説明

光学素子、光検出素子、光変調素子、撮像素子及びカメラ

【課題】耐久性が高く、ホール型の金属薄膜フィルタよりも光吸収が少なく、透過率と反射率が高く、光学特性を可変とする、ことが可能となる光学素子等を提供する。
【解決手段】誘電体基板と、
誘電体基板の表面上に、複数の第1の金属構造体が面内方向に孤立した状態で2次元的、かつ周期的に設けられた金属構造体群と、
金属構造体群を覆う誘電体層と、を備え、
金属構造体は、第1の方向に可視光領域における所定の波長である第1の波長以下の第1の長さと、該第1の方向と直交する第2の方向に第1の波長以下の第2の長さを有し、
誘電体基板若しくは誘電体層のうち、少なくとも一方の誘電率が可変とされており、
金属構造体と、誘電体基板または誘電体層に入射する光とが共鳴することにより、金属構造体の表面に誘起される局在表面プラズモンによって、
第1の波長の光の透過率を極小値とし、または第1の波長の光の反射率を極大値とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学素子、光検出素子、光変調素子、撮像素子及びカメラに関し、特に表面プラズモンを利用した光学素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、金属薄膜に開口を周期的に配列し、表面プラズモンを利用して波長選択を行なうホール型の光学フィルタが特許文献1や非特許文献1で提案されている。
従来、膜厚にも依存するが、光の波長以下のサイズの開口径を有する金属薄膜の透過率は概ね1%未満になると考えられていた。
しかし、特許文献1に記載されているように、プラズモンの波長に合わせた周期で金属薄膜に所定の大きさの開口を配列すると、表面プラズモンを誘起する波長の光の透過率は大幅に向上することが分かった。
また、非特許文献1には、このような表面プラズモンを利用したホール型の光学フィルタを用いて、RGBの透過スペクトルが得られることが記載されている。
具体的には、サブ波長のアレイ開口を有した金属薄膜を用いて、436nm(青色)、538nm(緑色)、627nm(赤色)の波長を有する透過スペクトルが得られたことが開示されている。
さらに、特許文献2には、表面プラズモンを利用した波長フィルタについて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許5973316号明細書
【特許文献2】国際公開第2002/008810号パンフレット
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Nature Vol.424 14、August、2003(第4図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1や非特許文献1では、比較的大きな面積を有する金属薄膜にホールを周期的に形成することによって、金属表面に誘起される表面プラズモンの波長に依存した透過スペクトルを持つフィルタを実現している。
しかしながら、このようなホール型の金属薄膜フィルタは、金属が占める割合が大きいことから、光吸収が大きい。
そのため、上記特許文献1に記載されている金属薄膜フィルタでは、透過率が一番大きいピークであっても、透過率は5〜6%程度である。
このように透過率があまり高くないフィルタでは、透過スペクトルを利用したい場合、透過光の強度を確保するために、入射光の強度を大きくする必要がある。
このため、ホール型のフィルタを用いたデバイスのエネルギー効率は低いものになってしまう可能性がある。
特に、金属による光の吸収はマイクロ波領域ではさほど多くないものの、可視光領域では光の吸収が多く、可視光領域の透過フィルタとしてホール型の金属薄膜フィルタを用いると、実デバイスへの適用範囲が狭くなってしまう。
また同様に、ホール型のフィルタを可視光領域の反射フィルタとして用いたとしても、光の吸収によりエネルギー効率は低いものとなる。
そこで、可視光領域を含む波長帯域においてホール型の金属薄膜フィルタよりも光吸収が少なく、透過率または反射率の高い光学フィルタの提供が望まれる。
【0006】
ところで、上記特許文献1や特許文献2に記載のフィルタでは、表面プラズモンの波長に対応するピッチを有する開口や突起を比較的大きな面積を有する金属膜に周期的に形成して光学的特性を制御している。
すなわち、この周期構造に沿って伝搬する表面プラズモン波同士の干渉によって、ピッチに対応する波長の表面プラズモン波が選択され、強め合って透過光の強度の増大や反射光の強度の増大が図られる。
したがって、上記特許文献1や特許文献2に記載のフィルタにおいては、周期構造のピッチがフィルタの光学特性の支配的な要因となる。
そして、所望の光学特性を発現させるために波長を決めると、これに応じて周期構造のピッチが決定される。
つまり、所望の波長の選択により、開口や突起の密度は制約されることとなり、このような制約により透過率や反射率を高めたり、透過スペクトルや反射スペクトルを変化させることが困難となる。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑み、耐久性が高く、ホール型の金属薄膜フィルタよりも光吸収が少なく、透過率と反射率が高く、光学特性を可変とする、ことが可能となる光学素子、光検出素子、光変調素子、撮像素子及びカメラを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、つぎのように構成した光学素子、光検出素子、光変調素子、撮像素子及びカメラを提供するものである。
本発明の光学素子は、可視光領域における所定の波長である第1の波長の光を透過または反射する光変調素子であって、
誘電体基板と、
前記誘電体基板の表面上に、複数の第1の金属構造体が面内方向に孤立した状態で2次元的、かつ周期的に設けられた第1の金属構造体群と、
前記第1の金属構造体群を覆う誘電体層と、を備え、
前記第1の金属構造体は、第1の方向に前記第1の波長以下の第1の長さと、該第1の方向と直交する第2の方向に前記第1の波長以下の第2の長さを有し、
前記誘電体基板若しくは前記誘電体層のうち、少なくとも一方の誘電率が可変とされており、
前記金属構造体と、前記誘電体基板または前記誘電体層に入射する光とが共鳴することにより、前記金属構造体の表面に誘起される局在表面プラズモンによって、
前記第1の波長の光の透過率を極小値とし、または前記第1の波長の光の反射率を極大値とすることを特徴とする。
また、本発明の光検出素子は、上記した光学素子を有することを特徴とする。
また、本発明の光変調素子は、上記した光学素子を有することを特徴とする。
また、本発明の撮像素子は、上記した光検出素子を有することを特徴とする。
また、本発明のカメラは、上記した撮像素子を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、耐久性が高く、ホール型の金属薄膜フィルタよりも光吸収が少なく、透過率と反射率が高く、光学特性を可変とする、ことが可能となる光学素子、光検出素子、光変調素子、撮像素子及びカメラを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態における光学フィルタの構成を説明する模式図。
【図2】本発明の第1の実施形態における光学フィルタにより得られる透過スペクトルを示す図。
【図3】本発明の実施例6における可変フィルタの構成を説明する模式図。
【図4】本発明の実施例1における基板に強誘電体を用いる場合の構成例について説明する図。
