説明

光導波路素子及びそのような光導波路素子を備えた光受信機

【課題】小さな寸法を有し、且つ光学性能に優れた光ハイブリッド回路を提供する。
【解決手段】光ハイブリッド回路10は、2つの入力チャネル11a、11bと、4つの出力チャネル12と、一方の端部14に2つの入力チャネル11a、11bが接続され、他方の端部15に4つの出力チャネル12が接続される多モード干渉カプラ13と、を備える。多モード干渉カプラ13の幅は、対向する一対の側部13eによって規定される。また、多モード干渉カプラ13の幅は、一方の端部14から他方の端部15に向かって漸増している。多モード干渉カプラ13における一対の側部13eそれぞれの形状は直線である。2つの入力チャネル11a、11bは、一方の端部14において、幅方向の中心軸CLに対して非対称に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光導波路素子及びそのような光導波路素子を備えた光受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光通信システムにおける伝送容量を増大するために、ビットレートの向上が求められている。ビットレートを増大しないまま、伝送容量を向上するために、例えば、多値位相偏移変調を使用する場合がある。
【0003】
多値位相偏移変調として、具体的には、4値位相偏移変調(Quadrature Phase Shift Keying:QPSK)又は差分4値位相偏移変調(Differential Quadrature Phase Shift Keying:DQPSK)が挙げられる。
【0004】
QPSK又はDQPSK信号光を復調するためには、例えば、光ハイブリッド回路を備えたコヒーレント光受信機が用いられる。光ハイブリッド回路は、入力されたQPSK又はDQPSK信号光の位相変調状態に応じて、4つの信号光を出力し、多値化されていた情報を取り出すものであり、コヒーレント光受信機における主要な回路である。
【0005】
そして、コストパフォーマンスに優れたコヒーレント光受信機を製造するために、光ハイブリッド回路を小型化することが求められている。
【0006】
図1は、従来技術による光ハイブリッド回路の例1を示す図である。
【0007】
図1に示す光ハイブリッド回路111は、4つの3dBカプラと、90°位相シフタとから形成される。3dBカプラ同士又は3dBカプラと90°位相シフタとは、光導波路によって接続される。光ハイブリッド回路111は、2つの入力チャネルを用いて、QPSK信号光及び局部発振光(LO光)が入力される。そして、位相が90度ずつ異なる4つの出力光が出力チャネルそれぞれから出力される。出力光は、同相成分であるS−L及びS+L信号光、及び直交成分であるS−jL及びS+jL信号光を含む。
【0008】
しかし、図1に示す光ハイブリッド回路111は、回路を形成する要素が多いので、光ハイブリッド回路を小型化することには限界がある。
【0009】
図2は、従来技術による光ハイブリッド回路の例2を示す図である。
【0010】
図2に示す光ハイブリッド回路112は、4つの入力チャネル及び4つの出力チャネルと、矩形の4:4多モード干渉(Multi Mode Interference:MMI)カプラとにより形成される。光ハイブリッド回路112は、4つの入力チャネルの内、光伝搬方向の中心軸に非対称な2つの入力チャネルを用いて、QPSK信号光及びLO光が入力される。すると、入力された信号光は、MMIカプラ内の多モード干渉によって自己結像され、位相が90度ずつ異なる4つの出力光が出力チャネルそれぞれから出力される。
【0011】
光ハイブリッド回路112は、図1に示す光ハイブリッド回路と比べて、構造が単純であり、光伝搬方向の寸法(以下、単に素子長ともいう)を短縮できる。図2に示す矩形の光ハイブリッド回路では、素子長LMMIが、光ハイブリッド回路の幅(光伝搬方向と直交する方向の寸法)の2乗に比例する。そこで、図2に示す矩形の光ハイブリッド回路は、素子長を短縮するために、幅WMMIを低減する必要がある。
【0012】
しかし、入力チャネルの幅を維持したまま、幅WMMIを低減するためには、入力チャネル間の幅gapを低減しなくてはならない。だが、エッチング等の製造工程における加工精度の観点から、幅gapを小さくすることには限界がある。従って、図2に示す矩形の光ハイブリッド回路の素子長を短縮することには限界がある。
【0013】
図3は、従来技術による光ハイブリッド回路の例3を示す図である。
【0014】
図3に示す光ハイブリッド回路113は、MMIカプラの両側部がバタフライテーパ状に形成される。MMIカプラの幅は、光伝搬方向に向かってテーパ状に減少した後、テーパ状に増加している。MMIカプラの入力側の幅はWMMIであって、図2に示す光ハイブリッド回路112と同じであるが、光伝搬方向の中央の幅がWMBであって、入力側の幅WMMIよりも狭まっている。MMIカプラの両側部は、中央部分の幅WMBの部分において、不連続点を有する。このような形状を有する光ハイブリッド回路113は、平均の幅を低減して、素子長の減少を図っている。
【0015】
図4は、従来技術による光ハイブリッド回路の例4を示す図である。
【0016】
図4に示す光ハイブリッド回路114は、MMIカプラの両側部が、内側に凸の放物線状に形成される。MMIカプラの幅は、光伝搬方向に向かって、連続的に減少した後、連続的に増加する。MMIカプラの入力側の幅はWMMIであって、図2に示す光ハイブリッド回路112と同じであるが、光伝搬方向の中央の幅がWMPであって、入力側の幅WMMIよりも狭まっている。MMIカプラの両側部は、中央の幅WMPの部分においても連続している。このような形状を有する光ハイブリッド回路114も、平均の幅を低減して、素子長の減少を図っている。
【0017】
図3及び図4に示す光ハイブリッド回路は、MMIカプラの素子長を低減する。しかし、図3及び図4に示す光ハイブリッド回路に対しては、入力光を等分配して出力すること、又は出力される各信号の位相情報が入力された多値位相偏移変調信号が有する位相情報を維持すること等の光学性能に関して、更に改善が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2007−065357
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】D.Hoffmann他、”Integrated Optics Eight−Port90°Hybrid on LiNbO3”、Journal of Lightwave Technology、1989年5月、Vol.7、No.5、pp.794−798
【非特許文献2】E.C.M.Pennings他、”Ultracompact、All−Passive Optical 90°Hybrid on InP Using Self−Imaging”,IEEE Photonics Technology Letters、1993年6月、Vol.5、No.6、pp.701−703
【非特許文献3】Pierre A Besse他、”New 2×2 and 1×3 Multimode Interface Couplers with Free Selection of Power Splitting Ratios”、Journal of Lightwave Technology、1996年10月、Vol.14、No.10、pp.2286−2293
【非特許文献4】D.S.Levy他、”Length Reduction of Tapered N×N MMI Devices”、IEEE Photonics Technology Letters、1998年6月、Vol.10、No.6、pp.830−832
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本明細書は、小さな寸法を有し、且つ光学性能に優れた光導波路素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記課題を解決するために、本明細書で開示する光導波路素子としての光ハイブリッド回路の一形態によれば、2つの入力チャネルと、複数の出力チャネルと、一方の端部に2つの入力チャネルが接続され、他方の端部に複数の出力チャネルが接続される多モード干渉カプラと、を備え、多モード干渉カプラは、対向する一対の側部を有し、対向する一対の側部によって規定される多モード干渉カプラの幅は、一方の端部から他方の端部に向かって漸増し、2つの入力チャネルは、一方の端部において、幅方向の中心軸に対して非対称に接続される。
【発明の効果】
【0022】
上述した本明細書で開示する光導波路素子としての光ハイブリッド回路の一形態によれば、小さな寸法を有し、且つ光学性能に優れる。
【0023】
本発明の目的及び効果は、特に請求項において指摘される構成要素及び組み合わせを用いることによって認識され且つ得られるだろう。
【0024】
前述の一般的な説明及び後述の詳細な説明の両方は、例示的及び説明的なものであり、クレームされている本発明を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】従来技術による光ハイブリッド回路の例1を示す図である。
【図2】従来技術による光ハイブリッド回路の例2を示す図である。
【図3】従来技術による光ハイブリッド回路の例3を示す図である。
【図4】従来技術による光ハイブリッド回路の例4を示す図である。
【図5】本明細書に開示する光ハイブリッド回路の第1実施形態を示す図である。
【図6】(A)〜(C)は、入力チャネルが多モード干渉カプラに接続される位置を説明する図である。
【図7】短縮率とW/Wとの関係を示す図である。
【図8】(A)は、W/Wが約0.65の時の各出力チャネルの透過率と波長との関係を示す図であり、(B)は、W/Wが約0.65の時の各出力チャネルの位相のズレと波長との関係を示す図である。
【図9】(A)は、W/Wが約0.53の時の各出力チャネルの透過率と波長との関係を示す図であり、(B)は、W/Wが約0.53の時の各出力チャネルの位相のズレと波長との関係を示す図である。
【図10】(A)は、図3に示す光ハイブリッド回路の各出力チャネルの透過率と波長との関係を示す図であり、(B)は、各出力チャネルの位相のズレと波長との関係を示す図である。
【図11】図3に示す光ハイブリッド回路内を伝搬する波面を説明する図である。
【図12】図5に示す光ハイブリッド回路内を伝搬する波面を説明する図である。
【図13】(A)は、図4に示す光ハイブリッド回路の各出力チャネルの透過率と波長との関係を示す図であり、(B)は、各出力チャネルの位相のズレと波長との関係を示す図である。
【図14】図4に示す光ハイブリッド回路内を伝搬する波面を説明する図である。
【図15】(A)は、図5に示す光ハイブリッド回路の出力チャネル間の間隔gap=1.0μmの時の各出力チャネルの透過率と波長との関係を示す図であり、(B)は、各出力チャネルの位相のズレと波長との関係を示す図である。
【図16】(A)は、図5に示す光ハイブリッド回路の出力チャネル間の間隔gap=1.0μmの時の各出力チャネルの透過率と波長との関係を示す図であり、(B)は、図2の光ハイブリッド回路のgap=0.6μmの時の各出力チャネルの透過率と波長との関係を示す図である。
