光学レンズ付きシート部材およびその製造方法、ならびに発光装置およびそれを用いた液晶表示装置、看板、太陽電池
【課題】LEDの発する高熱に対する高耐熱性を有し、個々のLEDに一つずつレンズを接着する煩雑さを大幅に解消でき、しかもLEDを有する基板にワンタッチで容易に装着可能で、装着時の位置ずれを防止でき、使用中の熱変形等による位置ずれもなく安定して用いることができる、光学レンズ付きシート部材を提供する。さらに、低コストで製造でき、さらに連続成形が可能な光学レンズ付きシート部材の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る光学レンズ付きシート部材は、発光ダイオードを備えた基板に装着するためのシート部材であって、前記シート部材は、シート部と、光学レンズ部と、を有し、前記基板に装着したときに前記発光ダイオードに対向する位置にのみ、光学レンズ部を有することを特徴とする。
【解決手段】本発明に係る光学レンズ付きシート部材は、発光ダイオードを備えた基板に装着するためのシート部材であって、前記シート部材は、シート部と、光学レンズ部と、を有し、前記基板に装着したときに前記発光ダイオードに対向する位置にのみ、光学レンズ部を有することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学レンズ付きシート部材およびその製造方法、ならびに発光装置およびそれを用いた液晶表示装置、看板、太陽電池に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(以下、「LED」ともいう。)から発光された光を集光または拡散する手段として光学レンズ機構が使用されている。このような光学レンズ機構は、使用される装置の用途や構造に合わせて設計されている。しかしながら、LEDメーカーでは、装置ごとに光学レンズを有するLEDを開発することになると小ロット多品種となるため、十分な対応ができない状況にあった。そこで、照明器具やバックライト装置等の生産においては、各々光学設計を行った光学レンズを作製し、後からLEDに光学レンズを接着するなどの手段を用いている。特に面光源として使用する照明装置や液晶テレビ、パソコン用ディスプレイ等の液晶表示パネルのバックライト装置は、使用するLEDの数量が多いため、回路基板に設置されたLEDにレンズを一つずつ装着することは非常に手間がかかるという問題があった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、近年では高輝度を有するLEDが次々と開発されており、このようなLEDは発光に伴い発熱することが知られている。そのため、高輝度を有するLEDから発光された光を集光または拡散するために使用される光学レンズには、高熱耐性が要求される。
【0004】
また、特許文献2には、基体に取り付けられたLEDのアレイと、前記LED上に配置された光学シートを含む、発光のための光学アセンブリが記載されている。しかしながら、特許文献2に記載されている光学アセンブリは、前記LEDから前記光学シートの一方の面に入る光の一部が基体に対して略平行方向で前記光学シートに案内されることで発光するものであるため、どうしても輝度が小さくなってしまうという問題があった。また、特許文献2に記載されているような一般的な光学シートは、加熱により溶融または変形させて寸法安定性を確保したものであるため、高輝度を有するLEDから発せられた熱により変形あるいは変色が生じてしまうという問題があった。
【0005】
上記のような問題を解決するために、シリコーン樹脂からなる光学レンズのベース部を同一材料で一体的につなぎ合わせてシート状に成形することも検討されたが、シリコーン樹脂の熱膨張係数に伴う位置ずれの発生や、高価なシリコーン素材等の耐熱素材を多用することによるコスト高騰の問題があった。
【特許文献1】特開2006−18261号公報
【特許文献2】特表2008−503034号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一つの目的は、LEDの発熱に対する高耐熱性を有し、個々のLEDに一つずつレンズを接着する煩雑さを大幅に解消でき、しかもLEDを有する基板にワンタッチで容易に装着可能で、装着時の位置ずれを防止でき、使用中の熱変形等による位置ずれもなく安定して用いることができる、光学レンズ付きシート部材を提供することにある。
【0007】
本発明のもう一つの目的は、低コストで製造でき、さらに連続成形が可能な光学レンズ付きシート部材の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る光学レンズ付きシート部材は、
発光ダイオードを備えた基板に装着するためのシート部材であって、
前記シート部材は、シート部と、光学レンズ部と、を有し、
前記基板に装着したときに前記発光ダイオードに対向する位置にのみ、光学レンズ部が前記シート部に配置されていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る光学レンズ付きシート部材において、前記光学レンズ部は、シリコーン樹脂からなることができる。
【0010】
本発明に係る光学レンズ付きシート部材において、前記光学レンズ部は、液状の付加反応硬化型のシリコーン樹脂組成物を硬化させて得たものであることができる。
【0011】
本発明に係る光学レンズ付きシート部材において、前記シート部の熱膨張係数は、前記光学レンズ部の熱膨張係数よりも小さいことができる。
【0012】
本発明に係る光学レンズ付きシート部材において、前記シート部は、ポリエチレンテレフタレート樹脂製シートまたはガラス不織布であることができる。
【0013】
上記光学レンズ付きシート部材によれば、LEDの発する高熱に対し高耐熱性を有し、LED基板に容易に装着可能なシート部材を得ることができる。また、LEDに対向する部分にのみ光学レンズ部を有するため、光学レンズ部の位置決めが容易となり、材料の歩留まりを向上させることもできる。その結果、製造コストの低下にもつながる。
【0014】
本発明に係る発光装置は、上記の光学レンズ付きシート部材が発光ダイオードを備えた基板に装着され、前記発光ダイオードに対向する位置にのみ光学レンズ部がシート部に配置されていることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る発光装置において、前記基板は、プリント回線基板であることができる。
【0016】
本発明に係る発光装置において、前記光学レンズ付きシート部材の少なくとも一方の面に反射層を形成することができる。
【0017】
本発明に係る発光装置において、さらに、前記光学レンズ付きシート部材の前記発光ダイオードを備えた基板が装着された側とは反対側に拡散板を形成することができる。
【0018】
本発明に係る液晶表示装置は、上記の発光装置を備えている。
【0019】
本発明に係る看板は、上記の発光装置を備えている。
【0020】
本発明に係る光学レンズ付きシート部材は、
太陽電池素子部を備えた基板に装着するためのシート部材であって、
前記シート部材は、シート部と、光学レンズ部と、を有し、
前記基板に装着したときに前記太陽電池素子部に対向する位置にのみ、光学レンズ部を有することを特徴とする。
【0021】
本発明に係る太陽電池は、上記の光学レンズ付きシート部材を備えている。
【0022】
本発明に係る光学レンズ付きシート部材の製造方法は、基板に配置された発光ダイオードの位置に対向するように光学レンズ部をシート部に設けた光学レンズ付きシート部材の製造方法であって、前記発光ダイオードの位置に合わせてレンズ型を設けた金型を準備する工程と、前記金型のレンズ型に、レンズ材料を注入する工程と、注入したレンズ材料に接触するように前記金型に前記シート部をセットする工程と、レンズ材料を硬化して前記光学レンズ部と前記シート部とを一体化する工程と、を含むことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0024】
1.光学レンズ付きシート部材
1.1 第1の実施形態
本発明の第1の実施形態に係る光学レンズ付きシート部材は、発光ダイオードを備えた基板に装着するための光学レンズ付きシート部材であって、前記光学レンズ付きシート部材は、シート部と、光学レンズ部と、を有し、前記基板に装着したときに前記発光ダイオードに対向する位置にのみ、光学レンズ部が前記シート部に配置されていることを特徴とする。図1は、第1の実施形態に係る光学レンズ付きシート部材の一例を模式的に示す平面図である。
【0025】
光学レンズ付きシート部材100は、光学レンズ部10と、シート部20と、を含む。
【0026】
光学レンズ部10は、LEDを備えた基板に光学レンズ付きシート部材100を装着したときにLEDに対向する位置にのみ設けられるようシート部20に配置されている。これにより、面光源として使用する照明装置や液晶表示装置用バックライト等の生産において、各LEDごとに光学レンズを装着する手間を省くことができる。また、シート部と基板との位置決めをするだけで、1度の作業で、各LEDに対向する位置に光学レンズ部10を正確に配置することができる。
【0027】
光学レンズ部10は、ゴムレンズ等でも構わないが、高耐熱性を有する観点からシリコーン樹脂により成形された光学レンズであることが好ましい。シリコーン樹脂により成形された光学レンズであれば、LEDから発せられる熱による溶融または変形、変色等の劣化を防ぐことができる。シリコーン樹脂製の光学レンズは、シリコーン樹脂であれば特に制限はないが、液状の付加反応硬化型のシリコーン樹脂組成物を用途に応じた形状に硬化させることによって得ることが好ましい。液状の付加反応硬化型のシリコーン樹脂組成物は、無溶媒であるため発泡することなく、表面および内部を均一に硬化させることができる。
【0028】
付加反応硬化型のシリコーン樹脂組成物としては、熱硬化により透明なシリコーン樹脂を形成するものであれば特に制限されないが、例えばオルガノポリシロキサンをベースポリマーとし、オルガノハイドロジェンポリシロキサンおよび白金系触媒等の重金属系触媒を含むものが挙げられる。
【0029】
上記付加反応型のシリコーン樹脂組成物としては、下記平均単位式(1)で示されるものが挙げられる。
【0030】
RaSiO(4−a)/2 …(1)
(式中、Rは非置換または置換一価炭化水素基で、好ましくは炭素数1〜10、特に1〜8のものである。aは0.8〜2、特に1〜1.8の正数である。)
ここで、Rとしてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基や、これらの炭素原子に結合した水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換されたクロロメチル基、クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換炭化水素基、あるいはシアノ基で置換された2−シアノエチル基等のシアノ基置換炭化水素基などが挙げられ、Rは同一であっても異なっていてもよいが、Rとしてフェニル基を含むもの、特に全Rのうち5〜80モル%がフェニル基であるものが、光学レンズの耐熱性および透明性の観点から好ましい。
【0031】
また、Rとしてビニル基等のアルケニル基を含むもの、特に全Rのうちの1〜20モル%がアルケニル基であるものが好ましく、中でもアルケニル基を1分子中に2個以上有するものが好ましく用いられる。このようなオルガノポリシロキサンとしては、例えば末端にビニル基等のアルケニル基を有するジメチルポリシロキサンやジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体等の末端アルケニル基含有ジオルガノポリシロキサンが挙げられ、特に常温で液状のものが好ましく用いられる。
【0032】
一方、オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、3官能以上(すなわち、1分子中にケイ素原子に結合する水素原子(Si−H基)を3個以上有するもの)が好ましく、例えばメチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルハイドロジェンポリシロキサン等が挙げられ、特に常温で液状のものが好ましい。また、触媒としては、白金、白金化合物、ジブチル錫ジアセテートやジブチル錫ジラウリレート等の有機金属化合物、またはオクテン酸錫のような金属脂肪酸塩などが挙げられる。これらオルガノハイドロジェンポリシロキサンや触媒の種類や量は、架橋度や硬化速度を考慮して適宜決定すればよい。また、上記成分以外に得られるシリコーン樹脂の強度や透明度を損なわない程度に充填剤、耐熱剤、可塑剤等を添加してもよい。
【0033】
上記シリコーン樹脂組成物としては、信越化学工業株式会社製の「KJR632」等の市販品を用いることもできる。
【0034】
