説明

光源装置、光信号発生装置、および電気信号発生装置

【課題】出力光強度が一定の光周波数変調光を出力する光源。
【解決手段】周波数制御信号に応じた光周波数の光信号を出力する光源装置であって、周波数制御信号に応じた光周波数のレーザ光を出力するレーザ光源と、レーザ光の強度変化を補償して、光周波数の変化に伴う強度変化を抑えたレーザ光を出力する光強度調整部と、を備える光源装置を提供する。光強度調整部は、レーザ光源部からのレーザ光の増幅率を周波数制御信号に基づき調整して、周波数制御信号に応じたレーザ光の強度の変化を抑えて出力する光増幅部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置、光信号発生装置、および電気信号発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体レーザの駆動電流を変化させることにより、出力レーザ光の光周波数を変えられることが知られている。このように半導体レーザの駆動電流を変化させると、出力光強度も変調されるので、出力光を一定にする目的で、出力光強度をモニタして出力光の変化に応じて増幅率を制御するフィードバック制御機能を有する光増幅器を備えていた(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1 特開平6−196791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このようなフィードバック制御を実行するには、複雑な制御回路等を用いなければならなかった。また、制御回路でフィードバック制御を実行する場合、応答速度が回路によって制限され、回路の制限を超えて高速に光周波数を変調することはできなかった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様においては、周波数制御信号に応じた光周波数の光信号を出力する光源装置であって、周波数制御信号に応じた光周波数のレーザ光を出力するレーザ光源と、レーザ光の強度変化を補償して、光周波数の変化に伴う強度変化を抑えたレーザ光を出力する光強度調整部と、を備える光源装置を提供する。
【0005】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本実施形態に係る光源装置100の構成例を示す。
【図2】本実施形態に係る光源装置100に備えられる、レーザ光源部120の注入電流Iに対する出力光強度Lの特性の例を示す。
【図3】本実施形態に係る光源装置100に備えられる、光増幅部134の入力光強度に対する出力光強度の特性の例を示す。
【図4】本実施形態に係る光源装置100の変形例を示す。
【図5】本実施形態に係る光信号発生装置600と、光電変換部520とを備える電気信号発生装置700の構成例を示す。
【図6】本実施形態に係る試験装置1000の構成例を被試験デバイス10と共に示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0008】
図1は、本実施形態に係る光源装置100の構成例を示す。光源装置100は、周波数制御信号に応じた光周波数の光信号を出力する。また、光源装置100は、出力光強度が略一定の光信号を出力する。光源装置100は、制御信号発生部110と、レーザ光源部120と、光強度調整部130と、電源部140と、スイッチ部150とを備える。
【0009】
制御信号発生部110は、レーザ光源部120を駆動する駆動電流を変更する周波数制御信号を出力する。制御信号発生部110は、周波数制御信号を出力して、レーザ光源部120が出力する光出力の光周波数を制御する。制御信号発生部110は、周期信号の周波数制御信号を出力してよい。一例として、制御信号発生部110は、正弦波信号を周波数制御信号として出力する。
【0010】
レーザ光源部120は、周波数制御信号に応じた光周波数のレーザ光を出力する。レーザ光源部120は、半導体レーザを有してよい。レーザ光源部120は、注入電流に応じた光周波数のレーザ光を出力する。レーザ光源部120は、発振モードが単一の半導体レーザを有してよい。例えば、レーザ光源部120は、共振器の反射面として回折格子を素子内に作り込み、回折格子で選択された波長を効率よく放出して単一縦モードで発振するDFB(Distributed FeedBack:分布帰還型)レーザまたはDBR(Distributed Bragg Reflector:分布反射型)レーザを有する。
【0011】
光強度調整部130は、レーザ光の強度変化を補償して、光周波数の変化に伴う強度変化を抑えたレーザ光を出力する。光強度調整部130は、位相反転部132と、光増幅部134と、制御信号増幅部136と、ドライバ部138とを有する。
