説明

光透過性電磁波シールド性窓材及びその製造方法

【課題】光透過性と電磁波シールド性とを両立し、筐体との導通の確保が容易であり、生産性に優れた光透過性電磁波シールド性窓材を提供する。
【解決手段】矩形の透明基材と、該透明基材上の少なくとも中央部に矩形状に設けられたメッシュ状金属導電層12、及び該メッシュ状金属導電層12の少なくとも1辺に隣接して該透明基材上に設けられ且つ該メッシュ状金属導電層12に接続した周辺電極11、とを含む光透過性電磁波シールド性窓材10であって、メッシュ状金属導電層12の周辺電極近傍のメッシュの線幅が、他の領域の線幅よりも大きいことを特徴とする、光透過性電磁波シールド性窓材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メッシュ状の金属導電層を備えた、光透過性電磁波シールド性窓材の製造方法、該方法により製造された光透過性電磁波シールド性窓材、及び該窓材を含むディスプレイ用フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイパネル(PDP)には通常必ず前面フィルタが使用される。この前面フィルタは、近赤外線カット、色再現性向上(発光色純度向上)、電磁波シールド、明所コントラスト向上(反射防止)、発光パネルの保護、発光パネルからの熱遮断等を目的としている。
【0003】
PDPの発光パネルの発する近赤外線は、家庭用テレビやビデオ等に使用されるリモコンに誤作動を与えることを避けるために、これを低減することが必要である。またPDPの発光パネルの発する電磁波は、人体や精密機器への悪影響を避けるためにこれを低減することも必要である。さらにPDPの発光パネルからの発光を、人間の視覚にとって自然な色に感じられるように、フィルタでの補正によって色再現性向上(発光色純度向上)の工夫も求められている。またディスプレイの表示は、明るい室内等の明所においても外部からの光の反射等によって妨げられることなく、十分なコントラストで視認されることが望ましい。さらにはディスプレイ製品に直接に手で触れたような場合でも、使用者がその高温に驚かされるような事態を避けるために、PDPの発光パネルの発する熱が遮断されることが求められている。また製品が容易に破損することを避けるために、発光パネルは保護され、万一破損したような場合であってもその破片が飛散しないことが望ましい。
【0004】
上記の目的に沿った典型的なPDP用前面フィルタの構造としては、例えば、透明基板に、反射防止層、電磁波シールド層、色調補正フィルター層、近赤外線カット層が積層されたものがあり、これが発光パネルの前面にフィルターとして設置される。この積層の順序は目的に応じて変更される。
【0005】
このPDP用前面フィルタでは、光透過性電磁波シールド層は、光透過性と電磁波シールド性を両立することが必要である。そのために、例えば、微細なメッシュ構造を有する導電性の層が使用される。この導電性のメッシュの部分によって電磁波がシールドされ、同時に光の透過は前記の開口部分によって確保されることになる。
【0006】
この光透過性電磁波シールド層として使用可能な窓材は、種々の方法により製造される。
【0007】
例えば、導電性繊維を織って金網のような導電性メッシュを作成し、これを透明基板の間に介在させて一体化した構成とする方法がある。一般に、メッシュを構成する導電性繊維の線径が太いものは目が粗くなるため、目が細かいメッシュを得るには線径を細くすることになる。このため、良好な光透過性と視認性を得るためには、導電性繊維の細線化が必要となるが、これには非常に困難を伴う。
【0008】
また、透明な金属膜を透明基板の全面に形成して透明導電性フィルムを形成する方法がある。このようにして光透過性と電磁波シールド性とを両立したものは電磁波シールド性をあまり高めることができず、また電磁波シールド層と筐体との導通を確保することが容易ではないという不都合がある。
【0009】
このような方法に対して、特許文献1(特開2001−332889号公報)は、フィルム面に、溶剤に対して可溶な物質によってドットを形成し、該フィルム面に該溶剤に対して不溶な導電材料よりなる導電材料層を形成し、該フィルム面を該溶剤と接触させて該ドット及び該ドット上の導電材料層を除去することにより、メッシュ状の導電性パターンを有する電磁波シールド性光透過窓材を製造する方法を開示している。この方法によれば、上述の方法に比較して細線化が可能であり、比較的高い電磁波シールド性を得ることができる。
【0010】
【特許文献1】特開2001−332889号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明者等は、上述の特許文献1(特開2001−332889号公報)に記載の方法(可溶性ドット形成法)を使用した場合、フィルム面の端に、メッシュ状の導電性パターンと接続した帯状の金属導電層の面を、導通確保用の周囲電極として設けることにより、光透過性電磁波シールド層と筐体との導通の確保も容易になることを着想して、これについて鋭意開発研究を行ってきた。
【0012】
このように本発明者等が開発してきた従来の光透過性電磁波シールド性窓材を、図6を使用して説明する。図6は、そのような光透過性電磁波シールド性窓材の典型的な一例を、上方から示した説明図である。図6の光透過性電磁波シールド性窓材は、透明フィルム上にメッシュ状金属導電層及びこれと隣接して周囲電極が設けられている。
【0013】
光透過性電磁波シールド性窓材60は、面の上方から概観すると、矩形状に設けられたメッシュ状金属導電層領域62と、その4辺に隣接して囲む周辺電極61からなっている。メッシュ状金属導電層領域62と周辺電極61とが隣接した領域の部分拡大図が、円内に示されている。メッシュ状金属導電層62aは、メッシュ状金属導電層領域全体にわたって同じ線幅の網目の網を形成し、その線幅のままで隣接する周辺電極61へと融合して接続している。この網目の目として、メッシュの空隙62bが存在しており、この部分は金属導電層で覆われていないために、金属導電層の下の層である透明フィルムの上面が露出している。メッシュの空隙(メッシュの目)は、メッシュ状金属導電層領域62のほぼ全体にわたって、空隙62bと同一の略正方形の形状の繰り返しとして存在しているが、周辺電極61と隣接する領域においては、正方形の形状が途中で切断されて欠損したような形の欠損空隙62cとして存在している。
【0014】
このような構造を有する光透過性電磁波シールド性窓材は、非常に精細なメッシュ状金属導電層が形成されているために、光透過性と電磁波シールド性が同時に確保されているものの、メッシュ状金属導電層と周辺電極との接続部分は、印刷法を用いた製造工程において、断線や破断が発生しやすいという不都合があるものであった。このような断線の発生は、製品の歩留まりを低下させ、あるいは外見からは識別し難い微少な破断であっても、周辺電極とメッシュ状金属層との接続の抵抗値を増大させて筐体との導通確保に悪影響を与え、ディスプレイフィルタ等の最終製品の電磁波シールド性を低下させる。また、後工程として電気メッキ処理を行う場合、微少な破断が発生した部分に電圧が集中してしまうことから、導電層が溶出したり、その熱で基材がダメージを受けることもある。
【0015】
したがって、本発明の目的は、メッシュ状金属導電層と周辺電極との接続部分に上述した断線や破断が生じることなく、生産性に優れ、光透過性と電磁波シールド性とを両立しつつ、筐体との導通の確保が容易である光透過性電磁波シールド性窓材を得ることにある。
【0016】
また、本発明の目的は、上記光透過性電磁波シールド性窓材を使用して得られるディスプレイ用フィルタを提供することにもある。
【0017】
また、本発明の目的は、従来の製造工程を大幅に変える必要がない、上記光透過性電磁波シールド性窓材に適した製造方法を見いだすことにもある。
【0018】
