説明

光学部材用アクリル系組成物、光学部材用保護フィルム、偏光板及び液晶表示装置

本発明は、光学部材用アクリル系組成物、光学部材用保護フィルム、偏光板及び液晶表示装置に関する。本発明は、紫外線のような放射線の照射によって硬化される光重合性アクリル系重合体及び重合開始剤を所定の割合で含む組成物に、さらに帯電防止剤を適正量配合することによって、硬化時の熟成工程を省略することができるので、製造工程を簡素化することができると共に、剥離または使用時に帯電防止性に優れていて、且つ耐久信頼性、作業性、接着性、濡れ性及び光学的特性などに優れた光学部材用組成物、光学部材用保護フィルム、偏光板及び液晶表示装置を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学部材用アクリル系組成物、光学部材用保護フィルム、偏光板及び液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置(liquid crystal display)は、2枚の薄いガラス基板の間に液晶を注入し、画像を表示する装置である。上記装置では、液晶に連結された電極を通じて電圧を印加すれば、液晶の分子配列方式が変わり、これにより、液晶を通過する光の通過率が変わり、絵や色を表示することができる。液晶表示装置は、電力消耗が少なく、且つ平面的に薄くすることができるという長所を有するので、現在様々な分野において注目されている表示装置である。
【0003】
このような液晶表示装置の需要の増加に伴い、偏光板などの光学特性を有するフィルムの需要が急増していて、液晶表示装置の生産工程の高速化も要求されている。また、生産ラインの高速化によって各種原副資材の需要も増加していて、原副資材の生産性も重要な問題になっている。
【0004】
一方、偏光板のような光学部材に適用される表面保護フィルムは、通常、粘着剤組成物を基材に塗布し、乾燥、離型フィルムとのラミネート、熟成、検査、スリッティング及び包装などの工程を順次に経て製造されるが、各段階で粘着剤熟成のために、数十時間以上がかかる。熟成工程は、粘着剤組成物に配合された架橋剤及び粘着樹脂の反応のために行われ、この過程で、粘着剤の凝集力及び耐久性が向上する。したがって、偏光板などの光学部材を製造するためには、上記のような熟成条件を調節するために、温度及び湿度の制御設備及びそのための空間が必要であり、これは、加工費の増大などを招き、製品競争力を低下させる要因となっている。
【0005】
また、最近、偏光板の製造工程が高速化されるに伴い、保護フィルムの剥離時に、従来発生しなかった静電気が多量発生し、TFT ICなどの素子を破壊し、これにより、液晶表示装置の不良を誘発する問題が発生している。
【0006】
このような問題を解決するために、特許文献1は、粘着剤に有機塩を添加し、帯電防止性を得る技術を開示する。しかし、上記技術の場合、高価の有機塩が使用され、その表面抵抗のみを減少させるので、剥離時に発生する静電気による静電圧変化に対応しにくいという問題がある。
【0007】
一方、特許文献2は、イソシアネート架橋剤及びヒドロキシ基含有イオン導電性ポリマーを含む粘着剤を開示している。しかし、上記技術の場合、配合されるイソシアネート架橋剤によって粘着物性及びレオロジー特性が変わり、そのため、帯電防止性及び粘着物性の制御が難しいという問題点がある。
【0008】
また、特許文献3は、イソシアネート架橋剤、ポリエーテルポリオール及び金属塩を含む粘着剤組成物を開示する。しかし、上記技術の場合、架橋剤によって架橋度が影響を受けると共に、ポリエーテルポリオールのアルキレンオキシドが有する親水性に起因して、表面移行及び粘着物性の低下が発生するという短所がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】大韓民国特許公開2004−0030919号公報
【特許文献2】日本国特許公開2004−287199号公報
【特許文献3】日本国特開平6−128539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、光学部材用アクリル系組成物、光学部材用保護フィルム、偏光板及び液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明による光学部材用アクリル系組成物は、(メタ)アクリル酸エステル系単量体90重量部〜99.9重量部及び極性単量体0.01重量部〜10重量部を含む単量体混合物の重合体である主鎖と、上記主鎖に結合された光重合性基含有化合物0.06重量部〜16重量部とを含む光重合性アクリル系重合体100重量部と;帯電防止剤0.01重量部〜9重量部と;重合開始剤0.01重量部〜9重量部と;を含む。
【0012】
また、本発明による光学部材用保護フィルムは、基材と;上記基材上に形成され、本発明によるアクリル系組成物の硬化物と;を含む。
【0013】
また、本発明による偏光板は、前述の本発明による光学部材用保護フィルムが一面または両面に付着されている。
【0014】
また、本発明による液晶表示装置は、本発明による偏光板が液晶パネルの一面または両面に付着されている。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、光照射によって開始剤で発生するラジカルによって架橋反応を起こすことができる光活性基が導入された光重合性アクリル系重合体及び重合開始剤を所定の割合で含む組成物に、さらに帯電防止剤を適正量配合し、硬化時の熟成工程を省略することができ、製造工程を簡素化することができると共に、剥離または使用時に帯電防止性に優れていて、耐久信頼性、作業性、接着性、濡れ性及び光学的特性などに優れた光学部材用組成物、光学部材用保護フィルム、偏光板及び液晶表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、(メタ)アクリル酸エステル系単量体90重量部〜99.9重量部及び極性単量体0.01重量部〜10重量部を含む単量体混合物の重合体である主鎖と、上記主鎖に結合された光重合性基含有化合物0.06重量部〜16重量部とを含む光重合性アクリル系重合体100重量部と;帯電防止剤0.01重量部〜9重量部と;重合開始剤0.01重量部〜9重量部と;を含む光学部材用アクリル系組成物に関する。
【0017】
以下、本発明によるアクリル系組成物を具体的に説明する。
本発明のアクリル系共重合体に含まれる光重合性アクリル系重合体は、主鎖と、上記主鎖に結合され、光活性基を提供する光重合性基含有化合物とを含み、これにより、光照射によって開始剤で発生するラジカルによって架橋反応を起こすことができる。
【0018】
より具体的に、上記光重合性アクリル系重合体は、(メタ)アクリル酸エステル系単量体90重量部〜99重量部及び極性単量体1重量部〜10重量部を含む単量体混合物の重合体である主鎖と;上記主鎖に結合されている光重合性基含有化合物0.06重量部〜16重量部と;を含む。
【0019】
光重合性アクリル系重合体の主鎖に含まれる(メタ)アクリル酸エステル系単量体の種類は、特に限定されず、例えば、アルキル(メタ)アクリレートを使用することができる。この場合、単量体に含まれるアルキル基が長すぎれば、粘着剤の凝集力が低下し、ガラス転移温度や粘着性の制御が難しくなるおそれがあるので、炭素数が1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系単量体を使用することが好ましい。このような単量体の例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2−エチルブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート及びテトラデシル(メタ)アクリレートなどの1種または2種以上の混合物を挙げることができる。
【0020】
単量体混合物内で、上記(メタ)アクリル酸エステル系単量体は、極性単量体に対して90重量部〜99.9重量部、好ましくは99重量部〜99.9重量部の量で含まれることができる。上記含量が90重量部未満なら、粘着剤の初期接着力が低下するおそれがあり、99重量部を超過すれば、凝集力の低下に起因して耐久性に問題が発生するおそれがある。
【0021】
主鎖を構成する単量体混合物に含まれる極性単量体は、主鎖に光重合性基含有化合物と反応することができる領域として極性官能基を付与する役目をする。このような極性官能基の例として、ヒドロキシ基、カルボキシル基、イソシアネート基、アミノ基またはエポキシ基などを挙げることができ、本発明においては、ヒドロキシ基またはカルボキシル基を使用することが好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0022】
