光発電パネル及びその製造方法
【課題】 光発電パネルの要求品質レベルを満たしつつ、光発電素子(粒状シリコン)の外径寸法や形状・真球精度に対する許容範囲を広げる。
【解決手段】 多数の粒状の光発電素子11を格子点状に配列して透明樹脂層12でパネル状に一体成形した光発電パネル10において、光発電パネル10の受光面側に、各光発電素子11をそれぞれ覆うように球状凸面形状の集光レンズ13が透明樹脂層12と一体成形されている。集光レンズ13の中心に光発電素子11が配置され、集光レンズ13の直径Dと光発電素子11の直径dとの比D/dがほぼn2 /n1 以上(但しn1 は集光レンズ13の外側の媒体の屈折率、n2 は集光レンズ13の屈折率)になるように形成されている。
【解決手段】 多数の粒状の光発電素子11を格子点状に配列して透明樹脂層12でパネル状に一体成形した光発電パネル10において、光発電パネル10の受光面側に、各光発電素子11をそれぞれ覆うように球状凸面形状の集光レンズ13が透明樹脂層12と一体成形されている。集光レンズ13の中心に光発電素子11が配置され、集光レンズ13の直径Dと光発電素子11の直径dとの比D/dがほぼn2 /n1 以上(但しn1 は集光レンズ13の外側の媒体の屈折率、n2 は集光レンズ13の屈折率)になるように形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数の粒状の光発電素子を格子点状(アレイ状)に配列して透明樹脂でパネル状に一体成形した光発電パネル及びその製造方法に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光エネルギを電気エネルギに変換する光発電パネルの発電効率を高めるために、例えば、特許文献1(特公平7−54855号公報)、特許文献2(特開2002−164554号公報)に示すように、光発電素子を粒状に形成するようにしたものがある。粒状の光発電素子は、様々な方向から入射する太陽光に対してその光入射方向から見た素子投影面積(受光量)がほぼ一定となるため、太陽高度が低くても効率良く発電できる利点がある。
【0003】
これらの特許文献1,2の技術では、表面電極を兼ねたベースプレートに形成された多数の円形孔にそれぞれ粒状シリコンを嵌め込み、ベースプレートの下面側に突出した粒状シリコン露出部に、絶縁層を介して電極を形成するようにしている。
【特許文献1】特公平7−54855号公報
【特許文献2】特開2002−164554号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1,2の技術では、ベースプレートの上面側に露出する粒状シリコン受光領域の面積と、下面側の電極形成領域の大きさ(高さ)は、ベースプレートに形成された円形孔の内径と粒状シリコンの外径との関係によって決定されるため、粒状シリコン受光領域の面積と電極形成領域の大きさ(高さ)を均一化するためには、粒状シリコンの外径寸法や形状・真球精度に対して高い均一性が要求される。また、表面電極を兼ねたベースプレートと粒状シリコンとの間に良好な電気的接続を形成するためにも、粒状シリコンに高い真球精度が要求される。このため、粒状シリコン製造工程の管理が複雑化して粒状シリコンの生産性が低下すると共に、粒状シリコンの歩留まりが悪くなってしまい、製造コストが高くなるという欠点がある。
【0005】
そこで、本出願人は、この問題を異なる手法で解決する2つ発明(特願2003−345292と特願2004−190590)を出願している。これら2つの特許出願は、いずれも未公開である。
【0006】
特願2003−345292は、光発電素子に1個ずつ集光レンズを形成する方法を開示している。具体的には、各光発電素子を樹脂液に浸して引き上げ、各光発電素子の表面に付着した樹脂液を表面張力により球状凸面形状にして硬化させることで、各光発電素子の表面に樹脂製の集光レンズを形成し、この方法で形成した多数の集光レンズ付きの光発電素子を平面状に配列して光発電パネルを形成するようにしている。しかし、この方法では、光発電素子の外径寸法や形状のばらつきによって集光レンズの外径寸法がばらつくことは避けられないため、多数の集光レンズ付きの光発電素子を平面状に配列して光発電パネルを形成する工程で、一部の集光レンズの周囲に隙間が生じて、この隙間に入射する光が光発電に寄与しなくなり、その分、発電効率が低下することが判明している。
【0007】
また、特願2004−190590では、各光発電素子の下側に球面状の反射面を形成し、この反射面で集光するようにしている。この反射面は、光発電素子の電極を兼ねるため、反射面材料には、高い光反射率の他に、光発電素子(粒状シリコン)との密着性(接合性)が要求される。しかし、現実には、これら2つの要求を満たすことは困難であり、いずれかの機能が犠牲となって、発電効率が低下することが判明している。
【0008】
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、従ってその目的は、光発電パネルの要求品質レベルを満たしつつ、光発電素子(粒状シリコン)の外径寸法や形状・真球精度に対する許容範囲を広げることができて、光発電素子の生産性向上、歩留まり向上を製品品質を落とさずに実現できると共に、発電効率を向上させることができる光発電パネル及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、多数の粒状の光発電素子を格子点状(アレイ状)に配列して透明樹脂でパネル状に一体成形した光発電パネルにおいて、該光発電パネルの受光面側に、各光発電素子をそれぞれ覆うように集光レンズを前記透明樹脂で一体に成形するようにしたものである。この構成では、多数の集光レンズを成形型によって一体成形できるため、各光発電素子のサイズ(径寸法)や形状(真球度)に多少のばらつきがあっても、各光発電素子の表面に好ましい球状凸面形状の集光レンズを形成でき、光発電パネルの要求品質レベルを満たしつつ、光発電素子(粒状シリコン)の外径寸法や形状・真球精度に対する許容範囲を広げることができて、光発電素子の生産性向上、歩留まり向上を製品品質を落とさずに実現できる。しかも、成形型によって光発電パネルの受光面全域に隙間なく集光レンズを成形できるため、光発電パネルで受光した光を効率良く光発電に寄与させることができて、発電効率を向上できる。これにより、光発電パネルの小型化や光発電素子の使用数の削減による低コスト化も期待できる。
【0010】
この場合、請求項2のように、光発電パネルの裏面側に、各光発電素子を保持する透明樹脂層を透過した光を各光発電素子側に反射する光反射膜を形成するようにすると良い。このようにすれば、光発電パネルで受光した光の一部が光発電素子表面に集光されずに通り抜けた場合でも、その光を光反射膜で反射して光発電素子に受光させることができ、集光レンズと光反射膜とによって発電効率を効率良く高めることができる。
【0011】
更に、請求項3のように、光発電パネルの裏面側に、各光発電素子の電極が光反射膜を兼ねるように形成すると良い。これにより、光反射膜を安価に形成できる。
【0012】
ところで、球状凸面形状の集光レンズの中心に光発電素子が配置されている場合、集光レンズの直径Dと光発電素子の直径dとの比(D/d)がn2 /n1 (但しn1 は集光レンズの外側の媒体の屈折率、n2 は集光レンズの屈折率)よりも小さいと、集光レンズの表面に入射した平行光は、集光レンズで屈折して全て光発電素子表面に集光されるため、光発電パネルの裏面側に光反射膜を必要としない。しかし、D/dが小さくなると、光発電素子の使用数が増加して、コストアップとなる。
【0013】
これに対して、D/dがn2 /n1 よりも大きいと、集光レンズの表面に入射した平行光の一部が光発電素子表面に集光されずに通り抜けることになるが、この光を光反射膜で反射して光発電素子に受光させれば、発電効率を高めることができる。従って、請求項4のように、集光レンズの直径Dと光発電素子の直径dとの比D/dがほぼn2 /n1 以上になるように形成することが好ましい。これにより、光発電素子の使用数を減らしてコスト性の要求を満たしながら、高い発電効率を実現できる。
【0014】
例えば、集光レンズの外側の媒体が空気であれば、屈折率n1 は1.0となり、水であれば、屈折率n1 はほぼ1.3となる。本発明では、集光レンズが透明樹脂で形成されているため、屈折率n2 はほぼ1.5となる。従って、集光レンズの外側の媒体が空気であれば、本発明では、n2 /n1 はほぼ1.5となる。
【0015】
本発明の光発電パネルは、各光発電素子の集光レンズ間に少しの隙間を持たせても良いが、請求項5のように、各光発電素子の集光レンズが互いに接触するように形成することが好ましい。これにより、各光発電素子の集光レンズ間の隙間を最小とすることができ、集光レンズによる集光効率を最大とすることができる。
【0016】
また、請求項6のように、集光レンズの受光面が該集光レンズを成形する成形型を兼ねる透明なレンズ保護カバーで覆われた構成としても良い。このようにすれば、集光レンズのレンズ保護カバーを利用して集光レンズを成形できるため、成形後の離型工程が不要になると共に、光発電パネルにレンズ保護カバーを取り付ける工程も不要となり、生産性を向上できる。しかも、集光レンズとレンズ保護カバーとを異なる素材で形成できるため、これらを形成する素材の選択幅を広げることができ、例えば、集光レンズを透明度の高い樹脂で形成し、レンズ保護カバーを、耐候性、耐摩耗性、紫外線カット性(集光レンズの紫外線劣化防止)に優れた透明な樹脂(又はガラス)で形成するという具合に、集光レンズとレンズ保護カバーとをそれぞれの使用目的に合わせた好適な素材で形成することができ、発電効率、耐久性、コスト性を向上させることができる。
【0017】
この場合、請求項7のように、光発電パネルの裏面を裏カバーで覆って、該裏カバーの周縁部とレンズ保護カバーの周縁部とを接着、熱融着等により結合するようにすると良い。このようにすれば、光発電パネル全体をレンズ保護カバーと裏カバーとで包み込んで密閉状態に封止(シール)することも可能となり、光発電パネルの防水性を高めることができる。
【0018】
