説明

光源装置及びその冷却方法、並びに画像表示装置

【課題】 光源装置における照度分布が不均一となることを防止しつつ発光チップを冷却する。
【解決手段】 電流を供給されることによって発光し発熱する発光チップ2がバンプ21を介して基台3上にフリップチップ実装された光源装置1であって、上記発光チップ2と上記基台3との間に少なくとも配置されかつ上記発光チップ2の射出面側に少なくとも非配置とされる絶縁性の冷却媒体Xを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置及びその冷却方法、並びに画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プロジェクタ等の画像表示装置は、近年小型化、高輝度化、長寿命化、廉価化等が図られてきている。例えば、小型化に対しては液晶パネル(光変調素子)サイズは対角1.3インチが0.5インチになり面積比で1/6強の小型化がされてきている。
【0003】
一方、プロジェクタの光源として、固体光源である発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)光源(光源装置)を用いることよる小型化が提案されている。LED光源は、電源を含めて小型であり、瞬時点灯/消灯が可能であること、色再現性が広く長寿命であることなど、プロジェクタ等の画像表示装置用光源としてメリットを有している。また、水銀などの有害物質を含まないため、環境保全上からみても好ましいものである。
【0004】
しかしながら、LED光源をプロジェクタ用光源に用いるためには、光源としての明るさが不足しており、少なくとも放電型光源ランプレベルの明るさを確保(高輝度化、低エテンデュ化)する必要があった。
【0005】
ところが、LED光源を高輝度化するにつれて益々LED光源からの発熱は増大し、LED光源の温度が上昇すると発光効率が低下するため、何らかの発熱対策をとる必要があった。一般的に採用されているファンによる強制空冷方式であるが、この他にも、冷却媒体を用いてLED光源を強制冷却する方法が提案されている。冷却媒体による冷却方法によれば、強制空冷方式の騒音の解消にも効果が期待されるものである(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平07−099372号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のように、発光チップ全体を冷却媒体に浸漬して冷却する場合には、発光チップから射出された発光光が冷却媒体中を通過することになる。このため、例えば、冷却媒体中に泡や流れの筋が存在している場合には、LED光源から射出される射出光の照度分布が不均一となる。そして、このようなLED光源をプロジェクタ等の画像表示装置に搭載した場合には、LED光源から射出される射出光の照度分布が不均一となることに起因して、表示ムラが生じることになる。
また、上述のように発光チップから射出された発光光が冷却媒体中を通過するため、冷却媒体として、発光光に対して透明なものを用いる必要が生じ、冷却媒体の選択の自由度が低下する。
【0007】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、光源装置における照度分布が不均一となることを防止しつつ発光チップを冷却することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の光源装置では、電流を供給されることによって発光し発熱する発光チップがバンプを介して基台上にフリップチップ実装された光源装置であって、上記発光チップと上記基台との間に少なくとも配置されかつ上記発光チップの射出面側に少なくとも非配置とされる絶縁性の冷却媒体を備えることを特徴とする。
【0009】
このような特徴を有する本発明の光源装置によれば、絶縁性の冷却媒体が発光チップと基台との間に少なくとも配置されかつ発光チップの射出面側に少なくとも非配置とされる。このため、発光チップの射出光の光路上に冷却媒体を存在させることなく、発光チップを冷却することが可能となる。したがって、本発明の光源装置によれば、光源装置における照度分布が不均一となることを防止しつつ発光チップを冷却することが可能となる。
また、発光チップの射出光の光路上に冷却媒体が存在しないため、冷却媒体として発光チップの射出光に対して透明なものを用いる必要がなくなり、冷却媒体の選択の自由度が向上する。
【0010】
また、本発明の光源装置においては、上記冷却媒体が流体であるという構成を採用することができる。このように、冷却媒体として流体を用いることができる。
また、本発明の光源装置においては、冷却媒体として流体を用い、この冷却媒体を流動する流動手段を備えるという構成を採用することが好ましい。このように、流体である冷却媒体を流動させることによって、発光チップの冷却効果を促進させ、より効率的に発光チップを冷却することが可能となる。
【0011】
また、本発明の光源装置においては、冷却媒体として流体を用い、さらにこの流体を流動させる場合に、上記冷却媒体を上記発光チップと上記基台との間に誘導する誘導手段を備えるという構成を採用することが好ましい。
