説明

光走査装置および画像形成装置

【課題】本発明は、光源と偏光部材との間に偏光ビームスプリッタを介したことに起因して生じる光量ムラの発生を抑制可能な光走査装置を提供する。
【解決手段】
レーザビームを、ポリゴンミラー151により偏向させ、反射ミラー群20を介して、感光体ドラム31Y〜Kを露光走査する光走査ユニット10であって、
直線偏光のレーザビーム群LKおよびLSをそれぞれ出射する光源部22Kおよび22Sと、それぞれ異なる方向から入射したレーザビーム群LKおよびLSを、その偏光面の傾きに応じて透過・反射させることにより、ポリゴンミラー151に向かう同一の光路上に射出するビームスプリッタユニット120と、これから選択的に射出されるレーザビーム群LKおよびLSに応じて光学軸の方位角が異なる1/4波長板124bを透過させて、各直線偏光のレーザビーム群LKおよびLSを、円もしくは楕円偏光状態に変換する円偏光部材124とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光体を露光走査する光走査装置、および、当該光走査装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル複写機、レーザプリンタ等の電子写真方式の画像形成装置においては、感光体の表面を光走査ユニットからレーザ光を射出して露光走査し、静電潜像を形成する。そして、静電潜像をトナーで顕像化し、これを転写紙などに転写して画像形成するように構成されている。
このような画像形成装置における光走査ユニットにおいて、副走査方向の解像度を変更したい場合やレーザ光の偏光方向を変更したい場合など、異なる2つのレーザ光源を切り換える必要のある場合に、偏光ビームスプリッタが利用される場合がある。
【0003】
偏光ビームスプリッタは、正三角柱状の二つのプリズムを、多層簿膜などからなる半透過ミラー膜を介して張り合わせてなる立方体形状をしている。
半透過ミラー膜は、その入射光と反射光(もしくは透過光)を含む平面(以下「入射面」という。)内で、電場が振動する直線偏光(P偏光)については透過しやすく、当該入射面と直交する平面内で電場が振動する直線偏光(S偏光)については、反射しやすいという光学特性を有する。
【0004】
もともとレーザビームは直線偏光であるため、その偏光面を調整して、半透過ミラー膜に対してP偏光、S偏光とし、偏光ビームスプリッタの異なる2つの面から入射させれば、半透過ミラー膜において、それぞれのレーザビームが透過または反射され、2つの直交する方向から入射するレーザ光源を同一の光路上に射出することができる。
偏光ビームスプリッタから射出されたレーザビームは、ポリゴンミラーにより偏向されて、走査レンズ群を介して折り返しミラーでその光路が変更されて、感光体の表面を露光走査するが、レーザビームの走査角度が大きくなるにつれて折り返しミラーへの入射角が大きくなるため、その直線偏光のレーザビームの偏向面の傾きにおいては、反射率の低下が顕著となり、感光体に照射される光ビームの強度が小さくなる。これにより光量ムラが無視できないほど大きくなって、良好な再現画像が得られなくなる。
【0005】
このような問題を回避するために、偏光ビームスプリッタから出射される直線偏光のレーザビームを、1/4波長板を介して円偏光もしくは楕円偏光に変換してから、ポリゴンミラーで偏向させることにより、特に折り返しミラーにおける入射角に応じた反射率の変動を抑えて、光量ムラを軽減することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−14921号公報
【特許文献2】特開2005−352517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述のように1/4波長板を介在させても、偏光ビームスプリッタに入射するレーザビームの偏光面の方向によっては、主走査方向における光量ムラの発生が十分抑制されるとは言えないことが判明した。 本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、偏光ビームスプリッタを用いて異なる方向から入射されるレーザビームを、同一ビーム光路上に出射し、偏向手段および反射部材を介して、感光体上を露光走査する構成を有する光走査装置において、それぞれのレーザビームにおける主走査方向の光量ムラを可及的に低減することができる光走査装置および当該光走査装置を備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る光走査装置は、レーザビームを、偏向手段により主走査方向に偏向し、走査レンズおよび反射部材を介して、感光体の表面を露光する光走査装置であって、直線偏光の第1のレーザビームを第1の方向に出射する第1の光源と、直線偏光の第2のレーザビームを前記第1の方向とは異なる第2の方向に出射する第2の光源と、異なる方向から入射された前記第1および第2のレーザビームを、それらの偏光面の傾きに応じて一方を透過し、他方を反射することにより、それぞれ前記偏向手段に向かう一の方向に射出する偏光ビームスプリッタと、前記第1と第2の光源を、選択的に駆動する駆動手段と、前記偏光ビームスプリッタと前記偏向手段との間に配され、偏光ビームスプリッタから射出されるレーザビームを、その選択された光源に応じて、光学軸の方位角が異なる円偏光素子を透過させて、円偏光もしくは楕円偏光状態に変換する偏光状態変換手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記構成では、偏向ビームスプリッタから出射されたレーザビームが、第1か第2のレーザビームかによって、光学軸の方位角が異なる円偏光素子を通過させるようにしているので、第1および第2のレーザビームそれぞれについて、主走査方向における光量ムラの発生しにくい光学的条件に設定することができる。
