説明

光学装置、光記録ヘッド及び光記録装置

【課題】光源からの光を平面導波路に良好に光結合させることができる光学装置を提供する。
【解決手段】光源からの光を導く光伝送系と、前記光伝送系に導かれた光が結合される平面導波路と、を備え、前記平面導波路は、前記光伝送系に導かれた光が照射される位置に、所定の角度で入射する該光を該平面導波路に結合させる光入力部を有する光学装置において、前記光伝送系は、第1の正のパワーを有し、前記光源側の焦点近傍を通る光を前記光入力部に所定の角度で照射する第1の光学素子を備え、前記第1の光学素子は、前記平面導波路に対して相対位置が固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学装置、光記録ヘッド及び光記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年は情報記録媒体の高密度化が求められ、様々な方式の記録方法が提案されている。熱アシスト磁気記録方法もそのうちの1つである。高密度化するために1個1個の磁区の大きさを小さくする必要があるが、データを安定して保存するために保磁力の大きい材料を使う。このような記録媒体では書き込むときに強い磁界を発生させる必要があるが、小さくなった磁区に対応する小さなヘッドでは限界がある。
【0003】
そこで、記録時に局所的に加熱して磁気軟化を生じさせ、保磁力が小さくなった状態で記録し、その後に加熱を止めて自然冷却することにより、記録した磁気ビットの安定性を保証する方式が提案され、この方式は熱アシスト磁気記録方式と呼ばれている。
【0004】
熱アシスト磁気記録方式では、記録媒体の加熱を瞬間的に行うことが望ましく、また、加熱する機構と記録媒体とが接触することは許されない。このため、加熱は光の吸収を利用して行われるのが一般的であり、加熱に光を用いる方法は光アシスト式と呼ばれている。
【0005】
光アシスト式で高密度記録を行う場合、使用光の波長以下の微小な光スポットを必要とする。そのため、入射光の波長以下の大きさの光学的開口から発生する近接場光(近視野光とも称する。)を利用する光ヘッドが利用されている。このような微小な光スポットを用いる光記録ヘッドとして例えば特許文献1がある。
【0006】
特許文献1に記載の光記録ヘッドは、書き込み磁極とこれに隣接した平面導波路を備えている。平面導波路には、導波路に光を結合させる回折格子(グレーティングカプラと称される。)が設けられ、この回折格子に対して、例えばレーザ光を所定の入射角で照射すると、レーザ光は効率よく平面導波路に結合される。平面導波路に結合された光は、平面導波路の先端部の近傍に位置する焦点に収束し、先端部から放射される光により記録媒体が照射され加熱され、書き込み磁極により書き込みが行われる。
【0007】
平面導波路に光を結合する回折格子に光を照射する方法として、例えば以下の特許文献2、3に記載されている光記録ヘッドがある。
【0008】
特許文献2には、光源から光ファイバによりアームに沿って光を導き、光ファイバから射出する光を平面導波路の回折格子に向けて直接照射することが記載されている。
【0009】
特許文献3には、光ファイバから射出した光がボールレンズに入射し、収束光として射出し、ミラーで偏向され、平面導波路の回折格子に対し収束し照射することが記載されている。
【特許文献1】米国特許第6944112号明細書
【特許文献2】米国特許第7345840号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2005/0190682号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献2に記載の光記録ヘッドにおいて、光ファイバから平面導波路に向かって射出された光は、射出された直後から広がり始め、光ファイバから離れている回折格子に到達するときには結合に最適な光束径よりも大きくなってしまうため、光の利用効率が悪くなる。
【0011】
また、特許文献3に記載の光記録ヘッドにおいて、この場合、光ファイバ射出端面から平面導波路の回折格子までの距離が大きくなるとボールレンズの有効径が大きくなってしまい光記録ヘッドの大型化を招いてしまう。このため、光記録ヘッドの小型化においては光ファイバ射出端面と平面導波路との間隔が制限されてしまう。
【0012】
上記より光記録ヘッドは、平面導波路の近くに光ファイバを固定することが良いと考えられる。しかし、記録媒体上から僅かに浮いて飛翔するスライダや、これを支持する容易に撓むサスペンションに、非常に細いとは言え無視できない曲がりにくさを有する光ファイバを固定することは、スライダの飛翔に大きな影響を与え、その制御を複雑にする。このため、光ファイバを平面導波路の近くに固定することは、現状では現実的でない。
【0013】
また、特許文献1から3の何れにおいても、回折格子に照射した光を平面導波路に効率良く結合させるためには、回折格子への光の入射角度に高い精度が要求される。例えば特許文献3に記載されている光記録ヘッドでは、回折格子に集光する光スポット径は60μm、NAは0.01とあり、この場合、回折格子への光の入射角度許容範囲は、±0.1°程度といった高精度が要求される。
【0014】
サスペンションに支持されているスライダは、記録媒体面に対して微妙に上下動するため、平面導波路に固定されていない光源からの光は、平面導波路に設けられている回折格子に入射する入射角度が変化する。この入射角度変化により、光源からの光が回折格子によって平面導波路に十分に結合できない場合が生じ、記録媒体に対し十分な光を照射できなくなり、安定した記録等ができなくなる。
【0015】
本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、光源からの光を平面導波路に良好に光結合させることができる光学装置、光記録ヘッド及び光記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の課題は、以下の構成により解決される。
【0017】
1.光源からの光を導く光伝送系と、
前記光伝送系に導かれた光が結合される平面導波路と、を備え、
前記平面導波路は、前記光伝送系に導かれた光が照射される位置に、所定の角度で入射する該光を該平面導波路に結合させる光入力部を有する光学装置において、
前記光伝送系は、第1の正のパワーを有し、前記光源側の焦点近傍を通る光を前記光入力部に所定の角度で照射する第1の光学素子を備え、
前記第1の光学素子は、前記平面導波路に対して相対位置が固定されていることを特徴とする光学装置。
【0018】
2.前記光伝送系は、前記光源からの光を前記光入力部に収束させるものであって、
