光源装置、照明装置、モニタ装置及び画像表示装置
【課題】アレイ光源を用いる場合に、高い波長変換効率により高い効率で光を射出することが可能な光源装置、その光源装置を用いる照明装置、モニタ装置及び画像表示装置を提供すること。
【解決手段】光を射出する複数の発光部を備えるアレイ光源である半導体素子11と、特定方向に略直交する面に沿って形成され、特定方向へ並列されている、分極を反転させた分極反転層17を有し、アレイ光源からの光の波長を変換する波長変換部と、複数の発光部から射出される複数の光の進行方向を調整する調整部である第1面18と、を有し、調整部は、複数の光の進行方向を特定方向に近くなるように揃えて波長変換部に透過させる。
【解決手段】光を射出する複数の発光部を備えるアレイ光源である半導体素子11と、特定方向に略直交する面に沿って形成され、特定方向へ並列されている、分極を反転させた分極反転層17を有し、アレイ光源からの光の波長を変換する波長変換部と、複数の発光部から射出される複数の光の進行方向を調整する調整部である第1面18と、を有し、調整部は、複数の光の進行方向を特定方向に近くなるように揃えて波長変換部に透過させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置、照明装置、モニタ装置及び画像表示装置、特に、波長変換素子を用いる光源装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プロジェクタの光源装置としてレーザ光源を用いる技術が提案されている。レーザ光源は、高出力化及び多色化に伴い、プロジェクタの光源として開発されている。プロジェクタの光源として従来用いられているUHPランプと比較すると、レーザ光源は、高い色再現性、瞬時点灯が可能、長寿命等の利点がある。レーザ光源は、光を共振させる外部共振器を用いることで、レーザ光の波長を狭帯域化でき、またレーザ光の高出力化が可能となる。外部共振器を有する光源装置の技術は、例えば、特許文献1に提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開2001−284718号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レーザ光源は、光源からの基本波光をそのままの波長で射出するものの他、基本波光の波長を変換して射出するものが知られている。基本波光の波長を変換する波長変換素子として、例えば第二高調波発生(Second−Harmonic Generation;SHG)素子が知られている。SHG素子を用いることで、容易に入手可能な汎用の光源を用いて、所望の波長かつ十分な光量のレーザ光を供給することが可能となる。SHG素子としては、非線形光学材料の分極反転結晶を用いることができる。また、光源装置を高出力化するためには、レーザ光を射出する複数の発光部を並列させたアレイ光源を用いることができる。一般に、アレイ光源は、AuSn半田等を用いて、サブマウントに接合されている。アレイ光源及びサブマウントは、通常、異なる線膨張係数の材料で構成されている。半田接合時の温度から室温までの温度変化による収縮量がアレイ光源とサブマウントとで異なるため、アレイ光源及びサブマウントの接合体は、反りを生じる場合がある。かかるアレイ光源を分極反転結晶と組み合わせると、分極反転構造に対して斜めに透過する光の成分が存在することとなる。通常、波長変換素子は、分極反転構造に対して垂直に透過する光に対して位相整合条件が決定される。このため、分極反転構造に対して斜めに透過する光が多くなるほど、波長変換効率が低下することとなる。アレイ光源の単なる位置ずれに対しては、波長変換素子の位置調整により、波長変換素子を透過する光の進行方向を容易に補正可能である。これに対して、アレイ光源が湾曲している場合に、波長変換素子を透過する光の進行方向を補正することは困難である。このように、従来の技術によると、アレイ光源を用いる構成において、高い効率で光を射出することが困難な場合があるという問題を生じる。本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、アレイ光源を用いる場合に、高い波長変換効率により高い効率で光を射出することが可能な光源装置、その光源装置を用いる照明装置、モニタ装置及び画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る光源装置は、光を射出する複数の発光部を備えるアレイ光源と、特定方向に略直交する面に沿って形成され、特定方向へ並列されている、分極を反転させた分極反転層を有し、アレイ光源からの光の波長を変換する波長変換部と、複数の発光部から射出される複数の光の進行方向を調整する調整部と、有し、調整部は、前記複数の光の進行方向を特定方向に近くなるように揃えて波長変換部に透過させることを特徴とする。
【0006】
波長変換部は、分極反転構造を構成する分極反転層に直交する方向に沿って光を透過させることで、高い波長変換効率を得ることが可能となる。複数の光の進行方向を特定方向に近くなるように揃えることで、反りを生じたアレイ光源を用いる場合でも、高い波長変換効率を得ることが可能となる。これにより、アレイ光源を用いる場合に、高い波長変換効率により高い効率で光を射出することが可能な光源装置を得られる。
【0007】
また、本発明の好ましい態様としては、アレイ光源からの複数の光が並列する方向をアレイ方向とすると、調整部は、複数の光の進行方向をアレイ方向について調整することが望ましい。アレイ光源が反ることにより、複数の光の進行方向がアレイ方向について変化することとなる。これにより、アレイ光源からの複数の光の進行方向を、特定方向に近くなるように揃えることができる。
【0008】
また、本発明の好ましい態様としては、調整部は、屈折によりアレイ光源からの複数の光を平行化させる屈折部からなることが望ましい。これにより、アレイ光源からの複数の光の進行方向を調整することができる。
【0009】
また、本発明の好ましい態様としては、屈折部は、波長変換部のうちアレイ光源側の面に設けられることが望ましい。これにより、進行方向が調整された複数の光を波長変換部に透過させることができる。
【0010】
また、本発明の好ましい態様としては、アレイ光源及び波長変換部の間の光路中に設けられた光学素子を有し、屈折部は、光学素子に設けられることが望ましい。これにより、進行方向が調整された複数の光を波長変換部に透過させることができる。
【0011】
また、本発明の好ましい態様としては、アレイ光源を収納する光源用筐体を有し、光学素子は、アレイ光源からの光を光源用筐体の外部へ射出させる射出部であることが望ましい。射出部に屈折作用を持たせることで、簡易な構成により高い波長変換効率と防塵効果を得られる。
【0012】
また、本発明の好ましい態様としては、光学素子は、アレイ光源からの光の光路を折り曲げるプリズムであることが望ましい。プリズムに屈折作用を持たせることで、簡易な構成により高い波長変換効率が得られ、かつ光路の折り曲げができる。
【0013】
また、本発明の好ましい態様としては、屈折部は、凹形状の凹面を備えることが望ましい。これにより、複数の光を収束させるアレイ光源に対して、複数の光を平行化させることができる。
【0014】
また、本発明の好ましい態様としては、屈折部は、凸形状の凸面を備えることが望ましい。これにより、複数の光を発散させるアレイ光源に対して、複数の光を平行化させることができる。
【0015】
また、本発明の好ましい態様としては、屈折部は、アレイ光源からの光を回折させるホログラム素子を備えることが望ましい。これにより、回折により光を適宜屈折させることで、複数の光を平行化させることができる。
【0016】
また、本発明の好ましい態様としては、調整部は、複数の屈折部からなることが望ましい。屈折部は、最大でアレイ光源からの光線と同数とすることが可能である。屈折部の数を多くするほど、分極反転層に直交する方向に正確に光を屈折させることが可能となる。これにより、さらに高い波長変換効率が得られる。
【0017】
また、本発明の好ましい態様としては、屈折部は、アレイ光源からの光のビーム径を縮小させることが望ましい。波長変換素子は、通常、波長変換素子内を透過する光のエネルギー密度に略比例して、波長変換効率が向上することが知られている。屈折部でビーム径を絞ることにより、波長変換素子内を透過する光のエネルギー密度を高めることが可能となる。これにより、さらに高い波長変換効率が得られる。
【0018】
さらに、本発明に係る照明装置は、上記の光源装置を有し、光源装置からの光を用いて被照射物を照明することを特徴とする。上記の光源装置を用いることにより、高い効率で光を射出することができる。これにより、高い効率で光を供給可能な照明装置を得られる。
【0019】
さらに、本発明に係るモニタ装置は、上記の照明装置と、照明装置により照明された被写体を撮像する撮像部と、を有することを特徴とする。上記の照明装置を用いることで、高い効率で光を供給できる。これにより、高い効率で供給された光を用いて明るい像をモニタすることが可能なモニタ装置を得られる。
【0020】
さらに、本発明に係る画像表示装置は、上記の光源装置を有し、光源装置からの光を用いて画像を表示することを特徴とする。上記の光源装置を用いることで、高い効率で光を射出できる。これにより、高い効率で供給された光を用いて明るい画像を表示可能な画像表示装置を得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0022】
図1は、本発明の実施例1に係る光源装置10の概略構成を示す。光源装置10は、複数のレーザ光を射出するレーザアレイである。半導体素子11、SHG素子14、及び外部共振器15は、特定方向であるZ軸方向に沿って配置されている。X軸は、Z軸に垂直な軸である。Y軸は、Z軸及びX軸に垂直な軸である。
【0023】
図2は、半導体素子11及びサブマウント12の斜視構成を示す。半導体素子11は、第1波長の基本波光を射出させる複数の発光部(不図示)を備える面発光型のアレイ光源である。第1波長は、例えば1064nmである。半導体素子11は、例えばGaAs系の材料を用いて構成されている。半導体素子11は、X軸方向へ複数の発光部を並列させている。半導体素子11は、第1波長の光を反射する不図示のミラー層を有する。
【0024】
半導体素子11は、サブマウント12上にマウントされている。サブマウント12は、半導体素子11で発生した熱を放散させる放熱基板である。サブマウント12は、例えば窒化アルミニウム(AlN)材料を用いて構成されている。半導体素子11及びサブマウント12は、例えば、AuSn半田を用いて互いに接合されている。
【0025】
AuSn半田の接合時の温度は、例えば、約280度である。AuSn半田に代えて、比較的低融点である半田を用いても、半田の接合時の温度は170度程度となる。半導体素子11及びサブマウント12は、互いに異なる材料で構成されているため、半田接合時の温度から室温までの温度変化に対する収縮量が異なってくる。半導体素子11及びサブマウント12の接合体は、半導体素子11及びサブマウント12の収縮量の差が顕著であることによって反りを生じる。半導体素子11は、光を射出する向きとは逆側へ中央部が凸となるように湾曲している。なお、半導体素子11及びサブマウント12は、本実施例で図示する程度の反りが生じるものに限られない。半導体素子11のアレイ方向への長さを10mmとすると、半導体素子11の射出面は、水平面に対する角度で表すと、例えば1mrad程度の傾きが生じている。
【0026】
