説明

光学素子及び光検出デバイス並びに物体検知システム

【課題】より広い入射角度の範囲を備えた光を集光させることが可能な光学素子を提供する。より広い入射角度の範囲を備えた光を検出することが可能な光検出デバイスを提供する。
【解決手段】光を集光させる光学素子において、前記光学素子は、一方の側における第一の柱面及び第二の柱面並びに他方の側における第三の柱面を有すると共に、前記第一の柱面の軸及び前記第三の柱面の軸を含む平面は、前記第二の柱面の軸及び前記第三の柱面の軸を含む平面と交差することを特徴とする、光学素子が提供される。光を検出する光検出デバイスにおいて、上記の光学素子及び前記光学素子によって集光させられた光を検出する素子を含むことを特徴とする、光検出デバイスが提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の少なくとも一つの態様は、光学素子及び光検出デバイス並びに物体検知システムの少なくとも一つに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、光学素子及び光検出デバイス並びに物体検知システムの少なくとも一つに関するいくつかの技術が開示されている。
【0003】
例えば、特開2008−128913号公報(特許文献1)には、赤外線を検出する赤外線検出素子と、当該赤外線検出素子を収納するパッケージと、赤外線検出素子の前方に配置され赤外線検出素子へ赤外線を集光する集光用レンズと、集光用レンズの前方に配置され集光用レンズへの赤外線の入射角を微調整し集光用レンズにおいて生じる収差を補正する収差補正用光学素子とを備えてなることを特徴とする赤外線検出装置が開示されている。
【0004】
しかしながら、より広い入射角度の範囲を備えた光を集光させることが可能な光学素子又はより広い入射角度の範囲を備えた光を検出することが可能な光検出デバイスは、開示されていない。より広い入射角度の範囲を備えた光に基づいて物体の存在又は変位を検知することが可能な物体検知システムは、開示されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の第一の目的は、より広い入射角度の範囲を備えた光を集光させることが可能な光学素子を提供することである。
【0006】
本発明の第二の目的は、より広い入射角度の範囲を備えた光を検出することが可能な光検出デバイスを提供することである。
【0007】
本発明の第三の目的は、より広い入射角度の範囲を備えた光に基づいて物体の存在又は変位を検知することが可能な物体検知システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の態様は、光を集光させる光学素子において、前記光学素子は、一方の側における第一の柱面及び第二の柱面並びに他方の側における第三の柱面を有すると共に、前記第一の柱面の軸及び前記第三の柱面の軸を含む平面は、前記第二の柱面の軸及び前記第三の柱面の軸を含む平面と交差することを特徴とする、光学素子である。
【0009】
本発明の第二の態様は、光を検出する光検出デバイスにおいて、本発明の第一の態様である光学素子及び前記光学素子によって集光させられた光を検出する素子を含むことを特徴とする、光検出デバイスである。
【0010】
本発明の第三の態様は、物体からの光を検出する光検出デバイス及び前記光検出デバイスによって検出された光に基づいて前記物体の存在又は変位を検知するデバイスを含む、物体検知システムにおいて、前記光検出デバイスは、本発明の第一の態様である光検出デバイスであることを特徴とする、物体検知システムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第一の態様によれば、より広い入射角度の範囲を備えた光を集光させることが可能な光学素子を提供することが可能になる。
【0012】
本発明の第二の態様によれば、より広い入射角度の範囲を備えた光を検出することが可能な光検出デバイスを提供することが可能になる。
【0013】
本発明の第三の態様によれば、より広い入射角度の範囲を備えた光に基づいて物体の存在又は変位を検知することが可能な物体検知システムを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
次に、本発明を実施するための形態(実施形態)を図面と共に説明する。
【図1】図1は、本発明の第一の実施形態に係る光学素子の一つの例を示す図である。
【図2】図2は、本発明の第一の実施形態に係る光学素子の別の例を示す図である。
【図3】図3は、本発明の第二の実施形態に係る光検出デバイスの第一の例の概略的な構成を示す図である。
【図4】図4は、本発明の第二の実施形態に係る光検出デバイスの第一の例のより詳細な構成を示す図である。
【図5】図5は、本発明の第二の実施形態に係る光検出デバイスの第一の例における光線追跡の例を示す図である。
【図6】図6は、本発明の第二の実施形態に係る光検出デバイスの第一の例における光線追跡の結果の例を示す図である。
【図7】図7は、本発明の第二の実施形態に係る光検出デバイスの第二の例の構成を示す図である。
【図8】図8は、本発明の第二の実施形態に係る光検出デバイスの第三の例の構成を示す図である。
【図9】図9は、本発明の第二の実施形態に係る光検出デバイスの第一の例における光学素子に入射する光線の例を示す図である。
【図10】図10は、本発明の第二の実施形態に係る光検出デバイスの第一の例における光線追跡のための光検出デバイスのモデル及びパラメータの例を示す図である。
【図11】図11は、本発明の第一の実施形態に係る光学素子のさらに別の例を示す図である。
【図12】図12は、本発明の第二の実施形態に係る光検出デバイスの第四の例における光線追跡のための光検出デバイスのモデル及び光線追跡の結果の例を示す図である。
【図13】図13は、本発明の第三の実施形態に係る物体検知システムの概略的な構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明を実施するための形態(実施形態)を図面と共に説明する。
【0016】
図1は、本発明の第一の実施形態に係る光学素子の一つの例を示す図である。図1(a)は、本発明の第一の実施形態に係る光学素子の一つの例を示す斜視図である。図1(b)は、本発明の第一の実施形態に係る光学素子の一つの例を示す正面図である。
【0017】
図1に示す本発明の第一の実施形態に係る光学素子の一つの例は、光を集光させる光学素子100において、光学素子100は、一方の側における第一の柱面101a及び第二の柱面101b並びに他方の側における第三の柱面102を有すると共に、第一の柱面101aの軸C1a及び第三の柱面102の軸C2を含む平面は、第二の柱面101bの軸C1b及び第三の柱面102の軸C2を含む平面と交差することを特徴とする、光学素子である。
【0018】
光学素子100において、例えば、第一の柱面101a、第二の柱面101b、及び第三の柱面102のような、柱面は、面分の周囲から立てられた平行な母線で作られる立体面の少なくとも一部を意味する。平行は、完全な平行及び実質的に平行とみなせる程度を含む。
【0019】
光学素子100において、例えば、第一の柱面101aの軸C1、第二の柱面101bの軸C2、及び第三の柱面102の軸C2のような、柱面の軸は、柱面を有する柱体の底面に平行な平面と柱面の交線の曲率中心の集合体を意味すると共に直線(又は線分)である。光学素子100において、例えば、第一の柱面101aの曲率中心、第二の柱面101bの曲率中心、及び第三の柱面102の曲率中心のような、柱面の曲率中心は、柱面を有する柱体の底面に平行な平面と柱面の交線の曲率中心である。光学素子100において、第一の柱面101aの軸C1、第二の柱面101bの軸C2、及び第三の柱面102の軸C2の二つ又は三つは、同一の直線上に存在するものではない。
【0020】
一方の側及び他方の側は、例えば、光学素子100への光の入射側及び光学素子100からの光の射出側である。光学素子100は、例えば、第一の柱面101a及び第二の柱面101bが、光学素子100への光の入射側に設けられると共に第三の柱面102が、光学素子100からの光の射出側に設けられるように、配置されることがある。
【0021】
光学素子100は、一方の側における第一の柱面101a及び第二の柱面101b並びに他方の側における第三の柱面102を有すると共に、第一の柱面101aの軸C1a及び第三の柱面102の軸C2を含む平面は、第二の柱面101bの軸C1b及び第三の柱面102の軸C2を含む平面と交差する。
【0022】
第一の柱面101aの軸C1a及び第三の柱面102の軸C2を含む平面が、第二の柱面101bの軸C1b及び第三の柱面102の軸C2を含む平面と交差することは、第一の柱面101aの軸C1a、第二の柱面101bの軸C1b、及び第三の柱面102の軸C2の全てが、同一の平面に存在しないことを意味する。第一の柱面101a(の軸C1a)及び第二の柱面101b(の軸C1b)は、第三の柱面102(の軸C2)に対して互いに反対の方向に並進(シフト)又は回転させられている。
【0023】
第一の柱面101a及び第二の柱面101bが、光学素子100への光の入射側に設けられると共に第三の柱面102が、光学素子100からの光の射出側に設けられる場合には、より広い入射角度の範囲を備えた光を第一の柱面101a及び第二の柱面101bに入射させると共に第三の柱面102から射出させることが可能になる。より広い入射角度の範囲を備えた光を第一の柱面101a及び第二の柱面101b並びに第三の柱面102を通じてより高い分解能で分離することが可能になる。
【0024】
本発明の第一の実施形態によれば、より広い入射角度の範囲を備えた光を集光させることが可能な光学素子100を提供することが可能になる。本発明の第一の実施形態によれば、より高い角度分解能で光を集光させることが可能な光学素子100を提供することが可能になる。
【0025】
光学素子100における第一の柱面101a、第二の柱面101b、及び第三の柱面102のような柱面は、柱面の形状に対応する金型を使用する成形の技術によって形成されることがある。光学素子100の材料が、半導体の材料である場合には、光学素子100における第一の柱面101a、第二の柱面101b、及び第三の柱面102のような柱面は、半導体ウェハの一部を除去するエッチングの技術を使用することによって、形成されることがある。
【0026】
図1に示す光学素子100は、例えば、住宅、オフィス、又は車内における人体などのような熱源からの赤外光を検出する赤外光検出デバイスに含まれる光学素子として利用することが可能なものである。図1に示す光学素子100は、例えば、エアコン、電磁調理装置、又はパソコンなどにおける温度制御デバイス又は省電力のためのエネルギーマネジメントデバイスに含まれる光学素子として利用することが可能なものである。
【0027】
光学素子100において、好ましくは、第一の柱面101aの軸C1a及び第三の柱面102の軸C2の間の距離は、第二の柱面101bの軸C1b及び第三の柱面102の軸C2の間の距離と同一である。
【0028】
同一は、完全に同一及び実質的に同一とみなせる程度を含む。
【0029】
光学素子100において、第一の柱面101aの軸C1a及び第三の柱面102の軸C2の間の距離、並びに、第二の柱面101bの軸C1b及び第三の柱面102の軸C2の間の距離のような、柱面の軸の間の距離は、一方の柱面の軸から他方の柱面の軸までの距離の平均値である。一方の柱面の軸から他方の柱面の軸までの距離は、一方の柱面の軸上の点及び一方の柱面の軸上の点における一方の柱面の軸に垂直な線と他方の柱面の軸との交点の間の距離である。光学素子100において、第一の柱面101aの軸C1a及び第三の柱面102の軸C2の間の距離、並びに、第二の柱面101bの軸C1b及び第三の柱面102の軸C2の間の距離のいずれもゼロよりも大きい値である。
【0030】
第一の柱面101aの軸C1a及び第三の柱面102の軸C2の間の距離が、第二の柱面101bの軸C1b及び第三の柱面102の軸C2の間の距離と同一である場合には、第三の柱面102に対する第一の柱面101a及び第二の柱面101bの配置をより容易に設計することが可能な光学素子100を提供することが可能になる。より容易に設計することが可能な且つより広い入射角度の範囲を備えた光を集光させることが可能な光学素子100を提供することが可能になる。より容易に設計することが可能な且つより高い角度分解能で光を集光させることが可能な光学素子100を提供することが可能になる。
