説明

光記録型表示媒体および記録装置

【課題】光書き込み型の記録システムにおいて、書き込みに用いられる記録光が拡散することによる画像の滲みを低減する技術を提供する。
【解決手段】選択透過層240にはフォトクロミック化合物が分散されている。フォトクロミック化合物は、照射光量が少ないときには、透過率はほとんど変化せず、照射光量が多くなると急激に変化し、光の照射量に対して非線形的に透過率が高まる性質を有している。一方、記録装置10から照射される記録光は、選択透過層240に到達するまでに、複数の層を透過するため光束が拡散する。選択透過層240は、面22b側から照射される記録光のうち、中心部の強い光の透過率が高く、周辺部の弱い光の透過率が低いので、記録光の出射時のスポット径内の強度プロファイルが入射時のスポット径内の強度プロファイルよりも周辺部の光量低下が大きくなり、光アドレス層上の低抵抗化したスポット径が小さくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光記録型表示媒体および記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子ペーパーなどの表示媒体には、例えば、特許文献1に開示されているように、照射された記録光に応じた画像を記録し、記録された画像を表示する光記録型の表示媒体がある。光記録型の表示媒体には、発色の異なる複数の表示層を積層させることによりカラー画像を表示させることができるものがある。このような表示媒体の制御に閾値シフト法を採用することにより、その構造を簡略化することができる(特許文献2および特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−298818号公報
【特許文献2】特開平10−177191号公報
【特許文献3】特開2000−111942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、光記録型表示媒体において、書き込みに用いられる記録光が拡散することによる画像の滲みを低減させる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る光記録型表示媒体は、印加される電圧に応じて表示が変化する表示層と、前記表示層に対向して設けられ、照射される光に応じて前記表示層に印加される電圧を変化させる感光層と、前記感光層に対して照射される光が当該感光層に到達するまでの光路に設けられ、照射される前記光の強度が高いほど当該光の透過率が高い選択透過層とを具備することを特徴とする。
【0006】
請求項2に係る光記録型表示媒体は、請求項1に記載の態様において、前記選択透過層は、多光子吸収性を示す化合物を含むことを特徴とする。
【0007】
請求項3に係る光記録型表示媒体は、請求項1に記載の態様において、前記選択透過層は、フォトクロミック化合物を含むことを特徴とする。
【0008】
請求項4に係る光記録型表示媒体は、請求項1に記載の態様において、前記選択透過層は、ジアリールエテン、スピロピラン、スピロオキサジンのいずれかを含むことを特徴とする。
【0009】
請求項5に係る光記録型表示媒体は、請求項1に記載の態様において、前記選択透過層は、照射される前記光の強度が高いほど当該光の透過率が高い化合物と、当該化合物に双極場を与えて発色させる媒体とを含むことを特徴とする。
【0010】
請求項6に係る記録装置は、請求項1から請求項5のいずれかに記載の光記録型表示媒体に対し、光を照射する照射手段と、前記光記録型表示媒体に対し、電圧を印加する電圧印加手段と、入力された画像データに応じて前記照射手段および前記電圧印加手段を制御する制御手段と、前記光記録型表示媒体の前記選択透過層を発色させる発色手段とを具備することを特徴とする。
【0011】
請求項7に係る記録装置は、請求項6に記載の態様において、前記発色手段は、前記光とは異なる波長の電磁波を当該選択透過層へ照射して、当該選択透過層を発色させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る光記録型表示媒体によれば、選択透過層を用いない場合に比して、書き込みに用いられる記録光が拡散することによる画像の滲みを低減させることができる。
請求項2に係る光記録型表示媒体によれば、多光子吸収性を示す化合物を含まない場合に比して、書き込みに用いられる記録光が拡散することによる画像の滲みを低減させることができる。
請求項3に係る光記録型表示媒体によれば、フォトクロミック化合物を含まない場合に比して、書き込みに用いられる記録光が拡散することによる画像の滲みを低減させることができる。
請求項4に係る光記録型表示媒体によれば、ジアリールエテン、スピロピラン、スピロオキサジンのいずれをも含まない場合に比して、書き込みに用いられる記録光が拡散することによる画像の滲みを低減させることができる。
請求項5に係る光記録型表示媒体によれば、この構成を用いない場合に比して、弱い記録光の透過率を減少させ、書き込みに用いられる記録光が拡散することによる画像の滲みを低減させることができる。
請求項6に係る記録装置によれば、書き込みに用いられる記録光が拡散することによる画像の滲みを低減させることができる。
請求項7に係る記録装置によれば、この構成を用いない場合に比して、弱い記録光の透過率を減少させ、書き込みに用いられる記録光が拡散することによる画像の滲みを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1a】実施形態に係る記録システムの構成を示す図である。
