光学的蛍光超微粒子
本発明は、光学的蛍光活性を有する超微粒子に関する。より詳細には、本発明は、少なくとも1つの荷電された高分子電解質及び少なくとも1つの反対に荷電された活性剤(親水性の光学的蛍光剤である)の共凝集体を含んで成る超微粒子マトリックス、及び前記超微粒子マトリックスを含んで成る超微粒子に関する。任意には、超微粒子は表面変性される。本発明はまた、前記超微粒子の調製方法及び表面変性方法にも関する。本発明はさらに、インビトロ及びインビボでの前記超微粒子の使用、及びインビトロ及びインビボ診断方法にも関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学的蛍光活性を有する超微粒子に関する。より詳細には、本発明は、高分子電解質及び親水性の光学的蛍光剤の共凝集体を含んで成る超微粒子マトリックス、及び前記超微粒子マトリックスを含んで成る超微粒子に関する。任意には、超微粒子は表面変性される。本発明はまた、前記超微粒子の調製方法及び表面変性方法にも関する。本発明はさらに、インビトロ及びインビボでの前記超微粒子の使用、及びインビトロ及びインビボ診断方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景:
診断目的のためには、光学的蛍光色素は、低エネルギー蛍光は例えば、高エネルギー放射線に比較して、生物学的に安全であるので、特に有用である。今日、光学的蛍光色素は、インビトロ診断方法に広く使用されており、ここで実質的に有害な放射線への実験スタッフの照射が低められる。しかしながら、インビボイメージング方法においては、生物学的安全性がさらに有意であり、そして従って、そのような診断方法に光学的蛍光色素を利用する試みが行われて来た。
【0003】
蛍光イメージングは、特定波長を有する励起光への暴露に基づいて蛍光を発する物質を、コントレスト剤として使用する。従って、患者又は身体の一部が身体外からの励起光に暴露され、そして身体における蛍光コントレスト剤から放される蛍光が検出される。
蛍光色素、例えばフルオレセイン、フルオレサミン及びリボフラビンは、約400〜600nmの可視光の領域で光を放出する。この領域においては、生存組織を通しての光透過は、非常に低く、その結果、身体の深い部分での検出はほとんど不可能である。
【0004】
US2004/213740号は、光の可視領域で吸収し、そして放す、非常に親水性のインドール及びベンゾインドール誘導体を開示する。それらの化合物は、生理学的及び器官機能モニターリングのために、特に腎及び心臓疾患の光学的診断のために、及びインビボでの血液体積の推定のために有用である。
【0005】
しかしながら、より深部の組織のイメージングは、近赤外線(NIR;600−1000nm)において放す光学的蛍光色素を必要とする[Intes and Chance (2005)]。これは、それぞれ、可視及び赤外光の主要吸収剤であるヘモグロビン及び水は、650−900nmの範囲のNIR領域においてそれらの最低の吸収係数を有する。NIR光は、マイクロワットレーザー源を用いて、10cmの乳房組織及び4cmの頭蓋/脳組織又は深部筋肉を通して少なくとも透過することが示されている(Food and Drug Administration, FDA, class I10) [Weissleder (2001a))。
【0006】
WO00/16810号は、分子に3個又はそれ以上のスルホン酸基を有する化合物を含んで成るNIR蛍光コントラスト剤、及び生存細胞中にNIR蛍光コントラスト剤を導入し、身体を励起光に暴露し、そして前記コントラスト剤からのNIR蛍光を検出することを含んで成る蛍光イメージング方法を開示する。WO00/16810号によれば、生物学的組織を通しての前記開示されるNIR蛍光色素により供給される光の透過は卓越している。従って、生存身体の深部における検出が利用できるようになった。さらに、発明のコントラスト剤は、水溶解性及び低毒性の両者において卓越し、そして従って、それは安全に使用され得る。WO00/16810号に開示されるNIR蛍光コントラスト剤により含まれる1つの特定の化合物は、四スルホネート化されたインドトリカルボシアニンである。
【0007】
そのようなNIR色素はまた、分子イメージングのために特に有用であるものとして判明されている。用語“分子イメージング”とは、細胞及び分子レベルで生物学的工程のインビボ特徴化及び測定として広く定義され得る。従来の診断イメージングと対照区別して、それらの分子変更の最終効果をイメージングするよりもむしろ、疾病に基づく分子異常をプローブすることが示されている[Weissleder (2001)]。
【0008】
しかしながら、高性能のいずれかのインビボイメージング方法は、病理学的に変更された組織、例えば腫瘍又は炎症組織、及び取り囲まれる不変更の組織の最適化された識別を必要とする。前記方法の感受性及び信頼性は、真の陽性シグナル及び負の又は誤った陽性バックグラウンドシグナルの比率に依存する。この比率は、蛍光色素の透過性質によってのみならず、また、組織内の色素の分布によって影響される。従って、改良された透過性質を有する蛍光色素の開発の他に、もう1つの挑戦は、病理学的に変更された組織における蛍光色素の富化を最大にすることである。
【0009】
病理学的変化を選択的に受けた細胞及び組織を標識するための1つのアプローチは、特異的に又は少なくとも優先的に、興味ある組織において発現され、そして例えば抗体によりその組織上で暴露される細胞表面構造体の標的化である。さらに、通常使用されるような組換え抗体は、全身的に適用される場合、有害な免疫原性副作用の危険性にまだ関連している。
【0010】
あるいは、特異的に発現された細胞表面構造体、例えば受容体は、小分子標的化プローブ、例えばリガンド又はリガンド類似体により標的化され得る。1つのそのような例は、多くの腫瘍型上で過剰発現される葉酸塩受容体を標的化するNIR色素に接合される葉酸である。
【0011】
興味あることには、病理学的に変更された組織が、超微粒子として言及される、ナノメーター規模での粒子により標的化され得ることが示されている。そのようなシステムが腫瘍組織を標的化するために使用される場合、例えば治療剤の可能性ある副作用が低められ得る[Dass 2000]。優先的には、その構造は、その機構が受動性標的化として知られている健康な組織に比較して、増強された接近性をもたらす固形腫瘍組織のゆるく且つ多孔性の構造体のためである[Liottaなど. (1976)]。従って、超微粒子は、通常知られている“増強された透過性及び保持効果”(EPR効果)を用いて、選択的な病理学的変更組織を染色するための機会を提供する。標的物特異的分子を有するそれらの超微粒子複合体の表面の変性は、受動性及び活性標的化効果を兼ねそなえ、そして標的化された組織におけるより特異的蓄積をもたらす。
【0012】
医学の分野において広く使用されて来た、ナノメーター規模での特定のシステムは、非毒性の天然の脂質、主にリン脂質から構成されるリポソームである。より最近のその変異体は、合成ポリマーから調製されたポリマーソームである。リポソーム及びポリマーソームは、それらの化合物の両親媒性特徴のために、水性媒体において自発的に形成される小胞である。親水性分子は水性内部に閉じ込められるが、しかし疎水性分子は膜に集結される。
【0013】
小胞の表面の親水性被膜は、それらの循環半減期を延長し、そして従って組織におけるそれらの局在化を延長することができる(“秘密リポソーム”)。より精巧化されたアプローチは、悪性細胞上の細部表面分子を選択的に標的化できる小胞である。このためには、標的成分、例えば抗体が小胞の表面に結合される。しかしながら、そのような小胞からの早過ぎる開放性と組み合わされる低いペイロード蛍光色素は、調査されるべき組織において十分な濃度ではない[Derycke and Witte (2004)]。
【0014】
他方では、生分解性ポリマー、例えばポリ乳酸(PLA)又はポリ乳酸−コ−グリコール酸(PLGA)が、超微粒子の調製のために使用され得る。この場合、蛍光色素、例えばインドシアニングリーンが、マトリックス形成ポリマーの生分解の間、開放される[Saxena などl. (2004a); Saxena など. (2004b)]。しかしながら、この方法は、所定の時間で十分な濃度の蛍光色素を供給するには遅過ぎる。さらに、WO2004/064751号に開示されているように、親水性蛍光色素による負荷能力は特に低い。
【0015】
US2005/0019265号及び同様に、US2005/0003016号は、多くの両親媒性コポリマー、及びポリマーソーム膜内に分散される少なくとも1つの可視又は近赤外線−幅射剤を含んで成る、約50nm〜約50μmの範囲でのポリマーソームを開示する。両親媒性ブロックコポリマーの他に、ポリマーソームは、疎水性及び親水性ポリマーを含むことができる。いくつかの態様においては、多ブロックポリマーが架橋され得、そして蛍光団がそこに埋封される。
【0016】
ポリマーソームは、インビトロ及びインビボでの診断又はイメージング方法への使用のために考慮される。任意には、ポリマーソール表面は、選択性を改良するために生物学的成分により変性される。ポリマーソームが特徴づけられる厚い膜は、それらがリン脂質から構成される天然の膜に導入され得ない大きな蛍光団の組込みを可能にするので、好都合である。しかしながら、光学的蛍光剤は、ポリマーソーム膜内で色素を実質的に溶解性にするために疎水性であるべきである。活動的標的化成分の必要なしにインビトロ又はインビボ診断方法へのポリマーソームの適用は、US2005/0019265号に明確には言及されていない。
【0017】
EP0454044号及びまた、CA2041093号から、ポリカチオン性及びポリアニオン性化合物及び少なくとも1つの活性剤から構成される高分子電解質複合体からのコロイド状超微粒子の調製は知られている。活性剤が超微粒子中に導入され得る他の機構の中で、活性剤は高分子活性剤は高分子電解質複合体パートナーとして直接的に作用することができる。しかしながら、この場合、活性剤は、極性化され得る少なくとも1つの電荷又は官能基を必要とする。光学的蛍光剤の作用は、EPO454044号には言及されていない。
【0018】
WO2004/096998号は、腫瘍血管系を標的化し、そして抗脈管形成化合物を供給することができる超微粒子供給システムを開示する。その超微粒子システムは、水基材のコアー及びコアーを取り囲む水基材のコロナを含んで成る。コアーは少なくとも1つのポリアニオン性ポリマーを含み、そしてコロナは少なくとも1つのポリカチオン性ポリマー、及びポリマーに架橋されるか又は接合される標的化リガンドを含んで成る。選択的標的化の他に、超微粒子はまた、生物発光及び/又は磁気共鳴(MR)イメージングを用いて、非侵入性イメージングを行うことができる。NIRにおいて放出するコントラスト剤が明確には言及されていない。
【0019】
MR及び光学的蛍光検出を組合すイメージングプローブを、生存生物における、より詳細な分析及び分子情報を得るために開発されてきた[Josephsonなど. (2002)]。MRイメージングにより、超微粒子プローブが局在化され、同時に光学的蛍光イメージングがその局在化された組織の分子性質についての情報を提供する。
【0020】
DE10236409号は、少なくとも1つの層が蛍光色素を含んで成る、層−層構造を有するマイクロカプセルを開示する。単分散でのコロイドが、高分子電解質により被覆される。異なった蛍光色の色素が、共有結合により高分子電解質に含まれ、ここでフルオレセインイソチオシアネート及び四メチルローダミンイソチオシアネートが明確に言及されている。バリヤーが、所望しない反応を阻止するために層間に存在する。カプセルコードは、励起及び発光波長の変動により読み取られる。
【0021】
WO2004/108902号は、インビトロ及びインビボ光学的分子イメージングにおいて、イメージングプローブとして使用される生物適合性被膜を有する蛍光珪素超微粒子を開示する。超微粒子はNIR蛍光能力を有することが好ましい。
【0022】
活性剤及びシクロデキストリンから調製された複合体のポリマー超微粒子への組み込みがまた、報告されている[Duchene など. (1999); Boudad など. (2001)]。シクロデキストリンが、非経口又は経口適用のあと、生理学的条件下で活性剤の弱い溶解性を克服するために使用された。β−シクロデキストリンは、経口医薬組成物において溶解剤として、ビタミンの調製において溶解剤として、及び味覚及び臭覚の改良のために広く使用される。溶解剤としてのシクロデキストリンの性質は、疎水性活性剤が疎水性コアー中に閉じ込められている封入体複合体の形成に基づかれている。多くの場合、その封入体は、活性剤の増強された化学的及び物理的安定性により達成される。
【0023】
シクロデキストリン誘導体の中で、ヒドロキシ−β−シクロデキストリンは、注入溶液(Sempera(商標))の中の成分としてすでに登録されている。さらに、特定の組成物におけるカチオン性変性シクロデキストリンは、遺伝子トランスフェクション技法における有用な代換物として記載されている(Bellocq など. (2003); Pun など. (2004); WO 03/072367号; WO 02/49676号)。活性剤としてヒドロコルチゾルを含むシクロデキストリン封入複合体がいわゆる固体脂質超微粒子(SLN)中に組込まれる場合、活性剤の負荷能力が増強された。相応じて、ヒドロコルチゾルの開放性が、シクロデキストリンを含まない調製物に比較して、低められた[Cavalliなど. 1999]。
【0024】
組織を対比するために生物学的安全代換物として蛍光イメージングを使用するためには、標的組織へのNIR色素の供給のための改良されたシステムが開発されるべきである。障害、例えば抗体の免疫原性効果、従来のポリマー超微粒子の低いペイロード、及びポリマー分解に基づくそれらの遅い開放挙動性が、それらの問題を克服するための革新的解決策のための能力が存在することを示す。
【0025】
結果的に、診断方法への使用のために、及び治療介入をモニターするために、生物学的に安全で、選択的な且つ敏感な用具の必要性がまだ当業界には存在する。
従って、本発明の目的は、適切な用具及びそれらの使用方法を提供することである。
【発明の開示】
【0026】
発明の要約:
本発明の目的は、少なくとも1つの荷電された高分子電解質及び少なくとも1つの反対に荷電された活性剤(親水性の光学的蛍光剤である)の共凝集体(co-aggregate)を含んで成る超微粒子マトリックスにより解決される。
【0027】
1つの態様においては、合計の高分子電解質電荷及び合計の光学的蛍光剤電荷の比率は、電荷過剰をもたらす。
1つの態様においては、前記光学的蛍光剤は、可視−又はNIR−輻射化合物である。
1つの態様においては、前記光学的蛍光剤は、NIR−輻射化合物である。
1つの態様においては、前記光学的蛍光剤は、平面芳香族及び高く接合されたシステムを含んで成る。
【0028】
1つの態様においては、前記光学的蛍光剤は、共凝集体形成の間、UV−Vis吸収スペクトルにおける深色団シフトを示す。
好ましい態様においては、前記光学的蛍光剤は、離解の間、UV−Visスペクトルにおける浅色団シフトを示す。
特に好ましい態様においては、前記深色団及び/又は浅色団シフトは、約20nm〜約80nmの範囲でのΔwavelengthにより特徴付けられる。
【0029】
より特定の好ましい態様においては、前記深色団及び/又は浅色団シフトは、約40nm〜約50nmの範囲でのΔwavelengthにより特徴付けられる。
より特定の好ましい態様においては、前記深色団及び/又は浅色団シフトは、約44nmのΔwavelengthにより特徴付けられる。
1つの態様においては、前記光学的蛍光剤は、共凝集体形成の間、消光効果のために吸収強度の低下を示す。
【0030】
好ましい態様においては、前記光学的蛍光剤は、色素分子が複合体から離解される場合、消光効果の可逆性のために、共凝集体形成の間、吸収強度の低下、及び離解の間、吸収強度の上昇を示す。
1つの態様においては、前記高分子電解質はカチオン性であり、そして前記光学的蛍光剤はアニオン性である。
【0031】
1つの態様においては、合計の高分子電解質電荷及び合計の光学的蛍光剤電荷の比率は、約1.5:1〜約6:1の範囲にある。
好ましい態様においては、合計の高分子電解質電荷及び合計の光学的蛍光剤電荷の比率は、約1.5:1〜約3:1の範囲にある。
特に好ましい態様においては、合計の高分子電解質電荷及び合計の光学的蛍光剤電荷の比率は、約1.5:1である。
【0032】