【0031】
光学素子100において、好ましくは、第一の柱面101aの曲率半径R1aは、第二の柱面101bの曲率半径R1bと同一である。
【0032】
同一は、完全に同一及び実質的に同一とみなせる程度を含む。
【0033】
光学素子100において、例えば、第一の柱面101aの曲率半径R1a及び第二の柱面101bの曲率半径R1bのような、柱面の曲率半径は、柱面を有する柱体の底面に平行な平面と柱面の交線の曲率半径である。
【0034】
第一の柱面101aの曲率半径R1aが、第二の柱面101bの曲率半径R1bと同一である場合には、第三の柱面102に対する第一の柱面101a及び第二の柱面101bの配置をより容易に設計することが可能な光学素子100を提供することが可能になる。より容易に設計することが可能な且つより広い入射角度の範囲を備えた光を集光させることが可能な光学素子100を提供することが可能になる。より容易に設計することが可能な且つより高い角度分解能で光を集光させることが可能な光学素子100を提供することが可能になる。
【0035】
光学素子100において、好ましくは、第一の柱面101a及び第二の柱面101bは、凸面であると共に、第三の柱面102は、凹面である。第一の柱面101a及び第二の柱面101bは、第一の柱面101a及び第二の柱面101bから第三の柱面102に向かって見るとき、凸面である。第三の柱面102は、第三の柱面102から第一の柱面101a及び第二の柱面101bに向かって見るとき、凹面である。第一の柱面101a及び第二の柱面101bは、正のパワーを有すると共に、第三の柱面102は、負のパワーを有する。
【0036】
第一の柱面101a及び第二の柱面101bが、凸面であると共に、第三の柱面102が、凹面である場合には、より広い入射角度の範囲を備えた光をより有効に集光させることが可能な光学素子100を提供することが可能になる。より高い角度分解能で光をより有効に集光させることが可能な光学素子100を提供することが可能になる。
【0037】
光学素子100において、好ましくは、光学素子100は、赤外線に対して透過性の材料で形成されたものである。
【0038】
赤外線は、近赤外線又は極近赤外線(0.75μm以上2μm以下の波長を備えた電磁波)、普通赤外線(2μm以上60μm以下の波長を備えた電磁波)、中赤外線(2μm以上20μm以下の波長を備えた電磁波)、中遠赤外線(25μm以上60μm以下の波長を備えた電磁波)、及び遠赤外線(25μm以上5000μm以下の波長を備えた電磁波)を含む。
【0039】
赤外線に対して透過性の材料としては、例えば、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)等が挙げられる。
【0040】
光学素子100が、赤外線に対して透過性の材料で形成されたものである場合には、より広い入射角度の範囲を備えた赤外光を集光させることが可能な光学素子100を提供することが可能になる。より高い角度分解能で赤外光を集光させることが可能な光学素子100を提供することが可能になる。
【0041】
光学素子100において、好ましくは、赤外線は、遠赤外線である。光学素子100において、赤外線が、遠赤外線である場合には、比較的低い温度における物体から放射されるより広い入射角度の範囲を備えた遠赤外線を集光させることが可能な光学素子100を提供することが可能になる。より高い角度分解能で比較的低い温度における物体から放射される遠赤外線を集光させることが可能な光学素子100を提供することが可能になる。
【0042】
光学素子100において、好ましくは、赤外線に対して透過性の材料は、半導体の材料である。
【0043】
半導体の材料である赤外線に対して透過性の材料としては、例えば、ケイ素(Si)等が挙げられる。
【0044】
赤外線に対して透過性の材料が、半導体の材料である場合には、半導体プロセスを用いて光学素子100をより容易に製造することが可能になる。より容易に製造することが可能な且つより広い入射角度の範囲を備えた赤外光を集光させることが可能な光学素子100を提供することが可能になる。より容易に製造することが可能な且つより高い角度分解能で赤外光を集光させることが可能な光学素子100を提供することが可能になる。
【0045】
光学素子100において、好ましくは、第一の柱面101a及び第二の柱面101bは、同一の形状を有する。
【0046】
同一は、完全に同一及び実質的に同一とみなせる程度を含む。
【0047】
第一の柱面101a及び第二の柱面101bが、同一の形状を有する場合には、より容易に製造することが可能な且つより広い入射角度の範囲を備えた光を集光させることが可能な光学素子100を提供することが可能になる。より容易に製造することが可能な且つより高い角度分解能で光を集光させることが可能な光学素子100を提供することが可能になる。
【0048】
光学素子100において、好ましくは、第一の柱面101a及び第二の柱面101bは、円柱面である。
【0049】
円柱面は、円の周囲から立てられた平行な母線で作られる立体面の少なくとも一部を意味する。
【0050】
第一の柱面101a及び第二の柱面101bが、円柱面である場合には、より広い入射角度の範囲を備えた光を集光させることが可能な光学素子100をより容易に提供することが可能になる。より高い角度分解能で光を集光させることが可能な光学素子100をより容易に提供することが可能になる。
【0051】
光学素子100において、好ましくは、第一の柱面101a及び第二の柱面101bは、非円柱面である。
【0052】
非円柱面は、円形を除く形状を有する面分の周囲から立てられた平行な母線で作られる立体面の少なくとも一部を意味する。非円柱面としては、例えば、柱面を有する柱体の底面に平行な平面と柱面の交線がガウス曲線であるような柱面等が挙げられる。
【0053】
図2は、本発明の第一の実施形態に係る光学素子の別の例を示す図である。図2に示す光学素子においては、第一の柱面201及び第二の柱面201は、非円柱面である。
【0054】
図2に示すように、第一の柱面201及び第二の柱面201が、非円柱面である場合には、柱面を有する柱体の底面に平行な平面と柱面の交線の曲率中心は、柱面を有する柱体の底面に平行な平面と柱面の交線を最も良好に近似する円弧202の曲率中心Cである。柱面を有する柱体の底面に平行な平面と柱面の交線の曲率半径は、柱面を有する柱体の底面に平行な平面と柱面の交線を最も良好に近似する円弧202の曲率半径Rである。柱面を有する柱体の底面に平行な平面と柱面の交線を最も良好に近似する円弧202は、非円柱面である第一の柱面201及び第二の柱面201の設計値又は最小二乗法による柱面を有する柱体の底面に平行な平面と柱面の交線に対する円弧の近似で求めることが可能である。
【0055】
第一の柱面101a及び第二の柱面101bは、非円柱面である場合には、非円柱面である第一の柱面101a及び第二の柱面101bの形状を調整することによって、光学素子100によって集光させられる光の収差を低減することが可能になる。より広い入射角度の範囲を備えた光を集光させることが可能な且つ集光させられる光の収差を低減することが可能な光学素子100を提供することが可能になる。より高い角度分解能で光を集光させることが可能な且つ集光させられる光の収差を低減することが可能な光学素子100を提供することが可能になる。
【0056】
光学素子100において、好ましくは、第一の柱面101a及び第二の柱面101bは、第一の柱面101aの軸C1a及び第二の柱面101bの軸C1bを含む平面Hに垂直なものであると共に第三の柱面102の軸C2を含む平面Vに対して、対称的な形状を有する。
【0057】
対称は、完全な対称及び実質的に対称とみなせる程度を含む。
【0058】
第一の柱面101a及び第二の柱面101bが、第一の柱面101aの軸C1a及び第二の柱面101bの軸C1bを含む平面Hに垂直なものであると共に第三の柱面102の軸C2を含む平面Vに対して、対称的な形状を有する場合には、より容易に設計及び製造することが可能な且つより広い入射角度の範囲を備えた光を集光させることが可能な光学素子100を提供することが可能になる。より容易に設計及び製造することが可能な且つより高い角度分解能で光を集光させることが可能な光学素子100を提供することが可能になる。
【0059】
光学素子100において、好ましくは、光学素子100は、第一の柱面101aが設けられた第一の平面及び第二の柱面101bが設けられた第二の平面を有すると共に、第一の平面及び第二の平面は、第一の柱面101aの軸C1a及び第二の柱面101bの軸C1bを含む平面Hに対して、傾斜した平面である。
【0060】
第一の平面及び第二の平面のような平面は、完全な平面及び実質的に平面とみなせる曲面及び凹凸面を含む。第一の平面及び第二の平面が第一の柱面101aの軸C1a及び第二の柱面101bの軸C1bを含む平面Hに対して傾斜した平面であることは、第一の柱面101aの軸C1a及び第二の柱面101bの軸C1bを含む平面Hに対する第一の平面及び第二の平面の角度が、0度より大きい且つ90度より小さい角度であることを意味する。
【0061】
光学素子100が、第一の柱面101aが設けられた第一の平面及び第二の柱面101bが設けられた第二の平面を有すると共に、第一の平面及び第二の平面が、第一の柱面101aの軸C1a及び第二の柱面101bの軸C1bを含む平面Hに対して、傾斜した平面である場合には、より容易に設計することが可能な且つより広い入射角度の範囲を備えた光を集光させることが可能な光学素子100を提供することが可能になる。より容易に設計することが可能な且つより高い角度分解能で光を集光させることが可能な光学素子100を提供することが可能になる。
【0062】
光学素子100において、好ましくは、第一の平面及び第二の平面は、第一の柱面101aの軸C1a及び第二の柱面101bの軸C1bを含む平面Hに垂直なものであると共に第三の柱面102の軸C2を含む平面Vに対して、対称的な形状を有する。
【0063】
対称は、完全な対称及び実質的に対称とみなせる程度を含む。
【0064】
第一の平面及び第二の平面が、第一の柱面101aの軸C1a及び第二の柱面101bの軸C1bを含む平面Hに垂直なものであると共に第三の柱面102の軸C2を含む平面Vに対して、対称的な形状を有する場合には、より容易に製造することが可能な且つより広い入射角度の範囲を備えた光を集光させることが可能な光学素子100を提供することが可能になる。より容易に製造することが可能な且つより高い角度分解能で光を集光させることが可能な光学素子100を提供することが可能になる。
【0065】
光学素子100において、好ましくは、第一の柱面101aの軸C1a及び第二の柱面101bの軸C1bを含む平面Hに垂直な方向における光学素子100の長さの最大値は、1mm以下である。
【0066】
第一の柱面101aの軸C1a及び第二の柱面101bの軸C1bを含む平面Hに垂直な方向における光学素子100の長さの最大値が、1mm以下である場合は、より広い入射角度の範囲を備えた光を集光させることが可能な且つより小型の光学素子100を提供することが可能になる。より高い角度分解能で光を集光させることが可能な且つより小型の光学素子100を提供することが可能になる。
【0067】
光学素子100において、好ましくは、第一の柱面101a及び第二の柱面101bは、フレネルレンズ形状を有する。
【0068】
フレネルレンズ形状は、連続な曲面である第一の柱面101a(又は第二の柱面101b)を第一の柱面101aの軸C1a(又は第二の柱面101bの軸C1b)に平行な複数の線で分割すると共に第一の柱面101a(又は第二の柱面101b)の反対側の表面から分割された第一の柱面101a(又は第二の柱面101b)の部分までの距離(厚さ)を低減することによって得られる形状である。フレネルレンズ形状は、第一の柱面101a(又は第二の柱面101b)の一部分の曲率を備えた複数の柱面を含む形状である。フレネルレンズ形状は、第一の柱面101aの軸C1a(又は第二の柱面101bの軸C1b)に垂直な断面において、第一の柱面101a(又は第二の柱面101b)の一部分の曲率を備えた鋸歯型の形状である。平行は、完全な平行及び実質的に平行とみなせる程度を含む。垂直は、完全な垂直及び実質的に垂直とみなせる程度を含む。
【0069】
