説明

光符号変調パルスの相関処理方式

【課題】光符号変調パルスの相関処理方式におけるサイドローブ雑音を低減すること。
【解決手段】光周波数シフタ12により光ファイバ1のブリルアン周波数シフトと同程度ダウンシフトされた連続光と、光変調器3により相関符号系列信号発生器13からの相補相関符号変調信号で変調されたポンプ光とが光ファイバ1中で干渉して発生する音波によってブリルアン増幅された前記連続光の受信信号を処理する際、相補相関符号系列信号A1(t)及びその要素を交換したA1-(t)による応答信号RA1(t)及びRA1-(t)の差信号ΔRA1(t)にステップ応答関数h(t)の逆数g(t)を乗じて音波の減衰を補正したA1(t)g(t)とΔRA1(t)との相互相関処理をした結果と、同じく相補相関符号系列信号B1(t)及びB1-(t)による応答信号RB1(t)及びRB1-(t)の差信号ΔRB1(t)にg(t)を乗じたB1(t)g(t)とΔRB1(t)との相互相関処理をした結果を合成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光信号を使用してシステムの応答を測定する技術、特に相関符号を応用して受信信号のSN比を向上させ、距離の測定精度を向上させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
システムの応答関数は時間幅の短い単一のパルスを入力し、その出力を時間の関数で測定することにより評価できる。パルスの幅が短いほど、システムのより高周波特性の測定や、より高精度の測距が可能である。この測定法では、受信信号のエネルギー減少や、受信帯域拡大に伴う雑音の増大により受信信号のSN比が低下することを防ぐため、パルス信号のピークパワーを増大させる。しかしながら、送信機の出力パワーに上限があるときや、システムへの最大入力パワーが制限される場合があり、その場合は短パルスの代わりに符号変調されたパルス信号が使用される。符号変調された信号を、受信時に相関処理あるいはパルス圧縮することにより、単一のパルスを使用するときよりもSN比を向上させることができる。このような技術は、マイクロ波を使用するレーダや、光信号を使用するLIDAR(Light Detection and Ranging)などの測距分野で応用されている。最近は、分布型光ファイバセンシング技術である、OTDR(Optical Time Domain Reflectometry)、ラマンOTDR、BOTDR(Brillouin OTDR)、BOTDA(Brillouin Optical Time Domain Analysis)などにも盛んに応用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
符号変調された信号を受信し、その受信信号を相関処理(パルス圧縮)するときの問題は、受信信号の波形が歪むことにより、それと元の符号との相関特性における時間サイドローブが大きくなってしまうことである。時間サイドローブが大きくなると、距離測定の精度や距離分解能が劣化してしまう。受信信号の波形が歪むメカニズムは、関係する物理現象に依存する。以下では、本発明が解決しようとする課題を、BOTDAとOTDRを例にして説明する。
【0004】
まず、BOTDAを例にして説明する。BOTDAは光ファイバ中でのブリルアン増幅を応用して、歪みあるいは温度などの分布を測定する技術である。
【0005】
図1に示すように、BOTDAでは、センサとして使用する光ファイバ1の一方の端面FE1からパルスポンプ光を入射するとともに、他方の端面FE2から連続プローブ光を入射する。レーザ2から出力された連続光を、光変調器3によりパルス信号発生器4で発生されたパルス信号でパルス変調して得た前記パルスポンプ光と、レーザ5から出力された前記連続プローブ光とは、光ファイバ1中の出合った位置で干渉し、電歪効果により音波を当該光ファイバ1中に生成する。この音波による回折効果によって前記パルスポンプ光の一部は周波数シフトして後方に散乱され、カップラ6を介して光レシーバ7で受信される。
【0006】
パルスポンプ光と連続プローブ光の周波数差が光ファイバ1の材料固有のブリルアン周波数シフトと呼ばれる周波数量と一致するとき、前記後方散乱光は連続プローブ光と位相が一致して重なり、連続プローブ光のパワーは増加する。即ち、パルスポンプ光は、音波を介して連続プローブ光を増幅する。これをブリルアン増幅と呼ぶ。
【0007】
前記ブリルアン周波数シフトは、光ファイバの歪みや温度の変化とともに線形的に変化することが知られている。従って、BOTDAで増幅信号を観測し、そのときのパルスポンプ光と連続プローブ光との周波数差の変化から、光ファイバ1の歪みや温度の変化を測定することができる。また、その位置は、パルスポンプ光を光ファイバ1の端面FE1に入射してから、連続プローブ光の増幅信号が光ファイバ1の端面FE1に到達するまでの時間より算出することができる。
【0008】
BOTDAの距離分解能を高めるためには、パルスポンプ光の幅を短くすれば良い。しかしながら、そのとき、前述のように、受信信号のエネルギー減少や、受信帯域拡大に伴う雑音の増大により受信信号のSN比が低下する。さらに、ブリルアン増幅の場合は、パルスポンプ光の幅を約10ns(音波の寿命と呼ばれる時間)以下にすると、増幅に寄与する音波が十分に成長せず、ブリルアン増幅度が急激に低下するという問題も発生する。
【0009】
これらの問題を解決する方法として、
1)位相シフトパルスBOTDA(PSP−BOTDA)
2)符号化PSP−BOTDA
が提案されている(非特許文献1(特にpp.207-208)、非特許文献2(特にpp.33-35)参照)。
【0010】
PSP−BOTDAは、図2に示すようにポンプ光を測定用のパルス光(第2のパルス光)と、時間的にその前に位置する音波励起用のパルス光(第1のパルス光)との組み合わせで構成し、かつ、音波励起用のパルス光に対する測定用パルスの位相を0としたポンプ光(0シフトポンプ光(図2(a)))と、位相をπとしたポンプ光(πシフトポンプ光(図2(b)))の両方を使用して測定する方法である。
【0011】
音波励起用パルスの幅を10nsよりも長くすることにより、十分に増幅に関与する音波を成長させ、その音波を測定用パルスによる増幅にも寄与させることができる。その結果、従来、BOTDAで生じていたブリルアン増幅度の急激な低下を回避できる。また、0シフトポンプ光による測定データから、πシフトポンプ光による測定データを減じることにより、音波励起用パルスによるブリルアン増幅信号はキャンセルし、測定用パルスによるブリルアン増幅信号のみを2倍にして抽出することが可能となる。
【0012】
符号化PSP−BOTDAは、PSP−BOTDAのパルスポンプ光の測定用パルスに符号を適用し、符号化パルス光列にしたものである。その例を図3に示す。その符号には、相補相関符号(Golay符号)あるいはBarker符号あるいはM系列符号などが使用できる。音波励起用パルス(第1のパルス)によって生成された音波の助けを借りて、測定用パルス(第2のパルス)である符号化パルス光列は、連続プローブ光を効率的にブリルアン増幅する。ブリルアン増幅された連続プローブ光を受信し、その受信信号と元の符号との相関処理を行う。その結果、受信信号の時間幅は、符号1ビット分のパルス幅まで圧縮される(パルス圧縮)。そのため、測定の距離分解能が向上する。また、相関処理した信号の振幅は符号長に比例またはほぼ比例し、雑音の振幅は符号長の平方根に比例またはほぼ比例する。その結果、相関処理した信号のSN比(光信号パワー換算)は、符号長の平方根に比例またはほぼ比例して改善可能となる。
【0013】
しかし、符号化パルス光列のトータルの時間幅が音波の寿命10nsと同等またはそれ以上になると、音波励起用パルスによって生成された音波の減衰の影響が無視できなくなる。即ち、図4に示すように、符号化パルス光列の前方のパルス光列は強度が大きな音波と相互作用するが、後方のパルス光列は減衰した音波と相互作用するようになるため、ブリルアン増幅された信号は、時間とともに減衰したパルス列となる。その結果、ブリルアン増幅された連続プローブ光を受信し、その受信信号と元の符号との相関処理(パルス圧縮)を行うと、相関処理した信号の振幅は、符号長に比例して増加せず、符号長を長くした場合にもほとんど変わらなくなる。さらに、時間サイドローブにおける雑音信号が大きくなり、距離分解能特性が劣化する。
【0014】
次にOTDRを例にして、本発明が解決しようとする課題を説明する。
【0015】
OTDRでは、図5に示すように、レーザ2から出力された連続光を、光変調器3によりパルス信号発生器4で発生されたパルス信号でパルス変調して得たパルス光を光ファイバ1の一方の端面FE1から入射し、そのパルス光の一部が光ファイバ1中でレイリー後方散乱され、前記端面FE1に到達した光信号を、カップラ6を介して光レシーバ7で受信する。パルス光を入射してからレイリー後方散乱光が受信されるまでの時間から散乱位置を算出することができる。従って、任意の2点からの受信信号レベルから、その間の光ファイバ損失を評価できる。また、受信信号が消滅する時間から、光ファイバ1の終端の位置、あるいは、破断位置などを算出することが可能である。
【0016】
OTDRにおいては、パルス光を符号化したパルス光列とし、受信信号のSN比を改善する研究が早くから行われ、測定装置としての商品化例もある(非特許文献3(特にpp.24-26)参照)。
【0017】
これらのOTDRよりさらにその測定距離の拡大、あるいは、距離分解能の向上を図るには、光増幅器(OA)を使用することが考えられる。単一パルス光を使用したOTDRにOAを適用する研究例は多いが、符号化パルス光列を使用したOTDRにOAを適用する研究例は少ない。その理由の一つは、図6に示すように、OAで符号化パルス光列を増幅したとき、符号化パルス光列の先頭部分の増幅度は大きいが、後尾部分に近づくにつれ増幅度は減少し、増幅波形が歪むことにある。その結果、受信信号と元の符号との相関処理(パルス圧縮)を行うと、相関処理した信号の振幅は、符号長に比例して増加せず、符号長を長くした場合にもほとんど変わらなくなる。さらに、時間サイドローブにおける雑音信号が大きくなり、距離分解能特性が劣化する。
【0018】
以上、符号化OTDRにOAを適用したときの課題を説明したが、符号化BOTDR、符号化BOTDA、符号化ラマンOTDRにOAを適用した場合にも同じ解決すべき課題がある。
【0019】
本発明の目的は、符号変調された信号を受信し、その受信信号を相関処理(パルス圧縮)するとき、受信信号の波形が歪む場合においても、相関特性における時間サイドローブにおける雑音を増加させることなく、受信信号のSN比を向上させ、距離の測定精度を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明では、
時間tの関数として相関符号系列信号C(t)を発生する相関符号系列信号発生器と、
光を前記相関符号系列信号C(t)を含む信号で変調する光変調器と、
光の速度をvとし、前記相関符号系列信号C(t)の1ビットパルス(サブパルス)の時間幅をτとした場合に、長さがvτ/2とほぼ等しいかそれ以下である短い区間からのステップ応答関数がh(t)、前記h(t)の逆数の関数がg(t)=1/h(t)である光システムに、前記光変調手段で変調された光信号を入力したときに当該光システムから出力される光を受信して受信信号RC(t)を出力する光受信器と、
前記関数g(t)と前記相関符号系列信号C(t)を乗じた関数をC(t)g(t)とし、前記受信信号RC(t)またはRC(t)と加減算した信号と、前記関数C(t)g(t)との相関処理を行う相関処理器とを備えたことを特徴とする。
【0021】
または、本発明は、
時間tの関数として相関符号系列信号C1(t)及びその符号要素を逆の順番に並べた逆方向相関符号系列信号C2(t)を発生する相関符号系列信号発生器と、
光を前記相関符号系列信号C1(t)を含む信号及び前記相関符号系列信号C2(t)を含む信号で変調する光変調器と、
光システムに前記光変調手段で変調された光信号を入力したときに当該光システムから出力される光を受信して受信信号RC1(t)及び受信信号RC2(t)を出力する光受信器と、
前記受信信号RC1(t)またはRC1(t)と加減算した信号と、前記相関符号系列信号C1(t)との相関処理、及び、前記受信信号RC2(t)またはRC2(t)と加減算した信号と、前記相関符号系列信号C2(t)との相関処理を行う相関処理器と、
前記相関処理器から出力される、前記相関符号系列信号C1(t)との相関処理結果と、前記相関符号系列信号C2(t)との相関処理結果を合成して出力する合成処理器とを備えたことを特徴とする。
【0022】
あるいは、本発明は、
時間tの関数として相関符号系列信号C1(t)及びその符号要素を逆の順番に並べた逆方向相関符号系列信号C2(t)を発生する相関符号系列信号発生器と、
光を前記相関符号系列信号C1(t)を含む信号及び前記相関符号系列信号C2(t)を含む信号で変調する光変調器と、
光の速度をvとし、前記相関符号系列信号C1(t)及び前記相関符号系列信号C2(t)の1ビットパルス(サブパルス)の時間幅をτとした場合に、長さがvτ/2とほぼ等しいかそれ以下である短い区間からのステップ応答関数がh(t)、時間tについての1次関数がF(t)=β(1−αt)、前記F(t)を前記h(t)で除した関数がG(t)=F(t)/h(t)である光システムに、前記光変調手段で変調された光信号を入力したときに当該光システムから出力される光を受信して受信信号RC1(t)及び受信信号RC2(t)を出力する光受信器と、
前記関数G(t)と前記相関符号系列信号C1(t)を乗じた関数をC1(t)G(t)とし、前記関数G(t)と前記相関符号系列信号C2(t)を乗じた関数をC2(t)G(t)とし、前記受信信号RC1(t) またはRC1(t)と加減算した信号と、前記関数C1(t)G(t)との相関処理、及び、前記受信信号RC2(t)またはRC2(t)と加減算した信号と、前記関数C2(t)G(t)との相関処理を行う相関処理器と、
前記相関処理器から出力される、前記関数C1(t)G(t)との相関処理結果と、前記関数C2(t)G(t)との相関処理結果を合成して出力する合成処理器とを備えたことを特徴とする。
【0023】
前記相関符号としては、相補相関符号(Golay符号)、Barker符号を始めとし、任意の相関符号を使用する。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、以上のように光符号変調パルスの相関処理方式を構成するので、受信信号の波形が歪む場合においても、相関特性における時間サイドローブにおける雑音を増加させることなく、受信信号のSN比を向上させ、距離の測定精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】BOTDAの一例を示す構成図
【図2】PSP−BOTDAのポンプ光の一例を示す説明図
【図3】PSK符号変調BOTDAのポンプ光の一例を示す説明図
【図4】音波の減衰によるブリルアン信号の波形歪みの説明図
【図5】OTDRの一例を示す構成図
【図6】光増幅信号の波形歪みの説明図
【図7】本発明の光符号変調パルスの相関処理方式の第1乃至第3実施形態及び変形例1を示す構成図
【図8】第1乃至第3実施形態のSN比改善率SNIR1、SNIR2、SNIR3の説明図
【図9】ASK符号変調BOTDAのポンプ光の一例を示す説明図
【図10】本発明の光符号変調パルスの相関処理方式の第4実施形態を示す構成図
【図11】PSK符号変調プローブ光またはポンプ光の一例を示す説明図
【図12】本発明の光符号変調パルスの相関処理方式の第5乃至第7実施形態及び変形例2を示す構成図
【図13】ASK符号変調プローブ光またはポンプ光の一例を示す説明図
【図14】本発明の光符号変調パルスの相関処理方式の変形例3及び4を示す構成図
【図15】本発明の光符号変調パルスの相関処理方式の変形例5及び9を示す構成図
【図16】本発明の光符号変調パルスの相関処理方式の変形例6乃至8を示す構成図
【図17】PSK離散符号変調BOTDAのポンプ光の一例を示す説明図
【図18】ASK離散符号変調BOTDAのポンプ光の一例を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0026】
[第1実施形態]
図7は本発明の光符号変調パルスの相関処理方式の第1実施形態、ここではPSP−BOTDAに適用した例を示すもので、図中、従来例と同一構成部分は同一符号をもって表す。即ち、1は光ファイバ、2はレーザ、3は光変調器、6,11はカップラ、7は光レシーバ、12は光周波数シフタ、13は相関符号系列信号発生器、14は相関処理器、15は合成処理器である。
【0027】
まず、本発明の第1実施形態についてその動作とともに説明する。
【0028】
レーザ2は発振線幅の狭い干渉性の高い光源を使用する。レーザ2の出力である連続光は、カップラ11により二つに分岐され、それぞれポンプ光及びプローブ光として使用される。プローブ光として使用される光は、光周波数シフタ12に入力され、その光周波数が、光ファイバ1のブリルアン周波数シフトと同程度の周波数だけダウンシフトされる。この周波数シフトされた連続光は、光ファイバ1の端面FE2から光ファイバ1に入射される。一方、ポンプ光として使用される光は、光変調手段(OM)である光変調器3に入力される。また光変調器3の電気信号入力端子には、相関符号系列信号発生器13からの出力信号が入力され、この電気信号により、符号変調されたポンプ光が生成される。符号変調されたポンプ光は、カップラ6を通過し、光ファイバ1の端面FE1から光ファイバ1に入射される。
【0029】
今、光ファイバ1のある部分に歪みが生じ、その部分のブリルアン周波数シフトが周辺の部分の値から変化したとする。そして、前記のポンプ光と連続プローブ光の周波数差が、歪みが生じた部分のブリルアン周波数シフトと同じであるとすると、ブリルアン増幅の原理に従い、符号変調されたポンプ光が前記歪みの生じた部分を通過するときに、前記プローブ光をブリルアン増幅する。ブリルアン増幅されたプローブ光は、カップラ6を通過し、光レシーバ7に入力され、電気信号に変換される。その電気信号は相関処理器14に入力される。相関処理器14は、相関符号系列信号発生器13の出力信号に基づいた信号と光レシーバ7の出力信号との相互相関処理を行い、パルス圧縮信号を出力する。合成処理器15は、相関処理器14から出力されるパルス圧縮信号が複数ある場合、それらを合成したパルス圧縮信号を出力する。
【0030】
以下、本発明の原理を説明する。
【0031】
使用する相関符号が、相補相関符号(Golay符号)の場合を説明する。相補相関符号は2つの符号系列A,Bから構成され、A,Bは以下の性質を満足する。
【0032】
【数1】

