説明

光走査装置および画像形成装置

【課題】アパーチャによるビームの光量の減衰を低減できる光走査装置を提供する。
【解決手段】光走査装置23は、光源61から出射されたビームLBを光偏光器68によって偏光し、偏光されたビームLBで被走査体(感光体ドラム21)を走査する。光走査装置23は、ビームLBを出射する光源61と、光源61から出射されたビームLBを整形する開口部63aが設けられたアパーチャ63と、アパーチャ63で成形されたビームLBを縮小する縮小光学部64と、光源61から縮小光学部64までの間に配置され、ビームLBを平行化するコリメータ62とを備える。縮小光学部64は、入射したビームLBを平行光として出射する。アパーチャ63および縮小光学部64は、光源61から光偏光器68までの間に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光走査装置に関し、また、光走査装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置では、感光体を露光するため、光走査装置が用いられている。この光走査装置では、光源から出射されたビームがコリメータにより平行光に変換され、アパーチャによってビームが整形される。アパーチャの開口部のサイズは、感光体に対してビームを収束するレンズの焦点距離と、感光体の表面でのビーム径とで決定される。ここで、アパーチャの開口部のサイズを小さくしたとき、ビームが大きく遮られていた。それに伴い、減衰したビームの光量を確保するため、高出力の光源を採用するなどしていた。
【0003】
また、光走査装置について、光源の取り付けずれによって生じるビームピッチずれを補正するため、シリンドリカルレンズを移動可能にする技術が考えられている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、光源からの光をフィードバックして光量制御を行う技術が考えられている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−210760号公報
【特許文献1】特開2006−91157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の画像形成装置において、光源の高出力化には限界があるため、露光するための光量を確保できなくなるという課題がある。
【0007】
また、特許文献1に開示されている技術は、絞り(アパーチャ)によって減衰されたビームの光量をいかにして確保するかについての記載がなく、上記の課題を解決することができない。
【0008】
また、特許文献2に記載された光走査装置は、アパーチャで整形された後のビームの光量を検出して光量の制御を行っている。そして、アパーチャで減衰された光量を確保するために光源の出力を増加している。特許文献2に記載された光走査装置では、光源の高出力化を避けることができない。
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、アパーチャによるビームの光量の減衰を低減できる光走査装置を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、光量の減衰を低減できる光走査装置を備えることによって、画像を形成する際に必要な光量が確保された画像形成装置を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る光走査装置は、光源から出射されたビームを光偏光器によって偏光し、偏光されたビームで被走査体を走査する光走査装置であって、ビームを出射する光源と、前記光源から出射されたビームを整形する開口部が設けられたアパーチャと、前記アパーチャで成形されたビームを縮小する縮小光学部とを備え、前記アパーチャおよび前記縮小光学部は、前記光源から前記光偏光器までの間に配置されていることを特徴とする。
【0012】
この構成によると、縮小光学部によって、最適な大きさのビーム径を得ることができる。つまり、アパーチャでビームを縮小する必要が無いので、アパーチャの開口部のサイズを大きくしてビームの光量の減衰を低減できる。
【0013】
本発明に係る光走査装置では、前記開口部のサイズは、前記縮小光学部の縮小倍率に基づいて決定されることを特徴とする。
【0014】
この構成によると、アパーチャの開口部を最適な大きさのビーム径を得られるサイズとすることができる。
【0015】
