説明

光通信装置

【課題】 光通信装置に関し、光減衰器を挿入することなくインターフェースボードの光モジュール及び加入者側回線終端装置の光モジュールの出力光レベルを適正に自動調整する。
【解決手段】 一つまたは複数のインターフェースボードと前記インターフェースボードを監視及び制御する一つの監視制御部を備えた局側回線終端装置と、前記インターフェースボードに接続された少なくとも一つの加入者側回線終端装置と、前記加入者側回線終端装置と前記インターフェースボードとの間の光信号の授受により、前記インターフェースボードの光モジュールからの出力光レベルを前記加入者側回線終端装置での受光レベルを測定することにより、前記インターフェースボードの光モジュールの出力光レベルを自動調整する手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信装置に関するものであり、例えば、光減衰器を挿入することなくインターフェースボードの光モジュール及び加入者側回線終端装置の光モジュールの出力光レベルを調整するための構成に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、一般家庭等の加入者宅を対象とした加入者系光ファイバーネットワークシステムとして、GE-PON(Gigabit Ethernet(登録商標)-Passive Optical Network)システムが知られている。
【0003】
このGE-PONシステムでは、光ファイバーケーブルと光スターカプラー或いは光スプリッターを用いて1台の局側回線終端装置(OLT:Optical Line Terminal)と複数台の加入者側回線終端装置(ONU:Optical Network Unit)を接続しており、局側回線終端装置(OLT)と加入者側回線終端装置(ONU)との間でGbit/s単位の通信速度で双方向通信を行う。
【0004】
図8は、従来のGE-PONシステムのシステム構成図であり、局側回線終端装置50と複数の加入者側回線終端装置60とが基幹光ファイバー71と光スターカプラー72と分岐光ファイバー73を介して接続されている。局側回線終端装置50は、複数のインターフェースボード51と監視制御部56とを備えている。
【0005】
図9は、従来のGE-PONシステムのブロック図であり、各インターフェースボード51は光モジュール52とASIC(Application Specific IC)53とFPGA(Field Programmabble Gate Array)54を備えている。また、監視制御部56は、MPU(Micro-Processing Unit)57とFPGA58を備えている。一方、加入者側回線終端装置60は、光モジュール61とASIC62を備えている。
【0006】
各インターフェースボード51に搭載されている光モジュール52の出力レベルは固定となっていて、加入者側回線終端装置60とインターフェースボード51の距離に応じて、光減衰器59を取り付けることによって加入者側回線終端装置60での受光レベルを下げ、過大な受光レベルによる光モジュールの故障を防いでいる(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
即ち、従来技術では、インターフェースボード51への加入者側回線終端装置60の接続台数が少なかったり或いは接続距離が短かったりなどで強い出力光レベルを必要としない場合でも、光レベル固定で出力しているため、インターフェースボード51および加入者側回線終端装置60の光モジュール61への受光レベルが高すぎて光モジュールが故障してしまう可能性がある。
【0008】
このため、建設者が光レベルを測定し、インターフェースボード51に光減衰器59を取り付けることで光を減衰し、インターフェースボード51の光モジュール52および加入者側回線終端装置60の光モジュール61が故障しないようにしている。また、入出力レベルを測定することの出来る光モジュールも知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−200633号公報
【特許文献2】特開2008−236412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、建設者が光レベルを測定し、インターフェースボードに光減衰器を取り付ける場合、建設作業が複雑になるとともに、光減衰器の分だけ部品点数が増え、低コスト化が困難であるという問題がある。
【0011】
