光走査装置及び画像形成装置
【課題】同期信号を検出するための光ビームを点灯する際に、静電潜像を形成する感光体への露光を回避し、感光体劣化を防止する。
【解決手段】光ビーム発生手段と、光ビーム発生手段で発生された光ビームを走査偏向するポリゴンミラー105と、前記ポリゴンミラー105の基準位置を検出する磁力検出センサ126と、前記光ビームを走査経路上の感光体露光範囲外の位置で検出する同期センサ112と、前記磁力検出センサ126で検出されるポリゴンミラー105の基準位置に基づき、前記同期センサ112で検出される同期検出用光ビームの発生タイミングを制御する光走査装置コントローラ134と、を有、光走査装置コントローラ134は、前記同期検出用光ビームで前記感光体を露光しないよう前記発生タイミングを制御する。
【解決手段】光ビーム発生手段と、光ビーム発生手段で発生された光ビームを走査偏向するポリゴンミラー105と、前記ポリゴンミラー105の基準位置を検出する磁力検出センサ126と、前記光ビームを走査経路上の感光体露光範囲外の位置で検出する同期センサ112と、前記磁力検出センサ126で検出されるポリゴンミラー105の基準位置に基づき、前記同期センサ112で検出される同期検出用光ビームの発生タイミングを制御する光走査装置コントローラ134と、を有、光走査装置コントローラ134は、前記同期検出用光ビームで前記感光体を露光しないよう前記発生タイミングを制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光走査装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザプリンタ、ファックス装置、デジタル複合機などで用いられる電子写真画像形成装置では、光偏向器として、例えば回転多面鏡であるポリゴンミラーを用いた光走査装置が露光装置として広く使用されている。
この光走査装置では、主走査方向の露光基準位置を検出するため、回転多面鏡により走査偏向された光ビームを、走査経路上の所定位置で検出する光ビーム検出手段を備えたものが知られている。
【0003】
この光走査装置では、受光センサなどのセンシングデバイスを光ビームの走査系路上に配置する一方、光ビームを、受光センサを走査する直前に点灯させることで主走査方向の露光基準位置を示す水平同期信号を検出している。このため、光偏向器の回転角度を検出して、光ビームの走査タイミングとポリゴンモータなどの光偏向器の回転位相を同期させる必要がある。
【0004】
ところが、光ビームを消灯状態から点灯状態へ移行した最初のシーケンスでは、光偏向器の回転角度が分からないため、最大で光偏向器の一走査分以上の期間光ビームを点灯させる必要がある。光ビームを光偏向器の一走査分以上点灯させると、今度は静電潜像を形成する感光体にも露光してしまうという問題がある。
また、近年では光ビームを出射する光源の特性を検出するために、光源を点灯状態へ移行した際に、所定時間点灯する処理を持つ光源ドライバが存在している。この光源ドライバを用いた場合には、光源特性検出のための点灯によっても静電潜像を形成する感光体に露光してしまうという問題もある。
【0005】
この問題に対し、特許文献1には、ポリゴンミラーを用いた光走査装置において、光ビームが所定走査位置を通過したことを低コストで検出することを目的に、水平同期信号を生成するための光ビームを検出するセンサを用いず、ポリゴンミラーに、ポリゴンミラーが所定の回転位置に達した時に出力信号を発生する検知信号発生手段を設け、光源制御回路が検知信号発生手段からの出力信号に基づいて水平同期信号を生成することが開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、ポリゴンミラーの回転角を正確に制御し、画像書込開始位置を高精度に制御する目的で、水平同期信号を検出するための受光センサの角度をポリゴンミラー毎に対応して記憶することが開示されている。この構成では、ポリゴンモータへの駆動信号は正弦波をPWM変換させて供給しており、半導体レーザから射出された光ビームが受光センサで検知された時の駆動信号に対応する正弦波角度を、ポリゴンミラーの面毎に対応して記憶している。また、その調整工程では、受光センサを設けてポリゴンミラー面毎の角度を記憶するが、印字工程では受光センサを外し、ポリゴンミラー面毎に記憶した角度に基づき水平同期信号を生成する構成が開示されている。
【0007】
特許文献1に記載された光走査装置は、以下で説明する本発明とは、ポリゴンモータからの所定回転位置に達した時の信号を利用して水平同期信号を生成する制御を行う点では類似している。しかし、この光走査装置では、ポリゴンミラーの所定の回転位置を検出する検知信号発生手段をポリゴンミラー自体に設け、水平同期信号を生成するための光ビームを検出するセンサを用いていないために、機械内の環境変化があったときにそれを反映することができず、したがって、前記環境変化に伴い画像書込開始位置が変動する虞がある。
また、特許文献2に記載された画像形成装置は、機械内の環境変化に対する影響を考慮し、温度と熱膨張による受光センサの位置変化を記憶する記憶部を追加しているが、位置変化に影響する環境パラメータが複数になることで記憶部が増大化し、環境パラメータを検出するための温度測定手段や湿度測定手段などの測定手段を追加する必要があるため、光走査装置システムとしてコストアップを招く問題が発生する。
【0008】
さらに、光ビームを点灯させて受光センサに入射する光ビームにより水平同期信号を検出する従来からの手法では、光ビームを消灯状態から点灯状態へ切り替えた最初のシーケンスにより、光ビームの点灯タイミングとポリゴンミラーの回転角度が同期していないことによる不要発光により、光ビームが感光体に露光してしまう問題は解消できていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記事情を鑑みなされたものであり、同期信号を検出するための光ビームを点灯する際に、静電潜像を形成する感光体への露光を回避し、感光体劣化を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、光ビーム発生手段と、光ビーム発生手段で発生された光ビームを走査偏向する光偏向手段と、前記光偏向手段の基準位置を検出する位置検出手段と、前記光ビームを走査経路上の感光体露光範囲外の位置で検出する光ビーム検出手段と、前記位置検出手段で検出される光偏向手段の基準位置に基づき、前記光ビーム検出手段で検出される同期検出用光ビームの発生タイミングを制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記同期検出用光ビームで前記感光体を露光しないよう前記発生タイミングを制御する光走査装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、同期検出用光ビームを点灯するタイミングを、光偏向器の基準位置の検出に基づいて制御するため、同期検出用光ビームの点灯による静電潜像を形成する感光体への露光を回避し、感光体劣化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態の光走査装置の構成について説明する図である。
【図2】第1の実施形態の光偏向器であるポリゴンミラーの構成について説明する図である。
【図3】第1の実施形態のポリゴンミラーの磁力検出用マグネットの構成について説明する図である。
【図4】従来の光走査装置の制御ブロック構成について説明する図である。
【図5】第1の実施形態の光走査装置の制御ブロック構成について説明する図である。
【図6】第1の実施形態の光走査装置の定常動作時のタイミングチャートについて説明する図である。
【図7】従来の光走査装置の光源点灯開始時のタイミングチャートについて説明する図である。
【図8】第1の実施形態の光走査装置の光源点灯開始時のタイミングチャートについて説明する図である。
【図9】第1の実施形態の光走査装置の光源点灯開始時の制御手順を説明するフローチャートである。
【図10】本発明の第2の実施形態のポリゴンミラーの磁力検出用マグネットの構成について説明する図である。
【図11】第2の実施形態の光走査装置の定常動作時のタイミングチャートについて説明する図である。
【図12】第2の実施形態の光走査装置の光源点灯開始時のタイミングチャートについて説明する図である。
【図13】第2の実施形態の光走査装置の光源点灯開始時の制御手順を説明するフローチャートである。
【図14】本発明の第3の実施形態のポリゴンミラーの磁力検出用マグネットの構成について説明する図である。
【図15】第3の実施形態の光走査装置の定常動作時のタイミングチャートについて説明する図である。
【図16】第3の実施形態のポリゴンミラーを搭載した光走査装置の光源点灯開始時のタイミングチャートである。
【図17】第3の実施形態の光走査装置の制御ブロックについて説明する図である。
【図18】本発明の第1〜第3の実施形態の光走査装置を搭載する画像形成装置の構成について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の光走査装置の実施の形態について図面を参照して説明する。
ポリゴンミラーなどの光偏向器により光を偏向する光走査装置では、水平同期信号を検出するには受光センサを走査する際に光ビームを点灯させる必要がある。そこで、本実施形態に係る光走査装置では、光偏向器であるポリゴンミラーが所定の回転位置に達した時に発生する偏向走査位置信号(後述のFG信号など)に基づいて、水平同期信号を検出するための光ビーム点灯タイミングを制御するものである。以下、本実施形態について説明する。
【0014】
図1は、本発明の第1の実施形態の光走査装置の構成について説明する図である。
図1の光走査装置は、光源101、カップリングレンズ102、アパーチャ103、シリンドリカルレンズ104、ポリゴンミラー105、レンズ106、107、ミラー108、感光媒体としての感光体109、同期ミラー110、同期レンズ111、同期センサ112を有する。光源101は、光走査のための光ビームを発する半導体レーザ素子であり、図示しない駆動部により画像データに応じて駆動される。カップリングレンズ102は、光源101が発した光ビームを光学系に適応させるためのレンズである。アパーチャ103は、カップリングレンズ102からの光ビームを所定の形状にするための絞り部材である。
シリンドリカルレンズ104は、アパーチャ103から入射された光ビームを副走査方向に集光するレンズである。
【0015】
ポリゴンミラー105は、シリンドリカルレンズ104から入射した光を偏向反射面において反射する。レンズ106、107は、ポリゴンミラー105からの光ビームを感光体109上に結像させる。ミラー108は、レンズ106、107からの光ビームの光路を折り曲げ、その光ビームを感光体109に導く。感光体109は、図示しない帯電装置により一様に帯電された後に、ミラー108からの光ビームにより走査されて静電潜像が形成される。
【0016】
同期ミラー110、及び同期レンズ111は、レンズ106からの光ビームを同期センサ112に集光する。同期センサ112は、フォトダイオードなどの光検出素子であり、同期レンズ111からの光ビームを検出して、水平同期信号即ち同期検出信号を発生する。
【0017】
半導体レーザ素子である光源101が放射する光ビームは、発散性の光束であり、カップリングレンズ102によって以後の光学系にカップリングされる。カップリングされた光ビームの形態は、以後の光学系の光学特性に応じたものであり、弱い発散性の光束や弱い集光性の光束であってもよいし、平行光束であってもよい。
