光走査装置及び光学パターン読取装置
【課題】走査角が大きくなっても、走査対象とビームウエストの位置とのずれを抑制すること。
【解決手段】レーザ光を出力する光源と、該光源からのレーザ光を反射して周期的に走査させる走査手段と、を備えた光走査装置であって、前記走査手段が、レーザ光を反射するミラー部と、一走査中、仮想平面上を前記レーザ光のビームウエスト位置が移動するよう、前記ミラー部の曲率を走査周期の1/2周期で変化させる駆動手段と、を備えたことを特徴とする。
【解決手段】レーザ光を出力する光源と、該光源からのレーザ光を反射して周期的に走査させる走査手段と、を備えた光走査装置であって、前記走査手段が、レーザ光を反射するミラー部と、一走査中、仮想平面上を前記レーザ光のビームウエスト位置が移動するよう、前記ミラー部の曲率を走査周期の1/2周期で変化させる駆動手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光走査装置及び光学パターン読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、バーコードに代表される光学パターンの読取装置として、レーザ方式やCCDラインセンサを用いた方式、2次元バーコードも読み取り可能なCMOSセンサを用いた方式などが実用化されている。このうちレーザー方式は、光走査装置によりレーザ光を走査して反射光強度の時間変化を検出するものであり、コスト的なメリットが比較的大きい。
【0003】
近年、レーザ方式以外のCCD方式などで読み取り率(読み取りの成功率)が向上し、またデータ量増加に伴って光学パターンが幅広化している。このため、レーザ方式にも読み取り率の向上、光学パターンの幅広化への対応が求められている。
【0004】
レーザ方式で読み取り率を上げるものとしては、可変焦点ミラーを用いた方法が提案されている(例えば特許文献1)。この方法は、レーザ光の走査周期よりも長い周期で可変焦点ミラーの曲率を変化させ、レーザ光のビームウエストの位置を周期的に変化させるものである。走査毎に焦点距離を変えた走査を連続的に行うことで読み取り可能な範囲を拡大し、読み取り率を向上することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7-121645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
レーザー方式で用いられる光走査装置は、一般に、レーザ光を出射するミラーを周期的に揺動させてレーザ光を走査させる。バーコードのように平面的な走査対象を走査する場合、走査対象の中央部と端部とではミラーからの距離が異なる。幅広のバーコードを読み取る場合や、至近距離で走査対象を走査する場合のように走査角が大きくなると、走査対象の中央部と端部とではミラーからの距離が顕著に異なってくる。一方、レーザ光のビームウエストの位置は円弧状の軌跡を描くことから、走査角が大きくなると、一走査において走査対象の部位によってビームウエストの位置と走査対象との位置ずれが大きくなり、読み取り率が低下する。
【0007】
本発明の目的は、走査角が大きくなっても、走査対象とビームウエストの位置とのずれを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、レーザ光を出力する光源と、該光源からのレーザ光を反射して周期的に走査させる走査手段と、を備えた光走査装置であって、前記走査手段が、レーザ光を反射するミラー部と、一走査中、仮想平面上を前記レーザ光のビームウエスト位置が移動するよう、前記ミラー部の曲率を走査周期の1/2周期で変化させる駆動手段と、を備えたことを特徴とする光走査装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、走査角が大きくなっても、走査対象とビームウエストの位置とのずれを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る光学パターン読取装置の概略図。
【図2】走査ユニットの概略図。
【図3】(A)はミラー部周辺の構成の斜視図、(B)は分解斜視図。
【図4】(A)は従来の問題点の説明図、(B)はビームウエスト位置の移動軌跡の説明図、(C)はミラー部の曲率変化の例を示す図。
【図5】(A)乃至(D)は制御信号の説明図。
【図6】(A)及び(B)は仮想平面を移動させる方法の説明図。
【図7】(A)乃至(C)は仮想平面を傾斜させる方法の説明図。
【図8】(A)及び(B)は揺動ユニットの他の例の説明図。
【図9】(A)及び(B)は圧電素子の他の配置例の説明図。
【図10】(A)乃至(C)はミラー部を円弧形状とした例の説明図。
【図11】曲率が可変のミラー部と、出射用のミラー部とを別構成とした例の説明図。
【図12】本発明の別実施形態に係る光学パターン読取装置の概略図。
【図13】(A)及び(B)は図12の例の走査ユニットの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施形態>
図1は本発明の一実施形態に係る光学パターン読取装置Aの概略図である。読取装置Aは、光走査装置B、光学系3、受光センサ4及びこれらを収容したケース5を備える。同図の例では光学系3は集光レンズであり、受光センサ4はフォトセンサである。光走査装置Bはレーザ光を出力する光源2と、光源2からのレーザ光を反射して周期的に走査させる走査ユニット1と、を備える。走査対象である光学パターンTは例えばバーコードである。
【0012】
読取装置Aは、光源2から不図示のコリメータレンズを通して射出されたレーザー光を、光走査装置1により窓部5aを介して出射して光学パターンT上で走査し、光学パターンTからの散乱光が窓部5a及び光学系3を通して受光センサ4で検出される構成になっている。そして、不図示の信号処理回路及びデコーダにより、受光センサ4の出力の時系列変化から光学パターンTの読み取り信号を検出し、デコード出力を行う。これにより、光学パターンTにより示される情報のデータが出力されることになる。
【0013】
次に、走査ユニット1の構成について図2及び図3を参照して説明する。図2は走査ユニット1の概略図、図3はミラー部11周辺の構成を示し、図3(A)はその斜視図、図3(B)はその分解斜視図である。
【0014】
走査ユニット1は、光源2からのレーザ光を反射して光学パターンTへ向けて出射するためのミラー部11と、ミラー部11の曲率を変化させる駆動ユニット12と、ミラー部11を揺動させる揺動ユニット13と、を備える。
【0015】
ミラー部11は、板状の基部111と、その表面に形成された鏡面112と、を備える。基部111はミラー部11の曲率を可変とすべく、弾性を有する金属材料が好ましい。本実施形態の場合、基部111は後述する他の構成と共に基材BPに一体的に形成されている。
【0016】
本実施形態では基部111の表面に反射膜を設けて鏡面112を形成しているが、基部111の材料の表面を鏡面112とすることも可能である。鏡面112を反射膜により形成する場合、Au、Ag、Al等の蒸着膜で形成することができ、必要に応じて増反射膜が形成される。
【0017】
駆動ユニット12は、基部111の裏面に配設された圧電素子121と、圧電素子121の駆動信号を生成する駆動回路122と、を備える。圧電素子121は駆動回路122からの駆動信号によって伸縮する。圧電素子121によって基部111の裏面に基部111を曲げ変形させる変形力が付勢され、ミラー部11の曲率が変化する。これによりミラー部11は可変焦点ミラーとして機能する。
