説明

光電池の導体に使用されるサブミクロン粒子を含む組成物

本発明の実施形態は、太陽電池装置で使用されるシリコン半導体装置と伝導性厚膜組成物とに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、太陽電池装置で使用されるシリコン半導体装置と導電性厚膜組成物とに関する。
【背景技術】
【0002】
p型基部を有する従来の太陽電池構造は、電池の前面側(太陽側または照射側とも呼ばれる)にあってよい負極と、反対側にあってよい正極とを有する。半導体本体のpn接合にかかる適切な波長の放射は、本体内に正孔−電子対を発生するための外部エネルギー源として働く。pn接合に存在する電位差のために、正孔と電子は互いに反対方向に接合を横断し、これにより外部回路に電力を供給可能な電流の流れを生じさせる。ほとんどの太陽電池は金属化された(すなわち導電性金属接触を備える)シリコンウェーハの形式をとる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電気的性能を改善した組成物、構造(例えば、半導体、太陽電池、またはフォトダイオード構造)、半導体装置(例えば、半導体、太陽電池、またはフォトダイオード装置)と、その製造方法の要求がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施形態は、(a)1つまたは複数の導電性材料、(b)1つまたは複数の無機結合剤、(c)無機成分の1〜15%がサブミクロン粒子である有機ビヒクル、を含む組成物に関する。一実施形態では、無機成分の85〜99%が1.5〜10ミクロンの平均粒径d50を有することができる。一実施形態では、1つまたは複数の導電性材料は銀を含んでよい。一実施形態では、銀の一部はサブミクロン粒子を含む。一実施形態では、サブミクロン粒子は0.1〜1ミクロンの平均粒径d50を有する。一実施形態では、サブミクロン粒子は0.1〜0.6ミクロンの平均粒径d50を有する。一実施形態では、粒子は双峰粒度分布を有する。
【0005】
組成物は、(a)Zn、Pb、Bi、Gd、Ce、Zr、Ti、Mn、Sn、Ru、Co、Fe、Cu、Crから選択される金属、(b)Zn、Pb、Bi、Gd、Ce、Zr、Ti、Mn、Sn、Ru、Co、Fe、Cu、Crから選択される1つまたは複数の金属の金属酸化物、(c)焼成されると(b)の金属酸化物を生成可能な任意の化合物、(d)それらの混合物、からなる群から選択される1つまたは複数の添加剤を含んでよい。一実施形態では、添加剤はZnO、または焼成されるとZnOを形成する化合物を含んでよい。一実施形態では、ZnOおよび/または無機結合剤はサブミクロン粒子を含んでよい。ZnOは全組成の2〜10wt%であってよい。ガラスフリットは全組成の1〜6wt%であってよい。導電性材料はAgを含んでよい。Agは組成物中の固体の90〜99wt%であってよい。一実施形態では、無機成分は全組成の70〜95wt%であってよい。
【0006】
別の実施形態は、(a)半導体基板、1つまたは複数の絶縁膜、本明細書に記載の厚膜組成物を設ける工程、(b)半導体基板に絶縁膜を塗布する工程、(c)半導体基板上の絶縁膜に厚膜組成物を塗布する工程、(d)半導体、絶縁膜、厚膜組成物を焼成する工程、を含む半導体装置の製造方法に関する。一態様では、絶縁膜は、酸化チタン、窒化シリコン、SiNx:H、酸化シリコン、酸化シリコン/酸化チタンから選択される1つまたは複数の成分を含んでよい。
【0007】
別の実施形態は、本明細書に記載の方法により製造される半導体装置に関する。一態様は、焼成に先立って本明細書に記載の組成物を含む電極を含む半導体装置に関する。一実施形態は半導体装置を含む太陽電池に関する。
【0008】
一実施形態は、半導体基板、絶縁膜、前面側電極を含む半導体装置に関し、前面側電極は珪酸亜鉛、珪酸亜鉛鉱、ビスマス珪酸塩からなる群から選択される1つまたは複数の成分を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】半導体装置の製造を説明する処理フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
