説明

光学活性アミノ酸エステル誘導体、及び光学活性アミノアセタール誘導体の製造方法

【課題】アルデヒド基を有するアミノアルデヒド誘導体を速度論的光学分割法の原料として、光学活性アミノ酸エステル誘導体を製造する。
【解決手段】特定の光学活性オキサゾリン誘導体、銅塩、及びハロゲンカチオンソースの存在下、下記式(3)
【化1】


(式中、R及びRは、それぞれ、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜8のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基、又はアリル基であり、RとRは互いに連結して炭素数2〜12の2価の基を形成してもよく、Rは、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜8のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基、又はアリル基であり、Rは、炭素数6〜14のアリール基である。)で示されるアミノアルデヒド誘導体とアルキルアルコールとを反応させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学活性アミノ酸エステル誘導体、及び光学活性アミノアセタール誘導体の新規な製造方法である。詳しくは、R体とS体の混合物であって、特定の構造を有するアミノアルデヒド誘導体のアルデヒド基を酸化及びエステル化することにより、容易に光学活性アミノ酸エステル誘導体を製造し、さらに、光学活性アミノアセタール誘導体を製造することができる新規な製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光学活性なアミノ酸、及びアミノ酸エステル誘導体は、生理活性物質の前駆体として極めて重要な化合物である。例えば、環状アミノ酸であるL−ピペコリン酸を構成成分とする生理活性物質として、免疫抑制剤であるタクロリムスやラパマイシン、抗癌剤であるVX710等が知られている。
【0003】
一般に、ラセミ体あるいは光学的に純粋でない化合物から光学活性化合物を取得する方法は、光学活性な種結晶を用いる優先晶析法等の晶析法、光学活性な固定床を持ったキラルカラムを用いて両エナンチオマーを直接分割する液体クロマトグラフ法、及び速度論的光学分割法の3つに大別される。
【0004】
中でも、速度論的光学分割法は、光学活性な触媒や試薬との反応において、一方のエナンチオマーが他方に比べて優先的に反応することを利用した方法であり、入手容易な原料を用いることにより、高価な光学活性物質を安価に製造することができるといった特徴がある。この速度論的光学分割法として、例えば、光学活性なアザビスオキサゾリン誘導体−銅錯体触媒存在下、ベンゾイルクロライドを用いて、ラセミ体のα−ヒドロキシカルボン酸エステル誘導体の一方の異性体の水酸基をベンゾイル化することによって、光学活性α−ベンゾイルオキシカルボン酸エステル誘導体を製造する方法が知られている。
【0005】
【非特許文献1】オーガニック レターズ(Organic Letters)2005年、7巻、12号、2325−2328頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の速度論的光学分割法において、原料としては、上記のようにα−ヒドロキシカルボン酸エステル誘導体のような化合物、即ち、保護基を直接導入できる反応基(例えば、α−ヒドロキシカルボン酸エステル誘導体の場合は水酸基)を有する化合物しか知られていなかった。そのため、従来の方法においては、原料の合成が複雑になったり、得られる光学活性化合物が限定されたりする点で改善の余地があった。
【0007】
保護基を直接導入できる基を有していない化合物を速度論的光学分割法の原料に使用することができれば、反応工程を簡略化することができ、さらに、得られる光学活性物質の種類を増やすことも可能となる。具体的には、保護基を直接導入できないアルデヒド基を有するアミノアルデヒド誘導体を速度論的光学分割法の原料として使用できれば、調達可能な原料の種類が広がり、しかも、その原料の入手(合成)が容易となるが、従来、かかるアミノアルデヒド誘導体を原料とした速度論的光学分割法は知られていなかった。
【0008】
したがって、本発明の目的は、アルデヒド基を有するアミノアルデヒド誘導体を速度論的光学分割法の原料として、容易に光学活性アミノ酸エステル誘導体を製造する方法を提供することにある。
【0009】
また、本発明の他の目的は、該アルデヒド基を有するアミノアルデヒド誘導体から新規な光学活性アミノアセタール誘導体、及びその誘導体の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる実情に鑑み、本発明者らは鋭意検討した。その結果、光学分割剤として光学活性オキサゾリン−銅錯体を用いた速度論的光学分割法において、酸化剤としてハロゲンカチオンソースを使用し、かつ特定の構造を有するアミノアルデヒド誘導体(ただし、該アミノアルデヒド誘導体はR体とS体の混合物である)とアルコールとを反応させることにより、光学活性アミノ酸エステル誘導体、及び光学活性アミノアセタール誘導体を製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。さらに、塩基を加えることにより、光学活性アミノ酸エステル誘導体、及び光学活性アミノアセタール誘導体の生成割合を調整できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明は、
下記式(1)
【0012】
【化1】

【0013】
(式中、R、及びRは、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜8のアリール基、ベンジル基、又は下記式(2)
【0014】
【化2】

【0015】
{式中、a、及びbの炭素原子は、オキサゾリン骨格の炭素原子であり、Rは、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のアルコキシ基であり、mは、0〜3の整数である。}
で示される基である。)
で示される光学活性オキサゾリン誘導体、銅塩、及びハロゲンカチオンソースの存在下、下記式(3)
【0016】
【化3】

【0017】
(式中、R、及びRは、それぞれ、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜8のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基、又はアリル基であり、RとRは、互いに連結して炭素数2〜12の2価の基を形成していてもよく、
は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜8のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基、又はアリル基であり、
は、炭素数6〜14のアリール基である。)
で示されるR体とS体の混合物であるアミノアルデヒド誘導体とアルキルアルコールとを反応させることを特徴とする、下記式(4)
【0018】
【化4】

【0019】
(式中、R、R、R、及びRは、上記式(3)におけるものと同義であり、
は、アルキル基である。)
で示される光学活性アミノ酸エステル誘導体、及び光学活性アミノアセタール誘導体、
又は下記式(5)
【0020】
【化5】

【0021】
(式中、R、R、R、R、及びRは、上記式(4)におけるものと同義である。)
で示される光学活性アミノ酸エステル、及び光学活性アミノアセタール誘導体の製造方法である。
【0022】
また、本発明においては、さらに、塩基を加えて、上記式(3)で示されるR体とS体の混合物であるアミノアルデヒド誘導体とアルコールとを反応させることにより、光学活性アミノ酸エステル誘導体、及び光学活性アミノアセタール誘導体の生成割合を調整することができる。
【0023】
さらに、本発明は、下記式(6)
【0024】
【化6】