また、請求項1〜5に記載の光発電パネルを製造する場合は、請求項8のように、仮保持板の片面に前記多数の光発電素子を格子点状に配列して仮保持させる仮保持工程と、前記各光発電素子をそれぞれ受光面側から覆う集光レンズと前記各光発電素子を保持する透明樹脂層とを成形するための成形型内に前記透明樹脂の樹脂液を注入すると共に、前記仮保持板の片面に仮保持させた前記多数の光発電素子を該樹脂液に浸漬して該樹脂液を硬化させることで、前記集光レンズと前記各光発電素子を保持する透明樹脂層とを一体化した光発電パネルを成形する成形工程と、前記光発電パネルを前記成形型から取り出すと共に、該光発電パネルから前記仮保持板を剥離する工程とを順に実行するようにすると良い。このようにすれば、成形工程で、成形型に対して多数の光発電素子を位置決めして樹脂液に浸漬する作業を容易に行うことができて、多数の光発電素子と集光レンズとを一体化した光発電パネルを能率良く成形することができる。しかも、成形工程で、仮保持板の片面に仮保持させた多数の光発電素子を樹脂液に浸漬する量を調整することで、集光レンズの焦点に対して任意の高さ位置に光発電素子を配置することができる。
【0019】
この場合、請求項9のように、前記仮保持板を透明な材料で形成し、前記成形工程において、紫外線硬化型の樹脂液を用い、紫外線を前記仮保持板を透過させて該樹脂液に照射することで該樹脂液を硬化させるようにすると良い。このようにすれば、成形工程で、紫外線照射により集光レンズや透明樹脂層を短時間で硬化させることができ、生産性を向上させることができる。尚、成形型を透明な材料で形成して、紫外線を成形型を透過させて樹脂液を硬化させるようにしても、同様の効果を得ることができる。
【0020】
また、請求項6又は7に記載の光発電パネルを製造する場合は、請求項10のように、集光レンズを成形する成形型を兼ねる透明なレンズ保護カバーを形成する工程と、前記レンズ保護カバー内に前記透明樹脂の樹脂液を注入すると共に、前記多数の光発電素子を格子点状に配列させるように位置決めして該樹脂液に浸漬して該樹脂液を硬化させることで、前記集光レンズと前記各光発電素子を保持する透明樹脂層と前記レンズ保護カバーとを一体化した光発電パネルを成形する成形工程とを実行するようにすると良い。このようにすれば、レンズ保護カバー付きの光発電パネルを能率良く製造できる。
【0021】
更に、請求項11のように、前記成形工程終了後に、光発電パネルの裏面に裏カバーを被せて、該裏カバーの周縁部と前記レンズ保護カバーの周縁部とを結合するようにすると良い。このようにすれば、レンズ保護カバーと裏カバーとで包み込んだ光発電パネルを能率良く製造できる。
【0022】
この場合も、請求項12のように、予め、仮保持板の片面に前記多数の光発電素子を格子点状に配列して仮保持させた後、前記成形工程で、前記仮保持板の片面に仮保持させた前記多数の光発電素子を前記樹脂液に浸漬して該樹脂液を硬化させて前記光発電パネルを成形し、成形工程終了後に、前記光発電パネルから前記仮保持板を剥離するようにすると良い。このようにすれば、成形工程で、成形型を兼ねるレンズ保護カバーに対して多数の光発電素子を位置決めして樹脂液に浸漬する作業を容易に行うことができて、多数の光発電素子と集光レンズとレンズ保護カバーとを一体化した光発電パネルを能率良く成形することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための最良の形態を具体化した2つの実施例1,2を説明する。
【実施例1】
【0024】
本発明の実施例1を図1乃至図14に基づいて説明する。
まず、図1に基づいて本実施例1の製造方法で製造した光発電パネル10の構造を説明する。
【0025】
光発電パネル10は、多数の粒状の光発電素子11を格子点状(アレイ状)に配列して透明樹脂層12で一体化したものである。この透明樹脂層12としては、例えば紫外線硬化型の透明樹脂を用いると良い。
【0026】
各光発電素子11は、外周部にn型半導体層11aが薄く形成され、その内周側がp型半導体層11bとなっている。この光発電素子11の製造方法は、特に限定されず、例えば、国際公開WO99/10935号公報に示すように、加熱融解されたシリコン液滴を自由落下させて、そのシリコン液滴を表面張力で球状の形状に変形させて凝固させる自由落下法や、特開2002−60943号公報に示すように、プラズマCVD装置内で、芯材の表面全体にSiを堆積させて粒状の光発電素子を製造するプラズマCVD法を用いても良いし、それ以外の製造方法を用いても良い。
【0027】
この光発電パネル10の受光面側(図1において上面側)には、各光発電素子11を、それぞれ覆うように球状凸面形状の集光レンズ13が成形型25(図5参照)によって透明樹脂層12と一体成形されている。本実施例1では、球状凸面形状の集光レンズ13の中心に光発電素子11が配置され、各集光レンズ13の直径Dと光発電素子11の直径dとの比D/dがほぼn2 /n1 以上(但しn1 は集光レンズ13の外側の媒体の屈折率、n2 は集光レンズ13の屈折率)になるように形成されている。
【0028】
例えば、集光レンズ13の外側の媒体が空気であれば、屈折率n1 は1.0となり、水であれば、屈折率n1 はほぼ1.3となる。また、本実施例1のように、集光レンズ13が透明樹脂で形成されていれば、屈折率n2 はほぼ1.5となる。参考までに、ガラスレンズの場合も、屈折率n2 はほぼ1.5となる。一般には、集光レンズ13の外側の媒体が空気であるため、本実施例1のように、集光レンズ13が透明樹脂で形成されている場合は、n2 /n1 はほぼ1.5となる。
【0029】
この場合、D/dがn2 /n1 よりも小さいと、集光レンズ13の表面に入射した平行光は、集光レンズ13で屈折して全て光発電素子11表面に集光されるため、光発電パネル10の裏面側に光反射膜を必要としない。従って、本発明は、D/dがn2 /n1 よりも小さくなるように形成しても良いが、D/dが小さくなると、光発電素子11の使用数が増加して、コストアップとなる。
【0030】
これに対して、D/dがn2 /n1 よりも大きいと、集光レンズ13の表面に入射した平行光の一部が光発電素子13表面に集光されずに通り抜けることになるが、この光を光反射膜(電極14)で反射して光発電素子11に受光させれば、発電効率を高めることができる。この観点から、本実施例1では、D/dがほぼn2 /n1 以上になるように形成している。これにより、光発電素子11の使用数を減らしてコスト性の要求を満たしながら、高い発電効率を実現できる。
【0031】
また、本発明の光発電パネル10は、各集光レンズ13間に少しの隙間を持たせても良いが、本実施例1では、各集光レンズ13が互いに接触するように形成している。これにより、各集光レンズ13間の隙間を最小とすることができ、集光レンズ13による集光効率を最大とすることができる。
【0032】
光発電パネル10の裏面側(図1において下面側)には、各光発電素子11の外周部のn型半導体層11aに導通するn電極14が透明樹脂層12の裏面全体を覆うように形成されている。このn電極14は、透明樹脂層12を透過した光を各光発電素子11側に反射する光反射膜としても機能する。このn電極14は、2層の絶縁性樹脂層15,16によって完全に覆われている。1層目の絶縁性樹脂層15は、後述するエッチング時に保護層(マスク)として機能し、2層目の絶縁性樹脂層16は、n電極14とp電極17との間を絶縁する絶縁層として機能する。
【0033】
各光発電素子11の後端部には、研磨等によってn型半導体層11aが部分的に取り除かれてp型半導体層11bが露出する部分が形成され、このp型半導体層11bにp電極17が導通するように形成されている。このp電極17は、絶縁性樹脂等で形成された保護絶縁層18によって完全に覆われ、保護・絶縁されている。
【0034】
以上のように構成した光発電パネル10の製造方法を説明する。前述したように、粒状の光発電素子11の製造方法は、特に限定されず、どの様な方法で粒状の光発電素子11を製造しても良く、1つのメーカーで光発電素子11の製造から光発電パネル10の製造までを一貫して行っても良いし、他のメーカーで製造した光発電素子11を仕入れて光発電パネル10を製造するようにしても良い。以下、何等かの方法で製造された粒状の光発電素子11を用いて光発電パネル10を製造する各工程を順番に説明する。
【0035】
[1]光発電素子整列工程
まず、図2に示すように、光発電素子11が1個ずつ嵌まり込む多数の素子位置決め凹部22が格子点状に形成された素子整列治具21を用いて、該素子整列治具21の各素子位置決め凹部22にそれぞれ光発電素子11を1個ずつ嵌め込むことで、多数の光発電素子11を格子点状に整列させる。この際、素子整列治具21上で整列された光発電素子11(素子位置決め凹部22)の配列ピッチは、製造する光発電パネル10の光発電素子11の配列ピッチに一致している。
【0036】
[2]仮保持工程
光発電素子整列工程終了後に、仮保持工程に進む。この仮保持工程では、予め、図3に示すように、紫外線が透過可能な透明ガラス等の透明な材料で形成された仮保持板23を用いて、この仮保持板23の片面に粘着剤をコーティングしたり、或は、両面粘着シートを貼着するなどして、仮保持板23の片面に粘着層を形成しておく。この粘着層の厚みは、光発電素子11の直径のばらつきを吸収できる程度の厚みとすることが望ましい。
【0037】
そして、この仮保持板23の粘着層を下向きにして、該仮保持板23を素子整列治具21の上方から下降させて、該仮保持板23の粘着層を素子整列治具21上の各光発電素子11に押し付ける。これにより、仮保持板23の粘着層に各光発電素子11を格子点状に配列させた状態で粘着(仮保持)させる。
【0038】
[3]成形工程
仮保持工程終了後に、成形工程に進み、まず、図4に示すように、多数の集光レンズ成形キャビティ24が形成された成形型25内に紫外線硬化型透明樹脂の樹脂液26を注入する。この後、仮保持板23の粘着層に粘着した各光発電素子11を成形型25の各集光レンズ成形キャビティ24に位置合わせした状態で、仮保持板23を下降させて、図5に示すように、仮保持板23の粘着層に粘着した各光発電素子11を各集光レンズ成形キャビティ24の樹脂液26に浸漬した状態にする。この際、樹脂液26に対する光発電素子11の浸漬量を調整すれば、集光レンズ13の焦点に対して任意の高さ位置に光発電素子11を配置することができる。尚、光発電素子11を樹脂液26に浸漬する際に、仮保持板23の下面(粘着層)と樹脂液26との間に隙間を持たせて、仮保持板23の下面(粘着層)に樹脂液26が付着しないようにする。
【0039】
この後、図6に示すように、仮保持板23の上方から紫外線を下向きに照射する。これにより、紫外線を仮保持板23を透過させて樹脂液26に照射して該樹脂液26を硬化させることで、集光レンズ13と各光発電素子11を保持する透明樹脂層12とを一体化した光発電パネル10を成形する。尚、成形型25を透明な材料で形成して、紫外線を成形型25を透過させて樹脂液26を硬化させるようにしても良い。
【0040】
[4]離型工程
成形工程終了後に、離型工程に進み、図7に示すように、成形後の光発電パネル10を成形型25から取り出すと共に、該光発電パネル10の裏面側から仮保持板23を剥離する。この際、仮保持板23の下面に樹脂液26が付着していなければ、仮保持板23を光発電パネル10の裏面側から簡単に剥離することができる。