【0012】
位相反転部132は、周波数制御信号と逆相の強度制御信号を生成する。位相反転部132は、入力される周波数制御信号の位相をシフトして、周波数制御信号の位相を反転させる位相シフト装置を含んでよい。制御信号発生部110が発生する周波数制御信号が周期信号の場合、位相反転部132は、例えば周波数制御信号の位相を略1/2周期シフトすることで、周波数制御信号の逆相の強度制御信号を生成することができる。位相シフト装置は、電気信号を伝送する伝送ラインの電気長を変えて、出力する電気信号の位相を調整する位相調整器でよい。また、位相シフト装置は、遅延回路であってよい。
【0013】
位相反転部132は、入力される周波数制御信号の正負を反転させるインバータ回路を含んでよい。位相反転部132は、周波数制御信号が周期信号でなくても、インバータ回路によって、周波数制御信号の逆送の強度制御信号を生成することができる。この場合においても、位相反転部132は、位相シフト装置を有してよく、位相シフト装置は、光増幅部134に到達する強度制御信号の位相を微調整してよい。
【0014】
光増幅部134は、レーザ光源部120からのレーザ光の増幅率を周波数制御信号に基づき調整して、周波数制御信号に応じたレーザ光の強度の変化を抑えて出力する。光増幅部134は、入力レーザ光の強度の増加に伴って出力光の増幅率を減少させてよい。光増幅部134は、レーザ光源部から受け取ったレーザ光を、位相反転部132が出力する強度制御信号に応じた増幅率で増幅して出力する光増幅器を有する。光増幅器は、一例として、注入する電流に応じた増幅率で増幅する半導体光増幅器でよい。
【0015】
制御信号増幅部136は、制御信号発生部110が発生させた周波数制御信号を増幅する。制御信号増幅部136は、光強度調整部130がレーザ光源部120からのレーザ光の強度変化を抑えるべく、位相反転部132が光増幅部134に入力すべき信号強度の強度制御信号を出力するように、周波数制御信号を増幅して位相反転部132に出力する。ここで、制御信号増幅部136は、1以下の増幅率で周波数制御信号を増幅してもよい。制御信号増幅部136は、電気信号を増幅する増幅器を有してよく、また、電気信号を減衰させる減衰器を有してもよい。
【0016】
ドライバ部138は、光増幅部134のドライブ電流を出力する。ドライバ部138は、直流電流を出力してよい。光増幅部134は、ドライバ部138が出力する直流電流に、制御信号増幅部136が出力する増幅された周波数制御信号が重畳され、位相反転部132で逆相となった強度制御信号が入力される。
【0017】
電源部140は、レーザ光源部120を駆動する駆動電流を出力する。電源部140は、直流電流を出力してよい。
【0018】
スイッチ部150は、周波数制御信号を出力する制御信号発生部110とレーザ光源部120との間に備わり、周波数制御信号をレーザ光源部120に供給するか否かを切り換える。スイッチ部150がオン状態の場合、光源装置100は、周波数制御信号に応じた光周波数で、かつ、出力光強度が略一定の光信号を出力する。この場合、レーザ光源部120は、電源部140が出力する駆動電流に、制御信号発生部110が出力する周波数制御信号が重畳された駆動信号が入力され、駆動信号に応じたレーザ光を出力する。
【0019】
スイッチ部150がオフ状態の場合、光源装置100は、周波数制御信号に応じて光強度が変更されたレーザ光を出力する。この場合、例えば、制御信号発生部110が周波数制御信号を発生させないことで、光源装置100は、一定強度のCW光源として機能することができる。また、制御信号発生部110が周波数制御信号を周期的な変調信号として出力することで、光源装置100は、強度変調光源として機能することができる。
【0020】
図2は、本実施形態に係る光源装置100に備えられる、レーザ光源部120の注入電流Iに対する出力光強度Lの特性の例を示す。図中の横軸は、レーザ光源部120へ注入する電流Iを示し、縦軸は、レーザ光源部120が出力する出力光強度Lを示す。
【0021】
本例のレーザ光源部120は、注入される電流Iが閾値電流Iを超えるとレーザ発振してレーザ光を出力する。レーザ光源部120は、注入される電流Iに比例した光強度Lのレーザ光を出力する。
【0022】
一例として、電源部140は、予め定められた一定強度の駆動電流Iをレーザ光源部120に供給して、A点で示されるように光強度Lのレーザ光を出力する。ここで、制御信号発生部110は、光周波数を制御する周波数制御信号として駆動電流Iを変更する電流信号を出力する。
【0023】