1つの態様においては、前記カチオン性高分子電解質は、ポリエチレンイミン及び誘導体、例えばPEG[113]-b-PEI[30];ポリビニル誘導体、例えばポリビニルアミン、ポリビニルピリジン;ポリアルギニン、ポロヒスチジン;ポリリシン、リシンオクタデシルエステル;ポリグラニジン及びポリ(メチレン−コ−グアニジン);プロタミン、例えばプロタミンスルフェート;ポリアリルアミン、ポリジアリルジメチルアミン;ポリメタクリレート、例えばEudragit E、ポリ(ジメチル−アミノプロピル−メタクリルアミド)[P(DMAPMAN)]又はポリ(ジメチル−アミノエチル−メタクリレート[P(DMAEMA)];スペルミン、スペルミジン及びそれらのポリマーポリスペルミン及びポリスペルミジン;ポリヒスチジン;四量体化されたポリアミド、ポリ(ジメチル−アミノエチル−アスパルタミド)[PDAA];変性されたシリコーン;ポリホスファゼン;タンパク質、例えばヒストン;変性された澱粉、変性されたゼラチン、変性されたセルロース、例えばアミノ化されたセルロースエーテル;アミノ化されたデキストラン、アミノ化されたシクロデキストリン、アミノ化されたペクチン;キトサン;及びそれらの塩及び誘導体から成る群から選択される。
【0033】
好ましい態様においては、前記高分子電解質はポリエチレンイミンである。
1つの態様においては、前記光学的蛍光剤は、スルホネート及びホスフェートから成る群から選択された、過剰の負に荷電された基を含んで成る。
1つの態様においては、前記光学的蛍光剤は、ポリメチレン色素、好ましくはシアニン色素である。
【0034】
好ましい態様においては、前記光学的蛍光剤は、インドトリカルボシアニン色素又はインドジカルボシアニン色素である。
より好ましい態様においては、前記光学的蛍光剤は、四スルホン化されたインドトリカルボシアニン色素である。
【0035】
特に好ましい態様においては、前記光学的蛍光剤は、三ナトリウム-3,3-ジメチル-2-{4-メチル-7-[3,3-ジメチル-5-スルホナト- l-(2-スルホナトエチル)-3H-インドリウム-2-イル]ヘプタ-2,4,6-トリエン-l-イリデン}-l-(2-スルホナトエチル)-2,3-ジヒドロ-lH-インドール-5-スルホネート、内部塩(TITCC)である。
【0036】
他方では、特に好ましい態様においては、前記光学的蛍光剤は、二ナトリウム3,3-ジメチル-2-{7-[3,3-ジメチル-5-スルホナト-l-(2- スルホナトエチル)-3H-インドリウム-2-イル]-ヘプタ-2,4,6-トリエン- 1 -イリデン} - 1 -(2-スルホナトエチル)- 2,3-ジヒドロ-lH-インドール-5-カルボン酸-(l l-カルボキシウンデシル)-アミド(色素−12−アミノドデカン酸接合体)である。
【0037】
1つの態様においては、前記マトリックスはさらに、少なくとも1つの補助電解質を含んで成る。
好ましい態様においては、前記補助電解質は、変性されたシクロデキストリン、キレート化剤、デンドリマー及びクラウンエーテルから成る群から選択される。
より好ましい態様においては、前記補助電解質は、前記高分子電解質の電荷に対して反対の電荷である。
【0038】
より好ましい態様においては、前記変性されたシクロデキストリンは、リン酸化された、硫酸化された、カルボキシメチル化された、及びスクシニル化されたシクロデキストリンから成る群から選択されたアニオン性シクロデキストリンである。
最も好ましい態様においては、前記アニオン性シクロデキストリンは、ヘプタキス−(2,3−ジメチル−6−スルホ)−β−シクロデキストリン又はヘプタキス(2,6−ジアセチル−6−スルホ)−β−シクロデキストリンである。
【0039】
他方では、最も好ましい態様においては、前記アニオン性シクロデキストリンは、β−シクロデキストリンホスフェートである。
本発明の目的はさらに、本発明の超微粒子マトリックスを含んで成る超微粒子により解決される。
1つの態様においては、前記超微粒子は非小胞性である。
【0040】
1つの態様においては、前記超微粒子サイズは、10nm〜1.2μmの範囲である。
好ましい態様においては、前記超微粒子サイズは、10nm〜500 nmの範囲である。
特に好ましい態様においては、前記超微粒子サイズは、10nm〜300nmの範囲である。
1つの態様においては、前記超微粒子は、少なくとも表面変性剤を含んで成る。
好ましい態様においては、前記表面変性剤は、前記超微粒子の表面電荷に対して反対に電荷されている。
【0041】
特に好ましい態様においては、前記表面変性剤は、ポリエチレングリコール[110]-b-グルタミン酸[10](PEG[110]-GLU[10])である。
他方では、好ましい態様においては、前記表面性剤は、NADP、AMP、cAMP及びADP、並びにそれらの塩から成る群から選択される。
1つの態様においては、前記超微粒子は、標的化構造体を含んで成る。
【0042】
好ましい態様においては、前記標的化構造体は、受動的標的化構造体である。
他方では、好ましい態様においては、前記標的化構造体は、活動的標的化構造体である。
特に好ましい態様においては、前記活動的標的化構造体はが、抗体、非抗体リガンド、アプタマー、又はそれらのフラグメントの領域である。
1つの態様においては、前記超微粒子は、治療的活性剤を含んで成る。
好ましい態様においては、前記治療的活性剤は、抗増殖剤、抗炎症剤及び光力学治療法のための色素から成る群から選択される。
【0043】
本発明の目的は、さらに、
(a)少なくとも1つの高分子電解質及び少なくとも1つの光学的蛍光剤を接触し;
(b)前記高分子電解質及び光学的蛍光剤をUV保護下で同時凝集し;
(c)前記同時凝集生成物を収穫する段階を含んで成る、本発明の超微粒子の調製方法により解決される。
【0044】
1つの態様においては、(b’)前記同時凝集生成物の表面を変性する段階を、さらに含んで成る。
1つの態様においては、前記段階(b)における同時凝集は4℃で行われる。
1つの態様においては、前記段階(b)における同時凝集は、pH7.0〜9.0で行われる。
好ましい態様においては、前記段階(b)における同時凝集は、pH7.5〜8.5で行われる。
【0045】
1つの態様においては、前記段階(b)における同時凝集は、UV−Visスペクトルを試験することによりモニターされる。
本発明の目的は、さらに前記超微粒子の表面上に、本発明の表面変性剤を適用する段階を含んで成る、本発明の超微粒子の表面変性方法により解決される。
本発明の目的は、さらにインビトロ適用のためへの本発明の超微粒子の使用により解決される。
【0046】
本発明の目的は、さらに、
(a)前記超微粒子と生物学的サンプルとを接触し;
(b)前記生物学的サンプルから非結合超微粒子を除去し;
(c)前記生物学的サンプルに結合される超微粒子を検出し;
(d)対照サンプルから得られる結果と、段階(c)で得られる結果とを比較する段階を含んで成る、本発明の超微粒子を用いてのインビトロ診断方法により解決される。
インビトロ診断のための方法の1つの態様においては、前記段階(c)における検出は、蛍光顕微鏡技法を用いることにより行われる。
【0047】
本発明の目的は、さらにインビボ適用のためへの本発明の超微粒子の使用により解決される。
【0048】
本発明の目的は、さらに、
(a)前記超微粒子を対象に適用し;
(b)前記対象に蓄積される超微粒子を検出する段階を含んで成る、本発明の超微粒子を用いてのインビボ診断方法により解決される。
1つの態様においては、前記段階(b)における検出は、CCD(電荷カップリング装置)技法を用いることにより行われる。
【0049】
本発明の目的は、さらに本発明の超微粒子のインビボ局在化方法により解決される。
インビボ局在化のための方法の1つの態様においては、前記超微粒子は、少なくとも1つの治療的活性剤を含んで成る。
本発明の目的は、さらに医薬的に許容できる組成物の製造のためへの本発明の超微粒子の使用により解決される。
【0050】
本発明の目的は、さらに本発明の超微粒子を含んで成る医薬的に許容できる組成物により解決される。
本発明の目的は、さらに本発明の超微粒子を含んで成るインビトロ及び/又はインビボ診断キットにより解決される。
【0051】
用語“超微粒子マトリックス”とは、本明細書において使用される場合、超微粒子の基本材料を形成する材料を言及する。規則として、前記マトリックスは、組織化された構造を有する。
用語“共凝集体”とは、本発明において使用される場合、凝集パートナーとして相互作用する少なくとも2種の異なった成分を必要とする凝集体を言及する。本明細書において使用される場合、凝集パートナーは、少なくとも1つの荷電された高分子電解質及び少なくとも1つの親水性の光学的蛍光剤である。
【0052】
用語“高分子電解質”とは、そのポリマー鎖及び/又は置換基に複数のイオン基を含むポリマーを言及する。高分子電解質のグループは、ポリアニオン体、ポリカチオン体及びポリ両性電解質を包含する。オリゴ電解質も同様に、明白に企画される。
【0053】
既に言及されているが、単一の場合、用語“高分子電解質”はさらに、ブロックコポリマー又はランダムポリマーを包含する。ブロック又はランダムポリマー及び荷電されていない化合物の組み合わせも考慮される。さらに、それらのポリマー及びコポリマーの種々の糖へのカップリング又はその誘導体の部分的疎水性置換が考慮される。PEIが使用される場合、この高分子電解質は、種々の分子量から入手でき、そしてPEI誘導体の中で、エトキシル化された誘導体が好ましい。
【0054】
用語“高分子電解質電荷”及び“光学的蛍光剤電荷”とは、分子当たりの電荷の量を言及する。
用語“光学的蛍光剤”とは、例えば可視光又はNIR線(励起)への暴露の間、これまで吸収されている可視光又はNIR線の形でエネルギーを放すことができる化合物を言及する。
【0055】
用語“深色団シフト”とは、一定の波長で、特に最大吸収での吸収において、より長い波長へのシフトを意味する。用語“残色団シフト”とは、より短い波長へのシフト(逆も真である)を意味する。“シフト”とは、波長の上昇又は下降、すなわちシフトの前の波長とシフトの後の波長との間の差異を意味する。本明細書において使用される場合、その差異は、“Δwavelength [nm]”により示される。
【0056】
共凝集体形成の間、“吸収強度の低下”は、消光効果及びJ−凝集体形成のためである。当業界においては、そのような低下はまた、“淡色効果”と言及される。“吸収強度の上昇”もまた、“濃色効果”と知られている。
【0057】
“補助電解質”は、光学的蛍光剤との反応により、高分子電解質及び光学的蛍光剤の共凝集体形成を支持するために添加される。これは、補助電解質がさらに電荷を提供するので、非常に少ない電荷を担持する色素、例えばインドシアニングリーンに関して特に有用である。この場合、補助電解質及び光学的蛍光剤は、高分子電解質と共に沈殿される。変性されたシクロデキストリンが補助電解質として使用される場合、それらはα−、β−、γ−又はδ−変性シクロデキストリンから選択され得る。
【0058】
高分子電解質又はオリゴ電解質がアニオン性であり、そして光学的蛍光剤がカチオン性であることが、本発明により企画される。この場合、アニオン性高分子電解質は好ましくは、アルギン酸、ヒアルロン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリビニルリン酸、アラビアゴム、ペクチン核酸、アニオン性タンパク質、リグニン、スルホン酸及びアニオン性変性シクロデキストリンから成る群から選択される。
【0059】
用語“超微粒子”とは、nm範囲でのサイズを有するコロイド状粒子を言及する。超微粒子は、小胞又は非小胞性超微粒子を記載することができる。“小胞性超微粒子”とは、本明細書において使用される場合、超微粒子マトリックスを有さない内部キャビティを封入する球体形状の本体を形成することにおいて特徴づけられる。内部キャビティは、流体媒体、例えば外部キャビティと同じか又はそれとは異なる流体により通常満たされる。“非小胞性超微粒子”とは、本明細書において使用される場合、対照的に、内部キャビティを欠いている。
【0060】
“変性剤”による超微粒子の表面の変性の1つの機構は、静電相互作用に基づかれる。好ましくは、変性剤は、ポリマー、例えば立体又は静電安定化を引起す変性されたポリエチレングリコールの群から選択され、そして循環における半減期を拡張するために、タンパク質、及び血液血漿の他の成分から超微粒子を防護する。超微粒子の表面の静電変性はまた、活性標的化を導き、そしてファンデルワールス力、二極−二極及び他の非共有相互作用と組合して存在することができる。他方では、変性剤は、超微粒子マトリックスに含まれる官能基と共有相互作用することができる。PEG[110]-GLU[10]は、PEI基材の超微粒子マトリックスを含んで成る超微粒子の表面上に適用される場合、血漿半減期を高めることが知られている。さらに、NADPナトリウム塩の使用は、蛍光強度を増強することが示されている。
【0061】
用語“標的化構造体”とは、細胞又は組織を特異的に標的化できる成分、例えばその対応する受容体を特異的に標的化するリガンドを言及する。当業者は、所定の組織における摂取又は局在化を増強するいずれかの標的化構造体が、標的化のための適切な候補体であり得ることを容易に認識するであろう。この構造体は、標的化分子の一部、例えば抗体又はそのフラグメント、非抗体リガンド又は細胞受容体、例えば細胞表面受容体に結合するフラグメント、又はアプタマーであり得る。前記構造体は、ペプチド、炭水化物、タンパク質、脂質、ヌクレオシド、核酸、変性された多糖又はそれらのフラグメントであり得る。さらに、リガンドはトランスフェリン又は葉酸であり得る。任意には、標的化分子は、超微粒子マトリックス又は超微粒子の成分に結合され得る。完全な標的化分子の他に、用語“標的化構造体”はまた、分子の一定領域も包含する。
【0062】
“活性標的化”とは、標的化が例えば受容体/リガンド相互作用により介在されることを意味する。通常、活性標的化は、相互作用パートナーにより包含される相補的構造体の適合性の程度に依存する。“受動性標的化”とは、対照的に、超微粒子の特定のサイズ及び性質、例えば疎水性及び電荷により支持される。
用語“治療的活性剤”とは、当業界において現在知られているすべての活性剤を包含する。遺伝子療法のための有用な活性剤はまた、本発明により包含される。
【0063】
超微粒子の調製方法においては、高分子電解質及び光学的蛍光剤が好ましくは、水性溶媒に溶解される。好ましくは、同時凝集形成は、約30〜60分、より好ましくは約45分間の軽い撹拌により支持される。同時凝集段階の最終で得られる懸濁液が、例えばMillipore限外濾過セルにより、又は特に、変性段階が続く場合、真空蒸発により濃縮され得る。生成される同時凝集生成物は、いずれかの適切なクリオプロテクター、例えばマンニトール又はラクトースの存在下での凍結乾燥により得られる。補助電解質が使用される場合、それが添加される。
【0064】
インビトロ診断のための方法においては、生物学的サンプルが対象、好ましくは脊椎動物、より好ましくは哺乳類、最も好ましくはヒトから入手できる。サンプルは、細胞溶解物、体液、組織及び組織ホモジネート、及び抽出物から成る群から選択される。超微粒子は好ましくは、液体ビークルに分散される。
【0065】
“対照サンプル”とは、インビトロ診断方法に使用される場合、健康な対象から得られたサンプルを言及する。他方では、得られる結果は、標準化されたパラメーターに比較され得る。
【0066】
また、インビボ診断のための方法においては、対象は好ましくは、脊椎動物、より好ましくは哺乳類、最も好ましくはヒトである。超微粒子は好ましくは、医薬的に許容できる液体ビークル、より好ましくは水性ビークル、最も好ましくは生理食塩水に分散される。適用経路は、全身性経路、例えば、j.v.注入、i.v. s.c.又はi.m.注射であるか、又は局部的であり得る。考慮される適用経路は、経口、鼻腔内、直腸及び膣内適用を包含する。
【0067】
本発明の超微粒子は、高分子電解質及び親水性の光学的蛍光剤の共凝集体を含んで成る超微粒子マトリックスにより特徴づけられ、ここで後者の蛍光剤は、高分子電解質のパートナーとして作用することによる超微粒子マトリックス形成に直接的に包含される。凝集パートナーの電荷比率が必須である一定の条件下で、静電及びπ−π相互作用のために、J−凝集体の形成をもたらす安定した超微粒子の沈殿が生じる。本発明の共凝集体形成の原理を示す図が図1に示される。
【0068】
それらの電荷による超微粒子自体の安定化のために、表面活性剤の添加はほとんど必要ではない。それにもかかわらず、一定の適用においては、界面活性剤の追加の使用はさらに、好都合であり、そして本発明により考慮される。
【0069】