【図5】本発明の実施例1における光学素子により得られる波長と透過率または反射率の関係を示す図。
【図6】本発明の実施例2における光学素子の誘電体層に液晶を用いる場合の構成例について説明する模式図。
【図7】本発明の実施例3における光学素子において誘電体層に流体と、この流体を流す流路構造を用いる場合の構成例について説明する模式図。
【図8】本発明の実施例3における光学素子により得られる波長と透過率または反射率の関係を示す図。
【図9】本発明の実施例5における光学素子を用いた光検出素子の模式図。
【図10】本発明の実施例4における光学素子の誘電体層に微粒子を分散した流体を用いる場合の構成例を説明する模式図。
【図11】本発明の第2の実施形態における保護層が液晶層になっている場合、第3の実施形態における保護層が流体層になっている場合、第4の実施形態における保護層が誘電体微粒子分散層になっている場合、の構成例を説明する模式図。
【図12】本発明の実施例5における光学素子を用いた撮像素子の模式図。
【図13】本発明の実施例5における図12のように構成した撮像素子をデジタルカメラに組み込んだ模式図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明者は、従来の色素含有型の光学フィルタや誘電体多層膜型の光学フィルタ、バイオセンサなどの光学特性が非可変もしくは光学特性変化が不可逆であることに着目し、それらが可変となる素子について検討した。
金属構造体を誘電率可変な誘電体基板上、若しくは誘電率可変な誘電体層内に、周期的に配置した金属ドット型の光学素子について検討した。
金属微粒子、特に光の波長程度もしくはそれ以下の大きさの粒子は、局在表面プラズモン共鳴(LSPR:Lorcalized Surface Plasmon Resonance)を生じさせることができる。
ここで、プラズモンとは、光などの外部電場により励起される金属表面の自由電子の集団的な振動のことである。
電子は電荷を帯びているため、電子が振動することにより、自由電子の粗密分布による分極が生じる。その分極と電磁界とが結合する現象をプラズモン共鳴という。
特に、金属の微粒子表面や金属微細構造に発生する自由電子のプラズマ振動と光との共鳴現象を局在表面プラズモン共鳴(LSPR)という。
すなわち、金属微粒子表面の自由電子の集団的な振動が光などの外部電場により励起され、その振動により電子の密度分布とこれに伴う分極が生じ、粒子の近傍に局在するような電磁場が発生する。
【0012】
同一の面積のフィルタ同士を比較した場合、誘電体基板上に金属構造体の複数を(例えば、周期的に)配置したドット型の光学フィルタは、ホール型の光学フィルタに比べて、金属部分を少なくすることができる。
そのため、実質的な開口部を大きく取り易い構成であり且つ金属による光の吸収を抑制することができることから、全体的な透過率をホール型よりも高くすることができる。
一例とし、図3に誘電体基板301に、金属302の複数が(例えば、ある周期で)配置されているドット型の光学フィルタの模式図を示す。
このように構成することにより、特定の波長で透過率の極小値を有する透過スペクトルを得ることができる。
これは、局在プラズモン共鳴によって、特定の波長の光が吸収、散乱されるためである。
LSPRは数nm以上の厚みの金属構造体であれば、微小なものでも発現させることが可能である。
本発明者は、局在表面プラズモンを利用する光学フィルタについて検討を行った。
そして、誘電体基板や保護層の少なくとも一方を誘電率可変物質にすることで、上記プラズモン共鳴の波長を変化させ、本発明の光学素子の光学特性を変化させることが可能であることを見出した。
【0013】
誘電率が可変な物質としては種々の強誘電体、例えばLiNbO3,LiTaO3、SrBaNbO3、BaTiO2、などがある。
また、ピエゾ効果を有するPZT等も使用可能である。
また、例えば液晶などを金属構造体周囲に配置し、液晶の配向を電界で制御することで金属構造体周囲の屈折率を変化させても良い。
また、屈折率が互いに異なる複数の流体を使用し、金属構造体近傍に存在する流体を変化させることで金属構造体周囲の屈折率を変化させても良い。
あるいは、チタニア等の高屈折率微粒子を分散させた液体などを用い、前記高屈折率流体中の微粒子を電気的、もしくはその他の力により金属構造体に引き寄せたり、あるいは遠ざけたりすることで金属構造体周囲の屈折率を可変にすることができる。
あるいは、金属構造体近傍に、別の誘電体基板等を近接させて金属構造体周囲の屈折率変化を生じさせても良い。
例えば、石英や窒化シリコンの基板や薄膜を形成し、これを金属構造体に近接配置し、この誘電体と金属構造体の距離を制御、変化させればよい。
そのために、例えば金属薄膜構造体と基板との距離制御機構を備えても良いし、または金属薄膜構造体が形成されている基板自身もしくはそれに近接配置される該誘電体が可撓な素材もしくは構造になっていても良い。
これらにより、本発明に係る光学素子を用いて、小型で耐久性が高い光変調器などの素子を構成することが可能となる。
以下に、図を用いて本発明の各実施形態について説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
図1を用いて、本発明の第1の実施形態における光学フィルタの構成を説明する。
図1(b)は、本実施形態における光学フィルタの上面図であり、図1(a)は上記光学フィルタの上面図におけるA−A’の断面図である。
図1に示されるように、誘電体基板110の表面上には複数の金属構造体120が設けられ、これらを覆うように誘電体層130が形成されている。
この金属構造体120は、誘電体基板110の面内方向に孤立した状態で、2次元的、かつ周期的に設けられており、金属構造体群として構成されている。
なお、説明のため、第1の金属構造体群を構成する2つの第1の金属構造体について符号121と122を付している。
ここでは、金属構造体120は周期的に設けられている例を示した。
特に、金属構造体を単一の周期で設けることは、以下に説明するように好ましい構成である。
すなわち、プラズモン共鳴が生じる際に、各金属構造体からは電界が染み出すため、電界が染み出す範囲内に各金属構造体同士を配置すると、各金属構造体の共鳴条件は互いに影響を受けることになる。
この影響を均一化させるためには、金属構造体と該金属構造体に隣接する金属構造体とを電磁的に同等な関係となる位置、つまり全ての金属構造体が等間隔に周期的に配置する状態が好適である。
【0015】
このように、各金属構造体を周期的に配置すれば、各金属構造体における共鳴条件のずれが抑制され、各構造体において同じ共鳴波長で同位相の局在プラズモン共鳴を誘起可能となる。
この結果、共鳴ピークのディップが深く、ピーク幅が狭い透過スペクトルを得ることができる。
また、回折光の発生を抑制できるために、透過スペクトル形状への影響も低減できる。
ところで、各金属構造体を近接しすぎると、各金属構造体の共鳴条件は互いに強く影響を受ける結果、所望の共鳴波長やスペクトル幅が得られず、透過率も低下する可能性がある。
そのため、局在プラズモン共鳴の際に金属構造体の電界はその構造体自身の大きさ程度の距離まで染み出すことを考慮すると、金属構造体同士の間隔はその構造体の大きさ程度に離れていることが好ましい。
また、より好ましくは、金属構造体同士の間隔は前述の電界の染み出しが重なり合わない程度に離れていること、つまり金属構造体同士の間隔が金属構造体自身の大きさの2倍程度以上離れていることが好適である。