また、本発明の目的は、上記製造方法により得られる光透過性電磁波シールド性窓材、及び該光透過性電磁波シールド性窓材を使用して得られるディスプレイ用フィルタを提供することにもある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明者等は、上述の目的が、矩形の透明基材と、該透明基材上の少なくとも中央部に矩形状に設けられたメッシュ状金属導電層、及び該メッシュ状金属導電層の少なくとも1辺に隣接して該透明基材上に設けられ且つ該メッシュ状金属導電層に接続した周辺電極、とを含む光透過性電磁波シールド性窓材であって、
メッシュ状金属導電層の周辺電極近傍のメッシュの線幅が、他の領域の線幅よりも大きいことを特徴とする、光透過性電磁波シールド性窓材によって達成されることを見いだした。
【0020】
この構成とすることにより、メッシュ状金属導電層と周辺電極との接続部分での作業時の断線や破断の発生が極小となり、その一方で精細なメッシュ構造によって達成された光透過性や視認性は低減されることはない。すなわち、メッシュ状金属導電層と周辺電極との接続部分に上述した断線や破断が生じることなく、生産性に優れ、光透過性と電磁波シールド性とを両立しつつ、筐体との導通の確保が容易である光透過性電磁波シールド性窓材を得ることができる。
【0021】
また、前記メッシュ状金属導電層の周辺電極近傍のメッシュの線幅が、接続する周辺電極から3〜50mm以内の幅の帯状領域において、他の領域の線幅よりも大きいことが好ましい。また、前記メッシュ状金属導電層の周辺電極近傍のメッシュの線幅が、接続する周辺電極に近づくほど大きいこと、さらに連続的に大きくなっていることが好ましい。これによって、メッシュ状金属導電層と周辺電極との接続部分での断線や破断を十分に防止しつつ、光透過性や視認性への影響を最小限に抑えることができる。
【0022】
また、前記周辺電極が、矩形状に設けられたメッシュ状金属導電層の4辺のうち、対向する2辺又は4辺に隣接して設けられていることが好ましい。周辺電極は少なくとも1辺に隣接して設けることができるものであるが、電気的接続の観点から十分な効果を得るためには少なくとも2辺に隣接して設けることが好ましく、矩形の4辺全てに隣接して設けることがさらに好ましい。ただし、光透過性電磁波シールド性窓材を長尺状フィルムにおいて連続的に製造する場合には、長尺フィルムの進行方向側部に相当する2辺に隣接して周辺電極を設けることが有利である。
【0023】
また、前記メッシュ状金属導電層の周辺電極近傍のメッシュの線幅が、他の領域の線幅と比較して2〜10倍の範囲にある線幅で周辺電極に接続していることが好ましい。
【0024】
さらに、本発明の好適な実施の一態様において、前記周辺電極との接続部分において、メッシュの空隙(メッシュの目)が、接続部分以外でのメッシュの空隙と異なった、一部欠損した平面図形(特に多角形)の形状の空隙となることなく、金属導電層として形成されていることが、後述の理由から好ましい。
【0025】
すなわち、従来のメッシュ状金属層では、メッシュ状パターンの繰り返しがフィルム面の端や周辺電極との境界に至る位置で、繰り返しの単位となっているメッシュの空隙(メッシュの目)にあたる平面図形(特に多角形)が途中で切断されて繰り返しパターンが終了していた。しかし、このように端部に空隙があっても製品の光透過性や視認性の改善にはさほど寄与しないばかりか、この部分の印刷にはムラやかすれ、特ににじみが発生しやすく、その部分がメッシュ状金属導電層の周辺電極との接続部分周辺での断線や破断となる。そこで、この途中で切断されたかたちで残る空隙(メッシュの目)、一部欠損した平面図形(特に多角形)のかたちとなる空隙を、空隙として設けることなく金属導電層の一部として形成することで、断線や破断が容易に生じやすい状態となることを防止し、さらに空隙とせずに金属導電層として形成することで、結果としてメッシュ状の線幅を大きくするという本発明の構成を実現して、印刷時のムラ、かすれ、にじみの発生を抑制し、メッシュ状金属導電層の周辺電極との接続部分周辺での断線や破断の発生を極めて低減したものである。また、上記の理由から、欠損した平面図形(特に多角形)は、全く無いことが好ましいが、実質的に無いと言える程度にまで低減されれば、それに応じた効果がもたらされる。欠損した平面図形の数は、好ましくは周辺電極との接続部分の長さ1cmあたり5個以下、特に好ましくは3個以下である。
【0026】
また、前記メッシュの空隙(メッシュの目)の平面図形は、多角形であることが好ましく、特に略菱形又は略正方形であることが、メッシュ状パターンの形成に好ましい。また、この平面図形の形状は、本発明に従ってメッシュの線幅を変化させた場合には、その結果として変形した形状となることは当然である。
【0027】
また、前記金属導電層が、導電性の金属及び/又は金属酸化物を含んでいることが好ましく、特に、銅及び/又は銀を含んでいることが、導電性等の点から好ましい。
【0028】
また、前記透明基材が、樹脂フィルムであることが可とう性等の観点から好ましく、特に、PETフィルムであることが、光透過性等の観点から好ましい。さらに、前記透明基材が、板ガラスであることが、自立性及び硬度等の観点からは好ましい。
【0029】
さらに、本発明は、前記光透過性電磁波シールド性窓材を含むディスプレイ用フィルタにもある。
【0030】
さらに、本発明は、前記光透過性電磁波シールド性窓材の製造に適した以下の製造方法にもある。
【0031】
すなわち、本発明者等は、矩形の透明基材と、該透明基材上の少なくとも中央部に矩形状に設けられたメッシュ状金属導電層、及び該メッシュ状金属導電層の少なくとも1辺に隣接して該透明基材上に設けられ且つ該メッシュ状金属導電層に接続した周辺電極、とを含む光透過性電磁波シールド性窓材を、以下の工程:
前記透明基材上の少なくとも中央部に矩形状にメッシュ状パターンのネガ像を、
該ネガ像の矩形状領域の少なくとも1辺に隣接して、周辺電極の形成用の非印刷領域を残し、
前記ネガ像の矩形状の領域内の非印刷領域に隣接する近傍領域において、前記各メッシュに対応する多角形が、ネガ像の領域内の他の領域よりも面積が小さな面積の多角形となるように、
溶媒可溶性のインクを用いて印刷することにより、前記ネガパターン印刷層を形成する工程、
前記ネガパターン印刷層が形成された透明基材の面上に、該溶媒に対して不溶な金属導電層を形成する工程、
前記金属導電層が形成された透明基材の表面を、ネガパターン印刷層の溶解が可能な溶媒を用いて洗浄することにより、ネガパターン印刷層及び該ネガパターン印刷層上の金属導電層を除去してメッシュ状金属導電層を形成する工程、
を含むことを特徴とする方法により製造する方法(可溶性ドット形成法)により、上述した本発明の目的が、達成されることを見いだした。
【0032】
この製造方法により、メッシュ状金属導電層の周辺電極近傍のメッシュの線幅を、他の領域の線幅よりも大きくすることが容易に可能となり、精細なメッシュ構造を有する光透過性電磁波シールド性窓材を、メッシュ状金属導電層の周辺電極との接続部分での印刷時の不良とそれを原因とする断線や破断の発生を極小としつつ、製造することができる。
【0033】
また、各メッシュに対応する多角形が、前記非印刷領域に接触する位置では印刷されないことが好ましい。これにより、メッシュ状金属導電層と周辺電極との接続部分で、途中で切断されたかたちで残る空隙、一部欠損した多角形の形となる空隙を、空隙として設けることなく金属導電層の一部として形成することができ、それによってメッシュ状金属導電層の周辺電極との接続部分周辺で印刷時の不良とそれを原因とする断線や破断が容易に生じやすい状態となることを防止できる。
【0034】
また、前記ネガパターン印刷層が形成された透明基材の面上に、溶媒に対して不溶な金属導電層を形成する工程が、金属及び/又は金属化合物の気相成膜法により行われることが、層厚の制御や層形成速度等の観点から好ましい。
【0035】
さらに、本発明者等は、矩形の透明基材と、該透明基材上の中央部に矩形状に設けられたメッシュ状金属導電層、及び該メッシュ状金属導電層の少なくとも1辺に隣接して該透明基材上に設けられ且つ該メッシュ状金属導電層に接続した周辺電極、とを含む光透過性電磁波シールド性窓材を、以下の工程:
前記透明基材上の少なくとも中央部に矩形状の領域にメッシュ状パターンのポジ像を設けるように、
該メッシュ状パターンのポジ像の領域の少なくとも1辺に隣接して、メッシュの線と接続し、前記の辺に沿った帯状の周辺電極用パターンを設けるように、
前記メッシュ状パターンの像の領域内の周辺電極用パターン近傍のメッシュの線が、メッシュ状パターンの像の領域内の他の部分よりも、大きな線幅の線となるように、
導電性インクを用いて印刷することにより、導電性インク層を形成する工程、
該導電性インク層を乾燥処理及び/又は焼結処理することにより、メッシュ状パターンの像の導電性インク層からはメッシュ状金属導電層を、周辺電極用パターン上の導電性インク層からは周辺電極を、形成する工程、
を含むことを特徴とする方法により製造する方法(ポジパターン印刷法)によって、上述した本発明の目的が、達成されることを見いだした。
【0036】
この製造方法により、メッシュ状金属導電層の周辺電極近傍のメッシュの線幅を、他の領域の線幅よりも大きくすることが容易に可能となり、精細なメッシュ構造を有する光透過性電磁波シールド性窓材を、メッシュ状金属導電層と周辺電極との接続部分での断線や破断の発生を極小としつつ、製造することができる。
【0037】
また、前記導電性インク層を形成する工程において、
前記周辺電極用パターン近傍において、周辺電極用パターンと接触するメッシュの空隙を設けることなく導電性インクを形成することにより、メッシュ状金属導電層と周辺電極との接続部分で、途中で切断されたかたちで残る空隙(メッシュの目)、一部欠損した平面図形(特に多角形)のかたちとなる空隙を、空隙として設けることなく金属導電層の一部として形成することができ、それによってメッシュ状金属導電層と周辺電極との接続部分で断線や破断が容易に生じやすい状態となることを防止できる。
【0038】
さらに、本発明は、上述の製造方法により得られる光透過性電磁波シールド性窓材にもある。また、本発明は、該光透過性電磁波シールド性窓材を含むディスプレイ用フィルタにもある。
【発明の効果】
【0039】
本発明の光透過性電磁波シールド性窓材は、非常に精細なメッシュ状金属導電層を確保し、且つ、メッシュ状金属導電層と周囲電極との接続部分で、印刷時のムラ、かすれ、にじみ等が極めて生じにくくなっているために、それによる断線や破断の発生が最小限に抑制されている。そのために断線の発生による製品の歩留まりの低下が回避され、生産性に優れている。また、生産工程におけるその後の電気メッキ処理等において、断線や微少な破断の発生箇所付近に局所的に高電圧がかかることによりさらに不具合を生じるということもない。また、外見からは識別し難い微少な破断も極めて低減されるために、周辺電極とメッシュ状金属層との接続の抵抗値を増大させることなく、筐体との導通確保ができる。そのため本発明の光透過性電磁波シールド性窓材を使用すれば、ディスプレイフィルタ等の最終製品の電磁波シールド性を、光透過性と両立しつつ、高い水準に維持することができる。
【0040】
本発明の光透過性電磁波シールド性窓材は、光透過性と電磁波シールド性を両立し、且つ、生産性に優れたものであり、プラズマディスプレイパネル(PDP)前面フィルタ用として特に好適な光透過性電磁波シールド性窓材であり、さらに、光透過性と電磁波シールド性を良好な生産性のもとに達成していることから、他のディスプレイ用のフィルタ用としても好適な光透過性電磁波シールド性窓材である。
【0041】
そして、上記光透過性電磁波シールド性窓材を使用して得られる本発明のディスプレイ用フィルタは、光透過性と電磁波シールド性を両立し、且つ、生産性に優れたものとなっている。
【0042】
さらに、電磁波の影響を避けることが求められる用途において広く使用可能な光透過性電磁波シールド性窓材であり、例えば精密機器等に設けられた表示窓や病院や研究室等の窓材等の用途においても、好適に使用可能で同様の優位性を有する新規な光透過性電磁波シールド性窓材である。
【0043】
また、本発明の製造方法を使用すれば、従来の製造工程を大幅に変える必要なく、上記光透過性電磁波シールド性窓材を容易に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
本発明の光透過性電磁波シールド性窓材、及び製造方法について、以下に詳細に説明する。
【0045】
本発明の光透過性電磁波シールド性窓材の典型的な一例を、図1を使用して説明する。図1は、本発明の光透過性電磁波シールド性窓材の典型的な一例を、上方から示した説明図である。図1の光透過性電磁波シールド性窓材もまた、図6と同様に、透明フィルム上にメッシュ状金属導電層及びこれと隣接して周囲電極が設けられている。図1において、光透過性電磁波シールド性窓材10は、矩形状に設けられたメッシュ状金属導電層領域12と、その4辺に隣接して囲む周辺電極11からなっている。メッシュ状金属導電層領域12と周辺電極11とが隣接した領域の部分拡大図が、円内に示されている。メッシュ状金属導電層12aは、周辺電極の近傍では、他のメッシュ状金属導電層領域での線幅よりも大きな線幅となり、隣接する周辺電極11へと融合して接続している。メッシュの空隙(メッシュの目)12bは、線幅が大きくなったことに対応して、より小さな空隙となっている。周辺電極と接続する部分では、周辺電極によってあたかも各メッシュの多角形が途中で切断されたような形状に欠損した多角形の空隙(欠損空隙)12cが存在している。
【0046】
このような構造を有する本発明の光透過性電磁波シールド性窓材は、メッシュ状金属導電層の周辺電極との接続部分周辺の線幅が増大し、また、印刷不良の原因となりやすい欠損空隙もなくなるため、印刷時にかすれやにじみといった不良の発生が最小限に抑制され、それを原因とした断線や破断を生じることが極小になっている。一方で、線幅の増大は窓材の周辺部分に止まるために、光透過性と電磁波シールド性に悪影響を及ぼすことがない。特に、最終製品としてディスプレイ用フィルタを製造した場合には、この周辺部はディスプレイ表示に影響のない領域に設けることが可能である。
【0047】
メッシュ状金属導電層の周辺電極近傍のメッシュの線幅は、接続する周辺電極から3〜50mm、特に5〜20mm以内の幅の帯状領域において、他の領域の線幅よりも大きいことが好ましい。さらに、メッシュ状金属導電層の周辺電極近傍のメッシュの線幅が、他の領域の線幅と比較して2〜10倍、特に2〜4倍の範囲にある線幅で周辺電極に接続していることが好ましい。矩形状の領域の中央部でのメッシュ状金属導電層の平均線幅としては、一般に5.0〜50.0μm、好ましくは5.0〜40.0μmであり、特に好ましくは、10.0〜30.0μmである。好適なメッシュ状金属導電層の周辺電極近傍のメッシュの線幅の値は、中央部での平均線幅の値によって異なるが、これより大きい線幅であって、一般に10〜500μm、好ましくは20〜300μm、特に好ましくは30〜100μmの範囲にある。また、メッシュ状金属導電層の周辺電極近傍のメッシュの線幅が、接続する周辺電極に近づくほど大きいこと、さらに連続的に大きくなっていることが好ましい。これによって、メッシュ状金属導電層と周辺電極との接続部分での断線や破断を十分に防止しつつ、光透過性や視認性への影響を最小限に抑えることができる。
【0048】
また、周辺電極は、矩形状に設けられたメッシュ状金属導電層の4辺全てに隣接して設けられていることが好ましいが、対向する2辺に設けることにより、一定の効果を得ることができる。少なくとも1辺に隣接して設けることによっても、一応の効果を得ることができる。このように、周辺電極を、矩形状に設けられたメッシュ状金属導電層の対向する2辺に隣接して設けた一例を、図2に例示する。図2において、光透過性電磁波シールド性窓材20は、矩形状に設けられたメッシュ状金属導電層領域22と、その対向する2辺に隣接する周辺電極21からなっている。この周辺電極は、連続搬送される長尺フィルムにおいては長尺方向に設けられている。メッシュ状金属導電層領域22と周辺電極21とが隣接した領域の部分拡大図が、円内に示されている。メッシュ状金属導電層22aは、周辺電極の近傍では、他のメッシュ状金属導電層領域での線幅よりも大きな線幅となり、隣接する周辺電極21へと融合して接続している。メッシュの空隙22bは、線幅が大きくなったことに対応して、より小さな空隙となっている。周辺電極と接続する部分では、図1と同様に、周辺電極によってあたかも各メッシュの多角形が途中で切断されたような形状に欠損した多角形の空隙(欠損空隙)22cが存在している。
