説明

光源装置及びプロジェクタ

【課題】光源装置及びプロジェクタのさらなる小型化を図る。
【解決手段】第一の仮想円上に配置された第一発光素子群11と、第一の仮想円と同軸かつ軸線O方向の一方に隣接する第二の仮想円上に配置された第二発光素子群12と、第一の仮想円と同軸かつ軸線方向の他方に隣接する第三の仮想円上に配置された第三発光素子群13と、第一発光素子群11の径方向内側に軸線上から第一発光素子群11の一部の直前まで設けられて、第一発光素子群11側の端部である入射端から入射した光を軸線O側の端部に導いて軸線O方向の一方に向く出射端面16aから出射する導光部材16を設ける。導光部材16に、第二発光素子群12が発した光を出射端側に向けて反射する第一ダイクロイック面D1と、第三発光素子群13が発した光を出射端側に向けて反射する第二ダイクロイック面D2とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光源の発する光を導光部材によって所定位置に導いて利用する構成の光源装置、及びこれを用いたプロジェクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
このような光源装置としては、例えば、後記の特許文献1に記載の照明装置が知られている。この照明装置では、リング状(ドーナッツ型)に形成した3段の基板のそれぞれ内周にLED発光チップが実装されている。
このようなリングの内側には、一体可動部が収納されている。この一体可動部は、各段のLED発光チップに関して、それぞれ、プリズム、ライトパイプ、平行ロッドでなる光学装置が2個、両プリズムの出射面が1個のテーパーロッドに結合される形態で構成されている。これにより、リング内面に配設された対向する位置の同色のLED発光チップの光が両プリズムの第2の入射面に入射して、それぞれテーパーロッド内に導かれるようになっている。
【0003】
【特許文献1】特開2005−38831号公報(段落[0038]から段落[0040]、及び図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような照明装置では、一体可動部には、テーパーロッドに加えて、各段のLED発光チップに対応させて、それぞれ、プリズム、ライトパイプ、平行ロッドでなる光学装置が2個設けられている。
一体可動部は、このように多数の構成部品によって構成されているので、占有体積が大きい。
また、このように多数の構成部品からなる一体可動部は、その重量も大きいので、一体可動部を回転駆動する回転モータにかかる負荷も大きい。このため、回転モータを小型化することが困難である。
以上のことから、この照明装置について、さらなる小型化を図ることは困難である。
【0005】
この発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、より小型の光源装置、及びより小型のプロジェクタを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明は、第一の仮想円上に複数配置された第一発光素子からなる第一発光素子群と、前記第一発光素子とは発光波長が異なるとともに前記第一の仮想円と同軸かつ軸線方向の一方に隣接する第二の仮想円上に複数配置された第二発光素子からなる第二発光素子群と、前記第一及び第二発光素子とは発光波長が異なるとともに前記第一の仮想円と同軸かつ前記軸線方向の他方に隣接する第三の仮想円上に複数配置された第三発光素子からなる第三発光素子群と、前記第一発光素子群の径方向内側に前記軸線上から前記第一発光素子群の一部の直前まで設けられて、前記第一発光素子群側の端部である入射端から入射した光を前記軸線側の端部に導いて前記軸線方向の一方に向く出射端面から出射する導光部材と、該導光部材に設けられて前記第二発光素子群が発した光を前記導光部材の出射端側に向けて反射する第一ダイクロイック面と、前記導光部材に設けられて前記第三発光素子群が発した光を前記導光部材の出射端側に向けて反射する第二ダイクロイック面と、前記導光部材を前記軸線回りに回転駆動させる導光部材駆動装置と、前記導光部材の回転に同期して、前記第一発光素子、前記第二発光素子、及び前記第三発光素子のそれぞれについて前記導光部材の入射端に対向する発光素子のみ点灯させる発光素子駆動装置とを有している光源装置を提供する。
【0007】
このように構成される光源装置では、導光部材駆動装置によって導光部材を回転駆動することで、導光部材の入射端が、各発光素子群の配列方向に沿って移動する。
各発光素子群を構成する発光素子は、発光素子駆動装置によって、導光部材の回転と同期して、導光部材の入射端に対向する発光素子のみ点灯させられ、導光部材の入射端に対向していない発光素子は、再び導光部材の入射端に対向するまでの間、発光が停止される。このように、各発光素子を間欠的に点灯させることで、各発光素子の負荷が低減されて過熱が防止されるので、各発光素子への投入電力を大きくして、光量を増大させることができる。
【0008】
第一発光素子群のうち、導光部材の入射端に対向する第一発光素子が発する光は、導光部材の入射端に入射されて、導光部材の出射端面から出射される。また、第二発光素子群のうち、導光部材に対向する第二発光素子が発する光は、導光部材に設けられた第一ダイクロイック面によって導光部材の出射端に向けて反射させられて、導光部材の出射端面から出射される。同様に、第三発光素子群のうち、導光部材に対向する第三発光素子が発する光は、導光部材に設けられた第二ダイクロイック面によって導光部材の出射端に向けて反射させられて、導光部材の出射端面から出射される。
すなわち、この光源装置では、第一発光素子群、第二発光素子群、第三発光素子群のそれぞれが発する光が、共通の導光部材を通じて、前記軸線方向の一方に向けて出射される。
【0009】
このように、この光源装置では、複数色の光を導くための導光部材が一つで済むので、コストが低減できるとともに、光源装置を小型化することができる。また、この光源装置では、導光部材が一つであるために導光部材駆動装置の負荷が少ないので、導光部材駆動装置として小型のものを用いることができ、光源装置を小型化することができる。
また、この光源装置では、各発光素子群が、同一の軸線に沿って隣接配置されているので、これら発光素子群の設置スペースを低減することができ、光源装置を小型化することができる。
また、この光源装置では、このように各発光素子群が隣接配置されているので、これら発光素子群を冷却するための装置構成を簡略化することができる。
【0010】
この光源装置は、内部に冷媒が循環流通されて該冷媒によって前記各第一発光素子、前記各第二発光素子、及び前記各第三発光素子が発する熱を回収する冷却装置と、該冷却装置内を流通する前記冷媒が回収した熱を外部に放出する放熱部とを有していてもよい。
【0011】
