説明

光透過性電磁波シールド部材の製造方法

【課題】インキ転移量が不十分となるのを抑制可能とする。
【解決手段】本発明の方法は、透明基材とこれに支持された導電体パターンとを具備した光透過性電磁波シールド部材の製造方法であって、導電体層の一方の主面上にグラビア印刷によりレジストパターンを形成する工程と、前記レジストパターンをマスクとして用いて前記導電体層をエッチングすることにより前記導電体パターンを形成する工程とを含み、前記グラビア印刷は圧胴から版面に荷重を与えながらそれらの間に被印刷物を挿入して前記版面から前記被印刷物上へとインキを転移させるダイレクトグラビア印刷であり、前記版面には溝211が網状に設けられ、前記溝211の底面及び/又は側壁は波形であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光透過性電磁波シールド部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気設備や電子応用設備の利用が増加している。これに伴い、電磁波妨害(EMI:electromagnetic interference)も増加の一途を辿っている。
【0003】
電磁波ノイズには、伝導ノイズと放射ノイズとがある。伝導ノイズは、例えば、ノイズフィルタなどを用いて除去している。他方、放射ノイズは、例えば、ノイズ発生源とその周囲空間との間に電磁波シールド部材を設置して、先の周囲空間に放出されるのを防止している。
【0004】
電磁波シールド部材としては、例えば、金属からなる筐体、回路基板間に設置する金属板、及びケーブルに巻き付ける金属箔がある。これら電磁波シールド部材は、電子回路、電気回路、電源、及び配線などのノイズ発生源が発生したノイズがその周囲空間に放出されるのを十分に防止する。しかしながら、これら電磁波シールド部材は、遮光性であるか又は透明性が不十分であるため、陰極線管ディスプレイ及びプラズマディスプレイなどのディスプレイの表示面から放出された電磁波ノイズが周囲空間に放出されるのを防止するのには適していない。
【0005】
そこで、電磁波遮蔽性と透明性とを両立させた光透過性電磁波シールド部材が提案されている。例えば、特許文献1には、透明基材とその上に設けられた透明な金属薄膜とを含んだ電磁波シールド部材が記載されている。特許文献2には、透明基材とその上に設けられた透明無機導電層とを含んだ電磁波シールド部材が記載されている。特許文献3には、良導電性繊維からなる電磁波シールド部材が記載されている。特許文献4には、金属繊維からなる金属マットを含んだ電磁波シールド部材が記載されている。特許文献5には、樹脂と導電性粉末との混合物を透明基材上に格子状又は縞状に印刷してなる電磁波シールド部材が記載されている。特許文献6には、樹脂と導電性粉末との混合物を透明基材上に網目状に印刷してなる電磁波シールド部材が記載されている。特許文献7には、透明基材上に金属箔を貼り付け、この金属箔をエッチングによりパターニングしてなる電磁波シールド部材が記載されている。
【0006】
これら電磁波シールド部材のうち、特許文献1及び2に記載された電磁波シールド部材では、導電体層はパターニングされていない連続膜である。そのような電磁波シールド部材では、導電体層は高い透明性を有していることが望まれるため、導電体層を薄くすることが要求される。しかしながら、導電体層を薄くすると、電磁波遮蔽性が低下する。すなわち、電磁波遮蔽性と透明性とは二律背反の関係にある。それゆえ、導電体層を連続膜とした電磁波シールド部材で、電磁波規制により要求される1.5Ω/□以下の表面抵抗率(クラスB:家庭用)と高い透明性とを同時に実現することは難しい。
【0007】
特許文献3乃至7に記載された電磁波シールド部材では、導電体は、連続膜を形成しておらず、メッシュである。このような構造は、高い電磁波遮蔽性と高い透明性とを同時に実現するうえで有利である。
【0008】
これらの中でも、特許文献7に記載されているように導電体パターンをエッチングにより形成した電磁波シールド部材は、品質が安定しており、1.5Ω/□以下の表面抵抗率と高い透明性とを同時に達成する。そのため、エッチングにより導電体パターンを形成した電磁波シールド部材は、ユーザから高い信頼を得ており、透明電磁波シールド部材のシェアの大部分を占めている。
【0009】
導電体パターンをエッチングにより形成する場合、通常、連続膜としての導電体層上にレジストを塗布又は貼り付け、次いで、レジスト層をパターン露光し、これを現像する。そして、これにより得られたレジストパターンをエッチングマスクとして利用する。
【0010】
この方法では、導電体層の全面をレジスト層で被覆し、その一部のみをレジストパターンとして使用する。換言すれば、導電体層上に設けたレジスト層の残りは、パターニングに利用することなしに廃棄する。それゆえ、この方法によると、電磁波シールド部材の材料コストを低減することが難しい。また、この方法は露光を必要とするため、基材の搬送と停止とを交互に繰り返すステップ搬送方式を採用せざるを得ない。そのため、タクトタイムを短くするうえで不利であり、それゆえ、生産性の向上が難しい。このような理由から、エッチングにより導電体パターンを形成した電磁波シールド部材の製造コストを低減することは難しい。
【0011】
特許文献8には、導電性金属箔上にフレキソ印刷によりレジストパターンを形成することが記載されている。しかしながら、フレキソ印刷法では、版にゴム等の樹脂を使用しているため、印刷時にニップ圧を加えた際に変形が起き易く、それゆえ、寸法精度及び形状精度の双方に優れた印刷パターンを形成することが難しい。また、ニップ圧を大きくすることができないので、版から透明基材へのレジストインキの転移が不十分となり易い。さらに、版から透明基材へとレジストインキを転移させる際に、ニップ圧によりインキが版の凸部と被印刷体との間から端に押し出され、その結果、レジストパターンの縁が盛り上がると共に、その線幅が設計値と比較してより大きくなることがある。また、例えば、透明基材の表面のうちレジストパターンを形成すべき領域の一部が突起を含んでいる場合、版から透明基材へとレジストインキを転移させる際に、この突起がレジストインキを突き抜けて版と直接に接触し、その結果、レジストパターンにピンホールを生じる可能性がある。
【0012】
孔版印刷及びインクジェット印刷などのフレキソ印刷以外の印刷方式でも、導電体層上にレジストパターンを形成することは可能である。しかしながら、スクリーン印刷などの孔版印刷は、逐次枚葉方式であるためスループットが低く、版のうちパターン形成に実際に利用可能な部分が例えば1/2程度と小さい。そのため、孔版印刷により高い生産性を達成することは難しい。また、インクジェット印刷では、ノズルが吐出するインキ滴は微小であるため、エッチングマスクとして十分な厚さを有するレジストパターンを短時間で形成することは困難である。そして、インクジェット印刷でより微細なレジストパターンを形成するにはインキ滴を小さくする必要があり、それゆえ、この場合、スループットがさらに低下すると考えられる。
【0013】
特許文献9には、導電性金属上にグラビアオフセット印刷により印刷インクレジストを形成することが記載されている。グラビアオフセット印刷によれば、フレキソ印刷、孔版印刷及びインクジェット印刷に関して上述した問題は生じないか又は生じ難い。しかしながら、グラビアオフセット印刷では、オフセットロールに使用するシリコーンゴムなどのゴムがインキの溶媒を吸収して膨潤することがある。オフセットロールのゴムが膨潤すると、レジストパターンの寸法精度が低下し、線幅が設計値よりも大きくなる。また、膨潤量が安定しないため、レジストパターンの寸法にばらつきを生じ易く、それゆえ、連続運転には不向きである。