光学レンズ部10は、上記シリコーン樹脂組成物を成形してシリコーン樹脂成形品とする公知の方法により得ることができ、例えば射出成形、押出成形、注型成形等により成形することができる。光学レンズ部10は、側面発光、拡散発光、集光等の用途に合わせて光学設計することができ、例えば凸レンズ、凹レンズ、シリンドリカルレンズ、およびこれらのフレネルレンズ等の様々な形状のレンズに成形することができる。また、光学レンズ部10の寸法は、用途に合わせて適宜設計することができるが、少なくともLEDの発光面全体と対向できる大きさが必要であり、厚さは1mm〜5mm程度、レンズ単位のピッチは5mm〜50mm程度とすることが好ましい。なお、レンズの硬度は、JIS K 7215(プラスチックのデュロメーター硬さ試験方法)の方法により測定されるショア硬度で、好ましくは20〜90、より好ましくは50〜80である。レンズの素材としてゴムレンズを使用した場合には、レンズの硬度は、ショアA硬度で好ましくは30〜90である。
【0035】
光学レンズ部10の内部または表面には、さらに蛍光体層、カラーフィルター層や光拡散層を設けてもよい。レンズ部および/またはLED側に設ける場合の蛍光体層や光拡散層は、LEDの発光面全体を覆うことができるようにLEDの外形に合った嵌合部を設けることが好ましい。この嵌合部を設けることによって、装着時の位置ずれを防止でき、使用中の熱変形等による位置ずれもなく安定して用いることができる。
【0036】
蛍光体層に用いられる蛍光体としては、無機蛍光体、顔料、有機蛍光染料、疑似顔料等が挙げられ、例えば、発光色が青色の(Ca,Sr,Ba)5(PO4)3Cl:Eu2+、ZnS:Ag、CaS:Bi等、発光色が緑色のBaMg2Al16O27:Eu2+,Mn2+、ZnS:Cu,Al,Au、SrAl2O4:Eu2+、Zn2Si(Ge)O4:Eu2+等、発光色が赤色のY2O2S:Eu3+、3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn、LiEuW2O8、BaO・Gd2O3・Ta2O5:Mn、K5Eu2.5(WO4)6.25等を用いることができ、より所望する色に近い発色が得られるように調整することができる。蛍光体層を設けることによって、例えばLEDから発せられた光の波長変換機能を有する光学レンズ付きシート部材を作製することができる。
【0037】
光拡散層としては、例えば予め光拡散度をガラスパウダーや、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛等の無機白色顔料の種類や添加量により調整後、成形したもの等が挙げられる。光拡散層を設けることによって、例えば光源が赤・緑・青の三色を有するLEDである場合に、光を混合することができる光学レンズ付きシート部材を作製することができる。
【0038】
シート部20の材質は、(1)設置作業性、設置安定性を損なわない程度のコシを有していること、(2)熱膨張係数が小さいこと、(3)耐熱性に優れていること、の3点が満たされていれば特に限定されないが、これらに加えて目的に応じて、導光性、光拡散層、光反射層等を有すると、さらに用途が拡大する。
【0039】
シート部20が設置作業性、設置安定性を損なわない程度のコシを有していなければ、ハンドリングが悪くなり、生産性の低下やシート部の弛みによりピッチずれを招くことがある。
【0040】
シート部20の材質の熱膨張係数が小さいと、ピッチのずれが抑制でき、レンズ材料で単一成形体を作るものより光学的に安定なレンズ付きシート部材ができる。また、シート部20の材質が耐熱性に優れていることが好ましく、耐熱性が不充分であるとLEDから発せられた高熱によりシート部20が溶融または変形したり、変色してしまうことがある。したがって、シリコーン樹脂(熱膨張係数:200×10−6/K)を光学レンズ部10の材料として使用する場合には、シート部20の材質として、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂(熱膨張係数:20×10−6/K)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂(25×10−6/K)、ポリカーボネート樹脂(65×10−6/K)、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリアミド樹脂、液晶ポリマー(LCP)等の樹脂類;硬質ガラス(8.5×10−6/K)、パイレックス(登録商標)ガラス(8.5×10−6/K)、ガラスペーパー、ガラス不織布等のガラス類;アルミニウム(23×10−6/K)、ステンレス鋼(10.4×10−6/K)等の金属類、シリコーンゴム等であることが好ましい。これらの材質から構成されるシート部20は、複合材であってもよい。また、シート部20は、フィルム、板状物、不織布、網状物であってもよい。これらのうち、ポリエチレンテレフタレート樹脂またはガラス不織布であることが特に好ましい。ポリエチレンテレフタレート樹脂は、シリコーン樹脂よりも強度が大きいため、シート部20を光学レンズ部10よりも薄くすることができ、丈夫で経済的な光学レンズ付きシート部材を作製することができる。ポリエチレンテレフタレート樹脂の中でも、いわゆるホワイトフィルムと呼ばれる素材は、特に耐熱性および耐久性に優れており、光反射層の役目を果たすためシート部20に適している。
【0041】
ガラス不織布は、ガラス繊維が交絡してシート状に固定されているため、軽量で耐熱性や寸法安定性に優れている。また、高含浸性を有するガラス不織布を用いることにより、シート部20に孔を設けることなく所定の位置にシリコーン樹脂等のレンズ材料を含浸させて光学レンズ部10を形成することができる。なお、ガラス不織布の屈折率とシリコーンレンズの屈折率との差が0.03の範囲内であれば、光学特性の観点からより好ましい。ガラス不織布としては、例えばキュムラス(登録商標)「EPM−4025」、「EPM−4100B」、「GPM−8325」、「SGM−3025」(以上、日本バイリーン株式会社製)、グラスパー「GHN=00−025(G)」(王子特殊紙株式会社製)等が挙げられる。
【0042】
シート部20は、後述するように光学レンズ付きシート部材の用途に応じて、導光シート、光散乱シート、反射シート、透明シート、難燃シート、アルミ蒸着シートなどの機能を備えたシートを使用することができる。
【0043】
本願発明の光学レンズ付きシート部材を基板に載置して、基板上の個々のLEDに対応した位置に光学レンズ部を一度の作業で設置するためには、上述したように光学レンズ付きシート部材の設置作業性がよいことが好ましく、シート部がある程度のコシを有していることが好ましい。例えば、シート部にPETフィルムを用いる場合、その厚さは25〜1000μmであることが好ましく、50〜300μmであることがより好ましい。
【0044】
シート部の厚さが上記範囲未満であると、シート部にシワが入るため、一度の設置作業で全てのLEDと光学レンズ部とを揃えて対向させにくい傾向がある。一方、シート部の厚さが上記範囲を超えると、シート部が板状となってくるため、吸盤付きロボットなどで光学レンズ付きシート部材と基板とを機械装着でき設置作業性には支障がないが、可撓性が低下するため、大画面の看板や液晶表示装置などでは、装着後のシート部の熱膨張により光学レンズ付きシート部材の両端で累積した寸法のずれが大きくなり、適正な光路が得られにくくなる傾向がある。シート部に可撓性を持たせることは、そのずれを解消することができる点で有効な場合がある。
【0045】
1.2 第2の実施形態
本発明の第2の実施形態に係る光学レンズ付きシート部材は、太陽電池素子部を備えた基板に装着するためのシート部材であって、前記シート部材は、シート部と、光学レンズ部と、を有し、前記基板に装着したときに前記太陽電池素子部に対向する部分にのみ、光学レンズ部を有することを特徴とする。
【0046】
第2の実施形態に係る光学レンズ付きシート部材は、図1に示す第1の実施形態に係る光学レンズ付きシート部材と同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0047】
(1)光学レンズ部は、太陽電池素子部に集光することを目的としたものである。したがって、光学レンズ部の形状は、凸レンズまたはそのフレネルレンズであることが好ましい。フレネルレンズは、凸レンズの曲面を分割してつなぎ合わせた形状を有しているため、凸レンズよりも形状を小さくすることができ経済的である。
【0048】
(2)光学レンズ部の材質は、上述したシリコーン樹脂を使用することが好ましいが、太陽光に対して耐熱性を有するその他の透明な材質を使用することもできる。
【0049】
(3)シート部の材質は、透光性を有する観点から、ガラス板、透明樹脂板、ガラスクロス部、ガラス不織布であることが好ましい。シート部がガラス板や透明樹脂板の場合は、太陽電池素子部以外に照射した太陽光を素子に集光する導光板の役目をすることができる。
【0050】
1.3 光学レンズ付きシート部材の製造方法
本実施形態に係る光学レンズ付きシート部材の製造方法は、基板に配置された発光ダイオードの位置に対向するように光学レンズ部をシート部に設けた光学レンズ付きシート部材の製造方法であって、前記発光ダイオードの位置に合わせてレンズ型を設けた金型を準備する工程と、前記金型のレンズ型に、レンズ材料を注入する工程と、注入したレンズ材料に接触するように前記金型に前記シート部をセットする工程と、レンズ材料を硬化して前記光学レンズ部と前記シート部とを一体化する工程と、を含む。以下、各工程について詳細に説明する。
【0051】
まず、シート部を用意する。シート部は、あらかじめ使用するサイズにカットされたものを用いてもよいし、ロール状に巻き取り可能な連続シートを用いてもよい。
【0052】
次いで、用意したシート部に、基板に配列されたLEDに対向する位置にレンズ部を成形するために所定の位置に所定形状の孔を形成する。シート部に所定形状の孔を形成するためには、パンチ等の公知の方法を適用することができる。上記のロール状に巻き取り可能な連続シートを使用する場合には、回転式のパンチ機を使用することにより連続的に穴を形成することができるため、生産効率が向上する。また、レンズ部を成形する位置に所定形状の孔を形成するのではなく、シート部のレンズを設ける位置にレンズ型をエンボス加工してもよい。
【0053】
次いで、上記LEDの位置に合わせてレンズ部の形状が刻印されたレンズパターンを有するレンズ型を用意する。レンズ型は、アルミニウム、黄銅、合金等の金属製の型;シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ABS樹脂、フッ素樹脂、ポリメチルペンテン樹脂等の合成樹脂製の型;Ni電鋳法で作製した電鋳型等を使用することができる。かかるレンズ型は、腐食防止等のためにその表面に銅またはニッケル等でメッキ処理することが好ましい。さらに、銅またはニッケル等のメッキを厚肉に形成して、メッキ層部分にレンズパターンを形成することもできる。
【0054】
次いで、レンズ型のレンズパターンとシート部の孔とが一致するようにシート部をレンズ型にセットする。その後、レンズ型にシリコーン樹脂等のレンズ材料を注入して所定の条件下で硬化させる。この際、シート部に送り孔を設け、この送り孔を照準にして金型にセットすることにより、高精度かつ連続的にレンズ部の成形を行うことができる。また、金型に枚葉シートのつき当たり部を設けることにより、同様の高精度を得ることができる。以上の工程により、シート部と光学レンズ部とを一体成形することができるが、シート部と光学レンズ部との接着強度を高めるためにシート部に予めプライマー処理、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理、イトロ処理、UV処理等の公知の接着技術を使用することもできる。また、光学レンズ部に接着成分を添加することにより、シート部との接着性を高めることもできる。なお、シート部にレンズ型をエンボス加工した場合は、凹部にレンズ材料を注入し硬化すればよい。
【0055】
また、光学レンズ付きシート部材をハンドリングする過程で、張力や屈折などによりシート部と光学レンズ部とが剥離したり、レンズ部がシート部から脱落する場合がある。そこで、光学レンズ部とシート部とを強固に固定するために、以下に説明するような手段を採り得る。図2は、光学レンズ部とシート部とを強固に固定する手段を取り入れた光学レンズ付きシート部材の斜視図である。図3は、図2のA−A断面を示す図である。図2に示すように、シート部21にレンズが成形される孔だけでなく、その孔の周辺部に成形の際アンカーとしてレンズと同じ樹脂が入る小さな孔21a(直径2mm以下、好ましくは1mm以下)を設けておくとよい。図3に示すように、光学レンズ部11は、シート部21を挟み込むようにコの字型に成形されたレンズ固定部11aと、LEDを嵌め込むための嵌合部11bと、を備えている。レンズ固定部11aは、少なくとも孔21aを覆うことができる長さにまで伸びている。このような構成とすることで、孔21aにもレンズと同じ樹脂が入り込み一体成形されることにより、光学レンズ部11とシート部21とを強固に固定することができる。
【0056】
