説明

光消色性材料層用感光性組成物

【課題】コントラストを増大させて、解像性能を良好とすることができる光消色性材料層用感光性組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】式(1)で表される化合物及び樹脂を含有する光消色性材料層用感光性組成物。


[式(1)中、R及びRは、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜12のアルコキシ基、アクリロイル基又はメタクリロイル基を表す。前記脂肪族炭化水素基及びアルコキシ基に含まれる水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよく、前記脂肪族炭化水素基及びアルコキシ基は、炭素−炭素二重結合を有していてもよい。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光消色性材料層用感光性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体プロセスにおけるリソグラフィー技術等で用いられる感光性樹脂組成物の解像度を向上させるための技術として、コントラストエンハンスメントリソグラフィ技術(CEL)によるレジストパターンの形成方法が知られている(例えば、特許文献1:特開平6−310391号公報及び特許文献2:特開平5−90149号公報)。
具体的には、基板上にフォトレジスト層と光消色性材料層とを順次積層し、第一の露光を、光消色性材料層の中心に焦点を合せ、光消色性材料層が消色するように行ない、第二の露光を、フォトレジスト層の中心に焦点を合せ、レジスト層をパターン化させるように行なう。
しかし、光消色性材料層の光消色性材料として具体的にどのようなものが有用であるかはあまり研究されておらず、実際、上述した特許文献には、光消色性材料の具体的に記載されていない。
また、近年フォトリソグラフィーにおいて、193nm波長を用いた2重露光法などのダブルパターニング技術に注目されており、特に193nmの波長における光消色性材料に関する開発が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、コントラストを増大させて、解像性能を良好とすることができる光消色性材料層用感光性組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の光消色性材料層用感光性組成物は、式(1)で表される化合物及び樹脂を含有することを特徴とする。

[式(1)中、R及びRは、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜12のアルコキシ基、アクリロイル基又はメタクリロイル基を表す。前記脂肪族炭化水素基及びアルコキシ基に含まれる水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよく、前記脂肪族炭化水素基及びアルコキシ基は、炭素−炭素二重結合を有していてもよい。]
【0005】
このような光消色性材料層用感光性組成物では、前記樹脂が、
(b1)酸に不安定な基を側鎖に有する構造単位、
(b2)水酸基を側鎖に有する構造単位、
(b3)ラクトン構造を側鎖に有する構造単位、及び
(b4)フッ素を含む構造を側鎖に有する構造単位からなる群から選択される少なくとも1種の構造単位を含有する樹脂であることが好ましい。
【0006】
また、前記(b1)〜(b2)の構造単位が、式(I)で表される構成単位であることが好ましい。

[式(I)中、Xは、単結合、炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数1〜6のアルキレン−カルボニルオキシ基又は炭素数1〜6のアルキレンオキシ基を表す。
は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基を表す。
は、炭素数3〜20の脂環式炭化水素基、5〜7員のラクトン環基、5〜7員のラクトン環を含む縮合環基を表し、これらの基に含まれる水素原子は、水酸基、シアノ基、カルボキシル基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のフッ素化アルキル基及び炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基からなる群から選択される少なくとも1種で置換されていてもよく、これらの基に含まれるメチレン基は、酸素原子及び/又はカルボニル基で置換されていてもよい。]
【0007】
さらに、前記樹脂に含まれる構造単位が、ジ(トリフルオロメチル)ヒドロキシメチル基を有するアクリル系モノマーから導かれる構造単位であることが好ましい。
【0008】
また、前記ジ(トリフルオロメチル)ヒドロキシメチル基を有するアクリル系モノマーから導かれる構造単位が、式(b4−1)で表される化合物から導かれる構造単位であることが好ましい。

[式(I)中、Wは、炭素数6〜12の脂環式炭化水素基を表し、
は、水素原子又はメチル基を表す。
は、ジ(トリフルオロメチル)ヒドロキシメチル基で置換された炭素数1〜6のアルキル基を表す。]
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、コントラストを増大させて、解像性能を良好とすることができる光消色性材料層用感光性組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の光消色性材料層用感光性組成物の露光量に対する吸光度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の光消色性材料層用感光性組成物(以下、CEL組成物と略すことがある。)は、主として、式(1)で表される化合物と樹脂とを含む。
なお、本明細書では、特に断りのない限り、炭素数を適宜選択しながら、各置換基の例示は、同様の置換基を有するいずれの化学構造式においても適用される。直鎖又は分岐の双方をとることができるものは、そのいずれをも含む。
また、(メタ)アクリル酸の記載は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を表す。
【0012】
式(1)で表される化合物は、以下のとおりである。