【図1b】実施形態に係る記録システムの構成を示す図である。
【図2】記録装置の構成を示す図である。
【図3】電子ペーパーを上面から見た外観図である。
【図4】電子ペーパーの断面に沿った切断面の断面構造を示す図である。
【図5】カラー表示の原理を説明する図である。
【図6】表示体に印加される信号を例示する図である。
【図7】記録光のスポット径を小さくする選択透過層の機能を説明するための図である。
【図8】ジアリールエテン誘導体の照射光量と透過率の関係を示す図である。
【図9】記録装置による電子ペーパーの表示の書き替えを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
1.構成
図1aおよび図1bは、本発明の一実施形態に係る記録システムの構成を示す図である。この記録システムは、記録装置10および電子ペーパー20を有する。電子ペーパー20は、記録装置10に着脱可能である。図1aは記録装置10から電子ペーパー20を外した状態を、図1bは記録装置10に電子ペーパー20を装着した状態を示している。電子ペーパー20は、光書き込み型の表示媒体である。「光書き込み型」の表示媒体とは、表示媒体に表示される情報の書き替えの際に光照射が用いられる表示媒体をいう。記録装置10は、電子ペーパー20に画像の記録(書き込み)、および記録された画像の消去(初期化)を行う装置である。
【0015】
1−1.電子ペーパー20
図3は、電子ペーパー20を上面から見た外観図である。フレーム21は、電子ペーパー20の各構成を保持する。フレーム21は、機械的な剛性と、電気的な絶縁性と、光学的な遮光性を有する樹脂で作られている。表示体22は、画像の表示を行う構造体である。表示体22は、記憶性液晶であるコレステリック液晶を有している。コレステリック液晶は双安定の物質であり、電圧等によりエネルギーが与えられていない状態でも光の反射率が異なる2つの配向状態のいずれかを維持する。コレステリック液晶分子の安定な配向には、プレーナ配向とフォーカルコニック配向とがある。プレーナ配向において、コレステリック液晶分子は、特定の波長帯の光を反射(ブラッグ反射)する。フォーカルコニック配向において、コレステリック液晶分子は、光を透過する。表示体22は、配向状態に応じた反射率の違いを利用して表示を行うものである。
【0016】
図4は、電子ペーパー20の断面、特に図3のIII−III線に沿った切断面の断面構造を示す図である。面22aは、表示体22の上面すなわち表面(第1の面)である。利用者は、面22aから画像を見る。面22bは、表示体22の下面すなわち裏面(第2の面)である。記録装置10は、面22b側から画像の消去や書き込みを行う。
【0017】
保護層210および275は、表示体22の表面を保護する層である。この例において、保護層210および275は、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂で作られている。
【0018】
液晶層230と、液晶層260と、液晶層265は、それぞれ異なる特定の波長帯の光を反射する液晶分子を含む層である。この例で、液晶層230、液晶層260、および液晶層265は、それぞれ、赤、緑、青の光を反射する。液晶層230、液晶層260、および液晶層265においては、コレステリック液晶が用いられている。具体的には、これらの層において、バインダー樹脂中にマイクロカプセル状のコレステリック液晶表示素子が分散されている。光の反射率は、コレステリック液晶分子の配向状態に応じて変化する。コレステリック液晶分子の配向状態は、印加される電圧に応じて変化する。すなわち、液晶層230と、液晶層260と、液晶層265は、印加される電圧に応じて表示が変化する表示層の一例である。
【0019】
図5は、図4に示した電子ペーパー20のカラー表示の原理を説明する図である。図5において、縦軸は正規化された反射率を、横軸は液晶層に印加される電圧(駆動電圧)を示す。図5(a)に駆動電圧と反射率との関係で示すように、互いに界面が接する液晶層260,液晶層265のコレステリック液晶の相変化しきい値電圧を、それぞれ互いに異なる電圧Vg1,Vb1およびVg2,Vb2とする。図5(a)の例は、Vg1<Vb1およびVg2<Vb2とした場合である。
【0020】
液晶層230のコレステリック液晶の相変化しきい値電圧は、図5(b)に駆動電圧と反射率との関係で示すように、上記のしきい値電圧Vg1,Vb1およびVg2,Vb2とは別に、それぞれある電圧Vr1およびVr2とする。ただし、図5(b)の例は、Vg1>Vr1およびVg2>Vr2とした場合である。
【0021】
後述する制御部110は、透明電極270と透明電極245との間、および透明電極235と透明電極215との間に、それぞれ駆動信号を印加する。例えば、透明電極235と透明電極215との間に、液晶層230にかかる電圧がVc→Vb→0Vの順で変化するように駆動信号を印加し、透明電極270と透明電極245との間に、液晶層260および液晶層265にかかる電圧がVh→Vf→0Vの順で変化するように駆動信号を印加するときには、液晶層230,260,265がすべて透過状態となって、液晶層230,260,265を透過した光が光吸収層220、250で吸収され、黒色が表示される。
【0022】