【0014】
特許文献10には、その解決策として、オフセットロールを乾燥させることが記載されている。しかしながら、印刷と乾燥とを交互に行った場合、高い生産性を達成することは難しい。また、この方法であっても、溶媒吸収を一定に保つことは難しいため、高い寸法精度を達成することは困難である。
【0015】
また、グラビアオフセット印刷では、一般に、オフセットロール上でインキが広がらないように、粘度の高いインキを使用している。インキの粘度が高いと、印刷速度を高めたときに、インキの転移が不十分となることがある。そのため、グラビアオフセット印刷では、印刷速度を10m/分以上とすることは極めて困難である。
【0016】
これらの点を考慮し、本発明者らは、導電体層上にダイレクトグラビア印刷によりレジストパターンを形成することを考えている。ダイレクトグラビア印刷によれば、フレキソ印刷、孔版印刷及びインクジェット印刷に関して上述した問題は生じないか又は生じ難い。また、ダイレクトグラビア印刷によると、オフセットロールを使用しないため、その膨潤に起因した問題を生じ得ない。そして、ダイレクトグラビア印刷によると、粘度が比較的小さなインキを使用できるため、例えば、数10m/分の印刷速度を達成することができる。
【0017】
しかしながら、本発明者らは、本発明を発明するに際して、以下の事実を見出している。すなわち、導体層上にダイレクトグラビア印刷によりレジストパターンを形成した場合、インキの転移量が不十分となることがある。インキの転移量が少ないと、レジストパターンのエッチングマスクとしての機能が不十分となることがある。
【特許文献1】特開平1−278800号公報
【特許文献2】特開平5−323101号公報
【特許文献3】特開平5−327274号公報
【特許文献4】特開平5−269912号公報
【特許文献5】特開昭62−57297号公報
【特許文献6】特開平2−52499号公報
【特許文献7】特許第3473310号公報
【特許文献8】特開2004−111784号公報
【特許文献9】特開2000−98911号公報
【特許文献10】特開2005−186597号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的は、導体層上にダイレクトグラビア印刷によりレジストパターンを形成し、これをエッチングマスクとして用いて導体層をパターニングする光透過性電磁波シールド部材の製造において、インキ転移量が不十分となるのを抑制可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の第1側面によると、透明基材とこれに支持された導電体パターンとを具備した光透過性電磁波シールド部材の製造方法であって、導電体層の一方の主面上にグラビア印刷によりレジストパターンを形成する工程と、前記レジストパターンをマスクとして用いて前記導電体層をエッチングすることにより前記導電体パターンを形成する工程とを含み、前記グラビア印刷は圧胴から版面に荷重を与えながらそれらの間に被印刷物を挿入して前記版面から前記被印刷物上へとインキを転移させるダイレクトグラビア印刷であり、前記版面には溝が網状に設けられ、前記溝の底面及び/又は側壁は波形であることを特徴とする方法が提供される。
【0020】
本発明の第2側面によると、透明基材とこれに支持された導電体パターンとを具備した光透過性電磁波シールド部材の製造方法であって、導電体層の一方の主面上にグラビア印刷によりレジストパターンを形成する工程と、前記レジストパターンをマスクとして用いて前記導電体層をエッチングすることにより前記導電体パターンを形成する工程とを含み、前記グラビア印刷は圧胴から版面に荷重を与えながらそれらの間に被印刷物を挿入して前記版面から前記被印刷物上へとインキを転移させるダイレクトグラビア印刷であり、前記版面には溝が網状に設けられ、前記溝内であってその各分岐点に柱状の突起が設けられていることを特徴とする方法が提供される。
【0021】
本発明の第3側面によると、透明基材とこれに支持された導電体パターンとを具備した光透過性電磁波シールド部材の製造方法であって、導電体層の一方の主面上にグラビア印刷によりレジストパターンを形成する工程と、前記レジストパターンをマスクとして用いて前記導電体層をエッチングすることにより前記導電体パターンを形成する工程とを含み、前記グラビア印刷は圧胴から版面に荷重を与えながらそれらの間に被印刷物を挿入して前記版面から前記被印刷物上へとインキを転移させるダイレクトグラビア印刷であり、前記版面には溝が網状に設けられ、前記溝の各分岐点において、前記溝は、各々が角部を形成している第1及び第2側壁と、一部が前記第1側壁の一部と向き合って溝部を形成すると共に他の一部が前記第2側壁の一部と向き合って溝部を形成している第3側壁とを含み、前記第1乃至第3側壁のうち前記第3側壁のみが、その前記分岐点の中心と向き合った部分がこれと隣り合う部分に対して前記中心に向けて突き出た突出部を形成していることを特徴とする方法が提供される。
【0022】
本発明の第4側面によると、透明基材とこれに支持された導電体パターンとを具備した光透過性電磁波シールド部材の製造方法であって、導電体層の一方の主面上にグラビア印刷によりレジストパターンを形成する工程と、前記レジストパターンをマスクとして用いて前記導電体層をエッチングすることにより前記導電体パターンを形成する工程とを含み、前記グラビア印刷は圧胴から版面に荷重を与えながらそれらの間に被印刷物を挿入して前記版面から前記被印刷物上へとインキを転移させるダイレクトグラビア印刷であり、前記版面には溝が網状に設けられ、前記溝は、前記溝の底面及び/又は側壁が波形である第1構造と、前記溝内であってその各分岐点に柱状の突起が設けられた第2構造と、前記溝の各分岐点において、前記溝は、各々が角部を形成している第1及び第2側壁と、一部が前記第1側壁の一部と向き合って溝部を形成すると共に他の一部が前記第2側壁の一部と向き合って溝部を形成している第3側壁とを含み、前記第1乃至第3側壁のうち前記第3側壁のみが、その前記分岐点の中心と向き合った部分がこれと隣り合う部分に対して前記中心に向けて突き出た突出部を形成している第3構造との2以上を有していることを特徴とする方法が提供される。
【発明の効果】
【0023】
本発明によると、導体層上にダイレクトグラビア印刷によりレジストパターンを形成し、これをエッチングマスクとして用いて導体層をパターニングする光透過性電磁波シールド部材の製造において、インキ転移量が不十分となるのを抑制可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の態様について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同様又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0025】
図1は、本発明の一態様に係る方法で製造可能な光透過性電磁波シールド部材の一例を概略的に示す平面図である。図2は、図1に示す光透過性電磁波シールド部材のII−II線に沿った断面図である。
【0026】
図1及び図2に示す光透過性電磁波シールド部材10は、光透過性を有している。この電磁波シールド部材10は、透明基材11と、導電体パターン12と、それらの間に介在した接着剤層13とを含んでいる。この電磁波シールド部材10は、例えば、陰極線管ディスプレイ、プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ、及びエレクトロルミネッセンスディスプレイなどのディスプレイの表示面に取り付けられ、この表示面が放出する電磁波ノイズを遮断するのに使用される。