【0033】
ここで、Lは符号の長さ、Ai,Bi(i=1,2,…L)は符号系列A,Bの要素であり、1,−1の2値をとる。従って、相補相関符号に基づき符号変調したパルス列の相関特性を式(1)に基づいて処理すると、そのメインローブ(n=0)は、符号長Lの2倍の値をとり、時間サイドローブ(n≠0)は0となる。従って、相補相関符号は分布測定に最適な特性を有している。
【0034】
今、相補相関符号系列A1,B1を、符号1ビットの時間幅をτとして、時間の関数で表したものを、相関符号系列信号A1(t),B1(t)とする。そしてA1(t),B1(t)に基づいた信号によってポンプ光を符号変調する場合を考える。後述する本発明の実施形態では、この符号系列の要素の並ぶ順番を逆にした逆方向符号系列も利用するので、符号系列A1,B1を、ここでは順方向符号系列A1,B1と呼ぶことにする。また、光ファイバ1に歪みが生じた部分の長さは、符号1ビット分のパルスであるサブパルスの時間幅τに相当する長さvτ/2であるとする(ここでvは光ファイバ中の光速)。そして、歪みが生じた部分において、符号変調されたポンプ光によってプローブ光がブリルアン増幅され、光レシーバ7によって受信されたとする。また、その受信電気信号をRA1(t),RB1(t)で表すとする。
【0035】
これまで発明者らはいくつかの種類の符号変調の方法を報告しているが、ここでは前述した図3に示す方法を想定する。図3の方法は、音波励起用の第1のパルスと測定用の第2のパルスでポンプ光を構成する。さらに、第2のパルスを符号の長さである符号の要素数L個に等分割し、L個のサブパルスを作る(図3の例では、L=4である)。この各サブパルスに符号を割り当てる。図3の例では、符号要素1,−1を、位相シフト0,πに割り当てている。
【0036】
このようにすることにより、第1のパルスによりブリルアン増幅に寄与する音波を十分に成長させ、その成長した音波を利用して、各サブパルスはプローブ光を効率的にブリルアン増幅することが可能となる。さらに、第1のパルスによって発生させた音波は、サブパルスとコヒーレントに相互作用するので、第1のパルスの位相と位相符号変調されたサブパルスの位相が同相(位相差0)のときは、プローブ光パワーは増加し、一方、第1のパルスの位相と位相符号変調されたサブパルスの位相が逆相(位相差π)のときは、プローブ光のパワーは減衰する。先に仮定したように、光ファイバ1に歪みが生じた部分の長さは、符号1ビット分のパルス幅に相当する長さであるので、サブパルスによるプローブ光パワーの変化を光レシーバ7で受信した受信電気信号は、符号系列信号A1(t),B1(t) と相似形となる。
【0037】
しかしながら、受信電気信号には、音波励起用の第1のパルス自身による増幅信号も重なっている。そこで、PSP−BOTDAでは、符号系列A1の要素をもう一方の要素と交換した符号系列A1-、さらに符号系列B1の要素をもう一方の要素と交換した符号系列B1-も使用する。
【0038】
例えば、符号長L=4の順方向相補相関符号系列が
A1={1,1,1,−1},B1={1,1,−1,1}
とすると、その要素を交換した逆方向相補相関符号系列は、1を−1と交換し、−1を1と交換することにより得られ、
A1-={−1,−1,−1,1},B1-={−1,−1,1,−1}
のようになる。
【0039】
そして、第1のパルスはそのままとし、第2のパルスを符号A1-に基づく信号A1-(t)で位相符号変調したポンプ光(図3(b)を参照)を生成し、それによってプローブ光をブリルアン増幅した信号も測定する。その受信電気信号をRA1-(t)とする。同様にして、第1のパルスはそのままとし、第2のパルスを符号B1-に基づく信号B1-(t)で位相符号変調したポンプ光を生成し、それによってプローブ光をブリルアン増幅した信号も測定する。その受信電気信号をRB1-(t)とする。
【0040】
このようにして測定したRA1-(t)及びRB1-(t)に含まれる第1パルス光によるブリルアン増幅信号は、RA1(t)及びRB1(t)に含まれる信号と同じであるが、位相符号変調されたサブパルス光によるブリルアン増幅信号は、逆極性の値となる。その結果、それらの差信号、ΔRA1(t)=RA1(t)−RA1-(t)及びΔRB1(t)=RB1(t)−RB1-(t)は、それぞれ、A1(t)及びB1(t)と振幅を除き、同じ波形となると考えられる。
【0041】
そこで、A1(t)とΔRA1(t)の相互相関と、B1(t)とΔRB1(t)の相互相関との和、
【0042】
【数2】

