説明

光学検査装置

【課題】 食品を包装するフィルム状の包装袋を有する被検査物の噛み込みやシワに起因するシール不良等をシール部の折れ曲がりの影響を受けることなく、極めて良好に検査できる実用性に秀れた光学検査装置を提供する。
【解決手段】 搬送機構に設けられる間隙部10においてこの搬送機構により搬送される被検査物7に照明光を照射する照明部3と、前記間隙部10の下方から前記被検査物7を撮像する撮像部2と、該撮像部2で撮像した前記被検査物7の撮像データをもとに画像処理を行う画像処理部と、該画像処理部で行った画像処理の結果を表示する表示器8とを備えた光学検査装置1であって、前記照明部は搬送機構の上方に設けるとともに、前記照明部3の発光面9が間隙部10の間隙距離よりも搬送流れ方向に広く設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば特許文献1に開示されるように、包装食品を透過する近赤外線を照明光として用い、包装食品を透過した近赤外線透過画像に基づいて異物を検出する構成の光学検査装置が用いられている。
【0003】
しかしながら、特許文献1においては、ベルトコンベアのベルトとして、光を拡散させるベルト若しくは光を透過するベルトを採用しており、コンベアの受け板も光を透過する構成とする必要があるため、コンベアの構造が複雑化し、また、高価な部品が必要となる。
【0004】
そこで、上記問題点を解決すべく、例えば、特許文献2に開示されるように、搬出側コンベアと搬入側コンベアとの間の隙間において、前記隙間の下方から該隙間に向かって照明を設け、受け渡される被検査物の透過光を隙間の上方から該隙間に向かって配置したカメラで撮像する光学検査装置が提案されている。
【0005】
図5(a)、(b)に従来技術の動作例を示す。
【0006】
図5(a)に示す例では、上流側搬送部4と下流側搬送部5の隙間において、該隙間の上方に撮像部2を配置し、該隙間の下方に照明部3を設け、被検査物7が隙間を通過する際に照明部3から被検査物7へ照射光を当て、これにより被検査物7を透過した透過光を撮像部2で撮像するように構成される。また、被検査物は例えば食品を包装するフィルム状の包装袋である。この時、包装袋のシール部14が、照明部3と撮像部2で構成される光軸に対して垂直に侵入しており、透過光をシール部14で屈折することなく撮像部2へ届く。
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図4に図示する包装食品等のシール部分14を検査する場合、包装フィルムのシール部分は包装時に折れ曲がりや凹凸が発生しやすく、透過光が屈折や散乱してしまい、撮像データに濃淡として写り込み、異物と誤判定してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】 特開2009−162685号公報
【特許文献2】 特開H06−222014号公報
【発明の概要】
【0009】
即ち、例えば食品を包装するフィルム状の包装袋は包装中や搬送中にシール部が折れ曲がったり、シール部自体が波打つ形状や凹凸形状であることが多い。
【0010】
図5(b)に示す例では、(a)と同様に撮像するように構成されているが、異なる点は、シール部が折れ曲がった状態を表している。シール部が折れ曲がると、照射部からの照射光がシール部の影響で光軸が屈折や拡散することで、撮像データへ濃淡として現れる。これによって、シール部にかみ込んだ食品のカスとの判別が難しくなり誤動作の原因となっってしまう。
【0011】
本発明は、上述のような現状に鑑みなされたもので、搬送機構同士の僅かな間隙を有効に活用して既存の設備に簡単に後付け出来るのは勿論、例えば食品を包装するフィルム状の包装袋の噛み込みやシワに起因するシール不良等をシール部の折れ曲がりの影響を受けることなく、極めて良好に判別できる実用性に秀れた光学検査装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1発明は搬送機構に設けられる間隙部10においてこの搬送機構により搬送される、例えば食品を包装するフィルム状の包装袋等被検査物7に照明光を照射する照明部3と、前記間隙部10の下方から前記被検査物7を撮像する撮像部2と、該撮像部2で撮像した前記被検査物7の画像を表示する表示器8とを備えた光学検査装置1であって、前記搬送機構は上流側搬送部4と下流側搬送部5で構成され、前記照明部は搬送機構のコンベアの上方即ち製品が搬送される側に設けるとともに、前記照明部3の発光面9が間隙部10の間隙距離よりも搬送流れ方向に広く設けたことを特徴とする光学検査装置に係るものである。