透明電極235と透明電極215との間に、液晶層230にかかる電圧がVc→Va→0Vの順で変化するように駆動信号を印加し、透明電極270と透明電極245との間に、液晶層260および液晶層265にかかる電圧がVh→Vd→0Vの順で変化するように駆動信号を印加するときには、液晶層230,260,265がすべて選択反射状態となって、白色が表示される。
【0023】
また、透明電極235と透明電極215との間に、液晶層230にかかる電圧がVc→Vb→0Vの順で変化するように駆動信号を印加し、透明電極270と透明電極245との間に、液晶層260および液晶層265にかかる電圧がVh→Vg→0Vの順で変化するように駆動信号を印加するときには、液晶層260のみが選択反射状態となって、緑が表示される。
【0024】
透明電極235と透明電極215との間に、液晶層230にかかる電圧がVc→Vb→0Vの順で変化するように駆動信号を印加し、透明電極270と透明電極245との間に、液晶層260および液晶層265にかかる電圧がVh→Ve→0Vの順で変化するように駆動信号を印加するときには、液晶層265のみが選択反射状態となって、青が表示される。
【0025】
透明電極235と透明電極215との間に、液晶層230にかかる電圧がVc→Va→0Vの順で変化するように駆動信号を印加し、透明電極270と透明電極245との間に、液晶層260および液晶層265にかかる電圧がVh→Vf→0Vの順で変化するように駆動信号を印加するときには、液晶層230のみが選択反射状態となって、赤が表示される。
【0026】
さらに、透明電極235と透明電極215との間に、液晶層230にかかる電圧がVc→Vb→0Vの順で変化するように駆動信号を印加し、透明電極270と透明電極245との間に、液晶層260および液晶層265にかかる電圧がVh→Vd→0Vの順で変化するように駆動信号を印加するときには、液晶層260および液晶層265が選択反射状態となって、シアンが表示される。
【0027】
透明電極235と透明電極215との間に、液晶層230にかかる電圧がVc→Va→0Vの順で変化するように駆動信号を印加し、透明電極270と透明電極245との間に、液晶層260および液晶層265にかかる電圧がVh→Vg→0Vの順で変化するように駆動信号を印加するときには、液晶層230および液晶層260が選択反射状態となって、イエローが表示される。
【0028】
透明電極235と透明電極215との間に、液晶層230にかかる電圧がVc→Va→0Vの順で変化するように駆動信号を印加し、透明電極270と透明電極245との間に、液晶層260および液晶層265にかかる電圧がVh→Ve→0Vの順で変化するように駆動信号を印加するときには、液晶層230および液晶層265が選択反射状態となって、マゼンタが表示される。
【0029】
再び図4を参照して説明する。電子ペーパー20は、液晶層260(緑)および液晶層265(青)が1組の電極(透明電極270および245)に挟まれ、液晶層230(赤)が別の一対の電極(透明電極235および215)に挟まれた構造を有している。以下、透明電極270および245に挟まれた層を「第1の光アドレス層」、透明電極235および215に挟まれた層を「第2の光アドレス層」という。
【0030】
第1の光アドレス層は、面22a側から順に、液晶層265(青)、液晶層260(緑)、光吸収層250(青・緑)および感光層255を有する。透明電極270および245は、第1の光アドレス層に電圧を印加するための電極である。透明電極270および245は、ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムすず)等、光を透過する(透明な:光の透過率が予め定められた閾値よりも高い)材料で作られている。感光層255は、光が照射されていない状態では液晶層260および265と比較して高抵抗であるが、面22b側から特定の波長の光(例えば波長のピークが480nmの青色の光)が照射されると電荷を生じて低抵抗化する。この例で、感光層255は、有機感光体(Organic Photoconductor:OPC)により形成されている。暗状態においては透明電極270および245の間に印加された電圧はほとんど感光層255にかかり、液晶層260および265には電圧がかからない。上述した青色の光が照射されると、感光層255が低抵抗化するので液晶層260および265に電圧がかかる。第1の光アドレス層の全面に透明電極を形成し、第1の光アドレス層全体に電圧を印加しても、液晶層に電圧が印加されるのは光照射された部分だけである。すなわち、感光層255は、液晶層260および265に対向して設けられ、照射される光に応じて、液晶層260および265に印加される電圧を変化させる感光層の一例である。そして、感光層255により、光照射の有無により第1の光アドレス層のうち、画像の書き込み(液晶の配向の変更)を行う領域を選択することができる。以下、感光層に画像を書き込むために照射する光を「記録光」ともいう。さらに、このとき透明電極270および245の間に印加される電圧値により、画像の書き込みを行う液晶層を選択することができる。こうして、光照射と電圧印加を組み合わせることにより、特定の層の特定の領域の液晶の配向を制御すること、すなわち、画像を形成することができる。感光層255には、ジブロモアンタントロン(DBA:Dibromoanthanthrone)等の赤色(第1の光アドレス層で反射される色の補色)の光を透過する材料が電荷発生物質として用いられている。感光層255を露光する上述の青色の記録光は、この電荷発生物質に吸収されて電荷を発生させる。