[式(1)中、R及びRは、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜12のアルコキシ基、アクリロイル基又はメタクリロイル基を表す。前記脂肪族炭化水素基及びアルコキシ基に含まれる水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよく、前記脂肪族炭化水素基及びアルコキシ基は、炭素−炭素二重結合を有していてもよい。]
【0013】
ここで、脂肪族炭化水素基としては、直鎖状、分岐状、環状(単環、多環、縮合環、環集合を含む)の炭化水素基及びこれらを組合せた基が挙げられる。
具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、2−エチルプロピル基、n−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、3−エチルブチル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、2−エチルヘキシル基、tert−オクチル基等のアルキル基;
シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等の単環式炭化水素基;

等の多環式炭化水素基等が挙げられる。
【0014】
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、イソプロポキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基及びtert−オクチルオキシ基などが挙げられる。
【0015】
脂肪族炭化水素基に含まれる水素原子がフッ素原子で置換された基としては、ペルフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロペンチル基、ペルフルオロヘキシル基、ペルフルオロヘプチル基、ペルフルオロオクチル基、ペルフルオロノニル基、ペルフルオロデシル基、ペルフルオロウンデシル基及びペルフルオロドデシル基などが挙げられる。
【0016】
アルコキシ基に含まれる水素原子がフッ素原子で置換された基としては、ペルフルオロメチトキシ基、ペルフルオロエトキシ基、ペルフルオロプロポキシ基、ペルフルオロブトキシ基、ペルフルオロペンチルオキシ基、ペルフルオロヘキシルオキシ基、ペルフルオロヘプチルオキシ基、ペルフルオロオクチルオキシ基、ペルフルオロノニルオキシ基、ペルフルオロデシルオキシ基、ペルフルオロウンデシルオキシ基及びペルフルオロドデシルオキシ基などが挙げられる。
【0017】
1及びR2としては、好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、イソプロピル基、sec−ブチル基及びtert−ブチル基が挙げられ、より好ましくはメチル基及びエチル基が挙げられ、さらに好ましくはメチル基が挙げられる。
1及びR2は、互いに異なっていてもよいが、同一であるものが好ましい。
【0018】
前記樹脂は、(b1)酸に不安定な基を側鎖に有する構造単位、
(b2)水酸基を側鎖に有する構造単位、
(b3)ラクトン構造を側鎖に有する構造単位、及び
(b4)フッ素を含む構造を側鎖に有する構造単位からなる群から選択される少なくとも1種の構造単位を含有する。つまり、これらの構造単位は、1種のみの構造単位を含有するものでもよいし、2種以上の構造単位を含有するものでもよい。ただし、これらの構造単位は、それぞれ、(b1)〜(b4)のいずれかの特性を有する構造単位であってもよいが、1種の構造単位に、(b1)〜(b4)の2種以上の特性を有するものが存在していてもよい。
【0019】
ここで用いられる樹脂は、通常、フォトレジスト用途に用いられるものであればどのようなものでも用いることができる。例えば、特開2008−233613号公報、特開2006−126818号公報、特開2005−331918号公報等の、種々の公知の樹脂が例示される。
【0020】
これら(b1)〜(b4)の構造単位は、例えば、式(I)で表される構成単位を有するものが挙げられる。