図1に戻って、半導体素子11及びサブマウント12の接合体は、パッケージベース13上に配置されている。SHG素子14は、半導体素子11からの第1波長の基本波光を入射させることにより、第2波長の高調波光を射出させる。SHG素子14は、半導体素子11からの光の波長を変換する波長変換素子である。SHG素子14は、半導体素子11及び外部共振器15の間の光路中に設けられている。第2波長は、第1波長の半分の波長であって、例えば532nmである。SHG素子14は、半導体素子11側に第1面18、外部共振器15側に第2面19を向けて配置されている。
【0027】
外部共振器15は、半導体素子11のミラー層との間において、半導体素子11からの光を共振させる。外部共振器15は、第1波長の光を選択的に反射し、第1波長とは異なる波長(第2波長を含む)の光を透過させる。外部共振器15としては、例えば、VHG(Volume Holographic Grating)を用いることができる。VHGは、LiNbO3、BGO等のフォトリフラクティブ結晶、ポリマー等を用いて形成できる。
【0028】
VHGには、二方向から入射させた入射光によって生じた干渉縞が記録されている。干渉縞は、高屈折率部分と低屈折率部分とが周期的に配列された周期構造として記録される。VHGは、かかる干渉縞とブラッグ条件が適合する光のみを、回折により選択的に反射させる。外部共振器15は、直方体形状をなしている。外部共振器15は、板状に形成された材料を切り分けることで得られる。なお、外部共振器15は、波長選択性を有するものであれば良く、VHGに限られない。外部共振器15としては、例えば、バンドパスフィルタやダイクロイックミラーを用いても良い。
【0029】
SHG素子14は、例えば、非線形光学結晶であるニオブ酸リチウム(LiNbO3)の分極反転結晶(Periodically Poled Lithium Niobate;PPLN)である。SHG素子14は、自発分極層16及び分極反転層17を交互に並列させた分極反転構造を有する。自発分極層16及び分極反転層17は、半導体素子11からの光の波長を変換する波長変換部を構成する。自発分極層16及び分極反転層17は、特定方向であるZ軸方向へ並列している。自発分極層16及び分極反転層17は、基本波光の第1波長に対応するピッチの分極反転構造を構成する。自発分極層16及び分極反転層17は、Z軸方向に略直交するXY平面に沿って形成されている。なお、図示する自発分極層16及び分極反転層17は、模式的に表したものである。
【0030】
分極反転構造は、コヒーレント長ごとに非線形光学定数の符号を反転させて構成されている。分極反転構造の形成には、自発分極を持つ非線形光学結晶へ電圧を印加する手法が多く用いられている。分極反転層17は、非線形光学結晶の自発分極を反転させた層状領域である。自発分極層16は、非線形光学結晶の自発分極が残された層状領域である。分極反転構造は、例えば、ニオブ酸リチウム(LN)基板上に絶縁層の微細なパターンを形成し、電極或いは電解液を介して電圧を印加することにより得ることができる。分極反転構造は、例えば、絶縁層のパターン、及び電極が形成された材料基板を切り分けた後、パルス電圧を印加することにより形成できる。さらに、第1面18及び第2面19の研磨、及び反射防止膜(ARコート)の形成を経て、SHG素子14が完成する。SHG素子14は、素子全体において光の波長変換を可能とする、いわゆるバルクタイプの波長変換素子である。SHG素子14は、光を透過させる導波路を持つ構成であっても良い。
【0031】
図3は、SHG素子14の斜視構成を示す。SHG素子14の第1面18は、凹形状の凹面である。第1面18は、X軸方向について曲率を持つ。第1面18は、半導体素子11からの複数の光を屈折させる屈折部として機能する。第1面18は、半導体素子11の形状を反転させたような形状をなす。第2面19は、X軸及びY軸に平行な平面形状をなす。
【0032】
図1に戻って、半導体素子11からの複数の光は、アレイ方向であるX軸方向へ並列している。半導体素子11からの複数の光は、互いに収束しながら進行する。第1面18は、半導体素子11からの複数の光の進行方向をX軸方向について調整する調整部として機能する。半導体素子11からの複数の光は、SHG素子14の第1面18において、Z軸方向に進行方向が変換される。第1面18は、屈折により半導体素子11からの複数の光を平行化させる。第1面18は、複数の光の進行方向をZ軸方向に揃えて自発分極層16及び分極反転層17に透過させる。SHG素子14を透過した光は、外部共振器15へ入射する。
【0033】
SHG素子14で生じた高調波光は、外部共振器15を透過する。外部共振器15を透過した高調波光は、光源装置10外へ射出する。第1面18側からSHG素子14を透過した基本波光は、外部共振器15で反射する。外部共振器15に対して垂直に入射した基本波光は、外部共振器15で反射した後、外部共振器15へ入射したときと同じ光路を逆に辿る。
【0034】
第2面19から第1面18側へSHG素子14を透過した光は、半導体素子11へ入射する。半導体素子11へ入射した基本波光は、半導体素子11のミラー層で反射し、半導体素子11から射出する。半導体素子11及び外部共振器15により反射された基本波光は、半導体素子11により新たに射出される基本波光と共振して増幅される。
【0035】
図4は、直方体形状のSHG素子20と半導体素子11とを組み合わせた場合の光の進行方向について説明するものである。SHG素子20の第1面21は、X軸及びY軸に平行な平面形状をなす。半導体素子11から互いに収束するように進行した複数の光は、SHG素子20内においても互いに収束するように進行する。このため、半導体素子11の端部に近い発光部から射出された光ほど、SHG素子20内において、自発分極層16及び分極反転層17に対して斜めに進行することとなる。基本波光の第1波長に対応するピッチの分極反転構造に対して斜めに透過する光が多くなるほど、位相整合条件が崩れ、波長変換効率が低下することとなる。
【0036】
図1に戻って、本発明は、自発分極層16及び分極反転層17に直交するZ軸方向に沿って光を透過させるSHG素子14を用いることで、高い波長変換効率を得ることが可能となる。Z軸方向に複数の光の進行方向を揃えることで、反りを生じた半導体素子11を用いる場合でも、高い波長変換効率を得ることが可能となる。これにより、アレイ光源を用いる場合に、高い波長変換効率により高い効率で光を射出することができるという効果を奏する。
【0037】
SHG素子14は、光を透過させる方向へ長いほど、波長変換効率を高くできる。仮に、複数の光の進行方向を揃えるための他の光学素子を配置するために波長変換素子を小型にすると、波長変換効率が低下することになる。本実施例の光源装置10は、SHG素子14の第1面18を用いて光の進行方向を制御するため、SHG素子14の長さを十分確保可能とし、高い波長変換効率を実現できる。
【0038】
SHG素子14の第1面18の形状は、半導体素子11の形状を計測した計測結果に基づいて決定できる。半導体素子11の形状と略同一の形状の第1面18を形成することで、半導体素子11からの全ての光の進行方向をZ軸方向に揃えることができる。但し、SHG素子14は、第1面18の形状が半導体素子11の形状と同一である場合に限られない。第1面18は、半導体素子11の形状に近い形状であっても良く、少なくとも、複数の光の進行方向をZ軸方向に近くなるように調整可能であれば良い。半導体素子11からの複数の光の進行方向をZ軸方向へ近づけることが可能であれば、波長変換効率を向上させる効果を得ることができる。例えば、光源装置10の製造工程において半導体素子11の形状に個体差が生じる場合に、半導体素子11の平均的な形状に基づいて第1面18の形状を決定しても良い。
【0039】
図5は、本実施例の変形例に係る光源装置30の概略構成を示す。本実施例の光源装置30は、上記の光源装置10の半導体素子11(図1参照)とは逆に湾曲する半導体素子31を有する。半導体素子31及びサブマウント32は、光を射出する側へ中央部が凸となるように湾曲している。半導体素子31は、湾曲の仕方が逆である他は、上記の半導体素子11と同様の構成を有する。
【0040】
図6は、SHG素子33の斜視構成を示す。SHG素子33の第1面34は、凸形状の凸面である。第1面34は、X軸方向について曲率を持つ。第1面34は、半導体素子31からの複数の光を屈折させる屈折部として機能する。第1面34は、半導体素子31の形状を反転させたような形状をなす。SHG素子33は、第1面34の形状が異なる他は、上記のSHG素子14(図3参照)と同様の構成を有する。
【0041】
図5に戻って、半導体素子31からの複数の光は、互いに発散するように進行する。半導体素子31からの複数の光は、SHG素子33の第1面34において、Z軸方向に進行方向が変換される。第1面34は、半導体素子31からの複数の光の進行方向をX軸方向について調整する調整部として機能する。第1面34は、屈折により半導体素子31からの複数の光を平行化させる。第1面34は、複数の光の進行方向をZ軸方向に揃えて自発分極層16及び分極反転層17に透過させる。本変形例の場合も、高い波長変換効率により高い効率で光を射出することができる。
【0042】
本実施例のSHG素子14、33は、例えば、板状のPPLNを所望の形状に切削することにより形成できる。第1面18、34は、半導体素子11、31の形状を正確に反転させたものとする場合に限られない。複雑な形状の半導体素子11、31に対しては、かかる複雑な形状に近似する簡単な形状に基づいて、第1面18、34を形成しても良い。例えば、異なる曲率の部分を組み合わせた形状の半導体素子11、31に対して、一定の曲率を持つ形状の第1面18、34を適用しても良い。
【0043】
第1面18、34は、X軸方向について曲率を有する場合の他、X軸方向及びY軸方向について曲率を有しても良い。第1面18、34は、一定の曲率を有する曲面である場合に限られず、一定の曲率を持たない自由曲面であっても良い。第1面18、34は、曲面である場合に限られず、複数の平面を組み合わせたものや、平面と曲面を組み合わせたものであっても良い。光源装置10、30は、X軸方向へ並列された複数の発光部を備えるアレイ光源に代えて、X軸方向及びY軸方向へ複数の発光部を並列させたアレイ光源を用いても良い。X軸方向及びY軸方向の2方向について湾曲したアレイ光源に対しては、第1面にX軸方向及びY軸方向について曲率を持たせたSHG素子を用いても良い。
【実施例2】
【0044】
図7は、本発明の実施例2に係る光源装置40の概略構成を示す。本実施例の光源装置40は、複数の光を平行化させる射出部42を有することを特徴とする。上記実施例と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。光源用筐体41は、半導体素子11、サブマウント12、及びパッケージベース13を収納する。射出部42は、光源用筐体41のうちSHG素子20側の面に設けられている。射出部42は、半導体素子11からの光を光源用筐体41外へ射出させる。射出部42は、半導体素子11及びSHG素子20の間の光路中に設けられた光学素子である。射出部42は、2つの凹面を有する透明部材である。射出部42は、凹レンズとして機能する。射出部42は、半導体素子11からの複数の光を屈折させる屈折部として機能する。また、射出部42は、光源用筐体41の防塵カバーとしても機能する。射出部42による防塵作用により、光源装置40の性能低下を低減できる。SHG素子20は、直方体形状をなす。