【0049】
本発明の光透過性電磁波シールド性窓材は、シート状フィルムの枚葉式処理によっても、長尺状フィルムの連続式処理を介しても製造することができる。シート状フィルムの枚葉式処理においては、周辺電極を、矩形状に設けられたメッシュ状金属導電層の4辺全てに隣接して設けることが、周辺電極設置の効果の観点から好ましい。長尺状フィルムの連続式処理を介する場合には、周辺電極を、矩形状に設けられたメッシュ状金属導電層の対向する2辺に隣接して設けること、且つ該2辺は連続搬送される長尺フィルムの進行方向に対して両側部に帯状に連続する領域に対応するように設けることが、生産性向上と周辺電極設置の効果のバランスの観点から好ましい。
【0050】
次に、本発明の光透過性電磁波シールド性窓材の別な典型的な一例を、図3を使用して説明する。図3は、図1及び図2と同様に、上方から示した説明図である。図3の光透過性電磁波シールド性窓材もまた、透明フィルム上にメッシュ状金属導電層及びこれと隣接して周囲電極が設けられている。
【0051】
光透過性電磁波シールド性窓材30は、矩形状に設けられたメッシュ状金属導電層領域32と、その4辺に隣接して囲む周辺電極31からなっている。メッシュ状金属導電層領域32と周辺電極31とが隣接した領域の部分拡大図が、円内に示されている。メッシュ状金属導電層32aは、隣接する周辺電極31へと融合して接続している。メッシュの空隙32bは略正方形の形状であり、メッシュの空隙(メッシュの目)としては、この略正方形の形状の空隙のみが存在している。周辺電極61と隣接する領域において従来形状のメッシュでは存在していた、略正方形の形状が途中で切断されたような形の欠損した空隙(欠損空隙)は存在せず、相当する部分は金属導電層として形成されている。
【0052】
このような構造を有する本発明の光透過性電磁波シールド性窓材では、メッシュ状金属導電層と周辺電極との接続部分は、欠損空隙を金属導電層として形成することによって、印刷時に破断や断線を生じることが最小限となっている。一方で、空隙の消失は窓材の周辺部分に止まるために、光透過性と電磁波シールド性に悪影響を及ぼすことがない。図3の光透過性電磁波シールド性窓材もまた、最終製品としてディスプレイ用フィルタを製造した場合には、この周辺部はディスプレイ表示に影響のない領域に設けることが可能である。
【0053】
このように欠損空隙が除去されたメッシュの形状は、周辺電極との接続部分においてメッシュ状金属導電層の線幅を極端に大きくすることで、接続部分での断線や破断を十分に防止したものとも見ることもできる。しかし、図3を用いて説明した欠損空隙を除去した態様と、図1を用いて説明した一定範囲の中で線幅を大きくした態様とは、組み合わせて同時に実現することができ、これによって本発明のさらに好適な実施が可能である。
【0054】
次に、上述の光透過性電磁波シールド性窓材の製造に適した本発明の製造方法を説明する。本発明の製造方法は、精緻な線幅の制御が求められる光透過性電磁波シールド性窓材の製造に適した製造方法である。本発明の製造方法は、例えば以下のように行うことができる。以下に本発明の製造方法の例を図を用いて説明する。
【0055】
図4は、可溶性ドット形成法による本発明の製造方法の流れの一例を光透過性電磁波シールド性窓材の断面を示しつつ説明した説明図である。透明基材41上に、溶媒可溶性のインクで印刷してメッシュのネガ像であるネガパターン印刷層42を形成する(図4中の矢印で示された工程4a)。ネガパターン印刷層42を形成する場合には、図1の上面図から把握されるように、透明基材上に矩形状のネガパターン印刷領域を、略正方形の形状の繰り返しの印刷により設け、透明基材上にネガパターン印刷領域の4辺に隣接して非印刷領域を周辺電極用パターンとして設け、周辺電極用パターンの近傍の略正方形の形状の印刷を、ネガパターン印刷領域の他の部分よりも小さく印刷して設ける。このようにネガパターン印刷層42が形成された透明基材上に、溶媒に対して不溶な金属導電層43を形成する(工程4b)。さらに溶媒可溶性のインクによるネガパターン印刷層42を洗浄除去することで、同時にその上の金属導電層を除去してメッシュのポジ像の金属導電層(メッシュ状金属導電層)44を得る(工程4c)。
【0056】
この製造方法により、メッシュ状金属導電層の周辺電極近傍のメッシュの線幅を、他の領域の線幅よりも大きくすることが容易に可能となる。そして、上述した本発明におけるメッシュの線幅の大きさや分布等についての特徴を容易に実現することができる。
【0057】
さらに、この製造方法において、図3から把握されるように、メッシュ状金属導電層と周辺電極との接続部分で、略正方形の形状が途中で切断されたような形状を印刷しないことによって、上述の欠損空隙が除去されたメッシュの形状をも容易に製造することができる。この組み合わせにより、周辺電極との接続部分で断線や破断をより効果的に防止できる。
【0058】
上記の透明基材の材質としては、透明(「可視光に対して透明」を意味する)であって、工程中の処理に耐えるものあれば特に制限はないが、例えば、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、アクリル樹脂、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン、トリアセテート樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、金属イオン架橋エチレン−メタクリル酸共重合体、ポリウレタン、セロファン等が挙げられる。これらの中でも、加工時の負荷(熱、溶剤、折り曲げ等)に対する耐性が高く、透明性が特に高い等の点で、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等が好ましい。また、自己支持性の基材としては、板ガラスを好適に使用できる。
【0059】
透明基材の厚みとしては、電磁波シールド性光透過窓材の用途等によっても異なるが、一般的には1μm〜5mm程度が好ましい。
【0060】
上記のネガパターン印刷用インクには、溶媒に可溶なネガパターン印刷層(印刷ドット)を形成するように、溶剤に可溶な物質を選択して使用する。従って、ネガパターン印刷用インクは、一般に、後の除去に用いる溶媒との関係で相対的に選択する。例えば、溶媒として水系溶媒を用いる場合には水溶性のインクが用いられ、溶媒として油系溶媒を用いる場合には油溶性のインクが用いられる。溶媒としては、公知の有機溶媒等も挙げられるが、安価で、環境への影響を考慮し、また本発明における防眩用インクとの組み合わせを考慮すると、水が特に好ましい。水としては、通常の水(水道水、蒸留水、イオン交換水等)のほか、酸、アルカリ、界面活性剤等を含んだ水溶液であってもよい。
【0061】
上記の溶媒が水である場合、水溶性のインクに使う物質としては、水溶性樹脂等が好ましく、特に、良好な水溶性を有する点で、ポリビニルアルコールが好ましい。ポリビニルアルコールは、ネガパターン印刷用インクの溶液全体に対して10〜30質量%の範囲、好ましくは5〜15質量%の範囲にある濃度で含まれることが好ましい。ネガパターン印刷用インクには、所望により、仕上がり状況を確認し易くするために顔料や染料等を混合してもよい。
【0062】
ネガパターン印刷用インクによるメッシュのネガ像(ドット)の形成法としては、印刷以外の方法によっても、ネガパターン印刷層と同様の層を形成することができる方法であれば、使用することができるが、線幅が小さくかつ開口率の高い導電層等を形成可能な点で、印刷が好ましい。該印刷手法としては、グラビア印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、静電印刷等が挙げられ、これらの中でも、より導電層等の細線化が可能な点で、グラビア印刷が特に好ましい。尚、「開口率」とは、格子状の防眩層及び導電層における格子の線幅、及び、1インチ幅に存在する格子(線)の数から、計算により求めた値である。