【0043】
を求める。ここで、Ψ(nτ)=Ψ(n),A1(mτ)=A1m,ΔRA1((m+n)τ)=ΔRA1m+n,B1(mτ)=B1m,ΔRB1((m+n)τ)=ΔRB1m+nと記した(以後、同様の記法を使用する)。
【0044】
式(2)は、式(1)と同様に、メインローブのみ大きな値をとり、サイドローブは0となる。即ち、第2のパルスを分割したサブパルスの幅τで決まる距離分解能vτ/2で、光ファイバ1に歪みが生じた部分を評価可能となる。
【0045】
しかし、実際には、第1のパルス光によって発生させた音波の寿命は、石英系光ファイバの場合、10ns程度であるため、第2のパルス光の幅Lτがそれと同等以上の長さになると、符号変調された各サブパルスによる増幅度あるいは減衰度は、第2のパルス光の前半部分に比べ後半部分では大きく減少するようになる(図4参照)。その結果、式(2)の相関関数のメインローブの値の低下と、サイドローブにおける雑音の発生が生じるようになる。
【0046】
そこで相関処理を行うときに、音波の減衰の補正を行うことを考える。
【0047】
ブリルアン増幅またはブリルアン散乱に関与する音波の振幅の減衰係数Γは、ブリルアン利得半値全幅をΔνbとしたとき、Γ=πΔνbで与えられる。従ってΓの値は光ファイバ1のΔνbを測定すれば算出できる値である。このとき光ファイバ中の光速をvとすると、長さがv/(2Γ)とほぼ等しいかそれよりも短い区間からの、測定用パルス(第2のパルス)によるブリルアン増幅のステップ応答関数は、測定用パルスがその短い区間に到達した時刻を基準にして表すと、
h(t)=exp(−Γt) (3)
で与えられる。
【0048】
今、光ファイバ1に歪みが生じた部分の長さΔzは、Δz≦v/(2Γ)であり、また、符号系列A1,A1-で変調されたポンプ光を使用したとき、符号1ビット分のサブパルスの時間幅をτとして、Δz≦vτ/2であるとする。このとき、歪みが生じた部分において、符号変調されたポンプ光によってブリルアン増幅されたプローブ光パワーのRA1(t)の変化、そしてそれを光レシーバ7で受信し電気信号に変換された信号は、A1(t)h(t)に比例する。差信号ΔRA1(t)も同様である。簡単のために比例係数を省略すると、
ΔRA1(t)=A1(t)h(t) (4)
である。同様にして、符号系列B1,B1-を使用したときの差信号ΔRB1(t)は、
ΔRB1(t)=B1(t)h(t) (5)
のように表せる。
【0049】
今、ステップ応答関数h(t)の逆数の関数をg(t)=1/h(t)とし、A1(t)と音波の減衰を補正したΔRA1(t)g(t)との相互相関と、B1(t)と音波の減衰を補正したΔRB1(t)g(t)との相互相関の和の計算処理を行うと、以下のようになる。
【0050】
【数3】

【0051】
ここで、h(nτ)=hn,g(nτ)=gnと記した(以後、同様の記法を使用する)。
【0052】
即ち、音波の減衰を補正した式(6)で表した相互相関処理を行うことにより、メインローブの信号を減少させず、かつ、サイドローブの雑音を生じさせることなく、信号を検出することが可能となる。
【0053】
しかしながら、実際の測定では、上で仮定したようにブリルアン増幅が生じる区間は一か所ではなく、光ファイバの長さ方向に分布して複数存在する。そのため、測定用パルスがある特定の短い区間に到達した時刻を基準にして表したステップ応答関数h(t)の逆関数であるg(t)を一般の場合にそのまま使用するわけにはいかない。即ち、差信号ΔRA1(t)に逆関数g(t)を乗じた関数ΔRA1(t)g(t)と符号の関数A1(t)との相互相関及び、差信号ΔRB1(t)に逆関数g(t)を乗じた関数ΔRB1(t)g(t)と符号の関数B1(t)との相互相関をそれぞれ計算処理するわけにはいかない。
【0054】
そこで本発明では、音波が式(3)で示したように指数関数状に減衰することに着目し、音波の「減衰」ではなく、音波の「減衰率」を補正する。そのために、光ファイバの長さ方向のある着目する個所について、以下の式(7)で表すように、A1(t)g(t)とΔRA1(t)との相互相関と、B1(t)g(t)とΔRB1(t) との相互相関との和の計算処理を行う。
【0055】
【数4】