本発明に係る光走査装置は、光源から出射されたビームを光偏光器によって偏光し、偏光されたビームで被走査体を走査する光走査装置であって、ビームを出射する光源と、前記光源から出射されたビームを縮小する縮小光学部と、前記縮小光学部で縮小されたビームを成形する開口部が設けられたアパーチャとを備え、前記縮小光学部および前記アパーチャは、前記光源から前記光偏光器までの間に配置されていることを特徴とする。
【0016】
この構成によると、縮小光学部によって、ビームの光量を減衰させずにビーム径を縮小することができる。また、ビーム径が縮小されているので、サイズの小さいアパーチャを適用することができ、装置を小型化する際に有効となる。
【0017】
本発明に係る光走査装置は、前記縮小光学部は、凸レンズと凹レンズとを備える構成とされ、入射したビームを平行光として出射することを特徴とする。
【0018】
この構成によると、ビームを平行光として出射する単純な構成とすることができ、省スペース化が可能となる。また、平行光とされたビームを出射することで、焦点の位置を容易に調整でき、設計における自由度が向上する。
【0019】
本発明に係る光走査装置では、前記光源から前記縮小光学部までの間に配置され、前記ビームを平行化するコリメータを備えることを特徴とする。
【0020】
この構成によると、ビームを平行光として出射するための単純な構成とすることができる。
【0021】
本発明に係る光走査装置では、前記縮小光学部の縮小倍率は、ビームで被走査体を走査する第1走査方向と、前記第1走査方向と直交する第2走査方向とで異なることを特徴とする。
【0022】
この構成によると、被走査体に照射するビームの断面の形状に応じて、適切な縮小倍率とすることができる。
【0023】
本発明に係る画像形成装置装置は、前記光走査装置により走査される光に基づいて画像を形成する構成とされていることを特徴とする。
【0024】
この構成によると、光量の減衰を低減できる光走査装置を備えることによって、画像を形成する際に必要な光量が確保された画像形成装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によると、縮小光学部によって、最適な大きさのビーム径を得ることができる。つまり、アパーチャでビームを縮小する必要が無いので、アパーチャの開口部のサイズを大きくしてビームの光量の減衰を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態1に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【図2】本発明の実施の形態2に係る光走査装置の構成を示す概略斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態2に係る光走査装置の変形例の構成を示す概略斜視図である。
【図4】アパーチャから出射したビームと縮小光学部との関係を示す説明図であって、(a)は、縮小光学部を備えない場合のビームを示す模式平面図であり、(b)は、縮小光学部を備える場合のビームを示す模式平面図である。
【図5】ビーム径と焦点深度との関係を示す説明図であって、(a)は、ビーム径が大きい場合を示す模式平面図であり、(b)は、ビーム径が小さい場合を示す模式平面図である。
【図6】本発明の実施の形態3に係る光走査装置の構成を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
<実施の形態1>
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態1に係る光走査装置を備える画像形成装置について説明する。
【0028】
図1は、本発明の実施の形態1に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【0029】
画像形成装置100は、原稿用紙搬送部101、画像読取部102、画像形成部103、記録用紙搬送部104、および給紙部105を備える構成とされ、例えば、複写機などである。画像形成装置100は、画像読取部102または外部から受信した画像データに応じて、用紙にモノクロ画像を形成する。
【0030】
原稿用紙搬送部101は、セットされた原稿を画像読取部102に搬送する。
【0031】
画像読取部102は、原稿の画像を読み取って、画像データとして画像形成部103に出力する。なお、画像データに対して、マイクロコンピュータ等の制御回路により各種の画像処理を施してから出力してもよい。
【0032】
画像形成部103は、画像データによって示される原稿を用紙に記録する。画像形成部103は、感光体ドラム21、帯電器22、光走査装置23、現像器24、転写ユニット25、クリーニングユニット26、および定着装置27等を備える構成とされている。