【0063】
各メッシュのネガ像の形状としては、上述したメッシュの線幅及び空隙(メッシュの目)の形状と大きさ等の条件を満足することができれば、特に制限はなく、上記例示した略正方形のほか、略正三角形、略四角形、略正六角形その他の多角形状や円、楕円等の平面図形によるドット等を挙げることができる。このうち、格子状の導電層が好適に形成され、開口率がより高く格子の線幅がより均一となる点で、略四角形のドット状ものが好ましく、略菱形又は略正方形のドット状が特に好ましい。該メッシュの空隙(印刷ドット)が略四角形の場合、その一辺の長さとしては、100〜500μmの範囲、特に150〜400μmの範囲にあるものが好ましく、ドット間の間隙としては、5〜40μmの範囲、特に10〜30μmの範囲のものが好ましい。より線幅の小さい格子状の導電層等を形成し得る点では、ドット間の間隙は狭いほうが好ましい。そして、メッシュの線幅が周辺電極近傍において、接続する周辺電極から一定の範囲、好ましくは3〜50mm、特に好ましくは5〜20mmの範囲以内の幅の帯状領域において、他の領域の線幅よりも大きいものとなるように、上述の印刷ドット間の間隙を設置することが好適である。さらに、メッシュ状金属導電層の周辺電極近傍のメッシュの線幅が、他の領域の線幅と比較して2〜10倍、特に2〜4倍の範囲にある線幅で周辺電極に接続するように、上述の各メッシュのネガ像(印刷ドット)の大きさ(面積)を小さくして、その間隙を大きくすることが好適である。好適なメッシュ状金属導電層の周辺電極近傍のメッシュの線幅の値は、中央部での平均線幅の値によって異なるが、これより大きい線幅であって、一般に10〜500μm、好ましくは20〜300μm、特に好ましくは30〜100μmの範囲にある。また、メッシュ状金属導電層の周辺電極近傍のメッシュの線幅が、接続する周辺電極に近づくほど大きくなるように、好ましくはさらに連続的に大きくなるように、上述の各メッシュのネガ像(印刷ドット)の大きさ(面積)を小さくして、その間隙を大きくすることが好適である。形成されるネガパターン印刷層(ドット)の厚みとしては、透明基材を金属薄膜の形成から保護し、且つ後に洗浄除去可能な厚みであれば特に制限はないが、0.1〜5μmの範囲にある厚みが好ましい。
【0064】
上記金属導電層としては、ネガパターン印刷層(印刷ドット)の洗浄除去用溶剤に不溶であれば特に制限はないが、例えば、アルミニウム、ニッケル、インジウム、クロム、金、バナジウム、スズ、カドミウム、銀、プラチナ、銅、チタン、コバルト、鉛等の金属、合金、或いはITO等の導電性酸化物等を含んでいるものが好ましい。
【0065】
金属導電層の厚みとしては、0.01〜10μm程度が好ましい。前記厚みが、0.01μm未満であると、電磁波シールド性能が充分でないことがある一方、10μmを超えると、得られる電磁波シールド性光透過窓材の厚みに影響を及ぼすと共に、視野角を狭くしてしまうことがある。
【0066】
金属導電層の形成方法としては、特に制限はないが、スパッタリング、イオンプレーティング、真空蒸着、化学蒸着等の気相メッキ法(気相成膜法)や、液相メッキ(液相成膜法)(例えば、電解メッキ、無電解メッキ等)、印刷、塗布等が挙げられるが、気相メッキ(例えば、スパッタリング、イオンプレーティング、真空蒸着、化学蒸着等)が好ましい。特に、真空蒸着法は、膜厚の均一性や金属層作成速度の点から好適に使用可能である。金属導電層の形成の後、所望により、金属導電層上に防眩層を更に形成することにより、導電層の両側に防眩層が形成された電磁波シールド性光透過窓材を製造してもよい。
【0067】
ネガパターン印刷用インク(印刷ドット)の洗浄除去においては、ネガパターン印刷層を溶解可能な溶媒を用いて、ネガパターン印刷層と、ネガパターン印刷層上に形成された金属導電層を好適に取り除くことができる方法を使用すれば特に制限はない。該洗浄の際には、所望により、超音波照射ブラシ、スポンジ等の溶解促進手段等を併用してもよい。特に、水流の高圧噴射を基材前面に均一にあてることにより、基材全面のネガパターン印刷層とその上に形成されている金属導電層をムラなく除去することができる。前記除去により、溶媒に可溶な物質で形成されたドットパターンが溶解し、更に、該ドットパターン上に形成された金属導電層がパターンの溶解に伴い剥離し、パターン間の領域に形成された金属導電層及び防眩層のみが剥離せずに残存し、所望により仕上げ洗浄(リンス)し、乾燥させることにより、メッシュ状金属導電層が透明基材上に形成された電磁波シールド性光透過窓材が得られる。
【0068】
上記のメッシュ状の金属導電層は、所望によりさらに増厚することもできる。増厚により、さらに優れた電磁波シールド性を得ることができる。金属導電層を増厚する処理は、メッキ処理、特に電気メッキ処理で行うことが好ましい。電気メッキされる金属としては、一般に銅、銅合金、ニッケル、アルミ、銀、金、亜鉛又はスズ等を使用することが可能であり、好ましくは銅、銅合金、銀、又はニッケルであり、特に経済性、導電性の点から、銅又は銅合金を使用することが好ましい。増厚は、金属導電層全体として適切な電磁波シールド性を達成する厚みを形成するためになされるので、メッシュ状の金属導電層の厚みによって、適切な増厚の厚みは変化するが、一般に1〜10μmの範囲であり、2〜8μmの範囲が好ましい。特に銅による処理の場合には、3〜6μmの範囲とすることが好ましい。金属導電層の厚さが1μm未満では高レベルの電磁波シールド性は確保できず、メッキ厚が10μmを超えるとメッキ層が幅方向に広がりやすくなり、線幅が太くなるために開口率を低下させる傾向にある。
【0069】
図5は、ポジパターン印刷法による本発明の製造方法の流れの一例を光透過性電磁波シールド性窓材の断面を示しつつ説明した説明図である。図5の工程(c)では、透明基材51に対して、図示しないブランケットからメッシュ状パターンの導電性インク塗布層が印刷されて、メッシュ状のポジ像の導電性インク層55が形成される。メッシュ状のポジ像の導電性インク層55を形成する場合には、図1の上面図から把握されるように、透明基材上の矩形状に設けられたメッシュ状金属導電層領域(メッシュ状のポジパターン印刷領域)は導電性インクをメッシュ状パターンに印刷して設け、この矩形状に設けられたメッシュ状金属導電層領域の4辺に隣接する周辺電極領域は導電性インクを無模様に印刷して設け、周辺電極領域の近傍のメッシュ状パターンの印刷は、他の部分よりも大きな線幅で印刷して設け、これを隣接する周辺電極領域へと融合して接続するように印刷して設ける。メッシュの空隙は、線幅が大きくなったことに対応して、より小さな空隙となっている。このように印刷された透明基材に対して、図5の工程(d)では、乾燥処理又は焼結処理が行われて、導電性インク層55からメッシュ状の金属導電層56が形成される。さらに任意に図5の工程(e)が行われる。図5の工程(e)では、図示しないメッキ装置で電気メッキ等を行うことにより、メッシュ状の金属導電層56上に金属メッキ層57が形成され、結果として金属層が増厚されている。
【0070】
この製造方法により、メッシュ状金属導電層の周辺電極近傍のメッシュの線幅を、他の領域の線幅よりも大きくすることが容易に可能となる。そして、上述した本発明におけるメッシュの線幅の大きさや分布等についての特徴を容易に実現することができる。
【0071】
さらに、この製造方法において、図3から把握されるように、メッシュ状金属導電層と周辺電極との接続部分で、略正方形のメッシュの空隙が途中で切断されたような形状を印刷しないことによって、上述の欠損空隙が除去されたメッシュの形状をも容易に製造することができる。この組み合わせにより、周辺電極との接続部分で印刷時に発生しやすい断線や破断をより効果的に防止できる。
【0072】
