説明

免疫反応調節物質化合物の送達

本発明は、巨大分子担体材料に付帯する(典型的に付着する、および好ましくは共有結合的に付着する)免疫反応調整物質(IRM)を提供する。このようなIRM−担体複合体中のIRM化合物は、生物学的活性を保持する。巨大分子担体材料へのこのようなIRMの付着は、IRMの局在的な生物学的活性を提供する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
近年、顕著な成功をもって、免疫系の特定の重要な側面を刺激する、ならびに特定のその他の面を抑制することで作用する新しい薬剤化合物を見いだすための多大な努力が払われている(例えば米国特許第6,039,969号明細書および米国特許第6,200,592号明細書参照)。免疫反応調節物質(IRM)と称されるこれらの化合物は、toll様受容体として知られる基本的免疫系機序を通じて作用し、選択されたサイトカイン生合成を誘導するようである。それらを使用して多種多様な疾患および病状を処置できるかもしれない。例えば特定のIRMは、ウィルス性疾患(例えばヒト乳頭腫ウィルス、肝炎、ヘルペス)、新生物形成(例えば基底細胞癌、扁平細胞癌、光線性角化症)、およびTH2−媒介疾患(例えば喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎)を処置するのに有用であっても良く、またワクチンアジュバントとしても有用である。IRM化合物の多くは、小型有機分子イミダゾキノリンアミン誘導体(例えば米国特許第4,689,338号明細書参照)であるが、その他のいくつかの化合物クラスも知られ(例えば米国特許第5,446,153号明細書参照)、さらにより多くがなおも見いだされている。その他のIRMは、CpGをはじめとするオリゴヌクレオチドなどのようにより高い分子量を有する(例えば米国特許第6,194,388号明細書参照)。IRMの卓越した治療的な潜在能力を鑑みて、既に行われた重要な研究にもかかわらず、それらの使用と治療的な利点を拡大するために、IRMの送達および活性を制御する新しい手段に対するかなりの継続的必要性がある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本発明の免疫反応調整物質(IRM)は、巨大分子担体材料に付着して、重要なことにこのような材料に付着したままそれらが生物学的活性を保持できることが、今や意外にも判明している。生物学的に活性のIRM−担体複合体を形成するこの能力によって、効果的であるために全てのIRM化合物を放出することを望まない場合に、非常に広範囲の有用な適用が可能になる。
【0003】
例えば被覆された表面から薬剤を溶出させる、または調合物から薬剤を送達するのとは対照的に、このIRMは、例えば植込型医療用装置、粒子、ビーズ、ポリマー、そしてその他の担体、基材、およびマトリックス材料に付着したまま活性であることができる。このアプローチは、例えば皮膚、粘膜を通じた、および消化管、気管、眼、直腸、膀胱、膣などのその他の組織を通じた全身性の吸収を低下させるのを助け、ならびに固形腫瘍塊中に移植されているようなIRMの延長された沈積を意図される作用部位に保持するために使用できる。例として免疫樹状細胞を患者から除去し、付着したIRMで覆われた材料(例えば容器壁、ビーズ、メッシュなど)と接触させることで、生体外(ex vivo)において所望の抗原存在下で活性化できる。次に活性化された樹状細胞は、全身性の曝露を避けるためIRMを残して、治療的用途のために都合良く患者に戻される。
【0004】
さらに担体複合体に付着した際に、IRMが生物学的になおも活性であるだけでなく、意外にもIRMのサイトカイン誘導プロフィールが、このような付着によって潜在的に望ましい方向に変化できることが分かった。いくつかのIRMの付着は、特定の治療的使用において重要かもしれないインターフェロンαの利益になるように、サイトカイン誘導プロフィールを実際に変化させることが分かった。
【0005】
IRMは、巨大分子担体材料に共有結合的または非共有結合的に結合しても良く、好ましくは共有結合的に結合する。IRMの巨大分子担体材料への付着は、IRMの局在的な生物学的活性を提供し、典型的にIRMの全身性分布の発生を防止し、または少なくとも低下させる。
【0006】
したがって本発明は、巨大分子担体材料に付着したIRM化合物を有するIRM−担体複合体を提供する。いくつかの実施形態では、IRM化合物は、巨大分子担体材料に共有結合的に付着しても良い。この文脈で、「巨大分子担体材料」とは、IRMによって標的とされる生物学的性質に対して概して生物学的に不活性である、有機材料、無機材料、およびそれらの組み合わせを指す。巨大分子担体材料は、典型的に巨大分子材料の細胞中への抱き込みまたは貫通を防止するような大きさと化学的性質であるが、これは必須の制限ではない。特定の実施形態では、巨大分子担体材料好ましくは少なくとも1ナノメートル(nm)の平均最大寸法を有する。いくつかの実施形態では、巨大分子担体材料は、ゲル、フォーム、スポンジ、繊維、またはビーズの一部であっても良い。
【0007】
本発明の別の態様では、免疫反応調節物質を含むIRM−担体複合体がポリマーに付着される。特定の実施形態では、免疫反応調節物質はポリマーに共有結合的に付着する。特定の実施形態では、ポリマーは生体接着性ポリマーである。特定の実施形態では、本発明はポリマーを含むIRM−担体複合体で被覆された医療用品を提供する。
【0008】
別の態様では本発明はまた、巨大分子担体材料に付着した免疫反応調節物質を含むIRM−担体複合体をはじめとする医療用品(すなわち植込型装置などの医療用装置)を提供する。いくつかの実施形態では、医療用品は、ステント、シャント、人工弁、縫合糸、手術用クリップ、手術用ステープル、留置カテーテル、人工歯根、整形外科インプラント、外科補装具、植込型脈管アクセスポート、人工心臓、心室補助ポンプ、血液酸素供給器、血液フィルター、血液透析ユニット、血液灌流ユニット、人工心肺装置内の導管、析装置内のチューブ、血漿交換ユニット内のチューブ、人工膵臓、人工肝臓、人工肺、眼内レンズ、またはコンタクトレンズであっても良い。
【0009】
別の態様では、本発明はその上に配置されたIRMを有する医療用品を提供するが、ただし医療用品はペリオチップでない。典型的に医療用品はステントである。
【0010】
別の態様では本発明はまた、その上に免疫反応調節物質が付着した表面を有するステント、シャント、または弁を提供する。いくつかの実施形態では、免疫反応調節物質は、ステント、シャント、または弁の表面に共有結合的に付着しても良い。
【0011】
別の態様では本発明はまた、その上に免疫反応調節物質が付着してIRM−巨大分子担体複合体を形成するポリマーを提供する。いくつかの実施形態では、免疫反応調節物質は、共有結合的に付着しても良い。いくつかの実施形態では、医療用品はポリマーで被覆されていても良い。いくつかの実施形態では、ポリマーはヒドロゲルであっても良い。
【0012】
別の態様では本発明はまた、免疫反応調節物質を巨大分子担体材料に付着させることでIRM−担体複合体を製造する方法を提供する。いくつかの実施形態では、免疫反応調節物質は巨大分子担体材料に共有結合的に付着されても良い。
【0013】
別の態様では本発明はまた、巨大分子担体材料に付着したIRM化合物を有するIRM−担体複合体を対象に投与することにより、対象においてウィルス感染を処置する方法を提供する。いくつかの実施形態では、IRM−担体複合体は経口的に、経鼻的に、経眼球的に、経膣的に、経皮的に、または経直腸的に投与されても良い。
【0014】
別の態様では本発明はまた、巨大分子担体材料に付着したIRM化合物を有するIRM−担体複合体を対象に投与することにより、対象においてアトピー性免疫反応を処置する方法を提供する。いくつかの実施形態では、IRM−基材は、経口的に、経鼻的に、経膣的に、経眼球的に、経皮的に、または経直腸的に投与されても良い。
【0015】
別の態様では本発明はまた、対象において巨大分子担体材料に付着したIRM化合物を有するIRM−担体複合体を対象に投与することにより、固形腫瘍を処置する方法を提供する。いくつかの実施形態では、IRM−基材は経口的に、経鼻的に、経膣的に、経眼球的に、経皮的に、または経直腸的に投与されても良い。
【0016】
別の態様では本発明はまた、そこに免疫反応調節物質が付帯した(好ましくはそこに付着した、より好ましくはそこに共有結合的に付着した)表面を有するステントを対象に移植することで、対象において再狭窄を防止する方法を提供する。
【0017】
別の態様では本発明はまた、IRMを巨大分子担体複合体に付着させることで、IRMのサイトカイン誘導プロフィールを修正する方法を提供する。いくつかの実施形態では、サイトカイン誘導プロフィールは、インターフェロンα誘導の利益になるように修正されても良い。
【0018】
別の態様では本発明はまた、巨大分子担体材料に付着した免疫反応調節物質を含むIRM−担体複合体を対象に投与することで、対象において免疫反応調節物質の全身性の吸収を低下させる方法を提供する。
【0019】
別の態様では本発明はまた、巨大分子担体に付着した第1の免疫反応調節物質、および巨大分子担体材料に付着していない第2の免疫反応調節物質を含むIRM−担体複合体(またはその調合物)を提供する。調合物(すなわち組成物)は溶剤を含むことができ、および/またはゲルの形態であることができる。
【0020】
別の態様では本発明はまた、細胞を担体複合体に付着したIRM化合物に接触させることで、樹状細胞を活性化する方法を提供する。
【0021】
別の態様では本発明はまた、巨大分子担体材料に付着したIRM化合物を含んでなるIRM−担体複合体を頚部に塗布することで、対象において子宮頚部異形成を処置する方法を提供する。
【0022】
別の態様では本発明はまた、巨大分子担体材料に付着したIRM化合物を含んでなるIRM−担体複合体を膀胱に塗布することで、対象において膀胱癌を処置する方法を提供する。
【0023】
本発明はまた、免疫反応調節物質を巨大分子担体材料に付着させるステップを含む、IRM−担体複合体を製造する方法を提供する。免疫反応調節物質を付着させるステップは、巨大分子担体材料に共有結合的に付着させるステップを含むことができる。方法はまた、アルコキシシラン部分を含むようにIRMを修飾するステップを含むことができる。次にIRM−修飾アルコキシシランをケイ素含有担体材料に付着させる。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態では、IRM化合物は少なくとも1つのTLRの作動薬、好ましくはTLR6、TLR7、またはTLR8の作動薬であっても良い。IRMはまた、場合によってはTLR9の作動薬であっても良い。本発明のいくつかの実施形態では、IRM化合物は小分子免疫反応調節物質(例えば分子量約1000ダルトン未満)であっても良い。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態では、IRM化合物は、五員環の窒素含有複素環に縮合した2−アミノピリジン、または五員環の窒素含有複素環に縮合した4−アミノピリミジンを含んでなっても良い。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態では、IRM化合物は例えば、アミド置換イミダゾキノリンアミン、スルホンアミド置換イミダゾキノリンアミン、尿素置換イミダゾキノリンアミン、アリールエーテル置換イミダゾキノリンアミン、複素環式エーテル置換イミダゾキノリンアミン、アミドエーテル置換イミダゾキノリンアミン、スルホンアミドエーテル置換イミダゾキノリンアミン、尿素置換イミダゾキノリンエーテル、チオエーテル置換イミダゾキノリンアミン、および6−、7−、8−、または9−アリールまたはヘテロアリール置換イミダゾキノリンアミンなどの置換イミダゾキノリンアミンをはじめとするがこれに限定されるものではないイミダゾキノリンアミンと、アミド置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、スルホンアミド置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、尿素置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、アリールエーテル置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、複素環式エーテル置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、アミドエーテル置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、スルホンアミドエーテル置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、尿素置換テトラヒドロイミダゾキノリンエーテル、およびチオエーテル置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミンをはじめとするがこれに限定されるものではないテトラヒドロイミダゾキノリンアミンと、アミド置換イミダゾピリジンアミン、スルホンアミド置換イミダゾピリジンアミン、尿素置換イミダゾピリジンアミン、アリールエーテル置換イミダゾピリジンアミン、複素環式エーテル置換イミダゾピリジンアミン、アミドエーテル置換イミダゾピリジンアミン、スルホンアミドエーテル置換イミダゾピリジンアミン、尿素置換イミダゾピリジンエーテル、およびチオエーテル置換イミダゾピリジンアミンをはじめとするがこれに限定されるものではないイミダゾピリジンアミンと、1,2−架橋イミダゾキノリンアミンと、6,7−縮合シクロアルキルイミダゾピリジンアミンと、イミダゾナフチリジンアミンと、テトラヒドロイミダゾナフチリジンアミンと、オキサゾロキノリンアミンと、チアゾロキノリンアミンと、オキサゾロピリジンアミンと、チアゾロピリジンアミンと、オキサゾロナフチリジンアミンと、チアゾロナフチリジンアミンと、ピリジンアミン、キノリンアミン、テトラヒドロキノリンアミン、ナフチリジンアミン、またはテトラヒドロナフチリジンアミンに縮合した1H−イミダゾ二量体であっても良い。所望ならば様々なIRMの組み合わせが使用できる。
【0027】
いくつかの実施形態では、IRM化合物はプリン、イミダゾキノリンアミド、ベンズイミダゾール、1H−イミダゾピリジン、アデニン、またはそれらの誘導体であっても良い。
【0028】
「含んでなる」という用語およびそのバリエーションは、これらの用語が説明および特許請求の範囲に出現する際に制限的な意味を有さない。
【0029】
ここでの用法では、「a」、「an」、「the」、「少なくとも1つの」、および「1つ以上の」は区別なく使用される。したがって例えば、「an」IRM化合物を含んでなるIRM−担体複合体とは、複合体が少なくとも1つのIRM化合物を含むことを意味すると解釈できる。
【0030】
またここでは、終点による数値域の列挙は、その範囲内に包含されるあらゆる数を含む(例えば1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)。
【0031】
上の本発明の要約は、それぞれの開示される実施形態またはあらゆる本発明の実行について述べることを意図しない。続く説明は例証的な実施形態をより詳しく例証する。本願明細書を通じて何箇所かで、個別にそして様々な組み合わせで使用できる実施例のリストを通じて、ガイダンスが提供される。各例で列挙されるリストは、代表グループとしてのみの役目を果たし、排他的リストではないものとする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明は、IRM−担体複合体を形成する、サイトカイン誘導および/または抑制免疫反応調整物質(IRM)の巨大分子担体材料への付着に向けたものである。IRMは、このような巨大分子担体材料への付着に続いて生物学的活性を保持する。IRM−担体複合体は、対象の身体中の所望位置へのIRMの局在的な送達を可能にして、典型的にIRMの全身性の分布の発生を防止し、または少なくとも低下させる。
【0033】
ここでの用法では、「巨大分子担体材料」とは、それ自体IRMによって標的とされる生物学的性質に対して概して生物学的に不活性の巨大分子材料である。ここではこの巨大分子担体材料の定義からは、例えば細菌およびウィルスが除外される。巨大分子担体材料は、巨大分子材料の細胞中への抱き込みまたは貫通を防止するような大きさおよび化学的性質であっても良く、この場合IRM−担体複合は細胞外の位置を維持する。代案としては巨大分子担体材料は、細胞による抱き込みを可能にする大きさおよび化学的性質であっても良い。例えば巨大分子担体材料は、腫瘍の増大した血管透過度に基づいて固形腫瘍中への選択的沈積を可能にする大きさおよび化学的性質であっても良い。特定の実施形態では、巨大分子担体材料は、好ましくは少なくとも1ナノメートル(nm)(0.1nm以下の平均最大寸法を有する材料も使用できるが)、より好ましくは少なくとも10nm、さらにより好ましくは少なくとも100nm、さらにより好ましくは少なくとも1ミクロンの平均最大寸法を有する。
【0034】
典型的に巨大分子担体材料は、固形物の形態である(すなわち粒子、繊維、膜、フィルムなどの固体担体)が、例えばポリマーゲル、スポンジ、またはフォームの形態であることもできる。巨大分子担体材料は、セラミック、ガラス、金属、またはポリマー材料からできた基材をはじめとする多様な材料、または材料の組み合わせから作られることができる。「基材」、「担体材料」、または「担体」という用語はまた、ここでは巨大分子担体材料を指すのに使用される。
【0035】
IRM−担体複合体において、IRMは巨大分子担体材料に付着する。ここでの用法では、「付着する」という用語は、免疫反応調節物質の巨大分子担体材料との共有結合および非共有化学的会合(例えばイオン結合および水素結合)の双方を含む。非共有会合は、非特異的水素結合とは対照的に、好ましくは特異的高親和力タンパク質−リガンド相互作用による。好ましくは免疫反応調整物質は、共有結合の手段によって巨大分子担体材料に付着する。「カップリングする」「共役する」「結合する」または「固定化する」という用語もまた「付着する」を表すために使用されても良い。ここでの用法では、「付着する」からは、IRMによる巨大分子担体材料の単なるコーティングは除外される。
【0036】
(例えば粒子、繊維などの)固体担体、ならびにコロイド、およびポリマーフォーム、スポンジ、およびゲルなどの巨大分子担体材料へのIRMの付着は、IRMの局在的な生物学的活性を提供する。またIRMをポリマーに側鎖基として付着して、あらゆる所望の表面にポリマー被覆できる。IRMは(例えばIRMが付着するポリマーの生分解を通じて)巨大分子担体材料から最終的に脱離するかもしれないが、IRMはそれが活性である適切な使用期間中に脱離しない(もちろんそれは脱離後にもまた活性であっても良い)。このような巨大分子担体材料へのIRMの付着を使用して、IRMの全身性の吸収の発生を低下または防止でき、IRMの全身性の投与によって観察されることがある全身性の副作用を最小化できる。またこのようなIRMの基材への付着は、IRMの効果を所望の持続時間にわたり局在的な領域に限定または集中させる役目を果たすことができ、担体材料が除去できれば、IRMはそれと共に思いのままに容易に除去できる。これはIRMをどこにどれだけの間適用するかという、非常に重要なコントロールを提供する。
【0037】
特定の実施形態(例えばステントおよびその他の植込型または体外装置などの医療用品)では、IRMは体液との接触時に物品上のコーティングから溶出しても良い。このような実施形態では、IRMは、ここで定義されるようなIRMの巨大分子担体材料への付着を含むまたは含まないかもしれない多様な機序のいずれかを使用して、例えばポリマー材料などのコーティング材料中に組み込まれても良い。
【0038】
1つ以上のIRMが、固体担体またはその他の巨大分子担体材料に付着できる。また1つのIRMが、複数の固体担体またはその他の巨大分子担体材料に付着できる。
【0039】
そこに付着するIRMを有する基材は、治療的、予防的(例えばワクチンアジュバントとして)、または診断用であることができる、多様な医療用途で使用できる。ここでの用法では、病状または対象を「処置」するとは、治療的、予防的、および診断用処置を含む。
【0040】
例えば特定の実施形態では、IRMは、例えば、ステントと、シャントと、人工弁と、縫合糸と、手術用クリップおよびステープルと、留置カテーテルと、歯科および整形外科インプラントおよびゴアテックス(GORE−TEX)外科補装具をはじめとする補綴装置と、植込型脈管アクセスポートと、人工心臓と、心室補助ポンプと、血液酸素供給器、血液フィルター、血液透析ユニット、血液灌流ユニット、人工心肺装置内の導管、透析装置および血漿交換ユニットのチューブなどの体外装置と、膵臓または肝臓および人工肺などのハイブリッド人工臓器などの様々な医療用装置または移植の表面に付着できる。例えばイミダゾキノリン−4−アミンなどのIRMをインターベンショナル心臓病学で使用するための動脈ステントに付着して、再狭窄を防止できる。このようにしてIRMは、IRMの全身性分布の低下を伴う局在的な抗増殖性効果のために、血液の前駆形質細胞様樹状細胞(pDC細胞)を優先的に活性化して、INFα形成を刺激することが予期される。
【0041】
IRMを巨大分子担体複合体に付着して、創傷包帯、創傷包装材料、創傷密封材、縫合糸、および手術用クリップ中で使用して治癒を促進し、および/または瘢痕発生を低下させることができる。
【0042】
IRMは、筋肉または脂肪などの軟組織、骨などの硬組織、または歯周、胃腸、口、膣、直腸、鼻、膀胱、気道、子宮、海綿体、眼などの腔、または歯周嚢または眼の盲嚢などの嚢をはじめとする、体内のあらゆる場所で使用される基材に付着できる。したがって本発明の組成物を使用して、呼吸障害、胃腸障害、泌尿器機能不全、不能、子宮機能不全、および早期分娩などの障害を処置できる。
【0043】
IRM−担体複合体を膣または子宮に塗布して、例えばヘルペスまたは乳頭腫ウィルスなどの膣感染を処置できる。例えば膣または子宮内での塗布のために、1つ以上のIRMをゲルまたはフォーム中に組み込まれる材料などの巨大分子担体材料に(混合または溶解とは対照的に)付着できる。
【0044】
IRM−担体複合体は鼻腔に塗布できる。例えば鼻孔および/または副鼻洞に塗布するために、1つ以上のIRMをゲル、フォーム、またはスプレーなどの巨大分子担体材料に付着できる。
【0045】
IRM−担体複合体を眼に塗布して、例えばヘルペスなどのウィルス感染を処置できる。例えば眼および/または眼内レンズおよびコンタクトレンズなどの眼科装置に塗布するために、眼科製剤中に組み込むために、1つ以上のIRMを巨大分子担体材料に付着できる。
【0046】
IRM−担体複合体を消化管に送達して、胃腸障害を処置できる。例えば消化管への送達のために、1つ以上のIRMをビーズ、ゲルまたはフォームなどの巨大分子担体材料に付着して、経口的または経直腸的に送達できる。
【0047】
IRMはまた、対象の身体中に化合物の貯留を形成して、IRMの長期にわたる局在的な効果を促進するために、ポリマーなどの巨大分子担体材料に付着できる。
【0048】
いくつかの実施形態では、IRMは、例えばその中でIRMが構成要素である、免疫細胞の体外(ex vivo)処置、実験的試験、または診断用アッセイで使用するために、オリゴマー、ポリマー、ビーズ、組織培養フラスコ、組織培養プレート、マイクロタイタープレート、またはカラムなどの巨大分子担体材料に付着できる。例えばIRM−担体複合体の使用は、細胞とIRMとの接触を向上でき、診断用アッセイからのIRM除去を容易にでき、IRMの濃縮された送達を可能にでき、IRM試薬の節約を助けることができる。IRM担体複合体は、全身性の送達を要することなく免疫細胞を活性化するために、それを通して血液またはその他の細胞含有流体が移動する、生体内(in vivo)または生体外(ex vivo)通路、または容器の内面を覆うことができる。例えば樹状細胞を身体から除去して、治療的な使用のため身体に送達する前に、抗原およびIRM−担体複合体の存在下で成熟させることができる。
【0049】
本発明の方法、材料、および物品は、あらゆる適切な対象に適用できるかもしれない。適切な対象としては、ヒト、非ヒト霊長類、齧歯類、イヌ、ネコ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、または鳥などに限定されるものではない動物が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0050】
いくつかの用途では、例えば付帯した抗原によって、IRMが、その上にある特異的免疫抗原を伴う固体担体材料(例えば粒子)またはその他の巨大分子担体材料に付着できる。代案としては、免疫抗原が第2の固体担体材料(例えば粒子)またはその他の巨大分子担体材料に付着する一方で、IRMは第1の固体担体材料(例えば粒子)またはその他の巨大分子担体材料に付着できる。これらの実施形態は、抗原およびIRMの同時提示を可能にする。
【0051】
適切な免疫反応調整物質:
本発明の免疫反応調整物質(「IRM」)としては、サイトカイン生合成を誘導および/または抑制することにより、免疫系に作用する化合物が挙げられる。IRMは、抗ウィルスおよび抗腫瘍活性をはじめとするがこれに限定されるものではない、強力な免疫刺激する活性を有し、また免疫反応のその他の側面を下方制御して、例えば免疫反応をTH2免疫反応から遠ざけるが、これは広範なTH2媒介疾患を処置するのに有用である。またIRMを使用して、B細胞によって生成された抗体を刺激することにより、体液性免疫を調節することもできる。さらに様々なIRMが、ワクチンアジュバントとして有用なことが示されている(例えば米国特許第6,083,505号明細書および第6,406,705号明細書、および国際特許公報国際公開第02/2422号パンフレット参照)。
【0052】
特に、特定のIRMは、例えばタイプIインターフェロン、TNF−α、IL−1、IL−6、IL−8、IL−10、IL−12、MIP−1、および/またはMCP−1などのサイトカインの生成および分泌を誘導することでそれらの免疫賦活性活性を生じ、またIL−4およびIL−5などの特定のTH2サイトカインの生成および分泌を阻害できる。いくつかのIRMは、IL−1およびTNFを抑制すると言われている(例えば国際特許公報国際公開第00/09506号パンフレット参照)。
【0053】
いくつかの実施形態では、好ましいIRMは比較的小型の有機化合物である、いわゆる小分子IRMである(より大型の生物タンパク質、ペプチドなどとは対照的に、例えば分子量約1000ダルトン未満、好ましくは約500ダルトン未満)。
【0054】
活性に関するいかなる単一の理論にも拘束されないが、いくつかのIRMは、少なくとも1つのToll様受容体(TLR)の作動薬であることが知られている。6、7、8、および9から選択されるTLRに対する作動薬であるIRMは、特定の適用において特に有用かもしれない。いくつかの小分子IRMが、6、7、および8などのTLRの作動薬であるのに対し、オリゴヌクレオチドIRM化合物はTLR9およびおそらくはその他の作動薬である。したがっていくつかの実施形態では、巨大分子担体材料に付着するIRMは、1つ以上のTLRの作動薬として同定される化合物であっても良い。
【0055】
例えば作用に関するいかなる特定の理論または機序にも拘束されないが、強力な細胞障害性リンパ球(CTL)反応を活性化するIRM化合物は、特にこれらの状況における治療的効果が細胞性免疫の活性化に依存することから、治療的なウィルスおよび/または癌ワクチンのためのワクチンアジュバントとして特に望ましいかもしれない。例えば研究からは、特定の患者におけるT細胞免疫の活性化が患者の予後に対して顕著な好ましい効果を有することが示されている。したがってT細胞免疫を向上させる能力は、これらの疾患状況において治療的な効果を生じる上で重大な意味を持つと考えられる。
【0056】
TLR8を発現する抗原提示細胞は、TLR8を通じた刺激時にIL−12を生成することが示されているので、TLR8作動薬であるIRM化合物は、治療的な癌ワクチンと共に使用するのに特に望ましいかもしれない。IL−12は、上述のように治療的有効性を媒介するのに重要であるCTLの活性化において、顕著な役割を果たすと考えられている。
【0057】
TLR7および/またはTLR9を通じた刺激によって誘導されるタイプIインターフェロンは、中和TH1様体液性および細胞性反応の形成に寄与すると考えられているので、TLR7作動薬および/またはTLR9作動薬であるIRM化合物は、予防的ワクチンと共に使用するのに特に望ましいかもしれない。