【0025】
(式中、R、及びRは、それぞれ、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜8のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基、又はアリル基であり、RとRは、互いに連結して炭素数2〜12の2価の基を形成していてもよく、
は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜8のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基、又はアリル基であり、
は、炭素数6〜14のアリール基であり、
は、アルキル基である。)
で示される光学活性アミノアセタール誘導体である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明は、上記式(1)で示される光学活性オキサゾリン誘導体、銅塩、及びハロゲンカチオンソースの存在下、上記式(3)で示されるR体とS体との混合物であるアミノアルデヒド誘導体とアルコールとを反応させ、上記式(4)又は上記式(5)で示される光学活性アミノ酸エステル誘導体、及び光学活性アミノアセタール誘導体を製造するものである。
【0027】
また、本発明において、さらに、必要に応じて塩基を加えることにより、光学活性アミノ酸エステル誘導体、及び光学活性アミノアセタール誘導体の生成割合を調整することができる。
【0028】
以下、本発明の製造方法について説明する。
【0029】
(光学活性オキサゾリン誘導体)
本発明において、下記式(1)
【0030】
【化7】

【0031】
(式中、R、及びRは、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜8のアリール基、ベンジル基、又は下記式(2)
【0032】
【化8】

【0033】
{式中、a、及びbの炭素原子は、オキサゾリン骨格の炭素原子であり、Rは、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のアルコキシ基であり、mは、0〜3の整数である。}
で示される基である。)
で示される光学活性オキサゾリン誘導体は、得られる光学活性アミノ酸エステル誘導体の構造を決定する上で非常に重要な物質である。
【0034】
下記に詳述するが、R体の光学活性オキサゾリン誘導体を使用することにより、R体のアミノ酸エステル誘導体、及びS体のアミノアセタール誘導体(上記式(4)で示される光学活性アミノ酸エステル誘導体、及び光学活性アミノアセタール誘導体)を製造することができる。また、反応系に塩基を加えることでR体のアミノ酸エステル誘導体の生成割合を増加させることができる。
【0035】
一方、S体の光学活性オキサゾリン誘導体を使用することにより、S体のアミノ酸エステル誘導体、及びR体のアミノアセタール誘導体(上記式(5)で示される光学活性アミノ酸エステル誘導体、及び光学活性アミノアセタール誘導体)を製造することができる。また、反応系に塩基を加えることでS体のアミノ酸エステル誘導体の生成割合を増加させることができる。
【0036】
上記式(1)中において、R、及びRは、それぞれ、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜8のアリール基、ベンジル基、又は上記式(2)で示される基である。
【0037】
ここで炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等が挙げられる。炭素数6〜8のアリール基としては、フェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基等が挙げられる。これらの基の中でも、高い光学純度の誘導体が得られることから、Rは、より立体的に嵩高い基が好ましく、tert−ブチル基およびフェニル基が好ましい。
【0038】
また、上記式(1)中のRとRは、上記式(2)で示される基であってもよい。ここで、RとRが、上記式(2)で示される基である場合の好ましい形態は下記式(7)で示すことが出来る。
【0039】
【化9】