【図17】(A)は、図5に示す光ハイブリッド回路の出力チャネル間の間隔gap=1.0μmの時の各出力チャネルの位相のズレと波長との関係を示す図であり、(B)は、図2の光ハイブリッド回路の出力チャネル間の間隔gap=0.6μmの時の各出力チャネルの位相のズレと波長との関係を示す図である。
【図18】図5のX−X線拡大断面図である。
【図19】本明細書に開示する光ハイブリッド回路の第2実施形態を示す図である。
【図20】本明細書に開示する光ハイブリッド回路の第3実施形態を示す図である。
【図21】第1実施形態及び第2実施形態及び第3実施形態の光ハイブリッド回路の短縮率とW/Wとの関係を示す図である。
【図22】本明細書に開示する光受信機の一実施形態を示す図である。
【図23】本明細書に開示する光受信機の他の実施形態を示す図である。
【図24】本明細書に開示する多モード干渉カプラの変形例を示す図である。
【図25】(A)は、光ハイブリッド回路の実施例1の各出力チャネルの透過率と波長との関係を示す図であり、(B)は、(A)の部分拡大図であり、(C)は、各出力チャネルの位相のズレと波長との関係を示す図である。
【図26】(A)は、光ハイブリッド回路の実施例2の各出力チャネルの透過率と波長との関係を示す図であり、(B)は、(A)の部分拡大図であり、(C)は、各出力チャネルの位相のズレと波長との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本明細書に開示する光導波路素子としての光ハイブリッド回路は、多値位相偏移変調信号光を入力し、この入力した信号から、位相を変化させて多値化された信号を復調するために好適に用いられる。本明細書に開示する光ハイブリッド回路は、例えば、BPSK、QPSK、8PSK等の多値位相偏移変調信号光、又は16QAM、64QAM等の多値振幅位相変調信号光を復調するために用いることができる。以下の説明では、QPSK信号光を復調する場合の光ハイブリッド回路を例として述べる。光ハイブリッド回路が備える出力チャネルの数は、入力する信号光に応じて適宜設定され得る。
【0027】
以下、本明細書で開示する光導波路素子としての光ハイブリッド回路の好ましい第1実施形態を、図面を参照して説明する。但し、本発明の技術範囲はそれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0028】
図5は、本明細書に開示する光ハイブリッド回路の第1実施形態を示す図である。
【0029】
本実施形態の光ハイブリッド回路10は、2つの入力チャネル11a、11bと、4つの出力チャネル12と、一方の端部14に2つの入力チャネル11a、11bが接続され、他方の端部15に4つの出力チャネル12が接続される多モード干渉カプラ13と、を備える。
【0030】
多モード干渉カプラ13は、一方の端部14から他方の端部15に向かって光を伝搬する。本明細書では、多モード干渉カプラ13における一方の端部14から他方の端部15に向かう方向を、光伝搬方向ともいう。
【0031】
多モード干渉カプラ13は、対向する一対の側部13eを有する。多モード干渉カプラ13の幅は、対向する一対の側部13eによって規定される。また、多モード干渉カプラ13の幅は、一方の端部14から他方の端部15に向かって漸増している。多モード干渉カプラ13の幅方向は、一方の端部14から他方の端部15に向かう方向と直交する向きである。光ハイブリッド回路10の幅方向は、多モード干渉カプラ13の幅方向と一致する。
【0032】
多モード干渉カプラ13の幅を規定する対向する一対の側部13eは、幅方向の中心軸CLに対称に形成される。そして、光ハイブリッド回路10では、多モード干渉カプラ13における一対の側部13eそれぞれの形状は直線である。
【0033】
多モード干渉カプラ13の一方の端部14は、幅がWであり、この端部14に2つの入力チャネル11a、11bが接続される。
【0034】
多モード干渉カプラ13の他方の端部15は、幅がWであり、この端部15に4つの出力チャネル12が接続される。図5では、4つの出力チャネルに、Ch−1、Ch−2、Ch−3、Ch−4と番号が付されている。
【0035】
多モード干渉カプラ13の幅は、光伝搬方向に向かって、WからWまでテーパ状に増加する。
【0036】
図5では、多モード干渉カプラ13における一方の端部14から他方の端部15に向かう方向が、z軸の正の方向で表されている。また、多モード干渉カプラ13の幅方向が、y軸で表されている。
【0037】
図5に示す光ハイブリッド回路10では、多モード干渉カプラ13のz軸方向の長さはLで表されている。
【0038】
光ハイブリッド回路10では、2つの入力チャネル11a、11bは、一方の端部14において、幅方向の中心軸CLに対して非対称に接続される。
【0039】
次に、2つの入力チャネル11a、11bが、多モード干渉カプラ13の一方の端部14に接続される好ましい位置について、図面を参照して、以下に説明する。
【0040】
図6(A)〜図6(C)は、2つの入力チャネル11a、11bが多モード干渉カプラ13に接続される位置の例を説明する図である。
【0041】
図6(A)〜図6(C)では、多モード干渉カプラ13の一方の端部13が幅方向に4等分に区分されている。一方の端部14は、幅方向に区分S1、区分S2、区分S3、区分S4に分けられている。2つの入力チャネル11a、11bそれぞれは、区分S2と区分S3との境界線に対応する幅方向の中心軸CLに対して非対称に位置する区分の内の2つに接続されることが好ましい。
【0042】
図6(A)に示す例では、一方の入力チャネル11aは、区分S1に接続され、他方の入力チャネル11bは、区分S3に接続される。区分S1と区分S3とは、幅方向の中心軸CLに対して非対称に位置する。
【0043】
図6(B)に示す例でも、図6(A)と同様に、一方の入力チャネル11aが、区分S1に接続され、他方の入力チャネル11bが、区分S3に接続されている。ただし、一方の入力チャネル11aが区分S1に接続される幅方向の位置が、図6(A)に示す例における位置とは異なっている。同様に、一方の入力チャネル11bが区分S3に接続される幅方向の位置が、図6(A)に示す例における位置とは異なっている。このように、入力チャネル11a、11bが各区分に接続される位置は、区分内における幅方向のどの位置であっても良い。
【0044】
図6(C)に示す例では、一方の入力チャネル11aは、区分S2に接続され、他方の入力チャネル11bは、区分S4に接続される。区分S2と区分S4とは、幅方向の中心軸CLに対して非対称に位置する。
【0045】
また、多モード干渉カプラ13の他方の端部15に接続される4つの出力チャネル11の位置は、2つの入力チャネル11a、11bが一方の端部14に接続される位置に対応して決定されることが好ましい。
【0046】
なお、一方の入力チャネル11aと他方の入力チャネル11bとは、互いに入れ違っていても良い。
【0047】
次に、4つの出力チャネル11が接続される他方の端部15の幅方向の位置を、2つの入力チャネル11a、11bが一方の端部14に接続される位置に基づいて、以下に説明する。
【0048】
図6(A)には、一方の入力チャネル11aが一方の端部14に接続される位置に対して、幅方向の中心軸CLに対称な位置に、仮想の入力チャネル11dが配置されている。また、他方の入力チャネル11bが一方の端部14に接続される位置に対して、幅方向の中心軸CLに対称な位置に、仮想の入力チャネル11cが配置されている。同様に、図6(B)及び図6(C)にも、仮想の入力チャネル11c、11dが示されている。
【0049】
そして、各出力チャネル12は、2つの入力チャネル11a、11b及び仮想の入力チャネル11c、11dが一方の端部14の幅方向において接続される間隔と同じ割合で、他方の端部15の幅方向に接続されることが好ましい。このように、入力チャネル及び出力チャネルを多モード干渉カプラ13に接続することによって、入力したQPSK信号光が多モード干渉カプラ13内で多モード干渉し自己結像した信号光を、各出力チャネルから取り出すことができる。
【0050】
光ハイブリッド回路10は、入力チャネルの内の何れか1つから入力された光を、各出力チャネルから等分岐して出力する光学性能を有することが好ましい。また、光ハイブリッド回路10は、出力チャネルから出力される各信号光の位相と、入力されたQPSK信号光が有する位相との間の位相のズレが少ない光学性能を有することが好ましい。
【0051】
具体的には、多モード干渉カプラ13は、4つの入力チャネル11の何れかのチャネルにQPSK信号光が入力されて、4つの出力チャネル12から出力される各信号光間の光強度の差が、入力したQPSK信号光の光強度を基準として、3dB以内であることが好ましい。より好ましくは、4つの出力チャネル12から出力される各信号光間の光強度の差が、入力したQPSK信号光の光強度を基準として、2dB以内である。更に好ましくは、4つの出力チャネル12から出力される各信号光間の光強度の差が、入力したQPSK信号光の光強度を基準として、1dB以内である。
【0052】
また、多モード干渉カプラ13は、4つの出力チャネルから出力される信号光の位相のズレが、10度以内であることが好ましい。具体的には、出力される信号光が同相成分であれば、その信号光の位相が、0又は180度に対して±10度以内であることが好ましい。また、出力される信号光が直交成分であれば、その信号光の位相が、90又は270度に対して±10度以内であることが好ましい。
【0053】
より好ましくは、4つの出力チャネルから出力される信号光の位相のズレが、±5度以内である。具体的には、出力される信号光が同相成分であれば、その信号光の位相が、0又は180度に対して±5度以内であることが好ましい。また、出力される信号光が直交成分であれば、その信号光の位相が、90又は270度に対して±5度以内であることが好ましい。
【0054】
光ハイブリッド回路10は、良好な光学特性を維持しつつ、多モード干渉カプラ13の素子長を短くすることができる。
【0055】
光ハイブリッド回路10は、図5に示すように、一方の端部の幅Wが、他方の端部Wよりも狭くなっている。従って、幅が一定である図2に示す矩形の光ハイブリッド回路と比べて平均の幅が小さくなるので、図2に示す矩形の多モード干渉カプラを有する光ハイブリッド回路よりも、多モード干渉カプラ13の素子長を短縮することが可能である。
【0056】
次に、光ハイブリッド回路10の多モード干渉カプラ13の素子長ついて、以下に説明する。
【0057】
まず、図2に示す矩形の多モード干渉カプラの最適な素子長LMMIと、多モード干渉カプラの幅WMMIとの関係について説明する。次に、この矩形の多モード干渉カプラの素子長LMMIを用いて、光ハイブリッド回路10の多モード干渉カプラ13の素子長を表す。
【0058】
図2に示す矩形の多モード干渉カプラの最適な素子長LMMIは、多モード干渉カプラの幅WMMI、導波路の屈折率、励振モード数及び干渉メカニズム等に依存して決定される。この多モード干渉カプラの最適な素子長LMMIと多モード干渉カプラの幅WMMIとの関係は以下のように求められる。
【0059】
まず、図2に示す矩形の多モード干渉カプラでは、多モード干渉カプラ内を伝搬する任意のモードにおける伝搬定数βν(ν:伝搬モードの次数)が、式(1)のように簡略化して表される。
【0060】
【数1】