【0041】
[5]n電極形成工程
離型工程終了後に、n電極形成工程に進み、図8に示すように、光発電パネル10の裏面全体に、蒸着、めっき、CVD、スパッタリング、塗布、印刷等の導体成膜技術を用いてn電極14を形成する。このn電極14を形成する導体は、Ag、Ag系導体等の電気抵抗値が小さく、且つ、光を反射しやすい導体(入射光の反射面としても機能させるため)を用いることが好ましい。このn電極14は、各光発電素子11の外周部のn型半導体層11aに導通し、且つ透明樹脂層12の裏面全体を覆って入射光の光反射膜としても機能するようになっている。尚、n電極14の一部は、後述するサンドブラスト工程で光発電素子11の一部を露出させるように取り除かれるため、その部分にはn電極14を形成しない部分があっても良い。
【0042】
[6]保護層(1層目の絶縁性樹脂層)形成工程
n電極形成工程終了後に、保護層形成工程に進み、図9に示すように、光発電パネル10の裏面のn電極14全面に、エポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂を塗布して硬化させて保護層(1層目の絶縁性樹脂層)15を形成し、n電極14全面を保護層15で覆った状態にする。この保護層15を形成する樹脂は、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、嫌気性硬化樹脂等のいずれを用いても良いが、絶縁性と耐薬品性・耐酸性(エッチング時のマスクとして用いるため)を備えている必要がある。尚、保護層15の一部は、次のサンドブラスト工程で光発電素子11の一部を露出させるように取り除かれるため、その部分には保護層15を形成しない部分があっても良い。
【0043】
[7]サンドブラスト工程
保護層形成工程終了後に、サンドブラスト工程に進み、図10に示すように、サンドブラストにより、各光発電素子11の後端部の保護層15とn電極14を部分的に取り除いて、各光発電素子11の後端部のn型半導体層11aを露出させた状態にする。尚、サンドブラストに代えて、研磨、レーザ加工、放電加工等によって保護層15とn電極14を部分的に取り除くようにしても良い。
【0044】
[8]エッチング工程
サンドブラスト工程終了後に、エッチング工程に進み、保護層15をマスク(エッチングレジスト)として用いて、該保護層15から露出する光発電素子11の後端部のn型半導体層11aを化学エッチングして部分的に取り除き、その内側のp型半導体層11bを露出させた状態にする。尚、化学エッチングに代えて、ドライエッチングを用いても良い。
【0045】
[9]絶縁層(2層目の絶縁性樹脂層)形成工程
エッチング工程終了後に、絶縁層(2層目の絶縁性樹脂層)形成工程に進み、図11に示すように、光発電パネル10の裏面全体に、エポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂を塗布して硬化させて絶縁層(2層目の絶縁性樹脂層)16を形成し、前記サンドブラスト工程で部分的に露出されたn電極14を完全に覆って絶縁した状態にする。この絶縁層16を形成する樹脂は、その下層の保護層15と同種、異種のいずれの絶縁性樹脂を用いても良く、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、嫌気性硬化樹脂等のいずれを用いても良い。尚、絶縁層16の一部は、次の研磨工程で光発電素子11の一部を露出させるように除かれるため、その部分には絶縁層16を形成しない部分があっても良い。
【0046】
[10]研磨工程
絶縁層形成工程終了後に、研磨工程に進み、図12に示すように、光発電パネル10の裏面の絶縁層16を研磨装置で研磨して平坦化すると共に、光発電素子11の後端部のp型半導体層11bを絶縁層16から露出させると共に、該p型半導体層11bの露出面を平坦化する。尚、サンドブラストで研磨するようにしても良い。
【0047】
[11]p電極形成工程
研磨工程終了後に、p電極形成工程に進み、図13に示すように、光発電パネル10の裏面全体にp電極17を各光発電素子11のp型半導体層11bの露出面に密着させるように形成する。このp電極17を形成する導体は、前述したn電極14と同じ導体でも良いし、異なる導体を用いても良く、p電極17の形成方法も、n電極14と同じ方法でも異なる方法でも良い。例えば、Al等の導体を光発電パネル10の裏面全体に擦り付けて、その摩擦力と摩擦熱により、Al等の導体を各光発電素子11のp型半導体層11bの露出面と絶縁層16に付着させてp電極17を形成するようにしても良い。或は、アルミニウム箔等の導体箔を光発電パネル10の裏面全体に貼り付けてp電極17を形成しても良い。
【0048】
[12]レーザーシンタ工程
p電極形成工程終了後に、レーザーシンタ工程に進み、p電極17と各光発電素子11の後端部のp型半導体層11bとの接合部分の中央部にレーザー光をスポット的に照射して、その部分をスポット的に加熱し、オーミックコンタクトを形成するためのp電極17の熱処理(シンタ)を行う。
【0049】
[13]保護絶縁層形成工程
レーザーシンタ工程終了後に、保護絶縁層形成工程に進み、図14に示すように、光発電パネル10の裏面のp電極17全面に、絶縁性樹脂を塗布して硬化させて保護絶縁層18を形成し、p電極17全面を保護絶縁層18で覆った状態にする。この保護絶縁層18を形成する樹脂は、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、嫌気性硬化樹脂等のいずれを用いても良い。以上説明した各工程[1]〜[13]を一通り実行すれば、光発電パネル10の製造が完了する。
【0050】
以上説明した本実施例1によれば、多数の粒状の光発電素子11を格子点状に配列して透明樹脂層12でパネル状に一体成形した光発電パネル10において、光発電パネル10の受光面側に、各光発電素子11をそれぞれ覆う集光レンズ13を成形型25によって一体に成形するようにしたので、各光発電素子11のサイズ(径寸法)や形状(真球度)に多少のばらつきがあっても、各光発電素子11の表面に好ましい球状凸面形状の集光レンズ13を形成でき、光発電パネル10の要求品質レベルを満たしつつ、光発電素子11の外径寸法や形状・真球精度に対する許容範囲を広げることができて、光発電素子11の生産性向上、歩留まり向上を製品品質を落とさずに実現できる。しかも、成形型25によって光発電パネル10の受光面全域に隙間なく集光レンズ13を成形できるため、光発電パネル10で受光した光を効率良く光発電に寄与させることができて、発電効率を向上できる。これにより、光発電パネル10の小型化や光発電素子11の使用数の削減による低コスト化も期待できる。
【0051】
しかも、本実施例1では、仮保持板23を透明な材料で形成し、成形工程において、紫外線硬化型の樹脂液26を用い、紫外線を仮保持板23を透過させて該樹脂液26に照射することで該樹脂液26を硬化させるようにしたので、成形工程で、紫外線照射により集光レンズ13や透明樹脂層12を短時間で硬化させることができ、生産性を向上させることができる。
【0052】
尚、本実施例1では、素子整列治具21の各素子位置決め凹部22にそれぞれ光発電素子11を1個ずつ嵌め込むことで、多数の光発電素子11を格子点状に整列させ、その状態で、仮保持板23の粘着層に多数の光発電素子11を格子点状に配列して粘着させるようにしたが、この他に、次のような光発電素子11の整列方法を採用しても良い。例えば、素子整列治具に、素子位置決め凹部22の代わりに、光発電素子11の直径よりも僅かに大きい孔径の貫通孔を格子点状に形成し、この素子整列治具を、仮保持板23上面の粘着層に僅かな隙間を隔てて対向させた状態で、素子整列治具の各貫通孔からそれぞれ光発電素子11を1個ずつ貫通させて仮保持板23の粘着層に押し付けることで、仮保持板23の粘着層に多数の光発電素子11を格子点状に配列して粘着させるようにしても良い。
【実施例2】
【0053】
次に、本発明の実施例2を図15乃至図19に基づいて説明する。以下の説明では、上記実施例1と実質的に同一の部分には、同一符号を付して説明を簡略化する。
【0054】
本実施例2の光発電パネル30は、図19に示すように、集光レンズ13の受光面を、該集光レンズ13を成形する成形型を兼ねる透明なレンズ保護カバー31で覆うと共に、光発電パネル30の裏面を絶縁性の裏カバー32で覆って、該裏カバー32の周縁部とレンズ保護カバー31の周縁部とをシール材33によって結合し、光発電パネル30全体をレンズ保護カバー31と裏カバー32とで包み込んで密閉状態に封止(シール)したところに構成上の特徴がある。
【0055】
この場合、レンズ保護カバー31は、耐候性、耐摩耗性、紫外線カット性(集光レンズ13の紫外線劣化防止)に優れた透明な樹脂で形成されている。一方、裏カバー32は、耐候性、耐摩耗性、絶縁性に優れた樹脂で形成されている。裏カバー32は、透明性や紫外線カット性は要求されないため、不透明又は半透明の樹脂や紫外線を透過する樹脂で形成しても良い。その他、レンズ保護カバー31や裏カバー32を形成する素材は、樹脂に限定されず、ガラス等、樹脂以外の素材で形成しても良いことは言うまでもない。
【0056】
尚、本実施例2では、光発電パネル30の裏面全体を覆う絶縁性の裏カバー32が前記実施例1の保護絶縁層18に相当する役割を果たすため、p電極17上に保護絶縁層18を形成しない構成としているが、封止効果をより高めるために、p電極17上に保護絶縁層18を形成しても良いことは言うまでもない。
【0057】
或は、前記実施例1と同様の方法で光発電パネル30裏面のp電極17上に形成した保護絶縁層18を裏カバーとして用い、この保護絶縁層18(裏カバー)の周縁部とレンズ保護カバー31の周縁部とを接着、熱融着等により接合するようにしても良い。
【0058】
以上のように構成した本実施例2の光発電パネル30は、次のような工程を経て製造される。
まず、集光レンズ13を成形する成形型を兼ねる透明なレンズ保護カバー31(図15参照)と裏カバー32を準備する。これらを樹脂で形成する場合は、真空成形法、射出成形法、圧縮成形法等により成形すれば良い。レンズ保護カバー31の内側には、前記実施例1で使用した成形型25のキャビティ24と同じ形状のキャビティ31aを成形する。
【0059】
そして、前記実施例1と同じく、[1]光発電素子整列工程、[2]仮保持工程を行い、図16に示すように、仮保持板23下面の粘着層に各光発電素子11を格子点状に配列させた状態で粘着(仮保持)させる。
【0060】
