説明

光電子位置合わせシステム及び方法

【課題】生産性を低下させ製造コストを上げることのないレンズと電子装置の高精度位置合わせ方法を提供する。
【解決手段】1つ以上のレンズを1つ以上の光電子装置に位置合わせすることが、ベースと外側リング16とを有するほぼ円筒形の筐体12を備えたアライナー装置によって支援される。このベースは1つ以上の開口を有し、その1つが第1の光電子装置用開口20である。この第1の光電子装置用開口20は、ほぼ円筒形で外側リング16と同軸であり、かつアライナー装置の中心軸と同軸である。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
光通信システムでは、レーザなどの光電子式光源装置又はフォトダイオードなどの光電子式光受信装置を光ファイバーなどの他のシステム部品に結合することが一般に必要である。コリメータ・レンズや集束レンズが一般に、それぞれ、光源装置や光受信装置の直前に搭載されている。光源装置、光受信装置及びレンズ又は他の光学部品は、光電子モジュールの中に一体化することができる。そのようなモジュールは、通常、光源装置に対して電気的インターフェースを提供するドライバ用集積回路チップ、及び光受信装置に対して電気的インターフェースを提供する受信機用集積回路チップなどの1つ以上の電子装置も備えている。光受信装置は、そこに入射する光信号を電気信号に変換し、その電気信号は受信機用集積回路チップを経由して、トランシーバ・モジュールから出力される。同様に、光源装置は、受信機用集積回路チップを経由してトランシーバ・モジュールに入力された電気信号に応答して、光信号を出射する。
【0002】
レンズを光電子装置と位置合わせすることは、難しい問題になることがある。一般に受動的位置合わせと呼ばれる1つのレンズ位置合わせ方法には、X−Y精密アライナー(X-Y precision aligner)として周知の装置を用いる方法が含まれる。このX−Y精密アライナーは、装置の寸法に基づいて、レンズを光電子装置と一直線になるようにトランシーバ・モジュールの一部の上に配置するロボット装置である。一般に能動位置合わせと呼ばれる別の位置合わせ方法には、レンズを光電子装置とほぼ一直線になるように配置する同様の装置を使用する方法が含まれる。このとき装置は通電されて、光源からの光出力レベル又は光受信機の光感知レベルの測定値を示すフィードバック信号に基づいて、測定値が最大にされるレンズ位置が見つかるまで、レンズ位置を調整する。これらの装置は両方とも速度が遅く、結果として製造業生産高(すなわち、1時間当たりの生産数)が低い。さらに、装置は高価である。比較的低い製造業生産高と高い製造費用との組合せにより、製造されるトランシーバ・モジュールに対する費用が影響される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の実施形態は、1つ以上のレンズを光電子システム内の1つ以上の光電子装置に位置合わせする方法に関する。位置合わせは、ベースと外側リングとを有するほぼ円筒形の筐体を備えたアライナー装置により支援される。このベースは1つ以上の開口を有し、その1つは第1の光電子装置用開口である。この第1の光電子装置用開口は外側リングと同軸であり、かつアライナー装置の中心軸と同軸である。
【0004】
位置合わせ方法は、第1の光電子装置用開口の中に光電子装置を配置するステップを含むことができる。光電子装置の周辺部は、第1の光電子装置用開口の中にぴったり適合する寸法である。例えば、周辺部が正方形の光電子装置は、光電子装置の正方形に外接する円形の第1の光電子装置用開口の中に押し込まれることができる。第1の光電子装置用開口の周辺部は、光電子装置を中心軸に対して位置合わせし、かつ光電子装置をアライナー装置に対して動かないように保持するためのアライメント面を提供する。少なくとも1つのレンズを含むレンズ装置などの光学装置は、アライナー装置の外側リングと嵌め合うことができる。光学装置及び外側リングは、光学装置が光電子装置と位置合わせするためかつ光学装置をアライナー装置に対して動かないように保持するための嵌め合いアライメント面を有する。
【0005】
光電子トランシーバの一部又は構体などのシステムは、アライナー装置をプリント回路基板、フレキシブル・プリント回路、リード・フレーム、又はセラミック基板などのほぼ平面な基板に取り付けることによって構成されうる。
【0006】
他のシステム、方法、特徴、及び利点は、下記の図面及び詳細な説明を考察すれば、当業者には明白になるであろう。全てのそのような付加的なシステム、方法、特徴及び利点は、この説明の中又はこの明細書の範囲の中に含まれるか、添付している請求項によって保護されるものと考えられる。
