光走査装置及び画像形成装置
【課題】安定して高い精度の光走査を行うことができる光走査装置を提供する。
【解決手段】 走査制御装置は、入射位置検出処理の際に、光源からの光束を液晶偏向素子でZ軸方向に関して偏向させ、ポリゴンミラー2104及び走査光学系を介してセンサアレイ(2112a〜2112d)に入射させる。センサアレイは、主走査方向に関して互いに異なる位置に配置された5つの光検知センサを有し、各光検知センサは、感光体ドラムの有効走査領域内に集光される光束の副走査方向に関する位置ずれ情報が含まれる信号を出力する。
【解決手段】 走査制御装置は、入射位置検出処理の際に、光源からの光束を液晶偏向素子でZ軸方向に関して偏向させ、ポリゴンミラー2104及び走査光学系を介してセンサアレイ(2112a〜2112d)に入射させる。センサアレイは、主走査方向に関して互いに異なる位置に配置された5つの光検知センサを有し、各光検知センサは、感光体ドラムの有効走査領域内に集光される光束の副走査方向に関する位置ずれ情報が含まれる信号を出力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光走査装置及び画像形成装置に係り、更に詳しくは、光束により被走査面を走査する光走査装置及び該光走査装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真の画像記録では、レーザ光を用いたプリンタやデジタル複写機などの画像形成装置が広く用いられている。この画像形成装置は光走査装置を備え、感光性を有するドラム(以下、「感光体ドラム」ともいう)の軸方向に偏向器(例えば、ポリゴンミラー)を用いてレーザ光を走査しつつ、感光体ドラムを回転させ、感光体ドラムの表面(被走査面)に潜像を形成する方法が一般的である。
【0003】
画像形成装置では、光走査装置からの光束(走査光束)が感光体ドラムの表面に照射される際に、所定の位置からずれた位置に照射されると、形成される画像の品質低下を招くおそれがある。
【0004】
そこで、例えば、特許文献1には、転写体に記録された検出パターンより、走査ラインの曲がり及び傾きを含む各々のレジストずれを、主走査方向に沿った3箇所以上の位置で検出する検出手段と、走査ラインの傾き及び走査ラインの曲がりを補正する走査軌跡可変手段を備えた画像形成装置が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、書き込み開始位置検知用ビームスポット位置検知手段と、書き込み終端位置検知用ビームスポット位置検知手段と、光学素子をビームの副走査方向に矯正してビームによる走査線の曲がりを補正する走査線曲がり補正手段と、光学素子の全体を傾けて走査線の傾きを補正する走査線傾き補正手段とを有する光走査装置及び該光走査装置を備える画像形成装置が開示されている。そして、画像形成装置は、傾き検知手段として、転写ベルトの非通紙領域に形成されるテストパターンを読み取るフォトセンサを有している。
【0006】
また、特許文献3には、光学素子の副走査方向に関する位置を調整するための光学素子副走査位置調整機構が設けられた光走査装置と、転写搬送ベルト上のトナーマークに対応した検知センサとを備える画像形成装置が開示されている。
【0007】
また、特許文献4には、被走査面上に結像される光束を射出する光源手段とは別の調整用光源を用い、該調整用光源から射出され結像光学系を介した光束の集光位置を検出し、該集光位置に基づく位置情報より、光源手段又は入射光学系の少なくとも一方の位置を調整して、光源手段から射出した光束の主走査方向の集光位置が調整されている光走査装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、光走査装置の光学ハウジングは、稼働中に内外からの熱に起因して変形することがあり、その光学ハウジングの変形により、稼働中に被走査面上での副走査方向に関する光スポットの位置ずれを生じるおそれがあった。
【0009】
しかしながら、特許文献1〜4に開示されている装置では、光スポットの位置ずれを精度良くリアルタイムで求めるのは困難であった。
【0010】
本発明は、かかる事情の下になされたもので、その第1の目的は、安定して高精度の光走査を行うことができる光走査装置を提供することにある。
【0011】
また、本発明の第2の目的は、安定して高品質の画像を形成することができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、第1の観点からすると、光源と、該光源からの光束を偏向する偏向器と、走査光学素子を含み、前記偏向器で偏向された光束を被走査面上に集光する走査光学系とを備え、前記被走査面を光束により主走査方向に走査する光走査装置において、前記光源と前記偏向器との間の光路上に配置され、前記光路を副走査方向に関して偏向する偏向素子と;前記被走査面の有効走査領域内の主走査方向に関して互いに異なる複数の位置に対応する複数の位置に配置され、入射する光束の副走査方向に関する位置ずれ情報が含まれる信号を出力する複数の光検知センサと;前記光源からの光束が、前記偏向器及び前記走査光学系を介して前記複数の光検知センサに入射するように前記偏向素子を制御する制御装置と;を更に備えることを特徴とする光走査装置である。
【0013】
これによれば、安定して高精度の光走査を行うことが可能となる。
【0014】
本発明は、第2の観点からすると、少なくとも1つの像担持体と;前記少なくとも1つの像担持体に対して画像情報に応じて変調された光束を走査する少なくとも1つの本発明の光走査装置と;を備える画像形成装置である。
【0015】
これによれば、本発明の光走査装置を備えているため、結果として、安定して高品質の画像を形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係るカラープリンタの概略構成を説明するための図である。
【図2】図1における位置ずれ検出器を説明するための図である。
【図3】位置検出センサの配置を説明するための図である。
【図4】トナーパッチを説明するための図である。
【図5】LEDからの照明光の軌跡を説明するための図である。
【図6】位置検出センサの出力信号を説明するためのタイミングチャートである。
【図7】図1における光走査装置を説明するための図(その1)である。
【図8】図1における光走査装置を説明するための図(その2)である。
【図9】図1における光走査装置を説明するための図(その3)である。
【図10】図1における光走査装置を説明するための図(その4)である。
【図11】図1における光走査装置を説明するための図(その5)である。
【図12】図1における光走査装置を説明するための図(その6)である。
【図13】各光源に含まれる2次元アレイ発光素子を説明するための図である。
【図14】図14(A)及び図14(B)は、いずれも液晶偏向素子を説明するための図である。
【図15】光走査装置における主要な光学素子の位置関係を説明するための図である。
【図16】図15における具体例を説明するための図である。
【図17】偏向器側走査レンズの光学面形状を説明するための図である。
【図18】像面側走査レンズの光学面形状を説明するための図である。
【図19】図19(A)及び図19(B)は、いずれも像面側走査レンズの形状を説明するための図である。
【図20】像面側走査レンズを保持する板金部材を説明するための図である。
【図21】像面側走査レンズが板金部材に保持されている状態を説明するための図である。
【図22】板ばねを説明するための図である。
【図23】図21のA−A断面図である
【図24】像面側走査レンズが装着された板金部材の光学ハウジングへの保持を説明するための図である。
【図25】調整ねじの突出し量を調整するためのステッピングモータを説明するための図である。
【図26】液晶偏向素子によって偏向された光束の光路を説明するための図(その1)である。
【図27】液晶偏向素子によって偏向された光束の光路を説明するための図(その2)である。
【図28】液晶偏向素子によって偏向された光束の光路を説明するための図(その3)である。
【図29】液晶偏向素子によって偏向された光束の光路を説明するための図(その4)である。
【図30】センサアレイにおける各光検知センサの配置位置を説明するための図である。
【図31】光検知センサの概略構成を説明するための図である。
【図32】図32(A)及び図32(B)は、いずれも光検知センサの動作を説明するための図(その1)である。
【図33】検出用光束の入射位置の位置ずれを説明するための図である。
【図34】図34(A)及び図34(B)は、いずれも光検知センサの動作を説明するための図(その2)である。
【図35】副走査ずれ量とΔhとの関係を説明するための図である。
【図36】光学ハウジングが変形したときの像面側走査レンズが装着された板金部材の変形を説明するための図である。
【図37】光学ハウジングが変形したときの像面側走査レンズの変形を説明するための図である。
【図38】種々の温度での感光体ドラムにおける光スポット位置と像高との関係を説明するための図である。
【図39】走査制御装置の構成を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図39に基づいて説明する。図1には、一実施形態に係る画像形成装置としてのカラープリンタ2000の概略構成が示されている。
【0018】
このカラープリンタ2000は、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)を重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタであり、光走査装置2010、4つの感光体ドラム(2030a、2030b、2030c、2030d)、4つのクリーニングユニット(2031a、2031b、2031c、2031d)、4つの帯電チャージャ(2032a、2032b、2032c、2032d)、4つの現像ローラ(2033a、2033b、2033c、2033d)、4つのトナーカートリッジ(2034a、2034b、2034c、2034d)、転写ベルト2040、定着ローラ2050、給紙コロ2054、レジストローラ対2056、排紙ローラ2058、給紙トレイ2060、排紙トレイ2070、通信制御装置2080、位置ずれ検出器2245及び上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置2090などを備えている。
【0019】
なお、ここでは、XYZ3次元直交座標系において、各感光体ドラムの長手方向に沿った方向をY軸方向、4つの感光体ドラムの配列方向に沿った方向をX軸方向として説明する。
【0020】
通信制御装置2080は、ネットワークなどを介した上位装置(例えばパソコン)との双方向の通信を制御する。
【0021】
各感光体ドラムはいずれも、その表面に感光層が形成されている。すなわち、各感光体ドラムの表面がそれぞれ被走査面である。なお、各感光体ドラムは、不図示の回転機構により、図1における面内で矢印方向に回転するものとする。
【0022】
感光体ドラム2030aの表面近傍には、感光体ドラム2030aの回転方向に沿って、帯電チャージャ2032a、現像ローラ2033a、クリーニングユニット2031aが配置されている。
【0023】
感光体ドラム2030a、帯電チャージャ2032a、現像ローラ2033a、トナーカートリッジ2034a、及びクリーニングユニット2031aは、組として使用され、ブラックの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Kステーション」ともいう)を構成する。
【0024】
感光体ドラム2030bの表面近傍には、感光体ドラム2030bの回転方向に沿って、帯電チャージャ2032b、現像ローラ2033b、クリーニングユニット2031bが配置されている。
【0025】
感光体ドラム2030b、帯電チャージャ2032b、現像ローラ2033b、トナーカートリッジ2034b、及びクリーニングユニット2031bは、組として使用され、シアンの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Cステーション」ともいう)を構成する。
【0026】
感光体ドラム2030cの表面近傍には、感光体ドラム2030cの回転方向に沿って、帯電チャージャ2032c、現像ローラ2033c、クリーニングユニット2031cが配置されている。
【0027】
感光体ドラム2030c、帯電チャージャ2032c、現像ローラ2033c、トナーカートリッジ2034c、及びクリーニングユニット2031cは、組として使用され、マゼンタの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Mステーション」ともいう)を構成する。
【0028】
感光体ドラム2030dの表面近傍には、感光体ドラム2030dの回転方向に沿って、帯電チャージャ2032d、現像ローラ2033d、クリーニングユニット2031dが配置されている。
【0029】
感光体ドラム2030d、帯電チャージャ2032d、現像ローラ2033d、トナーカートリッジ2034d、及びクリーニングユニット2031dは、組として使用され、イエローの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Yステーション」ともいう)を構成する。
【0030】
各帯電チャージャは、対応する感光体ドラムの表面をそれぞれ均一に帯電させる。
【0031】
光走査装置2010は、上位装置からの多色の画像情報(ブラック画像情報、シアン画像情報、マゼンタ画像情報、イエロー画像情報)に基づいて、各色毎に変調された光束を、対応する帯電された感光体ドラムの表面にそれぞれ照射する。これにより、各感光体ドラムの表面では、光が照射された部分だけ電荷が消失し、画像情報に対応した潜像が各感光体ドラムの表面にそれぞれ形成される。ここで形成された潜像は、感光体ドラムの回転に伴って対応する現像ローラの方向に移動する。なお、この光走査装置2010の構成については後述する。
【0032】
なお、各感光体ドラムにおいて、画像情報が書き込まれる領域は、有効走査領域あるいは画像形成領域と呼ばれている。
【0033】
トナーカートリッジ2034aにはブラックトナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033aに供給される。トナーカートリッジ2034bにはシアントナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033bに供給される。トナーカートリッジ2034cにはマゼンタトナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033cに供給される。トナーカートリッジ2034dにはイエロートナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033dに供給される。
【0034】
各現像ローラは、回転に伴って、対応するトナーカートリッジからのトナーが、その表面に薄く均一に塗布される。そして、各現像ローラの表面のトナーは、対応する感光体ドラムの表面に接すると、該表面における光が照射された部分にだけ移行し、そこに付着する。すなわち、各現像ローラは、対応する感光体ドラムの表面に形成された潜像にトナーを付着させて顕像化させる。ここでトナーが付着した像(以下では、「トナー画像」ともいう)は、感光体ドラムの回転に伴って転写ベルト2040の方向に移動する。
【0035】
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナー画像は、所定のタイミングで転写ベルト2040上に順次転写され、重ね合わされてカラー画像が形成される。
【0036】
給紙トレイ2060には記録紙が格納されている。この給紙トレイ2060の近傍には給紙コロ2054が配置されており、該給紙コロ2054は、記録紙を給紙トレイ2060から1枚づつ取り出し、レジストローラ対2056に搬送する。該レジストローラ対2056は、所定のタイミングで記録紙を転写ベルト2040に向けて送り出す。これにより、転写ベルト2040上のカラー画像が記録紙に転写される。ここで転写された記録紙は、定着ローラ2050に送られる。
【0037】
定着ローラ2050では、熱と圧力とが記録紙に加えられ、これによってトナーが記録紙上に定着される。ここで定着された記録紙は、排紙ローラ2058を介して排紙トレイ2070に送られ、排紙トレイ2070上に順次スタックされる。
【0038】
各クリーニングユニットは、対応する感光体ドラムの表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。残留トナーが除去された感光体ドラムの表面は、再度対応する帯電チャージャに対向する位置に戻る。
【0039】
位置ずれ検出器2245は、転写ベルト2040の−X側に配置されている。
【0040】
この位置ずれ検出器2245は、一例として図2に示されるように、3つの位置検出センサ(2245a、2245b、2245c)を有している。
【0041】
各位置検出センサは、−Y方向に向かって、位置検出センサ2245a、位置検出センサ2245b、位置検出センサ2245cの順に一列に配置されている。
【0042】
位置検出センサ2245aは、転写ベルト2040の+Y側端部近傍を照明するLED2242aとその反射光を受光するフォトセンサ2241aを有している。位置検出センサ2245bは、転写ベルト2040のY軸方向に関する中央部を照明するLED2242bとその反射光を受光するフォトセンサ2241bを有している。位置検出センサ2245cは、転写ベルト2040の−Y側端部近傍を照明するLED2242cとその反射光を受光するフォトセンサ2241cを有している。各フォトセンサは、それぞれ受光量に応じた信号(光電変換信号)を出力する。
【0043】
すなわち、一例として図3に示されるように、各感光体ドラムの有効走査領域における主走査方向の両端部近傍に対応する位置に位置検出センサ2245a及び位置検出センサ2245cが配置され、各感光体ドラムの有効走査領域における主走査方向の中央部近傍に対応する位置に位置検出センサ2245bが配置されている。そして、各感光体ドラムの有効走査領域における、位置検出センサ2245aに対応する位置をY1、位置検出センサ2245bに対応する位置をY2、位置検出センサ2245cに対応する位置をY3とする。
【0044】
そして、位置ずれ検出器2245を用いた位置ずれ検出処理が行われる際には、転写ベルト2040における位置Y1、位置Y2、及び位置Y3に、それぞれ位置検出用のトナーパッチTPが形成される。
【0045】
トナーパッチTPは、一例として図4に示されるように、転写ベルト2040の進行方向に隣接している第1ライン群と第2ライン群とを有している。第1及び第2ライン群は、いずれも4本のラインパターン(pk、pc、pm、py)から構成されている。ラインパターンpkは、Kステーションで形成されたラインパターンであり、ラインパターンpcは、Cステーションで形成されたラインパターンである。また、ラインパターンpmは、Mステーションで形成されたラインパターンであり、ラインパターンpyは、Yステーションで形成されたラインパターンである。
【0046】
第1ライン群では、各ラインパターンは、Y軸方向に対して時計方向に45度傾斜している。一方、第2ライン群では、各ラインパターンは、Y軸方向に対して反時計方向に45度傾斜している。