カップリングレンズ102を通過した光ビームは、アパーチャ103の開口部を通過する際に、光束周辺部の光強度の小さい部分が遮断、即ちビーム整形されて、線形結像光学系であるシリンドリカルレンズ104に入射する。
【0018】
シリンドリカルレンズ104は、略かまぼこ型をなしており、光を屈折させないパワーのない方向を主走査方向に向け、副走査方向には光を集光させるパワーを持ち、入射してくる光ビームを副走査方向に集光させ、光偏向器であるポリゴンミラー105の偏向反射面近傍に集光する。
【0019】
ポリゴンミラー105の偏向反射面によって反射された光ビームは、ポリゴンミラー105の等速回転に伴い、等角速度的に偏向されつつ、走査光学系をなす2枚のレンズ106、107を通過し、ミラー108によって光路が折り曲げられ、被走査面をなす光導電性の感光体109の感光面である表面に光スポットとして集光し走査する。これによって、感光体109上には静電潜像が形成される。
なお、光ビームは、走査に先立って同期ミラー110に入射して反射され、同期レンズ111によって受光素子である同期センサ112に集光される。感光体109に対する上記光ビームによる光書き込みのタイミングは、同期センサ112の出力信号に基づいて後述する制御部である光走査装置コントローラにより決定される。
【0020】
図2は、第1の実施形態の光偏向器であるポリゴンミラー105の構成について説明する図である。
図2はポリゴンミラーの側面図である。ポリゴンミラー105は回転軸105aに対し回転体であるポリゴンミラー本体105bが取り付けられている。ポリゴンミラー105の回転軸105aには、駆動用マグネット、及び磁力検出用マグネット105c(図3)が取り付けられている。他方、モータの台座120の上面には、コイルユニット124とモータ制御ユニット部122を備えた駆動制御回路基板122aが備えられている。
【0021】
モータ制御ユニット部122は、モータドライバ132(図4)を中心とした制御回路で構成され、コイルユニット124には駆動用マグネットに対向するように、3相の駆動用コイル124aが設置されている。コイルユニット124の近傍には、ポリゴンミラー105側の磁力検出用マグネット105c(図3)の磁力を検出するために、磁力検出用マグネット105cと対向する位置にホール素子などの磁力検出センサ126が配置されている。
【0022】
図3は、第1の実施形態のポリゴンミラー105の磁力検出用マグネット105cの構成について説明する図である。
図3に示すように、磁力検出用マグネット105cはN極とS極とがそれぞれ6極ずつ交互に配置するように着磁されており、磁力検出用マグネット105cが磁力検出センサ(ホール素子)126の上方に位置するように、ポリゴンミラー105が駆動制御回路基板122aに対し位置決めされている。
ポリゴンミラー105を回転させる際、3相の駆動用コイル124aにそれぞれ位相をずらした交流電流を供給することによって、駆動用マグネットと駆動用コイル124aの間に反発力と吸引力を発生させ、所定の回転速度でポリゴンミラー105を回転させる。ポリゴンミラー105の回転により、磁力検出用マグネット105cも回転する。
【0023】
磁力検出用マグネット105cが回転することにより、磁力検出センサ(ホール素子)126は、磁力検出用マグネット105cの磁力線の変化で出力電圧を発生する。ここで、磁力検出センサ126からの出力電圧は、ポリゴンミラー105の回転速度、即ち磁力検出用マグネット105cの回転速度に比例した周波数の交流信号である。モータドライバ132(図4)は、この交流信号に基づいてポリゴンミラー105の回転速度を検出し、狙いの回転速度になるよう制御する。
【0024】
図3のポリゴンミラー105では、磁力検出用マグネット105cが12極で構成されているため、ポリゴンミラー1回転当たり磁力検出センサ126からは6周期の交流信号が発生する。また、ポリゴンミラー105の面数は6面であるので、ポリゴンミラー1回転当たり同期センサ112からの同期検出信号は6回検出される。
本実施形態では、ポリゴンミラー105の回転速度を検出する磁力検出用マグネット105cの極数は12極、ポリゴンミラー105の面数が6面であり、極数がミラー面数の2倍である。
【0025】
図4は、従来の光走査装置の制御ブロックの構成について説明する図である。
図4の光走査装置の制御ブロックは、レーザドライバ130、モータドライバ132、光走査装置コントローラ134の制御ブロックを有する。また、この光走査装置は、光源101、ポリゴンモータ(図示せず)、磁力検出センサ126、同期ミラー110、同期センサ112を有している。
【0026】
光走査装置コントローラ134は、光源101やポリゴンモータなどの光走査装置を構成する電子部品の全体制御を担う制御部である。光走査装置コントローラ134は、レーザドライバ130とモータドライバ132、及び同期センサ112と接続されている。レーザドライバ130に対しては、図示しないコントローラや画像処理部からの画像データや光走査装置のタイミングに基づき光源101への点灯データ信号を出力し、レーザドライバ130からの信号に基づき光源101の故障やエラー状態を検出する。
また、光走査装置コントローラ134は、図示しない画像形成装置の全体制御を行うCPUなどで構成されるエンジン制御部からの作像指令に基づき、モータドライバ132に対してポリゴンモータの起動及び停止命令を出力し、他方、ポリゴンモータのモータドライバ132から出力する信号に基づき、ポリゴンモータの回転状態や故障、エラー情報を検出する。
【0027】
レーザドライバ130は光源101と接続され、光走査装置コントローラ134からの点灯信号に基づき光源101への点灯信号を出力する。光源101はレーザドライバ130からの点灯信号に基づいて光ビームを出射する。光源101から出射した光ビームは、ポリゴンモータの回転体であるポリゴンミラー105に入射し、ポリゴンミラー105により反射される。反射された光ビームはポリゴンミラー105の回転に合わせて走査し、図2のレンズ102、104、106、107、ミラー108などを透過、反射し、感光体109上に結像される。
【0028】
走査する光ビームの一部は、感光体109に結像する領域外に設けられた同期ミラー110により感光体109とは異なる方向に反射される。同期ミラー110により反射された光ビームは、同期レンズ111を通過し同期センサ112に集光される。同期センサ112に実装されたフォトダイオードなどの光検出素子は、同期レンズ111からの光ビームを検出し同期検出信号を発生する。即ち、ポリゴンミラー105により所定タイミングで走査した光ビームのみを検出し同期検出信号を発生する。
【0029】
同期センサ112で発生した同期検出信号は、光走査装置コントローラ134へ出力される。光走査装置コントローラ134では、同期センサ112からの同期検出信号を走査基準タイミング信号として検出し、ポリゴンミラー105が主走査方向に走査する基準信号として使用する。即ち、同期検出信号に基づき、レーザドライバ130への光源101の点灯データを出力するタイミングを制御し、ポリゴンミラー105の回転と光源101の点灯データのタイミングを同期化させている。
【0030】
図5は、第1の実施形態の光走査装置の制御ブロックの構成について説明する図である。
図5に示す光走査装置の制御ブロックは、従来の制御ブロックを示す図4と比較して、ポリゴンモータの磁力検出センサ126からの磁力検出信号をモータドライバ132だけでなく光走査装置コントローラ134へも出力している点で異なっている。
磁力検出センサ126は既に述べたようにホール素子などで構成され、ポリゴンミラー105側に配置された磁力検出用マグネット105cの磁力を検出する。モータドライバ132は、磁力検出センサ126で検出された磁力検出信号によりポリゴンミラー105の回転速度を検出し、狙いの回転速度になるよう制御する。
【0031】
これに加え、本実施形態では、光走査装置コントローラ134は、磁力検出センサ126から検出された磁力検出信号によりポリゴンミラー105の基準位置である例えばその回転位置を検出する。即ち、ポリゴンミラー105の基準となる回転角度位置(回転位相)を検出する。ポリゴンミラー105の回転位相を検出することで、光走査装置コントローラ134は、レーザドライバ130へ出力する光源101の点灯データのタイミングを制御する。その制御方法については後述する。
【0032】
図6は、第1の実施形態の光走査装置の定常動作時のタイミングチャートについて説明する図である。
図6のタイミングチャートは、磁力検出センサ126からの出力信号(HALL信号という)をコンパレート処理した信号(FG信号という)、同期センサ112からの出力信号(同期検出信号;BD信号という)、同期センサ112へ入射するための光源点灯信号(BD_DATA信号という)、光源101への画像データ信号(VIDEO_DATA信号という)、光源101への点灯データ信号(LD_DATA信号という)で構成されている。
ホール素子などで構成される磁力検出センサ126からの出力信号即ちHALL信号は、ポリゴンミラー105に取り付けられた磁力検出用マグネット105cからの磁力がポリゴンミラー105の回転に合わせて変化することに伴い変化する。即ち、磁力検出用マグネット105cはS極とN極を互いに隣り合うように配置されているため、HALL信号は交流信号として出力される。
【0033】
HALL信号は、光走査装置コントローラ134のコンパレート回路(図示せず)を通してFG信号(コンパレート処理した信号)として生成される。
なお、HALL信号からFG信号へのコンパレート処理は、光走査装置コントローラ134ではなく、モータドライバ132にて処理されてもよい。ポリゴンミラー105の回転速度を制御するためにモータドライバ132でもHALL信号をコンパレート処理したFG信号を要する場合がある。その場合はコンパレート処理回路は共有されるために、モータドライバ132にて処理されたFG信号をモータドライバ132から光走査装置コントローラ134へ出力する構成も考えられる。その構成の場合は、磁力検出センサ126から光走査装置コントローラ134への結線がなくなるので、図5の制御ブロックは、図4の制御ブロックと同一になる。
【0034】
図3で示した構成、即ち、磁力検出用マグネット105cの極数が12極、ポリゴンミラー105のミラー面数が6面のポリゴンモータを使用した構成では、同期センサ112から出力されるBD信号(同期検出信号)と、FG信号は位相はずれるが周期は一致している。即ち、BD信号とFG信号は、ポリゴンミラー面に対する磁力検出用マグネット105cの着磁位置のずれの分だけ位相がずれる。周期はポリゴンミラー105の1回転中に、ミラー面は6面でBD信号については6発検出し、FG信号は12極を検出するが、12回のS極とN極を検出するので6周期となり、周期は一致する。
【0035】
BD信号を検出するためには、同期センサ112に対し光ビームが走査するタイミングで光源101を点灯させる必要がある。そこで、光源101を点灯させるために、光走査装置コントローラ134はBD信号から所定のタイミングを逆カウントし、光ビームが同期センサ112を走査する手前(直前)のタイミングでBD_DATA(光源点灯データ)信号をアクティブにさせる。BD_DATA信号をアクティブにさせることで、レーザドライバ130では光源101を点灯させ、光源101からの光ビームが同期センサ112に入射することでBD信号を検出することができる。
BD信号が光走査装置コントローラ134へ入力されると、光走査装置コントローラ134ではBD_DATA信号を非アクティブにさせることで、不要な光ビーム発光を防止している。
【0036】