向上された効率を有する改善された太陽電池が必要である。増大された高さを有する狭い導体線の形成に好適な導電性組成物が必要である。本発明の一態様はサブミクロン粒子を含む組成物に関する。組成物は厚膜組成物であってよい。これらの組成物は太陽電池電極を形成するために使用することができる。電極は太陽電池の前面側にあってよい。一実施形態では、電極線は狭く、そして増大された高さを有することができる。
【0011】
本明細書で使用されるように、「厚膜組成物」とは、基板上で焼成されると1〜100ミクロンの厚さを有する組成物を指す。厚膜組成物は導電性材料、ガラス組成物、有機ビヒクルを含んでよい。厚膜組成物は追加成分を含んでよい。本明細書で使用されるように、追加成分は「添加剤」と称される。
【0012】
本明細書に記載の組成物は、1つまたは複数の電気的機能材料と、有機媒体中に分散した1つまたは複数のガラスフリットとを含む。これらの組成物は厚膜組成物であってよい。組成物はまた1つまたは複数の添加剤を含んでよい。例示的な添加剤としては、金属、金属酸化物、または焼成中にこれらの金属酸化物を生成することができる任意の化合物が挙げられる。
【0013】
一実施形態では、電気的機能粉体は導電性粉体であってよい。一実施形態では、組成物(例えば導電性組成物)は、半導体装置において使用することができる。本実施形態の一態様では、半導体装置は太陽電池またはフォトダイオードであってよい。本実施形態の別の態様では、半導体装置は広範な半導体装置の1つであってよい。一実施形態では、半導体装置は太陽電池であってよい。
【0014】
一実施形態では、本明細書に記載の厚膜組成物は、太陽電池において使用することができる。本実施形態の一態様では、太陽電池効率は基準太陽電池セルの70%より高いかもしれない。別の実施形態では、太陽電池効率は基準太陽電池セルの80%より高いかもしれない。太陽電池効率は基準太陽電池セルの90%より高いかもしれない。
【0015】
一実施形態では、分散液中の無機成分に対する厚膜組成物中の有機媒体の比率は、当業者により決定されるペーストの塗布方法と使用される有機媒体の種類に依存してよい。一実施形態では、分散液は、良好な濡れ性を得るために70〜95wt%の無機成分と5〜30wt%の有機媒体(ベヒクル)を含んでよい。
【0016】
一実施形態では、無機成分の一部はサブミクロン粒子であってよい。本実施形態の一態様では、サブミクロン粒子は0.1〜1ミクロンの平均粒径d50を有することができる。別の態様では、サブミクロン粒子は0.1〜0.8ミクロンの平均粒径d50を有することができる。別の態様では、サブミクロン粒子は0.2〜0.6ミクロンの平均粒径d50を有することができる。
【0017】
一実施形態では、サブミクロン粒子は組成物の1〜15wt%であってよい。別の実施形態では、サブミクロン粒子は組成物の2〜10wt%であってよい。別の実施形態では、サブミクロン粒子は組成物の3〜6wt%であってよい。
【0018】
一実施形態では、サブミクロン粒子は導電性材料の一部を含んでよい。一態様では、導電性材料の1〜15wt%はサブミクロン粒子であってよい。別の態様では、導電性材料の2〜10wt%はサブミクロン粒子であってよい。別の態様では、導電性組成物の3〜6wt%はサブミクロン粒子であってよい。
【0019】
一実施形態では、組成物の一部は1.5〜10ミクロンの平均粒径d50を有することができる。本実施形態の一態様では、組成物の無機成分の85〜99wt%は1.5〜10ミクロンの平均粒径d50を有することができる。本実施形態の一態様では、組成物の一部は2.0〜7.0ミクロンの平均粒径d50を有することができる。本実施形態の一態様では、組成物の一部は2.5〜5.0ミクロンの平均粒径d50を有することができる。
【0020】