【0018】
本実施形態の場合、ミラー部11の曲率を変化させるデバイスとして圧電素子121を採用したが他のデバイスを採用してもよい。しかし、圧電素子121の採用と、基部111の裏面への圧電素子121の配設とにより、ミラー部11をより小型化された可変焦点ミラーとすることができる。
【0019】
圧電素子21は、変位量の大きいチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)が好ましいが、特に限定されるものではなく、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、ニオブ酸鉛等、圧電特性を有する材料であれば良い。圧電素子21は焼結体の素子の接着や直接成膜によって形成される。焼結体の積層構造を持つ圧電素子は変位量が大きく非常に優れた特性を有するが、接着部分の耐久性を考慮すると基部111への直接成膜が好ましい。
【0020】
その中でも、成膜レートが高く膜質の良い厚膜形成が容易なエアロゾルディポジション法やガスデポジション法を用いるのが好ましい。圧電材料にPZTを用い、基部111として金属材料を用いる場合には、圧電特性を向上させるために、鉛の拡散を防止する中間層の形成、及び、熱処理温度をできるだけ高くするために金属材料として耐熱性の高い材料を用いるのが好ましく、この点でも500℃〜600℃程度で時効硬化処理を行うCo-Ni基合金は最適である。
【0021】
駆動回路122は、電気信号である駆動信号を圧電素子121に供給する。駆動回路122は周期的に変化する電気信号を出力可能であればどのような回路構成であってもよい。本実施形態の場合、基材BPが圧電素子121の電極及び配線の一方を兼ねており、駆動回路122は圧電素子121と基材BPとに電気的に接続されている。
【0022】
揺動ユニット13は、揺動部131と、捻り軸132と、一対の連結部133、133と、磁石134、134と、駆動コイル135と、駆動回路136と、を備える。揺動部131、捻り軸132、及び、一対の連結部133は、上述した基部111と共に基材BPに一体的に形成されている。これらの一部は別体とすることも可能であるが、耐久性、製造工程の簡略化、低コスト化の観点からは一体構造が望ましい。
【0023】
基材BPは、金属材料やシリコンウエハの他、セラミック基板などの板材から形成でき、その形状は、エッチング、プレス加工、レーザー加工、ワイヤ放電加工等で形成できる。耐衝撃性の観点から容易には破断しない金属材料が好ましく、繰り返し耐久性の高いSUS301やSUS631等のステンレスや銅合金、Co-Ni基合金などが好ましい。その中でも特にCo-Ni基合金は特に疲労限が高く、好適である。
【0024】
捻じり軸132の下端は固定され、上端は揺動部131に接続されている。揺動部131の表裏面には、それぞれ磁石134、134が固着されている。磁石134、134の材質は特に限定されるものではないが、慣性モーメントを小さくするために出来るだけ小型で磁力の強いものが好ましく、磁力の強いNd-Fe-B系磁石やSm-Co系磁石等や、小型形状形成が可能な加工性に優れたFe-Cr-Co系磁石などが好適である。
【0025】
駆動コイル135には駆動回路136には走査周期に応じた周波数の電気信号である駆動信号が供給される。駆動回路136は周期的に変化する電気信号を出力可能であればどのような回路構成であってもよい。この駆動信号により駆動コイル135から発生する磁界によって、磁石134、134を介して揺動部131に揺動力が付勢され、捻り軸132に捻り振動が生じて、捻り軸132の軸線を揺動中心L1として揺動部131が揺動する。
【0026】
ミラー部11の基部111は一対の連結部133、133を介して揺動部131に接続されていることから、ミラー部11も揺動中心L1周りに揺動することになる。こうしてミラー部11の向きが周期的に変化して所定の走査周期でレーザ光を走査することができる。
【0027】
本実施形態の場合、一対の連結部133、133により基部111と揺動部131とを連結したため、1つの連結部で連結する場合よりも、基部111がその法線方向周りに揺動して異常振動を生じる事態を回避することができる。更に本実施形態の場合、一対の連結部133が揺動中心L1から等距離に位置し、基部111と連結部133との接続点間の距離が、基部111の幅の約1/√3に設定されている。このため、ミラー部11の曲率変化や揺動に際して、その重心位置が、法線方向に移動しにくく、異常振動が発生することを防止できる。
【0028】
なお、本実施形態では、ミラー部11を揺動するための構成として磁石と駆動コイルとの磁力を利用した構成を採用したが、これに限られず、種々の構成を採用可能である。
【0029】
次に、係る構成からなる走査ユニット1の動作例について説明する。本実施形態では、駆動ユニット12によって、ミラー部11から出射されるレーザ光のビームウエスト位置が、一走査中、仮想平面上を移動するよう、ミラー部11の曲率を走査周期の1/2周期で変化させる。これにより走査角が大きくなっても、光学パターンTとビームウエスト位置とのずれを抑制することができる。以下、図4を参照して説明する。
【0030】
図4(A)は従来の問題点の説明図であり、ミラー部11の曲率を固定して走査角θの範囲でミラー部11を揺動させている。ビームウエスト位置は、ミラー部11から距離Rの位置にあり、その軌跡L2は円弧形状をなす。ミラー部11と光学パターンTとの距離が近い場合や、光学パターンTが幅広で走査角θを大きくとる必要がある場合、光学パターンTとビームウエスト位置とのずれが大きくなる部位が生じる。同図の例では光学パターンTの端部でずれが大きくなっている。
【0031】
図4(B)は本実施形態におけるビームウエスト位置の移動軌跡の説明図、図4(C)はミラー部11の曲率変化の例を示す図である。図4(B)に示すように、本実施形態ではミラー部11からビームウエスト位置までの距離をR1、R2、R3(この例ではR3=R1)とミラー部11の向きに応じて変化させることで、仮想平面R上をビームウエスト位置が移動するようにする。
【0032】
ビームウエスト位置はミラー部11の曲率を変化させることにより変化させる。図4(c)において、状態ST(R1)乃至ST(R3)は、図4(B)に対応しており、状態ST(R1)は、ミラー部11からビームウエスト位置までの距離がR1の場合、状態ST(R2)は該距離がR2の場合、状態ST(R3)は該距離がR3の場合のミラー部11の向き及び曲率を示している。
【0033】
距離R2が最も短いため、状態ST(R2)の場合のミラー部11の曲率が最も大きい。状態ST(R1)、ST(R3)では状態ST(R2)の場合に比べてミラー部11の曲率が小さくなっている。状態ST(R1)、ST(R3)において、破線は比較のために状態ST(R2)の曲率のミラー部11を併記したものである。
【0034】
こうして本実施形態では、ミラー部11から出射されるレーザ光のビームウエスト位置が、一走査中、仮想平面上を移動するよう、ミラー部11の曲率を走査周期の1/2周期で変化させ、走査角が大きくなっても、光学パターンTとビームウエスト位置とのずれを抑制することができる。この結果、走査中央と走査端でビームウエストを常に光学パターン上に位置させることが可能となり、読み取り分解能を向上させ、高精細の光学パターンでも読み取り率を向上させることができる