【0045】
半導体素子11からの複数の光は、互いに収束するように進行する。射出部42は、半導体素子11からの複数の光の進行方向をX軸方向について調整する調整部として機能する。半導体素子11からの複数の光は、射出部42において、Z軸方向に進行方向が変換される。射出部42は、屈折により半導体素子11からの複数の光を平行化させる。射出部42は、複数の光の進行方向をZ軸方向に揃えて自発分極層16及び分極反転層17に透過させる。本実施例の場合も、高い波長変換効率により高い効率で光を射出することができる。また、射出部42を用いて光の進行方向を制御するため、複数の光の進行方向を揃えるための他の光学素子を別途設ける場合より光源装置を簡易な構成にできる。
【0046】
図8は、本実施例の変形例に係る光源装置45の概略構成を示す。本実施例の光源装置45は、光を射出する側へ中央部が凸となるように湾曲する半導体素子31及びサブマウント32を有する。屈折部である射出部46は、2つの凸面を有する透明部材である。射出部46は、凸レンズとして機能する。射出部46は、形状が異なる他は、上記の射出部42(図7参照)と同様に構成されている。
【0047】
半導体素子31からの複数の光は、互いに発散するように進行する。半導体素子31からの複数の光は、射出部46において、Z軸方向に進行方向が変換される。射出部46は、屈折により半導体素子31からの複数の光を平行化させる。本実施例の場合も、高い波長変換効率により高い効率で光を射出することができる。
【実施例3】
【0048】
図9は、本発明の実施例3に係る光源装置50の概略構成を示す。本実施例の光源装置50は、プリズム51を有する。上記実施例と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。プリズム51、SHG素子20、及び外部共振器15は、Z軸方向に並列している。半導体素子11及びサブマウント12は、基板52の凹部53に配置されている。半導体素子11は、Y軸方向へ光を射出する。
【0049】
プリズム51は、半導体素子11からの光が入射する位置に設けられている。プリズム51は、底面55を半導体素子11に対向させて配置されている。プリズム51は、斜面54での全反射により、半導体素子11からの光の光路を折り曲げる。プリズム51は、半導体素子11及びSHG素子20の間の光路中に設けられた光学素子である。SHG素子20は、直方体形状をなす。プリズム51、SHG素子20、及び外部共振器15は、基板52上に配置されている。基板52は、板状部材に凹部53が施されたものである。凹部53は、基板52の上面の一部に形成されている。
【0050】
図10は、プリズム51の斜視構成を示す。プリズム51は、直角三角形の断面を持つ三角柱のうち、底面55を凹形状に変形させた形状をなしている。底面55は、凹形状の凹面である。底面55は、凹レンズとして機能する。プリズム51は、底面55における屈折により半導体素子11からの複数の光を平行化させる屈折部として機能する。底面55は、X軸方向について曲率を持つ。図11に示すように、底面55は、半導体素子11の形状を反転させたような形状をなす。
【0051】
半導体素子11からの複数の光は、互いに収束するように進行する。プリズム51は、半導体素子11からの複数の光の進行方向をX軸方向について調整する調整部として機能する。半導体素子11からの複数の光は、プリズム51の底面55において、Y軸方向に進行方向が変換される。図9に戻って、プリズム51の底面55を透過した光は、斜面54での全反射により、Z軸方向へ折り曲げられる。プリズム51は、複数の光の進行方向をZ軸方向に揃えて自発分極層16及び分極反転層17に透過させる。本実施例の場合も、高い波長変換効率により高い効率で光を射出することができる。また、プリズム51を用いて光の進行方向を制御するため、複数の光の進行方向を揃えるための他の光学素子を別途設ける場合より光源装置を簡易な構成にできる。
【0052】
図12は、本実施例の変形例に係る光源装置の要部概略構成を示す。本変形例の光源装置は、光を射出する側へ中央部が凸となるように湾曲する半導体素子31及びサブマウント32を有する。プリズム57は、直角三角形の断面を持つ三角柱のうち、底面58を凸形状に変形させた形状をなしている。底面58は、凸形状の凸面である。底面58は、凸レンズとして機能する。プリズム57は、底面58の形状が異なる他は、上記のプリズム51(図10参照)と同様に構成されている。
【0053】
半導体素子31からの複数の光は、互いに発散するように進行する。半導体素子31からの複数の光は、プリズム57の底面58において、Y軸方向に進行方向が変換される。本変形例の場合も、高い波長変換効率により高い効率で光を射出することができる。なお、プリズム51、57は、底面55、58での屈折により複数の光を平行化させる場合に限られない。光を平行化させるのは、プリズム51、57のうち光が到達するいずれの面であっても良い。
【0054】
屈折部を設ける光学素子は、実施例3の射出部、及び本実施例のプリズムに限られず、他の構成であっても良い。例えば、アレイ光源からの光の光路を折り曲げるミラーを曲面形状とすることで、本実施例のプリズムと同様に機能させても良い。
【実施例4】
【0055】
図13は、本発明の実施例4に係るSHG素子60の概略構成を示す。本実施例のSHG素子60は、上記実施例1の光源装置10(図1参照)に適用することができる。本実施例のSHG素子60は、複数のマイクロレンズ62を備えることを特徴とする。上記実施例と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。本実施例のSHG素子60は、光を射出する側とは反対側へ中央部が凸となるように湾曲する半導体素子11と組み合わせて用いることができる。複数のマイクロレンズ62は、第1面61において、X軸方向に並列されている。SHG素子60には、半導体素子11からの光線と同数のマイクロレンズ62が形成されている。マイクロレンズ62は、凹形状の凹面を備える。各マイクロレンズ62は、X軸方向及びY軸方向について曲率を持つ。
【0056】
図14は、マイクロレンズ62の断面構成を示す。マイクロレンズ62は、半導体素子11からの光をZ軸方向へ屈折させる。半導体素子11からの光の傾きはマイクロレンズ62ごとに異なる。各マイクロレンズ62は、半導体素子11からの光の傾きに応じて形状が設定されている。マイクロレンズ62は、屈折により半導体素子11からの複数の光を平行化させる屈折部として機能する。半導体素子11からの光線と同数のマイクロレンズ62を用いることにより、Z軸方向に正確に光を屈折させることが可能となる。これにより、さらに高い波長変換効率が得られる。
【0057】
また、波長変換素子は、通常、波長変換素子内を透過する光のエネルギー密度に略比例して、波長変換効率が向上することが知られている。マイクロレンズ62は、光を屈折させる他、X軸方向及びY軸方向の少なくとも一方についてビーム径を縮小させる機能を持たせても良い。マイクロレンズ62でビーム径を絞ることにより、SHG素子60内を透過する光のエネルギー密度を高めることが可能となる。これにより、さらに高い波長変換効率が得られる。
【0058】
図5に示す光源装置30に対しては、図15に示すように、凸形状の凸面を備えるマイクロレンズ63を用いることができる。マイクロレンズ63を備えるSHG素子は、光を射出する側へ中央部が凸となるように湾曲する半導体素子31と組み合わせて用いることができるマイクロレンズ63は、半導体素子31からの光をZ軸方向へ屈折させる。各マイクロレンズ63は、半導体素子31からの光の傾きに応じて形状が設定されている。この場合も、高い波長変換効率を得ることができる。なお、本実施例のマイクロレンズ62、63は、少なくともZ軸方向に近くなるように光を屈折可能であれば良く、X軸方向のみについて曲率を持つ形状としても良い。マイクロレンズ62、63は、例えば、ナノインプリント技術を用いて形成できる。
【0059】
SHG素子は、マイクロレンズ62、63に代えて、ホログラム素子を用いても良い。図16に示すように、複数のホログラム素子65は、第1面61において、X軸方向に並列させることができる。ホログラム素子65は、微小な矩形領域を単位として形成された複数の凹凸を備える。ホログラム素子65は、矩形領域ごとに光の位相を変化させる。ホログラム素子65は、光の位相を空間的に変化させることにより、半導体素子からの光を回折させる。矩形領域のピッチ及び凹凸の高さを含む表面条件を最適化することにより、所望の向きへ光を屈折させることができる。この場合も、高い波長変換効率を得ることができる。ホログラム素子65についても、ビーム径を縮小させる機能を持たせても良い。ホログラム素子65は、例えば、ナノインプリント技術を用いて形成できる。
【0060】
上記各実施例の光源装置は、マイクロレンズ又はホログラム素子を用いる構成としても良い。本実施例において、屈折部であるマイクロレンズ及びホログラム素子は、1つの光を屈折させる場合に限られず、複数の光を屈折させても良い。異なる傾きの光が屈折部へ入射する場合、屈折部は、少なくとも各光の進行方向をZ軸方向に近くできる構成であれば良い。複数の光を屈折させる屈折部を用いることで、半導体素子からの光線の数より少ない数の屈折部を設ける構成にできる。屈折部の数を少なくするほど、屈折部の形成を容易にできる。屈折部の数を光線の数に近くするほど、各光について、Z軸方向に正確に屈折させることが可能となる。
【0061】
上記各実施例の光源装置は、本実施例で説明する構成である場合に限られず、構成を適宜変更しても良い。例えば、光源部として、半導体レーザ励起固体(Diode Pumped Solid State;DPSS)レーザ等を用いる構成としても良い。光源装置は、必要に応じて、偏光選択用フィルタ、波長選択用フィルタ等の光学素子を設けても良い。
【実施例5】
【0062】
図17は、本発明の実施例5に係るモニタ装置70の概略構成を示す。モニタ装置70は、装置本体71と、光伝送部72とを有する。装置本体71は、上記実施例1の光源装置10(図1参照)を備える。光伝送部72は、2つのライトガイド74、75を有する。光伝送部72のうち被写体(不図示)側の端部には、拡散板76及び結像レンズ77が設けられている。第1ライトガイド74は、光源装置10からの光を被写体へ伝送する。拡散板76は、第1ライトガイド74の射出側に設けられている。第1ライトガイド74内を伝播した光は、拡散板76を透過することにより、被写体側にて拡散する。光源装置10から拡散板76までの光路中の各部は、被写体を照明する照明装置を構成する。
【0063】
第2ライトガイド75は、被写体からの光をカメラ73へ伝送する。結像レンズ77は、第2ライトガイド75の入射側に設けられている。結像レンズ77は、被写体からの光を第2ライトガイド75の入射面へ集光させる。被写体からの光は、結像レンズ77により第2ライトガイド75へ入射した後、第2ライトガイド75内を伝播してカメラ73へ入射する。
【0064】
第1ライトガイド74、第2ライトガイド75としては、多数の光ファイバを束ねたものを用いることができる。光ファイバを用いることで、光を遠方へ伝送させることができる。カメラ73は、装置本体71内に設けられている。カメラ73は、光源装置10からの光により照明された被写体を撮像する撮像部である。第2ライトガイド75から入射した光をカメラ73へ入射させることで、カメラ73による被写体の撮像ができる。上記実施例1の光源装置10を用いることにより、高い効率で光を射出できる。これにより、高い効率で供給された光を用いて明るい像をモニタできるという効果を奏する。なお、モニタ装置70は、上記各実施例で説明するいずれの光源装置を適用しても良い。