別の態様では、導電性材料は銀を含んでよい。一態様では、導電性材料の50〜100wt%は銀であってよい。別の態様では、導電性材料の70〜99wt%、70〜98wt%または80〜95wt%は銀であってよい。
【0021】
ガラスフリット
本発明の一態様では、組成物はガラスフリット組成物を含む。本発明に有用なガラスフリット組成物は当業者により容易に理解される。例えば、前面側の太陽電池電極を作製するために使用される組成物に有用なガラスフリット組成物を使用してよい。例示的なガラスフリット組成物は硼珪酸鉛ガラスを含む。一実施形態では、本発明に有用なガラスフリット組成物は20〜24wt%のSiO2、0.2〜0.8wt%のAl23、40〜60wt%のPbO、5〜8wt%のB23を含んでよい。一実施形態では、ガラスフリット組成物はまた随意的に3〜7wt%のTiO2を含んでよい。一実施形態では、ガラスフリット組成物はまた随意的に1つまたは複数のフッ素含有成分(限定しないがフッ素、フッ化物、酸化フッ化金属化合物等の塩類を含む)を含んでよい。このようなフッ素含有成分としては、限定しないがPbF2、BiF3、AlF3、NaF、LiF、KF、CsF、ZrF4、TiF4、および/またはZnF2が挙げられる。一実施形態では、ガラスフリット組成物は8〜13wt%のPbF2を含んでよい。
【0022】
本実施形態の別の態様では、厚膜組成物は、有機媒体中に分散した電気的機能粉体とガラスセラミックフリットを含んでよい。一実施形態では、これらの厚膜導体組成物は半導体装置において使用することができる。本実施形態の一態様では、半導体装置は太陽電池またはフォトダイオードであってよい。
【0023】
導電性材料
一実施形態では、厚膜組成物は、適切な電気的機能特性を組成物に与える機能相を含んでよい。一実施形態では、電気的機能粉体は導電性粉体であってよい。一実施形態では、電気的機能相は導電性材料(本明細書では導電性粒子とも称する)を含んでよい。導電性粒子は例えば導電性粉体、導電性フレークまたはその混合物を含んでよい。
【0024】
一実施形態では、導電性粒子はAgを含んでよい。別の実施形態では、導電性粒子は銀(Ag)とアルミニウム(Al)を含んでよい。別の実施形態では、導電性粒子は例えばCu、Au、Ag、Pd、Pt、Al、Ag−Pd、Pt−Au等の1つまたは複数を含んでよい。一実施形態では、導電性粒子は、(1)Al、Cu、Au、Ag、Pd、Pt、(2)Al、Cu、Au、Ag、Pd、Ptの合金、(3)これらの混合物の1つまたは複数を含んでよい。
【0025】
一実施形態では、組成物の機能相は、導電性である被覆または非被覆銀粒子を含んでよい。銀粒子が被覆される実施形態では、銀粒子は界面活性剤で少なくとも部分的に覆われる。一実施形態では、界面活性剤は以下の非限定的界面活性剤の1つまたは複数を含んでよい:ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸の塩、パルミチン酸塩、ラウリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、カプリン酸、ミリスチン酸およびリノール酸の塩、そしてこれらの混合物。対イオンは限定しないが水素、アンモニウム、ナトリウム、カリウムおよびこれらの混合物であってよい。
【0026】
一実施形態では、銀はペースト組成物の60〜90wt%であってよい。別の実施形態では、銀はペースト組成物の70〜85wt%であってよい。別の実施形態では、銀はペースト組成物の75〜85wt%であってよい。別の実施形態では、銀はペースト組成物の78〜82wt%であってよい。
【0027】
一実施形態では、銀は組成物中の固体の90〜99wt%であってよい(すなわち有機ビヒクルを除いた)。別の実施形態では、銀は組成物中の固体の92〜97wt%であってよい。別の実施形態では、銀は組成物中の固体の93〜95wt%であってよい。
【0028】
本明細書で使用されるように、「粒径」は「平均粒径」を意味するものとし、「平均粒径」は50%体積分布粒径を意味する。体積分布粒径は、限定しないがMicrotrac粒径分析器を使用するレーザー回折および分散法を含む当業者により理解される多くの方法により決定されてよい。