このような構成を採用することによって、発光チップと基台との間が狭く圧損が高い場合であっても、確実に冷却媒体を発光チップと基台との間において流動させることができる。
【0012】
また、本発明の光源装置においては、上記誘導手段が、上記冷却媒体の流路を上記発光チップと上記基台との間に向けて徐々に狭める傾斜部であるという構成を採用することができる。
また、本発明の光源装置においては、上記誘導手段が、上記発光チップの側面に沿って形成される整流部であるという構成を採用することができる。
【0013】
なお、冷却媒体として流体を用いる場合には、上記冷却媒体が液体であることが好ましい。一般的に、液体の方が気体よりも伝熱係数が高いため、冷却媒体として液体を用いることによって、より効率的に発光チップを冷却することが可能となる。
【0014】
次に、本発明の画像表示装置は、本発明の光源装置を備えることを特徴とする。
本発明の光源装置によれば、光源装置における照度分布が不均一となることを防止しつつ発光チップを冷却することが可能となる。このため、本発明の画像表示装置によれば、表示特性を向上させることができる。
【0015】
次に、本発明の光源装置の冷却方法は、電流を供給されることによって発光し発熱する発光チップがバンプを介して基台上にフリップチップ実装された光源装置の冷却方法であって、冷却媒体を上記発光チップと上記基台との間に少なくとも配置しかつ上記発光チップの射出面側に少なくとも非配置とすることを特徴とする。
【0016】
このような特徴を有する本発明の光源装置の冷却方法によれば、絶縁性の冷却媒体が発光チップと基台との間に少なくとも配置されかつ発光チップの射出面側に少なくとも非配置とされる。このため、発光チップの射出光の光路上に冷却媒体を存在させることなく、発光チップを冷却することが可能となる。したがって、本発明の光源装置の冷却方法によれば、光源装置における照度分布が不均一となることを防止しつつ発光チップを冷却することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明に係る光源装置及びその冷却方法、並びに画像表示装置の一実施形態について説明する。なお、以下の図面において、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0018】
(第1実施形態)
図1は、本第1実施形態の光源装置1の概略構成を示す断面図である。この図1に示すように、本実施形態に係る光源装置1は、電流を供給されることによって発光し発熱する発光チップ2を備えており、発光チップ2は金属材料によって形成される基台3にフリップチップ実装されている。そして、この基台3上には、陰電極4と陽電極5とが配置されている。そして、発光チップ2がバンプ21を介して陰電極4及び陽電極5と接続されている。なお、図1においては、図示を簡略化しているが、発光チップ2の下面には、図2に示すように、アレイ状に配置された複数のバンプ21が形成されている。また、バンプ21と陰電極4及び陽電極5は、接合材によって接続されている。この接合材としては、導電性を有する材料であれば使用することができるが、製造時における形状変形が容易な半田や導電性接着剤を使用することが好ましい。
【0019】
また、基台3の上面には、発光チップ2を囲むように、円環状の土手部6が形成されている。この土手部6には、冷却媒体Xが流れる流路61が形成されている。なお、この流路61は、図1における紙面左右方向に延設されており、当該流路61に冷却媒体Xを流動するための流動手段であるポンプ(不図示)と接続されている。また、基台3の上面全体を覆いかつ発光チップ2の上面(射出面)と直接接するように、レンズ7が形成されている。レンズ7は、発光チップ2から放射状に射出された光を光源装置1における射出方向に集光するものである。そのため、レンズ7は、発光チップ21からの射出光が損なわれることなく透過する光学機能を有している材料、例えば、ガラスやアクリル樹脂、ポリカーボネート、エポキシ樹脂等の透明材料によって構成され、周辺部より中央部の厚さが厚い凸レンズとされている。
【0020】
冷却媒体Xとしては、絶縁性の流体(例えば、純水)が選択され、この冷却媒体Xは、レンズ7と基台3との間の空間に配置される。なお、この冷却媒体Xは、レンズ7と基台3との間の空間及び流路61とを介してポンプ(不図示)によって循環(流動)される。
【0021】
発光チップ2は、pn接合部に電流が流れると発光するダイオード(LED)である。同じ半導体材料を接合したホモ接合型のLEDでは、発光部に注入されたキャリアに対する障壁がないため、キャリアが半導体中の拡散距離にまで広がってしまう。これに対して、異なる半導体材料を接合したヘテロ接合型のLEDでは、キャリアに対する障壁を構造中に作りこむため、発光部に注入されるキャリアの密度を大幅に増大させることができる。特に、クラッド層の間に発光層を挟み込んだダブルヘテロ接合型のLEDでは、発光層の幅が狭いほどキャリア密度を高めることが可能になり、内部量子効率を向上させることができる。一方、ホモ接合型のLEDでは、外界に接する材料と発光部の材料とが同じであるため、発光が自分自身の材料で吸収されてしまう。これに対して、ダブルヘテロ接合型のLEDでは、バンドギャップの広い材料からなるクラッド層の間にバンドギャップの狭い材料からなる発光層が挟み込まれているので、自己吸収が減少して光取り出し効率を向上させることができる。したがって、発光効率に優れたダブルヘテロ接合型のLEDを採用することが望ましい。