J−凝集体は、その成分が高い程度の構造体に組織化することにおいて特徴づけられる。異なった充填型、例えば“ブリック型”又は“サンドイッチ型”が知られている。シアニン色素のJ−凝集体が、それらの興味ある光学的性質及び光電気装置へのそれらの可能性ある適用のために、広範囲に研究されて来た[Jelly, E.E. など. (1936); Kobayashi, T. (1996)]。Rousseauなど. (2002)は、チアカルボシアニン色素THIATSとのJ−凝集体の形成に対する異なったカチオン性ポリマー、例えばポリ(ジアリルデメチルアンモニウムクロリド)又はポリ(アリルアミン塩酸塩)の影響を研究した。
【0070】
さらに、J−凝集体は、分子が非凝集状態に比較して、低いエネルギーレベルで存在することにおいて特徴づけられる。従って、本発明の共凝集体が形成する場合、光学的蛍光剤の吸収における深色団シフトが観察される。TITCCの場合、そのシフトは、蛍光色素及び高分子電解質の正確な組成に依存して、756nmから795〜810nmの範囲における波長へである。従って、Δwavelengthは、深色団シフトの場合、+39nmから+54nmであり、そしてΔwavelengthは、浅色団シフトの場合、−39nmから−54nmである。
【0071】
さらに、J−凝集体における分子の高く組織化された構造体のために、色素の蛍光発光が消光され、すなわち発光強度は、非凝集状態に比較して、低められる。本発明の超微粒子の離解が、発光強度の上昇により達成され、逆もまた同じである。
【0072】
従って、本発明の好ましい態様の超微粒子は、(1)共凝集体が形成される場合、吸収の深色団シフト及び発光強度の低下、及び(2)離解の間、吸収の浅色団シフト及び発光強度の上昇により特徴づけられる。それらの特徴に基づいて、超微粒子の物理的状態、すなわち同時凝集された状態又は離解された状態が識別され得る。
さらに、光学的蛍光色素は超微粒子マトリックスの一部であるので、色素は超微粒子内で高く濃縮される。
【0073】
本発明の超微粒子は、インビボ及びインビトロ診断のために特に有用である。生存生物への本発明の超微粒子の適用の後、それらは特に、腫瘍組織において富化する。これは、受動性及び活性標的化効果のためである。標的化された組織に局在化されると、本発明の超微粒子は、エンドサイトーシスを通して組織細胞により摂取される。この細胞組み込みに続いて、超微粒子の成分への離解が生じ、“遊離”光学的蛍光剤をもたらす。血液血漿を用いてのインビトロ実験から、離解がイオン濃度の変化及び荷電された血液化合物、例えばアルブミン又は塩の存在により支持される。細胞内離解に続いて、たぶん“プロトンスポンジ“効果がもたらされる。さらに、超微粒子の離解は、光学的蛍光剤の急速な開放、及び検出のための高い色素濃度の提供をもたらすいずれかのポリマー離解に関係なく生じる。
【0074】
従って、本発明の超微粒子は、受動性及び活性標的化のために、病理学的に変更された組織において選択的に富化し、そして同時に、インビボイメージングの感受性は、細胞内遊離の光学的蛍光色素の蛍光シグナルが高められるので、増強される。
さらに、本発明の超微粒子は、治療的活性剤を含んで成る超微粒子を提供する。この特定の場合、本発明の超微粒子は、光学的蛍光剤のキャリヤーとして及び薬物キャリヤーそして作用する。
【0075】
最終的に、上記に論じられる超微粒子の顕著な性質は、超微粒子の安定性、特に表面変性の効果を研究するためにインビトロシステムに都合よく使用され得る。同時凝集成分及びいずれかの表面変性の両者が超微粒子の安定性及び従って、それらの離解プロフィールに高く影響を及ぼすことができることは示されている。さらに、そのようなインビトロシステムは一般的に、高分子電解質及び光学的蛍光剤の選択に対して、及び超微粒子表面変性の開発に対して、超微粒子を企画するために使用され得る。
【0076】
本発明の特定の記載:
本発明は、特定の態様及び例を提供することにより、より詳細に下記に概略される。
【実施例】
【0077】
例1:PEIに基づく光学的蛍光超微粒子:
(a)PEI基材の超微粒子の調製:
0.1%(w/v)PEI(1.8, 10, 70又は750kDa)の水溶液を軽く撹拌し、そして0.02%(w/v)TITCCの水溶液をすぐに添加する。さらに、この組成物を、UV保護下で約4℃で約30〜45分間、撹拌する。凝集工程を、900nmから出発して、600nmまでのUV-Visスペクトルによりモニターした。TITCC色素は、PEI超微粒子中に組込まれる場合、蛍光活性を有することが示されており、そして凝集体形式が、UV-Visスペクトルのシフトに基づいてモニターされ得る(図4)。超微粒子分散体を、限外濾過により濃縮し、そしてクリプトプロテクター、例えばマンニトール又はラクトースの添加の後、凍結乾燥した。
【0078】
図4に示されるように、J−凝集体への色素分子の完全な形成が、150、175及び200%過剰のPEIの場合、生じた。これは、純粋な色素の756nmの出発波長の不在により、及びJ−凝集体からの約800nmでの新しい最大波長により確かめられる。100及び125%過剰のPEIの場合、2種の最大波長は、色素がJ−凝集体として単に部分的に結合されることを示す。従って、純粋な色素の波長及びJ−凝集体の最大波長が、並んで検出され得る。すべての測定されたサンプルは、同じ濃度の色素を含んだ。吸収はJ−凝集体における消光効果により低められる。UV−Visスペクトルを、UV-2401-PC分光計(Shimadzu Corp.)により記録した。
【0079】
図5に示されるように、756nmから810nmへの最も遠い波長シフトが、最少量の過剰のカチオン性ポリマーにより得られる。これは、安定化のための少数のカチオン性電荷が利用できる場合、よりコンパクトな色素−ポリマー複合体のためであり得る。その複合体は、約795nmへのより小さなシフトをもたらす、より多くの量のポリマーを有する場合、より低いコンパクト性であり、逆もまた真である。
【0080】
過剰のカチオン性高分子電解質の場合、J−凝集体の100%形成が結果である。約100〜200%までの過剰で、超微粒子は、最適化された静電安定化のために、より小さなサイズを有した。TITCC:PEIの比率が1:1に近いほど、複合体は、より大きな粒子の沈殿及び沈降の結果により一層不安定になり、逆もまた真である。TITCCに対するPEIの量を調節することにより、超微粒子サイズは20〜700nmの範囲で変化することができる。サイズは、Malvern Instrumantsからの“Zetasizer 3000”と共にDLS(Dynamic Light Scattering)により決定された。イオン性自己アセンブリーによる調製方法は、狭い粒度分布を有する粒子をもたらした。変性された及び変性されていない粒子(図6)は、0.1以下の多分散性指数を示した。Zeta電位測定を、一定pH下で実施した。図6に示されるように、超微粒子は、変性を伴って及び変性を伴わないで、2週間にわたって一定のサイズを有し、このことは水溶液におけるそれらの安定性を示す。
【0081】
粒子は、TEM観察により示されるように、球体形状を有し(図2)、そして約100nmのサイズを有する。球体形状は、動的光散乱(DLS)と共に光相関分光学(PCS)に基づいての超微粒子のサイズの決定のための決定因子である。
さらに、変性されていない粒子の表面電位を、45−55mVのZeta電位として決定し、これは、PEI鎖のカチオン性電荷が超微粒子の周囲の安定化を形成することを示す。複合体化されないまま存続するPEI鎖は、立体的及び静電安定化を引起す。
【0082】
図7に示されるように、変性された超微粒子の一定に低められた表面電荷は、アニオン性化合物による好都合な表面変性を確かにする。Zeta電位は0mVに接近するが、それらの超微粒子は、図6に見られるようなサイズにおいて安定していた。これは、静電及び立体的安定化の組合わせによるものである。
本発明の共凝集体形成の原理を示すスキームが図1に示される。
【0083】
(b)PEI基材の超微粒子の表面変性:
超微粒子の表面を、静電相互作用を利用することにより変性することができる。このためには、インビトロ実験で示されるように血液血漿における超微粒子の高められた半減期をもたらすブロック−コポリマーPEG[110]-b-BLU[10]が使用され得る。さらに、PEG[110]-b-BLU[10]の他に、NADP二ナトリウムの使用が、増強された蛍光強度をもたらす。
表面変性の原理を示すスキームが図3に示される。
【0084】
(c)PEG[113]-PEI[30]に基づいての超微粒子:
超微粒子の増強された安定性が、たぶん追加のPEGブロックのために、PEG[113]-PEI[30]を用いて得られる。
離解の進行が、例1に記載されるように、超微粒子による離解に比較して、遅められる。離解の間、非常に鋭い等吸収点が観察され、このことは、光学的蛍光剤が、いずれの中間状態の存在を伴わないで、2種の反対状態(遊離/共凝集体化された)で存在することを示す。
【0085】
例2:プロタミンスルフェートに基づく超微粒子:
カチオン性プロタミンスルフェートは、ヘパリンアンタゴニストとして広くインビボで使用される。従って、カチオン性高分子電解質としてプロタミンスルフェートを含んで成る超微粒子は、経験される低い毒性のために卓越している。
【0086】
例3:P(DMAPMAM)に基づく超微粒子:
水/アセトン(10:1、体積による)中、0.1%P(DMAPMAM)の溶液を、軽く撹拌し、同時に0.02%TITCCの溶液を即座に添加する。さらなる撹拌下で、凝集体の形成が生じ、同時にアセトンを除去する。
【0087】
例4:β−シクロデキストリンホスフェート、PEI及びICGに基づく超微粒子:
0.1%β−シクロデキストリンホスフェートの水溶液を、0.02%インドシアニングリーン(ICG)の水溶液と共に混合し、そしてさらに、約1時間、撹拌する。この混合物を、0.1%PEI(25又は750kDa)の水溶液中に注入する。凝集の進行を、900nmで出発して、600nmまでUV-Visスペクトルによりモニターする。超微粒子懸濁液を限外濾過により濃縮し、そしてクリオプロテクターの添加の後、凍結乾燥する。
【0088】
例5:PEI/色素−12−アミドデカン酸接合体及びラウリン酸に基づく超微粒子:
(a)超微粒子の調製:
超微粒子の調製のために、0.01%のポリエチレンイミン(25kDa)の水溶液、0.1%の色素−アミノドデカン酸接合体(下記参照のこと)の水溶液及び1%のラウリン酸を含むエタノール溶液を調製した。色素−アミノドデカン酸接合体の溶液を、ラウリン酸溶液と共に混合した。この混合物を、一定の撹拌下で即座に、沈殿をもたらすPEI溶液に添加した。超微粒子分散体を、エタノールの除去のために、約24時間、撹拌した。分光学的性質及びサイズは、異なった電荷比率の3種の化合物の使用により変更され得る。複合体の形成はまた、純粋なラウリン酸の不在下でも可能である。
【0089】
(b)色素−12−アミノドデカン酸接合体の調製:
二ナトリウム3,3-ジメチル-2-{7-[3,3-ジメチル-5-スルホナト-l-(2- スルホナトエチル)-3H-インドリウム-2-イル]-ヘプタ-2,4,6-トリエン- 1 -イリデン} - 1 -(2-スルホナトエチル)- 2,3-ジヒドロ-lH-インドール-5-カルボン酸-(l l-カルボキシウンデシル)-アミド=色素−12−アミノドデカン酸接合体の合成(図13:色素−12−アミノドデカン酸接合体の合成のための化学反応式)。
【0090】
(1)N−ヒドロキシスクシンイミジルエステルへの二ナトリウム3,3-ジメチル-2-{7-[3,3-ジメチル-5-スルホナト-l-(2- スルホナトエチル)-3H-インドリウム-2-イル]-ヘプタ-2,4,6-トリエン- 1 -イリデン} - 1 -(2-スルホナトエチル)- 2,3-ジヒドロ-lH-インドール-5-カルボン酸の転換:
8mlのジメチルホルムアミド中、0.15mg(0.2mモル)の色素、0.23g(2.0mモル)のN−ヒドロキシスクシンイミドの混合物を、3mlのジメチルホルムアミド中、0.2mg(1.0mモル)のN, N’−次シクロヘキシルカルボジイミド(DCC)の溶液により処理し、そして室温で4時間、撹拌する。この混合物をジエチルエーテル中に注ぎ、そして得られる固形物を遠心分離により集める。ジエチルエーテルを用いてのジメチルホルムアミドからの沈殿工程を、3〜4度、反復する。NHS−エステルを、窒素下で乾燥し、そして次の段階において直接使用する。
【0091】
(2)12−アミノドデカン酸との反応:
0.5mlのジメチルホルムアミド及び0.3mlのジクロロメタン中、15mg(0.018mモル)のNHS−エステル及び11mg(0.05mモル)の12−アミノドデカン酸CAS[693-57-2]の溶液を、40℃で36時間、撹拌する。ジエチルエーテルによる沈殿化の後、得られる固形物を水/メタノールに溶解し、そして分離用HPLC(RP18、溶離剤 水/メタノール)により精製する。生成物を、青色の凍結乾燥生成物(収量4.2mg)として得る。
【0092】
例6:変性されたPEI/TITCCの性質:
図6に見られるように、変性された超微粒子は、NADP二ナトリウム塩及びPEG[110]-b-Glu[10]から成る追加の表面層のためである、変性されていない超微粒子に比較して、わずかな粒度上昇を示した。14日の期間にわたって、変性された及び変性されていない粒子は、一定の粒度データ及び粒度分布に従って、安定して存続した。それらのデータから、好都合で且つ永久的な表面変性が得られたことが結論づけられ得る。さらなる証拠は、一定pH下で行われるZeta電位測定からの結果を示す図5から得られる。
【0093】
表面電位は、約+40〜+45mVから約+5mVに、表面変性により低められた(図7)。NADP二ナトリウム塩及びPEG[110]-b-Blu[10]から成る変性層は、PEGブロックのために最大の立体的安定化を提供した。従って、静電安定化の最少化は、サイズ及び表面電荷定常性から結論づけられるように、不安定化効果を有さなかった。
【0094】
図8は、例1(a)及び(b)に従って調製され、そして変性された超微粒子が、インキュベーターシェーカーにおいて37℃で応力を与えられる場合、48時間まで安定して存続することを示す。
図9は、血液血漿における変性された超微粒子の離解が、約15時間後、ほぼ完結される(ここで、その半減期は約3時間である)ことを示す。
【0095】
例7:血漿における超微粒子安定性:
図10は、血漿におけるインキュベーションの後、PEG[113]−PEI[30]/TITCC超微粒子の離解を示す。色素分子がJ−凝集体として高く指図されている超微粒子複合体は、795nmの最大吸収性を有する。超微粒子がそれらの成分、すなわち遊離色素及び高分子電解質に解離する場合、最大シフトは795nmから756nmへである。すべてのスペクトルには鋭い等吸収点に適合し、このことは、色素のわずか2種の状態、すなわち離解の後、超微粒子内にJ−凝集体として結合された状態及び遊離状態が生じることを確かにする。さらに、吸収性は、消光効果の不在のために、離解工程内で上昇する。
【0096】
例8:超微粒子サイズの測定:
超微粒子のサイズを、DLS(動的光散乱)に基づいてPCS(光子相関分光学)の原理を通して“Zetasizer 3000”(Malvern Instruments)により決定した。さらに、サイズをTEM(透過電子顕微鏡)により決定した。採られるイメージは、PCS方法によるサイズ測定のための決定因子である、超微粒子の球体形状を確かにした。測定は、一定温度(25℃)及び溶液の定義される粘度で、適切に希釈されたサンプルにより行った。
【0097】
PCSは、3nm〜3μmの直径を有する粒子のサイズ決定のための適切な方法である。溶媒の分子は、ブラウン運動により駆動される永久的運度にある。これは、それらの溶媒分子との衝突の後、粒子の非方向性運動をもたらす。粒子のサイズが小さいほど、それらの運動は早い。レーザー光線が粒子のサンプルに焦点を合わせられる場合、その光は粒子の表面上で散乱される。散乱された光の強度は、粒子の非方向性運動のために、及び時間の関数として変動する。従って、最小で且つ最速の運動粒子が、散乱された光の強度の最高の変動を引起す。90°の角度下で、それらの変動は検出される。それらの変動により、自動相互関数に基づいてサイズ分布を決定することができる。平均流体力学的直径を、その相互関数の傾斜から計算する。
【0098】
例9:超微粒子の表面電荷の測定:
粒子の表面電荷を、“Zetasizer 3000”(Malvern Instruments)により、Zeta電位として決定した。