メッシュ状のポジ像の形状としては、上述したメッシュの線幅及び空隙の形状と大きさ等の条件を満足することができれば、特に制限はなく、一般にはメッシュ状、特に格子状のパターンが適している。その空隙の形状は、略正三角形、略四角形、略正六角形その他の多角形状や円、楕円等の平面図形となっていてもよい。格子状の導電層が好適に形成され、開口率がより高く格子の線幅がより均一となる点で、略四角形の空隙の形成が好ましく、略菱形又は略正方形の空隙が特に好ましい。メッシュの空隙が略四角形の場合、メッシュ状金属導電層の中央部分では、その一辺の長さとしては、100〜500μmの範囲、特に150〜400μmの範囲にあるものが好ましく、メッシュの平均線幅としては、一般に5.0〜50.0μm、好ましくは5.0〜40.0μmであり、特に好ましくは、10.0〜30.0μmである。電磁波シールド性の観点からは線幅が太いほど好ましいが、光透過性の観点からは線幅は細いほど好ましい。そして、メッシュの線幅が周辺電極近傍において、接続する周辺電極から一定の範囲、好ましくは3〜50mm、特に好ましくは5〜20mmの範囲以内の幅の帯状領域において、他の領域の線幅よりも大きいものとすることが好適である。さらに、メッシュ状金属導電層の周辺電極近傍のメッシュの線幅が、他の領域の線幅と比較して2〜10倍、特に2〜4倍の範囲にある線幅で周辺電極に接続することが好適である。好適なメッシュ状金属導電層の周辺電極近傍のメッシュの線幅の値は、中央部での平均線幅の値によって異なるが、これより大きい線幅であって、一般に10〜500μm、好ましくは20〜300μm、特に好ましくは30〜100μmの範囲にある。また、メッシュ状金属導電層の周辺電極近傍のメッシュの線幅が、接続する周辺電極に近づくほど大きくなるように、好ましくはさらに連続的に大きくすることが好適である。
【0073】
透明基材としては、透明であって上記焼結等に耐える材料であれば使用することができ、既に上述した透明基材を使用することができるが、特にPETが好ましい。
【0074】
上記の導電性インクとしては、種々の導電性インクを使用することができ、例えば塗布乾燥型あるいは高温焼結型の導電性インクを使用することができる。このような導電性インクとしては、カーボンブラック粒子、或いは金属及び/又は金属化合物の微粒子を分散させて含むペーストを挙げることができる。塗布乾燥型のペーストとしては、導電性の微粒子、例えばカーボンブラック、銀、銅、アルミニウム、及び/又はニッケル等の微粒子を含むペーストを好適に使用可能であり、導電性とコストの点から銀又は銅の微粒子を含むペーストが好ましい。高温焼結型のペーストとしては、導電性の微粒子又は高温焼結により導電性となる微粒子、例えば銀、銅、アルミニウム、ニッケル、酸化銀、有機銀化合物、又は金等の微粒子を含むペーストを好適に使用可能であり、導電性とコストの点から、銀、銅、酸化銀、及び/又は有機銀の微粒子を含むペーストが好ましい。上記微粒子は、メッシュ状パターンの細線化のために、粒径が一般に1μm以下、好ましくは0.8μm以下、特に0.6μm以下とすることが好ましい。上記微粒子のペーストには分散媒が使用される。塗布乾燥型のペースト用の分散媒としては、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の高級アルコールや、キシレン等の芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素等の一般的な溶剤を使用することが可能であるが、揮発性・溶解性の観点から、100〜120℃付近に沸点を持つ高級アルコールや芳香族炭化水素等を選択するのが好ましい。また分散媒に加えて、バインダ樹脂を使用することができる。塗布乾燥型のペースト用のバインダ樹脂としては、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、エチルセルロース、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等を使用することができ、密着性及び耐性等の観点から、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂が好ましい。高温焼結型のペースト用の分散媒としては、例えばトルエン、MEK、酢酸エチル等の有機溶剤を使用することができる。また、高温焼結型のペーストにおいても分散媒に加えて、バインダ樹脂を使用することができる。高温焼結型のペースト用のバインダ樹脂としては、ウレタン樹脂、アクリル樹脂等を使用できる。また、添加剤としてガラスフリットを使用できる。
【0075】
導電性インクとして高温焼結型のペーストを使用する場合には、透明基材の耐久温度以下で焼結する必要がある。透明基材として、PETフィルム又はPENフィルムを使用する場合には、酸化銀及び/又は有機銀の還元を利用するペーストを使用し、導電性インク層を焼結する工程が、80〜160℃の範囲、特に100〜155℃の範囲にある温度での焼結であることが好ましい。この範囲の温度で焼結することによってフィルムの特性を保持しつつ金属導電層を形成することができる。透明基材として、板ガラスを使用し、30μm以下の細線パターンを作成する場合には、酸化銀及び/又は有機銀の還元を利用するペーストを使用し、導電性インク層を焼結する工程が、80〜240℃の範囲、特に100〜220℃の範囲にある温度での焼結であることが好ましい。この範囲の温度で焼結することによって板ガラスの特性を保持しつつ、板ガラス上に30μm以下の細線パターンの金属導電層を形成することができる。
【0076】
導電性インク層の乾燥又は高温焼結処理により形成したメッシュ状の金属導電層は、所望によりさらに増厚することもできる。増厚により、さらに優れた電磁波シールド性を得ることができる。金属導電層を増厚する処理は、メッキ処理、特に電気メッキ処理で行うことが好ましい。電気メッキされる金属としては、一般に銅、銅合金、ニッケル、アルミ、銀、金、亜鉛又はスズ等を使用することが可能であり、好ましくは銅、銅合金、銀、又はニッケルであり、特に経済性、導電性の点から、銅又は銅合金を使用することが好ましい。増厚は、金属導電層全体として適切な電磁波シールド性を達成する厚みを形成するためになされるので、導電性インク層の乾燥又は高温焼結処理により形成したメッシュ状の金属導電層の厚みによって、適切な増厚の厚みは変化するが、一般に1〜10μmの範囲であり、2〜8μmの範囲が好ましい。特に銅による処理の場合には、3〜6μmの範囲とすることが好ましい。金属導電層の厚さが1μm未満では電磁波シールド性が不十分であり、メッキ厚が10μmを超えるとメッキ層が幅方向に広がりやすくなり、線幅が太くなるために開口率を低下させる傾向にある。
【0077】
本発明の光透過性電磁波シールド性窓材、及び本発明の製造方法により得られた光透過性電磁波シールド性窓材を、電磁波シールド層として使用することにより、光透過性、電磁波シールド性及び視認性、さらに生産性に優れたディスプレイ用フィルタを製造することができる。例えば、PDP用フィルタは、通常の製造方法により、透明基材(透明基板)上に、反射防止層、本発明により得られる光透過性電磁波シールド性窓材(電磁波シールド層)、色調補正フィルター層、近赤外線カット層を積層して得ることができる。
【実施例】
【0078】
以下、本発明を実施例により説明する。本発明は以下の実施例により制限されるものではない。
【0079】
[実施例1]
ポリビニルアルコール樹脂(分子量3000)と顔料である硫酸バリウムを質量比1対
2で、水とメタノールの混合溶液(質量比 水:メタノール=1:4)に溶解して、固形分量35wt%のポリビニルアルコール溶液を調整した。この溶液をインクとして用いて、シート状のPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(長さ1000mm、幅780mm、厚さ250μm)に、グラビア印刷により正方形のドットを印刷した。これを乾燥後に銅を真空蒸着して、厚さ1000Åの銅層を得た。次いで、常温の水でドット部分を溶解除去し、水洗の後に乾燥して、メッシュ状の銅層が形成された透明フィルムを得た。メッシュの形状の詳細は以下の通りである。