図11は、本発明の第一の実施形態に係る光学素子のさらに別の例を示す図である。図11に示す光学素子1100は、フレネルレンズ形状を有する第一の柱面又は第二の柱面1101を有する。図11における実線の曲線及び曲線を連結する実線の直線で示された第一の柱面又は第二の柱面のフレネルレンズ形状は、図11における点線の曲線で示された単一の凸の曲面の形状を有する柱面1102を第一の柱面又は第二の柱面の軸に平行な複数の線で分割すると共に第一の柱面又は第二の柱面の反対側の表面から分割された第一の柱面又は第二の柱面の部分までの距離(厚さ)を低減することによって得られる形状である。第一の柱面又は第二の柱面のフレネルレンズ形状は、第一の柱面又は第二の柱面の一部分の曲率を備えた複数の柱面を含む形状である。第一の柱面又は第二の柱面のフレネルレンズ形状は、第一の柱面又は第二の柱面の軸に垂直な断面において、第一の柱面又は第二の柱面の一部分の曲率を備えた鋸歯型の形状である。単一の曲面の形状を有する柱面1102は、図11における縦の点線の直線で示された第三の円柱面の軸に垂直な平面に対して非対称的な非円柱面である。第一の柱面又は第二の柱面のフレネルレンズ形状は、図11における縦の点線の直線で示された第三の円柱面の軸に垂直な平面に対して非対称的な非円柱面である。フレネルレンズ形状の厚さ(第一の円柱面の軸及び第二の円柱面の軸を含む平面に垂直な方向における第一の柱面又は第二の柱面の最大の厚さ:サグ量)は、光学素子の設計又は製造の条件によって適宜決定されるものであると共に、特に限定されるものではない。
【0070】
光学素子100において、第一の柱面101a及び第二の柱面101bが、フレネルレンズ形状を有するとき、第一の円柱面101aの軸C1a及び第二の円柱面101bの軸C1bを含む平面に垂直な方向における第一の柱面101a又は第二の柱面101bの最大の厚さ(サグ量)を低減することが可能になる。第一の円柱面101aの軸C1a及び第二の円柱面101bの軸C1bを含む平面に垂直な方向における第一の柱面101a又は第二の柱面101bの最大の厚さ(サグ量)を低減することが可能であるときには、例えば、レジストを使用するエッチングの手段によって半導体ウェハに凹凸の形状を形成するような方式で光学素子100を製造する場合、ウェハに設けられるレジストの層の厚さを低減することが可能になる。ウェハに設けられるレジストの層の厚さを低減することが可能である場合には、レジストに生じることがある気泡若しくはクラック又はレジストの厚さのばらつきを低減することによって、光学素子100の歩留まり又は生産性を向上させることが可能になる。
【0071】
第一の円柱面101aの軸C1a及び第二の円柱面101bの軸C1bを含む平面に垂直な方向における第一の柱面101a又は第二の柱面101bの最大の厚さ(サグ量)を低減することが可能であるときには、例えば、光学素子を形成するためのウェハ及び光検出デバイスに含まれる光学素子100によって集光させられた光を検出する素子を形成するウェハを接合するとき、加圧工程における加圧された光学素子100の破損を低減することが可能になる。
【0072】
光学素子100において、第一の柱面101a及び第二の柱面101bが、フレネルレンズ形状を有する場合であっても、より広い入射角度の範囲を備えた光を集光させることが可能な光学素子100を提供することが可能になる。光学素子100において、第一の柱面101a及び第二の柱面101bが、フレネルレンズ形状を有する場合であっても、より高い角度分解能で光を集光させることが可能な光学素子100を提供することが可能になる。
【0073】
図3は、本発明の第二の実施形態に係る光検出デバイスの第一の例の概略的な構成を示す図である。
【0074】
図3に示す本発明の第二の実施形態に係る光検出デバイスの第一の例は、光を検出する光検出デバイス300において、本発明の第一の実施形態に係る光学素子及び光学素子によって集光させられた光を検出する素子304を含むことを特徴とする、光検出デバイスである。
【0075】
図3に示す光検出デバイス300は、図1に示すような本発明の第一の実施形態に係る光学素子及び光学素子によって集光させられた光を検出する素子(光センサー)304を含む。
【0076】
図3に示す光学素子は、一方の側における第一の柱面301a及び第二の柱面301b並びに他方の側における第三の柱面302を有すると共に、第一の柱面301aの軸及び第三の柱面302の軸を含む平面は、第二の柱面301bの軸及び第三の柱面302の軸を含む平面と交差する。図3に示す光学素子は、第一の柱面301a、第二の柱面301b、及び第三の柱面302に加えて、第一の柱面301a、第二の柱面301b、及び第三の柱面302を有する部分を支持する支持基板(第一の柱面301a、第二の柱面301b、及び第三の柱面302を有する部分が設けられる基板)303をさらに含む。図3に示す光学素子において、図1に示すような第一の柱面301aの軸及び第二の柱面301bの軸を含む平面に垂直な方向における光学素子の長さ(の最大値)Yは、1mm以下である。図3に示すような光学素子においては、第一の柱面301aの軸及び第二の柱面301bの軸を含む平面に垂直な方向における光学素子の長さ(の最大値)Yは、第一の柱面301a又は第二の柱面301bの最上部の直線から回路基板305の側における支持基板303の平面までの距離である。
【0077】
光センサー304は、光学素子によって集光させられた光を受けると共に受光した光を電気信号に変換することによって、光学素子によって集光させられた光を検出する。光センサー304は、光学素子によって集光させられた光を受ける受光面(画素)及び受光面によって受光された光を電気信号に変換する回路(センサー回路)を含む。例えば、光学素子によって集光させられる光が、赤外光である場合には、受光面は、光学素子によって集光させられた赤外光を吸収すると共に熱に変換する層(赤外線吸収層)であると共に、センサー回路は、受光面によって変換された熱を電気信号に変換する素子である。光センサー304は、回路基板305に形成された空洞構造306に設けられることがある。光センサー304は、光センサー304によって検出された光についての信号(電気信号)を出力する。回路基板305の材料としては、例えば、セラミックの基板等が挙げられる。
【0078】
図3に示す光検出デバイス300は、光センサー303から出力される信号を増幅する信号増幅回路及び信号増幅回路によって増幅された信号を処理する信号処理回路を含む回路部307をさらに含むことがある。回路部307は、回路基板305に設けられる。例えば、光学素子によって集光させられる光が、赤外光である場合には、回路部307に含まれる信号増幅回路は、光センサー304によって検出された赤外光についての光センサー304から出力された電気信号を増幅する回路であると共に、回路部307に含まれる信号処理回路は、信号増幅回路によって増幅された信号から光学素子に入射する赤外光の入射角度又は光学素子に入射する赤外光を発生させる熱源(光源)の有無又は方向の情報を得る回路であることがある。
【0079】
図3に示す光検出デバイス300において、空洞構造306に設けられた光センサー304及び回路部307は、回路基板305に隣接して設けられているため、より小型の光検出デバイス300を提供することが可能になる。
【0080】
本発明の第二の実施形態に係る光検出デバイス300は、本発明の第一の実施形態に係る光学素子を含むため、より広い入射角度の範囲を備えた光を第一の柱面301a及び第二の柱面301bに入射させると共に第三の柱面302から射出させることが可能になる。より広い入射角度の範囲を備えた光を第一の柱面301a及び第二の柱面301b並びに第三の柱面302を通じてより高い分解能で分離することが可能になる。
【0081】
本発明の第二の実施形態によれば、より広い入射角度の範囲を備えた光を検出することが可能な光検出デバイス300を提供することが可能になる。本発明の第二の実施形態によれば、より高い角度分解能で光を検出することが可能な光検出デバイス300を提供することが可能になる。
【0082】
図3に示す光検出デバイス300は、例えば、住宅、オフィス、又は車内における人体などのような熱源からの赤外光を検出する赤外光検出デバイスとして利用することが可能なものである。図3に示す光学デバイス300は、例えば、エアコン、電磁調理装置、又はパソコンなどにおける温度制御デバイス又は省電力のためのエネルギーマネジメントデバイスとして利用することが可能なものである。
【0083】
光検出デバイス300において、好ましくは、光学素子及び光を検出する素子303は、半導体の材料で形成されたものである。
【0084】
半導体の材料としては、例えば、ケイ素(Si)等が挙げられる。
【0085】
光学素子及び光を検出する素子303が、半導体の材料で形成されたものである場合には、半導体プロセスを用いて光検出デバイス300をより容易に製造することが可能になる。より容易に製造することが可能な且つより広い入射角度の範囲を備えた光を検出することが可能な光検出デバイス300を提供することが可能になる。本発明の第二の実施形態によれば、より容易に製造することが可能な且つより高い角度分解能で光を検出することが可能な光検出デバイス300を提供することが可能になる。
【0086】
図4は、本発明の第二の実施形態に係る光検出デバイスの第一の例のより詳細な構成を示す図である。図4(a)は、本発明の第二の実施形態に係る光検出デバイスの第一の例の平面図である。図4(b)は、本発明の第二の実施形態に係る光検出デバイスの第一の例におけるAA'方向に沿った断面図である。図4(c)は、本発明の第二の実施形態に係る光検出デバイスの第一の例におけるBB'方向に沿った断面図である。
【0087】
図4に示す本発明の第二の実施形態に係る光検出デバイスの第一の例は、図3に示す本発明の第二の実施形態に係る光検出デバイス300と同様の赤外光センサー400である。図4に示す赤外光センサー400は、赤外光を検出する光検出デバイスであると共に、本発明の第一の実施形態に係る光学素子としての赤外線集光素子及び赤外線集光素子によって集光させられた赤外光を検出する素子としてのセンサー回路403を含む。センサー回路403は、回路基板404に保持されている。センサー回路403は、一次元的に配列された且つ赤外光を受光する複数の赤外線受光面(画素)を有すると共に赤外線受光面によって受光された赤外光を電気信号へ変換する。赤外光センサー400は、センサー回路403から出力される電気信号を増幅する信号増幅回路及び信号増幅回路の出力から熱源の有無又は方向の情報を得る信号処理回路を含む。
【0088】
赤外光センサー400に含まれる赤外線集光素子は、赤外光を集光させる光学素子である。赤外線集光素子は、熱源より放射される赤外光を、赤外光の光線の入射角度に依存して、センサー回路403の赤外線受光面(画素)に集光させる。
【0089】
赤外線集光素子は、ケイ素(Si)又はゲルマニウム(Ge)のような赤外線に対して透過性の半導体の材料で形成されたものである。ケイ素(Si)は、10μm程度の波長を備えた赤外光に対して透明な材料である。赤外光に対して透明な材料として、好ましくは、ケイ素(Si)が、使用される。赤外光に対して透明な材料としてケイ素(Si)が使用される場合には、赤外線集光素子をケイ素(Si)から形成することが可能であるのみならず、CMOSプロセス技術を使用することによってセンサー回路403、信号増幅回路、及び信号処理回路を形成することが可能になる。
【0090】
赤外線集光素子は、赤外線の入射側における第一の柱面401a及び第二の柱面401b並びに赤外線の射出側における第三の柱面402を有する。第一の柱面401a及び第二の柱面401bは、同一の形状を有する凸面の円柱面であると共に、第三の柱面402は、凹面の円柱面である。第一の柱面401aの軸及び第三の柱面402の軸を含む平面は、第二の柱面401bの軸及び第三の柱面402の軸を含む平面と交差する。第一の柱面401aの軸及び第三の柱面402の軸の間の距離は、第二の柱面401bの軸及び第三の柱面402の軸の間の距離と同一である。第一の柱面401aの曲率半径は、第二の柱面401bの曲率半径と同一である。第一の柱面401a及び第二の柱面401bは、第一の柱面401aの軸及び第二の柱面401bの軸を含む平面に垂直なものであると共に第三の柱面402の軸を含む平面に対して、対称的な形状を有する。第一の柱面401a(の軸)及び第二の柱面401b(の軸)は、第一の柱面401aの軸及び第二の柱面401bの軸を含む平面に垂直なものであると共に第三の柱面402の軸を含む平面に対して、所定の量Zだけシフトさせられている。
【0091】