[式(I)中、Xは、単結合、炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数1〜6のアルキレン−カルボニルオキシ基又は炭素数1〜6のアルキレンオキシ基を表す。
は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル又は炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基を表す。
は、炭素数3〜20の脂環式炭化水素基、5〜7員のラクトン環基、5〜7員のラクトン環を含む縮合環基を表し、これらの基に含まれる水素原子は、水酸基、シアノ基、カルボキシル基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のフッ素化アルキル基及び炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基からなる群から選択される少なくとも1種で置換されていてもよく、これらの基に含まれるメチレン基は、酸素原子及び/又はカルボニル基で置換されていてもよい。]
【0021】
ここで、アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基、n−ペンチレン基、1−メチルブチレン基、2−メチルブチレン基、3−メチルブチレン基、1−エチルプロピレン基、2−エチルプロピレン基、n−ヘキシレン基、1−メチルペンチレン基、2−メチルペンチレン基、3−メチルペンチレン基、4−メチルペンチレン基、1−エチルブチレン基、2−エチルブチレン基、3−エチルブチレン基等が挙げられる。
【0022】
前記アルキレン−カルボニルオキシ基としては、メチレンカルボニルオキシ基、エチレンカルボニルオキシ基、プロピレンカルボニルオキシ基等が例示される。なかでもメチレンカルボニルオキシ基が好ましい。
前記アルキレンオキシ基としては、メチレンオキシ基、エチレンオキシ基等が例示される。
【0023】
前記ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子が挙げられ、好ましくはフッ素原子が挙げられる。
【0024】
前記ハロゲン化アルキル基としては、上述したアルキル基における1以上の水素原子、好ましくは全ての水素原子がハロゲン原子、好ましくはフッ素原子で置換されたものが挙げられる。好ましくはトリフルオロメチル基及びパーフルオロエチル基が挙げられ、より好ましくはトリフルオロメチル基が挙げられる。
【0025】
炭素数3〜20の脂環式炭化水素基としては、例えば、上述した単環式炭化水素基及び多環式炭化水素基に加え、シクロノニル基、シクロデシル基、1−アダマンチル基、イソボルニル基、

などが挙げられる。
5〜7員のラクトン環としては、

等が例示される。結合部位としては、好ましくはカルボニル基の隣接位が挙げられる。
【0026】
ラクトン環を含む縮合環基としては、例えば、炭素数4〜10の脂環式炭化水素基又は複素環基を含むものが好ましい。
【0027】
複素環基としては、

等が例示される。これらの基の結合位置は、好ましくはヘテロ原子の隣接位置である。
【0028】
ラクトン環を含む縮合環基としては、

等が例示される。
【0029】
これらの脂環式炭化水素基、ラクトン環基、ラクトン環含有縮合環基は、いずれも、水酸基、シアノ基、カルボキシル基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のフッ素化アルキル基及び炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基からなる群から選択される1種又は2種以上で置換されていてもよい。好ましくは水酸基及び/又はフッ素化アルキル基を含有する置換基で置換されているものであり、より好ましくは水酸基及びフッ素化アルキル基の双方で置換されているものである。
【0030】
特に、樹脂を構成する構造単位(b1)〜(b4)は、いずれも、アクリル系モノマーから導かれる構造単位が適しており、ジ(トリフルオロメチル)ヒドロキシメチル基を有するアクリル系モノマーから導かれる構造単位を含むものが好ましい。
このような構造単位としては、例えば、式(b4−1)で表される化合物から導かれる構造単位が挙げられる。

[式(I)中、Wは、炭素数6〜12の脂環式炭化水素基を表し、
は、水素原子又はメチル基を表す。
は、ジ(トリフルオロメチル)ヒドロキシメチル基で置換された炭素数1〜6のアルキル基を表す。]
【0031】
式(b4−1)で表される化合物としては、具体例には、以下の化合物が挙げられる。

