説明

光導波路素子

【課題】強誘電体結晶同士を接合する接着剤の剥離が生じない、強誘電体結晶からなる光導波路素子を提供する。
【解決手段】強誘電体結晶からなる基板10と、基板10上に形成された第1の接着層20と、第1の接着層20を介して基板10と接合された強誘電体結晶からなる光導波路層30と、光導波路層30上に形成された第2の接着層40と、第2の接着層40を介して光導波路層30と接合された、強誘電体結晶からなるキャップ層50とを備え、両端部においてスラブ型導波路構造を形成し、両端部に挟まれた中央領域において3次元導波路構造を形成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、強誘電体結晶を用いた光導波路素子に関する。
【背景技術】
【0002】
タンタル酸リチウム(LT)単結晶やニオブ酸リチウム(LN)単結晶などの強誘電体結晶の非線形光学効果を利用した擬似位相整合(QPM)素子の利用が進められている。例えば、強誘電体結晶内部に分極方向が周期的に反転する周期分極反転構造を形成したQPM素子が開発されている。QPM素子の実用例としては、光ファイバーのようなステップ状の屈折率変化を有し、光を光導波路層(コア)に閉じ込めて伝播させるリッジ導波路型の光導波路素子などがある。
【0003】
光導波路素子は、強誘電体結晶からなる複数の基板を張り合わせて製造されるのが一般的である(例えば特許文献1参照。)。このため、多くの場合、各基板間には光学接着材が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第WO2006/041172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
リッジ導波路型の光導波路素子を製造する際に、しばしば光導波路層のリッジ部の上方に光学接着剤によってキャップ層が貼り付けられる。この場合、光導波路素子の端面には、光学接着剤の膜厚の厚い部分と薄い部分とが露出する。このとき、光学接着剤の厚い部分に沿って、光導波路層やキャップ層からの光学接着剤の剥離が光導波路素子の端面から内部に向かって進行するという問題があった。
【0006】
上記問題点に鑑み、本発明は、強誘電体結晶同士を接合する接着剤の剥離が生じない、強誘電体結晶からなる光導波路素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、強誘電体結晶からなる基板と、基板上に形成された第1の接着層と、第1の接着層を介して基板と接合された強誘電体結晶からなる光導波路層と、光導波路層上に形成された第2の接着層と、第2の接着層を介して光導波路層と接合された強誘電体結晶からなるキャップ層とを備え、両端部においてスラブ型導波路構造を形成し、両端部に挟まれた中央領域において3次元導波路構造を形成している光導波路素子が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、強誘電体結晶同士を接合する接着剤の剥離が生じない、強誘電体結晶からなる光導波路素子を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る光導波路素子の構造を示す模式図であり、図1(a)は平面図、図1(b)は端面図、図1(c)は図1(a)のI−I方向に沿った断面図である。
【図2】比較例の光導波路素子の構造を示す模式図であり、図2(a)は平面図、図1(b)は端面図である。
【図3】硬化収縮による光学接着剤の剥離を説明するためのモデルの構造を示す模式図である。
【図4】硬化収縮により光学接着剤に働く力の大きさと光学接着剤の膜厚との関係を表すグラフである。
【図5】本発明の実施形態に係る光導波路素子の製造方法を説明するための工程図である(その1)。
【図6】本発明の実施形態に係る光導波路素子の製造方法を説明するための工程図である(その2)。
【図7】本発明の実施形態に係る光導波路素子の製造方法を説明するための工程図である(その3)。
【図8】本発明の実施形態に係る光導波路素子の製造方法を説明するための工程図である(その4)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0011】