感光体109へ露光する画像データが存在しない場合は、感光体109へ露光する必要は無いので、光源101への光源点灯信号(データ)はBD信号を検出するためのBD_DATA信号のみである。
これに対し、図示しないコントローラや画像処理部などから感光体109へ露光する画像データが供給された場合は、感光体109へ露光する画像データをライン単位に処理する。即ち、図中「VIDEO_DATA」として示すように、それぞれBD信号の1周期内で、1ライン目(line1)、2ライン目(line2)・・・の画像データを処理する。
【0037】
このVIDEO_DATA信号の処理タイミングは、BD信号を検出した後、主走査書き出しタイミング分だけ時間が経過したタイミングで1ライン分のデータを処理する。この主走査書き出しタイミングは、line1、line2、line3・・・で共通な時間で処理される。共通な時間で処理されないと、感光体109へ露光する画像データの主走査タイミングがラインごとに異なるため、出力画像の画像データ配列が主走査方向にずれる異常画像を招くことになる。
【0038】
最終的な光源101への点灯データ(LD_DATA)信号は、主走査書き出しタイミングを調整したVIDEO_DATA信号と、BD信号検出用の光源点灯信号(BD_DATA信号)を合わせた信号となる。即ち、感光体109へ露光する画像領域に対応したVIDEO_DATA信号と、同期センサ112に入射する非画像領域に対応したBD_DATA信号とから成るLD_DATA信号となる。
【0039】
図7は、従来の光走査装置の光源点灯開始時のタイミングチャートについて説明する図である。
図7のタイミングチャートは、磁力検出センサ126からの出力信号をコンパレート処理した信号(FG信号)と、同期センサ112からの出力信号(BD信号)と、光源101の強制消灯信号(LDOFF信号)と、同期センサ112へ入射するための光源点灯信号(BD_DATA信号)とで構成されている。
【0040】
レーザダイオードなどを光源101として使用する光走査装置では、安全規格上レーザダイオードからの光ビームが固定点を照射し続けることを防ぐため、光源101を点灯させる前に必ずポリゴンミラーを起動させ、定常に偏向できていることを保証する必要がある。
そこで、ポリゴンミラーにポリゴンモータなどの回転器を用いた光走査装置では、ポリゴンモータを定常回転させていることを検出してから光源101を点灯させる。即ち、ポリゴンモータが回転ロックしたことを通知するロック信号をモータドライバ132から光走査装置コントローラ134へ出力し、ロック信号に基づいて光源101を点灯させている。
【0041】
従来の光走査装置では、ポリゴンモータのロック信号を検出したことで、光源101を点灯させている。即ち、光源101を点灯させるためには、強制消灯信号(LDOFF信号)を解除(High→Low)することで、同期検出信号を検出するための光源点灯を開始(BD_DATA信号をアクティブ)している。そのため、LDOFF信号解除タイミングがポリゴンモータのミラー回転位相と同期しておらず、同期センサ112に光ビームが入射するポリゴンミラー位置でLDOFF信号を解除した場合、最大でポリゴンミラー105の1面分の期間(時間)だけ光源101を点灯させる必要がある。
【0042】
即ち、図7の期間aの区間がポリゴンミラー105の1面分に達する時である。光源101を点灯開始し、1発目のBD信号(同期検出信号)を検出すると、BD_DATA信号はネゲートし、光源101は消灯する。1発目のBD信号から所定タイミング経過後、図7では期間b経過後、同期センサ112に走査する直前にBD_DATA信号をアサートさせ光源101を点灯する。BD_DATA信号による点灯により、同期センサ112に入射するタイミングで2発目のBD信号を検出する。
【0043】
ポリゴンモータの定常回転時には、直前のBD信号から期間b経過後にBD_DATA信号をアクティブにさせることで、BD信号を検出できる。この期間bは同期センサ112に光ビームが入射するタイミングよりも手前であり、しかもそのタイミングは、感光体109へ光ビームが露光する有効画像領域の後端部よりも後方である。即ち、主走査後端の無効画像領域において、同期センサ112に光ビームが入射可能となるタイミングの手前のタイミングで光源101を点灯させる。この同期センサ112に光ビームが入射するタイミングの手前のタイミングは、同期センサ112の取り付け位置がばらついた場合でも、必ず手前のタイミングになるように、同期センサ112の取り付け精度を考慮して光源101を点灯させる必要がある。
【0044】
一方、光源点灯開始時のタイミングは期間aを有する。光源点灯開始時は2発目の期間bのように基準となる直前のBD信号が無いため、1発目の点灯タイミングはポリゴン回転位相とは同期していない。従って、既に述べたように、期間aは最大ポリゴンミラー105の1面分を点灯させてしまい、感光体109への露光期間である有効画像領域の期間に点灯させることになり、感光体109上に横スジの不要点灯をしてしまう。この感光体109への不要点灯は、感光体109へダメージを与え劣化を早めることになる。
【0045】
図8は、第1の実施形態の光走査装置の光源点灯開始時のタイミングチャートについて説明する図である。
図8のタイミングチャートは、図7と同様に構成されている。図8と図7との異なる点は、光源点灯開始時の点灯開始信号であるBD_DATA信号のアサートタイミングが異なる。即ち、図7では強制消灯信号(LDOFF信号)が解除されたタイミングでBD_DATA信号がアサートしているが、図8のタイミングチャートでは、LDOFF信号解除後のFG信号のアサートエッジから期間c経過後にBD_DATA信号がアサートしている。これは、1発目のBD信号検出の点灯タイミングをFG信号エッジからタイミング管理(制御)していることを示している。
【0046】
これにより、1発目のBD信号検出用の点灯により感光体109への不要発光を防止することができる。即ち、期間d、図7の期間bと同様に期間cでBD_DATA信号のアサートタイミングを非画像領域に移動することができる。2発目のBD信号検出用の点灯は、図7と同様1発目のBD信号から期間d経過後にBD_DATA信号をアサートさせる。
このように本実施形態によれば、BD_DATA信号のアサートタイミング、したがってBD信号検出タイミングの取り方を、1発目と2発目以降で変えており、ここでは光走査装置コントローラ134がその切り替えを行う。
【0047】
図9は、第1の実施形態の光走査装置の光源点灯開始時の制御手順を説明するフローチャートである。
光走査装置コントローラ部134に光源101を点灯させる要求指示があると、まず光偏向器であるポリゴンモータを起動する(S101)。ポリゴンモータ起動後に、モータドライバ132からのモータロック信号を監視し、ポリゴンモータが定常回転したか否かを判断する(S102)。ポリゴンモータが定常回転している場合(S102、YES)、強制消灯状態を解除する(S103)。即ち、LDOFF信号をHigh→Lowへ切り替える。LDOFF信号がLowに切り替わったことで、同期検出用点灯の準備状態へ移行する。
【0048】
同期検出用点灯の準備状態では、ポリゴンモータのホール素子からの信号をコンパレートした信号、もしくはモータドライバ132からのFG信号を監視し、FG信号がアサートしたか否かを判定し(S104)、アサートしていなければ(S104、NO)、FG信号のアサートエッジが発生するまでウェイト(待機)する。FG信号がアサートしたことを検出したら(S104、YES)、アサートエッジから時間カウントを行い、所定期間cが経過したときは(S105、YES)、光源点灯信号であるBD_DATA信号をHighに切り替える、つまり光源を同期検出用に点灯する(S106)。BD_DATA信号をHighに切り替え、同期検出用に光源101を点灯させると、ポリゴンミラー105の走査に合わせ同期センサ112に光ビームが入射し、BD信号を検出することができる。ここで、BD信号を検出すると(S107、YES)、BD_DATA信号をネゲートし、つまり光源を消灯し(S108)1発目のBD信号検出動作を終了する。
【0049】
このあとは、1発目のBD信号を基準にカウンタ制御を行い、2発目のBD信号検出のためのBD_DATA信号を期間b、または期間d経過後にアサートさせる。
以上の制御フローにより、光源点灯開始時のBD_DATA信号のアサートタイミングとポリゴンミラー105のFG信号の立ち上がりエッジのタイミングを同期化することで、光源101の点灯タイミングとポリゴンミラー105の回転角度を同期化し、感光体109への露光を防止することができる。これにより、感光体109への不要露光を防止し、感光体109を光源101の露光による劣化から防止できる。
以下本発明の他の実施形態について説明する。なお、他の実施形態の以下で説明する第1の実施形態と異なる部分以外は、第1の実施形態と共通である。
【0050】
図10は、本発明の第2の実施形態のポリゴンミラー105の磁力検出用マグネット105cの構成について説明する図である。
図10は、本発明の第2の実施形態のポリゴンミラー105の磁力検出用マグネット105cの構成であり、図3とは磁力検出用マグネット105cの極数とポリゴンミラー105の面数が異なる。即ち、図3に示す第1の実施形態では、磁力検出用マグネット105cの極数が12極、ポリゴンミラー105の面数が6面であったが、図10の第2の実施形態では、磁力検出用マグネット105cの極数が2極、ポリゴンミラー105の面数が4面である。
【0051】
図11は、本発明の第2の実施形態の光走査装置の定常動作時のタイミングチャートについて説明する図である。即ち、図11は、図10に示した本発明の第2の実施形態のポリゴンミラー105を搭載した光走査装置の定常動作時のタイミングチャートである。
第1の実施形態のタイミングチャートの図6とは、HALL信号、FG信号とBD信号の周期が異なっている。
【0052】
図10で示した磁力検出用マグネット105cの極数が2極、ポリゴンミラー105のミラー面数が4面のポリゴンモータを使用した構成では、ポリゴンミラー105の1回転中にBD信号は4発検出し、FG信号は2回のS極とN極を検出するので1周期となる。
【0053】
図12は、第2の実施形態の光走査装置の光源点灯開始時のタイミングチャートについて説明する図である。
図12は、図10で示した第2の実施形態のポリゴンミラー105を搭載した光走査装置の光源点灯開始時のタイミングチャートである。第1の実施形態のタイミングチャートを示す図8とは、FG信号とBD信号の周期が異なっている。
図10で示したポリゴンミラー105の構成では、ポリゴンミラー105の1回転中にBD信号は4発検出し、FG信号は2回のS極とN極を検出するので1周期となる。1発目のBD信号検出用の光源点灯タイミングを、LDOFF信号解除後のFG信号のアサートエッジから所定期間c経過後にBD_DATA信号をアサートすることにより、1発目のBD信号検出用の光源101点灯により感光体109への不要発光を防止することができる。
【0054】
図13は、第2の実施形態の光走査装置の光源点灯開始時の制御手順を説明するフローチャートである。即ち、図13は、図10で示した第2の実施形態のポリゴンミラー105を搭載した光走査装置の光源点灯開始時の制御フローチャートである。
【0055】
図10で示したポリゴンミラー105の構成では、ポリゴンミラー105の1回転中にBD信号は4発検出し、FG信号は2回のS極とN極を検出するのでこれが1周期となる。このBD信号とFG信号の関係から、BD信号の基準となるFG信号のエッジがアサートエッジだけでなく、ネゲートエッジでもよい。選択したエッジからアサートエッジ又はネゲートエッジに対応する所定時間経過後にBD_DATA信号をアクティブにさせることで、感光体109への不要発光による感光体109の劣化を防ぐことができる。