また、前記偏光状態変換手段は、前記偏光ビームスプリッタから射出されたレーザビームの光路上に一個の円偏光素子を配すると共に、当該円偏光素子の光学軸が、第1の方位角と第2の方位角となるように回転させる回転手段を備え、選択された光源に応じて、円偏光素子を回転させてその光学軸の方位角を前記第1と第2の方位角に設定することが望ましい。
【0010】
もしくは、前記偏光状態変換手段は、第1と第2の円偏光素子と、第1と第2の円偏光素子を保持する保持手段と、第1と第2の光源の選択に応じて、前記第1と第2の円偏光素子のいずれかが、偏光ビームスプリッタから射出されるレーザビームの光路上に位置するように前記保持手段を移動させる移動手段とを備え、前記第1と第2の円偏光素子のそれぞれの光学軸が、前記光路上の位置に移動した状態で、それぞれ第1と第2の方位角となるように、前記保持手段に保持されているとしてもよい。
【0011】
また、前記第1と第2の方位角は、それぞれ第1と第2のレーザビームで、被感光体を露光走査したときに、その画像走査域における光量の変動量が最も少なくなるように予め設定された値であることが望ましい。
さらに、前記第1および第2の光源は、それぞれ複数本のレーザビームを出射するマルチビーム型のレーザダイオードであるとしてもよい。
【0012】
なお、本発明は、上記光走査装置を備えた画像形成装置としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係る光走査装置を備える画像形成装置の一例であるタンデム型カラープリンタの構成を説明するための概略図である。
【図2】(a)は、本発明の実施の形態に係る光走査装置における主要部の構成を説明するための上面透視図であり、(b)は、当該光走査装置の側面透視図である。
【図3】図2(a)および(b)に示された透視図における光源ユニットの主要部の拡大図である。
【図4】(a)は、図3のF部の拡大図であり、(b)は、F部のD矢視図である。
【図5】(a)は、図3のB矢視図であり、(b)は、図3のC矢視図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るビームスプリッタユニットの構成を示す図である。
【図7】(a)および(b)は、本発明の実施の形態に係る1/2波長板の作用を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る円偏光部材の光学軸の方位角を変更した場合の光量ムラの発生状況を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る円偏光部材の光学軸の方位角と主走査方向おける折り返しミラーにおける反射率との関係を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る円偏光ユニットおよびこれを駆動させる駆動源の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る光走査装置および画像形成装置の実施の形態について説明する。
<画像形成装置の概略構成>
図1は、本発明の実施の形態に係る光走査装置を備える画像形成装置の一例であるタンデム型カラープリンタ(以下、単に「プリンタ」という)の構成を説明するための概略断面図である。
【0015】
同図に示すように、このプリンタ1は、画像プロセス部3、給紙部4、定着部5および制御部60を備えている。プリンタ1は、ネットワーク(例えばLAN)に接続されて、外部の端末装置(不図示)からのプリントジョブの実行指示を受け付けると、その指示に基づいてイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックからなるトナー像を形成し、これらを多重転写してフルカラーの画像形成を実行するいわゆるタンデム型のカラープリンタである。
【0016】
以下、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各再現色をY、M、C、Kと表し、各再現色に関連する構成部分の番号にこのY、M、C、Kを添字として付加する。
画像プロセス部3は、Y〜K色のそれぞれに対応する作像部30Y,30M,30C,30K、光走査ユニット10(光走査装置)、中間転写ベルト11などを備えている。
作像部30Yは、感光体ドラム31Y(被感光体)、その周囲に配設された帯電器32Y、現像器33Y、転写ローラ34Y、感光体ドラム31Yを清掃するためのクリーナ35Yなどを備えている。
【0017】
作像部30Yは、感光体ドラム31Y上にY色のトナー像を作像する。他の作像部30M〜30Kについても、作像部30Yと同様の構成になっており、同図では符号を省略している。
中間転写ベルト11は、無端状のベルトである。中間転写ベルト11は、駆動ローラ12と従動ローラ13に張架されて矢印A方向に回転駆動される。
【0018】
光走査ユニット10は、後述するようにマルチビーム型のレーザダイオードを備えており、フルカラー画像を形成する場合、即ち、カラー印刷モードでは、制御部60からの駆動信号によりY〜K色の画像形成のための一対のレーザビーム(以下、各色における一対のレーザビームをレーザビーム群と称する)LY、LM、LC、LKを照射し(図では便宜上、各レーザビーム群を1本の直線で示している。他の図においても同じ)、感光体ドラム31Y〜31Kを露光走査させる。
【0019】
つまり、カラー印刷モードにおいて、制御部60は、感光体ドラム31Kを露光する光源として設けられている光源部22Kおよび光源部22Sのうち、光源部22Kを選択して駆動させる。
この露光走査により、帯電器32Y〜32Kにより帯電された感光体ドラム31Y〜31K上に静電潜像が形成される。各静電潜像は現像器33Y〜33Kにより現像される。