【0027】
透明基材11は、典型的には無色透明なプラスチックフィルムである。プラスチックフィルムの材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル、並びに、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、及びエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)などのポリオレフィンを使用することができる。
【0028】
透明基材11は、可視光領域,例えば400nm乃至700nmの波長範囲,における透過率が70%以上であることが望ましい。また、電磁波シールド部材10の製造に後述するロール・ツー・ロール(roll to roll)方式を採用する場合を考慮すると、透明基材11には、或る程度のコシがあり且つロールへ巻き取るのに十分な柔軟性を示すことが望まれる。したがって、透明基材11の厚さd1は、10μm乃至250μmの範囲内とするのが好適である。
【0029】
導電体パターン12は、電磁波を遮蔽するシールド層である。導電体パターン12は、例えば、連続膜としての導電体層をパターニングすることにより得られる。
【0030】
導電体パターン12は、網状又はメッシュ状である。図1では、導電体パターン12は、各分岐点で4方向に分岐しており、略正方格子形状を有している。
【0031】
導電体パターン12は、高い電磁波遮蔽性及び高い光透過性を有していることが望ましい。これを考慮すると、導電体パターン12を形成しているラインの幅Wは10μm乃至20μmの範囲内とすることが望ましく、開口部の径、すなわち、ライン間隔Dは200μm乃至300μmの範囲内とすることが望ましい。また、導電体パターン12の厚さd2は、5μm乃至20μmの範囲内とすることが望ましい。
【0032】
導電体パターン12は、導電性材料からなる。導電性材料としては、例えば、亜鉛、ストロンチウム、硫黄、カルシウム、炭素、インジウム、錫、アルミニウム、ニッケル、銀、金、及び銅などを用いることができる。加工性及び導電性の観点では、これらの材料のうち銅が望ましい。
【0033】
導電体パターン12は、黒化処理した銅パターンであってもよい。そのような導電体パターン12によると、ブラックマトリクス効果が得られる。したがって、導電体パターン12を黒化処理した場合、黒化処理しない場合と比較して、より優れた表示品位を達成できる。
【0034】
なお、黒化処理した銅パターンを導電体パターン12として使用した場合、その厚さは、例えば、表面抵抗率が1.5Ω/□以下となるように設定する。加工寸法安定性及び銅箔の入手の容易さの観点から、導電体パターン12の厚さは、10μm程度であることが好ましい。
【0035】
接着剤層13は、透明基材11と導電体パターン12とを貼り合わせている。接着剤層13の材料としては、例えば、エポキシ系、アクリル系、又はウレタン系の接着剤を用いることができる。この接着剤は、シート状であっても液状であっても構わない。また、例えば、透明基材11上に導電体層を形成して、これをパターニングする場合は、接着剤層13は省略することができる。
【0036】
図1では、導電体パターン12は正方格子形状を有しているが、導電体パターン12は、メッシュ状又は網状であれば他の形状を有していてもよい。
【0037】
図3は、図1及び図2に示す光透過性電磁波シールド部材の一変形例を概略的に示す平面図である。図4は、図1及び図2に示す光透過性電磁波シールド部材の他の変形例を概略的に示す平面図である。
【0038】
図3に示す光透過性電磁波シールド部材10では、導電体パターン12は六方格子形状を有している。すなわち、図3に示す光透過性電磁波シールド部材10では、導電体パターン12は、各分岐点で3方向に分岐している。具体的には、導電体パターン12は、各分岐点で略Y字型に分岐している。これにより、各々が六角形状を有している複数の開口を形成している。
【0039】
図4に示す光透過性電磁波シールド部材10では、導電体パターン12は、各分岐点で3方向に分岐している。具体的には、導電体パターン12は、各分岐点で略T字型に分岐している。これにより、各々が正方形状又は長方形状を有している複数の開口を形成している。
【0040】
このように、導体パターン12には、様々な構造を採用することができる。例えば、導体パターン12は、三角格子形状又は平行四辺形格子形状を有していてもよい。或いは、網目の配置が一様であれば、導電体パターン12には、形状が異なる2種以上の網目が設けられていてもよい。例えば、菱形の網目と二等辺三角形の網目との組み合わせが規則的に配置されていてもよい。
【0041】
この光透過性電磁波シールド部材10は、例えば、ディスプレイの表示面と向き合うように設置する。導電体パターン12を高い形状精度で形成できれば、光透過性電磁波シールド部材10に起因した表示ムラは生じ難く、ヘイズ又は透明性などの所望の光学特性を達成することが容易であり、明るい画像を表示可能となる。
【0042】
次に、この光透過性電磁波シールド部材10の製造方法について説明する。
図5乃至図8は、図1及び図2に示す光透過性電磁波シールド部材の製造方法の一例を概略的に示す断面図である。
【0043】
この方法では、まず、図5に示すように、透明基材11と導電体層12aとの積層体10’を準備する。この積層体10’は、例えば、接着剤層13を介して透明基材11と導電体層12aとを貼り合わせることにより得られる。或いは、この積層体10’は、真空蒸着、スパッタリング及び無電解めっきなどの成膜法を用いて、透明基材11上に導電体層12aを形成することにより得てもよい。或いは、透明基材11上に、上記の方法により厚さが1μm以下の導電体層12aを形成し、その後、電気めっきにより導電体層12aを所望の厚さまで厚膜化してもよい。これらの方法のうち、簡便であり、低コストであることから、接着剤層13を介して貼り合わせる方法が好適である。
【0044】
次に、図6に示すように、導電体層12a上に、グラビア印刷によりレジストパターン14を形成して、積層体10”を得る。ここで利用するグラビア印刷は、圧胴から版面に荷重を与えながらそれらの間に被印刷物を挿入して版面から被印刷物上へとインキを転移させるダイレクトグラビア印刷である。レジストパターン14を形成するためのグラビア印刷については、後で詳述する。
【0045】
レジストパターン14の材料としては、エッチングレジストを使用する。エッチングレジストとしては、例えば、東京応化社製のレジスト又はJSR社製の液状レジストを使用することができる。エッチングレジストとして、例えば、紫外線硬化樹脂及び/又は熱可塑性樹脂を使用してもよい。また、エッチングレジストは、例えば、アクリル系又はエポキシ系であってもよい。エッチングレジストは、溶媒に溶解又は分散させて、インキとして用いてもよい。このインキは、エッチングレジスト及び溶媒以外に、一般に使用されている添加剤をさらに含んでいてもよい。
【0046】
レジストパターン14を形成するのに先立ち、インキの転移を良好にするために、導電体層12aの表面状態を改質してもよい。例えば、導電体層12aとして電解銅箔及び圧延銅箔などの銅箔を使用した場合、硫酸と過酸化水素水との混合溶液で導電体層12aの表面を処理することにより、導電体層12aの表面を平坦化してもよい。或いは、この平坦化処理の代わりに又はこの平坦化処理に加えて、コロナ処理及びプライマー塗布などの表面処理を行ってもよい。
【0047】