【0061】
ここで、kは信号光の真空中の波数、Neqは多モード干渉カプラ内の導波路の屈折率、λは信号光の波長である。この場合、多モード干渉カプラ内で励振される基本モードと任意の高次モードとの伝搬定数の差は式(2)のように表される。
【0062】
【数2】

【0063】
ここで、Lπは多モード干渉カプラのビート長である。図2に示す矩形の多モード干渉カプラの場合、このLπは、式(2)を用いて、式(3)のように近似される。
【0064】
【数3】

【0065】
このようにして、図2に示す矩形の多モード干渉カプラの最適な素子長LMMIと、多モード干渉カプラの幅WMMIとの関係が、式(3a)のように求められる。
【数4】

【0066】
次に、矩形の多モード干渉カプラの素子長LMMIを用いて、図5に示す光ハイブリッド回路10の多モード干渉カプラ13の素子長Lを求める。
【0067】
まず、図5に示す多モード干渉カプラ13では、その幅がz軸方向に一定ではないので、基本モードと任意の高次モード間の伝搬定数の差がz軸方向において変化する。そこで、基本モードと任意の高次モード間の伝搬定数の差を、z軸方向に0からLまでの領域について積分し、多モード干渉カプラ13における位相の変化量Δρが式(4)のように表される。
【0068】
【数5】

【0069】
ここで、W(z)は多モード干渉カプラ13の幅をzの関数で表したものである。
【0070】
関数W(z)は、zの関数として式(5)のように表される。
【0071】
【数6】

【0072】
式(5)を、式(4)に代入して積分を行うと、式(6)が得られる。
【0073】
【数7】

【0074】
ここで、式(7)で表されるχSTは多モード干渉カプラ13の形状に依存する定数であり、多モード干渉カプラ13の両端部の幅を表すW及びWによって定められる。
【0075】
そして、式(3)及び式(6)から、矩形の多モード干渉カプラのビート長Lπを用いて、図5に示す光ハイブリッド回路10の多モード干渉カプラ13の最適なビート長LSTπとχSTとの関係が、式(8)のように求められる。
【0076】
【数8】