【0056】
即ち、光走査装置コントローラ134に光源101を点灯させる要求指示があると、まず光偏向器であるポリゴンモータを起動する(S201)。ポリゴンモータ起動後に、モータドライバ132からのモータロック信号を監視し、ポリゴンモータが定常回転したか否かを判断する(S202)。ポリゴンモータが定常回転しているときは(S202、YES)、光源強制消灯状態を解除する(S203)。即ち、LDOFF信号をHighからLowへ切り替える。LDOFF信号がLowに切り替わったことで、同期検出用点灯の準備状態へ移行する。
【0057】
同期検出用点灯の準備状態では、ポリゴンモータのホール素子からの信号(HALL信号)をコンパレートした信号(FG信号)、もしくはモータドライバ132からのFG信号を監視し、FG信号がアサート又はネゲートしたか否かを判定し(S204)、アサート又はネゲートしていなければ(S204、NO)、FG信号のアサートエッジ又はネゲートエッジが発生するまでウェイト(待機)する。FG信号がアサート又はネゲートしたことを検出したら(S204、YES)、アサートエッジ又はネゲートエッジから時間カウントを行い、所定期間cが経過したときは(S205、YES)、光源点灯信号であるBD_DATA信号をHighに切り替える、つまり光源を同期検出用に点灯する(S206)。BD_DATA信号をHighに切り替え、同期検出用に光源101を点灯させると、ポリゴンミラー105の走査に合わせて同期センサ112に光ビームが入射し、BD信号を検出することができる。ここで、BD信号を検出すると(S207、YES)、BD_DATA信号をネゲートし、つまり光源を消灯し(S208)1発目のBD信号検出動作を終了する。
【0058】
図14は、本発明の第3の実施形態のポリゴンミラー105の磁力検出用マグネット105cの構成について説明する図である。
図14は、第3の実施形態のポリゴンミラー105の構成であり、図3のポリゴンミラー105とは磁力検出用マグネット105cの極数が異なる。図3に示すポリゴンミラー105では、磁力検出用マグネット105cの極数が12極、ポリゴンミラー105の面数が6面であった。図14に示すポリゴンミラー105では磁力検出用マグネット105cの極数が6極、ポリゴンミラー105の面数が6面である。
【0059】
図15は、本発明の第3の実施形態の光走査装置の定常動作時のタイミングチャートについて説明する図である。
図16は、図14で示した第3の実施形態のポリゴンミラー105を搭載した光走査装置の光源点灯開始時のタイミングチャートである。第1の実施形態の図8に示すタイミングチャートとは、FG信号とBD信号の周期が異なる。
図14で示したポリゴンミラー105の磁力検出用マグネット105cの構成では、ポリゴンミラー105の1回転中にBD信号は6発検出され、FG信号は6回のS極とN極を検出するので3周期となる。1発目のBD信号検出用の光源点灯タイミングを、LDOFF信号解除後のFG信号のアサートエッジもしくはネゲートエッジから所定期間c経過後にBD_DATA信号をアサートすることにより、1発目のBD信号検出用の光源点灯により感光体109への不要発光を防止することができる。即ち、制御フローは図13に示したものと同一のフローにて制御することができる。
【0060】
図17は、本実施形態の光走査装置の制御ブロックについて説明する図である。
図17の光走査装置の制御ブロックは、図5の制御ブロックと比較し、光走査装置コントローラ134にメモリ136が接続している点が異なる。光走査装置コントローラ134に接続したメモリ136には、光源101を点灯開始する際の1発目のBD信号を検出するため、FG信号のエッジ検出からBD_DATA信号をアクティブにするまでの時間を記憶する。
【0061】
FG信号のエッジ検出からBD_DATA信号をアクティブにするまでの時間は、ポリゴンミラー面に対する磁力検出用マグネット105cの着磁位置により増減する。磁力検出用マグネット105cの着磁位置は、ポリゴンミラー105の個体差によりばらつくので、ポリゴンモータごとに時間を記憶する必要がある。光走査装置の組立工程において、同期センサ112で検出されるBD信号に対する、ポリゴンミラー105からのFG信号の位相を計測し、メモリに記憶することにより、光走査装置の光源101を点灯する際にメモリ136からの位相情報に基づき、FG信号のアサートエッジ、またはネゲートエッジからBD_DATA信号をアクティブにする経過時間を制御する。これにより、ポリゴンモータの個体差によらず、光走査装置から感光体109へ露光する不要発光を防止することができる。
【0062】
図18は、以上で説明した本発明の第1〜第3の実施形態の光走査装置を搭載する画像形成装置の構成について説明する図である。
画像形成装置は感光体ドラム10と、帯電ユニット12と、現像ユニットとしてのトナーカートリッジ14と、転写ローラ16と、感光体ドラム10上のトナーを除去する図示しないクリーナーと、中間転写ベルト20と、中間転写ローラ22と、中間転写ベルトクリーニング装置24と、転写装置26と、給紙レジストセンサ28と、定着装置30と、排紙ローラ32と、光走査装置40とから構成されている。
【0063】
光走査装置40は、カラー画像形成装置の開始ボタンが押下されると、あるいはプリンタホストからの印刷ジョブ開始信号が有効にされると、タイミング制御した光ビームを感光体ドラム10上に露光する。この光走査装置では、ポリゴンモータにより多面反射鏡であるポリゴンミラー105を回転させ光源からの光ビームを走査させ、感光体ドラム10の被走査面にそれぞれ光ビームを書き込み、静電潜像を形成する。
その形成された静電潜像は、トナーカートリッジ14から供給されるトナーにより現像され、感光体ドラム10上では単色画像が形成され、転写ローラ16により中間転写ベルト20上に転写される。なお、中間転写ベルト20は、中間転写ローラ22を駆動ローラとして回転駆動することにより転写されたトナー像を所定方向へ搬送する。
【0064】
一方、この画像形成装置は、ジョブ開始信号が有効にされると、給紙装置から転写紙Sを1枚ずつ分離し、給紙搬送させ、給紙レジストセンサ28で転写紙Sが検出されると、その給紙を一旦停止させる。そして、中間転写ベルト20上のトナー画像の搬送にタイミングを合わせ、レジストローラ28aを回転させ、中間転写ベルト20と転写装置26との間に転写紙Sを送り込む。転写装置26は、転写紙Sへトナー画像を転写し、定着装置30は、搬送されるトナー画像が転写された転写紙Sに熱と圧力を加えて定着させる。定着後、転写紙Sは、排紙装置に取り付けられた排紙ローラ32により排出され、図示しない排紙トレイ上にスタックされる。
【0065】
以上で説明したように、本実施形態は、光ビームを光偏向器であるポリゴンミラーにより偏向し、静電潜像を形成する感光体を露光する光走査装置であって、ポリゴンミラーが所定の回転位置に達した時に発生する偏向走査位置信号に基づき、水平同期信号を検出するための光ビーム強制点灯タイミングを制御するようにしている。換言すれば、光ビームの水平同期信号検出用点灯タイミングとポリゴンミラーの回転位相を同期させたので、ポリゴンミラーを用いた光走査装置において、ポリゴンモータの回転制御を複雑化させることなく、機械内の環境変化に伴う光走査装置の光学部品の特性変化に合わせたタイミングで水平同期信号を検出することができる。また、水平同期信号を検出するための光ビームを点灯するタイミングを、ポリゴンミラーが所定の回転位置に達したときに出力される偏向走査位置信号に基づいて制御するため、水平同期信号を検出するための光ビームの点灯により、静電潜像を形成する感光体への露光を防止し、感光体劣化を防止することができる。
なお、以上の実施形態の説明では、光偏向器はポリゴンミラーであるとして説明したが、ここで云うポリゴンミラーは、光を偏向させかつ走査する機能を有するものを総称するものである。
【符号の説明】
【0066】
101・・・光源、102・・・カップリングレンズ、103・・・アパーチャ、104・・・シリンドリカルレンズ、105・・・ポリゴンミラー、105a・・・回転軸、105b・・・ポリゴンミラー本体、105c・・・磁力検出用マグネット、106、107・・・レンズ、108・・・ミラー、109・・・感光体、110・・・同期ミラー、111・・・同期レンズ、112・・・同期センサ、120・・・モータの台座、122・・・モータ制御ユニット部、122a・・駆動制御回路基板、124・・・コイルユニット、124a・・・駆動用コイル、126・・・磁力検出センサ(ホール素子)、130・・・レーザドライバ、132・・・モータドライバ、134・・・光走査装置コントローラ、136・・・メモリ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0067】
【特許文献1】特開平10−213760号公報
【特許文献2】特開2010−52313号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は光走査装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザプリンタ、ファックス装置、デジタル複合機などで用いられる電子写真画像形成装置では、光偏向器として、例えば回転多面鏡であるポリゴンミラーを用いた光走査装置が露光装置として広く使用されている。
この光走査装置では、主走査方向の露光基準位置を検出するため、回転多面鏡により走査偏向された光ビームを、走査経路上の所定位置で検出する光ビーム検出手段を備えたものが知られている。
【0003】
この光走査装置では、受光センサなどのセンシングデバイスを光ビームの走査系路上に配置する一方、光ビームを、受光センサを走査する直前に点灯させることで主走査方向の露光基準位置を示す水平同期信号を検出している。このため、光偏向器の回転角度を検出して、光ビームの走査タイミングとポリゴンモータなどの光偏向器の回転位相を同期させる必要がある。
【0004】
ところが、光ビームを消灯状態から点灯状態へ移行した最初のシーケンスでは、光偏向器の回転角度が分からないため、最大で光偏向器の一走査分以上の期間光ビームを点灯させる必要がある。光ビームを光偏向器の一走査分以上点灯させると、今度は静電潜像を形成する感光体にも露光してしまうという問題がある。
また、近年では光ビームを出射する光源の特性を検出するために、光源を点灯状態へ移行した際に、所定時間点灯する処理を持つ光源ドライバが存在している。この光源ドライバを用いた場合には、光源特性検出のための点灯によっても静電潜像を形成する感光体に露光してしまうという問題もある。
【0005】
この問題に対し、特許文献1には、ポリゴンミラーを用いた光走査装置において、光ビームが所定走査位置を通過したことを低コストで検出することを目的に、水平同期信号を生成するための光ビームを検出するセンサを用いず、ポリゴンミラーに、ポリゴンミラーが所定の回転位置に達した時に出力信号を発生する検知信号発生手段を設け、光源制御回路が検知信号発生手段からの出力信号に基づいて水平同期信号を生成することが開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、ポリゴンミラーの回転角を正確に制御し、画像書込開始位置を高精度に制御する目的で、水平同期信号を検出するための受光センサの角度をポリゴンミラー毎に対応して記憶することが開示されている。この構成では、ポリゴンモータへの駆動信号は正弦波をPWM変換させて供給しており、半導体レーザから射出された光ビームが受光センサで検知された時の駆動信号に対応する正弦波角度を、ポリゴンミラーの面毎に対応して記憶している。また、その調整工程では、受光センサを設けてポリゴンミラー面毎の角度を記憶するが、印字工程では受光センサを外し、ポリゴンミラー面毎に記憶した角度に基づき水平同期信号を生成する構成が開示されている。