赤外光センサー400において、第一の円柱面401aの軸及び第二の円柱面401bの軸の方向(BB'に平行な方向)は、一次元的に配列されたセンサー回路403の受光面(画素)の配列の方向(AA'に平行な方向)と直交する方向である。第一の柱面401a及び第二の柱面401bは、一次元的に配列されたセンサー回路403の受光面(画素)の配列の方向(AA'に平行な方向)において互いにシフトさせられている。第三の柱面402及びセンサー回路403の間の距離は、センサー回路403の受光面に集光される赤外光のスポットのサイズを低減するように、調整される。センサー回路403の受光面に集光される赤外光のスポットのサイズを低減するために、第三の柱面402は、赤外線集光素子に彫り込まれた凹面の形状を有することがある。
【0092】
赤外線集光素子における第一の柱面401a、第二の柱面401b、及び第二の柱面402は、好ましくは、赤外光を透過させる単層膜又は多層膜による無反射コーティングが施されたものである。赤外線集光素子における第一の柱面401a、第二の柱面401b、及び第二の柱面402が、赤外光を透過させる単層膜又は多層膜による無反射コーティングが施されたものである場合には、赤外線集光素子の透過する赤外光の透過率を向上させることが可能になる。赤外光センサー400においてセンサー回路403によって検出される赤外光の検出感度を向上させることが可能になる。
【0093】
熱源から放射された赤外光が、赤外光センサー400の赤外線集光素子に入射すると、赤外光は、第一の円柱面401a又は第二の円柱面401bを透過すると共にそれぞれ第一の円柱面401a又は第二の円柱面401bによって屈折される。第一の円柱面401a又は第二の円柱面401bを透過した赤外光は、第二の円柱面402に入射する。第二の円柱面402に入射した赤外光は、第二の円柱面402によって屈折されると共に赤外線集光素子から射出される。赤外線集光素子から射出された赤外光は、相対的に短い距離で、センサー回路403における所定の受光面(画素)に集光される。
【0094】
赤外光センサー400のサイズは、しばしば、赤外光センサー400から熱源までの距離と比べて十分に小さいため、赤外光センサー400に入射する赤外光を、しばしば、赤外光の平行光線と考えることが可能である。赤外光センサー400に含まれる赤外線集光素子に赤外光の平行光線が入射するとき、赤外線集光素子が第一の柱面401a及び第二の柱面401bを有するために、赤外光センサー400に含まれるセンサー回路403の一つの受光面(画素)において二つの異なる入射角度を備えた赤外光の平行光線を受けることが可能になる。赤外光センサー400に含まれるセンサー回路403が、N個の受光面(画素)を有する場合には、赤外線集光素子が第一の柱面401a及び第二の柱面401bを有するために、赤外光センサー400に含まれるセンサー回路403のN個の受光面(画素)において2N個の異なる入射角度を備えた赤外光の平行光線を受けることが可能になる。
【0095】
図4に示すような赤外光センサー400に含まれる赤外線集光素子の構成によれば、センサー回路403の画素が相対的に少ない場合であっても、より広い入射角度の範囲を備えた光を集光させることが可能な赤外線集光素子及びより広い入射角度の範囲を備えた光を検出することが可能な赤外光センサーを提供することが可能になる。より高い角度分解能で光を集光させることが可能な赤外線集光素子及びより高い角度分解能で光を検出することが可能な赤外光センサーを提供することが可能になる。より高い精度で熱源の有無又は方向の情報を得ることが可能な赤外光センサーを提供することが可能になる。
【0096】
赤外線集光素子は、第一の柱面401a及び第二の柱面401b並びに第三の柱面402を有する部分を支持する支持基板405をさらに含む。第一の柱面401a及び第二の柱面401b並びに第三の柱面402を有する部分は、支持基板405に接合されている。支持基板405は、回路基板404と接合されている。
【0097】
回路基板404は、センサー回路403、信号増幅回路、及び信号処理回路を保持すると共に、第一の柱面401a及び第二の柱面401b並びに第三の柱面402を有する部分及び支持基板405と一緒にセンサー回路403、信号増幅回路、及び信号処理回路をパッケージングする。
【0098】
赤外光センサー400において、第一の柱面401aの軸及び第二の柱面401bの軸を含む平面に垂直な方向における赤外線集光素子の長さ、すなわち、第一の柱面401a又は第二の柱面401bの最上部の直線と回路基板404及び支持基板405の接合面との間の距離は、1mm以下であるため、より小型の赤外光センサー400を提供することが可能になる。
【0099】
赤外光センサー400に含まれる赤外線集光素子における第一の柱面401a、第二の柱面401b、及び第三の柱面402は、赤外線集光素子の形状に対応する金型を使用する成形の技術によって、形成されることがある。
【0100】
赤外光センサー400は、第一の半導体ウェハから赤外線集光素子を形成すること、第二の半導体ウェハからセンサー回路403、信号増幅回路、及び信号処理回路を形成すること、赤外線集光素子が形成された第一の半導体ウェハ及びセンサー回路403、信号増幅回路、及び信号処理回路が形成された第二の半導体ウェハと接合すること、及び接合された第一の半導体ウェハ及び第二の半導体ウェハをカットすることを含む方法によって製造されることがある。半導体ウェハプロセスを用いることで半導体ウェハから赤外光センサー400を製造することが可能になる。例えば、赤外線集光素子における第一の柱面401a、第二の柱面401b、及び第三の柱面402は、第一の半導体ウェハの一部を除去するエッチングの技術を使用することによって形成される。センサー回路403、信号増幅回路、及び信号処理回路は、第二の半導体ウェハの一部を除去するエッチングの技術を使用することによって形成される。赤外光センサー400をより低いコスト及びより高い生産性で製造することが可能になる。
【0101】
赤外光センサー400は、例えば、人感センサーとして使用されることがある。
【0102】
図9は、本発明の第二の実施形態に係る光検出デバイスの第一の例における光学素子に入射する光線の例を示す図である。図9(a)は、本発明の第二の実施形態に係る光検出デバイスの第一の例における光学素子の第一の柱面に入射する光線の例を示す図である。図9(b)は、本発明の第二の実施形態に係る光検出デバイスの第一の例における光学素子の第二の柱面に入射する光線の例を示す図である。
【0103】
図9(a)及び図9(b)に示す本発明の第二の実施形態に係る光検出デバイスの第一の例は、図4に示す本発明の第二の実施形態に係る光検出デバイス400と同様の赤外光センサー900である。
【0104】
図9(a)及び図9(b)に示す赤外光センサー900は、赤外光を検出する光検出デバイスであると共に、本発明の第一の実施形態に係る光学素子としての赤外線集光素子及び赤外線集光素子によって集光させられた赤外光を検出する素子としてのセンサー回路を含む。
【0105】
図9(a)及び図9(b)に示すように、赤外線集光素子は、一方の側における第一の柱面901a及び第二の柱面901b並びに他方の側における第三の柱面902を有する。第一の柱面901a及び第二の柱面901bは、同一の形状を有する凸面の円柱面であると共に、第三の柱面902は、凹面の円柱面である。第一の柱面901aの軸及び第三の柱面902の軸を含む平面は、第二の柱面901bの軸及び第三の柱面902の軸を含む平面と交差する。第一の柱面901aの軸及び第三の柱面902の軸の間の距離は、第二の柱面901bの軸及び第三の柱面902の軸の間の距離と同一である。第一の柱面901aの曲率半径は、第二の柱面901bの曲率半径と同一である。第一の柱面901a及び第二の柱面901bは、第一の柱面901aの軸及び第二の柱面901bの軸を含む平面に垂直なものであると共に第三の柱面902の軸を含む平面に対して、対称的な形状を有する。第一の柱面901a(の軸)及び第二の柱面901b(の軸)は、第一の柱面901aの軸及び第二の柱面901bの軸を含む平面に垂直なものであると共に第三の柱面902の軸を含む平面に対して、所定の量だけシフトさせられている。赤外線集光素子は、赤外線集光素子に入射する赤外線を第一の柱面901aの軸、第二の柱面901bの軸、及び第三の柱面902の軸の少なくとも一つの方向と平行な方向に集光する。平行は、完全な平行及び実質的に平行とみなせる程度を含む。
【0106】
図9(a)及び図9(b)に示す赤外光センサー900において、センサー回路は、第一の柱面901aの軸、第二の柱面901bの軸、及び第三の柱面902の軸の少なくとも一つの方向と直交する方向に赤外線集光素子によって集光させられた光を受光する複数の素子としての複数の赤外線受光面(画素)903を含む。直交は、完全な直交及び実質的に直交とみなせる程度を含む。図9(a)及び図9(b)に示す赤外光センサー900において、複数の赤外線受光面(画素)903を含むセンサー回路は、一次元アレイセンサーである。
【0107】
図9(a)及び図9(b)においては、無限遠方に存在すると考えられることがある熱源(光源)から放射された赤外線は、赤外光センサー900に対して平行光線として入射すると考えられる。赤外光センサー900に入射する赤外線は、赤外線集光素子によって集光させられると共に、集光させられた赤外線は、センサー回路に含まれる一つの赤外線受光面903に受光されることがある。
【0108】
図9(a)に示すように、熱源から放射された赤外線が、赤外線集光素子の第一の柱面901aの軸及び第二の柱面901bの軸を含む平面に垂直な方向に対して相対的に大きい角度θ1で第一の柱面901aに入射するとき、熱源から放射された赤外線は、赤外線集光素子の第一の柱面901a及び第三の柱面902を透過すると共に赤外線集光素子の第一の柱面901a及び第三の柱面902によって屈折させられる。角度θ1で第一の柱面901aに入射する赤外線は、センサー回路に含まれる一方の末端における赤外線受光面(画素)903に集光させられる。
【0109】
図9(a)に示すように、熱源から放射された赤外線が、赤外線集光素子の第一の柱面901aの軸及び第二の柱面901bの軸を含む平面に垂直な方向に対して相対的に小さい角度θ2で第一の柱面901aに入射するとき、熱源から放射された赤外線は、赤外線集光素子の第一の柱面901a及び第三の柱面902を透過すると共に赤外線集光素子の第一の柱面901a及び第三の柱面902によって屈折させられる。角度θ2で第一の柱面901aに入射する赤外線は、センサー回路に含まれる他方の末端における赤外線受光面(画素)903に集光させられる。
【0110】
熱源から放射された赤外線が、赤外線集光素子の第一の柱面901aの軸及び第二の柱面901bの軸を含む平面に垂直な方向に対してθ2よりも大きい且つθ1よりも小さい角度で第一の柱面901aに入射するとき、熱源から放射された赤外線は、赤外線集光素子の第一の柱面901a及び第三の柱面902を透過すると共に赤外線集光素子の第一の柱面901a及び第三の柱面902によって屈折させられる。θ2よりも大きい且つθ1よりも小さい角度で第一の柱面901aに入射する赤外線は、センサー回路に含まれる一方の末端及び他方の末端の間における赤外線受光面(画素)903に集光させられる。
【0111】
熱源から放射された赤外線が、赤外線集光素子の第一の柱面901aの軸及び第二の柱面901bの軸を含む平面に垂直な方向に対してθ2以上の且つθ1以下の角度で第二の柱面901bに入射するとき、熱源から放射された赤外線は、赤外線集光素子の第二の柱面901b及び第三の柱面902を透過すると共に赤外線集光素子の第二の柱面901b及び第三の柱面902によって屈折させられる。θ2以上の且つθ1以下の角度で第二の柱面901bに入射する赤外線は、センサー回路に含まれる赤外線受光面(画素)903に集光させられない。
【0112】
図9(b)に示すように、熱源から放射された赤外線が、赤外線集光素子の第一の柱面902aの軸及び第二の柱面901bの軸を含む平面に垂直な方向に対して(角度θ1又はθ2に対して反対側に)相対的に大きい角度θ3で第二の柱面901bに入射するとき、熱源から放射された赤外線は、赤外線集光素子の第二の柱面901b及び第三の柱面902を透過すると共に赤外線集光素子の第二の柱面901b及び第三の柱面902によって屈折させられる。角度θ3で第二の柱面901bに入射する赤外線は、センサー回路に含まれる一方の末端における赤外線受光面(画素)903に集光させられる。
【0113】