【0032】


【0033】
上述した樹脂としては、例えば、以下のモノマー(1)〜(46)から導かれる構造単位を含有するものが例示される。
【0034】

【0035】

【0036】

【0037】

【0038】

【0039】

【0040】

【0041】

【0042】

【0043】

【0044】
本発明に用いる樹脂は、当該分野で公知の方法によって製造することができる。例えば、ラジカル重合が例示される。
まず、1種又はそれ以上のモノマーを有機溶剤に溶解させ、次いで、1種以上のラジカル重合開始剤を溶解させる。そして、得られた反応溶液を所定反応温度において保温することにより、樹脂を製造することができる。
【0045】
重合に用いられる有機溶剤としては、モノマーと開始剤及び得られる重合体のいずれも溶解できる溶剤が好ましい。このような有機溶剤としては、トルエン等の炭化水素、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチルイソブチルケトン、イソプロピルアルコール、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル等が挙げられ、それぞれ、単独でもよいし、2種類以上の溶剤を混合して用いてもよい。
本発明に用いる樹脂の製造方法における反応温度は、0〜150℃の範囲であって、好ましくは40〜100℃の範囲である。
【0046】
本発明の樹脂の製造に用いられる重合開始剤は、特に限定されるものではなく、公知のものを用いることができる。重合開始剤の具体例として、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)などのアゾ系化合物;ラウリルパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシピバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシドなどの有機過酸化物;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素など無機過酸化物等が挙げられる。
【0047】
本発明のCEL組成物においては、固形分の合計に対して、樹脂を、80〜99.9重量%程度、式(1)の化合物を、0.1〜20重量%程度の範囲で含有させることが適している。
【0048】
光消色性材料層用感光性組成物は、さらに、必要に応じて、増感剤、溶解抑止剤、他の樹脂、界面活性剤、安定剤、染料など、各種の添加物を少量含有することもできる。
【0049】
本発明のCEL組成物は、通常、シリコンウェハーなどの基体上に塗布された当該分野で使用される感光性樹脂組成物の上に、スピンコーティングなどの通常用いられる方法に従って塗布することができる。ここで用いられる溶剤は、各成分を溶解し、適当な乾燥速度を有し、溶剤が蒸発した後に均一で平滑な塗膜を与えるものであればよく、この分野で一般に用いられている溶剤を使用することができる。
【0050】
例えば、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールエーテルエステル類、乳酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル及びピルビン酸エチルのようなエステル類、アセトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン及びシクロヘキサノンのようなケトン類、γ−ブチロラクトンのような環状エステル類などを挙げることができる。これらの溶剤は、それぞれ単独で、又は2種以上 組合せて用いることができる。
【0051】
感光性樹脂組成物の上に塗布され、乾燥された光消色性材料層には、感光性樹脂組成物のパターニングのための露光処理が施され、任意に加熱処理を行った後、アルカリ現像液で現像される。
ここで用いるアルカリ現像液は、この分野で用いられる各種のアルカリ性水溶液であることができるが、一般には、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドや(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド(通称コリン)の水溶液が適している。
【実施例】
【0052】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に断らない場合、部は重量部を表す。また、得られた樹脂の平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィによって算出した。
測定条件は下記のとおりである。
装置:HLC−8120GPC(東ソー(株)製)
カラム:TOSOH TSKGEL Multipore HXL−M 3連結+ガードカラム(東ソー社製)
溶離液:テトラヒドロフラン
流量:1.0mm/min
検出器:RI検出器
カラム温度:40℃
注入量:100μL
分子量標準:標準ポリスチレン(東ソー社製)
【0053】
〔樹脂A1の合成〕

上記のモノマー50g及び1,4−ジオキサン100gの混合物に、前記モノマーの合計モル数に対して、アゾビスイソブチロニトリル、1.5mol%とアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)4.5mol%とを添加し、得られた混合物を75℃で5時間加熱した。その後、得られた混合物を、混合物に対して大過剰量の、メタノールと水の容量比4:1の混合溶媒中に注いで、粗製樹脂1を沈殿させ、該粗製樹脂1を濾過して取り出した。得られた粗製樹脂1の全量を、テトラヒドロフラン100gに溶解させて樹脂溶液を調整し、これを先と同組成の大過剰量の混合溶媒に注いで、粗製樹脂2を沈殿させ、該粗製樹脂2を濾過して取り出した。同じ操作をさらに1回繰り返して、精製された樹脂(A1)を、取り出した。
得られた樹脂(A1)の重量平均分子量は約16,000であり、その収率93%はであった。
【0054】
実施例1
表1の各成分を記載された比率で混合して溶解し、さらに孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過して、CEL組成物1を調製した。
【0055】
【表1】