【0031】
液晶層260と感光層255との間の光吸収層250は、液晶層265および260で反射される波長帯の光(この例では青〜緑色)の光を吸収する層である。感光層255に照射される上述の青色の記録光もこの波長帯に属する光であり、光吸収層250は液晶層265および260よりも面22b側に設けられているから、この青色の記録光は光吸収層250によって液晶層265および260に到達しないように遮られる。
【0032】
また、後述する液晶層230はコレステリック液晶により発色するため視野角依存性が高く、利用者の面22aに対する観察の角度が正面から大きくなるとその発色が赤から青・緑へ変わる、いわゆるブルーシフトと呼ばれる現象を生じさせる場合がある。光吸収層250はこの現象により発色された青・緑の光を吸収するため、電子ペーパー20を傾けたときに上述のブルーシフトによる青や緑の光は観察者に届かず、表示体22に表示される画像の視認性は向上する。
【0033】
第2の光アドレス層は、面22a側から順に、液晶層230(赤)、光吸収層220(赤)および感光層225を有する。透明電極235および215は、第2の光アドレス層に電圧を印加するための電極である。透明電極235および215は、ITOで作られている。感光層225は、暗状態では液晶層230と比較して高抵抗であるが、面22b側から特定の波長の記録光(例えば波長のピークが650nmの赤色の記録光)が照射されると電荷を生じて低抵抗化する。感光層225は、感光層255と同様に、OPCにより形成されている。第1の光アドレス層で説明したように、光照射により第2の光アドレス層に赤色の画像を形成することができる。すなわち、感光層225は、液晶層230に対向して設けられ、照射される光に応じて液晶層230に印加される電圧を変化させる感光層の一例である。この感光層225には、チタニルフタロシアニン(TiOPC:Titanium Oxide Phthalocyanine)等の青〜緑色(第2の光アドレス層で反射される色の補色)の光を透過する材料が電荷発生物質として用いられている。感光層225を露光する上述の赤色の記録光は、この電荷発生物質に吸収されて電荷を発生させる。
【0034】
液晶層230と感光層225との間の光吸収層220は、液晶層230で反射される波長帯の光(この例では赤色)の光を吸収する層である。感光層225に照射される上述の赤色の記録光もこの波長帯に属する光であり、光吸収層220は液晶層230よりも面22b側に設けられているから、この赤色の記録光は光吸収層220によって液晶層230に到達しないように遮られる。一方、上述の青色の記録光は、この波長帯に属する光ではないから、光吸収層220を透過する。
【0035】
選択透過層240は、透明電極245と透明電極235とに挟まれており、面22b側から第1の光アドレス層に対して照射される青色の記録光が第1の光アドレス層に到達するまでの光路に設けられている。この選択透過層240には以下の2つの機能がある。
選択透過層240の第1の機能は、照射された記録光が選択透過層240を透過するとき、その光の出射時のスポット径を入射時のスポット径よりも小さくする機能である。具体的には、選択透過層240は、面22b側から照射される青色の記録光のうち、強い光を透過し、弱い光を吸収する。この作用により、光アドレス層の露光量に対する表面電位曲線が、擬似的に特定の光量に対して急峻に立ち上がる(ハイγ)特性となる事から、露光により生成した表面電位スポットの径が露光スポット径よりも小さくなる。
【0036】
図7は、記録光のスポット径を小さくする選択透過層240の機能を説明するための図である。上述した青色の記録光は、図7の下段に示すように、スポット径D0で記録装置10から表示体22の面22b側に照射され、選択透過層240に到達するまでに、保護層210→透明電極215→感光層225→光吸収層220→液晶層230→透明電極235を透過する。これらの複数の層を透過する間に、この記録光の光束が拡散するため、選択透過層240に入射する時点で記録光のスポット径はD0からD1に拡大する。図7の上段は、選択透過層240に入射する時の記録光の位置と光の強さを示すグラフである。この図の横軸は図7の下段に示した表示体22における記録光の照射位置を表しており、この図の縦軸はその光の強さを表している。この図の実線は選択透過層240に入射する時の記録光を示しており、破線は、選択透過層240に出射する時の記録光を示している。この図に示すように、選択透過層240に入射する時において記録光のスポット径の周辺部は迷光や散乱光であるため弱く、中心部は強い。ここで選択透過層240は、記録光の強さがILに満たない領域Rwにおいては、記録光の透過率が低いため、感光体255を低抵抗化させるだけの記録光は透過されない。一方、選択透過層240は、記録光の強さがILを超える領域Rsにおいては、記録光の透過率が増大しているため、感光体255を低抵抗化させるだけの記録光が透過する。したがって、選択透過層240により領域Rwで示される周辺部の弱い光は吸収されて弱まり、領域Rsで示される中心部の強い光はほとんどが透過するので、選択透過層240から出射する時のスポット径D2は選択透過層240に入射する時のスポット径D1よりも小さくなる。そして、スポット径が小さくなった青色の記録光は第1の光アドレス層の感光層255に照射され、これにより第1の光アドレス層に画像が書き込まれるため、光アドレス層の低抵抗化したスポット径はさらに小径化し、迷光や散乱光によって生じる画像の滲みは低減され、記録される画像の解像度は向上する。この機能は、例えば、フォトクロミック化合物の性質(多光子吸収性)を利用することで実現する。