この場合には、冷却装置内を流通する冷媒によって各発光素子群の熱が回収され、この熱が、放熱部によって外部に放出される。すなわち、各発光素子群の発する熱が、装置内部に拡散させることなく放熱部に送り込まれるので、他の部品に熱による影響をほとんど与えずに、各発光素子群の冷却を効率よく行うことができる。
【0012】
前記冷却装置として、前記第一発光素子群、前記第二発光素子群、前記第三発光素子群のうちの少なくともいずれかの発光素子群の冷却を行う冷却ジャケットが複数設けられており、前記冷却ジャケットのうちの少なくとも一つは、他の前記冷却ジャケットと接続するジョイント部を有しており、該ジョイント部は、前記各冷却ジャケットの前記冷媒流路を接続する流路接続部を構成していてもよい。
【0013】
この場合には、冷却ジャケット同士の接続に用いられるジョイントが、各冷却ジャケットの冷媒流路同士を接続する流路接続部を構成しているので、冷媒流路同士を接続する管路を別途設ける場合に比べて、冷却装置を小型化することができ、光源装置の小型化が可能となる。
【0014】
前記導光部材は、前記第一ダイクロイック面を有する第一ダイクロイックプリズムと、
前記第二ダイクロイック面を有する第二ダイクロイックプリズムとを有しており、前記第一ダイクロイックプリズムと前記第二ダイクロイックプリズムとは、前記径方向の位置が異なっており、前記第二発光素子群は、前記径方向の前記第一ダイクロイックプリズムに対向する位置に設けられており、前記第三発光素子群は、前記径方向の前記第二ダイクロイックプリズムに対向する位置に設けられており、前記第一、第二、第三発光素子群のうち、前記発光素子の設置半径の大きいものほど、該発光素子の設置数を多くしてもよい。
【0015】
この場合には、各発光素子群について、それぞれ発光素子の設置半径が異なっており、発光素子の設置半径の大きいものほど、発光素子の設置数が多くなっている。
すなわち、発光素子の設置半径の大きい発光素子群でも、発光素子の設置間隔が短くなり、導光部材に入射する光の光量を増加させることができる。
また、発光素子の設置数が多い発光素子群では、他の発光素子群に比べて、個々の発光素子の発光時間が短く、発光素子にかかる負荷が少ないので、より出力を上げて光量を増加させることができる。
すなわち、発光波長による比視感度が高い発光色の発光素子によって構成される発光素子群については設置半径を大きくかつ設置数を多くすることで、この発光素子群から導光部材に入射する光量を多くすることができ、各発光素子群の見かけ上の輝度バランスを良好に保つことができる。
【0016】
また、本発明は、請求項1記載の光源装置を用いたプロジェクタであって、前記光源装置の前記導光部材の出射端面から出射した光を変調する変調素子と、該変調素子で変調された光を投影する投影光学系とを有しているプロジェクタを提供する。
【0017】
このように構成されるプロジェクタでは、光源装置が出射した光が、変調素子によって変調させられたのちに、投影光学系によって投影される。
変調素子は、各発光素子群が発する光のそれぞれについて独立して変調することで、投影光学系が、多色の画像情報を投影することになる。例えば、各発光素子群の発光色をそれぞれ赤(R),緑(G),青(B)とし、各色の光についてそれぞれ独立して変調素子による変調を施すことで、投影光学系の投影像を、多色の画像とすることができる。
このように構成されるプロジェクタによれば、光源装置を小型化することができるので、装置全体を小型化することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、より小型の光源装置及びプロジェクタを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
[第一実施形態]
以下、本発明の第一実施形態に係る光源装置1について、図1から図5を用いて説明する。この光源装置1は、各種のプロジェクタ等の光源として用いられるものである。
光源装置1は、図1の概略構成図に示されるように、図示せぬ第一の仮想円上に複数配置された第一発光素子11aからなる第一発光素子群11と、第一発光素子11aとは発光波長が異なるとともに第一の仮想円と同軸かつ第一の仮想円の軸線O方向の一方(図1における上方、以下、この方向を上方とする)に隣接する第二の仮想円(図示せず)上に複数配置された第二発光素子12aからなる第二発光素子群12と、第一及び第二発光素子11a,12aとは発光波長が異なるとともに第一の仮想円と同軸かつ軸線O方向の他方(図1における下方、以下、この方向を下方とする)に隣接する第三の仮想円(図示せず)上に複数配置された第三発光素子13aからなる第三発光素子群13とを有している。
【0020】
本実施形態では、第一、第二、第三発光素子11a,12a,13aは、それぞれLED(Light Emitting Diode)によって構成されている。ここで、LEDは点光源ではなく拡散光源である。このため、これら第一、第二、第三発光素子11a,12a,13aには、それぞれNA変換素子NAが設けられており、これによって各発光素子の出射光の平行度が高められている。本実施形態では、各発光素子は、片面側が発光面となる略円盤形状をなしている。各発光素子の発光面には、NA変換素子NAとして、砲弾型の透明樹脂モールドが形成されている。各発光素子に設けられるNA変換素子NAは、全て略同一の大きさとされている。
なお、NA変換素子NAとしては、このような砲弾型樹脂モールドに限らず、例えばテーパーロッド等の他のNA変換素子を用いてもよい。
【0021】
各第一発光素子11aは、第一仮想円上で、それぞれ光軸(放射される光束の中心軸)を軸線Oに向けた状態にして略等間隔で配置されている。本実施形態では、図2の分解斜視図に示すように、各第一発光素子11aは、帯状のフレキシブル基板B1上に、その長手方向に沿って略等間隔で設けられている。フレキシブル基板B1は、各第一発光素子11aの発光面が内側となるように略円筒状に丸められている。これにより、各第一発光素子11aは、それぞれ光軸を軸線Oに向けた状態にして配置されている。
また、図2及び図3の縦断面図に示すように、フレキシブル基板B1には、長手方向に沿って略等間隔に開口部Hが設けられている。各第一発光素子11aは、それぞれ開口部H内に設置されており、これによって、各第一発光素子11aは、発光面とは反対側の面を、フレキシブル基板B1の外周面側に露出させられている。
【0022】
図1に示すように、各第二発光素子12aは、第一仮想円よりも小径の第二仮想円上で、それぞれ光軸を下方に向けた状態にして略等間隔で配置されている。本実施形態では、図2に示すように、各第二発光素子12aは、円環平板状の基板B2上に、その周方向に沿って略等間隔で設けられている。