又、以下に示す実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置などを下記のものに特定するものでない。この発明の実施形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0012】
本発明の実施形態に係る光導波路素子1は、図1(a)〜図1(c)に示すように、強誘電体結晶からなる基板10と、基板10上に形成された第1の接着層20と、第1の接着層20を介して基板10と接合された強誘電体結晶からなる光導波路層30と、光導波路層30上に形成された第2の接着層40と、第2の接着層40を介して光導波路層30と接合された、強誘電体結晶からなるキャップ層50とを備え、両端部においてスラブ型導波路構造を形成し、両端部に挟まれた中央領域において3次元導波路構造を形成している。なお、図1(a)では、キャップ層50と第2の接着層40を透過して光導波路層30が表示されている。
【0013】
図1(a)〜図1(c)に示した光導波路素子1は、光導波路の大部分を占める中央領域120においては、光導波路層30がリッジ部35を有するリッジ導波路型の3次元導波路構造である。そして、端面101、102付近においては、平板構造の基板10、光導波路層30及びキャップ層50が、第1の接着層20及び第2の接着層40によって張り合わされたスラブ型導波路構造である。
【0014】
光導波路素子1の全長に亘って膜厚方向(垂直方向)の光閉じ込め構造が構成され、端面101、102の一方から他方に光導波路層30を光が伝播する。更に、中央領域120には、膜厚方向と共に幅方向の光閉じ込めのための屈折率構造を実現する3次元導波路構造が採用されている。光導波路層30の構造に関しては、リッジ導波路型以外にも、リブ導波路型や埋め込みヘテロ構造導波路型などの3次元導波路構造が中央領域120において採用可能である。
【0015】
基板10、光導波路層30及びキャップ層50は、例えばタンタル酸リチウム(LT)単結晶やニオブ酸リチウム(LN)単結晶などの強誘電体結晶からなる。
【0016】
光導波路層30は、光が伝播する方向、即ち膜厚方向と垂直な方向に沿って周期的に分極方向が反転する周期分極反転構造が形成された強誘電体結晶からなる。このため、光導波路素子1は、入射するレーザ光と擬似位相整合することによって、2次高調波である波長のレーザ光を出力することができる。つまり、光導波路素子1は、QPM型の波長変換素子として機能する。
【0017】
中央領域120における光導波路層30のリッジ部35が形成された領域の膜厚をT31とする。中央領域120における光導波路層30のリッジ部35が形成されていない領域、即ち、リッジ部35を取り囲む膜厚の薄い領域(以下において、「溝」という。)の膜厚をT32とする(T31>T32)。端部110、130においては、光導波路層30の膜厚はT31である。
【0018】
光導波路素子1の端面101、102の中心領域に入射光が照射される。このため、光導波路層30の光が伝播する方向に沿った両側に溝を挟んでリッジ部35と対向する凸部が形成されているが、これらの凸部は光の伝播には影響しない。
【0019】
第1の接着層20及び第2の接着層40は、光学的接着剤からなる。例えば、アクリル系接着剤やエポキシ系接着剤などの樹脂が、第1の接着層20及び第2の接着層40に採用可能である。
【0020】
図1(c)に示すように、中央領域120では、光導波路層30の上面の凹凸を埋め込むように第2の接着層40が形成される。したがって、中央領域120においては、リッジ部35の上方の領域と溝の上方の領域とで第2の接着層40の膜厚が異なる。図1(c)に示すように、リッジ部35の上方における第2の接着層40の膜厚をT41、リッジ部35を取り囲む溝の上方における第2の接着層40の膜厚をT42とする(T41<T42)。したがって、T42−T41=T31−T32=「リッジ部の段差」である。一方、スラブ型導波路構造の端部110、130においては、第2の接着層40の膜厚はT41である。
【0021】
図1(a)〜図1(c)に示した光導波路素子1との比較例として、端部まで全長に亘って3次元構造を有する光導波路素子1Aの平面図を図2(a)に、端面101A、102Aを図2(b)に示す。
【0022】