この後、成形工程に進み、図16に示すように、成形型を兼ねるレンズ保護カバー31のキャビティ31a内に紫外線硬化型透明樹脂の樹脂液26を注入する。この後、仮保持板23の粘着層に粘着した各光発電素子11をレンズ保護カバー31の各キャビティ31aに位置合わせした状態で、仮保持板23を下降させて、図17に示すように、仮保持板23の粘着層に粘着した各光発電素子11をレンズ保護カバー31のキャビティ13aの樹脂液26に浸漬した状態にする。この際、樹脂液26に対する光発電素子11の浸漬量を調整すれば、集光レンズ13の焦点に対して任意の高さ位置に光発電素子11を配置することができる。尚、光発電素子11を樹脂液26に浸漬する際に、仮保持板23の下面(粘着層)と樹脂液26との間に隙間を持たせて、仮保持板23の下面(粘着層)に樹脂液26が付着しないようにする。
【0061】
この後、仮保持板23の上方から紫外線を下向きに照射する。これにより、紫外線を仮保持板23を透過させて樹脂液26に照射して該樹脂液26を硬化させることで、レンズ保護カバー31と集光レンズ13と各光発電素子11を保持する透明樹脂層12とを一体化した光発電パネル30を成形する。
【0062】
成形工程終了後に、図18に示すように、成形後の光発電パネル30の裏面側から仮保持板23を剥離する。
【0063】
この後は、前記実施例1と同じく、[5]n電極形成工程、[6]保護層(1層目の絶縁性樹脂層)形成工程、[7]サンドブラスト工程、[8]エッチング工程、[9]絶縁層(2層目の絶縁性樹脂層)形成工程、[10]研磨工程、[11]p電極形成工程、[12]レーザーシンタ工程を順番に実行する。
【0064】
この後、図18に示すように、光発電パネル30裏面のp電極17上に裏カバー32を被せて、該裏カバー32の周縁部とレンズ保護カバー31の周縁部とをシール材33によって結合し、光発電パネル30全体をレンズ保護カバー31と裏カバー32とで包み込んで密閉状態に封止(シール)する。この封止方法は、熱融着、接着剤等の適宜の方法を用いれば良く、また、シール材33を省略して、裏カバー32の周縁部とレンズ保護カバー31の周縁部とを熱融着、接着等により接合するようにしても良い。
【0065】
以上説明した本実施例2では、集光レンズ13のレンズ保護カバー31を成形型として用いて集光レンズ13を成形して、レンズ保護カバー31付きの光発電パネル30を成形するようにしたので、成形後の離型工程が不要になると共に、光発電パネル30にレンズ保護カバー31を取り付ける工程も不要となり、生産性を向上できる。しかも、集光レンズ13とレンズ保護カバー31とを異なる素材で形成できるため、これらを形成する素材の選択幅を広げることができ、例えば、集光レンズ13を透明度の高い樹脂で形成し、レンズ保護カバー31を、耐候性、耐摩耗性、紫外線カット性(集光レンズ13の紫外線劣化防止)に優れた透明な樹脂(又はガラス)で形成するという具合に、集光レンズ13とレンズ保護カバー31とをそれぞれの使用目的に合わせた好適な素材で形成することができ、発電効率、耐久性、コスト性を向上させることができる。
【0066】
しかも、光発電パネル30全体をレンズ保護カバー31と裏カバー32とで包み込んで密閉状態に封止(シール)するようにしたので、光発電パネル30の防水性を高めることができる。その他、本実施例2においても、前記実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0067】
尚、各実施例1,2では、光発電素子11の外周側をn型半導体層、内周側をp型半導体層としたが、これとは反対に、外周側をp型半導体層、内周側をn型半導体層としても良い。この場合、n電極とp電極の位置も反対となり、レーザー光によるシンタリングによってn電極と光発電素子11との接合部分にオーミックな接触抵抗部を形成するようにすれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施例1の製造方法で製造した光発電パネルの構造を示す縦断面図である。
【図2】実施例1の光発電パネルの製造方法における光発電素子整列工程を説明する図である。
【図3】実施例1の光発電パネルの製造方法における仮保持工程を説明する図である。
【図4】実施例1の光発電パネルの製造方法における成形工程を説明する図である(その1)。
【図5】実施例1の光発電パネルの製造方法における成形工程を説明する図である(その2)。
【図6】実施例1の光発電パネルの製造方法における成形工程を説明する図である(その3)。
【図7】実施例1の光発電パネルの製造方法における離型工程を説明する図である。
【図8】実施例1の光発電パネルの製造方法におけるn電極形成工程を説明する図である。
【図9】実施例1の光発電パネルの製造方法における保護層(1層目の絶縁性樹脂層)形成工程を説明する図である。
【図10】実施例1の光発電パネルの製造方法におけるサンドブラスト工程を説明する図である。
【図11】実施例1の光発電パネルの製造方法における絶縁層(2層目の絶縁性樹脂層)形成工程を説明する図である。
【図12】実施例1の光発電パネルの製造方法における研磨工程を説明する図である。
【図13】実施例1の光発電パネルの製造方法におけるp電極形成工程を説明する図である。
【図14】実施例1の光発電パネルの製造方法における保護絶縁層形成工程を説明する図である。
【図15】実施例2の光発電パネルの製造方法で用いる成形型兼用のレンズ保護カバーを示す断面図である。
【図16】実施例2の光発電パネルの製造方法における成形工程を説明する図である(その1)。
【図17】実施例2の光発電パネルの製造方法における成形工程を説明する図である(その2)。
【図18】実施例2の成形後の光発電パネルから仮保持板を剥離した状態を示す図である。
【図19】実施例2の光発電パネルの製造方法で製造される光発電パネルの構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0069】
10…光発電パネル、11…光発電素子、12…透明樹脂層、13…集光レンズ、14…n電極、15…保護層(1層目の絶縁性樹脂層)、16…絶縁層(2層目の絶縁性樹脂層)、17…p電極、18…保護絶縁層、21…素子整列治具、22…素子位置決め凹部、23…仮保持板、24…集光レンズ成形キャビティ、25…成形型、26…樹脂液、30…光発電パネル、31…レンズ保護カバー、32…裏カバー、33…シール材
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数の粒状の光発電素子を格子点状(アレイ状)に配列して透明樹脂でパネル状に一体成形した光発電パネル及びその製造方法に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光エネルギを電気エネルギに変換する光発電パネルの発電効率を高めるために、例えば、特許文献1(特公平7−54855号公報)、特許文献2(特開2002−164554号公報)に示すように、光発電素子を粒状に形成するようにしたものがある。粒状の光発電素子は、様々な方向から入射する太陽光に対してその光入射方向から見た素子投影面積(受光量)がほぼ一定となるため、太陽高度が低くても効率良く発電できる利点がある。
【0003】
これらの特許文献1,2の技術では、表面電極を兼ねたベースプレートに形成された多数の円形孔にそれぞれ粒状シリコンを嵌め込み、ベースプレートの下面側に突出した粒状シリコン露出部に、絶縁層を介して電極を形成するようにしている。
【特許文献1】特公平7−54855号公報
【特許文献2】特開2002−164554号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1,2の技術では、ベースプレートの上面側に露出する粒状シリコン受光領域の面積と、下面側の電極形成領域の大きさ(高さ)は、ベースプレートに形成された円形孔の内径と粒状シリコンの外径との関係によって決定されるため、粒状シリコン受光領域の面積と電極形成領域の大きさ(高さ)を均一化するためには、粒状シリコンの外径寸法や形状・真球精度に対して高い均一性が要求される。また、表面電極を兼ねたベースプレートと粒状シリコンとの間に良好な電気的接続を形成するためにも、粒状シリコンに高い真球精度が要求される。このため、粒状シリコン製造工程の管理が複雑化して粒状シリコンの生産性が低下すると共に、粒状シリコンの歩留まりが悪くなってしまい、製造コストが高くなるという欠点がある。
【0005】
そこで、本出願人は、この問題を異なる手法で解決する2つ発明(特願2003−345292と特願2004−190590)を出願している。これら2つの特許出願は、いずれも未公開である。
【0006】
特願2003−345292は、光発電素子に1個ずつ集光レンズを形成する方法を開示している。具体的には、各光発電素子を樹脂液に浸して引き上げ、各光発電素子の表面に付着した樹脂液を表面張力により球状凸面形状にして硬化させることで、各光発電素子の表面に樹脂製の集光レンズを形成し、この方法で形成した多数の集光レンズ付きの光発電素子を平面状に配列して光発電パネルを形成するようにしている。しかし、この方法では、光発電素子の外径寸法や形状のばらつきによって集光レンズの外径寸法がばらつくことは避けられないため、多数の集光レンズ付きの光発電素子を平面状に配列して光発電パネルを形成する工程で、一部の集光レンズの周囲に隙間が生じて、この隙間に入射する光が光発電に寄与しなくなり、その分、発電効率が低下することが判明している。
【0007】
また、特願2004−190590では、各光発電素子の下側に球面状の反射面を形成し、この反射面で集光するようにしている。この反射面は、光発電素子の電極を兼ねるため、反射面材料には、高い光反射率の他に、光発電素子(粒状シリコン)との密着性(接合性)が要求される。しかし、現実には、これら2つの要求を満たすことは困難であり、いずれかの機能が犠牲となって、発電効率が低下することが判明している。
【0008】
