説明

光触媒反応装置

【課題】端子と電極との接続を容易にし、さらには接続部の構造を小形化しつつも、端子間の絶縁距離を確保できる光触媒反応装置を提供する。
【解決手段】光触媒2と、電極3と対極4との間の放電により紫外線を発生させて光触媒2を励起する放電装置21とを備えたものにおいて、電極3や対極4と高電圧発生用電源1のリード端子41,42とを、弾性を有するリード板45で接続している。このようにすると、リード板45の弾性を利用して、ネジ止めなどを行なわずに電極3や対極4と高電圧発生用電源1のリード端子41,42との接続を確実に行なうことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極間の放電により発生した紫外線によって光触媒を励起させ、これにより有機物を分解する光触媒反応装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のいわゆる放電型光触媒反応装置は、放電装置を構成する一対の電極間に光触媒を挟んで構成され、この電極間の放電により発生した紫外線で光触媒を励起することで、空気中の臭いの元になっている有機物を分解するようにしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の電極は図23に示すように、板状の金属板101を格子状にして、開口部102の周辺にある桟103を細く形成することで、開口部102からの風を極力通しやすくした構造を有しており、電界が集中する放電の核となる部分が存在しない。そのため、電極の加工時における表面状態や、温度,湿度の影響を受けやすく、放電しにくい現象が発生する。
【0004】
このように、従来の構成では、紫外線を発生させる上で、コロナ放電を開始する電極間の印加電圧が温度や湿度の影響を受けやすく、この電圧が数KVのレベルで大きくばらつく。また、電極の加工時における表面状態のばらつき(例えば表面粗さやエッジの有無)によっても、コロナ放電を開始する電圧が大きく影響を受け、安定した放電が行なわれにくいという問題があった。
【0005】
また、光触媒の基材となる基体部材は、セラミック材によるハニカム構造体若しくは三次元骨格構造体により構成され、光触媒反応を利用している。しかし、ハニカム構造体の場合は、分解するべきガスが構造体の反応面と平行に通過するため、ガスが反応面に接触することなく通過してしまう問題があり、また三次元骨格構造体の場合は、反応面に対するガスの接触は良好であるものの、強度的に弱いという問題があった。しかも、いずれの構造体においても、製造行程に時間が掛かり、高価になるという問題も生じていた。
【0006】
さらに、光触媒反応装置の放電用の電極と高電圧発生用電源との接続は、電源から延びる端子付きのリード線を電極にねじ止めする構成を有していたが、ねじが介在するために電極とリード線との着脱が面倒であった。しかも電極には高電圧が印加される関係で、技術水準上異極間の絶縁距離をある程度(40mm以上)確保しなければならず、接続部の構造が大きくなる懸念を生じていた。
【0007】
本発明は上記問題点を解決して、端子と電極との接続を容易にし、さらには接続部の構造を小形化しつつも、端子間の絶縁距離を確保できる光触媒反応装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1の光触媒反応装置では、弾性部材の弾性を利用して、ネジ止めなどを行なわずに電極と端子との接続を確実に行なうことができる。よって、端子と電極との接続を容易にできる。
【0009】
本発明の請求項2の光触媒反応装置では、端子間にリブを設けた分、電極に印加される高電圧に対する絶縁距離が増加する。よって、端子間をさほど離す必要がなく、接続部の構造を小形化しつつも、端子間の絶縁距離を確保することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1の光触媒反応装置によれば、端子と電極との接続を容易にできる。
【0011】
本発明の請求項2の光触媒反応装置によれば、接続部の構造を小形化しつつも、端子間の絶縁距離を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面に基づき、本発明における好ましい放電型光触媒反応装置の各実施例を説明する。
【0013】