また、光の出力レベルを固定にしているので、一番遠方の加入者側回線終端装置との通信が可能なように、常に強い光レベルで出力しているため、消費電力・発熱が大きくなるという問題もある。
【0012】
したがって、本発明は、光減衰器を挿入することなくインターフェースボードの光モジュール及び加入者側回線終端装置の光モジュールの出力光レベルを適正に自動調整することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
開示する一観点からは、一つまたは複数のインターフェースボードと前記インターフェースボードを監視及び制御する一つの監視制御部を備えた局側回線終端装置と、前記インターフェースボードに接続された少なくとも一つの加入者側回線終端装置と、前記加入者側回線終端装置と前記インターフェースボードとの間の光信号の授受により、前記インターフェースボードの光モジュールからの出力光レベルを前記加入者側回線終端装置での受光レベルを測定することにより、前記インターフェースボードの光モジュールの出力光レベルを自動調整する手段とを備えた光通信装置が提供される。
【0014】
また、開示する別の観点からは、一つまたは複数のインターフェースボードと前記インターフェースボードを監視及び制御する一つの監視制御部を備えた局側回線終端装置と、前記インターフェースボードに接続された少なくとも一つの加入者側回線終端装置と、前記加入者側回線終端装置と前記インターフェースボードとの間の光信号の授受により、前記加入者側回線終端装置の光モジュールからの出力光レベルを前記インターフェースボードでの受光レベルを測定することにより、前記加入者側回線終端装置の光モジュールの出力光レベルを自動調整する手段とを備えた光通信装置が提供される。
【発明の効果】
【0015】
開示の光通信装置によれば、光減衰器を挿入することなくインターフェースボードの光モジュール及び加入者側回線終端装置の光モジュールの出力光レベルを適正に自動調整することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態の光モジュールの出力光レベルを自動調整する機能を備えた光通信装置のシステム構成図である。
【図2】本発明の実施の形態の光モジュールの出力光レベルを自動調整する機能を備えた光通信装置のブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態の光モジュール20の一例を示す構成図である。
【図4】本発明の実施の形態の光モジュールの出力光レベルの自動調整のシーケンスの説明図である。
【図5】本発明の実施例1のインターフェースボード初期立ち上げ時の出力光レベルの自動調整シーケンスの説明図である。
【図6】本発明の実施例2の運用時の出力光レベルの自動再調整シーケンスの説明図である。
【図7】本発明の実施例3の加入者側回線終端装置の新規接続時の出力光レベルの自動調整シーケンスの説明図である。
【図8】従来のGE-PONシステムのシステム構成図である。
【図9】従来のGE-PONシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ここで、図1乃至図4を参照して、本発明の実施の形態の光モジュールの出力光レベルを自動調整する機能を備えた光通信装置を説明する。図1は、本発明の実施の形態の光モジュールの出力光レベルを自動調整する機能を備えた光通信装置のシステム構成図であり、局側回線終端装置10と複数の加入者側回線終端装置30とが基幹光ファイバー41と光スターカプラー42と分岐光ファイバー43を介して接続されている。
【0018】
図2は、本発明の実施の形態の光モジュールの出力光レベルを自動調整する機能を備えた光通信装置のブロック図であり、局側回線終端装置10は、複数のインターフェースボード11と監視制御部16とを備えており、各インターフェースボード11は光モジュール20と光モジュール20の動作の制御及び監視を行うASIC12を備えている。なお、各インターフェースボード11は従来と同様に、FPGAも備えているが、本発明とは直接の関連がないので省略する。また、監視制御部16は、通信装置の制御及び監視を行うMPU17とFPGAを備えているが、FPGAは本発明とは直接の関連がないので省略する。
【0019】
図3は、本発明の実施の形態の光モジュール20の一例を示す構成図であり、WDM(Wavelength Division Multiplexing:波長多重分割)フィルター21、アバランシェフォトダイオード(APD)22、プリアンプ(TIA:Trans Impedance Amplifier)23、増幅器24、光アイソレーター25、半導体レーザー26、モニター用フォトダイオード27、及び、駆動回路28を備えている。