【0040】
ここで、上記式(7)中、Rは、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のアルコキシ基であり、mは0〜3の整数である。
【0041】
ここで炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等が挙げられる。炭素数1〜5のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基等が挙げられる。
【0042】
上記式(1)で示される光学活性オキサゾリン誘導体は、試薬として入手できる光学活性オキサゾリン誘導体が何ら制限なく使用できる。この光学活性オキサゾリン誘導体を具体的に例示すると、2,2’−イソプロピリデンビス[(4R)−4−フェニル−2−オキサゾリン]、2,2’−イソプロピリデンビス[(4R)−4−メチル−2−オキサゾリン]、2,2’−イソプロピリデンビス[(4R)−4−イソプロピル−2−オキサゾリン]、2,2’−イソプロピリデンビス[(4R)−4−tert−ブチル−2−オキサゾリン]、2,2’−イソプロピリデンビス[(4S)−4−フェニル−2−オキサゾリン]、2,2’−イソプロピリデンビス[(4S)−4−メチル−2−オキサゾリン]、2,2’−イソプロピリデンビス[(4S)−4−イソプロピル−2−オキサゾリン]、2,2’−イソプロピリデンビス[(4S)−4−tert−ブチル−2−オキサゾリン]、2,2’−イソプロピリデンビス[(3R,8S)−3,8−ジヒドロ−8H−(インデン[1,2−d]オキサゾール]、2,2’−イソプロピリデンビス[(3R,8S)−3,8−ジヒドロ−8H−5−メチルインデン[1,2−d]オキサゾール]、2,2’−イソプロピリデンビス[(3R,8S)−3,8−ジヒドロ−8H−5−メトキシインデン[1,2−d]オキサゾール]、2,2’−イソプロピリデンビス[(3S,8R)−3,8−ジヒドロ−8H−インデン[1,2−d]オキサゾール]、2,2’−イソプロピリデンビス[(3S,8R)−3,8−ジヒドロ−8H−5−メチルインデン[1,2−d]オキサゾール]、2,2’−イソプロピリデンビス[(3S,8R)−3,8−ジヒドロ−8H−5−メトキシインデン[1,2−d]オキサゾール]等を挙げることができる。
【0043】
これらの中でも、銅錯体とした際に高い選択性を発現するため、2,2’−イソプロピリデンビス[(4R)−4−フェニル−2−オキサゾリン]、2,2’−イソプロピリデンビス[(4R)−4−tert−ブチル−2−オキサゾリン]、2,2’−イソプロピリデンビス[(4S)−4−フェニル−2−オキサゾリン]、2,2’−イソプロピリデンビス[(4S)−4−tert−ブチル−2−オキサゾリン]、2,2’−イソプロピリデンビス[(3R,8S)−3,8−ジヒドロ−8H−5−メチルインデン[1,2−d]オキサゾール]、2,2’−イソプロピリデンビス[(3S,8R)−3,8−ジヒドロ−8H−5−メチルインデン[1,2−d]オキサゾール]が好適であり、さらにその中でも特に、2,2’−イソプロピリデンビス[(4R)−4−フェニル−2−オキサゾリン]、2,2’−イソプロピリデンビス[(4S)−4−フェニル−2−オキサゾリン]が好適である。
【0044】
本発明において、上記式(1)で示される光学活性オキサゾリン誘導体は、触媒として使用するものであり、該光学活性オキサゾリン誘導体の使用量は、下記に詳述する上記式(3)で示されるR体とS体の混合物であるアミノアルデヒド誘導体1モルに対して、好ましくは0.001〜0.5モル、より好ましくは0.005〜0.1モルである。
【0045】
(銅塩)
本発明において、銅塩は、上記式(1)で示される光学活性オキサゾリン誘導体と錯体を形成するものであり、二価の銅塩であれば試薬として入手できるものを特に制限なく使用できる。それらを具体的に例示すると、臭化銅、塩化銅、フッ化銅、水酸化銅、燐酸銅、酢酸銅、ジメチルジチオカルバミン酸銅、銅メトキサイド、銅エトキシド、銅イソプロポキサイド、エチルアセト酢酸銅、2−エチルヘキサン酸銅、グルコン酸銅、ヘキサフルオロアセチルアセトナート銅、イソ酪酸銅、フタル酸銅、トリフオロアセチルアセトナート銅、トリフルオロメタンスルホン酸銅等を挙げることができる。これらの銅塩の中でも、上記式(1)で示される光学活性オキサゾリン誘導体と容易に錯体を形成し、特に高い光学分割を示すことから、臭化銅、塩化銅、トリフルオロメタンスルホン酸銅等が好適に使用される。
【0046】
本発明において、銅塩は、上記式(1)で示される光学活性オキサゾリン誘導体と反応して錯体を形成するため、該銅塩の使用量は、上記式(1)で示される光学活性オキサゾリン誘導体の使用量に対して、等モル量であることが好ましい。
【0047】
(ハロゲンカチオンソース)
本発明において、ハロゲンカチオンソースとは、クロロニウムイオン、ブロモニウムイオン、ヨードニウムイオン等のハロゲンカチオンを発生させる化合物のことを指し、アミノアルデヒド誘導体を酸化するために使用するものである。このハロゲンカチオンソースは、上記式(1)で示される光学活性オキサゾリン誘導体、及び銅塩の触媒存在下または非存在下において、分解反応により上記クロロニウムイオン、ブロモニウムイオン、ヨードニウムイオン等のハロゲンカチオンを発生させる化合物であり、アミノアルデヒド誘導体を酸化する化合物であれば、特に制限なく使用できる。
【0048】
これらハロゲンカチオンソースを具体的に例示すると、クロロニウムソースとしては、塩素;N−クロロスクシンイミド(以下、NCSとする場合もある)、N−クロロフタルイミド等のイミド類;クロラミンB、クロラミンT、o−クロラミンT、ジクロラミンT等のクロラミン類;シアヌル酸クロリド等のシアヌル酸類;ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム塩、トリクロロイソシアヌル酸等のイソシアヌル酸類;ベンジルトリメチルアンモニウムテトラクロロヨウダイト等のテトラクロロヨウダイト類;トリクロロメタンスルホニルクロリド等を挙げることができる。
【0049】
ブロモニウムソースとしては、臭素;N−ブロモスクシンイミド(以下、NBSとする場合もある)、N−ブロモフタルイミド等のイミド類;ブロモイソシアヌル酸モノナトリウム塩水和物等のイソシアヌル酸類;ベンジルトリメチルアンモニウムトリブロミド、4−ジメチルアミノピペリジニウムブロミド パーブロミド、フェニルトリメチルアンモニウム トリブロミド、テトラ−n−ブチルアンモニウム トリブロミド等のトリブロミド類;N−ブロモサッカリン、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン、5,5−ジブロモ−2,2−ジメチル−4,6−ジオキシ−1,3−ジオキシラン、2,4,4,6−テトラブロモ−2,5−シクロヘキサンジエノン等を挙げることができる。
【0050】
ヨードニウムソースとしては、ヨウ素;N−ヨードスクシンイミド(以下、NISとする場合もある)、N−ヨードフタルイミド等のイミド類;ベンジルトリメチルアンモニウム ジクロロヨーダイト等のジクロロヨーダイト類;N−ヨードサッカリン、1,3−ジヨード−5,5−ジメチルヒダントイン等を挙げることができる。
【0051】
これらの中でも、高い選択性と高収率を与えるという理由から、N−ブロモスクシンイミド、N−ヨードスクシンイミド、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン、1,3−ジヨード−5,5−ジメチルヒダントイン、N−ヨードフタルイミド、N−ブロモフタルイミド等のイミド類、又は臭素が好ましく、特に、ヨードニウムソースが好ましく、N−ヨードスクシンイミド、N−ヨードフタルイミド等のイミド類を使用するのが好適である。
【0052】
本発明において、ハロゲンカチオンソースの使用量は、特に制限されるものではないが、あまり量が多いと後処理工程が煩雑となる上に、生成物の光学純度が低下する傾向があり、あまり量が少ないと反応の転化率が低くなるため、上記式(3)で示されるアミノアルデヒド誘導体1モルに対して、好ましくは0.1〜5モル、より好ましくは0.5〜2モルである。
【0053】
(R体とS体の混合物であるアミノアルデヒド誘導体)
本発明においては、上記式(1)で示される光学活性オキサゾリン誘導体、銅塩、及びハロゲンカチオンソースの存在下、下記式(3)
【0054】
【化10】