【0020】
各作像部30Y〜30Kにおける作像動作は、それぞれ所定時間分タイミングをずらして実行され、各感光体ドラム31Y〜31K上に現像されたY〜Kのトナー像は、一次転写ローラ34Y〜34Kによる静電力により中間転写ベルト11上の同じ位置に順次転写され、フルカラーのトナー像が形成される。
一方、給紙部4は、記録シートSを収容する給紙カセット41と、給紙カセット41内の記録シートSを搬送路43上に1枚ずつ繰り出す繰り出しローラ42と、繰り出された記録シートSを二次転写位置46に送り出すタイミングをとるためのタイミングローラ対44などを備えている。
【0021】
給紙部4は、中間転写ベルト11上のトナー像の移動タイミングに合わせて給紙部4から記録シートSを二次転写位置46に給送し、二次転写ローラ45の作用により中間転写ベルト11上のフルカラーのトナー像が記録シートS上に二次転写される。
二次転写位置46を通過した記録シートSは、定着部5に搬送される。記録シートS上のトナー像(未定着画像)が、定着部5における加熱・加圧により記録シートSに定着される。
【0022】
記録シートSは、排出ローラ対71を介して排出トレイ72上に排出される。
また、モノクロ画像を形成するモノクロ印刷モードでは、作像部30Kのみが動作し、当該作像部30Kの感光体ドラム31Kに対して、光走査ユニット10から低解像度用の一対のレーザビーム群LSが照射され、感光体ドラム31K上に静電潜像が形成されて、当該静電潜像は現像器33Kにより現像される。転写ローラ34Kによる静電力により中間転写ベルト11上にブラック、即ち、モノクロのトナー像が転写されて、以下、カラー印刷モードと同様に、記録シートSへの二次転写、定着を経由して、排出トレイ72上に排出される。
【0023】
このモノクロ印刷モードの場合には、制御部60は、感光体ドラム31Kを露光する光源として、低解像度用の光源部22Sを選択して駆動させると共に、感光体ドラム31Kの回転速度をカラー印刷モードの場合よりも速めて、低解像度のモノクロ画像が形成される。
このように、光源部22Kおよび光源部22Sを選択的に駆動する駆動手段としては、当該光源部22Kおよび光源部22Sのほか、制御部60も含まれる。
【0024】
<光走査ユニットの構成>
図2(a)は、光走査ユニット10における主要部の構成を説明するための平面図であり、また、図2(b)は、図2(a)の正面図である。それぞれ内部構造が分かりやすいように筺体の壁面を取り除いた透視図として示している。
また、図2(b)では、図2(a)における光源ユニット110を省略して描いている。
【0025】
図2(a)に示すように、光走査ユニット10は、光源ユニット110と、光偏向部150と、走査レンズ161および162と、反射ミラー群20とを備える。
光偏向部150は、側面に複数(本実施形態では7つ)のミラー面を有して回転するポリゴンミラー151と、これを回転するポリゴンモータ152(図2(b)参照)とからなる。
【0026】
カラー印刷モードが実行される際には、高解像度用の各レーザビーム群LY、LM、LC、LKが、回転状態のポリゴンミラー151のミラー面に入射されると、各レーザビーム群LY、LM、LCおよびLKのそれぞれを、各感光体ドラム31Y、31M、31C、31Kの軸方向である主走査方向に沿って走査する。
図2(b)に示すように、光偏向部150によって主走査方向に沿って走査される各レーザビーム群LY、LM、LC、LKは、レーザビーム群LCが、上下方向における最も高い位置を通過しており、さらに、レーザビーム群LK、LM、LYの順に、通過する上下方向における位置が次第に低くなっている。
【0027】
これは、ポリゴンミラーの回転軸と平行な方向における各レーザビーム群のミラー面への入射角度がそれぞれ異なっているからである。
反射ミラー群20は、光偏向部150によって主走査方向に沿って偏向走査されるY用、M用、C用、K用の各レーザビーム群LY、LM、LC、LKのそれぞれを一次反射する第1折り返しミラー171、172、173および174と、第1折り返しミラー171、172および173により一次反射されたレーザビーム群LY、LMおよびLCを、それぞれ感光体ドラム31Y、31Mおよび31C(図1に参照)に向けて2次反射する第2折り返しミラー181、182および183とからなる。
【0028】
第1折り返しミラー174のみが、入射したレーザビーム群LKを直接感光体ドラム31Kに向けて直接反射する構成となっている。
なお、モノクロ印刷モードの場合には、低解像度用のレーザビーム群LSのみが、レーザビーム群LKと同様の光路を辿って、第1折り返しミラー174で反射され、感光体ドラム31Kを露光走査する。
【0029】
走査レンズ161および162は、それぞれトロイダルレンズおよびfθレンズである。
図3は、光源ユニット110の構成を示す平面図であり、便宜上筺体の上面を取り除いた状態で示している。
光源ユニット110は、1200DPIの高解像度に対応した静電潜像を感光体ドラム31Y、31M、31C、31Kのそれぞれに形成するために、高解像度用のレーザビーム群LY、LM、LC、LK(図2参照)をそれぞれ生成するカラー用光源部22Y、22M、22C、22Kを有する。
【0030】
また、光源ユニット110は、600DPIの低解像度に対応した静電潜像を感光体ドラム31K上に形成するために、低解像度用のレーザビーム群LS(図2参照)を生成する低解像度用のモノクロ用光源部22Sを有する。
さらに、光源ユニット110は、レーザビーム群LY、LM、LC、LK、LS(図2参照)のそれぞれを、光偏向部150へと導く光学系(以下、「光源ユニット内光学系」という。)を有する。
【0031】
カラー用光源部22Y〜22Kおよびモノクロ用光源部22Sの光源として、いずれも2本のレーザビームを出射するマルチビーム型の半導体レーザ素子が用いられている。