【0029】
一実施形態では、導電性材料の一部はサブミクロン粒子であってよい。本実施形態の一態様では、サブミクロン粒子は0.1〜1ミクロンの平均粒径d50を有することができる。別の態様では、サブミクロン粒子は0.1〜0.8ミクロンの平均粒径d50を有することができる。別の態様では、サブミクロン粒子は0.2〜0.6ミクロンの平均粒径d50を有することができる。
【0030】
一実施形態では、導電性材料の1〜15wt%はサブミクロン粒子であってよい。別の態様では、導電性材料の2〜10wt%はサブミクロン粒子であってよい。別の態様では、導電性組成物の3〜6wt%はサブミクロン粒子であってよい。
【0031】
一実施形態では、導電性材料の一部は1.5〜10ミクロンの平均粒径d50を有することができる。本実施形態の一態様では、導電性材料の85〜99wt%は1.5〜10ミクロンの平均粒径d50を有することができる。本実施形態の一態様では、導電性材料の一部は2.0〜7.0ミクロンの平均粒径d50を有することができる。本実施形態の一態様では、導電性材料の一部は2.5〜5.0ミクロンの平均粒径d50を有することができる。
【0032】
添加剤
一実施形態では、厚膜組成物は1つまたは複数の添加剤を含んでよい。一実施形態では、添加剤は以下の1つまたは複数から選択されてよい:(a)Zn、Pb、Bi、Gd、Ce、Zr、Ti、Mn、Sn、Ru、Co、Fe、Cu、Crから選択される金属、(b)Zn、Pb、Bi、Gd、Ce、Zr、Ti、Mn、Sn、Ru、Co、Fe、Cu、Crから選択される1つまたは複数の金属の金属酸化物、(c)焼成されると(b)の金属酸化物を生成可能な任意の化合物、(d)それらの混合物。
【0033】
一実施形態では、添加剤はZn含有添加剤を含んでよい。Zn含有添加剤は、(a)Zn、(b)Znの金属酸化物、(c)焼成されるとZnの金属酸化物を生成可能な任意の化合物、(d)その混合物の1つまたは複数を含んでよい。一実施形態では、Zn含有添加剤はZn樹脂酸塩を含んでよい。
【0034】
一実施形態では、Zn含有添加剤はZnOを含んでよい。一実施形態では、ZnOの一部はサブミクロン粒子を含んでよい。
【0035】
一実施形態では、ZnOは全組成の2−10wt%の範囲の組成物中に存在してよい。一実施形態では、ZnOは全組成の3−7wt%の範囲の組成物中に存在してよい。一実施形態では、ZnOは全組成の4−6wt%の範囲の組成物中に存在してよい。
【0036】
有機媒体
一実施形態では、本明細書に記載の厚膜組成物は有機媒体を含んでよい。無機成分は、例えばペーストを形成するための機械的な混合により有機媒体と混合されてよい。様々な不活性粘性物質を有機媒体として使用することができる。一実施形態では、有機媒体は無機成分が適切な安定度で分散されたものであってよい。一実施形態では、媒体の流動特性は、組成物に対し、固体の安定分散性、スクリーン印刷のための適切な粘度とチキソトロピー、基板およびペースト固体の適切な濡れ性、良好な乾燥速度、および良好な焼成特性を含むある塗布性を貸与することができる。一実施形態では、厚膜組成物中に使用される有機ビヒクルは非水性不活性液であってよい。増粘剤、安定剤、および/または他の一般の添加剤を含んでも含まなくてよい様々な有機ビヒクルの使用が考えられる。有機媒体は重合体の溶媒溶液であってよい。一実施形態では、有機媒体はまた界面活性剤など1つまたは複数の成分を含んでよい。一実施形態では、重合体はエチルセルロースであってよい。他の例示的な重合体としては、エチルヒドロキシエチルセルロース、ウッドロジン、エチルセルロースとフェノール樹脂の混合物、低級アルコールのポリメタクリレート、エチレングリコールモノアセタートのモノブチルエーテル、またはこれらの混合物が挙げられる。一実施形態では、本明細書に記載の厚膜組成物に有用な溶媒としては、エステルアルコール、アルファまたはベータテルピネオールなどのテルペン、あるいはこれらとケロシン、フタル酸ジブチル、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセタート、ヘキシレングリコール、高沸点アルコール、アルコールエステルなどの他の溶媒との混合物が挙げられる。別の実施形態では、有機媒体は、基板への塗布後に急速な硬化を促進するための揮発性液体を含んでよい。