【0047】
ここでは、転写ベルト2040の回転に伴って、第1ライン群のラインパターンpy、ラインパターンpm、ラインパターンpc、ラインパターンpk、第2ライン群のラインパターンpk、ラインパターンpc、ラインパターンpm、ラインパターンpyの順に、位置検出センサのLEDによって照明されるように配置されている(図5参照)。
【0048】
位置ずれ検出処理において、各位置検出センサから出力される信号が、一例として図6に示されている。tyは、第1ライン群のラインパターンpyを検知してから第2ライン群のラインパターンpyを検知するまでの時間である。tmは、第1ライン群のラインパターンpmを検知してから第2ライン群のラインパターンpmを検知するまでの時間である。tcは、第1ライン群のラインパターンpcを検知してから第2ライン群のラインパターンpcを検知するまでの時間である。tkは、第1ライン群のラインパターンpkを検知してから第2ライン群のラインパターンpkを検知するまでの時間である。
【0049】
また、tkcは、第2ライン群のラインパターンpkを検知してから第2ライン群のラインパターンpcを検知するまでの時間である。tkmは、第2ライン群のラインパターンpkを検知してから第2ライン群のラインパターンpmを検知するまでの時間である。tkyは、第2ライン群のラインパターンpkを検知してから第2ライン群のラインパターンpyを検知するまでの時間である。
【0050】
次に、前記光走査装置2010の構成について説明する。
【0051】
光走査装置2010は、一例として図7〜図12に示されるように、2つの光源(2200a、2200b)、2つのカップリングレンズ(2201a、2201b)、2つの開口板(2202a、2202b)、2つの光束分割プリズム(2203a、2203b)、4つの液晶偏向素子(2211a、2211b、2211c、2211d)、4つのシリンドリカルレンズ(2204a、2204b、2204c、2204d)、ポリゴンミラー2104、4つの偏向器側走査レンズ(2105a、2105b、2105c、2105d)、8つの折り返しミラー(2106a、2106b、2106c、2106d、2108a、2108b、2108c、2108d)、4つの像面側走査レンズ(2107a、2107b、2107c、2107d)、4つのセンサアレイ(2112a、2112b、2112c、2112d)、及び走査制御装置(図示省略)などを備えている。そして、上記光学素子は、不図示の光学ハウジング内に収容されている。
【0052】
また、カップリングレンズ2201aの光軸に沿った方向を「w1方向」、カップリングレンズ2201bの光軸に沿った方向を「w2方向」とする。さらに、Z軸方向及びw1方向のいずれにも直交する方向を「m1方向」、Z軸方向及びw2方向のいずれにも直交する方向を「m2方向」とする。
【0053】
なお、以下では、便宜上、主走査方向に対応する方向を「主走査対応方向」と略述し、副走査方向に対応する方向を「副走査対応方向」と略述する。
【0054】
光源2200aにおける主走査対応方向は「m1方向」であり、副走査対応方向はZ軸方向と同じ方向である。また、光源2200bにおける主走査対応方向は「m2方向」であり、副走査対応方向はZ軸方向と同じ方向である。
【0055】
光源2200aと光源2200bは、X軸方向に関して離れた位置に配置されている。
【0056】
カップリングレンズ2201aは、光源2200aから射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
【0057】
カップリングレンズ2201bは、光源2200bから射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
【0058】
開口板2202aは、開口部を有し、カップリングレンズ2201aを介した光束を整形する。
【0059】
開口板2202bは、開口部を有し、カップリングレンズ2201bを介した光束を整形する。
【0060】
光束分割プリズム2203aは、開口板2202aの開口部を通過した光束の光路上に配置されている。
【0061】
光束分割プリズム2203bは、開口板2202bの開口部を通過した光束の光路上に配置されている。
【0062】
各光束分割プリズムは、入射光束の半分を透過させ、残りを反射するハーフミラー面と、該ハーフミラー面で反射された光束の光路上にハーフミラー面に平行に配置されたミラー面とを有している。すなわち、各光束分割プリズムは、入射光束を互いに平行な2つの光束に分割する。
【0063】
以下では、光束分割プリズム2203aからの2つの光束のうち−Z側の光束を「光束La」ともいい、+Z側の光束を「光束Lb」ともいう。また、光束分割プリズム2203bからの2つの光束のうち+Z側の光束を「光束Lc」ともいい、−Z側の光束を「光束Ld」ともいう。
【0064】
液晶偏向素子2211aは、光束分割プリズム2203aからの光束Laの光路上に配置されている。
【0065】
液晶偏向素子2211bは、光束分割プリズム2203aからの光束Lbの光路上に配置されている。
【0066】
液晶偏向素子2211cは、光束分割プリズム2203bからの光束Lcの光路上に配置されている。
【0067】
液晶偏向素子2211dは、光束分割プリズム2203bからの光束Ldの光路上に配置されている。
【0068】
各液晶偏向素子は、印加電圧に応じて、入射光をZ軸方向に関して偏向する。
【0069】
シリンドリカルレンズ2204aは、液晶偏向素子2211aからの光束の光路上に配置され、該光束をポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
【0070】
シリンドリカルレンズ2204bは、液晶偏向素子2211bからの光束の光路上に配置され、該光束をポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
【0071】
シリンドリカルレンズ2204cは、液晶偏向素子2211cからの光束の光路上に配置され、該光束をポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
【0072】
シリンドリカルレンズ2204dは、液晶偏向素子2211dからの光束の光路上に配置され、該光束をポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
【0073】
ポリゴンミラー2104は、Z軸に平行な軸回りに回転する2段構造の4面鏡を有し、各鏡がそれぞれ偏向反射面となる。そして、1段目(下段)の4面鏡ではシリンドリカルレンズ2204aからの光束及びシリンドリカルレンズ2204dからの光束がそれぞれ偏向され、2段目(上段)の4面鏡ではシリンドリカルレンズ2204bからの光束及びシリンドリカルレンズ2204cからの光束がそれぞれ偏向されるように配置されている。なお、1段目の4面鏡及び2段目の4面鏡は、互いに位相が45°ずれて回転し、書き込み走査は1段目と2段目とで交互に行われる。
【0074】
ここでは、シリンドリカルレンズ2204a及びシリンドリカルレンズ2204bからの光束はポリゴンミラー2104の−X側に偏向され、シリンドリカルレンズ2204c及びシリンドリカルレンズ2204dからの光束はポリゴンミラー2104の+X側に偏向される。
【0075】
各偏向器側走査レンズはそれぞれ、ポリゴンミラー2104の回転に伴って、対応する感光体ドラム面上で光スポットが主走査方向に等速で移動するようなパワーを有する非円弧面形状を有している。
【0076】
偏向器側走査レンズ2105a及び偏向器側走査レンズ2105bは、ポリゴンミラー2104の−X側に配置され、偏向器側走査レンズ2105c及び偏向器側走査レンズ2105dは、ポリゴンミラー2104の+X側に配置されている。
【0077】
そして、偏向器側走査レンズ2105aと偏向器側走査レンズ2105bはZ軸方向に積層され、偏向器側走査レンズ2105aは1段目の4面鏡に対向し、偏向器側走査レンズ2105bは2段目の4面鏡に対向している。また、偏向器側走査レンズ2105cと偏向器側走査レンズ2105dはZ軸方向に積層され、偏向器側走査レンズ2105cは2段目の4面鏡に対向し、偏向器側走査レンズ2105dは1段目の4面鏡に対向している。
【0078】
そこで、ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204aからの光束は、偏向器側走査レンズ2105a、折り返しミラー2106a、像面側走査レンズ2107a、及び折り返しミラー2108aを介して、感光体ドラム2030aに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030aの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030a上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030aでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030aの回転方向が、感光体ドラム2030aでの「副走査方向」である。
【0079】
また、ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204bからの光束は、偏向器側走査レンズ2105b、折り返しミラー2106b、像面側走査レンズ2107b、及び折り返しミラー2108bを介して、感光体ドラム2030bに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030bの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030b上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030bでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030bの回転方向が、感光体ドラム2030bでの「副走査方向」である。
【0080】
また、ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204cからの光束は、偏向器側走査レンズ2105c、折り返しミラー2106c、像面側走査レンズ2107c、及び折り返しミラー2108cを介して、感光体ドラム2030cに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030cの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030c上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030cでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030cの回転方向が、感光体ドラム2030cでの「副走査方向」である。
【0081】
また、ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204dからの光束は、偏向器側走査レンズ2105d、折り返しミラー2106d、像面側走査レンズ2107d、及び折り返しミラー2108dを介して、感光体ドラム2030dに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030dの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030d上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030dでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030dの回転方向が、感光体ドラム2030dでの「副走査方向」である。
【0082】
なお、各折り返しミラーは、ポリゴンミラー2104から各感光体ドラムに至る各光路長が互いに一致するとともに、各感光体ドラムにおける光束の入射位置及び入射角がいずれも互いに等しくなるように、それぞれ配置されている。
【0083】
また、各ステーションでは、シリンドリカルレンズと像面側走査レンズとにより、対応する感光体ドラム表面とポリゴンミラー2104での偏向点とを副走査方向に共役関係とする面倒れ補正光学系が構成されている。
【0084】
ポリゴンミラー2104と各感光体ドラムとの間の光路上に配置される光学系は、走査光学系とも呼ばれている。本実施形態では、偏向器側走査レンズ2105aと像面側走査レンズ2107aと折り返しミラー(2106a、2108a)とからKステーションの走査光学系が構成されている。また、偏向器側走査レンズ2105bと像面側走査レンズ2107bと折り返しミラー(2106b、2108b)とからCステーションの走査光学系が構成されている。そして、偏向器側走査レンズ2105cと像面側走査レンズ2107cと折り返しミラー(2106c、2108c)とからMステーションの走査光学系が構成されている。さらに、偏向器側走査レンズ2105dと像面側走査レンズ2107dと折り返しミラー(2106d、2108d)とからYステーションの走査光学系が構成されている。
【0085】
各光源は、一例として図13に示されるように、2次元的に配列された40個の発光部が1つの基板上に形成された2次元アレイ発光素子100を有している。40個の発光部は、すべての発光部を副走査対応方向に伸びる仮想線上に正射影したときに、発光部間隔が等間隔となるように配置されている。なお、本明細書では、「発光部間隔」とは2つの発光部の中心間距離をいう。
【0086】
また、各発光部は、発振波長が780nm帯の垂直共振器型の面発光レーザ(Vertical Cavity Surface Emitting Laser:VCSEL)である。すなわち、2次元アレイ発光素子100は、いわゆる面発光レーザアレイである。
【0087】
各液晶偏向素子は、2枚の透明なガラス板の間に液晶が封入された構成であり、一例として図14(A)に示されるように、一方のガラス板の表面の上下に電極が形成されている。この電極間に電位差が与えられると、一例として図14(B)に示されるように、Z軸方向に関して電位の傾斜が発生し、それに応じて液晶の配向が変化し、その結果、Z軸方向に関して屈折率の傾斜が発生する。これにより、プリズムと同様に光の射出軸をZ軸方向に関してわずかに傾けることができる。なお、液晶としては誘電異方性を有するネマティック液晶等が用いられる。
【0088】
また、Kステーションにおける光学系の主な光学素子の位置関係が図15に示されている。そして、図15における符号d1〜d11で示される各光路長の具体的な値(単位:mm)の一例が図16に示されている。なお、他のステーションでも同様な位置関係となっている。
【0089】
また、シリンドリカルレンズ2204aからの光束の射出方向と、ポリゴンミラー2104の偏向反射面により感光体ドラム2030aの表面における像高0の位置(図15における符号p0の位置)へ向けて反射される光束の進行方向とのなす角(図15におけるθr)は60度である。
【0090】
各偏向器側走査レンズ及び各像面側走査レンズは、いずれも樹脂製である。そして、それらの各面(入射側の面、射出側の面)は、次の(1)式及び次の(2)式で表現される非球面である。ここで、XはX軸方向の座標、YはY軸方向の座標を示す。また、入射面の中央をY=0とする。Cm0はY=0における主走査対応方向の曲率を示し、曲率半径Rmの逆数である。a00,a01,a02,・・・は主走査対応方向の非球面係数である。また、Cs(Y)はYに関する副走査対応方向の曲率、Rs0は副走査対応方向の光軸上の曲率半径、b00,b01,b02,・・・は副走査対応方向の非球面係数である。なお、光軸は、Y=0で副走査対応方向における中央の点を通る軸をいう。
【0091】
【数1】
【0092】
【数2】
【0093】
各偏向器側走査レンズの各面(入射側の面(第1面)、射出側の面(第2面))におけるRm、Rs0及び各非球面係数の値の一例が図17に示されている。
【0094】
各像面側走査レンズの各面(入射側の面(第3面)、射出側の面(第4面))におけるRm、Rs0及び各非球面係数の値の一例が図18に示されている。各像面側走査レンズは、副走査対応方向に強いパワーを有している。
【0095】
各像面側走査レンズの形状が、一例として図19(A)及び該図19(A)のA−A断面図である図19(B)に示されている。なお、便宜上、各像面側走査レンズにおける光束の入射方向を「R方向」、主走査対応方向を「M方向」、R方向及びM方向のいずれにも直交する方向を「S方向」とする。また、各像面側走査レンズを区別する必要がないときは、総称して「像面側走査レンズ2107」という。
【0096】
像面側走査レンズ2107には、−S側の面にリブ部306aが形成され、+S側の面にリブ部306bが形成されている。そして、リブ部306aには、+R方向に突出した3つの突起部(307a1、307a2、307a3)が形成されている。突起部307a2はM方向に関して中央に位置し、突起部307a1は突起部307a2の−M側に位置し、突起部307a2は突起部307a2の+M側に位置している。
【0097】
リブ部306bには、+R方向に突出した3つの突起部(307b1、307b2、307b3)が形成されている。突起部307b2はM方向に関して中央に位置し、突起部307b1は突起部307b2の−M側に位置し、突起部307b2は突起部307b2の+M側に位置している。
【0098】
そして、突起部307a1は突起部307b1の−S側に位置し、突起部307a2は突起部307b2の−S側に位置し、突起部307a3は突起部307b3の−S側に位置している。
【0099】
像面側走査レンズ2107は、その形状を安定的に保ち、傾き調整の際に局部的に力が加えられても像面側走査レンズ2107を変形させることがないように、すなわち、レンズ組み付け時の形状が維持されるように、板金部材に保持されている。
【0100】
像面側走査レンズ2107が保持される板金部材301が、一例として図20に示されている。この板金部材301は、板金加工で成形された板部材であり、M方向に平行な方向を長手方向とする底板301aと、該底板301aを挟んで対向する2枚の側板(301b、301c)とを有している。
【0101】
側板301bには、像面側走査レンズ2107の突起部が係合される3つの切欠部(3111、3112、3113)が形成されている。
【0102】
底板301aには、M方向の両端部近傍に、それぞれ開口部313を伴う立曲げ部310が形成されている。これらの立曲げ部310と像面側走査レンズ2107とが接触する。
【0103】
また、底板301aには、側板301bの各切欠部に対応して3つのねじ穴312が形成されている。各ねじ穴312は、像面側走査レンズ2107が保持されたときに、R方向に関して、像面側走査レンズ2107のほぼ中央の位置に対応した各位置に形成されている。
【0104】
さらに、M方向に関して、底板301aの一方の端部には突起部318が形成され、他方の端部には切欠部321が形成されている。
【0105】
また、側板301bには、底板301aの各開口部313に対応して2つのスリット314が形成されている。
【0106】