本発明において極性単量体は、前述の極性官能基及び不飽和二重結合を分子内に有するものなら、特に限定されるものではない。例えば、本発明においては、上記極性単量体として、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシ酢酸、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピオン酸、4−(メタ)アクリロイルオキシ酪酸、フマル酸、アクリル酸二量体、イタコン酸、マレイン酸またはマレイン酸無水物の1種または2種以上の混合物を使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
本発明において上記極性単量体の含量は、粘着剤の物性及び主鎖に導入しようとする光重合性基によって決定されるものであって、特に限定されるものではない。本発明においては、例えば、単量体混合物が(メタ)アクリル酸エステル系単量体に対して0.01重量部〜10重量部、好ましくは0.01重量部〜5重量部、より好ましくは0.01重量部〜1重量部の極性単量体を含むことができる。極性単量体の含量が0.01重量部未満なら、主鎖に導入することができる光活性基(光重合性基)の量が足りなく、凝集力が低下するおそれがあり、10重量部を超過すれば、相溶性及び/または流動特性の減少が生じるか、または原材料費の上昇によって経済性が低下するおそれがある。
【0024】
本発明の光重合性アクリル系重合体は、前述の成分よりなる主鎖とともに、上記主鎖に結合、好ましくは主鎖の側鎖に結合され、重合体に光重合性基を提供する光重合性基化合物をさらに含むことができる。
【0025】
このような化合物の具体的な種類は、光重合性基(例えば、光重合性炭素−炭素二重結合)を1分子当たり1〜5個、好ましくは1〜2個含み、また、主鎖に含まれる極性官能基と反応することができる官能基を有する限り、特に限定されるものではない。上記で、主鎖の官能基と反応することができる官能基の例として、イソシアネート基、エポキシ基、シラン基またはカルボキシル基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。例えば、主鎖にヒドロキシ基またはカルボキシル基が導入された場合には、上記化合物に含まれる官能基は、イソシアネート基、エポキシ基またはクロロシラン基などであることができ、主鎖にアミノ基または置換アミノ基が導入される場合には、上記化合物に含まれる官能基は、イソシアネート基などであることができ、主鎖にエポキシ基が含まれる場合、上記化合物に含まれる官能基は、カルボキシル基であることができる。
【0026】
本発明において使用することができる光重合性基含有化合物の具体的な例として、2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレート、1、1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、メタ−イソプロペニル−α、α−ジメチルベンジルイソシアネート、メタクリロイルイソシアネートまたはアリルイソシアネート;ジイソシアネート化合物またはポリイソシアネート化合物を(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルと反応させて得られるアクリロイルモノイソシアネート化合物;ジイソシアネート化合物またはポリイソシアネート化合物、ポリオール化合物及び(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルを反応させて得られるアクリロイルモノイソシアネート化合物;(メタ)アクリル酸グリシジル;(メタ)アクリル酸;または3−メタクリロキシプロピルジメチルクロロシランなどの1種または2種以上を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0027】
本発明において、上記光重合性基含有化合物の含量は、目的する用途によって選択されるものであって、特に限定されるのではなく、例えば、主鎖に含まれる(メタ)アクリル酸エステル系単量体または極性単量体に対して0.06重量部〜16重量部、好ましくは0.1重量部〜8重量部、より好ましくは1重量部〜6重量部、さらに好ましくは0.1重量部〜2重量部の量で含まれることができる。光重合性基含有化合物の含量が0.06重量部未満なら、剥離力が過度に上昇し、剥離工程効率が低下するおそれがあり、16重量部を超過すれば、粘着剤の凝集力が過度に上昇し、耐久信頼性が低下するおそれがある。本発明においては、特に、原材料費の上昇などによる経済性を考慮して、上記光重合性基含有化合物を、主鎖に対して重量比で3%以下、より好ましくは2%以下、さらに好ましくは1%以下で使用することができる。
【0028】
本発明の光重合性アクリル系重合体は、重量平均分子量が20万〜100万の範囲にあり得る。重合体の重量平均分子量が20万未満なら、粘着剤の凝集力が低下し、被着体に残渣が残存するおそれがあり、100万を超過すれば、粘度が過度に増加し、光重合性基との反応が円滑に行われないおそれがある。
【0029】
また、本発明の光重合性アクリル系重合体は、ガラス転移温度が−40℃以下であることが好ましい。重合体のガラス転移温度が−40℃を超過すれば、被着体との濡れ性が低下するおそれがある。本発明において、上記重合体のガラス転移温度の下限は、特に限定されず、例えば、−80℃以上の範囲で適宜制御されることができる。
【0030】
本発明において、前述の光重合性アクリル系重合体を製造する方法は、特に限定されるものではない。本発明においては、例えば、主鎖を成すアクリル系重合体をまず製造し、上記重合体、例えば、上記重合体に導入された極性基及び光重合性基含有化合物を反応させて、光重合性基を重合体に導入する方法で光重合性アクリル系重合体を製造することができる。
【0031】
この場合、主鎖を成す重合体を製造する方法は、特に限定されず、例えば、溶液重合、光重合、バルク重合、サスペンション重合またはエマルジョン重合のような一般的な重合法を通じて製造することができる。本発明においては、特に溶液重合法を使用することが好ましく、具体的に各単量体が均一に混合された状態で開始剤を混合し、50℃〜140℃の重合温度で溶液重合を行うことができる。この時に使用されることができる開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリルまたはアゾビスシクロヘキサンカルボニトリルのようなアゾ系重合開始剤;及び/または過酸化ベンゾイルまたは過酸化アセチルのような過酸化物などの通常の開始剤を挙げることができる。
【0032】
また、上記のように製造された主鎖を光重合性基含有化合物と反応させる方法は、特に限定されず、例えば、主鎖を成す重合体及び光重合性基含有化合物を室温〜40℃の温度の常圧で4時間〜48時間反応させて製造することができる。この時、上記反応は、酢酸エチルなどの溶媒内で有機錫などの触媒を使用して行うことができる。
【0033】
本発明のアクリル系組成物は、前述の成分とともに帯電防止剤を含む。この場合、使用することができる帯電防止剤の種類は、前述の光重合性アクリル系重合体と優れた相溶性を有し、粘着剤の透明性、作業性及び耐久信頼性などに悪影響を及ぼすことなく、帯電防止性能を付与することができるものなら特に限定されない。
【0034】
本発明において使用することができる帯電防止剤の例として、i)アルキレンオキシド含有化合物及び金属塩の混合物;またはii)配位結合性化合物及び金属塩の混合物を挙げることができ、本発明においては、上記のうち1種または2種以上の混合を使用することができる。
【0035】
本発明において、上記i)帯電防止剤に含まれるアルキレンオキシド含有化合物は、一緒に含まれる金属塩の成分と錯体(complex)を形成することができる。このようなアルキレンオキシド含有化合物が金属塩とともに帯電防止剤に含まれることによって、例えば、少量の帯電防止成分(例えば、金属塩)を添加し、粘着剤の耐久信頼性、透明性及び作業性などを維持または改善させることができると共に、顕著に優れた帯電防止性能を粘着剤に付与することができる。
【0036】
本発明において使用することができるアルキレンオキシド含有化合物の具体的な種類は、前述の作用を行うことができるものなら特に限定されず、例えば、炭素数1〜12、好ましくは炭素数1〜8、より好ましくは炭素数1〜4のアルキレンオキシド単位を含む化合物を挙げることができ、具体的には、エチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシド単位を含む化合物を使用することができる。
【0037】
より具体的に、上記アルキレンオキシド含有化合物は、例えば、下記化学式1で表示される化合物であることができる。
【0038】
【化1】