以上の工程により、LEDを備えた基板に装着したときに前記LEDに対向する部分にのみ光学レンズ部が配置される光学レンズ付きシート部材を製造することができる。
【0057】
なお、上述したように、シート部として高含浸性のガラス不織布を使用した場合には、孔を設けずに所定の部分にレンズ材料を含浸しながら成形させることにより、光学レンズ付きシート部材を形成することができる。
【0058】
2.発光装置
2.1 第3の実施形態
本発明に係る発光装置は、上記の光学レンズ付きシート部材が発光ダイオードを備えた基板に装着されたことを特徴とする。図4は、第3の実施形態に係る発光装置を模式的に示す断面図である。
【0059】
図4に示すように、発光装置200は、LED30が設けられた基板40と、光学レンズ部12およびシート部22を有する光学レンズ付きシート部材110と、を含む。発光装置200は、基板40と光学レンズ付きシート部材110とを組み合わせることにより形成され、光学レンズ部12とLED30とが嵌合するようになっている。これにより、光学レンズ付きシート部材110は、基板40に正確に位置決めされて装着できる。なお、光学レンズ部12およびLED30の少なくとも一方に接着剤を付けて接着させることにより、光学レンズ付きシート部材110と基板40とを固定してもよい。
【0060】
光学レンズ付きシート部材110は、上述した第1の実施形態に係る光学レンズ付きシート部材を使用することができる。シート部22の基板40と接触する面には、さらに(図示しない)反射層を形成してもよい。反射層を形成することにより、LED30から発せられた光が光学レンズ部12で屈折されて一部シート部22に光拡散され、さらに反射層で反射されるため、より高輝度を有する発光装置200を製造することができる。
【0061】
基板40は、主として電子回路プリント基板であって、堅い板状のリジッド基板や、折り曲げできるフレキシブル基板等を用途に応じて使い分けることができる。基板40は、基材や樹脂に種々の材料を用いたものや、実装密度を上げるため多層にしたもの等を使用することができる。基板40には、LED30が固定されており、鉛フリーはんだを用いたリフローはんだ法等公知の接着法等を用いて電子回路に固定することができる。
【0062】
LED30は、公知のいずれのLEDであってもよく、例えばGa:ZnO赤色LED、GaP:N緑色LED、GaAsP系赤色LED、GaAsP系橙色・黄色LED、GaAlAs系LED、InGaAlP系橙色・黄色LED、GaN系青色LED、SiC青色LED、II−VI族青色LED、青色LEDのチップ上に蛍光体層を設けた白色LED等が挙げられる。なお、LEDの形態は、いずれの形態であってもよく、例えばLEDランプやチップタイプLED、セグメントタイプLED等を使用することができる。
【0063】
第3の実施形態に係る発光装置200は、例えば液晶表示装置、看板等のバックライト等の用途に使用することができる。
【0064】
2.2 第4の実施形態
図5は、第4の実施形態に係る発光装置を模式的に示す断面図である。
【0065】
図5に示すように、発光装置300は、LED32が設けられた基板42と、反射層50の上にシート部24が形成され、LED32に対向する位置に光学レンズ部14が形成された光学レンズ付きシート部材120と、拡散板60と、がこの順に積層された構造を有する。発光装置300は、第3の実施形態と同様に基板42と光学レンズ付きシート部材120とを組み合わせることにより形成され、光学レンズ部14とLED32とが嵌合するようになっている。これにより、光学レンズ付きシート部材120は、基板42に正確に位置決めされて装着できる。図示はしていないが、LED32と光学レンズ部14との間に蛍光体層を設けてもよい。光学レンズ付きシート部材120を基板に装着した後、光学レンズ部14とLED32との位置がずれないように、光学レンズ部14およびLED32の少なくとも一方に接着剤を付けて接着させることにより、光学レンズ付きシート部材120と基板42とを固定させてもよい。また、光学レンズ部14の間のシート部24と基板42の空き表面に接着剤、鋲などで固定してもよい。更には、図6に示すようにシート部24にプレス加工、パンチング加工などで凸部、凹部またはホール等の基板固定部24aを設けるとともに、基板42にはその形状を受ける形の穴、凹部、凸部を設け、これらを嵌合することにより固定することもできる。
【0066】
基板42は、第3の実施形態と同じものを使用できる。
【0067】
光学レンズ部14の形状は、光拡散タイプのレンズが好ましく、拡散板に導光できるレンズであれば特に限定されない。光学レンズ部14が光拡散タイプのレンズである場合には、LED32から発せられた光を拡散板60の方向に拡散し、その一部はシート部側に拡散する。
【0068】
光学レンズ付きシート部材120には、反射層50が設けられているので、拡散された光を拡散板60の方向へ反射することができる。シート部24は、透光性および耐熱性を有する材質から構成されており、例えば上述したポリエチレンテレフタレート樹脂やガラス不織布等を使用することができる。シート部24および反射層50の積層体の厚みと光学レンズ部14の高さは一致しており、2mm程度とすることができる。反射層50の下方には、さらに図示しないが必要に応じて絶縁層を形成することができる。
【0069】
拡散板60は、ガラスの片面をスリガラス状にした後、フッ化水素により表面を腐食させて滑らかにしたフショク型拡散板、ガラスの片面をスリガラス状に処理したフロスト型拡散板、ガラス面に乳白色膜を付加したオパール型拡散板、光散乱剤を充填したポリカーボネートシート、白色PET等の公知の拡散板を使用することができる。ガラスの片面に粗さを付与することにより、さらに拡散率を高めることができる。
【0070】
以上のような構成を有する発光装置300は、拡散板60の表面全体が均一に面発光した高輝度を有する発光装置となる。第4の実施形態に係る発光装置300は、例えば液晶表示パネル用バックライト、看板用バックライト等の用途に使用することができる。
【0071】
3.バックライト、看板
図7は、第5の実施形態に係る看板を模式的に示す断面図である。図7に示すように、看板400は、LED30が設けられた基板40と、光学レンズ部12およびシート部22を有する光学レンズ付きシート部材110と、を含む発光装置200を組み込んである。図示はしないが、LED30と光学レンズ部12との間に蛍光体層やカラーフィルター層を設けてもよい。さらに、発光装置200の上方には、拡散板62が形成されている。拡散板62は、上述したようにLED30から光学レンズ部12を介して発せられた光をさらに拡散するための部材である。さらに、拡散板62の上には、文字、図柄、写真等の情報が印刷された情報板70が形成されている。情報板70は、光透過性を有する観点から、アクリル板やバックライト用フィルム、印刷された紙等を使用することが好ましい。
【0072】
なお、シート部22の基板40と接触する面には、さらに(図示しない)反射層を形成してもよい。反射層を形成することにより、LED30から発せられた光が光学レンズ部12で屈折され、さらに反射層で反射されるため、より高輝度を有する看板400を製造することができる。かかる場合、シート部22に導光機能を持たせるとよい。
【0073】
4.太陽電池
太陽電池には、太陽光が降り注ぐそのままの状態で利用する平板型と、太陽光を光学系等の使用により高密度化してから太陽電池素子に入射させる集光型の二つの方式がある。本発明に係る太陽電池は、上記の光学レンズ付きシート部材を備えており、集光型の太陽電池に相当するものである。図8は、第6の実施形態に係る太陽電池の一例を模式的に示す断面図である。
【0074】
図8に示すように、太陽電池500は、太陽電池素子部34が設けられた基板44と、シート部である導光板80の太陽電池素子部34に対向する位置に光学レンズ部16を有する光学レンズ付きシート部材130と、を含む。
【0075】
光学レンズ付きシート部材130は、上述した第2の実施形態に係る光学レンズ付きシート部材を使用することができる。光学レンズ部16は、太陽電池素子部34と対向する位置に配置されており、光学レンズ部16によって集められた光が対向する太陽電池素子部34に効率良く吸収されるようになっている。これにより、太陽光の量が少ない状況においても、効率良く電力を発生することができる。光学レンズ付きシート部材130が大面積である場合には、支持網90を設けることによって光学レンズ付きシート部材130を支持することができる。シート部でもある導光板80の太陽光が照射する側の面には、1μm以下の粗面化処理や、反射防止層を設けることが好ましい。
【0076】
太陽電池素子34は、図示しないp型半導体板とn型半導体板とが合わさったpn接合構造体を有している。pn接合構造体の両面には、それぞれ図示しない電極が設けられている。
【0077】
太陽電池素子部34には、例えばIV族半導体、化合物半導体、有機半導体等の半導体を使用することができる。IV族半導体として、例えば単結晶シリコン、単結晶ゲルマニウム、多結晶シリコン、微結晶シリコン等の結晶系半導体;アモルファスシリコン等のアモルファス系半導体が挙げられる。化合物半導体として、III−V族のGaAs、InP、AlGaAs;II−VI族のCdS、CdTe、Cu2S;I−III−VI族のCuInSe2、CuInS2等が挙げられる。有機半導体として、フタロシアニン、ポリアセチレン等が挙げられる。
【0078】
4.実施例
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は下記の実施例により限定されるものではない。
【0079】
4.1 実施例1
シート部材として、厚さ194μmの耐変色・高光反射白色PETシートである「ルミラー(登録商標)E60V」(東レ株式会社製)を使用した。光学レンズ部材として、シリコーン樹脂である「SR7010A/B」(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)を使用した。
【0080】
PETシートは、コロナ放電処理を行い、液晶バックライト用基板に配列されているLEDの配列ピッチ25mmに合わせて、φ8mmの孔を開けた。同時にその周辺にも直径1mmの孔を6個開けた。次いで、光学レンズ部を成形する金型にこのPETシートをセットした。この際、シート部の孔部と金型のレンズ部が一致するようにセットした。次いで、金型にシリコーン樹脂を注入し、120℃・20分の条件下で硬化させることにより、シリコーン樹脂製の光学レンズ部がしっかりと固定されたPETシートを作製した。
【0081】
実施例1に係る光学レンズ付きシート部材は、シート部材として高光反射白色PETシートを使用しているため、光反射機能に優れていた。また、シート部材が十分な厚みを有しているため、設置作業性にも優れており、アンカーとしてシリコーン樹脂が入る1mmの孔を設けることにより、光学レンズ部とシート部とをしっかりと固定することができた。
【0082】
4.2 実施例2
シート部材として、厚さ100μmの高透明PETシートである「ルミラー(登録商標)U426」(東レ株式会社製)を使用した。光学レンズ部材として、シリコーン樹脂である「SR7010A/B」(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)を使用した。
【0083】
PETシートは、カップリング処理を行ったものを使用した。次いで、光学レンズ部を成形する金型にシリコーン樹脂を注入し、液晶バックライト用基板に配列されているLEDの配列ピッチ25mmに合わせて、このPETシートをセットした。次いで、120℃・20分の条件下で硬化させることにより、シリコーン樹脂製の光学レンズ部を有するPETシートを作製した。
【0084】
実施例2に係る光学レンズ付きシート部材は、シート部材として高透明PETシートを使用しているため、光透過性に優れていた。
【0085】
4.3 実施例3
シート部材として、難燃性PETシートである「ルミラー(登録商標)ZV10」(東レ株式会社製、熱膨張係数;2×10−5/K)を使用した。厚さが40μmと90μmの2種類のPETシートを用意し、それぞれのPETシートで光学レンズ付きシート部材を作製した。光学レンズ部材として、シリコーン樹脂である「SR7010A/B」(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)を使用した。
【0086】
PETシートは、コロナ放電処理を行い、液晶バックライト用基板に配列されているLEDの配列ピッチ25mmに合わせて、φ8mmの孔を開けた。次いで、光学レンズ部を成形する金型にこのPETシートをセットした。この際、シート部の孔部と金型のレンズ部が一致するようにセットした。次いで、金型にシリコーン樹脂を注入し、120℃・20分の条件下で硬化させることにより、シリコーン樹脂製の光学レンズ部を有するPETシートを作製した。
【0087】