【実施例6】
【0065】
図18は、本発明の実施例6に係るプロジェクタ80の概略構成を示す。プロジェクタ80は、スクリーン89に光を供給し、スクリーン89で反射する光を観察することで画像を鑑賞するフロント投写型のプロジェクタである。プロジェクタ80は、赤色(R)光用光源装置81R、緑色(G)光用光源装置81G、青色(B)光用光源装置81Bを有する。各色光用光源装置81R、81G、81Bは、いずれも上記実施例1の光源装置10(図1参照)と同様の構成を有する。プロジェクタ80は、各色光用光源装置81R、81G、81Bからの光を用いて画像を表示する画像表示装置である。
【0066】
R光用光源装置81Rは、R光を供給する光源装置である。拡散素子82は、照明領域の整形、拡大、照明領域における光量分布の均一化を行う。拡散素子82としては、例えば、回折光学素子である計算機合成ホログラム(Computer Generated Hologram;CGH)を用いることができる。フィールドレンズ83は、R光用光源装置81Rからの光を平行化させ、R光用空間光変調装置84Rへ入射させる。R光用光源装置81R、拡散素子82、及びフィールドレンズ83は、R光用空間光変調装置84Rを照明する照明装置を構成する。R光用空間光変調装置84Rは、照明装置からのR光を画像信号に応じて変調する空間光変調装置であって、透過型液晶表示装置である。R光用空間光変調装置84Rで変調されたR光は、色合成光学系であるクロスダイクロイックプリズム85へ入射する。
【0067】
G光用光源装置81Gは、G光を供給する光源装置である。拡散素子82及びフィールドレンズ83を経た光は、G光用空間光変調装置84Gへ入射する。G光用光源装置81G、拡散素子82、及びフィールドレンズ83は、G光用空間光変調装置84Gを照明する照明装置を構成する。G光用空間光変調装置84Gは、照明装置からのG光を画像信号に応じて変調する空間光変調装置であって、透過型液晶表示装置である。G光用空間光変調装置84Gで変調されたG光は、クロスダイクロイックプリズム85のうちR光が入射する面とは異なる面へ入射する。
【0068】
B光用光源装置81Bは、B光を供給する光源装置である。拡散素子82及びフィールドレンズ83を経た光は、B光用空間光変調装置84Bへ入射する。B光用光源装置81B、拡散素子82、及びフィールドレンズ83は、B光用空間光変調装置84Bを照明する照明装置を構成する。B光用空間光変調装置84Bは、照明装置からのB光を画像信号に応じて変調する空間光変調装置であって、透過型液晶表示装置である。B光用空間光変調装置84Bで変調されたB光は、クロスダイクロイックプリズム85のうちR光が入射する面、及びG光が入射する面とは異なる面へ入射する。透過型液晶表示装置としては、例えば高温ポリシリコンTFT液晶パネル(High Temperature Polysilicon;HTPS)を用いることができる。
【0069】
クロスダイクロイックプリズム85は、互いに略直交させて配置された2つのダイクロイック膜86、87を有する。第1ダイクロイック膜86は、R光を反射し、G光及びB光を透過させる。第2ダイクロイック膜87は、B光を反射し、R光及びG光を透過させる。クロスダイクロイックプリズム85は、それぞれ異なる方向から入射したR光、G光及びB光を合成し、投写レンズ88の方向へ射出する。投写レンズ88は、クロスダイクロイックプリズム85で合成された光をスクリーン89に向けて投写する。
【0070】
上記の光源装置10と同様の構成を有する各色光用光源装置81R、81G、81Bを用いることにより、高い効率で光を射出できる。これにより、高い効率で供給された光を用いて明るい画像を表示できるという効果を奏する。なお、各色光用光源装置81R、81G、81Bは、上記各実施例で説明するいずれの光源装置を適用しても良い。プロジェクタ80は、例えば、R光用光源装置81RはSHG素子を用いず光源部からの基本波光をそのまま射出するものとし、G光用光源装置81G及びB光用光源装置81Bについて、上記各実施例のいずれかの光源装置と同様の構成としても良い。
【0071】
プロジェクタは、空間光変調装置として透過型液晶表示装置を用いる場合に限られない。空間光変調装置としては、反射型液晶表示装置(Liquid Crystal On Silicon;LCOS)、DMD(Digital Micromirror Device)、GLV(Grating Light Valve)等を用いても良い。プロジェクタは、色光ごとに空間光変調装置を備える構成に限られない。プロジェクタは、一の空間光変調装置により2つ又は3つ以上の色光を変調する構成としても良い。プロジェクタは、空間光変調装置を用いる場合に限られない。プロジェクタは、ガルバノミラー等の走査手段により光源装置からのレーザ光を走査させ、被照射面において画像を表示するレーザスキャン型のプロジェクタであっても良い。プロジェクタは、画像情報を持たせたスライドを用いるスライドプロジェクタであっても良い。プロジェクタは、スクリーンの一方の面に光を供給し、スクリーンの他方の面から射出される光を観察することで画像を鑑賞する、いわゆるリアプロジェクタであっても良い。
【0072】
本発明の光源装置は、画像表示装置である液晶ディスプレイに適用しても良い。本発明の光源装置と導光板を組み合わせることにより、液晶パネルを照明する照明装置として用いることができる。この場合も、明るい画像を表示することができる。本発明の光源装置は、モニタ装置や画像表示装置に適用される場合に限られない。本発明の光源装置は、例えば、レーザ光を用いた露光のための露光装置やレーザ加工装置等の光学系に用いても良い。
【産業上の利用可能性】
【0073】
以上のように、本発明に係る光源装置は、モニタ装置や画像表示装置に用いる場合に適している。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の実施例1に係る光源装置の概略構成を示す図。
【図2】半導体素子及びサブマウントの斜視構成を示す図。
【図3】SHG素子の斜視構成を示す図。
【図4】直方体形状のSHG素子を用いる場合の光の進行方向について説明する図。
【図5】実施例1の変形例に係る光源装置の概略構成を示す図。
【図6】SHG素子の斜視構成を示す図。
【図7】本発明の実施例2に係る光源装置の概略構成を示す図。
【図8】実施例2の変形例に係る光源装置の概略構成を示す図。
【図9】本発明の実施例3に係る光源装置の概略構成を示す図。
【図10】プリズムの斜視構成を示す図。
【図11】プリズムの底面を通過した光の進行方向について説明する図。
【図12】実施例3の変形例に係る光源装置の要部概略構成を示す図。
【図13】本発明の実施例4に係るSHG素子の概略構成を示す図。
【図14】マイクロレンズの断面構成を示す図。
【図15】凸面を備えるマイクロレンズの断面構成を示す図。
【図16】複数のホログラム素子を用いる構成を説明する図。
【図17】本発明の実施例5に係るモニタ装置の概略構成を示す図。
【図18】本発明の実施例6に係るプロジェクタの概略構成を示す図。
【符号の説明】
【0075】
10 光源装置、11 半導体素子、12 サブマウント、13 パッケージベース、14 SHG素子、15 外部共振器、16 自発分極層、17 分極反転層、18 第1面、19 第2面、20 SHG素子、21 第1面、30 光源装置、31 半導体素子、32 サブマウント、33 SHG素子、34 第1面、40 光源装置、41 光源用筐体、42 射出部、45 光源装置、46 射出部、50 光源装置、51 プリズム、52 基板、53 凹部、54 斜面、55 底面、57 プリズム、58 底面、60 SHG素子、61 第1面、62 マイクロレンズ、63 マイクロレンズ、65 ホログラム素子、70 モニタ装置、71 装置本体、72 光伝送部、73 カメラ、74 第1ライトガイド、75 第2ライトガイド、76 拡散板、77 結像レンズ、80 プロジェクタ、81R R光用光源装置、81G G光用光源装置、81B B光用光源装置、82 拡散素子、83 フィールドレンズ、84R R光用空間光変調装置、84G G光用空間光変調装置、84B B光用空間光変調装置、85 クロスダイクロイックプリズム、86 第1ダイクロイック膜、87 第2ダイクロイック膜、88 投写レンズ、89 スクリーン
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置、照明装置、モニタ装置及び画像表示装置、特に、波長変換素子を用いる光源装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プロジェクタの光源装置としてレーザ光源を用いる技術が提案されている。レーザ光源は、高出力化及び多色化に伴い、プロジェクタの光源として開発されている。プロジェクタの光源として従来用いられているUHPランプと比較すると、レーザ光源は、高い色再現性、瞬時点灯が可能、長寿命等の利点がある。レーザ光源は、光を共振させる外部共振器を用いることで、レーザ光の波長を狭帯域化でき、またレーザ光の高出力化が可能となる。外部共振器を有する光源装置の技術は、例えば、特許文献1に提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開2001−284718号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レーザ光源は、光源からの基本波光をそのままの波長で射出するものの他、基本波光の波長を変換して射出するものが知られている。基本波光の波長を変換する波長変換素子として、例えば第二高調波発生(Second−Harmonic Generation;SHG)素子が知られている。SHG素子を用いることで、容易に入手可能な汎用の光源を用いて、所望の波長かつ十分な光量のレーザ光を供給することが可能となる。SHG素子としては、非線形光学材料の分極反転結晶を用いることができる。また、光源装置を高出力化するためには、レーザ光を射出する複数の発光部を並列させたアレイ光源を用いることができる。一般に、アレイ光源は、AuSn半田等を用いて、サブマウントに接合されている。アレイ光源及びサブマウントは、通常、異なる線膨張係数の材料で構成されている。半田接合時の温度から室温までの温度変化による収縮量がアレイ光源とサブマウントとで異なるため、アレイ光源及びサブマウントの接合体は、反りを生じる場合がある。かかるアレイ光源を分極反転結晶と組み合わせると、分極反転構造に対して斜めに透過する光の成分が存在することとなる。通常、波長変換素子は、分極反転構造に対して垂直に透過する光に対して位相整合条件が決定される。このため、分極反転構造に対して斜めに透過する光が多くなるほど、波長変換効率が低下することとなる。アレイ光源の単なる位置ずれに対しては、波長変換素子の位置調整により、波長変換素子を透過する光の進行方向を容易に補正可能である。これに対して、アレイ光源が湾曲している場合に、波長変換素子を透過する光の進行方向を補正することは困難である。このように、従来の技術によると、アレイ光源を用いる構成において、高い効率で光を射出することが困難な場合があるという問題を生じる。本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、アレイ光源を用いる場合に、高い波長変換効率により高い効率で光を射出することが可能な光源装置、その光源装置を用いる照明装置、モニタ装置及び画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る光源装置は、光を射出する複数の発光部を備えるアレイ光源と、特定方向に略直交する面に沿って形成され、特定方向へ並列されている、分極を反転させた分極反転層を有し、アレイ光源からの光の波長を変換する波長変換部と、複数の発光部から射出される複数の光の進行方向を調整する調整部と、有し、調整部は、前記複数の光の進行方向を特定方向に近くなるように揃えて波長変換部に透過させることを特徴とする。