図4(a)は、図3のF部の光源部22Yを拡大して示すものであり、また、図4(b)は、図4(a)を矢印D方向から見たときの概略図であ。
同図4(a)に示すように、光源部22Yは、2本のレーザビームを個別に強度変調して出射するマルチビーム型の半導体レーザ素子22aと、当該2本のレーザビームを平行光にするコリメータレンズ22bとからなり、いずれも不図示の取り付け部材を介して、略水平の基準面50に固定されている。この基準面50は、例えば、光源ユニット110の筺体の上面とすることができる。
【0032】
また、図4(b)に示すように、半導体レーザ素子22aの2つのビーム出射孔22e、22fの中心を結ぶ直線と基準面50とがなす角度(以下、「取付角」という。)がθ1となるように、半導体レーザ素子22aが光源部22Y本体に取着されて、これにより副走査方向におけるビーム出射孔22eと22fの間隔PLが、感光体ドラム表面において所望の解像度(1200DPI)となる間隔となるように設定されている。
【0033】
他のカラー用光源部22K、22C、22Mにおいても、ほぼ同じ構成である。
低解像度(600DPI)のモノクロ用光源部22Sの場合には、副走査方向におけるビーム出射孔22eと22fの間隔PLが、カラー用光源部の場合の2倍となるように半導体レーザ素子22aの取付角がθ2に設定されている。
なお、本実施の形態では、光源部22Y〜22Kの角度θ1は16°に設定されており、一方、低解像度用の光源部22Sの角度θ2は34°に設定されている。
【0034】
これにより、高解像度用のレーザビーム群LY、LM、LC、LKによって、感光体ドラム31Y〜31K上において同時に露光走査が行われる2ラインの副走査方向の間隔PLは、いずれも21μmに設定され、また、低解像度用のレーザビーム群LSによって、感光体ドラム31K上において同時に露光走査が行われる2ラインの副走査方向の間隔PLは、42μmに設定される。
【0035】
図3に戻り、上面視において、光源部22Y、22M、22Kは、これら全てのレーザ出射方向が、同一方向(以下、「第1の方向」という。)となるように配置されており、また、光源部22Cおよび低解像度用の光源部22Sは、第1の方向と直交する第2の方向に射出するように配置されている。
また、図5(a)は、図3の矢印B方向から見たときの概略図(B矢視図)であって、同図に示すように、光源部22Y、光源部22M、光源部22Kおよび光源部22Cの順で、基準面50からの鉛直方向における距離が大きくなるように設けられている。
【0036】
また、光源部22Sは、基準面50からの鉛直方向における距離が、光源部22Kと等しくなるように設定されている。
光源ユニット内光学系は、K用反射ミラー131、M用反射ミラー132、Y用反射ミラー133および共通反射ミラー134などの反射ミラーや、シリンドリカルレンズ140(図3参照)およびビームスプリッタユニット120(図3参照)などからなり、これらは、不図示の取り付け部材を介して、基準面50に固定されている。
【0037】
K用反射ミラー131、M用反射ミラー132およびY用反射ミラー133のそれぞれは、光源部22K、光源部22M、光源部22Yのそれぞれから照射されるレーザビーム群LK、レーザビーム群LM、レーザビーム群LYを、それぞれ共通反射ミラー134の方向に反射するものであって、それぞれの反射光が共通反射ミラー134に入射するまでに他のミラーと干渉しないように、この順で鉛直方向における長さが次第に短くなっている。
【0038】
さらに、K用反射ミラー131は、低解像度用の光源部22Sから照射されるレーザビーム群LSであって、ビームスプリッタユニット120により、略90°光路を変更されたものを、共通反射ミラー134の方向に反射する(図3参照)。
なお、レーザビーム群LC、LK(LS)、LM、LYは、それぞれ水平方向に基準面50から鉛直方向の高さがずれるように射出される。
【0039】
共通反射ミラー134は、入射したレーザビーム群LC、LK、LM、LY、LSを光偏向部150に向けて反射するものであり、K用反射ミラー131、M用反射ミラー132およびY用反射ミラー133よりも鉛直方向の長さが長い。
シリンドリカルレンズ140は、図3に示すように、共通反射ミラー134と光偏向部150との間に設けられ、共通反射ミラー134により反射されて、平行に進むレーザビーム群LC、LK、LMおよびLY、あるいはLSを、回転するポリゴンミラー151の対応するミラー面の略同一の位置に入射するように副走査方向(ポリゴンミラー151の回転軸方向)に集光する。
【0040】
この際、各レーザビーム群は、入射角が異なるので、図2(b)に示すように、ポリゴンミラー151により副走査方向の異なる方角に反射される。
次に、図6に基づき、ビームスプリッタユニット120について説明する。
本実施の形態に係るビームスプリッタユニット120は、異なる2方向から入射した直線偏光のレーザビームを、その偏光面の傾きに応じて反射・透過して同一方向に射出すると共に、入射されたレーザビームごとに円偏光部材の光学軸の方位角を変えて主走査方向における光量ムラを可及的に抑制することができるように構成されている。
【0041】
同図に示すように、このビームスプリッタユニット120は、偏向ビームスプリッタ121と円偏光ユニット123とを有する。
偏向ビームスプリッタ121は、プリズム部122と、1/2波長板122dと、1/2波長板122eとからなる。
プリズム部122は、誘電体多層膜や金属薄膜などからなる半透過膜121aを介して2つの直角プリズム122aおよび122bを貼り合わせてなる立方体である。
【0042】
1/2波長板122dと、1/2波長板122eは、入射されるレーザビームの偏光面の傾きを変更するものであり、プリズム部122の隣接し合う2面であって、かつ、半透過膜121aが、その2面の間に介在するような位置に取り付けられている。