【0039】
上記化学式1で、Rは、アルキレンを示し、Yは、水素、アルキルまたは−C(=O)Rを示し、Xは、水素、ヒドロキシ、アルキルまたは−C(=O)Rを示し、nは、1〜120を示し、上記で、R及びRは、各々独立的に水素またはアルキル基を示す。
【0040】
上記化学式1の定義で、アルキレンは、炭素数1〜12、好ましくは1〜8、より好ましくは1〜4のアルキレンを示し、具体的にはエチレンまたはプロピレンを示す。
【0041】
また、上記化学式1の定義で、アルキルは、炭素数1〜12、好ましくは1〜8、より好ましくは1〜4のアルキルを示す。
【0042】
また、上記化学式1で、nは、好ましくは1〜80、より好ましくは1〜40を示すことができる。
【0043】
上記化学式1で表示される化合物のより具体的な例としては、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコール)、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコール)の脂肪酸系アルキルエステルまたはポリアルキレングリコール(例えば、ポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコール)のカルボン酸エステルなどを挙げることができる。
【0044】
本発明において、上記アルキレンオキシド含有化合物は、重量平均分子量が100〜10,000の範囲であることが好ましい。重量平均分子量が100未満なら、錯体形成能が低下するおそれがあり、10,000を超過すれば、粘着剤の流動特性が低下するおそれがある。
【0045】
一方、本発明のi)帯電防止剤に含まれる金属塩の種類は、特に限定されず、例えば、アルカリ金属陽イオンまたはアルカリ土類金属陽イオンを含む金属塩であることができる。この場合、上記陽イオンの具体的な例として、リチウムイオン(Li)、ナトリウムイオン(Na)、カリウムイオン(K)、ルビジウムイオン(Rb)、セシウムイオン(Cs)、ベリリウムイオン(Be2+)、マグネシウムイオン(Mg2+)、カルシウムイオン(Ca2+)、ストロンチウムイオン(Sr2+)及びバリウムイオン(Ba2+)などの1種または2種以上を挙げることができ、好ましくはリチウムイオン(Li)、ナトリウムイオン(Na)、カリウムイオン(K)、セシウムイオン(Cs)、ベリリウムイオン(Be2+)、マグネシウムイオン(Mg2+)、カルシウムイオン(Ca2+)及びバリウムイオン(Ba2+)の1種または2種以上を使用することができ、イオン安定性及び粘着剤内での移動性の側面からリチウムイオン(Li)を使用することがより好ましいが、これに限定されるものではない。
【0046】
また、本発明において、上記金属塩に含まれる陰イオンの種類は、特に限定されず、その例として、フルオライド(F)、クロライド(Cl)、ブロマイド(Br)、ヨージド(I)、ペルクロラート(ClO)、ヒドロキシド(OH)、カーボネート(CO2−)、カルボキシレート(例えば、CHCO)、アジド陰イオン(N)、ホスフェート(HPO2−)、ニトレート(NO)、スルホネート(SO2−)、メチルベンゼンスルホネート(CH(C)SO)、p−トルエンスルホネート(CHSO)、カルボキシベンゼンスルホネート(COOH(C)SO)、トリフルオロメタンスルホネート(CFSO)、ベンゾネート(CCOO)、アセテート(CHCOO)、トリフルオロアセテート(CFCOO)、テトラフルオロボレート(BF)、テトラベンジルボレート(B(C)、ヘキサフルオロホスフェート(PF)、トリスペンタフルオロエチルトリフルオロホスフェート(P(C)、ビストリフルオロメタンスルホンイミド(N(SOCF)、ビスペンタフルオロエタンスルホンイミド(N(SOC)、ビストリフルオロメタンカルボニルイミド(N(COC)、ビスペンタフルオロエタンカルボニルイミド(N(COC)、ビスぺルフルオロブタンスルホンイミド(N(SO)、ビスぺルフルオロブタンカルボニルイミド(N(COC)、トリストリフルオロメタンスルホニルメチド(C(SOCF)、及びトリストリフルオロメタンカルボニルメチド(C(SOCF)よりなる群から選択されることが好ましいが、これらに限定されない。
【0047】
本発明においては、特に上記陰イオンのうち、電子求引(electron withdrawing)の役目を行うことができ、疎水性に優れたペルフルオロアルキル基を含む陰イオンを使用することがより好ましいが、これに限定されない。
【0048】
本発明のアクリル系組成物において、上記i)帯電防止剤内では、上記金属塩は、含まれる陽イオン(Mn+、上記で、nは1または2を示す)の前述のアルキレンオキシド含有化合物のアルキレンオキシド単位(RO)に対してモル比([RO]/[Mn+])が1〜100となるように含まれることが好ましい。上記モル比が1未満なら、金属塩の添加量が相対的に増加し、帯電防止性能がむしろ低下するか、透明性または耐久性のような光学部材に要求される物性が低下するおそれがあり、100を超過すれば、粘着剤内のイオン濃度が過度に低下し、帯電防止性が低下するおそれがある。
【0049】
一方、本発明のii)帯電防止剤に含まれることができる配位結合性化合物の種類も、金属塩と安定的に錯体を形成し、粘着剤の耐久信頼性、透明性及び作業性などを維持または改善させることができると共に、優れた帯電防止性能を付与することができるものなら、特に限定されるものではない。
【0050】
本発明においては、例えば、配位結合性化合物としてオキサレート基含有化合物、ジアミン基含有化合物、多価カルボキシル基含有化合物及びβ−ケトン基含有化合物の1種または2種以上を使用することができ、これらのうちオキサレート基含有化合物が多少好ましいが、これらに限定されるものではない。オキサレート基含有化合物は、分子構造に含まれる炭素−酸素二重結合と酸素の非共有電子対によって局所的に陰電荷を形成し、上記陰電荷によって金属塩の陽イオンと一層効率的に錯体を形成することができる。
【0051】
上記で、オキサレート基含有化合物は、例えば、下記化学式2で表示される化合物であることができる。
【0052】
【化2】