【0006】
波長変換部は、分極反転構造を構成する分極反転層に直交する方向に沿って光を透過させることで、高い波長変換効率を得ることが可能となる。複数の光の進行方向を特定方向に近くなるように揃えることで、反りを生じたアレイ光源を用いる場合でも、高い波長変換効率を得ることが可能となる。これにより、アレイ光源を用いる場合に、高い波長変換効率により高い効率で光を射出することが可能な光源装置を得られる。
【0007】
また、本発明の好ましい態様としては、アレイ光源からの複数の光が並列する方向をアレイ方向とすると、調整部は、複数の光の進行方向をアレイ方向について調整することが望ましい。アレイ光源が反ることにより、複数の光の進行方向がアレイ方向について変化することとなる。これにより、アレイ光源からの複数の光の進行方向を、特定方向に近くなるように揃えることができる。
【0008】
また、本発明の好ましい態様としては、調整部は、屈折によりアレイ光源からの複数の光を平行化させる屈折部からなることが望ましい。これにより、アレイ光源からの複数の光の進行方向を調整することができる。
【0009】
また、本発明の好ましい態様としては、屈折部は、波長変換部のうちアレイ光源側の面に設けられることが望ましい。これにより、進行方向が調整された複数の光を波長変換部に透過させることができる。
【0010】
また、本発明の好ましい態様としては、アレイ光源及び波長変換部の間の光路中に設けられた光学素子を有し、屈折部は、光学素子に設けられることが望ましい。これにより、進行方向が調整された複数の光を波長変換部に透過させることができる。
【0011】
また、本発明の好ましい態様としては、アレイ光源を収納する光源用筐体を有し、光学素子は、アレイ光源からの光を光源用筐体の外部へ射出させる射出部であることが望ましい。射出部に屈折作用を持たせることで、簡易な構成により高い波長変換効率と防塵効果を得られる。
【0012】
また、本発明の好ましい態様としては、光学素子は、アレイ光源からの光の光路を折り曲げるプリズムであることが望ましい。プリズムに屈折作用を持たせることで、簡易な構成により高い波長変換効率が得られ、かつ光路の折り曲げができる。
【0013】
また、本発明の好ましい態様としては、屈折部は、凹形状の凹面を備えることが望ましい。これにより、複数の光を収束させるアレイ光源に対して、複数の光を平行化させることができる。
【0014】
また、本発明の好ましい態様としては、屈折部は、凸形状の凸面を備えることが望ましい。これにより、複数の光を発散させるアレイ光源に対して、複数の光を平行化させることができる。
【0015】
また、本発明の好ましい態様としては、屈折部は、アレイ光源からの光を回折させるホログラム素子を備えることが望ましい。これにより、回折により光を適宜屈折させることで、複数の光を平行化させることができる。
【0016】
また、本発明の好ましい態様としては、調整部は、複数の屈折部からなることが望ましい。屈折部は、最大でアレイ光源からの光線と同数とすることが可能である。屈折部の数を多くするほど、分極反転層に直交する方向に正確に光を屈折させることが可能となる。これにより、さらに高い波長変換効率が得られる。
【0017】
また、本発明の好ましい態様としては、屈折部は、アレイ光源からの光のビーム径を縮小させることが望ましい。波長変換素子は、通常、波長変換素子内を透過する光のエネルギー密度に略比例して、波長変換効率が向上することが知られている。屈折部でビーム径を絞ることにより、波長変換素子内を透過する光のエネルギー密度を高めることが可能となる。これにより、さらに高い波長変換効率が得られる。
【0018】
さらに、本発明に係る照明装置は、上記の光源装置を有し、光源装置からの光を用いて被照射物を照明することを特徴とする。上記の光源装置を用いることにより、高い効率で光を射出することができる。これにより、高い効率で光を供給可能な照明装置を得られる。
【0019】
さらに、本発明に係るモニタ装置は、上記の照明装置と、照明装置により照明された被写体を撮像する撮像部と、を有することを特徴とする。上記の照明装置を用いることで、高い効率で光を供給できる。これにより、高い効率で供給された光を用いて明るい像をモニタすることが可能なモニタ装置を得られる。
【0020】
さらに、本発明に係る画像表示装置は、上記の光源装置を有し、光源装置からの光を用いて画像を表示することを特徴とする。上記の光源装置を用いることで、高い効率で光を射出できる。これにより、高い効率で供給された光を用いて明るい画像を表示可能な画像表示装置を得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0022】
図1は、本発明の実施例1に係る光源装置10の概略構成を示す。光源装置10は、複数のレーザ光を射出するレーザアレイである。半導体素子11、SHG素子14、及び外部共振器15は、特定方向であるZ軸方向に沿って配置されている。X軸は、Z軸に垂直な軸である。Y軸は、Z軸及びX軸に垂直な軸である。
【0023】
図2は、半導体素子11及びサブマウント12の斜視構成を示す。半導体素子11は、第1波長の基本波光を射出させる複数の発光部(不図示)を備える面発光型のアレイ光源である。第1波長は、例えば1064nmである。半導体素子11は、例えばGaAs系の材料を用いて構成されている。半導体素子11は、X軸方向へ複数の発光部を並列させている。半導体素子11は、第1波長の光を反射する不図示のミラー層を有する。
【0024】
半導体素子11は、サブマウント12上にマウントされている。サブマウント12は、半導体素子11で発生した熱を放散させる放熱基板である。サブマウント12は、例えば窒化アルミニウム(AlN)材料を用いて構成されている。半導体素子11及びサブマウント12は、例えば、AuSn半田を用いて互いに接合されている。
【0025】
AuSn半田の接合時の温度は、例えば、約280度である。AuSn半田に代えて、比較的低融点である半田を用いても、半田の接合時の温度は170度程度となる。半導体素子11及びサブマウント12は、互いに異なる材料で構成されているため、半田接合時の温度から室温までの温度変化に対する収縮量が異なってくる。半導体素子11及びサブマウント12の接合体は、半導体素子11及びサブマウント12の収縮量の差が顕著であることによって反りを生じる。半導体素子11は、光を射出する向きとは逆側へ中央部が凸となるように湾曲している。なお、半導体素子11及びサブマウント12は、本実施例で図示する程度の反りが生じるものに限られない。半導体素子11のアレイ方向への長さを10mmとすると、半導体素子11の射出面は、水平面に対する角度で表すと、例えば1mrad程度の傾きが生じている。
【0026】
図1に戻って、半導体素子11及びサブマウント12の接合体は、パッケージベース13上に配置されている。SHG素子14は、半導体素子11からの第1波長の基本波光を入射させることにより、第2波長の高調波光を射出させる。SHG素子14は、半導体素子11からの光の波長を変換する波長変換素子である。SHG素子14は、半導体素子11及び外部共振器15の間の光路中に設けられている。第2波長は、第1波長の半分の波長であって、例えば532nmである。SHG素子14は、半導体素子11側に第1面18、外部共振器15側に第2面19を向けて配置されている。
【0027】
外部共振器15は、半導体素子11のミラー層との間において、半導体素子11からの光を共振させる。外部共振器15は、第1波長の光を選択的に反射し、第1波長とは異なる波長(第2波長を含む)の光を透過させる。外部共振器15としては、例えば、VHG(Volume Holographic Grating)を用いることができる。VHGは、LiNbO3、BGO等のフォトリフラクティブ結晶、ポリマー等を用いて形成できる。
【0028】
VHGには、二方向から入射させた入射光によって生じた干渉縞が記録されている。干渉縞は、高屈折率部分と低屈折率部分とが周期的に配列された周期構造として記録される。VHGは、かかる干渉縞とブラッグ条件が適合する光のみを、回折により選択的に反射させる。外部共振器15は、直方体形状をなしている。外部共振器15は、板状に形成された材料を切り分けることで得られる。なお、外部共振器15は、波長選択性を有するものであれば良く、VHGに限られない。外部共振器15としては、例えば、バンドパスフィルタやダイクロイックミラーを用いても良い。
【0029】
SHG素子14は、例えば、非線形光学結晶であるニオブ酸リチウム(LiNbO3)の分極反転結晶(Periodically Poled Lithium Niobate;PPLN)である。SHG素子14は、自発分極層16及び分極反転層17を交互に並列させた分極反転構造を有する。自発分極層16及び分極反転層17は、半導体素子11からの光の波長を変換する波長変換部を構成する。自発分極層16及び分極反転層17は、特定方向であるZ軸方向へ並列している。自発分極層16及び分極反転層17は、基本波光の第1波長に対応するピッチの分極反転構造を構成する。自発分極層16及び分極反転層17は、Z軸方向に略直交するXY平面に沿って形成されている。なお、図示する自発分極層16及び分極反転層17は、模式的に表したものである。
【0030】
分極反転構造は、コヒーレント長ごとに非線形光学定数の符号を反転させて構成されている。分極反転構造の形成には、自発分極を持つ非線形光学結晶へ電圧を印加する手法が多く用いられている。分極反転層17は、非線形光学結晶の自発分極を反転させた層状領域である。自発分極層16は、非線形光学結晶の自発分極が残された層状領域である。分極反転構造は、例えば、ニオブ酸リチウム(LN)基板上に絶縁層の微細なパターンを形成し、電極或いは電解液を介して電圧を印加することにより得ることができる。分極反転構造は、例えば、絶縁層のパターン、及び電極が形成された材料基板を切り分けた後、パルス電圧を印加することにより形成できる。さらに、第1面18及び第2面19の研磨、及び反射防止膜(ARコート)の形成を経て、SHG素子14が完成する。SHG素子14は、素子全体において光の波長変換を可能とする、いわゆるバルクタイプの波長変換素子である。SHG素子14は、光を透過させる導波路を持つ構成であっても良い。
【0031】
図3は、SHG素子14の斜視構成を示す。SHG素子14の第1面18は、凹形状の凹面である。第1面18は、X軸方向について曲率を持つ。第1面18は、半導体素子11からの複数の光を屈折させる屈折部として機能する。第1面18は、半導体素子11の形状を反転させたような形状をなす。第2面19は、X軸及びY軸に平行な平面形状をなす。
【0032】
図1に戻って、半導体素子11からの複数の光は、アレイ方向であるX軸方向へ並列している。半導体素子11からの複数の光は、互いに収束しながら進行する。第1面18は、半導体素子11からの複数の光の進行方向をX軸方向について調整する調整部として機能する。半導体素子11からの複数の光は、SHG素子14の第1面18において、Z軸方向に進行方向が変換される。第1面18は、屈折により半導体素子11からの複数の光を平行化させる。第1面18は、複数の光の進行方向をZ軸方向に揃えて自発分極層16及び分極反転層17に透過させる。SHG素子14を透過した光は、外部共振器15へ入射する。