実施例3に係る光学レンズ付きシート部材は、シート部材として難燃性PETシートを使用しているため、高熱に対する安全性を確保することができた。一方、厚さが40μmのPETシートではややコシが不足しており、厚さが90μmのPETシートに比べてやや設置作業性が損なわれた。また、実施例3に係る光学レンズ付きシート部材は、実施例1のようにアンカーを設けていないため、シート部と光学レンズ部との固着安定性が実施例1に係る光学レンズ付きシート部材よりもやや劣った。
【0088】
4.4 実施例4
シート部材として、難燃性PPSシートである「トレリナ(登録商標)」(東レ株式会社製)を使用した。光学レンズ部材として、シリコーン樹脂である「SR7010A/B」(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)を使用した。
【0089】
PPSシートは、カップリング処理を行い、液晶バックライト用基板に配列されているLEDの配列ピッチ25mmに合わせて、φ8mmの孔を開けた。次いで、光学レンズ部を成形する金型にこのPPSシートをセットした。この際、シート部の孔部と金型のレンズ部が一致するようにセットした。次いで、金型にシリコーン樹脂を注入し、120℃・20分の条件下で硬化させることにより、シリコーン樹脂製の光学レンズ部を有するPPSシートを作製した。
【0090】
4.5 実施例5
シート部材として、ガラス不織布である「キュムラス(登録商標)EPM−4025」(日本バイリーン株式会社製)を使用した。光学レンズ部材として、シリコーン樹脂である「SR7010A/B」(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)を使用した。
【0091】
液晶バックライト用基板に配列されているLEDに対向する位置に合わせて、ガラス不織布に直接シリコーン樹脂を含浸させた。次いで、このガラス不織布を120℃・20分の条件下で静置してシリコーン樹脂を硬化させることにより、シリコーン樹脂製のレンズ部を有するガラス不織布を作製した。
【0092】
4.6 実施例6
図9は、実施例6に係る光学レンズ付きシート部材140を模式的に示した断面図である。シート部142として、高透明PETシートである「ルミラー(登録商標)U426」(東レ株式会社製)を使用した。まず、高透明PETシートに真空成形によりレンズ部となる箇所にレンズ形状の凹部を成形した。次いで、その凹部にシリコーンゲル「SE1891H」(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)を定量ポッティングし、室温で硬化させることにより、図9に示すような外側がPET層、内側がシリコーンゲルで充填された光学レンズ部144を有する光学レンズ付きシート部材140を連続成形した。プライマーや表面処理なしでも、シリコーンゲルの粘着性により、高透明PETシートと良好に密着することができた。
【0093】
図10は、LED146を備えた回路基板に光学レンズ付きシート部材140を装着した発光装置150を模式的に示した断面図である。図10に示すように、シリコーンゲルで充填された光学レンズ部144は、LED146と密着するため、空気界面による光反射ロスを低減させることができた。
【0094】
4.7 実施例7
シート部材として、ガラスペーパーである「グラスパー(登録商標)GHN=00−025(G)」(王子特殊紙株式会社製)を用いた。まず、ガラスペーパーの回路基板に設置されているLEDの位置と対応したレンズ部が成形される部分にパンチングでφ5mmの孔を開けた。次いで、光学レンズ部を成形する金型にシート孔部と光学レンズ部とが一致するようにガラスペーパーをセットした。光学レンズ部材として「LPS−5510」(信越化学工業株式会社製)を金型に充填し、170℃×20分で加熱硬化させ、シート部がガラスペーパー、光学レンズ部がシリコーン樹脂である光学レンズ付きシート部材を作製した。
【0095】
この際、ガラスペーパーの隙間にシリコーンレジンが浸透することによりアンカーリングでき、しっかり接着固定された。プライマーやプラズマ処理なしでも一体成形することができた。
【0096】
4.8 実施例8
図11は、実施例8に係る光学レンズ付きシート部材160を模式的に示した断面図である。シート部162として、PENフィルムである「テオネックス(登録商標)」(帝人デュポンフィルム株式会社製)を用いた。まず、PENフィルムにコロナ処理を行った後、レンズ部が成形される部分にパンチングでφ5mmの孔を開けた。次いで、シリコーン接着剤「SE9185」(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)を用いて、予め色合わせを行って成形した蛍光体層166を含むシリコーンレンズ164をLEDと対向する面の反対側に接着させ、波長変換機能を有する光学レンズ付きシート部材160を作製した。接着剤は、レンズ外周のフランジ部164aへ塗布しPENフィルムへ接着を行った。蛍光体層166は、LEDの発光面全体を覆うことができるようLEDの外形に合った嵌合部168が設けられており、嵌合部168とLEDとが嵌合するようになっている。
【0097】
4.9 実施例9
図12は、実施例9に係る光学レンズ付きシート部材170を模式的に示した断面図である。シート部材172として、ポリエーテルイミド(PEI)フィルムを用いた。まず、PEIフィルムにコロナ処理を行った後、光学レンズ部が成形される部分にパンチングでφ5mmの孔を開けた。次いで、シリコーン接着剤「SE9185」(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)を用いて、予め拡散度を合わせて成形した炭酸カルシウムによる光拡散層176を含むシリコーンレンズ174を接着させ、光源が赤・緑・青の三色を有するLEDの場合に光を混合することができる光学レンズ付きシート部材170を作製した。接着剤は、レンズ外周のフランジ部174aへ塗布しPEIフィルムへ接着を行った。光拡散層176は、LEDの発光面全体を覆うことができるようLEDの外形に合った嵌合部178が設けられており、嵌合部178とLEDとが嵌合するようになっている。
【0098】
4.10 実施例10
ポリアミドフィルム「カプトン(登録商標)」(東レ・デュポン株式会社製)製のフレキシブル回路基板(FPC)にマウントされたLEDに、予め成形した用途に合わせて光学設計を行った側面発光レンズを設けた実施例8に係る光学レンズ付きシート部材を組み込むことにより、フレキシブルな発光装置を得た。
【0099】
4.11 比較例1
シリコーン樹脂である「SR7010A/B」(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)を用いて、シート部および光学レンズ部が一体成形された光学レンズ付きシート部材を作製した。
【0100】
比較例1に係る光学レンズ付きシート部材は、一体成形されているため、LEDから発せられる熱により歪みを生じやすく、特に大画面の液晶表示板に用いると熱膨張により光軸がずれる等の問題が発生した。
【0101】
4.12 比較例2
ポリアミドフィルム「カプトン」(東レ・デュポン株式会社製)製のフレキシブル回路基板(FPC)にマウントされたLEDに、予め成形した用途に合わせて光学設計を行った側面発光レンズを、シリコーン接着剤「SE9185」(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)を用いて接着させた。
【0102】
比較例2においては、側面発光レンズをフレキシブル回路基板のLEDに一つずつ接着しなければならず、能率の上がらない作業となった。
【0103】
4.13 使用時の安定性
実施例1〜10および比較例1に係る光学レンズ付きシート部材を、LEDを備えた基板に装着して200日間連続使用した。各光学レンズ付きシート部材について、200日間連続使用後の熱変形による位置ずれの有無を評価した。その評価結果を表1にまとめた。表1において、評価基準は以下のとおりとした。
◎:200日間連続使用しても熱変形による位置ずれは全く認められなかった。
○:200日間連続使用すると熱変形による位置ずれがわずかに認められるが、製品上問題のない範囲内である。
×:200日間連続使用すると熱変形による位置ずれが認められ、製品上問題がある。
【0104】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】第1の実施形態に係る光学レンズ付きシート部材の一例を模式的に示す平面図である。
【図2】光学レンズ部とシート部とを強固に固定する手段を取り入れた光学レンズ付きシート部材の斜視図である。
【図3】図2のA−A断面を示す図である。
【図4】第3の実施形態に係る発光装置を模式的に示す断面図である。
【図5】第4の実施形態に係る発光装置を模式的に示す断面図である。
【図6】第4の実施形態に係る発光装置の基板固定手段を説明するための図である。
【図7】第5の実施形態に係る看板の一例を模式的に示す断面図である。
【図8】第6の実施形態に係る太陽電池の一例を模式的に示す断面図である。
【図9】実施例6に係る光学レンズ付きシート部材140を模式的に示す断面図である。
【図10】LEDを備えた回路基板に光学レンズ付きシート部材140を装着した発光装置150を模式的に示す断面図である。
【図11】実施例8に係る光学レンズ付きシート部材160を模式的に示す断面図である。
【図12】実施例9に係る光学レンズ付きシート部材170を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0106】
10,11,12,14,16…光学レンズ部、11a…レンズ固定部、11b…嵌合部、20,21,22,24,142,162,172…シート部、21a…孔、24a…基板固定部、30,32,146…発光ダイオード(LED)、34…太陽電池素子部、40,42,44…基板、50…反射層、60,62…拡散板、70…情報板、80…導光板、90…支持網、100,102,110,120,130,140,160,170,180…光学レンズ付きシート部材、144…シリコーンゲル、164,174…シリコーンレンズ、164a,174a…フランジ部、166…蛍光体層、168,178…LED嵌合部、176…光拡散層、150,200,300…発光装置、400…看板、500…太陽電池
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学レンズ付きシート部材およびその製造方法、ならびに発光装置およびそれを用いた液晶表示装置、看板、太陽電池に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(以下、「LED」ともいう。)から発光された光を集光または拡散する手段として光学レンズ機構が使用されている。このような光学レンズ機構は、使用される装置の用途や構造に合わせて設計されている。しかしながら、LEDメーカーでは、装置ごとに光学レンズを有するLEDを開発することになると小ロット多品種となるため、十分な対応ができない状況にあった。そこで、照明器具やバックライト装置等の生産においては、各々光学設計を行った光学レンズを作製し、後からLEDに光学レンズを接着するなどの手段を用いている。特に面光源として使用する照明装置や液晶テレビ、パソコン用ディスプレイ等の液晶表示パネルのバックライト装置は、使用するLEDの数量が多いため、回路基板に設置されたLEDにレンズを一つずつ装着することは非常に手間がかかるという問題があった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、近年では高輝度を有するLEDが次々と開発されており、このようなLEDは発光に伴い発熱することが知られている。そのため、高輝度を有するLEDから発光された光を集光または拡散するために使用される光学レンズには、高熱耐性が要求される。
【0004】
また、特許文献2には、基体に取り付けられたLEDのアレイと、前記LED上に配置された光学シートを含む、発光のための光学アセンブリが記載されている。しかしながら、特許文献2に記載されている光学アセンブリは、前記LEDから前記光学シートの一方の面に入る光の一部が基体に対して略平行方向で前記光学シートに案内されることで発光するものであるため、どうしても輝度が小さくなってしまうという問題があった。また、特許文献2に記載されているような一般的な光学シートは、加熱により溶融または変形させて寸法安定性を確保したものであるため、高輝度を有するLEDから発せられた熱により変形あるいは変色が生じてしまうという問題があった。
【0005】
上記のような問題を解決するために、シリコーン樹脂からなる光学レンズのベース部を同一材料で一体的につなぎ合わせてシート状に成形することも検討されたが、シリコーン樹脂の熱膨張係数に伴う位置ずれの発生や、高価なシリコーン素材等の耐熱素材を多用することによるコスト高騰の問題があった。
【特許文献1】特開2006−18261号公報
【特許文献2】特表2008−503034号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一つの目的は、LEDの発熱に対する高耐熱性を有し、個々のLEDに一つずつレンズを接着する煩雑さを大幅に解消でき、しかもLEDを有する基板にワンタッチで容易に装着可能で、装着時の位置ずれを防止でき、使用中の熱変形等による位置ずれもなく安定して用いることができる、光学レンズ付きシート部材を提供することにある。