【0033】
感光体ドラム21は、表面が有機感光体である。感光体ドラム21の表面は、クリーニングユニット26によりクリーニングされ、帯電器22により均一に帯電される。
【0034】
帯電器22は、チャージャー型であっても、感光体ドラム21に接触するローラ型やブラシ型であっても良い。
【0035】
光走査装置23は、レーザスキャニングユニット(LSU)である。光走査装置23は、入力された画像データに応じて、レーザ光を感光体ドラム21に照射して、均一に帯電された感光体ドラム21の表面を露光し、感光体ドラム21の表面に静電潜像を形成する。つまり、画像形成装置100は、光走査装置23により走査されるレーザ光に基づいて画像を形成する構成とされている。この構成によると、画像を形成する際に必要な光量が確保された画像形成装置100を提供することができる。なお、光走査装置23の構成については、実施の形態2および実施の形態3で詳述する。
【0036】
現像器24は、トナーを感光体ドラム21の表面に供給して、静電潜像を現像し、トナー像(可視像)を感光体ドラム21の表面に形成する。
【0037】
転写ユニット25は、感光体ドラム21の表面のトナー像を用紙搬送部104により搬送されてきた記録用紙に転写する。転写ユニット25は、転写ベルト31、駆動ローラ32、従動ローラ33、および弾性導電性ローラ34等を備えており、転写ベルト31を該各ローラ32〜34と他のローラに張架して回転させている。
【0038】
転写ベルト31は、所定の体積抵抗値(例えば、1×109〜1×1013Ω/cm)のベルト部材である。また、感光体ドラム21と転写ベルト31とが接触している領域(画像転写部57)の近傍には、転写電界を印加するための弾性導電性ローラ34が配置されている。
【0039】
弾性導電性ローラ34は、転写ベルト31を感光体ドラム21に押し付けるように転写ベルト31および感光体ドラム21を押圧している。これによって、画像転写部57は、線形状ではなく、所定幅を有する面形状となっている。そのため、搬送される記録用紙への転写効率を向上することができる。
【0040】
弾性導電性ローラ34には、感光体ドラム21の表面に形成されたトナー像の電荷とは逆極性の転写電界が印加されており、この逆極性の転写電界により感光体ドラム21の表面のトナー像が記録用紙に転写される。例えば、トナー像がマイナス極性の電荷を帯びている場合、弾性導電性ローラ34に印加される転写電界の極性はプラス極性となる。
【0041】
さらに、画像転写部57よりも用紙搬送方向下流側には、除電ローラ54が配置されている。除電ローラ54は、画像転写部57を通過する際に帯電した用紙に対して除電処理を行う。除電処理によって、定着装置27への記録用紙の搬送をスムーズにすることができる。本実施の形態において、除電ローラ54は、転写ベルト31の背面に配置されている。
【0042】
また、転写ユニット25は、転写ベルト31のトナー汚れを除去するベルトクリーニングユニット56と、転写ベルト31に除電処理を施す除電ユニット55とを備える。
【0043】
除電ユニット55の除電方法は、例えば、装置を介して転写ベルト31を接地する方法、転写電界の極性とは逆極性の電界を転写ベルト31に印加する方法などである。
【0044】
クリーニングユニット26は、現像、転写後に感光体ドラム21の表面に残留したトナーを除去して回収する。
【0045】
定着装置27は、加熱ローラ35および加圧ローラ36を備え、記録用紙を加熱及び加圧して、記録用紙上のトナー像を定着させる。
【0046】
加熱ローラ35の内部には、外周面を所定温度(例えば、160〜200℃)に加熱するための熱源が配置されている。
【0047】
加圧ローラ36は、軸方向両端部に荷重バネ等の機構を備え、この機構によって、加圧ローラ36が加熱ローラ35に対して所定の荷重で圧接する構成とされている。また、加圧ローラ36の周囲には、用紙剥離爪、ローラ表面クリーニング部材が配置されている。
【0048】
定着装置27において、加熱ローラ35と加圧ローラ36との圧接部である定着処理部で、記録用紙上の未定着トナー像が加熱融解され加圧されて、トナー像が記録用紙に定着される。
【0049】
記録用紙搬送部104は、記録用紙を搬送するための搬送経路43、レジストローラ42、排紙ローラ46を備えている。
【0050】
搬送経路43では、記録用紙を給紙部105から受け取り、記録用紙の先端がレジストローラ42に達するまで記録用紙を搬送する。
【0051】