【0056】
このようにすることにより、ブリルアン増幅が生じる区間が光ファイバの長さ方向に分布して存在するときにも、メインローブの信号を減少させず、かつ、サイドローブの雑音を生じさせることなく、理想的に信号を検出することが可能となることがわかる。さらに式(6)と式(7)を比較すると分かるように、本発明では、時間シフトnτのときのサイドローブの相関値を求めるときに、重みexp(−Γnτ)が掛かるため、符号変調された光信号の振幅に多少の変動があっても、その影響を抑圧する効果がある。
【0057】
[第2実施形態]
本実施形態では、第1実施形態と同じく、PSP−BOTDAに本発明を適用している。本発明の第2実施形態である光符号変調パルスの相関処理方式の基本構成は、第1実施形態の構成を示す図7と同じであるが、相関符号系列信号発生器13、相関処理器14及び合成処理器15の機能において、第1実施形態と異なる。
【0058】
相関符号系列信号発生器13は、順方向相補相関符号系列信号A1(t),B1(t)と、その符号要素を逆に並べた逆方向相補相関符号系列信号A2(t),B2(t)を発生させる。
【0059】
例えば、符号長L=4の順方向相補相関符号系列が
A1={1,1,1,−1},B1={1,1,−1,1}
とすると、その逆方向相補相関符号系列は、
A2={−1,1,1,1},B2={1,−1,1,1}
である。
【0060】
相関符号系列信号発生器13は、さらに、符号の要素を交換した、A1-(t),B1-(t),A2-(t),B2-(t)も発生させる。そして、第1実施形態と同様に、符号系列信号A1(t),B1(t),A2(t),B2(t),A1-(t),B1-(t),A2-(t),B2-(t)によってポンプ光を符号変調する場合を考える。そして、第1実施形態のときと同様に、光ファイバ1の歪みが生じた部分において、符号変調されたポンプ光によってプローブ光がブリルアン増幅され、光レシーバ7によって受信されたとする。また、その受信電気信号を、符号系列A1,B1,A2,B2,A1-,B1-,A2-,B2-に対応させて、RA1(t),RB1(t),RA2(t),RB2(t),RA1-(t),RB1-(t),RA2-(t),RB2-(t)で表すとする。さらに、ΔRA1(t)=RA1(t)−RA1-(t),ΔRB1(t)=RB1(t)−RB1-(t),ΔRA2(t)=RA2(t)−RA2-(t),ΔRB2(t)=RB2(t)−RB2-(t)とする。
【0061】
本実施形態ではさらに、以下の式(8)で示すように、相関処理器14により、A1(t)とΔRA1(t)との相互相関ΦA1(n)と、A2(t)とΔRA2(t)との相互相関ΦA2(n)と、B1(t)とΔRB1(t)との相互相関ΦB1(n)と、B2(t)とΔRB2(t)との相互相関ΦB2(n)との計算処理を行う。そして、合成処理器15は、それらの総合和Φ(n)を合成する計算処理を行う。
【0062】
【数5】

【0063】
ここで、A2i=A1L-i+1の関係を利用すると、
【0064】
【数6】

【0065】
式(9)の右辺{}の中の指数関数は、その引数が小さいときには1次関数で近似でき、{}の中の値はmに依存しなくなる。その結果、
【0066】
【数7】

【0067】
となる。同様にして、
【0068】
【数8】

【0069】
従って、
【0070】
【数9】

【0071】
以上のことから、順方向符号とその逆方向符号を使用し、式(8)に従って、相関処理を相関処理器14で行い、その相関処理した信号の合成を合成処理器15で行うことにより、ブリルアン増幅が生じる区間が光ファイバの長さ方向に分布して存在するときにも、メインローブの信号を大きく減少させることなく、かつ、サイドローブの雑音を大きく生じさせることなく、信号を検出することが可能となることがわかる。
【0072】
次に、本発明の第1実施形態と第2実施形態のSN比を比較する。サイドローブの雑音はそれぞれ0またはほとんど0となるので、雑音は受信回路のランダム雑音のみを考える。また、計算を簡単化するため、離散値を連続値に置き換えて計算する。
【0073】
このとき、第1実施形態の受信信号の電力PS1、雑音電力PN1及び信号対雑音比SNR1は次のようになる。
【0074】
【数10】

【0075】
ここで、σ2は、時間τの間隔でデータをサンプリングしたときの雑音電力である。
【0076】
一方、音波励起用パルスのあとの測定用パルスとして、符号化パルスではなく、時間幅τのサブパルス一つのみとしたポンプ光で測定したとき、信号対雑音比SNR0は
SNR0=1/σ2
で与えられる。
【0077】
従って、第1実施形態の信号対雑音比の改善率SNIR1は次式で与えられる。
【0078】
【数11】

【0079】
一方、第2実施形態の受信信号の電力PS2、雑音電力PN2、信号対雑音比SNR2及び、信号対雑音比の改善率SNIR2は次のようになる。
【0080】
【数12】

【0081】
減衰係数Γのおおよその値は使用する光ファイバと光源の波長が決まれば計算可能である。例えば石英系ガラス光ファイバの場合、波長1.55μmでは、ブリルアン利得地域幅Δνbは約35MHzであるので、
【0082】
【数13】

【0083】
である。
【0084】
そこで、τ=0.3ns,Γ=0.1Gs-1 としたときのSNIR1及びSNIR2の計算結果を図8に示す。第1実施形態では、信号の補正に伴いランダム雑音も増加させるので、符号パルスの時間Lτが非常に長くなるとSNIR1は低下している。一方、第2実施形態では、信号の補正は行っていないので、ランダム雑音の増加量は第1実施形態に比較して緩やかである。その結果、第2実施形態のSNIR2は、第1実施形態のSNIR1に比べて大きくなる。しかし、第2実施形態では、時間サイドローブによる雑音が、抑制されてはいるが、発生していることに注意しなければならない。
【0085】
[第3実施形態]
本実施形態では、第1実施形態と同じく、PSP−BOTDAに本発明を適用している。本発明の第3実施形態である光符号変調パルスの相関処理方式の基本構成は、第1実施形態の構成を示す図7と同じであり、また、相関符号系列信号発生器13及び合成処理器15の機能は第2実施形態と同じであるが、相関処理器14の機能において第2実施形態と異なる。
【0086】
第2実施形態と同様に、相関符号系列信号発生器13は、順方向相補相関符号系列信号A1(t),B1(t)と、逆方向相補相関符号系列信号A2(t),B2(t)を発生させる。また、それらの符号要素をもう一方の要素と交換した符号系列信号A1-(t),B1-(t),A2-(t),B2-(t)も発生させる。そして、符号系列信号A1(t),B1(t),A2(t),B2(t),A1-(t),B1-(t),A2-(t),B2-(t)によってポンプ光を符号変調する場合を考える。さらに、第1及び第2実施形態のときと同様に、光ファイバ1の歪みが生じた部分において、符号変調されたポンプ光によってプローブ光がブリルアン増幅され、光レシーバ7によって受信されたとする。また、その受信電気信号を、符号系列A1,B1,A2,B2,A1-,B1-,A2-,B2-に対応させて、RA1(t),RB1(t),RA2(t),RB2(t),RA1-(t),RB1-(t),RA2-(t),RB2-(t)で表すとする。さらに、ΔRA1(t)=RA1(t)−RA1-(t),ΔRB1(t)=RB1(t)−RB1-(t),ΔRA2(t)=RA2(t)−RA2-(t),ΔRB2(t)=RB2(t)−RB2-(t) とする。
【0087】
本実施形態ではさらに、ブリルアン増幅信号の応答関数を補正し、補正した応答関数が時間tの1次関数F(t)=β(1−αt)となるようにする。そのために、
G(t)=g(t)F(t) (13)
とし、以下の式(14)で表すように、相関処理器14は、A1(t)G(t)とΔRA1(t)との相互相関ΨA1(n)と、A2(t)G(t)とΔRA2(t)との相互相関ΨA2(n)と、B1(t)G(t)とΔRB1(t)との相互相関ΨB1(n)と、B2(t)G(t)とΔRB2(t)との相互相関ΨB2(n)との計算処理を行う。そして合成処理器15は、それらの総合和Ψ(n)を合成する計算処理を行う。
【0088】
【数14】

【0089】
ここで、A2i=A1L-i+1の関係を利用すると、
【0090】
【数15】

【0091】
本発明では、関数F(t)は1次関数としたため、上式右辺のFm+FL-(m+n)+1は、mに依存しない値になる。その結果、
【0092】
【数16】

【0093】
となる。同様にして、
【0094】
【数17】

【0095】
従って、
【0096】
【数18】

【0097】
以上のことから、式(14)に従って、相関処理器14で相関処理を行い、その相関処理された信号を、合成処理器15で合成することにより、ブリルアン増幅が生じる区間が光ファイバの長さ方向に分布して存在するときにも、メインローブの信号を大きく減少させず、かつ、サイドローブの雑音を生じさせることなく、理想的に信号を検出することが可能となることがわかる。
【0098】
次に、本発明の第3実施形態のSN比を計算する。上述のようにサイドローブの雑音は0となるので、雑音は受信回路のランダム雑音のみを考える。また、計算を簡単化するため、離散値を連続値におきかえて計算する。
【0099】
このとき、第3実施形態の受信信号の電力PS3、雑音電力PN3及び信号対雑音比SNR3は次のようになる。
【0100】
【数19】