【0007】
本発明のもう一つの目的は、低コストで製造でき、さらに連続成形が可能な光学レンズ付きシート部材の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る光学レンズ付きシート部材は、
発光ダイオードを備えた基板に装着するためのシート部材であって、
前記シート部材は、シート部と、光学レンズ部と、を有し、
前記基板に装着したときに前記発光ダイオードに対向する位置にのみ、光学レンズ部が前記シート部に配置されていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る光学レンズ付きシート部材において、前記光学レンズ部は、シリコーン樹脂からなることができる。
【0010】
本発明に係る光学レンズ付きシート部材において、前記光学レンズ部は、液状の付加反応硬化型のシリコーン樹脂組成物を硬化させて得たものであることができる。
【0011】
本発明に係る光学レンズ付きシート部材において、前記シート部の熱膨張係数は、前記光学レンズ部の熱膨張係数よりも小さいことができる。
【0012】
本発明に係る光学レンズ付きシート部材において、前記シート部は、ポリエチレンテレフタレート樹脂製シートまたはガラス不織布であることができる。
【0013】
上記光学レンズ付きシート部材によれば、LEDの発する高熱に対し高耐熱性を有し、LED基板に容易に装着可能なシート部材を得ることができる。また、LEDに対向する部分にのみ光学レンズ部を有するため、光学レンズ部の位置決めが容易となり、材料の歩留まりを向上させることもできる。その結果、製造コストの低下にもつながる。
【0014】
本発明に係る発光装置は、上記の光学レンズ付きシート部材が発光ダイオードを備えた基板に装着され、前記発光ダイオードに対向する位置にのみ光学レンズ部がシート部に配置されていることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る発光装置において、前記基板は、プリント回線基板であることができる。
【0016】
本発明に係る発光装置において、前記光学レンズ付きシート部材の少なくとも一方の面に反射層を形成することができる。
【0017】
本発明に係る発光装置において、さらに、前記光学レンズ付きシート部材の前記発光ダイオードを備えた基板が装着された側とは反対側に拡散板を形成することができる。
【0018】
本発明に係る液晶表示装置は、上記の発光装置を備えている。
【0019】
本発明に係る看板は、上記の発光装置を備えている。
【0020】
本発明に係る光学レンズ付きシート部材は、
太陽電池素子部を備えた基板に装着するためのシート部材であって、
前記シート部材は、シート部と、光学レンズ部と、を有し、
前記基板に装着したときに前記太陽電池素子部に対向する位置にのみ、光学レンズ部を有することを特徴とする。
【0021】
本発明に係る太陽電池は、上記の光学レンズ付きシート部材を備えている。
【0022】
本発明に係る光学レンズ付きシート部材の製造方法は、基板に配置された発光ダイオードの位置に対向するように光学レンズ部をシート部に設けた光学レンズ付きシート部材の製造方法であって、前記発光ダイオードの位置に合わせてレンズ型を設けた金型を準備する工程と、前記金型のレンズ型に、レンズ材料を注入する工程と、注入したレンズ材料に接触するように前記金型に前記シート部をセットする工程と、レンズ材料を硬化して前記光学レンズ部と前記シート部とを一体化する工程と、を含むことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0024】
1.光学レンズ付きシート部材
1.1 第1の実施形態
本発明の第1の実施形態に係る光学レンズ付きシート部材は、発光ダイオードを備えた基板に装着するための光学レンズ付きシート部材であって、前記光学レンズ付きシート部材は、シート部と、光学レンズ部と、を有し、前記基板に装着したときに前記発光ダイオードに対向する位置にのみ、光学レンズ部が前記シート部に配置されていることを特徴とする。図1は、第1の実施形態に係る光学レンズ付きシート部材の一例を模式的に示す平面図である。
【0025】
光学レンズ付きシート部材100は、光学レンズ部10と、シート部20と、を含む。
【0026】
光学レンズ部10は、LEDを備えた基板に光学レンズ付きシート部材100を装着したときにLEDに対向する位置にのみ設けられるようシート部20に配置されている。これにより、面光源として使用する照明装置や液晶表示装置用バックライト等の生産において、各LEDごとに光学レンズを装着する手間を省くことができる。また、シート部と基板との位置決めをするだけで、1度の作業で、各LEDに対向する位置に光学レンズ部10を正確に配置することができる。
【0027】
光学レンズ部10は、ゴムレンズ等でも構わないが、高耐熱性を有する観点からシリコーン樹脂により成形された光学レンズであることが好ましい。シリコーン樹脂により成形された光学レンズであれば、LEDから発せられる熱による溶融または変形、変色等の劣化を防ぐことができる。シリコーン樹脂製の光学レンズは、シリコーン樹脂であれば特に制限はないが、液状の付加反応硬化型のシリコーン樹脂組成物を用途に応じた形状に硬化させることによって得ることが好ましい。液状の付加反応硬化型のシリコーン樹脂組成物は、無溶媒であるため発泡することなく、表面および内部を均一に硬化させることができる。
【0028】
付加反応硬化型のシリコーン樹脂組成物としては、熱硬化により透明なシリコーン樹脂を形成するものであれば特に制限されないが、例えばオルガノポリシロキサンをベースポリマーとし、オルガノハイドロジェンポリシロキサンおよび白金系触媒等の重金属系触媒を含むものが挙げられる。
【0029】
上記付加反応型のシリコーン樹脂組成物としては、下記平均単位式(1)で示されるものが挙げられる。
【0030】
RaSiO(4−a)/2 …(1)
(式中、Rは非置換または置換一価炭化水素基で、好ましくは炭素数1〜10、特に1〜8のものである。aは0.8〜2、特に1〜1.8の正数である。)
ここで、Rとしてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基や、これらの炭素原子に結合した水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換されたクロロメチル基、クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換炭化水素基、あるいはシアノ基で置換された2−シアノエチル基等のシアノ基置換炭化水素基などが挙げられ、Rは同一であっても異なっていてもよいが、Rとしてフェニル基を含むもの、特に全Rのうち5〜80モル%がフェニル基であるものが、光学レンズの耐熱性および透明性の観点から好ましい。
【0031】
また、Rとしてビニル基等のアルケニル基を含むもの、特に全Rのうちの1〜20モル%がアルケニル基であるものが好ましく、中でもアルケニル基を1分子中に2個以上有するものが好ましく用いられる。このようなオルガノポリシロキサンとしては、例えば末端にビニル基等のアルケニル基を有するジメチルポリシロキサンやジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体等の末端アルケニル基含有ジオルガノポリシロキサンが挙げられ、特に常温で液状のものが好ましく用いられる。
【0032】
一方、オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、3官能以上(すなわち、1分子中にケイ素原子に結合する水素原子(Si−H基)を3個以上有するもの)が好ましく、例えばメチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルハイドロジェンポリシロキサン等が挙げられ、特に常温で液状のものが好ましい。また、触媒としては、白金、白金化合物、ジブチル錫ジアセテートやジブチル錫ジラウリレート等の有機金属化合物、またはオクテン酸錫のような金属脂肪酸塩などが挙げられる。これらオルガノハイドロジェンポリシロキサンや触媒の種類や量は、架橋度や硬化速度を考慮して適宜決定すればよい。また、上記成分以外に得られるシリコーン樹脂の強度や透明度を損なわない程度に充填剤、耐熱剤、可塑剤等を添加してもよい。
【0033】
上記シリコーン樹脂組成物としては、信越化学工業株式会社製の「KJR632」等の市販品を用いることもできる。
【0034】
光学レンズ部10は、上記シリコーン樹脂組成物を成形してシリコーン樹脂成形品とする公知の方法により得ることができ、例えば射出成形、押出成形、注型成形等により成形することができる。光学レンズ部10は、側面発光、拡散発光、集光等の用途に合わせて光学設計することができ、例えば凸レンズ、凹レンズ、シリンドリカルレンズ、およびこれらのフレネルレンズ等の様々な形状のレンズに成形することができる。また、光学レンズ部10の寸法は、用途に合わせて適宜設計することができるが、少なくともLEDの発光面全体と対向できる大きさが必要であり、厚さは1mm〜5mm程度、レンズ単位のピッチは5mm〜50mm程度とすることが好ましい。なお、レンズの硬度は、JIS K 7215(プラスチックのデュロメーター硬さ試験方法)の方法により測定されるショア硬度で、好ましくは20〜90、より好ましくは50〜80である。レンズの素材としてゴムレンズを使用した場合には、レンズの硬度は、ショアA硬度で好ましくは30〜90である。
【0035】
光学レンズ部10の内部または表面には、さらに蛍光体層、カラーフィルター層や光拡散層を設けてもよい。レンズ部および/またはLED側に設ける場合の蛍光体層や光拡散層は、LEDの発光面全体を覆うことができるようにLEDの外形に合った嵌合部を設けることが好ましい。この嵌合部を設けることによって、装着時の位置ずれを防止でき、使用中の熱変形等による位置ずれもなく安定して用いることができる。
【0036】
蛍光体層に用いられる蛍光体としては、無機蛍光体、顔料、有機蛍光染料、疑似顔料等が挙げられ、例えば、発光色が青色の(Ca,Sr,Ba)5(PO4)3Cl:Eu2+、ZnS:Ag、CaS:Bi等、発光色が緑色のBaMg2Al16O27:Eu2+,Mn2+、ZnS:Cu,Al,Au、SrAl2O4:Eu2+、Zn2Si(Ge)O4:Eu2+等、発光色が赤色のY2O2S:Eu3+、3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn、LiEuW2O8、BaO・Gd2O3・Ta2O5:Mn、K5Eu2.5(WO4)6.25等を用いることができ、より所望する色に近い発色が得られるように調整することができる。蛍光体層を設けることによって、例えばLEDから発せられた光の波長変換機能を有する光学レンズ付きシート部材を作製することができる。
【0037】
光拡散層としては、例えば予め光拡散度をガラスパウダーや、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛等の無機白色顔料の種類や添加量により調整後、成形したもの等が挙げられる。光拡散層を設けることによって、例えば光源が赤・緑・青の三色を有するLEDである場合に、光を混合することができる光学レンズ付きシート部材を作製することができる。
【0038】
シート部20の材質は、(1)設置作業性、設置安定性を損なわない程度のコシを有していること、(2)熱膨張係数が小さいこと、(3)耐熱性に優れていること、の3点が満たされていれば特に限定されないが、これらに加えて目的に応じて、導光性、光拡散層、光反射層等を有すると、さらに用途が拡大する。
【0039】
シート部20が設置作業性、設置安定性を損なわない程度のコシを有していなければ、ハンドリングが悪くなり、生産性の低下やシート部の弛みによりピッチずれを招くことがある。
【0040】