【0077】
このようにして、この矩形の多モード干渉カプラのビート長Lπを用いて、光ハイブリッド回路10の多モード干渉カプラ13のビート長LSTπを表すことができ、所望のLを求めることができる。
【0078】
式(8)に示すように、矩形の多モード干渉カプラのビート長Lπが一定の場合、多モード干渉カプラ13のビート長LSTπとχSTとは反比例の関係になる。従って、図5に示す多モード干渉カプラ13の素子長Lは、χSTが増加するのと共に、短縮することが分かる。即ち、光ハイブリッド回路10では、多モード干渉カプラ13の他方の端部の幅Wを、図2に示す矩形の多モード干渉カプラの幅WMMIと同じにした場合には、多モード干渉カプラ13の素子長Lは、図2に示す多モード干渉カプラの素子長LMMIよりも、1/χSTの割合に短縮される。
【0079】
上述したように、このχSTは、多モード干渉カプラ13の幅を表すW及びWを定めることによって決定される。
【0080】
図7は、光ハイブリッド回路10の多モード干渉カプラ13の短縮率とW/Wとの関係を示す図である。
【0081】
図7に示すように、多モード干渉カプラ13の短縮率1/χSTは、W/Wに対して反比例に変化する。W/W=1の場合は、W=Wであり、即ち、図2に示す矩形の多モード干渉カプラと同じになるので、1/χST=1である。そして、W/Wが増加すると共に、短縮率1/χSTが減少していく。即ち、多モード干渉カプラ13の素子長が減少する。
【0082】
次に、光ハイブリッド回路10の光学特性の計算例を、図面を参照して、以下に説明する。
【0083】
図8(A)は、W/Wが約0.65の時の各出力チャネルの透過率と波長との関係を示す図であり、図8(B)は、W/Wが約0.65の時の各出力チャネルの位相のズレと波長との関係を示す図である。即ち、光ハイブリッド回路10の多モード干渉カプラ13の素子長は、図2に示す矩形の光ハイブリッド回路と比べて、約65%に短縮されている。
【0084】
図8(A)では、一方の入力チャネル11aから信号光を入力し、4つの出力チャネルそれぞれから出力される信号光の透過率Trが、入力される信号光の波長λ対して計算された結果が、実線で示されている。また、図8(A)では、他方の入力チャネル11bから信号光を入力し、4つの出力チャネルそれぞれから出力される信号光の透過率Trが、入力される信号光の波長λに対して計算された結果が、鎖線で示されている。即ち、図8(A)では、4本の実線と4本の鎖線により、透過率Trが示されている。この透過率Trは、4つの出力チャネル12から出力される各信号光の光強度が、入力したQPSK信号光の光強度を基準としたdBを単位として示されている。
【0085】
また、図8(B)では、一方の入力チャネル11aにQPSK信号光が入力され、他方の入力チャネル11bにLO光が入力され、4つの出力チャネルから出力される各信号光の強度から算出された位相のズレΔψが、入力される信号光の波長λに対して計算された結果が示されている。具体的には、出力される信号光が同相成分であれば、その信号光の位相と、0度又は180度との間の差が、位相のズレΔψを意味する。また、出力される信号光が直交成分であれば、その信号光の位相と、90度又は270度との間の差が、位相のズレΔψを意味する。また、図8(B)では、動作帯域が、位相のズレが±10度の所に鎖線で示されている。
【0086】
図8(A)及び図8(B)に示す結果は、ビーム伝搬法(Beam Propagation Method:BPM)を用いて計算された。BPMの計算では、多モード干渉カプラの導波路領域の等価屈折率として3.24を用い、導波路以外の領域の屈折率として1.0を用いた。また、光ハイブリッド回路10を形成する各要素の寸法は、入力チャネル11及び出力チャネル12の幅が2.0μm、出力チャネル間の間隔gapが2.3μm、幅Wが11.2μm、幅Wが17.2μmであった。
【0087】
図8(A)及び図8(B)に示すように、光ハイブリッド回路10は、広い波長の範囲に亘って、良好な透過率及び少ない位相のズレを示す。即ち、入力された信号光が4つの出力チャネルそれぞれに等分岐し且つ位相のズレの少ない信号光が出力されている。即ち、光ハイブリッド回路10は、Cバンド領域において良好な光学性能を有することが分かる。
【0088】
次に、光ハイブリッド回路10の多モード干渉カプラ13の素子長を更に短縮した場合の光学特性を、図面を参照して、以下に説明する。
【0089】
図9(A)は、W/Wが約0.53の時の各出力チャネルの透過率と波長との関係を示す図であり、図9(B)は、W/Wが約0.53の時の各出力チャネルの位相のズレと波長との関係を示す図である。即ち、光ハイブリッド回路10の多モード干渉カプラ13の素子長は、図2に示す矩形の光ハイブリッド回路と比べて、53%に短縮されている。
【0090】
光ハイブリッド回路10を形成する各要素の寸法は、入力チャネル11及び出力チャネル12の幅が2.0μm、出力チャネル間の間隔gapが2.3μm、幅Wが9.2μm、幅Wが17.2μmであった。図9(A)及び図9(B)の計算は、幅Wが9.2μmである点を除いては、図8(A)及び図8(B)と同様に、BPMを用いて行われた。
【0091】
図9(A)及び図9(B)に示すように、光ハイブリッド回路10は、多モード干渉カプラ13の素子長が、図2に示す矩形の光ハイブリッド回路と比べて53%に短縮されても、広い波長の範囲に亘って、良好な透過率及び少ない位相のズレを示す。
【0092】
図10(A)は、図3に示す従来の光ハイブリッド回路の各出力チャネルの透過率と波長との関係を示す図であり、図10(B)は、各出力チャネルの位相のズレと波長との関係を示す図である。図10(A)及び図10(B)では、光ハイブリッド回路を形成する各要素の寸法は、入力チャネル11及び出力チャネル12の幅が2.0μm、入出力チャネル間の間隔が2.3μm、幅WMMIが17.2μm、幅WMBが13.2μmであった。素子長の短縮率は、約75%であった。
【0093】
図10(A)に示すように、図3に示す光ハイブリッド回路は、各出力チャネルからの透過率が一定でなく、入力した信号光が等分岐されていない。また、図10(B)に示すように、位相のズレが±10度以内に収まる範囲(11nm)が大幅に狭くなることが分かる。即ち、図3に示す光ハイブリッド回路は、多モード干渉カプラの素子長を短縮すると、光学特性が大きく低下する。
【0094】
図11は、図3に示す光ハイブリッド回路内を伝搬する波面を説明する図である。
【0095】
図11に示すように、図3に示す光ハイブリッド回路113では、入力チャネルから多モード干渉カプラ内に入射した信号光の波面が、同心円状に湾曲して多モード干渉カプラ内を伝搬する。そして、多モード干渉カプラ内を伝搬する波面は、多モード干渉カプラの両側部における不連続点の部分において、大きな位相のズレが生じる。そのため、図3に示す光ハイブリッド回路113では、図10(A)及び図10(B)に示すような光学特性を示すことになる。
【0096】
図12は、図5に示す本実施形態の光ハイブリッド回路内を伝搬する波面を説明する図である。
【0097】
図12に示すように、図5に示す光ハイブリッド回路10では、入力チャネルから多モード干渉カプラ内に入射した信号光の波面は、同心円状に湾曲して多モード干渉カプラ内を伝搬する。多モード干渉カプラ13の一対の側部13eは、幅方向の変化の向きが、減少することなく漸増する。幅がテーパ状に漸増する多モード干渉カプラ内を伝搬する波面は、位相のズレを生じることなく、出力チャネルから出射する。そのため、図5に示す光ハイブリッド回路10は、図8(A)から図9(B)に示すように、良好な光学特性を示し、例えば、Cバンド領域において良好な光学性能が得られる。
【0098】
図13(A)は、図4に示す従来の光ハイブリッド回路の各出力チャネルの透過率と波長との関係を示す図であり、図13(B)は、各出力チャネルの位相のズレと波長との関係を示す図である。図13(A)及び図13(B)では、光ハイブリッド回路を形成する各要素の寸法は、入力チャネル11及び出力チャネル12の幅が2.0μm、入出力チャネル間の間隔が2.3μm、幅Wが17.2μm、幅WMPが13.2μmであった。素子長の短縮率は、約70%であった。
【0099】
図13(A)に示すように、図4に示す光ハイブリッド回路は、広い波長の範囲に亘って、良好な透過率を有するものの、図13(B)に示すように、位相のズレが±10度以内に収まる範囲(32nm)が狭くなることが分かる。
【0100】