像面側走査レンズ2107は、一例として図21に示されるように、3つの第1板ばね302と2つの第2板ばね303によって、板金部材301に保持される。なお、図21では、わかりやすくするため、各側板の図示を省略している。
【0107】
第2板ばね303は、クリップ状の板ばねであり、像面側走査レンズ2107の−S側の端面に+S方向の押圧を作用させ、板金部材301の底板301aの+S側の面に−S方向の押圧を作用させることによって、像面側走査レンズ2107と板金部材301を挟むようになっている。なお、第2板ばね303の+S側の板部は、外側から開口部313を通過して、スリット304に挿入される。
【0108】
第1板ばね302は、像面側走査レンズ2107のリブ部306aと板金部材301を挟むのに用いられる。ここでは、第1板ばね302は、図22に示されるように、底板部3021と、+R側の側板部3022と、−R側の側板部3023と、該側板部3023の端部から+R方向に延びる上板部3024とからなっている。また、側板部3022には、開口部が形成されている。さらに、底板部3021には、調節ねじ308が貫通する円形の開口部3025が形成されている。
【0109】
そして、図21のA−A断面図である図23に示されるように、側板部3022の開口部にリブ部306aの突起部が係合され、上板部3024によって−R側のリブ部306aに+S方向の押圧が作用される。
【0110】
また、板金部材301の各ねじ穴312には、第1板ばね302の開口部3025を介して調節ねじ308が螺合される。この調節ねじ308の−S側の先端は、像面側走査レンズ2107の+S側の端面に当接されている。そこで、調節ねじ308をねじ込むことによって像面側走査レンズ2107に−S方向の押圧を作用させることができる。
【0111】
この場合、像面側走査レンズ2107に作用する調節ねじ308による押圧力と、第1板ばね302による押圧力は、互いに逆方向に作用するため、像面側走査レンズ2107に作用する力の微調整が可能となる。
【0112】
例えば、板金部材301の底板301aからの調節ねじ308の突出し量を、立曲げ部310の高さよりも小さくすると、像面側走査レンズ2107をその母線が上側に凸となるように反らすことができる。逆に、調節ねじ308の突出し量を、立曲げ部310の高さよりも大きくすると、像面側走査レンズ2107をその母線が下側に凸となるように反らすことができる。従って、調節ねじ308の突出し量を調整することによって、像面側走査レンズ2107の焦線がS方向に湾曲され、走査線の曲がりを補正することができる。各調節ねじ308による像面側走査レンズ2107の調整における調整軸の方向は、像面側走査レンズ2107の光軸方向に平行である。なお、中央部と立曲げ部310との間に配置されている調節ねじ308によって、M型やW型の曲がりについても補正が可能である。
【0113】
像面側走査レンズ2107が装着された板金部材301は、端部に形成された突起部318を光学ハウジングの保持部に設けられた位置決めガイド(不図示)に勘合して位置決めを行い、−S方向に付勢するように光学ハウジングの保持部に取り付けられた板ばね326を架橋して光学ハウジングに保持される。
【0114】
また、像面側走査レンズ2107には、一例として図24に示されるように、像面側走査レンズ2107をR方向に平行な軸回りに回動させるためのステッピングモータ315が設けられている。なお、ここでは、Kステーションを基準としているため、像面側走査レンズ2107aを回動させるためのステッピングモータは設けられてなくても良い。
【0115】
ステッピングモータ315は、シャフトの先端に形成された送りねじを可動筒316のねじ穴に螺合し、板金部材301の一端に形成された切欠321と可動筒316の凹部とを勘合させることで、ステッピングモータ315の回転により副走査対応方向(ここでは、S方向に平行な方向)に変位可能としている。
【0116】
また、像面側走査レンズ2107の−S側には、支柱322が設けられている。この支柱322は、光学ハウジングの保持部に設けられた支持部320に載置され、板ばね(不図示)により支柱322に押し付けられている。これにより、ステッピングモータ315の正逆回転に追従して像面側走査レンズ2107は光軸と直交する面内で、支持部320との当接点を傾き調整の支点として回動することができる。そして、それに伴って像面側走査レンズ2107の母線が傾き、その結果、走査線が傾けられる。なお、支柱322を設けることなく、像面側走査レンズ2107を、直接、光学ハウジングに設けられた支持部に載置し、板ばね等で保持する構成としても良い。
【0117】
また、ここでは、図25に示されるように、各調節ねじ308の突出し量を調整するためのステッピングモータ315Aが設けられている。
【0118】
ところで、各ステーションの走査光学系には、1回の走査における書き込み開始前の光束が入射する先端同期検知センサ(図示省略)、及び1回の走査における書き込み終了後の光束が入射する後端同期検知センサ(図示省略)がそれぞれ設けられている。
【0119】
各同期検知センサは、受光素子を有し、受光光量に応じた電気信号を走査制御装置に出力する。なお、先端同期検知センサの出力信号は、先端同期検知信号とも呼ばれている。また、後端同期検知センサの出力信号は、後端同期検知信号とも呼ばれている。
【0120】
各センサアレイは、感光体ドラムの表面における光束の入射位置を検出する処理(以下、「入射位置検出処理」という)を行う際に用いられる。
【0121】
走査制御装置は、プリンタ制御装置2090から入射位置検出処理の要求があると、一例として図26及び図27に示されるように、各液晶偏向素子を介して、光束分割プリズムからの光束をZ軸方向に関して偏向する。
【0122】
液晶偏向素子2211aで偏向された光束Laは、シリンドリカルレンズ2204a、ポリゴンミラー2104、偏向器側走査レンズ2105a、折り返しミラー2106a、像面側走査レンズ2107a、折り返しミラー2108aを介して、センサアレイ2112aに入射する(図28参照)。
【0123】
液晶偏向素子2211bで偏向された光束Lbは、シリンドリカルレンズ2204b、ポリゴンミラー2104、偏向器側走査レンズ2105b、折り返しミラー2106b、像面側走査レンズ2107b、折り返しミラー2108bを介して、センサアレイ2112bに入射する(図28参照)。
【0124】
液晶偏向素子2211cで偏向された光束Lcは、シリンドリカルレンズ2204c、ポリゴンミラー2104、偏向器側走査レンズ2105c、折り返しミラー2106c、像面側走査レンズ2107c、折り返しミラー2108cを介して、センサアレイ2112cに入射する(図29参照)。
【0125】
液晶偏向素子2211dで偏向された光束Ldは、シリンドリカルレンズ2204d、ポリゴンミラー2104、偏向器側走査レンズ2105d、折り返しミラー2106d、像面側走査レンズ2107d、折り返しミラー2108dを介して、センサアレイ2112dに入射する(図29参照)。
【0126】
以下では、便宜上、各液晶偏向素子で偏向され、センサアレイに向かう光束を検知用光束という。
【0127】
各センサアレイは、主走査対応方向に沿って等間隔に配置された5つの光検知センサ(181、182、183、184、185)を有している(図30参照)。
【0128】
そこで、検知用光束は、ポリゴンミラー2104の回転に伴って各光検知センサに順に入射する。そして、各光検知センサにおける検知用光束の入射位置は、ポリゴンミラー2104の回転に伴って、主走査対応方向(便宜上、m方向とする)に移動する。
【0129】
各光検知センサの受光面の法線方向は、検知用光束の入射方向に対して傾斜している。これにより、各光検知センサの受光面での反射光が光源に戻り、光量制御に影響を与えることを回避できる。
【0130】
さらに、各光検知センサの受光面の法線方向は、検知用光束の入射方向に対して、検知用光束の走査してくる方向に3〜5°程度傾斜している。これにより、光検知センサのリードフレーム部とカバーガラスとの間での多重反射によるゴースト光を光検知センサ外へ導きフォトダイオード部に至らなくすることができ、検知精度の低下を回避している。
【0131】
各光検知センサは、一例として図31に示されるように、2つの受光部(第1受光部18a、第2受光部18b)を有する受光素子、該受光素子からの受光量に応じた信号(光電変換信号)を増幅するアンプ(AMP)18c、該アンプ18cの出力信号レベルと予め設定されている基準レベルVsとを比較し、その比較結果を出力する比較器(CMP)18dを有している。この比較器18dの出力信号は走査制御装置3022に供給される。
【0132】
受光素子の各受光部は、副走査対応方向(便宜上、s方向とする)の位置によってm方向の互いの間隔が異なっている。
【0133】
第1受光部18aは、一例として長方形状の受光部であり、長手方向がs方向と一致するように配置されている。すなわち、検知用光束が通過する2辺がs方向に平行である。
【0134】
第2受光部18bは、一例として平行四辺形状の受光部であり、第1受光部18aの+m側に配置されている。そして、第2受光部18bの長手方向は、受光面内において第1受光部18aの長手方向に対して角度θ(0<θ<90°)だけ傾斜している。すなわち、検知用光束が通過する2辺がs方向に対して傾斜している。
【0135】
アンプ18cでは、入力信号の反転及び増幅が行われる。従って、受光素子の受光量が多いほど、アンプ18cの出力信号レベルは低くなる。
【0136】
前記基準レベルVsは、検知用光束が受光素子で受光されたときのアンプ18cの出力信号レベル(最低値)よりも若干高いレベルに設定されている。そこで、各受光部のいずれかが検知用光束を受光したときに、比較器18dでの判断結果が変化し、それに応じて比較器18dの出力信号が変化する。
【0137】
各光検知センサは、対応する感光体ドラムの表面における光束の入射位置が、設計上の位置のときに、検知用光束が、各受光部のほぼ中央を通過するように調整されている(図32(A)参照)。そして、このときに、検知用光束が第1受光部18aで検知されてから第2受光部18bで検知されるまでの時間は、基準時間Tsとして予め得られている(図32(B)参照)。なお、便宜上、このときの各光検知センサにおける検知用光束の入射位置の移動経路、すなわち設計上の移動経路を「経路A」という。
【0138】
ところで、上記各光学素子を光学ハウジングに取り付ける際の取り付け位置の誤差や、光学ハウジングの変形等により、感光体ドラムに向かう光束の光路が設計上の光路に対して副走査対応方向(ここでは、Z軸方向)にずれることがある。
【0139】
この場合には、検知用光束も、感光体ドラムに向かう光束と同様に、設計上の光路に対して副走査対応方向(ここでは、s方向)にずれることとなる(図33参照)。
【0140】
そして、一例として図34(A)に示されるように、各光検知センサにおける検知用光束の入射位置の移動経路も、経路Aに対して副走査対応方向にずれる。なお、便宜上、このときの移動経路を経路Bという。
【0141】
そして、このときの移動経路のずれ量Δh(図34(A)参照)は、次の(3)式から求めることができる。ここで、ΔTは、比較器18dの出力信号における立下りから次の立下りまでの時間Tと前記基準時間Tsとの差であり(図34(B)参照)、Vは検知用光束の移動速度(走査速度)である。このずれ量Δhは、感光体ドラムに向かう光束の光路の設計上の光路に対する副走査対応方向のずれ量(以下では、便宜上、「副走査ずれ量」と略述する)と相関関係がある(図35参照)。なお、図35における係数kは、装置固有の値であり、予め求めることができる。
【0142】
Δh=(V/tanθ)×ΔT ……(3)
【0143】
ここでは、各光検知センサは、その受光面が対応する感光体ドラムの表面と光学的に略等価な位置となるように配置されている。これにより、各光検知センサの受光面上を移動する検知用光束のビーム径を小さくすることができ、検知精度を向上させることができる。また、感光体ドラムの表面での光スポットの位置ずれ量と光検知センサの受光面上での光スポットの位置ずれ量とを等しくすることができる。なお、各光検知センサを、その受光面が対応する感光体ドラムの表面と光学的に略等価な位置となるように配置できない場合は、感光体ドラムの表面での光スポットの位置ずれ量と等しくなるように、光検知センサの受光面上での光スポットの位置ずれ量に予め求めた相関係数(比例係数)をかければ良い。
【0144】
そこで、光検知センサ181から得られた副走査ずれ量と光検知センサ185から得られた副走査ずれ量との差から、走査線の傾きを求めることができる。また、5つの光検知センサから得られた副走査ずれ量から、走査線の曲がりを求めることができる。さらに、5つの光検知センサから得られた副走査ずれ量の平均から、いわゆる副走査レジストを求めることができる。
【0145】
ところで、ポリゴンミラー2104の発熱や外部からの熱によって、光学ハウジング内の温度が変化すると、その温度変化により板金部材301及び像面側走査レンズ2107はいずれも伸縮する。しかしながら、板金部材301は金属製であり、像面側走査レンズ2107は樹脂製であるため、線膨張係数の差によりそれらの伸縮量に差が生じる。
【0146】
そして、像面側走査レンズ2107が装着された板金部材301では、ステッピングモータ315と板金部材301の嵌合部、及び中央の支点(支柱322と支柱支持部320の当接点)が固定点として働くため、M方向に関して非対称の応力が発生する。具体的には、ステッピングモータ315と嵌合されていないほうの端部近傍は、板ばね326の弾性力のみで支えられているので、固定点とは言えず、伸縮量の差によって生じる応力が集中し、副走査対応方向に大きく変位することとなる(図36及び図37参照)。なお、図37は、このときの像面側走査レンズ2107の変形状態を簡易的に示した図である。
【0147】
図37における符号(1)は、温度が変化する前の状態を示している。像面側走査レンズ2107のほうが伸縮量は大きいので、ここでは、温度上昇時は符号(2)のように変形し、温度降下時は符合(3)のように変形する。その結果、感光体ドラム上でも光スポットの位置はレンズの反りに応じて変化する。
【0148】
周囲の温度が25℃のとき、50℃のとき、及び10℃のときの、感光体ドラム上での光スポット位置をそれぞれ測定した結果が図38に示されている。ここでは、像高がマイナス側端部に対応する位置にステッピングモータ315が配置され、像高がプラス側端部に対応する位置は板ばね326の弾性力のみで支えられている。50℃のとき及び10℃のときは、25℃のときに対して、互いに逆方向に変位している。
【0149】
なお、像高のマイナス側端部に対応する板金部材301の端部はステッピングモータ315と締結されているため固定端として機能するが、像高のマイナス側端部に対応する像面側走査レンズ2107は完全には板金部材301に固定されていない。そこで、ステッピングモータ315が配置されている像高のマイナス側端部でも光スポット位置は変位している。但し、板ばね326の弾性力のみで支持されている像高がプラス側端部に対応する位置に比べると、光スポット位置の変位は小さい。このように、像高のプラス側とマイナス側とで光スポット位置の変位量が異なることにより、感光体ドラム上において走査線に傾きが生じる。
【0150】
走査制御装置は、一例として図39に示されるように、CPU3210、フラッシュメモリ3211、RAM3212、液晶素子駆動回路3213、IF(インターフェース)3214、画素クロック生成回路3215、画像処理回路3216、書込制御回路3219、光源駆動回路3221、モータ駆動回路3222、LED駆動回路3223などを有している。なお、図41における矢印は、代表的な信号や情報の流れを示すものであり、各ブロックの接続関係の全てを表すものではない。
【0151】
画素クロック生成回路3215は、画素クロック信号を生成する。なお、画素クロック信号は、1/8クロックの分解能で位相変調が可能である。
【0152】
画像処理回路3216は、CPU3210によって色毎にラスター展開された画像データに所定の中間調処理などを行った後、各光源の発光部毎のドットデータを作成する。
【0153】
書込制御回路3219は、ステーション毎に、先端同期検知センサを監視し、書込開始のタイミングを求める。そして、書込開始のタイミングに合わせて、各発光部のドットデータを画素クロック生成回路3215からの画素クロック信号に重畳させるとともに、発光部毎にそれぞれ独立した変調データを生成する。
【0154】
光源駆動回路3221は、書込制御回路3219からの各変調データに応じて、各光源に各発光部の駆動信号を出力する。
【0155】
モータ駆動回路3222は、CPU3210の指示に基づいて、各像面側走査レンズの形状を微調整するためのステッピングモータ315A、及び各像面側走査レンズを回動させるためのステッピングモータ315の駆動信号を出力する。
【0156】
LED駆動回路3223は、位置ずれ検出器2245を用いた位置ずれ検出処理が行われるときに、CPU3210から指示され、位置ずれ検出器2245の各LEDに駆動信号を出力する。
【0157】
液晶素子駆動回路3213は、CPU210で決定された印加電圧を各液晶偏向素子に印加する。
【0158】
IF(インターフェース)3214は、プリンタ制御装置2090との双方向の通信を制御する通信インターフェースである。上位装置からの画像データは、IF(インターフェース)3214を介して供給される。
【0159】
フラッシュメモリ3211には、CPU3210にて解読可能なコードで記述された各種プログラム、及びプログラムの実行に必要な各種データが格納されている。
【0160】
RAM3212は、作業用のメモリである。
【0161】
CPU3210は、フラッシュメモリ3211に格納されているプログラムに従って動作し、光走査装置2010の全体を制御する。
【0162】
例えば、CPU3210は、装置の立ち上げ時やジョブ間等のタイミングで、位置ずれ検出器2245を用いた位置ずれ検出処理を行う(例えば、特開2008−276010号公報、特開2005−238584号公報参照)。なお、1ジョブのプリント枚数が多い場合には、その間の温度変化によるずれを抑えるために、途中で割り込みをかけて位置ずれ検出処理が行われることもある。
【0163】
CPU3210によって行われる位置ずれ検出処理について簡単に説明する。なお、この位置ずれ検出処理は、プリンタ制御装置2090側で行われても良い。この場合は、検出結果が、プリンタ制御装置2090から走査制御装置3022に通知される。
【0164】
(A)書込制御回路3219を介して、上記トナーパッチTPを形成し、転写ベルト2040上に転写させる。
【0165】
(B)予め設定されている時間が経過すると、LED駆動回路3223を介して位置ずれ検出器2245の各LEDを点灯させる。
【0166】
(C)位置ずれ検出器2245の各フォトセンサの出力信号に基づいて、位置Y1、Y2、Y3毎に、ty、tm、tc、tk、tkc、tkm、tkyを求め、フラッシュメモリ3211に格納する。
【0167】
(D)LED駆動回路3223を介して位置ずれ検出器2245の各LEDを消灯させる。
【0168】
(E)位置Y1、Y2、Y3毎に、フラッシュメモリ3211に格納されているty、tm、tc、tk、tkc、tkm、tkyを用いて所定の演算を行い、各ステーションにおける主走査レジスト、Kステーションを基準としたときの他の3つのステーション(Yステーション、Mステーション、Cステーション)における走査線の傾きずれ、及び副走査レジストずれをそれぞれ求める(例えば、特許第4107578号公報参照)。