前記第1の光学素子より前記光源の側に位置し、第2の正のパワーを有する第2の光学素子を備え、
前記第2の光学素子からの光は、前記第1の光学素子の前記焦点近傍を通るように構成されていることを特徴とする前記1に記載の光学装置。
【0019】
3.前記光源は、線状導光体の光射出端部であり、前記第2の正のパワーは前記第1の正のパワーより大きいことを特徴とする前記2に記載の光学装置。
【0020】
4.前記光入力部は回折格子であることを特徴とする前記1から3の何れか一項に記載の光学装置。
【0021】
5.前記焦点近傍の位置にピンホールを有する遮光部が設けられていることを特徴とする前記1から4の何れか一項に記載の光学装置。
【0022】
6.前記第1の光学素子は、前記所定の角度で前記光入力部に入射するように前記第1の光学素子に入射する光を偏向する偏向部を備えていることを特徴とする前記1から5の何れか一項に記載の光学装置。
【0023】
7.前記偏向部は、回折格子を備えていることを特徴とする前記6に記載の光学装置。
【0024】
8.前記偏向部は、反射面を備え、前記反射面は前記第1の正のパワーを備えていることを特徴とする前記6又は7に記載の光学装置。
【0025】
9.前記第1の正パワーは、光軸に対し直交し且つ互いに直交する2方向に異なることを特徴とする前記7又は8に記載の光学装置。
【0026】
10.前記第1の光学素子は、前記所定の角度で前記光入力部に入射するように前記第1の光学素子に入射する光を偏向する偏向部を備え、
前記第1の光学素子に光が入射する側から光が進む順に、入射面、反射面、回折格子面及び前記反射面と同一面である射出面を備え、
前記反射面は前記第1の正のパワーを備えていることを特徴とする前記1から5の何れか一項に記載の光学装置。
【0027】
11.前記反射面が備える前記第1の正のパワーは、光軸に対し直交し且つ互いに直交する2方向に異なることを特徴とする前記10に記載の光学装置。
【0028】
12.光源からの光を情報記録媒体に照射して情報を記録する光記録ヘッドにおいて、
前記光源と、
前記1から11の何れか一項に記載の光学装置と、
前記平面導波路を備え、前記情報記録媒体に対し相対移動するスライダと、を有することを特徴とする光記録ヘッド。
【0029】
13.前記第1の光学素子は、前記スライダに固定されていることを特徴とする前記12に記載の光記録ヘッド。
【0030】
14.磁気記録部を備えている前記12又は13に記載の光記録ヘッドと、
磁気記録媒体と、
前記光記録ヘッドにより前記磁気記録媒体に磁気記録を行う制御をする制御部と、を備えていることを特徴とする光記録装置。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、第1の正のパワーの光源側の焦点近傍を通る光が第1の光学素子へ入射する際の入射角度変化は位置変化に変換されて光入力部を照射し、第1の光学素子は平面導波路に対して相対位置が固定されている。よって、第1の光学素子の焦点近傍を通る光は、第1の光学素子に入射する光の入射角度が変化しても光入力部を照射する光の入射角度は所定の角度から変化しないため、効率よく安定して平面導波路に結合することができる。
【0032】
従って、光源からの光を平面導波路に良好に光結合させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明は、光を効率よく平面導波路に結合できるように、光源からの光を伝送し、平面導波路に光を結合させる光入力部を照射する光伝送系に関するものであって、情報記録媒体である、例えば光磁気記録媒体又は光記録媒体に記録を行う光記録ヘッドに使用できる。
【0034】
以下、本発明を図示の実施の形態である光記録ヘッドに磁気記録部を有する光アシスト式磁気記録ヘッドとそれを備えた光記録装置に基づいて説明するが、本発明は該実施の形態に限られない。
【0035】
図1に光アシスト式磁気記録ヘッド(以下、光記録ヘッドと称する。)を搭載した光記録装置(例えばハードディスク装置)の概略構成例を示す。この光記録装置100は、以下(1)〜(6)を筐体1の中に備えている。
(1)記録用のディスク(記録媒体)2
(2)支軸6を支点として矢印Aの方向(トラッキング方向)に回転可能に設けられたアーム5に支持されたサスペンション4
(3)アーム5が取り付けられたトラッキング用アクチュエータ7
(4)サスペンション4の先端に取り付けられたスライダ3
(5)ディスク2を矢印Bの方向に回転させるモータ(図示しない)
(6)トラッキング用アクチュエータ7、モータ及びディスク2に記録するために書き込み情報に応じて照射する光、磁界の発生等の制御を行う制御部8
スライダ3には、光アシスト記録を可能とするための平面導波路や磁気記録部等を備えている。光記録ヘッドは、上記のアーム5、サスペンション4、スライダ3を有し、光記録装置100は、光記録ヘッドが有しているスライダ3がディスク2上で浮上しながら相対的に移動しうるように構成されている。
【0036】
図2は、図1の光記録ヘッドの一例の記録書き込み周辺部を側面から概念的に示している。図2の光記録ヘッド30は、ディスク2に対する情報記録に光を利用する光記録ヘッドであって、アーム5、サスペンション4、スライダ3、光源50及び光伝送系を構成する第2の光学素子51と第1の光学素子52を備えている。スライダ3には、平面導波路20、磁気記録部40等を備えている。
【0037】
光源50から射出された光は、光伝送系を構成する第2の光学素子51と第1の光学素子52により伝送され、第1の光学素子52から射出される光61は、後述する平面導波路20に設けてある回折格子20aに収束し照射する。第1の光学素子52に入射面52aから入射した光は、上述の収束光となることに加えて射出されるまでの間、反射面52bで反射され、回折格子を備えている回折面52cで回折され、射出面52dで屈折される。
【0038】
反射面52b及び回折面52cは、射出面52dにおける屈折も含めて第1の光学素子52に入射した光が平面導波路20に設けてある回折格子20aに効率良く光結合できる所定の入射角(図5及び図7中、θ2で示す。)で入射できるように偏向させている。このため、光伝送系と平面導波路20とを厚みが薄くなるように配置にすることができ、回折格子20aを照射する光は効率よく平面導波路20に結合することができる。
【0039】
平面導波路20に結合された光は、先端部24に進み、加熱のための放射光65としてディスク2に向かって放射される。尚、図2では、先端部24の光を放射する位置又はその近傍に設けている後述の近接場光発生用のプラズモンプローブ24dを省略している。
【0040】