【0058】
TLR7刺激は、タイプIIFNの生成と、マクロファージおよびNK細胞などの生得細胞の活性化を誘導すると考えられおり、TLR8刺激は、上述のように抗原提示細胞を活性化して細胞性適応免疫を開始すると考えられているので、TLR7およびTLR8双方の作動薬であるIRM化合物は、治療的なウィルス性ワクチンおよび/または癌ワクチンと共に使用するのに特に望ましいかもしれない。これらの細胞タイプは、ウィルス排除および/または新生物に対する治療的な生育阻害効果を媒介できる。
【0059】
TLR7はタイプIIFNの生成を誘導し、それはマクロファージおよびDCからのIL−12生成を下方制御するので、非TLR7作動薬であり、実質的な量のインターフェロンαを誘導しないIRM化合物は、細菌ワクチンなどの特定のワクチンと共に使用するのに望ましいかもしれない。IL−12は引き続くマクロファージ、NK細胞、およびCTLの活性化に貢献し、それは全て抗細菌性免疫に貢献する。したがっていくつかの種類の細菌に対する抗細菌性免疫の誘導は、IFNαの不在下で向上するかもしれない。
【0060】
本願明細書の目的では、IRM化合物が特定のTLRに対する作動薬と見なされるかどうかを判定する一方法は、それがNFkB/ルシフェラーゼレポーターコンストラクトを活性化して、それを通じて例えばHEK293またはナマルワ(Namalwa)細胞などのTLR形質移入された宿主細胞中の標的種からのTLRが、コントロールの形質移入体と比較して約1.5倍、および通常少なくとも約2倍を超えるかどうかである。TLR活性化の情報については、例えば国際特許公報国際公開第03/043573号パンフレットおよび国際公開第03/043588号パンフレット、米国特許出願第10/777,310号、米国特許出願第10/732,563号、米国特許出願第10/732,796号、および米国特許出願第10/788,731号、米国特許公報第US2004/0014779号、およびその他のIRM特許およびここで開示される出願を参照されたい。
【0061】
好ましいIRM化合物としては、五員環の窒素含有複素環に縮合した2−アミノピリジンが挙げられる。
【0062】
特定のIRMは、例えば米国特許第4,689,338号明細書、米国特許第4,929,624号明細書、米国特許第4,988,815号明細書、米国特許第5,037,986号明細書、米国特許第5,175,296号明細書、米国特許第5,238,944号明細書、米国特許第5,266,575号明細書、米国特許第5,268,376号明細書、米国特許第5,346,905号明細書、米国特許第5,352,784号明細書、米国特許第5,367,076号明細書、米国特許第5,389,640号明細書、米国特許第5,395,937号明細書、米国特許第5,446,153号明細書、米国特許第5,482,936号明細書、米国特許第5,693,811号明細書、米国特許第5,741,908号明細書、米国特許第5,756,747号明細書、米国特許第5,939,090号明細書、米国特許第6,039,969号明細書、米国特許第6,083,505号明細書、米国特許第6,110,929号明細書、米国特許第6,194,425号明細書、米国特許第6,245,776号明細書、米国特許第6,331,539号明細書、米国特許第6,376,669号明細書、米国特許第6,451,810号明細書、米国特許第6,525,064号明細書、米国特許第6,545,016号明細書、米国特許第6,545,017号明細書、米国特許第6,558,951号明細書、米国特許第6,573,273号明細書、米国特許第6,656,938号明細書、米国特許第6,660,735号明細書、米国特許第6,660,747号明細書、米国特許第6,664,260号明細書、米国特許第6,664,264号明細書、米国特許第6,664,265号明細書、米国特許第6,667,312号明細書、米国特許第6,670,372号明細書、米国特許第6,677,347号明細書、米国特許第6,677,348号明細書、米国特許第6,677,349号明細書、米国特許第6,683,088号明細書、欧州特許第0394026号明細書、米国特許公報第2002/0016332号、米国特許公報第2002/0055517号、米国特許公報第2002/0110840号、米国特許公報第2003/0133913号、米国特許公報第2003/0199538号、および米国特許公報第2004/0014779号、および国際特許公報国際公開第02/102377号パンフレットおよび国際公開第03/103584号パンフレットで開示されるものなどの小型有機分子(より大型の生物タンパク質、ペプチドなどとは対照的に、例えば分子量約1000ダルトン未満、好ましくは約500ダルトン未満)である。
【0063】
小分子IRM化合物のクラスの例としては、五員環の窒素含有複素環に縮合した2−アミノピリジンを有する化合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。例えばこのような化合物としては、例えばアミド置換イミダゾキノリンアミン、スルホンアミド置換イミダゾキノリンアミン、尿素置換イミダゾキノリンアミン、アリールエーテル置換イミダゾキノリンアミン、複素環式エーテル置換イミダゾキノリンアミン、アミドエーテル置換イミダゾキノリンアミン、スルホンアミドエーテル置換イミダゾキノリンアミン、尿素置換イミダゾキノリンエーテル、チオエーテル置換イミダゾキノリンアミン、および6−、7−、8−、または9−アリールまたはヘテロアリール置換イミダゾキノリンアミンなどの置換イミダゾキノリンアミンをはじめとするがこれに限定されるものではないイミダゾキノリンアミンと、アミド置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、スルホンアミド置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、尿素置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、アリールエーテル置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、複素環式エーテル置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、アミドエーテル置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、スルホンアミドエーテル置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、尿素置換テトラヒドロイミダゾキノリンエーテル、およびチオエーテル置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミンをはじめとするがこれに限定されるものではないテトラヒドロイミダゾキノリンアミンと、アミド置換イミダゾピリジンアミン、スルホンアミド置換イミダゾピリジンアミン、尿素置換イミダゾピリジンアミン、アリールエーテル置換イミダゾピリジンアミン、複素環式エーテル置換イミダゾピリジンアミン、アミドエーテル置換イミダゾピリジンアミン、スルホンアミドエーテル置換イミダゾピリジンアミン、尿素置換イミダゾピリジンエーテル、およびチオエーテル置換イミダゾピリジンアミンをはじめとするがこれに限定されるものではないイミダゾピリジンアミンと、1,2−架橋イミダゾキノリンアミンと、6,7−縮合シクロアルキルイミダゾピリジンアミンと、イミダゾナフチリジンアミンと、テトラヒドロイミダゾナフチリジンアミンと、オキサゾロキノリンアミンと、チアゾロキノリンアミンと、オキサゾロピリジンアミンと、チアゾロピリジンアミンと、オキサゾロナフチリジンアミンと、チアゾロナフチリジンアミンと、ピリジンアミン、キノリンアミン、テトラヒドロキノリンアミン、ナフチリジンアミン、またはテトラヒドロナフチリジンアミンに縮合した1H−イミダゾ二量体とが挙げられる。
【0064】
好ましいIRM化合物は、五員環の窒素含有複素環に縮合した2−アミノピリジンを含んでなる。
【0065】
(とりわけ)インターフェロンを誘導すると言われる小分子IRMの追加例としては、プリン誘導体(米国特許第6,376,501号明細書、および米国特許第6,028,076号明細書で述べられるものなど)、イミダゾキノリンアミド誘導体(米国特許第6,069,149号明細書で述べられるものなど)、1H−イミダゾピリジン誘導体(日本国特許出願第9−255926号公報で述べられるものなど)、ベンズイミダゾール誘導体(米国特許第6,387,938号明細書で述べられるものなど)、五員環窒素含有複素環に縮合した4−アミノピリミジンの誘導体(米国特許第6,376,501号明細書、米国特許第6,028,076号明細書、および米国特許第6,329,381号明細書、および国際特許公報国際公開第02/08595号パンフレットで述べられるアデニン誘導体など)、および特定の3−β−D−リボフラノシルチアゾロ[4,5−d]ピリミジン誘導体(米国特許公報第2003/0199461号で述べられるものなど)が挙げられる。1H−イミダゾピリジン誘導体(米国特許第6,518,265号明細書および欧州特許出願EP第1 256 582号明細書で述べられるものなど)は、TNFおよびIL−1サイトカインを阻害すると言われている。
【0066】
五員環の窒素含有複素環に縮合した4−アミノピリミジンを含んでなる小分子IRMの例としては、アデニン誘導体(米国特許第6,376,501号明細書、米国特許第6,028,076号明細書、および米国特許第6,329,381号明細書、および国際特許公報国際公開第02/08595号パンフレットで述べられるものなど)が挙げられる。
【0067】
特定のIRM化合物の例としては、主にTLR8作動薬と見なされる(そして実質的にTLR7作動薬でない)2−プロピル[1,3]チアゾロ[4,5−c]キノリン−4−アミン、主にTLR7作動薬と見なされるa(そして実質的にTLR8作動薬でない)4−アミノ−α,α−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−エタノール、およびTLR7およびTLR8作動薬である4−アミノ−2−(エトキシメチル)−α,α−ジメチル−6,7,8,9−テトラヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−エタノールが挙げられる。4−アミノ−α,α−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−エタノールは、そのTLR7活性に(そしてTLR6活性、しかし低いTLR8活性に)加えて、全身性に送達した際に、イミキモドと比較してはるかに低いCNS効果を有することをはじめとする有益な特性を有する。その他の特定IRM化合物の例としては、例えばN−[4−(4−アミノ−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c][1,5]ナフチリジン−1−イル)ブチル]−N’−シクロヘキシル尿素、2−メチル−1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c][1,5]ナフチリジン−4−アミン、1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c][1,5]ナフチリジン−4−アミン、N−{2−[4−アミノ−2−(エトキシメチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]−1,1−ジメチルエチル}メタンスルホンアミド、N−[4−(4−アミノ−2−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]メタンスルホンアミド、2−メチル−1−[5−(メチルスルホニル)ペンチル]−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン、N−[4−(4−アミノ−2−プロピル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]メタンスルホンアミド、2−ブチル−1−[3−(メチルスルホニル)プロピル]−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン、2−ブチル−1−{2−[(1−メチルエチル)スルホニル]エチル}−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン、N−{2−[4−アミノ−2−(エトキシメチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]−1,1−ジメチルエチル}−N’−シクロヘキシル尿素、N−{2−[4−アミノ−2−(エトキシメチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]−1,1−ジメチルエチル}シクロヘキサンカルボキサミド、N−{2−[4−アミノ−2−(エトキシメチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]エチル}−N’−イソプロピル尿素が挙げられる。またTLR7およびTLR8作動薬の組み合わせが所望される特定の状況で、レシキモド、4−アミノ−2−エトキシメチル−α,α−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−エタノールを使用しても良い。
【0068】
その他のIRMとしては、オリゴヌクレオチド配列などのより大型の生体分子が挙げられる。いくつかのIRMオリゴヌクレオチド配列はシトシン−グアニンジヌクレオチド(CpG)を含有し、例えば米国特許第6,194,388号明細書、米国特許第6,207,646号明細書、米国特許第6,239,116号明細書、米国特許第6,339,068号明細書、および米国特許第6,406,705号明細書で述べられる。いくつかのCpG−含有オリゴヌクレオチドは、例えば米国特許第6,426,334号明細書および米国特許第6,476,000号明細書で述べられるものなどの合成免疫調節構造モチーフを含むことができる。その他のIRMヌクレオチド配列はCpGを欠いており、例えば国際特許公報国際公開第00/75304号パンフレットで述べられる。
【0069】
所望ならばIRMの様々な組み合わせが使用できる。
【0070】
例示的用途:
ミネソタ州セントポールの3Mファーマシューティカルズ(3M Pharmaceuticals(St.Paul、MN))からアルダラ(ALDARA)として市販される、小分子イミダゾキノリンIRMであるイミキモドなどのIRMは、疣贅、ならびに特定の癌または前癌病変の治療的な処置のために有用であることが示されている(例えばガイセ(Geisse)ら、J.Am.Acad.Dermatol.、47(3):390〜398(2002);シューマック(Shumack)ら、Arch.Dermatol.、138:1163〜1171(2002);米国特許第5,238,944号明細書および米国特許公報第US2003/0199538号を参照されたい)。
【0071】
本発明のIRM−担体複合体を投与することで処置されても良い病状としては、
(a)例えばアデノウィルス、ヘルペスウィルス(例えばHSV−I、HSV−II、CMV、またはVZV)、ポックスウィルス(例えば痘瘡またはワクシニアなどのオルトポックスウィルス、または伝染性軟属腫)、ピコルナウィルス(例えばライノウィルスまたはエンテロウィルス)、オルトミクソウィルス(例えばインフルエンザウィルス)、パラミクソウィルス(例えばパラインフルエンザウィルス、おたふく風邪ウィルス、はしかウィルス、および呼吸器合胞体ウィルス(RSV))、コロナウィルス(例えばSARS)、パポバウィルス(例えば生殖器疣、尋常性肬贅、または足底疣贅を引き起こすものなどの乳頭腫ウィルス)、ヘパドナウィルス(例えば肝炎Bウィルス)、フラビウィルス(例えば肝炎Cウィルスまたはデングウィルス)、またはレトロウィルス(例えばHIVなどのレンチウィルス)による感染から帰結する疾患などのウィルス性疾患、
(b)例えば、エシェリキア、エンテロバクター、サルモネラ、ブドウ球菌、赤痢菌、リステリア、アエロバクター、ヘリコバクター、クレブシエラ、プロテウス、シュードモナス、連鎖球菌、クラミジア、マイコプラズマ、肺炎球菌、ナイセリア、クロストリジウム、バシラス、コリネバクテリウム、マイコバクテリウム、カンピロバクター、ビブリオ、セラチア、プロビデンシア、クロモバクテリウム、ブルセラ、エルシニア、ヘモフィルス、またはボルデテラ属の細菌による感染から帰結する疾患などの細菌疾患、
(c)クラミジアと、カンジダ症、アスペルギルス症、ヒストプラスマ症、クリプトコックス髄膜炎をはじめとするがこれに限定されるものではない真菌疾患と、またはマラリア、カリニ肺炎(pneumocystis carnii pneumonia)、レーシュマニア症、クリプトスポリジウム症、トキソプラズマ症、およびトリパノソーマ感染をはじめとするがこれに限定されるものではない寄生虫疾患などのその他の感染性疾患、および
(d)上皮内新生物形成と、子宮頚部異形成と、光線性角化症と、基底細胞癌と、扁平細胞癌と、腎細胞癌と、カポジ肉腫と、メラノーマと、腎細胞癌と、骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T−細胞リンパ腫、B−細胞リンパ腫、および毛様細胞白血病をはじめとするがこれに限定されるものではない白血病と、その他の癌などの新生物疾患、
(e)アトピー性皮膚炎または湿疹、好酸球増加症、喘息、アレルギー、アレルギー性鼻炎、およびオーメン症候群などのTH2−媒介アトピー性疾患、
(f)全身性エリテマトーデス、本態性血小板血症、多発性硬化症、円板状エリテマトーデス、円形脱毛症などの特定の自己免疫疾患、および
(g)例えばケロイド形成およびその他のタイプの瘢痕の阻害(例えば慢性創傷をはじめとする創傷治癒の向上)などの創傷修復に付帯する疾患
が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0072】
さらに、本発明のIRM−担体複合体は、例えば、BCG、コレラ、ペスト、腸チフス、肝炎A、肝炎B、肝炎C、インフルエンザA、インフルエンザB、パラインフルエンザ、ポリオ、狂犬病、はしか、おたふく風邪、風疹、黄熱病、破傷風、ジフテリア、ヘモフィルスインフルエンザb、結核、髄膜炎菌性および肺炎球菌ワクチン、アデノウィルス、HIV、水痘、サイトメガロウィルス、デング、ネコ白血病、家禽ペスト、HSV−1およびHSV−2、豚コレラ、日本脳炎、呼吸器合胞体ウィルス、ロタウィルス、乳頭腫ウィルス、黄熱病、およびアルツハイマー疾患に関連して使用するための例えば、生ウィルス、細菌、または寄生虫免疫原と、不活性化ウィルス、腫瘍由来、原生動物、生物体−由来、真菌、または細菌免疫原、トキソイド、毒素と、自己抗原と、多糖類と、タンパク質と、糖タンパク質と、ペプチドと、細胞性ワクチンと、DNAワクチンと、自家ワクチンと、リコンビナントタンパク質と、糖タンパク質と、ペプチドなどの体液性および/または細胞媒介免疫反応のいずれかを引き起こす、あらゆる材料との組み合わせで使用するためのワクチンアジュバントとして有用かもしれない。
【0073】
本発明の特定のIRM−担体複合体は、免疫機能が損なわれている個人において特に役立つかもしれない。例えば、移植患者、癌患者、およびHIV患者において、例えば特定の複合体を使用して、細胞媒介免疫抑制後に起きる日和見感染および腫瘍を処置しても良い。
【0074】
基材:
IRM付着のための基材として機能する巨大分子担体材料の選択は、本発明の範囲内で大きく異なることができる。巨大分子担体材料は、好ましい最終用途次第で多孔性または非多孔性であることができる。巨大分子担体材料は、究極的な所望の用途次第で連続または非連続であることができる。巨大分子担体材料は、セラミック、ガラス、金属、オリゴマーまたはポリマー材料、または材料の組み合わせからできた基材をはじめとする、有機、無機、またはそれらの組み合わせであっても良い多様な材料から作ることができる。特定の実施形態では、ケイ素ベースの材料(例えばシリカベースの材料)が使用できる。したがってここで「金属」という用語は、ケイ素などの半金属を含む。巨大分子担体材料は、究極的な所望の用途次第で可撓性または非可撓性であることができる。
【0075】
例示的な材料としては、織布および不織布ウェブ(などの繊維性ウェブ)、マイクロ多孔性繊維、およびマイクロ多孔性膜などのポリマー材料が挙げられる。
【0076】
また特定の実施形態では、IRMは、粒子(例えばビーズ)、フィルム、膜、繊維、ゲル、クリーム、フォーム、またはスポンジをはじめとするが、これに限定されるものではない、様々な材料の表面に付着できる。典型的に、このような粒子、フィルム、膜、繊維、ゲル、クリーム、フォーム、およびスポンジは有機ポリマー材料である。
【0077】
適切なポリマーは、天然または合成ポリマーであっても良い。合成ポリマーが好ましい。ここでポリマーとしては、ホモポリマーおよび共重合体が挙げられる。共重合体とは、2つ以上のモノマーから調製されるポリマーを指すために使用され、ターポリマー、テトラポリマーなどが挙げられる。
【0078】
例示的な合成ポリマーとしては、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアルキレン、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ポリアルキレンテレフタラート、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、ポリビニルハロゲン化物、ポリビニルピロリドン、ポリグリコリド、ポリシロキサン、ポリウレタンおよびその共重合体、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、アクリル酸およびメタクリル酸エステルのポリマー、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシ−プロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、酢酸セルロース、セルロースプロピオネート、酢酸酪酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、カルボキシルエチルセルロース、三酢酸セルロース、セルロース硫酸ナトリウム塩、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、ポリ(オクタデシルアクリレート)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンテレフタラート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(塩化ビニル)、ポリスチレン、ポリアミド、ポリビニルピロリドン、および乳酸およびグリコール酸のポリマー、ポリ酸無水物、ポリ(オルト)エステル、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)、およびポリ(ラクチド−コカプロラクトン)が挙げられるが、これに限定されるものではない。フルオロポリマー材料もまた使用できる。このような材料の例は、米国特許第6,630,047号明細書、米国特許第6,451,925号明細書、および米国特許第6,096,428号明細書で開示される。
【0079】
例示的な天然ポリマーとしては、アルギナートと、デキストランおよびセルロース、コラーゲン、それらの化学的誘導体(置換、例えば、アルキル、アルキレンである化学基の付加、水酸化、酸化、および当業者によって日常的に行われるその他の変性)をはじめとするその他の多糖類と、ゼインと、その他のプロラミンおよび疎水性タンパク質と、それらの共重合体および混合物とが挙げられるが、これに限定されるものではない。所望ならばこれらのあらゆるポリマーの共重合体および混合物が使用できる。
【0080】
担体材料は、例えばH.S.ソーニー(Sawhney)、C.P.パタック(Pathak)、およびJ.A.ヒューベル(Hubell)著「巨大分子(Macromolecules)」(1993)26:581〜587で述べられるもの、ならびにポリヒアルロン酸、カゼイン、多糖類、ケラチン、コラーゲン、ゼラチン、グルチン、ポリエチレングリコール、架橋されたアルブミン、フィブリン、ポリ酸無水物、ポリアクリル酸、アルジネート、キトサン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、ポリ(オクタデシルアクリレート)、およびセルロースガムをはじめとするヒドロゲルなどの生体接着性ポリマーであることができる。代案としては、ポリマーヒドロゲル材料は、米国特許第4,528,325号明細書および米国特許第4,618,649号明細書で開示されるようにポリ(ビニルアルコール)前駆物質から、またはポリ(メチルメタクリレート)から構築できる。ポリ(メチルメタクリレート)は市販され、眼内レンズ、コンタクトレンズなどの眼科装置で使用されることが多い。
【0081】
適切なヒドロゲルは、天然、合成、またはそれらの組み合わせであることができる。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、例えば2003年7月24日に出願された米国特許出願第10/626261号で述べられるヒドロゲルのように、計画された温度に熱的に反応性であることができる。例えば熱的反応性ヒドロゲルは、身体温度に加温されると硬化でき、UV照射するとさらに硬化することができる。
【0082】
好ましい生体接着性ポリマーとしては、アクリル酸の架橋ポリマーが挙げられる。適切な例としては、カルボマーと称されるポリマーなどのアリルスクロースまたはアリルペンタエリスリトールと架橋したアクリル酸ポリマーが挙げられる。適切なカルボマーとしては、例えばオハイオ州クリーブランドのノヴェオン(Noveon,Inc.(Cleveland、OH)からカルボポル(CARBOPOL)971P NFポリマーおよびカルボポル(CARBOPOL)974P NFポリマーとして入手できるものが挙げられる。架橋されたアクリル酸ポリマーのその他の例としては、ポリカルボフィルと称されるものなどのジビニルグリコールで架橋されたものなどが挙げられる。適切なポリカルボフィルとしては、例えばオハイオ州クリーブランドのノヴェオン(Noveon,Inc.(Cleveland、OH)からノヴェオン(NOVEON)AA−1 USPポリカルボフィルとして入手できるものが挙げられる。
【0083】
生体接着性有機ポリマーは、IRMの特定用途のために好ましい。例えばIRMが子宮頚部異形成または膀胱癌を処置するために使用される場合、生体接着性ポリマーが所望される。有利なことに調合物の接着特性は、IRMが生物学的組織と接触できるようにし、サイトカイン誘導のためのより長い接触時間を可能にする。
【0084】
しかしここで述べる多くの実施形態でもIRMが、それからIRMが放出される調合物中に単に溶解または混合するのではなく、意図される使用状況下では、担体に付着している間、使用中にIRMが生物学的に活性であるように、それが十分に強力な結合(共有結合必要とすることもある)によって担体材料に付着することに留意することが重要である。好ましくは特定の実施形態では(例えば生体接着性ポリマー担体材料では)、IRMは担体材料に共有結合的に付着する。しかしここで述べられる各用途(例えばステントまたはその他の植込型装置または体外装置などの医療用品)では、IRMが放出されて、その様式で機能することができるように、IRMは未付着脱着式形態で提供され、または時間とともに未付着になっても良いものと理解される。すなわち例えばIRMは、巨大分子担体材料中に単に溶解または混合できる(例えばポリマーコーティング中におけるように)。望ましい場合、2つのタイプの混合物もまた使用できる。
【0085】
IRM−担体複合体を組み込んだゲル、クリーム、フィルム、軟膏、コーティング、スティック、コロイド、ペースト、およびフォームは多様な身体表面に塗布でき、多くの用途の例として、例えば創傷包帯および創傷包装材料が挙げられる。これらの種類の固形物、半固形物、または粘稠な製剤は、身体表面におけるIRM化合物の保持を促進し、IRMの全身性の吸収を防止する役割を果たすことができる。身体表面としては、消化管、膣、子宮、膀胱、口腔、鼻孔、歯周表面、直腸、眼表面、または耳表面が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0086】