例えば、制御信号発生部110は、正弦波の変調電流Iを出力して駆動電流Iに重畳する。これによって、レーザ光源部120は、光周波数を正弦波で変調したレーザ光を出力する。しかしながら、レーザ光源部120は、駆動電流Iを変調電流Iで変調することで、出力光強度もLに示すような強度変調信号として出力する。本実施形態に係る光源装置100は、このようなレーザ光の強度変化を、光強度調整部130で補償して、光周波数の変化に伴う強度変化を抑える。
【0024】
図3は、本実施形態に係る光強度調整部130に備えられる、光増幅部134の入力光強度に対する出力光強度の特性の例を示す。図中の横軸は、光増幅部134に入力する入力光強度を示し、縦軸は、光増幅部134が出力する出力光強度を示す。
【0025】
このように、光増幅部134は、入力光強度の増加に伴って出力光の増幅率を減少させ、増幅率が飽和する傾向を有する低飽和型の半導体光増幅器であってよい。これによって、光増幅部134は、強度変調信号Lが入力されると、光強度の振幅に応じた増幅率で増幅する。即ち、光増幅部134は、振幅光強度が小さくなることに応じて増幅率が高くなり、また、振幅光強度が大きくなることに応じて増幅率を低くする。これによって、光増幅部134は、入力された強度変調信号Lの強度変化を抑えることができる。
【0026】
ここで、図中に示す低飽和型光増幅器の増幅率の特性は、光増幅部134に注入する電流に応じて、縦軸および横軸を平行移動させる傾向を有する。例えば、光増幅部134は、注入電流の増加に応じて増幅率を飽和させる入力光強度を増加させるので、増幅率の特性を横軸のプラス方向に移動させる。この場合、光増幅部134は、注入電流の増加に応じて飽和する出力光強度も増加させるので、増幅率の特性を縦軸のプラス方向に移動させる。
【0027】
また、光増幅部134は、注入電流の減少に応じて増幅率を飽和させる入力光強度を減少させるので、増幅率の特性を横軸のマイナス方向に移動させる。この場合、光増幅部134は、注入電流の減少に応じて飽和する出力光強度も減少させるので、増幅率の特性を縦軸のマイナス方向に移動させる。したがって、ドライバ部138は、入力される強度変調信号Lに対して、光増幅部134が低飽和型増幅器として機能する注入電流を、光増幅部134に供給する。
【0028】
光源装置100は、光増幅部134がこのような低飽和型の光増幅器としての機能を充分に持たない場合、あるいは、光増幅部134を飽和の傾向にさせるほど入力光強度が大きくなく、強度変化の抑制が不十分な場合等は、入力光の強度変化を打ち消すように光増幅部134の注入電流を制御してよい。
【0029】
図2で説明したように、光増幅部134の入力光の強度変化は、周波数制御信号に応じて生じる。したがって、光増幅部134は、周波数制御信号に応じて光強度が変化する入力光に対して、周波数制御信号とは逆相のタイミングで増幅率を変化させることで、光周波数の変化に伴う強度変化を抑えることができる。
【0030】
そこで光源装置100は、制御信号発生部110から出力される周波数制御信号を、位相反転部132にて逆相にして、ドライバ部138から出力される光増幅部134の駆動電流に重畳させ、強度制御信号として光増幅部134に供給する。ここで、位相反転部132は、周波数制御信号に応じて入力光の光強度が減少する場合に光増幅部134の増幅率を上げ、入力光の光強度が増加する場合に光増幅部134の増幅率を下げるように、強度制御信号が光増幅部134に到達するタイミングを調節して光増幅部134に供給する。
【0031】
また、制御信号増幅部136は、光増幅部134の出力光が略一定の光強度になるように、光増幅部134の増幅率を制御する強度制御信号の振幅強度を位相反転部132に出力させる。一例として、光源装置100は、光増幅部134が出力する出力光を予め測定して、制御信号増幅部136が光増幅部134の出力光を一定にさせる周波数制御信号の増幅率を予め調節してよい。
【0032】
以上の本実施形態に係る光源装置100によれば、光増幅部134を低飽和型増幅器としての機能させること、および/または光増幅部134の増幅率を入力光の強度変化に応じて変化させることで、光周波数の変化に伴う強度変化を抑えたレーザ光を出力することができる。これによって、光源装置100は、光周波数を周波数制御信号に応じて変化させつつ、略一定の光強度の光信号を出力することができる。
【0033】
また、光源装置100は、複雑なフィードバック回路を用いずに、光強度を略一定に抑えることができる。したがって、光源装置100は、フィードバック回路の制限がないので、光周波数を高速に変化させることができる。
【0034】
また、光源装置100は、スイッチ部150をオフにすることで、CW光源として機能させることもできる。また、光源装置100は、スイッチ部150をオフにして、制御信号発生部110の周波数制御信号を周期的な変調信号として出力することで、強度変調光源として機能することができる。