また、図3に示すように、基板B2には、周方向に沿って略等間隔に開口部Hが設けられている。各第二発光素子12aは、それぞれ開口部H内に設置されており、これによって、各第二発光素子12aは、発光面とは反対側の面を、基板B2の上面側に露出させられている。
【0023】
図1に示すように、各第三発光素子13aは、第二仮想円と略同径の第三仮想円上で、それぞれ光軸を上方に向けた状態にして略等間隔で配置されている。
本実施形態では、図2に示すように、各第三発光素子13aは、円環平板状の基板B3上に、その周方向に沿って略等間隔で設けられている。
また、図3に示すように、基板B3には、周方向に沿って略等間隔に開口部Hが設けられている。各第三発光素子13aは、それぞれ開口部H内に設置されており、これによって、各第三発光素子13aは、発光面とは反対側の面を、基板B3の下面側に露出させられている。
【0024】
ここで、本実施形態では、第一発光素子11aの発光色は緑色とされ、第二発光素子12aの発光色は青色とされ、第三発光素子13aの発光色は赤色とされている。なお、第二発光素子12aの発光色と第三発光素子13aの発光色とを入れ替えてもよい。
【0025】
図2及び図3に示すように、光源装置1には、内部に冷媒が循環流通されてこの冷媒によって各第一発光素子11a、各第二発光素子12a、及び各第三発光素子13aが発する熱を回収する冷却装置14と、冷却装置14内を流通する冷媒が回収した熱を外部に放出する放熱部15とが設けられている。
【0026】
冷却装置14は、略円筒形状をなし、内周面で各第一発光素子11aにおいてフレキシブル基板B1の外周面を受ける第一冷却ジャケット14aと、略円環平板形状をなし、下面で基板B2の上面を受ける第二冷却ジャケット14bと、略円盤形状をなし、上面で基板B3の下面を受ける第三冷却ジャケット14cとを有している。これら第一、第二、第三冷却ジャケット14a,14b,14cは、それぞれ、銅等の熱伝導率の高い材質によって構成されている。
【0027】
第二冷却ジャケット14bは、第一冷却ジャケット14aの上端面に略同軸にして取り付けられている。第三冷却ジャケット14cは、第一冷却ジャケット14aの下端面に略同軸にして取り付けられている。本実施形態では、第二冷却ジャケット14b及び第三冷却ジャケット14cは、それぞれ第一冷却ジャケット14aに対してネジ14dによるネジ止めによって取り付けられている。また、第二冷却ジャケット14b及び第三冷却ジャケット14cは、それぞれ外径が第一冷却ジャケット14aと外径が略同一とされている。
【0028】
ここで、第一冷却ジャケット14aはフレキシブル基板B1の保持具を兼ねている。また、第二冷却ジャケット14bは基板B2の保持具を兼ねており、第三冷却ジャケット14cは基板B3の保持具を兼ねている。
第一冷却ジャケット14aと第二冷却ジャケット14bとの間、及び第一冷却ジャケット14aと第三冷却ジャケット14cとの間には、それぞれ略円環平板形状のスペーサ14eが設けられている。このスペーサ14eを適切な厚みのものと交換することで、各冷却ジャケットの軸線O方向の相対位置を調整して、各冷却ジャケットに保持される基板の軸線O方向の相対位置(すなわち各発光素子群の相対位置)を調整することができる。
【0029】
前記のように、フレキシブル基板B1には開口部Hが設けられているので、第一発光素子11aの発光面とは反対側の面は、第一冷却ジャケット14aの内周面に直接接触する。また、第一冷却ジャケット14aの内周面は、第一発光素子11aの数と同数の平面が、周方向に配置された構成とされている。これにより、第一発光素子11aは、第一冷却ジャケット14aの内周面を構成する平面に対して面接触することになり、第一発光素子11aから第一冷却ジャケット14aへの熱伝導効率が高い。
【0030】
また、前記のように、基板B2にも開口部Hが設けられている。これにより、第二発光素子11bの発光面とは反対側の面が、第二冷却ジャケット14bの下面に面接触することとなり、第二発光素子12aから第二冷却ジャケット14bへの熱伝導効率が高い。
また、前記のように、基板B3にも開口部Hが設けられている。これにより、第三発光素子11cの発光面とは反対側の面が、第三冷却ジャケット14cの上面に面接触することとなり、第三発光素子13aから第三冷却ジャケット14cへの熱伝導効率が高い。
【0031】
図4に示すように、第一冷却ジャケット14aには、その周方向に沿ってほぼ一周する第一冷媒流路C1が設けられている。第一冷却ジャケット14aの外周部には、第一冷媒流路C1の始点に通じる冷媒入口Miと、第一冷媒流路C1の終点に通じる冷媒出口Moとが設けられている。冷媒入口Mi及び冷媒出口Moは、それぞれ配管Tを通じて放熱部15に接続されている。これら配管Tのうちのいずれか一方には送液ポンプ(図示せず)が設けられており、これによって冷媒が循環流通されるようになっている。
【0032】
図2に示すように、第一冷却ジャケット14aには、上下面のそれぞれにおいて第一冷媒流路C1の始点近傍に、略円筒状のジョイント部Jiが突出状態にして設けられている。また、第一冷却ジャケット14aには、上下面のそれぞれにおいて第一冷媒流路C1の終点近傍に、略円筒状のジョイント部Joが突出状態にして設けられている。
【0033】
第二冷却ジャケット14bの下面には、第一冷却ジャケット14aのジョイント部Jiに対向する部位に、ジョイント部Jiが挿入される挿入部Iiが設けられている。第二冷却ジャケット14bの下面には、第一冷却ジャケット14aのジョイント部Joに対向する部位に、ジョイント部Joが挿入される挿入部Ioが設けられている。
第二冷却ジャケット14bには、挿入部Iiから挿入部Ioまで、その周方向に沿ってほぼ一周する第二冷媒流路C2(図3参照)が設けられている。
【0034】
第三冷却ジャケット14cの上面には、第一冷却ジャケット14aのジョイント部Jiに対向する部位に、ジョイント部Jiが挿入される挿入部Iiが設けられている。第三冷却ジャケット14cの上面には、第一冷却ジャケット14aのジョイント部Joに対向する部位に、ジョイント部Joが挿入される挿入部Ioが設けられている。
第三冷却ジャケット14cには、挿入部Iiから挿入部Ioまで、その周方向に沿ってほぼ一周する第三冷媒流路C3(図3参照)が設けられている。
【0035】
第一冷却ジャケット14aのジョイント部Ji,Joには、それぞれ外周にOリング14fが装着されている。これにより、ジョイント部Jiと挿入部Iiとの間、及びジョイント部Joと挿入部Ioとの間が液密に封止されている。
ジョイント部Ji,Joは、それぞれ第一冷媒流路C1と第二冷媒流路C2、第一冷媒流路C1と第三冷媒流路C3とを接続する流路接続部を構成している。すなわち、冷媒入口Miから第一冷媒流路C1内に供給された冷媒は、ジョイント部Jiを通じて第二冷媒流路C2及び第三冷媒流路C3にも供給される。また、第二冷媒流路C2に供給された冷媒及び第三冷媒流路C3に供給された冷媒は、それぞれジョイント部Joを通じて第一冷媒流路C1の終端に送り込まれて、冷媒出口Moを通じて放熱部15に送り込まれるようになっている。