【0169】
ここでは、ty、tm、tc、tkの設計値と計測値との差から、各ステーションにおける主走査レジストを求める。そして、位置検出センサ2245aから得られた主走査レジストと位置検出センサ2245cから得られた主走査レジストとの差から主走査倍率を求める。
【0170】
また、tkc、tkm、tkyの設計値と計測値との差から、Kステーションを基準とした、他の3つのステーションでの副走査レジストずれを求める。ここでは、各位置検出センサから得られた副走査レジストずれの平均値を、該ステーションでの副走査レジストずれとしている。
【0171】
そして、位置検出センサ2245aから得られた副走査レジストずれと位置検出センサ2245cから得られた副走査レジストずれとの差から、走査線の傾きずれを求める。
【0172】
CPU3210は、位置ずれ検出処理で求めた各種ずれが許容範囲を超えていると判断すると、それらの補正処理を行う。
【0173】
例えば、走査線の傾きずれは、対応するステッピングモータ315に対して、走査線の傾きずれを補正するための駆動信号を生成し、モータ駆動回路3222に出力する。なお、走査線の傾きずれの大きさとそれを補正するためのステッピングモータ315の駆動量との関係は予め求められ、フラッシュメモリ3211に格納されている。
【0174】
また、副走査レジストずれについては、例えば、ポリゴンミラーの1面おき、つまり1走査ラインピッチを単位として副走査方向における書出しタイミングを調整する。
【0175】
また、主走査倍率については、画素クロックの基準周波数及び先端同期検知信号による書き出しタイミングを調整することで、画像の全幅と書出し位置を揃える。
【0176】
また、CPU3210は、画像形成時のページ間において、ステーション毎に、対応するセンサアレイの各光検知センサの出力信号に基づいて、感光体ドラムの表面での光束の副走査ずれ量をそれぞれ求め、該複数の副走査ずれ量からさらに、Kステーションを基準としたときの、他の3つのステーションにおける走査線の曲がりずれ、走査線の傾きずれ、及び副走査レジストずれを求める。
【0177】
そして、CPU3210は、位置ずれ検出処理から得られた走査線の傾きずれ、及び副走査レジストずれに基づいて、センサアレイから得られた走査線の傾きずれ、及び副走査レジストずれを補正するための各補正係数を求める。ここで得られた各補正係数は、電源投入時からの経過時間と組にして、フラッシュメモリ3211に蓄積される。
【0178】
次に、画像形成の際に、CPU3210によって行われる走査線の曲がりずれ、走査線の傾きずれ、及び副走査レジストずれの補正処理について説明する。
【0179】
(1)ステーション毎に、対応するセンサアレイの各光検知センサの出力信号に基づいて、感光体ドラムの表面での光束の副走査ずれ量をそれぞれ求め、該複数の副走査ずれ量からさらに、Kステーションを基準として、他の3つのステーションにおける走査線の曲がりずれ、走査線の傾きずれ、及び副走査レジストずれをそれぞれ求める。
【0180】
(2)他の3つのステーションについて、フラッシュメモリ3211に蓄積されている複数組の各補正係数と電源投入時からの現在の経過時間とから、現時点での各補正係数をそれぞれ予測する。
【0181】
(3)他の3つのステーションについて、上記(2)で予測した各補正係数を用いて、上記(1)で求めた走査線の傾きずれ、及び副走査レジストずれを修正し、新たな走査線の傾きずれ、及び副走査レジストずれとする。
【0182】
これにより、センサアレイの出力信号から得られた走査線の傾きずれ、及び副走査レジストずれの精度を向上させることができる。
【0183】
(4)上記他の3つのステーションについて、対応するステッピングモータ315Aに対して、上記(1)で得られた走査線の曲がりずれを補正するための駆動信号を生成し、モータ駆動回路3222に出力する。なお、走査線の曲がりずれの大きさとそれを補正するためのステッピングモータ315Aの駆動量との関係は予め求められ、フラッシュメモリ3211に格納されている。
【0184】
(5)上記他の3つのステーションについて、対応するステッピングモータ315に対して、上記(3)で得られた走査線の傾きずれを補正するための駆動信号を生成し、モータ駆動回路3222に出力する。なお、走査線の傾きずれの大きさとそれを補正するためのステッピングモータ315の駆動量との関係は予め求められ、フラッシュメモリ3211に格納されている。
【0185】
(6)上記他の3つのステーションについて、上記(3)で得られた前記副走査レジストずれを補正するための、対応する液晶偏向素子の印加電圧を決定する。なお、副走査レジストずれの大きさと印加電圧との関係は予め求められ、フラッシュメモリ3211に格納されている。
【0186】
なお、上記(3)で得られた副走査レジストずれが感光体ドラムにおける走査線間隔の1/2以上の場合は、副走査レジストずれが低減されるように画像データをシフトする。すなわち、画像データを1走査分及びそれ以上前へずらしたり、1走査分及びそれ以上後へずらしたりする。
【0187】
また、CPU3210は、ステーション毎に、先端同期検知センサの出力信号(先端同期検知信号)と後端同期検知センサの出力信号(後端同期検知信号)から、各同期検知センサの間を光束が走査するのに要した時間を求め、その時間に予め設定されている数のパルスが収まるように画素クロック信号の基準周波数を再設定するとともに、中間像高においても倍率の歪みが生じないように、あらかじめ、温度変化に伴って生じる各分割区間毎の倍率変化を予測して重み付けられた位相データを、全幅倍率の可変量に対応してデータテーブルより読み出し、主走査方向の全域にわたって倍率が均一になるようにしている。
【0188】
また、光学ハウジング内の温度を計測するための温度センサを設け、CPU3210は、上記(3)において、さらに温度センサの出力信号に加味して、上記補正係数を予測しても良い。
【0189】
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る光走査装置2010では、走査制御装置によって、位置ずれ補正装置、傾き補正装置、位置調整装置、及び制御装置が構成されている。
【0190】
以上説明したように、本実施形態に係る光走査装置2010によると、2つの光源(2200a、2200b)と、各光源からの光束の光路上に配置された4つの液晶偏向素子(2211a、2211b、2211c、2211d)と、各液晶偏向素子を介した光束を偏向するポリゴンミラー2104と、ポリゴンミラー2104で偏向された光束を4つの感光体ドラム(2030a〜2030d)の表面に個別に集光する4つの走査光学系と、4つの感光体ドラムに対応して設けられた4つのセンサアレイ(2112a〜2112d)、及び走査制御装置などを備えている。
【0191】
そして、走査制御装置は、入射位置検出処理の際に、光源からの光束を液晶偏向素子でZ軸方向に関して偏向させ、ポリゴンミラー2104及び走査光学系を介してセンサアレイに入射させる。
【0192】
各センサアレイは、主走査方向に関して互いに異なる位置に配置された5つの光検知センサを有し、対応する感光体ドラムの有効走査領域に集光される光束の副走査方向に関する位置ずれ情報が含まれる信号を出力する。
【0193】
この場合は、CPU3210で、走査線の曲がりずれ、走査線の傾きずれ、及び副走査レジストずれを精度良くリアルタイムに求めることができる。
【0194】
そして、CPU3210は、走査線の曲がりずれ及び走査線の傾きずれが補正されるように、モータ駆動回路3222を介して各ステッピングモータを駆動制御している。すなわち、走査線の曲がりずれ及び走査線の傾きずれを精度良くリアルタイムに補正することができる。
【0195】
また、CPU3210は、副走査レジストずれがほぼ0となるように、液晶偏向素子の印加電圧を決定し、液晶素子駆動回路3213を介して対応する液晶偏向素子に印加している。すなわち、副走査レジストずれを精度良くリアルタイムに補正することができる。
【0196】
そこで、稼働中に光学ハウジング内の温度が上昇しても、走査線の曲がり、走査線の傾き、及び副走査レジストずれが、ステーション間で異なるのを抑制することができる。
【0197】
また、経時変化によって、走査線の曲がり、走査線の傾き、及び副走査レジストずれが、ステーション間で異なるのを抑制することができる。
【0198】
従って、安定して高精度の光走査を行うことが可能となる。
【0199】
また、検知用光束を射出する光源を個別に設ける必要がないため、従来の光走査装置に容易に適用することができる。
【0200】
また、検知用光束を書き込み用光束と分離するための分離光学素子を設ける必要がないため、分離光学素子の姿勢変化の影響を受けることがなく、各ずれを精度良く求めることができる。
【0201】
また、検知用光束を光検知センサに導くための光学系(検知用光学系)を、簡単な構成とすることができる。
【0202】
さらに、検知用光束と書き込み用光束の分離が容易である。
【0203】
また、各光源が、2次元アレイ発光素子100を有しているため、1つの感光体ドラムに対して同時に複数の光走査を行うことが可能となる。
【0204】
そして、本実施形態に係るカラープリンタ2000によると、光走査装置2010を備えているため、色ずれを従来よりも小さくすることができる。その結果、安定して高品質の画像を形成することが可能となる。
【0205】
また、光走査装置2010が2次元アレイ発光素子100を有する光源を備えているため、高速で画像を形成することが可能となる。また、形成される画像の高密度化を図ることが可能となる。
【0206】
また、ネットワークを介して、カラープリンタ2000と、電子演算装置(コンピュータ等)、画像情報通信システム(ファクシミリ等)等とを接続することにより、1台の画像形成装置で複数の機器からの出力を処理することができる情報処理システムを形成することができる。また、ネットワーク上に複数の画像形成装置を接続すれば、各出力要求から各画像形成装置の状態(ジョブの混み具合、電源が入っているかどうか、故障しているかどうか等)を知ることができ、一番状態の良い(使用者の希望に一番適した)画像形成装置を選択し、画像形成を行うことができる。
【0207】
なお、上記実施形態では、各センサアレイが5つの光検知センサを有する場合について説明したが、これに限定されるものではない。なお、光検知センサの数が多いほど、走査線の曲がりずれ、走査線の傾きずれ、及び副走査レジストずれの検出精度が向上する。
【0208】
また、上記実施形態では、調節ねじ308の突出し量を調整して像面側走査レンズ2107の形状を微調整する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、アクチュエータを用いて像面側走査レンズ2107の形状を微調整しても良い。アクチュエータとしては、例えば圧電素子(ピエゾ素子)のように印加電圧の大きさを変えることにより押圧力を可変できるものを用いることができる。
【0209】
また、上記実施形態において、CPU3210によるプログラムに従う処理の少なくとも一部をハードウェアによって構成することとしても良い。
【0210】
また、上記実施形態では、前記第1受光部18aが長方形状の場合について説明したが、これに限定されるものではなく、検知用光束が通過する2辺がs方向に平行な形状であれば良い。
【0211】
また、上記実施形態では、前記第2受光部18bが、平行四辺形状の場合について説明したが、これに限定されるものではなく、検知用光束が通過する2辺がs方向に対して傾斜している形状であれば良い。
【0212】
また、上記実施形態では、光源が40個の発光部を有する場合について説明したが、これに限定されるものではない。
【0213】
また、上記実施形態において、前記液晶偏向素子に代えて、Z軸方向に平行な軸回りに回動可能な非平行平板やガルバノミラーを用いても良い。
【0214】
また、上記実施形態において、前記液晶偏向素子に代えて、例えばMgLN、KTN、LN、NTなどの電気光学素子(EO素子)を用いても良い。
【0215】
また、上記実施形態において、副走査レジストずれを補正する際に、画像データをシフトするのに代えて、駆動対象の発光部を副走査対応方向に関して隣接する他の発光部にシフトしても良い。
【0216】
また、上記実施形態において、前記先端同期検知センサ及び前記後端同期検知センサが、センサアレイに含まれていても良い。
【0217】
また、上記実施形態では、画像形成装置としてカラープリンタ2000の場合について説明したが、これに限定されるものではない。要するに、光走査装置2010を備えた画像形成装置であれば良い。
【0218】
例えば、レーザ光によって発色する媒体(例えば、用紙)に直接、レーザ光を照射する画像形成装置であっても良い。
【0219】
また、像担持体として銀塩フィルムを用いた画像形成装置であっても良い。この場合には、光走査により銀塩フィルム上に潜像が形成され、この潜像は通常の銀塩写真プロセスにおける現像処理と同等の処理で可視化することができる。そして、通常の銀塩写真プロセスにおける焼付け処理と同等の処理で印画紙に転写することができる。このような画像形成装置は光製版装置や、CTスキャン画像等を描画する光描画装置として実施できる。
【0220】
また、上記実施形態では、光走査装置2010がプリンタに用いられる場合について説明したが、プリンタ以外の画像形成装置、例えば、複写機、ファクシミリ、又は、これらが集約された複合機にも好適である。
【0221】
また、上記実施形態では、感光体ドラムが4つある場合について説明したが、これに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0222】
本発明の光走査装置によれば、安定して高い精度の光走査を行うのに適している。また、本発明の画像形成装置によれば、安定して高品質の画像を形成するのに適している。
【符号の説明】
【0223】
181〜185…光検知センサ、315…ステッピングモータ(回動機構の一部)、315A…ステッピングモータ(調整機構の一部)、2000…カラープリンタ(画像形成装置)、2010…光走査装置、2030a,2030b,2030c,2030d…感光体ドラム(像担持体)、2080…通信制御装置(通信装置)、2104…ポリゴンミラー(偏向器)、2105a〜2105d…偏向器側走査レンズ(走査光学系の一部)、2107a〜2107d…像面側走査レンズ(走査光学系の一部)、2112a〜2112d…センサアレイ(複数の光検知センサ)、2200a,2200b…光源、2211a〜2211d…液晶偏向素子(偏向素子)、2245a〜2245c…位置検出センサ(パターン検出センサ)、TP…トナーパッチ(検出用パターン)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0224】
【特許文献1】特許第4107578号公報
【特許文献2】特開2004−287380号公報
【特許文献3】特開2004−258182号公報
【特許文献4】特開2008−275961号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、光走査装置及び画像形成装置に係り、更に詳しくは、光束により被走査面を走査する光走査装置及び該光走査装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真の画像記録では、レーザ光を用いたプリンタやデジタル複写機などの画像形成装置が広く用いられている。この画像形成装置は光走査装置を備え、感光性を有するドラム(以下、「感光体ドラム」ともいう)の軸方向に偏向器(例えば、ポリゴンミラー)を用いてレーザ光を走査しつつ、感光体ドラムを回転させ、感光体ドラムの表面(被走査面)に潜像を形成する方法が一般的である。
【0003】
画像形成装置では、光走査装置からの光束(走査光束)が感光体ドラムの表面に照射される際に、所定の位置からずれた位置に照射されると、形成される画像の品質低下を招くおそれがある。
【0004】
そこで、例えば、特許文献1には、転写体に記録された検出パターンより、走査ラインの曲がり及び傾きを含む各々のレジストずれを、主走査方向に沿った3箇所以上の位置で検出する検出手段と、走査ラインの傾き及び走査ラインの曲がりを補正する走査軌跡可変手段を備えた画像形成装置が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、書き込み開始位置検知用ビームスポット位置検知手段と、書き込み終端位置検知用ビームスポット位置検知手段と、光学素子をビームの副走査方向に矯正してビームによる走査線の曲がりを補正する走査線曲がり補正手段と、光学素子の全体を傾けて走査線の傾きを補正する走査線傾き補正手段とを有する光走査装置及び該光走査装置を備える画像形成装置が開示されている。そして、画像形成装置は、傾き検知手段として、転写ベルトの非通紙領域に形成されるテストパターンを読み取るフォトセンサを有している。
【0006】
また、特許文献3には、光学素子の副走査方向に関する位置を調整するための光学素子副走査位置調整機構が設けられた光走査装置と、転写搬送ベルト上のトナーマークに対応した検知センサとを備える画像形成装置が開示されている。
【0007】
また、特許文献4には、被走査面上に結像される光束を射出する光源手段とは別の調整用光源を用い、該調整用光源から射出され結像光学系を介した光束の集光位置を検出し、該集光位置に基づく位置情報より、光源手段又は入射光学系の少なくとも一方の位置を調整して、光源手段から射出した光束の主走査方向の集光位置が調整されている光走査装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、光走査装置の光学ハウジングは、稼働中に内外からの熱に起因して変形することがあり、その光学ハウジングの変形により、稼働中に被走査面上での副走査方向に関する光スポットの位置ずれを生じるおそれがあった。
【0009】
しかしながら、特許文献1〜4に開示されている装置では、光スポットの位置ずれを精度良くリアルタイムで求めるのは困難であった。
【0010】
本発明は、かかる事情の下になされたもので、その第1の目的は、安定して高精度の光走査を行うことができる光走査装置を提供することにある。
【0011】
また、本発明の第2の目的は、安定して高品質の画像を形成することができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、第1の観点からすると、光源と、該光源からの光束を偏向する偏向器と、走査光学素子を含み、前記偏向器で偏向された光束を被走査面上に集光する走査光学系とを備え、前記被走査面を光束により主走査方向に走査する光走査装置において、前記光源と前記偏向器との間の光路上に配置され、前記光路を副走査方向に関して偏向する偏向素子と;前記被走査面の有効走査領域内の主走査方向に関して互いに異なる複数の位置に対応する複数の位置に配置され、入射する光束の副走査方向に関する位置ずれ情報が含まれる信号を出力する複数の光検知センサと;前記光源からの光束が、前記偏向器及び前記走査光学系を介して前記複数の光検知センサに入射するように前記偏向素子を制御する制御装置と;を更に備えることを特徴とする光走査装置である。
【0013】
これによれば、安定して高精度の光走査を行うことが可能となる。