【0037】
一実施形態では、例えば、重合体は全組成の8wt%から11wt%の範囲の有機媒体中に存在してよい。厚膜銀の組成は、有機媒体との所定のスクリーン印刷可能粘度に調節されてよい。
【0038】
焼成厚膜組成物
一実施形態では、有機媒体は半導体装置の乾燥および焼成中に除去されてよい。一態様では、ガラスフリット、Ag、添加剤は、電極を形成するために焼成中に焼結させられてよい。焼成された電極は、焼成および焼結処理から生じる成分、組成物等を含んでよい。
【0039】
本実施形態の一態様では、半導体装置は太陽電池またはフォトダイオードであってよい。
【0040】
半導体装置の製造方法
一実施形態は半導体装置を製造する方法に関する。一実施形態では、半導体装置は太陽電池装置に使用することができる。半導体装置は、焼成前に本明細書に記載の組成物を含んでよい前面側電極(照射側)を含むことができる。
【0041】
一実施形態では、半導体装置の製造方法は、(a)半導体基板を設ける工程、(b)半導体基板に絶縁膜を塗布する工程、(c)絶縁膜に本明細書に記載の組成物を塗布する工程、(d)装置を焼成する工程を含む。
【0042】
本明細書に記載の方法と装置に有用な例示的な半導体基板は当業者により理解される。例示的な半導体基板としては、限定しないが単結晶シリコン、多結晶シリコン、リボンシリコンが挙げられる。半導体基板は接合を有することができる。半導体基板をリンとホウ素でドープしてp/n接合を形成してよい。半導体基板のドープ方法は当業者により理解される。
【0043】
当業者により理解されるように、半導体基板は寸法(長さ×幅)と厚さが変化してよい。非限定的な実施例では、半導体基板の厚さは50〜500ミクロン、100〜300ミクロン、または140〜200ミクロンであってよい。非限定的な実施例では、半導体基板の長さと幅は両者とも等しく100〜250mm、125〜200mm、または125〜156mmであってよい。
【0044】
本明細書に記載の方法と装置に有用な例示的な絶縁膜は当業者により理解される。例示的な絶縁膜としては限定しないが、窒化シリコン、酸化シリコン、酸化チタン、SiNx:H、水素化アモルファス窒化シリコン、酸化シリコン/酸化チタン膜が挙げられる。絶縁膜は、PECVD、CVD、および/または当業者によく知られた他の技術により形成されてよい。絶縁膜が窒化シリコンである一実施形態では、窒化シリコン膜はプラズマ化学気相成長法(PECVD)、熱CVD処理、または物理気相蒸着法(PVD)で形成されてよい。絶縁膜が酸化シリコンである実施形態では、酸化シリコン膜は、熱酸化、熱CVD、プラズマCVD、またはPVDにより形成されてよい。絶縁膜(または層)は反射防止被膜(ARC:anti−reflective coating)と称すことがある。
【0045】
本明細書に記載の組成物は、限定しないがスクリーン印刷、インクジェット、共押出し、シリンジ分注、直接描画、噴霧インクジェットを含む当業者によく知られた様々な方法によりARC塗布半導体基板に塗布されてよい。一実施形態では、組成物は、参照により本明細書に援用する米国特許出願公開第2003/0100824号明細書に記載された方法と装置を使用して基板に塗布されてよい。組成物はパターンで塗布されてよい。組成物は所定形状でかつ所定位置において塗布されてよい。一実施形態では、組成物は前面側電極の導電性フィンガーとバスバーの両方を形成するために使用することができる。一実施形態では、導電性フィンガーの線幅は10〜200ミクロン、40〜150ミクロン、または60〜100ミクロンであってよい。一実施形態では、導電性フィンガーの線幅は10〜100ミクロン、15〜80ミクロン、または20〜75ミクロンであってよい。一実施形態では、導電性フィンガーの線の厚さは5〜50ミクロン、10〜35ミクロン、または15〜30ミクロンであってよい。別の実施形態では、組成物は、導電性Si接触フィンガーを形成するために使用することができる。