【0007】
特許文献1に記載された光走査装置は、以下で説明する本発明とは、ポリゴンモータからの所定回転位置に達した時の信号を利用して水平同期信号を生成する制御を行う点では類似している。しかし、この光走査装置では、ポリゴンミラーの所定の回転位置を検出する検知信号発生手段をポリゴンミラー自体に設け、水平同期信号を生成するための光ビームを検出するセンサを用いていないために、機械内の環境変化があったときにそれを反映することができず、したがって、前記環境変化に伴い画像書込開始位置が変動する虞がある。
また、特許文献2に記載された画像形成装置は、機械内の環境変化に対する影響を考慮し、温度と熱膨張による受光センサの位置変化を記憶する記憶部を追加しているが、位置変化に影響する環境パラメータが複数になることで記憶部が増大化し、環境パラメータを検出するための温度測定手段や湿度測定手段などの測定手段を追加する必要があるため、光走査装置システムとしてコストアップを招く問題が発生する。
【0008】
さらに、光ビームを点灯させて受光センサに入射する光ビームにより水平同期信号を検出する従来からの手法では、光ビームを消灯状態から点灯状態へ切り替えた最初のシーケンスにより、光ビームの点灯タイミングとポリゴンミラーの回転角度が同期していないことによる不要発光により、光ビームが感光体に露光してしまう問題は解消できていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記事情を鑑みなされたものであり、同期信号を検出するための光ビームを点灯する際に、静電潜像を形成する感光体への露光を回避し、感光体劣化を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、光ビーム発生手段と、光ビーム発生手段で発生された光ビームを走査偏向する光偏向手段と、前記光偏向手段の基準位置を検出する位置検出手段と、前記光ビームを走査経路上の感光体露光範囲外の位置で検出する光ビーム検出手段と、前記位置検出手段で検出される光偏向手段の基準位置に基づき、前記光ビーム検出手段で検出される同期検出用光ビームの発生タイミングを制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記同期検出用光ビームで前記感光体を露光しないよう前記発生タイミングを制御する光走査装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、同期検出用光ビームを点灯するタイミングを、光偏向器の基準位置の検出に基づいて制御するため、同期検出用光ビームの点灯による静電潜像を形成する感光体への露光を回避し、感光体劣化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態の光走査装置の構成について説明する図である。
【図2】第1の実施形態の光偏向器であるポリゴンミラーの構成について説明する図である。
【図3】第1の実施形態のポリゴンミラーの磁力検出用マグネットの構成について説明する図である。
【図4】従来の光走査装置の制御ブロック構成について説明する図である。
【図5】第1の実施形態の光走査装置の制御ブロック構成について説明する図である。
【図6】第1の実施形態の光走査装置の定常動作時のタイミングチャートについて説明する図である。
【図7】従来の光走査装置の光源点灯開始時のタイミングチャートについて説明する図である。
【図8】第1の実施形態の光走査装置の光源点灯開始時のタイミングチャートについて説明する図である。
【図9】第1の実施形態の光走査装置の光源点灯開始時の制御手順を説明するフローチャートである。
【図10】本発明の第2の実施形態のポリゴンミラーの磁力検出用マグネットの構成について説明する図である。
【図11】第2の実施形態の光走査装置の定常動作時のタイミングチャートについて説明する図である。
【図12】第2の実施形態の光走査装置の光源点灯開始時のタイミングチャートについて説明する図である。
【図13】第2の実施形態の光走査装置の光源点灯開始時の制御手順を説明するフローチャートである。
【図14】本発明の第3の実施形態のポリゴンミラーの磁力検出用マグネットの構成について説明する図である。
【図15】第3の実施形態の光走査装置の定常動作時のタイミングチャートについて説明する図である。
【図16】第3の実施形態のポリゴンミラーを搭載した光走査装置の光源点灯開始時のタイミングチャートである。
【図17】第3の実施形態の光走査装置の制御ブロックについて説明する図である。
【図18】本発明の第1〜第3の実施形態の光走査装置を搭載する画像形成装置の構成について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の光走査装置の実施の形態について図面を参照して説明する。
ポリゴンミラーなどの光偏向器により光を偏向する光走査装置では、水平同期信号を検出するには受光センサを走査する際に光ビームを点灯させる必要がある。そこで、本実施形態に係る光走査装置では、光偏向器であるポリゴンミラーが所定の回転位置に達した時に発生する偏向走査位置信号(後述のFG信号など)に基づいて、水平同期信号を検出するための光ビーム点灯タイミングを制御するものである。以下、本実施形態について説明する。
【0014】
図1は、本発明の第1の実施形態の光走査装置の構成について説明する図である。
図1の光走査装置は、光源101、カップリングレンズ102、アパーチャ103、シリンドリカルレンズ104、ポリゴンミラー105、レンズ106、107、ミラー108、感光媒体としての感光体109、同期ミラー110、同期レンズ111、同期センサ112を有する。光源101は、光走査のための光ビームを発する半導体レーザ素子であり、図示しない駆動部により画像データに応じて駆動される。カップリングレンズ102は、光源101が発した光ビームを光学系に適応させるためのレンズである。アパーチャ103は、カップリングレンズ102からの光ビームを所定の形状にするための絞り部材である。
シリンドリカルレンズ104は、アパーチャ103から入射された光ビームを副走査方向に集光するレンズである。
【0015】
ポリゴンミラー105は、シリンドリカルレンズ104から入射した光を偏向反射面において反射する。レンズ106、107は、ポリゴンミラー105からの光ビームを感光体109上に結像させる。ミラー108は、レンズ106、107からの光ビームの光路を折り曲げ、その光ビームを感光体109に導く。感光体109は、図示しない帯電装置により一様に帯電された後に、ミラー108からの光ビームにより走査されて静電潜像が形成される。
【0016】
同期ミラー110、及び同期レンズ111は、レンズ106からの光ビームを同期センサ112に集光する。同期センサ112は、フォトダイオードなどの光検出素子であり、同期レンズ111からの光ビームを検出して、水平同期信号即ち同期検出信号を発生する。
【0017】
半導体レーザ素子である光源101が放射する光ビームは、発散性の光束であり、カップリングレンズ102によって以後の光学系にカップリングされる。カップリングされた光ビームの形態は、以後の光学系の光学特性に応じたものであり、弱い発散性の光束や弱い集光性の光束であってもよいし、平行光束であってもよい。
カップリングレンズ102を通過した光ビームは、アパーチャ103の開口部を通過する際に、光束周辺部の光強度の小さい部分が遮断、即ちビーム整形されて、線形結像光学系であるシリンドリカルレンズ104に入射する。
【0018】
シリンドリカルレンズ104は、略かまぼこ型をなしており、光を屈折させないパワーのない方向を主走査方向に向け、副走査方向には光を集光させるパワーを持ち、入射してくる光ビームを副走査方向に集光させ、光偏向器であるポリゴンミラー105の偏向反射面近傍に集光する。
【0019】
ポリゴンミラー105の偏向反射面によって反射された光ビームは、ポリゴンミラー105の等速回転に伴い、等角速度的に偏向されつつ、走査光学系をなす2枚のレンズ106、107を通過し、ミラー108によって光路が折り曲げられ、被走査面をなす光導電性の感光体109の感光面である表面に光スポットとして集光し走査する。これによって、感光体109上には静電潜像が形成される。
なお、光ビームは、走査に先立って同期ミラー110に入射して反射され、同期レンズ111によって受光素子である同期センサ112に集光される。感光体109に対する上記光ビームによる光書き込みのタイミングは、同期センサ112の出力信号に基づいて後述する制御部である光走査装置コントローラにより決定される。
【0020】
図2は、第1の実施形態の光偏向器であるポリゴンミラー105の構成について説明する図である。
図2はポリゴンミラーの側面図である。ポリゴンミラー105は回転軸105aに対し回転体であるポリゴンミラー本体105bが取り付けられている。ポリゴンミラー105の回転軸105aには、駆動用マグネット、及び磁力検出用マグネット105c(図3)が取り付けられている。他方、モータの台座120の上面には、コイルユニット124とモータ制御ユニット部122を備えた駆動制御回路基板122aが備えられている。
【0021】
モータ制御ユニット部122は、モータドライバ132(図4)を中心とした制御回路で構成され、コイルユニット124には駆動用マグネットに対向するように、3相の駆動用コイル124aが設置されている。コイルユニット124の近傍には、ポリゴンミラー105側の磁力検出用マグネット105c(図3)の磁力を検出するために、磁力検出用マグネット105cと対向する位置にホール素子などの磁力検出センサ126が配置されている。
【0022】
図3は、第1の実施形態のポリゴンミラー105の磁力検出用マグネット105cの構成について説明する図である。
図3に示すように、磁力検出用マグネット105cはN極とS極とがそれぞれ6極ずつ交互に配置するように着磁されており、磁力検出用マグネット105cが磁力検出センサ(ホール素子)126の上方に位置するように、ポリゴンミラー105が駆動制御回路基板122aに対し位置決めされている。
ポリゴンミラー105を回転させる際、3相の駆動用コイル124aにそれぞれ位相をずらした交流電流を供給することによって、駆動用マグネットと駆動用コイル124aの間に反発力と吸引力を発生させ、所定の回転速度でポリゴンミラー105を回転させる。ポリゴンミラー105の回転により、磁力検出用マグネット105cも回転する。
【0023】
磁力検出用マグネット105cが回転することにより、磁力検出センサ(ホール素子)126は、磁力検出用マグネット105cの磁力線の変化で出力電圧を発生する。ここで、磁力検出センサ126からの出力電圧は、ポリゴンミラー105の回転速度、即ち磁力検出用マグネット105cの回転速度に比例した周波数の交流信号である。モータドライバ132(図4)は、この交流信号に基づいてポリゴンミラー105の回転速度を検出し、狙いの回転速度になるよう制御する。
【0024】
図3のポリゴンミラー105では、磁力検出用マグネット105cが12極で構成されているため、ポリゴンミラー1回転当たり磁力検出センサ126からは6周期の交流信号が発生する。また、ポリゴンミラー105の面数は6面であるので、ポリゴンミラー1回転当たり同期センサ112からの同期検出信号は6回検出される。