図14は、図4に示す光ハイブリッド回路内を伝搬する波面を説明する図である。
【0101】
図11に示すように、図4に示す光ハイブリッド回路114では、入力チャネルから多モード干渉カプラ内に入射した信号光の波面は、同心円状に湾曲して多モード干渉カプラ内を伝搬する。そして、多モード干渉カプラ内を伝搬する波面は、位相のズレを生じることなく、出力チャネルから出射する。しかし、図4に示す光ハイブリッド回路114では、図13(B)に示すように、位相のズレが大きいので、例えば、Cバンド領域において良好な光学性能を得ることができない。
【0102】
次に、図5に示す光ハイブリッド回路10について、出力チャネル間の間隔gapを短くした場合の光学特性について、図面を参照して、以下に説明する。
【0103】
図15(A)は、図5に示す光ハイブリッド回路の出力チャネル間の間隔gap=1.0μmの時の各出力チャネルの透過率と波長との関係を示す図であり、図15(B)は、各出力チャネルの位相のズレと波長との関係を示す図である。
【0104】
光ハイブリッド回路10を形成する各要素の寸法は、入力チャネル11及び出力チャネル12の幅が2.0μm、出力チャネル間の間隔gapが1.0μm、幅Wが8.0μm、幅Wが12.0μmであった。出力チャネル間の間隔gapが1.0μmであり、間隔gapが、図8(A)から図9(A)の場合のgap(2.3μm)の半分以下となっている。図15(A)及び図15(B)の計算は、各要素の寸法が異なる点を除いては、図8(A)及び図8(B)と同様に、BPMを用いて行われた。また、W/Wは約0.66であり、素子長の短縮率は約66%であった。具体的には、多モード干渉カプラ13の素子長は198μmであった。
【0105】
図15(A)及び図15(B)に示すように、光ハイブリッド回路10は、広い波長の範囲に亘って、良好な透過率及び少ない位相のズレを示す。即ち、光ハイブリッド回路10は、出力チャネル間の間隔gapが1.0μmと短く、多モード干渉カプラ13の素子長が、図2に示す矩形の光ハイブリッド回路と比べて約66%に短縮されても、良好な光学特性を示す。
【0106】
次に、出力チャネル間の間隔gapが1.0μmである光ハイブリッド回路10の光学特性を、同様に、出力チャネル間の間隔が短くされた図2に示す従来の矩形の光ハイブリッド回路の光学特性と比べて、以下に説明する。
【0107】
図16(A)は、図5に示す光ハイブリッド回路の出力チャネル間の間隔gap=1.0μmの時の各出力チャネルの透過率と波長との関係を示す図であり、図16(B)は、図2の光ハイブリッド回路の出力チャネル間の間隔gap=0.6μmの時の各出力チャネルの透過率と波長との関係を示す図である。
【0108】
図17(A)は、図5に示す光ハイブリッド回路の出力チャネル間の間隔gap=1.0μmの時の各出力チャネルの位相のズレと波長との関係を示す図であり、図17(B)は、図2の光ハイブリッド回路の出力チャネル間の間隔gap=0.6μmの時の各出力チャネルの位相のズレと波長との関係を示す図である。
【0109】
図16(A)及び図17(A)の計算結果は、横軸の範囲が異なる点を除いては、上述した図15(A)及び図15(B)と同様に行われた。
【0110】
図16(B)及び図17(B)の計算は、図2に示す光ハイブリッド回路に対してBPMを用いて行われた。光ハイブリッド回路を形成する各要素の寸法は、入力チャネル及び出力チャネルの幅が2.0μm、入出力チャネル間の間隔が0.6μm、幅WMMIが10.4μmであった。多モード干渉カプラの素子長は223μmであった。
【0111】
図16(B)に示すように、図2に示す矩形の光ハイブリッド回路は、図5に示す本実施形態の光ハイブリッド回路10と同様に、広い波長の範囲に亘って、良好な透過率を有する。
【0112】
しかし、図2に示す矩形の光ハイブリッド回路は、図17(B)に示すように、位相のズレが±10度以内に収まる波長の範囲が狭くなることが分かる。
【0113】
一方、図5に示す光ハイブリッド回路10は、出力チャネル間の間隔gapが短くなった場合でも、良好な光学特性を有しつつ、多モード干渉カプラ13の素子長を短縮することができる。
【0114】
図18は、図5のX−X線拡大断面図である。
【0115】
光ハイブリッド回路10は、基板40上に下クラッド層41が積層され、この下クラッド層41上にコア層42が積層され、このコア層42上に上クラッド層43が形成されている。下クラッド層41及びコア層42及び上クラッド層43によって、メサ部44が形成される。なお、光ハイブリッド回路10では、下クラッド層41と基板40とが一体に形成される。
【0116】
図18に示す断面図は、多モード干渉カプラ13の第2部分13bの断面図であるが、入力チャネル11及び出力チャネル12も同様の断面構造を有する。即ち、下クラッド層41及びコア層42及び上クラッド層43の厚さは、多モード干渉カプラ13を含む光ハイブリッド回路10の全体に亘って一定である。
【0117】
図18に示す光ハイブリッド回路10は、例えば、以下のように形成される。
【0118】
まず、基板40上に、例えば有機金属気相成長法(MOVPE法)によってコア層41が積層される。基板40としては、n型InP基板又はアンドープのInP基板を用いることができる。コア層42の形成材料としては、アンドープのGaInAsP(発光波長1.30μm)を用いることができる。コア層42の厚さは、例えば0.3μmとすることができる。
【0119】
次に、コア層42上に、上クラッド層43がエピタキシャルに積層される。上クラッド層43の形成材料としては、アンドープ又はp型InPを用いることができる。上クラッド層43の厚さは、例えば2.0μmとすることができる。
【0120】
次に、上クラッド層43上に、SiO2膜等によるマスク層が形成される。
【0121】
次に、光露光プロセスを用いて、マスク層における光ハイブリッド回路の形成領域がパターニングされる。
【0122】
次に、マスク層をマスクとして、上クラッド層43及びコア層42及び基板40がエッチングされて、メサ部44が形成される。基板40は、図16に示すように、基板40の表面から途中の深さまでエッチングされて、凸状の下クラッド層41が形成される。エッチング方法としては、例えば、ICP反応性イオンエッチング等のドライエッチングを用いることができる。また、メサ部44の高さとしては、例えば3.0μmとすることができる。
【0123】
そして、上クラッド層43上のマスク層が除去されて、光ハイブリッド回路10が形成される。
【0124】
なお、上述した光ハイブリッド回路10の形成方法では、形成材料として、III−V族化合物半導体のInPを用いる例を示したが、形成材料は、これらの材料系に限らず、III−V族化合物半導体のGaAs、又はIV族半導体のSi等を用いて、光ハイブリッド回路を形成しても良い。
【0125】
上述した本実施形態の光ハイブリッド回路10によれば、小さな寸法を有し、且つ光学性能に優れる。
【0126】
また、本実施形態の光ハイブリッド回路10は、モノリシック集積化に適している。上述したように、光ハイブリッド回路10の多モード干渉カプラ13の素子長は、良好な光学特性を維持しつつ、少なくとも約50%の短縮化が可能である。
【0127】
また、光ハイブリッド回路10は、入力チャネル及び出力チャネル同士の間隔を短縮することなく、多モード干渉カプラの素子長を短縮することができる。従って、従来の加工精度を有する製造工程を用いて、光ハイブリッド回路10を形成することが可能である。
【0128】
次に、本明細書に開示する第2及び第3実施形態の光導波路素子としての光ハイブリッド回路を、図面を参照しながら以下に説明する。第2及び第3実施形態について特に説明しない点については、上述の第1実施形態に関して詳述した説明が適宜適用される。また、図19及び図20において、図5と同じ構成要素に同じ符号を付してある。
【0129】
図19は、本明細書に開示する光ハイブリッド回路の第2実施形態を示す図である。
【0130】
本実施形態の光ハイブリッド回路100は、一対の側部13eそれぞれの形状が、内側に凸の放物線である。光ハイブリッド回路100のその他の構造は、上述した第1実施形態と同様である。
【0131】
次に、図2に示す矩形の多モード干渉カプラの素子長LMMIを用いて、図19に示す光ハイブリッド回路100の多モード干渉カプラ13の素子長を以下に求める。
【0132】
上記式(4)における関数W(z)は、zの関数として式(9)のように表される。
【0133】
【数9】