【0036】
図3に示すように、光源装置1には、第一発光素子群11の径方向内側に、軸線O上から第一発光素子群11の一部の第一発光素子11aの直前まで達する導光部材16が設けられている。
この導光部材16は、第一発光素子群11側の端部が入射端とされ、軸線O側には、上方に向く射出端面16aが設けられている。
【0037】
光源装置1には、導光部材16の射出端面16aに対向する位置に、軸線Oと同軸にして、テーパーロッドRが設けられている。このテーパーロッドRは、出射端面16aから離間するにつれて断面積が増加する四角錐台形状をなしている。これによって、出射端面16aから射出された光が、テーパーロッドRを通過することによって平行度を高められるようになっている。
ここで、テーパーロッドRは、図示せぬ保持具によって、導光部材16とは離間した状態で固定的に保持されている。
【0038】
また、光源装置1には、導光部材16を軸線O回りに回転駆動させる導光部材駆動装置17が設けられている。これにより、導光部材駆動装置17によって導光部材16を軸線O回りに回転駆動すると、導光部材16の入射端が、各発光素子群を構成する発光素子の配列方向に沿って移動させられるようになっている。
本実施形態では、導光部材駆動装置17は、電動モータ17aと、電動モータ17aの駆動軸に略同軸にして設けられて、上面に導光部材16が取り付けられる円盤状のベース17bとを有している。
【0039】
導光部材16は、第一発光素子群11側の端部に設けられるダイクロイックプリズム21と、軸線O側の端部に設けられてダイクロイックプリズム21側から入射する光を上方に向けて反射する三角プリズム22と、ダイクロイックプリズム21の出射端面と三角プリズム22の入射端面とを接続する導光部材本体23とを有している。
【0040】
ダイクロイックプリズム21は、第一、第二、第三発光素子群11,12,13に周囲を囲まれている。
ダイクロイックプリズム21は、第一発光素子群11に対向する側に第一入射面21aが設けられ、第二発光素子群12に対向する側に第二入射面21bが設けられ、第三発光素子群13に対向する側に第三入射面21cが設けられた略立方体形状をなしている。
【0041】
本実施形態では、ダイクロイックプリズム21として、クロスダイクロイックプリズムが用いられている。具体的には、ダイクロイックプリズム21は、第二発光素子群12が発する光(青色光)を導光部材16の出射端側に向けて反射する第一ダイクロイック面D1と、第三発光素子群13が発する光(赤色光)を導光部材16の出射端側に向けて反射する第二ダイクロイック面D2とを有している。
第一ダイクロイック面D1は、例えば青色光を反射しかつ青色光の波長よりも長波長の光を透過させるローパスフィルタとされている。第二ダイクロイック面D2は、赤色光を反射しかつ赤色光の波長よりも短波長の光を透過させるハイパスフィルタとされている。
【0042】
これにより、図5に示すように、第一発光素子群11のうち第一入射面21aに対向する第一発光素子11aの発する緑色光が、第一入射面21aからダイクロイックプリズム21に入射すると、第一ダイクロイック面D1及び第二ダイクロイック面D2を透過して、導光部材本体23を通じて三角プリズム22に入射する。
第二発光素子群12のうち第二入射面21bに対向する第二発光素子12aの発する青色光が、第二入射面21bからダイクロイックプリズム21に入射すると、第一ダイクロイック面D1によって軸線Oに向けて反射されて、ライトガイド23を通じて三角プリズム22に入射する。
第三発光素子群13のうち第三入射面21cに対向する第三発光素子13aの発する赤色光が、第三入射面21cからダイクロイックプリズム21に入射すると、第二ダイクロイック面D2によって軸線Oに向けて反射されて、ライトガイド23を通じて三角プリズム22に入射する。
このようにして三角プリズム22に入射した光は、軸線O方向の一方に向けて反射されて、出射端面16aからテーパーロッドRに向けて出射される。
【0043】
また、この光源装置1には、導光部材16の回転に同期して、第一発光素子11a、第二発光素子12a、及び第三発光素子13aのそれぞれについて導光部材16の入射端に対向する発光素子のみ点灯させる発光素子駆動装置27が設けられている。
すなわち、各発光素子群を構成する発光素子は、発光素子駆動装置27によって、導光部材16の回転と同期して、導光部材16の入射端に対向する発光素子のみ点灯させられ、導光部材16の入射端に対向していない発光素子は、再び導光部材16の入射端に対向するまでの間、発光が停止される。
このように各発光素子を間欠的に点灯させることで、各発光素子の負荷が低減されて過熱が防止される。これにより、この光源装置1では、各発光素子への投入電力を大きくして、光量を増大させることができる。
【0044】
このように構成される光源装置1では、前記のように、第一発光素子群11、第二発光素子群12、第三発光素子群13のそれぞれが発する光が、共通の導光部材16を通じて、上方に向けて出射される。
このように、この光源装置1では、複数色の光を導くための導光部材16が一つで済むので、コストが低減できるとともに、光源装置1を小型化することができる。また、この光源装置1では、導光部材16が一つであるために導光部材駆動装置17の負荷が少ないので、導光部材駆動装置17として小型のものを用いることができ、光源装置1を小型化することができる。
また、この光源装置1では、各発光素子群が、同一の軸線Oに沿って隣接配置されているので、これら発光素子群の設置スペースを低減することができ、光源装置1を小型化することができる。
【0045】
また、この光源装置1では、このように各発光素子群が隣接配置されているので、これら発光素子群を冷却するための装置構成を簡略化することができる。
また、冷却装置14内を流通する冷媒によって各発光素子群の熱が回収され、この熱が、放熱部15によって外部に放出される。すなわち、各発光素子群の発する熱が、装置内部に拡散させることなく放熱部15に送り込まれるので、他の部品に熱による影響をほとんど与えずに、各発光素子群の冷却を効率よく行うことができる。
【0046】
また、冷却装置14を構成する第一、第二、第三冷却ジャケット14a,14b,14cが、ジョイント部Ji,Joを介して接続されており、これらジョイント部Ji,Joは、各冷却ジャケットの冷媒流路を接続する流路接続部を構成している。
このため、冷媒流路同士を接続する管路を別途設ける場合に比べて、冷却装置14を小型化することができ、光源装置1の小型化が可能となる。
【0047】
[第二実施形態]
以下、本発明の第二実施形態に係る光源装置51について、図6及び図7を用いて説明する。