図5(A)は、駆動コイル135への駆動信号の例を、図5(B)は圧電素子121への駆動信号の例をそれぞれ示している。図5(A)に示す駆動コイル135への駆動信号は走査周期に応じた周波数を有し、図5(B)に示す圧電素子121への駆動信号は走査その2倍の周波数を有している。圧電素子121への駆動信号の振幅は仮想平面Sの平面度に影響し、ピーク値はミラー部11から仮想平面Sまでの距離に影響する。
【0035】
以下、他の実施形態について説明するが、各実施形態は適宜組合せ可能である。
【0036】
<第2実施形態>
図5(B)の例の場合、ミラー部11に対する仮想平面Sの位置が固定される。読取精度を向上するためには仮想平面Sがミラー部11に対して移動(平行移動)することが好ましい。そこで、ミラー部11の曲率を走査周期の1/2周期で変化させると共に、仮想平面が周期的に移動するよう、ミラー部11の曲率を走査周期よりも長い周期で変化させる。図5(D)はこの場合の圧電素子121への駆動信号の例を示しており、図5(B)の駆動信号の波形と図5(C)の駆動信号の波形とを重畳した波形の駆動信号である。
【0037】
図5(C)の駆動信号は、図5(A)に示した走査用の制御信号の周波数よりも低い周波数を有しており、低いほど(周期が長いほど)仮想平面Sの移動速度が遅くなり、その結果、読取精度を向上できる。図5(C)の駆動信号を利用した場合を図6を参照して説明する。図6(A)及び(B)は仮想平面Sを移動させる方法の説明図であり、図6(A)はビームウエスト位置の移動軌跡の説明図、図6(B)ミラー部11の曲率変化の例を示す図である。
【0038】
図5(C)の駆動信号を採用した場合、図6(A)に示すように、1走査中のミラー部11からビームウエスト位置までの距離の変化(R1、R2、R3(この例ではR3=R1))に加えて、走査毎の変化(R1⇔R1’、R2⇔R2’、R3⇔R3’(この例ではR3’=R1’))が加わるので仮想平面がS1とS2との間を移動する。この結果、その間に存する光学パターンTの読み取り率を向上させることができる。
【0039】
図4(B)及び(C)の場合と同様、図6(B)において、状態ST(R1)乃至ST(R3)、状態ST(R1’)乃至ST(R3’)は、図6(A)に対応しており、状態ST(R1)は、ミラー部11からビームウエスト位置までの距離がR1の場合、状態ST(R2)は該距離がR2の場合、状態ST(R3)は該距離がR3の場合、状態ST(R1’)は、ミラー部11からビームウエスト位置までの距離がR1’の場合、状態ST(R2’)は該距離がR2’の場合、状態ST(R3’)は該距離がR3’の場合のミラー部11の向き及び曲率を示している。
【0040】
状態ST(R1)乃至ST(R3)は仮想平面がS1である場合、状態ST(R1’)乃至ST(R3’)は仮想平面がS2である場合である。仮想平面S2の方が仮想平面S1よりもミラー部11から遠いので、全体的に状態ST(R1’)乃至ST(R3’)の場合の方が曲率が小さくなっている。なお、状態ST(R1)、ST(R3)において、破線は比較のために状態ST(R2)の曲率のミラー部11を併記したものであり、状態ST(R1’)、ST(R3’)において、破線は比較のために状態ST(R2’)の曲率のミラー部11を併記したものである。
【0041】
<第3実施形態>
圧電素子121への駆動信号の振幅や、ピーク値を周期的に変化させることで、仮想平面Sを周期的に傾斜することも可能である。図7(A)及び(B)は仮想平面の傾斜例を示し、図7(A)は走査端を中心として仮想平面S1とS2との間で周期的に傾斜する例、図7(B)は走査中心を中心として仮想平面S1とS2との間で周期的に傾斜する例を示す。また、図7(D)は図7(A)の場合の、圧電素子121への駆動信号の例を示しており、図7(C)に示す駆動コイル135への駆動信号の2倍の周波数としながら、駆動信号の振幅や、ピーク値を周期的に変化させている。
【0042】
仮想平面Sを周期的に傾斜することで、ミラー部11に対して光学パターンTが正対していなくても、その読み取り率を向上できる。なお、本実施形態と上記第2実施形態とを組み合わせると、仮想平面を移動しながら傾斜することが可能となる。
【0043】
<第4実施形態>
本実施形態は揺動ユニット13の他の構成例を示す。図8(A)及び(B)は本実施形態の揺動ユニット13の説明図であり、上記第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付して説明を割愛する。
【0044】
同図の例では、上記第1実施形態の駆動コイル135、磁石134、134に代えて、圧電素子137、137を設けている。また、上記第1実施形態の捻り軸132に代えて、一対の軸132’、132’を設けており、これらにそれぞれ圧電素子137、137が装着されている。圧電素子137、137は駆動回路136により駆動され、一対の軸132’、132’に互いに逆方向の曲げ変形を起こさせることで、揺動部131を揺動中心L1周りに揺動させる。
【0045】
一対の軸132’、132’も上述した基材BPに一体に形成されるので、圧電素子121、137、137の形成をまとめて行えることができるという利点がある。
【0046】
<第5実施形態>
上記第1実施形態では圧電素子121を一つのものとしたが、複数の圧電素子を設けてもよい。図9(A)及び(B)は圧電素子の他の配置例の説明図であり、基部111の裏面側を示している。
【0047】
図9(A)の例では、複数の圧電素子1211を基部111の幅方向(長手方向)に等間隔で配置している。複数の圧電素子1211にそれぞれ異なる駆動電圧を印加することでミラー部11の曲率分布を作り、球面収差の補正を行うことが可能になる。また、図9(B)は複数の圧電素子1211を間隔を変えて配置したものであり、基部111の幅方向(長手方向)両端部では密に、中央部では粗に、圧電素子1211を配設している。全ての圧電素子1211に同じ電圧を印加しても場所によって曲げ変形量が異なり、ミラー部11に曲率分布を作って球面収差の補正に用いることができる。
【0048】
<第6実施形態>
上記第1実施形態では、ミラー部11が自然状態(圧電素子121により変形力が付勢されていない状態)では平坦な板状をなしていたが、湾曲していてもよい。図10(A)はミラー部11が自然状態で湾曲をなしている例の斜視図であり、同図の例では円弧形状に湾曲している。
【0049】
ミラー部11を自然状態で湾曲させるためには、例えば、基部111を金属材料として、その機械的またはレーザー等の熱による曲げ加工等で可能である。金属材料として金属ガラスを用いることも可能であり、過冷却領域で曲げ加工を行うと同時に鏡面112を型の転写で形成することもでき、この場合には反射膜は不要となる。また、基部111が金属材料であれば圧延と同時にローラーで鏡面を付与することもできる。更に、鏡面112を形成する反射膜と、基部111の背面に配設した別の膜とによる膜応力によって、湾曲させてもよい。この場合、圧電素子121は、基部111が湾曲した状態で、直接成膜によって形成することができる。
【0050】