一般に、半透過膜121aに直線偏光のレーザビームが斜めから入射する場合、当該レーザビームが、半透過膜121aに対してP偏光の場合には透過しやすく、レーザビームが、半透過膜121aに対してS偏光の場合には反射し易いという光学的特性を有している。
【0043】
そこで、1/2波長板122dは、図7(a)に示すように、カラー印刷モード時に入射されたレーザビーム群LKが、半透過膜121aに対してP偏光となるように、その偏光面201c,201dが同図の水平方向(プリズム部122の上面と平行な方向)となるように設定されており、また、1/2波長板122eは、図7(b)に示すように、モノクロ印刷モード時に入射されたレーザビーム群LSが、半透過膜121aに対してS波となるように、その偏光面204c,204dが同図の垂直方向(プリズム部122の上面と直交する方向)となるように設定されている。
【0044】
円偏光ユニット123は、図6に示すように、円偏光部材124、従動ギヤ125a、b、c、dおよび駆動源300などからなる。
同図に示すように円偏光部材124は、1/4波長板124bとこれを保持するギヤホルダ124aからなる。
ギヤホルダ124aは、内部に開口部124cを有するギヤであって、当該開口部124cに1/4波長板124bが嵌め込まれている。
【0045】
1/4波長板124bは、プリズム部121から射出される直線偏光のレーザビームを円偏光もしくは楕円偏光に変換するものである。
従動ギヤ125a〜125dは、プリズム部121に直接、もしくは不図示の治具を介して、回転自在に軸支されたギヤであり、プリズム部121の1/4波長板124bが配された面の4隅において、いずれもギヤホルダ124aの外周に設けられたギヤと噛み合う位置に設けられている。
【0046】
なお、円偏光部材124が、前方に飛び出さないように、不図示の押さえ板などで、円偏光部材124の周縁部など、レーザビームの光路を妨げない部位を、プリズム部121方向に軽く押さえつけられるように構成してもよい。
駆動源300は、本実施の形態ではステッピングモータを使用しており、その駆動軸に取り付けられたスクリュギヤ301と従動ギヤ125cとが噛合してウォームギヤが形成されており、駆動源300により、1/4波長板124bを回転させることができるように構成されている。
【0047】
1/4波長板124bは、直交する2つの光学軸(fast軸、slow軸)を有しており、レーザビーム群LKおよびLSにおいて、その振幅方向が上記2つの光学軸に対して45°の角度となった状態で入射した場合に、レーザビームを円偏光し、当該角度45°の角度から逸脱する場合は楕円偏光する光学的特性を有する。
本願発明者らは、1/4波長板124bの光学軸の方位角によって、これを通過するP偏光のレーザビームとS偏光のレーザビームの、入射角度に応じた各反射部材における反射光量が異なり、これが光量ムラに影響を与えていることを見い出した。
【0048】
図8のグラフは、この実験結果を示すグラフである。
同グラフにおいて、横軸は、1/4波長板124bの一方の光学軸が所定の基準位置にあるときからの回転角の大きさを示し、縦軸が感光体ドラムの走査域内における光量ムラ量(最大光量と最小光量の差分の、最大光量に対する割合をパーセントで示した値)を示している。
【0049】
このグラフから分かるように、レーザビーム群LK(1200DPI)で露光走査を行った場合に、走査領域内光量ムラ量[%]が最も小さくなる円偏光部材124の角度θ3の値は、150°となっており、このとき、走査領域内光量ムラ量[%]は、4.2[%]程度となった。
次に、それぞれ一定の発光強度に保たれた2本のレーザビームからなる低解像度用のレーザビーム群LSで露光走査を行い、円偏光部材124の角度を段階的に回転させて、各角度毎に第1折り返しミラー174における反射光の主走査方向におけるレーザビーム群LSの強度分布を計測し、このうちの最大値および最小値を抽出して、走査領域内光量ムラ量[%]を求めた。
【0050】
同図に示すように、低解像度用のレーザビーム群LS(600DPI)で露光走査を行った場合、円偏光部材124の回転位置により走査領域内光量ムラ量[%]が大きく変化し、その最も小さくなる円偏光部材124の角度θ4の値は、50°となった。このとき、走査領域内光量ムラ量[%]は、4.6[%]程度となった。
このような両レーザビームによって、走査領域内光量ムラ量の最小となる回転角が異なるのは、1/4波長板124bの光学軸の方位角によって、これを通過するP偏光のレーザビームとS偏光のレーザビームの偏光状態(円偏光が楕円偏光か、楕円偏光であってもその扁平の程度や長径の傾き方など)が異なることによると考えられる。
【0051】
したがって、本実施の形態では、駆動源300による変更される光学軸の方位角を、カラー印刷モードかモノクロ印刷モードかによって制御部60により制御することにより、それぞれの印刷モードにおける光源ユニット110から射出されたレーザビームの主走査方向における光量ムラの大きさが最小になるように構成している。
具体的には、レーザビーム群LKにより露光走査する際、円偏光部材124は、走査領域内光量ムラ量が最も小さくなるように予め調整しておき、このときの円偏光部材124の最頂部を基準点Sとし、この角度を初期角度とする。
【0052】
一方、レーザビーム群LSが偏向ビームスプリッタ121に入射する場合には、円偏光部材124を、図6に示すように、初期角度から角度θ5(=θ3−θ4)の位置まで回転させて、レーザビーム群LSについて最も走査領域内光量ムラ量が小さくなる角度に調整する。