【0053】
上記化学式2で、R及びRは、各々独立的に水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニルアリール、アリールアルキルまたはアリールオキシを示す。
【0054】
上記化学式2の定義で、アルキル、アルコキシ、アルケニルまたはアルキニルは、直鎖状、分岐状または環状構造を挙げることができる。
【0055】
また、上記化学式2の定義で、アルキルまたはアルコキシは、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、さらに好ましくは炭素数1〜4のアルキルまたはアルコキシであることができ、アリール基は、炭素数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基であることができる。
【0056】
本発明において、上記化学式2で表示される化合物の具体的な例として、ジエチルオキサレート、ジメチルオキサレート、ジブチルオキサレート、ジ−tert−ブチルオキサレート及びビス(4−メチルベンジル)オキサレートの1種または2種以上を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0057】
一方、上記ジアミン基含有化合物は、例えば下記化学式3で表示されることができる。
【0058】
【化3】

【0059】
上記化学式3で、Rは、アルキレンまたはアルケニレンを示す。
【0060】
上記化学式3の定義で、アルキレンは、炭素数1〜12、好ましくは炭素数1〜8のアルキレンであることができ、アルケニレンは、炭素数2〜10、好ましくは炭素数2〜8のアルケニレンであることができる。
【0061】
また、上記化学式3の定義で、アルキレンまたはアルケニレンは、直鎖状、分岐状または環状構造を挙げることができる。
【0062】
本発明において、上記化学式3で表示される化合物の具体的な例として、エチレンジアミン、1、2−ジアミノプロパンまたはジアミノブタンの1種または2種以上を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0063】
また、上記多価カルボキシル基含有化合物は、ポリカルボン酸またはカルボキシレートを含む化合物であって、例えば、下記化学式4〜6で表示される官能基を有する化合物であることができる。
【0064】
【化4】

【0065】
【化5】

【0066】
【化6】

【0067】
本発明において、上記多価カルボキシル基含有化合物の具体的な例として、エチレンジアミン−N、N、N’、N’−テトラ酢酸(EDTA)、N、N、N’、N”、N”−ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、1、4、7、10−テトラアザシクロドデカン−N、N’、N”、N”−テトラ酢酸(DOTA)、1、4、7、10−テトラアザシクロドデカン−N、N’、N”−トリ酢酸(DO3A)、トランス(1、2)−シクロヘキサノジエチレントリアミンペンタ酢酸またはN、N−ビスカルボキシメチルグリシンの1種または2種以上の混合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0068】
また、本発明において、多価カルボキシル基含有化合物は、下記化学式7〜11で表示される化合物であることができる。
【0069】
【化7】