図9(b)に示すように、熱源から放射された赤外線が、赤外線集光素子の第一の柱面901aの軸及び第二の柱面901bの軸を含む平面に垂直な方向に対して(角度θ1又はθ2に対して反対側に)相対的に小さい角度θ4で第二の柱面901bに入射するとき、熱源から放射された赤外線は、赤外線集光素子の第二の柱面901b及び第三の柱面902を透過すると共に赤外線集光素子の第二の柱面901b及び第三の柱面902によって屈折させられる。角度θ4で第二の柱面901bに入射する赤外線は、センサー回路に含まれる他方の末端における赤外線受光面(画素)903に集光させられる。
【0114】
熱源から放射された赤外線が、赤外線集光素子の第一の柱面901aの軸及び第二の柱面901bの軸を含む平面に垂直な方向に対してθ4よりも大きい且つθ3よりも小さい角度で第二の柱面901bに入射するとき、熱源から放射された赤外線は、赤外線集光素子の第二の柱面901b及び第三の柱面902を透過すると共に赤外線集光素子の第二の柱面901b及び第三の柱面902によって屈折させられる。θ4よりも大きい且つθ3よりも小さい角度で第二の柱面901bに入射する赤外線は、センサー回路に含まれる一方の末端及び他方の末端の間における赤外線受光面(画素)903に集光させられる。
【0115】
熱源から放射された赤外線が、赤外線集光素子の第一の柱面901aの軸及び第二の柱面901bの軸を含む平面に垂直な方向に対してθ4以上の且つθ3以下の角度で第一の柱面901aに入射するとき、熱源から放射された赤外線は、赤外線集光素子の第一の柱面901a及び第三の柱面902を透過すると共に赤外線集光素子の第一の柱面901b及び第三の柱面902によって屈折させられる。θ4以上の且つθ3以下の角度で第一の柱面901aに入射する赤外線は、センサー回路に含まれる赤外線受光面(画素)903に集光させられない。
【0116】
センサー回路が、第一の柱面901aの軸、第二の柱面901bの軸、及び第三の柱面902の軸の少なくとも一つの方向と直交する方向に複数の赤外線受光面(画素)903を含むとき、センサー回路の赤外線受光面(画素)903の数が相対的に少ない場合であっても、より広い入射角度の範囲を備えた赤外線を検出することが可能な赤外光センサー900を提供することが可能になる。より小型の赤外光センサー900を提供することが可能になる。より広い角度の範囲で熱源の存在又は変位の情報を得ることが可能な赤外光センサー900を提供することが可能になる。
【0117】
熱源から放射された赤外線が、赤外線集光素子の第一の柱面901aの軸及び第二の柱面901bの軸を含む平面に垂直な方向に対してθ1からθ3まで(又はθ3からθ1まで)の連続的な角度で第一の柱面901a及び第二の柱面901bに入射するとき、θ1からθ2まで(又はθ2からθ1まで)の連続的な角度で第一の柱面901aに入射する赤外線は、センサー回路に含まれる一方の末端から他方の末端までの赤外線受光面(画素)903に連続的に集光させられると共に、θ4からθ3まで(又はθ3からθ4まで)の連続的な角度で第二の柱面901bに入射する赤外線は、再度、センサー回路に含まれる一方の末端から他方の末端までの赤外線受光面(画素)903に連続的に集光させられる。熱源から放射された赤外線が、赤外線集光素子の第一の柱面901aの軸及び第二の柱面901bの軸を含む平面に垂直な方向に対してθ1からθ3まで(又はθ3からθ1まで)の連続的な角度で第一の柱面901a及び第二の柱面901bに入射するとき、熱源から放射された赤外線は、センサー回路に含まれる一方の末端から他方の末端までの赤外線受光面(画素)903に二回集光させられる。
【0118】
図9(a)及び図9(b)に示す赤外光センサー900において、第一の柱面901a、第二の柱面901b、及び第三の柱面902、並びに複数の赤外線受光面(画素)903は、第一の柱面901a及び第三の柱面902を通過する赤外線又は第二の柱面901b及び第三の柱面902を通過する赤外線のいずれか一方が、複数の赤外線受光面(画素)903によって受光されるように、設けられたものである。
【0119】
図9(a)及び図9(b)に示す赤外光センサー900において、第一の柱面901a、第二の柱面901b、及び第三の柱面902の形状及び配置(相対的な位置)並びに複数の赤外線受光面(画素)903の配置(相対的な位置)は、第一の柱面901a及び第三の柱面902を通過する赤外線又は第二の柱面901b及び第三の柱面902を通過する赤外線のいずれか一方が、複数の赤外線受光面(画素)903によって受光されるように、決定される。
【0120】
第一の柱面901a及び第三の柱面902を通過する赤外線又は第二の柱面901b及び第三の柱面902を通過する赤外線のいずれか一方が、複数の赤外線受光面(画素)903によって受光されるとき、熱源から放射された赤外線は、センサー回路に含まれる一方の末端から他方の末端までの赤外線受光面(画素)903に二回集光させられるため、赤外線を検出する赤外光センサー900の角度分解能は、実質的に、赤外線受光面(画素)903の数によって決定される赤外線を検出する角度分解能の二倍である。
【0121】
第一の柱面901a及び第三の柱面902を通過する赤外線又は第二の柱面901b及び第三の柱面902を通過する赤外線のいずれか一方が、複数の赤外線受光面(画素)903によって受光されるように、第一の柱面901a、第二の柱面901b、及び第三の柱面902、並びに複数の赤外線受光面(画素)903が、設けられたものであるとき、センサー回路の赤外線受光面(画素)903の数が相対的に少ない場合であっても、より高い角度分解能で赤外線を検出することが可能な赤外光センサー900を提供することが可能になる。
【0122】
赤外線を放射する物体の存在(有無)又は変位を検知するときには、物体の位置又は角度に関する情報は、しばしば不要であると共に、一つの物体から放射された赤外線が赤外光センサーに含まれるセンサー回路の赤外線受光面(画素)に集光されることが、単に要求されることがある。
【0123】
第一の柱面901a及び第三の柱面902を通過する赤外線又は第二の柱面901b及び第三の柱面902を通過する赤外線のいずれか一方が、複数の赤外線受光面(画素)903によって受光されるように、第一の柱面901a、第二の柱面901b、及び第三の柱面902、並びに複数の赤外線受光面(画素)903が、設けられたものであるとき、より高い精度で熱源の存在又は変位の情報を得ることが可能な赤外光センサー900を提供することが可能になる。
【0124】
図5は、本発明の第二の実施形態に係る光検出デバイスの第一の例における光線追跡の例を示す図である。
【0125】
図5に示す光線追跡の例は、図4に示す赤外線センサー400と同様の赤外線センサー500に含まれる赤外線集光素子についての光線追跡の数値シミュレーションの結果である。図5に示す赤外線センサー500に含まれる赤外線集光素子の第一の柱面及び第二の柱面501の円柱面の曲率半径を1200μmに設定した。図5に示す赤外線センサー500に含まれる赤外線集光素子の第三の柱面502の円柱面の曲率半径を1350μmに設定した。第一の円柱面又は第二の円柱面501及び第三の円柱面502の間における間隔(赤外線集光素子の厚さ)を760μmに設定した。図5に示す赤外線センサー500に含まれるセンサー回路503の受光面(画素)の数を8個に設定した。
【0126】
赤外線センサー500に含まれるセンサー回路503の受光面の法線の方向に対する赤外光の平行光線の入射角度を1.875°及び28.125°に設定したとき、赤外線センサー500に入射する赤外光の平行光線の光線追跡の結果を図5に示す。図5に示すように、1.875°の入射角度を備えた赤外光の平行光線は、センサー回路503における右端の画素に集光された。27.125°の入射角度を備えた赤外光の平行光線は、センサー回路503における左端の画素に集光された。
【0127】
赤外線センサー500に入射する赤外光の平行光線は、赤外線センサー500に含まれる赤外線集光素子によって赤外線センサー500に含まれるセンサー回路503の受光面に集光されることを確認することができた。
【0128】
図10は、本発明の第二の実施形態に係る光検出デバイスの第一の例における光線追跡のための光検出デバイスのモデル及びパラメータの例を示す図である。
【0129】
本発明の第二の実施形態に係る光検出デバイスの第一の例における光線追跡(数値シミュレーション)には、市販の照明設計解析ソフトウェアである"Light Tools"を用いた。
【0130】
本発明の第二の実施形態に係る光検出デバイスの第一の例における光線追跡のための光検出デバイスのモデルとして、図10に示すような赤外線集光素子及びセンサー回路を含む赤外線センサーを用いた。赤外線集光素子は、一方の側における第一の柱面及び第二の柱面並びに他方の側における第三の柱面を有する。第一の柱面及び第二の柱面は、同一の形状を有する凸面の円柱面であると共に、第三の柱面は、凹面の円柱面である。第一の柱面の軸及び第三の柱面の軸を含む平面は、第二の柱面の軸及び第三の柱面の軸を含む平面と交差する。第一の柱面の軸及び第三の柱面の軸の間の距離は、第二の柱面の軸及び第三の柱面の軸の間の距離と同一である。第一の柱面の曲率半径は、第二の柱面の曲率半径と同一である。第一の柱面及び第二の柱面は、第一の柱面の軸及び第二の柱面の軸を含む平面に垂直なものであると共に第三の柱面の軸を含む平面に対して、対称的な形状を有する。第一の柱面(の軸)及び第二の柱面(の軸)は、第一の柱面の軸及び第二の柱面901bの軸を含む平面に垂直なものであると共に第三の柱面の軸を含む平面に対して、所定の量だけシフトさせられている。
【0131】
本発明の第二の実施形態に係る光検出デバイスの第一の例における光線追跡のための光検出デバイスのパラメータとして、図10に示すような赤外線集光素子及びセンサー回路を含む赤外線センサーのパラメータを用いた。第一の柱面及び第二の柱面である凸面の円柱面の曲率半径は、1200μmであった。第三の柱面である凹面の円柱面の曲率半径は、1350μmであった。第一の柱面の軸及び第二の柱面の軸を含む平面に垂直な方向における赤外線集光素子の厚さ(第一の柱面又は第二の柱面の中心(軸)及び第三の柱面の外周の間の距離)は、910μmであった。第一の柱面の軸及び第二の柱面の軸を含む平面に垂直な方向における赤外線集光素子のレンズの厚さ(第一の柱面の中心(軸)又は第二の柱面の中心(軸)及び第三の柱面の中心(軸)の間の距離)は、850μmであった。第一の柱面又は第二の柱面のレンズの厚さ(第一の柱面又は第二の柱面の中心(軸)及び第一の柱面又は第二の柱面の外周の間の距離)は、180μmであった。第三の柱面のレンズの厚さ(第三の柱面及び第三の柱面の外周の間の距離)は、60μmであった。第一の柱面の中心(軸)又は第二の柱面の中心(軸)及び第三の柱面の中心(軸)の間における距離(偏心量)は、105μmであった。
【0132】
図6は、本発明の第二の実施形態に係る光検出デバイスの第一の例における光線追跡の結果の例を示す図である。
【0133】
図6に示す光線追跡の例は、図10に示す赤外線センサーに含まれる赤外線集光素子についての光線追跡の数値シミュレーションの結果である。図10に示す赤外線センサーに含まれる赤外線集光素子についての光線追跡の数値シミュレーションには、"Light Tools"を用いた。図6は、図10に示す赤外線センサーに含まれる赤外線集光素子に入射する赤外光の平行光線の入射角度に対する赤外線センサーに含まれるセンサー回路の受光面に集光する赤外光の光線の数を示す。赤外線センサーに含まれるセンサー回路は、8個の受光面(画素)を有すると共に、各々の受光面(画素)のサイズは、40μm×50μmである。図6の横軸は、図5に示す赤外線センサーに含まれる赤外線集光素に入射する赤外光の平行光線の入射角度(度)を示す。図6の縦軸は、赤外線センサーに含まれるセンサー回路の受光面に集光する赤外光の光線の数を示す。図6の縦軸の値は、赤外線集光素子の無い場合における赤外線センサーに含まれるセンサー回路の受光面に到達する赤外光の光線の数で規格化された値である。図6に示す光線追跡の例においては、第一の柱面及び第二の柱面の対称性を考慮に入れて、第一の柱面及び第三の柱面を通過する赤外光の光線についてのみ光線追跡の数値シミュレーションを行った。図6に示す光線追跡の例においては、赤外線センサーに含まれる回路基板における赤外光の光線の多重反射並びに赤外線センサーに設けられた空洞構造における赤外線の光線の反射及び屈折の効果が考慮されている。
【0134】