【0014】
本発明は、第2の観点からすると、少なくとも1つの像担持体と;前記少なくとも1つの像担持体に対して画像情報に応じて変調された光束を走査する少なくとも1つの本発明の光走査装置と;を備える画像形成装置である。
【0015】
これによれば、本発明の光走査装置を備えているため、結果として、安定して高品質の画像を形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係るカラープリンタの概略構成を説明するための図である。
【図2】図1における位置ずれ検出器を説明するための図である。
【図3】位置検出センサの配置を説明するための図である。
【図4】トナーパッチを説明するための図である。
【図5】LEDからの照明光の軌跡を説明するための図である。
【図6】位置検出センサの出力信号を説明するためのタイミングチャートである。
【図7】図1における光走査装置を説明するための図(その1)である。
【図8】図1における光走査装置を説明するための図(その2)である。
【図9】図1における光走査装置を説明するための図(その3)である。
【図10】図1における光走査装置を説明するための図(その4)である。
【図11】図1における光走査装置を説明するための図(その5)である。
【図12】図1における光走査装置を説明するための図(その6)である。
【図13】各光源に含まれる2次元アレイ発光素子を説明するための図である。
【図14】図14(A)及び図14(B)は、いずれも液晶偏向素子を説明するための図である。
【図15】光走査装置における主要な光学素子の位置関係を説明するための図である。
【図16】図15における具体例を説明するための図である。
【図17】偏向器側走査レンズの光学面形状を説明するための図である。
【図18】像面側走査レンズの光学面形状を説明するための図である。
【図19】図19(A)及び図19(B)は、いずれも像面側走査レンズの形状を説明するための図である。
【図20】像面側走査レンズを保持する板金部材を説明するための図である。
【図21】像面側走査レンズが板金部材に保持されている状態を説明するための図である。
【図22】板ばねを説明するための図である。
【図23】図21のA−A断面図である
【図24】像面側走査レンズが装着された板金部材の光学ハウジングへの保持を説明するための図である。
【図25】調整ねじの突出し量を調整するためのステッピングモータを説明するための図である。
【図26】液晶偏向素子によって偏向された光束の光路を説明するための図(その1)である。
【図27】液晶偏向素子によって偏向された光束の光路を説明するための図(その2)である。
【図28】液晶偏向素子によって偏向された光束の光路を説明するための図(その3)である。
【図29】液晶偏向素子によって偏向された光束の光路を説明するための図(その4)である。
【図30】センサアレイにおける各光検知センサの配置位置を説明するための図である。
【図31】光検知センサの概略構成を説明するための図である。
【図32】図32(A)及び図32(B)は、いずれも光検知センサの動作を説明するための図(その1)である。
【図33】検出用光束の入射位置の位置ずれを説明するための図である。
【図34】図34(A)及び図34(B)は、いずれも光検知センサの動作を説明するための図(その2)である。
【図35】副走査ずれ量とΔhとの関係を説明するための図である。
【図36】光学ハウジングが変形したときの像面側走査レンズが装着された板金部材の変形を説明するための図である。
【図37】光学ハウジングが変形したときの像面側走査レンズの変形を説明するための図である。
【図38】種々の温度での感光体ドラムにおける光スポット位置と像高との関係を説明するための図である。
【図39】走査制御装置の構成を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図39に基づいて説明する。図1には、一実施形態に係る画像形成装置としてのカラープリンタ2000の概略構成が示されている。
【0018】
このカラープリンタ2000は、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)を重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタであり、光走査装置2010、4つの感光体ドラム(2030a、2030b、2030c、2030d)、4つのクリーニングユニット(2031a、2031b、2031c、2031d)、4つの帯電チャージャ(2032a、2032b、2032c、2032d)、4つの現像ローラ(2033a、2033b、2033c、2033d)、4つのトナーカートリッジ(2034a、2034b、2034c、2034d)、転写ベルト2040、定着ローラ2050、給紙コロ2054、レジストローラ対2056、排紙ローラ2058、給紙トレイ2060、排紙トレイ2070、通信制御装置2080、位置ずれ検出器2245及び上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置2090などを備えている。
【0019】
なお、ここでは、XYZ3次元直交座標系において、各感光体ドラムの長手方向に沿った方向をY軸方向、4つの感光体ドラムの配列方向に沿った方向をX軸方向として説明する。
【0020】
通信制御装置2080は、ネットワークなどを介した上位装置(例えばパソコン)との双方向の通信を制御する。
【0021】
各感光体ドラムはいずれも、その表面に感光層が形成されている。すなわち、各感光体ドラムの表面がそれぞれ被走査面である。なお、各感光体ドラムは、不図示の回転機構により、図1における面内で矢印方向に回転するものとする。
【0022】
感光体ドラム2030aの表面近傍には、感光体ドラム2030aの回転方向に沿って、帯電チャージャ2032a、現像ローラ2033a、クリーニングユニット2031aが配置されている。
【0023】
感光体ドラム2030a、帯電チャージャ2032a、現像ローラ2033a、トナーカートリッジ2034a、及びクリーニングユニット2031aは、組として使用され、ブラックの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Kステーション」ともいう)を構成する。
【0024】
感光体ドラム2030bの表面近傍には、感光体ドラム2030bの回転方向に沿って、帯電チャージャ2032b、現像ローラ2033b、クリーニングユニット2031bが配置されている。
【0025】
感光体ドラム2030b、帯電チャージャ2032b、現像ローラ2033b、トナーカートリッジ2034b、及びクリーニングユニット2031bは、組として使用され、シアンの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Cステーション」ともいう)を構成する。
【0026】
感光体ドラム2030cの表面近傍には、感光体ドラム2030cの回転方向に沿って、帯電チャージャ2032c、現像ローラ2033c、クリーニングユニット2031cが配置されている。
【0027】
感光体ドラム2030c、帯電チャージャ2032c、現像ローラ2033c、トナーカートリッジ2034c、及びクリーニングユニット2031cは、組として使用され、マゼンタの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Mステーション」ともいう)を構成する。
【0028】
感光体ドラム2030dの表面近傍には、感光体ドラム2030dの回転方向に沿って、帯電チャージャ2032d、現像ローラ2033d、クリーニングユニット2031dが配置されている。
【0029】
感光体ドラム2030d、帯電チャージャ2032d、現像ローラ2033d、トナーカートリッジ2034d、及びクリーニングユニット2031dは、組として使用され、イエローの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Yステーション」ともいう)を構成する。
【0030】
各帯電チャージャは、対応する感光体ドラムの表面をそれぞれ均一に帯電させる。
【0031】
光走査装置2010は、上位装置からの多色の画像情報(ブラック画像情報、シアン画像情報、マゼンタ画像情報、イエロー画像情報)に基づいて、各色毎に変調された光束を、対応する帯電された感光体ドラムの表面にそれぞれ照射する。これにより、各感光体ドラムの表面では、光が照射された部分だけ電荷が消失し、画像情報に対応した潜像が各感光体ドラムの表面にそれぞれ形成される。ここで形成された潜像は、感光体ドラムの回転に伴って対応する現像ローラの方向に移動する。なお、この光走査装置2010の構成については後述する。
【0032】
なお、各感光体ドラムにおいて、画像情報が書き込まれる領域は、有効走査領域あるいは画像形成領域と呼ばれている。
【0033】
トナーカートリッジ2034aにはブラックトナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033aに供給される。トナーカートリッジ2034bにはシアントナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033bに供給される。トナーカートリッジ2034cにはマゼンタトナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033cに供給される。トナーカートリッジ2034dにはイエロートナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033dに供給される。
【0034】
各現像ローラは、回転に伴って、対応するトナーカートリッジからのトナーが、その表面に薄く均一に塗布される。そして、各現像ローラの表面のトナーは、対応する感光体ドラムの表面に接すると、該表面における光が照射された部分にだけ移行し、そこに付着する。すなわち、各現像ローラは、対応する感光体ドラムの表面に形成された潜像にトナーを付着させて顕像化させる。ここでトナーが付着した像(以下では、「トナー画像」ともいう)は、感光体ドラムの回転に伴って転写ベルト2040の方向に移動する。
【0035】
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナー画像は、所定のタイミングで転写ベルト2040上に順次転写され、重ね合わされてカラー画像が形成される。
【0036】
給紙トレイ2060には記録紙が格納されている。この給紙トレイ2060の近傍には給紙コロ2054が配置されており、該給紙コロ2054は、記録紙を給紙トレイ2060から1枚づつ取り出し、レジストローラ対2056に搬送する。該レジストローラ対2056は、所定のタイミングで記録紙を転写ベルト2040に向けて送り出す。これにより、転写ベルト2040上のカラー画像が記録紙に転写される。ここで転写された記録紙は、定着ローラ2050に送られる。
【0037】
定着ローラ2050では、熱と圧力とが記録紙に加えられ、これによってトナーが記録紙上に定着される。ここで定着された記録紙は、排紙ローラ2058を介して排紙トレイ2070に送られ、排紙トレイ2070上に順次スタックされる。
【0038】
各クリーニングユニットは、対応する感光体ドラムの表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。残留トナーが除去された感光体ドラムの表面は、再度対応する帯電チャージャに対向する位置に戻る。
【0039】
位置ずれ検出器2245は、転写ベルト2040の−X側に配置されている。
【0040】
この位置ずれ検出器2245は、一例として図2に示されるように、3つの位置検出センサ(2245a、2245b、2245c)を有している。
【0041】
各位置検出センサは、−Y方向に向かって、位置検出センサ2245a、位置検出センサ2245b、位置検出センサ2245cの順に一列に配置されている。
【0042】
位置検出センサ2245aは、転写ベルト2040の+Y側端部近傍を照明するLED2242aとその反射光を受光するフォトセンサ2241aを有している。位置検出センサ2245bは、転写ベルト2040のY軸方向に関する中央部を照明するLED2242bとその反射光を受光するフォトセンサ2241bを有している。位置検出センサ2245cは、転写ベルト2040の−Y側端部近傍を照明するLED2242cとその反射光を受光するフォトセンサ2241cを有している。各フォトセンサは、それぞれ受光量に応じた信号(光電変換信号)を出力する。
【0043】
すなわち、一例として図3に示されるように、各感光体ドラムの有効走査領域における主走査方向の両端部近傍に対応する位置に位置検出センサ2245a及び位置検出センサ2245cが配置され、各感光体ドラムの有効走査領域における主走査方向の中央部近傍に対応する位置に位置検出センサ2245bが配置されている。そして、各感光体ドラムの有効走査領域における、位置検出センサ2245aに対応する位置をY1、位置検出センサ2245bに対応する位置をY2、位置検出センサ2245cに対応する位置をY3とする。
【0044】
そして、位置ずれ検出器2245を用いた位置ずれ検出処理が行われる際には、転写ベルト2040における位置Y1、位置Y2、及び位置Y3に、それぞれ位置検出用のトナーパッチTPが形成される。
【0045】
トナーパッチTPは、一例として図4に示されるように、転写ベルト2040の進行方向に隣接している第1ライン群と第2ライン群とを有している。第1及び第2ライン群は、いずれも4本のラインパターン(pk、pc、pm、py)から構成されている。ラインパターンpkは、Kステーションで形成されたラインパターンであり、ラインパターンpcは、Cステーションで形成されたラインパターンである。また、ラインパターンpmは、Mステーションで形成されたラインパターンであり、ラインパターンpyは、Yステーションで形成されたラインパターンである。
【0046】
第1ライン群では、各ラインパターンは、Y軸方向に対して時計方向に45度傾斜している。一方、第2ライン群では、各ラインパターンは、Y軸方向に対して反時計方向に45度傾斜している。
【0047】
ここでは、転写ベルト2040の回転に伴って、第1ライン群のラインパターンpy、ラインパターンpm、ラインパターンpc、ラインパターンpk、第2ライン群のラインパターンpk、ラインパターンpc、ラインパターンpm、ラインパターンpyの順に、位置検出センサのLEDによって照明されるように配置されている(図5参照)。
【0048】
位置ずれ検出処理において、各位置検出センサから出力される信号が、一例として図6に示されている。tyは、第1ライン群のラインパターンpyを検知してから第2ライン群のラインパターンpyを検知するまでの時間である。tmは、第1ライン群のラインパターンpmを検知してから第2ライン群のラインパターンpmを検知するまでの時間である。tcは、第1ライン群のラインパターンpcを検知してから第2ライン群のラインパターンpcを検知するまでの時間である。tkは、第1ライン群のラインパターンpkを検知してから第2ライン群のラインパターンpkを検知するまでの時間である。
【0049】
また、tkcは、第2ライン群のラインパターンpkを検知してから第2ライン群のラインパターンpcを検知するまでの時間である。tkmは、第2ライン群のラインパターンpkを検知してから第2ライン群のラインパターンpmを検知するまでの時間である。tkyは、第2ライン群のラインパターンpkを検知してから第2ライン群のラインパターンpyを検知するまでの時間である。
【0050】
次に、前記光走査装置2010の構成について説明する。
【0051】
光走査装置2010は、一例として図7〜図12に示されるように、2つの光源(2200a、2200b)、2つのカップリングレンズ(2201a、2201b)、2つの開口板(2202a、2202b)、2つの光束分割プリズム(2203a、2203b)、4つの液晶偏向素子(2211a、2211b、2211c、2211d)、4つのシリンドリカルレンズ(2204a、2204b、2204c、2204d)、ポリゴンミラー2104、4つの偏向器側走査レンズ(2105a、2105b、2105c、2105d)、8つの折り返しミラー(2106a、2106b、2106c、2106d、2108a、2108b、2108c、2108d)、4つの像面側走査レンズ(2107a、2107b、2107c、2107d)、4つのセンサアレイ(2112a、2112b、2112c、2112d)、及び走査制御装置(図示省略)などを備えている。そして、上記光学素子は、不図示の光学ハウジング内に収容されている。
【0052】
また、カップリングレンズ2201aの光軸に沿った方向を「w1方向」、カップリングレンズ2201bの光軸に沿った方向を「w2方向」とする。さらに、Z軸方向及びw1方向のいずれにも直交する方向を「m1方向」、Z軸方向及びw2方向のいずれにも直交する方向を「m2方向」とする。
【0053】
なお、以下では、便宜上、主走査方向に対応する方向を「主走査対応方向」と略述し、副走査方向に対応する方向を「副走査対応方向」と略述する。
【0054】
光源2200aにおける主走査対応方向は「m1方向」であり、副走査対応方向はZ軸方向と同じ方向である。また、光源2200bにおける主走査対応方向は「m2方向」であり、副走査対応方向はZ軸方向と同じ方向である。
【0055】
光源2200aと光源2200bは、X軸方向に関して離れた位置に配置されている。
【0056】
カップリングレンズ2201aは、光源2200aから射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
【0057】
カップリングレンズ2201bは、光源2200bから射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
【0058】
開口板2202aは、開口部を有し、カップリングレンズ2201aを介した光束を整形する。
【0059】
開口板2202bは、開口部を有し、カップリングレンズ2201bを介した光束を整形する。
【0060】
光束分割プリズム2203aは、開口板2202aの開口部を通過した光束の光路上に配置されている。
【0061】
光束分割プリズム2203bは、開口板2202bの開口部を通過した光束の光路上に配置されている。
【0062】
各光束分割プリズムは、入射光束の半分を透過させ、残りを反射するハーフミラー面と、該ハーフミラー面で反射された光束の光路上にハーフミラー面に平行に配置されたミラー面とを有している。すなわち、各光束分割プリズムは、入射光束を互いに平行な2つの光束に分割する。
【0063】
以下では、光束分割プリズム2203aからの2つの光束のうち−Z側の光束を「光束La」ともいい、+Z側の光束を「光束Lb」ともいう。また、光束分割プリズム2203bからの2つの光束のうち+Z側の光束を「光束Lc」ともいい、−Z側の光束を「光束Ld」ともいう。
【0064】
液晶偏向素子2211aは、光束分割プリズム2203aからの光束Laの光路上に配置されている。
【0065】
液晶偏向素子2211bは、光束分割プリズム2203aからの光束Lbの光路上に配置されている。
【0066】
液晶偏向素子2211cは、光束分割プリズム2203bからの光束Lcの光路上に配置されている。
【0067】