放射光65が微小な光スポットとしてディスク2に照射されると、ディスク2の照射された部分の温度が一時的に上昇してディスク2の保磁力が低下する。その保磁力の低下した状態の照射された部分に対して、磁気記録部40により磁気情報が書き込まれる。
【0041】
尚、図2ではディスク2の記録領域の進入側から退出側(図の矢印2a方向)にかけて、平面導波路20、磁気記録部40の順に配置されている。このように、平面導波路20の退出側直後に磁気記録部40が位置すると加熱された記録領域の冷却が進みすぎない内に書き込みができるので好ましい。また、磁気記録部40の退出側又は平面導波路20の流入側にディスク2に書き込まれた磁気記録情報を読み出す磁気再生部41を設けてもよい。
【0042】
スライダ3は、浮上しながらディスク2に対して相対的に移動するが、ディスク2に付着したごみや、媒体に欠陥がある場合には接触する可能性がある。その場合に発生する摩耗を低減するため、スライダ3の材質には耐摩耗性の高い硬質の材料を用いることが望ましい。例えば、Alを含むセラミック材料、例えばAlTiCやジルコニア、TiNなどを用いれば良い。また、摩耗防止処理として、スライダ3のディスク2側の面に耐摩耗性を増すためにDLC(Diamond Like Carbon)被膜等の表面処理を行っても良い。
【0043】
また、スライダ3のディスク2と対向する面には、浮上特性向上のための空気ベアリング面32(ABS(Air Bearing Surface)面とも称する。)を有している。
【0044】
光源50は、線状導光体である光ファイバの射出端部を示しているが、例えば半導体レーザとしてもよい。線状導光体は、本実施の形態に挙げている光ファイバのような線状導光体の断面の径方向にコア、クラッドと呼ぶ屈折率差を備えた導光体があるが、これに限定されることはなく、ポリマー光導波路のような線状導光体の断面の径方向に屈折率差を有さない導光体とすることもできる。
【0045】
光源50からの光を回折格子20aに収束させるための光伝送系の正のパワーを第2の光学素子51と第1の光学素子52とで2つに分けることにより、第2の光学素子51と第1の光学素子52とをサスペンション4の両端程度に離れて配置することができる。
【0046】
サスペンション4は、静止時と稼働時とでは反りの状態が異なるため、組み立ての際に反りの状態を予測して第2の光学素子51と第1の光学素子52とを配置する場合がある。この場合、安定した動作をするアーム5に第2の光学素子51を配置し、第1の光学素子52は、平面導波路20が設けてあるスライダ3に近いサスペンション4の先端付近に配置することができる。
【0047】
光源50から射出する光は第2の光学素子51に入射する。第2の光学素子51は、光ファイバ射出端部に接している光が入射する面51aと第2の正のパワーを備え光が射出する面51bとを備えている。第2の光学素子51から射出する光60は、平行、収束及び発散の何れの状態でもよく、後段の第1の光学素子52の光源側の焦点近傍を通るのが好ましく、光が焦点近傍を通ることに関しては後で説明する。光60が収束する場合、収束位置は、後述の第1の光学素子52の入射面52a上でも良いし、その前後でも良く、限定されない。
【0048】
第2の光学素子51を光源50に隣接して設けることは、光源50より射出する光が発散して広がらないうちに第2の光学素子51に結合させることができ、第2の光学素子51の径を小さくすることができる。また、第2の光学素子51は正のパワーを備えていることにより、後段の第1の光学素子52の径を小さくすることができる。
【0049】
第2の光学素子51は、面51bのような光学的なパワーを有する面(例えば、球面、非球面)を備えたレンズでも良いし、屈折率が一様でない(中心に近いほど屈折率が大きい)媒質を用い、屈折率が連続的に変化することでレンズ作用をする例えば円柱形状のレンズである屈折率分布型レンズとしても良い。尚、第2の光学素子51が有する第2の正のパワーは、1つの光学部品で構成しても良いし、複数の光学部品としても良い。
【0050】
光源50を固定する位置は、図2のようにアーム5に固定するのが好ましい。光源50をスライダ3より離して配置することは、光源50が例えば半導体レーザであれば発熱の影響をスライダ3が受け難くする点や、光源50の質量や光源が光ファイバであればこれによって生じる付加的な応力によってスライダ3の浮上が妨げられない点等で好ましい。
【0051】
第2の光学素子51は、上記の通り光源50に隣接するのが好ましく、また固定が容易でアーム5の旋回等の運動に質量の影響を少なくできることから、光源50と同じくアーム5に固定するのが好ましい。
【0052】
第2の光学素子51が有する第2の正のパワーは、後段の第1の光学素子52が有する第1の正のパワーより大きいことが好ましい。これは、第2の光学素子51と第1の光学素子52をある程度離して、例えば線状導光体である光ファイバのコアの直径が10μm程度のように発光部分が小さい光源からの光を直径φ50μm程度に拡大して回折格子20aに照射するような拡大光学系を容易に構成することができるからである。
【0053】
第1の光学素子52は、スライダ3に設けてある平面導波路20に近い位置に固定部4aを介してサスペンション4に固定されている。第1の光学素子52は第1の正のパワーを有し、具体的には反射面52bが第1の正のパワーを備えており、光源50側のこの第1の正のパワーの焦点Fは第1の光学素子52の入射面52aにある。第2の光学素子51からの光60は、この焦点Fを照射するように設定する。焦点Fを照射する光を光源と見なすと、図6に示すように、焦点Fの光源からの光は第1の光学素子52からは平行光として射出される。
【0054】
尚、焦点Fは第1の光学素子52の入射面52aに必ずある必要はなく、入射面52aの前後いずれとしてもよい。
【0055】
第1の光学素子52の焦点F近傍を第2の光学素子51からの光60が通る場合、図7(a)、(b)に示す様に、光60が入射面52aへ入射する入射角度θ1が変化しても、第1の光学素子52から射出する光61が収束して照射する回折格子20aにおける位置は変化するものの、主光線の射出角度、言い換えると回折格子20aへの入射角度θ2は変化しない。尚、Nは回折格子20aの入射面における法線を示す。このように、第1の光学素子52は、入射する光の入射角度の変化を位置変化に変換して射出する素子として機能する。
【0056】
上記より、第1の光学素子52とスライダ3は、相対的な角度変化が±0.1°程度以下に収まるように、例えば図2に示すように第1の光学素子52をスライダ3の近くのサスペンション4に固定する。より好ましくは、例えば図3に示す様に固定部30aを介して第1の光学素子52をスライダ3に一体化するように固定する。
【0057】