制御部60は、外部端末より受け付けたプリントジョブについて、そのヘッダ情報に基づき、当該プリントジョブが、モノクロ印刷か、カラー印刷であるかを判断し、モノクロ印刷の場合には、円偏光部材124を初期角度のままとし、カラー印刷の場合には、駆動源であるステッピングモータ300を駆動して、基準点SがP1の位置からP2の位置に移動するように、θ5の角度分円偏光部材124を回転させる。
【0053】
この際におけるステッピングモータに与える駆動パルス数が予め求められて制御部60のROMなどの不揮発性メモリに記憶されている。
カラー印刷モードの実行が終了すると、制御部60は、上記駆動パルス数だけステッピングモータを逆回転させて、初期角度に戻す。
なお、本実施の形態では、モノクロ印刷モードの方がカラー印刷モードよりも頻繁に実行されることを想定して、初期角度を設定したが、カラー印刷モードの方が頻繁に実行される場合には、その場合の光量ムラが最小になる回転角を初期角度に設定すればよい。
【0054】
本実施の形態における光走査ユニット10は、高解像度用のレーザビーム群LKおよび低解像度用のレーザビーム群LSによる露光走査において、それぞれ円偏光部材124を走査領域内光量ムラ量が軽減するのに最適な角度に調整する構成であるため、従来のように、円偏光部材124を固定的に配置したものよりも、走査領域内光量ムラ量を軽減することができる。
【0055】
このように、駆動される光源(光源部22Kもしくは光源部22S)に応じて、光量ムラの最小化を実現する構成として、円偏光部材124は1つのみで足りるため、円偏光部材124が高コストである場合には、コストの上昇を抑えることができる。
図9は、露光走査するレーザビームの解像度に応じて、円偏光部材124の回転角度を最適化した場合と、そうでない場合とにおいて、第1折り返しミラー174(図2参照)の主走査方向における反射率をシュミレーションで求めた結果を示す図である。
【0056】
当該反射率が高いものほど、感光体ドラム31Yに照射されるレーザビーム群の強度が大きくなる。 つまり、主走査方向の各位置におけるレーザビーム群の強度の変化幅が小さいほど、走査領域内光量ムラ量が小さく、光量ムラが緩和されることになる。
同図中の「LS−50°」は、低解像度(600DPI)用のレーザビーム群LSで露光走査を行うと共に、円偏光部材124の回転角度を最も走査領域内光量ムラ量が軽減される値(θ4:50°)としたときのシミュレーション結果である。
【0057】
以下、この結果を低解像度最適化時のシミュレーション結果という。
また、同図中の「LK−150°」は、高解像度(1200DPI)用のレーザビーム群LKで露光走査を行うと共に、円偏光部材124の回転角度を最も走査領域内光量ムラ量が軽減される値(θ3:150°)としたときのシミュレーション結果である。
以下、この結果を高解像度最適化時のシミュレーション結果という。
【0058】
さらに、同図中の「LK−50°」は、高解像度(1200DPI)用のレーザビーム群LKで露光走査を行う際に、円偏光部材124の回転角度を最適な値に調整しなかった(回転角度は、θ4:50°のまま)ときのシミュレーション結果である。
以下、この結果を高解像度未調整時のシミュレーション結果という。
同図の横軸は、図2(a)における第1折り返しミラー174の主走査方向における位置を示し、走査角度θ5が0のときのレーザスポットの反射位置S1(基準点)を主走査方向における位置を0とし、これよりも上側を負の領域、下側を正の領域とした。
【0059】
また、縦軸は、高解像度最適化時において、走査角度0°における反射位置S1の反射率(以下、「基準反射率」という。)に対する、各反射率の割合を示す。
同図9に示すように、高解像度最適化時および低解像度最適化時のシミュレーション結果を比較すると、同じ走査位置における双方のプロット点がほぼ重なっている。
このことから、高解像度最適化時と低解像度最適化時とでは、光量ムラの発生状況に差はないと思われる。
【0060】
さらに、高解像度最適化時および低解像度最適化時のシミュレーション結果では、共に0mmの走査位置(図2におけるS1)において反射率のピーク点(共に、反射率が1.000)が存在しており、走査位置がそれぞれ正負の方向に進むにつれ、反射率が減少している。
より具体的には、高解像度最適化時では、走査方向の正負の各領域における反射率の最低値は、それぞれ0.972および0.950となっており、その差は0.022と少なく、走査方向の正負両領域において反射率のバランスがとれた状態となっている。
【0061】
また、低解像度最適化時では、走査方向の正負の各領域における反射率の最低値は、それぞれ0.967および0.947となっており、その差が0.020と少なく、高解像度最適化時と同様に、走査方向の正負両領域において反射率のバランスがとれた状態となっている。
一方、高解像度未調整時および高解像度最適化時のシミュレーション結果を比較すると、同じ走査位置における双方のプロット点同士は大きくずれており、双方の間で光量ムラの発生状況に差が生じていることがわかる。
【0062】
より具体的には、高解像度未調整時では、100mmの走査位置に反射率のピーク点(1.015)が存在しており、走査位置が正の領域では、反射率の最低値が0.996であるのに対し、走査位置が負の領域では、反射率の最低値が0.924となっており、その差が0.072と、高解像度最適化時および低解像度最適化時の場合よりも大きく、正負の領域において反射率のバランスが崩れ、光量ムラが発生し易い状態となっていることがわかる。
【0063】
以上により、本実施の形態によれば、モノクロ印刷モードとカラー印刷モードの双方において、正負の領域において反射率のバランスが崩れ、光量ムラの量を可及的に最小化することができることが分かる。
<変形例>
本発明は、上述のような実施の形態に限られるものではなく、次のような変形例であってもよい。
【0064】