本実施形態に係る光源装置51は、第一実施形態に係る光源装置1において、冷却装置14の代わりに、冷却装置54を用いたことを主たる特徴とするものである。
以下、第一実施形態に示す光源装置1と同様または同一の部材については同じ符号を用いて示し、詳細な説明を省略する。
【0048】
冷却装置54は、第一実施形態で示した冷却装置14の第一冷却ジャケット14aからジョイント部Ji,Joをなくした構成の第一冷却ジャケット54aを有している。また、冷却装置54は、第一実施形態で示した冷却装置14の第二冷却ジャケット14bから挿入部Ii,Io、第二冷媒流路C2をなくした構成の第二冷却ジャケット54bと、第一実施形態で示した冷却装置14の第三冷却ジャケット14cから挿入部Ii,Io、第三冷媒流路C3をなくした構成の第三冷却ジャケット54cとを有している。
【0049】
第一冷却ジャケット54aと第二冷却ジャケット54b、ならびに第一冷却ジャケット54aと第三冷却ジャケット54cとは、それぞれヒートパイプ55によって熱的に接続されている。すなわち、第二冷却ジャケット54bが第二発光素子群12から回収した熱、及び第三冷却ジャケット54cが第三発光素子群13から回収した熱は、それぞれヒートパイプ55を介して第一冷却ジャケット54aに伝達されて、第一冷媒流路C1内を流通する冷媒によって、放熱部15に送り込まれるようになっている。
【0050】
本実施形態では、第一冷却ジャケット54aの上端面及び下端面には、それぞれ丸穴状の挿入口56が設けられている。本実施形態では、第一冷却ジャケット54aの上端面及び下端面には、それぞれ複数の挿入口56が設けられている。
また、第二冷却ジャケット54b及び第三冷却ジャケット54cには、それぞれ第一冷却ジャケット54aの挿入口56に対向する部位に挿入口56が設けられている。
第一冷却ジャケット54aと第二冷却ジャケット54bとを熱的に接続するヒートパイプ55は、一端を第一冷却ジャケット54aの挿入口56に挿入され、他端を第二冷却ジャケット54bの挿入口56に挿入されている。
第一冷却ジャケット54aと第三冷却ジャケット54cとを熱的に接続するヒートパイプ55は、一端を第一冷却ジャケット54aの挿入口56に挿入され、他端を第三冷却ジャケット54cの挿入口56に挿入されている。
【0051】
各挿入口56の内径は、ヒートパイプ55の外径よりもごくわずかに大きく設定されている。これにより、ヒートパイプ55は、挿入口56の軸線方向に沿って移動可能とされている。また、ヒートパイプ55と挿入口56の内面との間には、熱伝導グリスが介在させられている。これによってヒートパイプ55と各冷却ジャケットとの間での熱伝導性能が十分に確保されている。
【0052】
この光源装置51において、第一冷却ジャケット54aと第二冷却ジャケット54bとの間、及び第一冷却ジャケット54aと第三冷却ジャケット54cとの間には、スペーサ14eの代わりに、位置調整具57が設けられている。
位置調整具57は、第一冷却ジャケット54aと第二冷却ジャケット54bとの間、もしくは第一冷却ジャケット54aと第三冷却ジャケット54cとの間に介在される略L字状の部材である。
【0053】
位置調整具57は、第二冷却ジャケット54bまたは第三冷却ジャケット54cに対して軸線O方向の位置を調整可能にして設けられている。具体的には、位置調整具57は、第二冷却ジャケット54bまたは第三冷却ジャケット54cの外周面を受ける垂直部57aと、第一冷却ジャケット54aの軸線O方向の端面を受ける水平部57bとを有している。
図7に示すように、垂直部57aには開口部57cが形成されており、位置調整具57は、開口部57cに挿通されるネジ57dによって第二冷却ジャケット54bまたは第三冷却ジャケット54cに固定されている。
開口部57cは、上下方向に延びる長穴によって構成されている。これにより、位置調整具57は、ネジ57dを緩めた状態では、第二冷却ジャケット54bまたは第三冷却ジャケット54cに対して軸線O方向の位置の調整が可能となる。
【0054】
[第三実施形態]
以下、本発明の第三実施形態に係る光源装置61について、図8及び図9を用いて説明する。
本実施形態に係る光源装置61は、第二実施形態に係る光源装置1において、導光部材16の代わりに、導光部材66を用いたこと、及び第二発光素子群12と第三発光素子群13の配置を変更したことを主たる特徴とするものである。
以下、第二実施形態に示す光源装置51と同様または同一の部材については同じ符号を用いて示し、詳細な説明を省略する。
【0055】
導光部材66は、第二実施形態に示す導光部材16において、クロスダイクロイックプリズムであるダイクロイックプリズム21の代わりに、第一ダイクロイック面D1のみを有する第一ダイクロイックプリズム71と、第二ダイクロイック面D2のみを有する第二ダイクロイックプリズム72とを設けたものである。
第一ダイクロイックプリズム71は、導光部材66の入射端側に設けられており、第二ダイクロイックプリズム72は、第一ダイクロイックプリズム71と導光部材本体23との間に配置されている。
【0056】
第二発光素子群12は、前記径方向の第一ダイクロイックプリズム71に対向する位置に設けられており、第三発光素子群13は、前記径方向の第二ダイクロイックプリズム72に対向する位置に設けられている。すなわち、第三発光素子群13を構成する第三発光素子13aの設置半径は、第二発光素子群12を構成する第二発光素子12aの設置半径よりも大きい。また、第一発光素子群11を構成する第一発光素子11aの設置半径は、第三発光素子群13を構成する第三発光素子13aの設置半径よりも大きい。
【0057】
また、第三発光素子群13を構成する第三発光素子13aの設置数は、第二発光素子群12を構成する第二発光素子12aの設置数よりも多い。
さらに、第一発光素子群11を構成する第一発光素子11aの設置数は、第三発光素子群13を構成する第三発光素子13aの設置数よりも多い。
【0058】
この光源装置61では、各発光素子群について、それぞれ発光素子の設置半径が異なっており、発光素子の設置半径の大きいものほど、発光素子の設置数が多くなっている。
すなわち、発光素子の設置半径の大きい発光素子群でも、発光素子の設置間隔が短くなり、導光部材66に入射する光の光量を増加させることができる。
また、発光素子の設置数が多い発光素子群では、他の発光素子群に比べて、個々の発光素子の発光時間が短く、発光素子にかかる負荷が少ないので、より出力を上げて光量を増加させることができる。
【0059】
本実施形態では、発光素子群のうち、比視感度が最も高い緑光色を発する第一発光素子11aからなる第一発光素子群11については設置半径を最大としかつ設置数を最大としている。また、発光素子群のうち、比視感度が最も低い青光色を発する第二発光素子12aからなる第二発光素子群12については設置半径を最小としかつ設置数を最小としている。