【0035】
また、制御信号増幅部136は、光強度調整部130がレーザ光源部120からのレーザ光の強度変化を抑えるべく、光増幅部134に入力すべき制御信号の信号強度以上の周波数制御信号を出力してよい。光源装置100は、制御信号発生部110の周波数制御信号を周期的な変調信号として出力することで、光増幅部134は、光周波数の変調に伴う強度変化を抑える以上の変調させた増幅率で入力光を増幅する。これによって、光源装置100は、光周波数を変調させつつ、当該変調周波数と同一の周波数で光周波数の変調強度とは異なる変調強度で光強度を変調させた光信号を出力することができる。
【0036】
図4は、本実施形態に係る光源装置100の変形例を示す。本変形例は、図1に示された本実施形態に係る光源装置100と略同一のものには同一の符号を付け、説明を省略する。本変形例の光源装置100の光増幅部134は、第1の光増幅器402と、第2の光増幅器404と、光アイソレータ406とを含む。
【0037】
第1の光増幅器402は、注入する電流に応じた増幅率で増幅する半導体光増幅器でよい。第1の光増幅器402は、図1に示された本実施形態に係る光源装置100に備わる光増幅部134が有する光増幅器と略同一のものでよく、ここでは説明を省略する。
【0038】
第2の光増幅器404は、入力レーザ光の強度の増加に伴って出力光の増幅率を減少させる光ファイバ増幅器でよい。例えば、希土類元素等を添加した光ファイバを備えた光ファイバ増幅器は、図3で説明したような入力光の増加に伴って増幅率が減少して飽和の傾向を示す特性を有する。また、光ファイバ増幅器は、希土類添加光ファイバの長さ、または希土類添加ファイバを励起する励起光の光強度を調節することで、図3の飽和特性の縦軸および横軸を平行移動させる傾向を有する。
【0039】
このような第2の光増幅器404は、例えば、希土類添加ファイバの長さを短くするか、または入力光を増幅させた増幅光を自身が吸収して減衰させる程度に長くすることによって、増幅率を飽和させる入力光強度を減少させるので、増幅率の特性を横軸のマイナス方向に移動させる。この場合、光ファイバ増幅部は、飽和する出力光強度も減少させるので、増幅率の特性を縦軸のマイナス方向に移動させる。
【0040】
また、第2の光増幅器404は、励起光強度の減少に応じて、増幅率を飽和させる入力光強度を減少させるので、増幅率の特性を横軸のマイナス方向に移動させる。この場合、光ファイバ増幅部は、飽和する出力光強度も減少させるので、増幅率の特性を縦軸のマイナス方向に移動させる。
【0041】
また、第2の光増幅器404は、励起光強度の増加に応じて、増幅率を飽和させる入力光強度を増加させので、増幅率の特性を横軸のプラス方向に移動させる。この場合、光ファイバ増幅器は、飽和する出力光強度も増加させるので、増幅率の特性を縦軸のプラス方向に移動させる。
【0042】
したがって、光源装置100は、入力される強度変調信号Lに対して、第2の光増幅器404が低飽和型増幅器として機能する希土類添加光ファイバの長さおよび希土類添加ファイバを励起する励起光の光強度を予め設定してよい。これによって、第2の光増幅器404は、第1の光増幅器402において光周波数の変化に伴う強度変化を抑えきれない場合に、第1の光増幅器402が出力するレーザ光の強度変化を抑えて出力することができる。
【0043】
光アイソレータ406は、第2の光増幅器404である光ファイバ増幅器の後段に接続され、入力端から入力される光を出力端から出力させ、出力端から入力される光は減衰させて入力端への出力を阻止する。光アイソレータ406は、入力される光を出力方向に伝え、途中で反射して戻ってくる光を阻止するので、第2の光増幅器404への反射光の入力を阻止することができる。反射光の強度および波長によっては、第2の光増幅器404の希土類添加光ファイバを励起させる場合等も生じるので、このような反射光を阻止することで、光アイソレータ406は、第2の光増幅器404の増幅機能を安定に動作させることができる。
【0044】
以上の本変形例によれば、光源装置100は、複数の光増幅器を含むことで、光周波数の変化に伴う強度変化を抑えたレーザ光を出力することができる。本変形例において、光源装置100は、第1の光増幅器402と、第2の光増幅器404とをそれぞれ1つ含むことを説明した。これに代えて、光源装置100は、複数の第2の光増幅器404を含んでよい。
【0045】
このように、本変形例の光源装置100は、光周波数の変調幅を増大させて光強度変化が増大した場合においても、複数の光増幅器の低飽和特性を用いることで、光周波数の変化に伴う強度変化を抑えたレーザ光を出力することができる。また、光源装置100は、第1の光増幅器402を含まずに、複数の第2の光増幅器404を含んで光周波数の変化に伴う強度変化を抑えてもよい。