【0033】
SHG素子14で生じた高調波光は、外部共振器15を透過する。外部共振器15を透過した高調波光は、光源装置10外へ射出する。第1面18側からSHG素子14を透過した基本波光は、外部共振器15で反射する。外部共振器15に対して垂直に入射した基本波光は、外部共振器15で反射した後、外部共振器15へ入射したときと同じ光路を逆に辿る。
【0034】
第2面19から第1面18側へSHG素子14を透過した光は、半導体素子11へ入射する。半導体素子11へ入射した基本波光は、半導体素子11のミラー層で反射し、半導体素子11から射出する。半導体素子11及び外部共振器15により反射された基本波光は、半導体素子11により新たに射出される基本波光と共振して増幅される。
【0035】
図4は、直方体形状のSHG素子20と半導体素子11とを組み合わせた場合の光の進行方向について説明するものである。SHG素子20の第1面21は、X軸及びY軸に平行な平面形状をなす。半導体素子11から互いに収束するように進行した複数の光は、SHG素子20内においても互いに収束するように進行する。このため、半導体素子11の端部に近い発光部から射出された光ほど、SHG素子20内において、自発分極層16及び分極反転層17に対して斜めに進行することとなる。基本波光の第1波長に対応するピッチの分極反転構造に対して斜めに透過する光が多くなるほど、位相整合条件が崩れ、波長変換効率が低下することとなる。
【0036】
図1に戻って、本発明は、自発分極層16及び分極反転層17に直交するZ軸方向に沿って光を透過させるSHG素子14を用いることで、高い波長変換効率を得ることが可能となる。Z軸方向に複数の光の進行方向を揃えることで、反りを生じた半導体素子11を用いる場合でも、高い波長変換効率を得ることが可能となる。これにより、アレイ光源を用いる場合に、高い波長変換効率により高い効率で光を射出することができるという効果を奏する。
【0037】
SHG素子14は、光を透過させる方向へ長いほど、波長変換効率を高くできる。仮に、複数の光の進行方向を揃えるための他の光学素子を配置するために波長変換素子を小型にすると、波長変換効率が低下することになる。本実施例の光源装置10は、SHG素子14の第1面18を用いて光の進行方向を制御するため、SHG素子14の長さを十分確保可能とし、高い波長変換効率を実現できる。
【0038】
SHG素子14の第1面18の形状は、半導体素子11の形状を計測した計測結果に基づいて決定できる。半導体素子11の形状と略同一の形状の第1面18を形成することで、半導体素子11からの全ての光の進行方向をZ軸方向に揃えることができる。但し、SHG素子14は、第1面18の形状が半導体素子11の形状と同一である場合に限られない。第1面18は、半導体素子11の形状に近い形状であっても良く、少なくとも、複数の光の進行方向をZ軸方向に近くなるように調整可能であれば良い。半導体素子11からの複数の光の進行方向をZ軸方向へ近づけることが可能であれば、波長変換効率を向上させる効果を得ることができる。例えば、光源装置10の製造工程において半導体素子11の形状に個体差が生じる場合に、半導体素子11の平均的な形状に基づいて第1面18の形状を決定しても良い。
【0039】
図5は、本実施例の変形例に係る光源装置30の概略構成を示す。本実施例の光源装置30は、上記の光源装置10の半導体素子11(図1参照)とは逆に湾曲する半導体素子31を有する。半導体素子31及びサブマウント32は、光を射出する側へ中央部が凸となるように湾曲している。半導体素子31は、湾曲の仕方が逆である他は、上記の半導体素子11と同様の構成を有する。
【0040】
図6は、SHG素子33の斜視構成を示す。SHG素子33の第1面34は、凸形状の凸面である。第1面34は、X軸方向について曲率を持つ。第1面34は、半導体素子31からの複数の光を屈折させる屈折部として機能する。第1面34は、半導体素子31の形状を反転させたような形状をなす。SHG素子33は、第1面34の形状が異なる他は、上記のSHG素子14(図3参照)と同様の構成を有する。
【0041】
図5に戻って、半導体素子31からの複数の光は、互いに発散するように進行する。半導体素子31からの複数の光は、SHG素子33の第1面34において、Z軸方向に進行方向が変換される。第1面34は、半導体素子31からの複数の光の進行方向をX軸方向について調整する調整部として機能する。第1面34は、屈折により半導体素子31からの複数の光を平行化させる。第1面34は、複数の光の進行方向をZ軸方向に揃えて自発分極層16及び分極反転層17に透過させる。本変形例の場合も、高い波長変換効率により高い効率で光を射出することができる。
【0042】
本実施例のSHG素子14、33は、例えば、板状のPPLNを所望の形状に切削することにより形成できる。第1面18、34は、半導体素子11、31の形状を正確に反転させたものとする場合に限られない。複雑な形状の半導体素子11、31に対しては、かかる複雑な形状に近似する簡単な形状に基づいて、第1面18、34を形成しても良い。例えば、異なる曲率の部分を組み合わせた形状の半導体素子11、31に対して、一定の曲率を持つ形状の第1面18、34を適用しても良い。
【0043】
第1面18、34は、X軸方向について曲率を有する場合の他、X軸方向及びY軸方向について曲率を有しても良い。第1面18、34は、一定の曲率を有する曲面である場合に限られず、一定の曲率を持たない自由曲面であっても良い。第1面18、34は、曲面である場合に限られず、複数の平面を組み合わせたものや、平面と曲面を組み合わせたものであっても良い。光源装置10、30は、X軸方向へ並列された複数の発光部を備えるアレイ光源に代えて、X軸方向及びY軸方向へ複数の発光部を並列させたアレイ光源を用いても良い。X軸方向及びY軸方向の2方向について湾曲したアレイ光源に対しては、第1面にX軸方向及びY軸方向について曲率を持たせたSHG素子を用いても良い。
【実施例2】
【0044】
図7は、本発明の実施例2に係る光源装置40の概略構成を示す。本実施例の光源装置40は、複数の光を平行化させる射出部42を有することを特徴とする。上記実施例と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。光源用筐体41は、半導体素子11、サブマウント12、及びパッケージベース13を収納する。射出部42は、光源用筐体41のうちSHG素子20側の面に設けられている。射出部42は、半導体素子11からの光を光源用筐体41外へ射出させる。射出部42は、半導体素子11及びSHG素子20の間の光路中に設けられた光学素子である。射出部42は、2つの凹面を有する透明部材である。射出部42は、凹レンズとして機能する。射出部42は、半導体素子11からの複数の光を屈折させる屈折部として機能する。また、射出部42は、光源用筐体41の防塵カバーとしても機能する。射出部42による防塵作用により、光源装置40の性能低下を低減できる。SHG素子20は、直方体形状をなす。
【0045】
半導体素子11からの複数の光は、互いに収束するように進行する。射出部42は、半導体素子11からの複数の光の進行方向をX軸方向について調整する調整部として機能する。半導体素子11からの複数の光は、射出部42において、Z軸方向に進行方向が変換される。射出部42は、屈折により半導体素子11からの複数の光を平行化させる。射出部42は、複数の光の進行方向をZ軸方向に揃えて自発分極層16及び分極反転層17に透過させる。本実施例の場合も、高い波長変換効率により高い効率で光を射出することができる。また、射出部42を用いて光の進行方向を制御するため、複数の光の進行方向を揃えるための他の光学素子を別途設ける場合より光源装置を簡易な構成にできる。
【0046】
図8は、本実施例の変形例に係る光源装置45の概略構成を示す。本実施例の光源装置45は、光を射出する側へ中央部が凸となるように湾曲する半導体素子31及びサブマウント32を有する。屈折部である射出部46は、2つの凸面を有する透明部材である。射出部46は、凸レンズとして機能する。射出部46は、形状が異なる他は、上記の射出部42(図7参照)と同様に構成されている。
【0047】
半導体素子31からの複数の光は、互いに発散するように進行する。半導体素子31からの複数の光は、射出部46において、Z軸方向に進行方向が変換される。射出部46は、屈折により半導体素子31からの複数の光を平行化させる。本実施例の場合も、高い波長変換効率により高い効率で光を射出することができる。
【実施例3】
【0048】
図9は、本発明の実施例3に係る光源装置50の概略構成を示す。本実施例の光源装置50は、プリズム51を有する。上記実施例と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。プリズム51、SHG素子20、及び外部共振器15は、Z軸方向に並列している。半導体素子11及びサブマウント12は、基板52の凹部53に配置されている。半導体素子11は、Y軸方向へ光を射出する。
【0049】
プリズム51は、半導体素子11からの光が入射する位置に設けられている。プリズム51は、底面55を半導体素子11に対向させて配置されている。プリズム51は、斜面54での全反射により、半導体素子11からの光の光路を折り曲げる。プリズム51は、半導体素子11及びSHG素子20の間の光路中に設けられた光学素子である。SHG素子20は、直方体形状をなす。プリズム51、SHG素子20、及び外部共振器15は、基板52上に配置されている。基板52は、板状部材に凹部53が施されたものである。凹部53は、基板52の上面の一部に形成されている。
【0050】
図10は、プリズム51の斜視構成を示す。プリズム51は、直角三角形の断面を持つ三角柱のうち、底面55を凹形状に変形させた形状をなしている。底面55は、凹形状の凹面である。底面55は、凹レンズとして機能する。プリズム51は、底面55における屈折により半導体素子11からの複数の光を平行化させる屈折部として機能する。底面55は、X軸方向について曲率を持つ。図11に示すように、底面55は、半導体素子11の形状を反転させたような形状をなす。
【0051】
半導体素子11からの複数の光は、互いに収束するように進行する。プリズム51は、半導体素子11からの複数の光の進行方向をX軸方向について調整する調整部として機能する。半導体素子11からの複数の光は、プリズム51の底面55において、Y軸方向に進行方向が変換される。図9に戻って、プリズム51の底面55を透過した光は、斜面54での全反射により、Z軸方向へ折り曲げられる。プリズム51は、複数の光の進行方向をZ軸方向に揃えて自発分極層16及び分極反転層17に透過させる。本実施例の場合も、高い波長変換効率により高い効率で光を射出することができる。また、プリズム51を用いて光の進行方向を制御するため、複数の光の進行方向を揃えるための他の光学素子を別途設ける場合より光源装置を簡易な構成にできる。
【0052】
図12は、本実施例の変形例に係る光源装置の要部概略構成を示す。本変形例の光源装置は、光を射出する側へ中央部が凸となるように湾曲する半導体素子31及びサブマウント32を有する。プリズム57は、直角三角形の断面を持つ三角柱のうち、底面58を凸形状に変形させた形状をなしている。底面58は、凸形状の凸面である。底面58は、凸レンズとして機能する。プリズム57は、底面58の形状が異なる他は、上記のプリズム51(図10参照)と同様に構成されている。
