晶分子
4:支持基板
5:偏光板(第1偏光板)
6:バックライト
7:1軸延伸フィルム(第1位相差フィルム)
8:偏光板(第2偏光板)
9、12、15、16:欠陥検査用素子
10:異物
11:ホメオトロピック配向液晶フィルム(第2液晶フィルム)
13:1軸延伸フィルム(第2位相差フィルム)
14:1軸延伸フィルム(第3位相差フィルム)
51:第1偏光板5の吸収軸
71:1軸延伸フィルム7の遅相軸
81:第2偏光板8の吸収軸
131:1軸延伸フィルム13の遅相軸
141:1軸延伸フィルム14の遅相軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式を満たす第1液晶フィルムを含む光学フィルムの検査方法であって、前記光学フィルムに対し、光源から第1偏光板を通して光を照射し、前記光学フィルムに対して、前記光源と反対側に1軸延伸フィルムからなる第1位相差フィルムと第2偏光板とを積層した欠陥検査用素子を、前記第1位相差フィルムを前記光学フィルム側に隣接するように配置し、前記光学フィルムを検査することを特徴とする光学フィルムの検査方法。
Re≦20[nm]
|Rth|≧20[nm]
(ここで、Reは前記第1液晶フィルムの面内の位相差値を意味し、Rthは前記第1液晶フィルムの厚さ方向の位相差を意味する。前記Re及びRthは、それぞれRe=(Nx−Ny)×d[nm]、Rth={(Nx+Ny)/2−Nz}×d[nm]である。また、dは前記第1液晶フィルムの厚さ、Nx,Nyは前記第1液晶フィルムの面内の主屈折率、Nzは厚さ方向の主屈折率であり、Nx>Nyである。)
【請求項2】
下記式を満たす第1液晶フィルムを含む光学フィルムの検査方法であって、前記光学フィルムに対し、光源から第1偏光板を通して光を照射し、前記光学フィルムに対して、前記光源と反対側に、液晶をホメオトロピック配向させた第2液晶フィルム、1軸延伸フィルムからなる第1位相差フィルムと第2偏光板とを順次積層した欠陥検査用素子を、前記第2液晶フィルムを前記光学フィルム側に隣接するように配置し、前記光学フィルムを検査することを特徴とする光学フィルムの検査方法。
Re≦20[nm]
|Rth|≧20[nm]
(ここで、Reは前記第1液晶フィルムの面内の位相差値を意味し、Rthは前記第1液晶フィルムの厚さ方向の位相差を意味する。前記Re及びRthは、それぞれRe=(Nx−Ny)×d[nm]、Rth={(Nx+Ny)/2−Nz}×d[nm]である。また、dは前記第1液晶フィルムの厚さ、Nx,Nyは前記第1液晶フィルムの面内の主屈折率、Nzは厚さ方向の主屈折率であり、Nx>Nyである。)
【請求項3】
下記式を満たす第1液晶フィルムを含む光学フィルムの検査方法であって、前記光学フィルムに対し、光源から第1偏光板を通して光を照射し、前記光学フィルムに対して、前記光源と反対側に、1軸延伸フィルムからなる第3位相差フィルム、1軸延伸フィルムからなる第2位相差フィルム、1軸延伸フィルムからなる第1位相差フィルムと第2偏光板とを順次積層した欠陥検査用素子を、前記第3位相差フィルムを前記光学フィルム側に隣接するように配置し、前記光学フィルムを検査することを特徴とする光学フィルムの検査方法。
Re≦20[nm]
|Rth|≧20[nm]
(ここで、Reは前記第1液晶フィルムの面内の位相差値を意味し、Rthは前記第1液晶フィルムの厚さ方向の位相差を意味する。前記Re及びRthは、それぞれRe=(Nx−Ny)×d[nm]、Rth={(Nx+Ny)/2−Nz}×d[nm]である。また、dは前記第1液晶フィルムの厚さ、Nx,Nyは前記第1液晶フィルムの面内の主屈折率、Nzは厚さ方向の主屈折率であり、Nx>Nyである。)
【請求項4】
下記式を満たす第1液晶フィルムを含む光学フィルムの検査方法であって、前記光学フィルムに対し、光源から第1偏光板を通して光を照射し、前記光学フィルムに対して、前記光源と反対側に、液晶をホメオトロピック配向させた第2液晶フィルム、1軸延伸フィルムからなる第3位相差フィルム、1軸延伸フィルムからなる第2位相差フィルム、1軸延伸フィルムからなる第1位相差フィルムと第2偏光板とを順次積層した欠陥検査用素子を、前記第2液晶フィルムを前記光学フィルム側に隣接するように配置し、前記光学フィルムを検査することを特徴とする光学フィルムの検査方法。
Re≦20[nm]
|Rth|≧20[nm]
(ここで、Reは前記第1液晶フィルムの面内の位相差値を意味し、Rthは前記第1液晶フィルムの厚さ方向の位相差を意味する。前記Re及びRthは、それぞれRe=(Nx−Ny)×d[nm]、Rth={(Nx+Ny)/2−Nz}×d[nm]である。また、dは前記第1液晶フィルムの厚さ、Nx,Nyは前記第1液晶フィルムの面内の主屈折率、Nzは厚さ方向の主屈折率であり、Nx>Nyである。)
【請求項5】
前記第1位相差フィルムの遅相軸と前記第2偏光板の吸収軸とが略直交であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光学フィルムの検査方法。
【請求項6】
前記第3位相差フィルムの遅相軸と前記第2位相差フィルムの遅相軸とが略直交であることを特徴とする請求項3または4に記載の光学フィルムの検査方法。
【請求項7】
前記第2位相差フィルム、前記第3位相差フィルムの波長λ=550nmにおける面内位相差をそれぞれRe2、Re3とした時、
|Re2−Re3|≦30[nm]
を満たすことを特徴とする請求項3または4に記載の光学フィルムの検査方法。
【請求項8】
波長λ=450nm及びλ=590nmにおける屈折率異方性Δnの比である複屈折波長分散Dを
D=Δn(450)/Δn(590)
と定義した場合、前記第3位相差フィルムの複屈折波長分散D3、前記第2位相差フィルムの複屈折波長分散D2が、D3≠D2を満たすことを特徴とする請求項3または4に記載の光学フィルムの検査方法。
【請求項9】
前記第1液晶フィルムが棒状液晶分子をホメオトロピック配向させて得られるものであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の光学フィルムの検査方法。
【請求項10】
前記第1液晶フィルムが円盤状液晶分子からなることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の光学フィルムの検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−97915(P2009−97915A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−267903(P2007−267903)
【出願日】平成19年10月15日(2007.10.15)
【出願人】(000004444)新日本石油株式会社 (1,898)
【Fターム(参考)】