このように第1の光学素子52のスライダ3に対する相対位置が固定されると、第2の光学素子51から第1の光学素子52の焦点近傍を通り入射する光60の入射角度が変化しても、スライダ3に設けてある平面導波路20の回折格子20aへの入射角度は十分にその変化量を抑えることができる。このため、第1の光学素子52とスライダ3の相対位置において、回折格子20aに入射する入射角度が光結合効率の良い所定の入射角度となるように設定すると、第1の光学素子52の焦点F近傍を通る光は、その入射角度が変化しても回折格子20aへの入射角度はほとんど変化せず、良好な光結合を維持させることができる。
【0058】
回折格子20aを照射する光の位置許容範囲は、照射する光の径がφ50μm程度の場合、機械加工精度で十分に対応できる10μm程度と緩い。入射角度の変化を位置変化に変換する第1の光学素子52の機能から、この位置許容範囲10μmを第1の光学素子52への入射角度許容範囲に換算すると1°程度なり、回折格子20aへの光の入射角度許容範囲の±0.1°程度より大幅に緩和することができる。
【0059】
これまでの説明より、第1の光学素子52への入射角度許容範囲が緩和され、平面導波路20の回折格子20aを照射する位置許容範囲の緩さのため、例えば光記録ヘッド30の組み立て時、第2の光学素子51からの光を第1の光学素子に入射させる調整をより簡単に行うことができる。また、光記録装置100で稼動している光記録ヘッド30においては、第2の光学素子51からの光が第1の光学素子52に入射する入射角度の変化による平面導波路20の光結合効率への影響が抑えられ、平面導波路20に結合される光をより安定させることができる。その結果、光記録装置100は安定した光記録を行うことができる。
【0060】
焦点Fがある入射面52aに遮光部53を設け、この遮光部53の焦点Fの位置にピンホール53aを設けておくのが好ましい。焦点Fの位置にピンホール53aを設けることにより、焦点F近傍を通る光のみを回折格子20aを照射する光とすることができ、実際の稼動状態で光60の照射位置が焦点Fから外れてしまう光が第1の光学素子52に入りフレアを生じる等の不要な光による悪影響を防ぐことができる。また、光記録ヘッド30の組み立ての時、ピンホール53aを目印とすることにより第2の光学素子51からの光60の照射位置の調整を容易にすることができる。
【0061】
焦点F近傍を通る光のみを回折格子20aを照射する光とする方法として、上述の遮光部53にピンホール53aを設ける以外に、第1の光学素子52内の光路を囲む外周壁に遮光線を設け、焦点F近傍を通る以外の光が射出できないようにしてもよい。
【0062】
第1の光学素子52が備えている回折面52cが備えている回折格子に関して説明する。光源50から射出する光は、半導体レーザ光を使用する場合がある。半導体レーザにおいて、例えば、ファブリペロー共振型は、自身や周囲の温度上昇などによって温度変化があると所謂モードホップ現象が生じ発振波長が変化する。平面導波路20の回折格子20aに入射する光の波長が変化すると、回折角が変化するため、平面導波路20への光結合効率が低下してしまう。光結合効率が低下しないようにするためには、回折格子20aへの入射角度を波長変化に応じて変える必要がある。
【0063】
波長変化に応じて、回折格子20aに入射する光の入射角度を適宜変えるため、第1の光学素子52の回折面52cに回折格子を設けるのが好ましい。第1の光学素子52の回折面52cに入射する光の波長が変化すると、その波長に応じて回折角度が変わり、最終的に第1の光学素子52から射出する光の射出角度を変えることができる。
【0064】
これを利用して、第1の光学素子52の波長依存する射出角度変化量と回折格子20aの波長依存する入射角度変化量とを整合させ相殺させるように波長変動補償することができる。こうした整合により、上記の波長変化に応じて射出角度を補正(色補正)する回折格子を備えた第1の光学素子52に入射する光は、あたかも波長変動がないかのように平面導波路20に結合することができる。
【0065】
第1の正パワーは、光軸に直交する面内で、且つ互いに直交する2方向に異なるパワーを備えていることが好ましい。詳しくは、互いに直交する2方向の内1方向は、第1の光学素子が有する回折格子や反射面により光が回折、偏向される面(回折面や反射面における入射光とこれに対する回折光又は反射光とが成す面)に対して垂直な方向(図2中に示す座標でx方向)である。
【0066】
光を偏向させるために回折を利用すると、光束の断面形状が元の形から変化してしまう。例えば円形の断面を持つ平行光束が回折されることによって断面形状が楕円の光束となる。更に、光が集光又は拡散している場合には、回折面の効果によって回折方向とこれに垂直な方向とで集光位置が異なる非点隔差を生じてしまう。また、回折を用いた偏向機能を持たない場合であっても、第1の正のパワーを有する面が反射面52bのように入射主光線に対して傾いている場合、面が傾いている方向とこれに垂直な方向の2つの方向で集光能力が異なる。
【0067】
このような光束断面形状の変形、非点隔差及び直交する2方向で集光能力が異なることを補正する直交する2方向でパワーの異なる面を第1の光学素子が備えることにより、回折格子20aに良好な光スポットを形成することができ、光結合効率をより良好にすることができる。具体的には、2方向でパワーの異なる面を屈折面や反射面とする場合はアナモルフィック面を用い、回折面とする場合はアナモルフィックに相当する縦方向と横方向とで回折力の異なる面を用いるのが好ましい。
【0068】
第1の光学素子52の構成としては、図2に示すように、光源50側から順に入射面52a、反射面52b、回折格子を備える回折面52c、射出面52dとし、反射面52bと射出面52dとは同一面であり、反射面52bに第1の正のパワーを備えることが好ましい。このような構成により、小型で簡単な構成でありながら、入射面52aと第1のパワーを備える反射面52bとをできるだけ離すことで、第1のパワーを第2のパワーより弱いパワーとすることが容易に実現することができ、偏向、入射角度許容範囲の緩和及び波長変動補償の機能を併せて持たせることが可能である。
【0069】
更に望ましくは、上記で説明した通り、反射面52bが有する第1の正のパワーは光軸方向に対して直交する2方向でパワーが異なるアナモルフィック面、若しくはアナモルフィックに相当する縦方向と横方向とで回折力の異なる面とすることが好ましい。
【0070】