等濃度の超微粒子の分散体を、MilliQ水により希釈し、そして測定を一定pH及び一定温度で行った。Zeta電位測定は、LDA(レーザードップラー風力測定法)の原理に基づかれている。Zeta電位は、分散層の最大部分がこの粒子の運動により剪断された場合、運動粒子の剪断表面に沿っての電位である。
【0099】
荷電された表面を有する粒子は、電場において、反対に荷電された電極に移動し、そしてその移動粒子の速度は表面電荷の量及び電場強度に依存する。電気泳動移動度は、速度及び電場強度の比率である。電気泳動移動度及び因子13の生成物は、Zeta電位〔mV〕を提供する。
【0100】
電場における粒子の速度は、LDAの原理に基づいて決定される。従って、レーザー線は、電場内で移動する粒子に対して焦点を向けられ、そして散乱されたレーザー光が検出される。粒子の運動のために、主要レーザー波長に比較して、反射されたレーザー波長のシフトが観察される。周波数シフトの大きさは、速度に依存し、そしてドップラー周波数シフト(ドップラー効果)と呼ばれる。ドップラー周波数シフト、散乱角度及び波長により、速度が決定され得る。
【0101】
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【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】図1は、光学的蛍光剤、及び超微粒子の沈殿をもたらす高分子電解質の凝集を示すスキームである。図においては、光学的蛍光剤はダイヤモンド形状の成分により表される。
【図2】図2は、PEI及びTITCCから構成される超微粒子を示す透過電子顕微鏡(TEM)写真である。
【図3】図3は、NADP二ナトリウム塩及びPEG[110]-b-GLU[10]を有するPEI/TITCCの表面変性を示すスキームである。この図においては、NADP二ナトリウム塩のアニオン成分(負の電荷を有する黒色球体)及び負に荷電されたPEG[110]-b-GLU[10](尾を有する球体)と共に、表面変性を有さない正に荷電された超微粒子(左側)が、表面変性された超微粒子(右側)を形成する。
【0106】
【図4】図4は、PEI/TITCC超微粒子の形成の間、吸収におけるシフトのUV-Visスペクトルを示す。
【図5】図5は、色素ポリマー比率の関数としてのPEI/TITCC超微粒子の最大吸収性を示す。
【図6】図6は、37℃でのインキュベーションシェーカーにおけるインキュベーションの後、図3に示されるような表面変性を有するか又は有さないPEI/TITCC超微粒子のサイズの安定性データを示すグラフである。
【図7】図7は、図3に示されるような表面変性を有するか又は有さないPEI/TITCC超微粒子のZeta電位の安定性データを示すグラフである。
【0107】
【図8】図8は、図3に示されるような表面変性を有する、血漿におけるPEI/TITCC超微粒子の安定性データを示すグラフである。
【図9】図9は、図3に示されるような表面変性を有する、血漿におけるPEI/TITCC超微粒子の離解の時間経過を示すグラフである。
【図10】図10は、血漿におけるインキュベーションの後、PEG[113]-PEI[30]/TITCC超微粒子の離解工程のUV-Visスペクトルを示す。
【図11】図11は、PEI/色素−12−アミノドデカン酸接合体超微粒子のUV-Visスペクトルを示す。
【0108】
【図12】図12は、三ナトリウム-3,3-ジメチル-2-{4-メチル-7-[3,3-ジメチル-5-スルホナト- l-(2-スルホナトエチル)-3H-インドリウム-2-イル]ヘプタ-2,4,6-トリエン-l-イリデン}-l-(2-スルホナトエチル)-2,3-ジヒドロ-lH-インドール-5-スルホネート、内部塩(TITCC)の化学構造を示す。
【図13】図13は、二ナトリウム3,3-ジメチル-2-{7-[3,3-ジメチル-5-スルホナト-l-(2- スルホナトエチル)-3H-インドリウム-2-イル]-ヘプタ-2,4,6-トリエン- 1 -イリデン} - 1 -(2-スルホナトエチル)- 2,3-ジヒドロ-lH-インドール-5-カルボン酸-(l l-カルボキシウンデシル)-アミド(色素−12−アミノドデカン酸接合体)の合成の化学反応式を示す。
【図14】図14は、フルオレセイン二リン酸アンモニウム塩の化学構造を示す。
【図15】図15は、インドシアニングリーンの化学構造を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学的蛍光活性を有する超微粒子に関する。より詳細には、本発明は、高分子電解質及び親水性の光学的蛍光剤の共凝集体を含んで成る超微粒子マトリックス、及び前記超微粒子マトリックスを含んで成る超微粒子に関する。任意には、超微粒子は表面変性される。本発明はまた、前記超微粒子の調製方法及び表面変性方法にも関する。本発明はさらに、インビトロ及びインビボでの前記超微粒子の使用、及びインビトロ及びインビボ診断方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景:
診断目的のためには、光学的蛍光色素は、低エネルギー蛍光は例えば、高エネルギー放射線に比較して、生物学的に安全であるので、特に有用である。今日、光学的蛍光色素は、インビトロ診断方法に広く使用されており、ここで実質的に有害な放射線への実験スタッフの照射が低められる。しかしながら、インビボイメージング方法においては、生物学的安全性がさらに有意であり、そして従って、そのような診断方法に光学的蛍光色素を利用する試みが行われて来た。
【0003】
蛍光イメージングは、特定波長を有する励起光への暴露に基づいて蛍光を発する物質を、コントレスト剤として使用する。従って、患者又は身体の一部が身体外からの励起光に暴露され、そして身体における蛍光コントレスト剤から放される蛍光が検出される。
蛍光色素、例えばフルオレセイン、フルオレサミン及びリボフラビンは、約400〜600nmの可視光の領域で光を放出する。この領域においては、生存組織を通しての光透過は、非常に低く、その結果、身体の深い部分での検出はほとんど不可能である。
【0004】
US2004/213740号は、光の可視領域で吸収し、そして放す、非常に親水性のインドール及びベンゾインドール誘導体を開示する。それらの化合物は、生理学的及び器官機能モニターリングのために、特に腎及び心臓疾患の光学的診断のために、及びインビボでの血液体積の推定のために有用である。
【0005】
しかしながら、より深部の組織のイメージングは、近赤外線(NIR;600−1000nm)において放す光学的蛍光色素を必要とする[Intes and Chance (2005)]。これは、それぞれ、可視及び赤外光の主要吸収剤であるヘモグロビン及び水は、650−900nmの範囲のNIR領域においてそれらの最低の吸収係数を有する。NIR光は、マイクロワットレーザー源を用いて、10cmの乳房組織及び4cmの頭蓋/脳組織又は深部筋肉を通して少なくとも透過することが示されている(Food and Drug Administration, FDA, class I10) [Weissleder (2001a))。
【0006】
WO00/16810号は、分子に3個又はそれ以上のスルホン酸基を有する化合物を含んで成るNIR蛍光コントラスト剤、及び生存細胞中にNIR蛍光コントラスト剤を導入し、身体を励起光に暴露し、そして前記コントラスト剤からのNIR蛍光を検出することを含んで成る蛍光イメージング方法を開示する。WO00/16810号によれば、生物学的組織を通しての前記開示されるNIR蛍光色素により供給される光の透過は卓越している。従って、生存身体の深部における検出が利用できるようになった。さらに、発明のコントラスト剤は、水溶解性及び低毒性の両者において卓越し、そして従って、それは安全に使用され得る。WO00/16810号に開示されるNIR蛍光コントラスト剤により含まれる1つの特定の化合物は、四スルホネート化されたインドトリカルボシアニンである。
【0007】
そのようなNIR色素はまた、分子イメージングのために特に有用であるものとして判明されている。用語“分子イメージング”とは、細胞及び分子レベルで生物学的工程のインビボ特徴化及び測定として広く定義され得る。従来の診断イメージングと対照区別して、それらの分子変更の最終効果をイメージングするよりもむしろ、疾病に基づく分子異常をプローブすることが示されている[Weissleder (2001)]。
【0008】
しかしながら、高性能のいずれかのインビボイメージング方法は、病理学的に変更された組織、例えば腫瘍又は炎症組織、及び取り囲まれる不変更の組織の最適化された識別を必要とする。前記方法の感受性及び信頼性は、真の陽性シグナル及び負の又は誤った陽性バックグラウンドシグナルの比率に依存する。この比率は、蛍光色素の透過性質によってのみならず、また、組織内の色素の分布によって影響される。従って、改良された透過性質を有する蛍光色素の開発の他に、もう1つの挑戦は、病理学的に変更された組織における蛍光色素の富化を最大にすることである。
【0009】
病理学的変化を選択的に受けた細胞及び組織を標識するための1つのアプローチは、特異的に又は少なくとも優先的に、興味ある組織において発現され、そして例えば抗体によりその組織上で暴露される細胞表面構造体の標的化である。さらに、通常使用されるような組換え抗体は、全身的に適用される場合、有害な免疫原性副作用の危険性にまだ関連している。
【0010】
あるいは、特異的に発現された細胞表面構造体、例えば受容体は、小分子標的化プローブ、例えばリガンド又はリガンド類似体により標的化され得る。1つのそのような例は、多くの腫瘍型上で過剰発現される葉酸塩受容体を標的化するNIR色素に接合される葉酸である。
【0011】
興味あることには、病理学的に変更された組織が、超微粒子として言及される、ナノメーター規模での粒子により標的化され得ることが示されている。そのようなシステムが腫瘍組織を標的化するために使用される場合、例えば治療剤の可能性ある副作用が低められ得る[Dass 2000]。優先的には、その構造は、その機構が受動性標的化として知られている健康な組織に比較して、増強された接近性をもたらす固形腫瘍組織のゆるく且つ多孔性の構造体のためである[Liottaなど. (1976)]。従って、超微粒子は、通常知られている“増強された透過性及び保持効果”(EPR効果)を用いて、選択的な病理学的変更組織を染色するための機会を提供する。標的物特異的分子を有するそれらの超微粒子複合体の表面の変性は、受動性及び活性標的化効果を兼ねそなえ、そして標的化された組織におけるより特異的蓄積をもたらす。
【0012】
医学の分野において広く使用されて来た、ナノメーター規模での特定のシステムは、非毒性の天然の脂質、主にリン脂質から構成されるリポソームである。より最近のその変異体は、合成ポリマーから調製されたポリマーソームである。リポソーム及びポリマーソームは、それらの化合物の両親媒性特徴のために、水性媒体において自発的に形成される小胞である。親水性分子は水性内部に閉じ込められるが、しかし疎水性分子は膜に集結される。
【0013】
小胞の表面の親水性被膜は、それらの循環半減期を延長し、そして従って組織におけるそれらの局在化を延長することができる(“秘密リポソーム”)。より精巧化されたアプローチは、悪性細胞上の細部表面分子を選択的に標的化できる小胞である。このためには、標的成分、例えば抗体が小胞の表面に結合される。しかしながら、そのような小胞からの早過ぎる開放性と組み合わされる低いペイロード蛍光色素は、調査されるべき組織において十分な濃度ではない[Derycke and Witte (2004)]。
【0014】
他方では、生分解性ポリマー、例えばポリ乳酸(PLA)又はポリ乳酸−コ−グリコール酸(PLGA)が、超微粒子の調製のために使用され得る。この場合、蛍光色素、例えばインドシアニングリーンが、マトリックス形成ポリマーの生分解の間、開放される[Saxena などl. (2004a); Saxena など. (2004b)]。しかしながら、この方法は、所定の時間で十分な濃度の蛍光色素を供給するには遅過ぎる。さらに、WO2004/064751号に開示されているように、親水性蛍光色素による負荷能力は特に低い。
【0015】
US2005/0019265号及び同様に、US2005/0003016号は、多くの両親媒性コポリマー、及びポリマーソーム膜内に分散される少なくとも1つの可視又は近赤外線−幅射剤を含んで成る、約50nm〜約50μmの範囲でのポリマーソームを開示する。両親媒性ブロックコポリマーの他に、ポリマーソームは、疎水性及び親水性ポリマーを含むことができる。いくつかの態様においては、多ブロックポリマーが架橋され得、そして蛍光団がそこに埋封される。
【0016】
ポリマーソームは、インビトロ及びインビボでの診断又はイメージング方法への使用のために考慮される。任意には、ポリマーソール表面は、選択性を改良するために生物学的成分により変性される。ポリマーソームが特徴づけられる厚い膜は、それらがリン脂質から構成される天然の膜に導入され得ない大きな蛍光団の組込みを可能にするので、好都合である。しかしながら、光学的蛍光剤は、ポリマーソーム膜内で色素を実質的に溶解性にするために疎水性であるべきである。活動的標的化成分の必要なしにインビトロ又はインビボ診断方法へのポリマーソームの適用は、US2005/0019265号に明確には言及されていない。
【0017】
EP0454044号及びまた、CA2041093号から、ポリカチオン性及びポリアニオン性化合物及び少なくとも1つの活性剤から構成される高分子電解質複合体からのコロイド状超微粒子の調製は知られている。活性剤が超微粒子中に導入され得る他の機構の中で、活性剤は高分子活性剤は高分子電解質複合体パートナーとして直接的に作用することができる。しかしながら、この場合、活性剤は、極性化され得る少なくとも1つの電荷又は官能基を必要とする。光学的蛍光剤の作用は、EPO454044号には言及されていない。
【0018】
WO2004/096998号は、腫瘍血管系を標的化し、そして抗脈管形成化合物を供給することができる超微粒子供給システムを開示する。その超微粒子システムは、水基材のコアー及びコアーを取り囲む水基材のコロナを含んで成る。コアーは少なくとも1つのポリアニオン性ポリマーを含み、そしてコロナは少なくとも1つのポリカチオン性ポリマー、及びポリマーに架橋されるか又は接合される標的化リガンドを含んで成る。選択的標的化の他に、超微粒子はまた、生物発光及び/又は磁気共鳴(MR)イメージングを用いて、非侵入性イメージングを行うことができる。NIRにおいて放出するコントラスト剤が明確には言及されていない。
【0019】
MR及び光学的蛍光検出を組合すイメージングプローブを、生存生物における、より詳細な分析及び分子情報を得るために開発されてきた[Josephsonなど. (2002)]。MRイメージングにより、超微粒子プローブが局在化され、同時に光学的蛍光イメージングがその局在化された組織の分子性質についての情報を提供する。
【0020】
DE10236409号は、少なくとも1つの層が蛍光色素を含んで成る、層−層構造を有するマイクロカプセルを開示する。単分散でのコロイドが、高分子電解質により被覆される。異なった蛍光色の色素が、共有結合により高分子電解質に含まれ、ここでフルオレセインイソチオシアネート及び四メチルローダミンイソチオシアネートが明確に言及されている。バリヤーが、所望しない反応を阻止するために層間に存在する。カプセルコードは、励起及び発光波長の変動により読み取られる。
【0021】
WO2004/108902号は、インビトロ及びインビボ光学的分子イメージングにおいて、イメージングプローブとして使用される生物適合性被膜を有する蛍光珪素超微粒子を開示する。超微粒子はNIR蛍光能力を有することが好ましい。
【0022】
活性剤及びシクロデキストリンから調製された複合体のポリマー超微粒子への組み込みがまた、報告されている[Duchene など. (1999); Boudad など. (2001)]。シクロデキストリンが、非経口又は経口適用のあと、生理学的条件下で活性剤の弱い溶解性を克服するために使用された。β−シクロデキストリンは、経口医薬組成物において溶解剤として、ビタミンの調製において溶解剤として、及び味覚及び臭覚の改良のために広く使用される。溶解剤としてのシクロデキストリンの性質は、疎水性活性剤が疎水性コアー中に閉じ込められている封入体複合体の形成に基づかれている。多くの場合、その封入体は、活性剤の増強された化学的及び物理的安定性により達成される。
【0023】