【0046】
図5は、本実施形態に係る光信号発生装置600と、光電変換部520とを備える電気信号発生装置700の構成例を示す。光信号発生装置600は、光信号にジッタを発生させて出力する。また、電気信号発生装置700は、ジッタを重畳した電気信号を発生させる。光信号発生装置600は、光源装置100と、光ジッタ発生部510とを備える。光源装置100は、周波数制御信号に応じた光周波数の光信号を出力する本実施形態に係る光源装置100と略同一のものでよく、ここでは説明を省略する。
【0047】
光ジッタ発生部510は、光源装置100が出力した光信号を、当該光信号の光周波数に応じて遅延させて、光周波数に応じたジッタを当該光信号に印加する。光ジッタ発生部510は、グレーティング部512と、光サーキュレータ514とを含む。
【0048】
グレーティング部512は、光の進行方向に対して周期的に屈折率を変化させた回折格子を含む。グレーティング部512は、ファイバブラッググレーティングでよい。グレーティング部512は、入力端から入力される入力光の光周波数に応じて、異なる量の遅延を当該入力光に与えて、遅延光として再び入力端に戻す。グレーティング部512は、長さ方向に異なる位置に形成された複数のファイバグレーティングを有してよい。
【0049】
グレーティング部512は、一定の間隔で形成された複数のグレーティングを有して、ブラッグ格子を形成する。ブラッグ格子は、光ファイバの屈折率とグレーティングの周期との積を2倍にして得られる波長(ブラッグ波長)を中心とする狭帯域の光を反射する。即ち、グレーティング部512が有する複数のファイバグレーティングの各々では、それぞれ固有の波長(光周波数)の光が反射される。
【0050】
グレーティング部512の入力端から複数のファイバグレーティングの各々までの距離は互いに異なるので、入力端から入力されてから再び入力端に至るまでの光の経路長は入力光の光周波数に応じて異なる。したがって、グレーティング部512は、入力された光信号の光周波数に応じて遅延させて、光周波数に応じたジッタを当該光信号に印加することができる。
【0051】
これに代えて、グレーティング部512は、グレーティングの周期を変化させたチャープ・ファイバーブラッググレーティング(CFBG:Chirped Fiber Bragg Grating)であってよい。チャープ・ファイバーブラッググレーティングは、光の周波数に応じてファイバ中の反射位置を変えて出力するので、入力された光信号の光周波数に応じて遅延させて、光周波数に応じたジッタを当該光信号に印加することができる。
【0052】
光サーキュレータ514は、光源装置100から出力された光信号を、グレーティング部512の入力端に入力させ、グレーティング部512の入力端から出力されるジッタが印加された光信号を受け取って出力光として外部に出力する。
【0053】
以上の光信号発生装置600によれば、光源装置100が出力する光信号に、周波数制御信号に応じたジッタを印加して出力することができる。また、光源装置100は、フィードバック回路による帯域制限なしに光周波数を変調させることができるので、光信号発生装置600は、このような制限を受けずにジッタを発生させることができる。
【0054】
以上の光信号発生装置600は、光ジッタ発生部510として複数のファイバグレーティングを有する例を説明した。これに代えて、光ジッタ発生部510は、周波数分散値が連続的に変化する分散媒質を有してよい。光ジッタ発生部510は、周波数分散値が連続的に変化する光ファイバであってよい。このような光ファイバは、入力端から入力される光信号の光周波数に応じた遅延を生じさせて、出力端から出力する。したがって、この場合、光信号発生装置600は、光サーキュレータ514を用いずに光ファイバの出力端から出力光を外部に出力する。
【0055】
これに代えて、光ジッタ発生部510は、長さの異なる複数の導波路を有し、入力される光周波数に応じて、入力光を伝送する導波路を変えるAWG(アレイド・ウェーブ・ガイド)を含んでもよい。光ジッタ発生部510は、入力される光周波数に応じて、異なる長さの導波路を伝送させることにより、光周波数に応じたジッタを印加して出力することができる。
【0056】
ここで、光信号発生装置600が備える光源装置100は、複数の光増幅器を含むことで、光周波数の変化に伴う強度変化を抑えたレーザ光を出力させてよい。そこで、光信号発生装置600は、光ジッタ発生部510の出力に第2の光増幅器404を接続して、光周波数の変化に伴う強度変化を抑えたレーザ光を出力させてもよい。
【0057】