【0070】
【化8】

【0071】
【化9】

【0072】
【化10】

【0073】
【化11】

【0074】
一方、本発明において、上記β−ケトン基含有化合物は、例えば、下記化学式12で表示される化合物であることができる。
【0075】
【化12】

【0076】
上記化学式12で、R及びRは、各々独立的にアルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキルまたはアリールオキシを示し、Rは、水素、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキルまたはアリールオキシを示す。
【0077】
上記化学式12の定義で、アルキル、アルコキシ、アルケニルまたはアルキニルは、直鎖状、分岐状または環状構造を挙げることができる。
【0078】
また、上記化学式12の定義で、アルキルまたはアルコキシは、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、さらに好ましくは炭素数1〜4のアルキルまたはアルコキシであることができ、アリールは、炭素数6〜30、好ましくは6〜20のアリールであることができる。
【0079】
本発明において使用することができる上記化学式12の化合物の具体的な例として2、4−ペンタジオン、1−ベンゾイルアセトンまたはエチルアセトアセテートの1種または2種以上を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0080】
また、本発明のii)帯電防止剤において、前述の配位結合性化合物とともに含まれることができる金属塩の種類は、特に限定されず、例えば、上記i)帯電防止剤におけるものと同一の金属塩が含まれることができる。
【0081】
本発明のii)帯電防止剤は、前述の配位結合性化合物0.1重量部〜10重量部及び上記金属塩0.1重量部〜50重量部を含むことができる。金属塩及び配位結合性化合物の含量を前述の範囲に制御することによって、粘着剤の耐久信頼性、作業性及び透明性などの物性を優秀に維持または改善することができると共に、優れた帯電防止性を粘着剤に付与することができる。
【0082】
上記のような帯電防止剤i)及び/またはii)は、前述の光重合性アクリル系重合体100重量部に対して0.01重量部〜9重量部、好ましくは0.01重量部〜5重量部の量で含まれることができる。上記帯電防止剤の含量が0.01重量部未満なら、帯電防止性能が低下するおそれがあり、9重量部を超過すれば、粘着剤の耐久信頼性や透明性などのような物性が低下するおそれがある。
【0083】
また、本発明のアクリル系組成物は、光重合性アクリル系重合体100重量部に対して、0.01重量部〜9重量部、好ましくは0.01重量部〜5重量部の重合開始剤を含む。本発明において使用することができる重合開始剤の種類は、特に限定されず、例えば、光の照射によってラジカルを発生させて、重合反応を開始させる役目を行うことができる通常の光開始剤を使用することができる。本発明において使用されることができる光開始剤の種類は、特に限定されず、ベンゾイン系、ヒドロキシケトン系、アミノケトン系またはホスフィンオキシド系などを挙げることができ、より具体的には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2、2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2、2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2−(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4、4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン(thioxanthone)、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2、4−ジメチルチオキサントン、2、4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、p−ジメチルアミノ安息香酸エステル、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン]及び2、4、6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキシドなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。本発明においては、上記のうち1種または2種以上を使用することができる。
【0084】
本発明において、上記重合開始剤は、アクリル系重合体100重量部に対して0.01重量部〜9重量部、好ましくは0.01重量部〜5重量部の量で含まれることができる。重合開始剤の含量が0.01未満なら、重合反応が円滑に行われないおそれがあり、9重量部を超過すれば、粘着剤の耐久信頼性や透明性などのような物性が低下するおそれがある。
【0085】
また、本発明のアクリル系組成物は、前述のアクリル系重合体100重量部に対して0.1重量部〜10重量部、好ましくは0.5重量部〜6重量部の光重合性化合物をさらに含むことができる。上記のような化合物が適切に追加されることによって、粘着剤の凝集力や耐久信頼性などの物性がさらに改善されることができる。
【0086】
本発明において使用することができる光重合性化合物の種類は、特に限定されず、例えば、分子中に光重合性基(例えば、アクリレート基)を2個以上含み、分子量または重量平均分子量が100〜10,000程度の化合物を使用することができる。
【0087】
本発明において使用することができる光重合性化合物のより具体的な例として、多官能性アクリレート、ウレタンアクリレートオリゴマーまたはエポキシアクリレートオリゴマーを挙げることができる。
【0088】
本発明において使用することができる多官能性アクリレートの種類は、特に限定されず、例えば、1、4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1、6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペート(neopentylglycol adipate)ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバル酸(hydroxyl puivalic acid)ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(dicyclopentanyl)ジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリロキシエチルイソシアヌレート、アリル(allyl)化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ヘキサヒドロフタル酸ジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチルプロパンジ(メタ)アクリレート、アダマンタン(adamantane)ジ(メタ)アクリレートまたは9、9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン(fluorine)などのような2官能性アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、3官能型ウレタン(メタ)アクリレートまたはトリス(メタ)アクリロキシエチルイソシアヌレートなどの3官能型アクリレート;ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレートまたはペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどの4官能型アクリレート;プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどの5官能型アクリレート;及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートまたはウレタン(メタ)
アクリレート(例えば、イソシアネート単量体及びトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートの反応物などの6官能型アクリレートなどを使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0089】
一方、本発明において使用することができるウレタンアクリレートオリゴマーの例として、ポリエステル型またはポリエーテル型ポリオール化合物;及びイソシアネート化合物を反応させて得られた末端イソシアネートウレタンプレポリマーにヒドロキシ基を含む(メタ)アクリレートを反応させて製造されたオリゴマーを挙げることができる。上記で、イソシアネート化合物の具体的な例として、2、4−トリレンジイソシアネート、2、6−トリレンジイソシアネート、1、3−キシリレンジイソシアネート、1、4−キシリレンジイソシアネートまたはジフェニルメタン−4、4’−ジイソシアネートなどを挙げることができ、(メタ)アクリレートの例として、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートまたはポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0090】
また、本発明において使用することができるエポキシアクリレートオリゴマーは、例えば、両末端にエポキシ基を有する芳香族または非芳香族エポキシ樹脂を(メタ)アクリル酸などの化合物と反応させて製造されたオリゴマーを挙げることができる。
【0091】
本発明において上記光重合性化合物は、前述のアクリル系重合体100重量部に対して、0.1重量部〜10重量部の量で含まれることができる。光重合性化合物の含量が0.1重量部未満なら、凝集力改善効果が不十分になるおそれがあり、10重量部を超過すれば、粘着剤の濡れ性が低下するおそれがある。
【0092】
また、本発明のアクリル系組成物は、発明の効果に影響を及ぼさない範囲で、前述の成分とともに、シラン系カップリング剤、粘着性付与樹脂、エポキシ樹脂、架橋剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、展色剤、補強剤、充填剤、消泡剤、界面活性剤及び可塑剤よりなる群から選択された1つ以上の添加剤をさらに含むことができる。
【0093】
また、本発明は、基材と;上記基材上に形成され、本発明によるアクリル系組成物の硬化物と;を含む光学部材用保護フィルムに関する。
【0094】
前述のように、本発明の粘着剤は、熟成工程を省略することができるので、製造工程を簡素化することができると共に、優れた耐久信頼性、作業性及び透明性などを有し、優れた帯電防止性を示し、製造または使用過程で静電気防止特性が要求される各種光学装置やディスプレイ装置に効果的に適用されることができる。特に、透明基材と、上記透明基材上に形成された本発明の粘着剤とよりなる粘着シートの場合、液晶表示装置などに使用される偏光板、波長板、位相差板、光学補償フィルム、反射シート及び輝度向上フィルムなどの光学部材を保護するための表面保護フィルムとして効果的に使用されることができる。
【0095】
本発明の保護フィルムに使用される基材としては、この分野の一般的な透明性フィルムを制限なく使用することができ、その例として、ポリエステルフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレート)、ポリテトラフルオルエチレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、塩化ビニル共重合体フィルムまたはポリイミドフィルムのようなプラスチックフィルムを挙げることができる。このような基材フィルムは、単層で構成されるか、2層以上が積層されてもよく、場合によっては、防汚層または帯電防止層などの機能性層をさらに含むこともできる。また、本発明においては、基材密着性向上の観点から上記基材の一面または両面にプライマー処理のような表面処理を行うこともできる。
【0096】
本発明において、このような基材フィルムの厚さは、用途によって適宜選択されるものであって、特に限定されず、通常、5μm〜500μm、好ましくは10μm〜100μmの厚さで形成することができる。
【0097】
また、本発明の保護フィルムに含まれる粘着層の厚さは、特に限定されず、例えば、2μm〜100μm、好ましくは5μm〜50μmであることができる。粘着層の厚さが前述の範囲を脱すれば、均一な粘着層の形成が難しくなり、粘着フィルムの物性が不均一になるおそれがある。
【0098】
本発明において基材上に粘着層を形成する方法は、特に限定されず、例えば基材にバーコーターなどの通常の手段でアクリル系組成物を塗布し硬化させる方法、またはアクリル系組成物を剥離性基材の表面に塗布し硬化させて、粘着層を製造した後、上記剥離性基材を使用して粘着層を基材に転写する方法などを使用することができる。
【0099】
また、粘着偏光板の製造時に本発明のアクリル系組成物を硬化させる方法も、特に限定されず、この分野の一般的な方法を適用することができるが、紫外線または電子線のような放射線の照射を利用した硬化方式が好ましく、これらのうち紫外線の照射を利用した硬化方式がより好ましい。
【0100】
このような紫外線の照射は、例えば、高圧水銀ランプ、無電極ランプまたはキセノンランプ(xenon lamp)などの手段を使用して行うことができる。