図1〜図3は本発明の第1実施例を示し、装置の概略構成を図1に基づき説明すると、1は数KV〜数十KVの高電圧を発生する高電圧発生用電源、2,2は一対の光触媒で、光触媒2,2の間にプラス側の電極3を配置すると共に、この電極3とにより各光触媒2,2を挟むようにしてマイナス側の電極である別の対極4,4を配置している。また、高電圧発生用電源1のプラス側リード端子5は電極3に接続されると共に、高電圧発生用電源1のマイナス側リード端子6は各対極4,4に接続され、前記高電圧発生用電源1からの高電圧が電極3と対極4,4との間に印加される。そして、電極3および対極4,4と、高電圧発生用電源1とにより、電極3と対極4との間の放電により紫外線を発生させて光触媒2を励起させる放電装置21が構成される。
【0014】
電極3の詳細を示す図2および図3において、電極3は枠状に形成された外周部7の内部に、縦横複数の桟8を形成した格子板状をなし、風が通過する外周部7内の開口部9の面積を広くするために、桟8は可及的に幅狭な細い形状となっている。そして、特に本実施例における電極3は、外周部7と桟8の両側部より多数の細かな突起10を有している。各突起10は、その先端に行くほど板厚が薄くかつ幅狭に形成され、先端部は電界を集中しやすくするため極めて先鋭になっている。また、突起10は外周部7や桟8の両側から左右(幅方向)一対に延びて形成されるが、左右どちらの突起10にも放電できるように、一方の突起10には電極3の上面から先端部に向けて切込まれたエッジ11が形成され、また他方の突起10には電極3の下面から先端部に向けて切込まれたエッジ12が形成されている。
【0015】
なお本実施例の電極3は、開口部9が四角形状になる格子状に形成されているが、開口部9が六角形状になるハニカム状も、外周部7や桟8の肉厚を極力薄くすることができ、風の通りがよくなって好ましい。その他、開口部9を例えば丸形状にするなど、いずれも金属エッチングによる製造方法で、突起10付きの電極3を簡単に任意の形状に形成できる。
【0016】
次に、上記構成についてその作用を説明すると、高電圧発生用電源1から数KV〜数十KVの高電圧パルスを電極3と対極4,4との間に印加すると、電極3や対極4,4、および光触媒2を通過して流れる空気の絶縁が部分的に破れ、光触媒2の両面にある電極3と対極4との間でコロナ放電が起きる。コロナ放電が起きると、紫外線とオゾンが発生し、その紫外線によって光触媒2が励起され、空気中の臭いの元となっている有機物が分解される。また、同時に発生するオゾンの酸化作用によっても空気中の有機物が分解され、光触媒2の反応と共に脱臭効果を高めることができる。
【0017】
本実施例では、電極3の外周部7や格子状をなす桟8に多数の細かな突起10が形成されているため、電極3と対極4,4との間に高電圧を印加すると、この突起10に自ずと電界が集中し、コロナ放電が起き易くなる。また、そのときの電界は特に突起10の板厚の薄い先端部に集中し、この部分で常にコロナ放電が行なわれるようになるため、従来のものよりも、より安定した放電で紫外線を発生させることが可能になる。したがって、本実施例における電極3の形状では、コロナ放電の開始電圧のバラツキ幅が数百V程度に安定する。
【0018】
以上のように、本実施例における光触媒反応装置は、光触媒2と、いずれも電極を構成する電極3と対極4との間の放電により紫外線を発生させて、光触媒2を励起する放電装置21とを備えたものにおいて、電極3に細かな突起10を有している。
【0019】
このようにすると、電極3は細かな突起10を有しているため、電極3に高電圧を印加すると突起10に電界が集中して、放電しやすくなる。したがって、電極3の状態や、温度および湿度に左右されることなく、安定した放電で紫外線を発生させることができる。
【0020】
また、本実施例における電極3は金属部材すなわち格子形状の金属板からなり、この金属板に形成した突起10は先端に行くほど板厚が薄く、すなわち先方で小さくなる形状となっている。このようにすると、電極3は特に形状が小さく板厚の薄い突起10の先端側で常に放電が行なわれるようになるため、より安定した放電で紫外線を発生させることができる。
【0021】
次に、本発明の第2実施例を図4〜図9に基づき説明する。なお、上記第1実施例と同一部分には同一符号を付し、その共通する箇所の説明は重複するため省略する。
【0022】
先ず、要部の外観構成を図4〜図6に基づき説明すると、ここでの光触媒反応装置は、前記高電圧発生用電源1と共に放電装置21を構成するプラス側の電極3とマイナス側の電極である対極4に対向して、一対の格子状をなすクッション15,15が設けられると共に、このクッション15,15の間に光触媒2A,2Bが積層配置される。そして、組立てに際しては、図5に示すように、脱臭すべき空気を通す経路16に、これらの光触媒2A,2B、電極3、対極4、およびクッション15,15を積層配置し、この積層した組立体を上下一対の枠状をなすケース17,18間に収容保持するように構成している。