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、従ってその目的は、光発電パネルの要求品質レベルを満たしつつ、光発電素子(粒状シリコン)の外径寸法や形状・真球精度に対する許容範囲を広げることができて、光発電素子の生産性向上、歩留まり向上を製品品質を落とさずに実現できると共に、発電効率を向上させることができる光発電パネル及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、多数の粒状の光発電素子を格子点状(アレイ状)に配列して透明樹脂でパネル状に一体成形した光発電パネルにおいて、該光発電パネルの受光面側に、各光発電素子をそれぞれ覆うように集光レンズを前記透明樹脂で一体に成形するようにしたものである。この構成では、多数の集光レンズを成形型によって一体成形できるため、各光発電素子のサイズ(径寸法)や形状(真球度)に多少のばらつきがあっても、各光発電素子の表面に好ましい球状凸面形状の集光レンズを形成でき、光発電パネルの要求品質レベルを満たしつつ、光発電素子(粒状シリコン)の外径寸法や形状・真球精度に対する許容範囲を広げることができて、光発電素子の生産性向上、歩留まり向上を製品品質を落とさずに実現できる。しかも、成形型によって光発電パネルの受光面全域に隙間なく集光レンズを成形できるため、光発電パネルで受光した光を効率良く光発電に寄与させることができて、発電効率を向上できる。これにより、光発電パネルの小型化や光発電素子の使用数の削減による低コスト化も期待できる。
【0010】
この場合、請求項2のように、光発電パネルの裏面側に、各光発電素子を保持する透明樹脂層を透過した光を各光発電素子側に反射する光反射膜を形成するようにすると良い。このようにすれば、光発電パネルで受光した光の一部が光発電素子表面に集光されずに通り抜けた場合でも、その光を光反射膜で反射して光発電素子に受光させることができ、集光レンズと光反射膜とによって発電効率を効率良く高めることができる。
【0011】
更に、請求項3のように、光発電パネルの裏面側に、各光発電素子の電極が光反射膜を兼ねるように形成すると良い。これにより、光反射膜を安価に形成できる。
【0012】
ところで、球状凸面形状の集光レンズの中心に光発電素子が配置されている場合、集光レンズの直径Dと光発電素子の直径dとの比(D/d)がn2 /n1 (但しn1 は集光レンズの外側の媒体の屈折率、n2 は集光レンズの屈折率)よりも小さいと、集光レンズの表面に入射した平行光は、集光レンズで屈折して全て光発電素子表面に集光されるため、光発電パネルの裏面側に光反射膜を必要としない。しかし、D/dが小さくなると、光発電素子の使用数が増加して、コストアップとなる。
【0013】
これに対して、D/dがn2 /n1 よりも大きいと、集光レンズの表面に入射した平行光の一部が光発電素子表面に集光されずに通り抜けることになるが、この光を光反射膜で反射して光発電素子に受光させれば、発電効率を高めることができる。従って、請求項4のように、集光レンズの直径Dと光発電素子の直径dとの比D/dがほぼn2 /n1 以上になるように形成することが好ましい。これにより、光発電素子の使用数を減らしてコスト性の要求を満たしながら、高い発電効率を実現できる。
【0014】
例えば、集光レンズの外側の媒体が空気であれば、屈折率n1 は1.0となり、水であれば、屈折率n1 はほぼ1.3となる。本発明では、集光レンズが透明樹脂で形成されているため、屈折率n2 はほぼ1.5となる。従って、集光レンズの外側の媒体が空気であれば、本発明では、n2 /n1 はほぼ1.5となる。
【0015】
本発明の光発電パネルは、各光発電素子の集光レンズ間に少しの隙間を持たせても良いが、請求項5のように、各光発電素子の集光レンズが互いに接触するように形成することが好ましい。これにより、各光発電素子の集光レンズ間の隙間を最小とすることができ、集光レンズによる集光効率を最大とすることができる。
【0016】
また、請求項6のように、集光レンズの受光面が該集光レンズを成形する成形型を兼ねる透明なレンズ保護カバーで覆われた構成としても良い。このようにすれば、集光レンズのレンズ保護カバーを利用して集光レンズを成形できるため、成形後の離型工程が不要になると共に、光発電パネルにレンズ保護カバーを取り付ける工程も不要となり、生産性を向上できる。しかも、集光レンズとレンズ保護カバーとを異なる素材で形成できるため、これらを形成する素材の選択幅を広げることができ、例えば、集光レンズを透明度の高い樹脂で形成し、レンズ保護カバーを、耐候性、耐摩耗性、紫外線カット性(集光レンズの紫外線劣化防止)に優れた透明な樹脂(又はガラス)で形成するという具合に、集光レンズとレンズ保護カバーとをそれぞれの使用目的に合わせた好適な素材で形成することができ、発電効率、耐久性、コスト性を向上させることができる。
【0017】
この場合、請求項7のように、光発電パネルの裏面を裏カバーで覆って、該裏カバーの周縁部とレンズ保護カバーの周縁部とを接着、熱融着等により結合するようにすると良い。このようにすれば、光発電パネル全体をレンズ保護カバーと裏カバーとで包み込んで密閉状態に封止(シール)することも可能となり、光発電パネルの防水性を高めることができる。
【0018】
また、請求項1〜5に記載の光発電パネルを製造する場合は、請求項8のように、仮保持板の片面に前記多数の光発電素子を格子点状に配列して仮保持させる仮保持工程と、前記各光発電素子をそれぞれ受光面側から覆う集光レンズと前記各光発電素子を保持する透明樹脂層とを成形するための成形型内に前記透明樹脂の樹脂液を注入すると共に、前記仮保持板の片面に仮保持させた前記多数の光発電素子を該樹脂液に浸漬して該樹脂液を硬化させることで、前記集光レンズと前記各光発電素子を保持する透明樹脂層とを一体化した光発電パネルを成形する成形工程と、前記光発電パネルを前記成形型から取り出すと共に、該光発電パネルから前記仮保持板を剥離する工程とを順に実行するようにすると良い。このようにすれば、成形工程で、成形型に対して多数の光発電素子を位置決めして樹脂液に浸漬する作業を容易に行うことができて、多数の光発電素子と集光レンズとを一体化した光発電パネルを能率良く成形することができる。しかも、成形工程で、仮保持板の片面に仮保持させた多数の光発電素子を樹脂液に浸漬する量を調整することで、集光レンズの焦点に対して任意の高さ位置に光発電素子を配置することができる。
【0019】
この場合、請求項9のように、前記仮保持板を透明な材料で形成し、前記成形工程において、紫外線硬化型の樹脂液を用い、紫外線を前記仮保持板を透過させて該樹脂液に照射することで該樹脂液を硬化させるようにすると良い。このようにすれば、成形工程で、紫外線照射により集光レンズや透明樹脂層を短時間で硬化させることができ、生産性を向上させることができる。尚、成形型を透明な材料で形成して、紫外線を成形型を透過させて樹脂液を硬化させるようにしても、同様の効果を得ることができる。
【0020】
また、請求項6又は7に記載の光発電パネルを製造する場合は、請求項10のように、集光レンズを成形する成形型を兼ねる透明なレンズ保護カバーを形成する工程と、前記レンズ保護カバー内に前記透明樹脂の樹脂液を注入すると共に、前記多数の光発電素子を格子点状に配列させるように位置決めして該樹脂液に浸漬して該樹脂液を硬化させることで、前記集光レンズと前記各光発電素子を保持する透明樹脂層と前記レンズ保護カバーとを一体化した光発電パネルを成形する成形工程とを実行するようにすると良い。このようにすれば、レンズ保護カバー付きの光発電パネルを能率良く製造できる。
【0021】
更に、請求項11のように、前記成形工程終了後に、光発電パネルの裏面に裏カバーを被せて、該裏カバーの周縁部と前記レンズ保護カバーの周縁部とを結合するようにすると良い。このようにすれば、レンズ保護カバーと裏カバーとで包み込んだ光発電パネルを能率良く製造できる。
【0022】
この場合も、請求項12のように、予め、仮保持板の片面に前記多数の光発電素子を格子点状に配列して仮保持させた後、前記成形工程で、前記仮保持板の片面に仮保持させた前記多数の光発電素子を前記樹脂液に浸漬して該樹脂液を硬化させて前記光発電パネルを成形し、成形工程終了後に、前記光発電パネルから前記仮保持板を剥離するようにすると良い。このようにすれば、成形工程で、成形型を兼ねるレンズ保護カバーに対して多数の光発電素子を位置決めして樹脂液に浸漬する作業を容易に行うことができて、多数の光発電素子と集光レンズとレンズ保護カバーとを一体化した光発電パネルを能率良く成形することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための最良の形態を具体化した2つの実施例1,2を説明する。
【実施例1】
【0024】
本発明の実施例1を図1乃至図14に基づいて説明する。
まず、図1に基づいて本実施例1の製造方法で製造した光発電パネル10の構造を説明する。
【0025】
光発電パネル10は、多数の粒状の光発電素子11を格子点状(アレイ状)に配列して透明樹脂層12で一体化したものである。この透明樹脂層12としては、例えば紫外線硬化型の透明樹脂を用いると良い。
【0026】
各光発電素子11は、外周部にn型半導体層11aが薄く形成され、その内周側がp型半導体層11bとなっている。この光発電素子11の製造方法は、特に限定されず、例えば、国際公開WO99/10935号公報に示すように、加熱融解されたシリコン液滴を自由落下させて、そのシリコン液滴を表面張力で球状の形状に変形させて凝固させる自由落下法や、特開2002−60943号公報に示すように、プラズマCVD装置内で、芯材の表面全体にSiを堆積させて粒状の光発電素子を製造するプラズマCVD法を用いても良いし、それ以外の製造方法を用いても良い。
【0027】
この光発電パネル10の受光面側(図1において上面側)には、各光発電素子11を、それぞれ覆うように球状凸面形状の集光レンズ13が成形型25(図5参照)によって透明樹脂層12と一体成形されている。本実施例1では、球状凸面形状の集光レンズ13の中心に光発電素子11が配置され、各集光レンズ13の直径Dと光発電素子11の直径dとの比D/dがほぼn2 /n1 以上(但しn1 は集光レンズ13の外側の媒体の屈折率、n2 は集光レンズ13の屈折率)になるように形成されている。
【0028】
例えば、集光レンズ13の外側の媒体が空気であれば、屈折率n1 は1.0となり、水であれば、屈折率n1 はほぼ1.3となる。また、本実施例1のように、集光レンズ13が透明樹脂で形成されていれば、屈折率n2 はほぼ1.5となる。参考までに、ガラスレンズの場合も、屈折率n2 はほぼ1.5となる。一般には、集光レンズ13の外側の媒体が空気であるため、本実施例1のように、集光レンズ13が透明樹脂で形成されている場合は、n2 /n1 はほぼ1.5となる。
【0029】
この場合、D/dがn2 /n1 よりも小さいと、集光レンズ13の表面に入射した平行光は、集光レンズ13で屈折して全て光発電素子11表面に集光されるため、光発電パネル10の裏面側に光反射膜を必要としない。従って、本発明は、D/dがn2 /n1 よりも小さくなるように形成しても良いが、D/dが小さくなると、光発電素子11の使用数が増加して、コストアップとなる。
【0030】