【0020】
分岐光ファイバー43からの光入力はWDMフィルター21を介してアバランシェフォトダイオード22において電気信号に変換されてプリアンプ23及び増幅器24により増幅されてデータとして出力される。
【0021】
一方、送信データは、駆動回路28により電気信号として半導体レーザー26に印加されて、光信号として、光アイソレーター25を介してWDMフィルター21から分岐光ファイバー43へ送られる。また、半導体レーザーからのモニター光をモニター用フォトダイオード27で受光し、その出力を駆動回路28にフィードバックすることによって、半導体レーザー26の出力光レベルを予め設定した値を保つように制御する。
【0022】
一方、加入者側回線終端装置30は、光モジュール31とASIC32を備えている。この光モジュール31の基本構成は、図2に示した光モジュール20と同様の構成である。
【0023】
図4は、本発明の実施の形態の光モジュールの出力光レベルの自動調整のシーケンスの説明図であり、インターフェースボードと加入者側回線終端装置の接続確立時のハンドシェイクや、運用中の定期的なやりとり、或いは、新規に加入者側回線終端装置を接続する際に、その接続での光通信に必要十分である光レベルを測定し、インターフェースボードおよび加入者側回線終端装置から出力される光レベルを調整する。
【0024】
a.まず、インターフェースボード(IF)の光モジュールから送信されている光信号をAPDで受信したONUが、その信号に対して半導体レーザーから応答信号を送信することによって、信号検出が成立する。
b.次いで、IFから監視制御部へ信号検出の通知を行う。
c.次いで、監視制御部のMPUからIFの光モジュールの出力光レベル及びONUの光モジュールの出力光レベルの調整開始の要求を指令する。
d.次いで、指令に基づいて、IFはその旨の信号を、IFの半導体レーザーの初期レベル強度の光出力によりONUへ送信して、ONUの受光レベルと出力レベルを要求する。
e.次いで、ONUの光モジュールのAPDによりIFからの光信号を検出して、その出力をASICに出力し、ASICはその受光レベルについての情報をONUの光モジュールの半導体レーザーの初期レベル強度の光信号によりIFに送信することで、ONU受光レベル応答及び出力レベル応答を実行する。
f.次いで、IFの光モジュールのAPDがこの光信号を検出して、光信号中の受光レベル情報により、IFの光モジュールの半導体レーザーの出力光レベルが適正範囲内であるか否かを、IFに備えたASICで判定する。また、それと並行して、IFの光モジュールのAPDの受光レベルにより、ONUの光モジュールの半導体レーザーの出力レベルが適正な範囲内であるか否かをIFに備えたASICで判定する。適正範囲でない場合には、IF或いはONUに備えたASICにより光モジュールの駆動回路へ制御信号を送り、駆動回路により各半導体レーザーへの駆動電圧を制御し、それぞれの半導体レーザーの出力光レベルが適正になるまで、光信号のやり取りを繰り返す。なお、出力光レベルが適正になった場合の駆動電圧値は各ASICにメモリする。
g.次いで、各半導体レーザーの出力光レベルが適正になった場合には、出力光レベル調整終了応答を監視制御部へ送信し、監視制御部では、設定した各出力光レベルに関する情報をMPUにメモリすることによって、出力光レベル調整が終了する。
【0025】
このように、本発明の実施の形態においては、インターフェースボードおよび加入者側回線終端装置の出力光レベルを調整することで、消費電力を抑えることができる。また、本発明により光減衰器を取り付ける必要がなくなるので、利便性が向上する。
【実施例1】
【0026】
以上を前提として、次に、図5を参照して、本発明の実施例1の出力光レベルの自動調整シーケンスを説明する。図5は、本発明の実施例1のインターフェースボード初期立ち上げ時の出力光レベルの自動調整シーケンスの説明図である。
【0027】
a.まず、IFの初期立ち上げを行う。
b.次いで、IFの光モジュールから送信されている光信号をAPDで受信したONUが、その信号に対して半導体レーザーから応答信号を送信することによって、信号検出が成立する。
c.次いで、IFから監視制御部へ信号検出の通知を行うことによって、IF初期立ち上げと信号検出通知が完了する。