【0080】
上記ドットは、フィルム中央部において、1個の大きさが1辺234μmの正方形状で、ドット同士の間隔が20μmであり、ドットの配列は正方格子状であり、ドットの印刷厚みは乾燥後に約2μmであった。これを正確に反映して、メッシュ状の銅層はドットのネガパターンに対応した正方格子状のものであり、線幅は20μmであった。
【0081】
また、上記ドットは、フィルム面上で4つの辺から中央部方向にそれぞれ15mmの幅の範囲においては、ドット1個の大きさが204μmの正方形状であり、ドット同士の間隔が50μmであり、ドットの配列は正方格子状でありドットの印刷厚みは乾燥後に約2μmであった。これを正確に反映して、メッシュ状の銅層は上記フィルム面上で4つの辺から15mmの幅の範囲においては、線幅が50μmであった。
【0082】
[実施例2]
シート状のPETフィルムに対して、実施例1と同様に処理を行って、厚さ500Åのメッシュ状の銅層が形成された透明フィルムを得た。ただし、メッシュの形状の詳細は、以下のように異なる。
【0083】
フィルム中央部においては実施例1と同様に、ドット1個の大きさが1辺234μmの正方形状で、ドット同士の間隔が20μmであり、ドットの配列は正方格子状であり、ドットの印刷厚みは乾燥後に約2μmであった。これを正確に反映して、メッシュ状の銅層はドットのネガパターンに対応した正方格子状のものであり、線幅は20μmであった。
【0084】
また、フィルム面上で対向する2つの辺から中央部方向に40mmの幅の範囲においては、実施例1と異なり、ドット1個の大きさは各辺から中央部方向に40mmの位置では234μm、ドット同士の間隔が20μmであり、これらが各辺に近づくにつれて連続的に小さくなり、フィルムの端では204μm、ドット同士の間隔が50μmであった。ドットの印刷厚みは乾燥後に約2μmであった。これを正確に反映して、メッシュ状の銅層はドットのネガパターンに対応して、線幅は、各辺から中央部方向に40mmの位置では20μm、辺に近づくにつれて連続的に大きくなり、フィルムの端では50μmであった。
【0085】
さらに、上記得られたフィルムに対して、連続メッキ装置でメッキ処理を行って銅層を増厚した。これにより得られた透明フィルムは厚さ4μmのメッシュ状の銅層を備えていた。
【0086】
[実施例3]
シート状のPETフィルムに対して、実施例1と同様に処理を行って、厚さ4000Åのメッシュ状の銅層が形成された透明フィルムを得た。ただし、印刷にはロールスクリーン印刷を使用し、メッシュの形状の詳細は、以下のように異なる。
【0087】
フィルム中央部においては実施例1と同様に、ドット1個の大きさが1辺234μmの正方形状で、ドット同士の間隔が20μmであり、ドットの配列は正方格子状であり、ドットの印刷厚みは乾燥後に約2μmであった。これを正確に反映して、メッシュ状の銅層はドットのネガパターンに対応した正方格子状のものであり、線幅は20μmであった。 また、フィルム面上の4つの辺から中央部方向にそれぞれ15mmの幅の範囲においては、ドット1個の大きさが204μmの正方形状であり、ドット同士の間隔が50μmであり、ドットの配列は正方格子状でありドットの印刷厚みは乾燥後に約2μmであった。これを正確に反映して、メッシュ状の銅層は上記フィルム面上で対向する2つの辺から15mmの幅の範囲においては、線幅が50μmであった。
【0088】
[実施例4]
シート状のPETフィルム(長さ1000mm、幅780mm、厚さ250μm)上に、銀含有の導電性ペースト(XA−9024、藤倉化成製)をスクリーン印刷して、メッシュ状導電性インク層を形成した。このフィルムを150℃で60分間焼成して、メッシュ状の金属導電層(焼成後膜厚 3μm)が形成された透明フィルムを得た。印刷したメッシュの形状の詳細は以下の通りである。
【0089】
フィルム中央部においては、メッシュの線幅は25μmであり、格子状のメッシュの間隙は229μmであった。
【0090】
また、フィルム面上の4つの辺から中央部方向にそれぞれ50mmの幅の範囲においては、各辺から中央部方向に50mmの位置ではメッシュの線幅が25μm、この線幅が各辺に近づくにつれて連続的に大きくなり、フィルムの端では60μmであった。格子状のメッシュの間隙はこれに対応して小さくなっていた。
【0091】
[比較例1]
実施例1と同様にして、メッシュ状の銅層が形成された透明フィルムを得た。
【0092】
ただし、印刷したドットは、フィルム面の中央部においてもフィルム面の辺縁部においても同じ大きさと間隔であり、1個の大きさが1辺234μmの正方形状で、ドット同士の間隔が20μmであり、ドットの配列は正方格子状であり、ドットの印刷厚みは乾燥後に約2μmであった。これを反映して、フィルム面の中央部においてもフィルム面の辺縁部においても、メッシュ状の銅層はドットのネガパターンに対応した正方格子状のものであり、線幅は20μmであった。
【0093】
[比較例2]
実施例4と同様にして、メッシュ状の金属導電層が形成された透明フィルムを得た。
【0094】
ただし、印刷したメッシュ状パターンは、フィルム面の中央部においてもフィルム面の辺縁部においても同じ線幅と間隙であり、メッシュの線幅は25μmであり、格子状のメッシュの間隙は229μmであった。
【0095】
[評価と結果]
光透過性電磁波シールド性窓材の電界シールド効果を、シールド特性評価装置(アンリツ社製)を用いて周波数100MHzの条件でKEC法により測定し、同様に磁界シールド効果測定して、得られた結果を総合評価して次の表1にまとめた。
【0096】
【表1】

【0097】
実施例1〜4の光透過性電磁波シールド性窓材は、比較例1〜2の光透過性電磁波シールド性窓材と比較して優れた電磁波シールド性を備えていた。
【0098】
また、実施例1〜4の光透過性電磁波シールド性窓材と同様のメッシュ状金属導電層を備え且つこれに隣接してメッシュ状金属導電層に接続した周辺電極を備えた光透過性電磁波シールド性窓材と、比較例1〜2の光透過性電磁波シールド性窓材と同様のメッシュ状金属導電層を備え且つこれに隣接してメッシュ状金属導電層に接続した周辺電極を備えた光透過性電磁波シールド性窓材とを製作して、これらを比較した。この比較によると、実施例1〜4と同様のメッシュ状金属導電層を備え且つ周辺電極を備えた光透過性電磁波シールド性窓材は、印刷時に周辺電極との境界付近でメッシュに断線・破断が生じることなく、良好な形状が形成されていた。また、金属メッシュは周辺電極を介して十分に低い抵抗で接続することができた。一方、比較例1〜2と同様のメッシュ状金属導電層を備え且つ周辺電極を備えた光透過性電磁波シールド性窓材は、メッシュと周辺電極との境目付近でメッシュに断線が生じている部位があり、十分なシールド性を発揮できない窓材も多かった。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】図1は、本発明の光透過性電磁波シールド性窓材の典型的な一例を、上方から示した説明図である。
【図2】図2は、周辺電極が2辺に設けられた本発明の光透過性電磁波シールド性窓材の典型的な一例を、上方から示した説明図である。
【図3】図3は、欠損空隙のない本発明の光透過性電磁波シールド性窓材の別な典型的な一例を、上方から示した説明図である。
【図4】図4は、可溶性ドット形成法による本発明の製造方法の流れの一例を光透過性電磁波シールド性窓材の断面を示して説明した説明図である。
【図5】図5は、ポジタパーン印刷法による本発明の製造方法の流れの一例を光透過性電磁波シールド性窓材の断面を示して説明した説明図である。
【図6】図6は、本発明によらない光透過性電磁波シールド性窓材の典型的な一例を、上方から示した説明図である。
【符号の説明】
【0100】
10 光透過性電磁波シールド性窓材
11 周辺電極
12 メッシュ状金属導電層領域
12a メッシュ状金属導電層
12b メッシュの空隙(メッシュの目)