【0101】
紫外線硬化方式で、照射量は、粘着剤層の諸物性を損傷させることなく、十分な硬化が行われる程度に制御されれば、特に限定されず、例えば、照度が50mW/cm〜1、000mW/cmであり、光量50mJ/cm〜1,000mJ/cmであることができる。
【0102】
また、本発明は、前述の本発明による保護フィルムが一面または両面に付着された偏光板に関する。
【0103】
本発明の保護フィルムが付着されることができる偏光板は、例えば、偏光フィルムまたは偏光素子と;上記偏光フィルムまたは偏光素子の一面または両面に形成された保護フィルムと;を含む構造を有することができる。また、本発明の偏光板は、場合によって、保護層、反射層、防眩層、位相差板、広視野角補償フィルム及び輝度向上フィルムよりなる群から選択された1つ以上の機能性層をさらに含むことができる。
【0104】
本発明において偏光板を構成する偏光フィルムまたは偏光素子の種類は、特に限定されるものではない。例えば、本発明においては、偏光フィルムまたは偏光素子として、ポリビニルアルコール系樹脂よりなるフィルムにヨードまたは二色性染料などの偏光成分を含有させ、延伸して製造されるフィルムを使用することができる。上記で、ポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタールまたはエチレン酢酸ビニル共重合体の鹸化物などを使用することができる。また、上記偏光フィルムの厚さも特に限定されず、通常的な厚さで形成すれば良い。
【0105】
本発明の偏光板では、偏光素子または偏光フィルムの一面または両面に形成されることができる保護フィルムは、前述の本発明の粘着フィルムとは区別される概念であって、その具体的な種類としては、トリアセチルセルロースのようなセルロース系フィルム;ポリカーボネートフィルムまたはポリエチレンテレフタレートフィルムのようなポリエステル系フィルム;ポリエーテルスルホン系フィルム;及び/またはポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムまたはシクロ系やノルボルネン構造を有するポリオレフインフィルムまたはエチレン−プロピレン共重合体のようなポリオレフイン系フィルムなどを挙げることができる。この時、上記保護フィルムの厚さも特に限定されず、通常的な厚さで形成すればよい。
【0106】
また、本発明は、上記本発明による偏光板が液晶パネルの一面または両面に付着されている液晶表示装置に関する。
【0107】
上記のような本発明の液晶表示装置を構成する液晶セルの種類は、特に限定されず、TN(Twisted Nematic)、STN(Super Twisted Nematic)、IPS(In Plane Switching)またはVA(Vertical Alignment)方式のような一般的な液晶セルをすべて含む。また、本発明の液晶表示装置に含まれるその他の構成の種類及びその製造方法も特に限定されず、この分野における一般的な構成を制限なく採用して使用することができる。
【0108】
以下、本発明による実施例及び比較例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明の範囲が下記提示された実施例によって限定されるものではない。
【0109】
製造例1:アクリル系重合体(A)の製造
窒素ガスが還流され且つ温度調節が容易な冷却装置を設置した1L反応器に2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHA)80重量部、n−ブチルアクリレート(BA)17重量部及び2−ヒドロキシブチルアクリレート(2−HBA)3.0重量部を投入し、溶剤としてエチルアセテート(EAc)100重量部を投入した。次に、酸素除去のために窒素ガスを1時間パージングした後、温度を55℃に維持した。その後、反応器に反応開始剤としてエチルアセテートに50%の濃度で希釈させたアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.05重量部を投入し、8時間反応させてアクリル系共重合体(A)を製造した。
【0110】
製造例2:光重合性アクリル系重合体(A1)の製造
製造例1で製造されたアクリル重合体(A)を、窒素ガスが還流され且つ温度調節が容易な冷却装置を設置した1L反応器に投入し、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(2-methacryloyloxyethyl isocyanate)3.3重量部及び適正量の触媒をさらに反応器に投入した。その後、反応器の温度を40℃に維持させた状態で、2時間反応させて光重合性基が導入されたアクリル系重合体(A1)を製造した。
【0111】
製造例3:アクリル系重合体(B)の製造
製造例1で使用された反応器に2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHA)90重量部、n−ブチルアクリレート(BA)5重量部及び2−ヒドロキシブチルアクリレート(2−HBA)5.0重量部を投入し、溶剤としてエチルアセテート(EAc)100重量部を投入した。次に、酸素除去のために窒素ガスを1時間パージングし、反応器の温度を55℃に維持した。その後、反応器に開始剤としてエチルアセテートに50%濃度で希釈させたアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.05重量部を投入し、8時間反応させてアクリル系共重合体(B)を製造した。
【0112】
製造例4:光重合性アクリル系重合体(B1)の製造
製造例3で製造されたアクリル共重合体100重量部、2−メタクリロイルオキシイソシアネート5.5重量部及び適正量の触媒を反応器に投入し、40℃で2時間反応させて光重合性アクリル系共重合体(B1)を製造した。
【0113】
製造例5:アクリル系重合体(C)の製造
窒素ガスが還流され且つ温度調節が容易な冷却装置を設置した1L反応器に2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHA)75重量部、n−ブチルアクリレート(BA)10重量部及び2−ヒドロキシブチルアクリレート(2−HBA)15重量部を投入し、溶剤としてエチルアセテート(EAc)100重量部を投入した。次に、酸素除去のために窒素ガスを1時間パージングし、55℃に維持した。その後、反応器に開始剤としてエチルアセテートに50%濃度で希釈させたアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.05重量部を投入し、8時間反応させてアクリル系重合体(C)を製造した。
【0114】
製造例6:アクリル系重合体(C1)の製造
製造例5で製造されたアクリル重合体100重量部、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート16.5重量部及び適正量の触媒を反応器に投入し、40℃で2時間反応させて光重合性アクリル系重合体(C1)を製造した。
【0115】
製造例7:アクリル系重合体(D)の製造
窒素ガスが還流され、温度調節が容易な冷却装置を設置した1L反応器に2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHA)95重量部、n−ブチルアクリレート(BA)4.95重量部及び2−ヒドロキシブチルアクリレート(2−HBA)0.05重量部を投入し、溶剤としてエチルアセテート(EAc)100重量部を投入した。その後、酸素除去のために窒素ガスを1時間パージングし、55℃に維持した。その後、反応器に開始剤としてエチルアセテートに50%濃度で希釈させたアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.05重量部を投入し、8時間反応させてアクリル系重合体(D)を製造した。
【0116】
製造例8:アクリル系重合体(D1)の製造
製造例7で製造されたアクリル重合体100重量部、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート0.055重量部及び適正量の触媒を反応器に投入し、40℃で2時間反応させて光重合性アクリル系重合体(D1)を製造した。
【0117】
製造例9: アクリル系重合体(E)の製造
窒素ガスが還流され且つ温度調節が容易な冷却装置を設置した1L反応器に2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHA)99.5重量部及び2−ヒドロキシブチルアクリレート(2−HBA)0.5重量部を投入し、溶剤としてエチルアセテート(EAc)100重量部を投入した。次に、酸素除去のために窒素ガスを1時間パージングした後、温度を55℃に維持した。その後、反応器に反応開始剤としてエチルアセテートに50%の濃度で希釈させたアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.05重量部を投入し、8時間反応させてアクリル系共重合体(E)を製造した。
【0118】
製造例10:光重合性アクリル系重合体(E1)の製造
製造例9で製造されたアクリル重合体(E)を、窒素ガスが還流され且つ温度調節が容易な冷却装置を設置した1L反応器に投入し、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(2-methacryloyloxyethyl isocyanate)0.55重量部及び適正量の触媒をさらに反応器に投入した。その後、反応器の温度を40℃に維持させた状態で、2時間反応させて光重合性基が導入されたアクリル系重合体(E1)を製造した。
【0119】
製造例11:アクリル系重合体(F)の製造
窒素ガスが還流され且つ温度調節が容易な冷却装置を設置した1L反応器に2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHA)90.9重量部、n−ブチルアクリレート(BA)9.0重量部及び2−ヒドロキシブチルアクリレート(2−HBA)0.1重量部を投入し、溶剤としてエチルアセテート(EAc)100重量部を投入した。次に、酸素除去のために窒素ガスを1時間パージングした後、温度を55℃に維持した。その後、反応器に反応開始剤としてエチルアセテートに50%の濃度で希釈させたアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.05重量部を投入し、8時間反応させてアクリル系共重合体(F)を製造した。
【0120】
製造例12:光重合性アクリル系重合体(F1)の製造
製造例11で製造されたアクリル重合体(F)を、窒素ガスが還流され且つ温度調節が容易な冷却装置を設置した1L反応器に投入し、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(2-methacryloyloxyethyl isocyanate)0.11重量部及び適正量の触媒をさらに反応器に投入した。その後、反応器の温度を40℃に維持させた状態で、2時間反応させて光重合性基が導入されたアクリル系重合体(F1)を製造した。
【0121】
製造例13:アクリル系重合体(G)の製造
窒素ガスが還流され且つ温度調節が容易な冷却装置を設置した1L反応器に2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHA)89.995重量部、n−ブチルアクリレート(BA)10重量部及び2−ヒドロキシブチルアクリレート(2−HBA)0.005重量部を投入し、溶剤としてエチルアセテート(EAc)100重量部を投入した。次に、酸素除去のために窒素ガスを1時間パージングした後、温度を55℃に維持した。その後、反応器に反応開始剤としてエチルアセテートに50%の濃度で希釈させたアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.05重量部を投入し、8時間反応させてアクリル系共重合体(G)を製造した。
【0122】
製造例14:光重合性アクリル系重合体(G1)の製造
製造例1で製造されたアクリル重合体(G)を、窒素ガスが還流され且つ温度調節が容易な冷却装置を設置した1L反応器に投入し、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(2-methacryloyloxyethyl isocyanate)0.0055重量部及び適正量の触媒をさらに反応器に投入した。その後、反応器の温度を40℃に維持させた状態で、2時間反応させて光重合性基が導入されたアクリル系重合体(G1)を製造した。
【0123】
実施例1
光重合性アクリル系重合体(A1)100重量部、ポリエチレングリコールの脂肪酸系アルキルエステル及びLiClOを含む帯電防止剤0.5重量部及び光開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン(Irgacure 184、Ciba社製)0.5重量部を混合し、適正濃度に希釈してコーティング液を製造した。次に、コーティング液を厚さが38μmの2軸延伸PETフィルムの一面にコーティングし、乾燥し、厚さを約20μmに制御し、離型フィルムにラミネートした。その後、水銀ランプ(UVB領域、280mJ/cm)を利用して光重合させて、保護フィルムを製造した。
【0124】
実施例2〜8及び比較例1〜7
アクリル系組成物の配合を下記表1及び表2に示されたように実施したことを除いて、実施例1と同一の方法で保護フィルムを製造した(下記表1及び表2で、含量の単位は重量部である)。
【0125】
【表1】