レジストパターン14を形成した後、これをマスクとして用いたエッチングにより、導電層12aをパターニングする。すなわち、導電層12aのうち、レジストパターン14で被覆されていない部分を除去する。これにより、図7に示す導電体パターン12を得る。なお、導電体パターン12のサイドエッチングを十分に生じさせれば、そのライン幅をレジストパターン14のライン幅と比較してより狭くすることができる。
【0048】
導電体層12aのパターニングに使用するエッチング液としては、導電体層12aの材料として銅を用いた場合には、例えば、塩化第二鉄又は塩化第二銅を主要成分として含有した溶液を使用することができる。導電体層12aの材料として銅以外の金属を用いた場合には、各金属に対応したエッチング液を用いてエッチングを行うことができる。例えば、導電体層12aの材料としてニッケルを用いた場合には、メルテックス社製のメルストリップMN−955などの市販のニッケル剥離剤をエッチング液として使用することができる。
【0049】
次に、導電体パターン12からレジストパターン14を剥離する。剥離液としては、レジストとしてアルカリ可溶型エッチングレジストを用いた場合には、例えば、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ水溶液を用いることができる。その他のエッチングレジストを用いた場合には、例えば、溶剤可溶タイプの場合は、各々のエッチングレジストに対応した溶剤を用いて剥離することができる。
以上のようにして、図8に示す光透過性電磁波シールド部材10を得る。
【0050】
次に、ダイレクトグラビア印刷によるレジストパターン14の形成方法について、さらに詳しく説明する。
【0051】
図9は、図5乃至図8に示す方法で利用可能なダイレクトグラビア印刷機の一例を概略的に示す図である。
【0052】
このダイレクトグラビア印刷機は、1つの印刷ユニットを含んだ輪転グラビア印刷機である。この印刷ユニットは、グラビア版シリンダ21と、インキパン22と、ドクターブレード23と、圧胴24と、乾燥炉25とを含んでいる。
【0053】
グラビア版シリンダ21は、金属又は合金などの硬質材料からなり、円柱又は円筒形状を有している。シリンダ21の柱面は、レジストパターン14に対応した形状の凹部,すなわち溝,が設けられた版面である。シリンダ21は、図9において反時計回りに転動可能である。グラビア版シリンダ21は、ダイレクトグラビア印刷が転写に遠心力を利用している点を考慮し、印刷速度が例えば10乃至60m/分となるように回転させる。
【0054】
シリンダ21の版面に設ける溝の深さは、例えば、10μm乃至50μmの範囲内とする。溝が浅い場合、レジストパターン14が薄くなり、エッチングマスクとしての性能が不十分となることがある。例えば、レジストパターン14に浮き及び/又は割れが発生し、その結果、導電体パターン12に欠落部を生じる可能性がある。
【0055】
この溝の幅は、例えば、10μm乃至60μmの範囲内とする。溝の幅が狭い場合、ドクタリングの際に後述するレジストインキ14’が溝に入り難い。また、溝の幅が広い場合、導電体パターン12の線幅を十分に狭くすることが難しい。例えば、溝の幅が60μmを超える場合、導電体パターン12の線幅を20μmとすると、片側で20μmを超えるサイドエッチングが必要である。そのため、レジストパターン14の割れや折れが発生し易く、エッチング条件の設定及び制御が難しくなる。
【0056】
インキパン22は、レジストインキ14’を収容している。レジストインキ14’は、上述したレジストパターン14の材料である。インキパン22は、レジストインキ14’中にシリンダ21が部分的に浸るように設置されている。
【0057】
圧胴24は、円柱状又は円筒状のコア24aと樹脂層24bとを含んでいる。コア24aは、例えば、金属、合金、セラミックス、及び硬質樹脂などの硬質材料からなる。樹脂層24bは、コア24aの柱面を被覆している。
【0058】
圧胴24は、その柱面がシリンダ21の版面と向き合うように設置されている。圧胴24は、図9において時計回りに転動可能である。圧胴24は、上述した積層体10’を間に挟んで、シリンダ21の版面に荷重を与える。なお、積層体10’は、その導電体層12aがシリンダ21と向き合うように、シリンダ21と圧胴24との間に挿入する。
【0059】
乾燥炉25は、シリンダ21と圧胴24との間から送り出された積層体10”のレジストパターン14を乾燥させる。乾燥炉25は、例えば、赤外線乾燥方式と温風乾燥方式とを組み合わせた構成を採用している。このような構成によると、レジストパターン14を、効率よく及び均質に乾燥させることができる。
【0060】
レジストパターン14の形成に上記のダイレクトグラビア印刷機を用いた場合、光透過性電磁波シールド部材10は、以下のロール・ツー・ロール方式により行うことができる。
【0061】
すなわち、まず、ロール状に巻いた透明基材11を準備する。そして、このロールから透明基材11を繰り出し、これに上述した処理を順次施した後、これにより得られる積層体をロール状に巻き取る。
【0062】
具体的には、ロールから繰り出した透明基材11上に、まず、導電体層12aを設ける。次いで、この導電体層12aに平坦化処理を施し、続いて、その上に図9のダイレクトグラビア印刷機を用いてレジストパターン14を形成する。その後、このレジストパターン14をエッチングマスクとして用いたエッチングにより、導電体層12aをパターニングする。次いで、これにより得られた導電体パターン12からレジストパターン14を除去する。さらに、このようにして得られた光透過性電磁波シールド部材10をロール状に巻き取る。この光透過性電磁波シールド部材10は、通常、適当な寸法に切断する。
【0063】
このロール・ツー・ロール方式を採用すると、材料及び製品の保管や運搬が容易になる。また、ロール・ツー・ロール方式を採用した場合、高い歩留まりを達成できる。例えば、光透過性電磁波シールド部材10の製造にステップ搬送方式を採用し、最終製品の対角寸法を42インチとした場合、導電体パターン12に1mm程度の断線不良が1箇所でも発見されれば、通常、その断線不良を含んだ最終製品の全体を不良品として扱うこととなる。これに対し、ロール・ツー・ロール方式を採用した場合、切断前の光透過性電磁波シールド部材10の一部に不良があったとしても、その部分のみを切り取れば、残りの部分は最終製品に利用することができる。
【0064】
この方法では、シリンダ21の版面に、例えば以下の構成を採用する。これにより、インキ転移量が不十分となるのを抑制することが可能となる。
【0065】
図10は、図9に示すダイレクトグラビア印刷機においてグラビア版シリンダの版面に採用可能な構造の一例を概略的に示す平面図である。図11は、図9に示すダイレクトグラビア印刷機においてグラビア版シリンダの版面に採用可能な構造の他の例を概略的に示す平面図である。図12は、図9に示すダイレクトグラビア印刷機においてグラビア版シリンダの版面に採用可能な構造のさらに他の例を概略的に示す平面図である。
【0066】
図10乃至図12に示す構造では、グラビア版シリンダ21の版面には、溝211が網状に設けられている。溝211は、各分岐点で4方向に分岐しており、略正方格子形状を有している。
【0067】
溝211は、版面に垂直な方向から見たときに側壁が波形である。具体的には、図10に示す構造では、側壁は略正弦波形状を有している。図11に示す構造では、側壁は略三角波形状を有している。図10及び図11に示す構造において、向き合った側壁間の距離は、溝211の長さ方向に沿ってほぼ一定である。
【0068】