本実施形態では、ポリゴンミラー105の回転速度を検出する磁力検出用マグネット105cの極数は12極、ポリゴンミラー105の面数が6面であり、極数がミラー面数の2倍である。
【0025】
図4は、従来の光走査装置の制御ブロックの構成について説明する図である。
図4の光走査装置の制御ブロックは、レーザドライバ130、モータドライバ132、光走査装置コントローラ134の制御ブロックを有する。また、この光走査装置は、光源101、ポリゴンモータ(図示せず)、磁力検出センサ126、同期ミラー110、同期センサ112を有している。
【0026】
光走査装置コントローラ134は、光源101やポリゴンモータなどの光走査装置を構成する電子部品の全体制御を担う制御部である。光走査装置コントローラ134は、レーザドライバ130とモータドライバ132、及び同期センサ112と接続されている。レーザドライバ130に対しては、図示しないコントローラや画像処理部からの画像データや光走査装置のタイミングに基づき光源101への点灯データ信号を出力し、レーザドライバ130からの信号に基づき光源101の故障やエラー状態を検出する。
また、光走査装置コントローラ134は、図示しない画像形成装置の全体制御を行うCPUなどで構成されるエンジン制御部からの作像指令に基づき、モータドライバ132に対してポリゴンモータの起動及び停止命令を出力し、他方、ポリゴンモータのモータドライバ132から出力する信号に基づき、ポリゴンモータの回転状態や故障、エラー情報を検出する。
【0027】
レーザドライバ130は光源101と接続され、光走査装置コントローラ134からの点灯信号に基づき光源101への点灯信号を出力する。光源101はレーザドライバ130からの点灯信号に基づいて光ビームを出射する。光源101から出射した光ビームは、ポリゴンモータの回転体であるポリゴンミラー105に入射し、ポリゴンミラー105により反射される。反射された光ビームはポリゴンミラー105の回転に合わせて走査し、図2のレンズ102、104、106、107、ミラー108などを透過、反射し、感光体109上に結像される。
【0028】
走査する光ビームの一部は、感光体109に結像する領域外に設けられた同期ミラー110により感光体109とは異なる方向に反射される。同期ミラー110により反射された光ビームは、同期レンズ111を通過し同期センサ112に集光される。同期センサ112に実装されたフォトダイオードなどの光検出素子は、同期レンズ111からの光ビームを検出し同期検出信号を発生する。即ち、ポリゴンミラー105により所定タイミングで走査した光ビームのみを検出し同期検出信号を発生する。
【0029】
同期センサ112で発生した同期検出信号は、光走査装置コントローラ134へ出力される。光走査装置コントローラ134では、同期センサ112からの同期検出信号を走査基準タイミング信号として検出し、ポリゴンミラー105が主走査方向に走査する基準信号として使用する。即ち、同期検出信号に基づき、レーザドライバ130への光源101の点灯データを出力するタイミングを制御し、ポリゴンミラー105の回転と光源101の点灯データのタイミングを同期化させている。
【0030】
図5は、第1の実施形態の光走査装置の制御ブロックの構成について説明する図である。
図5に示す光走査装置の制御ブロックは、従来の制御ブロックを示す図4と比較して、ポリゴンモータの磁力検出センサ126からの磁力検出信号をモータドライバ132だけでなく光走査装置コントローラ134へも出力している点で異なっている。
磁力検出センサ126は既に述べたようにホール素子などで構成され、ポリゴンミラー105側に配置された磁力検出用マグネット105cの磁力を検出する。モータドライバ132は、磁力検出センサ126で検出された磁力検出信号によりポリゴンミラー105の回転速度を検出し、狙いの回転速度になるよう制御する。
【0031】
これに加え、本実施形態では、光走査装置コントローラ134は、磁力検出センサ126から検出された磁力検出信号によりポリゴンミラー105の基準位置である例えばその回転位置を検出する。即ち、ポリゴンミラー105の基準となる回転角度位置(回転位相)を検出する。ポリゴンミラー105の回転位相を検出することで、光走査装置コントローラ134は、レーザドライバ130へ出力する光源101の点灯データのタイミングを制御する。その制御方法については後述する。
【0032】
図6は、第1の実施形態の光走査装置の定常動作時のタイミングチャートについて説明する図である。
図6のタイミングチャートは、磁力検出センサ126からの出力信号(HALL信号という)をコンパレート処理した信号(FG信号という)、同期センサ112からの出力信号(同期検出信号;BD信号という)、同期センサ112へ入射するための光源点灯信号(BD_DATA信号という)、光源101への画像データ信号(VIDEO_DATA信号という)、光源101への点灯データ信号(LD_DATA信号という)で構成されている。
ホール素子などで構成される磁力検出センサ126からの出力信号即ちHALL信号は、ポリゴンミラー105に取り付けられた磁力検出用マグネット105cからの磁力がポリゴンミラー105の回転に合わせて変化することに伴い変化する。即ち、磁力検出用マグネット105cはS極とN極を互いに隣り合うように配置されているため、HALL信号は交流信号として出力される。
【0033】
HALL信号は、光走査装置コントローラ134のコンパレート回路(図示せず)を通してFG信号(コンパレート処理した信号)として生成される。
なお、HALL信号からFG信号へのコンパレート処理は、光走査装置コントローラ134ではなく、モータドライバ132にて処理されてもよい。ポリゴンミラー105の回転速度を制御するためにモータドライバ132でもHALL信号をコンパレート処理したFG信号を要する場合がある。その場合はコンパレート処理回路は共有されるために、モータドライバ132にて処理されたFG信号をモータドライバ132から光走査装置コントローラ134へ出力する構成も考えられる。その構成の場合は、磁力検出センサ126から光走査装置コントローラ134への結線がなくなるので、図5の制御ブロックは、図4の制御ブロックと同一になる。
【0034】
図3で示した構成、即ち、磁力検出用マグネット105cの極数が12極、ポリゴンミラー105のミラー面数が6面のポリゴンモータを使用した構成では、同期センサ112から出力されるBD信号(同期検出信号)と、FG信号は位相はずれるが周期は一致している。即ち、BD信号とFG信号は、ポリゴンミラー面に対する磁力検出用マグネット105cの着磁位置のずれの分だけ位相がずれる。周期はポリゴンミラー105の1回転中に、ミラー面は6面でBD信号については6発検出し、FG信号は12極を検出するが、12回のS極とN極を検出するので6周期となり、周期は一致する。
【0035】
BD信号を検出するためには、同期センサ112に対し光ビームが走査するタイミングで光源101を点灯させる必要がある。そこで、光源101を点灯させるために、光走査装置コントローラ134はBD信号から所定のタイミングを逆カウントし、光ビームが同期センサ112を走査する手前(直前)のタイミングでBD_DATA(光源点灯データ)信号をアクティブにさせる。BD_DATA信号をアクティブにさせることで、レーザドライバ130では光源101を点灯させ、光源101からの光ビームが同期センサ112に入射することでBD信号を検出することができる。
BD信号が光走査装置コントローラ134へ入力されると、光走査装置コントローラ134ではBD_DATA信号を非アクティブにさせることで、不要な光ビーム発光を防止している。
【0036】
感光体109へ露光する画像データが存在しない場合は、感光体109へ露光する必要は無いので、光源101への光源点灯信号(データ)はBD信号を検出するためのBD_DATA信号のみである。
これに対し、図示しないコントローラや画像処理部などから感光体109へ露光する画像データが供給された場合は、感光体109へ露光する画像データをライン単位に処理する。即ち、図中「VIDEO_DATA」として示すように、それぞれBD信号の1周期内で、1ライン目(line1)、2ライン目(line2)・・・の画像データを処理する。
【0037】
このVIDEO_DATA信号の処理タイミングは、BD信号を検出した後、主走査書き出しタイミング分だけ時間が経過したタイミングで1ライン分のデータを処理する。この主走査書き出しタイミングは、line1、line2、line3・・・で共通な時間で処理される。共通な時間で処理されないと、感光体109へ露光する画像データの主走査タイミングがラインごとに異なるため、出力画像の画像データ配列が主走査方向にずれる異常画像を招くことになる。
【0038】
最終的な光源101への点灯データ(LD_DATA)信号は、主走査書き出しタイミングを調整したVIDEO_DATA信号と、BD信号検出用の光源点灯信号(BD_DATA信号)を合わせた信号となる。即ち、感光体109へ露光する画像領域に対応したVIDEO_DATA信号と、同期センサ112に入射する非画像領域に対応したBD_DATA信号とから成るLD_DATA信号となる。
【0039】
図7は、従来の光走査装置の光源点灯開始時のタイミングチャートについて説明する図である。
図7のタイミングチャートは、磁力検出センサ126からの出力信号をコンパレート処理した信号(FG信号)と、同期センサ112からの出力信号(BD信号)と、光源101の強制消灯信号(LDOFF信号)と、同期センサ112へ入射するための光源点灯信号(BD_DATA信号)とで構成されている。
【0040】
レーザダイオードなどを光源101として使用する光走査装置では、安全規格上レーザダイオードからの光ビームが固定点を照射し続けることを防ぐため、光源101を点灯させる前に必ずポリゴンミラーを起動させ、定常に偏向できていることを保証する必要がある。
そこで、ポリゴンミラーにポリゴンモータなどの回転器を用いた光走査装置では、ポリゴンモータを定常回転させていることを検出してから光源101を点灯させる。即ち、ポリゴンモータが回転ロックしたことを通知するロック信号をモータドライバ132から光走査装置コントローラ134へ出力し、ロック信号に基づいて光源101を点灯させている。
【0041】
従来の光走査装置では、ポリゴンモータのロック信号を検出したことで、光源101を点灯させている。即ち、光源101を点灯させるためには、強制消灯信号(LDOFF信号)を解除(High→Low)することで、同期検出信号を検出するための光源点灯を開始(BD_DATA信号をアクティブ)している。そのため、LDOFF信号解除タイミングがポリゴンモータのミラー回転位相と同期しておらず、同期センサ112に光ビームが入射するポリゴンミラー位置でLDOFF信号を解除した場合、最大でポリゴンミラー105の1面分の期間(時間)だけ光源101を点灯させる必要がある。
【0042】
即ち、図7の期間aの区間がポリゴンミラー105の1面分に達する時である。光源101を点灯開始し、1発目のBD信号(同期検出信号)を検出すると、BD_DATA信号はネゲートし、光源101は消灯する。1発目のBD信号から所定タイミング経過後、図7では期間b経過後、同期センサ112に走査する直前にBD_DATA信号をアサートさせ光源101を点灯する。BD_DATA信号による点灯により、同期センサ112に入射するタイミングで2発目のBD信号を検出する。
【0043】