【0101】
τ=0.3ns,Γ=0.1Gs-1 ,α=0.08Gs-1 としたときのSNIR3の計算結果を図8に示す。第3実施形態のSNIR3のピーク値は、1次関数F(t)のパラメータであるαの値を適切に設定することにより、第2実施形態のSNIR2のピーク値よりも高くなることがわかる。また、既に説明したように、第2実施形態では時間サイドローブが完全に0に抑圧しきれていないが、第3実施形態では、原理的に0とすることが可能である。即ち、第3実施形態のほうが、第2実施形態よりも、ランダム雑音特性及びサイドローブ雑音特性の両面で優れている。
【0102】
[変形例1]
本変形例は、符号変調として、位相シフト変調(PSK; Phase Shift Keying)ではなく、振幅シフト変調(ASK; Amplitude Shift Keying)を使用する場合である。これまで、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態では、符号の要素1,−1に対して光の信号の位相をそれぞれ0,πシフトさせる位相シフト変調(PSK)を使用した。しかしながら、本発明はPSKに限らず、ASKにも適用可能である。
【0103】
具体的には、これまでの、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態において、符号の要素1,−1に対応して、ポンプ光の第2のパルスのサブパルスの振幅(強度)を、それぞれ1,0に比例して強度変調すれば良い。相関符号系列信号発生器13は、ポンプ光の第1のパルスを発生させるための信号と、第2パルスをASK変調するための信号を出力し、その出力信号で、光変調器3を駆動する。例として、A1={1,1,1,−1}、A1-={−1,−1,−1,1}の場合のポンプ光の波形を図9に示す。
【0104】
PSKのときと同様に、ASKのときの受信電気信号の差信号ΔRA1(t)=RA1(t)−RA1-(t),ΔRB1(t)=RB1(t)−RB1-(t),…を定義するものとする。ASKを使用したときの差信号ΔRA1(t),ΔRB1(t),…は、PSKを使用した場合の半分の大きさになるが、PSKのときと同様に、振幅の大きさを除き、符号系列A1(t),B1(t),…と同じ波形となる。従って、上述の第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態において、ポンプ光の第2パルスをASK変調したときも、それぞれ、式(7)、式(8)、式(14)に従って、相互相関処理と信号の合成を行えば良い。
【0105】
[第4実施形態]
図10は本発明の光符号変調パルスの相関処理方式の第4実施形態、ここではPSP−BOTDAではなく、BOTDRに適用した例を示すもので、図中、第1実施形態乃至第3実施形態及び変形例1と同一構成部分は同一符号をもって表す。即ち、1は光ファイバ、2はレーザ、3は光変調器、6,11,21はカップラ、13は相関符号系列信号発生器、14は相関処理器、22は光レシーバ、23はローカル発振器、24はミキサ、25は二乗処理器、26は加算平均処理器である。
【0106】
レーザ2からの出力連続光は、カップラ11により2分岐される。そのうち一方の光は光変調器3に入力される。また光変調器3の電気信号入力端子には、相関符号系列信号発生器13からの出力信号が入力され、この電気信号により、符号変調されたプローブ光が生成される。符号変調されたプローブ光は、カップラ6を通過し、光ファイバ1の端面FE1から光ファイバ1に入射される。
【0107】
入射されたプローブ光の一部の光は、光ファイバ中で熱的に励起された音波により、後方に散乱される。この散乱光は自然ブリルアン散乱と呼ばれる。以後、簡単のためにブリルアン散乱と呼ぶ。ブリルアン散乱は、カップラ6により入射光と分離され、光レシーバ22の方向に導かれる。一方、カップラ11により分岐されたもう一方の光は、ブリルアン散乱をヘテロダイン検出するためのローカル光として使用される。
【0108】
ブリルアン散乱光とローカル光はカップラ21で合流する。カップラ21の出力は光レシーバ22に入力される。光レシーバ22には、通常、強度雑音の低減や高感度化を図るために、2つの干渉信号を入力するバランス型レシーバを使用するが、1つの干渉信号のみを入力する一般の光レシーバでも構わない。
【0109】
ブリルアン散乱光とローカル光の周波数は、光ファイバ1のブリルアン周波数シフトだけ離れているため、光レシーバ22からは、周波数がブリルアン周波数であるビート信号が出力される。このビート信号と、ローカル発振器23の出力信号をミキサ24に入力し、ミキサ24の出力としてベースバンド信号を得る。このベースバンド信号と、相関符号系列信号発生器13から出力される相関符号系列信号との相関処理を相関処理器14で行う。相関処理器14の出力信号は二乗処理器25により二乗される。二乗された信号は、加算平均処理器26により順次加算される。
【0110】
本BOTDRで使用する符号変調されたプローブ光の例を図11に示す。この例では、4ビット(符号長L=4)の符号で位相変調している。PSP−BOTDAでは、音波励起用のパルスにより励起した音波を使用してブリルアン増幅した信号を測定していたが、BOTDRでは、光ファイバ中で熱的に励起されて自然に存在する音波によって散乱された光を測定する。そのため、図11に示したように、音波励起用のパルスは使用せず、測定用のパルスである符号変調したパルスのみを使用する。
【0111】
熱的に励起されて自然に存在する音波は、励起用のパルスにより励起した音波と同様に、減衰係数Γで時間とともに減衰する。従って、プローブ光の総合のパルス幅Lτ(τは1ビットのサブパルスの時間幅)が1/Γとほぼ等しいか、それ未満であるとき、ブリルアン散乱光のコヒーレンスは保たれている。
【0112】
今、相関符号系列をC、それに基づいて相関符号系列信号発生器13で発生した相関符号系列信号をC(t)とする。また、相関符号系列Cを使用して測定したBOTDRのベースバンド信号をRC(t)とする。これまでの説明からわかるように、RC(t)は、C(t)と式(3)のh(t)の積に比例する。簡単のため比例係数を1にとると、
RC(t)=cosθC(t)h(t) (18)
である。ここで、θはブリルアン散乱光とローカル光との位相差である。
【0113】
これまでの説明と同様にして、音波の減衰率を補正するために、h(t)の逆数の関数をg(t)=1/h(t)とし、C(t)g(t)とRC(t)との相互相関の計算処理を行うと、以下のようになる。
【0114】
【数20】

【0115】
さらにこの出力を、二乗処理器25で二乗する。そしてこの測定を多数回繰り返す。そしてそれらの値を、加算平均処理器26によって加算する。位相差θは、多数回測定の間に統計的にランダムに変化する。よって統計平均の値は、
【0116】
【数21】

【0117】
であるので、
【0118】
【数22】

【0119】
となる。
【0120】
以上から、式(19)に示す相関処理を行うことにより、音波の減衰の影響をうけずに、符号C本来の相関計算処理ができることがわかる。
【0121】
なお、符号Cには、Barker符号やM系列符号が使用可能である。また、相補相関符号の2系列の符号のうちのいずれか一方の符号を使用しても、サイドローブの値が小さい相関特性が得られる。
【0122】
[第5実施形態]
図12は本発明の光符号変調パルスの相関処理方式の第5実施形態、ここではレイリー散乱を測定する光増幅器型コヒーレントOTDRに適用した例を示すもので、図中、第1実施形態乃至第3実施形態及び変形例1、並びに第4実施形態と同一構成部分は同一符号をもって表す。即ち、1は光ファイバ、2はレーザ、3は光変調器、6,11,21はカップラ、13は相関符号系列信号発生器、14は相関処理器、15は合成処理器、22は光レシーバ、23はローカル発振器、24はミキサ、25は二乗処理器、26は加算平均処理器、31は光増幅器である。
【0123】
レーザ2からの出力連続光は、カップラ11により2分岐される。そのうち一方の光は光変調器3に入力される。また光変調器3の電気信号入力端子には、相関符号系列信号発生器13からの出力信号が入力され、この電気信号により、符号変調されたプローブ光が生成される。符号変調されたプローブ光は、光増幅器31により増幅される。光増幅器31には、希土類元素を添加した光ファイバ型増幅器や、半導体を使った半導体型光増幅器を使用する。増幅されたプローブ光は、カップラ6を通過し、光ファイバの端面FE1から光ファイバ1に入射される。
【0124】
入射されたプローブ光の一部の光は、光ファイバの屈折率ゆらぎにより、後方に散乱される。この散乱光はレイリー散乱と呼ばれる。レイリー散乱は、カップラ6により入射光と分離され、光レシーバ22の方向に導かれる。一方、カップラ11により分岐されたもう一方の光は、レイリー散乱をヘテロダイン検出するためのローカル光として使用される。
【0125】
レイリー散乱光とローカル光はカップラ21で合流する。カップラ21の出力は光レシーバ22に入力される。光レシーバ22には、通常、バランス型レシーバを使用し、強度雑音の低減や高感度化を図る。
【0126】
ここで、光変調器3が、光を変調する時にプローブ光の周波数をシフトさせるような部品(例えば音響光学型光変調器など)である場合には、レイリー散乱光とローカル光の周波数は、その周波数シフトだけ離れているため、光レシーバ22からは、ビート信号が出力される。これをヘテロダイン検出という。このビート信号をローカル発振器23の出力信号とミキサ24に入力し、ミキサ24の出力としてベースバンド信号を得る。
【0127】
また、光変調器3が、光を変調する時にプローブ光の周波数をシフトさせることがないような部品(例えばリチウムニオベートを使用した電気光学効果型光変調器など)である場合には、レイリー散乱光とローカル光の周波数は一致しているので、光レシーバ22からの出力はベースバンド信号となる。これをホモダイン検出という。このときは、図12中に示したローカル発振器23及びミキサ24は必要ない。
【0128】
ヘテロダイン検出やホモダイン検出を、コヒーレント検出という。ヘテロダイン検出とホモダイン検出のいずれの場合も、このベースバンド信号と、相関符号系列信号発生器13の出力信号である相関符号系列信号との相関処理を相関処理器14で行う。相関処理器14の出力信号は合成処理器15により合成される。合成された信号は二乗処理器25により二乗される。二乗された信号は、加算平均処理器26により順次加算される。
【0129】
今、光増幅器31と光ファイバ1を合わせたものを一つの光システムとみなすことにする。また、光ファイバを長さ方向に分割し、その分割した一つの区間からのレイリー散乱の測定を考える。また、符号1ビットのパルスの時間幅はτとし、前記分割したファイバの一つの区間の長さは、vτ/2以下であるとする。このとき、レイリー散乱光の波形は、符号系列信号の波形と、振幅の大きさを除いて同じとなる。
【0130】
しかしながら、光増幅器31の増幅度を高めていくと、プローブ光の前方部分は大きく増幅されるが、それに伴い、光増幅器31の活性媒質の電子の大部分が励起状態のエネルギー準位から低い準位に落ちてしまい、プローブ光後方部分の増幅度は小さいものとなる(図6参照)。その結果、レイリー散乱光の波形も、時間とともに指数関数的に減衰する波形となる。
【0131】
このときの増幅信号の電界強度に関する時間減衰率係数をγとすると、この光システムのステップ応答は、
OA(t)=exp(−γt) (20)
のように近似できる。この関数は、本発明の第1乃至第3実施形態で考えた、音波の減衰が関係したブリルアン増幅信号のステップ応答と同じく指数関数の形をしている。よって、両者は数学的に同じように扱えるといって良い。従って、第1乃至第3実施形態及びその変形例1で示した、光符号変調パルスの相関処理方式の考え方が、光増幅器型コヒーレントOTDRにおいても有効である。
【0132】
今、相補相関符号系列A1,B1を、符号1ビットの時間幅をτとして、時間の関数で表したものを、相関符号系列信号A1(t),B1(t)とする。そして A1(t),B1(t)に基づいた信号によってプローブ光を符号変調する場合を考える。4ビットの符号A1={1,1,1,−1}でPSK変調したプローブ光の波形例を図11に示す。
【0133】
符号系列A1を使用して符号変調され、そして光増幅されたプローブ光によって、光ファイバ1の上記一区間から散乱されたレイリー散乱光を光レシーバ22で受信したとする。そのとき検出されたベースバンド電気信号RA1(t)は、A1(t)hOA(t)に比例する。簡単のために比例係数を省略すると、
RA1(t)=cosθA1(t)hOA(t) (21)
である。同様にして、符号系列B1を使用したときのベースバンド電気信号RB1(t)は
RB1(t)=cosθB1(t)hOA(t) (22)
のように表せる。但し、θはレイリー散乱光とローカル光との位相差である。ここで、プローブ光をA1(t)とB1(t)で変調した時間間隔では、レーザ2及びレイリー散乱光の周波数や位相はゆらがないものとした。
【0134】
今、第1実施形態を参考にしながら、ステップ応答関数hOA(t)の逆数の関数をgOA(t)=1/hOA(t)とし、光増幅信号の「減衰率」を補正する。そのために、以下の式(23)で表すように、A1(t)gOA(t)とRA1(t)との相互相関と、B1(t)gOA(t)とRB1(t)との相互相関との和の計算処理を行う。相互相関は相関処理器14で、相互相関の和の計算処理は合成処理器15で行う。相互相関の和は以下のようになる。
【0135】
【数23】