また、図12に示す構造では、側壁は略正弦波形状を有している。但し、図12に示す構造では、向き合った側壁間の距離は、溝211の長さ方向に沿って変化している。
【0069】
溝211の側壁が波形である場合、溝211の側壁が平坦である場合と比較して、溝211の側壁とレジストインキ14’との接触面積をより大きくすることができる。そのため、この場合、溝211の側壁が平坦である場合と比較して、圧胴24から版面に荷重を与えることに起因した溝211内におけるレジストインキ14’の長さ方向への移動が生じ難い。すなわち、版面からの印圧を有効に伝えることができる。それゆえ、溝211の側壁を波形とすると、レジストインキ14’の転移を生じ易くすることができ、したがって、インキ転移量が不十分となるのを抑制することが可能となる。
【0070】
溝211の側壁が形成する波形状は、複数の波を重ね合わせることにより得られる形状であってもよい。波の振幅は、一定であってもよく、不規則であってもよい。また、波の周期も、一定であってもよく、不規則であってもよい。なお、図10乃至図12に示す構造では、向き合った側壁の双方が波形であるが、それら側壁の一方のみが波形であってもよい。
【0071】
溝211の側壁がほぼ規則的な波形状を有している場合、その波の振幅は、例えば、溝211の幅の平均値の5%乃至50%の範囲内とする。この比が小さい場合、レジストインキ14’の転移を生じ易くする効果が小さい。この比が大きい場合、導電体パターン12の線幅が不均一になり易い。
【0072】
図12に示すように、向き合った側壁間の距離が溝211の長さ方向に沿って変化している場合、例えば、その最小値は平均値の80%以上とし、その最大値は平均値の120%以下とする。この距離の変化が小さければ、レジストインキ14’のレベリング効果により、レジストパターン14の線幅をほぼ一定とすることができる。この距離の変化が大きいと、レジストパターン14の線幅が不均一になることがある。
【0073】
シリンダ21の版面には、他の構成を採用することもできる。
図13は、図9に示すダイレクトグラビア印刷機においてグラビア版シリンダの版面に採用可能な構造のさらに他の例を概略的に示す平面図である。図14は、図13に示すシリンダのXIV−XIV線に沿った断面図である。図15は、図13に示すシリンダのXV−XV線に沿った断面図である。
【0074】
図13に示す構造では、グラビア版シリンダ21の版面には、溝211が網状に設けられている。溝211は、各分岐点で4方向に分岐しており、略正方格子形状を有している。溝211は、版面に平行な少なくとも1つの方向から見たときに底面が波形である。
【0075】
溝211の底面が波形である場合、溝211の底面が平坦である場合と比較して、溝211の底面とレジストインキ14’との接触面積をより大きくすることができる。そのため、この場合、溝211の底面が平坦である場合と比較して、圧胴24から版面に荷重を与えることに起因した溝211内におけるレジストインキ14’の長さ方向への移動が生じ難い。すなわち、版面からの印圧を有効に伝えることができる。それゆえ、溝211の底面を波形とすると、レジストインキ14’の転移を生じ易くすることができ、したがって、インキ転移量が不十分となるのを抑制することが可能となる。
【0076】
溝211の底面が形成する波形状は、複数の波を重ね合わせることにより得られる形状であってもよい。波の振幅は、一定であってもよく、不規則であってもよい。また、波の周期も、一定であってもよく、不規則であってもよい。
【0077】
溝211の底面がほぼ規則的な波形状を有している場合、その波の振幅は、例えば、溝211の深さの平均値の5%乃至50%の範囲内とする。この比が小さい場合、レジストインキ14’の転移を生じ易くする効果が小さい。この比が大きい場合、レジストインキ14’のレベリング効果が不十分となり、レジストパターン14の厚さが不均一となることがある。例えば、溝211の深さの平均値が20μmである場合、波の振幅は約8μmとしてもよい。
【0078】
図10乃至図12を参照しながら説明した構造と図13乃至図15を参照しながら説明した構造とでは、溝211は、4方向に分岐している。その代わりに、溝211は、例えば、図3及び図4に示す導電体パターン12のように3方向に分岐していてもよい。或いは、溝211は、3方向に分岐している部分と4方向に分岐している部分とを含んでいてもよい。
【0079】
図10乃至図12を参照しながら説明した構造と図13乃至図15を参照しながら説明した構造とは、組み合わせることができる。すなわち、溝211の側壁及び底面の双方が波形であってもよい。こうすると、上述した効果がより顕著となる。
【0080】
シリンダ21の版面には、他の構成を採用することもできる。
図16は、図9に示すダイレクトグラビア印刷機においてグラビア版シリンダの版面に採用可能な構造のさらに他の例を概略的に示す平面図である。図17は、図16に示すシリンダのXVII−XVII線に沿った断面図である。
【0081】
図16及び図17に示す構造では、グラビア版シリンダ21の版面には、溝211が網状に設けられている。溝211は、図1に示す導電体パターン12と同様に4方向に分岐しており、略正方格子形状を有している。
【0082】
溝211内であってその各分岐点には、柱状の突起212が設けられている。突起212は、版面に垂直な方向から見た形状が星形であり、版面に垂直な断面が順テーパ状である。また、溝211の側壁及び底面は略平坦である。
【0083】
溝211の幅が広い場合、溝211の幅が狭い場合と比較して、ドクタリングによってより多くのレジストインキ14’が掻き取られる。これと同様に、突起212を省略した場合、溝211の分岐点では、溝211のその他の部分と比較して、ドクタリングによってより多くのレジストインキ14’が掻き取られる傾向にある。このような理由で、溝211の分岐点では、他の部分と比較して、レジストインキ14’の転移量が不十分になり易い。
【0084】
突起212を設けると、溝211の分岐点からより多くのレジストインキ14’が掻き取られるのを抑制することができる。したがって、この構造を採用すると、レジストインキ14’の転移量が不十分となるのを抑制することができる。
【0085】
突起212は、様々な形状を有し得る。例えば、突起212は、錐体、先端を丸めた錐体、切頭錐体、又は柱体状であってもよい。
【0086】
突起212の版面に垂直な方向から見た形状は、星形でなくてもよい。例えば、この形状は、円形であってもよい。また、突起212の版面に垂直な断面は、順テーパ状でなくてもよい。例えば、この断面は、正方形状又は長方形状を有していてもよい。
【0087】
突起212の高さは、例えば、溝211の深さと等しくてもよい。或いは、突起212の高さは、溝211の深さよりも小さくてもよい。この場合、典型的には、突起212の高さは、溝211の深さの60%以上とする。
【0088】
各分岐点の全ての位置において、その位置から溝の側壁又は突起212までの最短距離は、例えば、溝211の開口幅と同等又はそれよりも小さくする。典型的には、分岐点の略中心に突起212を位置させ、突起212の最大径を溝211の開口幅の10%乃至70%の範囲内とする。先の径が小さければ、レジストインキ14’のレベリング効果により、レジストパターン14に突起212に対応した凹部又は孔が生じるのを防止することができる。すなわち、この場合、突起212に対応した孔が導電体パターン12に生じることはなく、それゆえ、突起212が導電体パターン12の形状精度に影響を及ぼすことはない。但し、この径が小さすぎるか又は先の距離が大きすぎると、レジストインキ14’の転移量が不十分となるのを抑制する効果が顕著には現れない。
【0089】