シート部20の材質の熱膨張係数が小さいと、ピッチのずれが抑制でき、レンズ材料で単一成形体を作るものより光学的に安定なレンズ付きシート部材ができる。また、シート部20の材質が耐熱性に優れていることが好ましく、耐熱性が不充分であるとLEDから発せられた高熱によりシート部20が溶融または変形したり、変色してしまうことがある。したがって、シリコーン樹脂(熱膨張係数:200×10−6/K)を光学レンズ部10の材料として使用する場合には、シート部20の材質として、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂(熱膨張係数:20×10−6/K)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂(25×10−6/K)、ポリカーボネート樹脂(65×10−6/K)、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリアミド樹脂、液晶ポリマー(LCP)等の樹脂類;硬質ガラス(8.5×10−6/K)、パイレックス(登録商標)ガラス(8.5×10−6/K)、ガラスペーパー、ガラス不織布等のガラス類;アルミニウム(23×10−6/K)、ステンレス鋼(10.4×10−6/K)等の金属類、シリコーンゴム等であることが好ましい。これらの材質から構成されるシート部20は、複合材であってもよい。また、シート部20は、フィルム、板状物、不織布、網状物であってもよい。これらのうち、ポリエチレンテレフタレート樹脂またはガラス不織布であることが特に好ましい。ポリエチレンテレフタレート樹脂は、シリコーン樹脂よりも強度が大きいため、シート部20を光学レンズ部10よりも薄くすることができ、丈夫で経済的な光学レンズ付きシート部材を作製することができる。ポリエチレンテレフタレート樹脂の中でも、いわゆるホワイトフィルムと呼ばれる素材は、特に耐熱性および耐久性に優れており、光反射層の役目を果たすためシート部20に適している。
【0041】
ガラス不織布は、ガラス繊維が交絡してシート状に固定されているため、軽量で耐熱性や寸法安定性に優れている。また、高含浸性を有するガラス不織布を用いることにより、シート部20に孔を設けることなく所定の位置にシリコーン樹脂等のレンズ材料を含浸させて光学レンズ部10を形成することができる。なお、ガラス不織布の屈折率とシリコーンレンズの屈折率との差が0.03の範囲内であれば、光学特性の観点からより好ましい。ガラス不織布としては、例えばキュムラス(登録商標)「EPM−4025」、「EPM−4100B」、「GPM−8325」、「SGM−3025」(以上、日本バイリーン株式会社製)、グラスパー「GHN=00−025(G)」(王子特殊紙株式会社製)等が挙げられる。
【0042】
シート部20は、後述するように光学レンズ付きシート部材の用途に応じて、導光シート、光散乱シート、反射シート、透明シート、難燃シート、アルミ蒸着シートなどの機能を備えたシートを使用することができる。
【0043】
本願発明の光学レンズ付きシート部材を基板に載置して、基板上の個々のLEDに対応した位置に光学レンズ部を一度の作業で設置するためには、上述したように光学レンズ付きシート部材の設置作業性がよいことが好ましく、シート部がある程度のコシを有していることが好ましい。例えば、シート部にPETフィルムを用いる場合、その厚さは25〜1000μmであることが好ましく、50〜300μmであることがより好ましい。
【0044】
シート部の厚さが上記範囲未満であると、シート部にシワが入るため、一度の設置作業で全てのLEDと光学レンズ部とを揃えて対向させにくい傾向がある。一方、シート部の厚さが上記範囲を超えると、シート部が板状となってくるため、吸盤付きロボットなどで光学レンズ付きシート部材と基板とを機械装着でき設置作業性には支障がないが、可撓性が低下するため、大画面の看板や液晶表示装置などでは、装着後のシート部の熱膨張により光学レンズ付きシート部材の両端で累積した寸法のずれが大きくなり、適正な光路が得られにくくなる傾向がある。シート部に可撓性を持たせることは、そのずれを解消することができる点で有効な場合がある。
【0045】
1.2 第2の実施形態
本発明の第2の実施形態に係る光学レンズ付きシート部材は、太陽電池素子部を備えた基板に装着するためのシート部材であって、前記シート部材は、シート部と、光学レンズ部と、を有し、前記基板に装着したときに前記太陽電池素子部に対向する部分にのみ、光学レンズ部を有することを特徴とする。
【0046】
第2の実施形態に係る光学レンズ付きシート部材は、図1に示す第1の実施形態に係る光学レンズ付きシート部材と同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0047】
(1)光学レンズ部は、太陽電池素子部に集光することを目的としたものである。したがって、光学レンズ部の形状は、凸レンズまたはそのフレネルレンズであることが好ましい。フレネルレンズは、凸レンズの曲面を分割してつなぎ合わせた形状を有しているため、凸レンズよりも形状を小さくすることができ経済的である。
【0048】
(2)光学レンズ部の材質は、上述したシリコーン樹脂を使用することが好ましいが、太陽光に対して耐熱性を有するその他の透明な材質を使用することもできる。
【0049】
(3)シート部の材質は、透光性を有する観点から、ガラス板、透明樹脂板、ガラスクロス部、ガラス不織布であることが好ましい。シート部がガラス板や透明樹脂板の場合は、太陽電池素子部以外に照射した太陽光を素子に集光する導光板の役目をすることができる。
【0050】
1.3 光学レンズ付きシート部材の製造方法
本実施形態に係る光学レンズ付きシート部材の製造方法は、基板に配置された発光ダイオードの位置に対向するように光学レンズ部をシート部に設けた光学レンズ付きシート部材の製造方法であって、前記発光ダイオードの位置に合わせてレンズ型を設けた金型を準備する工程と、前記金型のレンズ型に、レンズ材料を注入する工程と、注入したレンズ材料に接触するように前記金型に前記シート部をセットする工程と、レンズ材料を硬化して前記光学レンズ部と前記シート部とを一体化する工程と、を含む。以下、各工程について詳細に説明する。
【0051】
まず、シート部を用意する。シート部は、あらかじめ使用するサイズにカットされたものを用いてもよいし、ロール状に巻き取り可能な連続シートを用いてもよい。
【0052】
次いで、用意したシート部に、基板に配列されたLEDに対向する位置にレンズ部を成形するために所定の位置に所定形状の孔を形成する。シート部に所定形状の孔を形成するためには、パンチ等の公知の方法を適用することができる。上記のロール状に巻き取り可能な連続シートを使用する場合には、回転式のパンチ機を使用することにより連続的に穴を形成することができるため、生産効率が向上する。また、レンズ部を成形する位置に所定形状の孔を形成するのではなく、シート部のレンズを設ける位置にレンズ型をエンボス加工してもよい。
【0053】
次いで、上記LEDの位置に合わせてレンズ部の形状が刻印されたレンズパターンを有するレンズ型を用意する。レンズ型は、アルミニウム、黄銅、合金等の金属製の型;シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ABS樹脂、フッ素樹脂、ポリメチルペンテン樹脂等の合成樹脂製の型;Ni電鋳法で作製した電鋳型等を使用することができる。かかるレンズ型は、腐食防止等のためにその表面に銅またはニッケル等でメッキ処理することが好ましい。さらに、銅またはニッケル等のメッキを厚肉に形成して、メッキ層部分にレンズパターンを形成することもできる。
【0054】
次いで、レンズ型のレンズパターンとシート部の孔とが一致するようにシート部をレンズ型にセットする。その後、レンズ型にシリコーン樹脂等のレンズ材料を注入して所定の条件下で硬化させる。この際、シート部に送り孔を設け、この送り孔を照準にして金型にセットすることにより、高精度かつ連続的にレンズ部の成形を行うことができる。また、金型に枚葉シートのつき当たり部を設けることにより、同様の高精度を得ることができる。以上の工程により、シート部と光学レンズ部とを一体成形することができるが、シート部と光学レンズ部との接着強度を高めるためにシート部に予めプライマー処理、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理、イトロ処理、UV処理等の公知の接着技術を使用することもできる。また、光学レンズ部に接着成分を添加することにより、シート部との接着性を高めることもできる。なお、シート部にレンズ型をエンボス加工した場合は、凹部にレンズ材料を注入し硬化すればよい。
【0055】
また、光学レンズ付きシート部材をハンドリングする過程で、張力や屈折などによりシート部と光学レンズ部とが剥離したり、レンズ部がシート部から脱落する場合がある。そこで、光学レンズ部とシート部とを強固に固定するために、以下に説明するような手段を採り得る。図2は、光学レンズ部とシート部とを強固に固定する手段を取り入れた光学レンズ付きシート部材の斜視図である。図3は、図2のA−A断面を示す図である。図2に示すように、シート部21にレンズが成形される孔だけでなく、その孔の周辺部に成形の際アンカーとしてレンズと同じ樹脂が入る小さな孔21a(直径2mm以下、好ましくは1mm以下)を設けておくとよい。図3に示すように、光学レンズ部11は、シート部21を挟み込むようにコの字型に成形されたレンズ固定部11aと、LEDを嵌め込むための嵌合部11bと、を備えている。レンズ固定部11aは、少なくとも孔21aを覆うことができる長さにまで伸びている。このような構成とすることで、孔21aにもレンズと同じ樹脂が入り込み一体成形されることにより、光学レンズ部11とシート部21とを強固に固定することができる。
【0056】
以上の工程により、LEDを備えた基板に装着したときに前記LEDに対向する部分にのみ光学レンズ部が配置される光学レンズ付きシート部材を製造することができる。
【0057】
なお、上述したように、シート部として高含浸性のガラス不織布を使用した場合には、孔を設けずに所定の部分にレンズ材料を含浸しながら成形させることにより、光学レンズ付きシート部材を形成することができる。
【0058】
2.発光装置
2.1 第3の実施形態
本発明に係る発光装置は、上記の光学レンズ付きシート部材が発光ダイオードを備えた基板に装着されたことを特徴とする。図4は、第3の実施形態に係る発光装置を模式的に示す断面図である。
【0059】
図4に示すように、発光装置200は、LED30が設けられた基板40と、光学レンズ部12およびシート部22を有する光学レンズ付きシート部材110と、を含む。発光装置200は、基板40と光学レンズ付きシート部材110とを組み合わせることにより形成され、光学レンズ部12とLED30とが嵌合するようになっている。これにより、光学レンズ付きシート部材110は、基板40に正確に位置決めされて装着できる。なお、光学レンズ部12およびLED30の少なくとも一方に接着剤を付けて接着させることにより、光学レンズ付きシート部材110と基板40とを固定してもよい。
【0060】
光学レンズ付きシート部材110は、上述した第1の実施形態に係る光学レンズ付きシート部材を使用することができる。シート部22の基板40と接触する面には、さらに(図示しない)反射層を形成してもよい。反射層を形成することにより、LED30から発せられた光が光学レンズ部12で屈折されて一部シート部22に光拡散され、さらに反射層で反射されるため、より高輝度を有する発光装置200を製造することができる。
【0061】
基板40は、主として電子回路プリント基板であって、堅い板状のリジッド基板や、折り曲げできるフレキシブル基板等を用途に応じて使い分けることができる。基板40は、基材や樹脂に種々の材料を用いたものや、実装密度を上げるため多層にしたもの等を使用することができる。基板40には、LED30が固定されており、鉛フリーはんだを用いたリフローはんだ法等公知の接着法等を用いて電子回路に固定することができる。
【0062】
LED30は、公知のいずれのLEDであってもよく、例えばGa:ZnO赤色LED、GaP:N緑色LED、GaAsP系赤色LED、GaAsP系橙色・黄色LED、GaAlAs系LED、InGaAlP系橙色・黄色LED、GaN系青色LED、SiC青色LED、II−VI族青色LED、青色LEDのチップ上に蛍光体層を設けた白色LED等が挙げられる。なお、LEDの形態は、いずれの形態であってもよく、例えばLEDランプやチップタイプLED、セグメントタイプLED等を使用することができる。
【0063】
第3の実施形態に係る発光装置200は、例えば液晶表示装置、看板等のバックライト等の用途に使用することができる。
【0064】
2.2 第4の実施形態
図5は、第4の実施形態に係る発光装置を模式的に示す断面図である。
【0065】
図5に示すように、発光装置300は、LED32が設けられた基板42と、反射層50の上にシート部24が形成され、LED32に対向する位置に光学レンズ部14が形成された光学レンズ付きシート部材120と、拡散板60と、がこの順に積層された構造を有する。発光装置300は、第3の実施形態と同様に基板42と光学レンズ付きシート部材120とを組み合わせることにより形成され、光学レンズ部14とLED32とが嵌合するようになっている。これにより、光学レンズ付きシート部材120は、基板42に正確に位置決めされて装着できる。図示はしていないが、LED32と光学レンズ部14との間に蛍光体層を設けてもよい。光学レンズ付きシート部材120を基板に装着した後、光学レンズ部14とLED32との位置がずれないように、光学レンズ部14およびLED32の少なくとも一方に接着剤を付けて接着させることにより、光学レンズ付きシート部材120と基板42とを固定させてもよい。また、光学レンズ部14の間のシート部24と基板42の空き表面に接着剤、鋲などで固定してもよい。更には、図6に示すようにシート部24にプレス加工、パンチング加工などで凸部、凹部またはホール等の基板固定部24aを設けるとともに、基板42にはその形状を受ける形の穴、凹部、凸部を設け、これらを嵌合することにより固定することもできる。