一方、金属構造体同士の間隔が構造体自身の大きさの3倍程度に離れると、透過スペクトルのディップが浅くなってしまう。
したがって、周期的に設けられている金属構造体同士の間隔として好適なのは、構造体自身の大きさの1倍以上であり、より好ましくは1倍以上3倍以下であり、より好ましくは2倍程度である。
【0016】
図1において、第1の金属構造体121は、第1の方向140に第1の長さ141を有し、かつ、第1の方向140と直交する第2の方向150に第2の長さ151を有している。
ここで、第1の長さ141と第2の長さ151は、例えば、可視光領域における光の波長以下の長さに設定する。
金属構造体に誘起されるプラズモンの波長は最低次のモード(双極子モード)の場合であっても、プラズモンの半波長が金属構造体の大きさと略同一になる。
そのため、例えば可視光でプラズモンを励起され得る構造の大きさは可視光の励起波長よりも短くなることから、これらの長さを可視光領域における光の波長以下としている。
また、第1の長さ141と第2の長さ151をプラズモン共鳴波長以下(第1の波長以下)とすることも好ましい形態である。
ここでは、一例として、第1の金属構造体121は、第1の長さと第2の長さが同一である正方形状とし、一辺を120nmとしているが、これに限定されるものではなく、例えば、60nm以上160nm以下の範囲とすることができる。
光学特性の設計容易性という点からは正方形状は好ましいが、円形状や楕円形状、その他多角形形状の金属も金属構造体として用いることができる。
例えば、円形状ならば偏光依存性を抑制することが可能となり且つ作製精度も維持しやすいため好適である。
金属構造体の形状は、これに限定されるものではなく種々のものを取り得るが、第1の長さ、または第2の長さは、金属構造体の最大幅ととらえることもできる。
【0017】
本実施形態では、金属構造体と、誘電体基板または誘電体層に入射する光とが共鳴することにより、金属構造体の表面に誘起される局在表面プラズモンによって、可視光領域における所定の波長(第1の波長)の光の透過率が極小値を示す。
この第1の波長である可視光領域における所定の波長は、例えば、350nm以上から750nm未満の範囲の波長とすることができる。
図1に示した第1の金属構造体群において、金属構造体120が設けられている周期145および周期155は、可視光領域における光の波長以下、より好ましくはプラズモン共鳴波長以下(第1の波長以下)にすることも好適な形態である。
注目している光の波長領域よりも金属構造体の周期が大きい場合には、高次の回折光が発生し、0次回折光の強度が低下する可能性があるからである。
また、金属構造体120が設けられている周期145および周期155は、第1の金属構造体群のプラズモン共鳴波長(第1の波長)より小さくすることも好ましい形態である。
金属構造体の周期がプラズモン共鳴波長と近くなると、ウッズのアノマリを起こす波長の光がプラズモン共鳴と結合し、プラズモン共鳴によるピーク形状が先鋭化すると共に共鳴波長での透過率極小値の深さが浅くなってしまうからである。ここで、ウッズのアノマリとは、入射光が周期構造により回折され、回折光が金属周期構造表面の極近傍を表面と平行に伝播する現象のことをいう。
【0018】
ここでは、一例として、緑色の波長帯域にプラズモン共鳴を生じ且つこの光学特性が可変である光学素子を構成するため、周期145および155は310nmとしている。
しかし、これに限定されるものではなく、例えば、これらの周期は180nm以上450nm以下の範囲とすることができる。
また、第1の金属構造体121と122との間隔152は、第1の長さ141及び第2の長さ151よりも大きくすることも好ましい形態である。
このような間隔に設定すれば、金属構造体同士の間で近接場相互作用が強く生じることによるスペクトルピーク幅の拡大や、ピーク波長のシフト等を抑制することができる。
また、金属構造体120の厚さ160を可視光領域における光の波長以下、好ましくはプラズモン共鳴波長以下(第1の波長以下)にすることも好適な形態である。
フィルタを作製する際の微細加工プロセスにおいて、金属構造体の厚さを厚く設定しすぎると作製誤差が大きくなるからである。
ここでは、一例として、厚さ160は60nmとしているが、これに限定されるものではなく、例えば、10nm以上200nm以下の範囲とすることができる。
【0019】
金属構造体120の材料としては、アルミニウム、金、銀、白金などを用いることができる。
このうちアルミニウムは、銀と比較してプラズマ周波数が高く、物性的に可視域全体を網羅する光学特性のフィルタの設計が容易である(Ag:〜3.8eV(〜325nm)、Al:〜15eV(〜83nm))。
また、アルミニウムは、銀等と比較して酸化されにくく、化学的に安定であるため、長期間安定して所定の光学特性を発現できる。
さらに、アルミニウムは、銀と比較して誘電率の虚部が大きいため銀と比較して膜厚を薄くしても十分な遮光性を発現させることができ、また微細加工が容易である。
加えて、アルミニウムは、白金のように化学的に極度に不活性であるためにドライエッチングによる微細加工が困難であるなどの難点も無い。
なお、金属構造体120はアルミニウム、金、銀、白金を含む混合物や、合金であってもよい。
【0020】
誘電体基板110の材料としては、例えば可視光領域の光を透過する材料である石英(二酸化ケイ素)、二酸化チタンなどの金属酸化物や、窒化シリコンなどの透過率が高い材料から適宜選択することができる。
また、ポリカーボネートやポリエチレンテレフタレートなどの高分子材料も誘電体基板110の材料として用いることができる。
また、屈折率可変材料を選択するのであれば例えばLiNbO3、BaTiO3等の強誘電体でも良い。
また、誘電体層130の材料としては、誘電体基板110と同様に、石英(二酸化ケイ素)、二酸化チタン、窒化シリコン等から適宜選択することができる。
また、ポリカーボネートやポリエチレンテレフタレートなどの高分子材料も誘電体層130の材料として用いることができる。
また、屈折率可変材料を選択するのであれば、例えばLiNbO3、BaTiO3等の強誘電体でも良い。
これらの強誘電体に、例えば誘電体層130に強誘電体を用い、強誘電体の正常屈折率の方向を140、異常屈折率の主軸を150として使用する場合に、電極170間に電界をかける。
これにより、強誘電体の屈折率を変化させ、前記金属構造体の周囲の屈折率を変化させることが可能である。
強誘電体の光学特性は高速変調が可能なため、本素子を光変調器に用いることで高速動作が可能な光変調素子を構成することも可能である。
但し、電極配置、及び結晶方位の方向は結晶の物理的特性によって適宜選択すればよい。
さらに、誘電体基板と誘電体層のどちらを屈折率可変材料に用いるかによっても電極配置を適宜変化させることが好適である。
また、電気光学結晶を用いる場合には特に小面積の画素を有する素子においてその適用が好適である。
本実施形態の光学特性可変の光学素子を作成するためには、上記の誘電体基板もしくは誘電体層の少なくとも一方は、上記のように屈折率が可変であることが必要である。
【0021】
図2は、金属構造体としてアルミニウムを用いて、第1の長さと第2の長さを120nm、周期310nm、厚さ60nmとした光学素子の透過スペクトルの計算例である。
誘電体基板として石英基板、保護層として屈折率1.4の物質を用いた場合のこの光学フィルタの透過スペクトルは透過スペクトル201のようになり、波長530nm付近の光を強く遮光する光学フィルタとして機能していることがわかる。