電気信号発生装置700は、このような光信号にジッタを発生させて出力する光信号発生装置600と、光電変換部520とを備える。光電変換部520は、光信号発生装置600が出力した光信号を、電気信号に変換する。光電変換部520は、フォトダイオードを有してよい。電気信号発生装置700は、光信号発生装置600が発生する光ジッタが印加された光信号を電気信号に変換するので、ジッタを含む電気信号を出力することができる。
【0058】
電気信号発生装置700は、光信号発生装置600と同様に、フィードバック回路等による帯域制限を受けずにジッタを発生させることができる。例えば、電気信号発生装置700および光信号発生装置600は、光源装置100に周期信号の周波数制御信号を発生させた場合、当該周期信号の1周期に相当する程度のジッタを発生させて光信号に印加させ、光信号または電気信号として出力することができる。
【0059】
図6は、本実施形態に係る試験装置1000の構成例を被試験デバイス10と共に示す。本例は、図1から図5に示された光源装置100および光信号発生装置600と略同一のものには同一の符号を付け、説明を省略する。試験装置1000は、アナログ回路、デジタル回路、メモリ、およびシステム・オン・チップ(SOC)等であって、光インターフェースを持つ被試験デバイス10を試験する。
【0060】
被試験デバイス10は、アナログ回路、デジタル回路、メモリ、およびシステム・オン・チップ(SOC)等のうちのすくなくとも1つと、光インターフェースとを組み合わせた回路であってもよい。被試験デバイス10は、光信号を授受する1以上の光入出力部12を備える。また、被試験デバイス10は、電気信号を授受する1以上の入出力端子14を備えてよい。ここで入出力端子14は、半田バンプ、ランド、またはコネクタ等であってよい。
【0061】
試験装置1000は、光試験信号を被試験デバイス10の光入出力部12に供給すると共に、被試験デバイス10の光入出力部12から出力される光応答信号を受け取って光電変換した電気の応答信号を受信して、期待値と比較することで被試験デバイス10の良否を判定する。また、試験装置1000は、被試験デバイス10への電源の供給、試験の開始/終了等の制御信号を、被試験デバイス10の入出力端子14に供給してもよい。試験装置1000は、光源装置100と、光変調部220と、試験部500と、光ジッタ発生部510と、光インターフェース部530と、光電変換部540とを備える。
【0062】
光源装置100は、光周波数の変化に伴う強度変化を抑えたレーザ光を出力する。光源装置100は、試験部500の試験開始信号に応じてレーザ光を光変調部220に出力してよく、また、試験部500の試験終了信号に応じてレーザ光の出力を停止してよい。
【0063】
光変調部220は、試験部500から試験信号を受信して、試験信号に応じて光源装置100から出力される光周波数の変化に伴う強度変化を抑えたレーザ光を変調する。光変調部220は、試験信号としてパルスパターン信号を受信して、レーザ光を変調させることで、光パルスパターン信号を出力してよい。光変調部220は、LiNbO(ニオブ酸リチウム)、PbLaZrTiO系(チタン酸ジルコン酸ランタン鉛:PLZT)等の強誘電体結晶を用いた光変調器であってよい。
【0064】
光ジッタ発生部510は、光変調部220から受信した光パルスパターン信号に、光パルスパターン信号の光周波数に応じたジッタを印加して出力する。光ジッタ発生部510は、ジッタを印加した光パルスパターン信号を光インターフェース部530に送信する。
【0065】
光インターフェース部530は、被試験デバイス10を搭載する。光インターフェース部530は、一例として、被試験デバイス10を吸着して固定する。光インターフェース部530は、光試験信号として受信した光パルスパターン信号を被試験デバイス10の光入出力部12に伝送すると共に、被試験デバイス10が光入出力部12から出力する光応答信号を受け取って出力する。
【0066】
光インターフェース部530は、被試験デバイス10が備える光入出力部12の数以上の光入出力部532を有してよい。また、光インターフェース部530は、電気信号を被試験デバイス10と授受して試験を実行する場合は、被試験デバイス10が備える入出力端子14の数以上の入出力端子534をさらに有してよい。
【0067】
光入出力部532は、被試験デバイス10と光信号を授受する。光入出力部532は、例えば、レンズ、プリズム、および/またはミラー等によって、空間を伝搬する光ビームとして光信号を出力する。これに代えて光入出力部532は、光伝送路の出力端を被試験デバイス10の光入出力部12の近傍または光入出力部12に接触する位置に配置して、光信号を渡してよい。
【0068】
ここで光入出力部532は、光伝送路の出力端にコリメートレンズを備えて被試験デバイス10の光入出力部12と光信号を授受してもよい。また、光入出力部532は、光入出力部12がコネクタである場合、光入出力部12と勘合するコネクタであってよい。