上記の第1の光学素子52は、第1の正のパワーを有する面の他、回折面及び反射面を備える一体物として部品数が少なく調整がより容易である好ましい状態であるが、これらの機能を有する面の相対位置が固定されている状態であれば必ずしも一体物である必要はない。例えば、第1の光学素子は第1の正のパワーを有し、回折面や反射面を第1の光学素子とは別の偏向部とする2体物としても良く、また第1の光学素子52は、1つの光学部品に限らず複数のレンズ等の光学部品で第1の正のパワーを有するように構成してもよい。
【0071】
平面導波路20に関して説明する。平面導波路20の正面図を図4、側面図を図5にそれぞれ模式的に示す。平面導波路20は、スライダ3の光源50側の壁面に設けられており、導波路を構成するコア層21とクラッド層22を有し、コア層21には、光入力部である回折格子20aが形成されている。
【0072】
導波路は、屈折率が異なる物質による複数層で構成することができ、コア層21の屈折率は、クラッド層22の屈折率より大きい。この屈折率差により導波路が構成され、コア層21内の光はコア層21内部に閉じ込められ、効率よく矢印25の方向に進み、先端部24に到達する。図5において、クラッド層22と接する側と反対側のコア層21の面は空気に晒されており、この空気がクラッドとして機能している。
【0073】
コア層21は、Ta、TiO、ZnSe等で形成され、厚みは約20nmから500nmの範囲としてよく、またクラッド層22は、SiO、空気、Al等で形成され、厚みは約200nmから2000nmの範囲としてよい。
【0074】
コア層21は、後述の結合された光をコア層21の焦点Gに向かって反射するように形成された、外周面の輪郭形状が放物線である側面26、27を備えている。図4において、放物線の左右対称の中心軸を軸C(準線(図示しない)に垂直で焦点Gを通る線)で示し、放物線の焦点を焦点Gとして示している。側面26、27には、例えば金、銀、アルミニウム等の反射物質を設けて、光反射損失をより少なくする助けとしてもよい。
【0075】
平面導波路20のコア層21に設けてある回折格子20aは、コア層21に設けてある側面26、27の形状である放物線の準線に対して平行な複数の溝により構成されている。第1の光学素子52から射出する光61が回折格子20aの面に形成する光スポットを光スポット63で示している。光スポット63の直径は、例えばφ50μ程度である。
【0076】
光をコア層21に結合させる光入力部は、上記の回折格子20aを用いたグレーティングカプラの他、例えば回折格子20aの代わりにプリズムを用いたプリズムカプラと呼ばれるものがある。光入力部は、コア層21に形成しやすいことや軽量であることから回折格子とすることが好ましい。
【0077】
導波路のコア層21の先端部24は、ディスク2に隣接する放物線の先端が切断されたような平面形状をしている。焦点Gから放射される光は急に広がるため、先端部24の形状を平面とすることにより、ディスク2に焦点Gをより近くに配置することができるので好ましく、また、先端部24に焦点Gを形成してもよい。
【0078】
コア層21の焦点G又はその近傍に、プラズモンプローブ24dを配置してもよい。プラズモンプローブ24dの具体例を図8に示す。
【0079】
図8において、(a)は三角形の平板状金属薄膜からなるプラズモンプローブ24d、(b)はボウタイ型の平板状金属薄膜からなるプラズモンプローブ24dであり、何れも曲率半径20nm以下の頂点Pを有するアンテナからなっている。また、(c)は開口を有する平板状金属薄膜からなるプラズモンプローブ24dであり、曲率半径20nm以下の頂点Pを有するアンテナからなっている。何れのプラズモンプローブ24dの金属薄膜の材料は、アルミニウム、金、銀等が挙げられる。
【0080】
これらのプラズモンプローブ24dに光が作用すると、その頂点P近辺に近接場光が発生して、非常に小さいスポットサイズの光を用いた記録又は再生を行うことが可能となる。つまり、コア層21の焦点G又はその近傍にプラズモンプローブ24dを設けることにより局所プラズモンを発生させれば、焦点Gに形成された光スポットのサイズをより小さくすることができ、高密度記録に有利となる。尚、焦点Gにプラズモンプローブ24dの頂点Pが位置することが好ましい。
【0081】
以上説明してきた実施の形態は、光アシスト磁気記録ヘッド、及び光アシスト磁気記録装置に関するものであるが、該実施の形態の要部構成を、記録媒体を光記録ディスクとした光記録ヘッド、光記録装置に利用することも可能である。この場合は、スライダ3に設けた磁気記録部40、磁気再生部41は不要である。
【実施例】
【0082】
図2に示すような構成の光記録ヘッド30において、本発明に係わる光伝送系である光源から光を導光している光ファイバの射出端に配置した第2の光学素子51と平面導波路20側に配置されている第1の光学素子52の具体例として以下の数値例1から6に示す。
【0083】
各数値例は、シミュレーションの都合上、射出側から、すなわち第1の光学素子側から順に記載している。
【0084】
各数値例の光路図は、面S6の第2の光学素子51側に第2の光学素子51からの光の集光位置があるか否かにより2つに大別できるため、光路図の概略を数値例1から5は図9に示し、数値例6は図10に示す。図9、10において、第1の光学素子52は面S3から面6までを備え、第2の光学素子51は面S7と面S8を備えている。
【0085】
シミュレーションにおける最初の座標軸をそれぞれの図9、10に併せて示す。
【0086】
(非球面の記述について)
光軸をZ軸、これに直交する方向をY軸、X軸とすると、面頂点からの位置を以下で表す。
Z=c×H/{1+(1−(1+k)×c×H1/2}+ΣAn×H
但し、
c:曲率(1/曲率半径)
:X+Y(光軸からの高さの2乗)
k:円錐定数
An:n次の非球面係数
(トロイダル面について)
トロイダル面は以下のように定義する。まずYZ平面で標準の非球面の輪郭を最初に定義し、次に、Xの曲率半径で曲率の中心を通るY軸周りに回転させる。従って、トロイダル面はYZ平面では非球面になり、XZ平面では円になる。YZ面内の形状は、以下で表す。
Z=c×Y/{1+(1−(1+k)×c×Y1/2}+ΣAn×Y
但し、
c:曲率(1/曲率半径)
:YZ平面上で光軸からの高さの2乗
k:円錐定数
An:n次の非球面係数
(トーリック面について)
トーリック面はYZ面で球面を定義した後、Xの曲率半径で曲率の中心を通るY軸周りに回転させたものである。
【0087】
(回折面について)
設計波長に対する決まった次数(+1次、−1次等)を使用する。
【0088】
また、Si(i=1、2、・・・)は射出側から数えてi番目の面を示し、各面に示す数値は、左から順に、曲率半径(mm)、軸上面間隔(mm)及び波長780nmにおける屈折率を示す。ただし、面Siはダミー面である場合があり、この場合、面の表記にダミー面であることを示し図示しない。曲率半径はX軸方向とY軸方向とで同じであり、トロイダル面及びトーリック面の場合、X曲率半径は数値の後に(X)、Y曲率半径は数値の後に(Y)を付加して示す。