図6に示す光線追跡の結果から、赤外線センサーに含まれる赤外線集光素子によって、赤外線センサーに入射する異なる入射角度を備えた赤外光の平行光線を分離することが可能であることを確認することができた。赤外線センサーに含まれる赤外線集光素子の第一の柱面及び第二の柱面の構成(形状の対称性)によって、赤外線センサーに含まれるセンサー回路の一つの受光面(画素)に二つの異なる入射角度を備えた赤外光の平行光線を導入することができる(実質的に二倍の角度分解能を得ることができる)ことを確認することができた。
【0135】
図7は、本発明の第二の実施形態に係る光検出デバイスの第二の例の構成を示す図である。
【0136】
図7に示す本発明の第二の実施形態に係る光検出デバイスの第二の例としての赤外光センサー700は、赤外光を検出する光検出デバイスであると共に、本発明の第一の実施形態に係る光学素子としての赤外線集光素子及び赤外線集光素子によって集光させられた赤外光を検出する素子としてのセンサー回路703を含む。センサー回路703は、回路基板704に保持されている。センサー回路703は、一次元的に配列された且つ赤外光を受光する複数の赤外線受光面(画素)を有すると共に赤外線受光面によって受光された赤外光を電気信号へ変換する。赤外光センサー700は、センサー回路703から出力される電気信号を増幅する信号増幅回路及び信号増幅回路の出力から熱源の有無又は方向の情報を得る信号処理回路を含む。
【0137】
赤外光センサー700に含まれる赤外線集光素子は、赤外光を集光させる光学素子である。赤外線集光素子は、熱源より放射される赤外光を、赤外光の光線の入射角度に依存して、センサー回路703の赤外線受光面(画素)に集光させる。
【0138】
赤外線集光素子は、ケイ素(Si)又はゲルマニウム(Ge)のような赤外線に対して透過性の半導体の材料で形成されたものである。ケイ素(Si)は、10μm程度の波長を備えた赤外光に対して透明な材料である。赤外光に対して透明な材料として、好ましくは、ケイ素(Si)が、使用される。赤外光に対して透明な材料としてケイ素(Si)が使用される場合には、赤外線集光素子をケイ素(Si)から形成することが可能であるのみならず、CMOSプロセス技術を使用することによってセンサー回路703、信号増幅回路、及び信号処理回路を形成することが可能になる。
【0139】
赤外線集光素子は、赤外線の入射側における第一の柱面701a及び第二の柱面701b並びに赤外線の射出側における第三の柱面702を有する。第一の柱面701a及び第二の柱面701bは、凸面の非円柱面であると共に、第三の柱面402は、凹面の円柱面である。第一の柱面701aの軸及び第三の柱面702の軸を含む平面は、第二の柱面701bの軸及び第三の柱面702の軸を含む平面と交差する。第一の柱面701aの軸及び第三の柱面702の軸の間の距離は、第二の柱面701bの軸及び第三の柱面702の軸の間の距離と同一である。第一の柱面701aの曲率半径は、第二の柱面701bの曲率半径と同一である。第一の柱面701a及び第二の柱面701bは、第一の柱面701aの軸及び第二の柱面701bの軸を含む平面に垂直なものであると共に第三の柱面702の軸を含む平面に対して、互いに対称的な形状を有する。第一の柱面701aは、第一の柱面701aの軸及び第二の柱面701bの軸を含む平面に垂直なものであると共に第三の柱面702の軸を含む平面に対して、非対称的な形状を有する。第一の柱面701aは、第一の柱面701aの軸及び第二の柱面701bの軸を含む平面に垂直なものであると共に第三の柱面702の軸を含む平面に対して、左側に相対的に高い曲率を備えた面を有すると共に右側に相対的に低い曲率を備えた面を有する。第二の柱面701bは、第一の柱面701aの軸及び第二の柱面701bの軸を含む平面に垂直なものであると共に第三の柱面702の軸を含む平面に対して、非対称的な形状を有する。第二の柱面701bは、第一の柱面701aの軸及び第二の柱面701bの軸を含む平面に垂直なものであると共に第三の柱面702の軸を含む平面に対して、左側に相対的に低い曲率を備えた面を有すると共に右側に相対的に高い曲率を備えた面を有する。第一の柱面701a(の軸)及び第二の柱面701b(の軸)は、第一の柱面701aの軸及び第二の柱面701bの軸を含む平面に垂直なものであると共に第三の柱面402の軸を含む平面に対して、所定の量Zだけシフトさせられている。
【0140】
赤外光センサー700において、第一の円柱面401aの軸及び第二の円柱面401bの軸の方向は、一次元的に配列されたセンサー回路703の受光面(画素)の配列の方向と直交する方向である。第一の柱面701a及び第二の柱面701bは、一次元的に配列されたセンサー回路703の受光面(画素)の配列の方向において互いにシフトさせられている。第三の柱面702及びセンサー回路703の間の距離は、センサー回路703の受光面に集光される赤外光のスポットのサイズを低減するように、調整される。センサー回路703の受光面に集光される赤外光のスポットのサイズを低減するために、第三の柱面702は、赤外線集光素子に彫り込まれた凹面の形状を有することがある。
【0141】
赤外線集光素子における第一の柱面701a、第二の柱面701b、及び第二の柱面702は、好ましくは、赤外光を透過させる単層膜又は多層膜による無反射コーティングが施されたものである。赤外線集光素子における第一の柱面701a、第二の柱面701b、及び第二の柱面702が、赤外光を透過させる単層膜又は多層膜による無反射コーティングが施されたものである場合には、赤外線集光素子の透過する赤外光の透過率を向上させることが可能になる。赤外光センサー700においてセンサー回路703によって検出される赤外光の検出感度を向上させることが可能になる。
【0142】
熱源から放射された赤外光が、赤外光センサー400の赤外線集光素子に入射すると、赤外光は、第一の円柱面701a又は第二の円柱面701bを透過すると共にそれぞれ第一の円柱面701a又は第二の円柱面701bによって屈折される。第一の円柱面701a又は第二の円柱面701bを透過した赤外光は、第二の円柱面702に入射する。第二の円柱面702に入射した赤外光は、第二の円柱面702によって屈折されると共に赤外線集光素子から射出される。赤外線集光素子から射出された赤外光は、相対的に短い距離で、センサー回路703における所定の受光面(画素)に集光される。
【0143】
赤外光センサー700のサイズは、しばしば、赤外光センサー700から熱源までの距離と比べて十分に小さいため、赤外光センサー700に入射する赤外光を、しばしば、赤外光の平行光線と考えることが可能である。赤外光センサー700に含まれる赤外線集光素子に赤外光の平行光線が入射するとき、赤外線集光素子が第一の柱面701a及び第二の柱面701bを有するために、赤外光センサー700に含まれるセンサー回路703の一つの受光面(画素)において二つの異なる入射角度を備えた赤外光の平行光線を受けることが可能になる。赤外光センサー700に含まれるセンサー回路703が、N個の受光面(画素)を有する場合には、赤外線集光素子が第一の柱面701a及び第二の柱面701bを有するために、赤外光センサー700に含まれるセンサー回路703のN個の受光面(画素)において2N個の異なる入射角度を備えた赤外光の平行光線を受けることが可能になる。
【0144】
図7に示すような赤外光センサー700に含まれる赤外線集光素子の構成によれば、センサー回路703の画素が相対的に少ない場合であっても、より広い入射角度の範囲を備えた光を集光させることが可能な赤外線集光素子及びより広い入射角度の範囲を備えた光を検出することが可能な赤外光センサーを提供することが可能になる。より高い角度分解能で光を集光させることが可能な赤外線集光素子及びより高い角度分解能で光を検出することが可能な赤外光センサーを提供することが可能になる。より高い精度で熱源の有無又は方向の情報を得ることが可能な赤外光センサーを提供することが可能になる。
【0145】
図7に示すように赤外光センサー700に含まれる赤外線集光素子の第一の柱面701a及び第二の柱面701bが、非円柱面であるため、第一の柱面701a及び第二の柱面701bの非円柱面の形状を調整することによって、赤外線センサー700に含まれるセンサー回路703の受光面(画素)に集光される赤外光の光線の収差を低減することが可能になる。センサー回路703の受光面(画素)に集光される赤外光の光線の収差としては、例えば、センサー回路703の受光面(画素)に集光される赤外光の光線の像面湾曲等が挙げられる。より低減された収差を備えた光を集光させることが可能な赤外線集光素子及びより低減された収差を備えた光を検出することが可能な赤外光センサーを提供することが可能になる。より高い分解能で光を集光させることが可能な赤外線集光素子及びより高い分解能で光を検出することが可能な赤外光センサーを提供することが可能になる。さらに高い精度で熱源の有無又は方向の情報を得ることが可能な赤外光センサーを提供することが可能になる。
【0146】
赤外線集光素子は、第一の柱面701a及び第二の柱面701b並びに第三の柱面702を有する部分を支持する支持基板705をさらに含む。第一の柱面701a及び第二の柱面701b並びに第三の柱面702を有する部分は、支持基板705に接合されている。支持基板705は、回路基板704と接合されている。
【0147】
回路基板704は、センサー回路703、信号増幅回路、及び信号処理回路を保持すると共に、第一の柱面701a及び第二の柱面701b並びに第三の柱面702を有する部分及び支持基板705と一緒にセンサー回路703、信号増幅回路、及び信号処理回路をパッケージングする。
【0148】
赤外光センサー700において、第一の柱面701aの軸及び第二の柱面701bの軸を含む平面に垂直な方向における赤外線集光素子の長さ、すなわち、第一の柱面701a又は第二の柱面701bの最上部の直線と回路基板704及び支持基板705の接合面との間の距離は、1mm以下であるため、より小型の赤外光センサー700を提供することが可能になる。
【0149】
赤外光センサー700に含まれる赤外線集光素子における第一の柱面701a、第二の柱面701b、及び第三の柱面702は、赤外線集光素子の形状に対応する金型を使用する成形の技術によって、形成されることがある。
【0150】
赤外光センサー700は、第一の半導体ウェハから赤外線集光素子を形成すること、第二の半導体ウェハからセンサー回路703、信号増幅回路、及び信号処理回路を形成すること、赤外線集光素子が形成された第一の半導体ウェハ及びセンサー回路703、信号増幅回路、及び信号処理回路が形成された第二の半導体ウェハと接合すること、及び接合された第一の半導体ウェハ及び第二の半導体ウェハをカットすることを含む方法によって製造されることがある。半導体ウェハプロセスを用いることで半導体ウェハから赤外光センサー700を製造することが可能になる。例えば、赤外線集光素子における第一の柱面701a、第二の柱面701b、及び第三の柱面702は、第一の半導体ウェハの一部を除去するエッチングの技術を使用することによって形成される。センサー回路703、信号増幅回路、及び信号処理回路は、第二の半導体ウェハの一部を除去するエッチングの技術を使用することによって形成される。赤外光センサー700をより低いコスト及びより高い生産性で製造することが可能になる。
【0151】
赤外光センサー700は、例えば、人感センサーとして使用されることがある。
【0152】
図12は、本発明の第二の実施形態に係る光検出デバイスの第四の例における光線追跡のための光検出デバイスのモデル及び光線追跡の結果の例を示す図である。図12(a)は、本発明の第二の実施形態に係る光検出デバイスの第四の例における光線追跡のための光検出デバイスのモデルの例を示す図である。図12(a)の横軸は、光検出デバイスに含まれる光学素子の第三の柱面の軸を基準とした光学素子の水平位置(μm)を表す。図12(a)の縦軸は、光検出デバイスに含まれる光学素子の第一の柱面又は第二の柱面のサグ量(μm)を表す。図12(b)は、本発明の第二の実施形態に係る光検出デバイスの第四の例における光線追跡の結果の例を示す図である。
【0153】