【0055】
(式中、R、及びRは、それぞれ、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜8のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基、又はアリル基であり、RとRは、互いに連結して炭素数2〜12の2価の基を形成してもよく、
は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜8のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基、又はアリル基であり、
は、炭素数6〜14のアリール基である。)
で示されるR体とS体の混合物であるアミノアルデヒド誘導体とアルコールとを反応させる。
【0056】
本発明において、R体とS体の混合物であるアミノアルデヒド誘導体とは、ラセミ体や、光学的に純粋ではない、R体とS体とを含む混合物を指す。本発明においては、このようなR体とS体の混合物から光学活性アミノ酸エステル誘導体、及び光学活性アミノアセタール誘導体を製造することができる。R体とS体との割合は、特に制限されるものではなく、この割合に応じて光学活性アミノ酸エステル誘導体、及び光学活性アミノアセタール誘導体の生成割合が決定する。
【0057】
本発明においては、光学活性オキサゾリン誘導体と銅塩から形成される光学活性な銅ビスオキサゾリン錯体がアミノアルデヒド誘導体に配位した5員環構造の反応中間体を形成することが重要であると考えられる。つまり、該5員環構造の反応中間体を形成することにより、光学活性な生成物が得られるものと考えられる。そのため、該光学活性な銅ビスオキサゾリン錯体が配位した5員環構造を形成する、上記式(3)で示されるα−アミノアルデヒド誘導体を用いた場合のみ、光学活性アミノ酸エステルを得ることができ、β−アミノアルデヒド誘導体では光学活性アミノ酸エステル誘導体を得ることができない。
【0058】
上記式(3)中において、R、及びRは、それぞれ、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜8のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基、又はアリル基である。
【0059】
ここで炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。
【0060】
炭素数6〜8のアリール基としては、フェニル基を挙げることができる。また、これら炭素数6〜8のアリール基は、アリール基の水素原子がハロゲン原子、ニトロ基、又はアルキル基、1〜3級アミノ基で置換された置換アリール基であってもよく、具体的には、2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、4−ブロモフェニル基、4−ニトロフェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−アミノフェニル基、4−(N−メチル)アミノフェニル基、4−(N、N−ジメチル)アミノフェニル基等を挙げることができる。
【0061】
炭素数7〜10のアラルキル基としては、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基等を挙げることができる。
【0062】
また、上記式(3)中のRとRは、互いに連結して炭素数2〜12の2価の基を形成してもよい。具体的には、アルキレン基、ヘテロ原子を側鎖に置換基として有するアルキレン基をあげることができる。
【0063】
アルキレン基としては、プロピレン基、ブチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、等の置換基のないアルキレン基;1−エチルエチレン基、2−ブチルプロピレン基、3−ブチルブチレン基等のアルキル置換のアルキレン基をあげることができる。これらのアルキレン基のなかで、原料の入手が容易であることから、炭素数3〜5のアルキレン基が好ましい。
【0064】
ヘテロ原子を側鎖に置換基として含んでなるアルキレン基としては、アルキレン基の一部の水素原子がハロゲン原子、ニトロ基、又は1〜3級アミノ基で置換されていてもよく、具体的に例示すると、2−クロロエチレン基、3−クロロプロピレン基、4−クロロヘキサメチレン基、2−クロロブチレン基、3−クロロブチレン基、4−クロロブチレン基、4−ブロモブチレン基、4−ニトロブチレン基、4−アミノブチレン基、4−(N−メチル)アミノブチレン基、4−(N、N−ジメチル)アミノブチレン基、4−ブロモペンタメチレン基、4−ニトロペンタメチレン基、4−メチルヘキサメチレン基、4−エチルヘキサメチレン基、4−アミノヘキサメチレン基、4−(N−メチル)アミノヘキサメチレン基、4−(N、N−ジメチル)アミノヘキサメチレン基、2、3−ジクロロブチレン基、1,4−ジブロモブチレン基、2,3−ジニトロブチレン基、2,4−ジアミノブチレン基、3,4−ビス{(N−メチル)アミノ}ブチレン基、3,4−ビス{(N、N−ジメチル)アミノ}ブチレン基、等を挙げることができる。
【0065】
上記式(3)中のR、及びRとしては、これらの置換基の中で、合成が容易な点等から、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜8のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基、又は、RとRが互いに連結して炭素数2〜12の2価の基を形成するものであることが好ましい。さらには、高い光学純度を示すことから、特に、RとRが互いに連結して炭素数4〜6のアルキレン基を形成することが好ましく、その中でも特に、RとRが互いに連結してブチレン基を形成することが好ましい。
【0066】
上記式(3)中のRとしては、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜8のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基、又はアリル基である。これら置換基は、上記R、Rにおける置換基と同義である。
【0067】
これらの置換基の中でも、合成が容易な点から、Rとしては、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜8のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基が好ましく、特に水素原子が好ましい。
【0068】
上記式(3)中におけるRとしては、炭素数6〜14のアリール基である。炭素数6〜14のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基を挙げることができる。また、これら炭素数6〜14のアリール基は、アリール基の水素原子がハロゲン原子、ニトロ基、アルキル基、又はアルコキシ基で置換された置換アリール基であってもよく、具体的には、2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、4−ブロモフェニル基、4−ニトロフェニル基、4−メチルフェニル基、4−プロピルフェニル基、2−メチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、2−メトキシフェニル基、2,4−ジメトキシフェニル基、2,6−ジメトキシフェニル基、2,4,6−トリメトキシフェニル基、4−クロロナフト−1−イル基、3−クロロナフト−1−イル基、4−クロロナフト−1−イル基、4−ブロモナフト−1−イル基、4−ニトロナフト−1−イル基、4−メチルナフト−1−イル基、4−エチルナフト−1−イル基、4−クロロナフト−2−イル基、3−クロロナフト−2−イル基、4−クロロナフト−2−イル基、4−ブロモナフト−2−イル基、4−ニトロナフト−2−イル基、4−メチルナフト−2−イル基、4−エチルナフト−2−イル基、等を挙げることができる。
【0069】
これらの置換基の中でも、高い光学純度が得られる点から、Rは、フェニル基、アルキル基で置換されたフェニル基(具体的には、2−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基)が好ましい。
【0070】
本発明において、上記式(3)で示される好ましいアミノアルデヒド誘導体を具体的に示せば、以下の式で示される。
【0071】
【化11】

【0072】
【化12】

【0073】
これらのアミノアルデヒド誘導体の中でも、高い光学純度でアミノ酸エステル誘導体が得られ、好適に使用できるアミノアルデヒド誘導体を下図に具体的に例示する。
【0074】
【化13】