【0007】
下記の図面を参照することにより、本発明はより良く理解されることができる。図面内の構成要素は必ずしも寸法どおりではないが、その代わりに本発明の原理を明確に例示することに重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の具体例としての実施形態によるアライナー装置の上部平面図である。
【図2】図1のアライナー装置の側面図である。
【図3】本発明の具体例としての実施形態による回路基板の上部平面図である。
【図4】図3の基板上に搭載された図1〜図2のアライナー装置の斜視図であり、結果として生じた構体の前部を示している。
【図5】図1〜図2のアライナー装置の後部斜視図である。
【図6】図4と同様の図であり、構体の後部を示している。
【図7】光電子装置がアライナー装置内の第1及び第2の開口に搭載された、図4及び図6の前面の上部平面図である。
【図8】電子回路装置がアライナー装置内の第3及び第4の開口の中に搭載された、図7に類似した図である。
【図9】本発明の具体例としての実施形態によるレンズ装置の斜視図であり、このレンズ装置の後部を示している。
【図10】図9に類似した図であり、レンズ装置の前面を示している。
【図11】図9〜図10のレンズ装置がアライナー装置に取り付けられた、図8の構体の斜視図である。
【図12】図11の構体の側面図であり、レンズ装置のアライナー装置に対するレーザ溶接を示している。
【図13】本発明の別の具体例としての実施形態によるレンズ装置の斜視図であり、レンズ装置の後部を示している。
【図14】図1〜図2のアライナー装置を形成するための金型の斜視図である。
【図15】本発明の別の具体例としての実施形態によるアライナー装置の別の構体、基板及びレンズ装置の上部平面図である。
【図16】本発明のさらに別の具体例としての実施形態によるアライナー装置の別の構体、基板及びレンズ装置の上部平面図である。
【図17】本発明の具体例としての実施形態に基づいて、1つ以上のレンズを1つ以上の光電子装置に位置合わせする方法を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1〜図2に例示されているように、本発明の例証となる又は具体例としての実施形態では、アライナー装置10は、円盤形又は円筒形の筐体12を有する。筐体12は一方の端部近くに、すなわち、筐体12に凹所が作られたベース14を有する。全体的に円筒形を画定する筐体12のほぼ円筒形の外側リング16は、面取りエッジ18を有する。ベース14は、第1の光電子装置用開口20、第2の光電子装置用開口22、第1の電子装置用開口24、及び第2の電子装置用開口26を備えている。第1及び第2の光電子装置用開口20及び22は、ほぼ円筒形である。第1の光電子装置用開口20は外側リング16と同軸であり、かつアライナー装置10の中心軸28(図2)とも同軸である。これらの開口は、下記に説明される方法で使用される。具体例としての実施形態では、筐体10は4個の上述の開口を有するが、他の実施形態では、同様のアライナー装置用筐体はそのような開口をさらに多く又は少なく有することができる。筐体12は、例えば、剛性の成形用プラスチック材料から作ることができる。光学装置で一般に使用される剛性の成形用プラスチック材料は、SABIC社(以前のGeneral Electric Plastics Division)から販売されているULTEM(登録商標)ポリエーテルイミドである。液晶ポリマーは、好適な剛性の成形用プラスチック材料の別の例である。
【0010】
第1及び第2の光電子装置用開口20おび22は、それぞれ、面取りエッジ30及び32を有する。第1及び第2の光電子装置用開口20おび22は、それぞれ、直線縁取り部分34及び36も有している。このため、第1及び第2の光電子装置用開口20及び22は、「ほぼ」円形であるに過ぎず、厳密に又は正確に円形ではない。直線縁取り部分34及び36は、面取りエッジ30及び32に沿って面取りされている。外側リング16は、面取りエッジ18に沿って面取りされた同様の直線縁取り部分40を有する。
【0011】
具体例としての実施形態では、筐体12の外面は円筒形であり、かつその内側は直線縁取り部分40を除いて円筒形であるが、別の実施形態では、筐体12は、金型からの剥離を容易にする形態などの、厳密に又は正確に円筒形ではないがほぼ円筒形であるような別の形態とすることができる。それにもかかわらず、筐体12は、後でさらに詳細に説明されるように、中心軸28に関して対称的に形成される機構を有する少なくとも概ね円筒形である。