【0037】
フォトクロミック化合物は、光の照射により光の透過率が可逆的に変化する化合物である。このフォトクロミック化合物には、光が照射されると、異性化することにより分子量を変えることなく吸収スペクトルの異なる2つの状態間を可逆的に変化する性質を有するものがある。例えば、フォトクロミック化合物であるジアリールエテン誘導体には、紫外線を照射すると赤色に発色し、これに可視光を照射すると透明になるものがある。このジアリールエテン誘導体が赤色に発色するのは、赤色の補色であるシアンの光を吸収する立体構造にジアリールエテン誘導体が異性化するためである。このシアンの光の波長帯には、感光層255を露光する上述の青色の記録光が含まれる。したがって、選択透過層240にこのジアリールエテン誘導体を含ませ、これに紫外線を照射して発色状態にすることにより、上述した青色の記録光のスポット径を小さくすることができる。
図8は、下記の構造式を有する代表的なフォトクロミック化合物であるジアリールエテン誘導体の照射光量と透過率の関係を示す図である。
【0038】
【化1】

図8に示すように、ジアリールエテン誘導体は、照射光量が少ないとき(単光子吸収過程)には、透過率はほとんど変化せず、照射光量が多くなると急激に変化し(多光子吸収過程)、光の照射量に対して非線形的に透過率が高まる性質を有している。なお、ここでは、異性化することによって光物性が可逆的に変化するフォトクロミック化合物を用いるが、立体配座などの他の要因が光の照射によって変化することで光物性が可逆的に変化するフォトクロミック化合物を用いてもよい。
選択透過層240にはこのようなフォトクロミック化合物が分散、含有されているため、この第1の機能を実現する。すなわち、選択透過層240は、感光体255に対して照射される光が感光体255に到達するまでの光路に設けられ、照射される光の強度が高いほどその光の透過率が高い選択透過層の一例である。
【0039】
選択透過層240の第2の機能は、透明電極245と透明電極235とを絶縁する機能である。この例で、選択透過層240はPETで形成されているため、この第2の機能を実現する。すなわち、この例で、選択透過層240はPETなどの絶縁性を有する透明樹脂にジアリールエテン誘導体などのフォトクロミック化合物が分散させて形成されている。
【0040】
電極23は、記録装置10からの電気信号を受ける接点である。この例で電極23は、電極23a、23bおよび23cの3つの電極を有する。電極23bは、グランド電位を与える電極である。電極23aおよび23bにより第1の光アドレス層に電圧が印加され、電極23bおよび23cにより第2の光アドレス層に電圧が印加される。電極23は、図1bに示すように電子ペーパー20が記録装置10に装着されると記録装置10側の電極145と電気的に接触する位置に配置されている。
【0041】
図9は、記録装置10による電子ペーパー20の表示の書き替えを例示する図である。信号V1および信号V2は、それぞれ、第1の光アドレス層および第2の光アドレス層に印加される電圧を示している。この例では、信号V1および信号V2とも300Vの電圧が周波数50Hzのパルス波形で500msecに亘って印加されている。これにより、第1の光アドレス層において青色の記録光が光照射されると、液晶層265(青)の配向を維持したまま、液晶層260(緑)の配向をフォーカルコニック配向にする電圧(すなわち、図5に示すVeの範囲内の電圧)が、液晶層265(青)および液晶層260(緑)にかかる。また、第2の光アドレス層において赤色の記録光が光照射されると、液晶層230(赤)の配向をフォーカルコニック配向にする電圧(すなわち、図5に示すVbの範囲内の電圧)が、液晶層230(赤)にかかる。光強度LBおよび光強度LRは、それぞれ、青色および赤色の記録光の強度を示している。この例では、100μW/cm2の強度の青色光(波長=480nm)および赤色光(波長=650nm)が、表示体22に照射される。B−ChLC、G−ChLCおよびR−ChLCは、それぞれ、液晶層265(青)、液晶層260(緑)および液晶層230(赤)の配向状態を示している。Fはフォーカルコニック配向を、Pはプレーナ配向を示す。この例で、液晶層265(青)の配向状態は電圧印加および光照射の前後で変化しないが、液晶層260(緑)および液晶層230(赤)の配向状態は電圧印加および光照射によりフォーカルコニック配向に変化する。
【0042】
図9中、下段の図は、電圧印加および光照射の前後の表示状態を示している。B、C、G、Y、W、M、RおよびKは、それぞれ、青、シアン、緑、黄、白、マゼンタ、赤および黒を示している。例えば、赤が表示されていた領域は、3つの液晶層の配向状態は、(R,G,B)=(P,F,F)である。この例では、電圧印加および光照射により液晶層260(緑)および液晶層230(赤)がフォーカルコニック配向となるので、3つの液晶層の配向状態は、(R,G,B)=(F,F,F)となる。すなわち、赤が表示されていた領域は黒となる。同様に、電圧印加および光照射により、緑および黄の領域は黒となり、シアン、白およびマゼンタの領域は青となる。青および黒の領域は変化しない。このように、記録装置10を用いることにより、黒または青の画像が電子ペーパー20に記録される。