【0134】
式(9)を、式(4)に代入して積分を行うと、式(10)が得られる。
【0135】
【数10】

【0136】
ここで、式(10)で表されるχSQは多モード干渉カプラ13の形状に依存する定数であり、多モード干渉カプラ13の両端部の幅を表すW及びWによって定められる。
【0137】
そして、式(3)及び式(10)から、矩形の多モード干渉カプラのビート長Lπを用いて、図19に示す光ハイブリッド回路10の多モード干渉カプラ13の最適なビート長LSQπとχSQとの関係が、式(12)のように求められる。
【0138】
【数11】

【0139】
このようにして、この矩形の多モード干渉カプラのビート長Lπを用いて、光ハイブリッド回路100の多モード干渉カプラ13のビート長LSQπを表すことができる。
【0140】
式(12)に示すように、矩形の多モード干渉カプラのビート長Lπが一定の場合、多モード干渉カプラ13のビート長LSQπとχSQとは反比例の関係になる。
【0141】
図20は、本明細書に開示する光ハイブリッド回路の第3実施形態を示す図である。
【0142】
本実施形態の光ハイブリッド回路200は、一対の側部13eそれぞれの形状が、内側に凸の指数関数曲線である。光ハイブリッド回路200のその他の構造は、上述した第1実施形態と同様である。ここで、指数関数の底としては、任意の正の実数を底として用いることができるが、ここでは、底としてネイピア数を用いる。
【0143】
次に、図2に示す矩形の多モード干渉カプラのビート長Lπを用いて、図20に示す光ハイブリッド回路200の多モード干渉カプラ13のビート長を以下に求める。
【0144】
上記式(4)における関数W(z)は、zの関数として式(13)のように表される。
【0145】
【数12】

【0146】
式(13)を、式(4)に代入して積分を行うと、式(14)が得られる。
【0147】
【数13】

【0148】
ここで、式(15)で表されるχEXPは多モード干渉カプラ13の形状に依存する定数であり、多モード干渉カプラ13の両端部の幅を表すW及びWによって定められる。
【0149】
そして、式(3)及び式(14)から、矩形の多モード干渉カプラのビートLπを用いて、図20に示す光ハイブリッド回路200の多モード干渉カプラ13の最適なビート長LEXPπとχEXPとの関係が、式(16)のように求められる。
【0150】
【数14】