これに対して、D/dがn2 /n1 よりも大きいと、集光レンズ13の表面に入射した平行光の一部が光発電素子13表面に集光されずに通り抜けることになるが、この光を光反射膜(電極14)で反射して光発電素子11に受光させれば、発電効率を高めることができる。この観点から、本実施例1では、D/dがほぼn2 /n1 以上になるように形成している。これにより、光発電素子11の使用数を減らしてコスト性の要求を満たしながら、高い発電効率を実現できる。
【0031】
また、本発明の光発電パネル10は、各集光レンズ13間に少しの隙間を持たせても良いが、本実施例1では、各集光レンズ13が互いに接触するように形成している。これにより、各集光レンズ13間の隙間を最小とすることができ、集光レンズ13による集光効率を最大とすることができる。
【0032】
光発電パネル10の裏面側(図1において下面側)には、各光発電素子11の外周部のn型半導体層11aに導通するn電極14が透明樹脂層12の裏面全体を覆うように形成されている。このn電極14は、透明樹脂層12を透過した光を各光発電素子11側に反射する光反射膜としても機能する。このn電極14は、2層の絶縁性樹脂層15,16によって完全に覆われている。1層目の絶縁性樹脂層15は、後述するエッチング時に保護層(マスク)として機能し、2層目の絶縁性樹脂層16は、n電極14とp電極17との間を絶縁する絶縁層として機能する。
【0033】
各光発電素子11の後端部には、研磨等によってn型半導体層11aが部分的に取り除かれてp型半導体層11bが露出する部分が形成され、このp型半導体層11bにp電極17が導通するように形成されている。このp電極17は、絶縁性樹脂等で形成された保護絶縁層18によって完全に覆われ、保護・絶縁されている。
【0034】
以上のように構成した光発電パネル10の製造方法を説明する。前述したように、粒状の光発電素子11の製造方法は、特に限定されず、どの様な方法で粒状の光発電素子11を製造しても良く、1つのメーカーで光発電素子11の製造から光発電パネル10の製造までを一貫して行っても良いし、他のメーカーで製造した光発電素子11を仕入れて光発電パネル10を製造するようにしても良い。以下、何等かの方法で製造された粒状の光発電素子11を用いて光発電パネル10を製造する各工程を順番に説明する。
【0035】
[1]光発電素子整列工程
まず、図2に示すように、光発電素子11が1個ずつ嵌まり込む多数の素子位置決め凹部22が格子点状に形成された素子整列治具21を用いて、該素子整列治具21の各素子位置決め凹部22にそれぞれ光発電素子11を1個ずつ嵌め込むことで、多数の光発電素子11を格子点状に整列させる。この際、素子整列治具21上で整列された光発電素子11(素子位置決め凹部22)の配列ピッチは、製造する光発電パネル10の光発電素子11の配列ピッチに一致している。
【0036】
[2]仮保持工程
光発電素子整列工程終了後に、仮保持工程に進む。この仮保持工程では、予め、図3に示すように、紫外線が透過可能な透明ガラス等の透明な材料で形成された仮保持板23を用いて、この仮保持板23の片面に粘着剤をコーティングしたり、或は、両面粘着シートを貼着するなどして、仮保持板23の片面に粘着層を形成しておく。この粘着層の厚みは、光発電素子11の直径のばらつきを吸収できる程度の厚みとすることが望ましい。
【0037】
そして、この仮保持板23の粘着層を下向きにして、該仮保持板23を素子整列治具21の上方から下降させて、該仮保持板23の粘着層を素子整列治具21上の各光発電素子11に押し付ける。これにより、仮保持板23の粘着層に各光発電素子11を格子点状に配列させた状態で粘着(仮保持)させる。
【0038】
[3]成形工程
仮保持工程終了後に、成形工程に進み、まず、図4に示すように、多数の集光レンズ成形キャビティ24が形成された成形型25内に紫外線硬化型透明樹脂の樹脂液26を注入する。この後、仮保持板23の粘着層に粘着した各光発電素子11を成形型25の各集光レンズ成形キャビティ24に位置合わせした状態で、仮保持板23を下降させて、図5に示すように、仮保持板23の粘着層に粘着した各光発電素子11を各集光レンズ成形キャビティ24の樹脂液26に浸漬した状態にする。この際、樹脂液26に対する光発電素子11の浸漬量を調整すれば、集光レンズ13の焦点に対して任意の高さ位置に光発電素子11を配置することができる。尚、光発電素子11を樹脂液26に浸漬する際に、仮保持板23の下面(粘着層)と樹脂液26との間に隙間を持たせて、仮保持板23の下面(粘着層)に樹脂液26が付着しないようにする。
【0039】
この後、図6に示すように、仮保持板23の上方から紫外線を下向きに照射する。これにより、紫外線を仮保持板23を透過させて樹脂液26に照射して該樹脂液26を硬化させることで、集光レンズ13と各光発電素子11を保持する透明樹脂層12とを一体化した光発電パネル10を成形する。尚、成形型25を透明な材料で形成して、紫外線を成形型25を透過させて樹脂液26を硬化させるようにしても良い。
【0040】
[4]離型工程
成形工程終了後に、離型工程に進み、図7に示すように、成形後の光発電パネル10を成形型25から取り出すと共に、該光発電パネル10の裏面側から仮保持板23を剥離する。この際、仮保持板23の下面に樹脂液26が付着していなければ、仮保持板23を光発電パネル10の裏面側から簡単に剥離することができる。
【0041】
[5]n電極形成工程
離型工程終了後に、n電極形成工程に進み、図8に示すように、光発電パネル10の裏面全体に、蒸着、めっき、CVD、スパッタリング、塗布、印刷等の導体成膜技術を用いてn電極14を形成する。このn電極14を形成する導体は、Ag、Ag系導体等の電気抵抗値が小さく、且つ、光を反射しやすい導体(入射光の反射面としても機能させるため)を用いることが好ましい。このn電極14は、各光発電素子11の外周部のn型半導体層11aに導通し、且つ透明樹脂層12の裏面全体を覆って入射光の光反射膜としても機能するようになっている。尚、n電極14の一部は、後述するサンドブラスト工程で光発電素子11の一部を露出させるように取り除かれるため、その部分にはn電極14を形成しない部分があっても良い。
【0042】
[6]保護層(1層目の絶縁性樹脂層)形成工程
n電極形成工程終了後に、保護層形成工程に進み、図9に示すように、光発電パネル10の裏面のn電極14全面に、エポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂を塗布して硬化させて保護層(1層目の絶縁性樹脂層)15を形成し、n電極14全面を保護層15で覆った状態にする。この保護層15を形成する樹脂は、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、嫌気性硬化樹脂等のいずれを用いても良いが、絶縁性と耐薬品性・耐酸性(エッチング時のマスクとして用いるため)を備えている必要がある。尚、保護層15の一部は、次のサンドブラスト工程で光発電素子11の一部を露出させるように取り除かれるため、その部分には保護層15を形成しない部分があっても良い。
【0043】
[7]サンドブラスト工程
保護層形成工程終了後に、サンドブラスト工程に進み、図10に示すように、サンドブラストにより、各光発電素子11の後端部の保護層15とn電極14を部分的に取り除いて、各光発電素子11の後端部のn型半導体層11aを露出させた状態にする。尚、サンドブラストに代えて、研磨、レーザ加工、放電加工等によって保護層15とn電極14を部分的に取り除くようにしても良い。
【0044】
[8]エッチング工程
サンドブラスト工程終了後に、エッチング工程に進み、保護層15をマスク(エッチングレジスト)として用いて、該保護層15から露出する光発電素子11の後端部のn型半導体層11aを化学エッチングして部分的に取り除き、その内側のp型半導体層11bを露出させた状態にする。尚、化学エッチングに代えて、ドライエッチングを用いても良い。
【0045】
[9]絶縁層(2層目の絶縁性樹脂層)形成工程
エッチング工程終了後に、絶縁層(2層目の絶縁性樹脂層)形成工程に進み、図11に示すように、光発電パネル10の裏面全体に、エポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂を塗布して硬化させて絶縁層(2層目の絶縁性樹脂層)16を形成し、前記サンドブラスト工程で部分的に露出されたn電極14を完全に覆って絶縁した状態にする。この絶縁層16を形成する樹脂は、その下層の保護層15と同種、異種のいずれの絶縁性樹脂を用いても良く、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、嫌気性硬化樹脂等のいずれを用いても良い。尚、絶縁層16の一部は、次の研磨工程で光発電素子11の一部を露出させるように除かれるため、その部分には絶縁層16を形成しない部分があっても良い。
【0046】
[10]研磨工程
絶縁層形成工程終了後に、研磨工程に進み、図12に示すように、光発電パネル10の裏面の絶縁層16を研磨装置で研磨して平坦化すると共に、光発電素子11の後端部のp型半導体層11bを絶縁層16から露出させると共に、該p型半導体層11bの露出面を平坦化する。尚、サンドブラストで研磨するようにしても良い。
【0047】
[11]p電極形成工程
研磨工程終了後に、p電極形成工程に進み、図13に示すように、光発電パネル10の裏面全体にp電極17を各光発電素子11のp型半導体層11bの露出面に密着させるように形成する。このp電極17を形成する導体は、前述したn電極14と同じ導体でも良いし、異なる導体を用いても良く、p電極17の形成方法も、n電極14と同じ方法でも異なる方法でも良い。例えば、Al等の導体を光発電パネル10の裏面全体に擦り付けて、その摩擦力と摩擦熱により、Al等の導体を各光発電素子11のp型半導体層11bの露出面と絶縁層16に付着させてp電極17を形成するようにしても良い。或は、アルミニウム箔等の導体箔を光発電パネル10の裏面全体に貼り付けてp電極17を形成しても良い。
【0048】
[12]レーザーシンタ工程
p電極形成工程終了後に、レーザーシンタ工程に進み、p電極17と各光発電素子11の後端部のp型半導体層11bとの接合部分の中央部にレーザー光をスポット的に照射して、その部分をスポット的に加熱し、オーミックコンタクトを形成するためのp電極17の熱処理(シンタ)を行う。
【0049】
[13]保護絶縁層形成工程
レーザーシンタ工程終了後に、保護絶縁層形成工程に進み、図14に示すように、光発電パネル10の裏面のp電極17全面に、絶縁性樹脂を塗布して硬化させて保護絶縁層18を形成し、p電極17全面を保護絶縁層18で覆った状態にする。この保護絶縁層18を形成する樹脂は、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、嫌気性硬化樹脂等のいずれを用いても良い。以上説明した各工程[1]〜[13]を一通り実行すれば、光発電パネル10の製造が完了する。