【0046】
ARC塗布半導体基板に被覆された組成物は、当業者により理解されるように、例えば0.5〜10分間乾燥されその後焼成されてよい。一実施形態では、揮発性溶剤および有機物は乾燥処理中に除去されてよい。焼成条件は当業者により理解されるだろう。例示的かつ非限定的焼成条件で、シリコンウェーハ基板は、1秒〜2分間600〜900°Cの最高温度まで加熱される。一実施形態では、焼成中に到達するシリコンウェーハ最高温度は1〜10秒間で650〜800°Cの範囲である。別の実施形態では、導電性厚膜組成物から形成される電極は、酸素と窒素の混合ガスからなる雰囲気中で焼成されてよい。この焼成処理は有機媒体を除去し、ガラスフリットを導電性厚膜組成物中のAg粉体で焼結させる。別の実施形態では、導電性厚膜組成物から形成される電極は、酸素を含まない不活性雰囲気中で有機媒体除去温度より高い温度で焼成されてよい。この焼成処理は、厚膜組成物中の銅などの卑金属導電性材料を焼結または溶融する。
【0047】
一実施形態では、焼成中、焼成される電極(好ましくはフィンガー)は絶縁膜と反応して絶縁膜に侵入し、シリコン基板との電気的接点を形成する。
【0048】
別の実施形態では、焼成の前に、他の導電性および装置強化材料が半導体装置の反対型領域に塗布され、本明細書に記載の組成物と同時焼成または連続焼成される。装置の反対型領域は装置の反対側にある。上記材料は電気接点、パッシベーション層、はんだ付け可能なタブ領域として機能する。
【0049】
一実施形態では、反対型領域は装置の非照射(裏)側にあってよい。本実施形態の一態様では、裏面導電性材料はアルミニウムを含んでよい。例示的な裏面アルミニウム含有組成物と塗布方法は、例えば参照により本明細書に援用する米国特許出願公開第2006/0272700号明細書に記載されている。
【0050】
別の態様では、はんだ付け可能なタブ材料はアルミニウムと銀とを含んでよい。アルミニウムと銀とを含む例示的なタブ組成物は、例えば参照により本明細書に援用する米国特許出願公開第2006/0231803号明細書に記載されている。
【0051】
別の実施形態では、装置の反対型領域に塗布される材料は、並んで形成されているpおよびn領域のため、本明細書に記載の材料に隣接する。このような装置は、照射(前面)側の入射光を最大にするために装置の非照射(裏)側にすべての金属接触材料を配置する。
【0052】
半導体装置は、接合を有する半導体基板とその主要面に形成された窒化シリコン絶縁膜とからなる構造部材から以下の方法により製造されてよい。半導体装置の製造方法は、絶縁膜に侵入する能力を有する導電性厚膜組成物を絶縁膜上に所定形状でかつ所定位置に塗布する(被覆および印刷するなどの)工程と、次に、導電性厚膜組成物が溶融して絶縁膜を貫通し、これによりシリコン基板との電気接点をもたらすように焼成する工程と、を含む。導電性厚膜組成物は、本明細書で説明したように有機ビヒクル内に分散される銀粉と、Zn含有添加剤と、300〜600°Cの軟化温度を有するガラスまたはガラス粉体混合物と、随意的には追加の金属/金属酸化物添加剤とからなる厚膜ペースト組成物である。
【0053】
本発明の一実施形態は、本明細書に記載の方法で製造される半導体装置に関する。本明細書に記載の組成物を含む装置は上述のように珪酸亜鉛を含んでよい。
【0054】
本発明の一実施形態は、上記方法で製造される半導体装置に関する。
【0055】
本明細書に記載の厚膜組成物と共に利用可能なさらなる基板、装置、製造方法等は、その全体を参照により本明細書に援用する米国特許出願公開第2006/0231801号明細書、米国特許出願公開第2006/0231804号明細書、米国特許出願公開第2006/0231800号明細書に記載される。