【0136】
さらにこの合成処理器15の出力を、二乗処理器25で二乗する。これらの測定を多数回繰り返す。位相差θは、多数回測定の間に統計的にランダムに変化するので、統計平均値は、
【0137】
【数24】

【0138】
であるので、
【0139】
【数25】

【0140】
となる。
【0141】
即ち、光増幅信号の減衰率を補正した式(23)で表した相互相関処理及び合生処理を行うことにより、メインローブの信号を減少させず、かつ、サイドローブの雑音を生じさせることなく、レイリー散乱信号を検出することが可能となる。
【0142】
[第6実施形態]
本実施形態では、第5実施形態と同じく、レイリー散乱を測定する光増幅器型コヒーレントOTDRに本発明を適用している。第5実施形態の説明の文章中で触れたように、第2実施形態で示した光変調パルスの相関処理方式の考え方は、本発明の第6実施形態にも有効である。本発明の第6実施形態である光符号変調パルスの相関処理方式の基本構成は、第5の実施形態の構成を示す図12と同じであるが、相関符号系列信号発生器13、相関処理器14及び合成処理器15の機能において、第5実施形態と異なる。
【0143】
相関符号系列信号発生器13は、順方向相補相関符号系列信号A1(t),B1(t)と、その符号要素を逆に並べた逆方向相補相関符号系列信号A2(t),B2(t)を発生させる。
【0144】
そして、第5実施形態と同様に、符号系列信号A1(t),B1(t),A2(t),B2(t)によってプローブ光を符号変調する場合を考える。そして、第5実施形態のときと同様に、光ファイバ1の一部区間において、符号変調されたプローブ光がレイリー散乱され、光レシーバ22によって受信され、ベースバンド信号に変換されたとする。また、そのベースバンド信号を、符号系列A1,B1,A2,B2に対応させて、RA1(t),RB1(t),RA2(t),RB2(t)で表すとする。
【0145】
本発明ではさらに、以下の式(24)が示すように、相関処理器14は、A1(t)とRA1(t)との相互相関ΦA1(n)と、A2(t)とRA2(t)との相互相関ΦA2(n)と、B1(t)とRB1(t)との相互相関ΦB1(n)と、B2(t)とRB2(t)との相互相関ΦB2(n)の計算処理を行う。そして合成処理器15はそれらの総合和Φ(n)の計算処理を行う。
【0146】
【数26】

【0147】
ここで、A2i=A1L-i+1の関係を利用すると、
【0148】
【数27】

【0149】
但し、θはレイリー散乱光とローカル光との位相差である。ここで、プローブ光をA1(t),B1(t),A2(t),B2(t)で変調した時間では、レーザ2及びレイリー散乱光の周波数や位相はゆらがないものとした。
【0150】
式(25)の右辺{}の中の指数関数は、その引数が小さいときには1次関数で近似でき、{}の中の値はmに依存しなくなる。その結果、
【0151】
【数28】

【0152】
となる。同様にして、
【0153】
【数29】

【0154】
従って、
【0155】
【数30】

【0156】
さらにこの合成処理器15の出力を、二乗処理器25で二乗する。これらの測定を多数回繰り返す。位相差θは、多数回測定の間に統計的にランダムに変化するので、統計的平均値は、
【0157】
【数31】

【0158】
であるので、
【0159】
【数32】

【0160】
となる。
【0161】
即ち、光増幅信号の減衰率を補正した式(24)で表した相互相関処理を行うことにより、メインローブの信号を減少させず、かつ、サイドローブの雑音を低減して、レイリー散乱信号を検出することが可能となる。
【0162】
[第7実施形態]
本実施形態では、第5実施形態と同じく、レイリー散乱を測定する光増幅器型コヒーレントOTDRに本発明を適用している。第5実施形態の説明の文章中で触れたように、第3実施形態で示した光変調パルスの相関処理方式の考え方は、本発明の第7実施形態にも有効である。本発明の第7実施形態である光符号変調パルスの相関処理方式の基本構成は、第5の実施形態の構成を示す図12と同じであるが、相関符号系列信号発生器13、相関処理器14及び合成処理器15の機能において、第5実施形態と異なる。
【0163】
相関符号系列信号発生器13は、順方向相補相関符号系列信号A1(t),B1(t)と、その符号要素を逆に並べた逆方向相補相関符号系列信号A2(t),B2(t)を発生させる。
【0164】
第6実施形態と同様に、相補相関符号系列信号A1(t),B1(t),A2(t),B2(t)によってプローブ光を符号変調する場合を考える。さらに、第5及び第6実施形態のときと同様に、光ファイバ1の一部区間において、符号変調されたプローブ光がレイリー散乱され、光レシーバ22によって受信され、ベースバンド信号に変換されたとする。また、そのベースバンド信号を、符号系列A1,B1,A2,B2に対応させて、RA1(t),RB1(t),RA2(t),RB2(t)で表すとする。
【0165】
光増幅器31と光ファイバ1を合わせたものを一つの光システムとみなすことにする。また、光ファイバを長さ方向に分割し、その分割した一つの区間からのレイリー散乱の測定を考える。また、符号1ビットのパルスの時間幅はτとし、前記分割したファイバの一つの区間の長さは、vτ/2以下であるとする。
【0166】
このときの増幅信号の電界強度に関する時間減衰率係数をγとすると、この光システムのステップ応答は、以下のように近似できる。
【0167】
OA(t)=exp(−γt)
またその逆の関数をgOA(t)=1/hOA(t)とする。
【0168】
本発明ではさらに、ブリルアン増幅信号の応答関数を補正し、補正した応答関数が時間tの1次関数F(t)=β(1−αt)となるようにする。そのために、
OA(t)=gOA(t)F(t)
とし、以下の式(27)で表すように、相関処理器14は、A1(t)GOA(t)とRA1(t)との相互相関ΨA1(n)と、A2(t)GOA(t)とRA2(t)との相互相関ΨA2(n)と、B1(t)GOA(t)とRB1(t)との相互相関ΨB1(n)と、B2(t)GOA(t)とRB2(t)との相互相関ΨB2(n)の計算処理を行う。そして合成処理器15はそれらの総合和Ψ(n)の計算処理を行う。
【0169】
【数33】

【0170】
ここで、A2i=A1L-i+1の関係を利用すると、
【0171】
【数34】

【0172】
ここで、θはレイリー散乱光とローカル光との位相差である。ここで、プローブ光をA1(t)、B1(t)、A2(t)、B2(t)で変調した時間では、レーザ2及びレイリー散乱光の周波数や位相はゆらがないものとする。
【0173】
本発明では、関数F(t)は1次関数としたため、上式右辺のFm+FL-(m+n)+1は、mに依存しない値になる。その結果、
【0174】
【数35】

【0175】
となる。同様にして、
【0176】
【数36】

【0177】
従って、
【0178】
【数37】

【0179】
さらにこの合成処理器15の出力を、二乗処理器25で二乗する。これらの測定を多数回繰り返す。位相差θは、多数回測定の間に統計的にランダムに変化する。よって統計的平均値は、
【0180】
【数38】