【0022】
なお、本第1実施形態の光源装置1における発光チップ2は、通電されることによって、青色光あるいは緑色光を射出するものであり、サファイア(Al)等の基板の表面に、GaInN系の化合物半導体結晶を成長させることによって形成する。そして、n−GaNからなるクラッド層と、p−GaNからなるクラッド層との間に、InGaNからなる発光層を挟み込んだダブルヘテロ接合構造を採用することが好ましい。
【0023】
また、赤色光を射出する光源装置は、一般的に、発光チップが陰極と陽極とで上下に挟み込まれた構造を有し、フリップチップ実装ではなく、基台上に直接実装されている。しかしながら、赤色光を射出する光源装置においても、発光チップをフリップチップ実装できないわけではなく、本発明を適用することができる。
なお、本実施形態の光源装置から赤色光を射出する場合には、ガリウムヒ素(GaAs)等の基板上に、AlGaInP系の化合物半導体結晶を成長させることによって形成する。また、GaAs基板は可視光を吸収するため、LEDの光取り出し効率の向上に限界がある。そこで、半導体結晶を成長させた後にGaAs基板を取り除き、発光波長に対して透明なガリウムリン(GaP)基板を高温高圧化で貼り付けることが望ましい。そして、n−GaPからなるクラッド層と、p−GaPのクラッド層との間に、AlGaInPの発光層を挟み込んだダブルヘテロ接合構造を採用することが好ましい。
【0024】
このような構成を有する本第1実施形態の光源装置1における発光チップ2が陰電極4及び陽電極5によって通電されると、発光チップ2は、発光し発熱する。
ここで、本第1実施形態の光源装置1においては、冷却媒体Xが発光チップ2と基台3との間に配置されているため、発光チップ2から発する熱量は、冷却媒体Xを介して放熱される。また、発光チップ2の射出面(上面)がレンズ7と接触されているため、発光チップ2の射出面より上方には冷却媒体Xが存在していなく、発光チップ2の射出光に照度分布のばらつきが生じることもない。
このように、本第1実施形態の光源装置(光源装置の冷却方法)によれば、冷却媒体Xが発光チップ2と基台3との間に少なくとも配置されかつ発光チップ2の射出面側に少なくとも非配置とされるため、光源装置1における照度分布が不均一となることを防止しつつ発光チップ2を冷却し高輝度を得ることが可能となる。
【0025】
また、本第1実施形態の光源装置1によれば、また、発光チップ2の射出光の光路上に冷却媒体Xが存在しないため、冷却媒体Xとして発光チップ2の射出光に対して透明なものを用いる必要がなくなり、冷却媒体Xの選択の自由度が向上する。
【0026】
また、本第1実施形態の光源装置1によれば、ポンプによって冷却媒体Xが流動されるため、冷却媒体Xによる発光チップ2の冷却効果を促進させ、より効率的に発光チップ2を冷却することが可能となる。
【0027】
なお、本第1実施形態においては、冷却媒体Xとして流体を用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、冷却媒体Xとして伝熱性が高い絶縁性の固体物を用いることもできる。
【0028】
なお、本第1実施形態の光源装置1においては、従来の光源装置と比べて、発光チップ2と冷却媒体Xとが接触する面積が少ないため、発光チップ2の冷却が不十分になることが想像できる。
しかしながら、発光チップ2は、発熱する発光層の上に伝熱性の低いサファイア基板が積層される構造を有している。このため、従来の光源装置のように発光チップ全体を冷却媒体Xと接触させた場合であっても、サファイア基板を介して冷却媒体Xによって放熱される熱量を小さい。したがって、本実施形態のように、発光チップ2と基台3との間に冷却媒体Xを配置するだけで、十分に発光チップ2を冷却することが可能となる。
【0029】
図3は、本第1実施形態の光源装置1において、冷却媒体Xとして、温度が25°の純水を用い、この冷却媒体Xの流量0.1ml/sとした場合における、発光チップ2において発生する熱量と、発光チップ2の温度との関係をシミュレーションによって得た結果である。そして、この図から、本第1実施形態の光源装置1の発光チップ2において発熱する熱量に対する発光チップの温度上昇は、冷却媒体Xを用いない光源装置の発光チップ2において発熱する熱量に対する発光チップの温度上昇と比較して少ないことが分かる。
したがって、本第1実施形態の光源装置1においても、発光チップ2を十分に冷却することができる。
【0030】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について、図4を参照して説明する。なお、本第2実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0031】