ミラー部11を自然状態で湾曲させておくことで、ミラー部11の曲率変化に伴う最大応力を低下させることができる。ミラー部11が自然状態で平坦な場合、必要な最小の曲率を得るためのオフセット電圧を加える必要が生じる場合がある。この場合、ミラー部11の応力変化はオフセット電圧分の応力が常に作用した状態となり、図10(B)に示すように、最大応力σ1は大きくなる。
【0051】
これに対して予め湾曲させておくと、ミラー部11の応力変化は図10(C)に示すようにその最大応力σ2を正負均等とすることが可能となり、最大応力を下げることができる。これにより、繰り返し変形に対しても圧電素子121の剥離などの不良が発生しにくく、信頼性を向上できる。
【0052】
<第7実施形態>
上記第1実施形態では、可変焦点用のミラー部と走査用のミラー部とを機能的に一体化したミラー部11を採用したが、別体としてもよい。尤も、一体化した方が小型化の点で有利である。
【0053】
図11は、可変焦点用のミラー部11Aと走査用のミラー部11Bとを別体とした例を示している。ミラー部11Aは、板状の基部11Aの表面に鏡面112A(同図では不図示)が、裏面に圧電素子121Aがそれぞれ形成され、軸133、133を介して揺動不能に固定されている。圧電素子121Aによりミラー部11Aの曲率が変化する。
【0054】
ミラー部11Bは、板状の基部111Bの表面に鏡面112Bが、裏面に磁石134Bがそれぞれ形成され、捻り軸132を介して支持されている。不図示の駆動コイルにより発生する磁界によって磁石134Bを介して基部111Bに揺動力が付勢され、捻り軸132Bに捻り振動が生じて、基部111Bが揺動する。
【0055】
不図示の光源からのレーザ光はミラー部11Aで反射されてミラー部11Bに入射し、更に反射して出射する。ミラー部11Aの曲率を変化させてビームウエスト位置を変化させ、ミラー部11Bの揺動で光学パターンを走査することで、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0056】
<第8実施形態>
図12は本発明の別実施形態に係る光学パターン読取装置Cの概略図である。読取装置Cは、光走査装置(光走査ユニット1D、光源2D)、光学系3’、受光センサ4’及びこれらを収容したケース5’を備える。光学系3’は集光ミラーであり、受光センサ4’はフォトセンサである。
【0057】
図13(A)及び(B)は光走査ユニット1Dの斜視図であり、図13(A)が表側、図13(B)は裏側を示している。
【0058】
光走査ユニット1Dは、ミラー部11D、揺動部131D、捻り軸132D、132Dを備える。ミラー部11Dは板状の基部111Dと、その表面に形成された鏡面112Dと、を備える。基部111Dの裏面には曲率変更用の圧電素子121Dが設けられている。
【0059】
基部111Dは揺動部131Dと一体に形成されており、上下2本の合計4本の連結部133Dを介して揺動部131Dに連結されている。基部111Dと連結部133Dとは、揺動部131Dの原板からその周囲にスリットを形成することで、連結部133Dと揺動部131Dとの連結点を除いて揺動部131Dから分離している。
【0060】
揺動部131は、その表面に鏡面Mが形成され、その背面には駆動コイルパターン135Dが配設されている。捻り軸132D、132Dも揺動部131Dと一体に形成されており、揺動部131Dとの接続端と逆の端部は固定されている。揺動部131Dの両側方には磁石134D、134Dが配設されている。
【0061】
揺動部131Dの揺動は、ムービングコイル方式の駆動であり、不図示の駆動回路によって駆動コイルパターン135Dに駆動信号を供給し、磁界を発生することで磁石134D、134Dの存在により揺動部131Dに揺動力が付勢される。これにより捻り軸132D、132Dに捻り振動が生じて揺動部131が揺動し、連結部133Dを介して揺動部131Dに連結されたミラー部11Dも揺動する。
【0062】
ミラー部11Dを所定の走査周期で揺動させ、圧電素子121Dによってその1/2の周期でミラー部11Dの曲率を変化させることで上記第1実施形態と同様に仮想平面上でレーザ光のビームウエスト位置を移動できる。
【0063】
集光ミラーである光学系3’の一部には開口部が形成されており、光源2Dのレーザ光はこの開口部を通ってミラー部11Dに入射し、窓部5a’を介して不図示の光学パターンへ向けて出射する。光学パターンで反射した散乱光は窓部5a’を介して読取装置C内に戻り、鏡面Mで反射され、光学系3で集光されて受光センサ4’で受光される。
【0064】
散乱光を鏡面Mで受けることによって、レーザ光の投射方向からの散乱光だけを選択的に反射し、それを集光ミラーである光学系3’で集光して検出するため、検出の精度をより向上させることが可能になる。
【0065】
本実施形態の読取装置Cは、上記第1実施形態の読取装置Aよりもサイズがやや大きくなるが、投射レーザ光のビームウエスト位置の移動による高分解能化と、方向選択的な検出による検出精度向上との相乗効果により、幅広の高精細パターンに対しても読み取り率を向上できる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光走査装置及び光学パターン読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、バーコードに代表される光学パターンの読取装置として、レーザ方式やCCDラインセンサを用いた方式、2次元バーコードも読み取り可能なCMOSセンサを用いた方式などが実用化されている。このうちレーザー方式は、光走査装置によりレーザ光を走査して反射光強度の時間変化を検出するものであり、コスト的なメリットが比較的大きい。
【0003】
近年、レーザ方式以外のCCD方式などで読み取り率(読み取りの成功率)が向上し、またデータ量増加に伴って光学パターンが幅広化している。このため、レーザ方式にも読み取り率の向上、光学パターンの幅広化への対応が求められている。
【0004】
レーザ方式で読み取り率を上げるものとしては、可変焦点ミラーを用いた方法が提案されている(例えば特許文献1)。この方法は、レーザ光の走査周期よりも長い周期で可変焦点ミラーの曲率を変化させ、レーザ光のビームウエストの位置を周期的に変化させるものである。走査毎に焦点距離を変えた走査を連続的に行うことで読み取り可能な範囲を拡大し、読み取り率を向上することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7-121645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
レーザー方式で用いられる光走査装置は、一般に、レーザ光を出射するミラーを周期的に揺動させてレーザ光を走査させる。バーコードのように平面的な走査対象を走査する場合、走査対象の中央部と端部とではミラーからの距離が異なる。幅広のバーコードを読み取る場合や、至近距離で走査対象を走査する場合のように走査角が大きくなると、走査対象の中央部と端部とではミラーからの距離が顕著に異なってくる。一方、レーザ光のビームウエストの位置は円弧状の軌跡を描くことから、走査角が大きくなると、一走査において走査対象の部位によってビームウエストの位置と走査対象との位置ずれが大きくなり、読み取り率が低下する。
【0007】