【0089】
偏芯データに示す平行偏芯の単位、及び回折格子に示す格子ピッチの単位はmmである。
【0090】
以下の何れの数値例においても、第2の光学素子51からの光が第1の光学素子52に入射する角度が入射面(S6)の焦点位置の法線から1°傾いた場合、第1の光学素子52から射出される光の角度変化はなく、焦点位置の変動が傾き0°の時と比較して0.01mm以内である。
【0091】
(数値例1)
曲率半径(mm) 軸上面間隔(mm) 屈折率(780nm)
S1(射出面): ∞ 0.300000
S2(ダミー): ∞ 0.500000
S3: 5.91572(Y) 0.500000 1.511183
非球面係数(トーリック面):
X曲率半径: 3.62883(X)
偏芯データ(ディセンタ&リターン):
X平行偏芯: 0.000000 Y平行偏芯: 0.487708 Z平行偏芯: 0.198792
X回転(°):-26.220500 Y回転(°): 0.000000 Z回転(°): 0.000000
S4: ∞(反射面) -0.500000 -1.511183
回折格子面:
回折次数: -1.000000 格子ピッチ: 0.000686
偏芯データ(ローカル):
X平行偏芯: 0.000000 Y平行偏芯: 0.000000 Z平行偏芯: 0.000000
X回転(°):-68.220500 Y回転(°): 0.000000 Z回転(°): 0.000000
S5: 5.91572(Y反射面) 1.285787 1.511183
非球面係数(トーリック面):
X曲率半径: 3.62883
偏芯データ(第2面基準グローバル):
X平行偏芯: 0.000000 Y平行偏芯: 0.000000 Z平行偏芯: 0.000000
X回転(°): 0.000000 Y回転(°): 0.000000 Z回転(°): 0.000000
S6: ∞ 1.925821
偏芯データ(ローカル):
X平行偏芯: 0.000000 Y平行偏芯: 1.477594 Z平行偏芯: 0.000000
X回転(°): 48.000000 Y回転(°): 0.000000 Z回転(°): 0.000000
S7: 0.18909 1.000000 1.511183
非球面係数:
円錐定数: 0.000000
4次:-0.383474E+04 6次:0.706458E+07 8次:-0.553198E+10 10次:0.154811E+13
S8: ∞ 0.000000
S9(光源): ∞
仕様は、
・光源側NA:0.09000
・設計波長:780.00nm
・焦点距離:−0.8678mm
・倍率:0.2000
である。
【0092】
(数値例2)
曲率半径(mm) 軸上面間隔(mm) 屈折率(780nm)
S1(射出面): ∞ 0.300000
S2(ダミー): ∞ 0.500000
S3: 5.91572(Y) 0.500000 1.511183
非球面係数(トーリック面):
X曲率半径: 3.62883(X)
偏芯データ(ディセンタ&リターン):
X平行偏芯: 0.000000 Y平行偏芯: 0.487708 Z平行偏芯: 0.198792
X回転(°):-26.220500 Y回転(°): 0.000000 Z回転(°): 0.000000
S4: ∞(反射面) -0.500000 -1.511183
回折格子面:
回折次数: -1.000000 格子ピッチ: 0.000686
偏芯データ(ローカル):
X平行偏芯: 0.000000 Y平行偏芯: 0.000000 Z平行偏芯: 0.000000
X回転(°):-68.220500 Y回転(°): 0.000000 Z回転(°): 0.000000
S5: 5.91572(Y反射面) 1.285787 1.511183
非球面係数(トーリック面):
X曲率半径: 3.62883(X)
偏芯データ(第2面基準グローバル):
X平行偏芯: 0.000000 Y平行偏芯: 0.000000 Z平行偏芯: 0.000000
X回転(°): 0.000000 Y回転(°): 0.000000 Z回転(°): 0.000000
S6: ∞ 5.000000
偏芯データ(ローカル):
X平行偏芯: 0.000000 Y平行偏芯: 1.477594 Z平行偏芯: 0.000000
X回転(°): 48.000000 Y回転(°): 0.000000 Z回転(°): 0.000000
S7: 0.23068 0.733406 1.511183
非球面係数:
円錐定数: 0.000000
4次:0.675053E+01 6次:-0.133278E+04 8次:0.679385E+05 10次:-0.150159E+07
S8: ∞ 0.000000
S9(光源): ∞
仕様は、
・光源側NA:0.09000
・設計波長:780.00nm
・焦点距離:−0.2111mm
・倍率:0.2000
である。
【0093】
(数値例3)
曲率半径(mm) 軸上面間隔(mm) 屈折率(780nm)
S1(射出面): ∞ 0.300000
S2(ダミー): ∞ 0.000000
S3: 5.91572(Y) 0.500000 1.511183
非球面係数(トーリック):
X曲率半径: 3.62883(X)
偏芯データ(ディセンタ&リターン):
X平行偏芯: 0.000000 Y平行偏芯: 0.487708 Z平行偏芯: 0.198792
X回転(°):-26.220500 Y回転(°): 0.000000 Z回転(°): 0.000000
S4: ∞(反射面) -0.500000 -1.511183
回折格子面:
回折次数: -1.000000 格子ピッチ: 0.000686
偏芯データ(ローカル)
X平行偏芯: 0.000000 Y平行偏芯: 0.000000 Z平行偏芯: 0.000000
X回転(°):-68.220500 Y回転(°): 0.000000 Z回転(°): 0.000000
S5: 5.91572(Y反射面) 1.285787 1.511183
非球面係数(トーリック面):
X曲率半径: 3.62883(X)
偏芯データ(第2面基準グローバル)
X平行偏芯: 0.000000 Y平行偏芯: 0.000000 Z平行偏芯: 0.000000
X回転(°): 0.000000 Y回転(°): 0.000000 Z回転(°): 0.000000
S6: ∞ 5.000000
偏芯データ(ローカル):
X平行偏芯: 0.000000 Y平行偏芯: 1.477594 Z平行偏芯: 0.000000
X回転(°): 48.000000 Y回転(°): 0.000000 Z回転(°): 0.000000