粒子は、IRMがそれに付着する基材であることができる。例えば、粒子は、例えばバイオラッド(Biorad)およびピアス(Pierce)をはじめとする多くの供給元から市販されるものなどの炭水化物ビーズおよびラテックスビーズをはじめとするが、これに限定されるものではないビーズの形態であることができる。様々なオキシド含有粒子(例えばシリカ粒子)もまた、基材として使用できる。粒子はまた、微小球、マイクロカプセルなどのマイクロ粒子の形態であることができる。量子ドットなどのナノ粒子もまた使用できる。
【0087】
セラミック担体、ガラス担体、および金属担体は全て技術分野で知られており、市販され、または多様な既知の技術によって調製できる。
【0088】
それからIRMが伸びることができる、規則的または不規則な物理的立体配置表面のいずれかを有する織布および不織布ウェブは、基材として有用である。より大きい表面積を提供することから、繊維性ウェブが特に所望され、製造の容易さ、低材料経費、および繊維テクスチャーおよび繊維密度におけるバリエーションが可能であるることから、不織布繊維性ウェブが好ましい。例えば0.05ミクロメートル(μm)〜50ミクロメートルである多種多様な繊維直径が使用できる。ウェブの厚さは、例えば0.2ミクロメートル〜10センチメートル(cm)以上の厚さの間で用途に合わせて大幅に変動することができる。
【0089】
繊維性ウェブは、技術分野で知られている方法、または技術分野で知られている方法の変法によって調製できる。不織布ウェブは、当業者に知られているメルトブローンによって調製できる。一般的に、溶融ポリマー材料はメルトブローンポリマーマイクロファイバーのストリームを製造するように押し出される。繊維は捕集スクリーン上に収集され、マイクロファイバーがウェブを形成する。不織布ウェブはまた、ウェブの片面または両面にラミネートされた透過性担体布帛を任意に含むことができ、またはさらに強化繊維を含有できる。
【0090】
不織布繊維性ウェブを調製するのに有用な例示的な材料としては、繊維性ウェブを形成するモノマーのポリマーおよび共重合体が挙げられる。適切なポリマーとしては、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリアルキレンと、ポリ塩化ビニルと、様々なナイロン、ポリスチレン、ポリアリールスルホン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリブチレン、ポリ(エチレンビニル酢酸)などのポリアミドと、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネートなどのポリアクリレートと、酢酸酪酸セルロースなどのセルロース誘導体と、ポリ(エチレンテレフタラート)、ポリイミドなどのポリエステルと、ポリエーテルポリウレタンなどのポリウレタンと、それらの組み合わせが挙げられる。
【0091】
不織布ウェブはまた、ポリエステルおよびポリアルキレンなどの同時押出しポリマーの組み合わせから調製できる。上述のポリマーを提供するモノマーの共重合体もまた本発明の範囲内に含まれる。不織布ウェブはまた、微細繊維およびけん縮ステープル繊維の密接混合である組み合わせウェブであることができる。
【0092】
IRM付着のための適切な基材としてはまた、全て技術分野で知られているマイクロ多孔性膜、繊維、中空繊維、またはチューブを挙げることができる。ウェブを調製するのに有用であるのと同じ材料はまた、繊維および膜を調製するのにも適している。
【0093】
例示的なマイクロ多孔性膜は、熱可塑性ポリマーおよび非混合性液体を均質な混合物を形成するのに十分な温度で溶融混合するステップと、溶液から物品を所望の形状に形成するステップと、液体およびポリマーの相分離を誘導してポリマーが究極的に凝固するように造形品を冷却するステップと、液体の少なくともかなりの部分を除去してマイクロ多孔性ポリマーマトリックスを残すステップとを含む、熱誘起相分離法技術を使用して、熱可塑性ポリマー材料から製造されたものである。この方法および方法で使用するのに好ましい組成物については、米国特許第4,957,943号明細書、米国特許第4,539,256号明細書、および米国特許第4,726,989号明細書で詳細に述べられる。代案としては、ポリマー担体はまた、熱誘起相分離法技術によって製造される疎水性ポリオレフィン膜であることができるが、またこのような疎水性膜表面にかみ合う親水性ポリマーシェルを有することができる。
【0094】
担体材料とそれに付帯するIRMは、材料の組み合わせを含むことができる。例えばそれらは、無機および有機材料の組み合わせ、または異なる有機ポリマーの組み合わせを含むことができる。これは例えば材料を層化することで生じる。IRMが標的作用部位に到達するまで、それが身体の免疫系からマスクされまたは隠されるように、1つ以上の材料が最外面上で微粒子担体材料に付帯(例えば付着)することができる。例えば付着する1つ以上のIRMを有する乳酸およびグリコール酸のポリマー形態の粒子は、その上にポリアルキレンオキシドポリマー(例えばポリエチレングリコール)のコーティング有することができる(例えばグレフ(Gref)ら、「コロイドおよび表面B(Colloids and Surfaces B)」Biointerfaces、18、301〜313、2000参照)。ポリアルキレンオキシドは、IRMが標的作用部位に到達するまで、それを身体の免疫系からマスクする役割をする。
【0095】
ステント:
血管閉塞は、一般にステントを用いるなどして、病気に冒された脈管において血流を機械的に向上させて処置される。ステントは足場の役割をして物理的に開放を保ち、所望ならば通路の壁を拡大する機能を果たす。典型的にステントは、カテーテルにより小腔を通して挿入し、次に所望の位置に到達するとより大きな直径に拡張するように圧縮することができる。ステントを開示する特許文献の例としては、パルマッツ(Palmaz)に付与された米国特許第4,733,665号明細書、ジャントゥルコ(Gianturco)に付与された米国特許第4,800,882号明細書、およびビクトル(Wiktor)に付与された米国特許第4,886,062号明細書が挙げられる。
【0096】
本発明で有用なステントは、自己拡張式ステント、あるいはバルーンを膨張させることで、または拡張部材によって放射状に拡張できるステント、または熱を提供してステントの大きさを変化させる無線周波数の使用によって拡張されるステントをはじめとするあらゆるステントであることができる。ステントはまた、金属材料、金属合金(例えばニッケル−チタン)またはさらにポリマー複合材をはじめとする、あらゆる所望の材料から製造できる。ステントはあらゆるワイヤまたはセルデザインを有することができる。使用できる自己拡張式ワイヤメッシュステントの例としては、シュナイダー(Schneider)によって市販される冠動脈壁ステント(WALLSTENT)、およびボストン・サイエンティフィック(Boston Scientific Corp.)によって市販されるSciMEDラディアス・ステント(RADIUS stent)が挙げられる。使用できるバルーン拡張性ステントの例としては、例えばガイダント(Guidant Corp.)のマルチリンク・ステント(MULTILINK stent)、メドトロニックAVE(Medtronic AVE)の冠動脈ステントS670、ボストン・サイエンティフィック(Boston Scientific Corp.)のNIRステント、コルディス(Cordis)のクロス・フレックス・ステント(CROSS FLEX stent)、プログレッシブ・アンギオプラスティ・システムズ(Progressive Angioplasty Systems Inc.)のPASステント、クック(Cook Inc.)のV−フレックスプラス・ステント(FLEX PLUS stent)、およびコルディス(Cordis)のPALMAZ−SCHATZクラウンおよびスパイラル・ステントが挙げられる。その中に本発明のステントが配置できる脈管としては、管、動脈、気管、静脈、腸、胆管、尿管および食道などの天然身体脈管が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0097】
さらに心臓用途では、身体通路(例えば食道、胆管、気管、腸、脈管系および尿道)内の癌性閉塞の発生もまた、癌性増殖または腫瘍でブロックされた通路の開放を保つように作動するステントで処置できる。しかしこのようなステントは、ステントの隙間への癌性材料の内殖を防止しない。
【0098】
本発明では、ステントは機械的介入のためだけでなく、生物学的治療法を提供するためのビヒクルとしても使用される。生物学的治療法は、IRMをステントに付着させることで達成できる。IRMの付着によって薬物混入されているステントは、疾患部位での治療的物質の局所的投与を提供する。特定部位に物質が濃縮されることで、対象に悪影響またはさらに有毒な副作用を生じることが多い全身性投薬と比較して、より少い総レベルの医薬品が投与できることから、IRMの局所的送達は好ましい処置の方法である。
【0099】
再狭窄は、脈管壁肥厚および血液脈管によって供される組織の血流損失を引き起こす慢性脈管損傷の一形態である。これはステント挿入などの脈管閉塞の緩和を試みるほとんどあらゆる操作を含む脈管再建手順に反応して起きる。再狭窄は脈管疾患に対する侵襲性処置の有効性を制限する主要な要因であり、過去15年間にわたり心臓脈管研究における主要な課題でありつづけている。1994年の推定によれば(米国心臓脳卒中財団)、6千万人を越えるアメリカ人が1つ以上の形態の心臓脈管疾患を有している。同年、これらの疾患によって約100万人(米国における全死亡数の41%)が死亡しており、先進国における死亡と身体障害の主要原因と見なされている。
【0100】
再狭窄防止のために研究されている全身性の治療法としては、内皮損失に対する処置に向けた薬剤、抗血小板物質(例えばアスピリン)、血管拡張薬(例えばカルシウムチャンネルブロッカー)、抗血栓薬(例えばヘパリン)、抗炎症薬(例えばステロイド)、脈管の平滑筋細胞(VSMC)増殖を防止する薬剤(例えばコルヒチン)、および再内皮化促進剤(例えば脈管の内皮の増殖因子)が挙げられる。研究されている局所的処置としては、局所的薬剤送達(例えばヘパリン)およびβおよびγ放射線が挙げられる。これらは主として再狭窄過程の限定的部分に作用するようであることから、ヒトにおける使用では全て期待はずれであった。全身性の処置はまた、疾患部位において、好ましくない全身性の合併症および毒性を引き起こすことなく、持続する生物学的効果を提供する薬剤の適切な吸収および保持を達成するというさらに別の問題に遭遇する。
【0101】
冠動脈血管形成術およびステント留置によって誘発される炎症性反応は、冠動脈介入後の再狭窄の主因である新生内膜過形成の発生において役割を果たしているかもしれない。脈管の組織損傷によって引き起こされる炎症は、線維芽細胞および平滑筋肉移行および増殖、アポトーシス、およびマトリックス合成および再造形などの細胞および生化学的過程の複合カスケードを引き起こす。サイトカインは、急性および慢性炎症性反応双方の媒介物である。腫瘍壊死因子α、インターフェロン−α、インターフェロン−γ、インターロイキン1、4、13、および単球化学誘引タンパク質−1、および酸化窒素などの多くのサイトカインが、脈管の組織損傷後の炎症性反応で役割を果たすとして同定されている。これらおよびその他のサイトカインが果たす正確な役割は明らかでないが、口、皮膚および脈管の組織で見られる繊維増殖反応における変更が、組織中の局所的サイトカインプロフィールを変更することで達成できることを示唆する証拠がある。例えばインターフェロン−αおよびγは、皮膚線維芽細胞および肥厚性瘢痕線維芽細胞によるコラーゲン合成を低下させることが示されている。マウスでは、インターフェロン−γは、移植された異物に対する線維性反応を低下させた。インターフェロン−γはまた、培養中で脈管の平滑筋細胞の増殖を阻害し、バルーン血管形成術後の動脈再狭窄を低下させることが示されている。
【0102】
免疫反応調整物質(IRM)は、例えばTLR7および/または8などの例えばtoll様受容体(TLR)経路を通じた、抗原提示細胞からのサイトカイン生成を引き起こす小分子を含む。いくつかのIRMは、生得免疫反応にTH1または細胞媒介反応を刺激するIL−12およびインターフェロン−γなどのサイトカインを生成させることができる。このTH1サイトカイン反応はまた、TH2反応に関係していると見なされるサイトカインの低減を引き起こすことができる。TH2サイトカインの過剰発現は、アトピーおよび肉芽腫の病状に関係していると見なされる。したがってIRMによる脈管組織損傷における炎症性反応の操作は、血管形成術およびステント留置に続く再狭窄を防止することができる。
【0103】
ステント、ならびにその他の医療用装置、特に植込型および体外装置では、IRMは体液との接触時に物品上のコーティングから溶出しても良い。このような実施形態では、IRMはIRMの巨大分子担体材料への付着を含んでもまたは含まなくても良い、多様な機序のいずれかを使用して、例えばポリマー材料などのコーティング材料に組み込まれても良い。例えばIRMは、ポリマーコーティング材料中に単に混合できる。
【0104】
ここで「医療用装置」および「医療用品」という用語は区別なく使用され、それらの通常の使用および操作過程において、概して身体組織、臓器、または血液などの流体と接触できる表面を有するあらゆる装置を指す。医療用装置の例としては、ステント、ステントグラフト、吻合コネクター、リード、針、ガイドワイヤ、カテーテル、センサー、手術器具、血管形成術バルーン、創傷排水、シャント、管材料、尿道インサート、ペレット、移植、ポンプ、脈管のグラフト、弁、ペースメーカーなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。医療用装置は、例えば血液酸素供給器、血液ポンプ、血液センサーをはじめとする手術中に使用される装置などの体外装置、または対象に戻る血液に接触する血液を運搬するのに使用される管材料などであることができる。医療用装置は同様に、脈管のグラフト、ステント、ステントグラフト、吻合コネクター、電気的刺激リード、心臓弁、整形外科装置、カテーテル、シャント、センサー、髄核代替装置、蝸牛または中耳移植、眼内レンズなどの植込型装置であることができる。植込型装置としては薬剤注入ポートなどの経皮装置なども挙げられる。
【0105】
このような医療用装置または医療用品は、その範囲に経皮パッチ、またはタンポンなどの生理用品で使用される物品を含まない。
【0106】
特定の実施形態では、医療用装置としては、シャント、人工弁、縫合糸、手術用クリップ、手術用ステープル、留置カテーテル、人工歯根(ただし人工歯根は歯周腔に挿入されるペリオチップでない)、整形外科インプラント、外科補装具、植込型脈管アクセスポート、人工心臓、心室補助ポンプ、血液酸素供給器、血液フィルター、血液透析ユニット、血液灌流ユニット、人工心肺装置内の導管、透析装置内のチューブ、血漿交換ユニット内のチューブ、人工膵臓、人工肝臓、人工肺、眼内レンズ、またはコンタクトレンズが挙げられる。
【0107】
基材への付着:
IRMは、共有付着または非共有付着のどちらかを通じて巨大分子担体材料に付着できる。IRMの巨大分子担体材料への非共有付着としては、例えばイオン相互作用または水素結合による付着が挙げられる。
【0108】
本発明に含まれる非共有付着の一例は、周知のビオチン−アビジンシステムである。アビジン−ビオチン親和力ベースの技術は、1970年代のエドワード・ベイヤー(Edward Bayer)医師およびメイエル・ウィルチェック(Meier Wilchek)医師による先駆的な研究以来、生物学およびバイオテクノロジーの多数の分野において広範な応用性を見いだしている。アビジンとビオチン間の親和定数は、顕著に高く(解離定数、Kdは約10-15M、グリーン(Green),N.著、Biochem J、89、599、1963参照)、ビオチンが多種多様な生体分子とカップリングした際に顕著に減少しない。生体分子の活性またはその他の所望の特性に対する最小またはごくわずかな損失で、生体分子をビオチンにカップリングする多数の化学的性質が同定されている。ビオチン−アビジン技術のレビューは、「親和力ベースの分離へのアビジン−ビオチン技術の応用(Applications of Avidin−Biotin Technology to Affinity−Based Separation)」ベイヤー(Bayer)ら、J.of Chromatography、1990、3〜11ページにある。
【0109】
ストレプトアビジン、およびその官能性同族アビジンは、4個の同一のサブユニットを有する四量体タンパク質である。ストレプトアビジンは、アクチノバクテリアであるストレプトマイセス・アビジニによって分泌される。ストレプトアビジンまたはアビジンのモノマーは、水溶性ビタミンのビオチンに対して1個の高親和力結合部位を含有し、ストレプトアビジンまたはアビジン四量体は、4個のビオチン分子に結合する。
【0110】
ビタミンHまたはシス−ヘキサヒドロ−2−オキソ−1H−チエノ−[3,4]−イミダゾール−4−ペンタン酸としても知られているビオチンは、細菌および酵母菌をはじめとするほとんどの生物体にとって必須の塩基性ビタミンである。ビオチンはその結合相手であるアビジンおよびストレプトアビジンよりもはるかに低い、約244ダルトンの分子量を有する。ビオチンはまた一緒に多種多様な基材をカルボキシ化する、ピルビン酸カルボキシラーゼ、トランス−カルボキシラーゼ、アセチル−CoA−カルボキシラーゼおよびβ−メチルクロトニル−CoAカルボキシラーゼの酵素補助因子でもある。
【0111】
ストレプトアビジンおよびアビジンの双方はビオチンへの極めて密接かつ高度に特異的な結合を示し、これは10-15モル(M)のモル解離定数(N.M.グリーン(Green)、Advances in Protein Chemistry、第29巻、p.85〜133、1975)、および89日間のt1/2リガンド解離(N.M.グリーン(Green)、Advances in Protein Chemistry、第29巻、p.85〜133、1975)であり、タンパク質とリガンド間の非共有相互作用の中で最も強力な1つであることが知られている。アビジン−ビオチン結合は血清および循環中で安定している(R.D.ウェイ(Wei)、D.H.コウ(Kou)、S.L.ホー(Hoo)、Experientia、第27巻、p.366〜368、1970)。ひとたび形成されると、アビジン−ビオチン複合体は、最も極端なpH、有機溶剤および変性条件に影響されない。ビオチンからのストレプトアビジンの分離は、8Mグアニジン、pH1.5、または121℃で10分間のオートクレーブ処理などの条件を必要とする。
【0112】
IRMは、あらゆる知られている方法を使用してビオチン化しても良い。IRMは、例えばイリノイ州ロックフォードのピアスケミカル(Pierce Chemical Company(Rockford、IL)から市販されIRM上に遊離一級アミノ基の存在を必要とする、N−ヒドロキシスクシンイミドビオチン(NHS−ビオチン)などの活性化されるビオチン類似物を使用して化学的にビオチン化しても良い。
【0113】
IRMを巨大分子担体材料に共有結合的に付着させる代表的な方法としては、担体材料中の免疫反応調節物質およびその他の反応性基(同様の性質の)において、反応して反応性基(ヒドロキシル、アミノ、アミド、またはスルフヒドリル基など)の間に結合を形成する、ヘテロ二官能性架橋化合物(すなわち「リンカー」)などの化学的架橋剤が挙げられる。この結合は、例えばペプチド結合、ジスルフィド結合、チオエステル結合、アミド結合、チオエーテル結合、などであっても良い。
【0114】
免疫反応調整物質は、技術分野で知られているあらゆる方法によって巨大分子担体材料に共有結合しても良い。例えば米国特許第4,722,906号明細書、米国特許第4,979,959号明細書、米国特許第4,973,493号明細書、および米国特許第5,263,992号明細書は、光反応性基および化学結合部分を通じて、生体材料表面に共有結合的に結合する生体適合性薬剤を有する装置について述べる。米国特許第5,258,041号明細書、および米国特許第5,217,492号明細書は、長鎖化学的スペーサーの使用を通じた表面への生体分子付着について述べる。米国特許第5,002,582号明細書、および米国特許第5,263,992号明細書は、望ましい特性を提供するポリマー薬剤が、光反応性部分を通じて表面に共有結合的に結合する、ポリマー表面の製造および使用について述べる。他では、光化学を使用して例えば脈管のグラフトを被覆するなど生体医療用装置の表面を修正した(例えばキト(Kito),H.ら、ASAIO Journal、39:M506〜M511、1993;およびクラッパー(Clapper),D.L.ら、Trans.Soc.Biomat.16:42、1993参照)。チョラキス(Cholakis)およびセフトン(Sefton)はポリビニルアルコール(PVA)主鎖およびヘパリン生体活性基を有するポリマーを合成した。ポリマーは、非潜伏性反応化学を通じてポリエチレン管材料にカップリングされ、得られた表面は一連の生体外(in vitro)および生体内(in vivo)アッセイで血栓抵抗性について評価された(チョラキス(Cholakis),C.H.およびM.V.セフトン(Sefton)、J.Biomed.Mater.Res.23:399〜415、1989;およびチョラキス(Cholakis),C.H.ら、J.Biomed.Mater.Res.23:417〜441、1989参照)。またキノシタ(Kinoshita)らは、多孔性ポリエチレン上にポリアクリル酸主鎖を生じさせて、引き続いてコラーゲン分子がポリアクリル酸主鎖のカルボキシル部分にカップリングされる反応性化学の使用を開示する(参照キノシタ(Kinoshita),Y.ら、Biomaterisl 14:209〜215、1993)。
【0115】
IRMは、米国特許第5,200,471号明細書、米国特許第5,344,701号明細書、米国特許第5,486,358号明細書、米国特許第5,510,421号明細書、および米国特許第5,907,016号明細書で述べられる方法と同様にして、巨大分子担体に付着できる。これらの特許は、生物学的に活性な薬剤上の求核性−官能基と巨大分子担体上のアズラクトン官能基との反応を通じて、生物学的に活性な薬剤が共有結合的に結合する巨大分子担体を開示する。好ましい実施形態では、IRMは、結合基を使用して巨大分子担体材料に付着できる。結合基は、IRM活性の有効量を保ちながら、基材が免疫反応調節物質部分に共有結合的にカップリングできるようにする、あらゆる適切な有機結合基であることができる。いくつかの実施形態では、結合基は、基材がサイトカイン生成などのIRM活性をもたらす、活性コアとT細胞間の生物学的に効果的な相互作用を妨げないように、免疫反応調節物質部分の活性コアと基材との間に十分な空間を作り出すように選択されても良い。
【0116】
結合基としては、基材上の反応性基と反応して共有結合を形成できる反応性基が挙げられる。適切な反応性基としては、ヘルマンソン(Hermanson),G.(1996)「生体コンジュゲート技術(Bioconjugate Techniques)」Academic Press、第2章「反応性官能基の化学(The Chemistry of Reactive Functional Groups)」137〜166で考察されるものが挙げられる。例えば結合基は、一級アミン(例えばN−ヒドロキシスクシンイミジルエステルまたN−ヒドロキシスルホスクシンイミジルエステル)と反応しても良く、それはスルフヒドリル基(例えばマレイミドまたはヨードアセチル)と反応しても良く、またはそれは光反応性基(例えば4−アジドフェニル、2−ヒドロキシ−4−アジドフェニル、2−ニトロ−4−アジドフェニル、および2−ニトロ−3−アジドフェニルをはじめとするフェニルアジ化物)であっても良い。結合基は、IRMと共有結合的にカップリングできるアルコキシシリル基(例えばトリエチオキシシリル基)であっても良い。アルコキシシリル基は次に、粒子の形態であっても良いシリカなどのケイ素含有担体材料に共有結合的にカップリングできる。
【0117】
基材は、結合基への共有カップリングのためにアクセスできる化学的に活性な基を含む。結合基への共有カップリングのためにアクセスできる化学的に活性な基としては、結合基への共有カップリングに直接使用されても良い基、または結合基への共有カップリングに利用できるように修飾されても良い基が挙げられる。例えば適切な化学的に活性な基としては、一級アミンおよびスルフヒドリル基が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0118】
典型的に、付着は免疫反応調節物質を架橋剤と反応させて、次に得られる中間体を基材と反応させて生じさせても良い。生体コンジュゲートを調製するのに適した多くの架橋剤は既知であり、多くは市販される。例えばヘルマンソン(Hermanson),G.(1996)「生体コンジュゲート技術(Bioconjugate Techniques)」Academic Press参照。
【0119】
付着はまた、例えば基材がR1を通じてIRM部分に結合される、反応スキームIに示す方法に従って生じさせても良い。反応スキームIのステップ(1)では、式IIIの化合物が式IVのヘテロ二官能性架橋剤と反応して、IIの化合物を提供する。RAおよびRBは、互いに反応するように選択される官能基をそれぞれ含有する。例えばRAが一級アミンを含有する場合、その中でRBが、N−ヒドロキシスルホスクシンイミジルエステルなどのアミン−反応性官能基を含有する、ヘテロ二官能性架橋剤が選択されても良い。RAおよびRBは、反応してコンジュゲート中に所望のリンカー基を提供するように選択されても良い。
【0120】
Aが官能基を含有する式IIIの化合物を調製する方法は知られている。例えば米国特許第4,689,338号明細書、米国特許第4,929,624号明細書、米国特許第5,268,376号明細書、米国特許第5,389,640号明細書、米国特許第5,352,784号明細書、米国特許第5,494,916号明細書、米国特許第4,988,815号明細書、米国特許第5,367,076号明細書、米国特許第5,175,296号明細書、米国特許第5,395,937号明細書、米国特許第5,741,908号明細書、米国特許第5,693,811号明細書、米国特許第6,069,149号明細書、米国特許第6,194,425号明細書、米国特許第6,331,539号明細書、米国特許第6,451,810号明細書、米国特許第6,525,064号明細書、米国特許第6,541,485号明細書、米国特許第6,545,016号明細書、米国特許第6,545,017号明細書、米国特許第6,573,273号明細書、米国特許第6,656,938号明細書、米国特許第6,660,735号明細書、米国特許第6,660,747号明細書、米国特許第6,664,260号明細書、米国特許第6,664,264号明細書、米国特許第6,664,265号明細書、米国特許第6,667,312号明細書、米国特許第6,670,372号明細書、米国特許第6,677,347号明細書、米国特許第6,677,348号明細書、米国特許第6,677,349号明細書、米国特許第6,683,088号明細書および国際公報国際公開第03/103584号パンフレットを参照されたい。多くのヘテロ二官能性架橋剤が知られており、多くが市販される。例えばヘルマンソン(Hermanson)G.(1996)、「生体コンジュゲート技術(Bioconjugate Techniques)」、Academic Press、第5章「ヘテロ二官能性架橋剤(Heterobifunctional Cross−Linkers)」、229〜285を参照されたい。反応は概して、N,N−ジメチルホルムアミドなどの適切な溶剤中の式IIIの化合物の溶液と、N,N−ジメチルホルムアミドなどの適切な溶剤中の式IVのヘテロ二官能性架橋剤の溶液とを組み合わせて実施できる。反応は周囲温度で実行しても良い。次に従来の技術を使用して、式IIの生成物を単離しても良い。
【0121】
反応スキームIのステップ(2)では、反応性基ZAを含有する式IIの化合物が基材と反応して、式IのIRM−カップリング基材を提供する。一実施形態では、反応はジメチルスルホキシドなどの適切な溶剤中の式IIの化合物の溶液と基材とを組み合わせて実施できる。反応は、周囲温度または低温(約4℃)で実行しても良い。ZAがフェニルアジ化物などの光反応性基である場合、次に反応混合物を架橋をもたらすのに適切な時間(例えば10〜20分間)長波UV光に曝露する。基材表面積あたりの免疫反応調節物質部分の平均数は、反応で使用される式IIの化合物の量を調節することで制御されても良い。
【化1】