波長530nmは緑色の帯域である。
この光学フィルタは緑色の波長を反射、吸収するため、透過スペクトルとしては、緑色の補色であるマゼンダ色が観察される。
さらに、金属構造体周囲の屈折率を変化させることによって、透過スペクトルの波長、スペクトル幅、強度を変化させることも可能である。
【0022】
例えば、上記の構成において、保護層の屈折率を1.5の場合の透過スペクトル202、1.6の場合の透過スペクトル203に示すように、金属構造体周囲の屈折率に依存してプラズモン共鳴の波長が変化し透過スペクトルが変化していることが分かる。
なお、本実施形態に係る光学素子の反射スペクトルは、透過率が極小値を示す波長近傍で反射率が極大値となる。
そのため、本実施形態に係る光学素子は、透過フィルタとしてのみならず、所望の波長で反射率を増加する反射フィルタとして用いることも可能である。
【0023】
(第2の実施形態)
本実施形態では、保護層が液晶層になっている場合の構成例について説明する。
誘電体基板1101上に金属構造体1102が配置され、更にこの上に液晶層1103並びに透明電極1104が配置される。
また、誘電体基板1101の下にも透明電極1105を配置する。(図11(a))。
この状態で、液晶層1103に電界を加え、液晶層内の液晶分子の配向を変化させることで金属構造体1102周囲の屈折率を変化させ、これにより金属構造体1102に誘起されるプラズモン共鳴の波長を変化させることが可能である。
液晶分子を用いる場合、液晶分子は分子ごとに双極子モーメントを有するため、液晶分子を配向させることにより屈折率の偏光依存性を生じさせることも可能である。
【0024】
また、この配向の程度や向きを変えることで、本発明の光学素子に偏光依存性を持たせることが可能となる。
例えば、液晶分子を一方向に配向させ、金属薄膜構造体に入射する光の偏光方向に対して屈折率が依存するようにすることで、偏光方向ごとに金属薄膜構造体の共鳴周波数を違う値にすることが可能である。
また、電気的に液晶分子の配向の制御及び変化をさせることで、各偏光に対する共鳴周波数を変化させることも可能である。
したがって、本実施形態では液晶層1103への印加電圧を変化させることで、本発明に開示される素子の光学特性を変化させることができ、本発明を光変調素子として機能させることが可能である。
【0025】
(第3の実施形態)
本実施形態では、保護層が流体層になっている場合の構成例について説明する。
誘電体基板1106上に金属構造体1107が配置され、更にこの上にカバーグラス1109を配置することで流路構造を形成する。そしてこの流路構造内を、流体1108で満たす(図11(b))。
この流路に流す流体1108の種類を変化させたり、あるいは流体1108の温度などを変化させその密度変化を起こすことで金属構造体周囲の屈折率を変化させ、金属構造体に誘起されるプラズモン共鳴波長を変化させることが可能である。
流体を水やエタノール、グリセロールなどと変えていくことで金属構造体周囲の屈折率を大きく変化させ、金属構造体に誘起されるプラズモン共鳴波長を変化させることが可能である。
したがって、本実施形態では流体1108として用いる物体を変化させたり、あるいは流体1108の温度などの物理状態を変化させることで、本発明に開示される素子の光学特性を変化させることができ、これらを光変調素子として機能させることが可能である。
【0026】
(第4の実施形態)
本実施形態では、保護層が誘電体微粒子分散層になっている場合の構成例について説明する。
この構成例では、流体保持構造、該流体保持構造によって保持されている流体及び該流体内に分散された該流体とは誘電率が異なる微粒子で構成されている。
具体的には、誘電体基板1110上に金属構造体1111が配置され、更にこの上にカバーグラス1114を配置する。
そして、誘電体基板1110とカバーグラス1114の間の空間を流体1112及び流体1112中に分散された微粒子1113で満たす(図11(c))。
加えて、例えばこの微粒子表面を化学修飾等の手段を用いて微粒子同士を同符号で帯電させておくことが望ましい。
そして、例えば上記のように微粒子1113が帯電しているならば、この流体に対して電界を印加することで流体内の微粒子を金属構造体周囲に引き寄せる、あるいは遠ざけることが可能である。
あるいは、微粒子表面に磁気を帯びさせておけば、これらの微粒子に磁場を印加することで上記と同様に流体内の微粒子を金属構造体周囲に引き寄せる、あるいは遠ざけることが可能である。
この動作により金属構造体周囲の屈折率変化を起こすことが可能であり、金属構造体に誘起されるプラズモン共鳴波長を変化させ、金属構造体に誘起されるプラズモン共鳴波長を変化させることが可能である。
したがって、本実施形態では流体1112及び微粒子1113に印加する電圧を変化させたり、あるいは磁場を変化させるなどすることで、本発明に開示される素子の光学特性を変化させることができ、本発明を光変調素子として機能させることが可能である。
【0027】
なお、ここまでの実施形態ではほぼ同一形状の金属構造体が2次元的に周期的に配列しているものを例として説明したがこれに限るものではない。
例えば、領域ごとに金属構造体の大きさが異なり、かつ金属構造体が設けられている周期も異なっている例えば所謂ベイヤ配列のような形態を構成しても良い。
また、例えば、金属構造体の周期だけが異なる金属構造体群が各領域に配置されていても良い。
また、金属構造体の大きさだけが異なる金属構造体群が各領域に配置されていても良い。
つまり、第1の金属構造体群を2つ以上有し、第1の金属構造体が設けられている周期は互いに異なっており、前記第1の金属構造体群は前記誘電体基板表面の相異なる領域に配置されていても良い。
また、第1の金属構造体群を構成する第1の金属構造体とは異なる形状である第2の金属構造体からなる第2の金属構造体群が各領域に配置されていても良い。
すなわち、第2の金属構造体は、第1の方向に第3の長さを有し、第2の方向に第4の長さを有し、第3の長さは第1の金属構造体が有する第1の長さと異なるか、または第4の長さは第1の金属構造体が有する第2の長さと異なっている。また、第3の長さと第4の長さは第1の波長とは異なる可視光領域における所定の波長である第2の波長以下とし、第1の構造体群の共鳴波長とは異なる第2の波長以下とするのが好ましい形態である。
この結果、第2の金属構造体群は、第1の構造体群の共鳴波長(第1の波長)とは異なる波長(第2の波長)で光の透過率を減少させることができる。
【0028】
なお、本明細書において、第1の金属構造体群と第2の金属構造体群とは、構造体群を構成する金属構造体の形状が異なることを意味する。
すなわち、金属構造体の周期が異なっていても、形状が同じであれば、第1の金属構造体群という用語を用いる。また、金属構造体の形状が異なっていれば、周期が同一であっても異なっていても、第2の金属構造体群という用語を用いる。
また、金属構造体の配置として、例えば、金属構造体を三角格子状に配列したものでも良い。
この場合、格子の単位ベクトル成分が直交していないため、正方格子状の配列と比較して素子の光学特性の入射光偏光に対する依存性を軽減することが可能となる。
このような三角格子配列は、正方格子状に配列されている複数の金属構造体群が重複した領域に配置されている構成とすることもできる。
すなわち、第1の金属構造体により構成される第1の金属構造体群と、第2の金属構造体により構成される第2の金属構造体群とは、重複した領域に配置している構成とすることが可能である。