【0066】
基板42は、第3の実施形態と同じものを使用できる。
【0067】
光学レンズ部14の形状は、光拡散タイプのレンズが好ましく、拡散板に導光できるレンズであれば特に限定されない。光学レンズ部14が光拡散タイプのレンズである場合には、LED32から発せられた光を拡散板60の方向に拡散し、その一部はシート部側に拡散する。
【0068】
光学レンズ付きシート部材120には、反射層50が設けられているので、拡散された光を拡散板60の方向へ反射することができる。シート部24は、透光性および耐熱性を有する材質から構成されており、例えば上述したポリエチレンテレフタレート樹脂やガラス不織布等を使用することができる。シート部24および反射層50の積層体の厚みと光学レンズ部14の高さは一致しており、2mm程度とすることができる。反射層50の下方には、さらに図示しないが必要に応じて絶縁層を形成することができる。
【0069】
拡散板60は、ガラスの片面をスリガラス状にした後、フッ化水素により表面を腐食させて滑らかにしたフショク型拡散板、ガラスの片面をスリガラス状に処理したフロスト型拡散板、ガラス面に乳白色膜を付加したオパール型拡散板、光散乱剤を充填したポリカーボネートシート、白色PET等の公知の拡散板を使用することができる。ガラスの片面に粗さを付与することにより、さらに拡散率を高めることができる。
【0070】
以上のような構成を有する発光装置300は、拡散板60の表面全体が均一に面発光した高輝度を有する発光装置となる。第4の実施形態に係る発光装置300は、例えば液晶表示パネル用バックライト、看板用バックライト等の用途に使用することができる。
【0071】
3.バックライト、看板
図7は、第5の実施形態に係る看板を模式的に示す断面図である。図7に示すように、看板400は、LED30が設けられた基板40と、光学レンズ部12およびシート部22を有する光学レンズ付きシート部材110と、を含む発光装置200を組み込んである。図示はしないが、LED30と光学レンズ部12との間に蛍光体層やカラーフィルター層を設けてもよい。さらに、発光装置200の上方には、拡散板62が形成されている。拡散板62は、上述したようにLED30から光学レンズ部12を介して発せられた光をさらに拡散するための部材である。さらに、拡散板62の上には、文字、図柄、写真等の情報が印刷された情報板70が形成されている。情報板70は、光透過性を有する観点から、アクリル板やバックライト用フィルム、印刷された紙等を使用することが好ましい。
【0072】
なお、シート部22の基板40と接触する面には、さらに(図示しない)反射層を形成してもよい。反射層を形成することにより、LED30から発せられた光が光学レンズ部12で屈折され、さらに反射層で反射されるため、より高輝度を有する看板400を製造することができる。かかる場合、シート部22に導光機能を持たせるとよい。
【0073】
4.太陽電池
太陽電池には、太陽光が降り注ぐそのままの状態で利用する平板型と、太陽光を光学系等の使用により高密度化してから太陽電池素子に入射させる集光型の二つの方式がある。本発明に係る太陽電池は、上記の光学レンズ付きシート部材を備えており、集光型の太陽電池に相当するものである。図8は、第6の実施形態に係る太陽電池の一例を模式的に示す断面図である。
【0074】
図8に示すように、太陽電池500は、太陽電池素子部34が設けられた基板44と、シート部である導光板80の太陽電池素子部34に対向する位置に光学レンズ部16を有する光学レンズ付きシート部材130と、を含む。
【0075】
光学レンズ付きシート部材130は、上述した第2の実施形態に係る光学レンズ付きシート部材を使用することができる。光学レンズ部16は、太陽電池素子部34と対向する位置に配置されており、光学レンズ部16によって集められた光が対向する太陽電池素子部34に効率良く吸収されるようになっている。これにより、太陽光の量が少ない状況においても、効率良く電力を発生することができる。光学レンズ付きシート部材130が大面積である場合には、支持網90を設けることによって光学レンズ付きシート部材130を支持することができる。シート部でもある導光板80の太陽光が照射する側の面には、1μm以下の粗面化処理や、反射防止層を設けることが好ましい。
【0076】
太陽電池素子34は、図示しないp型半導体板とn型半導体板とが合わさったpn接合構造体を有している。pn接合構造体の両面には、それぞれ図示しない電極が設けられている。
【0077】
太陽電池素子部34には、例えばIV族半導体、化合物半導体、有機半導体等の半導体を使用することができる。IV族半導体として、例えば単結晶シリコン、単結晶ゲルマニウム、多結晶シリコン、微結晶シリコン等の結晶系半導体;アモルファスシリコン等のアモルファス系半導体が挙げられる。化合物半導体として、III−V族のGaAs、InP、AlGaAs;II−VI族のCdS、CdTe、Cu2S;I−III−VI族のCuInSe2、CuInS2等が挙げられる。有機半導体として、フタロシアニン、ポリアセチレン等が挙げられる。
【0078】
4.実施例
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は下記の実施例により限定されるものではない。
【0079】
4.1 実施例1
シート部材として、厚さ194μmの耐変色・高光反射白色PETシートである「ルミラー(登録商標)E60V」(東レ株式会社製)を使用した。光学レンズ部材として、シリコーン樹脂である「SR7010A/B」(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)を使用した。
【0080】
PETシートは、コロナ放電処理を行い、液晶バックライト用基板に配列されているLEDの配列ピッチ25mmに合わせて、φ8mmの孔を開けた。同時にその周辺にも直径1mmの孔を6個開けた。次いで、光学レンズ部を成形する金型にこのPETシートをセットした。この際、シート部の孔部と金型のレンズ部が一致するようにセットした。次いで、金型にシリコーン樹脂を注入し、120℃・20分の条件下で硬化させることにより、シリコーン樹脂製の光学レンズ部がしっかりと固定されたPETシートを作製した。
【0081】
実施例1に係る光学レンズ付きシート部材は、シート部材として高光反射白色PETシートを使用しているため、光反射機能に優れていた。また、シート部材が十分な厚みを有しているため、設置作業性にも優れており、アンカーとしてシリコーン樹脂が入る1mmの孔を設けることにより、光学レンズ部とシート部とをしっかりと固定することができた。
【0082】
4.2 実施例2
シート部材として、厚さ100μmの高透明PETシートである「ルミラー(登録商標)U426」(東レ株式会社製)を使用した。光学レンズ部材として、シリコーン樹脂である「SR7010A/B」(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)を使用した。
【0083】
PETシートは、カップリング処理を行ったものを使用した。次いで、光学レンズ部を成形する金型にシリコーン樹脂を注入し、液晶バックライト用基板に配列されているLEDの配列ピッチ25mmに合わせて、このPETシートをセットした。次いで、120℃・20分の条件下で硬化させることにより、シリコーン樹脂製の光学レンズ部を有するPETシートを作製した。
【0084】
実施例2に係る光学レンズ付きシート部材は、シート部材として高透明PETシートを使用しているため、光透過性に優れていた。
【0085】
4.3 実施例3
シート部材として、難燃性PETシートである「ルミラー(登録商標)ZV10」(東レ株式会社製、熱膨張係数;2×10−5/K)を使用した。厚さが40μmと90μmの2種類のPETシートを用意し、それぞれのPETシートで光学レンズ付きシート部材を作製した。光学レンズ部材として、シリコーン樹脂である「SR7010A/B」(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)を使用した。
【0086】
PETシートは、コロナ放電処理を行い、液晶バックライト用基板に配列されているLEDの配列ピッチ25mmに合わせて、φ8mmの孔を開けた。次いで、光学レンズ部を成形する金型にこのPETシートをセットした。この際、シート部の孔部と金型のレンズ部が一致するようにセットした。次いで、金型にシリコーン樹脂を注入し、120℃・20分の条件下で硬化させることにより、シリコーン樹脂製の光学レンズ部を有するPETシートを作製した。
【0087】
実施例3に係る光学レンズ付きシート部材は、シート部材として難燃性PETシートを使用しているため、高熱に対する安全性を確保することができた。一方、厚さが40μmのPETシートではややコシが不足しており、厚さが90μmのPETシートに比べてやや設置作業性が損なわれた。また、実施例3に係る光学レンズ付きシート部材は、実施例1のようにアンカーを設けていないため、シート部と光学レンズ部との固着安定性が実施例1に係る光学レンズ付きシート部材よりもやや劣った。
【0088】
4.4 実施例4
シート部材として、難燃性PPSシートである「トレリナ(登録商標)」(東レ株式会社製)を使用した。光学レンズ部材として、シリコーン樹脂である「SR7010A/B」(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)を使用した。
【0089】
PPSシートは、カップリング処理を行い、液晶バックライト用基板に配列されているLEDの配列ピッチ25mmに合わせて、φ8mmの孔を開けた。次いで、光学レンズ部を成形する金型にこのPPSシートをセットした。この際、シート部の孔部と金型のレンズ部が一致するようにセットした。次いで、金型にシリコーン樹脂を注入し、120℃・20分の条件下で硬化させることにより、シリコーン樹脂製の光学レンズ部を有するPPSシートを作製した。
【0090】
4.5 実施例5
シート部材として、ガラス不織布である「キュムラス(登録商標)EPM−4025」(日本バイリーン株式会社製)を使用した。光学レンズ部材として、シリコーン樹脂である「SR7010A/B」(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)を使用した。
【0091】
液晶バックライト用基板に配列されているLEDに対向する位置に合わせて、ガラス不織布に直接シリコーン樹脂を含浸させた。次いで、このガラス不織布を120℃・20分の条件下で静置してシリコーン樹脂を硬化させることにより、シリコーン樹脂製のレンズ部を有するガラス不織布を作製した。
【0092】
4.6 実施例6
図9は、実施例6に係る光学レンズ付きシート部材140を模式的に示した断面図である。シート部142として、高透明PETシートである「ルミラー(登録商標)U426」(東レ株式会社製)を使用した。まず、高透明PETシートに真空成形によりレンズ部となる箇所にレンズ形状の凹部を成形した。次いで、その凹部にシリコーンゲル「SE1891H」(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)を定量ポッティングし、室温で硬化させることにより、図9に示すような外側がPET層、内側がシリコーンゲルで充填された光学レンズ部144を有する光学レンズ付きシート部材140を連続成形した。プライマーや表面処理なしでも、シリコーンゲルの粘着性により、高透明PETシートと良好に密着することができた。
【0093】
図10は、LED146を備えた回路基板に光学レンズ付きシート部材140を装着した発光装置150を模式的に示した断面図である。図10に示すように、シリコーンゲルで充填された光学レンズ部144は、LED146と密着するため、空気界面による光反射ロスを低減させることができた。
【0094】
4.7 実施例7
シート部材として、ガラスペーパーである「グラスパー(登録商標)GHN=00−025(G)」(王子特殊紙株式会社製)を用いた。まず、ガラスペーパーの回路基板に設置されているLEDの位置と対応したレンズ部が成形される部分にパンチングでφ5mmの孔を開けた。次いで、光学レンズ部を成形する金型にシート孔部と光学レンズ部とが一致するようにガラスペーパーをセットした。光学レンズ部材として「LPS−5510」(信越化学工業株式会社製)を金型に充填し、170℃×20分で加熱硬化させ、シート部がガラスペーパー、光学レンズ部がシリコーン樹脂である光学レンズ付きシート部材を作製した。
【0095】
この際、ガラスペーパーの隙間にシリコーンレジンが浸透することによりアンカーリングでき、しっかり接着固定された。プライマーやプラズマ処理なしでも一体成形することができた。
【0096】
4.8 実施例8