【0013】
第2発明は搬送機構に設けられる間隙部10においてこの搬送機構により搬送される、例えば食品を包装するフィルム状の包装袋等被検査物7に照明光を照射する照明部3と、前記間隙部10の下方から前記被検査物7を撮像する撮像部2と、該撮像部2で撮像した前記被検査物7の画像を表示する表示器8とを備えた光学検査装置1であって、前記照明部3は発光面9が上流側搬送部4の上方から該間隙部に向かって設けられた第1の照明部11と発光面9が前記間隙部10の真上から間隙部に向かって設けられた第2の照明部12と発光面9が下流側搬送部5の上方から間隙部に向かうように設けられた第3の照明部13をそれぞれ搬送機構の上方に設けたことを特徴とする光学検査装置に係るものである。
【0014】
第3発明は搬送機構に設けられる間隙部10においてこの搬送機構により搬送される、例えば食品を包装するフィルム状の包装袋等被検査物7に照明光を照射する照明部3と、前記間隙部10の下方から前記被検査物7を撮像する撮像部2と、該撮像部2で撮像した前記被検査物7の画像を表示する表示器8とを備えた光学検査装置1であって、前記照明部3は発光面9が前記間隙部10の直上から該間隙部に向かってそれぞれ搬送機構の上方に設けるとともに、発光面は湾曲形状に窪ませて形成したことを特徴とする光学検査装置に係るものである。
【発明の効果】
【0015】
発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0016】
第1発明においては、照明部を搬送機構の上方に設けるとともに、前記照明部の発光面が間隙部の間隙距離よりも搬送流れ方向に広く設けることにより、広い範囲で発光することで被検査物のシール部の凸凹形状や折れ曲がりが存在しても撮像データに濃淡が残らない。一方、シール部に不具合、即ち商品のかみ込みカスやシール部の包装フィルムが閉じられる際に熱のかかりすぎで白くなる若しくは黒く焼ける等が存在する部分においては、広角に光を照射しても、屈折、拡散せずに吸収されてしまい撮像データに検出されるので、シール部の折れ曲がりや凹凸形状による未検出、誤検出を防止することが可能となり、包装袋を有する被検査物の噛み込みやシワに起因するシール不良等の検出精度が向上する。
【0017】
第2発明においては、照明部を複数用いて間隙部へ向けることでシール部の折れ曲がりや凹凸形状による未検出、誤検出を防止することが可能となり、食品を包装するフィルム状の包装袋等を有する検査物の噛み込みやシワに起因するシール不良等の検出精度が向上する。
【0018】
第3発明においては、照明部の発光面を凹構造にし間隙部へ向けることでシール部の折れ曲がりや凹凸形状による未検出、誤検出を防止することが可能となり、食品を包装するフィルム状の包装袋を有する被検査物の噛み込みやシワに起因するシール不良等の検出精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明による光学検査装置の側面図である。
【図2】本発明による光学検査装置の正面図である。
【図3】本発明による光学検査装置の平面図である。
【図4】本発明による被検査物の概略図である。
【図5】(a)、(b)は従来の構造を説明するための側面図である。
【図6】本発明による光学検査装置の検査方法を説明するための側面図である。
【図7】本発明による光学検査装置の実施の形態に係る照明部の平面図である。
【図8】本発明による光学検査装置の実施の形態に係る照明部の側面図である。
【図9】本発明による光学検査装置の実施の形態に係る照明部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0021】