【0122】
代案としては、式IIの化合物はヘテロ二官能性架橋剤を使用せずに合成しても良い。式IIの化合物が反応性基ZAを含有する限り、上のステップ(2)の方法を使用して、それを基材と反応させて、IRM−カップリング基材を提供しても良い。
【0123】
R基は、任意に様々な置換を含むことができる水素または有機基であることができる。それらは、ハロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、ヘテロシクリル基などをはじめとする、アルキル基、アルケニル基を含むことができる。
【0124】
例えば好ましいR2基としては、水素、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基(すなわち、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、およびシクロプロピルメチル)、およびアルコキシアルキル基(例えばメトキシエチルおよびエトキシメチル)が挙げられる。好ましくはR3およびR4は独立に水素またはメチルであり、またはR3およびR4は一緒になってベンゼン環、ピリジン環、六員環飽和環、または窒素原子を含有する六員環飽和環を形成する。存在する場合、1つ以上のこれらの好ましい置換基は、本発明の化合物中にあらゆる組み合わせで存在できる。
【0125】
ここでの用法では、「アルキル」、「アルケニル」という用語、および「alk−」という接頭辞は、直鎖、分枝鎖、および環式基、すなわちシクロアルキルおよびシクロアルケニルを含む。特に断りのない限り、これらの基は1〜20個の炭素原子を含有し、アルケニル基は、2〜20個の炭素原子を含有する。好ましい基は、全部で10個までの炭素原子を有する。環式基は単環式または多環式であることができ、好ましくは3〜10個の環炭素原子を有する。例示的な環式基としては、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロプロピルメチル、およびアダマンチルが挙げられる。
【0126】
「ハロアルキル」という用語は、過フッ素化された基をはじめとする1つ以上のハロゲン原子で置換された基を包含する。これはまた接頭辞「ハロ−」を含む基にもあてはまる。適切なハロアルキル基の例はクロロメチル、トリフルオロメチルなどである。
【0127】
「アリール」という用語は、ここでの用法では炭素環式芳香族環または環系を含む。アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、ビフェニル、フルオレニルおよびインデニルが挙げられる。「ヘテロアリール」という用語は、少なくとも1つの環ヘテロ原子(例えばO、S、N)を含有する芳香族環または環系を含む。適切なヘテロアリール基としては、フリル、チエニル、ピリジル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、イソインドリル、トリアゾリル、ピロリル、テトラゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、カルバゾリル、ベンゾオキサゾリル、ピリミジニル、ベンズイミダゾリル、キノキサリニル、ベンゾチアゾリル、ナフチリジニル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、プリニル、キナゾリニルなどが挙げられる。
【0128】
「ヘテロシクリル」は、少なくとも1つの環ヘテロ原子(例えばO、S、N)を含有する非芳香族環または環系を含み、上述のヘテロアリール基の完全に飽和された、および部分的に不飽和である誘導体全てを含む。例示的な複素環式基としては、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、モルホリニル,チオモルホリニル、ピペリジニル、ピペラジニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、およびイミダゾリジニルが挙げられる。
【0129】
アリール、ヘテロアリール、およびヘテロシクリル基は、独立にアルキル、アルコキシ、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、アルキルチオ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキルチオ、ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシ、メルカプト、シアノ、カルボキシ、ホルミル、アリール、アリールオキシ、アリールチオ、アリールアルコキシ、アリールアルキルチオ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールチオ、ヘテロアリールアルコキシ、ヘテロアリールアルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロアルキル、アルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、ハロアルキルカルボニル、ハロアルコキシカルボニル、アルキルチオカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、アリールオキシカルボニル、ヘテロアリールオキシカルボニル、アリールチオカルボニル、ヘテロアリールチオカルボニル、アルカノイルオキシ、アルカノイルチオ、アルカノイルアミノ、アリールカルボニルオキシ、アリールカルボニチオ(arylcarbonythio)、アルキルアミノスルホニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アリールジアジニル、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、アリールアルキルスルホニルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、アルケニルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アリールアルキルカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ヘテロアリールアルキルカルボニルアミノ、アルキルスルホニルアミノ、アルケニルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、アリールアルキルスルホニルアミノ、ヘテロアリールスルホニルアミノ、ヘテロアリールアルキルスルホニルアミノ、アルキルアミノカルボニルアミノ、アルケニルアミノカルボニルアミノ、アリールアミノカルボニルアミノ、アリールアルキルアミノカルボニルアミノ、ヘテロアリールアミノカルボニルアミノ、ヘテロアリールアルキルアミノカルボニルアミノ、そしてヘテロシクリルの場合はオキソよりなる群から選択される1つ以上の置換基によって置換されていないまたは置換されていることができる。その他の基が「置換された」または「任意に置換された」として述べられる場合、それらの基はまた、1つ以上の上で列挙する置換基によって置換できる。
【0130】
反応スキームIでは、IRMはイミダゾール環のN1窒素にある結合基を通じて基材に付着する。代案としては結合は、環系の異なる部位で生じることができる。その例を下でそれぞれイミダゾキノリンアミン、イミダゾナフチリジンアミンおよびイミダゾピリジンアミンについて示す。
【化2】