本発明の目的は、走査角が大きくなっても、走査対象とビームウエストの位置とのずれを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、レーザ光を出力する光源と、該光源からのレーザ光を反射して周期的に走査させる走査手段と、を備えた光走査装置であって、前記走査手段が、レーザ光を反射するミラー部と、一走査中、仮想平面上を前記レーザ光のビームウエスト位置が移動するよう、前記ミラー部の曲率を走査周期の1/2周期で変化させる駆動手段と、を備えたことを特徴とする光走査装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、走査角が大きくなっても、走査対象とビームウエストの位置とのずれを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る光学パターン読取装置の概略図。
【図2】走査ユニットの概略図。
【図3】(A)はミラー部周辺の構成の斜視図、(B)は分解斜視図。
【図4】(A)は従来の問題点の説明図、(B)はビームウエスト位置の移動軌跡の説明図、(C)はミラー部の曲率変化の例を示す図。
【図5】(A)乃至(D)は制御信号の説明図。
【図6】(A)及び(B)は仮想平面を移動させる方法の説明図。
【図7】(A)乃至(C)は仮想平面を傾斜させる方法の説明図。
【図8】(A)及び(B)は揺動ユニットの他の例の説明図。
【図9】(A)及び(B)は圧電素子の他の配置例の説明図。
【図10】(A)乃至(C)はミラー部を円弧形状とした例の説明図。
【図11】曲率が可変のミラー部と、出射用のミラー部とを別構成とした例の説明図。
【図12】本発明の別実施形態に係る光学パターン読取装置の概略図。
【図13】(A)及び(B)は図12の例の走査ユニットの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施形態>
図1は本発明の一実施形態に係る光学パターン読取装置Aの概略図である。読取装置Aは、光走査装置B、光学系3、受光センサ4及びこれらを収容したケース5を備える。同図の例では光学系3は集光レンズであり、受光センサ4はフォトセンサである。光走査装置Bはレーザ光を出力する光源2と、光源2からのレーザ光を反射して周期的に走査させる走査ユニット1と、を備える。走査対象である光学パターンTは例えばバーコードである。
【0012】
読取装置Aは、光源2から不図示のコリメータレンズを通して射出されたレーザー光を、光走査装置1により窓部5aを介して出射して光学パターンT上で走査し、光学パターンTからの散乱光が窓部5a及び光学系3を通して受光センサ4で検出される構成になっている。そして、不図示の信号処理回路及びデコーダにより、受光センサ4の出力の時系列変化から光学パターンTの読み取り信号を検出し、デコード出力を行う。これにより、光学パターンTにより示される情報のデータが出力されることになる。
【0013】
次に、走査ユニット1の構成について図2及び図3を参照して説明する。図2は走査ユニット1の概略図、図3はミラー部11周辺の構成を示し、図3(A)はその斜視図、図3(B)はその分解斜視図である。
【0014】
走査ユニット1は、光源2からのレーザ光を反射して光学パターンTへ向けて出射するためのミラー部11と、ミラー部11の曲率を変化させる駆動ユニット12と、ミラー部11を揺動させる揺動ユニット13と、を備える。
【0015】
ミラー部11は、板状の基部111と、その表面に形成された鏡面112と、を備える。基部111はミラー部11の曲率を可変とすべく、弾性を有する金属材料が好ましい。本実施形態の場合、基部111は後述する他の構成と共に基材BPに一体的に形成されている。
【0016】
本実施形態では基部111の表面に反射膜を設けて鏡面112を形成しているが、基部111の材料の表面を鏡面112とすることも可能である。鏡面112を反射膜により形成する場合、Au、Ag、Al等の蒸着膜で形成することができ、必要に応じて増反射膜が形成される。
【0017】
駆動ユニット12は、基部111の裏面に配設された圧電素子121と、圧電素子121の駆動信号を生成する駆動回路122と、を備える。圧電素子121は駆動回路122からの駆動信号によって伸縮する。圧電素子121によって基部111の裏面に基部111を曲げ変形させる変形力が付勢され、ミラー部11の曲率が変化する。これによりミラー部11は可変焦点ミラーとして機能する。
【0018】
本実施形態の場合、ミラー部11の曲率を変化させるデバイスとして圧電素子121を採用したが他のデバイスを採用してもよい。しかし、圧電素子121の採用と、基部111の裏面への圧電素子121の配設とにより、ミラー部11をより小型化された可変焦点ミラーとすることができる。
【0019】
圧電素子21は、変位量の大きいチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)が好ましいが、特に限定されるものではなく、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、ニオブ酸鉛等、圧電特性を有する材料であれば良い。圧電素子21は焼結体の素子の接着や直接成膜によって形成される。焼結体の積層構造を持つ圧電素子は変位量が大きく非常に優れた特性を有するが、接着部分の耐久性を考慮すると基部111への直接成膜が好ましい。
【0020】
その中でも、成膜レートが高く膜質の良い厚膜形成が容易なエアロゾルディポジション法やガスデポジション法を用いるのが好ましい。圧電材料にPZTを用い、基部111として金属材料を用いる場合には、圧電特性を向上させるために、鉛の拡散を防止する中間層の形成、及び、熱処理温度をできるだけ高くするために金属材料として耐熱性の高い材料を用いるのが好ましく、この点でも500℃〜600℃程度で時効硬化処理を行うCo-Ni基合金は最適である。
【0021】
駆動回路122は、電気信号である駆動信号を圧電素子121に供給する。駆動回路122は周期的に変化する電気信号を出力可能であればどのような回路構成であってもよい。本実施形態の場合、基材BPが圧電素子121の電極及び配線の一方を兼ねており、駆動回路122は圧電素子121と基材BPとに電気的に接続されている。
【0022】
揺動ユニット13は、揺動部131と、捻り軸132と、一対の連結部133、133と、磁石134、134と、駆動コイル135と、駆動回路136と、を備える。揺動部131、捻り軸132、及び、一対の連結部133は、上述した基部111と共に基材BPに一体的に形成されている。これらの一部は別体とすることも可能であるが、耐久性、製造工程の簡略化、低コスト化の観点からは一体構造が望ましい。
【0023】
基材BPは、金属材料やシリコンウエハの他、セラミック基板などの板材から形成でき、その形状は、エッチング、プレス加工、レーザー加工、ワイヤ放電加工等で形成できる。耐衝撃性の観点から容易には破断しない金属材料が好ましく、繰り返し耐久性の高いSUS301やSUS631等のステンレスや銅合金、Co-Ni基合金などが好ましい。その中でも特にCo-Ni基合金は特に疲労限が高く、好適である。
【0024】
捻じり軸132の下端は固定され、上端は揺動部131に接続されている。揺動部131の表裏面には、それぞれ磁石134、134が固着されている。磁石134、134の材質は特に限定されるものではないが、慣性モーメントを小さくするために出来るだけ小型で磁力の強いものが好ましく、磁力の強いNd-Fe-B系磁石やSm-Co系磁石等や、小型形状形成が可能な加工性に優れたFe-Cr-Co系磁石などが好適である。