【0012】
図3〜図6に例示されているように、アライナー装置10は、プリント回路基板42又は、別の実施形態では、フレキシブル・プリント回路、メタル・リード・フレーム(図示せず)、又はセラミック基板などの任意の他の適当な基板上に取り付けられることができる。プリント回路基板42の前面又は上面は、電気接点44、導体パッド46、及びヒート・シンク・パッド部分48(図3)を備えている。2つの取付け穴50は、前面と背面との間の回路基板42を通って延長する。プリント回路基板42の背面すなわち底面は、プリント回路基板42を貫通するバイア・ホールすなわちめっきスルーホール(図示せず)を通ってヒート・シンク・パッド部分48に結合されたヒート・シンク・トレース52(図6)を有する。アライナー装置10のベース14(図5)の背面上の突起54は取付け穴50を通って延長して、アライナー装置10をプリント回路基板42に固定するために熱ステイク(heat-staked)されることができる。具体例としての実施形態では、一対の突起54及び対応する取付け穴50がアライナー装置10を取り付けるために使用されるが、別の実施形態では、任意の他の適当な取付け構造が使用されうる。
【0013】
図7に例示されているように、レーザ又は同様な光源などの第1の光電子装置56は、第1の光電子装置用開口20の中に配置されることができる。同様に、フォトダイオード又は同様な光受信機などの第2の光電子装置58は、第2の光電子装置用開口22内に配置されることができる。具体例としての実施形態では、光源と光受信機とが使用されるが、別の実施形態では、任意の他の適当な1つ以上のそのような光電子装置の組を使用できる。例えば、別の実施形態(図示せず)では、2つ以上の光源又は2つ以上の光受信機を使用をすることができる。システムに集積回路チップ又は他の電子部品を実装するために、従来から使用されている種類の従来型ロボット式ピック・アンド・プレイス機械が、第1及び第2の光電子装置56及び58を、それぞれ、第1及び第2の光電子装置用開口20及び22の中に配置するために使用することができる。面取りエッジ30及び32は、第1及び第2の光電子装置56及び58を第1及び第2の光電子装置用開口20及び22に導くのに役立つ。この方法で取り付けられると、正方形の形状すなわち周辺部を有する第1及び第2の光電子装置56及び58のコーナは、第1及び第2の光電子装置用開口20及び22の円形の周辺部に正確に接触する。2つの嵌め合い部品が共にぴったりと嵌合する又は互いにごくわずかに接触するようなこの種の嵌合は、トランジショナル嵌合(transitional fit)として技術的に周知である。トランジショナル嵌合は、部品を開口に押し込むためにある程度の力をそれに加える必要がある摩擦嵌合(friction fit)と対比することができる。トランジショナル嵌合は、開口の全ての寸法が対応する部分の寸法よりも大きいクリアランス嵌合とも対比することができる。
【0014】
さらに、直線縁取り部分34及び36は、第1及び第2の光電子装置56及び58の直線エッジとの位置合わせを促進することによって、第1及び第2の光電子装置56及び58を第1及び第2の光電子装置用開口20及び22の中に向けるのに有用である。直線縁取り部分34及び36はまた、アライナー装置10に加わる回転運動に対して第1及び第2の光電子装置56及び58を保持する一助となる。
【0015】
その上、上述の方法で取り付けられると、第1の光電子装置56はヒート・シンク・パッド部分48(図3)に接触する。このヒート・シンク・パッド部分48は、余分な熱を第1の光電子装置56からヒート・シンク・トレース52(図6)に伝導することができる。第1及び第2の光電子装置56及び58の背面は、エポキシなどの適当な接着剤を用いてプリント回路基板42に固着することができる。エポキシが硬化する前に第1及び第2の光電子装置56及び58からしみ出た少量の余分なエポキシは、第1及び第2の光電子装置56及び58のエッジと第1及び第2の光電子装置用開口20及び22の周辺部との間の間隙に害を及ぼさない形で漏れることができる。
【0016】
図8に例示されているように、ドライバ回路を有する集積回路チップなどの第1の電子装置60が、第1の電子装置用開口24の中に配置され、また受信機回路を有する集積回路チップなどの第2の電子装置62が、第2の光電子装置用開口26の中に配置することができる。従来のピック・アンド・プレイス装置は、第1及び第2の電子装置60及び62を配置するために使用することができる。第1及び第2の電子装置用開口24及び26の形状は、第1及び第2の電子装置60及び62の形状と一致させることができるため、配置するのに役立つ。ワイヤ・ボンド64により、第1及び第2の電子装置60及び62が導体パッド46(図7)に電気的に接続されることができる。同様に、他のワイヤ・ボンド66により、第1及び第2の光電子装置56及び58が第1及び第2の電子装置60及び62に電気的に接続することができる。