【0131】
付着は、所望の付着部位のIRM含有反応性基RAから開始して、反応スキームIの方法を使用してもたらされる。
【0132】
本発明のIRM−担体複合体は、例えばゲル、クリーム、分散体、または溶液をはじめとする多種多様な調合物中に組み込むことができる。このような調合物は、溶剤(例えばプロピレングリコール、ソルビトール、ポリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール)、油(例えばミネラルオイル、植物油、脂肪酸トリグリセリド、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、およびイソステアリン酸)、乳化剤(ポリソルベート60、ソルビタンモノステアラート、ポリグリセリル−4オレアート、ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル、ポロキサマー、およびソルビタントリオレアート)、防腐剤(例えばメチルパラベンおよびプロピルパラベン)、中和剤(例えば水酸化ナトリウム)などを含むことができる。適切な調合物の例は、米国特許第6,245,776号明細書および米国特許公報第2003/0199538号で開示される。調合物がゲルの場合、例えばそれは予備成形されたゲルであることができ、または塗布部位で成形することができる。
【0133】
特定の治療的なまたは予防的な適用で効果的なIRM−担体複合体の量は、意図される治療的なまたは予防的な適用を達成するのに十分な量である。使用するIRM−担体複合体の正確な量は、IRM化合物の物理的および化学的性質、巨大分子担体材料の性質、意図される投与計画、対象の免疫系の状態(例えば抑制されている、損なわれている、刺激されている)、IRM化合物の投与方法、および調合物が投与される種をはじめとするがこれに限定されるものではない、技術分野で知られている要素に従って変動する。したがって概してあらゆる可能な適用で効果的なIRM担体複合体の量を構成する量について述べることは実用的でない。しかし当業者はこのような要因をしかるべく考察することで適切な量を容易に判断できる。
【0134】
投与計画は、IRM化合物の物理的および化学的性質、巨大分子担体材料の性質、投与されるIRMの量、対象の免疫系の状態(例えば抑制されている、損なわれている、刺激されている)、IRM−担体複合体の投与方法、および調合物が投与される種をはじめとするがこれに限定されるものではない、技術分野で知られている多くの要因に少なくともある程度左右されても良い。したがって概してあらゆる可能な適用で効果的な投与計画について述べることは実用的でない。しかし当業者はこのような要因をしかるべく考察することで適切な量を容易に判断できる。
【実施例】
【0135】
以下の実施例は、本発明の特徴、利点、およびその他の詳細をさらに例証するためにのみ選択された。しかし実施例はこの目的を果たしながら、使用される特定の材料および量、ならびにその他の条件および詳細は、本発明の範囲を不当に制限するものではないと明示的に理解される。
【0136】
IRM化合物
実施例で使用したIRM化合物を表1に示す。
【0137】
【表1】