【0053】
半導体素子31からの複数の光は、互いに発散するように進行する。半導体素子31からの複数の光は、プリズム57の底面58において、Y軸方向に進行方向が変換される。本変形例の場合も、高い波長変換効率により高い効率で光を射出することができる。なお、プリズム51、57は、底面55、58での屈折により複数の光を平行化させる場合に限られない。光を平行化させるのは、プリズム51、57のうち光が到達するいずれの面であっても良い。
【0054】
屈折部を設ける光学素子は、実施例3の射出部、及び本実施例のプリズムに限られず、他の構成であっても良い。例えば、アレイ光源からの光の光路を折り曲げるミラーを曲面形状とすることで、本実施例のプリズムと同様に機能させても良い。
【実施例4】
【0055】
図13は、本発明の実施例4に係るSHG素子60の概略構成を示す。本実施例のSHG素子60は、上記実施例1の光源装置10(図1参照)に適用することができる。本実施例のSHG素子60は、複数のマイクロレンズ62を備えることを特徴とする。上記実施例と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。本実施例のSHG素子60は、光を射出する側とは反対側へ中央部が凸となるように湾曲する半導体素子11と組み合わせて用いることができる。複数のマイクロレンズ62は、第1面61において、X軸方向に並列されている。SHG素子60には、半導体素子11からの光線と同数のマイクロレンズ62が形成されている。マイクロレンズ62は、凹形状の凹面を備える。各マイクロレンズ62は、X軸方向及びY軸方向について曲率を持つ。
【0056】
図14は、マイクロレンズ62の断面構成を示す。マイクロレンズ62は、半導体素子11からの光をZ軸方向へ屈折させる。半導体素子11からの光の傾きはマイクロレンズ62ごとに異なる。各マイクロレンズ62は、半導体素子11からの光の傾きに応じて形状が設定されている。マイクロレンズ62は、屈折により半導体素子11からの複数の光を平行化させる屈折部として機能する。半導体素子11からの光線と同数のマイクロレンズ62を用いることにより、Z軸方向に正確に光を屈折させることが可能となる。これにより、さらに高い波長変換効率が得られる。
【0057】
また、波長変換素子は、通常、波長変換素子内を透過する光のエネルギー密度に略比例して、波長変換効率が向上することが知られている。マイクロレンズ62は、光を屈折させる他、X軸方向及びY軸方向の少なくとも一方についてビーム径を縮小させる機能を持たせても良い。マイクロレンズ62でビーム径を絞ることにより、SHG素子60内を透過する光のエネルギー密度を高めることが可能となる。これにより、さらに高い波長変換効率が得られる。
【0058】
図5に示す光源装置30に対しては、図15に示すように、凸形状の凸面を備えるマイクロレンズ63を用いることができる。マイクロレンズ63を備えるSHG素子は、光を射出する側へ中央部が凸となるように湾曲する半導体素子31と組み合わせて用いることができるマイクロレンズ63は、半導体素子31からの光をZ軸方向へ屈折させる。各マイクロレンズ63は、半導体素子31からの光の傾きに応じて形状が設定されている。この場合も、高い波長変換効率を得ることができる。なお、本実施例のマイクロレンズ62、63は、少なくともZ軸方向に近くなるように光を屈折可能であれば良く、X軸方向のみについて曲率を持つ形状としても良い。マイクロレンズ62、63は、例えば、ナノインプリント技術を用いて形成できる。
【0059】
SHG素子は、マイクロレンズ62、63に代えて、ホログラム素子を用いても良い。図16に示すように、複数のホログラム素子65は、第1面61において、X軸方向に並列させることができる。ホログラム素子65は、微小な矩形領域を単位として形成された複数の凹凸を備える。ホログラム素子65は、矩形領域ごとに光の位相を変化させる。ホログラム素子65は、光の位相を空間的に変化させることにより、半導体素子からの光を回折させる。矩形領域のピッチ及び凹凸の高さを含む表面条件を最適化することにより、所望の向きへ光を屈折させることができる。この場合も、高い波長変換効率を得ることができる。ホログラム素子65についても、ビーム径を縮小させる機能を持たせても良い。ホログラム素子65は、例えば、ナノインプリント技術を用いて形成できる。
【0060】
上記各実施例の光源装置は、マイクロレンズ又はホログラム素子を用いる構成としても良い。本実施例において、屈折部であるマイクロレンズ及びホログラム素子は、1つの光を屈折させる場合に限られず、複数の光を屈折させても良い。異なる傾きの光が屈折部へ入射する場合、屈折部は、少なくとも各光の進行方向をZ軸方向に近くできる構成であれば良い。複数の光を屈折させる屈折部を用いることで、半導体素子からの光線の数より少ない数の屈折部を設ける構成にできる。屈折部の数を少なくするほど、屈折部の形成を容易にできる。屈折部の数を光線の数に近くするほど、各光について、Z軸方向に正確に屈折させることが可能となる。
【0061】
上記各実施例の光源装置は、本実施例で説明する構成である場合に限られず、構成を適宜変更しても良い。例えば、光源部として、半導体レーザ励起固体(Diode Pumped Solid State;DPSS)レーザ等を用いる構成としても良い。光源装置は、必要に応じて、偏光選択用フィルタ、波長選択用フィルタ等の光学素子を設けても良い。
【実施例5】
【0062】
図17は、本発明の実施例5に係るモニタ装置70の概略構成を示す。モニタ装置70は、装置本体71と、光伝送部72とを有する。装置本体71は、上記実施例1の光源装置10(図1参照)を備える。光伝送部72は、2つのライトガイド74、75を有する。光伝送部72のうち被写体(不図示)側の端部には、拡散板76及び結像レンズ77が設けられている。第1ライトガイド74は、光源装置10からの光を被写体へ伝送する。拡散板76は、第1ライトガイド74の射出側に設けられている。第1ライトガイド74内を伝播した光は、拡散板76を透過することにより、被写体側にて拡散する。光源装置10から拡散板76までの光路中の各部は、被写体を照明する照明装置を構成する。
【0063】
第2ライトガイド75は、被写体からの光をカメラ73へ伝送する。結像レンズ77は、第2ライトガイド75の入射側に設けられている。結像レンズ77は、被写体からの光を第2ライトガイド75の入射面へ集光させる。被写体からの光は、結像レンズ77により第2ライトガイド75へ入射した後、第2ライトガイド75内を伝播してカメラ73へ入射する。
【0064】
第1ライトガイド74、第2ライトガイド75としては、多数の光ファイバを束ねたものを用いることができる。光ファイバを用いることで、光を遠方へ伝送させることができる。カメラ73は、装置本体71内に設けられている。カメラ73は、光源装置10からの光により照明された被写体を撮像する撮像部である。第2ライトガイド75から入射した光をカメラ73へ入射させることで、カメラ73による被写体の撮像ができる。上記実施例1の光源装置10を用いることにより、高い効率で光を射出できる。これにより、高い効率で供給された光を用いて明るい像をモニタできるという効果を奏する。なお、モニタ装置70は、上記各実施例で説明するいずれの光源装置を適用しても良い。
【実施例6】
【0065】
図18は、本発明の実施例6に係るプロジェクタ80の概略構成を示す。プロジェクタ80は、スクリーン89に光を供給し、スクリーン89で反射する光を観察することで画像を鑑賞するフロント投写型のプロジェクタである。プロジェクタ80は、赤色(R)光用光源装置81R、緑色(G)光用光源装置81G、青色(B)光用光源装置81Bを有する。各色光用光源装置81R、81G、81Bは、いずれも上記実施例1の光源装置10(図1参照)と同様の構成を有する。プロジェクタ80は、各色光用光源装置81R、81G、81Bからの光を用いて画像を表示する画像表示装置である。
【0066】
R光用光源装置81Rは、R光を供給する光源装置である。拡散素子82は、照明領域の整形、拡大、照明領域における光量分布の均一化を行う。拡散素子82としては、例えば、回折光学素子である計算機合成ホログラム(Computer Generated Hologram;CGH)を用いることができる。フィールドレンズ83は、R光用光源装置81Rからの光を平行化させ、R光用空間光変調装置84Rへ入射させる。R光用光源装置81R、拡散素子82、及びフィールドレンズ83は、R光用空間光変調装置84Rを照明する照明装置を構成する。R光用空間光変調装置84Rは、照明装置からのR光を画像信号に応じて変調する空間光変調装置であって、透過型液晶表示装置である。R光用空間光変調装置84Rで変調されたR光は、色合成光学系であるクロスダイクロイックプリズム85へ入射する。
【0067】
G光用光源装置81Gは、G光を供給する光源装置である。拡散素子82及びフィールドレンズ83を経た光は、G光用空間光変調装置84Gへ入射する。G光用光源装置81G、拡散素子82、及びフィールドレンズ83は、G光用空間光変調装置84Gを照明する照明装置を構成する。G光用空間光変調装置84Gは、照明装置からのG光を画像信号に応じて変調する空間光変調装置であって、透過型液晶表示装置である。G光用空間光変調装置84Gで変調されたG光は、クロスダイクロイックプリズム85のうちR光が入射する面とは異なる面へ入射する。
【0068】
B光用光源装置81Bは、B光を供給する光源装置である。拡散素子82及びフィールドレンズ83を経た光は、B光用空間光変調装置84Bへ入射する。B光用光源装置81B、拡散素子82、及びフィールドレンズ83は、B光用空間光変調装置84Bを照明する照明装置を構成する。B光用空間光変調装置84Bは、照明装置からのB光を画像信号に応じて変調する空間光変調装置であって、透過型液晶表示装置である。B光用空間光変調装置84Bで変調されたB光は、クロスダイクロイックプリズム85のうちR光が入射する面、及びG光が入射する面とは異なる面へ入射する。透過型液晶表示装置としては、例えば高温ポリシリコンTFT液晶パネル(High Temperature Polysilicon;HTPS)を用いることができる。
【0069】
クロスダイクロイックプリズム85は、互いに略直交させて配置された2つのダイクロイック膜86、87を有する。第1ダイクロイック膜86は、R光を反射し、G光及びB光を透過させる。第2ダイクロイック膜87は、B光を反射し、R光及びG光を透過させる。クロスダイクロイックプリズム85は、それぞれ異なる方向から入射したR光、G光及びB光を合成し、投写レンズ88の方向へ射出する。投写レンズ88は、クロスダイクロイックプリズム85で合成された光をスクリーン89に向けて投写する。
【0070】
上記の光源装置10と同様の構成を有する各色光用光源装置81R、81G、81Bを用いることにより、高い効率で光を射出できる。これにより、高い効率で供給された光を用いて明るい画像を表示できるという効果を奏する。なお、各色光用光源装置81R、81G、81Bは、上記各実施例で説明するいずれの光源装置を適用しても良い。プロジェクタ80は、例えば、R光用光源装置81RはSHG素子を用いず光源部からの基本波光をそのまま射出するものとし、G光用光源装置81G及びB光用光源装置81Bについて、上記各実施例のいずれかの光源装置と同様の構成としても良い。