【0017】
図9〜図11に例示されているように、レンズ装置70は、アライナー装置10の外側リング16に装着することができる。レンズ装置70は、アライナー装置10が作られている材料と同じULTEM(登録商標)ポリエーテルイミドなどの光学材料から作られる。レンズ装置70は、内側リング78内の円形領域76に2つのレンズ72及び74(図9)を有する。内側リング78は、アライナー装置10の外側リング16の中へのぴったりとした嵌合、すなわち、トランジショナル嵌合を有する。アライナー装置10の面取りエッジ18(図8)は、レンズ装置70を図11に示された装着位置に導入するのに有効である。内側リング78の外周は、外側リング16の直線縁取り部分40(図8)に形状及び位置が一致する直線縁取り部分80(図9)を含んでいる。このため、レンズ装置70は、レンズ装置70の直線縁取り部分80がアライナー装置10の直線縁取り部分40と接触するようにアライナー装置10に向けられて、内側リング78にトランジショナル嵌合で又は、別の方法では、摩擦嵌合で装着される。この方法で装着されることで、レンズ70は、第1の光電子装置10により中心軸28(図2)に沿って位置合わせされ、レンズ72は、同様に第2の光電子装置22により位置合わせされる。
【0018】
レンズ装置70は、レンズ装置70が外側リング16に装着されるとき、アライナー装置10の外側リング16と接触するフランジ82を有している。レンズ装置70は、さらに、面取りされた円形の開口86及び面取りされた直線縁取り部分88を有する鏡胴部分84を備えている。それらは、光ケーブルのフェルール(図示せず)などの他の光学部品を取り付けるのに役立つ。図12に例示されているように、レーザ溶接ビーム90が、レンズ装置70をアライナー装置10に溶接するためにフランジ82の周りに向けられる。レンズ装置70は、前に参照されたULTEM(登録商標)ポリエーテルイミドなどの材料から作ることができる。この樹脂はレーザ溶接ビーム90の波長に対して光学的に透明であるが、アライナー装置10はこの波長を吸収するように着色された同様の材料から作られるため、溶接熱を発生する。接着剤を用いるような、レンズ装置70をアライナー装置10に固定する他の方法も適当であるが、この方法のレーザ溶接は半密封シールを提供することができる。
【0019】
レンズ装置70に類似した別のレンズ装置92が、図13に例示されている(同じ部品は、70’、72’、74’、及び84’などの「主要な」記号を有する同じ参照番号によって表される)。レンズ装置92は、円形プロフィールではなく正方形プロフィールを有する内側部分94を含む。正方形プロフィールの角は、アライナー装置10の外側リング16の中に適合する(すなわち、トランジショナル嵌合、又は、別の方法では、摩擦嵌合)。
【0020】
図14に例示されているように、モールド96は、アライナー装置10を製造するために使用されることができる。モールド96は、外側リング機構98、第1の光電子装置用開口機構100、第2の光電子装置用開口機構102、第1の電子装置用開口機構104、第2の電子装置用開口機構106などの、アライナー装置10に関して上述の機構に対応する機構を備えている。このため、モールド96は、前に参照されたULTEM(登録商標)ポリエーテルイミドなどの適当な熱可塑性材料で充填されて、そこからアライナー装置10が成形することができる。そのような成形動作(例えば、射出成形)は技術的に周知であるため、それらの動作は本願ではより詳細には説明しない。
【0021】