S7: 0.33147 1.068968 1.511183
非球面係数:
円錐定数: 0.000000
4次:0.547057E+02 6次:-0.174296E+05 8次:0.174034E+07 10次:0.000000E+00
S8: ∞ 0.000000
S9(光源): ∞
仕様は、
・光源側NA:0.09000
・設計波長:780.00nm
・焦点距離:−0.3202mm
・倍率:0.2000
である。
【0094】
(数値例4)
曲率半径(mm) 軸上面間隔(mm) 屈折率(780nm)
S1(射出面): ∞ -0.200000
S2(ダミー): ∞ 0.500000
S3: 4.69850(Y) 0.200000 1.484470
非球面係数(トロイダル):
X曲率半径: 2.73859(X)
Y円錐定数: -37.956203
4次:-0.845852E-01 Y6次:0.282671E+01 Y8次:-0.135156E+02 Y10次:0.000000E+00
偏芯データ(ディセンタ&リターン):
X平行偏芯: 0.000000 Y平行偏芯: 0.320878 Z平行偏芯: 0.009146
X回転(°):-25.844340 Y回転(°): 0.000000 Z回転(°): 0.000000
S4: ∞(反射面) -0.200000 -1.484470
回折格子面:
回折次数: -1.000000 格子ピッチ: 0.000698
偏芯データ(ローカル)
X平行偏芯: 0.000000 Y平行偏芯: 0.000000 Z平行偏芯: 0.000000
X回転(°):-67.722800 Y回転(°): 0.000000 Z回転(°): 0.000000
S5: 4.69850(Y反射面) 1.500000 1.484470
非球面係数(トロイダル):
X曲率半径: 2.73859(X)
Y円錐定数: -37.956203
4次:-0.845852E-01 6次:0.282671E+01 Y8次:-0.135156E+02 Y10次:0.000000E+00
偏芯データ(第2面基準グローバル):
X平行偏芯: 0.000000 Y平行偏芯: 0.000000 Z平行偏芯: 0.000000
X回転(°): 0.000000 Y回転(°): 0.000000 Z回転(°): 0.000000
S6: ∞ 19.142916
偏芯データ(第1面基準グローバル):
X平行偏芯: 0.000000 Y平行偏芯: 0.946230 Z平行偏芯: 2.000000
X回転(°):22.277200 Y回転(°): 0.000000 Z回転(°): 0.000000
S7: 1.00000 2.000000 1.484470
非球面係数:
円錐定数: 0.000000
4次:0.923699E+02 6次:-0.938318E+04 8次:0.311084E+06 10次:0.000000E+00
S8: ∞ 0.000000
S9(光源): ∞
仕様は、
・光源側NA:0.09000
・設計波長:780.00nm
・焦点距離:−0.1767mm
・倍率:0.2000
である。
【0095】
(数値例5)
曲率半径(mm) 軸上面間隔(mm) 屈折率(780nm)
S1(射出面): ∞ 0.300000
S2(ダミー): ∞ 0.000000
S3: 6.60566(Y) 0.500000 1.564780
非球面係数(トーリック面):
X曲率半径: 3.70024(X)
偏芯データ(ディセンタ&リターン):
X平行偏芯: 0.000000 Y平行偏芯: 0.545139 Z平行偏芯: 0.142305
X回転(°):-27.348600 Y回転(°): 0.000000 Z回転(°): 0.000000
S4: ∞(反射面) -0.500000 -1.564780
回折格子面:
回折次数: -1.000000 格子ピッチ: 0.000660
偏芯データ(ローカル):
X平行偏芯: 0.000000 Y平行偏芯: 0.000000 Z平行偏芯: 0.000000
X回転(°):-69.348600 Y回転(°): 0.000000 Z回転(°): 0.000000
S5: 6.60566(Y反射面) 1.406587 1.564780
非球面係数(トーリック面):
X曲率半径: 3.70024(X)
偏芯データ(第2面基準グローバル)
X平行偏芯: 0.000000 Y平行偏芯: 0.000000 Z平行偏芯: 0.000000
X回転(°): 0.000000 Y回転(°): 0.000000 Z回転(°): 0.000000
S6: ∞ 5.494216
偏芯データ(ローカル)
X平行偏芯: 0.000000 Y平行偏芯: 1.622299 Z平行偏芯: 0.000000
X回転(°):48.000000 Y回転(°): 0.000000 Z回転(°): 0.000000
S7: 0.41859 1.200000 1.564780
非球面係数:
円錐定数: 0.000000
4次:0.869391E+02 6次:-0.211923E+05 8次:0.174703E+07 10次:0.000000E+00
S8: ∞ 0.000000
S9(光源): ∞
仕様は、
・光源側NA:0.09000
・設計波長:780.00nm
・焦点距離:−0.3509mm
・倍率:0.2000
である。
【0096】
(数値例6)
曲率半径(mm) 軸上面間隔(mm) 屈折率(780nm)
S1(射出面): ∞ -0.200000
S2(ダミー): ∞ 0.500000
S3: 8.54820(Y) 0.200000 1.484470
トロイダル:
X曲率半径: 4.85594(X)
Y円錐定数: 88.418193
Y4次:-0.492461E-01 Y6次:0.799758E+00 Y8次:-0.420229E+01 Y10次:0.000000E+00
偏芯データ(ディセンタ&リターン)
X平行偏芯: 0.000000 Y平行偏芯: 0.315136 Z平行偏芯: 0.006365
X回転(°):-25.844340 Y回転(°): 0.000000 Z回転(°): 0.000000
S4: ∞(反射面) -0.200000 -1.484470
回折格子面:
回折次数: -1.000000 格子ピッチ: 0.000698
偏芯データ(ローカル)
X平行偏芯: 0.000000 Y平行偏芯: 0.000000 Z平行偏芯: 0.000000
X回転(°):-67.722800 Y回転(°): 0.000000 Z回転(°): 0.000000
S5: 8.54820(Y反射面) 1.500000 1.484470
非球面係数(トロイダル):
X曲率半径: 4.85594(X)