【0071】
プロジェクタは、空間光変調装置として透過型液晶表示装置を用いる場合に限られない。空間光変調装置としては、反射型液晶表示装置(Liquid Crystal On Silicon;LCOS)、DMD(Digital Micromirror Device)、GLV(Grating Light Valve)等を用いても良い。プロジェクタは、色光ごとに空間光変調装置を備える構成に限られない。プロジェクタは、一の空間光変調装置により2つ又は3つ以上の色光を変調する構成としても良い。プロジェクタは、空間光変調装置を用いる場合に限られない。プロジェクタは、ガルバノミラー等の走査手段により光源装置からのレーザ光を走査させ、被照射面において画像を表示するレーザスキャン型のプロジェクタであっても良い。プロジェクタは、画像情報を持たせたスライドを用いるスライドプロジェクタであっても良い。プロジェクタは、スクリーンの一方の面に光を供給し、スクリーンの他方の面から射出される光を観察することで画像を鑑賞する、いわゆるリアプロジェクタであっても良い。
【0072】
本発明の光源装置は、画像表示装置である液晶ディスプレイに適用しても良い。本発明の光源装置と導光板を組み合わせることにより、液晶パネルを照明する照明装置として用いることができる。この場合も、明るい画像を表示することができる。本発明の光源装置は、モニタ装置や画像表示装置に適用される場合に限られない。本発明の光源装置は、例えば、レーザ光を用いた露光のための露光装置やレーザ加工装置等の光学系に用いても良い。
【産業上の利用可能性】
【0073】
以上のように、本発明に係る光源装置は、モニタ装置や画像表示装置に用いる場合に適している。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の実施例1に係る光源装置の概略構成を示す図。
【図2】半導体素子及びサブマウントの斜視構成を示す図。
【図3】SHG素子の斜視構成を示す図。
【図4】直方体形状のSHG素子を用いる場合の光の進行方向について説明する図。
【図5】実施例1の変形例に係る光源装置の概略構成を示す図。
【図6】SHG素子の斜視構成を示す図。
【図7】本発明の実施例2に係る光源装置の概略構成を示す図。
【図8】実施例2の変形例に係る光源装置の概略構成を示す図。
【図9】本発明の実施例3に係る光源装置の概略構成を示す図。
【図10】プリズムの斜視構成を示す図。
【図11】プリズムの底面を通過した光の進行方向について説明する図。
【図12】実施例3の変形例に係る光源装置の要部概略構成を示す図。
【図13】本発明の実施例4に係るSHG素子の概略構成を示す図。
【図14】マイクロレンズの断面構成を示す図。
【図15】凸面を備えるマイクロレンズの断面構成を示す図。
【図16】複数のホログラム素子を用いる構成を説明する図。
【図17】本発明の実施例5に係るモニタ装置の概略構成を示す図。
【図18】本発明の実施例6に係るプロジェクタの概略構成を示す図。
【符号の説明】
【0075】
10 光源装置、11 半導体素子、12 サブマウント、13 パッケージベース、14 SHG素子、15 外部共振器、16 自発分極層、17 分極反転層、18 第1面、19 第2面、20 SHG素子、21 第1面、30 光源装置、31 半導体素子、32 サブマウント、33 SHG素子、34 第1面、40 光源装置、41 光源用筐体、42 射出部、45 光源装置、46 射出部、50 光源装置、51 プリズム、52 基板、53 凹部、54 斜面、55 底面、57 プリズム、58 底面、60 SHG素子、61 第1面、62 マイクロレンズ、63 マイクロレンズ、65 ホログラム素子、70 モニタ装置、71 装置本体、72 光伝送部、73 カメラ、74 第1ライトガイド、75 第2ライトガイド、76 拡散板、77 結像レンズ、80 プロジェクタ、81R R光用光源装置、81G G光用光源装置、81B B光用光源装置、82 拡散素子、83 フィールドレンズ、84R R光用空間光変調装置、84G G光用空間光変調装置、84B B光用空間光変調装置、85 クロスダイクロイックプリズム、86 第1ダイクロイック膜、87 第2ダイクロイック膜、88 投写レンズ、89 スクリーン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を射出する複数の発光部を備えるアレイ光源と、
特定方向に略直交する面に沿って形成され、前記特定方向へ並列されている、分極を反転させた分極反転層を有し、前記アレイ光源からの光の波長を変換する波長変換部と、
前記複数の発光部から射出される複数の光の進行方向を調整する調整部と、を有し、
前記調整部は、前記複数の光の進行方向を前記特定方向に近くなるように揃えて前記波長変換部に透過させることを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記アレイ光源からの複数の光が並列する方向をアレイ方向とすると、
前記調整部は、前記複数の光の進行方向を前記アレイ方向について調整することを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記調整部は、屈折により前記アレイ光源からの複数の光を平行化させる屈折部からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記屈折部は、前記波長変換部のうち前記アレイ光源側の面に設けられることを特徴とする請求項3に記載の光源装置。
【請求項5】
前記アレイ光源及び前記波長変換部の間の光路中に設けられた光学素子を有し、
前記屈折部は、前記光学素子に設けられることを特徴とする請求項3に記載の光源装置。
【請求項6】
前記アレイ光源を収納する光源用筐体を有し、
前記光学素子は、前記アレイ光源からの光を前記光源用筐体の外部へ射出させる射出部であることを特徴とする請求項5に記載の光源装置。
【請求項7】
前記光学素子は、前記アレイ光源からの光の光路を折り曲げるプリズムであることを特徴とする請求項5に記載の光源装置。
【請求項8】
前記屈折部は、凹形状の凹面を備えることを特徴とする請求項3〜7のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項9】
前記屈折部は、凸形状の凸面を備えることを特徴とする請求項3〜7のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項10】
前記屈折部は、前記アレイ光源からの光を回折させるホログラム素子を備えることを特徴とする請求項3〜7のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項11】
前記調整部は、複数の前記屈折部からなることを特徴とする請求項3〜10のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項12】
前記屈折部は、前記アレイ光源からの光のビーム径を縮小させることを特徴とする請求項3〜11のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の光源装置を有し、前記光源装置からの光を用いて被照射物を照明することを特徴とする照明装置。
【請求項14】
請求項13に記載の照明装置と、
前記照明装置により照明された被写体を撮像する撮像部と、を有することを特徴とするモニタ装置。
【請求項15】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の光源装置を有し、前記光源装置からの光を用いて画像を表示することを特徴とする画像表示装置。
【請求項1】
光を射出する複数の発光部を備えるアレイ光源と、
特定方向に略直交する面に沿って形成され、前記特定方向へ並列されている、分極を反転させた分極反転層を有し、前記アレイ光源からの光の波長を変換する波長変換部と、
前記複数の発光部から射出される複数の光の進行方向を調整する調整部と、を有し、
前記調整部は、前記複数の光の進行方向を前記特定方向に近くなるように揃えて前記波長変換部に透過させることを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記アレイ光源からの複数の光が並列する方向をアレイ方向とすると、
前記調整部は、前記複数の光の進行方向を前記アレイ方向について調整することを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記調整部は、屈折により前記アレイ光源からの複数の光を平行化させる屈折部からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記屈折部は、前記波長変換部のうち前記アレイ光源側の面に設けられることを特徴とする請求項3に記載の光源装置。
【請求項5】
前記アレイ光源及び前記波長変換部の間の光路中に設けられた光学素子を有し、
前記屈折部は、前記光学素子に設けられることを特徴とする請求項3に記載の光源装置。
【請求項6】
前記アレイ光源を収納する光源用筐体を有し、
前記光学素子は、前記アレイ光源からの光を前記光源用筐体の外部へ射出させる射出部であることを特徴とする請求項5に記載の光源装置。
【請求項7】
前記光学素子は、前記アレイ光源からの光の光路を折り曲げるプリズムであることを特徴とする請求項5に記載の光源装置。
【請求項8】
前記屈折部は、凹形状の凹面を備えることを特徴とする請求項3〜7のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項9】
前記屈折部は、凸形状の凸面を備えることを特徴とする請求項3〜7のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項10】
前記屈折部は、前記アレイ光源からの光を回折させるホログラム素子を備えることを特徴とする請求項3〜7のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項11】
前記調整部は、複数の前記屈折部からなることを特徴とする請求項3〜10のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項12】
前記屈折部は、前記アレイ光源からの光のビーム径を縮小させることを特徴とする請求項3〜11のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の光源装置を有し、前記光源装置からの光を用いて被照射物を照明することを特徴とする照明装置。
【請求項14】
請求項13に記載の照明装置と、
前記照明装置により照明された被写体を撮像する撮像部と、を有することを特徴とするモニタ装置。
【請求項15】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の光源装置を有し、前記光源装置からの光を用いて画像を表示することを特徴とする画像表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2009−38067(P2009−38067A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−198521(P2007−198521)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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