【0069】
入出力端子534は、被試験デバイス10の入出力端子14と電気的に接続して電気信号を授受する。入出力端子534は、光試験信号に比べて周波数の低いクロック信号、試験の開始、停止、中断等を指示する制御信号、および/または電源等を被試験デバイス10に供給してよい。
【0070】
入出力端子534は、被試験デバイス10の入出力端子14と直接接触する端子、プローブ、カンチレバー、またはメンブレンバンプ等であってよい。また、入出力端子534は、入出力端子14がコネクタである場合、入出力端子14と勘合するコネクタであってよい。
【0071】
光電変換部540は、光インターフェース部530が出力する光応答信号を電気信号の応答信号に変換して試験部500に送信する。光電変換部540は、一例として、フォトダイオードによって光応答信号を応答信号に変換する。これに代えて、光電変換部540は、CCD等のイメージセンサでよく、この場合、光電変換部540は、複数の光伝送路によって複数の光応答信号を受光して複数の応答信号に変換してよい。
【0072】
試験部500は、試験信号を出力すると共に、試験信号に応じた応答信号を受け取って期待値と比較する。試験部500は、一例として、ワークステーション等の外部のコンピュータまたは記憶装置等から試験に用いる試験プログラムを取得して、もしくは、ユーザからの入力により試験プログラムを取得して、当該プログラムを実行することにより、試験信号を出力する。試験部500は、制御部502と、試験信号発生部504と、信号受信部506と、期待値比較部508とを有する。
【0073】
制御部502は、試験装置1000が備える複数の装置の動作タイミング等を指示する制御信号を送信して試験プログラムを実行する。また、制御部502は、試験結果を受信してユーザに表示してよく、外部のコンピュータまたは記憶装置等に転送および記録してよい。
【0074】
試験信号発生部504は、被試験デバイス10を試験する試験信号を発生する。試験信号発生部504は、試験プログラムにより指定された試験パターンデータ、試験シーケンス等に基づいて、光信号の試験に用いられる試験信号を発生する。試験信号発生部504は、一例として、パルスパターン信号を発生して、光変調部220に送信する。試験信号発生部504は、試験信号に応じて被試験デバイス10が出力する応答信号の期待値を生成して期待値比較部508に送信してよい。
【0075】
信号受信部506は、被試験デバイスが出力する光応答信号から変換された電気信号を受信する。信号受信部506は、受信信号を期待値比較部508に送信する。
【0076】
期待値比較部508は、信号受信部506が受信した受信信号を期待値と比較する。期待値比較部508は、期待値を試験信号発生部504から受信する。制御部502は、期待値比較部508の比較結果に基づき、被試験デバイス10の良否を判定してよい。
【0077】
以上の本変形例の試験装置1000によれば、光入出力部12を有する被試験デバイスに、ジッタを印加した光試験信号を送信して、光試験信号に応じた光応答信号を受信する光試験を実行することができる。また、試験装置1000は、電気信号の試験を実行する試験部500に、光源装置100と、光変調部220と、光ジッタ発生部510と、光インターフェース部530とを組み合わせることで、このような光試験を実行することができる。
【0078】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0079】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0080】
10 被試験デバイス、12 光入出力部、14 入出力端子、100 光源装置、110 制御信号発生部、120 レーザ光源部、130 光強度調整部、132 位相反転部、134 光増幅部、136 制御信号増幅部、138 ドライバ部、140 電源部、150 スイッチ部、220 光変調部、402 第1の光増幅器、404 第2の光増幅器、406 光アイソレータ、500 試験部、502 制御部、504 試験信号発生部、506 信号受信部、508 期待値比較部、510 光ジッタ発生部、512 グレーティング部、514 光サーキュレータ、520 光電変換部、530 光インターフェース部、532 光入出力部、534 入出力端子、540 光電変換部、600 光信号発生装置、700 電気信号発生装置、1000 試験装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周波数制御信号に応じた光周波数の光信号を出力する光源装置であって、