【0151】
このようにして、この矩形の多モード干渉カプラのビート長Lπを用いて、光ハイブリッド回路200の多モード干渉カプラ13のビート長LEXPπを表すことができる。
【0152】
式(16)に示すように、矩形の多モード干渉カプラのビート長Lπが一定の場合、多モード干渉カプラ13のビート子長LEXPπとχEXPとは反比例の関係になる。
【0153】
次に、上述した第1〜第3実施形態の光ハイブリッド回路の素子長の短縮率を比較して、以下に説明する。
【0154】
図21は、第1実施形態及び第2実施形態及び第3実施形態の光ハイブリッド回路の短縮率ReとW/Wとの関係を示す図である。
【0155】
図21では、第1実施形態の短縮率ReがカーブC1で示され、このカーブ1は、式(7)を用いて表される。また、第2実施形態の短縮率がカーブC2で示され、このカーブC2は、式(11)を用いて表される。第3実施形態の短縮率がカーブC3で示され、このカーブC3は、式(15)を用いて表される。
【0156】
図21に示すように、何れの実施形態も、W/Wの増加と共に、短縮率Reが低減する。W/Wの値が同じ場合には、短縮率1/χは、C1、C3、C2の順番に小さい。
【0157】
次に、本明細書に開示する上述した光ハイブリッド回路を備えた光受信機について、図面を参照して、以下に説明する。
【0158】
図22は、本明細書に開示するコヒーレント光受信機の一実施形態を示す図である。
【0159】
コヒーレント光受信機30は、上述した第1実施形態の光ハイブリッド回路10を備えている。
【0160】
また、コヒーレント光受信機30は、LO光を発生して光ハイブリッド回路10へ出力する局部発振光発生部としてのLO光源31と、光ハイブリッド回路10の各出力光信号を電気信号に変える光電変換部32a、32bと、を備える。光電変換部32a、32bとして、具体的には、差動型フォトダイオード(Balanced PhotoDiode:BPD)を用いている。BPD32aの2つのフォトダイオードそれぞれには、同相成分の出力信号が入力され、BPD32bの2つのフォトダイオードそれぞれには、直交成分の出力信号が入力される。
【0161】
また、コヒーレント光受信機30は、光電変換部32a、32bが出力するアナログの各電気信号を入力し、デジタル電気信号を出力するAD変換部33a、33bと、デジタル電気信号を入力して位相を推定する位相推定部としてのデジタル演算回路34とを、備える。
【0162】
光ハイブリッド回路10としてモノシリック集積回路を用いることが、コヒーレント光受信機30を小型化する上で好ましい。
【0163】
次に、コヒーレント光受信機30の動作を以下に説明する。
【0164】
まず、QPSK信号光と、このQPSK信号光と同期したLO光が、光ハイブリッド回路10の入力チャネル11に入力される。
【0165】
光ハイブリッド回路10内では、LO光とQPSK信号光との相対位相差Δφに応じて、これらの信号光が多モード干渉して自己結像し、4つの出力チャネル12それぞれから信号光が出力される。
【0166】
例えば、(a)Δφ=0、(b)Δφ=π、(c)Δφ=-π/2、(d)Δφ=π/2の場合には、4つの出力光それぞれの相対位相差Δφにおける透過率の比は、(a)1:0:2:1、(b)1:2:0:1、(c)0:1:1:2、(d)2:1:1:0となる。
【0167】
そして、各出力チャネルからの信号光がBPD32a、32bへ入力される。
【0168】
BPD32a、32bでは、上部のフォトダイオードへの入力に対して+1に相当する電流が出力され、下部のフォトダイオードへの入力に対して-1に相当する電流が出力され、上部及び下部の両方への同時入力に対しては、電流が出力されない。このように、BPD32a、32bは、出力信号光を電気信号へ変換して、AD変換部33a、33bへ出力する。
【0169】
BPD32a、32bが出力するアナログの電気信号を入力したAD変換部33a、33bは、アナログの電気信号をデジタルの電気信号に変換して、デジタル演算回路34へ出力する。
【0170】
デジタル演算回路34は、デジタル電気信号を入力して位相を推定し、推定した位相を出力する。このようにして、コヒーレント受信機30は、入力したQPSK信号光を復調する。
【0171】
上述した本実施形態のコヒーレント受信機30によれば、小さな寸法を有し、且つ光学性能に優れる。
【0172】
図23は、本明細書に開示する光受信機の他の実施形態を示す図である。
【0173】
本実施形態のコヒーレント光受信機30aは、DQPSK信号光を入力する。
【0174】
コヒーレント光受信機30aは、DQPSK信号光を入力し、2つに分岐して出力する1:2MMIカプラ35を備える。この1:2MMIカプラ35が出力した2つの信号光は、2つの導波路36a、36bを伝搬して光ハイブリッド回路10に入力する。ここで、導波路36aの光路長は、導波路36bの光路長よりも、DQPSK信号光の1ビット分の光路長だけ長くなっている。
【0175】
光ハイブリッド回路10に入力した2つのDQPSK信号光は、互いに1ビット分だけ位相が異なっているので、光ハイブリッド回路10内で多モード干渉して自己結像し、4つの出力チャネル12それぞれから信号光が出力される。コヒーレント光受信機30aのその他の動作は、上述した実施形態と同様である。
【0176】
本発明では、上述した各実施形態の光ハイブリッド回路及びこのような光ハイブリッド回路を備えた光受信機は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更が可能である。また上述した一の実施形態または変形例における要件は、適宜、実施形態および変形例間で相互に置換可能である。例えば、直接検波を考えたとき、BPSK信号光を入力する場合には、出力チャネルの数は2つにする。また、8PSK信号光を入力する場合には、出力チャネルの数は8つにする。
【0177】
また、上述した光ハイブリッド回路が有する多モード干渉カプラ13は、図24に示すように、一方の端部14が幅Wを保持したまま外方に向かって延出しており、他方の端部15が幅Wを保持したまま外方に向かって延出していても良い。
【0178】
以下、本明細書に開示する光ハイブリッド回路の作用効果について、実施例を用いて更に説明する。ただし、本発明はかかる実施例に制限されるものではない。
【実施例】
【0179】
[実施例1]
実施例1として、図18に示す構造の光ハイブリッド回路を形成した。コア層の形成材料は、アンドープのGaInAsP(屈折率3.388)を用いた。上クラッド層及び下クラッド層の形成材料は、p型InP(屈折率3.169)を用いた。光ハイブリッド回路を形成する各要素の寸法は、入力チャネル11及び出力チャネル12の幅が2.0μm、出力チャネル間の間隔gapが2.3μm、幅Wが9.2μm、幅Wが17.2μmであった。即ち、図9(A)及び図9(B)に示す計算例と同じ寸法とした。
【0180】
入力光として連続光を入力チャネルの一つに入力した。
【0181】
図25(A)は、光ハイブリッド回路の実施例1の各出力チャネルの透過率と波長との関係を示す図であり、図25(B)は、図25(A)の部分拡大図であり、図25(C)は、各出力チャネルの位相のズレと波長との関係を示す図である。
【0182】
実施例1の光ハイブリッド回路は、図25(A)及び図25(B)に示すように、良好な信号光の等分岐性を示しており、図9(A)の計算結果とも定性的に良く一致する光学特性を示した。また、実施例1の光ハイブリッド回路は、図25(B)に示すように、各出力チャネルから出力される信号光は、それぞれの位相関係がお互いにπ/2[rad]ずれており、正弦波的に変化している。
【0183】
また、実施例1の光ハイブリッド回路は、図25(C)に示すように、広い波長の範囲に亘って、少ない位相のズレを示しており、図9(B)の計算結果とも定性的に良く一致する光学特性を示した。なお、図25(C)では、出力チャネルCh−1〜Ch−3の位相のズレは、Ch−4の位相を基準に示されている。
【0184】
このように、実施例1の光ハイブリッド回路は、Cバンド領域において良好な光学特性を示した。
【0185】
[実施例2]