シクロデキストリン誘導体の中で、ヒドロキシ−β−シクロデキストリンは、注入溶液(Sempera(商標))の中の成分としてすでに登録されている。さらに、特定の組成物におけるカチオン性変性シクロデキストリンは、遺伝子トランスフェクション技法における有用な代換物として記載されている(Bellocq など. (2003); Pun など. (2004); WO 03/072367号; WO 02/49676号)。活性剤としてヒドロコルチゾルを含むシクロデキストリン封入複合体がいわゆる固体脂質超微粒子(SLN)中に組込まれる場合、活性剤の負荷能力が増強された。相応じて、ヒドロコルチゾルの開放性が、シクロデキストリンを含まない調製物に比較して、低められた[Cavalliなど. 1999]。
【0024】
組織を対比するために生物学的安全代換物として蛍光イメージングを使用するためには、標的組織へのNIR色素の供給のための改良されたシステムが開発されるべきである。障害、例えば抗体の免疫原性効果、従来のポリマー超微粒子の低いペイロード、及びポリマー分解に基づくそれらの遅い開放挙動性が、それらの問題を克服するための革新的解決策のための能力が存在することを示す。
【0025】
結果的に、診断方法への使用のために、及び治療介入をモニターするために、生物学的に安全で、選択的な且つ敏感な用具の必要性がまだ当業界には存在する。
従って、本発明の目的は、適切な用具及びそれらの使用方法を提供することである。
【発明の開示】
【0026】
発明の要約:
本発明の目的は、少なくとも1つの荷電された高分子電解質及び少なくとも1つの反対に荷電された活性剤(親水性の光学的蛍光剤である)の共凝集体(co-aggregate)を含んで成る超微粒子マトリックスにより解決される。
【0027】
1つの態様においては、合計の高分子電解質電荷及び合計の光学的蛍光剤電荷の比率は、電荷過剰をもたらす。
1つの態様においては、前記光学的蛍光剤は、可視−又はNIR−輻射化合物である。
1つの態様においては、前記光学的蛍光剤は、NIR−輻射化合物である。
1つの態様においては、前記光学的蛍光剤は、平面芳香族及び高く接合されたシステムを含んで成る。
【0028】
1つの態様においては、前記光学的蛍光剤は、共凝集体形成の間、UV−Vis吸収スペクトルにおける深色団シフトを示す。
好ましい態様においては、前記光学的蛍光剤は、離解の間、UV−Visスペクトルにおける浅色団シフトを示す。
特に好ましい態様においては、前記深色団及び/又は浅色団シフトは、約20nm〜約80nmの範囲でのΔwavelengthにより特徴付けられる。
【0029】
より特定の好ましい態様においては、前記深色団及び/又は浅色団シフトは、約40nm〜約50nmの範囲でのΔwavelengthにより特徴付けられる。
より特定の好ましい態様においては、前記深色団及び/又は浅色団シフトは、約44nmのΔwavelengthにより特徴付けられる。
1つの態様においては、前記光学的蛍光剤は、共凝集体形成の間、消光効果のために吸収強度の低下を示す。
【0030】
好ましい態様においては、前記光学的蛍光剤は、色素分子が複合体から離解される場合、消光効果の可逆性のために、共凝集体形成の間、吸収強度の低下、及び離解の間、吸収強度の上昇を示す。
1つの態様においては、前記高分子電解質はカチオン性であり、そして前記光学的蛍光剤はアニオン性である。
【0031】
1つの態様においては、合計の高分子電解質電荷及び合計の光学的蛍光剤電荷の比率は、約1.5:1〜約6:1の範囲にある。
好ましい態様においては、合計の高分子電解質電荷及び合計の光学的蛍光剤電荷の比率は、約1.5:1〜約3:1の範囲にある。
特に好ましい態様においては、合計の高分子電解質電荷及び合計の光学的蛍光剤電荷の比率は、約1.5:1である。
【0032】
1つの態様においては、前記カチオン性高分子電解質は、ポリエチレンイミン及び誘導体、例えばPEG[113]-b-PEI[30];ポリビニル誘導体、例えばポリビニルアミン、ポリビニルピリジン;ポリアルギニン、ポロヒスチジン;ポリリシン、リシンオクタデシルエステル;ポリグラニジン及びポリ(メチレン−コ−グアニジン);プロタミン、例えばプロタミンスルフェート;ポリアリルアミン、ポリジアリルジメチルアミン;ポリメタクリレート、例えばEudragit E、ポリ(ジメチル−アミノプロピル−メタクリルアミド)[P(DMAPMAN)]又はポリ(ジメチル−アミノエチル−メタクリレート[P(DMAEMA)];スペルミン、スペルミジン及びそれらのポリマーポリスペルミン及びポリスペルミジン;ポリヒスチジン;四量体化されたポリアミド、ポリ(ジメチル−アミノエチル−アスパルタミド)[PDAA];変性されたシリコーン;ポリホスファゼン;タンパク質、例えばヒストン;変性された澱粉、変性されたゼラチン、変性されたセルロース、例えばアミノ化されたセルロースエーテル;アミノ化されたデキストラン、アミノ化されたシクロデキストリン、アミノ化されたペクチン;キトサン;及びそれらの塩及び誘導体から成る群から選択される。
【0033】
好ましい態様においては、前記高分子電解質はポリエチレンイミンである。
1つの態様においては、前記光学的蛍光剤は、スルホネート及びホスフェートから成る群から選択された、過剰の負に荷電された基を含んで成る。
1つの態様においては、前記光学的蛍光剤は、ポリメチレン色素、好ましくはシアニン色素である。
【0034】
好ましい態様においては、前記光学的蛍光剤は、インドトリカルボシアニン色素又はインドジカルボシアニン色素である。
より好ましい態様においては、前記光学的蛍光剤は、四スルホン化されたインドトリカルボシアニン色素である。
【0035】
特に好ましい態様においては、前記光学的蛍光剤は、三ナトリウム-3,3-ジメチル-2-{4-メチル-7-[3,3-ジメチル-5-スルホナト- l-(2-スルホナトエチル)-3H-インドリウム-2-イル]ヘプタ-2,4,6-トリエン-l-イリデン}-l-(2-スルホナトエチル)-2,3-ジヒドロ-lH-インドール-5-スルホネート、内部塩(TITCC)である。
【0036】
他方では、特に好ましい態様においては、前記光学的蛍光剤は、二ナトリウム3,3-ジメチル-2-{7-[3,3-ジメチル-5-スルホナト-l-(2- スルホナトエチル)-3H-インドリウム-2-イル]-ヘプタ-2,4,6-トリエン- 1 -イリデン} - 1 -(2-スルホナトエチル)- 2,3-ジヒドロ-lH-インドール-5-カルボン酸-(l l-カルボキシウンデシル)-アミド(色素−12−アミノドデカン酸接合体)である。
【0037】
1つの態様においては、前記マトリックスはさらに、少なくとも1つの補助電解質を含んで成る。
好ましい態様においては、前記補助電解質は、変性されたシクロデキストリン、キレート化剤、デンドリマー及びクラウンエーテルから成る群から選択される。
より好ましい態様においては、前記補助電解質は、前記高分子電解質の電荷に対して反対の電荷である。
【0038】
より好ましい態様においては、前記変性されたシクロデキストリンは、リン酸化された、硫酸化された、カルボキシメチル化された、及びスクシニル化されたシクロデキストリンから成る群から選択されたアニオン性シクロデキストリンである。
最も好ましい態様においては、前記アニオン性シクロデキストリンは、ヘプタキス−(2,3−ジメチル−6−スルホ)−β−シクロデキストリン又はヘプタキス(2,6−ジアセチル−6−スルホ)−β−シクロデキストリンである。
【0039】
他方では、最も好ましい態様においては、前記アニオン性シクロデキストリンは、β−シクロデキストリンホスフェートである。
本発明の目的はさらに、本発明の超微粒子マトリックスを含んで成る超微粒子により解決される。
1つの態様においては、前記超微粒子は非小胞性である。
【0040】
1つの態様においては、前記超微粒子サイズは、10nm〜1.2μmの範囲である。
好ましい態様においては、前記超微粒子サイズは、10nm〜500 nmの範囲である。
特に好ましい態様においては、前記超微粒子サイズは、10nm〜300nmの範囲である。
1つの態様においては、前記超微粒子は、少なくとも表面変性剤を含んで成る。
好ましい態様においては、前記表面変性剤は、前記超微粒子の表面電荷に対して反対に電荷されている。
【0041】
特に好ましい態様においては、前記表面変性剤は、ポリエチレングリコール[110]-b-グルタミン酸[10](PEG[110]-GLU[10])である。
他方では、好ましい態様においては、前記表面性剤は、NADP、AMP、cAMP及びADP、並びにそれらの塩から成る群から選択される。
1つの態様においては、前記超微粒子は、標的化構造体を含んで成る。
【0042】
好ましい態様においては、前記標的化構造体は、受動的標的化構造体である。
他方では、好ましい態様においては、前記標的化構造体は、活動的標的化構造体である。
特に好ましい態様においては、前記活動的標的化構造体はが、抗体、非抗体リガンド、アプタマー、又はそれらのフラグメントの領域である。
1つの態様においては、前記超微粒子は、治療的活性剤を含んで成る。
好ましい態様においては、前記治療的活性剤は、抗増殖剤、抗炎症剤及び光力学治療法のための色素から成る群から選択される。
【0043】
本発明の目的は、さらに、
(a)少なくとも1つの高分子電解質及び少なくとも1つの光学的蛍光剤を接触し;
(b)前記高分子電解質及び光学的蛍光剤をUV保護下で同時凝集し;
(c)前記同時凝集生成物を収穫する段階を含んで成る、本発明の超微粒子の調製方法により解決される。
【0044】
1つの態様においては、(b’)前記同時凝集生成物の表面を変性する段階を、さらに含んで成る。
1つの態様においては、前記段階(b)における同時凝集は4℃で行われる。
1つの態様においては、前記段階(b)における同時凝集は、pH7.0〜9.0で行われる。
好ましい態様においては、前記段階(b)における同時凝集は、pH7.5〜8.5で行われる。
【0045】
1つの態様においては、前記段階(b)における同時凝集は、UV−Visスペクトルを試験することによりモニターされる。
本発明の目的は、さらに前記超微粒子の表面上に、本発明の表面変性剤を適用する段階を含んで成る、本発明の超微粒子の表面変性方法により解決される。
本発明の目的は、さらにインビトロ適用のためへの本発明の超微粒子の使用により解決される。
【0046】
本発明の目的は、さらに、
(a)前記超微粒子と生物学的サンプルとを接触し;
(b)前記生物学的サンプルから非結合超微粒子を除去し;
(c)前記生物学的サンプルに結合される超微粒子を検出し;
(d)対照サンプルから得られる結果と、段階(c)で得られる結果とを比較する段階を含んで成る、本発明の超微粒子を用いてのインビトロ診断方法により解決される。
インビトロ診断のための方法の1つの態様においては、前記段階(c)における検出は、蛍光顕微鏡技法を用いることにより行われる。
【0047】
本発明の目的は、さらにインビボ適用のためへの本発明の超微粒子の使用により解決される。
【0048】
本発明の目的は、さらに、
(a)前記超微粒子を対象に適用し;
(b)前記対象に蓄積される超微粒子を検出する段階を含んで成る、本発明の超微粒子を用いてのインビボ診断方法により解決される。
1つの態様においては、前記段階(b)における検出は、CCD(電荷カップリング装置)技法を用いることにより行われる。
【0049】
本発明の目的は、さらに本発明の超微粒子のインビボ局在化方法により解決される。
インビボ局在化のための方法の1つの態様においては、前記超微粒子は、少なくとも1つの治療的活性剤を含んで成る。
本発明の目的は、さらに医薬的に許容できる組成物の製造のためへの本発明の超微粒子の使用により解決される。
【0050】
本発明の目的は、さらに本発明の超微粒子を含んで成る医薬的に許容できる組成物により解決される。
本発明の目的は、さらに本発明の超微粒子を含んで成るインビトロ及び/又はインビボ診断キットにより解決される。
【0051】
用語“超微粒子マトリックス”とは、本明細書において使用される場合、超微粒子の基本材料を形成する材料を言及する。規則として、前記マトリックスは、組織化された構造を有する。
用語“共凝集体”とは、本発明において使用される場合、凝集パートナーとして相互作用する少なくとも2種の異なった成分を必要とする凝集体を言及する。本明細書において使用される場合、凝集パートナーは、少なくとも1つの荷電された高分子電解質及び少なくとも1つの親水性の光学的蛍光剤である。
【0052】
用語“高分子電解質”とは、そのポリマー鎖及び/又は置換基に複数のイオン基を含むポリマーを言及する。高分子電解質のグループは、ポリアニオン体、ポリカチオン体及びポリ両性電解質を包含する。オリゴ電解質も同様に、明白に企画される。
【0053】
既に言及されているが、単一の場合、用語“高分子電解質”はさらに、ブロックコポリマー又はランダムポリマーを包含する。ブロック又はランダムポリマー及び荷電されていない化合物の組み合わせも考慮される。さらに、それらのポリマー及びコポリマーの種々の糖へのカップリング又はその誘導体の部分的疎水性置換が考慮される。PEIが使用される場合、この高分子電解質は、種々の分子量から入手でき、そしてPEI誘導体の中で、エトキシル化された誘導体が好ましい。
【0054】
用語“高分子電解質電荷”及び“光学的蛍光剤電荷”とは、分子当たりの電荷の量を言及する。
用語“光学的蛍光剤”とは、例えば可視光又はNIR線(励起)への暴露の間、これまで吸収されている可視光又はNIR線の形でエネルギーを放すことができる化合物を言及する。
【0055】
用語“深色団シフト”とは、一定の波長で、特に最大吸収での吸収において、より長い波長へのシフトを意味する。用語“残色団シフト”とは、より短い波長へのシフト(逆も真である)を意味する。“シフト”とは、波長の上昇又は下降、すなわちシフトの前の波長とシフトの後の波長との間の差異を意味する。本明細書において使用される場合、その差異は、“Δwavelength [nm]”により示される。
【0056】
共凝集体形成の間、“吸収強度の低下”は、消光効果及びJ−凝集体形成のためである。当業界においては、そのような低下はまた、“淡色効果”と言及される。“吸収強度の上昇”もまた、“濃色効果”と知られている。
【0057】
“補助電解質”は、光学的蛍光剤との反応により、高分子電解質及び光学的蛍光剤の共凝集体形成を支持するために添加される。これは、補助電解質がさらに電荷を提供するので、非常に少ない電荷を担持する色素、例えばインドシアニングリーンに関して特に有用である。この場合、補助電解質及び光学的蛍光剤は、高分子電解質と共に沈殿される。変性されたシクロデキストリンが補助電解質として使用される場合、それらはα−、β−、γ−又はδ−変性シクロデキストリンから選択され得る。
【0058】
高分子電解質又はオリゴ電解質がアニオン性であり、そして光学的蛍光剤がカチオン性であることが、本発明により企画される。この場合、アニオン性高分子電解質は好ましくは、アルギン酸、ヒアルロン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリビニルリン酸、アラビアゴム、ペクチン核酸、アニオン性タンパク質、リグニン、スルホン酸及びアニオン性変性シクロデキストリンから成る群から選択される。
【0059】
用語“超微粒子”とは、nm範囲でのサイズを有するコロイド状粒子を言及する。超微粒子は、小胞又は非小胞性超微粒子を記載することができる。“小胞性超微粒子”とは、本明細書において使用される場合、超微粒子マトリックスを有さない内部キャビティを封入する球体形状の本体を形成することにおいて特徴づけられる。内部キャビティは、流体媒体、例えば外部キャビティと同じか又はそれとは異なる流体により通常満たされる。“非小胞性超微粒子”とは、本明細書において使用される場合、対照的に、内部キャビティを欠いている。
【0060】
“変性剤”による超微粒子の表面の変性の1つの機構は、静電相互作用に基づかれる。好ましくは、変性剤は、ポリマー、例えば立体又は静電安定化を引起す変性されたポリエチレングリコールの群から選択され、そして循環における半減期を拡張するために、タンパク質、及び血液血漿の他の成分から超微粒子を防護する。超微粒子の表面の静電変性はまた、活性標的化を導き、そしてファンデルワールス力、二極−二極及び他の非共有相互作用と組合して存在することができる。他方では、変性剤は、超微粒子マトリックスに含まれる官能基と共有相互作用することができる。PEG[110]-GLU[10]は、PEI基材の超微粒子マトリックスを含んで成る超微粒子の表面上に適用される場合、血漿半減期を高めることが知られている。さらに、NADPナトリウム塩の使用は、蛍光強度を増強することが示されている。
【0061】