【0043】
1−2.記録装置10
図1aを参照して、記録装置10について説明する。筐体11は、記録装置10の各構成を保持する機能と、記録装置10内部(特に電子ペーパー20に記録を行う部分)に外光が侵入しないように遮光を行う機能と、利用者が電子ペーパー20を記録装置10に装着したときに電子ペーパー20を保持する機能と有する。筐体11は、この例においてはエンジニアリングプラスチックなどの樹脂で製作されている。
【0044】
図2は、記録装置10の構成を示す図である。制御部110は、記録装置10の各要素を制御する制御装置である。この例で、制御部110は、演算装置としてのCPU(Central Processing Unit)と、記憶装置としてのHDD(Hard Disk Drive)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)と、入出力装置としてのI/Oポートとを備えたコンピュータである。HDDやROMには、記録装置10を制御するためのプログラムや各種のデータが記憶されている。CPUは、HDDやROMからプログラムを読み込んで実行することで記録装置10の各部の動作を制御する。また、CPUは、プログラム実行時のワークエリアとしてRAMを使用する。
【0045】
操作パネル115は、利用者からの指示操作を受け付け、受け付けた操作に応じた信号を制御部110に出力する。操作パネル115は、ユーザが指示を入力するための入力装置、例えば電源スイッチやテンキーと、利用者への情報の提供を行うための表示装置、例えば表示ランプや液晶ディスプレイとを有する。
【0046】
電源135は、制御部110や、電極145(すなわち電子ペーパー20)等に電力を供給する。着脱センサ140は、記録装置10に電子ペーパー20が装着されているか否かを検知し、検知した結果を制御部110に出力する。この例においては、着脱センサ140として押しボタンスイッチが用いられる。図1aに示すように、記録装置10に電子ペーパー20が装着されてなければ押しボタンスイッチは押されていない。図1bに示すように電子ペーパー20が装着されると押しボタンスイッチは押される。電極145は、3つの端子を有する。各端子は、電子ペーパー20の電極23a、電極23bおよび電極23cにそれぞれ対応する。電極145は、電源135が発生した電圧の電子ペーパー20への供給に用いられる。電極145は、図1bに示すように電子ペーパー20が記録装置10に装着されたときに電子ペーパー20の電極23と電気的に接触する位置に配置されている。
【0047】
画像処理部170は、制御部110の制御下で、LCDパネル195に描画する画像を示す画像データを処理する。画像処理部170は、処理した画像データを画像バッファ175に出力する。画像処理部170における画像処理は、例えば、複数の画像や、画像と文字との重ね合わせや、表示色の変更などである。画像バッファ175は、画像データを記憶するVRAM(Video Random Access Memory)である。
【0048】
バックライト制御部180は、制御部110の制御下でバックライト185を駆動する。バックライト185は、バックライト制御部180の制御下で、LCDパネル195に照射する光を発生する。この例において、バックライト185の光は、波長のピークが650nmの赤色と波長のピークが480nmの青色のスペクトルを含んでいる。具体的に、バックライト185は、白色光を発生する冷陰極管を含んでいる。
【0049】
LCD駆動部190は、画像バッファ175に記憶された画像データを読み出し、読み出した画像データに従ってLCDパネル195を駆動することにより、画像を表示させる。すなわち、LCDパネル195は、バックライト185からの光を選択的に透過する、透過型のカラー液晶パネルである。特に、このLCDパネル195は、波長のピークが650nmの赤色光と、波長のピークが480nmの青色光とを選択的に透過する。
【0050】
UVランプ制御部150は、制御部110の制御下でUVランプ155を駆動する。UVランプ155は、UVランプ制御部150の制御下で、電子ペーパー20に照射する紫外光を発生する。この例において、UVランプ155が照射する紫外光は、例えば波長のピークが365nmであり、選択透過層240に含まれるフォトクロミック化合物を異性化して赤色に発色させる。これにより、記録装置10から照射される青色の記録光に対する選択透過層240の透過率は減少する。すなわち、UVランプ155は、記録光とは異なる波長の電磁波(この場合は紫外線)を選択透過層へ照射して、表示媒体の選択透過層を発色させる発色手段の一例である。なお、ここでUVランプ155は、紫外光を表示体22の面22a側、すなわち表面側から照射するように記録装置10に設けられているが、表示体22の面22b側、すなわち裏面側から照射するように設けられていてもよい。
【0051】
2.動作
2−1.電子ペーパー20への記録
電子ペーパー20への記録は、記録装置10に電子ペーパー20を装着した状態で行われる。制御部110は、UVランプ制御部150を制御し、UVランプ155を点灯させる。UVランプ155により照射された紫外光は、電子ペーパー20の選択透過層240に到達し、選択透過層240に含まれるフォトクロミック化合物は異性化して赤色に発色する。
【0052】