【0138】
IRM2の製造
1−(4−アミノブチル)−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン(46mg、0.148mmol)を加熱しながら無水N,N−ジメチルホルムアミド(約5mL)に溶解した。得られた溶液を周囲温度に放冷した。EZ−LINK スルホ−NHS−LC−LC−ビオチン(ピアス(Pierce)、2×50mgバイアル、0.149mmol)を溶液に添加した。各バイアルを無水N,N−ジメチルホルムアミド(約1mL)ですすいで、すすぎ水を反応混合物に添加した。反応混合物を周囲温度で約90分間撹拌した。反応混合物を減圧下60℃で濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(2×15cmのSiO2カラム、10:2:0.25のクロロホルム:メタノール:水で溶出)によって精製し、無色のガラスを提供した。ガラスをメタノールに溶解し、次に濃縮してN1−(6−{[4−(4−アミノ−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]アミノ}−6−オキソヘキシル)−6−({5−[(3aR,4R,6aS)−[2−オキソペルヒドロチエノ[3,4−d]イミダゾール−4−イル)ペンタノイル}アミノ)ヘキサンアミドを白色フォームとして得た。
【0139】
N−[4−(4−アミノ−2−プロピル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]−N’−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]尿素の製造
【化3】

【0140】
フラスコ内に1−(4−アミノブチル)−2−プロピル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン(100mg、0.336mmol;米国特許第6,069,149号明細書で開示される方法を使用して調製できる)および5mLの無水ジメチルスルホキシド(DMSO)を入れた。固形物が完全に溶解するまで混合物を撹拌した。溶液にDMSO(1.5mL)中の3−(トリエトキシシリル)プロピルイソシアネート(83.2mg、0.336mmol)を室温で緩慢に添加した。添加後、反応溶液を一晩撹拌した。反応溶液から試料採取して、NMRで分析した。スペクトルは所望の付加生成物N−[4−(4−アミノ−2−プロピル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]−N’−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]尿素を100%転換で示した。サンプルをまた液体クロマトグラフィーによって分析し、スペクトルは出発原料の消失と共に単一生成物ピークを示した。
【0141】
DMSOの代わりに15mLの無水テトラヒドロフラン(THF)を使用して、反応を繰り返した。NMRによる得られた生成物の分析は、出発原料の所望の付加生成物への97%転換を示した。
【0142】
N−[3−(4−アミノ−2−エトキシメチル−6,7−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)プロピル]−N’−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]尿素の製造
【化4】

【0143】
フラスコ内に1−(3−アミノプロピル)−2−エトキシメチル−6,7−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−アミン(100mg、0.36mmol;米国特許第6,545,016号明細書の実施例21)および5mL無水ジメチルスルホキシド(DMSO)を入れた。固形物が完全に溶解するまで混合物を撹拌した。溶液にDMSO(1.5mL)中の3−(トリエトキシシリル)プロピルイソシアネート(89.1mg、0.36mmol)を室温で緩慢に添加した。添加後、反応溶液を一晩撹拌した。反応溶液から試料採取して、NMRで分析した。スペクトルは所望の付加生成物N−[3−(4−アミノ−2−エトキシメチル−6,7−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)プロピル]−N’−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]尿素を100%転換で示した。サンプルをまた液体クロマトグラフィーによって分析し、スペクトルは出発原料の消失と共に単一生成物ピークを示した。
【0144】
2−エトキシメチル−1−((3−{2−ヒドロキシ−3−[3−(トリメトキシシリル)プロポキシ]プロピル}アミノ))プロピル−6,7−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−アミンの製造
【化5】

【0145】
フラスコ内に1−(3−アミノプロピル)−2−エトキシメチル−6,7−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−アミン(10mg、0.036mmol;米国特許第6,545,016号明細書の実施例21)および2.5mL無水テトラヒドロフランを入れた。固形物が完全に溶解するまで混合物を撹拌した。溶液に3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(8.51mg、0.036mmol)を室温で緩慢に添加した。添加後、反応溶液を一晩撹拌した。反応溶液から試料採取して、NMRで分析した。スペクトルは所望の付加生成物2−エトキシメチル−1−((3−{2−ヒドロキシ−3−[3−(トリメトキシシリル)プロポキシ]プロピル}アミノ))プロピル−6,7−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−アミンを100%転換で示した。
【0146】
N−{2−[4−アミノ−7−(6−アミノヘキシルオキシ)−2−エトキシメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]−1,1−ジメチルエチル}メタンスルホンアミドの製造
【化6】