d.次いで、監視制御部のMPUからIFの光モジュールの出力光レベル及びONUの光モジュールの出力光レベルの調整開始の要求を指令する。
e.次いで、指令に基づいて、IFはその旨の信号を、IFの半導体レーザーの初期レベル強度の光出力によりONUへ送信して、ONUの受光レベルと出力レベルを要求する。
f.次いで、ONUの光モジュールのAPDによりIFからの光信号を検出して、その出力をASICに出力し、ASICはその受光レベルについての情報をONUの光モジュールの半導体レーザーの初期レベル強度の光信号によりIFに送信することで、ONU受光レベル応答及び出力レベル応答を実行する。
g.次いで、IFの光モジュールのAPDがこの光信号を検出して、光信号中の受光レベル情報により、IFの光モジュールの半導体レーザーの出力光レベルが適正範囲内であるか否かを、IFに備えたASICで判定する。また、それと並行して、IFの光モジュールのAPDの受光レベルにより、ONUの光モジュールの半導体レーザーの出力レベルが適正な範囲内であるか否かをIFに備えたASICで判定する。それぞれの半導体レーザーの出力光レベルが適正になるまで、光信号のやり取りを繰り返し、出力光レベルが適正になった場合の駆動電圧値は各ASICにメモリする。
h.次いで、各半導体レーザーの出力光レベルが適正になった場合には、出力光レベル調整終了応答を監視制御部へ送信し、監視制御部では、設定した各出力光レベルに関する情報をMPUにメモリすることによって、一つのONUについての出力光レベル調整が終了する。
i.次いで、監視制御部のMPUが、出力光レベル調整が終了したONUは最後のONUか否かを判定して、最後のONUの出力光レベル調整が終了するまで同様のシーケンスを繰り返す。
j.次いで、最後のONUの出力光レベル調整が終了すると、MPUにメモリしたIFの光モジュールの半導体レーザーの各ONU毎に設定した出力光レベルの中での最大の出力光レベルの値に設定するようにIFのASICにその設定値をメモリすることによって、接続が確立する。
【0028】
このように、本発明の実施例1においては、インターフェースボードの初期立ち上げ時の接続確立前のOLTとONUとの間の光信号のやり取りによって各光モジュールに設けた半導体レーザーの出力光レベルを適正値に自動調整しているので、各インターフェースボード毎に光減衰器を設ける必要がなくなる。
【実施例2】
【0029】
次に、図6を参照して、本発明の実施例2の出力光レベルの自動調整シーケンスを説明する。図6は、本発明の実施例2の運用時の出力光レベルの自動再調整シーケンスの説明図である。
【0030】
a.まず、監視制御部において、運用時において、予め設定した再調整時間の到来を検知する。この再調整時間は、OLTに接続されているONUの運用環境等により再調整頻度が異なるので、OLTの監視制御部に運用環境に応じて再調整時間を変更する機能を持たせる。なお、再調整頻度は、例えば、1回/日であり、再調整に必要な所要時間は、例えば、数秒程度である。
b.次いで、監視制御部からIFへ出力光レベル再調整要求を行う。
c.次いで、指令に基づいて、再調整の必要があるか否かを確認し、必要がある場合のみに、運用を中断して、IFはその旨の信号を、IFの半導体レーザーの運用のために設定した強度の光出力によりONUへ送信して、ONUの受光レベルと出力レベルを要求する。
d.次いで、ONUの光モジュールのAPDによりIFからの光信号を検出して、その出力をASICに出力し、ASICはその受光レベルについての情報をONUの光モジュールの半導体レーザーの運用のために設定した強度の光信号によりIFに送信することで、ONU受光レベル応答及び出力レベル応答を実行する。
e.次いで、IFの光モジュールのAPDがこの光信号を検出して、光信号中の受光レベル情報により、IFの光モジュールの半導体レーザーの出力光レベルが適正範囲内であるか否かを、IFに備えたASICで判定する。また、それと並行して、IFの光モジュールのAPDの受光レベルにより、ONUの光モジュールの半導体レーザーの出力レベルが適正な範囲内であるか否かをIFに備えたASICで判定する。それぞれの半導体レーザーの出力光レベルが適正になるまで、光信号のやり取りを繰り返し、出力光レベルが適正になった場合の駆動電圧値は各ASICにメモリする。
f.次いで、各半導体レーザーの出力光レベルが適正になった場合には、出力光レベル調整終了応答を監視制御部へ送信し、監視制御部では、設定した各出力光レベルに関する情報をMPUにメモリすることによって、一つのONUについての出力光レベル再調整が終了する。出力光レベル再調整が終了すると接続を確立して再び運用を開始する。このような、出力光レベルの再調整を各ONUの運用環境に応じて設定した再調整時間に基づいて順次実行する。