ポリゴンモータの定常回転時には、直前のBD信号から期間b経過後にBD_DATA信号をアクティブにさせることで、BD信号を検出できる。この期間bは同期センサ112に光ビームが入射するタイミングよりも手前であり、しかもそのタイミングは、感光体109へ光ビームが露光する有効画像領域の後端部よりも後方である。即ち、主走査後端の無効画像領域において、同期センサ112に光ビームが入射可能となるタイミングの手前のタイミングで光源101を点灯させる。この同期センサ112に光ビームが入射するタイミングの手前のタイミングは、同期センサ112の取り付け位置がばらついた場合でも、必ず手前のタイミングになるように、同期センサ112の取り付け精度を考慮して光源101を点灯させる必要がある。
【0044】
一方、光源点灯開始時のタイミングは期間aを有する。光源点灯開始時は2発目の期間bのように基準となる直前のBD信号が無いため、1発目の点灯タイミングはポリゴン回転位相とは同期していない。従って、既に述べたように、期間aは最大ポリゴンミラー105の1面分を点灯させてしまい、感光体109への露光期間である有効画像領域の期間に点灯させることになり、感光体109上に横スジの不要点灯をしてしまう。この感光体109への不要点灯は、感光体109へダメージを与え劣化を早めることになる。
【0045】
図8は、第1の実施形態の光走査装置の光源点灯開始時のタイミングチャートについて説明する図である。
図8のタイミングチャートは、図7と同様に構成されている。図8と図7との異なる点は、光源点灯開始時の点灯開始信号であるBD_DATA信号のアサートタイミングが異なる。即ち、図7では強制消灯信号(LDOFF信号)が解除されたタイミングでBD_DATA信号がアサートしているが、図8のタイミングチャートでは、LDOFF信号解除後のFG信号のアサートエッジから期間c経過後にBD_DATA信号がアサートしている。これは、1発目のBD信号検出の点灯タイミングをFG信号エッジからタイミング管理(制御)していることを示している。
【0046】
これにより、1発目のBD信号検出用の点灯により感光体109への不要発光を防止することができる。即ち、期間d、図7の期間bと同様に期間cでBD_DATA信号のアサートタイミングを非画像領域に移動することができる。2発目のBD信号検出用の点灯は、図7と同様1発目のBD信号から期間d経過後にBD_DATA信号をアサートさせる。
このように本実施形態によれば、BD_DATA信号のアサートタイミング、したがってBD信号検出タイミングの取り方を、1発目と2発目以降で変えており、ここでは光走査装置コントローラ134がその切り替えを行う。
【0047】
図9は、第1の実施形態の光走査装置の光源点灯開始時の制御手順を説明するフローチャートである。
光走査装置コントローラ部134に光源101を点灯させる要求指示があると、まず光偏向器であるポリゴンモータを起動する(S101)。ポリゴンモータ起動後に、モータドライバ132からのモータロック信号を監視し、ポリゴンモータが定常回転したか否かを判断する(S102)。ポリゴンモータが定常回転している場合(S102、YES)、強制消灯状態を解除する(S103)。即ち、LDOFF信号をHigh→Lowへ切り替える。LDOFF信号がLowに切り替わったことで、同期検出用点灯の準備状態へ移行する。
【0048】
同期検出用点灯の準備状態では、ポリゴンモータのホール素子からの信号をコンパレートした信号、もしくはモータドライバ132からのFG信号を監視し、FG信号がアサートしたか否かを判定し(S104)、アサートしていなければ(S104、NO)、FG信号のアサートエッジが発生するまでウェイト(待機)する。FG信号がアサートしたことを検出したら(S104、YES)、アサートエッジから時間カウントを行い、所定期間cが経過したときは(S105、YES)、光源点灯信号であるBD_DATA信号をHighに切り替える、つまり光源を同期検出用に点灯する(S106)。BD_DATA信号をHighに切り替え、同期検出用に光源101を点灯させると、ポリゴンミラー105の走査に合わせ同期センサ112に光ビームが入射し、BD信号を検出することができる。ここで、BD信号を検出すると(S107、YES)、BD_DATA信号をネゲートし、つまり光源を消灯し(S108)1発目のBD信号検出動作を終了する。
【0049】
このあとは、1発目のBD信号を基準にカウンタ制御を行い、2発目のBD信号検出のためのBD_DATA信号を期間b、または期間d経過後にアサートさせる。
以上の制御フローにより、光源点灯開始時のBD_DATA信号のアサートタイミングとポリゴンミラー105のFG信号の立ち上がりエッジのタイミングを同期化することで、光源101の点灯タイミングとポリゴンミラー105の回転角度を同期化し、感光体109への露光を防止することができる。これにより、感光体109への不要露光を防止し、感光体109を光源101の露光による劣化から防止できる。
以下本発明の他の実施形態について説明する。なお、他の実施形態の以下で説明する第1の実施形態と異なる部分以外は、第1の実施形態と共通である。
【0050】
図10は、本発明の第2の実施形態のポリゴンミラー105の磁力検出用マグネット105cの構成について説明する図である。
図10は、本発明の第2の実施形態のポリゴンミラー105の磁力検出用マグネット105cの構成であり、図3とは磁力検出用マグネット105cの極数とポリゴンミラー105の面数が異なる。即ち、図3に示す第1の実施形態では、磁力検出用マグネット105cの極数が12極、ポリゴンミラー105の面数が6面であったが、図10の第2の実施形態では、磁力検出用マグネット105cの極数が2極、ポリゴンミラー105の面数が4面である。
【0051】
図11は、本発明の第2の実施形態の光走査装置の定常動作時のタイミングチャートについて説明する図である。即ち、図11は、図10に示した本発明の第2の実施形態のポリゴンミラー105を搭載した光走査装置の定常動作時のタイミングチャートである。
第1の実施形態のタイミングチャートの図6とは、HALL信号、FG信号とBD信号の周期が異なっている。
【0052】
図10で示した磁力検出用マグネット105cの極数が2極、ポリゴンミラー105のミラー面数が4面のポリゴンモータを使用した構成では、ポリゴンミラー105の1回転中にBD信号は4発検出し、FG信号は2回のS極とN極を検出するので1周期となる。
【0053】
図12は、第2の実施形態の光走査装置の光源点灯開始時のタイミングチャートについて説明する図である。
図12は、図10で示した第2の実施形態のポリゴンミラー105を搭載した光走査装置の光源点灯開始時のタイミングチャートである。第1の実施形態のタイミングチャートを示す図8とは、FG信号とBD信号の周期が異なっている。
図10で示したポリゴンミラー105の構成では、ポリゴンミラー105の1回転中にBD信号は4発検出し、FG信号は2回のS極とN極を検出するので1周期となる。1発目のBD信号検出用の光源点灯タイミングを、LDOFF信号解除後のFG信号のアサートエッジから所定期間c経過後にBD_DATA信号をアサートすることにより、1発目のBD信号検出用の光源101点灯により感光体109への不要発光を防止することができる。
【0054】
図13は、第2の実施形態の光走査装置の光源点灯開始時の制御手順を説明するフローチャートである。即ち、図13は、図10で示した第2の実施形態のポリゴンミラー105を搭載した光走査装置の光源点灯開始時の制御フローチャートである。
【0055】
図10で示したポリゴンミラー105の構成では、ポリゴンミラー105の1回転中にBD信号は4発検出し、FG信号は2回のS極とN極を検出するのでこれが1周期となる。このBD信号とFG信号の関係から、BD信号の基準となるFG信号のエッジがアサートエッジだけでなく、ネゲートエッジでもよい。選択したエッジからアサートエッジ又はネゲートエッジに対応する所定時間経過後にBD_DATA信号をアクティブにさせることで、感光体109への不要発光による感光体109の劣化を防ぐことができる。
【0056】
即ち、光走査装置コントローラ134に光源101を点灯させる要求指示があると、まず光偏向器であるポリゴンモータを起動する(S201)。ポリゴンモータ起動後に、モータドライバ132からのモータロック信号を監視し、ポリゴンモータが定常回転したか否かを判断する(S202)。ポリゴンモータが定常回転しているときは(S202、YES)、光源強制消灯状態を解除する(S203)。即ち、LDOFF信号をHighからLowへ切り替える。LDOFF信号がLowに切り替わったことで、同期検出用点灯の準備状態へ移行する。
【0057】
同期検出用点灯の準備状態では、ポリゴンモータのホール素子からの信号(HALL信号)をコンパレートした信号(FG信号)、もしくはモータドライバ132からのFG信号を監視し、FG信号がアサート又はネゲートしたか否かを判定し(S204)、アサート又はネゲートしていなければ(S204、NO)、FG信号のアサートエッジ又はネゲートエッジが発生するまでウェイト(待機)する。FG信号がアサート又はネゲートしたことを検出したら(S204、YES)、アサートエッジ又はネゲートエッジから時間カウントを行い、所定期間cが経過したときは(S205、YES)、光源点灯信号であるBD_DATA信号をHighに切り替える、つまり光源を同期検出用に点灯する(S206)。BD_DATA信号をHighに切り替え、同期検出用に光源101を点灯させると、ポリゴンミラー105の走査に合わせて同期センサ112に光ビームが入射し、BD信号を検出することができる。ここで、BD信号を検出すると(S207、YES)、BD_DATA信号をネゲートし、つまり光源を消灯し(S208)1発目のBD信号検出動作を終了する。
【0058】
図14は、本発明の第3の実施形態のポリゴンミラー105の磁力検出用マグネット105cの構成について説明する図である。
図14は、第3の実施形態のポリゴンミラー105の構成であり、図3のポリゴンミラー105とは磁力検出用マグネット105cの極数が異なる。図3に示すポリゴンミラー105では、磁力検出用マグネット105cの極数が12極、ポリゴンミラー105の面数が6面であった。図14に示すポリゴンミラー105では磁力検出用マグネット105cの極数が6極、ポリゴンミラー105の面数が6面である。
【0059】
図15は、本発明の第3の実施形態の光走査装置の定常動作時のタイミングチャートについて説明する図である。
図16は、図14で示した第3の実施形態のポリゴンミラー105を搭載した光走査装置の光源点灯開始時のタイミングチャートである。第1の実施形態の図8に示すタイミングチャートとは、FG信号とBD信号の周期が異なる。
図14で示したポリゴンミラー105の磁力検出用マグネット105cの構成では、ポリゴンミラー105の1回転中にBD信号は6発検出され、FG信号は6回のS極とN極を検出するので3周期となる。1発目のBD信号検出用の光源点灯タイミングを、LDOFF信号解除後のFG信号のアサートエッジもしくはネゲートエッジから所定期間c経過後にBD_DATA信号をアサートすることにより、1発目のBD信号検出用の光源点灯により感光体109への不要発光を防止することができる。即ち、制御フローは図13に示したものと同一のフローにて制御することができる。
【0060】
図17は、本実施形態の光走査装置の制御ブロックについて説明する図である。
図17の光走査装置の制御ブロックは、図5の制御ブロックと比較し、光走査装置コントローラ134にメモリ136が接続している点が異なる。光走査装置コントローラ134に接続したメモリ136には、光源101を点灯開始する際の1発目のBD信号を検出するため、FG信号のエッジ検出からBD_DATA信号をアクティブにするまでの時間を記憶する。
【0061】