図11は、実施例8に係る光学レンズ付きシート部材160を模式的に示した断面図である。シート部162として、PENフィルムである「テオネックス(登録商標)」(帝人デュポンフィルム株式会社製)を用いた。まず、PENフィルムにコロナ処理を行った後、レンズ部が成形される部分にパンチングでφ5mmの孔を開けた。次いで、シリコーン接着剤「SE9185」(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)を用いて、予め色合わせを行って成形した蛍光体層166を含むシリコーンレンズ164をLEDと対向する面の反対側に接着させ、波長変換機能を有する光学レンズ付きシート部材160を作製した。接着剤は、レンズ外周のフランジ部164aへ塗布しPENフィルムへ接着を行った。蛍光体層166は、LEDの発光面全体を覆うことができるようLEDの外形に合った嵌合部168が設けられており、嵌合部168とLEDとが嵌合するようになっている。
【0097】
4.9 実施例9
図12は、実施例9に係る光学レンズ付きシート部材170を模式的に示した断面図である。シート部材172として、ポリエーテルイミド(PEI)フィルムを用いた。まず、PEIフィルムにコロナ処理を行った後、光学レンズ部が成形される部分にパンチングでφ5mmの孔を開けた。次いで、シリコーン接着剤「SE9185」(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)を用いて、予め拡散度を合わせて成形した炭酸カルシウムによる光拡散層176を含むシリコーンレンズ174を接着させ、光源が赤・緑・青の三色を有するLEDの場合に光を混合することができる光学レンズ付きシート部材170を作製した。接着剤は、レンズ外周のフランジ部174aへ塗布しPEIフィルムへ接着を行った。光拡散層176は、LEDの発光面全体を覆うことができるようLEDの外形に合った嵌合部178が設けられており、嵌合部178とLEDとが嵌合するようになっている。
【0098】
4.10 実施例10
ポリアミドフィルム「カプトン(登録商標)」(東レ・デュポン株式会社製)製のフレキシブル回路基板(FPC)にマウントされたLEDに、予め成形した用途に合わせて光学設計を行った側面発光レンズを設けた実施例8に係る光学レンズ付きシート部材を組み込むことにより、フレキシブルな発光装置を得た。
【0099】
4.11 比較例1
シリコーン樹脂である「SR7010A/B」(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)を用いて、シート部および光学レンズ部が一体成形された光学レンズ付きシート部材を作製した。
【0100】
比較例1に係る光学レンズ付きシート部材は、一体成形されているため、LEDから発せられる熱により歪みを生じやすく、特に大画面の液晶表示板に用いると熱膨張により光軸がずれる等の問題が発生した。
【0101】
4.12 比較例2
ポリアミドフィルム「カプトン」(東レ・デュポン株式会社製)製のフレキシブル回路基板(FPC)にマウントされたLEDに、予め成形した用途に合わせて光学設計を行った側面発光レンズを、シリコーン接着剤「SE9185」(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)を用いて接着させた。
【0102】
比較例2においては、側面発光レンズをフレキシブル回路基板のLEDに一つずつ接着しなければならず、能率の上がらない作業となった。
【0103】
4.13 使用時の安定性
実施例1〜10および比較例1に係る光学レンズ付きシート部材を、LEDを備えた基板に装着して200日間連続使用した。各光学レンズ付きシート部材について、200日間連続使用後の熱変形による位置ずれの有無を評価した。その評価結果を表1にまとめた。表1において、評価基準は以下のとおりとした。
◎:200日間連続使用しても熱変形による位置ずれは全く認められなかった。
○:200日間連続使用すると熱変形による位置ずれがわずかに認められるが、製品上問題のない範囲内である。
×:200日間連続使用すると熱変形による位置ずれが認められ、製品上問題がある。
【0104】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】第1の実施形態に係る光学レンズ付きシート部材の一例を模式的に示す平面図である。
【図2】光学レンズ部とシート部とを強固に固定する手段を取り入れた光学レンズ付きシート部材の斜視図である。
【図3】図2のA−A断面を示す図である。
【図4】第3の実施形態に係る発光装置を模式的に示す断面図である。
【図5】第4の実施形態に係る発光装置を模式的に示す断面図である。
【図6】第4の実施形態に係る発光装置の基板固定手段を説明するための図である。
【図7】第5の実施形態に係る看板の一例を模式的に示す断面図である。
【図8】第6の実施形態に係る太陽電池の一例を模式的に示す断面図である。
【図9】実施例6に係る光学レンズ付きシート部材140を模式的に示す断面図である。
【図10】LEDを備えた回路基板に光学レンズ付きシート部材140を装着した発光装置150を模式的に示す断面図である。
【図11】実施例8に係る光学レンズ付きシート部材160を模式的に示す断面図である。
【図12】実施例9に係る光学レンズ付きシート部材170を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0106】
10,11,12,14,16…光学レンズ部、11a…レンズ固定部、11b…嵌合部、20,21,22,24,142,162,172…シート部、21a…孔、24a…基板固定部、30,32,146…発光ダイオード(LED)、34…太陽電池素子部、40,42,44…基板、50…反射層、60,62…拡散板、70…情報板、80…導光板、90…支持網、100,102,110,120,130,140,160,170,180…光学レンズ付きシート部材、144…シリコーンゲル、164,174…シリコーンレンズ、164a,174a…フランジ部、166…蛍光体層、168,178…LED嵌合部、176…光拡散層、150,200,300…発光装置、400…看板、500…太陽電池
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光ダイオードを備えた基板に装着するためのシート部材であって、
前記シート部材は、シート部と、光学レンズ部と、を有し、
前記基板に装着したときに前記発光ダイオードに対向する位置にのみ、光学レンズ部が前記シート部に配置されていることを特徴とする、光学レンズ付きシート部材。
【請求項2】
請求項1において、
前記光学レンズ部は、シリコーン樹脂からなる、光学レンズ付きシート部材。
【請求項3】
請求項1において、
前記光学レンズ部は、液状の付加反応硬化型のシリコーン樹脂組成物を硬化させて得た、光学レンズ付きシート部材。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項において、
前記シート部の熱膨張係数は、前記光学レンズ部の熱膨張係数よりも小さいことを特徴とする、光学レンズ付きシート部材。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか一項において、
前記シート部は、ポリエチレンテレフタレート樹脂製シートまたはガラス不織布である、光学レンズ付きシート部材。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の光学レンズ付きシート部材が発光ダイオードを備えた基板に装着され、前記発光ダイオードに対向する位置にのみ光学レンズ部がシート部に配置されていることを特徴とする、発光装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記基板は、プリント回線基板である、発光装置。
【請求項8】
請求項6または請求項7において、
前記光学レンズ付きシート部材の少なくとも一方の面に反射層が形成された、発光装置。
【請求項9】
請求項6ないし請求項8のいずれか一項において、
さらに、前記光学レンズ付きシート部材の前記発光ダイオードを備えた基板が装着された側とは反対側に拡散板が形成された、発光装置。
【請求項10】
請求項6ないし請求項9のいずれか一項に記載の発光装置を備えた、液晶表示装置。
【請求項11】
請求項6ないし請求項9のいずれか一項に記載の発光装置を備えた、看板。
【請求項12】
太陽電池素子部を備えた基板に装着するためのシート部材であって、
前記シート部材は、シート部と、光学レンズ部と、を有し、
前記基板に装着したときに前記太陽電池素子部に対向する位置にのみ、光学レンズ部を有することを特徴とする、光学レンズ付きシート部材。
【請求項13】
請求項12に記載の光学レンズ付きシート部材を備えた、太陽電池。
【請求項14】
基板に配置された発光ダイオードの位置に対向するように光学レンズ部をシート部に設けた光学レンズ付きシート部材の製造方法であって、
前記発光ダイオードの位置に合わせてレンズ型を設けた金型を準備する工程と、
前記金型のレンズ型に、レンズ材料を注入する工程と、
注入したレンズ材料に接触するように前記金型に前記シート部をセットする工程と、
レンズ材料を硬化して前記光学レンズ部と前記シート部とを一体化する工程と、
を含む、光学レンズ付きシート部材の製造方法。
【請求項1】
発光ダイオードを備えた基板に装着するためのシート部材であって、
前記シート部材は、シート部と、光学レンズ部と、を有し、
前記基板に装着したときに前記発光ダイオードに対向する位置にのみ、光学レンズ部が前記シート部に配置されていることを特徴とする、光学レンズ付きシート部材。
【請求項2】
請求項1において、
前記光学レンズ部は、シリコーン樹脂からなる、光学レンズ付きシート部材。
【請求項3】
請求項1において、
前記光学レンズ部は、液状の付加反応硬化型のシリコーン樹脂組成物を硬化させて得た、光学レンズ付きシート部材。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項において、
前記シート部の熱膨張係数は、前記光学レンズ部の熱膨張係数よりも小さいことを特徴とする、光学レンズ付きシート部材。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか一項において、
前記シート部は、ポリエチレンテレフタレート樹脂製シートまたはガラス不織布である、光学レンズ付きシート部材。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の光学レンズ付きシート部材が発光ダイオードを備えた基板に装着され、前記発光ダイオードに対向する位置にのみ光学レンズ部がシート部に配置されていることを特徴とする、発光装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記基板は、プリント回線基板である、発光装置。
【請求項8】
請求項6または請求項7において、
前記光学レンズ付きシート部材の少なくとも一方の面に反射層が形成された、発光装置。
【請求項9】
請求項6ないし請求項8のいずれか一項において、
さらに、前記光学レンズ付きシート部材の前記発光ダイオードを備えた基板が装着された側とは反対側に拡散板が形成された、発光装置。
【請求項10】
請求項6ないし請求項9のいずれか一項に記載の発光装置を備えた、液晶表示装置。
【請求項11】
請求項6ないし請求項9のいずれか一項に記載の発光装置を備えた、看板。
【請求項12】
太陽電池素子部を備えた基板に装着するためのシート部材であって、
前記シート部材は、シート部と、光学レンズ部と、を有し、
前記基板に装着したときに前記太陽電池素子部に対向する位置にのみ、光学レンズ部を有することを特徴とする、光学レンズ付きシート部材。
【請求項13】
請求項12に記載の光学レンズ付きシート部材を備えた、太陽電池。
【請求項14】
基板に配置された発光ダイオードの位置に対向するように光学レンズ部をシート部に設けた光学レンズ付きシート部材の製造方法であって、
前記発光ダイオードの位置に合わせてレンズ型を設けた金型を準備する工程と、
前記金型のレンズ型に、レンズ材料を注入する工程と、
注入したレンズ材料に接触するように前記金型に前記シート部をセットする工程と、
レンズ材料を硬化して前記光学レンズ部と前記シート部とを一体化する工程と、
を含む、光学レンズ付きシート部材の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−147383(P2010−147383A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−325360(P2008−325360)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(597096161)株式会社朝日ラバー (74)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(597096161)株式会社朝日ラバー (74)
【Fターム(参考)】
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