【実施例】
【0056】
有機媒体は、約100℃の有機溶媒中に重合体を溶解することにより用意された。有機媒体中には、銀粉、ガラスフリット、酸化亜鉛、他の添加剤を含む他の成分が加えられた。生成された混合物は、厚膜ペースト製造業においてよく知られた3本ロール混練処理により分散された。表1に示す組成物I、II、IIIが形成された。
【0057】
組成物IとIIのペーストは、印刷の前にRoki40L−SHP−200XSフィルタカプセルを通してろ過された。組成物IIIは濾過なしで使用された。
【0058】
ペーストは、ID/OD 50/75μmの再利用可能なセラミックペン先端を使用して、nScrypt Inc製3D−450 Smart Pump(商標)プリンターにより室温で評価された。ポンプ圧は10psi〜100psiであった。プリント速度は毎秒200mm〜毎秒300mmであった。ペン先端と基板表面間のギャップは150μmである。
【0059】
10本の4インチ長の線の群が印刷され、20分間150℃で箱型オーブン内で乾燥され、次に2分間850℃ピーク温度でベルト炉内で焼成された。
【0060】
【表1】

【0061】
実施例I
組成物Iは、ペン先端が塞がれる前5分未満の間50psi未満のポンプ圧下で50/75ミクロンのペン先端を通過することができた。最良の結果の焼成された線は幅83ミクロン、高さ13ミクロンであった。
【0062】
実施例II
組成物Iは、ペン先端が塞がれる前30分未満の間60psi未満のポンプ圧下で75/125ミクロンのペン先端を通過することができた。最良の結果の焼成された線は幅100ミクロン、高さ12ミクロンであった。
【0063】
実施例III
組成物IIは、印刷が停止される前少なくとも30分間10psi〜100psiの範囲のポンプ圧下で50/75ミクロンのペン先端を通過することができた。最良の結果の焼成された線は幅89ミクロン、高さ19ミクロンであった。
【0064】
実施例IV
95.5対4.5の重量百分率比の組成物IIと組成物IIIの混合物は、印刷が停止される前少なくとも3時間10psi〜80psiの範囲のポンプ圧下で50/75ミクロンのペン先端を通過することができた。最良の結果の焼成された線は幅67ミクロン、高さ25ミクロンであった。
【0065】
実施例V
組成物IIIは、30psiより大きなポンプ圧下50/75ミクロンのペン先端を通して印刷することができなかった。30psi下では、印刷はペン先端が塞がれる前5秒未満の間続いた。
【0066】
実施例VI
組成物IIIは、60psiより大きなポンプ圧下75/125ミクロンのペン先端を通して印刷することができた。60psi下では、印刷はペン先端が塞がれる前5分未満の間続いた。
【0067】
実例VII
重量比率が90対10〜10対90の範囲の組成物IIとIIIの一連の混合物が用意され印刷された。組成物IIIの重量比率が30%より大きくなると、50/75ミクロンのペン先端は1分以内に塞がれた。
【0068】
実施例VIII
上記印刷された基板の効率を解析する。例示的な効率試験を以下に示す。実施例IVの太陽電池の効率が他の実施例の太陽電池の効率より大きくなることが予測される。
【0069】
試験手順−効率
本明細書に記載の方法に従って作製された太陽電池は変換効率について試験される。効率を試験する例示的な方法を以下に示す。
【0070】
一実施形態では、本明細書に記載の方法に従って作製された太陽電池は、市販の効率測定用のI−V試験装置(ST−1000)内に配置される。I−V試験装置内のXeアーク灯はよく知られた強度で直射日光を模擬し、電池の前面を照射した。
【0071】
試験装置は、電池のI−V特性曲線を確定するための約400の負荷抵抗設定で電流(I)と電圧(V)を測定するために多点直接接触法を使用する。充填率(FF)と効率(Eff)の両方はI−V特性曲線から計算される。
【符号の説明】
【0072】
図1で示される参照符号を以下に説明する。
10:p型シリコン基板