図1は本発明による光学検査装置の側面図である。図示の光学検査装置1は、搬送機構4、5により搬送される、例えば食品を包装するフィルム状の包装袋を有する被検査物7は、搬送機構を構成する上流側搬送部4と下流側搬送部5間の間隙部を通過する際に照明部3に照射されて撮像部2により撮像され、この撮像された画像は画像処理が行われた後、例えば表示用のモニタ8、即ち液晶モニタ、タッチモニタ等に表示する。この際、例えばLED照明やハロゲンランプ等から成る照明部3は、搬送機構の上方に配置することで搬送機構を構成するローラー径やコンベヤの厚みに制約を受けること無く高さ調整が可能となる。更に、搬送方向に広く被検査物7へ照明光を当てるように構成することで、被検査物7のシール部の折れ曲がりや凹凸形状が存在しても画像に写り込むこと無く撮像が可能となり、かみ込みカスの検出が可能となる。
【0022】
即ち、例えば照明部3を搬送機構の下方に設置した場合、間隙部10を構成する上流及び下流のコンベアによって、照明光が遮られてしまい、被検査物7のシール部の折れ曲がりや凹凸形状によって照明光が屈折及び散乱してしまうことで、撮像された画像に不均一な濃淡として写り込んでしまい、画像処理に悪影響を与える可能性が高くなる。
【0023】
よって、本発明によれば、食品を包装するフィルム状の包装袋を有する被検査物の噛み込みやシワに起因するシール不良等をシール部の折れ曲がりの影響を受けることなく、極めて良好に検査することが可能となる。
【0024】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0025】
本実施例は、搬送機構に設けられる間隙部10においてこの搬送機構4、5により搬送される被検査物7に照明光を照射する照明部3と、前記間隙部10の下方から前記被検査物7を撮像する撮像部2と、該撮像部2で撮像した前記被検査物7の画像を表示する表示器8とを備えた光学検査装置1であって、前記搬送機構は上流側搬送部4と下流側搬送部5で構成され、前記照明部は搬送機構の上方に設けるとともに、前記照明部3の発光面9が間隙部10の間隙距離よりも搬送流れ方向に広く設けたものである。
【0026】
具体的には、本実施例は、菓子等の食品を包装するフィルム状の包装袋を有する被検査物7を検査するものであり、当該装置には被検査物7は上流側搬送部4の搬送上流に位置する包装機において包装されて、平らな包装フィルムを筒状に形成しつつ、筒の開口部に食品が投入されながら、開口部、即ちシール部をヒートシールで閉じられて厚さ方向を上下にした平伏状態で搬入される。
【0027】
撮像部2としては公知のカメラを採用でき、ラインセンサカメラ、即ち間隙部10の長手方向に沿って直線状に複数の受光素子が配列された受光部と該受光部から伝送される撮像データを合成して撮像画像を作成する画像合成部を有する若しくは当該画像合成部が別途設けられるもので一列ずつ撮像したラインデータを複数本合成してエリア画像即ち撮像画像を取得するようにしても良いし、エリアセンサカメラ即ちCCDカメラ、CMOSカメラを複数列撮像し、これをそのままエリア画像として取得しても良いし、これを合成してエリア画像を取得しても良い。
【0028】
また、本実施例においては、撮像部2に断続的にエアーを吹き付けて異物を除去する異物除去部、即ちエアシューター16を設けている。従って、撮像部2にゴミ等がたまることを防止できる。エアシューター16は、吹き付け対象に応じて対象を臨む位置に即ちノズル先端が移動するように構成しても良いし、吹き付け対象毎に夫々設ける構成としても良い。
【0029】
また、撮像部2において取得した撮像データは、画像処理部に送信される。画像処理部においては、撮像画像の濃度即ち濃淡の閾値を解析したり、比較画像と比較する等して被包装品、即ち食品の包装数や割れ、シール部14の噛み込みやシワ等が検知されて良否判定部において良否が判定される。また、撮像された画像と共に良否判定結果が表示器8に表示される。
【0030】
上流側搬送部4及び下流側搬送部5は、ベルトコンベアであり無端のベルトと該ベルトの両端を回転支持するローラーから成る一般的なベルトコンベアである。また、ベルトは合成樹脂製のものであり、搬送面が、光を反射、拡散、透過し難い色、即ち黒、濃い緑等から成るものである。
【0031】
また、照明部3は、公知の発光部、即ちLED、ハロゲンランプ、蛍光灯等を採用できる。本実施例においては複数のLEDを複数列並べた発光部を照明部3の内部に発光面側に向けて配列する。発光面9には光を拡散させ、被検査物7へ均一に光を当てるため乳白色のアクリル板を採用している。
【0032】