【0075】
さらに、上記アミノアルデヒド誘導体の中でも、特に高い光学純度でアミノ酸エステル誘導体が得られることから、ピペリジン環を有するアミノアルデヒド誘導体が特に好適に使用できる。下図に具体的に例示する。
【0076】
【化14】

【0077】
なお、上記に記載したR体とS体の混合物であるアミノアルデヒド誘導体の幾つかは、試薬あるいは工業原料として入手可能である。また、入手できない場合には、アミノアルデヒド誘導体の前駆体であるアミノアルコール誘導体を、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシル(略称:TEMPO)等の酸化剤を用いて酸化させることで容易に製造することが可能である。
【0078】
(塩基)
本発明においては、上記反応系に、さらに塩基を加えることもできる。塩基を加えることにより、得られる光学活性アミノ酸エステル誘導体、及び光学活性アミノアセタール誘導体の生成割合を調整することができる。塩基を用いた場合には、ハロゲンカチオンソースから生成する塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素等の酸性化合物を捕捉し、中和することができる。このため、本発明に塩基を用いた場合には、アセタール化は進行しにくくなり、条件によっては光学活性アミノアセタール誘導体が得られず、光学活性アミノ酸エステル誘導体のみを選択的に得ることが可能となる。
【0079】
本発明において、塩基は、通常試薬として入手可能な塩基類が何ら制限なく使用できる。これら塩基を具体的に例示すると、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロパンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルプロパンジアミン等の脂肪族3級アミン化合物、ピリジン、N,N−ジメチルベンジルアミン、4−N,N−ジメチルアミノピリジン、N−メチルピロール、N−エチルピロール、N−メチルイミダゾール、N−エチルイミダゾール等の芳香族三級アミン化合物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム等の無機炭酸塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物を挙げることができる。これらの中でも、反応の阻害因子となりにくいという理由から、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム等の無機炭酸塩を使用するのが特に好適である。
【0080】
本発明において、塩基の使用量は、所望とする光学活性アミノ酸エステル誘導体、及び光学活性アミノアセタール誘導体の生成割合に応じて適宜決定すればよい。ただし、あまり量が多いと後処理工程が煩雑となる上に、生成物の分解反応に寄与する可能性が高くなり、あまり量が少ないと反応の転化率が低くなる傾向にある。そのため、光学活性アミノ酸エステル誘導体のみを選択的に合成する場合でも、上記式(3)で示されるR体とS体の混合物であるアミノアルデヒド誘導体1モルに対して、塩基の使用量は、好ましくは0.1〜5モル、より好ましくは0.5〜2モルである。
【0081】
(アルキルアルコール)
本発明において、アルキルアルコールは、上記アミノアルデヒド誘導体をアミノ酸エステル誘導体とするものであれば特に制限なく使用できる。
【0082】
上記アルキルアルコールを具体的に例示すると、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール等の炭素数1〜5の低級アルコール類;オクタノール、デカノール、ドデカノール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール等の炭素数が6以上、好ましくは炭素数が6〜20の高級アルコール類を挙げることができる。
【0083】
これらのなかで、得られる生成物の取扱やすさから、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール等の炭素数1〜5の低級アルコールが好ましい。
【0084】
本発明において、アルキルアルコールの使用量は、特に制限はないが、反応の特性から、通常、上記式(3)で示されるR体とS体の混合物であるアミノアルデヒド誘導体1モルに対して、好ましくは1モル以上、より好ましくは5モル以上である。一方、アルキルアルコールの使用量が多くなり過ぎるとアルコール自体が酸化され、アミノアルデヒド誘導体の酸化反応が抑制され収率が低下する傾向にあるため、該使用量の上限は、上記アミノアルデヒド誘導体1モルに対して、好ましくは1000モル以下、より好ましくは500モル以下、特に好ましくは200モルである。本発明に用いるアルキルアルコールは、反応条件にて液体である場合には、反応溶媒として用いることができる。
【0085】
(酸化、及びエステル化反応の条件、及び精製方法)
本発明は、上記式(1)で示される光学活性オキサゾリン誘導体、銅塩の存在下、上記式(3)で示されるR体とS体の混合物であるアミノアルデヒド誘導体とアルキルアルコールとを反応させるが、この反応(以下、この反応を単に「酸化、及びエステル化反応」とする場合もある)は、有機溶媒中で行うことが好ましい。
【0086】
本発明において、上記有機溶媒は、上記アミノアルデヒド誘導体、及びアルキルアルコール等に対して不活性な溶媒であれば何等制限なく使用できる。これらの有機溶媒を、前記アルコール以外のものを具体的に例示すれば、テトラハイドロフラン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル等のエーテル類、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジメチルカーボネート等のカーボネート類、酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類、へキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類等を挙げることができる。これらの溶媒は、2種類以上の溶媒を併せて用いることが出来る。
【0087】
これらの有機溶媒の中でも、特に、高い収率と反応速度が期待できるという理由から、メタノール、エタノール等のアルコール類、テトラハイドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類等を使用するのが好適であり、特にアルコール類単独、または塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素とアルコール類との混合溶媒が好適である。
【0088】
本発明で使用する有機溶媒の量は、特に制限されるものではないが、あまり量が多いとバッチあたりの収量が減少するため経済的ではなく、あまり量が少ないと攪拌等に支障をきたす。そのため、通常、反応溶媒中の上記式(3)で示されるアミノアルデヒド誘導体の濃度が0.1〜70重量%、さらには1〜60重量%となるような量を使用するのが好ましい。
【0089】
本発明において、上記アミノアルデヒド誘導体とアルキルアルコールとは、上記光学活性オキサゾリン誘導体、銅塩、ハロゲンソース、上記アミノアルデヒド誘導体、アルキルアルコール、及び必要に応じて添加する塩基とを混合することにより、反応させることができる。光学活性オキサゾリン誘導体、銅塩、アルキルアルコール、アミノアルデヒド誘導体、及びハロゲンカチオンソース、および必要に応じて添加する塩基の混合方法は、特に制限されるものではないが、銅錯体を形成させた後に、アミノアルデヒド誘導体、アルキルアルコール、及びハロゲンカチオンソースを添加するのが一般的である。例えば、反応器に光学活性オキサゾリン誘導体、銅塩、及び有機溶媒を仕込み、撹拌しながら、ハロゲンカチオンソース、アミノアルデヒド誘導体、及びアルキルアルコールを同時に添加する方法を採用することができる。また、反応器にアミノアルデヒド誘導体、光学活性オキサゾリン誘導体、銅塩、アルキルアルコール及び有機溶媒を仕込み、攪拌しながらハロゲンカチオンソースを添加する方法も採用することができる。
【0090】
このとき、反応温度としては、使用するアミノアルデヒド誘導体、ハロゲンカチオンソース、及びアルキルアルコール等の種類によって異なるため、一義的に限定できないが、あまり温度が低いと反応速度が著しく遅くなり、あまり温度が高いと副反応を助長するため、通常、−50〜60℃、好ましくは、−20〜30℃の範囲であることが好ましい。また、反応時間としては特に制限はないが、0.1〜40時間もあれば十分である。
【0091】
本発明において、酸化、及びエステル化反応は、常圧、減圧、加圧のいずれの状態でも実施可能である。また、該反応は、空気中で実施してもよいし、或は窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性気体雰囲気下で実施してもよい。
【0092】
上記酸化、及びエステル化反応によって、上記式(4)、又は上記式(5)で示される光学活性アミノ酸エステル誘導体、及び光学活性アミノアセタール誘導体を製造することができる。本発明において、上記式(4)、又は上記式(5)で示される光学活性アミノ酸エステル誘導体、及び光学活性アミノアセタール誘導体の構造は、使用する光学活性オキサゾリン誘導体の構造によって決定される。即ち、光学活性オキサゾリン誘導体としてR体の化合物を用いた場合は、本発明で使用するアミノアルデヒド誘導体においてR体が選択的に酸化され、(R)−アミノ酸エステル誘導体が得られ、併せて(S)−アセタール誘導体が生成する(上記式(4)で示される光学活性アミノ酸エステル誘導体、及び光学活性アミノアセタール誘導体が生成する。)。他方、光学活性オキサゾリン誘導体としてS体を用いた場合には、アミノアルデヒド誘導体においてS体が選択的に酸化され、(S)−アミノ酸エステル誘導体が得られ、併せて(R)−アセタール誘導体が生成する(上記式(5)で示される光学活性アミノ酸エステル誘導体、及び光学活性アミノアセタール誘導体が生成する。)。
【0093】
次に、本発明においては、このようにして得られた反応物から目的とする光学活性アミノ酸エステル誘導体、及び光学活性アミノアセタール誘導体を分離する。つまり、上記の光学活性アミノ酸エステル誘導体、及び光学活性アミノアセタール誘導体とアミノアルデヒド誘導体の反応物(混合物)から、公知の単離精製方法によって、目的とする光学活性アミノ酸エステル誘導体、及び光学活性アミノアセタール誘導体を分離する。具体的な単離精製方法を例示すれば以下の方法を挙げることができる。先ず、反応終了後の反応液にチオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等の還元剤を溶解した水溶液を投入する。次いで、酢酸エチルで抽出し、得られた有機溶媒を硫酸マグネシウム等の乾燥剤で乾燥した後、溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって分離する。こうすることによって、目的とする光学活性アミノ酸エステル誘導体、及び光学活性アミノアセタール誘導体を分離精製することができる。本発明においては、アミノ酸エステル誘導体とアミノアセタール誘導体との構造が異なるものであるため、容易に分離精製することができる。
【0094】
なお、酢酸エチル等で抽出する方法により単離精製を行った場合、未反応のアミノアルデヒド誘導体も有機相に抽出されている。そのため、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる分離操作をさらに続けることによって、光学活性アミノアセタール誘導体も分離精製することができる。
(光学活性アミノ酸エステル、及び光学活性アミノ酸エステルの同定方法)
本発明においては、上記の反応を行うことにより、上記式(3)で示されるR体とS体の混合物であるアミノアルデヒド誘導体において、どちらか一方の異性体のホルミル基がエステル化された下記式(8)
【0095】
【化15】