図2(b)に示すように、光導波路素子1Aでは、リッジ部35Aを構成する光導波路層30Aの段差構造が端面101A、102Aに露出している。他の構成は図1に示した光導波路素子1と同様である。即ち、光導波路素子1Aは、強誘電体結晶からなる基板10A、光導波路層30A、キャップ層50Aが、第1の接着層20A及び第2の接着層40Aによって張り合わされた構造である。なお、図2(a)では、キャップ層50Aと第2の接着層40Aを透過して光導波路層30Aが表示されている。
【0023】
光導波路素子1Aの端面101A、102Aが各種環境に曝露されることにより接着剤の剥離のきっかけが生じると、端面101A、102Aから内部に向かい、第2の接着層40Aの厚い部分に沿って光導波路層30A及びキャップ層50Aからの第2の接着層40Aの剥離が進行することがある。剥離のきっかけとしては、端面101A、102Aがこすられるとか、熱膨張するとかの刺激が挙げられる。例えば、端面が温水に浸漬されると光学接着剤の接着力が低下する。
【0024】
光学接着剤の接着力が低下する原因として、光学接着剤の厚い部分において、光学接着剤の硬化収縮によって光学接着剤を強誘電体結晶基板などの剛体から引き離す力が生じることが考えられる。
【0025】
光学接着剤の厚い部分、例えばリッジ部を取り囲む溝上に形成された部分において、剛体から光学接着剤を剥離する力が生じる例を、図3に示すモデルを参照して説明する。図3は、上面に凹凸が形成された第1の剛体3が、光学接着剤4によって、平板状の第2の剛体5に張り合わされている例を示す。なお、第1の剛体3の上面において、厚い部分と薄い部分との面積比はa:bである。また、凸部と凹部の高低差はdである。
【0026】
以下において、第1の剛体3の厚い部分(凸部)の上方に形成された光学接着剤4の膜厚を「第1の膜厚」という。また、第1の剛体3の薄い部分(凹部)の上方に形成された光学接着剤4の膜厚を「第2の膜厚」という。したがって、「第1の膜厚」<「第2の膜厚」である。
【0027】
硬化前の光学接着剤4の第1の膜厚をt10、第2の膜厚をt20とする。また、硬化後の光学接着剤4の自然な膜厚について、第1の膜厚をt11、第2の膜厚をt21とする。「自然な膜厚」とは、光学接着剤4を剥離する力が働いていない状態での膜厚である。
【0028】
第2の剛体5は変形しないと仮定し重力を無視すると、光学接着剤4の硬化後に第2の剛体5に働く力が釣り合うように、光学接着剤4の第1の膜厚t12及び第2の膜厚t22が定まる。
【0029】
以上から、硬化後の光学接着剤4のヤング率をEとし、光学接着剤4の硬化収縮率をsとすると、以下の式(1)〜式(4)が成立する:

t22−t12=t20−t10=d ・・・(1)
t11=t10×(1−s) ・・・(2)
t21=t20×(1−s) ・・・(3)
a×E×(t11−t12)/t11=b×E×(t22−t21)/t21 ・・・(4)

式(1)は第1の剛体3の上面の凹凸の高低差d、式(2)と式(3)は光学接着剤4の硬化時の収縮、式(4)は第2の剛体5に働く力の釣り合いから、それぞれ導き出される。
【0030】
式(1)〜式(4)から、第2の剛体5に働く力が釣り合った状態における第1の膜厚t12及び第2の膜厚t22が求まる。また、第1の剛体3の凹部に形成された光学接着剤4に働く単位面積あたりの力は、E×(t22−t21)/t21である。ここで、s=0.1、a:b=240:2160、E=2200MPa、d=3μmとすると、図4に示す結果が得られる。図4は、第1の膜厚t1と光学接着剤4に働く面積あたりの力Pとの関係を示すグラフである。図4に示すように、凹部に形成された光学接着剤4、即ち光学接着剤4の厚い部分には、107〜108Pa程度の引張り応力が働く。
【0031】
以上から、光学接着剤の膜厚の厚い部分と薄い部分とが隣接して端面に露出している場合に光学接着剤の接着力が低下する原因として、次のようなメカニズムが考えられる。即ち:
(1)2つの剛体を光学接着剤で張り合わせる際に、光学接着剤の厚い部分と薄い部分があると、硬化収縮によって厚い部分の方が大きく収縮しようとする。
【0032】
(2)一方、光学接着剤の薄い部分は、厚い部分ほどは収縮せず、剛体はほとんど変形しない。
【0033】
(3)そのため、光学接着剤の厚い部分は、光学接着剤が硬化した後の自然な長さよりも長くなるように、剛体から引っ張られる。これにより、厚い部分では常に剥離しようとする力が働いている。光学接着剤の膜厚の厚い部分と薄い部分とが隣接して端面に露出している場合は剥離のきっかけが与えられやすく、このため、端面で光学接着剤の剥離が発生しやすい。