図4は、本第2実施形態の光源装置における、発光チップ2及び基台3の近傍を拡大した図である。なお、図4においては、紙面左右方向が冷却媒体Xが流れる方向である。そして、この図に示すように、本第2実施形態の光源装置は、冷却媒体Xを発光チップ2と基台3との間に誘導する誘導手段としての傾斜部10を備えている。
この傾斜部10は、図4に示すように、冷却媒体Xの流路の一部であるレンズ7と基台3との間の空間を、発光チップ2と基台3との間に向けて徐々に狭めていく傾斜面11を備えて構成されている。
【0032】
このような傾斜部10を備えることによって、冷却媒体Xが傾斜部10の傾斜面11に沿って集まり、発光チップ2と基台3との間における冷却媒体Xの流動性が高まる。
したがって、本第2実施形態の光源装置によれば、発光チップ2と基台3との間が狭く圧損が高い場合であっても、確実に冷却媒体Xを発光チップ2と基台3との間において流動させることができ、より確実に発光チップ2を冷却することが可能となる。
【0033】
なお、傾斜部10を透明部材によって形成し、傾斜面11を反射面として構成することによって、発光チップ2の側面から射出した発光光を傾斜面11において反射し光源装置の射出方向に射出しても良い。これによって、光源装置における光の取り出し効率を向上させることが可能となる。
【0034】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について、図5を参照して説明する。なお、本第3実施形態の説明においても、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0035】
図5は、本第2実施形態の光源装置における、発光チップ2及び基台3の近傍を拡大した図である。なお、図5においては、紙面垂直方向が冷却媒体Xが流れる方向である。そして、この図に示すように、本第3実施形態の光源装置は、冷却媒体Xを発光チップ2と基台3との間に誘導する誘導手段としての整流部20を備えている。
この整流部20は、発光チップ2の側面に沿って、流れ方向と平行に形成されている。そして、このような整流部20を備えることによって、発光チップ2と基台3との間に流入した冷却媒体Xは、途中で発光チップ2と基台3との間から流れ出ることなく、発光チップ2と基台3との間の空間を流れる。
【0036】
このため、発光チップ2と基台3との間における冷却媒体Xの流動性が高まり、発光チップ2と基台3との間が狭く圧損が高い場合であっても、確実に冷却媒体Xを発光チップ2と基台3との間において流動させることができる。したがって、本第3実施形態の光源装置によれば、より確実に発光チップ2を冷却することが可能となる。
【0037】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態として、上記実施形態の光源装置を備えるプロジェクタ(画像表示装置)について説明する。
図6は、本実施形態に係る光源装置を備えたプロジェクタの概略構成図である。図中、符号512,513,514は本実施形態の光源装置、522,523,524は液晶ライトバルブ(光変調素子)、525はクロスダイクロイックプリズム、526は投写レンズを示している。
【0038】
図6のプロジェクタは、本実施形態のように構成した3個の光源装置512,513,514を備えている。各光源装置512,513,514には、それぞれ赤(R)、緑(G)、青(B)に発光するLEDが採用されている。また、各光源装置512,513,514には、各々に対応する集光レンズ535が配置されている。
【0039】
そして、赤色光源装置512からの光束は、集光レンズ535Rを透過して反射ミラー517で反射され、赤色光用液晶ライトバルブ522に入射する。また、緑色光源装置513からの光束は、集光レンズ535Gを透過して緑色光用液晶ライトバルブ523に入射する。また、青色光源装置514からの光束は、集光レンズ535Bを透過して反射ミラー516で反射され、青色光用液晶ライトバルブ524に入射する。
【0040】
また、各液晶ライトバルブの入射側および射出側には、偏光板(不図示)が配置されている。そして、各光源からの光束のうち所定方向の直線偏光のみが入射側偏光板を透過して、各液晶ライトバルブに入射する。また、入射側偏光板の後方に偏光変換手段(不図示)を設けてもよい。この場合、入射側偏光板で反射された光束をリサイクルして各液晶ライトバルブに入射させることが可能になり、光の利用効率を向上させることができる。
【0041】
各液晶ライトバルブ522,523,524によって変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム525に入射する。このプリズムは4つの直角プリズムを貼り合わせて形成され、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に配置されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成され、カラー画像を表す光が形成される。そして、合成された光は投写光学系である投写レンズ526により投写スクリーン527上に投写され、拡大された画像が表示される。
【0042】