モールド96は、第1の光電子装置用開口機構100、外側リング機構102、又は回転軸108と同軸の又はそれと対称的な他のほぼ円形又は円筒形の機構を形成するために、ダイヤモンド旋盤又は同様の装置(図示せず)を用いて極めて精密な寸法を持つように形成することができる。適当な金属などのモールド材料の一部が旋盤に取り付けられて回転軸108の周りを回転すると、第1の光電子装置用開口機構100を、回転軸108に関して高精度でモールド材料の中で作ることができる。例えば、第1の光電子装置用開口機構100は、従来のダイヤモンド旋盤上で、望ましい半径の約1ミクロン以内の半径を有するように作られる。同様に、モールド材料(ワークピース)が旋盤上に取り付けられた状態の場合、外側リング機構98が同じ精度で作られる。このように、ダイヤモンド旋盤又は同様の正確な機械を使用すると、外側リング機構98の半径は、第1の光電子装置用開口機構100の半径に対して極めて正確に一致させることができる。第1の光電子装置用開口機構100は、極めて正確に外側リング機構98と同軸に作ることができる。このため、モールド96がこの方法で作られる場合、モールド96を用いてアライナー装置10を作ることにより、外側リング16の半径に極めて正確に関連した第1の電子装置用開口20の半径を、結果的に得る。第1の光電子装置用開口20も、外側リング16と極めて正確に同軸になる。
【0022】
このように、第1の光電子装置56のコーナと第1の光電子装置用開口20の円形の周辺部との間のトランジショナル嵌合が、極めて正確に提供されることができる。さらに、第1の光電子装置用開口20と外側リング16との間の位置合わせが、この精度を利用できる。このため、レンズ装置70がアライナー装置10に上述の方法で取り付けられるとき、レンズ72は極めて正確に第1の光電子装置56と位置合わせされる。
【0023】
動作に当たっては、レンズ装置70に結合された光ファイバー・ケーブル(図示せず)又は他の装置の光ファイバーの端部から受光された光は、レンズ74によって第2の光電子装置22に集束される。第2の光電子装置22は、具体例としての実施形態では、フォトダイオードなどの光受信機であり、入射した光によって表される光信号に応答して電気信号を発生する。第1の電子装置60はこれらの電気信号を処理し、そして電気接点44を経由して対応する出力信号を出力する。また、第2の電子装置62は、電気接点44を経由した入力信号を受信及び処理する。第1の光電子装置20は、具体例としての実施形態では、レーザなどの光源であり、第2の電子装置62から受信した電気信号に応答して光信号を出射する。レンズ装置70のレンズ72は、第1の光電子装置20が出射した光を平行にして、レンズ装置70に結合された光ファイバー・ケーブル又は他の装置の別の光ファイバー(図示せず)の端部に向けられたビームにする。
【0024】
別の実施形態が、図15に例示されている。この実施形態では、2つのアライナー装置110及び112が基板114に取り付けられている。第1の光電子装置116が、上述の実施形態と同様な方法で、アライナー装置110内の開口118に取り付けられている。同様に、第2の光電子装置120が、アライナー装置112の中の開口122内に取り付けられている。すなわち、アライナー装置110及び112並びにそれらの開口118及び122は、それぞれ、アライナー装置10及びその第1の光電子装置用開口20が製造されかつ使用される上述の方法と同様の方法で、製造及び使用されることができる。上述のレンズ装置70と同様のレンズ装置124及び126が、それぞれ、アライナー装置110及び112に取り付けられることができる。例示された実施形態では、光電子装置116及び120の一方を光源に、また他方を光受信機にすることができる。しかしながら、別の実施形態では、それらは両方とも光源に、又は別の方法では、それらは両方とも光受信機にすることができる。電子装置128も基板114に装着されて、アライナー装置110及び112の両方に電気的に接続されることができる。さらに別の実施形態(図示せず)では、別個のアライナー装置の中に搭載された2つの光電子装置のそれぞれが、別個の電子装置に接続されることができる。基板114は、別の方法では、上述の基板42と同様にして、例えば、電気接点130のアレイ、ヒート・シンク・パッド及びトレース(図示せず)などを含むことができる。例示された実施形態では、2つのアライナー装置110及び112並びに関連したレンズ装置124及び126が存在するが、別の実施形態では、3つ以上にすることができる。
【0025】
さらに別の実施形態が、図16に例示されている。この実施形態では、アライナー装置132は、そのベース136に形成された光電子装置用開口134を備えている。光電子装置用開口134は、2つの直線エッジ138及び140が付いた、ほぼ円形の周辺部を有する。より具体的には、例示された実施形態では、光電子装置用開口134の円形周辺部は、270度(すなわち、円の3/4)にわたって延長し、直線エッジ138及び140は円形周辺部の90度(すなわち、円の1/4)の四分円を取り囲む。直線エッジ138及び140は、光電子装置用開口134のこの四分円に配置される光電子装置142を位置合わせするのに有用である。光電子装置用開口134は、電子装置146をその中に装着できるより大きな電子装置用開口144に隣接している。アライナー装置132は基板148に取り付けられる。この基板148は、電気接点150のアレイ、ヒート・シンク・パッド152、及び図1〜図13に示された上述の実施形態の基板42に関連して説明されたものと類似した他の部品を含むことができる。上述の実施形態と同様に、アライナー装置132の筐体は、面取りエッジ156及び面取りされた直線縁取り部分158を含む外側リング154を備えている。レンズ装置(図示せず)は、上述の実施形態と同様な方法で外側リング154に取り付けられることができる。