溝211の各分岐点には、突起212を1つのみ設けてもよい。或いは、溝211の各分岐点に、複数の突起212を設けてもよい。但し、典型的には、溝211の各分岐点には突起212を1つのみ設ける。
【0090】
図16及び図17を参照しながら説明した構造では、溝211は、4方向に分岐している。その代わりに、溝211は、例えば、図3及び図4に示す導電体パターン12のように3方向に分岐していてもよい。或いは、溝211は、3方向に分岐している部分と4方向に分岐している部分とを含んでいてもよい。
【0091】
図10乃至図12を参照しながら説明した構造及び/又は図13乃至図15を参照しながら説明した構造と、図16及び図17を参照しながら説明した構造とは、組み合わせることができる。すなわち、図16及び図17を参照しながら説明した構造において、溝211の側壁及び/又は底面を波形としてもよい。こうすると、上述した効果がより顕著となる。
【0092】
シリンダ21の版面には、さらに他の構成を採用することもできる。
図18は、図9に示すダイレクトグラビア印刷機においてグラビア版シリンダの版面に採用可能な構造のさらに他の例を概略的に示す平面図である。図19は、図9に示すダイレクトグラビア印刷機においてグラビア版シリンダの版面に採用可能な構造のさらに他の例を概略的に示す平面図である。
【0093】
図18に示す構造では、グラビア版シリンダ21の版面には、溝211が網状に設けられている。溝211は、各分岐点において、図4に示す導電体パターン12と同様に3方向に分岐している。具体的には、溝211は、各分岐点において、略T字型に分岐している。
【0094】
各分岐点において、溝211は、各々が角部を形成している第1側壁2111a及び第2側壁2111bと、一部が第1側壁2111aの一部と向き合って溝部を形成すると共に他の一部が第2側壁2111bの一部と向き合って溝部を形成している第3側壁2111cとを含んでいる。側壁2111a乃至2111cのうち第3側壁2111cのみが、分岐点の中心と向き合った部分がこれと隣り合う部分に対して先の中心に向けて突き出た突出部2112を形成している。
【0095】
なお、ここでは、理解し易いように、1つの分岐点に着目して参照符号2111ca乃至2111cを付しているが、例えば、図中上方向に隣り合う分岐点に着目した場合には、図18において参照符号2111c及び2111aで示した側壁はそれぞれ第2及び第3側壁に相当する。また、図中下方向に隣り合う分岐点に着目した場合には、図18において参照符号2111c及び2111bで示した側壁はそれぞれ第1及び第3側壁に相当する。
【0096】
この構造において、突出部2112は、図16及び図17を参照しながら説明した突起212とほぼ同様の役割を果たす。すなわち、突出部2112は、溝211の分岐点からより多くのレジストインキ14’が掻き取られるのを抑制する。したがって、この構造を採用すると、レジストインキ14’の転移量が不十分となるのを抑制することができる。
【0097】
また、この構造では、側壁2111cのみが突出部2112を形成し、側壁2111a及び2111bは突出部2112を形成していない。側壁2111cに加え、側壁2111a及び/又は2111bが突出部2112を形成していると、分岐点におけるレジストパターン14の形状精度及び膜厚均一性が不十分となり、その結果、導電体パターン12の形状精度が不十分となる可能性がある。これに対し、側壁2111cのみが突出部2112を形成している場合、レジストインキ14’のレベリング効果により、レジストパターン14の分岐点において優れた形状精度及び高い膜厚均一性を達成することができ、それゆえ、形状精度に優れた導電体パターン12を形成することができる。
【0098】
また、側壁2111cに加え、側壁2111a及び/又は2111bが突出部2112を形成している構造を採用した場合には、通常、溝211に幅が極端に狭い部分を設けることとなる。そのような溝211は、形成すること自体が難しい。図18に示す構造では、側壁2111a乃至2111cのうち側壁2111cのみが突出部2112を形成しているため、溝211の形成が比較的容易である。
【0099】
図18に示す溝211は、3方向に分岐し、図4に示す導電体パターン12とほぼ同様の構造を有している。3方向に分岐している場合、溝211は、図3に示す導電体パターン12とほぼ同様の構造を有していてもよい。
【0100】
図19に示す構造では、グラビア版シリンダ21の版面には、溝211が網状に設けられている。溝211は、各分岐点において、図1に示す導電体パターン12と同様に4方向に分岐しており、略正方格子形状を有している。
【0101】
各分岐点において、溝211は、各々が角部を形成している第1側壁2111a及び第2側壁2111bと、一部が第1側壁2111aの一部と向き合って溝部を形成すると共に他の一部が第2側壁2111bの一部と向き合って溝部を形成している第3側壁2111cと、一部が第1側壁2111aの他の一部と向き合って溝部を形成すると共に他の一部が第2側壁2111bの他の一部と向き合って溝部を形成している第4側壁2111dとを含んでいる。側壁2111a乃至2111dのうち側壁2111c及び2111dのみが、分岐点の中心と向き合った部分がこれと隣り合う部分に対して先の中心に向けて突き出た突出部2112を形成している。この構造を採用した場合も、図18を参照しながら説明したのとほぼ同様の効果を得ることができる。
【0102】
また、この構造では、側壁2111c及び2111dのみが突出部2112を形成し、側壁2111a及び2111bは突出部2112を形成していない。側壁2111c及び2111dに加え、側壁2111a及び/又は2111bが突出部2112を形成していると、分岐点におけるレジストパターン14の形状精度及び膜厚均一性が不十分となり、その結果、導電体パターン12の形状精度が不十分となる可能性がある。また、例えば、側壁2111a及び側壁2111cが突出部2112を形成し、側壁2111b及び2111dが突出部2112を形成していない場合にも、分岐点におけるレジストパターン14の形状精度及び膜厚均一性が不十分となり、その結果、導電体パターン12の形状精度が不十分となる可能性がある。
【0103】
これに対し、側壁2111c及び2111dのみが突出部2112を形成している場合、レジストインキ14’のレベリング効果により、レジストパターン14の分岐点において優れた形状精度及び高い膜厚均一性を達成することができ、それゆえ、形状精度に優れた導電体パターン12を形成することができる。
【0104】
また、側壁2111cと側壁2111a及び2111bの少なくとも一方とが突出部2112を形成している構造を採用した場合には、通常、溝211に幅が極端に狭い部分を設けることとなる。そのような溝211は、形成すること自体が難しい。図19に示す構造では、側壁2111a乃至2111dのうち側壁2111c及び2111dのみが突出部2112を形成しているため、溝211の形成が比較的容易である。
【0105】
図19に示す構造では、各分岐点に2つの突出部2112を設けている。これら突出部2112の一方は、省略してもよい。
【0106】
図18及び図19に示す構造では、例えば、各分岐点の全ての位置において、その位置から側壁までの最短距離が溝211の開口幅と同等又はそれよりも小さくなるように突出部2112を設ける。図18に示すように各分岐点に突出部2112を1つのみ設ける場合、突出部2112の突出し長は、典型的には、溝211の開口幅の30%乃至70%の範囲内とする。また、図19に示すように各分岐点に突出部2112を2つ設ける場合、突出部2112の突出し長は、典型的には、溝211の開口幅の10%乃至60%の範囲内とする。