【0096】
(式中、R及びRは、それぞれ、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜8のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基、又はアリル基であり、RとRは互いに連結して炭素数2〜12の2価の基を形成していてもよく、Rは、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜8のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基、又はアリル基であり、Rは、炭素数6〜14のアリール基であり、Rは、アルキル基である。)
で示される光学活性アミノ酸エステル誘導体を生成することができる。
【0097】
なお、上記式(8)中のR〜Rは、原料として使用するアミノアルデヒド誘導体において説明した基と同じ基である。
【0098】
は、使用するアルキルアルコールによって決まり、例えば、メタノールを用いた場合には、Rは、メチル基となる。そのため、Rは、炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましく、特に炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましい。Rを具体的に例示すると、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等の炭素数1〜5のアルキル基;オクチル基、デシル基、ドデシル基、オレイル基、ステアリル基等を挙げることができる。
【0099】
上記酸化、及びエステル化反応によって得られる光学活性アミノ酸エステルの構造は、下記(i)〜(iii)のいずれかの方法により確認することができる。
【0100】
(i)重クロロホルム等の重水素化溶媒を用いて、H−核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)を測定することにより、化合物中に存在する水素原子の結合様式を知ることができる。例えば、7.0ppm付近に芳香環の水素のスペクトルを示す。
【0101】
(ii)赤外吸収スペクトル(IR)を測定することにより、化合物の官能基に由来する特性吸収を観察することができる。例えば、1640cm−1付近に芳香環置換アミド基のC=Oの吸収を示す。
【0102】
(iii)高分解能質量分析(HRMS)等のMSスペクトルを測定し、上記式(8)で示される光学活性アミノ酸エステルの分子量および分子式を決定することができる。
【0103】
このようにして得られた、上記式(8)で示される光学活性アミノ酸エステルは、必要に応じて塩基と反応させ、光学活性なα−アミノ酸誘導体へと変換することができる。
【0104】
(光学活性アミノアセタール誘導体、及び光学活性アミノアセタールの同定方法)
本発明においては、上記の反応を行うことにより、上記式(3)で示されるR体とS体の混合物であるアミノアルデヒド誘導体において、どちらか一方の異性体のホルミル基がアセタール化された下記式(6)
【0105】
【化16】