【0031】
このように、本発明の実施例2においては、運用中に定期的に出力光レベルを自動再調整しているので、運用環境の変化により必要とされる出力光レベルより強い出力光レベルで出力されていた場合に、出力を適正値に再調整しているので、省電力化が可能になる。例えば、環境温度が低下した場合には、半導体レーザーの光出力は増加する。
【0032】
また、運用環境によって分岐光ファイバーが劣化して伝送される光信号が減衰して光通信が不安定になる場合には、定期的な再調整によりIFの光モジュール及びONUの光モジュールの出力光レベルを高めるように再調整するので、安定した光通信を実現することができる。
【実施例3】
【0033】
次に、図7を参照して、本発明の実施例3の出力光レベルの自動調整シーケンスを説明する。図7は、本発明の実施例3の加入者側回線終端装置の新規接続時の出力光レベルの自動調整シーケンスの説明図である。
【0034】
a.まず、IFの光モジュールから定期的に送信されている光信号を新規接続ONUのAPDで受信し、その信号に対して半導体レーザーから応答信号を送信することによって、信号検出が成立する。
b.次いで、IFから監視制御部へ信号検出の通知を行う。
c.次いで、監視制御部からのIFへ新規接続ONUの出力光レベル調整要求を行う。
d.次いで、指令に基づいて、IFはその旨の信号を、新規接続ONUへ送信して、新規接続ONUの受光レベルと出力レベルを要求する。
【0035】
この時、新規接続ONUとOLTとの距離が、現在接続されている他のONUより離れた距離にあり、定期的に調整した運用中のIFの光モジュールの出力光レベルが十分でないために新規接続ONUまで光信号が届かず、新規接続ONUが接続されたことが検出されない場合がある。
【0036】
そこで、IFの光モジュールの出力光レベルを定期的に調整した出力光レベルより強いレベルに設定した光信号を送信する。但し、現在接続されている他のONUの光モジュールのAPDが損傷を受けない許容範囲内の出力光レベルとする。
【0037】
e.次いで、新規接続ONUの光モジュールのAPDによりIFからの光信号を検出して、その出力をASICに出力し、ASICはその受光レベルについての情報を新規接続ONUの光モジュールの半導体レーザーの運用のために設定した強度の光信号によりIFに送信することで、新規接続ONU受光レベル応答及び出力レベル応答を実行する。
f.次いで、IFの光モジュールのAPDがこの光信号を検出して、光信号中の受光レベル情報により、IFの光モジュールの半導体レーザーの出力光レベルが適正範囲内であるか否かを、IFに備えたASICで判定する。また、それと並行して、IFの光モジュールのAPDの受光レベルにより、新規接続ONUの光モジュールの半導体レーザーの出力レベルが適正な範囲内であるか否かをIFに備えたASICで判定する。それぞれの半導体レーザーの出力光レベルが適正になるまで、光信号のやり取りを繰り返し、出力光レベルが適正になった場合の駆動電圧値は各ASICにメモリする。
g.次いで、各半導体レーザーの出力光レベルが適正になった場合には、出力光レベル調整終了応答を監視制御部へ送信し、監視制御部では、MPUにメモリしたIFの光モジュールの半導体レーザーの新規接続ONUを含む全てのONU毎に設定した出力光レベルの中での最大の出力光レベルの値に設定するようにIFのASICにその設定値をメモリすることによって、接続が確立する。
【0038】
このように、本発明の実施例3においては、ONUを新規に追加接続した場合に、インターフェースボードの出力光レベルを定期的に調整した出力光レベルより強いレベルに設定して光信号を送信しているので、新規接続ONUの接続を確実に検出して接続確立を行うことができる。
【0039】
以上、実施例1乃至実施例3を含む本発明の実施の形態を説明してきたが、本発明は、上で説明した構成に限られるものではなく、各種の変更が可能である。例えば、図2に示した光モジュールは一例にすぎず、上記の特許文献1或いは特許文献2をはじめとする公知文献に示された各種の光モジュールにも適用されるものである。
【0040】
また、図1に示したGE−PONシステムは、二重化していないが、安全を高めるために加入者側回線終端装置側に正常時使用光モジュールと異常時使用光モジュールを備えた二重化GE−PONシステム(例えば、特開2008−227782号公報参照)にも適用されるものである。この場合には、接続確立に先立って、正常時使用光モジュールと異常時使用光モジュールの両者に対して出力光レベルを自動調整することになる。