【0107】
先の突出し長が小さければ、レジストインキ14’のレベリング効果により、レジストパターン14に突出部2112に対応した形状の凹みが生じるのを防止することができる。すなわち、この場合、突出部2112に対応した形状の凹みが導電体パターン12に生じることはなく、それゆえ、突出部2112が導電体パターン12の形状精度に影響を及ぼすことはない。但し、この突出し長が小さすぎるか又は先の距離が大きすぎると、レジストインキ14’の転移量が不十分となるのを抑制する効果が顕著には現れない。
【0108】
図10乃至図12を参照しながら説明した構造及び/又は図13乃至図15を参照しながら説明した構造と、図18及び図19を参照しながら説明した構造とは、組み合わせることができる。すなわち、例えば、図18又は図19を参照しながら説明した構造において、溝211の側壁及び/又は底面を波形としてもよい。こうすると、上述した効果がより顕著となる。
【0109】
以上説明した通り、グラビア版シリンダ21の版面に先の構造を採用すると、レジストインキ14’の転移量が不十分となるのを抑制することができる。したがって、形状精度に優れた導電体パターン12を形成することができる。例えば、レジストパターン14にピンホールや欠けが生じるのを抑制でき、それゆえ、導電体パターン12にピンホールや欠けが生じるのを抑制できる。
【0110】
また、図5乃至図9を参照しながら説明した方法では、レジストパターン14は、印刷法により形成し、フォトリソグラフィは利用しない。そのため、この方法は、フォトリソグラフィを利用する方法と比較して、レジストの使用量を大幅に低減できる。
【0111】
また、フォトリソグラフィを利用した場合にはステップ搬送方式を採用せざるを得ないのに対し、この方法では、ロール・ツー・ロール方式を採用することも可能である。したがって、この方法によると、フォトリソグラフィを利用した場合と比較して、より高い生産性を達成できる。
【0112】
この製造方法には、様々な変形が可能である。
上述した方法では、透明基材11のロールを使用している。その代わりに、積層体10’のロールを準備して、導電体層12aを設ける工程を省略してもよい。
【0113】
また、光透過性電磁波シールド部材10に関して上述したのと同様の方法により、転写基材と導電体パターン12とそれらの間に介在した粘着剤層とを含んだ転写箔を作製し、これを用いて光透過性電磁波シールド部材10を製造してもよい。すなわち、この転写箔と別途準備した透明基材11とを、接着剤層13を介して導電体パターン12と透明基材11とが向き合うように貼り合わせ、転写基材と粘着剤層との積層体を導電体パターン12から剥離してもよい。なお、粘着剤層には、粘着力が比較的弱い転写用粘着剤を使用する。
【実施例】
【0114】
以下に、本発明の実施例を記載する。
【0115】
(例1)
本例では、以下に説明する方法により図1及び図2に示す光透過性電磁波シールド部材10を製造した。なお、本例では、ロール・ツー・ロール方式を採用した。
【0116】
まず、図5に示す積層体10’を準備した。透明基材11として、厚さが125μmである無色透明のポリエチレンテレフタレートフィルムである東洋紡績社製のコスモシャイン(登録商標)を使用した。導電体層12aとしては、一方の主面を黒化処理した厚さが10μmである銅箔である三井金属鉱業社製のTQ−M2−VLPを使用した。接着剤層13の材料としては、東洋モートン社製のAEシリーズを使用した。
【0117】
透明基材11と導電体層12aとは、導電体層12aの黒化処理された主面が透明基材11と向き合うように接着剤層13を介して貼り合わせた。
【0118】
次に、図9に示すダイレクトグラビア印刷機を用いて、導電体層12a上に図6に示すレジストパターン14を形成した。レジストインキ14’としては、東洋紡績社製のエッチングレジストであるERグレードを使用した。
【0119】
印圧は2.0MPaとし、ドクターブレード圧力は0.2MPaとし、印刷速度は25m/分とした。乾燥炉25には、赤外線乾燥方式と温風乾燥方式とを組み合わせた構成を採用し、加熱時間は30秒とした。
【0120】
グラビア版シリンダ21の版面には、図16及び図17に示すのと類似の構造を採用した。具体的には、溝211は正方格子形状とし、ライン幅を20μmとし、ラインピッチを300μmとした。突起212は、直径が約5μmであり且つ溝211の深さと等しい高さを有する略円柱形とし、溝211の分岐点の中心に位置させた。
【0121】
続いて、このレジストパターン14をマスクとして用いて、導電体層12を40℃でエッチングした。エッチング液としては、比重が1.450であり、0.5mol/LのHClと25g/LのFeCl3とを含有した第二塩化鉄系エッチング液を使用した。これにより、図7に示す構造を得た。なお、導電体パターン12のライン幅は、上面側では10μmであり、底面側では14μmであった。
【0122】
次に、これを、40℃の剥離液中に2分間浸漬させて、導電体パターン12からレジストパターン14を剥離した。剥離液としては、水酸化ナトリウムを50g/Lの濃度で含有した水酸化ナトリウム水溶液を使用した。以上のようにして、図1、図2及び図8に示す光透過性電磁波シールド部材10を得た。
【0123】
(例2)
本例では、グラビア版シリンダ21の版面に以下の構造を採用したこと以外は例1で説明したのと同様の方法により図1及び図2に示す光透過性電磁波シールド部材10を製造した。すなわち、本例では、版面に図18の構造を採用すると共に、溝211の側壁を図12に示すように波形とした。具体的には、各分岐点で溝211を略T字型に3方向に分岐させ、縦方向及び横方向のラインピッチを300μmとした。突出部2112の形状は、底辺が8μmであり、高さが13μmの二等辺三角形とし、溝211の幅は、その長さ方向に沿って22μm乃至28μmの範囲内で変化させた。なお、本例では、導電体パターン12のライン幅は、上面側では15μmであり、底面側では19μmであった。
【0124】
例1及び例2に係る光透過性電磁波シールド部材10の導電体パターン12は、フォトリソグラフィを利用して形成可能な導電体パターンと同等のライン幅を有していた。また、これら光透過性電磁波シールド部材10の導電体パターン12を顕微鏡で観察したところ、断線やカケ等は殆ど発生しておらず、形状精度に優れていることを確認できた。
【0125】
また、フォトリソグラフィを利用してレジストパターン14を形成する方法では、レジスト塗布工程、露光工程、及び現像工程の3工程が必要である。これに対し、例1及び例2に係る方法では、印刷工程のみでレジストパターン14を形成することができる。加えて、フォトリソグラフィを利用する方法ではステップ搬送方式を採用せざるを得ないのに対し、例1及び例2に係る方法ではロール・ツー・ロール方式を採用している。そのため、例1及び例2に係る方法によると、フォトリソグラフィを利用する方法と比較して、2倍以上の生産性を達成することができた。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】本発明の一態様に係る方法で製造可能な光透過性電磁波シールド部材の一例を概略的に示す平面図。
【図2】図1に示す光透過性電磁波シールド部材のII−II線に沿った断面図。
【図3】図1及び図2に示す光透過性電磁波シールド部材の一変形例を概略的に示す平面図。
【図4】図1及び図2に示す光透過性電磁波シールド部材の他の変形例を概略的に示す平面図。
【図5】図1及び図2に示す光透過性電磁波シールド部材の製造方法の一例を概略的に示す断面図。