(1)上記実施の形態では、駆動源300は、ステッピングモータとしたが、回転角度を制御可能なものであれば、どのようなモータであっても構わない。
(2)上記実施の形態では、円偏光部材124の外周に設けられたギヤに噛み合う駆動ギヤ125cを駆動源300により回転させて、円偏光部材124の回転角度を調整したが、この構成に限られない。
【0065】
例えば、図10に示すように、外周からU字状のアーム部303が立設している円筒状のホルダ302aの内部に1/4波長板124bが保持されてなる円偏光部材310と、上部にV字状の切欠部331aを有する台座331と、アーム部303を上下させるアクチュエータ320とを備え、ホルダ302aの外周面が切欠部331aの2面に接触して、回転自在に摺設されており、上記アーム部303に、アクチュエータ320により上下駆動されるシャフト322を係合し、上記アーム部303を上下させることにより、円偏光部材310の回転角度を調整する構成としてもよい。
【0066】
このとき、円偏光部材310は、ばねの312aの先端に板状の摺動部材312bを設けた付勢部材312などにより台座331の切欠部331aの2面に押圧されていることが望ましい。
さらに、ホルダ302aの外周面と接触する切欠部331aの上記2面は、テフロン(登録商標)コーティングなどの摺動性を向上させる処理を施すことが望ましい。
【0067】
また、アーム部303とシャフト322との係合は、例えば、以下のように行われることが望ましい。
即ち、シャフト322の先端部には、同図に示すように、径小部322bを挟んでこれよりも外径の大きな球状部322aおよび322cが設けられており、アーム部303のU字状の中央の切欠部303aに径小部322bを嵌め込むことにより、アーム部303およびシャフト322同士が係合される。
【0068】
このような構成とすることで、円偏光部材310の回転角度が変化した際に、アーム部303とシャフト322との間で、相対的な角度変化を許容しつつ、上記係合を維持することができる。
(3)また、この他にも、低解像度(600DPI)用のレーザビーム群LSで露光走査を行う際に、最も走査領域内光量ムラ量が軽減される回転角度に予め設定された第1の円偏光部材と、高解像度(1200DPI)用のレーザビーム群LKで露光走査を行う際に、最も走査領域内光量ムラ量が軽減される回転角度に予め設定された第2の円偏光部材とを用意し、これらを所定のフレームに同一平面上に並べて配設し(以下、「円偏光部材対」)を、当該フレームをスライド自在な構成とし、レーザビーム群LSで露光走査を行う場合、第1の円偏光部材が偏向ビームスプリッタ121の出射面と重なるようにフレームの位置を調整し、また、レーザビーム群LKで露光走査を行う場合には、第2の円偏光部材が偏向ビームスプリッタ121の出射面と重なるようにフレームをスライドさせるようにしてもよい。
【0069】
フレームをスライドさせる代わりに、ある軸を中心として揺動可能な構成にして第1と第2の円偏光部材を切り換えるようにすることも可能である。
要するに、円偏光部材対が、スライドおよび揺動等を含め、第1と第2の円偏光部材の配設方向に移動自在な構成となっていればよい。
このように、駆動される光源(光源部22Kもしくは光源部22S)に応じて、光量ムラの最小化を実現する構成として、予め光学軸の方位角が異なる方向に固定された2つの円偏光部材を用いることで、長期にわたって使用しても、当該光学軸の方位角の狂いを生じにくくすることができる。
【0070】
(4)上記実施の形態では、円偏光部材124、第1および第2の円偏光部材を偏向ビームスプリッタ121よりも光路下流側であって、当該偏向ビームスプリッタ121の出射面に近接するように構成しているが、円偏光部材124が、偏向ビームスプリッタ121の出射面から離れていても構わない。
但し、少なくとも光偏向部150よりも、レーザビームの光路上流側に設ける必要がある。ポリゴンミラー121の反射面との角度も周期的に変化するため、この部分での光量ムラの発生を避ける必要があると共に、円偏光部材124を光偏向部150よりもレーザビームの光路下流側に配設すると、レーザビームの走査範囲の全てをカバーする大きな円偏光部材を設ける必要が生じ、現実的な構成とは言えないためである。
【0071】
(5)上記実施の形態では、高解像度用のレーザビーム群LKおよび低解像度用のレーザビーム群LSによる露光走査において、それぞれ走査領域内光量ムラ量が最小となるように円偏光部材124の角度を調整するとしたが、これに限られるものではなく、走査領域内光量ムラ量が最小とならずとも、従来よりも走査領域内光量ムラ量が小さくなる角度であれば、それでよい。
【0072】
(6)上記実施の形態では、1回の露光走査で一挙に2ライン分の静電潜像を感光体ドラムに書き込むことで画像形成の高速化が図れるように、半導体レーザ素子22aをマルチビーム型であるとしたが、シングルビームであっても構わない。
例えば、ある1つの感光体を露光走査するレーザビームにおいて、スポット径を切り替えて使用する場合、スポット径が異なる2つのシングルビーム型レーザダイオードと偏光ビームスプリッタとを用い、各レーザダイオードから出射されるレーザビームを同一の光路に向けて出射する構成が考えられる。
【0073】
(7)また、上記実施の形態では、光偏向部150は、ポリゴンミラーであるとしたが、これに限らず、MEMSスキャナーなどの反射面が周期的に角度変更可能な構成を用いてもよい。
(8)なお、上記実施の形態では、本発明に係る画像形成装置をタンデム型カラーデジタルプリンタに適用した場合の例を説明したが、これに限られず、モノクロ機のように、プリントヘッドを1つしか有しないものも含め、択一的に駆動される2つの光源から出射した光を、それぞれ偏光ビームスプリッタを用いて同方向に出射する光走査装置を備えた全ての画像形成装置に適用することができる。