これにより、この光源装置61では、比視感度が高い光を発する発光素子群ほど導光部材16に入射する光量が多くなり、各発光素子群の見かけ上の輝度バランスを良好に保つことができる。
【0060】
[第四実施形態]
以下、本発明の第四実施形態に係る光源装置71について、図10及び図11を用いて説明する。
本実施形態に係る光源装置71は、第三実施形態に係る光源装置61において、導光部材16の代わりに、導光部材66を用いたこと、及び第二発光素子群12と第三発光素子群13の配置を変更したことを主たる特徴とするものである。
以下、第三実施形態に示す光源装置61と同様または同一の部材については同じ符号を用いて示し、詳細な説明を省略する。
【0061】
第二発光素子群12は、前記径方向の第一ダイクロイックプリズム71に対向する位置に設けられており、第三発光素子群13は、前記径方向の第二ダイクロイックプリズム72に対向する位置に設けられている。すなわち、第三発光素子群13を構成する第三発光素子13aの設置半径は、第二発光素子群12を構成する第二発光素子12aの設置半径よりも大きい。また、第一発光素子群11を構成する第一発光素子11aの設置半径は、第三発光素子群13を構成する第三発光素子13aの設置半径よりも大きい。
ここで、本実施形態では、第一、第二、第三発光素子群11,12、13は、それぞれ発光素子の設置数が同一とされている。
【0062】
また、第三発光素子群13を構成する第三発光素子13aのNA変換素子NA3は、第二発光素子群12を構成する第二発光素子12aのNA変換素子NA2よりも大きい。さらに、第一発光素子群11を構成する第一発光素子11aのNA変換素子NA1は、第三発光素子群13を構成する第三発光素子13aのNA変換素子NA3よりも大きい。
【0063】
この光源装置71では、各発光素子群について、それぞれ発光素子の設置半径が異なっており、発光素子の設置半径の大きいものほど、発光素子に設けられるNA変換素子が大きくなっている。
これにより、発光素子の設置半径の大きい発光素子群でも、光軸方向から見た発光素子の見た目の発光面積が大きくなる。すると、各発光素子群について、発光素子の発光領域の間隔が短くなり、導光部材66に発光領域が対向しない時間(すなわち導光部材66に発光素子の発する光が入射しない時間)が短くなり、発光素子が発する光を効率よく導光部材66に入射させることができ、照明効率が高い。
【0064】
[第五実施形態]
以下、本発明の第五実施形態に係る光源装置81について、図12を用いて説明する。
本実施形態に係る光源装置81は、第一実施形態に係る光源装置1において、第一冷却ジャケット14aの代わりに第一冷却ジャケット84aを用いたこと、第二発光素子群12と第三発光素子群13の配置を変更したこと、導光部材16の代わりに導光部材86を用いたこと、さらに、第二冷却ジャケット14b並びに第三冷却ジャケットをなくしたことを主たる特徴とするものである。
以下、第一実施形態に示す光源装置1と同様または同一の部材については同じ符号を用いて示し、詳細な説明を省略する。
【0065】
第一冷却ジャケット84aは、第一実施形態に示した第一冷却ジャケット14aの軸線O方向の寸法を延長するとともに、第一冷媒流路C1をなくし、代わりに、ヒートパイプ55が、下端が第一冷却ジャケット84aの下方に突出させた状態にして軸線Oに沿って挿通されたものである。
このヒートパイプ55の下端には、放熱部15として、放熱フィンが設けられており、第一冷却ジャケット84aからヒートパイプ55に回収された熱が外部に放出されるようになっている。
また、第一冷却ジャケット84aの下端には、導光部材駆動装置17を支持する支持プレート87が設けられている。
【0066】
また、本実施形態では、第二発光素子群12を構成する第二発光素子12a及び第三発光素子群13を構成する第三発光素子13aが、基板B2、B3ではなく、第一発光素子群11が設けられるフレキシブル基板B1上に設けられている。
具体的には、各第二発光素子12aは、フレキシブル基板B1において第一発光素子11aの上方に、光軸を軸線Oに向けた状態にして配置されている。また、各第三発光素子13aは、フレキシブル基板B1において第一発光素子11aの下方に、光軸を軸線Oに向けた状態にして配置されている。各第二発光素子12a、各第三発光素子13aは、それぞれフレキシブル基板B1に設けられた開口部H内に設けられている。これにより、各第二発光素子12a、各第三発光素子13aも、それぞれ第一冷却ジャケット84aに円接触させられていて、各発光素子の熱が効率よく第一冷却ジャケット84aに伝達されるようになっている。
【0067】
導光部材86は、第一実施形態で示した導光部材16において、ダイクロイックプリズム21の第二入射面21b上に、前記径方向外側から入射する光を第二入射面21bに向けて反射する第一プリズム91を設け、ダイクロイックプリズム21の第三入射面21c上に、前記径方向外側から入射する光を第三入射面21cに向けて反射する第二プリズム92を設けたものである。
【0068】
これにより、第二発光素子群12のうち、導光部材86の入射端に対向する第二発光素子12aから発せられる光が、第一プリズム91によって反射されて、ダイクロイックプリズム21の第二入射面21bに入射され、以降は第一実施形態と同様にしてテーパーロッドRまで導かれる。
同様に、第三発光素子群13のうち、導光部材86の入射端に対向する第三発光素子13aから発せられる光が、第二プリズム92によって反射されて、ダイクロイックプリズム21の第三入射面21cに入射され、以降は第一実施形態と同様にしてテーパーロッドRまで導かれる。
【0069】
この光源装置81では、全ての発光素子を、同一のフレキシブル基板B1上に設けているので、製造時の組立工数が少なくて済み、生産性が高い。
【0070】
以下、上記各実施形態に係る各光源装置1、51,71,81が用いられるプロジェクタの具体例について説明する。なお、以下では、各プロジェクタにおいて、光源装置として、第一実施形態で示した光源装置1を用いた例について説明する。
【0071】
図13に、LCD(Liquid Crystal Display)を用いた三板式のプロジェクタ110の構成を示す。
プロジェクタ110は、光源装置1と、光源装置1から発せられる多色の光の混合光をR,G,Bの各色の光に分離する分離装置111と、分離装置によって分離された各色の光のそれぞれを変調する変調素子112と、変調素子112によって変調された各色の光を合成する合成装置113と、合成装置113によって合成された多色の光の混合光を投影する投影光学系114とを有している。
また、プロジェクタ110の筐体内には、電源ユニット116、及び冷却ファン117が設けられている。
【0072】