【図6】図1及び図2に示す光透過性電磁波シールド部材の製造方法の一例を概略的に示す断面図。
【図7】図1及び図2に示す光透過性電磁波シールド部材の製造方法の一例を概略的に示す断面図。
【図8】図1及び図2に示す光透過性電磁波シールド部材の製造方法の一例を概略的に示す断面図。
【図9】図5乃至図8に示す方法で利用可能なダイレクトグラビア印刷機の一例を概略的に示す図。
【図10】図9に示すダイレクトグラビア印刷機においてグラビア版シリンダの版面に採用可能な構造の一例を概略的に示す平面図。
【図11】図9に示すダイレクトグラビア印刷機においてグラビア版シリンダの版面に採用可能な構造の他の例を概略的に示す平面図。
【図12】図9に示すダイレクトグラビア印刷機においてグラビア版シリンダの版面に採用可能な構造のさらに他の例を概略的に示す平面図。
【図13】図9に示すダイレクトグラビア印刷機においてグラビア版シリンダの版面に採用可能な構造のさらに他の例を概略的に示す平面図。
【図14】図13に示すシリンダのXIV−XIV線に沿った断面図。
【図15】図13に示すシリンダのXV−XV線に沿った断面図。
【図16】図9に示すダイレクトグラビア印刷機においてグラビア版シリンダの版面に採用可能な構造のさらに他の例を概略的に示す平面図。
【図17】図16に示すシリンダのXVII−XVII線に沿った断面図。
【図18】図9に示すダイレクトグラビア印刷機においてグラビア版シリンダの版面に採用可能な構造のさらに他の例を概略的に示す平面図。
【図19】図9に示すダイレクトグラビア印刷機においてグラビア版シリンダの版面に採用可能な構造のさらに他の例を概略的に示す平面図。
【符号の説明】
【0127】
10…光透過性電磁波シールド部材、10’…積層体、10”…積層体、11…透明基材、12…導電体パターン、12a…導電体層、13…接着剤層、14…レジストパターン、14’…レジストインキ、21…グラビア版シリンダ、22…インキパン、23…ドクターブレード、24…圧胴、25…乾燥炉、24a…コア、24b…樹脂層、211…溝、212…突起、2111a…側壁、2111b…側壁、2111c…側壁、2111d…側壁、2112…突出部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基材とこれに支持された導電体パターンとを具備した光透過性電磁波シールド部材の製造方法であって、
導電体層の一方の主面上にグラビア印刷によりレジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンをマスクとして用いて前記導電体層をエッチングすることにより前記導電体パターンを形成する工程とを含み、
前記グラビア印刷は圧胴から版面に荷重を与えながらそれらの間に被印刷物を挿入して前記版面から前記被印刷物上へとインキを転移させるダイレクトグラビア印刷であり、前記版面には溝が網状に設けられ、前記溝の底面及び/又は側壁は波形であることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記底面は波形であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記側壁は波形であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
透明基材とこれに支持された導電体パターンとを具備した光透過性電磁波シールド部材の製造方法であって、
導電体層の一方の主面上にグラビア印刷によりレジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンをマスクとして用いて前記導電体層をエッチングすることにより前記導電体パターンを形成する工程とを含み、
前記グラビア印刷は圧胴から版面に荷重を与えながらそれらの間に被印刷物を挿入して前記版面から前記被印刷物上へとインキを転移させるダイレクトグラビア印刷であり、前記版面には溝が網状に設けられ、前記溝内であってその各分岐点に柱状の突起が設けられていることを特徴とする方法。
【請求項5】
透明基材とこれに支持された導電体パターンとを具備した光透過性電磁波シールド部材の製造方法であって、
導電体層の一方の主面上にグラビア印刷によりレジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンをマスクとして用いて前記導電体層をエッチングすることにより前記導電体パターンを形成する工程とを含み、
前記グラビア印刷は圧胴から版面に荷重を与えながらそれらの間に被印刷物を挿入して前記版面から前記被印刷物上へとインキを転移させるダイレクトグラビア印刷であり、前記版面には溝が網状に設けられ、前記溝の各分岐点において、前記溝は、各々が角部を形成している第1及び第2側壁と、一部が前記第1側壁の一部と向き合って溝部を形成すると共に他の一部が前記第2側壁の一部と向き合って溝部を形成している第3側壁とを含み、前記第1乃至第3側壁のうち前記第3側壁のみが、その前記分岐点の中心と向き合った部分がこれと隣り合う部分に対して前記中心に向けて突き出た突出部を形成していることを特徴とする方法。
【請求項6】
前記溝の少なくとも一部の分岐点において、前記溝は、一部が前記第1側壁の他の一部と向き合って溝部を形成すると共に他の一部が前記第2側壁の他の一部と向き合って溝部を形成している第4側壁をさらに含み、前記第4側壁の前記中心と向き合った部分はこれと隣り合う部分に対して前記中心に向けて突き出た突出部を形成していることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
透明基材とこれに支持された導電体パターンとを具備した光透過性電磁波シールド部材の製造方法であって、
導電体層の一方の主面上にグラビア印刷によりレジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンをマスクとして用いて前記導電体層をエッチングすることにより前記導電体パターンを形成する工程とを含み、
前記グラビア印刷は圧胴から版面に荷重を与えながらそれらの間に被印刷物を挿入して前記版面から前記被印刷物上へとインキを転移させるダイレクトグラビア印刷であり、
前記版面には溝が網状に設けられ、前記溝は、
前記溝の底面及び/又は側壁が波形である第1構造と、
前記溝内であってその各分岐点に柱状の突起が設けられた第2構造と、
前記溝の各分岐点において、前記溝は、各々が角部を形成している第1及び第2側壁と、一部が前記第1側壁の一部と向き合って溝部を形成すると共に他の一部が前記第2側壁の一部と向き合って溝部を形成している第3側壁とを含み、前記第1乃至第3側壁のうち前記第3側壁のみが、その前記分岐点の中心と向き合った部分がこれと隣り合う部分に対して前記中心に向けて突き出た突出部を形成している第3構造と
の2以上を有していることを特徴とする方法。
【請求項8】
前記溝は各分岐点で3方向又は4方向に分岐していることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記ダイレクトグラビア印刷はロール・ツー・ロール方式の輪転印刷であることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−283042(P2008−283042A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−126722(P2007−126722)
【出願日】平成19年5月11日(2007.5.11)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】