【0181】
であるので、
【0182】
【数39】

【0183】
となる。
【0184】
即ち、光増幅信号の減衰率を補正した式(27)で表した相互相関処理を行うことにより、メインローブの信号を減少させず、かつ、サイドローブの雑音を生じさせることなく、レイリー散乱信号を検出することが可能となる。
【0185】
[変形例2]
本変形例は、光増幅器型コヒーレントOTDRのプローブ光の符号変調として、位相シフト変調(PSK; Phase Shift Keying)ではなく、振幅シフト変調(ASK; Amplitude Shift Keying)を使用する場合である。
【0186】
これまで、第5実施形態、第6実施形態、第7実施形態では、光増幅器型コヒーレントOTDRにおいて、プローブ光の符号変調方式として符号の要素1,−1に対して光の信号の位相をそれぞれ0,πシフトさせる位相シフト変調(PSK)を使用した。しかしながら、本発明は、ASKを使用した光増幅器型コヒーレントOTDR及び直接検波OTDRにも適用可能である。
【0187】
まず、光増幅器型コヒーレントOTDRに本発明を適用する方法について説明する。具体的には、これまでの、第5実施形態、第6実施形態、第7実施形態において、符号の要素1,−1に対応して、プローブ光パルスのサブパルスの振幅(強度)をそれぞれ、1,0に比例して強度変調すれば良い。例として、A1={1,1,1,−1}、A1-={−1,−1,−1,1}の場合のポンプ光の波形を図13(a),(b)に示す。
【0188】
ASKのときの受信電気信号RA1(t),RA1-(t),RB1(t),RB1-(t),…に対して、その差信号ΔRA1(t)=RA1(t)−RA1-(t),ΔRB1(t)=RB1(t)−RB1-(t),…を定義するものとする。ASKを使用したときの差信号ΔRA1(t),ΔRB1(t),…は、PSKを使用した場合の半分の大きさになるが、PSKのときと同様に、振幅の大きさを除き、符号系列A1(t),B1(t),…と同じ波形が得られる。従って、上述の第5実施形態、第6実施形態、第7実施形態において、プローブ光のパルスをASK変調したときも、それぞれ、式(23)、式(24)、式(27)に従って、相互相関処理と信号の合成を行えば良い。但し、そのとき、式(23)、式(24)、式(27)における、RA1(t),RA2(t),RB1(t),RB2(t)は、それぞれ、ΔRA1(t)=RA1(t)−RA1-(t),ΔRB1(t)=RB1(t)−RB1-(t),ΔRA2(t)=RA2(t)−RA2-(t),ΔRB2(t)=RB2(t)−RB2-(t)に読み替えるものとする。
【0189】
[変形例3]
図14は本発明の光符号変調パルスの相関処理方式の変形例3、ここでは光増幅器型コヒーレントOTDRのプローブ光の符号変調としてASKを使用し、かつ、相関処理は受信した信号を二乗処理した後に行うようにした例を示すもので、図中、第5乃至第7実施形態及び変形例2と同一構成部分は同一符号をもって表す。即ち、1は光ファイバ、2はレーザ、3は光変調器、6,11,21はカップラ、13は相関符号系列信号発生器、14は相関処理器、15は合成処理器、22は光レシーバ、23はローカル発振器、24はミキサ、25は二乗処理器、26は加算平均処理器、31は光増幅器である。
【0190】
光レシーバ22からの出力はミキサ24によりベースバンド信号に変換され、そのベースバンド信号は二乗処理器25によって二乗される。二乗された信号は、相関処理器14により相互相関処理され、その後、合成処理器15により合成される。
【0191】
前記の変形例2では、光増幅器型コヒーレントOTDRにおいて、ミキサ24からの出力を相関処理し、その後、二乗処理していた。このような相関処理が可能な条件は、符号ビット間はもとより、複数の符号を使用する場合には各符号間の信号のコヒーレンスが保たれていることである。しかしながら、符号ビット間の時間間隔、あるいは、符号間の時間間隔が長い場合、信号のコヒーレンスは悪くなる。そのような場合は、ミキサ24からの出力を二乗処理した後に、相関処理を行う方法を使用する。このとき、信号の位相の情報は使用できないので、プローブ光の符号変調方式としてはASKを使用する。従って、符号変調されたプローブ光の波形は、変形例2と同じく、図13に示すようになる。
【0192】
本変形例における相互相関処理と信号の合成は、前記第5実施形態、第6実施形態、及び、第7実施形態に対応して、それぞれ、式(23)、式(24)、及び、式(27)に従って行えば良い。
【0193】
但し、本変形例では、光増幅器出力信号の減衰率を補正し、また、二乗した信号を相関処理するため、式(23)、式(24)、及び、式(27)における各変数を、次のように読み換えることが必要である(「→」は、「→」の左のものを「→」の右のものに読み替えることを意味する)。
【0194】
・Γ→2γ
(ここで、2γは、光増幅器出力信号のパワーの減衰率に対応する)
・gm=exp(Γmτ)→exp(2γmτ)
・RA1m,RA2m,RB1m,RB2mは、ミキサ出力信号ではなく、ミキサ出力信号を二乗した信号と読み替える。
【0195】
・上の読み換えをした上で、RA1m→ΔRA1m=RA1m−RA1-1m,RA2m→ΔRA2m=RA2m−RA2-1m,RB1m→ΔRB1m=RB1m−RB1-1m,RB2m→ΔRB2m=RB2m−RB2-1m
・Gm=gmF(t)=exp(Γmτ)F(t)→exp(2γmτ)F(t)
と読み替える。
【0196】
[変形例4]
本変形例は、光増幅器型BOTDRのプローブ光の符号変調として、ASKを使用し、かつ、相関処理は、受信した信号を二乗処理したあとに行う場合である。
【0197】
本変形例と前記変形例3との違いは、測定する信号が、光ファイバ1から散乱される信号が、レイリー散乱(前記変形例3)であるか、ブリルアン散乱(本変形例)であるかの違いである。従って、本変形例の光増幅器型BOTDRの基本構成は、前記変形例3の光増幅器型コヒーレントOTDRの構成を示した図14と基本的には変わらない。ローカル光と散乱光の周波数差が違うので、光レシーバ22の帯域特性や、ローカル発振器23の出力信号の周波数などが異なるだけである。よって、前記変形例3における、相互相関処理と信号の合成方法を、本変形例でもそのまま行えば良い。
【0198】
[変形例5]
図15は本発明の光符号変調パルスの相関処理方式の変形例5、ここでは光増幅器型直接検波方式OTDRに適用した例を示すもので、図中、第1実施形態乃至第3実施形態及び変形例1、並びに第5実施形態乃至第7実施形態及び変形例2と同一構成部分は同一符号をもって表す。即ち、1は光ファイバ、2はレーザ、3は光変調器、6はカップラ、7は光レシーバ、13は相関符号系列信号発生器、14は相関処理器、15は合成処理器、26は加算平均処理器、31は光増幅器である。なお、プローブ光の符号変調方式には、ASKを使用する。
【0199】
前記変形例3の光増幅器型コヒーレントOTDRと、本変形例の光増幅器型直接検波方式OTDRの違いは、光信号の検波方式のみである。
【0200】
実際、前記変形例3の構成を示す図14の、カップラ11,21、光レシーバ22、ローカル発振器23、ミキサ24、二乗処理器25のセットを、光レシーバ7に置き換えると、図15になる。従って、前記変形例3における、二乗処理器25の出力信号を、本変形例の光レシーバ7の出力信号と読み替えることにより、前記変形例3における、相互相関処理と信号の合成方法を、本変形例でもそのまま行えば良い。
【0201】
なお、図15においては、光変調手段として光変調器3を使用し、光を外部変調しているが、レーザ2が半導体レーザなどのときは、光変調手段として半導体レーザ駆動回路を用意し、直接変調しても良い。
【0202】
[変形例6]
図16は本発明の光符号変調パルスの相関処理方式の変形例6、ここでは光増幅器型ASK符号変調BOTDAに適用した例を示すもので、図中、第1実施形態乃至第3実施形態及び変形例1、並びに第5乃至第7実施形態及び変形例2と同一構成部分は同一符号をもって表す。即ち、1は光ファイバ、2はレーザ、3は光変調器、6,11はカップラ、7は光レシーバ、12は光周波数シフタ、13は相関符号系列信号発生器、14は相関処理器、15は合成処理器、31は光増幅器である。
【0203】
本変形例の構成は、図7の第1実施形態の場合と大きくは変わらない。違いは、光増幅器31を使用していること、及び、符号変調したポンプ光の構成にある。
【0204】
光増幅器31の使用により、その出力として得られるポンプ光の波形は図6に示すように指数関数状に歪んでいる。また、本変形例では、ポンプ光を、音波励起用パルスと測定用パルスを組み合わせて構成することはせず、符号変調した測定用パルスのみで構成する。またその符号変調方式は、PSKではなくASKである。
【0205】
即ち、本変形例において、相関符号系列信号発生器13の出力信号を、光変調器3に入力することにより、光変調器3の出力として、図13に示すような、ASK符号変調ポンプ光を得る。従って、本変形例における相互相関処理と信号の合成は、前記変形例1に対応して、それぞれ、式(7)、式(8)、及び、式(14)に従って行えば良い。
【0206】
但し、本変形例では、音波の減衰率ではなく、光増幅器出力信号の減衰率を補正するため、式(7)、式(8)、及び、式(14)における各変数を、
・Γ→2γ
(ここで、2γは、光増幅器出力信号のパワーの減衰率に対応する)
・gm=exp(Γmτ)→exp(2γmτ)
・Gm=gmF(t)=exp(Γmτ)F(t)→exp(2γmτ)F(t)
のように読み換えることが必要である。
【0207】
[変形例7]
本変形例は、光増幅器型PSK離散符号化BOTDAに本発明を適用した場合である。その構成は、前記変形例6と同じく、図16で表せる。また、本変形例の構成は、図7の第1実施形態の場合と大きくは変わらない。違いは、光増幅器31を使用していること、及びその使用により、ポンプ光の波形は指数関数状にひずんでいること、並びにポンプ光を符号変調する方式にある。
【0208】
本変形例では、符号の1ビットを割り当てた測定用パルスごとに音波励起用パルスを組み合わせて、符号変調したポンプ光を構成する(図17参照)。従って、符号ビットは時間間隔t3で離散的に配置される。このような符号変調方式では、音波の減衰が原因して、ブリルアン増幅信号の波形が指数関数的な減衰波形になることはない。ここでのブリルアン増幅信号の波形の歪みは、光増幅器にある。
【0209】
従って、これまでの本発明の変形例と同様に、波形歪みの発生の原因の違いと、ポンプ光を符号変調する方式の違いを考慮することにより、本変形例における相互相関処理と信号の合成は、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態に対応して、それぞれ、式(7)、式(8)、及び、式(14)に従って行えば良い。但し、そのとき、次の読み換えを行う。
【0210】
信号の歪みの原因は、音波の減衰ではなく、光増幅器31による増幅信号の減衰であるので、
・Γ→2γ
(ここで、2γは、光増幅器出力信号のパワーの減衰率に対応する)
・gm=exp(Γmτ)→exp(2γmτ)
・Gm=gmF(t)=exp(Γmτ)F(t)→exp(2γmτ)F(t)
の読み換えを行う。
【0211】
また、隣り合う符号要素間の時間距離は、τではなく、図17に示すように、t3であるので、相互相関処理を表す関数において、
・φ(nτ)=φ(n)→φ(nt3)=φ(n)
・Φ(nτ)=Φ(n)→Φ(nt3)=Φ(n) など
・Ψ(nτ)=Ψ(n)→Ψ(nt3)=Ψ(n) など
・ΔRA1(nτ)=ΔRA1n→ΔRA1(nt3)=ΔRA1n など
・h(nτ)=hn→h(nt3)=hn
・g(nτ)=gn→g(nt3)=gn
のように読み換える。
【0212】
[変形例8]
本変形例は、前記変形例7における符号変調方式を、離散的なPSKから、離散的なASKに変更したことにある。本変形例で使用するポンプ光の例を図18に示す。符号要素1,−1にASKの1,0値を割り当てている。
【0213】
PSKのときと同様に、ASKのときの受信電気信号の差信号ΔRA1(t)=RA1(t)−RA1-(t),ΔRB1(t)=RB1(t)−RB1-(t),…を定義するものとする。ASKを使用したときの差信号ΔRA1(t),ΔRB1(t),…は、PSKを使用した場合の半分の大きさになるが、PSKのときと同様に、振幅の大きさを除き、符号系列A1(t),B1(t),…と同じ波形が得られる。従って、前記変形例7と同じ相互相関処理と信号の合成を行えば良い。
【0214】
[変形例9]
本変形例は、光増幅器型ラマンOTDRに本発明を適用する。
【0215】
ラマン散乱光を測定する光増幅器型ラマンOTDRの構成は、前記変形例5のところで説明した、レイリー散乱光を測定する光増幅器型直接検波方式OTDRの構成(図15)とほぼ同じである。ラマンOTDRは、ラマン散乱光パワーの温度依存性を利用して、温度分布のセンシングが可能である。ラマンOTDRでは、レイリー散乱よりも微弱なラマン散乱を抽出して測定するために、光レシーバ7の直前に、レイリー散乱は遮断し、ラマン散乱を通過させる光フィルタ32を設置しているところだけが異なる。
【0216】
従って、本変形例では、前記変形例5のところで説明した、相互相関処理と信号の合成方法をそのまま行えば良い。
【符号の説明】
【0217】
1:光ファイバ
2,5:レーザ
3:光変調器
4:パルス信号発生器
6,11,21:カップラ
7,22:光レシーバ
12:光周波数シフタ
13:相関符号系列信号発生器
14:相関処理器
15:合成処理器
23:ローカル発振器
24:ミキサ
25:二乗処理器
26:加算平均処理器
31:光増幅器
32:光フィルタ
FE1,FE2:光ファイバの端面
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0218】
【非特許文献1】堀口常雄,室井良祐,岩坂彩子,若尾幸司,宮本雄貴,「位相シフトパルスを使用したBOTDA」,電子情報通信学会論文誌B,VOL.J.91-B,NO.2,pp.207-216,2008年2月
【非特許文献2】内山大輔,堀口常雄,安藤寛史,奥本陽子,加藤敦,佐々木崇,澤井優,「符号化PSP−BOTDAにおけるSN比改善率」,2010-01-21光ファイバ応用技術研究会,VOL.109,NO.377,pp.33-38,OFT2009-68,2010年1月
【非特許文献3】M. Nazarathy,S. A. Newton,R. P. Giffard,D. S. Moberly,F. Sischka,W. R. Trutna and S. Foster,"Real-Time Long Range Complementary Correlation Optical Time Domain Reflectometer",J. Lightwave Tech.,vol.7,no.1,pp. 24−38,1989