【0050】
以上説明した本実施例1によれば、多数の粒状の光発電素子11を格子点状に配列して透明樹脂層12でパネル状に一体成形した光発電パネル10において、光発電パネル10の受光面側に、各光発電素子11をそれぞれ覆う集光レンズ13を成形型25によって一体に成形するようにしたので、各光発電素子11のサイズ(径寸法)や形状(真球度)に多少のばらつきがあっても、各光発電素子11の表面に好ましい球状凸面形状の集光レンズ13を形成でき、光発電パネル10の要求品質レベルを満たしつつ、光発電素子11の外径寸法や形状・真球精度に対する許容範囲を広げることができて、光発電素子11の生産性向上、歩留まり向上を製品品質を落とさずに実現できる。しかも、成形型25によって光発電パネル10の受光面全域に隙間なく集光レンズ13を成形できるため、光発電パネル10で受光した光を効率良く光発電に寄与させることができて、発電効率を向上できる。これにより、光発電パネル10の小型化や光発電素子11の使用数の削減による低コスト化も期待できる。
【0051】
しかも、本実施例1では、仮保持板23を透明な材料で形成し、成形工程において、紫外線硬化型の樹脂液26を用い、紫外線を仮保持板23を透過させて該樹脂液26に照射することで該樹脂液26を硬化させるようにしたので、成形工程で、紫外線照射により集光レンズ13や透明樹脂層12を短時間で硬化させることができ、生産性を向上させることができる。
【0052】
尚、本実施例1では、素子整列治具21の各素子位置決め凹部22にそれぞれ光発電素子11を1個ずつ嵌め込むことで、多数の光発電素子11を格子点状に整列させ、その状態で、仮保持板23の粘着層に多数の光発電素子11を格子点状に配列して粘着させるようにしたが、この他に、次のような光発電素子11の整列方法を採用しても良い。例えば、素子整列治具に、素子位置決め凹部22の代わりに、光発電素子11の直径よりも僅かに大きい孔径の貫通孔を格子点状に形成し、この素子整列治具を、仮保持板23上面の粘着層に僅かな隙間を隔てて対向させた状態で、素子整列治具の各貫通孔からそれぞれ光発電素子11を1個ずつ貫通させて仮保持板23の粘着層に押し付けることで、仮保持板23の粘着層に多数の光発電素子11を格子点状に配列して粘着させるようにしても良い。
【実施例2】
【0053】
次に、本発明の実施例2を図15乃至図19に基づいて説明する。以下の説明では、上記実施例1と実質的に同一の部分には、同一符号を付して説明を簡略化する。
【0054】
本実施例2の光発電パネル30は、図19に示すように、集光レンズ13の受光面を、該集光レンズ13を成形する成形型を兼ねる透明なレンズ保護カバー31で覆うと共に、光発電パネル30の裏面を絶縁性の裏カバー32で覆って、該裏カバー32の周縁部とレンズ保護カバー31の周縁部とをシール材33によって結合し、光発電パネル30全体をレンズ保護カバー31と裏カバー32とで包み込んで密閉状態に封止(シール)したところに構成上の特徴がある。
【0055】
この場合、レンズ保護カバー31は、耐候性、耐摩耗性、紫外線カット性(集光レンズ13の紫外線劣化防止)に優れた透明な樹脂で形成されている。一方、裏カバー32は、耐候性、耐摩耗性、絶縁性に優れた樹脂で形成されている。裏カバー32は、透明性や紫外線カット性は要求されないため、不透明又は半透明の樹脂や紫外線を透過する樹脂で形成しても良い。その他、レンズ保護カバー31や裏カバー32を形成する素材は、樹脂に限定されず、ガラス等、樹脂以外の素材で形成しても良いことは言うまでもない。
【0056】
尚、本実施例2では、光発電パネル30の裏面全体を覆う絶縁性の裏カバー32が前記実施例1の保護絶縁層18に相当する役割を果たすため、p電極17上に保護絶縁層18を形成しない構成としているが、封止効果をより高めるために、p電極17上に保護絶縁層18を形成しても良いことは言うまでもない。
【0057】
或は、前記実施例1と同様の方法で光発電パネル30裏面のp電極17上に形成した保護絶縁層18を裏カバーとして用い、この保護絶縁層18(裏カバー)の周縁部とレンズ保護カバー31の周縁部とを接着、熱融着等により接合するようにしても良い。
【0058】
以上のように構成した本実施例2の光発電パネル30は、次のような工程を経て製造される。
まず、集光レンズ13を成形する成形型を兼ねる透明なレンズ保護カバー31(図15参照)と裏カバー32を準備する。これらを樹脂で形成する場合は、真空成形法、射出成形法、圧縮成形法等により成形すれば良い。レンズ保護カバー31の内側には、前記実施例1で使用した成形型25のキャビティ24と同じ形状のキャビティ31aを成形する。
【0059】
そして、前記実施例1と同じく、[1]光発電素子整列工程、[2]仮保持工程を行い、図16に示すように、仮保持板23下面の粘着層に各光発電素子11を格子点状に配列させた状態で粘着(仮保持)させる。
【0060】
この後、成形工程に進み、図16に示すように、成形型を兼ねるレンズ保護カバー31のキャビティ31a内に紫外線硬化型透明樹脂の樹脂液26を注入する。この後、仮保持板23の粘着層に粘着した各光発電素子11をレンズ保護カバー31の各キャビティ31aに位置合わせした状態で、仮保持板23を下降させて、図17に示すように、仮保持板23の粘着層に粘着した各光発電素子11をレンズ保護カバー31のキャビティ13aの樹脂液26に浸漬した状態にする。この際、樹脂液26に対する光発電素子11の浸漬量を調整すれば、集光レンズ13の焦点に対して任意の高さ位置に光発電素子11を配置することができる。尚、光発電素子11を樹脂液26に浸漬する際に、仮保持板23の下面(粘着層)と樹脂液26との間に隙間を持たせて、仮保持板23の下面(粘着層)に樹脂液26が付着しないようにする。
【0061】
この後、仮保持板23の上方から紫外線を下向きに照射する。これにより、紫外線を仮保持板23を透過させて樹脂液26に照射して該樹脂液26を硬化させることで、レンズ保護カバー31と集光レンズ13と各光発電素子11を保持する透明樹脂層12とを一体化した光発電パネル30を成形する。
【0062】
成形工程終了後に、図18に示すように、成形後の光発電パネル30の裏面側から仮保持板23を剥離する。
【0063】
この後は、前記実施例1と同じく、[5]n電極形成工程、[6]保護層(1層目の絶縁性樹脂層)形成工程、[7]サンドブラスト工程、[8]エッチング工程、[9]絶縁層(2層目の絶縁性樹脂層)形成工程、[10]研磨工程、[11]p電極形成工程、[12]レーザーシンタ工程を順番に実行する。
【0064】
この後、図18に示すように、光発電パネル30裏面のp電極17上に裏カバー32を被せて、該裏カバー32の周縁部とレンズ保護カバー31の周縁部とをシール材33によって結合し、光発電パネル30全体をレンズ保護カバー31と裏カバー32とで包み込んで密閉状態に封止(シール)する。この封止方法は、熱融着、接着剤等の適宜の方法を用いれば良く、また、シール材33を省略して、裏カバー32の周縁部とレンズ保護カバー31の周縁部とを熱融着、接着等により接合するようにしても良い。
【0065】
以上説明した本実施例2では、集光レンズ13のレンズ保護カバー31を成形型として用いて集光レンズ13を成形して、レンズ保護カバー31付きの光発電パネル30を成形するようにしたので、成形後の離型工程が不要になると共に、光発電パネル30にレンズ保護カバー31を取り付ける工程も不要となり、生産性を向上できる。しかも、集光レンズ13とレンズ保護カバー31とを異なる素材で形成できるため、これらを形成する素材の選択幅を広げることができ、例えば、集光レンズ13を透明度の高い樹脂で形成し、レンズ保護カバー31を、耐候性、耐摩耗性、紫外線カット性(集光レンズ13の紫外線劣化防止)に優れた透明な樹脂(又はガラス)で形成するという具合に、集光レンズ13とレンズ保護カバー31とをそれぞれの使用目的に合わせた好適な素材で形成することができ、発電効率、耐久性、コスト性を向上させることができる。
【0066】
しかも、光発電パネル30全体をレンズ保護カバー31と裏カバー32とで包み込んで密閉状態に封止(シール)するようにしたので、光発電パネル30の防水性を高めることができる。その他、本実施例2においても、前記実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0067】
尚、各実施例1,2では、光発電素子11の外周側をn型半導体層、内周側をp型半導体層としたが、これとは反対に、外周側をp型半導体層、内周側をn型半導体層としても良い。この場合、n電極とp電極の位置も反対となり、レーザー光によるシンタリングによってn電極と光発電素子11との接合部分にオーミックな接触抵抗部を形成するようにすれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施例1の製造方法で製造した光発電パネルの構造を示す縦断面図である。
【図2】実施例1の光発電パネルの製造方法における光発電素子整列工程を説明する図である。
【図3】実施例1の光発電パネルの製造方法における仮保持工程を説明する図である。
【図4】実施例1の光発電パネルの製造方法における成形工程を説明する図である(その1)。
【図5】実施例1の光発電パネルの製造方法における成形工程を説明する図である(その2)。
【図6】実施例1の光発電パネルの製造方法における成形工程を説明する図である(その3)。
【図7】実施例1の光発電パネルの製造方法における離型工程を説明する図である。
【図8】実施例1の光発電パネルの製造方法におけるn電極形成工程を説明する図である。
【図9】実施例1の光発電パネルの製造方法における保護層(1層目の絶縁性樹脂層)形成工程を説明する図である。
【図10】実施例1の光発電パネルの製造方法におけるサンドブラスト工程を説明する図である。
【図11】実施例1の光発電パネルの製造方法における絶縁層(2層目の絶縁性樹脂層)形成工程を説明する図である。
【図12】実施例1の光発電パネルの製造方法における研磨工程を説明する図である。
【図13】実施例1の光発電パネルの製造方法におけるp電極形成工程を説明する図である。
【図14】実施例1の光発電パネルの製造方法における保護絶縁層形成工程を説明する図である。
【図15】実施例2の光発電パネルの製造方法で用いる成形型兼用のレンズ保護カバーを示す断面図である。
【図16】実施例2の光発電パネルの製造方法における成形工程を説明する図である(その1)。
【図17】実施例2の光発電パネルの製造方法における成形工程を説明する図である(その2)。