液晶偏向素子2211dは、光束分割プリズム2203bからの光束Ldの光路上に配置されている。
【0068】
各液晶偏向素子は、印加電圧に応じて、入射光をZ軸方向に関して偏向する。
【0069】
シリンドリカルレンズ2204aは、液晶偏向素子2211aからの光束の光路上に配置され、該光束をポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
【0070】
シリンドリカルレンズ2204bは、液晶偏向素子2211bからの光束の光路上に配置され、該光束をポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
【0071】
シリンドリカルレンズ2204cは、液晶偏向素子2211cからの光束の光路上に配置され、該光束をポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
【0072】
シリンドリカルレンズ2204dは、液晶偏向素子2211dからの光束の光路上に配置され、該光束をポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
【0073】
ポリゴンミラー2104は、Z軸に平行な軸回りに回転する2段構造の4面鏡を有し、各鏡がそれぞれ偏向反射面となる。そして、1段目(下段)の4面鏡ではシリンドリカルレンズ2204aからの光束及びシリンドリカルレンズ2204dからの光束がそれぞれ偏向され、2段目(上段)の4面鏡ではシリンドリカルレンズ2204bからの光束及びシリンドリカルレンズ2204cからの光束がそれぞれ偏向されるように配置されている。なお、1段目の4面鏡及び2段目の4面鏡は、互いに位相が45°ずれて回転し、書き込み走査は1段目と2段目とで交互に行われる。
【0074】
ここでは、シリンドリカルレンズ2204a及びシリンドリカルレンズ2204bからの光束はポリゴンミラー2104の−X側に偏向され、シリンドリカルレンズ2204c及びシリンドリカルレンズ2204dからの光束はポリゴンミラー2104の+X側に偏向される。
【0075】
各偏向器側走査レンズはそれぞれ、ポリゴンミラー2104の回転に伴って、対応する感光体ドラム面上で光スポットが主走査方向に等速で移動するようなパワーを有する非円弧面形状を有している。
【0076】
偏向器側走査レンズ2105a及び偏向器側走査レンズ2105bは、ポリゴンミラー2104の−X側に配置され、偏向器側走査レンズ2105c及び偏向器側走査レンズ2105dは、ポリゴンミラー2104の+X側に配置されている。
【0077】
そして、偏向器側走査レンズ2105aと偏向器側走査レンズ2105bはZ軸方向に積層され、偏向器側走査レンズ2105aは1段目の4面鏡に対向し、偏向器側走査レンズ2105bは2段目の4面鏡に対向している。また、偏向器側走査レンズ2105cと偏向器側走査レンズ2105dはZ軸方向に積層され、偏向器側走査レンズ2105cは2段目の4面鏡に対向し、偏向器側走査レンズ2105dは1段目の4面鏡に対向している。
【0078】
そこで、ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204aからの光束は、偏向器側走査レンズ2105a、折り返しミラー2106a、像面側走査レンズ2107a、及び折り返しミラー2108aを介して、感光体ドラム2030aに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030aの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030a上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030aでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030aの回転方向が、感光体ドラム2030aでの「副走査方向」である。
【0079】
また、ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204bからの光束は、偏向器側走査レンズ2105b、折り返しミラー2106b、像面側走査レンズ2107b、及び折り返しミラー2108bを介して、感光体ドラム2030bに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030bの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030b上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030bでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030bの回転方向が、感光体ドラム2030bでの「副走査方向」である。
【0080】
また、ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204cからの光束は、偏向器側走査レンズ2105c、折り返しミラー2106c、像面側走査レンズ2107c、及び折り返しミラー2108cを介して、感光体ドラム2030cに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030cの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030c上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030cでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030cの回転方向が、感光体ドラム2030cでの「副走査方向」である。
【0081】
また、ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204dからの光束は、偏向器側走査レンズ2105d、折り返しミラー2106d、像面側走査レンズ2107d、及び折り返しミラー2108dを介して、感光体ドラム2030dに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030dの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030d上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030dでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030dの回転方向が、感光体ドラム2030dでの「副走査方向」である。
【0082】
なお、各折り返しミラーは、ポリゴンミラー2104から各感光体ドラムに至る各光路長が互いに一致するとともに、各感光体ドラムにおける光束の入射位置及び入射角がいずれも互いに等しくなるように、それぞれ配置されている。
【0083】
また、各ステーションでは、シリンドリカルレンズと像面側走査レンズとにより、対応する感光体ドラム表面とポリゴンミラー2104での偏向点とを副走査方向に共役関係とする面倒れ補正光学系が構成されている。
【0084】
ポリゴンミラー2104と各感光体ドラムとの間の光路上に配置される光学系は、走査光学系とも呼ばれている。本実施形態では、偏向器側走査レンズ2105aと像面側走査レンズ2107aと折り返しミラー(2106a、2108a)とからKステーションの走査光学系が構成されている。また、偏向器側走査レンズ2105bと像面側走査レンズ2107bと折り返しミラー(2106b、2108b)とからCステーションの走査光学系が構成されている。そして、偏向器側走査レンズ2105cと像面側走査レンズ2107cと折り返しミラー(2106c、2108c)とからMステーションの走査光学系が構成されている。さらに、偏向器側走査レンズ2105dと像面側走査レンズ2107dと折り返しミラー(2106d、2108d)とからYステーションの走査光学系が構成されている。
【0085】
各光源は、一例として図13に示されるように、2次元的に配列された40個の発光部が1つの基板上に形成された2次元アレイ発光素子100を有している。40個の発光部は、すべての発光部を副走査対応方向に伸びる仮想線上に正射影したときに、発光部間隔が等間隔となるように配置されている。なお、本明細書では、「発光部間隔」とは2つの発光部の中心間距離をいう。
【0086】
また、各発光部は、発振波長が780nm帯の垂直共振器型の面発光レーザ(Vertical Cavity Surface Emitting Laser:VCSEL)である。すなわち、2次元アレイ発光素子100は、いわゆる面発光レーザアレイである。
【0087】
各液晶偏向素子は、2枚の透明なガラス板の間に液晶が封入された構成であり、一例として図14(A)に示されるように、一方のガラス板の表面の上下に電極が形成されている。この電極間に電位差が与えられると、一例として図14(B)に示されるように、Z軸方向に関して電位の傾斜が発生し、それに応じて液晶の配向が変化し、その結果、Z軸方向に関して屈折率の傾斜が発生する。これにより、プリズムと同様に光の射出軸をZ軸方向に関してわずかに傾けることができる。なお、液晶としては誘電異方性を有するネマティック液晶等が用いられる。
【0088】
また、Kステーションにおける光学系の主な光学素子の位置関係が図15に示されている。そして、図15における符号d1〜d11で示される各光路長の具体的な値(単位:mm)の一例が図16に示されている。なお、他のステーションでも同様な位置関係となっている。
【0089】
また、シリンドリカルレンズ2204aからの光束の射出方向と、ポリゴンミラー2104の偏向反射面により感光体ドラム2030aの表面における像高0の位置(図15における符号p0の位置)へ向けて反射される光束の進行方向とのなす角(図15におけるθr)は60度である。
【0090】
各偏向器側走査レンズ及び各像面側走査レンズは、いずれも樹脂製である。そして、それらの各面(入射側の面、射出側の面)は、次の(1)式及び次の(2)式で表現される非球面である。ここで、XはX軸方向の座標、YはY軸方向の座標を示す。また、入射面の中央をY=0とする。Cm0はY=0における主走査対応方向の曲率を示し、曲率半径Rmの逆数である。a00,a01,a02,・・・は主走査対応方向の非球面係数である。また、Cs(Y)はYに関する副走査対応方向の曲率、Rs0は副走査対応方向の光軸上の曲率半径、b00,b01,b02,・・・は副走査対応方向の非球面係数である。なお、光軸は、Y=0で副走査対応方向における中央の点を通る軸をいう。
【0091】
【数1】
【0092】
【数2】
【0093】
各偏向器側走査レンズの各面(入射側の面(第1面)、射出側の面(第2面))におけるRm、Rs0及び各非球面係数の値の一例が図17に示されている。
【0094】
各像面側走査レンズの各面(入射側の面(第3面)、射出側の面(第4面))におけるRm、Rs0及び各非球面係数の値の一例が図18に示されている。各像面側走査レンズは、副走査対応方向に強いパワーを有している。
【0095】
各像面側走査レンズの形状が、一例として図19(A)及び該図19(A)のA−A断面図である図19(B)に示されている。なお、便宜上、各像面側走査レンズにおける光束の入射方向を「R方向」、主走査対応方向を「M方向」、R方向及びM方向のいずれにも直交する方向を「S方向」とする。また、各像面側走査レンズを区別する必要がないときは、総称して「像面側走査レンズ2107」という。
【0096】
像面側走査レンズ2107には、−S側の面にリブ部306aが形成され、+S側の面にリブ部306bが形成されている。そして、リブ部306aには、+R方向に突出した3つの突起部(307a1、307a2、307a3)が形成されている。突起部307a2はM方向に関して中央に位置し、突起部307a1は突起部307a2の−M側に位置し、突起部307a2は突起部307a2の+M側に位置している。
【0097】
リブ部306bには、+R方向に突出した3つの突起部(307b1、307b2、307b3)が形成されている。突起部307b2はM方向に関して中央に位置し、突起部307b1は突起部307b2の−M側に位置し、突起部307b2は突起部307b2の+M側に位置している。
【0098】
そして、突起部307a1は突起部307b1の−S側に位置し、突起部307a2は突起部307b2の−S側に位置し、突起部307a3は突起部307b3の−S側に位置している。
【0099】
像面側走査レンズ2107は、その形状を安定的に保ち、傾き調整の際に局部的に力が加えられても像面側走査レンズ2107を変形させることがないように、すなわち、レンズ組み付け時の形状が維持されるように、板金部材に保持されている。
【0100】
像面側走査レンズ2107が保持される板金部材301が、一例として図20に示されている。この板金部材301は、板金加工で成形された板部材であり、M方向に平行な方向を長手方向とする底板301aと、該底板301aを挟んで対向する2枚の側板(301b、301c)とを有している。
【0101】
側板301bには、像面側走査レンズ2107の突起部が係合される3つの切欠部(3111、3112、3113)が形成されている。
【0102】
底板301aには、M方向の両端部近傍に、それぞれ開口部313を伴う立曲げ部310が形成されている。これらの立曲げ部310と像面側走査レンズ2107とが接触する。
【0103】
また、底板301aには、側板301bの各切欠部に対応して3つのねじ穴312が形成されている。各ねじ穴312は、像面側走査レンズ2107が保持されたときに、R方向に関して、像面側走査レンズ2107のほぼ中央の位置に対応した各位置に形成されている。
【0104】
さらに、M方向に関して、底板301aの一方の端部には突起部318が形成され、他方の端部には切欠部321が形成されている。
【0105】
また、側板301bには、底板301aの各開口部313に対応して2つのスリット314が形成されている。
【0106】
像面側走査レンズ2107は、一例として図21に示されるように、3つの第1板ばね302と2つの第2板ばね303によって、板金部材301に保持される。なお、図21では、わかりやすくするため、各側板の図示を省略している。
【0107】
第2板ばね303は、クリップ状の板ばねであり、像面側走査レンズ2107の−S側の端面に+S方向の押圧を作用させ、板金部材301の底板301aの+S側の面に−S方向の押圧を作用させることによって、像面側走査レンズ2107と板金部材301を挟むようになっている。なお、第2板ばね303の+S側の板部は、外側から開口部313を通過して、スリット304に挿入される。
【0108】
第1板ばね302は、像面側走査レンズ2107のリブ部306aと板金部材301を挟むのに用いられる。ここでは、第1板ばね302は、図22に示されるように、底板部3021と、+R側の側板部3022と、−R側の側板部3023と、該側板部3023の端部から+R方向に延びる上板部3024とからなっている。また、側板部3022には、開口部が形成されている。さらに、底板部3021には、調節ねじ308が貫通する円形の開口部3025が形成されている。
【0109】
そして、図21のA−A断面図である図23に示されるように、側板部3022の開口部にリブ部306aの突起部が係合され、上板部3024によって−R側のリブ部306aに+S方向の押圧が作用される。
【0110】
また、板金部材301の各ねじ穴312には、第1板ばね302の開口部3025を介して調節ねじ308が螺合される。この調節ねじ308の−S側の先端は、像面側走査レンズ2107の+S側の端面に当接されている。そこで、調節ねじ308をねじ込むことによって像面側走査レンズ2107に−S方向の押圧を作用させることができる。
【0111】
この場合、像面側走査レンズ2107に作用する調節ねじ308による押圧力と、第1板ばね302による押圧力は、互いに逆方向に作用するため、像面側走査レンズ2107に作用する力の微調整が可能となる。
【0112】
例えば、板金部材301の底板301aからの調節ねじ308の突出し量を、立曲げ部310の高さよりも小さくすると、像面側走査レンズ2107をその母線が上側に凸となるように反らすことができる。逆に、調節ねじ308の突出し量を、立曲げ部310の高さよりも大きくすると、像面側走査レンズ2107をその母線が下側に凸となるように反らすことができる。従って、調節ねじ308の突出し量を調整することによって、像面側走査レンズ2107の焦線がS方向に湾曲され、走査線の曲がりを補正することができる。各調節ねじ308による像面側走査レンズ2107の調整における調整軸の方向は、像面側走査レンズ2107の光軸方向に平行である。なお、中央部と立曲げ部310との間に配置されている調節ねじ308によって、M型やW型の曲がりについても補正が可能である。
【0113】
像面側走査レンズ2107が装着された板金部材301は、端部に形成された突起部318を光学ハウジングの保持部に設けられた位置決めガイド(不図示)に勘合して位置決めを行い、−S方向に付勢するように光学ハウジングの保持部に取り付けられた板ばね326を架橋して光学ハウジングに保持される。
【0114】
また、像面側走査レンズ2107には、一例として図24に示されるように、像面側走査レンズ2107をR方向に平行な軸回りに回動させるためのステッピングモータ315が設けられている。なお、ここでは、Kステーションを基準としているため、像面側走査レンズ2107aを回動させるためのステッピングモータは設けられてなくても良い。
【0115】
ステッピングモータ315は、シャフトの先端に形成された送りねじを可動筒316のねじ穴に螺合し、板金部材301の一端に形成された切欠321と可動筒316の凹部とを勘合させることで、ステッピングモータ315の回転により副走査対応方向(ここでは、S方向に平行な方向)に変位可能としている。
【0116】
また、像面側走査レンズ2107の−S側には、支柱322が設けられている。この支柱322は、光学ハウジングの保持部に設けられた支持部320に載置され、板ばね(不図示)により支柱322に押し付けられている。これにより、ステッピングモータ315の正逆回転に追従して像面側走査レンズ2107は光軸と直交する面内で、支持部320との当接点を傾き調整の支点として回動することができる。そして、それに伴って像面側走査レンズ2107の母線が傾き、その結果、走査線が傾けられる。なお、支柱322を設けることなく、像面側走査レンズ2107を、直接、光学ハウジングに設けられた支持部に載置し、板ばね等で保持する構成としても良い。
【0117】
また、ここでは、図25に示されるように、各調節ねじ308の突出し量を調整するためのステッピングモータ315Aが設けられている。
【0118】
ところで、各ステーションの走査光学系には、1回の走査における書き込み開始前の光束が入射する先端同期検知センサ(図示省略)、及び1回の走査における書き込み終了後の光束が入射する後端同期検知センサ(図示省略)がそれぞれ設けられている。
【0119】
各同期検知センサは、受光素子を有し、受光光量に応じた電気信号を走査制御装置に出力する。なお、先端同期検知センサの出力信号は、先端同期検知信号とも呼ばれている。また、後端同期検知センサの出力信号は、後端同期検知信号とも呼ばれている。
【0120】