レジストローラ42は、記録用紙を転写ユニット25へと搬送する。
【0052】
排紙ローラ46は、定着装置27でトナー像が定着された記録用紙を排紙トレイ47へと搬送する。
【0053】
給紙部105は、複数の給紙トレイ51を備えている。
【0054】
給紙トレイ51は、記録用紙を蓄積しておくためのトレイであり、画像形成装置100の下方に設けられている。また、給紙トレイ51は、記録用紙を一枚ずつ引き出すためのピックアップローラ等を備えており、引き出した記録用紙を用紙搬送部104の搬送経路43へと送り出す。なお、本実施の形態の画像形成装置100は、高速印字処理を可能にするため、定型サイズの用紙を500〜1500枚収納可能な給紙トレイ51を複数備えている。
【0055】
また、画像形成装置100の側面には、主として不定型サイズの記録用紙を供給するための手差しトレイ53が設けられ、さらに、複数種の記録用紙を多量に収納可能な大容量給紙カセット(LCC)52を設けてもよい。
【0056】
排紙トレイ47は、手差しトレイ53とは反対側の側面に配置されている。この排紙トレイ47に代えて、排紙用紙の後処理装置(ステープル、パンチ処理等々)や、複数段の排紙トレイをオプションとして配置することも可能な構成となっている。
【0057】
<実施の形態2>
図2は、本発明の実施の形態2に係る光走査装置の構成を示す概略斜視図である。
【0058】
本発明の実施の形態に係る光走査装置23は、光源61から出射されたビームLBを光偏光器68によって偏光し、偏光されたビームLBで被走査体(感光体ドラム21)を走査する。光走査装置23は、ビームLBを出射する光源61と、光源61から出射されたビームLBを整形する開口部63aが設けられたアパーチャ63と、アパーチャ63で成形されたビームLBを縮小する縮小光学部64とを備える。アパーチャ63および縮小光学部64は、光源61から光偏光器68までの間に配置されている。
【0059】
この構成によると、縮小光学部64によって、最適な大きさのビーム径を得ることができる。つまり、アパーチャ63でビームLBを縮小する必要が無いので、アパーチャ63の開口部63aのサイズを大きくしてビームLBの光量の減衰を低減できる。
【0060】
光走査装置23では、ビームLBの進行方向の上流から下流に向けて、光源61、コリメータ62、アパーチャ63、縮小光学部64、第1シリンドリカルレンズ66、ミラー67、光偏光器68、走査レンズ69、70、第2シリンドリカルレンズ71、および折り返しミラー72が順に配置されている。
【0061】
光走査装置23から出射されたビームLBは、感光体ドラム21の表面に照射される。なお、以下では、感光体ドラム21の表面に照射されたビームLBが走査する方向を第1走査方向Hと呼び、ビームLBの光軸に直交し第1走査方向Hに対して直交する方向を第2走査方向Vと呼ぶ。
【0062】
光走査装置23は、光源61から縮小光学部64までの間に配置され、ビームLBを平行化するコリメータ62を備える。この構成によると、ビームLBを平行光として出射するための単純な構成とすることができる。なお、コリメータ62は、アパーチャ63より上流側に配置されている。
【0063】
光源61は、例えば、レーザダイオードなどである。光源61から出射されるビームLBにおける光軸に垂直な断面(ビーム断面)は、円形状とされている。
【0064】
コリメータ62は、光源61から拡散するように出射される円錐状のビームLBを平行状のビームLBに整形する光学部品である。
【0065】
アパーチャ63は、中央に矩形状の開口部63aが形成された板状部材であり、ビームLBが通過するとき、ビーム断面を楕円形状から矩形状に整形する光学部品である。
【0066】
縮小光学部64は、凸レンズ64aと凹レンズ64bとを備える構成とされ、入射したビームLBを平行光として出射する。この構成によると、ビームを平行光として出射する単純な構成とすることができ、省スペース化が可能となる。また、平行光とされたビームを出射することで、焦点の位置を容易に調整でき、設計における自由度が向上する。
【0067】
本実施の形態において、凸レンズ64aは、第2走査方向Vに対してのみビームLBを収束するものとされている。凹レンズ64bは、凸レンズ64aによって第2走査方向Vに対して収束されたビームLBを平行光とするものである。縮小光学部64の縮小倍率は、例えば、第1走査方向Hに対して1倍(等倍)とされ、第2走査方向Vに対して1/5倍とされている。
【0068】
上述したように、縮小光学部64の縮小倍率は、第1走査方向Hと、第2走査方向Vとで異なる構成であってもよい。この構成によると、被走査体(感光体ドラム21)に照射するビームLBの断面の形状に応じて、適切な縮小倍率とすることができる。