光ハイブリッド回路を形成する各要素の寸法を、入力チャネル11及び出力チャネル12の幅が2.0μm、出力チャネル間の間隔gapが1.0μm、幅Wが8.0μm、幅Wが12.0μmとしたことを除いては、実施例1と同様にして実施例2を得た。実施例2の光ハイブリッド回路は、即ち、図15(A)及び図15(B)に示す計算例と同じ寸法とした。
【0186】
入力光として連続光を入力チャネルの一つに入力した。
【0187】
図26(A)は、光ハイブリッド回路の実施例1の各出力チャネルの透過率と波長との関係を示す図であり、図26(B)は、図26(A)の部分拡大図であり、図26(C)は、各出力チャネルの位相のズレと波長との関係を示す図である。
【0188】
実施例2の光ハイブリッド回路は、図26(A)及び図26(B)に示すように、良好な信号光の等分岐性を示しており、図15(A)の計算結果とも定性的に良く一致する光学特性を示した。実施例2の光ハイブリッド回路は、図26(B)に示すように、各出力チャネルから出力される信号光は、それぞれの位相関係がお互いにπ/2[rad]ずれており、正弦波的に変化している。
【0189】
このように、実施例1の光ハイブリッド回路は、Cバンド領域において良好な光学特性を示した。
【0190】
また、実施例2の光ハイブリッド回路は、図26(C)に示すように、広い波長の範囲に亘って、少ない位相のズレを示しており、図15(B)の計算結果とも定性的に良く一致する光学特性を示した。なお、図26(C)では、出力チャネルCh−1〜Ch−3の位相のズレは、Ch−4の位相を基準に示されている。
【0191】
ここで述べられた全ての例及び条件付きの言葉は、読者が、発明者によって寄与された発明及び概念を技術を深めて理解することを助けるための教育的な目的を意図する。ここで述べられた全ての例及び条件付きの言葉は、そのような具体的に述べられた例及び条件に限定されることなく解釈されるべきである。また、明細書のそのような例示の機構は、本発明の優越性及び劣等性を示すこととは関係しない。本発明の実施形態は詳細に説明されているが、その様々な変更、置き換え又は修正が本発明の精神及び範囲を逸脱しない限り行われ得ることが理解されるべきである。
【0192】
以上の上述した各実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0193】
(付記1)
2つの入力チャネルと、
複数の出力チャネルと、
一方の端部に前記2つの入力チャネルが接続され、他方の端部に前記複数の出力チャネルが接続される多モード干渉カプラと、
を備え、
前記多モード干渉カプラは、対向する一対の側部を有し、
前記対向する一対の側部によって規定される前記多モード干渉カプラの幅は、前記一方の端部から前記他方の端部に向かって漸増し、
前記2つの入力チャネルは、前記一方の端部において、幅方向の中心軸に対して非対称に接続される、光導波路素子。
【0194】
(付記2)
前記一対の側部それぞれの形状は直線である付記1に記載の光導波路素子。
【0195】
(付記3)
前記一対の側部それぞれの形状が放物線である付記1に記載の光導波路素子。
【0196】
(付記4)
前記一対の側部それぞれの形状が指数関数曲線である付記1に記載の光導波路素子。
【0197】
(付記5)
前記多モード干渉カプラは、基板上に、下クラッド層が積層され、前記下クラッド層上にコア層が積層され、前記コア層上に上クラッド層が積層されて形成されており、
前記コア層の厚さが一定である付記1〜4の何れか一項に記載の光導波路素子。
(付記6)
前記一方の端部が幅方向に4等分に区分され、前記2つの入力チャネルは、前記多モード干渉カプラの幅方向の中心軸に対して非対称に位置する前記区分の内の2つに接続される付記1〜5の何れか一項に記載の光導波路素子。
【0198】
(付記7)
前記複数の入力チャネルの何れかのチャネルに多値位相偏移変調信号光が入力されて、前記複数の出力チャネルから出力される各信号光間の光強度の差が、前記多位相偏移変調信号光の光強度を基準として6dB以内である付記1〜5の何れか一項に記載の光導波路素子。
【0199】
(付記8)
前記出力チャネルを4つ備える付記1〜7の何れか一項に記載の光導波路素子。
【0200】
(付記9)
前記光導波路素子がモノシリック集積回路である付記1〜8の何れか一項に記載の光導波路素子。
【0201】
(付記10)
2つの入力チャネルと、
複数の出力チャネルと、
一方の端部に前記2つの入力チャネルが接続され、他方の端部に前記複数の出力チャネルが接続される多モード干渉カプラと、
を備え、
前記多モード干渉カプラは、対向する一対の側部を有し、
前記対向する一対の側部によって規定される前記多モード干渉カプラの幅は、前記一方の端部から前記他方の端部に向かって漸増し、
前記2つの入力チャネルは、前記一方の端部において、幅方向の中心軸に対して非対称に接続される、光導波路素子を備えた光受信機。
【0202】
(付記11)
前記光導波路素子がモノシリック集積回路である付記10に記載の光受信機。
【0203】
(付記12)
前記光導波路素子の各出力光信号を電気信号に変える光電変換部と、前記光電変換部が出力する各電気信号を入力して、位相を推定する位相推定部とを、備える付記10又は11に記載の光受信機。
【0204】
(付記13)
一方の端部から他方の端部に向かって光を伝搬する多モード干渉カプラであって、
前記一方の端部と前記他方の端部との間の幅が、対向する一対の側部によって規定され、前記幅が、前記一方の端部から前記他方の端部に向かって漸増する多モード干渉カプラ。
【0205】
(付記14)
前記一方の端部が幅を保持したまま外方に向かって延出し、前記他方の端部が幅を保持したまま外方に向かって延出する付記13に記載の多モード干渉カプラ。
【符号の説明】
【0206】
10 光ハイブリッド回路(光導波路素子)
11 入力チャネル
12 出力チャネル
13 多モード干渉カプラ
13e 一対の側部
14 一方の端部
15 他方の端部
30 光受信機
31 局部発振光発生部
32a、32b 差動型フォトダイオード(光電変換部)
33a、33b AD変換部
34 デジタル演算回路(位相推定部)
35 遅延部
40 基板
41 下クラッド層
42 コア層
43 上クラッド層
44 メサ部
多モード干渉カプラの一方の端部の幅
多モード干渉カプラの他方の端部の幅
LM 多モード干渉カプラの長さ
CL 幅方向の中心軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの入力チャネルと、
複数の出力チャネルと、
一方の端部に前記2つの入力チャネルが接続され、他方の端部に前記複数の出力チャネルが接続される多モード干渉カプラと、
を備え、
前記多モード干渉カプラは、対向する一対の側部を有し、
前記対向する一対の側部によって規定される前記多モード干渉カプラの幅は、前記一方の端部から前記他方の端部に向かって漸増し、
前記2つの入力チャネルは、前記一方の端部において、幅方向の中心軸に対して非対称に接続される、光導波路素子。
【請求項2】
前記一対の側部それぞれの形状は直線である請求項1に記載の光導波路素子。
【請求項3】
前記一対の側部それぞれの形状が放物線である請求項1に記載の光導波路素子。
【請求項4】
前記一対の側部それぞれの形状が指数関数曲線である請求項1に記載の光導波路素子。
【請求項5】
2つの入力チャネルと、
複数の出力チャネルと、
一方の端部に前記2つの入力チャネルが接続され、他方の端部に前記複数の出力チャネルが接続される多モード干渉カプラと、
を備え、
前記多モード干渉カプラは、対向する一対の側部を有し、
前記対向する一対の側部によって規定される前記多モード干渉カプラの幅は、前記一方の端部から前記他方の端部に向かって漸増し、
前記2つの入力チャネルは、前記一方の端部において、幅方向の中心軸に対して非対称に接続される、光導波路素子を備えた光受信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2011−197245(P2011−197245A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−62483(P2010−62483)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】