【0147】
パートA
トリエチルオルトギ酸(92mL、0.55mol)および2,2−ジメチル−[1,3]−ジオキサン−4,6−ジオン(75.3グラム(g)、0.522mol)(メルドラム酸)の混合物を55℃で90分間加熱して次に45℃に冷却した。反応温度を50℃未満に保ちながら、メタノール(200mL)中の3−ベンジルオキシアニリン(100.2g、0.5029mol)溶液を45分間かけて反応に緩慢に添加した。次に反応を45℃で1時間加熱して、室温に放冷し、一晩撹拌した。反応混合物を1℃に冷却し、および生成物を濾過によって単離し、濾液が無色になるまで冷エタノール(約400mL)で洗浄した。5−{[(3−ベンジルオキシ)フェニルイミノ]メチル}−2,2−ジメチル−[1,3]−ジオキサン−4,6−ジオン(170.65g)が黄褐色の粉末固形物として単離された。
【0148】
パートB
5−{[(3−ベンジルオキシ)フェニルイミノ]メチル}−2,2−ジメチル−[1,3]−ジオキサン−4,6−ジオン(170.65g、0.483mol)およびダウサーム(DOWTHERM)A(800mL)の混合物を100℃に加熱し、次にダウサーム(DOWTHERM)Aを含有するフラスコ(1.3L、210℃に加熱)に40分間かけて緩慢に添加した。添加中に、反応温度が207℃未満にならないようにした。添加に続いて、反応を210℃で1時間撹拌し、次に周囲温度に放冷した。沈殿物が形成し、それを濾過によって単離し、ジエチルエーテル(1.7リットル(L))およびアセトン(0.5L)で洗浄し、オーブン内で乾燥させて76.5グラム(g)の7−ベンジルオキシキノリン−4−オールを黄褐色粉末として得た。
【0149】
パートC
7−ベンジルオキシキノリン−4−オール(71.47g、0.2844mol)およびプロピオン酸(700mL)の混合物を激しく撹拌しながら125℃に加熱した。反応温度を121℃と125℃の間に保ちながら、硝酸(23.11mLの16M)を30分間かけて緩慢に添加した。添加後、反応を125℃で1時間撹拌し、次に周囲温度に放冷した。得られた固形物を濾過によって単離し、水で洗浄してオーブン内1.5日間で乾燥させ、69.13gの7−ベンジルオキシ−3−ニトロキノリン−4−オールを灰色がかった粉末として得た。
【0150】
パートD
N,N−ジメチルホルムアミド(100mL)(DMF)を0℃に冷却し、オキシ塩化リン(27.5mL、0.295mol)を滴下して添加した。得られた溶液を25分間撹拌し、次にDMF(400mL)中の7−ベンジルオキシ−3−ニトロキノリン−4−オール(72.87g、0.2459mol)混合物に滴下して添加した。添加に続いて反応を100℃で5分間加熱し、周囲温度に冷却して、氷水中に撹拌しながら注いだ。黄褐色沈殿物が形成し、濾過によって単離してジクロロメタンに溶解した。得られた溶液を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過して減圧下で濃縮して72.9gの7−ベンジルオキシ−4−クロロ−3−ニトロキノリンを淡褐色固形物として得た。
【0151】
パートE
トリエチルアミン(12.8mL、92.0mmol)および1,2−ジアミノ−2−メチルプロパン(5.29mL、50.6mmol)をジクロロメタン(400mL)中の7−ベンジルオキシ−4−クロロ−3−ニトロキノリン(14.5g、46.0mmol)溶液に逐次添加した。反応混合物を一晩撹拌し、次に減圧下で濃縮した。残留物を水(200mL)およびジクロロメタン(300mL)の間で分割した。有機層を鹹水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、次に減圧下で濃縮して、粗生成物を褐色固形物として得た。シリカゲル層(クロロホルムおよび96:4のクロロホルム:メタノールで逐次溶出)に粗生成物を通過させ、12.4gの(2−アミノ−2−メチルプロピル)(7−ベンジルオキシ−3−ニトロキノリン−4−イル)アミンを黄色固形物として得た。
【0152】
パートF
窒素雰囲気下で、ジクロロメタン(400mL)中の(2−アミノ−2−メチルプロピル)(7−ベンジルオキシ−3−ニトロキノリン−4−イル)アミン(12.4g、33.9mmol)溶液を0℃に冷却した。トリエチルアミン(9.43mL、67.8mmol)およびメタンスルホン酸無水物(5.90g、33.9mmol)を逐次添加して、反応を周囲温度で2時間撹拌した。HPLCによる分からは、反応が不完全であることが示唆され、追加的メタンスルホン酸無水物(1.4g、8.0mmol)を添加した。反応をさらに90分間撹拌し、追加的メタンスルホン酸無水物(0.7g、4mmol)を添加した。反応をさらに3時間撹拌し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(200mL)を添加した。沈殿物が有機層中に形成し始め、それを分離し減圧下で濃縮して黄色固形物を得た。固形物を加熱しながら水(200mL)と共に粉砕し、濾過により単離して水(3×100mL)およびジエチルエーテル(3×50mL)で洗浄し、真空下で一晩乾燥させて14.8gのN−[1,1−ジメチル−2−(3−ニトロ−7−ベンジルオキシキノリン−4−イルアミノ)エチル]メタンスルホンアミドを黄色粉末として得た。
【0153】
パートG
N−[1,1−ジメチル−2−(3−ニトロ−7−ベンジルオキシキノリン−4−イルアミノ)エチル]メタンスルホンアミド(14.8g、33.3mmol)をアセトニトリル(300mL)に混合し、パールフラスコに入れ、炭素上の5%白金(2g)を添加した。反応を窒素でフラッシュし、水素圧力下に5.5時間入れて(平方インチ(psi)あたり40ポンド、2.8×105パスカル(Pa))、2時間後に水素を入れ換えた。TLCによる分析からは出発原料の存在が示唆された。追加的アセトニトリル(200mL)および炭素上の5%白金(2g)を添加して、反応を水素圧力下に一晩入れた。CELITE濾過助剤の層を通して反応混合物を濾過し、濾過ケークをアセトニトリルで洗浄した。濾液を減圧下で濃縮した。トルエンおよびジクロロメタンを減圧下で2回添加し除去して、12.6gのN−[2−(3−アミノ−7−ベンジルオキシキノリン−4−イルアミノ)−1,1−ジメチルエチル]メタンスルホンアミドを固形物として得た。
【0154】
パートH
窒素雰囲気下で、ジクロロメタン(300mL)中のN−[2−(3−アミノ−7−ベンジルオキシキノリン−4−イルアミノ)−1,1−ジメチルエチル]メタンスルホンアミド(12.6g、30.4mmol)溶液を約0℃に冷却し、トリエチルアミン(4.23mL、30.4mmol)を添加した。エトキシアセチルクロリド(3.33mL、30.4mmol)を滴下して添加し、反応を周囲温度で1.5時間撹拌した。揮発物を減圧下除去し、残留物をエタノール(300mL)に溶解した。トリエチルアミン(13mL)を添加し、反応を加熱して一晩還流し、周囲温度に放冷した。揮発物を減圧下で除去した。残留物をジクロロメタン(300mL)に溶解し、得られた溶液を水(2×100mL)および鹹水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過して減圧下で濃縮して褐色油を得た。油をカラムクロマトグラフィー(97.5:2.5のクロロホルム:メタノールで溶出させる)によってシリカゲル上で精製し、12.4gのN−[2−(7−ベンジルオキシ−2−エトキシメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−1,1−ジメチルエチル]メタンスルホンアミドをベージュの固形物として得た。
【0155】
パートI
エタノール(150mL)中のN−[2−(7−ベンジルオキシ−2−エトキシメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−1,1−ジメチルエチル]メタンスルホンアミド(9.38g、19.5mmol)溶液を炭素上の10%パラジウム(0.83g)を含有するパール容器に入れた。反応を水素圧力下に(50psi、3.4×105Pa)2晩おいた。TLC分析で明証されるように出発原料が残留し、追加的な炭素上の10%パラジウム(1.02g)を添加した。反応をさらに8時間継続した。CELITE濾過助剤の層を通して反応混合物を濾過し、濾過ケークをエタノールおよびメタノールで洗浄した。濾液を減圧下で濃縮し、残留物を数回トルエンに溶解し、減圧下で濃縮して黄色粉末を得てそれを高真空下で乾燥させて、7.37gのN−[2−(2−エトキシメチル−7−ヒドロキシ−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−1,1−ジメチルエチル]メタンスルホンアミドを黄色固形物として得た。
【0156】
パートJ
窒素雰囲気下で、DMF中のN−[2−(2−エトキシメチル−7−ヒドロキシ−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−1,1−ジメチルエチル]メタンスルホンアミド(7.37g、18.8mmol)溶液に、セシウム炭酸(9.18g、28.2mmol)を一度に添加した。DMF(約100mL)中のtert−ブチル6−ヨードヘキシルカルバメート(6.75g、20.6mmol)溶液を添加した。反応混合物を一晩65℃に加熱して、減圧下で濃縮してオレンジ色の油を得た。油を水(300mL)とジクロロメタン(300mL)の間で分割した。有機層を逐次水(×2)および鹹水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過して次に減圧下で濃縮した。残留物をジクロロメタン(100mL)中で溶解し、水(×10)および鹹水で逐次洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過して、次に減圧下で濃縮して10.85gの粗生成物を黄色フォームとして得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィーによってシリカゲル上で精製し(逐次95:5および92.5:7.5のジクロロメタン:メタノールで溶出)、8.5gのtert−ブチル{6−[2−エトキシメチル−1−(2−メタンスルホニルアミノ−2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イルオキシ]ヘキシル}カルバメートを白色固形物として得た。
【0157】
パートK
クロロホルム(200mL)中のtert−ブチル{6−[2−エトキシメチル−1−(2−メタンスルホニルアミノ−2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イルオキシ]ヘキシル}カルバメート(8.5g、14.4mmol)溶液に、3−クロロペルオキシ安息香酸(4.23gの60%、14.4mmol)を一度に添加した。反応混合物を数時間撹拌し、次に1%炭酸ナトリウム(×2)および鹹水で逐次洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過して次に減圧下で濃縮して9.20gのtert−ブチル{6−[2−エトキシメチル−1−(2−メタンスルホニルアミノ−2−メチルプロピル)−5−オキシド−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イルオキシ]ヘキシル}カルバメートをオレンジ色の固形物として得た。
【0158】
パートL
ジクロロメタン(150mL)中のパートKからの材料混合物に、アンモニウム水酸化物(20mL)および塩化p−トルエンスルホニル(2.74g、14.4mmol)を迅速に撹拌しながら逐次添加して、反応を2時間撹拌した。次に有機層を飽和重炭酸ナトリウム水溶液(2×)と鹹水で洗浄して、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過して減圧下で濃縮してtert−ブチル{6−[4−アミノ−2−エトキシメチル−1−(2−メタンスルホニルアミノ−2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イルオキシ]ヘキシル}カルバメートを赤色固形物として得た。
【0159】
パートM
エタノール中の塩酸中のパートLからの材料の溶液(50mLの4.25M)を加熱して還流し、次に周囲温度に放冷した。反応混合物を窒素で約1時間パージして、次に減圧下で濃縮した。残留物を水に溶解し、および次にクロロホルム(×2)で洗浄した。水性層のpHを水酸化アンモニウムで調節し、次に水性層をクロロホルム(×3)で抽出した。合わせた抽出物を鹹水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過して次に減圧下で濃縮して6.86gのN−{2−[4−アミノ−7−(6−アミノヘキシルオキシ)−2−エトキシメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]−1,1−ジメチルエチル}メタンスルホンアミドを黄褐色固形物として得た。
【0160】
実施例1
次のようにして、それぞれビオチン部分を含有するIRM1およびIRM2をイリノイ州ロックフォード、ノース・メリジアンロード3737、私書箱117号のピアス・バイオテクノロジー(PIERCE Biotechnology(3737 N.Meridian Road、P.O.Box117、Rockford、IL))からのULTRALINK固定化単量体アビジンビーズ(商品番号53146)、およびイリノイ州ロックフォードのピアス・バイオテクノロジー(PIERCE Biotechnology(Rockford、IL))からのULTRALINK固定化ニュートラアビジン(NEUTRAVIDIN)四量体アビジンビーズ(商品番号53140)にカップリングした。ジメチルスルホキシド中の50mMのIRM原液のアリコート(3.48μL)を1mLのビーズ懸濁液に添加した。得られた懸濁液を周囲温度で4時間インキュベートした。ビーズを沈降させて上清の一部分(400μL)を除去した。次に以下の手順を使用してビーズを洗浄した。リン酸塩緩衝食塩水(1.4mL)を添加し、懸濁液をボルテックスによって混合し、ビーズを沈降させて次に上清(1.4mL)を除去した。洗浄手順を5回繰り返し、次にビーズを1mLに再懸濁して、固体濃度50%を得た。
【0161】
RPMI完全培地中の1mlのヒト末梢血単核細胞(HPBMC)(2×106細胞/ml)に、それぞれ20μLの各化合物(50%スラリー中0.7μMのIRM)を添加し、一晩インキュベートした。ELISAによってIFNαおよびTNFα濃度について1:1希釈複製および1:2希釈複製をアッセイした。結果を図1に示す。PBSはPBS緩衝液コントロールを表し、Bd1Monoは単量体アビジンビーズコントロール(50%スラリー)を表し、Bd2Tetraは四量体アビジンビーズコントロール(50%スラリー)を表し、IRM1は0.7μMの非結合IRM1を表し、IRM2は0.7μMの非結合IRM2を表し、IRM1MonoはBd1上のIRM1結合(50%スラリー中の0.7μMのIRM)を表し、IRM2MonoはBd1上のIRM2結合(50%スラリー中0.7μMのIRM)を表し、IRM1TetraはBd2上のIRM1結合(50%スラリー中の0.7μMのIRM)を表し、IRM2TetraはBd2上のIRM2結合(50%スラリー中の0.7μMのIRM)を表す。
【0162】
示す値は、(調節のために希釈係数を使用した)四連の実験からの平均濃度に対応する。標準偏差を示す。
【0163】
実施例2
IRMグラフト化ナノ粒子の製造
イリノイ州ナパービルのナルコからの(Nalco(Naperville、IL))SiO2粒子(0.49gの2327、20ナノメートル(nm)アンモニウム安定化コロイドシリカゾル、41%固形物)の分散体を5mLバイアルに入れた。分散体を0.2gの脱イオン水および0.5gのDMSOで希釈した。撹拌される分散体に、2gのDMSO中の33mgのN−[3−(4−アミノ−2−エトキシメチル−6,7−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)プロピル]−N’−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]尿素を添加した。添加後、分散体を40℃で2時間超音波浴に入れた。次にバイアルに栓をして、80℃のオーブンに24時間入れた。得られた分散体を液体クロマトグラフィーによって分析した。スペクトルは開始IRMシランと比較して保持時間が異なる幅広いピークを示した。分散体を遠心分離して溶剤を除去した。
【0164】
実施例3
IRMグラフト化ナノ粒子の製造
イリノイ州ナパービルのナルコからの(Nalco(Naperville、IL))SiO2粒子(0.49gの2327、20nmアンモニウム安定化コロイドシリカゾル、41%固形物)の分散体を5mLバイアルに入れた。分散体を0.2gの脱イオン水および0.5gのDMSOで希釈した。撹拌される分散体に、2gのDMSO中の33mgのN−[3−(4−アミノ−2−エトキシメチル−6,7−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)プロピル]−N’−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]尿素を添加した。添加後、分散体を40℃で2時間超音波浴に入れた。次にバイアルに栓をして、80℃のオーブンに24時間入れた。バイアルを室温に冷却して、ペンシルベニア州モリスビルのゲレスト(GELEST,INC.(Morrisville、PA))から入手できるPEGトリエトキシシラン(12.4mg、0.0248mmol)をバイアルに添加した。添加後、バイアルに栓をして超音波浴に2時間入れた。バイアルを次に80℃のオーブンに24時間入れた。次に分散体を遠心分離して溶剤を除去した。
【0165】
実施例4
IRMグラフト化ナノ粒子の製造
N−[3−(4−アミノ−2−エトキシメチル−6,7−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)プロピル]−N’−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]尿素の量を33mgから17mgに低下させたこと以外は、実施例3の手順を繰り返した。
【0166】
実施例5
IRMグラフト化ナノ粒子の製造
N−[3−(4−アミノ−2−エトキシメチル−6,7−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)プロピル]−N’−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]尿素の量を33mgから8.5mgに低下させたこと以外は、実施例3の手順を繰り返した。
【0167】
実施例6
IRMグラフト化ナノ粒子の製造
PEGトリエトキシシランの量を12.4mgから31.0mgに増大させたこと以外は、実施例3の手順を繰り返した。
【0168】
実施例7
IRMグラフト化ナノ粒子の製造
N−[3−(4−アミノ−2−エトキシメチル−6,7−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)プロピル]−N’−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]尿素の代わりに、34mgのN−[4−(4−アミノ−2−プロピル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]−N’−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]尿素を使用したこと以外は、実施例2の手順を繰り返した。
【0169】
実施例8
IRMグラフト化ナノ粒子の製造
N−[3−(4−アミノ−2−エトキシメチル−6,7−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)プロピル]−N’−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]尿素の代わりに、34mgのN−[4−(4−アミノ−2−プロピル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]−N’−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]尿素を使用したこと以外は、実施例3の手順を繰り返した。
【0170】
実施例9
IRMグラフト化ナノ粒子の製造
N−[4−(4−アミノ−2−プロピル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]−N’−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]尿素の量を34mgから17mgに低下させたこと以外は、実施例8の手順を繰り返した。
【0171】
実施例10
IRMグラフト化ナノ粒子の製造
N−[4−(4−アミノ−2−プロピル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]−N’−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]尿素の量を34mgから8.5mgに低下させたこと以外は、実施例8の手順を繰り返した。
【0172】
実施例11
IRMグラフト化ナノ粒子の製造
PEGトリエトキシシランの量を12.4mgから31.0mgに増大させたこと以外は、実施例8の手順を繰り返した。
【0173】
実施例12
IRMグラフト化フルオロポリマーフィルムの製造
ガラス顕微鏡スライド(5.1cm×7.6cm)をアセトンおよび蒸留水で清浄にした。ガラス基材の片面をN−[3−(4−アミノ−2−エトキシメチル−6,7−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)プロピル]−N’−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]尿素を1重量%(重量%)で含有するTHF溶液で被覆し、引き続いてEIデュポン・ドゥ・ヌムール&カンパニー(E.I DuPont de Nemours and Company)から入手できるテトラフルオロエチレンおよびヘキサフルオロプロピレンの共重合体である一片のフルオロポリマーテフロン(登録商標)FEPフィルム(5.1cm×7.6cm厚さ1ミル)を良好な表面接触を確実にするようにして、被覆された基材上にラミネートした。ラミネートしたサンプルをオハイオ州クリーブランドのネラ・パークのゼネラルエレクトリック(General Electric Company(Nela Park、Cleaveland、OH))から入手できる6個の殺菌灯(G15T8電球、15W)から構成される光反応器の下に置いた。フルオロポリマーフィルムをUV灯に向けて、ラミネートしたサンプルを電球から7.6〜10cm離して置いた。サンプルにUV照射を10分間行った。照射後、処理済みフルオロポリマーフィルムを除去してTHF中に2時間浸漬した。フィルムをTHFから除去し、THFでさらなる洗浄を行った。フィルムをN2ガスの下で乾燥させた。グラフト化フィルムをサンプル採取してESCAによって分析した。
【0174】
【表2】