用語“標的化構造体”とは、細胞又は組織を特異的に標的化できる成分、例えばその対応する受容体を特異的に標的化するリガンドを言及する。当業者は、所定の組織における摂取又は局在化を増強するいずれかの標的化構造体が、標的化のための適切な候補体であり得ることを容易に認識するであろう。この構造体は、標的化分子の一部、例えば抗体又はそのフラグメント、非抗体リガンド又は細胞受容体、例えば細胞表面受容体に結合するフラグメント、又はアプタマーであり得る。前記構造体は、ペプチド、炭水化物、タンパク質、脂質、ヌクレオシド、核酸、変性された多糖又はそれらのフラグメントであり得る。さらに、リガンドはトランスフェリン又は葉酸であり得る。任意には、標的化分子は、超微粒子マトリックス又は超微粒子の成分に結合され得る。完全な標的化分子の他に、用語“標的化構造体”はまた、分子の一定領域も包含する。
【0062】
“活性標的化”とは、標的化が例えば受容体/リガンド相互作用により介在されることを意味する。通常、活性標的化は、相互作用パートナーにより包含される相補的構造体の適合性の程度に依存する。“受動性標的化”とは、対照的に、超微粒子の特定のサイズ及び性質、例えば疎水性及び電荷により支持される。
用語“治療的活性剤”とは、当業界において現在知られているすべての活性剤を包含する。遺伝子療法のための有用な活性剤はまた、本発明により包含される。
【0063】
超微粒子の調製方法においては、高分子電解質及び光学的蛍光剤が好ましくは、水性溶媒に溶解される。好ましくは、同時凝集形成は、約30〜60分、より好ましくは約45分間の軽い撹拌により支持される。同時凝集段階の最終で得られる懸濁液が、例えばMillipore限外濾過セルにより、又は特に、変性段階が続く場合、真空蒸発により濃縮され得る。生成される同時凝集生成物は、いずれかの適切なクリオプロテクター、例えばマンニトール又はラクトースの存在下での凍結乾燥により得られる。補助電解質が使用される場合、それが添加される。
【0064】
インビトロ診断のための方法においては、生物学的サンプルが対象、好ましくは脊椎動物、より好ましくは哺乳類、最も好ましくはヒトから入手できる。サンプルは、細胞溶解物、体液、組織及び組織ホモジネート、及び抽出物から成る群から選択される。超微粒子は好ましくは、液体ビークルに分散される。
【0065】
“対照サンプル”とは、インビトロ診断方法に使用される場合、健康な対象から得られたサンプルを言及する。他方では、得られる結果は、標準化されたパラメーターに比較され得る。
【0066】
また、インビボ診断のための方法においては、対象は好ましくは、脊椎動物、より好ましくは哺乳類、最も好ましくはヒトである。超微粒子は好ましくは、医薬的に許容できる液体ビークル、より好ましくは水性ビークル、最も好ましくは生理食塩水に分散される。適用経路は、全身性経路、例えば、j.v.注入、i.v. s.c.又はi.m.注射であるか、又は局部的であり得る。考慮される適用経路は、経口、鼻腔内、直腸及び膣内適用を包含する。
【0067】
本発明の超微粒子は、高分子電解質及び親水性の光学的蛍光剤の共凝集体を含んで成る超微粒子マトリックスにより特徴づけられ、ここで後者の蛍光剤は、高分子電解質のパートナーとして作用することによる超微粒子マトリックス形成に直接的に包含される。凝集パートナーの電荷比率が必須である一定の条件下で、静電及びπ−π相互作用のために、J−凝集体の形成をもたらす安定した超微粒子の沈殿が生じる。本発明の共凝集体形成の原理を示す図が図1に示される。
【0068】
それらの電荷による超微粒子自体の安定化のために、表面活性剤の添加はほとんど必要ではない。それにもかかわらず、一定の適用においては、界面活性剤の追加の使用はさらに、好都合であり、そして本発明により考慮される。
【0069】
J−凝集体は、その成分が高い程度の構造体に組織化することにおいて特徴づけられる。異なった充填型、例えば“ブリック型”又は“サンドイッチ型”が知られている。シアニン色素のJ−凝集体が、それらの興味ある光学的性質及び光電気装置へのそれらの可能性ある適用のために、広範囲に研究されて来た[Jelly, E.E. など. (1936); Kobayashi, T. (1996)]。Rousseauなど. (2002)は、チアカルボシアニン色素THIATSとのJ−凝集体の形成に対する異なったカチオン性ポリマー、例えばポリ(ジアリルデメチルアンモニウムクロリド)又はポリ(アリルアミン塩酸塩)の影響を研究した。
【0070】
さらに、J−凝集体は、分子が非凝集状態に比較して、低いエネルギーレベルで存在することにおいて特徴づけられる。従って、本発明の共凝集体が形成する場合、光学的蛍光剤の吸収における深色団シフトが観察される。TITCCの場合、そのシフトは、蛍光色素及び高分子電解質の正確な組成に依存して、756nmから795〜810nmの範囲における波長へである。従って、Δwavelengthは、深色団シフトの場合、+39nmから+54nmであり、そしてΔwavelengthは、浅色団シフトの場合、−39nmから−54nmである。
【0071】
さらに、J−凝集体における分子の高く組織化された構造体のために、色素の蛍光発光が消光され、すなわち発光強度は、非凝集状態に比較して、低められる。本発明の超微粒子の離解が、発光強度の上昇により達成され、逆もまた同じである。
【0072】
従って、本発明の好ましい態様の超微粒子は、(1)共凝集体が形成される場合、吸収の深色団シフト及び発光強度の低下、及び(2)離解の間、吸収の浅色団シフト及び発光強度の上昇により特徴づけられる。それらの特徴に基づいて、超微粒子の物理的状態、すなわち同時凝集された状態又は離解された状態が識別され得る。
さらに、光学的蛍光色素は超微粒子マトリックスの一部であるので、色素は超微粒子内で高く濃縮される。
【0073】
本発明の超微粒子は、インビボ及びインビトロ診断のために特に有用である。生存生物への本発明の超微粒子の適用の後、それらは特に、腫瘍組織において富化する。これは、受動性及び活性標的化効果のためである。標的化された組織に局在化されると、本発明の超微粒子は、エンドサイトーシスを通して組織細胞により摂取される。この細胞組み込みに続いて、超微粒子の成分への離解が生じ、“遊離”光学的蛍光剤をもたらす。血液血漿を用いてのインビトロ実験から、離解がイオン濃度の変化及び荷電された血液化合物、例えばアルブミン又は塩の存在により支持される。細胞内離解に続いて、たぶん“プロトンスポンジ“効果がもたらされる。さらに、超微粒子の離解は、光学的蛍光剤の急速な開放、及び検出のための高い色素濃度の提供をもたらすいずれかのポリマー離解に関係なく生じる。
【0074】
従って、本発明の超微粒子は、受動性及び活性標的化のために、病理学的に変更された組織において選択的に富化し、そして同時に、インビボイメージングの感受性は、細胞内遊離の光学的蛍光色素の蛍光シグナルが高められるので、増強される。
さらに、本発明の超微粒子は、治療的活性剤を含んで成る超微粒子を提供する。この特定の場合、本発明の超微粒子は、光学的蛍光剤のキャリヤーとして及び薬物キャリヤーそして作用する。
【0075】
最終的に、上記に論じられる超微粒子の顕著な性質は、超微粒子の安定性、特に表面変性の効果を研究するためにインビトロシステムに都合よく使用され得る。同時凝集成分及びいずれかの表面変性の両者が超微粒子の安定性及び従って、それらの離解プロフィールに高く影響を及ぼすことができることは示されている。さらに、そのようなインビトロシステムは一般的に、高分子電解質及び光学的蛍光剤の選択に対して、及び超微粒子表面変性の開発に対して、超微粒子を企画するために使用され得る。
【0076】
本発明の特定の記載:
本発明は、特定の態様及び例を提供することにより、より詳細に下記に概略される。
【実施例】
【0077】
例1:PEIに基づく光学的蛍光超微粒子:
(a)PEI基材の超微粒子の調製:
0.1%(w/v)PEI(1.8, 10, 70又は750kDa)の水溶液を軽く撹拌し、そして0.02%(w/v)TITCCの水溶液をすぐに添加する。さらに、この組成物を、UV保護下で約4℃で約30〜45分間、撹拌する。凝集工程を、900nmから出発して、600nmまでのUV-Visスペクトルによりモニターした。TITCC色素は、PEI超微粒子中に組込まれる場合、蛍光活性を有することが示されており、そして凝集体形式が、UV-Visスペクトルのシフトに基づいてモニターされ得る(図4)。超微粒子分散体を、限外濾過により濃縮し、そしてクリプトプロテクター、例えばマンニトール又はラクトースの添加の後、凍結乾燥した。
【0078】
図4に示されるように、J−凝集体への色素分子の完全な形成が、150、175及び200%過剰のPEIの場合、生じた。これは、純粋な色素の756nmの出発波長の不在により、及びJ−凝集体からの約800nmでの新しい最大波長により確かめられる。100及び125%過剰のPEIの場合、2種の最大波長は、色素がJ−凝集体として単に部分的に結合されることを示す。従って、純粋な色素の波長及びJ−凝集体の最大波長が、並んで検出され得る。すべての測定されたサンプルは、同じ濃度の色素を含んだ。吸収はJ−凝集体における消光効果により低められる。UV−Visスペクトルを、UV-2401-PC分光計(Shimadzu Corp.)により記録した。
【0079】
図5に示されるように、756nmから810nmへの最も遠い波長シフトが、最少量の過剰のカチオン性ポリマーにより得られる。これは、安定化のための少数のカチオン性電荷が利用できる場合、よりコンパクトな色素−ポリマー複合体のためであり得る。その複合体は、約795nmへのより小さなシフトをもたらす、より多くの量のポリマーを有する場合、より低いコンパクト性であり、逆もまた真である。
【0080】
過剰のカチオン性高分子電解質の場合、J−凝集体の100%形成が結果である。約100〜200%までの過剰で、超微粒子は、最適化された静電安定化のために、より小さなサイズを有した。TITCC:PEIの比率が1:1に近いほど、複合体は、より大きな粒子の沈殿及び沈降の結果により一層不安定になり、逆もまた真である。TITCCに対するPEIの量を調節することにより、超微粒子サイズは20〜700nmの範囲で変化することができる。サイズは、Malvern Instrumantsからの“Zetasizer 3000”と共にDLS(Dynamic Light Scattering)により決定された。イオン性自己アセンブリーによる調製方法は、狭い粒度分布を有する粒子をもたらした。変性された及び変性されていない粒子(図6)は、0.1以下の多分散性指数を示した。Zeta電位測定を、一定pH下で実施した。図6に示されるように、超微粒子は、変性を伴って及び変性を伴わないで、2週間にわたって一定のサイズを有し、このことは水溶液におけるそれらの安定性を示す。
【0081】
粒子は、TEM観察により示されるように、球体形状を有し(図2)、そして約100nmのサイズを有する。球体形状は、動的光散乱(DLS)と共に光相関分光学(PCS)に基づいての超微粒子のサイズの決定のための決定因子である。
さらに、変性されていない粒子の表面電位を、45−55mVのZeta電位として決定し、これは、PEI鎖のカチオン性電荷が超微粒子の周囲の安定化を形成することを示す。複合体化されないまま存続するPEI鎖は、立体的及び静電安定化を引起す。
【0082】
図7に示されるように、変性された超微粒子の一定に低められた表面電荷は、アニオン性化合物による好都合な表面変性を確かにする。Zeta電位は0mVに接近するが、それらの超微粒子は、図6に見られるようなサイズにおいて安定していた。これは、静電及び立体的安定化の組合わせによるものである。
本発明の共凝集体形成の原理を示すスキームが図1に示される。
【0083】
(b)PEI基材の超微粒子の表面変性:
超微粒子の表面を、静電相互作用を利用することにより変性することができる。このためには、インビトロ実験で示されるように血液血漿における超微粒子の高められた半減期をもたらすブロック−コポリマーPEG[110]-b-BLU[10]が使用され得る。さらに、PEG[110]-b-BLU[10]の他に、NADP二ナトリウムの使用が、増強された蛍光強度をもたらす。
表面変性の原理を示すスキームが図3に示される。
【0084】
(c)PEG[113]-PEI[30]に基づいての超微粒子:
超微粒子の増強された安定性が、たぶん追加のPEGブロックのために、PEG[113]-PEI[30]を用いて得られる。
離解の進行が、例1に記載されるように、超微粒子による離解に比較して、遅められる。離解の間、非常に鋭い等吸収点が観察され、このことは、光学的蛍光剤が、いずれの中間状態の存在を伴わないで、2種の反対状態(遊離/共凝集体化された)で存在することを示す。
【0085】
例2:プロタミンスルフェートに基づく超微粒子:
カチオン性プロタミンスルフェートは、ヘパリンアンタゴニストとして広くインビボで使用される。従って、カチオン性高分子電解質としてプロタミンスルフェートを含んで成る超微粒子は、経験される低い毒性のために卓越している。
【0086】
例3:P(DMAPMAM)に基づく超微粒子:
水/アセトン(10:1、体積による)中、0.1%P(DMAPMAM)の溶液を、軽く撹拌し、同時に0.02%TITCCの溶液を即座に添加する。さらなる撹拌下で、凝集体の形成が生じ、同時にアセトンを除去する。
【0087】
例4:β−シクロデキストリンホスフェート、PEI及びICGに基づく超微粒子:
0.1%β−シクロデキストリンホスフェートの水溶液を、0.02%インドシアニングリーン(ICG)の水溶液と共に混合し、そしてさらに、約1時間、撹拌する。この混合物を、0.1%PEI(25又は750kDa)の水溶液中に注入する。凝集の進行を、900nmで出発して、600nmまでUV-Visスペクトルによりモニターする。超微粒子懸濁液を限外濾過により濃縮し、そしてクリオプロテクターの添加の後、凍結乾燥する。
【0088】
例5:PEI/色素−12−アミドデカン酸接合体及びラウリン酸に基づく超微粒子:
(a)超微粒子の調製:
超微粒子の調製のために、0.01%のポリエチレンイミン(25kDa)の水溶液、0.1%の色素−アミノドデカン酸接合体(下記参照のこと)の水溶液及び1%のラウリン酸を含むエタノール溶液を調製した。色素−アミノドデカン酸接合体の溶液を、ラウリン酸溶液と共に混合した。この混合物を、一定の撹拌下で即座に、沈殿をもたらすPEI溶液に添加した。超微粒子分散体を、エタノールの除去のために、約24時間、撹拌した。分光学的性質及びサイズは、異なった電荷比率の3種の化合物の使用により変更され得る。複合体の形成はまた、純粋なラウリン酸の不在下でも可能である。
【0089】
(b)色素−12−アミノドデカン酸接合体の調製:
二ナトリウム3,3-ジメチル-2-{7-[3,3-ジメチル-5-スルホナト-l-(2- スルホナトエチル)-3H-インドリウム-2-イル]-ヘプタ-2,4,6-トリエン- 1 -イリデン} - 1 -(2-スルホナトエチル)- 2,3-ジヒドロ-lH-インドール-5-カルボン酸-(l l-カルボキシウンデシル)-アミド=色素−12−アミノドデカン酸接合体の合成(図13:色素−12−アミノドデカン酸接合体の合成のための化学反応式)。
【0090】
(1)N−ヒドロキシスクシンイミジルエステルへの二ナトリウム3,3-ジメチル-2-{7-[3,3-ジメチル-5-スルホナト-l-(2- スルホナトエチル)-3H-インドリウム-2-イル]-ヘプタ-2,4,6-トリエン- 1 -イリデン} - 1 -(2-スルホナトエチル)- 2,3-ジヒドロ-lH-インドール-5-カルボン酸の転換:
8mlのジメチルホルムアミド中、0.15mg(0.2mモル)の色素、0.23g(2.0mモル)のN−ヒドロキシスクシンイミドの混合物を、3mlのジメチルホルムアミド中、0.2mg(1.0mモル)のN, N’−次シクロヘキシルカルボジイミド(DCC)の溶液により処理し、そして室温で4時間、撹拌する。この混合物をジエチルエーテル中に注ぎ、そして得られる固形物を遠心分離により集める。ジエチルエーテルを用いてのジメチルホルムアミドからの沈殿工程を、3〜4度、反復する。NHS−エステルを、窒素下で乾燥し、そして次の段階において直接使用する。
【0091】
(2)12−アミノドデカン酸との反応:
0.5mlのジメチルホルムアミド及び0.3mlのジクロロメタン中、15mg(0.018mモル)のNHS−エステル及び11mg(0.05mモル)の12−アミノドデカン酸CAS[693-57-2]の溶液を、40℃で36時間、撹拌する。ジエチルエーテルによる沈殿化の後、得られる固形物を水/メタノールに溶解し、そして分離用HPLC(RP18、溶離剤 水/メタノール)により精製する。生成物を、青色の凍結乾燥生成物(収量4.2mg)として得る。
【0092】
例6:変性されたPEI/TITCCの性質:
図6に見られるように、変性された超微粒子は、NADP二ナトリウム塩及びPEG[110]-b-Glu[10]から成る追加の表面層のためである、変性されていない超微粒子に比較して、わずかな粒度上昇を示した。14日の期間にわたって、変性された及び変性されていない粒子は、一定の粒度データ及び粒度分布に従って、安定して存続した。それらのデータから、好都合で且つ永久的な表面変性が得られたことが結論づけられ得る。さらなる証拠は、一定pH下で行われるZeta電位測定からの結果を示す図5から得られる。
【0093】
表面電位は、約+40〜+45mVから約+5mVに、表面変性により低められた(図7)。NADP二ナトリウム塩及びPEG[110]-b-Blu[10]から成る変性層は、PEGブロックのために最大の立体的安定化を提供した。従って、静電安定化の最少化は、サイズ及び表面電荷定常性から結論づけられるように、不安定化効果を有さなかった。
【0094】
図8は、例1(a)及び(b)に従って調製され、そして変性された超微粒子が、インキュベーターシェーカーにおいて37℃で応力を与えられる場合、48時間まで安定して存続することを示す。
図9は、血液血漿における変性された超微粒子の離解が、約15時間後、ほぼ完結される(ここで、その半減期は約3時間である)ことを示す。
【0095】
例7:血漿における超微粒子安定性:
図10は、血漿におけるインキュベーションの後、PEG[113]−PEI[30]/TITCC超微粒子の離解を示す。色素分子がJ−凝集体として高く指図されている超微粒子複合体は、795nmの最大吸収性を有する。超微粒子がそれらの成分、すなわち遊離色素及び高分子電解質に解離する場合、最大シフトは795nmから756nmへである。すべてのスペクトルには鋭い等吸収点に適合し、このことは、色素のわずか2種の状態、すなわち離解の後、超微粒子内にJ−凝集体として結合された状態及び遊離状態が生じることを確かにする。さらに、吸収性は、消光効果の不在のために、離解工程内で上昇する。
【0096】
例8:超微粒子サイズの測定:
超微粒子のサイズを、DLS(動的光散乱)に基づいてPCS(光子相関分光学)の原理を通して“Zetasizer 3000”(Malvern Instruments)により決定した。さらに、サイズをTEM(透過電子顕微鏡)により決定した。採られるイメージは、PCS方法によるサイズ測定のための決定因子である、超微粒子の球体形状を確かにした。測定は、一定温度(25℃)及び溶液の定義される粘度で、適切に希釈されたサンプルにより行った。
【0097】
PCSは、3nm〜3μmの直径を有する粒子のサイズ決定のための適切な方法である。溶媒の分子は、ブラウン運動により駆動される永久的運度にある。これは、それらの溶媒分子との衝突の後、粒子の非方向性運動をもたらす。粒子のサイズが小さいほど、それらの運動は早い。レーザー光線が粒子のサンプルに焦点を合わせられる場合、その光は粒子の表面上で散乱される。散乱された光の強度は、粒子の非方向性運動のために、及び時間の関数として変動する。従って、最小で且つ最速の運動粒子が、散乱された光の強度の最高の変動を引起す。90°の角度下で、それらの変動は検出される。それらの変動により、自動相互関数に基づいてサイズ分布を決定することができる。平均流体力学的直径を、その相互関数の傾斜から計算する。
【0098】
例9:超微粒子の表面電荷の測定:
粒子の表面電荷を、“Zetasizer 3000”(Malvern Instruments)により、Zeta電位として決定した。
等濃度の超微粒子の分散体を、MilliQ水により希釈し、そして測定を一定pH及び一定温度で行った。Zeta電位測定は、LDA(レーザードップラー風力測定法)の原理に基づかれている。Zeta電位は、分散層の最大部分がこの粒子の運動により剪断された場合、運動粒子の剪断表面に沿っての電位である。
【0099】
荷電された表面を有する粒子は、電場において、反対に荷電された電極に移動し、そしてその移動粒子の速度は表面電荷の量及び電場強度に依存する。電気泳動移動度は、速度及び電場強度の比率である。電気泳動移動度及び因子13の生成物は、Zeta電位〔mV〕を提供する。
【0100】
電場における粒子の速度は、LDAの原理に基づいて決定される。従って、レーザー線は、電場内で移動する粒子に対して焦点を向けられ、そして散乱されたレーザー光が検出される。粒子の運動のために、主要レーザー波長に比較して、反射されたレーザー波長のシフトが観察される。周波数シフトの大きさは、速度に依存し、そしてドップラー周波数シフト(ドップラー効果)と呼ばれる。ドップラー周波数シフト、散乱角度及び波長により、速度が決定され得る。
【0101】
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【0103】
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【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】図1は、光学的蛍光剤、及び超微粒子の沈殿をもたらす高分子電解質の凝集を示すスキームである。図においては、光学的蛍光剤はダイヤモンド形状の成分により表される。
【図2】図2は、PEI及びTITCCから構成される超微粒子を示す透過電子顕微鏡(TEM)写真である。
【図3】図3は、NADP二ナトリウム塩及びPEG[110]-b-GLU[10]を有するPEI/TITCCの表面変性を示すスキームである。この図においては、NADP二ナトリウム塩のアニオン成分(負の電荷を有する黒色球体)及び負に荷電されたPEG[110]-b-GLU[10](尾を有する球体)と共に、表面変性を有さない正に荷電された超微粒子(左側)が、表面変性された超微粒子(右側)を形成する。
【0106】
【図4】図4は、PEI/TITCC超微粒子の形成の間、吸収におけるシフトのUV-Visスペクトルを示す。
【図5】図5は、色素ポリマー比率の関数としてのPEI/TITCC超微粒子の最大吸収性を示す。
【図6】図6は、37℃でのインキュベーションシェーカーにおけるインキュベーションの後、図3に示されるような表面変性を有するか又は有さないPEI/TITCC超微粒子のサイズの安定性データを示すグラフである。
【図7】図7は、図3に示されるような表面変性を有するか又は有さないPEI/TITCC超微粒子のZeta電位の安定性データを示すグラフである。
【0107】
【図8】図8は、図3に示されるような表面変性を有する、血漿におけるPEI/TITCC超微粒子の安定性データを示すグラフである。
【図9】図9は、図3に示されるような表面変性を有する、血漿におけるPEI/TITCC超微粒子の離解の時間経過を示すグラフである。
【図10】図10は、血漿におけるインキュベーションの後、PEG[113]-PEI[30]/TITCC超微粒子の離解工程のUV-Visスペクトルを示す。
【図11】図11は、PEI/色素−12−アミノドデカン酸接合体超微粒子のUV-Visスペクトルを示す。
【0108】
【図12】図12は、三ナトリウム-3,3-ジメチル-2-{4-メチル-7-[3,3-ジメチル-5-スルホナト- l-(2-スルホナトエチル)-3H-インドリウム-2-イル]ヘプタ-2,4,6-トリエン-l-イリデン}-l-(2-スルホナトエチル)-2,3-ジヒドロ-lH-インドール-5-スルホネート、内部塩(TITCC)の化学構造を示す。
【図13】図13は、二ナトリウム3,3-ジメチル-2-{7-[3,3-ジメチル-5-スルホナト-l-(2- スルホナトエチル)-3H-インドリウム-2-イル]-ヘプタ-2,4,6-トリエン- 1 -イリデン} - 1 -(2-スルホナトエチル)- 2,3-ジヒドロ-lH-インドール-5-カルボン酸-(l l-カルボキシウンデシル)-アミド(色素−12−アミノドデカン酸接合体)の合成の化学反応式を示す。
【図14】図14は、フルオレセイン二リン酸アンモニウム塩の化学構造を示す。
【図15】図15は、インドシアニングリーンの化学構造を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの荷電された高分子電解質及び少なくとも1つの反対に荷電された活性剤(親水性の光学的蛍光剤である)の共凝集体(co-aggregate)を含んで成る超微粒子マトリックス。
【請求項2】
合計の高分子電解質電荷及び合計の光学的蛍光剤電荷の比率が、電荷過剰をもたらす請求項1記載の超微粒子マトリックス。
【請求項3】
前記光学的蛍光剤が、可視−又はNIR−輻射化合物である請求項1又は2記載の超微粒子マトリックス。
【請求項4】
前記光学的蛍光剤が、NIR−輻射化合物である請求項1〜3のいずれか1項記載の超微粒子マトリックス。
【請求項5】
前記光学的蛍光剤が、平面芳香族及び高く接合されたシステムを含んで成る請求項1〜4のいずれか1項記載の超微粒子マトリックス。
【請求項6】
前記光学的蛍光剤が、共凝集体形成の間、UV−Vis吸収スペクトルにおける深色団シフトを示す請求項1〜5のいずれか1項記載の超微粒子マトリックス。
【請求項7】
前記光学的蛍光剤が、離解の間、UV−Visスペクトルにおける浅色団シフトを示す請求項6記載の超微粒子マトリックス。
【請求項8】
前記深色団及び/又は浅色団シフトが、約20nm〜約80nmの範囲でのΔwavelengthにより特徴付けられる請求項6又は7記載の超微粒子マトリックス。
【請求項9】
前記深色団及び/又は浅色団シフトが、約40nm〜約50nmの範囲でのΔwavelengthにより特徴付けられる請求項6〜8のいずれか1項記載の超微粒子マトリックス。
【請求項10】
前記深色団及び/又は浅色団シフトが、約44nmのΔwavelengthにより特徴付けられる請求項6〜9のいずれか1項記載の超微粒子マトリックス。
【請求項11】
前記光学的蛍光剤が、共凝集体形成の間、吸収強度の低下を示す請求項1〜10のいずれか1項記載の超微粒子マトリックス。
【請求項12】
前記光学的蛍光剤が、離解の間、吸収強度の上昇を示す請求項11記載の超微粒子マトリックス。
【請求項13】
前記高分子電解質がカチオン性であり、そして前記光学的蛍光剤がアニオン性である請求項1〜12のいずれか1項記載の超微粒子マトリックス。
【請求項14】
合計の高分子電解質電荷及び合計の光学的蛍光剤電荷の比率が、約1.5:1〜約6:1の範囲にある請求項13記載の超微粒子マトリックス。
【請求項15】
合計の高分子電解質電荷及び合計の光学的蛍光剤電荷の比率が、約1.5:1〜約3:1の範囲にある請求項13記載の超微粒子マトリックス。
【請求項16】
合計の高分子電解質電荷及び合計の光学的蛍光剤電荷の比率が、約1.5:1である請求項15記載の超微粒子マトリックス。
【請求項17】
前記カチオン性高分子電解質が、ポリエチレンイミン及び誘導体、例えばPEG[113]-b-PEI[30];ポリビニル誘導体、例えばポリビニルアミン、ポリビニルピリジン;ポリアルギニン、ポロヒスチジン;ポリリシン、リシンオクタデシルエステル;ポリグラニジン及びポリ(メチレン−コ−グアニジン);プロタミン、例えばプロタミンスルフェート;ポリアリルアミン、ポリジアリルジメチルアミン;ポリメタクリレート、例えばEudragit E、ポリ(ジメチル−アミノプロピル−メタクリルアミド)[P(DMAPMAN)]又はポリ(ジメチル−アミノエチル−メタクリレート[P(DMAEMA)];スペルミン、スペルミジン及びそれらのポリマーポリスペルミン及びポリスペルミジン;ポリヒスチジン;四量体化されたポリアミド、ポリ(ジメチル−アミノエチル−アスパルタミド)[PDAA];変性されたシリコーン;ポリホスファゼン;タンパク質、例えばヒストン;変性された澱粉、変性されたゼラチン、変性されたセルロース、例えばアミノ化されたセルロースエーテル;アミノ化されたデキストラン、アミノ化されたシクロデキストリン、アミノ化されたペクチン;キトサン;及びそれらの塩及び誘導体から成る群から選択される請求項13〜16のいずれか1項記載の超微粒子マトリックス。
【請求項18】
前記高分子電解質がポリエチレンイミンである請求項17記載の超微粒子マトリックス。
【請求項19】
前記光学的蛍光剤が、スルホネート及びホスフェートから成る群から選択された、過剰の負に荷電された基を含んで成る請求項13〜16のいずれか1項記載の超微粒子マトリックス。
【請求項20】
前記光学的蛍光剤が、ポリメチレン色素、好ましくはシアニン色素である請求項19記載の超微粒子マトリックス。
【請求項21】
前記光学的蛍光剤が、インドトリカルボシアニン色素又はインドジカルボシアニン色素である請求項20記載の超微粒子マトリックス。
【請求項22】
前記光学的蛍光剤が、四スルホン化されたインドトリカルボシアニン色素である請求項21記載の超微粒子マトリックス。
【請求項23】
前記光学的蛍光剤が、三ナトリウム-3,3-ジメチル-2-{4-メチル-7-[3,3-ジメチル-5-スルホナト- l-(2-スルホナトエチル)-3H-インドリウム-2-イル]ヘプタ-2,4,6-トリエン-l-イリデン}-l-(2-スルホナトエチル)-2,3-ジヒドロ-lH-インドール-5-スルホネート、内部塩(TITCC)である請求項19〜22のいずれか1項記載の超微粒子マトリックス。
【請求項24】
前記光学的蛍光剤が、二ナトリウム3,3-ジメチル-2-{7-[3,3-ジメチル-5-スルホナト-l-(2- スルホナトエチル)-3H-インドリウム-2-イル]-ヘプタ-2,4,6-トリエン- 1 -イリデン} - 1 -(2-スルホナトエチル)- 2,3-ジヒドロ-lH-インドール-5-カルボン酸-(l l-カルボキシウンデシル)-アミド(色素−12−アミノドデカン酸接合体)である請求項19〜22のいずれか1項記載の超微粒子マトリックス。
【請求項25】
前記マトリックスがさらに、少なくとも1つの補助電解質を含んで成る請求項1〜24のいずれか1項記載の超微粒子マトリックス。
【請求項26】
前記補助電解質が、変性されたシクロデキストリン、キレート化剤、デンドリマー及びクラウンエーテルから成る群から選択される請求項25記載の超微粒子マトリックス。
【請求項27】
前記補助電解質が、前記高分子電解質の電荷に対して反対の電荷である請求項25又は26記載の超微粒子マトリックス。
【請求項28】
前記変性されたシクロデキストリンが、リン酸化された、硫酸化された、カルボキシメチル化された、及びスクシニル化されたシクロデキストリンから成る群から選択されたアニオン性シクロデキストリンである請求項26又は27記載の超微粒子マトリックス。
【請求項29】
前記アニオン性シクロデキストリンが、ヘプタキス−(2,3−ジメチル−6−スルホ)−β−シクロデキストリン又はヘプタキス(2,6−ジアセチル−6−スルホ)−β−シクロデキストリンである請求項26〜28のいずれか1項記載の超微粒子マトリックス。
【請求項30】
前記アニオン性シクロデキストリンが、β−シクロデキストリンホスフェートである請求項26〜28のいずれか1項記載の超微粒子マトリックス。
【請求項31】
請求項1〜30のいずれか1項記載の超微粒子マトリックスを含んで成る超微粒子。
【請求項32】
前記超微粒子が非小胞性である請求項31記載の超微粒子マトリックス。
【請求項33】
前記超微粒子サイズが、10nm〜1.2μmの範囲である請求項31又は32記載の超微粒子マトリックス。
【請求項34】
前記超微粒子サイズが、10nm〜500 nmの範囲である請求項33記載の超微粒子マトリックス。
【請求項35】
前記超微粒子サイズが、10nm〜300nmの範囲である請求項34記載の超微粒子マトリックス。
【請求項36】
前記超微粒子が、少なくとも表面変性剤を含んで成る請求項31〜35のいずれか1項記載の超微粒子マトリックス。
【請求項37】
前記表面変性剤が、前記超微粒子の表面電荷に対して反対に電荷されている請求項36記載の超微粒子マトリックス。
【請求項38】
前記表面変性剤が、前記超微粒子の表面に共有又は非共有結合される請求項36又は37記載の超微粒子マトリックス。
【請求項39】
前記表面変性剤が、PEG[110]-GLU[10]である請求項36〜38のいずれか1項記載の超微粒子マトリックス。
【請求項40】
前記表面性剤が、NADP、AMP、cAMP及びADP、並びにそれらの塩から成る群から選択される請求項36又は37記載の超微粒子マトリックス。
【請求項41】
前記超微粒子が、標的化構造体を含んで成る請求項31〜40のいずれか1項記載の超微粒子マトリックス。
【請求項42】
前記標的化構造体が、受動的標的化構造体である請求項41記載の超微粒子マトリックス。
【請求項43】
前記標的化構造体が、活動的標的化構造体である請求項41記載の超微粒子マトリックス。
【請求項44】