【0106】
(式中、R及びRは、それぞれ、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜8のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基、又はアリル基であり、RとRは互いに連結して炭素数2〜12の2価の基を形成していてもよく、
は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜8のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基、又はアリル基であり、
は、炭素数6〜14のアリール基であり、
は、アルキル基である。)
で示されるで示される光学活性アミノアセタール誘導体を生成することができる。
【0107】
なお、上記式(6)中のR〜Rは、原料として使用するアミノアルデヒド誘導体において説明した基と同じ基であり、Rは、光学活性アミノ酸エステルにおいて説明した基と同じ基である。
【0108】
上記、反応によって得られる光学活性アミノアセタール誘導体の構造は、下記(i)〜(iii)のいずれかの方法により確認することができる。
【0109】
(i)重クロロホルム等の重水素化溶媒を用いて、H−核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)を測定することにより、化合物中に存在する水素原子の結合様式を知ることができる。例えば、7.0ppm付近に芳香環の水素のスペクトルを示す。
【0110】
(ii)赤外吸収スペクトル(IR)を測定することにより、化合物の官能基に由来する特性吸収を観察することができる。例えば、1640cm−1付近に芳香環置換アミド基のC=Oの吸収を示す。
【0111】
(iii)高分解能質量分析(HRMS)等のMSスペクトルを測定し、上記式(6)で示される光学活性アミノアセタール誘導体の分子量および分子式を決定することができる。
【0112】
上記式(6)で示される光学活性アミノアセタール誘導体は、必要に応じて加水分解反応により、光学活性なα−アミノアルデヒド誘導体へと変換することができる。該加水分解反応としては、例えば塩酸、硫酸等の鉱酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸と水の存在下、光学活性アミノアセタール誘導体を混合し加熱する方法等、通常のアセタールの加水分解反応の方法を用いることが出来る。
【0113】
また、光学活性アミノ酸エステルおよび光学活性アミノアセタール誘導体の光学純度は、キラルカラムを用いた高速液体クロマトグラフィーまたは旋光度によって分析することが出来る。
【実施例】
【0114】
以下、実施例を掲げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何等制限されるものではない。
【0115】
光学純度は、高速液体クロマトグラフィーを用いて分析を行った。特記以外の場合には、下記分析条件を用いた。
【0116】
カラム: ダイセル化学工業製キラルカラム (内径4.6mm、長さ250mm)
展開液: n−ヘキサン及びイソプロピルアルコールからなる混合溶媒
検出波長:254nm
流速:1.0ml/min
実施例1
10mlの茄子型フラスコに、光学活性なオキサゾリン誘導体として2,2’−イソプロピリデンビス[(4R)−4−フェニル−2−オキサゾリン]16.7mg(0.05mmol)、銅塩としてトリフルオロメタンスルホン酸銅18.1mg(0.05mmol)、アセトニトリル2mlを加え、大気雰囲気下で10分攪拌した。その後、この反応液に、アミノアルデヒド誘導体として、ラセミ体のN−ベンゾイル−2−ピペリジンカルボアルデヒド 108.6mg (0.5mmol、以下化合物Aと称す) を量り取り、アルコールとしてメタノール 5mL(化合物Aに対して約250モル倍量)、さらにハロゲンカチオンソースとしてN−ブロモスクシンイミド(略称NBS、0.25mmol、化合物Aに対して0.5モル倍量を加え、室温で12時間撹拌した。反応液に精製水 (5mL) と10%チオ硫酸ナトリウム水溶液 (5mL) を加え、酢酸エチル (10mL×3回) で抽出した。有機層を集めて無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濾過し、濾液を減圧留去した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(展開液 n−ヘキサン:酢酸エチル=5:1)により精製し、化合物Bを白色油状物として 32.1mg および化合物Cを白色油状物として35.5mg得た。これらの光学純度はキラルHPLCにより決定した。得られた生成物の同定データを示す。
【0117】
化合物Bの分析結果を以下に示す。
H−NMR(300MHz,CDCl):δ7.42(m,5H,ArH),5.58−5.50(m,1H,N−C−COMe),3.79(s,3H,−CH),3.70−3.60(m,1H,piperidine−ring proton),3.30−3.18(m,1H,piperidine−ring proton),2.40−2.26(m,1H,piperidine−ring proton),1.80−1.25(m,5H,piperidine−ring proton)
上記の結果より、化合物BがN−ベンゾイル−(2R)−(メトキシカルボニル)ピペリジンであることが明らかとなり、その収率は26%であった。
【0118】
また、高速液体クロマトグラフィーを用いて光学純度を測定したところ、主として含まれる異性体の絶対配置はRであり、光学純度は88%eeであった(カラム:ダイセルキラルセルOD−Hカラム、展開液 n−ヘキサン:イソプロピルアルコール=30:1)。
【0119】
化合物Cの分析結果を以下に示す。
H−NMR(300MHz,CDCl):δ7.38(m,5H,ArH),5.03−4.62(br,2H,N−C−COMe、−C(OMe)),3.50−3.41(m,1H,piperidine−ring proton),3.38(s,6H,−CH),2.10−1.35(m,7H,piperidine−ring proton)
IR(neat/cm−1):1636cm−1(C=O伸縮)
分子量分析(HRMS[M,EI]):m/z Calcd for C1521NO :263.1521、Found:263.1493
上記の結果より、化合物CがN−ベンゾイル−(2S)−ピペリジンカルボアルデヒド ジメチルアセタールであることが明らかとなり、その収率は27%であった。
【0120】
また、高速液体クロマトグラフィーを用いて光学純度を測定したところ(展開液 n−ヘキサン:イソプロピルアルコール=10:1)、主として含まれる異性体の絶対配置はSであり、光学純度は61%eeであった(カラム:ダイセルキラルパックADカラム、展開液 n−ヘキサン:イソプロピルアルコール=10:1)。
【0121】
実施例2〜6
光学活性なオキサゾリン誘導体として2,2’−イソプロピリデンビス[(4R)−4−フェニル−2−オキサゾリン]、銅塩としてトリフルオロメタンスルホン酸銅を、表1に示したラセミ体のアミノアルデヒド誘導体に対して、それぞれ0.1モル倍量用い、その他の原料について表1に示した用量で用いた以外は、実施例1と同様な方法で酸化反応を行い、対応する光学活性アミノ酸エステル、アミノアセタール誘導体を得た。その結果得られた生成物の性状、物性データを表2〜表4に示す。また、生成物の収率及び光学純度(ee%)を表5に示した。
【0122】
【表1】