【0126】
【表2】

【0127】
実施例及び比較例で製造した保護フィルムに対して下記のような方法で耐久信頼性、ヘイズ、剥離帯電圧、剥離強度及び濡れ性を測定した。
【0128】
1.耐久信頼性評価
実施例及び比較例で製造した保護フィルムが付着された偏光板(200mm×200mm)を高温条件(耐熱条件)(80℃、1,000時間)及び高温高湿条件(耐湿熱条件)(60℃、90%R.H.、1,000時間)条件の下で放置した後、粘着剤面で浮き上がりまたは剥離現象が発生するか否かを観察し、下記基準によって信頼性を評価した。
○:浮き上がりまたは剥離現象無し
△:浮き上がりまたは剥離現象多少ある
×:浮き上がりまたは剥離現象多量発生
【0129】
2.ヘイズ測定
実施例及び比較例で製造した保護フィルムを各々40mm×70mmのサイズに切断し、試験片を製造し、JIS K7150及びASTM D1003−95に基づいてヘイズを評価した。具体的に、積分球式光線透過率測定装置を利用して拡散透過率(Td)及び全光線透過率(Ti)を測定し、Tiに対するTdの百分率でヘイズを定義した。その後、試験片を60℃の温度及び90%の相対湿度条件の下で1,000時間放置し、同一の方式でヘイズを測定し、放置前後のヘイズを比較し、白化現象を評価した。
【0130】
3.剥離帯電圧評価
実施例及び比較例で製造した保護フィルムを偏光板の防眩層(AG、日本国DNP社製)面に2Kgのローラーを使用して付着し、23℃の温度及び50%の相対湿度条件で24時間保管した(試料のサイズ:22cm×24cm)。その後、試験片に付着された保護フィルムを40m/分の速度で剥離しながら、偏光板の表面から2cm上部に位置する静電圧測定器(STATIRON−M2)を利用して、偏光板表面で発生する静電圧を測定した。上記と同一の方式で静電圧を10回ずつ測定し、その平均値を数値として下記表2に示した。
【0131】
4.180゜剥離強度評価
実施例及び比較例で製造した保護フィルムを偏光板の防眩層(AG、日本国DNP社製)面にJIS Z 0237に基づいて、2Kgのローラーを利用して付着し、23℃の温度及び65%の相対湿度条件で24時間保管した。その後、引張試験機器を使用して、180゜剥離角度で、0.3m/分及び30.0m/分の剥離速度で剥離強度を測定した。
【0132】
5.濡れ性評価
実施例及び比較例で製造した保護フィルムを偏光板の防眩層(AG、日本DNP社製)面にJIS Z 0237に基づいて2Kgのローラーを使用して付着した。その後、23℃の温度及び65%の相対湿度条件で24時間保管した後、25cm×2.5cmのサイズに切断して試験片を製造した。次に、試験片から保護フィルムの一方を剥離し、他方へ1cm程度を残して、さらに保護フィルムを軽く放して、保護フィルムが再付着される時間を測定する。
○:再付着時間が10秒以下
×:再付着時間が10秒超過
上記のような測定結果を下記表3にまとめて示した。
【0133】
【表3】