さらに、別の配置として先述の金属構造体群は積層されていても良い。
例えば、誘電体基板上には第1の金属構造体群が形成され、更に第1の誘電体層に覆われる。
そして、第1の誘電体層上には第3の金属構造体群が配置され、更にその上に第2の誘電体層(他の誘電体層)が形成される。
これにより、上記金属構造体群と金属構造体群の透過スペクトルの積で表現される透過スペクトルの光学素子を構成することも可能である。
このような素子の透過スペクトルは透過率極小となる波長を二つ持ち、これらの波長間に透過率の極大を持つことから、単層では補色のフィルタとして機能する素子を、積層することで原色のフィルタとして機能させることも可能になる。
本実施形態に係る積層型の光学素子は、誘電体層表面の上に、更に他の誘電体層が形成された積層型の光学素子である。
そして、誘電体層表面と他の誘電体層との間に、複数の第3の金属構造体を前記誘電体層表面の面内方向に孤立した状態で2次元的、かつ周期的に設けた第3の金属構造体群を有している。
第3の金属構造体群を構成する第3の金属構造体は、第1の方向に第5の長さを有し、かつ第2の方向に第6の長さを有し、第5の長さと第6の長さは、第1の波長とは異なる第3の波長以下の長さである。
第1の長さと第5の長さが異なるか若しくは第2の長さと第6の長さが異なるか、又は、第3の金属構造体が設けられている周期と第1の金属構造体が設けられている周期とが異なっている。
これにより、第3の金属構造体群は、第1の構造体群の共鳴波長(第1の波長)とは異なる共鳴波長(第3の波長)における透過率を減少させることができる。
なお、本実施形態に係る積層型の光学素子においては、近接場相互作用が殆ど生じない積層間隔で積層することも好ましい形態である。
具体的には、100nm以上の積層間隔とすることが好ましい。
【実施例】
【0029】
以下に、本発明の実施例について説明する。
[実施例1]
実施例1では、図4を用いて、本発明の光学素子において基板に強誘電体を用いる場合の構成例について説明する。
図4(a)は厚さ525μmのニオブ酸リチウム(LiNbO3)からなる強誘電体基板401の表面に、この上から金属薄膜層402として厚さ60nmのアルミニウムを蒸着し、その上に電子線描画(EB)用レジスト403を塗布により形成したものである。
なお、金属薄膜層402の成膜方法は蒸着に限るものでなく、スパッタリング等であってもよい。
次に、EB描画装置を用いて、レジスト403をパターニングする。レジストパターンの形状は、一辺が約100nmの正方形であり、周期約200nmで正方格子状に配列した形状を作製する。
このレジストパターンをエッチングマスクとして、塩素と酸素の混合気体のプラズマでドライエッチングすることで金属薄膜構造体404を形成することができる。
また、本工程と同時に強誘電体基板401に電界を印加するための電極406も形成しておく。
なお、ドライエッチングガスは塩素と酸素に限るものではなく、アルゴンやその他のガスでも良い。またはリフトオフプロセスなどを用いてもよい。
【0030】
また、エッチングマスクの作製方法はEB描画に限るものではなく、フォトリソグラフィー等でも良い。
さらに、金属薄膜層402のパターニング方法は、強誘電体基板401上にEB描画やフォトリソグラフィ−等によりレジストパターンを形成し、金属薄膜層402を成膜した後にリフトオフプロセスにより形成しても良い。
加えて、収束イオンビーム加工装置(FIB加工装置)を用いて、金属薄膜層402を直接加工しても良い。
次に、金属薄膜構造体404の上に、誘電体層405として厚さ300nmの石英薄膜をスパッタリングにより成膜する。
このようにして形成された光学素子を図4(b)(c)に示す。なお、成膜方法は、スパッタリングに限るものではなく、CVDによる成膜やさらにはSOGなどを塗布しても良い。
【0031】
図5(a)には、このようにして作製した光学素子の透過スペクトルを示す。
数値計算により透過スペクトルは符号501のように求まり、本素子は波長500nm付近に透過率の最小値(吸収ピーク)を持つ透過型の光学フィルタとしての機能を有することが分かる。
また、別の数値計算より、強誘電体基板の屈折率が2.2から2.3に変化すると、プラズモン共鳴条件の変化により透過率最小値の波長は約20nm増加し、透過スペクトルは符号501から502へ変化することが分かる。
そして、本実施形態の光学素子が光変調素子として機能することも明らかである。
また、本実施例の光学素子の反射スペクトルは、透過率が最小になる波長とほぼ同じ波長で反射率が最大になる。
そのため、図5(b)に示すように、本実施例の光学素子は、反射フィルタとして用いる。
これにより、透過スペクトル501を有する素子からは符号503で示される反射スペクトルを、透過スペクトル502を有する素子からは符号504で示される反射スペクトルを得ることができる。
なお、本実施例では金属薄膜構造体が正方格子状に配列している例を用いて説明したが、三角格子配列にしてもよい。
また、誘電体層405の厚みは300nmに限るものではない。金属薄膜構造体が生成する近接場領域の広さを誘電体層でカバーできるように、100nm程度もしくはそれ以上であることが好適である。
さらに、金属薄膜構造体は本実施例のように、正方形形状の金属薄膜構造体が正方格子状に配列しているものに限るものではない。
例えば、三角格子状にして、入射偏光に対する光学特性の依存性を軽減しても良い。
また、これらの金属薄膜構造体が配列した領域同士において金属薄膜構造体の大きさが異なっていたり、あるいは金属薄膜構造体の配列周期や配列の格子形状などが異なっていても良い。
本実施例のように強誘電体の屈折率変化を用いて本発明の光学素子の光学特性を変調することで素子を高速に駆動することが可能である。
【0032】
[実施例2]
実施例2では、図6を用いて、本発明の光学素子において誘電体層に液晶を用いる場合の構成例について説明する。
図6(a)は透明電極605及びこの上の厚さ525μmの石英からなる誘電体基板601を用意し、この表面に、金属薄膜層602として厚さ30nmのアルミニウムを蒸着し、その上に電子線描画(EB)用レジスト603を塗布により形成したものである。
なお、金属薄膜層602の成膜方法は蒸着に限るものではなく、スパッタリング等であってもよい。
【0033】
次に、EB描画装置を用いて、レジスト603をパターニングする。レジストパターンの形状は、一辺が約100nmの正方形であり、周期約300nmで正方格子状に配列した形状を作製する。
このレジストパターンをエッチングマスクとして、塩素と酸素の混合気体のプラズマでドライエッチングすることで金属薄膜構造体604を形成することができる。
なお、ドライエッチングガスは塩素と酸素に限るものではなく、アルゴンやその他のガスでも良い。またリフトオフプロセス等を用いても良い。
また、エッチングマスクの作製方法はEB描画に限るものではなく、フォトリソグラフィー等でも良い。
さらに、金属薄膜層602のパターニング方法は、誘電体基板601上にEB描画やフォトリソグラフィ−等によりレジストパターンを形成し、金属薄膜層602を成膜した後にリフトオフプロセスにより形成しても良い。
加えて、収束イオンビーム加工装置(FIB加工装置)を用いて、金属薄膜層602を直接加工しても良い。
【0034】
次に、金属薄膜構造体604の上に、誘電体層606として厚さ10μmの液晶、及び誘電体層上に透明電極層605を配置する。
但し、液晶層の製造方法はこの手法に限るものではない。