【0025】
駆動コイル135には駆動回路136には走査周期に応じた周波数の電気信号である駆動信号が供給される。駆動回路136は周期的に変化する電気信号を出力可能であればどのような回路構成であってもよい。この駆動信号により駆動コイル135から発生する磁界によって、磁石134、134を介して揺動部131に揺動力が付勢され、捻り軸132に捻り振動が生じて、捻り軸132の軸線を揺動中心L1として揺動部131が揺動する。
【0026】
ミラー部11の基部111は一対の連結部133、133を介して揺動部131に接続されていることから、ミラー部11も揺動中心L1周りに揺動することになる。こうしてミラー部11の向きが周期的に変化して所定の走査周期でレーザ光を走査することができる。
【0027】
本実施形態の場合、一対の連結部133、133により基部111と揺動部131とを連結したため、1つの連結部で連結する場合よりも、基部111がその法線方向周りに揺動して異常振動を生じる事態を回避することができる。更に本実施形態の場合、一対の連結部133が揺動中心L1から等距離に位置し、基部111と連結部133との接続点間の距離が、基部111の幅の約1/√3に設定されている。このため、ミラー部11の曲率変化や揺動に際して、その重心位置が、法線方向に移動しにくく、異常振動が発生することを防止できる。
【0028】
なお、本実施形態では、ミラー部11を揺動するための構成として磁石と駆動コイルとの磁力を利用した構成を採用したが、これに限られず、種々の構成を採用可能である。
【0029】
次に、係る構成からなる走査ユニット1の動作例について説明する。本実施形態では、駆動ユニット12によって、ミラー部11から出射されるレーザ光のビームウエスト位置が、一走査中、仮想平面上を移動するよう、ミラー部11の曲率を走査周期の1/2周期で変化させる。これにより走査角が大きくなっても、光学パターンTとビームウエスト位置とのずれを抑制することができる。以下、図4を参照して説明する。
【0030】
図4(A)は従来の問題点の説明図であり、ミラー部11の曲率を固定して走査角θの範囲でミラー部11を揺動させている。ビームウエスト位置は、ミラー部11から距離Rの位置にあり、その軌跡L2は円弧形状をなす。ミラー部11と光学パターンTとの距離が近い場合や、光学パターンTが幅広で走査角θを大きくとる必要がある場合、光学パターンTとビームウエスト位置とのずれが大きくなる部位が生じる。同図の例では光学パターンTの端部でずれが大きくなっている。
【0031】
図4(B)は本実施形態におけるビームウエスト位置の移動軌跡の説明図、図4(C)はミラー部11の曲率変化の例を示す図である。図4(B)に示すように、本実施形態ではミラー部11からビームウエスト位置までの距離をR1、R2、R3(この例ではR3=R1)とミラー部11の向きに応じて変化させることで、仮想平面R上をビームウエスト位置が移動するようにする。
【0032】
ビームウエスト位置はミラー部11の曲率を変化させることにより変化させる。図4(c)において、状態ST(R1)乃至ST(R3)は、図4(B)に対応しており、状態ST(R1)は、ミラー部11からビームウエスト位置までの距離がR1の場合、状態ST(R2)は該距離がR2の場合、状態ST(R3)は該距離がR3の場合のミラー部11の向き及び曲率を示している。
【0033】
距離R2が最も短いため、状態ST(R2)の場合のミラー部11の曲率が最も大きい。状態ST(R1)、ST(R3)では状態ST(R2)の場合に比べてミラー部11の曲率が小さくなっている。状態ST(R1)、ST(R3)において、破線は比較のために状態ST(R2)の曲率のミラー部11を併記したものである。
【0034】
こうして本実施形態では、ミラー部11から出射されるレーザ光のビームウエスト位置が、一走査中、仮想平面上を移動するよう、ミラー部11の曲率を走査周期の1/2周期で変化させ、走査角が大きくなっても、光学パターンTとビームウエスト位置とのずれを抑制することができる。この結果、走査中央と走査端でビームウエストを常に光学パターン上に位置させることが可能となり、読み取り分解能を向上させ、高精細の光学パターンでも読み取り率を向上させることができる
図5(A)は、駆動コイル135への駆動信号の例を、図5(B)は圧電素子121への駆動信号の例をそれぞれ示している。図5(A)に示す駆動コイル135への駆動信号は走査周期に応じた周波数を有し、図5(B)に示す圧電素子121への駆動信号は走査その2倍の周波数を有している。圧電素子121への駆動信号の振幅は仮想平面Sの平面度に影響し、ピーク値はミラー部11から仮想平面Sまでの距離に影響する。
【0035】
以下、他の実施形態について説明するが、各実施形態は適宜組合せ可能である。
【0036】
<第2実施形態>
図5(B)の例の場合、ミラー部11に対する仮想平面Sの位置が固定される。読取精度を向上するためには仮想平面Sがミラー部11に対して移動(平行移動)することが好ましい。そこで、ミラー部11の曲率を走査周期の1/2周期で変化させると共に、仮想平面が周期的に移動するよう、ミラー部11の曲率を走査周期よりも長い周期で変化させる。図5(D)はこの場合の圧電素子121への駆動信号の例を示しており、図5(B)の駆動信号の波形と図5(C)の駆動信号の波形とを重畳した波形の駆動信号である。
【0037】
図5(C)の駆動信号は、図5(A)に示した走査用の制御信号の周波数よりも低い周波数を有しており、低いほど(周期が長いほど)仮想平面Sの移動速度が遅くなり、その結果、読取精度を向上できる。図5(C)の駆動信号を利用した場合を図6を参照して説明する。図6(A)及び(B)は仮想平面Sを移動させる方法の説明図であり、図6(A)はビームウエスト位置の移動軌跡の説明図、図6(B)ミラー部11の曲率変化の例を示す図である。
【0038】
図5(C)の駆動信号を採用した場合、図6(A)に示すように、1走査中のミラー部11からビームウエスト位置までの距離の変化(R1、R2、R3(この例ではR3=R1))に加えて、走査毎の変化(R1⇔R1’、R2⇔R2’、R3⇔R3’(この例ではR3’=R1’))が加わるので仮想平面がS1とS2との間を移動する。この結果、その間に存する光学パターンTの読み取り率を向上させることができる。
【0039】
図4(B)及び(C)の場合と同様、図6(B)において、状態ST(R1)乃至ST(R3)、状態ST(R1’)乃至ST(R3’)は、図6(A)に対応しており、状態ST(R1)は、ミラー部11からビームウエスト位置までの距離がR1の場合、状態ST(R2)は該距離がR2の場合、状態ST(R3)は該距離がR3の場合、状態ST(R1’)は、ミラー部11からビームウエスト位置までの距離がR1’の場合、状態ST(R2’)は該距離がR2’の場合、状態ST(R3’)は該距離がR3’の場合のミラー部11の向き及び曲率を示している。
【0040】
状態ST(R1)乃至ST(R3)は仮想平面がS1である場合、状態ST(R1’)乃至ST(R3’)は仮想平面がS2である場合である。仮想平面S2の方が仮想平面S1よりもミラー部11から遠いので、全体的に状態ST(R1’)乃至ST(R3’)の場合の方が曲率が小さくなっている。なお、状態ST(R1)、ST(R3)において、破線は比較のために状態ST(R2)の曲率のミラー部11を併記したものであり、状態ST(R1’)、ST(R3’)において、破線は比較のために状態ST(R2’)の曲率のミラー部11を併記したものである。