図12(a)に示す光線追跡のための光検出デバイスのモデルの例は、光検出デバイスに含まれる光学素子の第一の柱面及び第二の柱面を除いては、図10に示すような赤外線集光素子及びセンサー回路を含む赤外線センサーと同様である。図12(a)に示す赤外線センサーにおいては、赤外線センサーに含まれる赤外線集光素子の第一の柱面及び第二の柱面は、図11に示されるような本発明の第一の実施形態に係る光学素子の例と同様のものであると共に、フレネルレンズ形状を有する。図12(a)に示す赤外線センサーに含まれる赤外線集光素子においては、フレネルレンズ形状を有すると共に凸面である第一の柱面及び第二の柱面のサグ量は、50μmであった。図12(a)に示す赤外線センサーに含まれる赤外線集光素子においては、赤外線集光素子の第三の柱面(凹面の形状を有する)の曲率半径は、830μmであった。赤外線集光素子の厚さは、720μmであった。
【0154】
図12(b)に示す光線追跡の例は、図12(a)に示す赤外線センサーに含まれる赤外線集光素子についての光線追跡の数値シミュレーションの結果である。図12(a)に示す赤外線センサーに含まれる赤外線集光素子についての光線追跡の数値シミュレーションには、市販の光学設計・シミュレーションソフトウェアである"CODE V"を用いた。図12(b)は、図12(a)に示す赤外線センサーに含まれる赤外線集光素子に入射する赤外線の平行光線の入射角度に対する赤外線センサーに含まれるセンサー回路の受光面に集光する赤外線の光線の数を示す。図12(b)の横軸は、図12(a)に示す赤外線センサーに含まれる赤外線集光素子に入射する赤外線の平行光線の入射角度(度)を示す。図12(b)の縦軸は、赤外線センサーに含まれるセンサー回路の受光面に集光する赤外線の光線の数を示す。図12(b)の縦軸の値は、赤外線集光素子の無い場合における赤外線センサーに含まれるセンサー回路の受光面に到達する赤外線の光線の数で規格化された値である。図12(b)に示す光線追跡の例においては、第一の柱面及び第二の柱面の対称性を考慮に入れて、第一の柱面及び第三の柱面を通過する赤外線の光線についてのみ光線追跡の数値シミュレーションを行った。図12(b)に示す光線追跡の例においては、赤外線センサーに含まれる回路基板における赤外線の光線の多重反射並びに赤外線センサーに設けられた空洞構造における赤外線の光線の反射及び屈折の効果は考慮されていない。
【0155】
図12(b)に示す光線追跡の結果から、赤外線センサーに含まれる赤外線集光素子の第一の柱面及び第二の柱面がフレネルレンズ形状を有する場合であっても、赤外線センサーに含まれる赤外線集光素子によって、赤外線センサーに入射する異なる入射角度を備えた赤外線の平行光線を分離することが可能であることを確認することができた。赤外線センサーに含まれる赤外線集光素子の第一の柱面及び第二の柱面がフレネルレンズ形状を有する場合であっても、赤外線センサーに含まれる赤外線集光素子の第一の柱面及び第二の柱面の構成(形状の対称性)によって、赤外線センサーに含まれるセンサー回路の一つの受光面(画素)に二つの異なる入射角度を備えた赤外線の平行光線を導入することができる(実質的に二倍の角度分解能を得ることができる)ことを確認することができた。赤外線センサーに含まれる赤外線集光素子の第一の柱面及び第二の柱面がフレネルレンズ形状を有する場合であっても、赤外線センサーに含まれるセンサー回路の受光面(画素)によって赤外線を受光する効率は、大幅に低減されるものではないことを確認することができた。
【0156】
図8は、本発明の第二の実施形態に係る光検出デバイスの第三の例の構成を示す図である。図8(a)は、本発明の第二の実施形態に係る光検出デバイスの第三の例の平面図である。図8(b)は、本発明の第二の実施形態に係る光検出デバイスの第三の例におけるAA'方向に沿った断面図である。図8(c)は、本発明の第二の実施形態に係る光検出デバイスの第三の例におけるBB'方向に沿った断面図である。
【0157】
図8に示す本発明の第二の実施形態に係る光検出デバイスの第三の例としての赤外光センサー800は、赤外光を検出する光検出デバイスであると共に、本発明の第一の実施形態に係る光学素子としての赤外線集光素子及び赤外線集光素子によって集光させられた赤外光を検出する素子としてのセンサー回路803を含む。センサー回路803は、回路基板804に保持されている。センサー回路803は、一次元的に配列された且つ赤外光を受光する複数の赤外線受光面(画素)を有すると共に赤外線受光面によって受光された赤外光を電気信号へ変換する。赤外光センサー800は、センサー回路803から出力される電気信号を増幅する信号増幅回路及び信号増幅回路の出力から熱源の有無又は方向の情報を得る信号処理回路を含む。
【0158】
赤外光センサー800に含まれる赤外線集光素子は、赤外光を集光させる光学素子である。赤外線集光素子は、熱源より放射される赤外光を、赤外光の光線の入射角度に依存して、センサー回路803の赤外線受光面(画素)に集光させる。
【0159】
赤外線集光素子は、ケイ素(Si)又はゲルマニウム(Ge)のような赤外線に対して透過性の半導体の材料で形成されたものである。ケイ素(Si)は、10μm程度の波長を備えた赤外光に対して透明な材料である。赤外光に対して透明な材料として、好ましくは、ケイ素(Si)が、使用される。赤外光に対して透明な材料としてケイ素(Si)が使用される場合には、赤外線集光素子をケイ素(Si)から形成することが可能であるのみならず、CMOSプロセス技術を使用することによってセンサー回路803、信号増幅回路、及び信号処理回路を形成することが可能になる。
【0160】
赤外線集光素子は、赤外線の入射側における第一の柱面801a及び第二の柱面801b並びに赤外線の射出側における第三の柱面802を有する。赤外線集光素子は、第一の柱面801aが設けられた第一の平面及び第二の柱面801bが設けられた第二の平面を有する。第一の平面及び第二の平面は、第一の柱面801aの軸及び第二の柱面801bの軸を含む平面に対して、傾斜した平面である。第一の平面及び第二の平面は、第一の柱面801aの軸及び第二の柱面801bの軸を含む平面に垂直なものであると共に第三の柱面802の軸を含む平面に対して、対称的な形状を有する。第一の柱面801a及び第二の柱面801bは、同一の形状を有する凸面の円柱面であると共に、第三の柱面802は、凹面の円柱面である。第一の柱面801aの軸及び第三の柱面802の軸を含む平面は、第二の柱面801bの軸及び第三の柱面802の軸を含む平面と交差する。第一の柱面801aの軸及び第三の柱面802の軸の間の距離は、第二の柱面801bの軸及び第三の柱面802の軸の間の距離と同一である。第一の柱面801aの曲率半径は、第二の柱面801bの曲率半径と同一である。第一の柱面801a及び第二の柱面801bは、第一の柱面801aの軸及び第二の柱面801bの軸を含む平面に垂直なものであると共に第三の柱面802の軸を含む平面に対して、対称的な形状を有する。第一の平面及び第二の平面のために、第一の柱面801a(の軸)及び第二の柱面801b(の軸)は、第一の柱面801aの軸及び第二の柱面801bの軸を含む平面に垂直なものであると共に第三の柱面802の軸を含む平面に対して、所定の量θだけ回転させられている。
【0161】
赤外光センサー800において、第一の円柱面801aの軸及び第二の円柱面801bの軸の方向は、一次元的に配列されたセンサー回路803の受光面(画素)の配列の方向と直交する方向である。第一の柱面801a及び第二の柱面801bは、一次元的に配列されたセンサー回路803の受光面(画素)に対して互いに傾斜させられている。第三の柱面802及びセンサー回路803の間の距離は、センサー回路803の受光面に集光される赤外光のスポットのサイズを低減するように、調整される。センサー回路803の受光面に集光される赤外光のスポットのサイズを低減するために、第三の柱面802は、赤外線集光素子に彫り込まれた凹面の形状を有することがある。
【0162】
赤外線集光素子における第一の柱面801a、第二の柱面801b、及び第二の柱面802は、好ましくは、赤外光を透過させる単層膜又は多層膜による無反射コーティングが施されたものである。赤外線集光素子における第一の柱面801a、第二の柱面801b、及び第二の柱面802が、赤外光を透過させる単層膜又は多層膜による無反射コーティングが施されたものである場合には、赤外線集光素子の透過する赤外光の透過率を向上させることが可能になる。赤外光センサー800においてセンサー回路803によって検出される赤外光の検出感度を向上させることが可能になる。
【0163】
熱源から放射された赤外光が、赤外光センサー800の赤外線集光素子に入射すると、赤外光は、第一の平面に設けられた第一の円柱面801a又は第二の平面に設けられた第二の円柱面801bを透過すると共にそれぞれ第一の平面に設けられた第一の円柱面801a又は第二の平面に設けられた第二の円柱面801bによって屈折される。第一の円柱面801a又は第二の円柱面801bを透過した赤外光は、第二の円柱面802に入射する。第二の円柱面802に入射した赤外光は、第二の円柱面802によって屈折されると共に赤外線集光素子から射出される。赤外線集光素子から射出された赤外光は、相対的に短い距離で、センサー回路803における所定の受光面(画素)に集光される。
【0164】
赤外光センサー800のサイズは、しばしば、赤外光センサー800から熱源までの距離と比べて十分に小さいため、赤外光センサー800に入射する赤外光を、しばしば、赤外光の平行光線と考えることが可能である。赤外光センサー800に含まれる赤外線集光素子に赤外光の平行光線が入射するとき、赤外線集光素子が第一の平面に設けられた第一の柱面801a及び第二の平面に設けられた第二の柱面801bを有するために、赤外光センサー800に含まれるセンサー回路803の一つの受光面(画素)において二つの異なる入射角度を備えた赤外光の平行光線を受けることが可能になる。赤外光センサー800に含まれるセンサー回路803が、N個の受光面(画素)を有する場合には、赤外線集光素子が第一の平面に設けられた第一の柱面801a及び第二の平面に設けられた第二の柱面801bを有するために、赤外光センサー800に含まれるセンサー回路803のN個の受光面(画素)において2N個の異なる入射角度を備えた赤外光の平行光線を受けることが可能になる。
【0165】
図8に示すような赤外光センサー800に含まれる赤外線集光素子の構成によれば、センサー回路803の画素が相対的に少ない場合であっても、より広い入射角度の範囲を備えた光を集光させることが可能な赤外線集光素子及びより広い入射角度の範囲を備えた光を検出することが可能な赤外光センサーを提供することが可能になる。より高い角度分解能で光を集光させることが可能な赤外線集光素子及びより高い角度分解能で光を検出することが可能な赤外光センサーを提供することが可能になる。より高い精度で熱源の有無又は方向の情報を得ることが可能な赤外光センサーを提供することが可能になる。
【0166】
赤外線集光素子は、第一の平面に設けられた第一の柱面801a及び第二の平面に設けられた第二の柱面801b並びに第三の柱面802を有する部分を支持する支持基板805をさらに含む。第一の平面に設けられた第一の柱面801a及び第二の平面に設けられた第二の柱面801b並びに第三の柱面802を有する部分は、支持基板805に接合されている。支持基板805は、回路基板804と接合されている。
【0167】
回路基板804は、センサー回路803、信号増幅回路、及び信号処理回路を保持すると共に、第一の平面に設けられた第一の柱面801a及び第二の平面に設けられた第二の柱面801b並びに第三の柱面802を有する部分及び支持基板805と一緒にセンサー回路803、信号増幅回路、及び信号処理回路をパッケージングする。
【0168】
赤外光センサー800において、第一の柱面801aの軸及び第二の柱面801bの軸を含む平面に垂直な方向における赤外線集光素子の長さ、すなわち、第一の平面に設けられた第一の柱面801a又は第二の平面に設けられた第二の柱面801bの最上部の直線と回路基板804及び支持基板805の接合面との間の距離は、1mm以下であるため、より小型の赤外光センサー800を提供することが可能になる。
【0169】
赤外光センサー800に含まれる赤外線集光素子における第一の平面に設けられた第一の柱面801a、第二の平面に設けられた第二の柱面801b、及び第三の柱面802は、赤外線集光素子の形状に対応する金型を使用する成形の技術によって、形成されることがある。
【0170】