【0056】
スピンコーターを用いて、ガラス基板上に、CEL組成物1を塗布し、ホットプレート上で加熱することにより、組成物中の溶媒を除去した。得られた乾燥膜の膜厚を膜厚計(KT−22;Foothill社製)で測定したところ、805nmであった。
得られた乾燥膜に、露光機(VUVES−4800;リソテックジャパン(株)製)を用いて露光し、積算露光量と乾燥膜の193nmにおける透過率とを測定し、これを吸光度に換算し、グラフにプロットした。
吸光度への換算は、以下の式(1)を用いて行った。
吸光度=−1÷膜厚×log(透過率(%)÷100) 式(1)
ここでlogは、eを底とした自然対数を用いた。
膜厚の単位は、nmを用いた。吸光度の単位は、1/nmである。
その結果を図1に示す。
【0057】
比較例1
表1の各成分を記載された比率で混合して溶解し、さらに孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過して、CEL組成物2を調製した。
実施例1と同様にして、乾燥膜を形成し、その膜厚を測定したところ、803nmであった。実施例1と同様にして、乾燥膜への露光を行い、積算露光量と乾燥膜の193nmにおける透過率とを測定し、これを吸光度に換算し、グラフにプロットした。
吸光度への換算は、式(1)を用いて行った。
その結果を図1に示す。
【0058】
図1の結果から、実施例1の組成物を用いた場合、積算露光量の増加に伴い、吸光度は低下し、光消色性材料としての機能を有していることがわかる。
一方、比較例では、積算露光量の増加に伴い、若干、吸光度が増加し、光消色性材料としての機能を有していない。
【0059】
実施例2
スピンコーターを用いて、シリコン基板上に、市販のArF化学増幅型フォトレジスト組成物を塗布し、これをホットプレート上でプリベークして、乾燥膜を得る。
得られた乾燥膜上に、スピンコーターを用いて実施例1で用いたCEL組成物1を塗布し、ホットプレート上で加熱することにより、組成物中の溶媒を除去する。
得られた乾燥膜に、露光機ArFエキシマステッパー〔FPA5000−AS3;(株)キャノン製、NA=0.75、2/3Annular〕を用いて、フォーカスをArF化学増幅型フォトレジスト組成物の層に合せて、所定のフォトマスクを介してパターニング露光する。
次いで、ポストエキスポージャーベークを行い、アルカリ現像液を用いて現像処理する。さらに、超純水を用いてリンスし、乾燥したところ、目的のパターンが得られる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明によれば、コントラストを増大させて、解像性能を良好とすることができる光消色性材料層用感光性組成物を提供することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0061】
【特許文献1】特開平6−310391号公報
【特許文献2】特開平5−90149号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表される化合物及び樹脂を含有する光消色性材料層用感光性組成物。

[式(1)中、R及びRは、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜12のアルコキシ基、アクリロイル基又はメタクリロイル基を表す。前記脂肪族炭化水素基及びアルコキシ基に含まれる水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよく、前記脂肪族炭化水素基及びアルコキシ基は、炭素−炭素二重結合を有していてもよい。]
【請求項2】
前記樹脂が、
(b1)酸に不安定な基を側鎖に有する構造単位、
(b2)水酸基を側鎖に有する構造単位、
(b3)ラクトン構造を側鎖に有する構造単位、及び
(b4)フッ素を含む構造を側鎖に有する構造単位からなる群から選択される少なくとも1種の構造単位を含有する樹脂である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記(b1)〜(b2)の構造単位が、式(I)で表される構成単位である請求項2に記載の組成物。

[式(I)中、Xは、単結合、炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数1〜6のアルキレン−カルボニルオキシ基又は炭素数1〜6のアルキレンオキシ基を表す。
は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基を表す。
は、炭素数3〜20の脂環式炭化水素基、5〜7員のラクトン環基、5〜7員のラクトン環を含む縮合環基を表し、これらの基に含まれる水素原子は、水酸基、シアノ基、カルボキシル基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のフッ素化アルキル基及び炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基からなる群から選択される少なくとも1種で置換されていてもよく、これらの基に含まれるメチレン基は、酸素原子及び/又はカルボニル基で置換されていてもよい。]
【請求項4】
前記樹脂に含まれる構造単位が、ジ(トリフルオロメチル)ヒドロキシメチル基を有するアクリル系モノマーから導かれる構造単位である請求項1〜3のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項5】
前記ジ(トリフルオロメチル)ヒドロキシメチル基を有するアクリル系モノマーから導かれる構造単位が、式(b4−1)で表される化合物から導かれる構造単位である請求項4に記載の組成物。

[式(I)中、Wは、炭素数6〜12の脂環式炭化水素基を表し、
は、水素原子又はメチル基を表す。
は、ジ(トリフルオロメチル)ヒドロキシメチル基で置換された炭素数1〜6のアルキル基を表す。]

【図1】
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【公開番号】特開2010−230995(P2010−230995A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−78731(P2009−78731)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】