【0023】
特に本実施例では、図7〜図9にも示すように、同じ格子状ではあるが形状が異なる2種類の光触媒2A,2Bを用いた点が着目される。これらの光触媒2A,2Bは、表面にシボ模様を施した格子状のポリフェニレンサルファイド(以下、PPSという)成形材を基材である基体部材22とし、この基体部材22の表面に光触媒反応を起こす酸化チタン(図示せず)をコーティングして構成される。そして、一方の光触媒2Aにおける桟25Aの中心にある開口部に、他方の光触媒2Bにおける桟25Bの中心が位置するように、複数の光触媒2A,2Bを積層することによって、光触媒2A,2Bを通過する経路16中のガスの接触面積を、従来の三次元骨格構造体と同等に増加させている。なお、本実施例では、光触媒2A,2Bのガス接触部となる桟25A,25Bの断面形状をいずれも丸形にしているが、丸形状以外の例えば楕円形状や多角形状でもよく、基体部材22として種々の形状を考慮してよい。
【0024】
本実施例においても、電極3と対極4との間に高電圧パルスを印加すると、経路16を通過して流れる空気の絶縁が部分的に破れ、電極3と対極4との間でコロナ放電が起きる。コロナ放電が起きると、紫外線とオゾンが発生し、その紫外線によって光触媒2A,2Bが励起され、空気中の臭いの元となっている有機物が分解される。また、同時に発生するオゾンの酸化作用によっても空気中の有機物が分解され、光触媒2A,2Bの反応と共に脱臭効果を高めることができる。
【0025】
特に本実施例では、光触媒2A,2Bの基材として、PPS成形材からなる基体部材22を用いている。PPSは従来のセラミック材に比べて、強度のみならず耐熱性、耐アーク性、高圧での絶縁性能に優れ、しかも細かい成形が可能で製造性にも優れる。電極3と対極4との間は本来コロナ放電が生じるが、アークが発生することもあり、その場合に耐アーク性に優れたPPSは火花が発生しても安全である。また従来のセラミックはいわゆる焼成体で、細かな組立や成形ができなかったが、PPSであればこうした製造上の不都合な点を解消できる。
【0026】
本実施例では格子状の光触媒2A,2Bを複数個積層して、ガスの接触面積を三次元骨格構造体と同等に増加させているので、強度や製造性が向上しているにも拘らず、脱臭効果を含めた光触媒反応をより高めることができる。また、光触媒2A,2Bの表面にシボ模様を形成することでも、ガスとの接触が促進され、脱臭効果を含めた光触媒反応をさらに高めることができる。
【0027】
以上のように本実施例では、光触媒2A,2Bと、電極3および対極4間の放電により紫外線を発生させて光触媒2A,2Bを励起する放電装置21とを備えたものにおいて、光触媒2A,2Bの基材である基体部材22を熱可塑性の結晶性成形部材であるPPS成形部材により構成している。
【0028】
この場合、光触媒2A,2Bの基体部材22であるPPSは強度性に優れており、しかも流動性がよく寸法安定性にも優れていて精密成形に適しているので、従来のものよりも製造行程が簡略化され低価格を実現でき、しかも十分な強度を得ることができる。
【0029】
また本実施例では、光触媒2A,2Bを複数個積層しているので、この光触媒2A,2Bを複数個積層した分だけ、ガスの接触面積が増加し、光触媒反応を効果的に促進させることが可能になる。
【0030】
また本実施例では、基体部材22の表面に模様すなわちシボ模様を形成することで、ガスとの接触を促進させ、ここでも光触媒反応を効果的に促進させることが可能になる。
【0031】
次に、本発明の第3実施例を図10〜図16に基づき説明する。なお、上記第1実施例や第2実施例と同一部分には同一符号を付し、その共通する箇所の説明は重複するため省略する。
【0032】
装置の外観を示す図10および図11において、17,18は第2実施例にも示した装置外郭を形成するケースで、また31はケース17,18の外部に引き出されたリード線であり、これは高圧発生用電源1をAC100Vの商用電源に接続するためのものである。ケース17,18の前方には空気の流れる経路16を形成するための開口部26が設けられている。
【0033】
次に、ケース17,18の内部構造を図12〜図16に基づき説明すると、高圧発生用電源1には、高電圧パルスを供給するための一対の端子、すなわちいずれもピン状のプラスリード端子41とマイナスリード端子42が突出して設けられている。また、これらのリード端子41,42に対向して、プラス側の電極3およびマイナス側の電極である対極4の各基端には、それぞれ舌片43,44が延設されている。そして、プラスリード端子41と電極3の舌片43との間と、マイナスリード端子42と対極4の舌片44との間を、弾性を有する弾性部材としてのリード板45でそれぞれ接続している。ここでのリード板45はS字状のバネ用りん青銅板を利用しているが、別な導電部材であるバネ用ステンレスなどでもよく、またその形状もS字状以外の例えばU字状であってもよい。