【0123】
【表2】

【0124】
【表3】

【0125】
【表4】

【0126】
【表5】

【0127】
実施例7〜16
光学活性なオキサゾリン誘導体として2,2’−イソプロピリデンビス[(4R)−4−フェニル−2−オキサゾリン]、銅塩としてトリフルオロメタンスルホン酸銅を、表6に示したラセミ体のアミノアルデヒド誘導体(N−ベンゾイル−2−ピペリジンカルボアルデヒド)に対して、それぞれ0.1モル倍量用い、その他の原料について表6に示した用量で用いた以外は、実施例1と同様な方法で酸化反応を行い、対応する光学活性アミノ酸エステル、光学活性アミノアセタール誘導体を得た。また、生成物の取得収率及び光学純度(ee%)を表7に示した。
【0128】
【表6】

【0129】
【表7】

【0130】
実施例17〜20
光学活性なオキサゾリン誘導体として2,2’−イソプロピリデンビス[(4R)−4−フェニル−2−オキサゾリン]、銅塩としてトリフルオロメタンスルホン酸銅を、表8に示したラセミ体のアミノアルデヒド誘導体、及びその他の原料について、表8に示した用量で用いた以外は、実施例1と同様な方法で酸化反応を行い、対応する光学活性アミノ酸エステル誘導体、光学活性アミノアセタール誘導体を得た。その結果得られた生成物の性状、物性データを表9〜表13に示す。また、生成物の収率及び光学純度(ee%)を表11に示した。
【0131】
【表8】

【0132】
【表9】

【0133】
【表10】

【0134】
【表11】

【0135】
【表12】

【0136】
【表13】

【0137】
実施例21
光学活性なオキサゾリン誘導体として2,2,2’−イソプロピリデンビス[(4R)−4−tert−ブチル−2−オキサゾリン]を用いた以外は、実施例1と同様な方法で酸化反応を行い、対応する光学活性アミノ酸エステル誘導体、光学活性アミノアセタール誘導体を得た。その結果得られたN−ベンゾイル−(2R)−(メトキシカルボニル)ピペリジンの収率は10%、光学純度は55%eeであり、N−ベンゾイル−(2S)−ピペリジンカルボアルデヒド ジメチルアセタールの収率は41%、光学純度は0%eeであった。
【0138】
実施例22
光学活性なオキサゾリン誘導体として下記化合物
【0139】
【化17】

【0140】
を用いた以外は、実施例1と同様な方法で酸化反応を行い、対応する光学活性アミノ酸エステル誘導体、光学活性アミノアセタール誘導体を得た。その結果得られたN−ベンゾイル−(2R)−(メトキシカルボニル)ピペリジンの収率は26%、光学純度は50%eeであり、N−ベンゾイル−(2S)−ピペリジンカルボアルデヒド ジメチルアセタールの収率は41%、光学純度は20%eeであった。
【0141】
比較例1〜5
光学活性なオキサゾリン誘導体として2,2’−イソプロピリデンビス[(4R)−4−フェニル−2−オキサゾリン]、銅塩としてトリフルオロメタンスルホン酸銅を必要に応じて使用し、表14に示したラセミ体のアミノアルデヒド誘導体に対して、それぞれ0.1モル倍量用い、その他の原料について表11に示した用量で用いた以外は、実施例1と同様な方法で酸化反応を行った。結果を表15に示す。得られたアミノ酸エステル誘導体およびアミノアセタール誘導体は、すべてラセミ体であり光学活性な生成物は得られなかった。
【0142】
【表14】

【0143】
【表15】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)
【化1】


(式中、R、及びRは、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜8のアリール基、ベンジル基、又は下記式(2)
【化2】


{式中、a、及びbの炭素原子は、オキサゾリン骨格の炭素原子であり、Rは、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のアルコキシ基であり、mは、0〜3の整数である。}
で示される基である。)
で示される光学活性オキサゾリン誘導体、銅塩、及びハロゲンカチオンソースの存在下、下記式(3)
【化3】


(式中、R、及びRは、それぞれ、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜8のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基、又はアリル基であり、RとRは、互いに連結して炭素数2〜12の2価の基を形成してもよく、
は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜8のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基、又はアリル基であり、
は、炭素数6〜14のアリール基である。)
で示されるR体とS体の混合物であるアミノアルデヒド誘導体とアルキルアルコールとを反応させることを特徴とする、下記式(4)
【化4】


(式中、R、R、R、及びRは、上記式(3)におけるものと同義であり、
は、アルキル基である。)
で示される光学活性アミノ酸エステル誘導体、及び光学活性アミノアセタール誘導体、
又は下記式(5)
【化5】


(式中、R、R、R、R、及びRは、上記式(4)におけるものと同義である。)
で示される光学活性アミノ酸エステル誘導体、及び光学活性アミノアセタール誘導体の製造方法。
【請求項2】
さらに、塩基を加えて、上記式(3)で示されるR体とS体の混合物であるアミノアルデヒド誘導体とアルキルアルコールとを反応させることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
下記式(6)
【化6】


(式中、R、及びRは、それぞれ、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜8のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基、又はアリル基であり、RとRは、互いに連結して炭素数2〜12の2価の基を形成してもよく、
は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜8のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基、又はアリル基であり、
は、炭素数6〜14のアリール基であり、
は、アルキル基である。)
で示される光学活性アミノアセタール誘導体。

【公開番号】特開2009−227594(P2009−227594A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−72911(P2008−72911)
【出願日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成20年3月12日 社団法人日本化学会発行の「日本化学会第88春季年会講演予稿集」に発表
【出願人】(504205521)国立大学法人 長崎大学 (226)
【出願人】(000003182)株式会社トクヤマ (839)
【Fターム(参考)】