Y円錐定数: 88.418193
Y4次:-0.492461E-01 Y6次:0.799758E+00 Y8次:-0.420229E+01 Y10次:0.000000E+00
偏芯データ(第2面基準グローバル)
X平行偏芯: 0.000000 Y平行偏芯: 0.000000 Z平行偏芯: 0.000000
X回転(°): 0.000000 Y回転(°): 0.000000 Z回転(°): 0.000000
S6: ∞ 5.000000
偏芯データ(第1面基準グローバル)
X平行偏芯: 0.000000 Y平行偏芯: 1.409937 Z平行偏芯: 3.158578
X回転(°):22.277200 Y回転(°): 0.000000 Z回転(°): 0.000000
S7: 0.45323 1.063940 1.484470
非球面係数:
円錐定数: 0.000000
4次:0.140286E+02 6次:-0.135145E+03 8次:0.444181E+03 10次:0.000000E+00
S8: ∞ 0.000000
S9(光源): ∞
仕様は、
・光源側NA:0.09000
・設計波長:780.00nm
・焦点距離:−0.8182mm
・倍率:0.2000
である。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】光アシスト式磁気記録ヘッドを搭載した光記録装置の概略構成の例を示す図である。
【図2】光記録ヘッドの構成例を示す図である。
【図3】光記録ヘッドの別の構成例を示す図である。
【図4】平面導波路の正面図である。
【図5】平面導波路の側面図である。
【図6】第1の光学素子が有する第1の正のパワーの焦点を説明する図である。
【図7】第1の光学素子の焦点近傍から入射する光の光路の例を示す図である。
【図8】プラズモンプローブの例を示す図である。
【図9】数値例1から5の光路図を示す図である。
【図10】数値例6の光路図を示す図である。
【符号の説明】
【0098】
1 筐体
2 ディスク
3 スライダ
4 サスペンション
20 平面導波路
20a 回折格子
21 コア層
22 クラッド層
24 先端部
26、27 側面
30 光記録ヘッド
32 空気ベアリング面
40 磁気記録部
41 磁気再生部
50 光源
51 第2の光学素子
51a、51b 面
52 第1の光学素子
52a 入射面
52b 反射面
52c 回折面
52d 射出面
60、61 光
63 光スポット
65 放射光
100 光記録装置
θ1、θ2 入射角度
C 軸
F、G 焦点
N 法線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光を導く光伝送系と、
前記光伝送系に導かれた光が結合される平面導波路と、を備え、
前記平面導波路は、前記光伝送系に導かれた光が照射される位置に、所定の角度で入射する該光を該平面導波路に結合させる光入力部を有する光学装置において、
前記光伝送系は、第1の正のパワーを有し、前記光源側の焦点近傍を通る光を前記光入力部に所定の角度で照射する第1の光学素子を備え、
前記第1の光学素子は、前記平面導波路に対して相対位置が固定されていることを特徴とする光学装置。
【請求項2】
前記光伝送系は、前記光源からの光を前記光入力部に収束させるものであって、
前記第1の光学素子より前記光源の側に位置し、第2の正のパワーを有する第2の光学素子を備え、
前記第2の光学素子からの光は、前記第1の光学素子の前記焦点近傍を通るように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
【請求項3】
前記光源は、線状導光体の光射出端部であり、前記第2の正のパワーは前記第1の正のパワーより大きいことを特徴とする請求項2に記載の光学装置。
【請求項4】
前記光入力部は回折格子であることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の光学装置。
【請求項5】
前記焦点近傍の位置にピンホールを有する遮光部が設けられていることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の光学装置。
【請求項6】
前記第1の光学素子は、前記所定の角度で前記光入力部に入射するように前記第1の光学素子に入射する光を偏向する偏向部を備えていることを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の光学装置。
【請求項7】
前記偏向部は、回折格子を備えていることを特徴とする請求項6に記載の光学装置。
【請求項8】
前記偏向部は、反射面を備え、前記反射面は前記第1の正のパワーを備えていることを特徴とする請求項6又は7に記載の光学装置。
【請求項9】
前記第1の正パワーは、光軸に対し直交し且つ互いに直交する2方向に異なることを特徴とする請求項7又は8に記載の光学装置。
【請求項10】
前記第1の光学素子は、前記所定の角度で前記光入力部に入射するように前記第1の光学素子に入射する光を偏向する偏向部を備え、
前記第1の光学素子に光が入射する側から光が進む順に、入射面、反射面、回折格子面及び前記反射面と同一面である射出面を備え、
前記反射面は前記第1の正のパワーを備えていることを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の光学装置。
【請求項11】
前記反射面が備える前記第1の正のパワーは、光軸に対し直交し且つ互いに直交する2方向に異なることを特徴とする請求項10に記載の光学装置。
【請求項12】
光源からの光を情報記録媒体に照射して情報を記録する光記録ヘッドにおいて、
前記光源と、
請求項1から11の何れか一項に記載の光学装置と、
前記平面導波路を備え、前記情報記録媒体に対し相対移動するスライダと、を有することを特徴とする光記録ヘッド。
【請求項13】
前記第1の光学素子は、前記スライダに固定されていることを特徴とする請求項12に記載の光記録ヘッド。
【請求項14】
磁気記録部を備えている請求項12又は13に記載の光記録ヘッドと、
磁気記録媒体と、
前記光記録ヘッドにより前記磁気記録媒体に磁気記録を行う制御をする制御部と、を備えていることを特徴とする光記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−140581(P2010−140581A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−318176(P2008−318176)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】