【0034】
高圧発生用電源1の外郭をなす樹脂製のケース本体47には、いずれもプラスリード端子41とマイナスリード端子42との間の絶縁距離を確保するためのリブ48,49が一体形成されている。すなわち、プラスリード端子41とマイナスリード端子42の周囲には円筒状のリブ47が設けられると共に、プラスリード端子41とマイナスリード端子42との間にも、別な複数個(実施例では3本)の壁状のリブ48が設けられる。
【0035】
上記構成において、組立てに際しては、先ず有底状のケース18に、マイナス側の電極である対極4,クッション15,光触媒2,クッション15を順に載せて組み込んだ後、対極4の舌片44に一方のリード板45を載せると共に、電極3の舌片43に対応するケース18の底面上に他方のリード板45を載せる。そして、クッション15の上部に電極3を載せ、ケース18の上面開口部をケース17で塞いで、高電圧発生用電源1を除く組立品を完成させる。次いで、組み立てたケース17,18の基端側にある開口部に、リード端子41,42を設けた側から高電圧発生用電源1を挿入すると、対極4の舌片44が下面に当接するリード板45の上面に、マイナスリード端子42がリード板45の弾性に押されながら当接すると共に、別のリード板45の上面と電極3の舌片43との間に、このリード板45の弾性に押されながらプラスリード端子41が差し込まれる。こうして、プラスリード端子41と電極3、およびマイナスリード端子42と対極4は、高電圧発生用電源1を一方から押し込むだけで、いずれもリード板45の弾性を利用して簡単且つ確実に接続される。
【0036】
そして本実施例においても、電極3と対極4との間に高電圧パルスを印加すると、経路16を通過して流れる空気の絶縁が部分的に破れ、電極3と対極4との間でコロナ放電が起きる。コロナ放電が起きると、紫外線とオゾンが発生し、その紫外線によって光触媒2が励起され、空気中の臭いの元となっている有機物が分解される。また、同時に発生するオゾンの酸化作用によっても空気中の有機物が分解され、光触媒2の反応と共に脱臭効果を高めることができる。
【0037】
以上のように本実施例では、光触媒2と、電極3と対極4との間の放電により紫外線を発生させて光触媒2を励起する放電装置21とを備えたものにおいて、電極3や対極4と高電圧発生用電源1のリード端子41,42とを、弾性を有するリード板45で接続している。
【0038】
このようにすると、リード板45の弾性を利用して、ネジ止めなどを行なわずに電極3や対極4と高電圧発生用電源1のリード端子41,42との接続を確実に行なうことができる。よって、高圧発生用電源1のリード端子41,42と電極3や対極4との接続を容易にできる。
【0039】
また本実施例では、一対のリード端子41,42間に複数個のリブ48を設けている。リード端子41,42間に複数個のリブ48を設けた分、電極3や対極4に印加される高電圧に対する絶縁距離が増加する。よって、リード端子41,42間をさほど離す必要がなく、接続部の構造を小形化しつつも、リード端子41,42間の絶縁距離を確保することができる。
【0040】
次に、本発明の第4実施例を図17〜図22に基づき説明する。なお、上記第1実施例と同一部分には同一符号を付し、その共通する箇所の説明は重複するため省略する。
【0041】
図17は、光触媒反応装置を組み込んだ分煙機としての脱臭装置本体の構造を概略的に示している。同図において、51は脱臭装置の外郭をなす本体ケースで、この本体ケース51には、光触媒脱臭ユニット52と、光触媒脱臭ユニット52に高電圧を印加する光触媒脱臭ユニット用高圧電源53と、高圧集塵ユニット54と、高圧集塵ユニット54に高電圧を印加する高圧集塵ユニット用高圧電源55と、プレフィルター56と、送風装置であるシロッコファン57が収納される。そして、シロッコファン57を運転させると、本体ケース51の上部にある吸気口58から煙草の煙を含んだ空気が本体ケース51内に取り入れられ、プレフィルター56,高圧集塵ユニット54,光触媒脱臭ユニット52,シロッコファン57を順に通過する。この過程で、プレフィルター56では吸気した空気中に含まれる大きな塵埃などが除去される。また、高圧集塵ユニット54では煙草の煙の微粒子や細かい塵埃などが除去される。さらに、光触媒脱臭ユニット52では臭い成分が光触媒反応により分解され除去される。以上の経路を通過して、きれいになった空気が、本体ケース51の下側部にある排気口59から外部に排気される。