【0069】
開口部63aのサイズは、縮小光学部64の縮小倍率に基づいて決定される。この構成によると、アパーチャ63の開口部63aを最適な大きさのビーム径を得られるサイズとすることができる。また、アパーチャ63の開口部63aのサイズを大きくすることによって、開口部63aを形成する加工が容易となる。なお、開口部63aのサイズとは、第1走査方向Hまたは第2走査方向Vに対する開口幅のことであって、ビーム径とは、第1走査方向Hまたは第2走査方向Vに対するビームLBの幅のことである。
【0070】
また、開口部63aのサイズは、第1走査方向Hおよび第2走査方向Vにおいて、アパーチャ63に入射するビーム径より小さいことが望ましい。この構成によると、アパーチャ63によって、ビーム断面の形状を確実に整形することができる。
【0071】
第1シリンドリカルレンズ66およびミラー67は、光偏光器68の反射面に対してビームLBを収束させるための光学部品である。
【0072】
光偏光器68は、複数の反射面が形成されたポリゴンミラーであり、図示しないドライバにより回転駆動される。光偏光器68は、反射したビームLBが第1走査方向Hに沿って走査されるように回転駆動する。以下では、第1走査方向HでビームLBが走査される範囲を走査範囲と呼ぶ。また、第1走査方向Hは、感光体ドラム21の回転軸と平行な方向である。
【0073】
上述したように、光走査装置23は、光源61から出射されたビームLBを偏光して、被走査体(感光体ドラム21)における第1走査方向Hに走査する光偏光器68を備える。この構成によると、被走査体(感光体ドラム21)にビームLBを走査して静電潜像を形成する光走査装置23とすることができる。
【0074】
走査レンズ69、70は、走査範囲の端部に照射されるビームLBの光路長と、走査範囲の中央に照射されるビームLBの光路長との相違に起因して生じる画像の歪みを補正するための光学部品である。つまり、走査レンズ69、70は、光偏光器68で走査されたビームLBを感光体ドラム21上で等速走査させる光学部品であり、fθレンズとも呼ばれている。
【0075】
第2シリンドリカルレンズ71は、第1シリンドリカルレンズ66との相互作用によって、光偏光器68の面倒れを補正するための光学部品である。
【0076】
折り返しミラー72は、光反射部材であり、照射されたビームLBを反射して感光体ドラム21の表面へ導く。
【0077】
また、光走査装置23は、さらに、反射ミラー73、およびBD(Beam Detector)センサ74を備えている。
【0078】
反射ミラー73は、光偏光器68から走査範囲の端部に照射されるビームLBを反射してBDセンサ74に導く。
【0079】
BDセンサ74は、ビームLBを受光し感光体ドラム21へのラインごとの走査開始または走査終了のタイミングを検知して、その結果を信号として出力する。
【0080】
本実施の形態において、凸レンズ64aは、第2走査方向Vに対してのみビームLBを収束するものとしたが、凸レンズ64aを第1走査方向Hおよび第2走査方向Vに対してビームLBを収束するものとしてもよい。
【0081】
図3は、本発明の実施の形態1に係る光走査装置の変形例の構成を示す概略斜視図である。なお、図2と機能、構造が実質的に等しい構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0082】
変形例では、凸レンズ64cを第1走査方向Hおよび第2走査方向Vに対してビームLBを収束するものとしている。また、凹レンズ64dは、凸レンズ64cによって第1走査方向Hおよび第2走査方向Vに対して収束されたビームLBを平行光とするものである。なお、縮小光学部64の縮小倍率は、第1走査方向Hと、第2走査方向Vとで異なる構成であってもよい。この構成によると、被走査体に照射するビームの断面の形状に応じて、適切な縮小倍率とすることができる。
【0083】
図4は、アパーチャから出射したビームと縮小光学部との関係を示す説明図であって、(a)は、縮小光学部を備えない場合のビームを示す模式平面図であり、(b)は、縮小光学部を備える場合のビームを示す模式平面図である。
【0084】
図4(a)のように縮小光学部を備えない場合では、アパーチャ163の開口部163aは、狭い開口幅AW1とされている。光源161から出射されたビームLBは、コリメータ162によって照射ビーム幅BWの平行光とされる。ビームLBは、アパーチャ163を通過した際に、開口幅AW1と等しいビーム幅Dの平行光とされる。ここで、ビームLBは、アパーチャ163で遮られることによって、ビームLBの光量が減衰する。照射ビーム幅BWと開口幅AW1との差が大きくなるにつれて、光量は大きく減衰する。