上述した本実施形態の光源装置では、光源装置における照度分布が不均一となることを防止しつつ発光チップを冷却することが可能となる。このため、この光源装置を備える本実施形態のプロジェクタによれば、表示特性を向上させることができる。
【0043】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る光源装置及びその冷却方法、並びに画像表示装置の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0044】
例えば、図7に示すように、バンプ21を細分化して配置し、これによって、バンプ21全体の表面積を広げるという構成を採用しても良い。
このような構成を採用することによって、冷却媒体Xとバンプ21との接触面積が増加し、バンプ21を介してより多くの熱量が放熱されるため、より効率的に発光チップ2を冷却することが可能となる。
なお、図7に示すようなバンプ21を備える光源装置において、上記第1実施形態と同様の条件でシミュレーションを行ったところ、発光チップ2の発熱量が10W時における発光チップ2の温度は、約74.6℃であった。
【0045】
また、図8に示すようにバンプ21を冷却媒体Xの流れ方向に延在して複数形成するという構成を採用しても良い。
このような構成を採用することによって、発光チップ2と基台3との間における冷却媒体Xが層流化され、より放熱効果を高めることが可能となる。
なお、図8に示すようなバンプ21を備える光源装置において、上記第1実施形態と同様の条件でシミュレーションを行ったところ、発光チップ2の発熱量が10W時における発光チップ2の温度は、約73.9℃であった。
【0046】
また、上記第4実施形態においては、本発明の画像表示装置として、3板式の液晶プロジェクタを挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、単板式の液晶プロジェクタ、光変調素子として微小ミラーアレイデバイスを用いたプロジェクタあるいはスクリーンが一体形成された直視型の画像表示装置等に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1実施形態における光源装置の概略構成を示した断面図である。
【図2】バンプの配置構成を示す図である。
【図3】本発明の第1実施形態における光源装置のシミュレーション結果である。
【図4】本発明の第2実施形態における光源装置の拡大図である。
【図5】本発明の第3実施形態における光源装置の拡大図である。
【図6】本発明の第4実施形態であるプロジェクタの概略構成図である。
【図7】本発明の変形例を示す図である。
【図8】本発明の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
1……光源装置、2……発光チップ、21……バンプ、3……基台、10……傾斜部(誘導手段)、11……傾斜面、20……整流部(誘導手段)、X……冷却媒体



【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流を供給されることによって発光し発熱する発光チップがバンプを介して基台上にフリップチップ実装された光源装置であって、
前記発光チップと前記基台との間に少なくとも配置されかつ前記発光チップの射出面側に少なくとも非配置とされる絶縁性の冷却媒体を備えることを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記冷却媒体が流体であることを特徴とする請求項1記載の光源装置。
【請求項3】
前記冷却媒体を流動する流動手段を備えることを特徴とする請求項2記載の光源装置。
【請求項4】
前記冷却媒体を前記発光チップと前記基台との間に誘導する誘導手段を備えることを特徴とする請求項3記載の光源装置。
【請求項5】
前記誘導手段が、前記冷却媒体の流路を前記発光チップと前記基台との間に向けて徐々に狭める傾斜部であることを特徴とする請求項4記載の光源装置。
【請求項6】
前記誘導手段が、前記発光チップの側面に沿って形成される整流部であることを特徴とする請求項4記載の光源装置。
【請求項7】
前記冷却媒体が液体であることを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載の光源装置。
【請求項8】
請求項1〜7いずれかに記載の光源装置を備えることを特徴とする画像表示装置。
【請求項9】
電流を供給されることによって発光し発熱する発光チップがバンプを介して基台上にフリップチップ実装された光源装置の冷却方法であって、
冷却媒体を前記発光チップと前記基台との間に少なくとも配置しかつ前記発光チップの射出面側に少なくとも非配置とすることを特徴とする光源装置の冷却方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−86172(P2006−86172A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−266598(P2004−266598)
【出願日】平成16年9月14日(2004.9.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】