12c 欠損した多角形の空隙(欠損空隙)
20 光透過性電磁波シールド性窓材
21 周辺電極
22 メッシュ状金属導電層領域
22a メッシュ状金属導電層
22b メッシュの空隙(メッシュの目)
22c 欠損した多角形の空隙(欠損空隙)
30 光透過性電磁波シールド性窓材
31 周辺電極
32 メッシュ状金属導電層領域
32a メッシュ状金属導電層
32b メッシュの空隙(メッシュの目)
41 透明基材
42 ネガパターン印刷層
43 金属導電層
44 メッシュのポジ像の金属導電層(メッシュ状金属導電層)
51 透明基材
55 メッシュ状のポジ像の導電性インク層
56 メッシュ状の金属導電層
57 金属メッキ層
60 光透過性電磁波シールド性窓材
61 周辺電極
62 メッシュ状金属導電層領域
62a メッシュ状金属導電層
62b メッシュの空隙(メッシュの目)
62c 欠損空隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形の透明基材と、該透明基材上の少なくとも中央部に矩形状に設けられたメッシュ状金属導電層、及び該メッシュ状金属導電層の少なくとも1辺に隣接して該透明基材上に設けられ且つ該メッシュ状金属導電層に接続した周辺電極、とを含む光透過性電磁波シールド性窓材であって、
メッシュ状金属導電層の周辺電極近傍のメッシュの線幅が、他の領域の線幅よりも大きいことを特徴とする、光透過性電磁波シールド性窓材。
【請求項2】
前記メッシュ状金属導電層の周辺電極近傍のメッシュが、接続する周辺電極の端部から3〜50mm以内の幅の帯状領域であることを特徴とする、請求項1に記載の光透過性電磁波シールド性窓材。
【請求項3】
前記メッシュ状金属導電層の周辺電極近傍のメッシュの線幅が、接続する周辺電極に近づくほど大きいことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の光透過性電磁波シールド性窓材。
【請求項4】
前記周辺電極が、メッシュ状金属導電層の4辺のうち、対向する2辺又は4辺に隣接して設けられていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の光透過性電磁波シールド性窓材。
【請求項5】
前記メッシュ状金属導電層の周辺電極近傍のメッシュの線幅が、他の領域の線幅と比較して2〜10倍の範囲にあることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の光透過性電磁波シールド性窓材。
【請求項6】
前記メッシュが、多角形をメッシュの目の形状とした繰り返しであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の光透過性電磁波シールド性窓材。
【請求項7】
周辺電極近傍においてメッシュの目を構成する多角形は、周辺電極により形状が欠損した多角形が無い又は実質的に無いことを特徴とする、請求項6のいずれかに記載の光透過性電磁波シールド性窓材。
【請求項8】
前記金属導電層が、導電性の金属及び/又は金属酸化物を含んでいることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の光透過性電磁波シールド性窓材。
【請求項9】
前記金属導電層が、銅及び/又は銀を含んでいることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の光透過性電磁波シールド性窓材
【請求項10】
前記透明基材が、樹脂フィルムであることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の光透過性電磁波シールド性窓材。
【請求項11】
前記透明基材が、PETフィルムであることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の光透過性電磁波シールド性窓材。
【請求項12】
前記透明基材が、板ガラスであることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の光透過性電磁波シールド性窓材。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかに記載の光透過性電磁波シールド性窓材を含むディスプレイ用フィルタ。
【請求項14】
矩形の透明基材と、該透明基材上の少なくとも中央部に矩形状に設けられたメッシュ状金属導電層、及び該メッシュ状金属導電層の少なくとも1辺に隣接して該透明基材上に設けられ且つ該メッシュ状金属導電層に接続した周辺電極、とを含む光透過性電磁波シールド性窓材を、以下の工程:
前記透明基材上の少なくとも中央部に矩形状にメッシュ状パターンのネガ像を、
該ネガ像の矩形状領域の少なくとも1辺に隣接して、周辺電極の形成用の非印刷領域を残し、
前記ネガ像の矩形状の領域内の非印刷領域に隣接する近傍領域において、前記各メッシュに対応する多角形が、ネガ像の領域内の他の領域よりも面積が小さな面積の多角形となるように、
溶媒可溶性のインクを用いて印刷することにより、前記ネガパターン印刷層を形成する工程、
前記ネガパターン印刷層が形成された透明基材の面上に、該溶媒に対して不溶な金属導電層を形成する工程、
前記金属導電層が形成された透明基材の表面を、ネガパターン印刷層の溶解が可能な溶媒を用いて洗浄することにより、ネガパターン印刷層及び該ネガパターン印刷層上の金属導電層を除去してメッシュ状金属導電層を形成する工程、
を含むことを特徴とする方法により製造する方法。
【請求項15】
前記各メッシュに対応する多角形が、前記非印刷領域に接触する位置では印刷されないことを特徴とする、請求項14に記載の製造方法。
【請求項16】
前記ネガパターン印刷層が形成された透明基材の面上に、溶媒に対して不溶な金属導電層を形成する工程が、
金属及び/又は金属化合物の気相成膜法により行われることを特徴とする、請求項14又は請求項15に記載の製造方法。
【請求項17】
矩形の透明基材と、該透明基材上の中央部に矩形状に設けられたメッシュ状金属導電層、及び該メッシュ状金属導電層の少なくとも1辺に隣接して該透明基材上に設けられ且つ該メッシュ状金属導電層に接続した周辺電極、とを含む光透過性電磁波シールド性窓材を、以下の工程:
前記透明基材上の少なくとも中央部に矩形状の領域にメッシュ状パターンのポジ像を設けるように、
該メッシュ状パターンのポジ像の領域の少なくとも1辺に隣接して、メッシュの線と接続し、前記の辺に沿った帯状の周辺電極用パターンを設けるように、
前記メッシュ状パターンの像の領域内の周辺電極用パターン近傍のメッシュの線が、メッシュ状パターンの像の領域内の他の部分よりも、大きな線幅の線となるように、
導電性インクを用いて印刷することにより、導電性インク層を形成する工程、
該導電性インク層を乾燥処理及び/又は焼結処理することにより、メッシュ状パターンの像の導電性インク層からはメッシュ状金属導電層を、周辺電極用パターン上の導電性インク層からは周辺電極を、形成する工程、
を含むことを特徴とする方法により製造する方法。
【請求項18】
前記導電性インク層を形成する工程において、
前記周辺電極用パターン近傍において、周辺電極用パターンと接触するメッシュの空隙を設けることなく導電性インクを形成することを特徴とする、請求項17に記載の製造方法。
【請求項19】
請求項14〜18のいずれかに記載の製造方法により得られる光透過性電磁波シールド性窓材。
【請求項20】
請求項19に記載の光透過性電磁波シールド性窓材を含むディスプレイ用フィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−42887(P2007−42887A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−225787(P2005−225787)
【出願日】平成17年8月3日(2005.8.3)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】