分離装置111は、光源装置1のテーパーロッドRの出射端に隣接配置されて青色光のみをテーパーロッドRの光軸に略直交する方向に向けて反射する青色光反射用ダイクロイックプリズム121と、青色光反射用ダイクロイックプリズム121を透過した光のうち、緑色光のみをテーパーロッドRの光軸に略直交する方向に向けて反射する緑色光反射用ダイクロイックプリズム122と、緑色光反射用ダイクロイックプリズム122を透過した光(赤色光)をテーパーロッドRの光軸に略直交する方向に向けて反射する第一赤色光反射用プリズム123とを有している。
【0073】
また、分離装置111は、青色光反射用ダイクロイックプリズム121によって反射された青色光を再びテーパーロッドRの光軸に略平行な方向に反射する青色光反射用プリズム126と、赤色光反射用プリズム123によって反射された赤色光をテーパーロッドRの光軸に略平行でテーパーロッドRからの光の出射方向とは逆向きに反射する第二赤色反射用プリズム127とを有している。
【0074】
本実施形態では、合成装置113として、略立方体をなすクロスダイクロイックプリズムが用いられている。このクロスダイクロイックプリズムは、緑色反射用ダイクロイックプリズム122の出射端面に対向する第一入射面113aと、第二赤色反射用プリズム127の出射面に対向する第二入射面113bと、青色光反射用プリズム126の出射端面に対向する第三入射面113cと、第一入射面113aとは反対側に位置する出射端面113dとを有している。
このクロスダイクロイックプリズムは、第二入射面113bから入射した光のうち赤色光のみを出射端面113dに向けて反射するダイクロイック面113eと、第三入射面113cから入射した光のうち青色光のみを出射端面113dに向けて反射するダイクロイック面113fとを有している。これらダイクロイック面113e,113fは、緑色光についてはそのまま透過させる特性を有している。
【0075】
クロスダイクロイックプリズムの第一入射面113aには、変調素子112として、第一LCDパネル112aが設けられており、第二入射面113bには、変調素子112として、第二LCDパネル112bが設けられている。また、クロスダイクロイックプリズムの第三入射面113cには、変調素子112として、第三LCDパネル112aが設けられている。
【0076】
これらLCDパネルは、透過型のLCDパネルであって、多数の画素がマトリクス状に配置された構成とされている。これらLCDパネルは、図示せぬ制御装置によって動作を制御されている。具体的には、これらLCDパネルは、それぞれ、任意の画素について、光を透過させる状態と、光を遮断する状態とを切り換えることができるようになっている。これによって、光の透過パターンを制御する(光の変調を行う)ことができる。
そして、これらLCDパネルによって、それぞれ入射する光ごとに光の透過パターンを制御することで、合成装置113によって合成された光が、所望のパターンの多色の画像情報を形成し、投影光学系114によってスクリーン等に投影される。
【0077】
図14に、DMD(Digital Micromirror Device,登録商標)を用いた単板式のプロジェクタ150の構成を示す。なお、前記プロジェクタ110と同様または同一の構成については同じ符号を用いて示し、詳細な説明を省略する。
プロジェクタ150は、光源装置1と、光源装置1から発せられる多色の光の混合光を整形する整形光学系151と、整形光学系151から出射された混合光を整形光学系151の光軸とは異なる方向に反射させるミラー152と、ミラー152によって反射された混合光を変調させて投影光学系114に向けて反射するDMD本体153(変調素子)と、DMD素子153の動作を制御する制御装置(図示せず)とを有している。
【0078】
DMD本体153は、マトリクス状に設けられたマイクロミラーと、これらマイクロミラーの向きをそれぞれ独立して制御するミラー駆動装置とを有している。制御装置は、マイクロミラー駆動装置の動作を制御して、任意のマイクロミラーの向きを調整することができるようになっている。そして、任意のマイクロミラーの向きを、ミラー152から反射された光を投影光学系114に反射する向きにすることで、このマイクロミラーに対応する箇所に部分のみ輝度が高められた画像情報が形成される。
【0079】
ここで、プロジェクタ150内の混合光の光路上には、赤色光のみ透過するフィルター、緑色光のみ透過するフィルター、及び青色光のみ透過するフィルターが周方向に順次設けられた回転フィルター(図示せず)が設けられている。すなわち、このプロジェクタ150では、回転フィルターが回転駆動されることで、混合光の光路上で、混合光から、赤色光のみ、緑色光のみ、青色光のみが順次分離される。
【0080】
制御装置は、回転フィルターの回転に同期して(混合光から分離された光に応じて)、各マイクロミラーの動きを制御することで、スクリーン上に、赤色光の画像情報、緑色光の画像情報、青色光の画像情報が順次投影される。
回転フィルターの回転速度は十分速いので、スクリーン上には各色の画像情報が重畳して投影されることになり、視聴者には多色の画像情報として認識される。
【0081】
図15に、LCOS(Liquid Crystal on Silicon)を用いた三板式のプロジェクタ200の構成を示す。
プロジェクタ200は、光源装置1と、光源装置1から発せられる多色の光の混合光をR,G,Bの各色の光に分離する分離装置211と、分離装置によって分離された各色の光のそれぞれを変調する変調素子212と、変調素子212によって変調された各色の光を合成する合成装置213と、合成装置213によって合成された多色の光の混合光を投影する投影光学系114とを有している。
また、プロジェクタ200の筐体内には、電源ユニット116、及び冷却ファン117が設けられている。
【0082】
分離装置211は、光源装置1のテーパーロッドRの出射端に隣接配置されて青色光のみをテーパーロッドRの光軸に略直交する方向に向けて反射する青色光反射用ダイクロイックプリズム121と、青色光反射用ダイクロイックプリズム121を透過した光のうち、緑色光のみの偏向成分を光軸まわりに90°回転させる第一カラーセレクト222と、第一カラーセレクト222を透過した光のうち、P波を透過しS波を青色光反射用ダイクロイックプリズム121による青色光の反射方向とは反対側に向けて反射する第一PBS(Polarization Beam Splitter)223とを有している。
【0083】
分離装置211には、青色光反射用ダイクロイックプリズム121によって反射された青色光のうちのP波を透過しS波をテーパーロッドRの光軸に略平行でテーパーロッドRからの光の出射方向とは逆向きに反射する第二PBS224が設けられている。
第二PBS224においてS波の射出端面には、変調素子212として、青色用LCOS素子226が設けられている。
ここで、LCOS素子は、LCDと同様にマトリクス状の画素を有しており、各画素の動作を制御することで、任意の画素に入射した光を逆方向に反射することができるようになっている。