【0085】
図4(b)に示す縮小光学部を備える場合では、アパーチャ63の開口部63aは、図4(a)の開口幅AW1より広い開口幅AW2とされている。つまり、開口幅AW2と照射ビーム幅BWとの差を小さくすることによって、ビームLBの光量の減衰を低減している。
【0086】
光源61から出射されたビームLBは、コリメータ62によって照射ビーム幅BWの平行光とされる。ビームLBは、開口幅AW2とされたアパーチャ63を通過した際に、開口幅AW2と等しいビーム幅の平行光とされる。アパーチャ63を通過したビームLBは、縮小光学部64によってビーム幅Dの平行光とされる。
【0087】
図4(a)に示す場合では、照射ビーム幅BWに比べて開口幅AW1が狭いため、ビームLBは大きく遮られて、光量が大きく減衰する。本実施の形態では、図4(b)に示すように、開口幅AW2を広くしてビームLBの光量の減衰を低減している。また、縮小光学部64によって、下流側で要求される最適なビーム幅Dとしている。
【0088】
図5は、ビーム径と焦点深度との関係を示す説明図であって、(a)は、ビーム径が大きい場合を示す模式平面図であり、(b)は、ビーム径が小さい場合を示す模式平面図である。
【0089】
上述したように、光源61から出射されたビームLBは、第1シリンドリカルレンズ66およびミラー67によって光偏光器68の反射面に収束され、収束されたビームLBによって感光体ドラム21の表面を露光する。このとき、ビームLBが充分に収束されていなければ、感光体ドラム21を露光するのに必要な光量が得られない。
【0090】
一般的に、焦点深度は、レンズに入射するビーム幅によって変化する。ここで、焦点深度とは、一定の解像力を維持できる光軸上の範囲のことである。つまり、像面(感光体ドラム21の表面)が焦点深度に含まれていれば、露光に必要な光量を確保することができる。ビーム幅と焦点深度との関係について、次のような式で表すことができる。
【0091】
d=2.44×(λ×f)/D
A=2×(λ×f2)/D2
ここで、λはビームの波長、fは焦点距離(レンズから焦点までの距離)、Dは入射ビーム幅、dはスポット径(焦点でのビーム幅)、Aは焦点深度を示す。
【0092】
上記の式から、入射ビーム幅Dが小さくなるにつれて、スポット径dおよび焦点深度Aが大きくなることがわかる。
【0093】
図5(a)では、アパーチャ81によって大きい入射ビーム幅DaとされたビームLBをレンズ82で収束している。入射ビーム幅Daが大きいときは、スポット径daを小さく絞ることができるが、焦点深度Aaが狭くなる。また、像面が焦点からずれたとき、ビーム径の変化が大きくなる。
【0094】
図5(b)では、アパーチャ81によって小さい入射ビーム幅DbとされたビームLBをレンズ82で収束している。入射ビーム幅Dbが小さいときは、図5(a)の場合と比較して、スポット径dbは大きくなり、焦点深度Abが広くなる。また、像面が焦点からずれてもビーム径の変化は小さい。
【0095】
上述したように、入射ビーム幅Dを小さくすれば焦点深度Aが広くなるため、像面のずれなどに容易に対処できる。図5(a)に示すように、縮小光学部64によって縮小せずに入射ビーム幅DaのビームLBを収束する場合、像面のずれに対処することが困難となる。本実施の形態では、縮小光学部64でビームLBを縮小することによって、最適な大きさのビーム径としている。
【0096】
<実施の形態3>
図6は、本発明の実施の形態3に係る光走査装置の構成を示す概略斜視図である。なお、実施の形態2と機能、構造が実質的に等しい構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0097】
本発明の実施の形態に係る光走査装置23aは、光源61から出射されたビームLBを光偏光器68によって偏光し、偏光されたビームLBで被走査体(感光体ドラム21)を走査する。光走査装置23aは、ビームLBを出射する光源61と、光源61から出射されたビームLBを縮小する縮小光学部64と、縮小光学部64で縮小されたビームLBを成形する開口部65aが設けられたアパーチャ65とを備える。縮小光学部64およびアパーチャ65は、光源61から光偏光器68までの間に配置されている。
【0098】
この構成によると、縮小光学部64によって、ビームLBの光量を減衰させずにビーム径を縮小することができる。また、ビーム径が縮小されているので、サイズの小さいアパーチャ65を適用することができ、装置を小型化する際に有効となる。