次に、制御部110は、電子ペーパー20に記録する画像を示すデータ、例えばHDDに記憶されている画像データを、画像処理部170に送る。画像処理部170は、画像データを液晶層に対応した色成分(ここではRGB)に分解する。また、画像処理部170は、解像度変換や明るさ情報の付与などの処理を行う。画像処理部170は、こうして処理された画像データを画像バッファ175に送る。LCD駆動部190は、画像バッファ175からデータを読み出し、その内容に応じてLCDパネル195を制御する。また、制御部110は、LCDパネル195の制御と同期して、バックライト制御部180を制御し、バックライト185を点灯させる。その結果、バックライト185とLCDパネル195は、画像データのうち赤色(R)の色成分がある位置では波長のピークが650nmの赤色の記録光を透過させ、緑色(G)または青色(B)の色成分がある位置では波長のピークが480nmの青色の記録光を透過させる。すなわち、バックライト185とLCDパネル195は、表示媒体に対し、光を照射する照射手段の一例である。
【0053】
さらに、制御部110は、バックライト185の制御と同期して、電源135を制御し、第1の光アドレス層または第2の光アドレス層に駆動電圧を印加する。すなわち、電源135は、表示媒体に対し、電圧を印加する電圧印加手段の一例である。具体的には、制御部110は、画像データのうち赤色(R)の色成分がある位置では、電極145を介して電極23bおよび23cに予め定められた電圧を印加する。これにより、上記位置に対応する第2の光アドレス層の位置には、予め定められた電圧が印加され、その位置における感光層225は低抵抗化し、液晶層230の配向はプレーナ配向となって赤色を呈する。また、制御部110は、画像データのうち緑色(G)または青色(B)の色成分がある位置では、電極145を介して電極23bおよび23aに、この色成分のそれぞれに応じて、対応する予め定められた電圧を予め定められた順序で印加する。これにより、上記位置に対応する第1の光アドレス層の位置には、緑色(G)または青色(B)に対応する予め定められた電圧が予め定められた順序で印加され、その位置における感光層255は低抵抗化する。この電圧・順序が緑色(G)に対応する電圧・順序であれば、液晶層260の配向がプレーナ配向となって緑色を呈し、この電圧・順序が青色(B)に対応する電圧・順序であれば、液晶層265の配向がプレーナ配向となって青色を呈する。
【0054】
このように、液晶層265、液晶層260および液晶層230に照射される光および印加される電圧を制御することにより、電子ペーパー20への画像の記録(書き込み)が行われる。そして、制御部110、バックライト制御部180およびLCD駆動部190は、入力された画像データに応じて照射手段および電圧印加手段を制御する制御手段の一例である。
【0055】
3.他の実施形態
本発明は上述の実施形態に限定されない。本発明は、以下のようにさまざまな形態で実施可能である。以下で説明する変形例のうち、2つ以上のものが組み合わせて用いられてもよい。
【0056】
3−1.変形例1
記録装置10の機能構成を実現するための装置構成は、図2で示されるものに限定されない。要求される機能を実現できるものであれば、どのような構成の装置が用いられてもよい。例えば、露光手段は、バックライト185およびLCDパネル195に限定されない。発光色を変えられるバックライトと透過型モノクロ液晶パネルが、露光手段として用いられてもよい。
【0057】
3−2.変形例2
選択透過層240は、絶縁性を有する透明樹脂にフォトクロミック化合物が分散させて形成されたものに限られない。絶縁層とフォトクロミック化合物を含有する膜を張り合わせたものでもよい。要するに、選択透過層240は、多光子吸収性を示す化合物を含むのであればよい。
【0058】
3−3.変形例3
電子ペーパー20の具体的構成は、実施形態で説明したものに限定されない。電子ペーパー20は、例えば、一組の透明電極の間に1つの液晶層を挟んだ光アドレス層を複数有していてもよい。また、各液晶層で反射される波長帯の光の種類と積層の順序や組み合わせも実施形態で説明したものに限定されない。例えば、第1の光アドレス層が、液晶層230(赤)と液晶層260(緑)を有し、第1の光アドレス層よりも面22b側にある第2の光アドレス層が、液晶層265(青)を有する構成であってもよい。この場合、第2の光アドレス層は液晶層265(青)よりも面22b側に、波長のピークが480nmの青色の記録光により露光され低抵抗化する感光層を有しており、この感光層と液晶層265(青)との間には、液晶層265(青)で反射される波長帯の光(すなわち青色)と、感光層を露光する青色の記録光を吸収する光吸収層があってもよい。また、第1の光アドレス層は液晶層230(赤)および液晶層260(緑)よりも面22b側に、波長のピークが650nmの赤色の記録光により露光され低抵抗化する感光層を有しており、この感光層と液晶層230(赤)または液晶層260(緑)との間には、これらの液晶層で反射される波長帯の光(すなわち赤および緑)と、感光層を露光する赤色の記録光を吸収する光吸収層があってもよい。
【0059】
そして、この場合、選択透過層240には、紫外線を照射するとシアンに発色し、これに可視光を照射すると透明になるフォトクロミック化合物を用いればよい。この選択透過層240は、発色状態において赤色の光を吸収することにより、赤色の補色(反対色)であるシアンに発色するので、発色状態において、赤色の光に対する多光子吸収性を呈する。すなわち、赤色の光のうち、強い光はそのほとんどが透過し、弱い光は吸収されて弱まるので、選択透過層240から出射する赤色の記録光のスポット径は、選択透過層240の入射時よりも小さくなる。また、液晶層の数も3つに限定されず、2層の液晶層や4層以上の液晶層が用いられてもよい。