【0041】
<第3実施形態>
圧電素子121への駆動信号の振幅や、ピーク値を周期的に変化させることで、仮想平面Sを周期的に傾斜することも可能である。図7(A)及び(B)は仮想平面の傾斜例を示し、図7(A)は走査端を中心として仮想平面S1とS2との間で周期的に傾斜する例、図7(B)は走査中心を中心として仮想平面S1とS2との間で周期的に傾斜する例を示す。また、図7(D)は図7(A)の場合の、圧電素子121への駆動信号の例を示しており、図7(C)に示す駆動コイル135への駆動信号の2倍の周波数としながら、駆動信号の振幅や、ピーク値を周期的に変化させている。
【0042】
仮想平面Sを周期的に傾斜することで、ミラー部11に対して光学パターンTが正対していなくても、その読み取り率を向上できる。なお、本実施形態と上記第2実施形態とを組み合わせると、仮想平面を移動しながら傾斜することが可能となる。
【0043】
<第4実施形態>
本実施形態は揺動ユニット13の他の構成例を示す。図8(A)及び(B)は本実施形態の揺動ユニット13の説明図であり、上記第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付して説明を割愛する。
【0044】
同図の例では、上記第1実施形態の駆動コイル135、磁石134、134に代えて、圧電素子137、137を設けている。また、上記第1実施形態の捻り軸132に代えて、一対の軸132’、132’を設けており、これらにそれぞれ圧電素子137、137が装着されている。圧電素子137、137は駆動回路136により駆動され、一対の軸132’、132’に互いに逆方向の曲げ変形を起こさせることで、揺動部131を揺動中心L1周りに揺動させる。
【0045】
一対の軸132’、132’も上述した基材BPに一体に形成されるので、圧電素子121、137、137の形成をまとめて行えることができるという利点がある。
【0046】
<第5実施形態>
上記第1実施形態では圧電素子121を一つのものとしたが、複数の圧電素子を設けてもよい。図9(A)及び(B)は圧電素子の他の配置例の説明図であり、基部111の裏面側を示している。
【0047】
図9(A)の例では、複数の圧電素子1211を基部111の幅方向(長手方向)に等間隔で配置している。複数の圧電素子1211にそれぞれ異なる駆動電圧を印加することでミラー部11の曲率分布を作り、球面収差の補正を行うことが可能になる。また、図9(B)は複数の圧電素子1211を間隔を変えて配置したものであり、基部111の幅方向(長手方向)両端部では密に、中央部では粗に、圧電素子1211を配設している。全ての圧電素子1211に同じ電圧を印加しても場所によって曲げ変形量が異なり、ミラー部11に曲率分布を作って球面収差の補正に用いることができる。
【0048】
<第6実施形態>
上記第1実施形態では、ミラー部11が自然状態(圧電素子121により変形力が付勢されていない状態)では平坦な板状をなしていたが、湾曲していてもよい。図10(A)はミラー部11が自然状態で湾曲をなしている例の斜視図であり、同図の例では円弧形状に湾曲している。
【0049】
ミラー部11を自然状態で湾曲させるためには、例えば、基部111を金属材料として、その機械的またはレーザー等の熱による曲げ加工等で可能である。金属材料として金属ガラスを用いることも可能であり、過冷却領域で曲げ加工を行うと同時に鏡面112を型の転写で形成することもでき、この場合には反射膜は不要となる。また、基部111が金属材料であれば圧延と同時にローラーで鏡面を付与することもできる。更に、鏡面112を形成する反射膜と、基部111の背面に配設した別の膜とによる膜応力によって、湾曲させてもよい。この場合、圧電素子121は、基部111が湾曲した状態で、直接成膜によって形成することができる。
【0050】
ミラー部11を自然状態で湾曲させておくことで、ミラー部11の曲率変化に伴う最大応力を低下させることができる。ミラー部11が自然状態で平坦な場合、必要な最小の曲率を得るためのオフセット電圧を加える必要が生じる場合がある。この場合、ミラー部11の応力変化はオフセット電圧分の応力が常に作用した状態となり、図10(B)に示すように、最大応力σ1は大きくなる。
【0051】
これに対して予め湾曲させておくと、ミラー部11の応力変化は図10(C)に示すようにその最大応力σ2を正負均等とすることが可能となり、最大応力を下げることができる。これにより、繰り返し変形に対しても圧電素子121の剥離などの不良が発生しにくく、信頼性を向上できる。
【0052】
<第7実施形態>
上記第1実施形態では、可変焦点用のミラー部と走査用のミラー部とを機能的に一体化したミラー部11を採用したが、別体としてもよい。尤も、一体化した方が小型化の点で有利である。
【0053】
図11は、可変焦点用のミラー部11Aと走査用のミラー部11Bとを別体とした例を示している。ミラー部11Aは、板状の基部11Aの表面に鏡面112A(同図では不図示)が、裏面に圧電素子121Aがそれぞれ形成され、軸133、133を介して揺動不能に固定されている。圧電素子121Aによりミラー部11Aの曲率が変化する。
【0054】
ミラー部11Bは、板状の基部111Bの表面に鏡面112Bが、裏面に磁石134Bがそれぞれ形成され、捻り軸132を介して支持されている。不図示の駆動コイルにより発生する磁界によって磁石134Bを介して基部111Bに揺動力が付勢され、捻り軸132Bに捻り振動が生じて、基部111Bが揺動する。
【0055】
不図示の光源からのレーザ光はミラー部11Aで反射されてミラー部11Bに入射し、更に反射して出射する。ミラー部11Aの曲率を変化させてビームウエスト位置を変化させ、ミラー部11Bの揺動で光学パターンを走査することで、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0056】
<第8実施形態>
図12は本発明の別実施形態に係る光学パターン読取装置Cの概略図である。読取装置Cは、光走査装置(光走査ユニット1D、光源2D)、光学系3’、受光センサ4’及びこれらを収容したケース5’を備える。光学系3’は集光ミラーであり、受光センサ4’はフォトセンサである。
【0057】
図13(A)及び(B)は光走査ユニット1Dの斜視図であり、図13(A)が表側、図13(B)は裏側を示している。
【0058】
光走査ユニット1Dは、ミラー部11D、揺動部131D、捻り軸132D、132Dを備える。ミラー部11Dは板状の基部111Dと、その表面に形成された鏡面112Dと、を備える。基部111Dの裏面には曲率変更用の圧電素子121Dが設けられている。
【0059】
基部111Dは揺動部131Dと一体に形成されており、上下2本の合計4本の連結部133Dを介して揺動部131Dに連結されている。基部111Dと連結部133Dとは、揺動部131Dの原板からその周囲にスリットを形成することで、連結部133Dと揺動部131Dとの連結点を除いて揺動部131Dから分離している。
【0060】