【図18】実施例2の成形後の光発電パネルから仮保持板を剥離した状態を示す図である。
【図19】実施例2の光発電パネルの製造方法で製造される光発電パネルの構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0069】
10…光発電パネル、11…光発電素子、12…透明樹脂層、13…集光レンズ、14…n電極、15…保護層(1層目の絶縁性樹脂層)、16…絶縁層(2層目の絶縁性樹脂層)、17…p電極、18…保護絶縁層、21…素子整列治具、22…素子位置決め凹部、23…仮保持板、24…集光レンズ成形キャビティ、25…成形型、26…樹脂液、30…光発電パネル、31…レンズ保護カバー、32…裏カバー、33…シール材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の粒状の光発電素子を格子点状に配列して透明樹脂でパネル状に一体成形した光発電パネルにおいて、
該光発電パネルの受光面側に、各光発電素子をそれぞれ覆うように集光レンズが前記透明樹脂で一体に成形されていることを特徴とする光発電パネル。
【請求項2】
該光発電パネルの裏面側に、前記各光発電素子を保持する透明樹脂層を透過した光を各光発電素子側に反射する光反射膜が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光発電パネル。
【請求項3】
該光発電パネルの裏面側に、前記各光発電素子の電極が前記光反射膜を兼ねるように形成されていることを特徴とする請求項2に記載の光発電パネル。
【請求項4】
前記集光レンズの直径Dと前記光発電素子の直径dとの比D/dがほぼn2 /n1 以上(但しn1 は集光レンズの外側の媒体の屈折率、n2 は集光レンズの屈折率)となるように形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光発電パネル。
【請求項5】
前記各光発電素子の集光レンズが互いに接触するように形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の光発電パネル。
【請求項6】
前記集光レンズの受光面が該集光レンズを成形する成形型を兼ねる透明なレンズ保護カバーで覆われていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の光発電パネル。
【請求項7】
該光発電パネルの裏面が裏カバーで覆われて、該裏カバーの周縁部と前記レンズ保護カバーの周縁部とが結合されていることを特徴とする請求項6に記載の光発電パネル。
【請求項8】
多数の粒状の光発電素子を格子点状に配列して透明樹脂でパネル状に一体成形する光発電パネルの製造方法において、
仮保持板の片面に前記多数の光発電素子を格子点状に配列して仮保持させる仮保持工程と、
前記各光発電素子をそれぞれ受光面側から覆う集光レンズと前記各光発電素子を保持する透明樹脂層とを成形するための成形型内に前記透明樹脂の樹脂液を注入すると共に、前記仮保持板の片面に仮保持させた前記多数の光発電素子を該樹脂液に浸漬して該樹脂液を硬化させることで、前記集光レンズと前記各光発電素子を保持する透明樹脂層とを一体化した光発電パネルを成形する成形工程と、
前記光発電パネルを前記成形型から取り出すと共に、該光発電パネルから前記仮保持板を剥離する工程と
を含むことを特徴とする光発電パネルの製造方法。
【請求項9】
前記仮保持板を透明な材料で形成し、
前記成形工程において、紫外線硬化型の樹脂液を用い、紫外線を前記仮保持板を透過させて該樹脂液に照射することで該樹脂液を硬化させることを特徴とする請求項8に記載の光発電パネルの製造方法。
【請求項10】
請求項6又は7に記載の光発電パネルを製造する方法において、
前記集光レンズを成形する成形型を兼ねる透明なレンズ保護カバーを形成する工程と、 前記レンズ保護カバー内に前記透明樹脂の樹脂液を注入すると共に、前記多数の光発電素子を格子点状に配列させるように位置決めして該樹脂液に浸漬して該樹脂液を硬化させることで、前記集光レンズと前記各光発電素子を保持する透明樹脂層と前記レンズ保護カバーとを一体化した光発電パネルを成形する成形工程と
を含むことを特徴とする光発電パネルの製造方法。
【請求項11】
前記成形工程終了後に、前記光発電パネルの裏面に裏カバーを被せて、該裏カバーの周縁部と前記レンズ保護カバーの周縁部とを結合することを特徴とする請求項10に記載の光発電パネルの製造方法。
【請求項12】
予め、仮保持板の片面に前記多数の光発電素子を格子点状に配列して仮保持させた後、前記成形工程で、前記仮保持板の片面に仮保持させた前記多数の光発電素子を前記樹脂液に浸漬して該樹脂液を硬化させて前記光発電パネルを成形し、
前記成形工程終了後に、前記光発電パネルから前記仮保持板を剥離することを特徴とする請求項10又は11に記載の光発電パネルの製造方法。
【請求項1】
多数の粒状の光発電素子を格子点状に配列して透明樹脂でパネル状に一体成形した光発電パネルにおいて、
該光発電パネルの受光面側に、各光発電素子をそれぞれ覆うように集光レンズが前記透明樹脂で一体に成形されていることを特徴とする光発電パネル。
【請求項2】
該光発電パネルの裏面側に、前記各光発電素子を保持する透明樹脂層を透過した光を各光発電素子側に反射する光反射膜が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光発電パネル。
【請求項3】
該光発電パネルの裏面側に、前記各光発電素子の電極が前記光反射膜を兼ねるように形成されていることを特徴とする請求項2に記載の光発電パネル。
【請求項4】
前記集光レンズの直径Dと前記光発電素子の直径dとの比D/dがほぼn2 /n1 以上(但しn1 は集光レンズの外側の媒体の屈折率、n2 は集光レンズの屈折率)となるように形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光発電パネル。
【請求項5】
前記各光発電素子の集光レンズが互いに接触するように形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の光発電パネル。
【請求項6】
前記集光レンズの受光面が該集光レンズを成形する成形型を兼ねる透明なレンズ保護カバーで覆われていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の光発電パネル。
【請求項7】
該光発電パネルの裏面が裏カバーで覆われて、該裏カバーの周縁部と前記レンズ保護カバーの周縁部とが結合されていることを特徴とする請求項6に記載の光発電パネル。
【請求項8】
多数の粒状の光発電素子を格子点状に配列して透明樹脂でパネル状に一体成形する光発電パネルの製造方法において、
仮保持板の片面に前記多数の光発電素子を格子点状に配列して仮保持させる仮保持工程と、
前記各光発電素子をそれぞれ受光面側から覆う集光レンズと前記各光発電素子を保持する透明樹脂層とを成形するための成形型内に前記透明樹脂の樹脂液を注入すると共に、前記仮保持板の片面に仮保持させた前記多数の光発電素子を該樹脂液に浸漬して該樹脂液を硬化させることで、前記集光レンズと前記各光発電素子を保持する透明樹脂層とを一体化した光発電パネルを成形する成形工程と、
前記光発電パネルを前記成形型から取り出すと共に、該光発電パネルから前記仮保持板を剥離する工程と
を含むことを特徴とする光発電パネルの製造方法。
【請求項9】
前記仮保持板を透明な材料で形成し、
前記成形工程において、紫外線硬化型の樹脂液を用い、紫外線を前記仮保持板を透過させて該樹脂液に照射することで該樹脂液を硬化させることを特徴とする請求項8に記載の光発電パネルの製造方法。
【請求項10】
請求項6又は7に記載の光発電パネルを製造する方法において、
前記集光レンズを成形する成形型を兼ねる透明なレンズ保護カバーを形成する工程と、 前記レンズ保護カバー内に前記透明樹脂の樹脂液を注入すると共に、前記多数の光発電素子を格子点状に配列させるように位置決めして該樹脂液に浸漬して該樹脂液を硬化させることで、前記集光レンズと前記各光発電素子を保持する透明樹脂層と前記レンズ保護カバーとを一体化した光発電パネルを成形する成形工程と
を含むことを特徴とする光発電パネルの製造方法。
【請求項11】
前記成形工程終了後に、前記光発電パネルの裏面に裏カバーを被せて、該裏カバーの周縁部と前記レンズ保護カバーの周縁部とを結合することを特徴とする請求項10に記載の光発電パネルの製造方法。
【請求項12】
予め、仮保持板の片面に前記多数の光発電素子を格子点状に配列して仮保持させた後、前記成形工程で、前記仮保持板の片面に仮保持させた前記多数の光発電素子を前記樹脂液に浸漬して該樹脂液を硬化させて前記光発電パネルを成形し、
前記成形工程終了後に、前記光発電パネルから前記仮保持板を剥離することを特徴とする請求項10又は11に記載の光発電パネルの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
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【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2006−203156(P2006−203156A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−172649(P2005−172649)
【出願日】平成17年6月13日(2005.6.13)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成15−16年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「太陽光発電技術研究開発革新的次世代太陽光発電システム技術研究開発粒状シリコン太陽電池セル製造技術の研究開発」に係る委託業務、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月13日(2005.6.13)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成15−16年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「太陽光発電技術研究開発革新的次世代太陽光発電システム技術研究開発粒状シリコン太陽電池セル製造技術の研究開発」に係る委託業務、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】
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