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時間tの関数として相関符号系列信号C(t)を発生する相関符号系列信号発生器と、
光を前記相関符号系列信号C(t)を含む信号で変調する光変調器と、
光の速度をvとし、前記相関符号系列信号C(t)の1ビットパルス(サブパルス)の時間幅をτとした場合に、長さがvτ/2とほぼ等しいかそれ以下である短い区間からのステップ応答関数がh(t)、前記h(t)の逆数の関数がg(t)=1/h(t)である光システムに、前記光変調手段で変調された光信号を入力したときに当該光システムから出力される光を受信して受信信号RC(t)を出力する光受信器と、
前記関数g(t)と前記相関符号系列信号C(t)を乗じた関数をC(t)g(t)とし、前記受信信号RC(t)またはRC(t)と加減算した信号と、前記関数C(t)g(t)との相関処理を行う相関処理器とを備えた
ことを特徴とする光符号変調パルスの相関処理方式。
【請求項2】
時間tの関数として相関符号系列信号C1(t)及びその符号要素を逆の順番に並べた逆方向相関符号系列信号C2(t)を発生する相関符号系列信号発生器と、
光を前記相関符号系列信号C1(t)を含む信号及び前記相関符号系列信号C2(t)を含む信号で変調する光変調器と、
光システムに前記光変調手段で変調された光信号を入力したときに当該光システムから出力される光を受信して受信信号RC1(t)及び受信信号RC2(t)を出力する光受信器と、
前記受信信号RC1(t)またはRC1(t)と加減算した信号と、前記相関符号系列信号C1(t)との相関処理、及び、前記受信信号RC2(t)またはRC2(t)と加減算した信号と、前記相関符号系列信号C2(t)との相関処理を行う相関処理器と、
前記相関処理器から出力される、前記相関符号系列信号C1(t)との相関処理結果と、前記相関符号系列信号C2(t)との相関処理結果を合成して出力する合成処理器とを備えた
ことを特徴とする光符号変調パルスの相関処理方式。
【請求項3】
時間tの関数として相関符号系列信号C1(t)及びその符号要素を逆の順番に並べた逆方向相関符号系列信号C2(t)を発生する相関符号系列信号発生器と、
光を前記相関符号系列信号C1(t)を含む信号及び前記相関符号系列信号C2(t)を含む信号で変調する光変調器と、
光の速度をvとし、前記相関符号系列信号C1(t)及び前記相関符号系列信号C2(t)の1ビットパルス(サブパルス)の時間幅をτとした場合に、長さがvτ/2とほぼ等しいかそれ以下である短い区間からのステップ応答関数がh(t)、時間tについての1次関数がF(t)=β(1−αt)、前記F(t)を前記h(t)で除した関数がG(t)=F(t)/h(t)である光システムに、前記光変調手段で変調された光信号を入力したときに当該光システムから出力される光を受信して受信信号RC1(t)及び受信信号RC2(t)を出力する光受信器と、
前記関数G(t)と前記相関符号系列信号C1(t)を乗じた関数をC1(t)G(t)とし、前記関数G(t)と前記相関符号系列信号C2(t)を乗じた関数をC2(t)G(t)とし、前記受信信号RC1(t) またはRC1(t)と加減算した信号と、前記関数C1(t)G(t)との相関処理、及び、前記受信信号RC2(t)またはRC2(t)と加減算した信号と、前記関数C2(t)G(t)との相関処理を行う相関処理器と、
前記相関処理器から出力される、前記関数C1(t)G(t)との相関処理結果と、前記関数C2(t)G(t)との相関処理結果を合成して出力する合成処理器とを備えた
ことを特徴とする光符号変調パルスの相関処理方式。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の光符号変調パルスの相関処理方式において、
相関符号は、相補相関符号またはBarker符号またはM系列符号のいずれかである
ことを特徴とする光符号変調パルスの相関処理方式。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2012−154678(P2012−154678A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−12003(P2011−12003)
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【出願人】(599016431)学校法人 芝浦工業大学 (109)
【Fターム(参考)】