揺動部131は、その表面に鏡面Mが形成され、その背面には駆動コイルパターン135Dが配設されている。捻り軸132D、132Dも揺動部131Dと一体に形成されており、揺動部131Dとの接続端と逆の端部は固定されている。揺動部131Dの両側方には磁石134D、134Dが配設されている。
【0061】
揺動部131Dの揺動は、ムービングコイル方式の駆動であり、不図示の駆動回路によって駆動コイルパターン135Dに駆動信号を供給し、磁界を発生することで磁石134D、134Dの存在により揺動部131Dに揺動力が付勢される。これにより捻り軸132D、132Dに捻り振動が生じて揺動部131が揺動し、連結部133Dを介して揺動部131Dに連結されたミラー部11Dも揺動する。
【0062】
ミラー部11Dを所定の走査周期で揺動させ、圧電素子121Dによってその1/2の周期でミラー部11Dの曲率を変化させることで上記第1実施形態と同様に仮想平面上でレーザ光のビームウエスト位置を移動できる。
【0063】
集光ミラーである光学系3’の一部には開口部が形成されており、光源2Dのレーザ光はこの開口部を通ってミラー部11Dに入射し、窓部5a’を介して不図示の光学パターンへ向けて出射する。光学パターンで反射した散乱光は窓部5a’を介して読取装置C内に戻り、鏡面Mで反射され、光学系3で集光されて受光センサ4’で受光される。
【0064】
散乱光を鏡面Mで受けることによって、レーザ光の投射方向からの散乱光だけを選択的に反射し、それを集光ミラーである光学系3’で集光して検出するため、検出の精度をより向上させることが可能になる。
【0065】
本実施形態の読取装置Cは、上記第1実施形態の読取装置Aよりもサイズがやや大きくなるが、投射レーザ光のビームウエスト位置の移動による高分解能化と、方向選択的な検出による検出精度向上との相乗効果により、幅広の高精細パターンに対しても読み取り率を向上できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を出力する光源と、該光源からのレーザ光を反射して周期的に走査させる走査手段と、を備えた光走査装置であって、
前記走査手段が、
レーザ光を反射するミラー部と、
一走査中、仮想平面上を前記レーザ光のビームウエスト位置が移動するよう、前記ミラー部の曲率を走査周期の1/2周期で変化させる駆動手段と、
を備えたことを特徴とする光走査装置。
【請求項2】
前記駆動手段は、
前記ミラー部の曲率を走査周期の1/2周期で変化させると共に、前記仮想平面が周期的に移動するよう、前記ミラー部の曲率を走査周期よりも長い周期で変化させることを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
【請求項3】
前記駆動手段は、
前記ミラー部の曲率を走査周期の1/2周期で変化させると共に、前記仮想平面が周期的に傾斜するよう、前記ミラー部の曲率を変化させることを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
【請求項4】
前記ミラー部が、板状の基部と、前記基部の表面に形成された鏡面と、を有し、
前記駆動手段は、
前記基部の裏面に前記基部を変形させる変形力を付勢し、前記ミラー部の曲率を変化させるデバイスを備えたことを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
【請求項5】
前記デバイスが圧電素子であることを特徴とする請求項4に記載の光走査装置。
【請求項6】
前記ミラー部が、前記デバイスにより前記変形力が付勢されていない状態で湾曲していることを特徴とする請求項4に記載の光走査装置。
【請求項7】
前記ミラー部は、前記光源からのレーザ光を反射して走査対象に出射するためのミラー部であり、
前記ミラー部を前記走査周期で揺動させる揺動手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
【請求項8】
前記ミラー部が、板状の基部と、前記基部の表面に形成された鏡面と、を有し、
前記揺動手段が、
前記走査周期で揺動する揺動部と、
前記揺動部と前記基部とを連結する一対の連結部とを備えたことを特徴とする請求項7に記載の光走査装置。
【請求項9】
請求項1に記載の光走査装置を備えた光学パターン読取装置。
【請求項1】
レーザ光を出力する光源と、該光源からのレーザ光を反射して周期的に走査させる走査手段と、を備えた光走査装置であって、
前記走査手段が、
レーザ光を反射するミラー部と、
一走査中、仮想平面上を前記レーザ光のビームウエスト位置が移動するよう、前記ミラー部の曲率を走査周期の1/2周期で変化させる駆動手段と、
を備えたことを特徴とする光走査装置。
【請求項2】
前記駆動手段は、
前記ミラー部の曲率を走査周期の1/2周期で変化させると共に、前記仮想平面が周期的に移動するよう、前記ミラー部の曲率を走査周期よりも長い周期で変化させることを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
【請求項3】
前記駆動手段は、
前記ミラー部の曲率を走査周期の1/2周期で変化させると共に、前記仮想平面が周期的に傾斜するよう、前記ミラー部の曲率を変化させることを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
【請求項4】
前記ミラー部が、板状の基部と、前記基部の表面に形成された鏡面と、を有し、
前記駆動手段は、
前記基部の裏面に前記基部を変形させる変形力を付勢し、前記ミラー部の曲率を変化させるデバイスを備えたことを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
【請求項5】
前記デバイスが圧電素子であることを特徴とする請求項4に記載の光走査装置。
【請求項6】
前記ミラー部が、前記デバイスにより前記変形力が付勢されていない状態で湾曲していることを特徴とする請求項4に記載の光走査装置。
【請求項7】
前記ミラー部は、前記光源からのレーザ光を反射して走査対象に出射するためのミラー部であり、
前記ミラー部を前記走査周期で揺動させる揺動手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
【請求項8】
前記ミラー部が、板状の基部と、前記基部の表面に形成された鏡面と、を有し、
前記揺動手段が、
前記走査周期で揺動する揺動部と、
前記揺動部と前記基部とを連結する一対の連結部とを備えたことを特徴とする請求項7に記載の光走査装置。
【請求項9】
請求項1に記載の光走査装置を備えた光学パターン読取装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−242685(P2012−242685A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−114092(P2011−114092)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000104652)キヤノン電子株式会社 (876)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000104652)キヤノン電子株式会社 (876)
【Fターム(参考)】
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