【0084】
第二PBS224において青色用LCOS素子226とは反対側を向く面には、青色光のみの偏向成分を光軸まわりに90°回転させる第二カラーセレクト227と、第二カラーセレクト227を通過した光のうちのP波を透過しS波を投影光学系114に向けて反射する第三PBS228が設けられている。
【0085】
また、第一PBS223においてS波の射出端面には、変調素子212として、赤色用LCOS素子229が設けられており、第一PBS223においてP波の射出端面には、変調素子212として、緑色用LCOS素子230が設けられている。
ここで、赤色用LCOS素子229によって反射された赤色光は、第一PBS223によって第三PBS228に向けて反射される。第一PBS223と第三PBS228との間には、赤色光のみの偏向成分を光軸まわりに90°回転させる第四カラーセレクト231が設けられている。
これにより、投影光学系14には、各LCOS素子によって変調された各色の光が混合して入射されるので、スクリーン上に多色の画像情報が投影される。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の第一実施形態に係る光源装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の第一実施形態に係る光源装置の分解斜視図である。
【図3】本発明の第一実施形態に係る光源装置の縦断面図である。
【図4】本発明の第一実施形態に係る光源装置の平断面図である。
【図5】本発明の第一実施形態に係る光源装置における導光部材の作用を示す図である。
【図6】本発明の第二実施形態に係る光源装置の縦断面図である。
【図7】本発明の第二実施形態に係る光源装置に用いられる高さ調整部材の構成を示す斜視図である。
【図8】本発明の第三実施形態に係る光源装置の縦断面図である。
【図9】本発明の第三実施形態に係る光源装置の平断面図である。
【図10】本発明の第四実施形態に係る光源装置の縦断面図である。
【図11】本発明の第四実施形態に係る光源装置の平断面図である。
【図12】本発明の第五実施形態に係る光源装置の縦断面図である。
【図13】本発明の光源装置が用いられるプロジェクタの構成例を示す図である。
【図14】本発明の光源装置が用いられるプロジェクタの構成例を示す図である。
【図15】本発明の光源装置が用いられるプロジェクタの構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0087】
1,51,61,71,81 光源装置
11 第一発光素子群
11a 第一発光素子
12 第二発光素子群
12a 第二発光素子
13 第三発光素子群
13a 第三発光素子
16,66,86 導光部材
16a 出射端面
17 導光部材駆動装置
14 冷却装置
14a,14b,14c 第一、第二、第三冷却ジャケット
15 放熱部
71 第一ダイクロイックプリズム
72 第二ダイクロイックプリズム
110,150,200 プロジェクタ
112、212 変調素子
114 投影光学系
153 DMD本体(変調素子)
D1 第一ダイクロイック面
D2 第二ダイクロイック面
Ji,Jo ジョイント部(流路接続部)
O 軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の仮想円上に複数配置された第一発光素子からなる第一発光素子群と、
前記第一発光素子とは発光波長が異なるとともに前記第一の仮想円と同軸かつ軸線方向の一方に隣接する第二の仮想円上に複数配置された第二発光素子からなる第二発光素子群と、
前記第一及び第二発光素子とは発光波長が異なるとともに前記第一の仮想円と同軸かつ前記軸線方向の他方に隣接する第三の仮想円上に複数配置された第三発光素子からなる第三発光素子群と、
前記第一発光素子群の径方向内側に前記軸線上から前記第一発光素子群の一部の直前まで設けられて、前記第一発光素子群側の端部である入射端から入射した光を前記軸線側の端部に導いて前記軸線方向の一方に向く出射端面から出射する導光部材と、
該導光部材に設けられて前記第二発光素子群が発した光を前記導光部材の出射端側に向けて反射する第一ダイクロイック面と、
前記導光部材に設けられて前記第三発光素子群が発した光を前記導光部材の出射端側に向けて反射する第二ダイクロイック面と、
前記導光部材を前記軸線回りに回転駆動させる導光部材駆動装置と、
前記導光部材の回転に同期して、前記第一発光素子、前記第二発光素子、及び前記第三発光素子のそれぞれについて前記導光部材の入射端に対向する発光素子のみ点灯させる発光素子駆動装置とを有している光源装置。
【請求項2】
内部に冷媒が循環流通されて該冷媒によって前記各第一発光素子、前記各第二発光素子、及び前記各第三発光素子が発する熱を回収する冷却装置と、
該冷却装置内を流通する前記冷媒が回収した熱を外部に放出する放熱部とを有する請求項1記載の光源装置。
【請求項3】
前記冷却装置として、前記第一発光素子群、前記第二発光素子群、前記第三発光素子群のうちの少なくともいずれかの発光素子群の冷却を行う冷却ジャケットが複数設けられており、
前記冷却ジャケットのうちの少なくとも一つは、他の前記冷却ジャケットと接続するジョイント部を有しており、
該ジョイント部は、前記各冷却ジャケットの前記冷媒流路を接続する流路接続部を構成している請求項2記載の光源装置。
【請求項4】
前記導光部材は、前記第一ダイクロイック面を有する第一ダイクロイックプリズムと、
前記第二ダイクロイック面を有する第二ダイクロイックプリズムとを有しており、
前記第一ダイクロイックプリズムと前記第二ダイクロイックプリズムとは、前記径方向の位置が異なっており、
前記第二発光素子群は、前記径方向の前記第一ダイクロイックプリズムに対向する位置に設けられており、
前記第三発光素子群は、前記径方向の前記第二ダイクロイックプリズムに対向する位置に設けられており、
前記第一、第二、第三発光素子群のうち、前記発光素子の設置半径の大きいものほど、該発光素子の設置数を多くなっている請求項1から3のいずれかに記載の光源装置。
【請求項5】
請求項1記載の光源装置を用いたプロジェクタであって、
前記光源装置の前記導光部材の出射端面から出射した光を変調する変調素子と、
該変調素子で変調された光を投影する投影光学系とを有しているプロジェクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−102304(P2008−102304A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−284649(P2006−284649)
【出願日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】