各センサアレイは、感光体ドラムの表面における光束の入射位置を検出する処理(以下、「入射位置検出処理」という)を行う際に用いられる。
【0121】
走査制御装置は、プリンタ制御装置2090から入射位置検出処理の要求があると、一例として図26及び図27に示されるように、各液晶偏向素子を介して、光束分割プリズムからの光束をZ軸方向に関して偏向する。
【0122】
液晶偏向素子2211aで偏向された光束Laは、シリンドリカルレンズ2204a、ポリゴンミラー2104、偏向器側走査レンズ2105a、折り返しミラー2106a、像面側走査レンズ2107a、折り返しミラー2108aを介して、センサアレイ2112aに入射する(図28参照)。
【0123】
液晶偏向素子2211bで偏向された光束Lbは、シリンドリカルレンズ2204b、ポリゴンミラー2104、偏向器側走査レンズ2105b、折り返しミラー2106b、像面側走査レンズ2107b、折り返しミラー2108bを介して、センサアレイ2112bに入射する(図28参照)。
【0124】
液晶偏向素子2211cで偏向された光束Lcは、シリンドリカルレンズ2204c、ポリゴンミラー2104、偏向器側走査レンズ2105c、折り返しミラー2106c、像面側走査レンズ2107c、折り返しミラー2108cを介して、センサアレイ2112cに入射する(図29参照)。
【0125】
液晶偏向素子2211dで偏向された光束Ldは、シリンドリカルレンズ2204d、ポリゴンミラー2104、偏向器側走査レンズ2105d、折り返しミラー2106d、像面側走査レンズ2107d、折り返しミラー2108dを介して、センサアレイ2112dに入射する(図29参照)。
【0126】
以下では、便宜上、各液晶偏向素子で偏向され、センサアレイに向かう光束を検知用光束という。
【0127】
各センサアレイは、主走査対応方向に沿って等間隔に配置された5つの光検知センサ(181、182、183、184、185)を有している(図30参照)。
【0128】
そこで、検知用光束は、ポリゴンミラー2104の回転に伴って各光検知センサに順に入射する。そして、各光検知センサにおける検知用光束の入射位置は、ポリゴンミラー2104の回転に伴って、主走査対応方向(便宜上、m方向とする)に移動する。
【0129】
各光検知センサの受光面の法線方向は、検知用光束の入射方向に対して傾斜している。これにより、各光検知センサの受光面での反射光が光源に戻り、光量制御に影響を与えることを回避できる。
【0130】
さらに、各光検知センサの受光面の法線方向は、検知用光束の入射方向に対して、検知用光束の走査してくる方向に3〜5°程度傾斜している。これにより、光検知センサのリードフレーム部とカバーガラスとの間での多重反射によるゴースト光を光検知センサ外へ導きフォトダイオード部に至らなくすることができ、検知精度の低下を回避している。
【0131】
各光検知センサは、一例として図31に示されるように、2つの受光部(第1受光部18a、第2受光部18b)を有する受光素子、該受光素子からの受光量に応じた信号(光電変換信号)を増幅するアンプ(AMP)18c、該アンプ18cの出力信号レベルと予め設定されている基準レベルVsとを比較し、その比較結果を出力する比較器(CMP)18dを有している。この比較器18dの出力信号は走査制御装置3022に供給される。
【0132】
受光素子の各受光部は、副走査対応方向(便宜上、s方向とする)の位置によってm方向の互いの間隔が異なっている。
【0133】
第1受光部18aは、一例として長方形状の受光部であり、長手方向がs方向と一致するように配置されている。すなわち、検知用光束が通過する2辺がs方向に平行である。
【0134】
第2受光部18bは、一例として平行四辺形状の受光部であり、第1受光部18aの+m側に配置されている。そして、第2受光部18bの長手方向は、受光面内において第1受光部18aの長手方向に対して角度θ(0<θ<90°)だけ傾斜している。すなわち、検知用光束が通過する2辺がs方向に対して傾斜している。
【0135】
アンプ18cでは、入力信号の反転及び増幅が行われる。従って、受光素子の受光量が多いほど、アンプ18cの出力信号レベルは低くなる。
【0136】
前記基準レベルVsは、検知用光束が受光素子で受光されたときのアンプ18cの出力信号レベル(最低値)よりも若干高いレベルに設定されている。そこで、各受光部のいずれかが検知用光束を受光したときに、比較器18dでの判断結果が変化し、それに応じて比較器18dの出力信号が変化する。
【0137】
各光検知センサは、対応する感光体ドラムの表面における光束の入射位置が、設計上の位置のときに、検知用光束が、各受光部のほぼ中央を通過するように調整されている(図32(A)参照)。そして、このときに、検知用光束が第1受光部18aで検知されてから第2受光部18bで検知されるまでの時間は、基準時間Tsとして予め得られている(図32(B)参照)。なお、便宜上、このときの各光検知センサにおける検知用光束の入射位置の移動経路、すなわち設計上の移動経路を「経路A」という。
【0138】
ところで、上記各光学素子を光学ハウジングに取り付ける際の取り付け位置の誤差や、光学ハウジングの変形等により、感光体ドラムに向かう光束の光路が設計上の光路に対して副走査対応方向(ここでは、Z軸方向)にずれることがある。
【0139】
この場合には、検知用光束も、感光体ドラムに向かう光束と同様に、設計上の光路に対して副走査対応方向(ここでは、s方向)にずれることとなる(図33参照)。
【0140】
そして、一例として図34(A)に示されるように、各光検知センサにおける検知用光束の入射位置の移動経路も、経路Aに対して副走査対応方向にずれる。なお、便宜上、このときの移動経路を経路Bという。
【0141】
そして、このときの移動経路のずれ量Δh(図34(A)参照)は、次の(3)式から求めることができる。ここで、ΔTは、比較器18dの出力信号における立下りから次の立下りまでの時間Tと前記基準時間Tsとの差であり(図34(B)参照)、Vは検知用光束の移動速度(走査速度)である。このずれ量Δhは、感光体ドラムに向かう光束の光路の設計上の光路に対する副走査対応方向のずれ量(以下では、便宜上、「副走査ずれ量」と略述する)と相関関係がある(図35参照)。なお、図35における係数kは、装置固有の値であり、予め求めることができる。
【0142】
Δh=(V/tanθ)×ΔT ……(3)
【0143】
ここでは、各光検知センサは、その受光面が対応する感光体ドラムの表面と光学的に略等価な位置となるように配置されている。これにより、各光検知センサの受光面上を移動する検知用光束のビーム径を小さくすることができ、検知精度を向上させることができる。また、感光体ドラムの表面での光スポットの位置ずれ量と光検知センサの受光面上での光スポットの位置ずれ量とを等しくすることができる。なお、各光検知センサを、その受光面が対応する感光体ドラムの表面と光学的に略等価な位置となるように配置できない場合は、感光体ドラムの表面での光スポットの位置ずれ量と等しくなるように、光検知センサの受光面上での光スポットの位置ずれ量に予め求めた相関係数(比例係数)をかければ良い。
【0144】
そこで、光検知センサ181から得られた副走査ずれ量と光検知センサ185から得られた副走査ずれ量との差から、走査線の傾きを求めることができる。また、5つの光検知センサから得られた副走査ずれ量から、走査線の曲がりを求めることができる。さらに、5つの光検知センサから得られた副走査ずれ量の平均から、いわゆる副走査レジストを求めることができる。
【0145】
ところで、ポリゴンミラー2104の発熱や外部からの熱によって、光学ハウジング内の温度が変化すると、その温度変化により板金部材301及び像面側走査レンズ2107はいずれも伸縮する。しかしながら、板金部材301は金属製であり、像面側走査レンズ2107は樹脂製であるため、線膨張係数の差によりそれらの伸縮量に差が生じる。
【0146】
そして、像面側走査レンズ2107が装着された板金部材301では、ステッピングモータ315と板金部材301の嵌合部、及び中央の支点(支柱322と支柱支持部320の当接点)が固定点として働くため、M方向に関して非対称の応力が発生する。具体的には、ステッピングモータ315と嵌合されていないほうの端部近傍は、板ばね326の弾性力のみで支えられているので、固定点とは言えず、伸縮量の差によって生じる応力が集中し、副走査対応方向に大きく変位することとなる(図36及び図37参照)。なお、図37は、このときの像面側走査レンズ2107の変形状態を簡易的に示した図である。
【0147】
図37における符号(1)は、温度が変化する前の状態を示している。像面側走査レンズ2107のほうが伸縮量は大きいので、ここでは、温度上昇時は符号(2)のように変形し、温度降下時は符合(3)のように変形する。その結果、感光体ドラム上でも光スポットの位置はレンズの反りに応じて変化する。
【0148】
周囲の温度が25℃のとき、50℃のとき、及び10℃のときの、感光体ドラム上での光スポット位置をそれぞれ測定した結果が図38に示されている。ここでは、像高がマイナス側端部に対応する位置にステッピングモータ315が配置され、像高がプラス側端部に対応する位置は板ばね326の弾性力のみで支えられている。50℃のとき及び10℃のときは、25℃のときに対して、互いに逆方向に変位している。
【0149】
なお、像高のマイナス側端部に対応する板金部材301の端部はステッピングモータ315と締結されているため固定端として機能するが、像高のマイナス側端部に対応する像面側走査レンズ2107は完全には板金部材301に固定されていない。そこで、ステッピングモータ315が配置されている像高のマイナス側端部でも光スポット位置は変位している。但し、板ばね326の弾性力のみで支持されている像高がプラス側端部に対応する位置に比べると、光スポット位置の変位は小さい。このように、像高のプラス側とマイナス側とで光スポット位置の変位量が異なることにより、感光体ドラム上において走査線に傾きが生じる。
【0150】
走査制御装置は、一例として図39に示されるように、CPU3210、フラッシュメモリ3211、RAM3212、液晶素子駆動回路3213、IF(インターフェース)3214、画素クロック生成回路3215、画像処理回路3216、書込制御回路3219、光源駆動回路3221、モータ駆動回路3222、LED駆動回路3223などを有している。なお、図41における矢印は、代表的な信号や情報の流れを示すものであり、各ブロックの接続関係の全てを表すものではない。
【0151】
画素クロック生成回路3215は、画素クロック信号を生成する。なお、画素クロック信号は、1/8クロックの分解能で位相変調が可能である。
【0152】
画像処理回路3216は、CPU3210によって色毎にラスター展開された画像データに所定の中間調処理などを行った後、各光源の発光部毎のドットデータを作成する。
【0153】
書込制御回路3219は、ステーション毎に、先端同期検知センサを監視し、書込開始のタイミングを求める。そして、書込開始のタイミングに合わせて、各発光部のドットデータを画素クロック生成回路3215からの画素クロック信号に重畳させるとともに、発光部毎にそれぞれ独立した変調データを生成する。
【0154】
光源駆動回路3221は、書込制御回路3219からの各変調データに応じて、各光源に各発光部の駆動信号を出力する。
【0155】
モータ駆動回路3222は、CPU3210の指示に基づいて、各像面側走査レンズの形状を微調整するためのステッピングモータ315A、及び各像面側走査レンズを回動させるためのステッピングモータ315の駆動信号を出力する。
【0156】
LED駆動回路3223は、位置ずれ検出器2245を用いた位置ずれ検出処理が行われるときに、CPU3210から指示され、位置ずれ検出器2245の各LEDに駆動信号を出力する。
【0157】
液晶素子駆動回路3213は、CPU210で決定された印加電圧を各液晶偏向素子に印加する。
【0158】
IF(インターフェース)3214は、プリンタ制御装置2090との双方向の通信を制御する通信インターフェースである。上位装置からの画像データは、IF(インターフェース)3214を介して供給される。
【0159】
フラッシュメモリ3211には、CPU3210にて解読可能なコードで記述された各種プログラム、及びプログラムの実行に必要な各種データが格納されている。
【0160】
RAM3212は、作業用のメモリである。
【0161】
CPU3210は、フラッシュメモリ3211に格納されているプログラムに従って動作し、光走査装置2010の全体を制御する。
【0162】
例えば、CPU3210は、装置の立ち上げ時やジョブ間等のタイミングで、位置ずれ検出器2245を用いた位置ずれ検出処理を行う(例えば、特開2008−276010号公報、特開2005−238584号公報参照)。なお、1ジョブのプリント枚数が多い場合には、その間の温度変化によるずれを抑えるために、途中で割り込みをかけて位置ずれ検出処理が行われることもある。
【0163】
CPU3210によって行われる位置ずれ検出処理について簡単に説明する。なお、この位置ずれ検出処理は、プリンタ制御装置2090側で行われても良い。この場合は、検出結果が、プリンタ制御装置2090から走査制御装置3022に通知される。
【0164】
(A)書込制御回路3219を介して、上記トナーパッチTPを形成し、転写ベルト2040上に転写させる。
【0165】
(B)予め設定されている時間が経過すると、LED駆動回路3223を介して位置ずれ検出器2245の各LEDを点灯させる。
【0166】
(C)位置ずれ検出器2245の各フォトセンサの出力信号に基づいて、位置Y1、Y2、Y3毎に、ty、tm、tc、tk、tkc、tkm、tkyを求め、フラッシュメモリ3211に格納する。
【0167】
(D)LED駆動回路3223を介して位置ずれ検出器2245の各LEDを消灯させる。
【0168】
(E)位置Y1、Y2、Y3毎に、フラッシュメモリ3211に格納されているty、tm、tc、tk、tkc、tkm、tkyを用いて所定の演算を行い、各ステーションにおける主走査レジスト、Kステーションを基準としたときの他の3つのステーション(Yステーション、Mステーション、Cステーション)における走査線の傾きずれ、及び副走査レジストずれをそれぞれ求める(例えば、特許第4107578号公報参照)。
【0169】
ここでは、ty、tm、tc、tkの設計値と計測値との差から、各ステーションにおける主走査レジストを求める。そして、位置検出センサ2245aから得られた主走査レジストと位置検出センサ2245cから得られた主走査レジストとの差から主走査倍率を求める。
【0170】
また、tkc、tkm、tkyの設計値と計測値との差から、Kステーションを基準とした、他の3つのステーションでの副走査レジストずれを求める。ここでは、各位置検出センサから得られた副走査レジストずれの平均値を、該ステーションでの副走査レジストずれとしている。
【0171】
そして、位置検出センサ2245aから得られた副走査レジストずれと位置検出センサ2245cから得られた副走査レジストずれとの差から、走査線の傾きずれを求める。
【0172】
CPU3210は、位置ずれ検出処理で求めた各種ずれが許容範囲を超えていると判断すると、それらの補正処理を行う。
【0173】
例えば、走査線の傾きずれは、対応するステッピングモータ315に対して、走査線の傾きずれを補正するための駆動信号を生成し、モータ駆動回路3222に出力する。なお、走査線の傾きずれの大きさとそれを補正するためのステッピングモータ315の駆動量との関係は予め求められ、フラッシュメモリ3211に格納されている。
【0174】
また、副走査レジストずれについては、例えば、ポリゴンミラーの1面おき、つまり1走査ラインピッチを単位として副走査方向における書出しタイミングを調整する。
【0175】
また、主走査倍率については、画素クロックの基準周波数及び先端同期検知信号による書き出しタイミングを調整することで、画像の全幅と書出し位置を揃える。
【0176】
また、CPU3210は、画像形成時のページ間において、ステーション毎に、対応するセンサアレイの各光検知センサの出力信号に基づいて、感光体ドラムの表面での光束の副走査ずれ量をそれぞれ求め、該複数の副走査ずれ量からさらに、Kステーションを基準としたときの、他の3つのステーションにおける走査線の曲がりずれ、走査線の傾きずれ、及び副走査レジストずれを求める。
【0177】
そして、CPU3210は、位置ずれ検出処理から得られた走査線の傾きずれ、及び副走査レジストずれに基づいて、センサアレイから得られた走査線の傾きずれ、及び副走査レジストずれを補正するための各補正係数を求める。ここで得られた各補正係数は、電源投入時からの経過時間と組にして、フラッシュメモリ3211に蓄積される。
【0178】
次に、画像形成の際に、CPU3210によって行われる走査線の曲がりずれ、走査線の傾きずれ、及び副走査レジストずれの補正処理について説明する。
【0179】
(1)ステーション毎に、対応するセンサアレイの各光検知センサの出力信号に基づいて、感光体ドラムの表面での光束の副走査ずれ量をそれぞれ求め、該複数の副走査ずれ量からさらに、Kステーションを基準として、他の3つのステーションにおける走査線の曲がりずれ、走査線の傾きずれ、及び副走査レジストずれをそれぞれ求める。
【0180】
(2)他の3つのステーションについて、フラッシュメモリ3211に蓄積されている複数組の各補正係数と電源投入時からの現在の経過時間とから、現時点での各補正係数をそれぞれ予測する。
【0181】
(3)他の3つのステーションについて、上記(2)で予測した各補正係数を用いて、上記(1)で求めた走査線の傾きずれ、及び副走査レジストずれを修正し、新たな走査線の傾きずれ、及び副走査レジストずれとする。
【0182】
これにより、センサアレイの出力信号から得られた走査線の傾きずれ、及び副走査レジストずれの精度を向上させることができる。
【0183】
(4)上記他の3つのステーションについて、対応するステッピングモータ315Aに対して、上記(1)で得られた走査線の曲がりずれを補正するための駆動信号を生成し、モータ駆動回路3222に出力する。なお、走査線の曲がりずれの大きさとそれを補正するためのステッピングモータ315Aの駆動量との関係は予め求められ、フラッシュメモリ3211に格納されている。
【0184】
(5)上記他の3つのステーションについて、対応するステッピングモータ315に対して、上記(3)で得られた走査線の傾きずれを補正するための駆動信号を生成し、モータ駆動回路3222に出力する。なお、走査線の傾きずれの大きさとそれを補正するためのステッピングモータ315の駆動量との関係は予め求められ、フラッシュメモリ3211に格納されている。
【0185】
(6)上記他の3つのステーションについて、上記(3)で得られた前記副走査レジストずれを補正するための、対応する液晶偏向素子の印加電圧を決定する。なお、副走査レジストずれの大きさと印加電圧との関係は予め求められ、フラッシュメモリ3211に格納されている。
【0186】
なお、上記(3)で得られた副走査レジストずれが感光体ドラムにおける走査線間隔の1/2以上の場合は、副走査レジストずれが低減されるように画像データをシフトする。すなわち、画像データを1走査分及びそれ以上前へずらしたり、1走査分及びそれ以上後へずらしたりする。
【0187】