ここで、透明電極605間に電界を印加することで前記液晶分子の配向性を変化させ、前記金属薄膜構造体周囲の屈折率変化を誘起することにより、金属薄膜構造体に誘起されるプラズモン共鳴の波長が変化し、光学特性を変化させることができる。
このようにして形成された光学素子を図6(b)及び(c)に示す。
なお、本実施例では金属薄膜構造体が正方格子状に配列している例を用いて説明したが、三角格子配列にしてもよい。
さらに金属薄膜構造体は本実施例のように、正方形形状の金属薄膜構造体が正方格子状に配列しているものに限るものではない。
これらの金属薄膜構造体が配列した領域同士において金属薄膜構造体の大きさが異なっていたり、あるいは金属薄膜構造体の配列周期や配列の格子形状などが異なっていても良い。
【0035】
本実施例のように液晶を用いて本発明の光学素子の光学特性を変調することで、前記金属薄膜構造体の周囲での屈折率変化を大きくすることができるため、光学特性の変化を大きくすることが可能である。
さらに、液晶分子が持つ偏光依存性を利用し、本実施例の素子を例えば偏光板などと組み合わせて使用することで本発明の素子を用いて透過率や偏光特性などを制御可能な光学素子の構成も可能である。
例えば、液晶分子を一方向に配向させ、金属薄膜構造体に入射する光の偏光方向に対して屈折率が依存するようにすることで、偏光方向ごとに金属薄膜構造体の共鳴周波数を違う値にすることが可能である。
また、電気的に液晶分子の配向の制御及び変化させることで、各偏光に対する共鳴周波数を変化させることも可能である。
したがって、このような素子を、ある波長のみを透過させるバンドパスフィルタと組み合わせて用いることで、当該波長における、当該偏光の透過率を制御することも可能である。
【0036】
[実施例3]
実施例3では、図7を用いて、本発明を適用した光学素子において誘電体層に流体とこの流体を流す流路構造を用いる場合の構成例について説明する。
図7(a)に示すように、厚さ525μmの石英からなる誘電体基板701を用意し、この表面に、金属薄膜層702として厚さ60nmのアルミニウムを蒸着し、その上に電子線描画(EB)用レジスト703を塗布により形成する。
なお、金属薄膜層702の成膜方法は蒸着に限るものではなく、スパッタリング等であってもよい。
次に、EB描画装置を用いて、レジスト703をパターニングする。レジストパターンの形状は、一辺が約100nmの正方形であり、周期約300nmで正方格子状に配列した形状を作製する。
このレジストパターンをエッチングマスクとして、塩素と酸素の混合気体のプラズマでドライエッチングすることで金属薄膜構造体704を形成することができる。
なお、ドライエッチングガスは塩素と酸素に限るものではなく、アルゴンやその他のガスでも良い。
また、エッチングマスクの作製方法はEB描画に限るものではなく、フォトリソグラフィー等でも良い。
さらに、金属薄膜層702のパターニング方法は、誘電体基板701上にEB描画やフォトリソグラフィ−等によりレジストパターンを形成し、金属薄膜層702を成膜した後にリフトオフプロセスにより形成しても良い。
加えて、収束イオンビーム加工装置(FIB加工装置)を用いて、金属薄膜層702を直接加工しても良い。
金属薄膜層の加工にはリフトオフプロセス等を用いても良い。
【0037】
次に、金属薄膜構造体704の上に、カバーグラス712を配置することで深さが100μmの流路構造を配置する。この流路構造内を流体705で満たしておく。
ここで、流路に流す流体を流体Aから流体Bに変化させることで、金属薄膜構造体周囲の屈折率はn1からn2へ変化する。
例えば、流体Aが水である場合、n1は1.33であり、流体Bがグリセロールである場合、n2は1.51である。このような流体の置換による屈折率変化により金属薄膜構造体に誘起されるプラズモン共鳴の波長が変化し、光学特性を変化させることができる。
流路に循環ポンプを取り付けることでこの動作を実現可能である。
このようにして形成された光学素子708を図7(b)(c)に示す。
送液ポンプ706により、互いに不溶な流体A709と流体B710が流路711内を循環する。
このとき金属薄膜構造体707は流体AまたはBにさらされることで周囲の屈折率が変化し、これによりプラズモン共鳴の波長が変化する。
【0038】
図8(a)には、このような光学素子の透過スペクトルを示す。
流体Aが水である場合、数値計算により透過スペクトルは符号801のように求まり、流体Bがグリセロールである場合、透過スペクトルは符号802のようになる。
本素子は波長510nm付近に透過率の最小値(吸収ピーク)を持つ透過型のフィルタとしての機能を有することが分かる。
また、本実施例の光学素子の反射スペクトルは、透過率が最小になる波長とほぼ同じ波長で反射率が最大になる。
そのため、図8(b)に示すように、本実施例の光学素子は、反射フィルタとして用いることで、透過スペクトルを有する素子からは符号803、804で示される反射スペクトルを得ることができる。
【0039】
なお、本実施例では金属薄膜構造体が正方格子状に配列している例を用いて説明したが、三角格子配列にしてもよい。
さらに金属薄膜構造体は本実施例のように、正方形形状の金属薄膜構造体が正方格子状に配列しているものに限るものではない。
これらの金属薄膜構造体が配列した領域同士において金属薄膜構造体の大きさが異なっていたり、あるいは金属薄膜構造体の配列周期や配列の格子形状などが異なっていても良い。
本実施例のように流体を用いて本発明の光学素子の光学特性を変調することで、前記金属薄膜構造体の周囲での屈折率変化を大きくすることができるため、光学特性の変化を大きくすることが可能である。
【0040】
[実施例4]
実施例4では、図10を用いて、本発明の光学素子において誘電体層として微粒子を分散した流体を用いる場合の構成例を開示する。
図10(a)に示すように、透明電極1008を厚さ525μmの石英からなる誘電体基板1001の一方の面に作製する。
そして、誘電体基板1001のもう一方の表面に、金属薄膜層1002として厚さ60nmのアルミニウムを蒸着し、その上に電子線描画(EB)用レジスト1003を塗布により形成する。
なお、金属薄膜層1002の成膜方法は蒸着に限るものでなく、スパッタリング等であってもよい。
【0041】
次に、EB描画装置を用いて、レジスト1003をパターニングする。レジストパターンの形状は、一辺が約100nmの正方形であり、周期約300nmで正方格子状に配列した形状を作製する。
このレジストパターンをエッチングマスクとして、塩素と酸素の混合気体のプラズマでドライエッチングすることで金属薄膜構造体1004を形成することができる。
なお、ドライエッチングガスは塩素と酸素に限るものではなく、アルゴンやその他のガスでも良い。またリフトオフプロセス等を用いても良い。
また、エッチングマスクの作製方法はEB描画に限るものではなく、フォトリソグラフィー等でも良い。
さらに、金属薄膜層1002のパターニング方法は、誘電体基板1001上にEB描画やフォトリソグラフィ−等によりレジストパターンを形成し、金属薄膜層1002を成膜した後にリフトオフプロセスにより形成しても良い。
加えて、収束イオンビーム加工装置(FIB加工装置)を用いて、金属薄膜層1002を直接加工しても良い。
【0042】
次に、金属薄膜構造体1004の上に、カバーグラス1007及び透明電極1008を配置し、誘電体層として厚さ10μmの流路を設け流体1005で満たす。
また、流体1005中は例えば水でよく、この流体1005中に、屈折率が水より高い直径30nmのチタニアの微粒子1006を分散させる。