【0060】
3−4.変形例4
上述した実施形態において、選択透過層240に用いたフォトクロミック化合物は、紫外線を照射すると赤色に発色するジアリールエテン誘導体を用いたが、適用可能なフォトクロミック化合物はジアリールエテン誘導体に限られない。例えば、選択透過層240に用いるフォトクロミック化合物は、ビスメチレン無水コハク酸誘導体などのフルギド誘導体や、スピロピラン、スピロオキサジンなどであってもよい。この場合であっても、選択透過層240に用いるフォトクロミック化合物は、フォトクロミズムにより記録光の透過率を増大させるが、記録光の透過率が増大させられたフォトクロミック化合物を発色状態に戻すための発色手段はフォトクロミズムによるものでなくてもよい。
特にスピロピランの光異性体であるメロシアニンは双極性構造を有するため非極性媒体中に置かれると消色状態が安定となり、極性媒体中に置かれると着色状態が安定となる性質を有する。したがって、スピロピランを選択透過層240に含ませ、かつ、テトラキス[3,5一ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ホウ素アート錯体(TFPB)やテトラキス[3,5一ビス(ヘキサフルオロー2一メトキシー2一プロピル)フェニル]ホウ素アート錯体(HFPB)(特にH3OTFPB)のような脂溶性イオン対が形成する局所的双極場を利用することにより、記録光を照射すると、強い光を選択的に透過し、記録光の照射を止めると透明となった部分を含む選択透過層240の全体を着色させることができる。したがって、この場合、選択透過層に含まれるフォトクロミック化合物に局所的双極場を与える手段である媒体が、選択透過層を発色させる発色手段の一例であり、UVランプ155やUVランプ制御部150といった選択透過層240に紫外線を照射して発色させる装置は不要である。
【符号の説明】
【0061】
10…記録装置、11…筐体、110…制御部、115…操作パネル、135…電源、140…着脱センサ、145…電極、150…UVランプ制御部、155…UVランプ、170…画像処理部、175…画像バッファ、180…バックライト制御部、185…バックライト、190…LCD駆動部、195…LCDパネル、20…電子ペーパー、21…フレーム、22…表示体、220…光吸収層、225…感光層、22a,22b…面、23,23a,23b,23c…電極、230…液晶層、235…透明電極、240…選択透過層、245…透明電極、250…光吸収層、255…感光層、260…液晶層、265…液晶層、270…透明電極。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印加される電圧に応じて表示が変化する表示層と、
前記表示層に対向して設けられ、照射される光に応じて前記表示層に印加される電圧を変化させる感光層と、
前記感光層に対して照射される光が当該感光層に到達するまでの光路に設けられ、照射される前記光の強度が高いほど当該光の透過率が高い選択透過層と
を具備することを特徴とする光記録型表示媒体。
【請求項2】
前記選択透過層は、多光子吸収性を示す化合物を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の光記録型表示媒体。
【請求項3】
前記選択透過層は、フォトクロミック化合物を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の光記録型表示媒体。
【請求項4】
前記選択透過層は、ジアリールエテン、スピロピラン、スピロオキサジンのいずれかを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の光記録型表示媒体。
【請求項5】
前記選択透過層は、照射される前記光の強度が高いほど当該光の透過率が高い化合物と、当該化合物に双極場を与えて発色させる媒体とを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の光記録型表示媒体。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の光記録型表示媒体に対し、光を照射する照射手段と、
前記光記録型表示媒体に対し、電圧を印加する電圧印加手段と、
入力された画像データに応じて前記照射手段および前記電圧印加手段を制御する制御手段と、
前記光記録型表示媒体の前記選択透過層を発色させる発色手段と
を具備することを特徴とする記録装置。
【請求項7】
前記発色手段は、前記光とは異なる波長の電磁波を当該選択透過層へ照射して、当該選択透過層を発色させる
ことを特徴とする請求項6に記載の記録装置。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−210893(P2010−210893A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−56354(P2009−56354)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】