【0042】
図18〜図20は、前記光触媒脱臭ユニット52を構成する光触媒モジュール単体の構成を示したものである。ここでの光触媒モジュール61は、いずれもABSなどの合成樹脂からなるモジュールケース62,63の内部に、光触媒2,2と、この光触媒2,2の間にある電極3と、光触媒2,2の外側に対向配置される対極4,4と、シリコーンゴムからなるスペーサ64,65が組み込まれている。また、外部との電気的な接続を行うために、モジュールケース62,63の一側には、電極3の端子部に接続するターミナル66と、押え板67が各々取り付けられていると共に、モジュールケース62,63の他側には、対極4,4の端子部に接続するターミナル69と、押え板70と、アース金具71が各々取り付けられている。特にプラス側のターミナル66は、光触媒モジュール61を複数個並べて使用する際に電気的に接続できるように、実際は一つの連続した形状を有しており、光触媒モジュール61を後述するフレーム72(図21参照)に組込む時に取り付けられる。なお、電極3はプラス極、対極4はマイナス極となる。
【0043】
図21は一乃至複数の光触媒モジュール61をフレーム72に取り付けた光触媒脱臭ユニット52の断面図である。同図において、光触媒モジュール61は枠状をなすフレーム72の上方より取り付けられる。このとき、電極3の端子部側に例えばABS樹脂などの絶縁板73を介在して、各光触媒モジュール61が取り付けられる。この絶縁板73は、電極3とステンレス鋼板からなるフレーム72との絶縁距離を確保するためのものである。また、対極4の端子部に取り付けられたアース金具71によって、対極4とフレーム72は電気的に接続される。すなわち、対極4がフレーム72にアースされる。
【0044】
その他、フレーム72には、ABS樹脂からなるオゾン触媒ケース75に収容されたオゾン分解触媒76が取り付けられる。なお、77はオゾン触媒ケース75とオゾン分解触媒76との間に介在するスポンジテープである。
【0045】
次に上記構成についてその作用を説明すると、シロッコファン57が回転する動作時において、吸気口58から吸い込まれた例えば煙草の煙を含む汚れた空気は、プレフィルター56を通過する際に大きな塵埃が取り除かれる。続く高圧集塵ユニット54には、高圧集塵ユニット用高圧電源55から4〜5KVの高電圧が印加されており、煙草の煙などの細かい粒子や塵埃などがここで取り除かれる。
【0046】
次の光触媒脱臭ユニット52には、塵埃を除去した空気(臭い成分は含む)が上方から下方に流れる。このとき空気は、対極4,光触媒2,電極3,光触媒2,対極4,オゾン分解触媒76の順に通過する。電極3と対極4,4との間には、高電圧発生用電源である光触媒ユニット用高圧電源53から高電圧パルスが印加される。この高電圧パルスは6〜10KV、パルス周期は50〜1000Hzの直流電圧である。電極3と対極4,4との間に高電圧パルスを印加すると、空気の絶縁が部分的に破れ、光触媒2の両面にある電極3と対極4との間でコロナ放電が起きる。コロナ放電が起きると、紫外線とオゾンが発生し、その紫外線によって光触媒2が励起され、空気中の臭いの元となっている有機物が分解される。また、同時に発生するオゾンの酸化作用によっても空気中の有機物が分解され、光触媒2の反応と共に脱臭効果が高まる。光触媒2の下流にあるオゾン分解触媒76は、光触媒脱臭ユニット52で発生したオゾンを人体に無害な濃度にまで引き下げる。
【0047】
次に、光触媒2の保持方法について説明する。光触媒2は例えばスポンジ上のセラミックに二酸化チタンを担持して製造され、この光触媒2と対極4との間にスペーサ65が設けられる。スペーサ65は、光触媒2と対極4とを直接接しないようにするためのものである。その理由は、光触媒2と対極4が直接接すると、接している部分で放電が起こりやすくなって、部分的な放電や火花放電が発生するからである。一方、別のスペーサ64は中空のシリコーンゴム部材からなり、その弾性を利用して光触媒2を弾性的に保持すると共に、光触媒2を収容した時の厚さ寸法のバラツキを吸収する。
【0048】
図22は、フレーム72に3個の光触媒モジュール61を取り付けている。つまり、一つの光触媒脱臭ユニット52として、オゾン分解触媒76を含む3個の光触媒モジュール61が組込まれ、光触媒モジュール61を単体で使用した場合や、2個の光触媒モジュール61をフレーム72に組込んだ場合よりも、脱臭能力を向上させることができる。このように、脱臭装置本体の大きさや、要求される脱臭能力により、光触媒モジュール61の数を増減させることで、その製品に適合した最適なモジュール構成とすることができる。