そしてこの微粒子の表面は例えば化学修飾することで表面を帯電させることが可能で、これにより微粒子は流体中に分散している状態となる(図10(b))。
ここで、透明電極1008間に電界を印加することで、前記微粒子を金属薄膜構造体近傍に引き寄せたり(図10(c))あるいは逆の操作をすることで金属薄膜構造体周囲の屈折率変化を誘起可能である。
これにより、金属薄膜構造体に誘起されるプラズモン共鳴の波長が変化し、光学特性を変化させることができる。
【0043】
なお、本実施例では金属薄膜構造体が正方格子状に配列している例を用いて説明したが、三角格子配列にしてもよい。
さらに、金属薄膜構造体は本実施例のように、正方形形状の金属薄膜構造体が正方格子状に配列しているものに限るものではない。
また、これらの金属薄膜構造体が配列した領域同士において金属薄膜構造体の大きさが異なっていたり、あるいは金属薄膜構造体の配列周期や配列の格子形状などが異なっていても良い。
また、微粒子は帯電では無く、例えば磁気を帯びさせてもよい。そのためには磁性体微粒子などを用いても良い。
そして、その場合には微粒子の泳動は磁場を用いることが好適な手法となる。
本実施例のように流体及び流体中に分散させた微粒子を用いて本発明の光学素子の光学特性を変調することで、前記金属薄膜構造体の周囲での屈折率変化を大きくすることができるため、光学特性の変化を大きくすることが可能である。
また、印加する電場や磁場の強度により微粒子の集中及び分散具合を制御可能であるため、素子の光学特性を連続的に変化させることが可能である。
さらに、本実施例の素子の微粒子として、透過率が低い粒子などを使用し、若しくはプラズモンを抑制するような誘電率の虚部が大きい粒子を用いる。
これにより、本発明の素子を用いて透過率制御や、プラズモン共鳴スペクトルのピーク幅制御など、光学特性のより高度な制御が可能な光学素子の構成も可能である。
なお、本実施例では流体と、誘電率が流体と異なる微粒子を用いて、該微粒子を金属薄膜構造体に流体中でハンドリングして金属薄膜構造体周囲の屈折率制御を行ったが本実施例の内容はこの手法に限るものではない。
例えば、金属薄膜構造体と、別の誘電体基板やその他の物体を近接させて金属薄膜構造体周囲の屈折率を変化させても良い。
また、例えば石英や窒化シリコンの基板や薄膜、樹脂等の基板及び樹脂フィルム等であっても良い。
【0044】
[実施例5]
本実施例は、図9を用いて、実施例1乃至実施例4で説明したいずれかの光学素子を用いた光検出素子、および光検出素子をアレイ状に並べて撮像素子を構成し、この撮像素子をデジタルカメラに組み込んだ構成例について説明する。
図9は、本発明の光学素子を用いた光検出素子の模式図である。
光検出素子907は、マイクロレンズ901を通して外部から入射した光を光電変換部905に導入する。
光電変換部では入射光に応じた電荷を発生させる。光検出素子は光電変換部905のほかに本発明で開示される光学素子902、誘電体層903、電気回路部904、半導体基板906を含んでいる。
光学素子902には例えば図1に示す金属構造体120のような、光に対してプラズモン共鳴を誘起し得る構造を含んでいる。
【0045】
図12は、本発明の光学素子を用いた撮像素子の模式図である。
図12において、画素エリア1200は、前述の複数の光検出素子(画素)1201a〜1203cを、3行×3列の2次元マトリクス状に配置している。尚、図12では、画素エリア1200は、3行×3列の2次元マトリクス状としたが、例えば、7680×4320列のマトリクスとすることも可能である。
図12において、垂直走査回路1205および水平走査回路1204は、画素エリア1200内に配置されている光検出素子(画素)を選択して読み出すための回路である。
【0046】
図12のように構成した撮像素子をデジタルカメラに組み込んだ模式図を図13に示す。
図13において、1301はカメラ本体、1307は接眼レンズ、1308はシャッターであり、1309は、ミラーである。
本発明に係る撮像素子は1304であり、レンズ鏡筒1303内に配された撮影光学系(レンズ)1302を介し、撮像素子1304に光が入射する。
これにより被写体像に応じて、撮像素子1304の各画素に電荷が発生し、発生した電荷に対応して被写体像を再現できる。
被写体像は、モニター用ディスプレイ装置1305で再生できる他、メモリーカード等の記録媒体1306に記録される。
本実施例における光学素子は、一般的な色素で構成されるカラーフィルタと比較して色毎の塗り分けプロセス等の必要性が無く作製プロセスが簡便である上に、無機材料で構成されるため耐久性も高い。
さらに、光学素子の特性が可変であることから、例えば画素ごとに色調整を行ったり受光感度補正を行うことも可能であり、撮像画質向上が可能である。
【0047】
[実施例6]
実施例6では、図3を用いて、実施例1乃至実施例4で説明したいずれかの光学素子を用いた光変調素子、及び光学部品の構成例について説明する。
図3(a)は、本実施例の光学素子を用いた可変フィルタの模式図である。
光学部品301は、外部から入射した光の透過率を本発明の光学素子302によって変化させる。
光学素子302には、光学素子302内の屈折率可変媒体の屈折率を変化させる屈折率可変機構303、透過光量をモニタリングする受光部304、そして受光量により透過率制御にフィードバックをかけるためのフィードバック回路305が搭載されている。
光学素子302には例えば図1に示す金属構造体120のような、光に対してプラズモン共鳴を誘起し得る構造を含んでいる。
このような光学部品は、例えば撮像素子等において透過率可変の光学フィルタとして使用可能である。また光学シャッターとしても機能することが可能である。
【0048】
図3(b)は、本発明の光学素子を用いた空間光変調素子の模式図である。
図3(b)において、画素エリア306は、前述の複数の光変調素子307を、3行×3列の2次元マトリクス状に配置している。
尚、図3では、画素エリア306は、3行×3列の2次元マトリクス状としたが、例えば、7680×4320列のマトリクスとすることも可能である。
図3(b)において、垂直駆動回路308および水平駆動回路309は、画素エリア306内に配置されている光変調素子を個別に駆動するための回路である。
【0049】
以上のとおり、本発明を適用した光学素子は、無機材料で構成することにより耐久性の高い光学素子を構成することができる。
また、光学素子の特性を可変に構成することができ、例えば、画素ごとに透過率の変化を可能とすることができるから、これらの光学素子を撮像装置等に組み込むことで、より複雑な撮像光学系の光学特性制御が可能となり、撮像画質の向上を図ることが可能となる。
【符号の説明】
【0050】
110:誘電体基板
120:金属構造体
121:第1の金属構造体
122 第1の金属構造体
130:誘電体層
140:第1の方向
141:第1の長さ
145:周期
150:第2の方向
151:第2の長さ
155:周期
160:金属構造体の厚さ
170:電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視光領域における所定の波長である第1の波長の光を透過または反射する光変調素子であって、
誘電体基板と、
前記誘電体基板の表面上に、複数の第1の金属構造体が面内方向に孤立した状態で2次元的、かつ周期的に設けられた第1の金属構造体群と、
前記第1の金属構造体群を覆う誘電体層と、を備え、
前記第1の金属構造体は、第1の方向に前記第1の波長以下の第1の長さと、該第1の方向と直交する第2の方向に前記第1の波長以下の第2の長さを有し、