【0041】
また、上記の実施例1乃至実施例3を含む本発明の実施の形態においては、基幹光ファイバーから分岐光ファイバーへ光分岐する際に光スターカプラーを用いているが、光スターカプラーの代わりに、多段構成した光スプリッターを用いても良い。
【符号の説明】
【0042】
10,50 局側回線終端装置
11,51 インターフェースボード
12 ASIC
16,56 監視制御部
17,57 MPU
20,52 光モジュール
21 WDMフィルター
22 アバランシェフォトダイオード
23 プリアンプ
24 増幅器
25 光アイソレーター
26 半導体レーザー
27 モニター用フォトダイオード
28 駆動回路
30,60 加入者側回線終端装置
31,61 光モジュール
32,53,62 ASIC
41,71 基幹光ファイバー
42,72 光スターカプラー
43,73 分岐光ファイバー
54,58 FPGA
59 光減衰器


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つまたは複数のインターフェースボードと前記インターフェースボードを監視及び制御する一つの監視制御部を備えた局側回線終端装置と、
前記インターフェースボードに接続された少なくとも一つの加入者側回線終端装置と、
前記加入者側回線終端装置と前記インターフェースボードとの間の光信号の授受により、前記インターフェースボードの光モジュールからの出力光レベルを前記加入者側回線終端装置での受光レベルを測定することにより、前記インターフェースボードの光モジュールの出力光レベルを自動調整する手段と
を備えた光通信装置。
【請求項2】
一つまたは複数のインターフェースボードと前記インターフェースボードを監視及び制御する一つの監視制御部を備えた局側回線終端装置と、
前記インターフェースボードに接続された少なくとも一つの加入者側回線終端装置と、
前記加入者側回線終端装置と前記インターフェースボードとの間の光信号の授受により、前記加入者側回線終端装置の光モジュールからの出力光レベルを前記インターフェースボードでの受光レベルを測定することにより、前記加入者側回線終端装置の光モジュールの出力光レベルを自動調整する手段と
を備えた光通信装置。
【請求項3】
前記光モジュールの出力光レベルを自動調整する手段が、前記加入者側回線終端装置と前記インターフェースボードとの接続確立前のハンドシェークにおいて、前記出力光レベルを自動調整するための光信号の授受を行う機能を有する請求項1または請求項2に記載の光通信装置。
【請求項4】
前記光モジュールの出力光レベルを自動調整する手段が、運用中に定期的に前記出力光レベルを自動調整するための光信号の授受を行う機能を有する請求項1または請求項2に記載の光通信装置。
【請求項5】
前記光モジュールの出力光レベルを自動調整する手段が、前記インターフェースボードの初期立ち上げ時に、前記出力光レベルを自動調整するための光信号の授受により前記各加入者側回線終端装置に対して求めた適正な出力光レベルの内の最大値を前記インターフェースボードの光モジュールの出力光レベルとして設定する機能を有する請求項1に記載の光通信装置。
【請求項6】
前記光モジュールの出力光レベルを自動調整する手段が、前記局側回線終端装置に新規な加入者側回線終端装置が接続された時に、前記出力光レベルを自動調整するための光信号の授受を行う機能を有する請求項1または請求項2に記載の光通信装置。
【請求項7】
前記出力光レベルを自動調整するための光信号の授受における前記インターフェースボードの光モジュールからの出力光レベルが、運用時に設定した出力光レベルより高く且つ既接続の前記加入者側回線終端装置の光モジュールの許容入力光レベルより低い範囲に設定する機能を有する請求項5に記載の光通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−151739(P2012−151739A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−9892(P2011−9892)
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(000237662)富士通テレコムネットワークス株式会社 (682)
【Fターム(参考)】