前記周波数制御信号に応じた光周波数のレーザ光を出力するレーザ光源部と、
前記レーザ光の強度変化を補償して、前記光周波数の変化に伴う強度変化を抑えたレーザ光を出力する光強度調整部と、
を備える光源装置。
【請求項2】
前記光強度調整部は、前記レーザ光源部からのレーザ光の増幅率を前記周波数制御信号に基づき調整して、前記周波数制御信号に応じたレーザ光の強度の変化を抑えて出力する光増幅部を有する請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記光強度調整部は、前記周波数制御信号と逆相の強度制御信号を生成する位相反転部を有し、
前記光増幅部は、前記レーザ光源部から受け取ったレーザ光を、前記強度制御信号に応じた増幅率で増幅して出力する光増幅器を有する請求項2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記光増幅器は、注入する電流に応じた増幅率で増幅する半導体光増幅器である請求項3に記載の光源装置。
【請求項5】
前記光増幅器は、入力レーザ光の強度の増加に伴って出力光の増幅率を減少させる請求項4に記載の光源装置。
【請求項6】
前記位相反転部は、入力される前記周波数制御信号の位相をシフトして、前記周波数制御信号の位相を反転させる位相シフト装置を含む請求項3から5のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項7】
前記位相反転部は、入力される前記周波数制御信号の正負を反転させるインバータ回路を更に含む請求項6に記載の光源装置。
【請求項8】
前記位相反転部は、前記周波数制御信号を増幅する制御信号増幅部を更に有し、前記制御信号増幅部は、前記光強度調整部が前記レーザ光源部からのレーザ光の強度変化を抑えるべく、前記光増幅部に入力すべき制御信号の信号強度の周波数制御信号を出力する請求項3から7のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項9】
前記周波数制御信号を出力する制御信号発生部と前記レーザ光源部との間に、前記周波数制御信号を前記レーザ光源部に供給するか否かを切り換えるスイッチ部を更に備える請求項2から8のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項10】
前記光増幅部は、入力レーザ光の強度の増加に伴って出力光の増幅率を減少させる光ファイバ増幅器を有する請求項2から9のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項11】
前記光ファイバ増幅器の後段に接続され、入力端から入力される光を出力端から出力させ、出力端から入力される光は減衰させて入力端への出力を阻止する光アイソレータを更に有する請求項10に記載の光源装置。
【請求項12】
前記レーザ光源部は、半導体レーザを有し、前記周波数制御信号は、前記半導体レーザを駆動する駆動電流を変更する請求項1から11のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項13】
光信号にジッタを発生させて出力する光信号発生装置であって、
周波数制御信号に応じた光周波数の光信号を出力する請求項1から12のいずれか1項に記載の光源装置と、
前記光源装置が出力した前記光信号を、前記光信号の光周波数に応じて遅延させて、前記光周波数に応じたジッタを前記光信号に印加する光ジッタ発生部と、
を備える光信号発生装置。
【請求項14】
前記ジッタ発生部は、光の進行方向に対して周期的に屈折率を変化させた回折格子を含む請求項13に記載の光信号発生装置。
【請求項15】
前記ジッタ発生部は、ファイバブラッググレーティングを含む請求項14に記載の光信号発生装置。
【請求項16】
前記ジッタ発生部は、周波数分散値が連続的に変化する分散媒質を含む請求項13に記載の光信号発生装置。
【請求項17】
ジッタを重畳した電気信号を発生させる電気信号発生装置であって、
光信号にジッタを発生させて出力する請求項13から16のいずれか1項に記載の光信号発生装置と、
前記光信号発生装置が出力した光信号を、電気信号に変換する光電変換部と、
を備える電気信号発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−146787(P2012−146787A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3322(P2011−3322)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【出願人】(390005175)株式会社アドバンテスト (1,005)
【Fターム(参考)】