20:n型拡散層
30:窒化シリコン膜、酸化チタン膜、または酸化シリコン膜
40:p+層(裏面フィールド:BSF(back surface field))
60:裏面側に形成されたアルミニウムペースト
61:アルミニウム裏面電極(裏面アルミニウムペーストを焼成することにより得られる)
70:裏側に形成された銀または銀/アルミニウムペースト
71:銀または銀/アルミニウム裏面電極(裏面銀ペーストを焼成することにより得られる)
500:本発明による前面側に形成された銀ペースト
501:本発明による銀の前面電極(前面側銀ペーストを焼成することにより形成される)
【図1A】

【図1B】

【図1C】

【図1D】

【図1E】

【図1F】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)1つまたは複数の導電性材料、
(b)1つまたは複数の無機結合剤、
(c)有機ビヒクル、
を含む組成物であって、無機成分の1〜15%がサブミクロン粒子である、組成物。
【請求項2】
無機成分の85〜99%は1.5〜10ミクロンの平均粒径d50を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
1つまたは複数の導電性材料は銀を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
サブミクロン粒子は銀を含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
サブミクロン粒子は0.1〜1ミクロンの平均粒径d50を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
サブミクロン粒子は0.1〜0.6ミクロンの平均粒径d50を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
無機成分は双峰粒度分布を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
1つまたは複数の添加剤をさらに含む請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
1つまたは複数の添加剤は、
(a)Zn、Pb、Bi、Gd、Ce、Zr、Ti、Mn、Sn、Ru、Co、Fe、Cu、Crから選択される金属と、
(b)Zn、Pb、Bi、Gd、Ce、Zr、Ti、Mn、Sn、Ru、Co、Fe、Cu、Crから選択される1つまたは複数の金属の金属酸化物と、
(c)焼成されると(b)の金属酸化物を生成可能な任意の化合物と、
(d)それらの混合物と、
からなる群から選択される成分を含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
1つまたは複数の無機添加剤はZnOを含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
サブミクロン粒子はさらにZnOと無機結合剤とを含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項12】
1つまたは複数の無機結合剤はガラスフリットを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
無機成分は全組成の70〜95wt%である、請求項1に記載の組成物。

【公表番号】特表2011−524068(P2011−524068A)
【公表日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−511798(P2011−511798)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/045389
【国際公開番号】WO2009/146348
【国際公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】