【0026】
図17に例示されているように、1つ以上のレンズを1つ以上の光電子装置に位置合わせする具体例としての方法は、下記のように要約することができる。ブロック160に示されているように、アライナー装置が提供される。例えば、上述のように、アライナー装置は型を用いて成形されることができる。この型は、ほぼ円形又は円筒形でかつ中心軸と同軸の開口、リング及び他の機構が互いに高精度で作られるように、ダイヤモンド旋盤の中で旋削されて作られる。ブロック162で示されるように、アライナー装置が基板に装着することができる。ブロック164で示されるように、1つ以上光電子装置がアライナー装置の中の1つ以上の対応する開口内に配置される。上述のように、開口の周辺部は装置を開口の中に導入し、それをぴったり嵌めて、装置が動かないように保持することができる。図17には示されていないが、集積回路チップやモジュールなどの電子装置は、アライナー装置内の同様の開口に同じように搭載されて、光電子装置に電気的に接続することができる。ブロック166に示されるように、レンズ装置がアライナー装置に嵌め合わされる。レンズ装置とアライナー装置との間及びアライナー装置とそこに搭載された光電子装置との間のアライメントが極めて正確であるため、結果として、光電子装置とレンズ装置との間のアライメントが同様に正確になる。
【0027】
本発明の1つ以上の具体例としての実施形態が、上記のように記述された。しかしながら、本発明は添付されたクレームによって定義されることはなく、また説明された特定の実施形態に限定されることはないことは理解されよう。
【符号の説明】
【0028】
12 筺体
16 外側リング
20 第1の光電子装置用開口
22 第2の光電子装置用開口
24 第1の電子装置用開口
26 第2の電子装置用開口
30、32 面取りエッジ
34、36、40 直線縁取り部分
42 プリント回路基板
44 電気接点
46 導体パッド
56 第1の光電子装置
58 第2の光電子装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のレンズを1つ以上の光電子装置に位置合わせする方法であって、
ベース及び外側リングを備えたほぼ円筒形の筐体を有するアライナー装置を提供するステップであって、前記ベースは第1の光電子装置用開口を有し、前記第1の光電子装置用開口はほぼ円筒形で前記外側リングと同軸であり、かつ前記アライナー装置の中心軸と同軸である、アライナー装置を提供するステップと、
第1の光電子装置用開口の中に第1の光電子装置を配置するステップであって、前記第1の光電子装置は前記第1の光電子装置用開口の中でトランジショナル嵌合を提供する寸法の周辺部を有し、前記第1の光電子装置用開口の周辺部はアライメント面を提供し、前記第1の光電子装置用開口の前記アライメント面は、前記第1の光電子装置を前記中心軸に対して位置合わせし、かつ前記第1の光電子装置を前記アライナー装置に対して前記中心軸から離れて動かないように保持する、第1の光電子装置を配置するステップと、
前記アライナー装置の前記外側リングに光学装置を嵌め合わすステップであって、前記光学装置及び外側リングは嵌め合いアライメント面を有し、前記嵌め合いアライメント面は前記光学装置を前記光電子装置に位置合わせし、かつ前記光学装置を前記アライナー装置に対して動かないように保持する、光学装置を嵌め合わすステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記光学素子を嵌め合わすステップがレンズ装置を嵌め合わすステップを含み、前記レンズ装置が第1のレンズを含み、かつ前記レンズ装置及び外側リングの前記嵌め合いアライメント面が、前記第1のレンズを前記第1の光電子装置にさらに位置合わせする、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アライナー装置を提供するステップが、前記筐体のベース内に第2の光電子装置用開口をさらに有するアライナー装置を提供するステップを