FG信号のエッジ検出からBD_DATA信号をアクティブにするまでの時間は、ポリゴンミラー面に対する磁力検出用マグネット105cの着磁位置により増減する。磁力検出用マグネット105cの着磁位置は、ポリゴンミラー105の個体差によりばらつくので、ポリゴンモータごとに時間を記憶する必要がある。光走査装置の組立工程において、同期センサ112で検出されるBD信号に対する、ポリゴンミラー105からのFG信号の位相を計測し、メモリに記憶することにより、光走査装置の光源101を点灯する際にメモリ136からの位相情報に基づき、FG信号のアサートエッジ、またはネゲートエッジからBD_DATA信号をアクティブにする経過時間を制御する。これにより、ポリゴンモータの個体差によらず、光走査装置から感光体109へ露光する不要発光を防止することができる。
【0062】
図18は、以上で説明した本発明の第1〜第3の実施形態の光走査装置を搭載する画像形成装置の構成について説明する図である。
画像形成装置は感光体ドラム10と、帯電ユニット12と、現像ユニットとしてのトナーカートリッジ14と、転写ローラ16と、感光体ドラム10上のトナーを除去する図示しないクリーナーと、中間転写ベルト20と、中間転写ローラ22と、中間転写ベルトクリーニング装置24と、転写装置26と、給紙レジストセンサ28と、定着装置30と、排紙ローラ32と、光走査装置40とから構成されている。
【0063】
光走査装置40は、カラー画像形成装置の開始ボタンが押下されると、あるいはプリンタホストからの印刷ジョブ開始信号が有効にされると、タイミング制御した光ビームを感光体ドラム10上に露光する。この光走査装置では、ポリゴンモータにより多面反射鏡であるポリゴンミラー105を回転させ光源からの光ビームを走査させ、感光体ドラム10の被走査面にそれぞれ光ビームを書き込み、静電潜像を形成する。
その形成された静電潜像は、トナーカートリッジ14から供給されるトナーにより現像され、感光体ドラム10上では単色画像が形成され、転写ローラ16により中間転写ベルト20上に転写される。なお、中間転写ベルト20は、中間転写ローラ22を駆動ローラとして回転駆動することにより転写されたトナー像を所定方向へ搬送する。
【0064】
一方、この画像形成装置は、ジョブ開始信号が有効にされると、給紙装置から転写紙Sを1枚ずつ分離し、給紙搬送させ、給紙レジストセンサ28で転写紙Sが検出されると、その給紙を一旦停止させる。そして、中間転写ベルト20上のトナー画像の搬送にタイミングを合わせ、レジストローラ28aを回転させ、中間転写ベルト20と転写装置26との間に転写紙Sを送り込む。転写装置26は、転写紙Sへトナー画像を転写し、定着装置30は、搬送されるトナー画像が転写された転写紙Sに熱と圧力を加えて定着させる。定着後、転写紙Sは、排紙装置に取り付けられた排紙ローラ32により排出され、図示しない排紙トレイ上にスタックされる。
【0065】
以上で説明したように、本実施形態は、光ビームを光偏向器であるポリゴンミラーにより偏向し、静電潜像を形成する感光体を露光する光走査装置であって、ポリゴンミラーが所定の回転位置に達した時に発生する偏向走査位置信号に基づき、水平同期信号を検出するための光ビーム強制点灯タイミングを制御するようにしている。換言すれば、光ビームの水平同期信号検出用点灯タイミングとポリゴンミラーの回転位相を同期させたので、ポリゴンミラーを用いた光走査装置において、ポリゴンモータの回転制御を複雑化させることなく、機械内の環境変化に伴う光走査装置の光学部品の特性変化に合わせたタイミングで水平同期信号を検出することができる。また、水平同期信号を検出するための光ビームを点灯するタイミングを、ポリゴンミラーが所定の回転位置に達したときに出力される偏向走査位置信号に基づいて制御するため、水平同期信号を検出するための光ビームの点灯により、静電潜像を形成する感光体への露光を防止し、感光体劣化を防止することができる。
なお、以上の実施形態の説明では、光偏向器はポリゴンミラーであるとして説明したが、ここで云うポリゴンミラーは、光を偏向させかつ走査する機能を有するものを総称するものである。
【符号の説明】
【0066】
101・・・光源、102・・・カップリングレンズ、103・・・アパーチャ、104・・・シリンドリカルレンズ、105・・・ポリゴンミラー、105a・・・回転軸、105b・・・ポリゴンミラー本体、105c・・・磁力検出用マグネット、106、107・・・レンズ、108・・・ミラー、109・・・感光体、110・・・同期ミラー、111・・・同期レンズ、112・・・同期センサ、120・・・モータの台座、122・・・モータ制御ユニット部、122a・・駆動制御回路基板、124・・・コイルユニット、124a・・・駆動用コイル、126・・・磁力検出センサ(ホール素子)、130・・・レーザドライバ、132・・・モータドライバ、134・・・光走査装置コントローラ、136・・・メモリ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0067】
【特許文献1】特開平10−213760号公報
【特許文献2】特開2010−52313号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ビーム発生手段と、光ビーム発生手段で発生された光ビームを走査偏向する光偏向手段と、前記光偏向手段の基準位置を検出する位置検出手段と、前記光ビームを走査経路上の感光体露光範囲外の位置で検出する光ビーム検出手段と、前記位置検出手段で検出される光偏向手段の基準位置に基づき、前記光ビーム検出手段で検出される同期検出用光ビームの発生タイミングを制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記同期検出用光ビームで前記感光体を露光しないよう前記発生タイミングを制御する光走査装置。
【請求項2】
請求項1に記載された光走査装置において、
前記制御部は、前記位置検出手段で前記光偏向手段の前記基準位置が検出されたとき、同期検出用光ビームを発生させる制御を行う光走査装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された光走査装置において、
前記同期検出用光ビームが光ビーム検出手段で検出されたとき、前記同期検出用光ビームの発生を停止する光走査装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載された光走査装置において、
前記光偏向手段は回転多面鏡であり、前記位置検出手段は前記回転多面鏡の回転位置を検出するである光走査装置。
【請求項5】
請求項4に記載された光走査装置において、
前記位置検出手段は、前記回転多面鏡に設けられた磁力検出用マグネットと、ホール素子である光走査装置。
【請求項6】
請求項5に記載された光走査装置において、
前記回転多面鏡のミラー面数が、前記位置検出手段に設けられた磁力検出用マグネットの極数の1/2倍である光走査装置。
【請求項7】
請求項5に記載された光走査装置において、
前記回転多面鏡のミラー面数が、前記位置検出手段に設けられた磁力検出用マグネットの極数の2倍である光走査装置。
【請求項8】
請求項5に記載された光走査装置において、
前記回転多面鏡のミラー面数が、前記位置検出手段に設けられた磁力検出用マグネットの極数と同数である光走査装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載された光走査装置において、
前記光ビーム発生手段の点灯開始時に、前記基準位置の検出から前記同期検出用光ビームの発生までの時間を記憶する記憶手段を有する光走査装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載された光走査装置において、
前記制御部における前記光ビーム検出手段で光ビームを発生する光源の点灯開始時の1発目の前記同期検出用光ビームを発出するタイミング制御と、2発目以降の前記同期検出用光ビームを発出するタイミング制御を切り替える切替手段を有する光走査装置。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載された光走査装置を有する画像形成装置。
【請求項1】
光ビーム発生手段と、光ビーム発生手段で発生された光ビームを走査偏向する光偏向手段と、前記光偏向手段の基準位置を検出する位置検出手段と、前記光ビームを走査経路上の感光体露光範囲外の位置で検出する光ビーム検出手段と、前記位置検出手段で検出される光偏向手段の基準位置に基づき、前記光ビーム検出手段で検出される同期検出用光ビームの発生タイミングを制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記同期検出用光ビームで前記感光体を露光しないよう前記発生タイミングを制御する光走査装置。
【請求項2】
請求項1に記載された光走査装置において、
前記制御部は、前記位置検出手段で前記光偏向手段の前記基準位置が検出されたとき、同期検出用光ビームを発生させる制御を行う光走査装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された光走査装置において、
前記同期検出用光ビームが光ビーム検出手段で検出されたとき、前記同期検出用光ビームの発生を停止する光走査装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載された光走査装置において、
前記光偏向手段は回転多面鏡であり、前記位置検出手段は前記回転多面鏡の回転位置を検出するである光走査装置。
【請求項5】
請求項4に記載された光走査装置において、
前記位置検出手段は、前記回転多面鏡に設けられた磁力検出用マグネットと、ホール素子である光走査装置。
【請求項6】
請求項5に記載された光走査装置において、
前記回転多面鏡のミラー面数が、前記位置検出手段に設けられた磁力検出用マグネットの極数の1/2倍である光走査装置。
【請求項7】
請求項5に記載された光走査装置において、
前記回転多面鏡のミラー面数が、前記位置検出手段に設けられた磁力検出用マグネットの極数の2倍である光走査装置。
【請求項8】
請求項5に記載された光走査装置において、
前記回転多面鏡のミラー面数が、前記位置検出手段に設けられた磁力検出用マグネットの極数と同数である光走査装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載された光走査装置において、
前記光ビーム発生手段の点灯開始時に、前記基準位置の検出から前記同期検出用光ビームの発生までの時間を記憶する記憶手段を有する光走査装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載された光走査装置において、
前記制御部における前記光ビーム検出手段で光ビームを発生する光源の点灯開始時の1発目の前記同期検出用光ビームを発出するタイミング制御と、2発目以降の前記同期検出用光ビームを発出するタイミング制御を切り替える切替手段を有する光走査装置。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載された光走査装置を有する画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2013−25121(P2013−25121A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160488(P2011−160488)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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