また、CPU3210は、ステーション毎に、先端同期検知センサの出力信号(先端同期検知信号)と後端同期検知センサの出力信号(後端同期検知信号)から、各同期検知センサの間を光束が走査するのに要した時間を求め、その時間に予め設定されている数のパルスが収まるように画素クロック信号の基準周波数を再設定するとともに、中間像高においても倍率の歪みが生じないように、あらかじめ、温度変化に伴って生じる各分割区間毎の倍率変化を予測して重み付けられた位相データを、全幅倍率の可変量に対応してデータテーブルより読み出し、主走査方向の全域にわたって倍率が均一になるようにしている。
【0188】
また、光学ハウジング内の温度を計測するための温度センサを設け、CPU3210は、上記(3)において、さらに温度センサの出力信号に加味して、上記補正係数を予測しても良い。
【0189】
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る光走査装置2010では、走査制御装置によって、位置ずれ補正装置、傾き補正装置、位置調整装置、及び制御装置が構成されている。
【0190】
以上説明したように、本実施形態に係る光走査装置2010によると、2つの光源(2200a、2200b)と、各光源からの光束の光路上に配置された4つの液晶偏向素子(2211a、2211b、2211c、2211d)と、各液晶偏向素子を介した光束を偏向するポリゴンミラー2104と、ポリゴンミラー2104で偏向された光束を4つの感光体ドラム(2030a〜2030d)の表面に個別に集光する4つの走査光学系と、4つの感光体ドラムに対応して設けられた4つのセンサアレイ(2112a〜2112d)、及び走査制御装置などを備えている。
【0191】
そして、走査制御装置は、入射位置検出処理の際に、光源からの光束を液晶偏向素子でZ軸方向に関して偏向させ、ポリゴンミラー2104及び走査光学系を介してセンサアレイに入射させる。
【0192】
各センサアレイは、主走査方向に関して互いに異なる位置に配置された5つの光検知センサを有し、対応する感光体ドラムの有効走査領域に集光される光束の副走査方向に関する位置ずれ情報が含まれる信号を出力する。
【0193】
この場合は、CPU3210で、走査線の曲がりずれ、走査線の傾きずれ、及び副走査レジストずれを精度良くリアルタイムに求めることができる。
【0194】
そして、CPU3210は、走査線の曲がりずれ及び走査線の傾きずれが補正されるように、モータ駆動回路3222を介して各ステッピングモータを駆動制御している。すなわち、走査線の曲がりずれ及び走査線の傾きずれを精度良くリアルタイムに補正することができる。
【0195】
また、CPU3210は、副走査レジストずれがほぼ0となるように、液晶偏向素子の印加電圧を決定し、液晶素子駆動回路3213を介して対応する液晶偏向素子に印加している。すなわち、副走査レジストずれを精度良くリアルタイムに補正することができる。
【0196】
そこで、稼働中に光学ハウジング内の温度が上昇しても、走査線の曲がり、走査線の傾き、及び副走査レジストずれが、ステーション間で異なるのを抑制することができる。
【0197】
また、経時変化によって、走査線の曲がり、走査線の傾き、及び副走査レジストずれが、ステーション間で異なるのを抑制することができる。
【0198】
従って、安定して高精度の光走査を行うことが可能となる。
【0199】
また、検知用光束を射出する光源を個別に設ける必要がないため、従来の光走査装置に容易に適用することができる。
【0200】
また、検知用光束を書き込み用光束と分離するための分離光学素子を設ける必要がないため、分離光学素子の姿勢変化の影響を受けることがなく、各ずれを精度良く求めることができる。
【0201】
また、検知用光束を光検知センサに導くための光学系(検知用光学系)を、簡単な構成とすることができる。
【0202】
さらに、検知用光束と書き込み用光束の分離が容易である。
【0203】
また、各光源が、2次元アレイ発光素子100を有しているため、1つの感光体ドラムに対して同時に複数の光走査を行うことが可能となる。
【0204】
そして、本実施形態に係るカラープリンタ2000によると、光走査装置2010を備えているため、色ずれを従来よりも小さくすることができる。その結果、安定して高品質の画像を形成することが可能となる。
【0205】
また、光走査装置2010が2次元アレイ発光素子100を有する光源を備えているため、高速で画像を形成することが可能となる。また、形成される画像の高密度化を図ることが可能となる。
【0206】
また、ネットワークを介して、カラープリンタ2000と、電子演算装置(コンピュータ等)、画像情報通信システム(ファクシミリ等)等とを接続することにより、1台の画像形成装置で複数の機器からの出力を処理することができる情報処理システムを形成することができる。また、ネットワーク上に複数の画像形成装置を接続すれば、各出力要求から各画像形成装置の状態(ジョブの混み具合、電源が入っているかどうか、故障しているかどうか等)を知ることができ、一番状態の良い(使用者の希望に一番適した)画像形成装置を選択し、画像形成を行うことができる。
【0207】
なお、上記実施形態では、各センサアレイが5つの光検知センサを有する場合について説明したが、これに限定されるものではない。なお、光検知センサの数が多いほど、走査線の曲がりずれ、走査線の傾きずれ、及び副走査レジストずれの検出精度が向上する。
【0208】
また、上記実施形態では、調節ねじ308の突出し量を調整して像面側走査レンズ2107の形状を微調整する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、アクチュエータを用いて像面側走査レンズ2107の形状を微調整しても良い。アクチュエータとしては、例えば圧電素子(ピエゾ素子)のように印加電圧の大きさを変えることにより押圧力を可変できるものを用いることができる。
【0209】
また、上記実施形態において、CPU3210によるプログラムに従う処理の少なくとも一部をハードウェアによって構成することとしても良い。
【0210】
また、上記実施形態では、前記第1受光部18aが長方形状の場合について説明したが、これに限定されるものではなく、検知用光束が通過する2辺がs方向に平行な形状であれば良い。
【0211】
また、上記実施形態では、前記第2受光部18bが、平行四辺形状の場合について説明したが、これに限定されるものではなく、検知用光束が通過する2辺がs方向に対して傾斜している形状であれば良い。
【0212】
また、上記実施形態では、光源が40個の発光部を有する場合について説明したが、これに限定されるものではない。
【0213】
また、上記実施形態において、前記液晶偏向素子に代えて、Z軸方向に平行な軸回りに回動可能な非平行平板やガルバノミラーを用いても良い。
【0214】
また、上記実施形態において、前記液晶偏向素子に代えて、例えばMgLN、KTN、LN、NTなどの電気光学素子(EO素子)を用いても良い。
【0215】
また、上記実施形態において、副走査レジストずれを補正する際に、画像データをシフトするのに代えて、駆動対象の発光部を副走査対応方向に関して隣接する他の発光部にシフトしても良い。
【0216】
また、上記実施形態において、前記先端同期検知センサ及び前記後端同期検知センサが、センサアレイに含まれていても良い。
【0217】
また、上記実施形態では、画像形成装置としてカラープリンタ2000の場合について説明したが、これに限定されるものではない。要するに、光走査装置2010を備えた画像形成装置であれば良い。
【0218】
例えば、レーザ光によって発色する媒体(例えば、用紙)に直接、レーザ光を照射する画像形成装置であっても良い。
【0219】
また、像担持体として銀塩フィルムを用いた画像形成装置であっても良い。この場合には、光走査により銀塩フィルム上に潜像が形成され、この潜像は通常の銀塩写真プロセスにおける現像処理と同等の処理で可視化することができる。そして、通常の銀塩写真プロセスにおける焼付け処理と同等の処理で印画紙に転写することができる。このような画像形成装置は光製版装置や、CTスキャン画像等を描画する光描画装置として実施できる。
【0220】
また、上記実施形態では、光走査装置2010がプリンタに用いられる場合について説明したが、プリンタ以外の画像形成装置、例えば、複写機、ファクシミリ、又は、これらが集約された複合機にも好適である。
【0221】
また、上記実施形態では、感光体ドラムが4つある場合について説明したが、これに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0222】
本発明の光走査装置によれば、安定して高い精度の光走査を行うのに適している。また、本発明の画像形成装置によれば、安定して高品質の画像を形成するのに適している。
【符号の説明】
【0223】
181〜185…光検知センサ、315…ステッピングモータ(回動機構の一部)、315A…ステッピングモータ(調整機構の一部)、2000…カラープリンタ(画像形成装置)、2010…光走査装置、2030a,2030b,2030c,2030d…感光体ドラム(像担持体)、2080…通信制御装置(通信装置)、2104…ポリゴンミラー(偏向器)、2105a〜2105d…偏向器側走査レンズ(走査光学系の一部)、2107a〜2107d…像面側走査レンズ(走査光学系の一部)、2112a〜2112d…センサアレイ(複数の光検知センサ)、2200a,2200b…光源、2211a〜2211d…液晶偏向素子(偏向素子)、2245a〜2245c…位置検出センサ(パターン検出センサ)、TP…トナーパッチ(検出用パターン)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0224】
【特許文献1】特許第4107578号公報
【特許文献2】特開2004−287380号公報
【特許文献3】特開2004−258182号公報
【特許文献4】特開2008−275961号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、該光源からの光束を偏向する偏向器と、走査光学素子を含み、前記偏向器で偏向された光束を被走査面上に集光する走査光学系とを備え、前記被走査面を光束により主走査方向に走査する光走査装置において、
前記光源と前記偏向器との間の光路上に配置され、前記光路を副走査方向に関して偏向する偏向素子と;
前記被走査面の有効走査領域内の主走査方向に関して互いに異なる複数の位置に対応する複数の位置に配置され、入射する光束の副走査方向に関する位置ずれ情報が含まれる信号を出力する複数の光検知センサと;
前記光源からの光束が、前記偏向器及び前記走査光学系を介して前記複数の光検知センサに入射するように前記偏向素子を制御する制御装置と;を更に備えることを特徴とする光走査装置。
【請求項2】
前記走査光学素子は、該走査光学素子の副走査方向に関する形状を微調整するための調整機構を有し、
前記複数の光検知センサの出力信号から得られる位置ずれ情報に応じて、前記調整機構を駆動する位置ずれ補正装置を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
【請求項3】
前記調整機構は、副走査方向に関して、前記走査光学素子を一側に向かって押圧する押圧部材と、前記走査光学素子を他側に向かって付勢する弾性部材とを有していることを特徴とする請求項2に記載の光走査装置。
【請求項4】
前記走査光学素子は、主走査方向及び副走査方向のいずれにも直交する軸回りに該走査光学素子を回動させるための回動機構を有し、
前記複数の光検知センサの出力信号から得られる位置ずれ情報に応じて、前記回動機構を駆動する傾き補正装置を更に備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光走査装置。
【請求項5】
前記複数の光検知センサの出力信号から得られる位置ずれ情報に応じて、前記被走査面上に集光される光束の副走査方向に関する位置の調整を行う位置調整装置を更に備え、
前記位置調整装置は、前記被走査面を走査する際に、前記偏向素子を利用して前記位置の調整を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光走査装置。
【請求項6】
前記光源は、2次元的に配列された複数の発光部を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の光走査装置。
【請求項7】
少なくとも1つの像担持体と;
前記少なくとも1つの像担持体に対して画像情報に応じて変調された光束を走査する少なくとも1つの請求項1〜6のいずれか一項に記載の光走査装置と;を備える画像形成装置。
【請求項8】
前記画像情報は、多色の画像情報であることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの像担持体に形成され媒体に転写された検出用パターンを検出する少なくとも1つのパターン検出センサと;
前記少なくとも1つのパターン検出センサの出力信号に応じて、前記少なくとも1つの像担持体に集光される光束の位置ずれを補正する制御装置と;を更に備えることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御装置は、前記少なくとも1つのパターン検出センサの出力信号に基づいて、前記光走査装置における複数の光検知センサの出力信号から得られる位置ずれ情報を補正するための補正係数を求めることを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記補正係数は、所定のタイミング毎に求められ、前記制御装置は、以前に求められた補正係数に基づいて、現時点での補正係数を予測することを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記光走査装置の光学ハウジング内の温度を計測するための温度センサを更に備え、前記制御装置は、更に前記温度センサから得られた温度情報を加味して、現時点での補正係数を予測することを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記画像情報を含む種々の情報の通信をネットワークを介して外部機器と行う通信装置を、更に備えることを特徴とする請求項7〜12のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項1】
光源と、該光源からの光束を偏向する偏向器と、走査光学素子を含み、前記偏向器で偏向された光束を被走査面上に集光する走査光学系とを備え、前記被走査面を光束により主走査方向に走査する光走査装置において、
前記光源と前記偏向器との間の光路上に配置され、前記光路を副走査方向に関して偏向する偏向素子と;
前記被走査面の有効走査領域内の主走査方向に関して互いに異なる複数の位置に対応する複数の位置に配置され、入射する光束の副走査方向に関する位置ずれ情報が含まれる信号を出力する複数の光検知センサと;
前記光源からの光束が、前記偏向器及び前記走査光学系を介して前記複数の光検知センサに入射するように前記偏向素子を制御する制御装置と;を更に備えることを特徴とする光走査装置。
【請求項2】
前記走査光学素子は、該走査光学素子の副走査方向に関する形状を微調整するための調整機構を有し、
前記複数の光検知センサの出力信号から得られる位置ずれ情報に応じて、前記調整機構を駆動する位置ずれ補正装置を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
【請求項3】
前記調整機構は、副走査方向に関して、前記走査光学素子を一側に向かって押圧する押圧部材と、前記走査光学素子を他側に向かって付勢する弾性部材とを有していることを特徴とする請求項2に記載の光走査装置。
【請求項4】
前記走査光学素子は、主走査方向及び副走査方向のいずれにも直交する軸回りに該走査光学素子を回動させるための回動機構を有し、
前記複数の光検知センサの出力信号から得られる位置ずれ情報に応じて、前記回動機構を駆動する傾き補正装置を更に備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光走査装置。
【請求項5】
前記複数の光検知センサの出力信号から得られる位置ずれ情報に応じて、前記被走査面上に集光される光束の副走査方向に関する位置の調整を行う位置調整装置を更に備え、
前記位置調整装置は、前記被走査面を走査する際に、前記偏向素子を利用して前記位置の調整を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光走査装置。
【請求項6】
前記光源は、2次元的に配列された複数の発光部を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の光走査装置。
【請求項7】
少なくとも1つの像担持体と;
前記少なくとも1つの像担持体に対して画像情報に応じて変調された光束を走査する少なくとも1つの請求項1〜6のいずれか一項に記載の光走査装置と;を備える画像形成装置。
【請求項8】
前記画像情報は、多色の画像情報であることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの像担持体に形成され媒体に転写された検出用パターンを検出する少なくとも1つのパターン検出センサと;
前記少なくとも1つのパターン検出センサの出力信号に応じて、前記少なくとも1つの像担持体に集光される光束の位置ずれを補正する制御装置と;を更に備えることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御装置は、前記少なくとも1つのパターン検出センサの出力信号に基づいて、前記光走査装置における複数の光検知センサの出力信号から得られる位置ずれ情報を補正するための補正係数を求めることを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記補正係数は、所定のタイミング毎に求められ、前記制御装置は、以前に求められた補正係数に基づいて、現時点での補正係数を予測することを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記光走査装置の光学ハウジング内の温度を計測するための温度センサを更に備え、前記制御装置は、更に前記温度センサから得られた温度情報を加味して、現時点での補正係数を予測することを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記画像情報を含む種々の情報の通信をネットワークを介して外部機器と行う通信装置を、更に備えることを特徴とする請求項7〜12のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図2】
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【図5】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【公開番号】特開2011−123147(P2011−123147A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−279186(P2009−279186)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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