含み、前記レンズ装置が第2のレンズを有し、かつ前記方法が第2の光電子装置を前記第2の光電子装置用開口内に配置するステップをさらに含み、また前記嵌め合いアライメント面が前記第2のレンズを前記第2の光電子装置にさらに位置合わせする、ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記アライナー装置を提供するステップが、前記第1の光電子装置用開口の中に形成された直線縁取り部分を有するアライナー装置を提供し、前記アライナー装置に対して回転しないように前記第1の光電子装置を保持するステップを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記アライナー装置を提供するステップが、
円筒形部分を有する成形型を形成するステップと、
前記第1の光電子装置用開口及び前記外側リングに対応するモールド機構を形成するために、旋盤上で前記成形型の円筒形部分を回転させるステップと、
前記成形型を使用して、前記アライナー装置の筐体を成形するステップと、
を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記旋盤上で円筒形部分を回転させるステップが、ダイヤモンドの回転を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記アライナー装置を提供するステップが、面取りエッジが付いた中心に円形開口を有するアライナー装置を提供するステップを含み、かつ第1の光電子装置を前記第1の光電子装置用開口に配置するステップが、前記第1の光電子装置を前記第1の光電子装置用開口に導く面取りエッジを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記アライナー装置を提供するステップが、前記筐体のベースの中に第1の電子装置用開口をさらに有するアライナー装置を提供するステップを含み、かつ前記方法が前記第1の電子装置用開口の中に第1の電子装置を配置するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記アライナー装置を提供するステップが、前記筐体のベースの中に第2の電子装置用開口をさらに有するアライナー装置を提供するステップを含み、かつ前記方法が前記第2の電子装置用開口の中に第2の電子装置を配置するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記アライナー装置をほぼ平面の基板に取り付けるステップと、
前記第1の光電子装置を前記基板に取り付けるステップと、
をさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記基板がプリント回路基板を含む、ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記アライナー装置を提供するステップが、1つ以上の直線エッジを含む第1の光電子装置を有するアライナー装置を提供するステップを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
1つ以上のレンズを1つ以上の光電子装置に位置合わせする方法であって、
ベース及び外側リングを備えたほぼ円筒形の筐体を有するアライナー装置を提供するステップであって、前記ベースは第1の光電子装置用開口及び第2の光電子装置用開口を有し、前記第1の光電子装置用開口はほぼ円筒形で前記外側リングと同軸であり、かつ前記アライナー装置の中心軸と同軸である、アライナー装置を提供するステップと、
第1の光電子装置用開口の中にほぼ正方形の第1の光電子装置を配置するステップであって、前記第1の光電子装置は前記第1の光電子装置用開口の中でトランジショナル嵌合を提供する寸法の周辺部を有し、前記第1の光電子装置用開口の周辺部はアライメント面を提供し、前記第1の光電子装置用開口の前記アライメント面は、前記第1の光電子装置を前記中心軸に対して位置合わせし、かつ前記第1の光電子装置を前記アライナー装置に対して前記中心軸から離れて動かないように保持する、第1の光電子装置を配置するステップと、
第2の光電子装置用開口の中に正方形の第2の光電子装置を配置するステップであって、前記第2の光電子装置は前記第2の光電子装置用開口の中でトランジショナル嵌合を提供する寸法の周辺部を有し、前記第1の光電子装置用開口の周辺部はアライメント面を提供し、前記第1の光電子装置用開口の前記アライメント面は、前記第1の光電子装置を前記中心軸に対して位置合わせする、第2の光電子装置を配置するステップと、