【0034】
上記のメカニズムにより発生すると考えられる力は、図4に示すように、およそ107Paのオーダーであり、本発明者らが使用している光学接着剤の接着強度と同等である。したがって、何らかのきっかけにより、上記のメカニズムにより光学接着剤の剥離が生じると考えられる。
【0035】
図2(a)、図2(b)に示した比較例の光導波路素子1Aでは、第2の接着層40Aの膜厚の厚い部分と薄い部分とが隣接して端面101A、102Aに露出する。このため、第2の接着層40Aの厚い部分に沿って第2の接着層40Aの剥離が進行する
これに対し、図1(a)〜図1(b)に示した光導波路素子1では、端部110、130にリッジ部35が形成されていない。このため、第2の接着層40の膜厚の厚い部分と薄い部分とが隣接して端面101、102に露出することはない。つまり、端面101、102における第2の接着層40の膜厚T2はほぼ一定であり、リッジ部のような第2の接着層40の厚みが急激に変化する場所はない。このため、光導波路素子1においては、端面から内部に進行する第2の接着層40の剥離は生じにくい。
【0036】
以上に説明したように、本発明の実施形態に係る光導波路素子1によれば、中央領域120において3次元導波路構造を形成し、端部110、130においてスラブ型導波路構造を形成することにより、光学接着剤の剥離が生じない光導波路素子を実現することができる。
【0037】
図5、及び、図6(a)、図6(b)、図6(c)〜図8(a)、図8(b)、図8(c)を用いて、本発明の実施形態に係る光導波路素子1の製造方法を説明する。図6〜図8において、図(a)は端面図、図(b)は光の伝播方向に垂直な中央領域120の断面図、図(c)は側面図である。なお、以下に述べる光導波路素子1の製造方法は一例であり、この変形例を含めて、これ以外の種々の製造方法により実現可能であることは勿論である。
【0038】
図5に示すように、光導波路層30として使用する強誘電体結晶基板300に周期分極反転構造を形成する。強誘電体結晶基板300には、例えば、強誘電体結晶の分極方向のZ軸方向と垂直なZ面を主面とするZ方向基板が使用される。ここでは、Z方向LT基板を強誘電体結晶基板300に使用する。
【0039】
周期分極反転構造を形成した強誘電体結晶基板300を、第1の光学接着剤によって基板10に貼り付ける。これにより、図6(a)〜図6(c)に示すように、基板10と強誘電体結晶基板300間に第1の接着層20が形成される。基板10には、例えば膜厚が1000μm程度のLT基板が採用される。第1の接着層20の膜厚は、例えば1〜3μm程度である。
【0040】
次いで、例えば膜厚4.8μm程度まで強誘電体結晶基板300を薄片研磨した後、フォトリソグラフィ技術及びイオンミリングなどによって強誘電体結晶基板300の上部を部分的にエッチングして、リッジ部35を取り囲む溝を形成する。これにより、図7(a)〜図7(c)に示すように、リッジ部35を有する光導波路層30が形成される。このとき、端部110、130においては強誘電体結晶基板300をエッチングせず、リッジ部35は形成されない。例えば、リッジ幅Wは3μm程度であり、リッジ部35の両側に形成される溝の幅Wgは10μm程度である。
【0041】
その後、第2の光学接着剤によって、光導波路層30にキャップ層50が貼り付けられる。これにより、図8(a)〜図8(c)に示すように、光導波路層30とキャップ層50間に第2の接着層40が形成される。キャップ層50には、例えば膜厚200μm程度のLT基板が採用される。第2の接着層40の膜厚は、中央領域120のリッジ部35及び端部110、130では、例えば1〜4μm程度であり、中央領域120の溝部では、例えば4〜7μm程度である。
【0042】
通常、一つの強誘電体結晶基板300を用いて複数の光導波路素子1が形成される。このため、1の基板10上に形成された複数の光導波路素子1からダイシングによって個々の光導波路素子1を切り出す。その後、端面101、102を研磨して、光導波路素子1が完成する。
【0043】