前記誘電体基板若しくは前記誘電体層のうち、少なくとも一方の誘電率が可変とされており、
前記金属構造体と、前記誘電体基板または前記誘電体層に入射する光とが共鳴することにより、前記金属構造体の表面に誘起される局在表面プラズモンによって、
前記第1の波長の光の透過率を極小値とし、または前記第1の波長の光の反射率を極大値とすることを特徴とする光学素子。
【請求項2】
前記第1の金属構造体群は、前記誘電体基板の表面上に周期的に設けられている前記第1の金属構造体の周期が、前記第1の波長以下であることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
【請求項3】
前記第1の金属構造体における前記第1の長さと前記第2の長さが、同一の長さであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光学素子。
【請求項4】
前記第1の長さと前記第2の長さが同一の長さとされている前記第1の金属構造体の形状が、正方形状であることを特徴とする請求項3に記載の光学素子。
【請求項5】
前記第1の金属構造体は、厚さが前記第1の波長以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の光学素子。
【請求項6】
前記第1の金属構造体が、アルミニウム、またはアルミニウムを含む混合物もしくは合金で構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の光学素子。
【請求項7】
前記誘電体基板と前記誘電体層のうち、少なくとも一方は強誘電体で構成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の光学素子。
【請求項8】
前記誘電体層は、液晶で構成されていることを特徴とする請求項7に記載の光学素子。
【請求項9】
前記誘電体層は、流路及びその中を流れる流体で構成されていることを特徴とする請求項7に記載の光学素子。
【請求項10】
前記誘電体層は、流体保持構造、該流体保持構造によって保持されている流体及び該流体内に分散された該流体とは誘電率が異なる微粒子で構成されていることを特徴とする請求項7に記載の光学素子。
【請求項11】
前記第1の長さおよび第2の長さが、60nm以上160nm以下の範囲であり、
かつ、前記第1の金属構造体の厚さが、10nm以上200nm以下の範囲であり、
かつ、前記第1の金属構造体が設けられている周期が、180nm以上450nm以下の範囲であり、
かつ、前記第1の波長が350nm以上から750nm未満の範囲にあることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の光学素子。
【請求項12】
前記誘電体基板の面内方向に、前記第1の金属構造体群を2つ以上有し、
該2つ以上の第1の金属構造体群における前記第1の金属構造体が設けられている周期は互いに異なっており、
該2つ以上の前記第1の金属構造体群は前記誘電体基板表面の相異なる領域に配置されていることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の光学素子。
【請求項13】
前記第1の金属構造体群と、該第1の金属構造体群とは別に、前記誘電体基板の面内方向に、複数の第2の金属構造体が、孤立した状態で2次元的、かつ周期的に設けられた第2の金属構造体群を有し、
該第2の金属構造体は、前記第1の方向に第3の長さを有し、かつ前記第2の方向に第4の長さを有し、
該第3の長さと該第4の長さは、前記第1の波長とは異なる、可視光領域における所定の波長である第2の波長の長さであり、
該第3の長さは前記第1の長さと異なり、または該第4の長さは前記第2の長さと異なっており、
前記第1の金属構造体群と、前記第2の金属構造体群とは前記誘電体基板表面の相異なる領域に配置され、
前記第2の金属構造体と、前記誘電体基板または前記誘電体層に入射する光とが共鳴することにより、前記第2の金属構造体の表面に誘起される局在表面プラズモンによって、
前記第2の波長の光の透過率を極小値とし、または前記第2の波長の光の反射率を極大値とすることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の光学素子。
【請求項14】
前記第1の金属構造体群と、該第1の金属構造体群とは別に、前記誘電体基板の面内方向に、複数の第2の金属構造体が、孤立した状態で2次元的、かつ周期的に設けられた第2の金属構造体群を有し、
該第2の金属構造体は、前記第1の方向に第3の長さを有し、かつ前記第2の方向に第4の長さを有し、
該第3の長さと該第4の長さは、前記第1の波長とは異なる、視光領域における所定の波長である第2の波長以下であり、
該第3の長さは前記第1の長さと異なり、または該第4の長さは前記第2の長さと異なっており、
前記第1の金属構造体群と、前記第2の金属構造体群とは重複した領域に配置され、
前記第2の金属構造体と、前記誘電体基板または前記誘電体層に入射する光とが共鳴することにより、前記第2の金属構造体の表面に誘起される局在表面プラズモンによって、
前記第2の波長の光の透過率を極小値とし、または前記第2の波長の光の反射率を極大値とすることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の光学素子。
【請求項15】
請求項1に記載の光学素子を構成する前記誘電体層表面の上に、更に他の誘電体層が形成された積層型の光学素子であって、
前記誘電体層表面と前記他の誘電体層との間に、複数の第3の金属構造体を前記誘電体層表面の面内方向に孤立した状態で2次元的、かつ周期的に設けられた第3の金属構造体群を有し、
該第3の金属構造体群を構成する第3の金属構造体は、前記第1の方向に第5の長さを有し、かつ前記第2の方向に第6の長さを有し、
該第5の長さと該第6の長さは、前記第1の波長とは異なる、可視光領域における所定の波長である第3の波長以下の長さであり、
前記第1の長さと前記第5の長さが異なるか若しくは前記第2の長さと前記第6の長さが異なるか、または、第3の金属構造体が設けられている周期と第1の金属構造体が設けられている周期とが異なり、
第1の金属構造体の表面に誘起される局在表面プラズモンにより、第1の波長の透過率を極小値または反射率を極大値とさせ、
かつ、第3の金属構造体の表面に誘起される局在表面プラズモンにより、前記第3の波長の光の透過率を極小値とし、または前記第3の波長の光の反射率を極大値とさせることを特徴とする積層型の光学素子。
【請求項16】
請求項1から15のいずれかに記載の光学素子を有することを特徴とする光検出素子。
【請求項17】
請求項1から15のいずれかに記載の光学素子を有することを特徴とする光変調素子。
【請求項18】
請求項16に記載の光検出素子を有することを特徴とする撮像素子。
【請求項19】
請求項18に記載の撮像素子を有することを特徴とするカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−43681(P2011−43681A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−191971(P2009−191971)
【出願日】平成21年8月21日(2009.8.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】