前記アライナー装置の前記外側リングに光学装置を嵌め合わすステップであって、前記レンズ装置は第1のレンズ及び第2のレンズを含み、前記レンズ装置及び外側リングは、前記第1のレンズを前記第1の光電子装置に位置合わせするため、前記第2のレンズを前記第2の光電子装置に位置合わせするため、かつ前記レンズ装置を前記アライナー装置に対して動かないように保持するために、嵌め合いアライメント面を有する、光学装置を嵌め合わすステップと、
前記アライナー装置をほぼ平面の基板に取り付けるステップと、
前記第1の光電子装置を前記基板に取り付けるステップと、
前記第2の光電子装置を前記基板に取り付けるステップと、
を含む方法。
【請求項14】
前記アライナー装置を提供するステップが、前記筐体のベース内に第1の電子装置用開口をさらに有するアライナー装置を提供するステップを含み、かつ前記方法が前記第2の電子装置用開口の中に第1の電子装置を配置するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記アライナー装置を提供するステップが、前記筐体のベースの中に第2の電子装置用開口をさらに有するアライナー装置を提供するステップを含み、かつ前記方法が前記第2の電子装置用開口の中に第2の電子装置を配置するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項16】
1つ以上のレンズを1つ以上の光電子装置に位置合わせするシステムであって、
ほぼ平面の基板と、
ベース及び外側リングを備えたほぼ円筒形の筐体を有するアライナー装置であって、前記ベースは前記基板上に取り付けられ、かつ第1の光電子装置用開口を有し、前記第1の光電子装置用開口はほぼ円筒形で前記外側リングと同軸であり、かつ前記アライナー装置の中心軸と同軸である、アライナー装置と、
第1の光電子装置用開口の中の基板上に装着された第1の光電子装置であって、前記第1の光電子装置は前記第1の光電子装置用開口の中でトランジショナル嵌合を提供する寸法の周辺部を有し、前記第1の光電子装置用開口の周辺部はアライメント面を提供し、前記第1の光電子装置用開口の前記アライメント面は、前記第1の光電子装置を前記中心軸に対して位置合わせする、第1の光電子装置と、
前記アライナー装置の外側リングに装着されたレンズ装置であって、前記レンズ装置は第1のレンズを含み、前記レンズ装置及び外側リングは、前記第1のレンズを前記第1の光電子装置に位置合わせするための嵌め合いアライメント面を有する、レンズ装置と、
を具備するシステム。
【請求項17】
前記アライナー装置が前記筐体のベース内に第2の光電子装置用開口を有し、
前記システムが、前記第2の光電子装置用開口内の前記基板上に装着された第2の光電子装置をさらに含み、
前記レンズ装置が第2のレンズをさらに含み、かつ前記レンズ装置及び外側リングの嵌め合いアライメント面が、前記第2のレンズを前記第2の光電子装置と位置合わせさせる、
ことを特徴とする請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記アライナー装置の前記第1の光電子装置用開口が面取りエッジを有する、ことを特徴とする請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記アライナー装置の前記第1の光電子装置用開口の周辺部が、1つ以上の直線縁取り部分を有する、ことを特徴とする請求項16に記載のシステム。
【請求項20】
前記基板がプリント回路基板を含む、ことを特徴とする請求項15に記載のシステム。
【請求項21】
前記アライナー装置が前記筐体のベースの中に第1の電子装置用開口を有し、かつ前記基板に装着された第3の開口に中に第1の電子装置をさらに含む、ことを特徴とする請求項15に記載のシステム。
【請求項22】
前記アライナー装置が前記筐体のベースの中に第2の電子装置用開口を有し、かつ前記基板に装着された第4の開口に中に第2の電子装置をさらに含む、ことを特徴とする請求項21に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−9852(P2012−9852A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−121404(P2011−121404)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(506098789)アバゴ・テクノロジーズ・ファイバー・アイピー(シンガポール)プライベート・リミテッド (36)
【Fターム(参考)】