光導波路素子1の全長は、例えば1000μm程度である。また、端部110、130の長さは10μm程度である。端部110、130の長さ、即ちスラブ型導波路構造の部分が長いと、光導波路素子1に入射された光が拡散する距離が長くなる。このため、端部110、130の長さは、光学接着剤の剥離が発生せず、かつ、光が拡散する距離ができるだけ短いように設定される。また、端部110、130の長さは、光導波路素子1の後段光学系のワーキングディスタンスも考慮して設定される。
【0044】
基板10及びキャップ層50には、光導波路層30と同一の材料を使用することが好ましい。これは、熱膨張率などの特性が異なる材料を使用することにより光導波路素子1に歪が生じ、特性や歩留まりが低下することを防止するためである。
【0045】
なお、光導波路素子1に入射された光が光導波路層30を伝播するように、第1の接着層20及び第2の接着層40の屈折率が光導波路層30に使用される強誘電体結晶基板300の屈折率よりも小さいように、第1及び第2の光学接着剤が選択される。これにより、光導波路素子1に入射された光が光導波路層30に閉じ込められる。
【0046】
光導波路層30として使用する強誘電体結晶基板300に周期分極反転構造を形成するには、強誘電体結晶基板300の表面に一定の間隔で配置した電極に電圧を印加する電圧印加方法などが用いられる。例えば、強誘電体結晶基板300の表面に配置した櫛形形状の電極と、強誘電体結晶基板300の裏面に一様に配置した平面電極との間に所定の電圧を印加する。これにより、櫛形形状の電極の櫛の歯部分に相当する電極片の直下に分極反転が生じ、強誘電体結晶基板300に周期分極反転構造が形成される。
【0047】
例えば光導波路素子1をQPM型の波長変換素子として使用する場合は、光導波路素子1に入射されるレーザ光の波長及び出力されるレーザ光の波長に応じて、光導波路層30の分極反転させる領域の幅及び間隔が適宜設定される。
【0048】
(その他の実施形態)
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0049】
例えば、既に述べた実施形態の説明においては、基板10、光導波路層30及びキャップ層50にLT基板を採用する例について示したが、基板10、光導波路層30及びキャップ層50にLT基板以外の、LN基板や石英基板を使用してもよい。
【0050】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0051】
1…光導波路素子
3…第1の剛体
4…光学接着剤
5…第2の剛体
10…基板
20…第1の接着層
30…光導波路層
35…リッジ部
40…第2の接着層
50…キャップ層
101、102…端面
110、130…端部
120…中央領域
300…強誘電体結晶基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
強誘電体結晶からなる基板と、
前記基板上に形成された第1の接着層と、
前記第1の接着層を介して前記基板と接合された強誘電体結晶からなる光導波路層と、
前記光導波路層上に形成された第2の接着層と、
前記第2の接着層を介して前記光導波路層と接合された、強誘電体結晶からなるキャップ層と
を備え、両端部においてスラブ型導波路構造を形成し、前記両端部に挟まれた中央領域において3次元導波路構造を形成していることを特徴とする光導波路素子。
【請求項2】
前記光導波路層が、光が伝播する方向に沿って周期的に分極方向が反転する強誘電体結晶からなることを特徴とする請求項1に記載の光導波路素子。
【請求項3】
前記中央領域において、前記光導波路層にリッジ部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光導波路素子。
【請求項4】
前記第1及び第2の接着層が樹脂の光学的接着剤からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光導波路素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−168384(P2012−168384A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−29851(P2011−29851)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】