【0134】
上記表2の結果から、本発明による実施例1〜4の場合、優れた帯電防止性、透明性、耐久信頼性及び粘着物性を同時に満足し、各種ディスプレイ装置に効率的に適用されることができることを確認することができた。
【0135】
一方、アクリル系重合体内に光重合性基の含量が高い比較例1の場合、粘着剤層の凝集力の過度な増加に起因して耐久信頼性及び濡れ性が非常に劣化し、反対に、光重合性基の含量が低い比較例2の場合は、高速及び低速剥離力が過度に高くなり、工程効率が劣化することを予測することができた。また、帯電防止剤が過量で添加された比較例3の場合は、耐久信頼性の側面から問題が現われ、重合開始剤が過量添加された比較例4は、耐久信頼性が顕著に低下した。また、光重合性アクリル系重合体内の光活性基が過度に少ない比較例6の場合、凝集力を補強するために光重合性化合物を添加したにもかかわらず、凝集力が足りないため、剥離力が過度に上昇し、剥離工程効率が劣化した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリル酸エステル系単量体90重量部〜99.9重量部及び極性単量体0.01重量部〜10重量部を含む単量体混合物の重合体である主鎖と、上記主鎖に結合された光重合性基含有化合物0.06重量部〜16重量部とを含む光重合性アクリル系重合体100重量部と;
帯電防止剤0.01重量部〜9重量部と;
重合開始剤0.01重量部〜9重量部と;を含む光学部材用アクリル系組成物。
【請求項2】
(メタ)アクリル酸エステル系単量体は、炭素数が1〜14のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートであることを特徴とする請求項1に記載の光学部材用アクリル系組成物。
【請求項3】
極性単量体が、ヒドロキシ基、カルボキシル基、イソシアネート基、アミノ基またはエポキシ基を含有することを特徴とする請求項1に記載の光学部材用アクリル系組成物。
【請求項4】
光重合性基含有化合物が、2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレート、1、1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、メタ−イソプロペニル−α、α−ジメチルベンジルイソシアネート、メタクリロイルイソシアネート、アリルイソシアネート;アクリロイルモノイソシアネート化合物;(メタ)アクリル酸グリシジル;(メタ)アクリル酸;及び3−メタクリロキシプロピルジメチルクロロシランよりなる群から選択された1つ以上であることを特徴とする請求項1に記載の光学部材用アクリル系組成物。
【請求項5】
光重合性アクリル系重合体は、重量平均分子量が20万〜100万であることを特徴とする請求項1に記載の光学部材用アクリル系組成物。
【請求項6】
帯電防止剤が、i)アルキレンオキシド含有化合物及び金属塩の混合物;またはii)配位結合性化合物及び金属塩の混合物であることを特徴とする請求項1に記載の光学部材用アクリル系組成物。
【請求項7】
アルキレンオキシド含有化合物は、下記化学式1で表示されることを特徴とする請求項6に記載の光学部材用アクリル系組成物:
【化1】

上記化学式1で、Rは、アルキレンを示し、Yは、水素、アルキルまたは−C(=O)Rを示し、Xは、水素、ヒドロキシ、アルキルまたは−C(=O)Rを示し、nは、1〜120を示し、上記で、R及びRは、各々独立的に水素またはアルキル基を示す。
【請求項8】
アルキレンオキシド含有化合物が、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコールの脂肪酸系アルキルエステルまたはポリアルキレングリコールのカルボン酸エステルであることを特徴とする請求項6に記載の光学部材用アクリル系組成物。
【請求項9】
アルキレンオキシド含有化合物は、重量平均分子量が100〜10,000であることを特徴とする請求項6に記載の光学部材用アクリル系組成物。
【請求項10】
配位結合性化合物は、オキサレート基含有化合物、ジアミン基含有化合物、多価カルボキシル基含有化合物及びβ−ケトン基含有化合物よりなる群から選択された1つ以上であることを特徴とする請求項6に記載の光学部材用アクリル系組成物。
【請求項11】
オキサレート基含有化合物が、ジエチルオキサレート、ジメチルオキサレート、ジブチルオキサレート、ジ−tert−ブチルオキサレートまたはビス(4−メチルベンジル)オキサレートであり、ジアミン基含有化合物が、エチレンジアミン、1、2−ジアミノプロパンまたはジアミノブタンであり、多価カルボキシル基含有化合物が、エチレンジアミン−N、N、N’、N’−テトラ酢酸、N、N、N’、N”、N”−ジエチレントリアミンペンタ酢酸、1、4、7、10−テトラアザシクロドデカン−N、N’、N”、N”−テトラ酢酸、1、4、7、10−テトラアザシクロドデカン−N、N’、N”−トリ酢酸、トランス(1、2)−シクロヘキサノジエチレントリアミンペンタ酢酸またはN、N−ビスカルボキシメチルグリシンであり、β−ケトン基含有化合物が、2、4−ペンタジオン、1−ベンゾイルアセトンまたはエチルアセトアセテートであることを特徴とする請求項10に記載の光学部材用アクリル系組成物。
【請求項12】
金属塩は、Li、Na、K、Rb、Cs、Be2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+及びBa2+よりなる群から選択された1つ以上の陽イオン;及びF、Cl、Br、I、ClO、OH、CO2−、CHCO、N、HPO2−、NO、SO2−、CH(C)SO、CHSO、COOH(C)SO、CFSO、CCOO、CHCOO、CFCOO、BF、B(C、PF、P(C、N(SOCF、N(SOC、N(COC、N(COC、N(SO、N(COC、C(SOCF及びC(SOCFよりなる群から選択された1つ以上の陰イオンを含むことを特徴とする請求項6に記載の光学部材用アクリル系組成物。
【請求項13】
重合開始剤は、ベンゾイン系化合物、ヒドロキシケトン系化合物、アミノケトン系化合物またはホスフィンオキシド系化合物であることを特徴とする請求項1に記載の光学部材用アクリル系組成物。
【請求項14】
アクリル系重合体100重量部に対して0.1重量部〜10重量部の光重合性化合物をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の光学部材用アクリル系組成物。
【請求項15】
光重合性化合物が多官能性アクリレート、ウレタンアクリレートオリゴマーまたはエポキシアクリレートオリゴマーであることを特徴とする請求項14に記載の光学部材用アクリル系組成物。
【請求項16】
基材と;上記基材上に形成され、請求項1〜15のいずれか1項に記載のアクリル系組成物の硬化物と;を含む光学部材用保護フィルム。
【請求項17】
基材は、厚さが5μm〜500μmであることを特徴とする請求項16に記載の光学部材用保護フィルム。
【請求項18】
粘着層は、厚さが2μm〜100μmであることを特徴とする請求項16に記載の光学部材用保護フィルム。
【請求項19】
請求項16に記載の保護フィルムが一面または両面に付着された偏光板。
【請求項20】
請求項19に記載の偏光板が液晶パネルの一面または両面に付着されている液晶表示装置。

【公表番号】特表2011−526646(P2011−526646A)
【公表日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−516150(P2011−516150)
【出願日】平成21年7月1日(2009.7.1)
【国際出願番号】PCT/KR2009/003603
【国際公開番号】WO2010/002197
【国際公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】