【0099】
光走査装置23aでは、ビームの進行方向の上流から下流に向けて、光源61、コリメータ62、縮小光学部64、アパーチャ65、第1シリンドリカルレンズ66、ミラー67、光偏光器68、走査レンズ69、70、第2シリンドリカルレンズ71、および折り返しミラー72が順に配置されている。光走査装置23aから出射されたビームLBは、感光体ドラム21の表面に照射される。つまり、実施の形態3は、縮小光学部64をアパーチャ65の上流に配置している点で、実施の形態2と異なる。
【0100】
縮小光学部64は、凸レンズ64aと凹レンズ64bとを備える構成とされ、入射したビームLBを平行光として出射する。この構成によると、ビームを平行光として出射する単純な構成とすることができ、省スペース化が可能となる。また、平行光とされたビームを出射することで、焦点の位置を容易に調整でき、設計における自由度が向上する。
【0101】
光走査装置23は、光源61から縮小光学部64までの間に配置され、ビームLBを平行化するコリメータ62を備える。この構成によると、ビームLBを平行光として出射するための単純な構成とすることができる。なお、コリメータ62は、アパーチャ65より上流側に配置されている。
【符号の説明】
【0102】
10、10a 光走査装置
21 感光体ドラム(被走査体)
61 光源
62 コリメータ
63、65 アパーチャ
63a、65a 開口部
64 縮小光学部
64a、64c 凸レンズ
64b、64d 凹レンズ
66 第1シリンドリカルレンズ
67 ミラー
68 光偏光器
69、70 走査レンズ
71 第2シリンドリカルレンズ
72 折り返しミラー
73 反射ミラー
74 BDセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から出射されたビームを光偏光器によって偏光し、偏光されたビームで被走査体を走査する光走査装置であって、
ビームを出射する光源と、
前記光源から出射されたビームを整形する開口部が設けられたアパーチャと、
前記アパーチャで成形されたビームを縮小する縮小光学部とを備え、
前記アパーチャおよび前記縮小光学部は、前記光源から前記光偏光器までの間に配置されていること
を特徴とする光走査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光走査装置であって、
前記開口部のサイズは、前記縮小光学部の縮小倍率に基づいて決定されること
を特徴とする光走査装置。
【請求項3】
光源から出射されたビームを光偏光器によって偏光し、偏光されたビームで被走査体を走査する光走査装置であって、
ビームを出射する光源と、
前記光源から出射されたビームを縮小する縮小光学部と、
前記縮小光学部で縮小されたビームを成形する開口部が設けられたアパーチャとを備え、
前記縮小光学部および前記アパーチャは、前記光源から前記光偏光器までの間に配置されていること
を特徴とする光走査装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1つに記載の光走査装置であって、
前記縮小光学部は、凸レンズと凹レンズとを備える構成とされ、入射したビームを平行光として出射すること
を特徴とする光走査装置。
【請求項5】
請求項4に記載の光走査装置であって、
前記光源から前記縮小光学部までの間に配置され、前記ビームを平行化するコリメータを備えること
を特徴とする光走査装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1つに記載の光走査装置であって、
前記縮小光学部の縮小倍率は、ビームで被走査体を走査する第1走査方向と、前記第1走査方向と直交する第2走査方向とで異なること
を特徴とする光走査装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1つに記載の光走査装置を備え、
前記光走査装置により走査される光に基づいて画像を形成する構成とされていること
を特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−32708(P2012−32708A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−173780(P2010−173780)
【出願日】平成22年8月2日(2010.8.2)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】