前記活動的標的化構造体が、抗体、非抗体リガンド、アプタマー、又はそれらのフラグメントの領域である請求項43記載の超微粒子マトリックス。
【請求項45】
前記超微粒子が、治療的活性剤を含んで成る請求項31〜44のいずれか1項記載の超微粒子マトリックス。
【請求項46】
前記治療的活性剤が、抗増殖剤、抗炎症剤及び光力学治療法のための色素から成る群から選択される請求項45記載の超微粒子マトリックス。
【請求項47】
請求項31〜46のいずれか1項記載の超微粒子の調製方法であって、
(a)少なくとも1つの高分子電解質及び少なくとも1つの光学的蛍光剤を接触し;
(b)前記高分子電解質及び光学的蛍光剤をUV保護下で同時凝集し;
(c)前記同時凝集生成物を収穫する段階を含んで成る方法。
【請求項48】
(b’)前記同時凝集生成物の表面を変性する段階を、さらに含んで成る請求項47記載の方法。
【請求項49】
前記段階(b)における同時凝集が4℃で行われる請求項47又は48記載の方法。
【請求項50】
前記段階(b)における同時凝集が、pH7.0〜9.0で行われる請求項47〜49のいずれか1項記載の方法。
【請求項51】
前記段階(b)における同時凝集が、pH7.5〜8.5で行われる請求項50記載の方法。
【請求項52】
前記段階(b)における同時凝集が、UV−Visスペクトルを試験することによりモニターされる請求項47〜51のいずれか1項記載の方法。
【請求項53】
請求項47〜52のいずれか1項記載の方法により調製された超微粒子の表面変性方法であって、前記超微粒子の表面上に、請求項36〜40のいずれか1項記載の表面変性剤を適用する段階を含んで成る方法。
【請求項54】
インビトロ適用のためへの請求項31〜46のいずれか1項記載の超微粒子の使用。
【請求項55】
請求項31〜46のいずれか1項記載の超微粒子を用いてのインビトロ診断方法であって、
(a)前記超微粒子と生物学的サンプルとを接触し;
(b)前記生物学的サンプルから非結合超微粒子を除去し;
(c)前記生物学的サンプルに結合される超微粒子を検出し;
(d)対照サンプルから得られる結果と、段階(c)で得られる結果とを比較する段階を含んで成る方法。
【請求項56】
前記段階(c)における検出が、蛍光顕微鏡技法を用いることにより行われる請求項55記載の方法。
【請求項57】
インビボ適用のためへの請求項31〜46のいずれか1項記載の超微粒子の使用。
【請求項58】
請求項31〜46のいずれか1項記載の超微粒子を用いてのインビボ診断方法であって、
(a)前記超微粒子を対象に適用し;
(b)前記対象に蓄積される超微粒子を検出する段階を含んで成る方法。
【請求項59】
前記段階(b)における検出が、CCD技法を用いることにより行われる請求項58記載の方法。
【請求項60】
請求項31〜46のいずれか1項記載の超微粒子のインビボ局在化方法。
【請求項61】
前記超微粒子が、少なくとも1つの請求項45又は46記載の治療的活性剤を含んで成る請求項60記載の方法。
【請求項62】
医薬的に許容できる組成物の製造のためへの請求項31〜46のいずれか1項記載の超微粒子の使用。
【請求項63】
請求項31〜46のいずれか1項記載の超微粒子を含んで成る医薬的に許容できる組成物。
【請求項64】
請求項31〜46のいずれか1項記載の超微粒子を含んで成るインビトロ及び/又はインビボ診断キット。
【請求項1】
少なくとも1つの荷電された高分子電解質及び少なくとも1つの反対に荷電された活性剤(親水性の光学的蛍光剤である)の共凝集体(co-aggregate)を含んで成る超微粒子マトリックス。
【請求項2】
合計の高分子電解質電荷及び合計の光学的蛍光剤電荷の比率が、電荷過剰をもたらす請求項1記載の超微粒子マトリックス。
【請求項3】
前記光学的蛍光剤が、可視−又はNIR−輻射化合物である請求項1又は2記載の超微粒子マトリックス。
【請求項4】
前記光学的蛍光剤が、NIR−輻射化合物である請求項1〜3のいずれか1項記載の超微粒子マトリックス。
【請求項5】
前記光学的蛍光剤が、平面芳香族及び高く接合されたシステムを含んで成る請求項1〜4のいずれか1項記載の超微粒子マトリックス。
【請求項6】
前記光学的蛍光剤が、共凝集体形成の間、UV−Vis吸収スペクトルにおける深色団シフトを示す請求項1〜5のいずれか1項記載の超微粒子マトリックス。
【請求項7】
前記光学的蛍光剤が、離解の間、UV−Visスペクトルにおける浅色団シフトを示す請求項6記載の超微粒子マトリックス。
【請求項8】
前記深色団及び/又は浅色団シフトが、約20nm〜約80nmの範囲でのΔwavelengthにより特徴付けられる請求項6又は7記載の超微粒子マトリックス。
【請求項9】
前記深色団及び/又は浅色団シフトが、約40nm〜約50nmの範囲でのΔwavelengthにより特徴付けられる請求項6〜8のいずれか1項記載の超微粒子マトリックス。
【請求項10】
前記深色団及び/又は浅色団シフトが、約44nmのΔwavelengthにより特徴付けられる請求項6〜9のいずれか1項記載の超微粒子マトリックス。
【請求項11】
前記光学的蛍光剤が、共凝集体形成の間、吸収強度の低下を示す請求項1〜10のいずれか1項記載の超微粒子マトリックス。
【請求項12】
前記光学的蛍光剤が、離解の間、吸収強度の上昇を示す請求項11記載の超微粒子マトリックス。
【請求項13】
前記高分子電解質がカチオン性であり、そして前記光学的蛍光剤がアニオン性である請求項1〜12のいずれか1項記載の超微粒子マトリックス。
【請求項14】
合計の高分子電解質電荷及び合計の光学的蛍光剤電荷の比率が、約1.5:1〜約6:1の範囲にある請求項13記載の超微粒子マトリックス。
【請求項15】
合計の高分子電解質電荷及び合計の光学的蛍光剤電荷の比率が、約1.5:1〜約3:1の範囲にある請求項13記載の超微粒子マトリックス。
【請求項16】
合計の高分子電解質電荷及び合計の光学的蛍光剤電荷の比率が、約1.5:1である請求項15記載の超微粒子マトリックス。
【請求項17】
前記カチオン性高分子電解質が、ポリエチレンイミン及び誘導体、例えばPEG[113]-b-PEI[30];ポリビニル誘導体、例えばポリビニルアミン、ポリビニルピリジン;ポリアルギニン、ポロヒスチジン;ポリリシン、リシンオクタデシルエステル;ポリグラニジン及びポリ(メチレン−コ−グアニジン);プロタミン、例えばプロタミンスルフェート;ポリアリルアミン、ポリジアリルジメチルアミン;ポリメタクリレート、例えばEudragit E、ポリ(ジメチル−アミノプロピル−メタクリルアミド)[P(DMAPMAN)]又はポリ(ジメチル−アミノエチル−メタクリレート[P(DMAEMA)];スペルミン、スペルミジン及びそれらのポリマーポリスペルミン及びポリスペルミジン;ポリヒスチジン;四量体化されたポリアミド、ポリ(ジメチル−アミノエチル−アスパルタミド)[PDAA];変性されたシリコーン;ポリホスファゼン;タンパク質、例えばヒストン;変性された澱粉、変性されたゼラチン、変性されたセルロース、例えばアミノ化されたセルロースエーテル;アミノ化されたデキストラン、アミノ化されたシクロデキストリン、アミノ化されたペクチン;キトサン;及びそれらの塩及び誘導体から成る群から選択される請求項13〜16のいずれか1項記載の超微粒子マトリックス。
【請求項18】
前記高分子電解質がポリエチレンイミンである請求項17記載の超微粒子マトリックス。
【請求項19】
前記光学的蛍光剤が、スルホネート及びホスフェートから成る群から選択された、過剰の負に荷電された基を含んで成る請求項13〜16のいずれか1項記載の超微粒子マトリックス。
【請求項20】
前記光学的蛍光剤が、ポリメチレン色素、好ましくはシアニン色素である請求項19記載の超微粒子マトリックス。
【請求項21】
前記光学的蛍光剤が、インドトリカルボシアニン色素又はインドジカルボシアニン色素である請求項20記載の超微粒子マトリックス。
【請求項22】
前記光学的蛍光剤が、四スルホン化されたインドトリカルボシアニン色素である請求項21記載の超微粒子マトリックス。
【請求項23】
前記光学的蛍光剤が、三ナトリウム-3,3-ジメチル-2-{4-メチル-7-[3,3-ジメチル-5-スルホナト- l-(2-スルホナトエチル)-3H-インドリウム-2-イル]ヘプタ-2,4,6-トリエン-l-イリデン}-l-(2-スルホナトエチル)-2,3-ジヒドロ-lH-インドール-5-スルホネート、内部塩(TITCC)である請求項19〜22のいずれか1項記載の超微粒子マトリックス。
【請求項24】
前記光学的蛍光剤が、二ナトリウム3,3-ジメチル-2-{7-[3,3-ジメチル-5-スルホナト-l-(2- スルホナトエチル)-3H-インドリウム-2-イル]-ヘプタ-2,4,6-トリエン- 1 -イリデン} - 1 -(2-スルホナトエチル)- 2,3-ジヒドロ-lH-インドール-5-カルボン酸-(l l-カルボキシウンデシル)-アミド(色素−12−アミノドデカン酸接合体)である請求項19〜22のいずれか1項記載の超微粒子マトリックス。
【請求項25】
前記マトリックスがさらに、少なくとも1つの補助電解質を含んで成る請求項1〜24のいずれか1項記載の超微粒子マトリックス。
【請求項26】
前記補助電解質が、変性されたシクロデキストリン、キレート化剤、デンドリマー及びクラウンエーテルから成る群から選択される請求項25記載の超微粒子マトリックス。
【請求項27】
前記補助電解質が、前記高分子電解質の電荷に対して反対の電荷である請求項25又は26記載の超微粒子マトリックス。
【請求項28】
前記変性されたシクロデキストリンが、リン酸化された、硫酸化された、カルボキシメチル化された、及びスクシニル化されたシクロデキストリンから成る群から選択されたアニオン性シクロデキストリンである請求項26又は27記載の超微粒子マトリックス。
【請求項29】
前記アニオン性シクロデキストリンが、ヘプタキス−(2,3−ジメチル−6−スルホ)−β−シクロデキストリン又はヘプタキス(2,6−ジアセチル−6−スルホ)−β−シクロデキストリンである請求項26〜28のいずれか1項記載の超微粒子マトリックス。
【請求項30】
前記アニオン性シクロデキストリンが、β−シクロデキストリンホスフェートである請求項26〜28のいずれか1項記載の超微粒子マトリックス。
【請求項31】
請求項1〜30のいずれか1項記載の超微粒子マトリックスを含んで成る超微粒子。
【請求項32】
前記超微粒子が非小胞性である請求項31記載の超微粒子マトリックス。
【請求項33】
前記超微粒子サイズが、10nm〜1.2μmの範囲である請求項31又は32記載の超微粒子マトリックス。
【請求項34】
前記超微粒子サイズが、10nm〜500 nmの範囲である請求項33記載の超微粒子マトリックス。
【請求項35】
前記超微粒子サイズが、10nm〜300nmの範囲である請求項34記載の超微粒子マトリックス。
【請求項36】
前記超微粒子が、少なくとも表面変性剤を含んで成る請求項31〜35のいずれか1項記載の超微粒子マトリックス。
【請求項37】
前記表面変性剤が、前記超微粒子の表面電荷に対して反対に電荷されている請求項36記載の超微粒子マトリックス。
【請求項38】
前記表面変性剤が、前記超微粒子の表面に共有又は非共有結合される請求項36又は37記載の超微粒子マトリックス。
【請求項39】
前記表面変性剤が、PEG[110]-GLU[10]である請求項36〜38のいずれか1項記載の超微粒子マトリックス。
【請求項40】
前記表面性剤が、NADP、AMP、cAMP及びADP、並びにそれらの塩から成る群から選択される請求項36又は37記載の超微粒子マトリックス。
【請求項41】
前記超微粒子が、標的化構造体を含んで成る請求項31〜40のいずれか1項記載の超微粒子マトリックス。
【請求項42】
前記標的化構造体が、受動的標的化構造体である請求項41記載の超微粒子マトリックス。
【請求項43】
前記標的化構造体が、活動的標的化構造体である請求項41記載の超微粒子マトリックス。
【請求項44】
前記活動的標的化構造体が、抗体、非抗体リガンド、アプタマー、又はそれらのフラグメントの領域である請求項43記載の超微粒子マトリックス。
【請求項45】
前記超微粒子が、治療的活性剤を含んで成る請求項31〜44のいずれか1項記載の超微粒子マトリックス。
【請求項46】
前記治療的活性剤が、抗増殖剤、抗炎症剤及び光力学治療法のための色素から成る群から選択される請求項45記載の超微粒子マトリックス。
【請求項47】
請求項31〜46のいずれか1項記載の超微粒子の調製方法であって、
(a)少なくとも1つの高分子電解質及び少なくとも1つの光学的蛍光剤を接触し;
(b)前記高分子電解質及び光学的蛍光剤をUV保護下で同時凝集し;
(c)前記同時凝集生成物を収穫する段階を含んで成る方法。
【請求項48】
(b’)前記同時凝集生成物の表面を変性する段階を、さらに含んで成る請求項47記載の方法。
【請求項49】
前記段階(b)における同時凝集が4℃で行われる請求項47又は48記載の方法。
【請求項50】
前記段階(b)における同時凝集が、pH7.0〜9.0で行われる請求項47〜49のいずれか1項記載の方法。
【請求項51】
前記段階(b)における同時凝集が、pH7.5〜8.5で行われる請求項50記載の方法。
【請求項52】
前記段階(b)における同時凝集が、UV−Visスペクトルを試験することによりモニターされる請求項47〜51のいずれか1項記載の方法。
【請求項53】
請求項47〜52のいずれか1項記載の方法により調製された超微粒子の表面変性方法であって、前記超微粒子の表面上に、請求項36〜40のいずれか1項記載の表面変性剤を適用する段階を含んで成る方法。
【請求項54】
インビトロ適用のためへの請求項31〜46のいずれか1項記載の超微粒子の使用。
【請求項55】
請求項31〜46のいずれか1項記載の超微粒子を用いてのインビトロ診断方法であって、
(a)前記超微粒子と生物学的サンプルとを接触し;
(b)前記生物学的サンプルから非結合超微粒子を除去し;
(c)前記生物学的サンプルに結合される超微粒子を検出し;
(d)対照サンプルから得られる結果と、段階(c)で得られる結果とを比較する段階を含んで成る方法。
【請求項56】
前記段階(c)における検出が、蛍光顕微鏡技法を用いることにより行われる請求項55記載の方法。
【請求項57】
インビボ適用のためへの請求項31〜46のいずれか1項記載の超微粒子の使用。
【請求項58】
請求項31〜46のいずれか1項記載の超微粒子を用いてのインビボ診断方法であって、
(a)前記超微粒子を対象に適用し;
(b)前記対象に蓄積される超微粒子を検出する段階を含んで成る方法。
【請求項59】
前記段階(b)における検出が、CCD技法を用いることにより行われる請求項58記載の方法。
【請求項60】
請求項31〜46のいずれか1項記載の超微粒子のインビボ局在化方法。
【請求項61】
前記超微粒子が、少なくとも1つの請求項45又は46記載の治療的活性剤を含んで成る請求項60記載の方法。
【請求項62】
医薬的に許容できる組成物の製造のためへの請求項31〜46のいずれか1項記載の超微粒子の使用。
【請求項63】
請求項31〜46のいずれか1項記載の超微粒子を含んで成る医薬的に許容できる組成物。
【請求項64】
請求項31〜46のいずれか1項記載の超微粒子を含んで成るインビトロ及び/又はインビボ診断キット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2009−507092(P2009−507092A)
【公表日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−528427(P2008−528427)
【出願日】平成18年9月1日(2006.9.1)
【国際出願番号】PCT/EP2006/008568
【国際公開番号】WO2007/025768
【国際公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(300049958)バイエル・シエーリング・ファーマ アクチエンゲゼルシャフト (357)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月1日(2006.9.1)
【国際出願番号】PCT/EP2006/008568
【国際公開番号】WO2007/025768
【国際公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(300049958)バイエル・シエーリング・ファーマ アクチエンゲゼルシャフト (357)
【Fターム(参考)】
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