【0074】
また、上記実施の形態および上記変形例の内容をそれぞれ組み合わせるとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、択一的に駆動する2つの光源から出射した光を、偏光ビームスプリッタを用いて同方向に出射する光走査装置、および、当該光走査装置を備える画像形成装置に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0076】
1 プリンタ
3 画像プロセス部
4 給紙部
5 定着部
LY Y用レーザビーム群
LM M用レーザビーム群
LC C用レーザビーム群
LK K用レーザビーム群
LS 低解像度レーザビーム群
10Y、10M、10C、10K 光走査ユニット
11 中間転写ベルト
12 駆動ローラ
13 従動ローラ
20 反射ミラー群
22Y 光源部
22M 光源部
22C 光源部
22K 光源部
22S 低解像度光源部
22a 半導体レーザ素子
22b コリメータレンズ
22e ビーム出射孔
30Y、30M、30C、30K 作像部
31Y、31M、31C、31K 感光体ドラム
32Y、32M、32C、32K 帯電器
33Y、33M、33C、33K 現像器
34Y、34M、34C、34K 転写ローラ
35 クリーナ
41 給紙カセット
42 繰り出しローラ
43 搬送路
44 タイミングローラ対
45 二次転写ローラ
46 二次転写位置
50 基準面
60 制御部
71 排出ローラ対
72 排出トレイ
110 光源ユニット
120 ビームスプリッタユニット
121 偏向ビームスプリッタ
121a 半透過膜
122 プリズム部
122a、122b 直角プリズム
122d、122e 1/2波長板
123 円偏光ユニット
124 円偏光部材
124a ギヤホルダ
124b 波長板
124c 開口部
125a、125b、125c、125d 従動ギヤ
131 K用反射ミラー
132 M用反射ミラー
133 Y用反射ミラー
134 共通反射ミラー
140 シリンドリカルレンズ
150 光偏向部
161、162 走査レンズ
171、172、173、174 第1折り返しミラー
181、182、183 第2折り返しミラー
201c、201d、204c、204d 偏光面
300 駆動源
301 スクリュギヤ
312 付勢部材
331 台座
331a 切欠部
302a ホルダ
303 アーム部
303a 切欠部
310 円偏光部材
312 付勢部材
320 アクチュエータ
322 シャフト
322a、322c 球状部
322b 径小部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザビームを、偏向手段により主走査方向に偏向し、走査レンズおよび反射部材を介して、感光体の表面を露光する光走査装置であって、
直線偏光の第1のレーザビームを第1の方向に出射する第1の光源と、
直線偏光の第2のレーザビームを前記第1の方向とは異なる第2の方向に出射する第2の光源と、
異なる方向から入射された前記第1および第2のレーザビームを、それらの偏光面の傾きに応じて一方を透過し、他方を反射することにより、それぞれ前記偏向手段に向かう一の方向に射出する偏光ビームスプリッタと、
前記第1と第2の光源を、選択的に駆動する駆動手段と、
前記偏光ビームスプリッタと前記偏向手段との間に配され、偏光ビームスプリッタから射出されるレーザビームを、その選択された光源に応じて、光学軸の方位角が異なる円偏光素子を透過させて、円偏光もしくは楕円偏光状態に変換する偏光状態変換手段と
を備えることを特徴とする光走査装置。
【請求項2】
前記偏光状態変換手段は、
前記偏光ビームスプリッタから射出されたレーザビームの光路上に一個の円偏光素子を配すると共に、当該円偏光素子の光学軸が、第1の方位角と第2の方位角となるように回転させる回転手段を備え、
選択された光源に応じて、円偏光素子を回転させてその光学軸の方位角を前記第1と第2の方位角に設定すること
を特徴とする請求項に記載の光走査装置。
【請求項3】
前記偏光状態変換手段は、
第1と第2の円偏光素子と、
第1と第2の円偏光素子を保持する保持手段と、
第1と第2の光源の選択に応じて、前記第1と第2の円偏光素子のいずれかが、偏光ビームスプリッタから射出されるレーザビームの光路上に位置するように前記保持手段を移動させる移動手段と
を備え、
前記第1と第2の円偏光素子のそれぞれの光学軸が、前記光路上の位置に移動した状態で、それぞれ第1と第2の方位角となるように、前記保持手段に保持されていること
を特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
【請求項4】
前記第1と第2の方位角は、それぞれ第1と第2のレーザビームで、被感光体を露光走査したときに、その画像走査域における光量の変動量が最も少なくなるように予め設定された値である
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の光走査装置。
【請求項5】
前記第1および第2の光源は、それぞれ複数本のレーザビームを出射するマルチビーム型のレーザダイオードであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の光走査装置。
【請求項6】
請求項1から5に記載の光走査装置を備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−103523(P2012−103523A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−252433(P2010−252433)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】