赤外光センサー800は、第一の半導体ウェハから赤外線集光素子を形成すること、第二の半導体ウェハからセンサー回路803、信号増幅回路、及び信号処理回路を形成すること、赤外線集光素子が形成された第一の半導体ウェハ及びセンサー回路803、信号増幅回路、及び信号処理回路が形成された第二の半導体ウェハと接合すること、及び接合された第一の半導体ウェハ及び第二の半導体ウェハをカットすることを含む方法によって製造されることがある。半導体ウェハプロセスを用いることで半導体ウェハから赤外光センサー800を製造することが可能になる。例えば、赤外線集光素子における第一の平面に設けられた第一の柱面801a、第二の平面に設けられた第二の柱面801b、及び第三の柱面802は、第一の半導体ウェハの一部を除去するエッチングの技術を使用することによって形成される。センサー回路803、信号増幅回路、及び信号処理回路は、第二の半導体ウェハの一部を除去するエッチングの技術を使用することによって形成される。赤外光センサー800をより低いコスト及びより高い生産性で製造することが可能になる。
【0171】
赤外光センサー800は、例えば、人感センサーとして使用されることがある。
【0172】
図13は、本発明の第三の実施形態に係る物体検知システムの概略的な構成を示す図である。
【0173】
本発明の第三の実施形態に係る物体検知システム1300は、物体からの光を検出する光検出デバイス及び光検出デバイスによって検出された光に基づいて物体の存在又は変位を検知するデバイスを含む。物体は、例えば、少なくとも赤外線を放出する熱源1301である。光検出デバイスは、本発明の第二の実施形態に係る光検出デバイスとしての赤外線センサー1302である。赤外線センサー1302は、赤外線集光素子及びセンサー回路を含む。赤外線集光素子は、一方の側における第一の柱面及び第二の柱面並びに他方の側における第三の柱面を有する。
【0174】
図13に示す物体検知システム130において、熱源1301から放出された赤外線は、赤外線センサー1302の赤外線集光素子によって赤外線センサー1302のセンサー回路に集光させられる。赤外線センサー1302の画角は、赤外線集光素子の第一の柱面の画角ω1及び赤外線集光素子の第二の柱面の画角ω2の総和である。熱源1301が赤外線集光素子の第一の柱面の画角ω1内の視野に存在するとき、熱源1301から放出された赤外線は、赤外線集光素子の第一の柱面及び第三の柱面を通過すると共にセンサー回路に集光される。熱源1301が赤外線集光素子の第二の柱面の画角ω2内の視野に存在するとき、熱源1301から放出された赤外線は、赤外線集光素子の第二の柱面及び第三の柱面を通過すると共にセンサー回路に集光させられる。センサー回路に集光させられた赤外線は、センサー回路によってパラレル出力のためのNビットデータ又はシリアル出力のための時系列データに変換される。センサー回路によって得られたパラレル出力のためのNビットデータ又はシリアル出力のための時系列データは、赤外線センサー1032に接続された信号処理デバイス1303に出力される。
【0175】
信号処理デバイス1303は、赤外線センサー1302から出力されたデータに基づいて、赤外線センサー1302の画角内における物体としての熱源1301の存在(有無)又は変位の情報を判別する。信号処理デバイス1303としては、例えば、信号増幅処理デバイス、微分処理デバイス、ノイズ除去処理デバイス、又は閾値判定処理デバイスなどが挙げられる。信号処理デバイス1303によって判別された情報は、例えば、フラグ出力又は温度データとして、信号処理デバイス1303に接続されたものであると共に信号処理デバイス1303によって制御される被制御装置1304に送信される。信号処理デバイス1303から被制御装置デバイス1304へ送信されたデータは、被制御装置1034の動作を決定する。
【0176】
信号処理デバイス1303によって制御される被制御装置1304としては、例えば、パソコン、テレビ、若しくはエアコンのような家電製品、オフィス機器、又はセキュリティ用途の警報機などが挙げられる。被制御装置1304は、例えば、節電などのようなエネルギーマネジメント又は人への注意喚起の目的で利用される。
【0177】
本発明の第三の態様によれば、より広い入射角度の範囲を備えた光に基づいて物体の存在又は変位を検知することが可能な物体検知システムを提供することが可能になる。本発明の第三の態様によれば、光に基づいてより高い角度分解能で物体の存在又は変位を検知することが可能な物体検知システムを提供することが可能になる。小型又は軽量の物体検知システムを提供することが可能になる。小型の電子機器に搭載することが可能な物体検知システムを提供することが可能になる。電子機器を自動制御するためのデバイスとして利用することが可能な物体検知システムを提供することが可能になる。
【0178】
本発明の第一の実施形態に係る光学素子、本発明の第二の実施形態に係る光検出デバイス、及び本発明の第三の実施形態に係る物体検知システムは、それぞれ、光又は電磁波を集光させる光学素子、光又は電磁波を検出する光検出デバイス、及び光又は電磁波に基づいた物体検知システムである。本発明の第一の実施形態に係る光学素子、本発明の第二の実施形態に係る光検出デバイス、及び本発明の第三の実施形態に係る物体検知システムは、それぞれ、赤外光又は赤外線を集光させる光学素子、赤外光又は赤外線を検出する光検出デバイス、及び赤外光又は赤外線に基づいた物体検知システムに限定されるものではない。例えば、対象の光又は電磁波を透過させる材料を選択することによって、対象の光又は電磁波を集光させる光学素子、対象の光又は電磁波を検出する光検出デバイス、及び対象の光又は電磁波に基づいた物体検知システムを提供することが可能になる。
【符号の説明】
【0179】
100 光学素子
101a 第一の柱面
101b 第二の柱面
102 第三の柱面
201 第一の柱面,第二の柱面
202 円弧
300 光検出デバイス
301a 第一の柱面
301b 第二の柱面
302 第三の柱面
303 支持基板
304 光センサー
305 回路基板
306 空洞構造
307 回路部
400 赤外光センサー
401a 第一の柱面
401b 第二の柱面
402 第三の柱面
403 センサー回路
404 回路基板
405 支持基板
500 赤外光センサー
501 第一の円柱面,第二の円柱面
502 第三の円柱面
503 センサー回路
700 赤外光センサー
701a 第一の柱面
701b 第二の柱面
702 第三の柱面
703 センサー回路
704 回路基板
705 支持基板
800 赤外光センサー
801a 第一の柱面
801b 第二の柱面
802 第三の柱面
803 センサー回路
804 回路基板
805 支持基板
900 赤外光センサー
901a 第一の柱面
901b 第二の柱面
902 第三の柱面
903 赤外線受光面
1100 光学素子
1101 第一の柱面又は第二の柱面
1102 柱面
1300 物体検知システム
1301 熱源
1302 赤外線センサー
1303 信号処理デバイス
1304 被制御装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0180】
【特許文献1】特開2008−128913号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を集光させる光学素子において、
前記光学素子は、一方の側における第一の柱面及び第二の柱面並びに他方の側における第三の柱面を有すると共に、
前記第一の柱面の軸及び前記第三の柱面の軸を含む平面は、前記第二の柱面の軸及び前記第三の柱面の軸を含む平面と交差する
ことを特徴とする、光学素子。
【請求項2】
請求項1に記載の光学素子において、
前記第一の柱面の軸及び前記第三の柱面の軸の間の距離は、前記第二の柱面の軸及び前記第三の柱面の軸の間の距離と同一である
ことを特徴とする、光学素子。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の光学素子において、
前記第一の柱面の曲率半径は、前記第二の柱面の曲率半径と同一である
ことを特徴とする、光学素子。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれかに記載の光学素子において、
前記第一の柱面及び前記第二の柱面は、凸面であると共に、
前記第三の柱面は、凹面である
ことを特徴とする、光学素子。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれかに記載の光学素子において、
前記光学素子は、赤外線に対して透過性の材料で形成されたものである
ことを特徴とする、光学素子。
【請求項6】
請求項5に記載の光学素子において、
前記赤外線に対して透過性の材料は、半導体の材料である
ことを特徴とする、光学素子。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれかに記載の光学素子において、
前記第一の柱面及び前記第二の柱面は、同一の形状を有する
ことを特徴とする、光学素子。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれかに記載の光学素子において、
前記第一の柱面及び前記第二の柱面は、円柱面である
ことを特徴とする、光学素子。
【請求項9】
請求項1から7までのいずれかに記載の光学素子において、
前記第一の柱面及び前記第二の柱面は、非円柱面である
ことを特徴とする、光学素子。
【請求項10】
請求項1から7までのいずれかに記載の光学素子において、
前記第一の柱面及び前記第二の柱面は、前記第一の柱面の軸及び前記第二の柱面の軸を含む平面に垂直なものであると共に前記第三の柱面の軸を含む平面に対して、対称的な形状を有する
ことを特徴とする、光学素子。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれかに記載の光学素子において、
前記光学素子は、前記第一の柱面が設けられた第一の平面及び前記第二の柱面が設けられた第二の平面を有すると共に、
前記第一の平面及び前記第二の平面は、前記第一の柱面の軸及び前記第二の柱面の軸を含む平面に対して、傾斜した平面である
ことを特徴とする、光学素子。
【請求項12】
請求項11に記載の光学素子において、
前記第一の平面及び前記第二の平面は、前記第一の柱面の軸及び前記第二の柱面の軸を含む平面に垂直なものであると共に前記第三の柱面の軸を含む平面に対して、対称的な形状を有する
ことを特徴とする、光学素子。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれかに記載の光学素子において、
前記第一の柱面の軸及び前記第二の柱面の軸を含む平面に垂直な方向における前記光学素子の長さの最大値は、1mm以下である
ことを特徴とする、光学素子。
【請求項14】
請求項1から13までのいずれかに記載の光学素子において、
前記第一の柱面及び前記第二の柱面は、フレネルレンズ形状を有することを特徴とする、光学素子。
【請求項15】
光を検出する光検出デバイスにおいて、
請求項1から14までのいずれかに記載の光学素子及び前記光学素子によって集光させられた光を検出する素子を含むことを特徴とする、光検出デバイス。
【請求項16】
請求項15に記載の光検出デバイスにおいて、
前記光学素子によって集光させられた光を検出する素子は、前記第一の柱面の軸、前記第二の柱面の軸、及び前記第三の柱面の軸の少なくとも一つの方向と直交する方向に前記光学素子によって集光させられた光を受光する複数の素子を含むことを特徴とする、光検出デバイス。
【請求項17】
請求項16に記載の光検出デバイスにおいて、
前記第一の柱面、前記第二の柱面、及び前記第三の柱面、並びに前記光を受光する複数の素子は、前記第一の柱面及び前記第三の柱面を通過する光又は前記第二の柱面及び前記第三の柱面を通過する光のいずれか一方が、前記光を受光する複数の素子によって受光されるように、設けられたものであることを特徴とする、光検出デバイス。
【請求項18】
物体からの光を検出する光検出デバイス及び前記光検出デバイスによって検出された光に基づいて前記物体の存在又は変位を検知するデバイスを含む、物体検知システムにおいて、
前記光検出デバイスは、請求項15から17までのいずれかに記載の光検出デバイスであることを特徴とする、物体検知システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−212108(P2012−212108A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−15594(P2012−15594)
【出願日】平成24年1月27日(2012.1.27)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】