また、本実施例においては、図6に図示し請求項1の発明として規定したように、搬送方向において、間隙部10の間隙距離、即ち5mm〜50mmより広い範囲で発光することで、被検査物7のシール部の凹凸形状や折れ曲がりが存在しても撮像データに濃淡が残らない。一方、シール部に不具合即ち商品のかみ込みカスやシール部の包装フィルムが閉じられる際に熱のかかりすぎで白くなる若しくは黒く焼ける等が存在する部分においては、広角に光を照射しても屈折、拡散せずに吸収されてしまい撮像データに検出される。
【0033】
尚、図7に図示し請求項2の発明として規定したように、複数の照明を用いて、搬送方向に発光面を広く設けても良い。本実施例においては、照明支持部15に取り付ける第1の照明部11、第2の照明部12、第3の照明部13の3本のLED照明を採用している。この場合、図8に図示するように照明支持部15の両端に位置する第1の照明部11と第3の照明部において、間隙部の直上から搬送流れ方向の位置にそれぞれ傾斜させて設け、照明の発光面を間隙部へ向ける。第2の照明部は撮像部と対向し、間隙部の直上に設けている。また、図9に図示し請求項3の発明として規定したように、発光面を湾曲形状に窪ませて形成しても良い。従って、被検査物7の撮像点へ広角で光を照射が可能になることはもちろん、反射や拡散の原因となる撮像点以外への光を少なくすることが可能となる。
【0034】
よって、本実施例は、食品を包装するフィルム状の包装袋を有する被検査物の噛み込みやシワに起因するシール不良等をシール部の折れ曲がりの影響を受けることなく、極めて良好に検査できる実用性に秀れたものとなる。
【符号の説明】
【0035】
1 光学検査装置
2 撮像部
3 照明部
4 上流側搬送部
5 下流側搬送部
6 通過検知部
7 被検査物
8 表示器
9 発光面
10 間隙部
11 第1の照明部
12 第2の照明部
13 第3の照明部
14 シール部
15 照明支持部
16 エアシューター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送機構に設けられる間隙部10においてこの搬送機構により搬送される例えば食品を包装するフィルム状の包装袋等被検査物7に照明光を照射する照明部3と、前記間隙部10の下方から前記被検査物7を撮像する撮像部2と、該撮像部2で撮像した前記被検査物7の画像を表示する表示器8とを備えた光学検査装置1であって、前記搬送機構は上流側搬送部4と下流側搬送部5で構成され、前記照明部3は搬送機構のコンベアの上方、即ち製品が搬送される側に設け、且つ撮像部2を下方に設けるとともに、前記照明部3の発光面9が間隙部10の間隙距離よりも搬送流れ方向に広く設けたことを特徴とする光学検査装置。
【請求項2】
搬送機構に設けられる間隙部10においてこの搬送機構により搬送される例えば食品を包装するフィルム状の包装袋等被検査物7に照明光を照射する照明部3と、前記間隙部10の下方から前記被検査物7を撮像する撮像部2と、該撮像部2で撮像した前記被検査物7の画像を表示する表示器8とを備えた光学検査装置1であって、前記照明部3は発光面9が上流側搬送部4の上方から該間隙部に向かって設けられた第1の照明部11と発光面9が前記間隙部10の直上から間隙部に向かって設けられた第2の照明部12と発光面9が下流側搬送部5の上方から間隙部に向かうように設けられた第3の照明部13をそれぞれ搬送機構の上方に設けたことを特徴とする光学検査装置。
【請求項3】
搬送機構に設けられる間隙部10においてこの搬送機構により搬送される例えば食品を包装するフィルム状の包装袋等被検査物7に照明光を照射する照明部3と、前記間隙部10の下方から前記被検査物7を撮像する撮像部2と、該撮像部2で撮像した前記被検査物7の画像を表示する表示器8とを備えた光学検査装置1であって、前記照明部3は発光面9が前記間隙部10の直上から該間隙部に向かってそれぞれ搬送機構の上方に設けるとともに、発光面は湾曲形状に窪ませて形成したことを特徴とする光学検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−189563(P2012−189563A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73489(P2011−73489)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(598105802)株式会社 システムスクエア (8)
【Fターム(参考)】