【0049】
上述のように、フレーム72にオゾン分解触媒76を含む光触媒モジュール61を組込むことで、脱臭ユニットとしての一つの光触媒脱臭ユニット52が構成されるが、本実施例における脱臭ユニットは、光触媒反応とオゾンの発生により臭い成分を分解して脱臭するため、従来の活性炭のように吸着した臭い成分が蓄積されて脱臭能力が次第に低下することもなく、長期間に渡り高い脱臭能力を維持できる。
【0050】
また、本実施例の光触媒脱臭ユニット52は、ターミナル66が各光触媒モジュール61の電極3に接続され、また対極4,4は別のターミナル69とアース金具71を介して、フレーム72に電気的に接続され、分煙機の収納部である本体ケース51内に光触媒脱臭ユニット52を収納すると、本体ケース51の電極バネ(図示せず)とターミナル66が電気的に接続されると共に、フレーム72は本体ケース51に設けた金属性の光触媒脱臭ユニット受け部(図示せず)に接触し、アースされる構造となっている。このように、光触媒脱臭ユニット52は分煙機の本体ケース51に着脱可能に設けられるため、長期間の使用により光触媒脱臭ユニット52が汚れた場合でも、分煙機の本体ケース51から光触媒脱臭ユニット52を取り外して簡単に清掃することができる。また清掃後も、本体ケース51に光触媒脱臭ユニット52を装着するだけで、電気的な接続も同時に完了し、すぐに運転を開始できるので、装置の取扱いが容易になる。
【0051】
本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲において種々の変形実施が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の第1実施例を示す光触媒反応装置の全体概略構成図である。
【図2】同上電極の一部拡大平面図である。
【図3】同上図2のA−A線断面図である。
【図4】本発明の第2実施例を示す要部の配置を表わした外観斜視図である。
【図5】同上組立完了時における装置の外観斜視図である。
【図6】同上組立完了時における装置の断面図である。
【図7】同上光触媒を積層した状態の平面図である。
【図8】同上一方の光触媒の平面図である。
【図9】同上他方の光触媒の平面図である。
【図10】本発明の第3実施例を示す装置全体の外観を表わした平面図である。
【図11】同上装置全体の外観を表わした側面図である。
【図12】同上一方のカバーを外した状態の平面図である。
【図13】同上装置の断面図である。
【図14】同上装置の分解斜視図である。
【図15】同上マイナスリード端子とその周辺の構成を示す要部の側面図である。
【図16】同上プラスリード端子とその周辺の構成を示す要部の側面図である。
【図17】本発明の第4実施例を示す光触媒反応装置を組み込んだ脱臭装置本体の概略構成図である。
【図18】同上光触媒モジュール単体の平面図である。
【図19】同上光触媒モジュール単体の断面図である。
【図20】同上光触媒モジュール単体の断面図である。
【図21】同上光触媒モジュールをフレームに取り付けた状態の断面図である。
【図22】同上3個の光触媒モジュールをフレームに取り付けた状態の平面図である。
【図23】従来例を示す電極の平面図である。
【符号の説明】
【0053】
2,2A,2B 光触媒
3 電極
4 対極(電極)
41,42 リード端子(端子)
45 リード板(弾性部材)
48 リブ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光触媒と、電極間の放電による光触媒反応装置において、前記電極と電源の端子とを、弾性を有する弾性部材で接続したことを特徴とする光触媒反応装置。
【請求項2】
前記端子間にリブを設けたことを特徴とする請求項1記載の光触媒反応装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2007−196000(P2007−196000A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−65718(P2007−65718)
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【分割の表示】特願2002−86832(P2002−86832)の分割
【原出願日】平成14年3月26日(2002.3.26)
【出願人】(390010168)東芝ホームテクノ株式会社 (292)
【Fターム(参考)】