【0175】
実施例13
IRMグラフト化フルオロポリマーフィルムの製造
ガラス顕微鏡スライド(5.1cm×7.6cm)をアセトンおよび蒸留水で清浄にした。ガラス基材の片面をどちらもペンシルベニア州イーストモリスビル11スティール・ロードのゲレスト(GELEST,INC.(11SteelRd.East Morrisville、PA))から入手できる10重量%の3−アミノプロピルトリエトキシシランおよび5重量%のn−フェニルプロピルトリエトキシシランを含有するメタノール溶液で被覆し、引き続いてEIデュポン・ドゥ・ヌムール&カンパニー(E.I DuPont de Nemours and Company)から入手できるテトラフルオロエチレンおよびヘキサフルオロプロピレンの共重合体である一片のフルオロポリマーテフロン(登録商標)FEPフィルム(5.1cm×7.6cm厚さ1ミル)を良好な表面接触を確実にするようにして、被覆された基材上にラミネートした。ラミネートしたサンプルを6個G15T8電球から構成される光反応器の下に置いた。フルオロポリマーフィルムをUV灯に向けて、ラミネートしたサンプルを電球から7.6〜10cm離して置いた。サンプルにUV照射を3分間行った。照射後、処理済みフルオロポリマーフィルムを除去してメタノール中に2時間浸漬し、あらゆる残留プライマーを除去した。フィルムをメタノールから除去し、メタノールでさらなる洗浄を行った。次に得られたトリエトキシオキシシラングラフト化FEPフィルムをDMSO中のN−[4−(4−アミノ−2−プロピル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]−N’−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]尿素溶液(1重量%)で被覆し、引き続いて50℃のオーブン中で一晩の熱処理を行った。次にグラフト化フルオロポリマーフィルムをTHFおよびメタノールで完全に洗浄した。
【0176】
実施例14
IRM自己アセンブル単層の製造
ガラス顕微鏡スライドH22/濃縮された硫酸の1:3混合物で清浄にし、引き続いて蒸留水で洗浄した。清浄にしたガラススライドをDMSO(1重量%)中のN−[3−(4−アミノ−2−エトキシメチル−6,7−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)プロピル]−N’−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]尿素溶液に30分間浸漬した。スライドを取り出して80℃で30分間加熱した。最後にスライドをメタノールですすいで過剰なN−[3−(4−アミノ−2−エトキシメチル−6,7−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)プロピル]−N’−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]尿素溶液を除去した。
【0177】
実施例15
二段階反応によってIRMを金粒子に共有結合的にカップリングして、ナノメートル−サイズのIRM−金コンジュゲートを形成した。チオールカルボナートと反応させて金表面に炭酸で官能性付与して、次にカルボジイミドによって炭酸官能基をIRM触媒の一級アミン基にカップリングした。
【0178】
簡単に述べると、ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ(Aldrich(Milwaukee、WI))からの10μLの100mMのメルカプト酢酸溶液(カタログ10,900−2)をオハイオ州オーロラのICNバイオメディカルズ(ICN Biomedicals Inc.(Aurora、OH)からの1mLのコロイドの金粒子溶液(約10nM)(カタログ:154015、平均サイズ40nmに添加した。窒素雰囲気下で、混合物を室温で3時間3Hzで振盪した。
【0179】
次に、20μLのイミダゾキノリンIRM化合物(4−アミノ−2−エトキシメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−エタンアミン、米国特許第6,069,149号明細書で開示される)の10mg/L PBS緩衝液(pH7.2)溶液、20μLの新鮮に作成した1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド)(イリノイ州ロックフォードのピアス(Pierce)Rockford、IL))からのEDC、HCl塩)の50mg/L PBS緩衝溶液、および1滴の約1NのHClを混合物に添加した。最終混合物を室温でさらに12時間3Hzで振盪し、続いて14,000毎分回転数(rpm)で30分間遠心分離した。上清を除去した後、沈殿を0.5mLのPBS緩衝液で2回洗浄して、1mLのPBS中に再分散させた。電界放出SEM顕微鏡写真は、変性粒子が良好に分離して分布することを示した。赤外線スペクトルは、−NH−シグナルに顕著な増大があることを示し、コロイド金へのIRMの成功裏のカップリングが示唆された。
【0180】
実施例16
同様に、ICNバイオメディカルズ(ICN Biomedicals Inc.)からの10nmコロイド金から金コンジュゲートを作成した(カタログ番号154011)。
【0181】
実施例17
IRM−金粒子はまた、アビジン−ビオチンまたはアンチビオチン−ビオチンカップリングから作られた。ニューヨーク州のストーニブルックのアマーシャム・バイオサイエンス・ナノプローブ(Amersham Biosciences、Nanoproves、Inc.Stoney Brook、NY)から市販される金ストレップアビジン、またはニューヨーク州のストーニブルックのナノプローブス(Nonoproves、Inc.Stoney Brook、NY)から市販される抗ビオチンナノゴールド・ファブ・コンジュゲートを、TNF放出の刺激において複合化していないIRMと比較できるが、IL−6刺激においてより優れている、米国特許第6,451,810号明細書の実施例29のビオチン複合体と反応させた。
【0182】
実施例18
1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)が触媒する[(4−アミノ−1−イソブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2−イル)メトキシ]酢酸のカルボキシル基とフェリチンの一級アミンとの直接カップリングを通じて、4000〜5000個のFe3+イオンを含有する金属タンパク質であるフェリチンのIRMコンジュゲートを合成した。
【0183】
5mLのpH7.4PBS緩衝液(0.4g/L)中の[(4−アミノ−1−イソブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2−イル)メトキシ]酢酸溶液をオハイオ州オーロラのICNバイオケメディカルズ(ICN Biochemedicals Inc.(Aurora、OH))からの3mlのpH7.4のPBS緩衝液溶液中の50g/Lのフェリチン、2mLの20mM EDC、および10滴の1N HClの混合物に添加した。5−秒間のボルテックス混合後、混合物を一晩反応させた。次に混合物をサイズ排除液体クロマトグラフィー(PD−10)カラムを通じて溶出した。褐色画分を収集した。コンジュゲート中の[(4−アミノ−1−イソブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2−イル)メトキシ]酢酸とフェリチンとの平均比率は、最初の溶液および溶出溶液中の[(4−アミノ−1−イソブチル−1H−イミダズ[4,5−c]キノリン−2−イル)メトキシ]酢酸のUVスペクトル測定に基づいて、0.6(M/M)と求められた。カラム通過後、フェリチン回収率は95%であった。流出画分をHPLCで検証したところ、単一ピークを示した。変性中に顕著な鉄の損失は観察されなかった。コンジュゲートは、RAW細胞における試験で生物学的活性を示した。
【0184】
実施例19
製造業者の提唱するプロトコルに基づいて、修正されたプロトコルを使用して、IRMを官能性付与超常磁性粒子上に共有結合的に固定化した。簡単に述べると、ニューヨーク州レイク・サクセスのダイナ・バイオテック(Dynal Biotect(Lake Success、NY))からの100mgの凍結乾燥させたダイナビーズ(DYNABEADS)M−270エポキシ(約6.7×109のビーズを含有する)を7mLの脱イオン水に懸濁した。30秒間ボルテックスし、10分間インキュベートした後、混合物を3000重力(G)で10分間遠心分離して上清を廃棄した。
【0185】
3mLの新鮮に作られた炭酸−炭酸水素塩緩衝液(0.1M、pH9.4)中の1−(4−アミノブチル)−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン溶液(0.4g/L)(米国特許第6,069,149号明細書で開示される方法を使用して調製できる)、および脱イオン水中の5mLの4M硫酸アンモニウムをビーズに添加した。混合物を30秒間ボルテックスして、次に室温で10Hzで作動する振盪器に24時間載せた。
【0186】
混合物を3000Gで10分間遠心分離した。上清を除去して247nmでのUV吸光度によってIRM濃度を測定した。ビーズをで7mLのメタノールで3回、7mlのダルベッコのPBSで3回洗浄した。変性ビーズ中のIRM含量は上清および洗浄液中に見られたIRM量を最初にビーズと合わせたIRMの量から差し引いて計算された。
【0187】
実施例20
以下の手順を使用して、IRMをナノサイズの超常磁性粒子上に共有結合的に固定化した。
【0188】
水ベースの分散体であるニューハンプシャー州ナシュア(Nashua、NH)からの(0.1mL)の水をベースとする強磁性流体(EMG 304)、寸法が5〜15nmの範囲である酸化鉄粒子を4mLの脱イオン水および20mLの2−プロパノールで希釈した。連続的に機械的に撹拌しながら、0.3mLアンモニア(30重量%、アルドリッチ(Aldrich))および8.5mgのN−[3−(4−アミノ−2−エトキシメチル−6,7−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)プロピル]−N’−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]尿素を分散体に緩慢に添加した。連続的に撹拌しながら反応を室温で4時間進行させた。反応の完結後、磁石を使用してIRM−付着磁性粒子を濃縮した。
【0189】
実施例21
以下の手順を使用してIRMをコアシェル超常磁性粒子に共有結合的に付着した。寸法が100nmの範囲であるコアシェル磁性粒子の水ベースの分散体である、ドイツ国ベルリンのケミセル(Chemicell Gmbh(Berlin、Germany))からの水をベースとするシリカ被覆された超常磁性粒子(50mg、SiMAG−1)の1mLを5mLの脱イオン水および15mL2−プロパノールで希釈した。連続的に機械的に撹拌しながら、アルドリッチ(Aldrich)からの0.3mLのアンモニア(30重量%)および8.5mgのN−[3−(4−アミノ−2−エトキシメチル−6,7−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)プロピル]−N’−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]尿素を分散体に緩慢に添加した。反応を連続的に撹拌しながら室温で4時間進行させた。反応完結後、磁石を使用してIRM付着磁性粒子を濃縮した。
【0190】
実施例22
IRMは次のようにして生体接着性ポリマーに共有結合的に付着できる。
【0191】
IRMは、アミドまたはエステル形成を通じて、アクリル酸の生体接着性架橋ポリマーに共有結合的に付着できる。ペンダントのアミンまたはヒドロキシル基を含有するIRMを、ポリマー上の遊離カルボン酸基と反応させてそれぞれアミドまたはエステルを形成する。ペンダントのアミンまたはヒドロキシル基を含有するIRM化合物、およびそれらを製造する方法は既知である。例えば、米国特許第4,689,338号明細書、米国特許第5,389,640号明細書、米国特許第5,268,376号明細書、米国特許第6,451,810号明細書、米国特許第6,677,349号明細書、米国特許第6,660,747号明細書、米国特許第5,352,784号明細書、米国特許第5,446,153号明細書、米国特許第6,545,016号明細書、米国特許第6,194,425号明細書、米国特許第4,988,815号明細書、米国特許第5,175,296号明細書、米国特許第5,395,937号明細書、米国特許第5,741,908号明細書、および米国特許第5,693,811号明細書、米国特許公報第2004/0010007号、および米国特許公報第2003/0232852号、および2003年12月18に出願された米国特許出願番号第10/739787号を参照されたい。アクリル酸の生体接着性架橋ポリマーは市販される。例えばどちらもオハイオ州クリーブランドのノヴェオン(Noveon Inc(Cleaveland,OH))からのCARBOPOL 971PおよびCARBOPOL 974P。
【0192】
(IRM)x(ポリマー)y、と命名されるこのIRM−生体接着性ポリマー複合体およびその他の適切な複合体は、ゲル、クリーム、または溶液調合物中に組み込むことができる。このような調合物は、溶剤、油、乳化剤などを含むことができる。適切な調合物の実施例は、米国特許第6,245,776号明細書および米国特許公報第2003/0199538号で開示される。
【0193】
このようなIRM−生体接着性ポリマー複合体の調合物の一般例は次のようである。
【0194】
【表3】

【0195】
【表4】

【0196】
【表5】

【0197】
このようなIRM−生体接着性ポリマー複合体調合物の特定のサンプルは下のようである。
【0198】
【表6】

【0199】
【表7】

【0200】
【表8】

【0201】
実施例23
以下の手順を使用してIRMをヒドロゲル内に共有結合的に固定化した。
【0202】
構成要素Aの製造
塩酸(1mLの1NのHCl)を滴下して添加して0.1MのpH9.4の炭酸/炭酸水素塩緩衝液中の30%(w/v)ヒト血清アルブミン(HSA)溶液(2mL)のpHを約4に調節した。リン酸塩緩衝食塩水(3.0mLの0.6mg/mL)中のN−{2−[4−アミノ−7−(6−アミノヘキシルオキシ)−2−エトキシメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]−1,1−ジメチルエチル}メタンスルホンアミドの溶液、および新鮮に作られたリン酸塩緩衝食塩水(0.2mLの3mg/mL)中のEDC溶液を添加して混合物を一晩インキュベートした。
【0203】
混合物を2Hzで撹拌しながら、毎日新鮮な緩衝液で、0.1M炭酸/炭酸水素塩緩衝液(pH9.4)に対して4℃で120時間、カリフォルニア州ランチョ・ドミンゲスのスペクトラム・ラボラトリー(Spectrum Laboratory Inc.(Rancho Domingguez、CA))からの3,500分子量カットオフメンブランを通して、透析した。透析された緩衝液中のIRMの濃度をUV吸光度によってモニターした。最終緩衝液中に検出可能なIRM(0.1μg/mL未満)は見られなかった。スペクトラム・ラボラトリー(Spectrum Laboratory Inc.)からの50,000分子量カットオフ・セルロース・エステル・ディスク・メンブランを通した限界濾過によって、得られた混合物を15重量%HSAに濃縮した。
【0204】
構成要素Bの製造
ポリエチレングリコールジスクシンイミジルスクシナート(PEG−SS2、米国特許第5,583,114号明細書の実施例1の方法に従って製造された)を300mg/mLで滅菌水に溶解した。
【0205】
ヒドロゲルの製造
構成要素A(1mL)および構成要素B(0.5mL)を組み合わせた。透明なヒドロゲルが約10秒で形成された。
【0206】
実施例24
IRMグラフト化コラーゲンの製造
カリオケム(Caliochem)から入手できるコラーゲン繊維をテトラヒドロフラン中のN−[4−(4−アミノ−2−プロピル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]−N’−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]尿素溶液(0.5〜1重量%)と組み合わせた。混合物を45℃で24時間超音波浴に入れた。コラーゲン繊維を溶液から除去し、テトラヒドロフランで完全に洗浄した。サンプルを飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF SIMS)によって分析した。スペクトルはケイ素および(1−アミノブチル)−2−プロピル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミンのイオン断片の存在を示した。未処置コラーゲン繊維の分析は、ケイ素または(1−アミノブチル)−2−プロピル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミンのイオン断片のどちらも示さなかった。
【0207】
実施例25
IRMグラフト化コラーゲンの製造
カリオケム(Caliochem)から入手できるコラーゲン繊維をテトラヒドロフラン中の1−アミノブチル)−2−プロピル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン溶液(5gの1重量%)と組み合わせた。1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(50mg)を添加して、混合物を45℃で24時間超音波浴に入れた。コラーゲン繊維を溶液から除去し、テトラヒドロフランで完全に洗浄した。サンプルをTOF SIMSによって分析した。スペクトルは(1−アミノブチル)−2−プロピル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミンのイオン断片の存在を示した。未処置コラーゲン繊維の分析は、(1−アミノブチル)−2−プロピル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミンのイオン断片を示さなかった。
【0208】
実施例26
IRMグラフト化ポリ(エチレンテレフトラート)フィルムの製造
ミネソタ州セントポールの3M社(3M Company(St.Paul,MN))から入手できるポリ(エチレンテレフトラート)フィルムをテトラヒドロフラン中の1−(4−アミノブチル)−2−プロピル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン溶液(2gの2.5重量%)と組み合わせた。混合物を45℃で24時間超音波浴に入れた。フィルムを溶液から除去し、テトラヒドロフランで完全に洗浄した。サンプル表面に対して52°の「化学分析のための電子分光法」(ESCA)は、全組成物の6〜7%の窒素の存在を示した。未処理PETフィルムの分析は窒素を示さなかった。
【0209】
実施例27
IRMグラフト化アクリレートビーズの製造
シグマ・ケミカル(Sigma Chemical)からのオキシラン官能性付与アクリルビーズ(160mg、平均径150μm、カタログ番号O−76280)をPBS(2mL)中に懸濁して、30分間インキュベートした。PBS(3mLの0.4g/L)中の1−(4−アミノブチル)−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン溶液を添加した。1Nの水酸化ナトリウムの添加によって混合物のpHを9に上昇させた。反応混合物を室温で72時間振盪した(3Hz)。次に反応混合物を3000Gで5分間遠心分離した。247ナノメートル(nm)でのUV−Vis吸光度(nm)によって、上清中のIRM濃度を測定した。粗カップリング比率は96.5%と判定された。上清を廃棄した後、ビーズを6mLのPBSで洗浄し、3000Gで2分間遠心分離した。この手順を3回繰り返した。ビーズをメタノールでさらに3回洗浄し、6mLのダルベッコのPBS(DPBS)による2回の追加的な洗浄がそれに続いた。最終PBS洗浄液中に検出可能なIRM(0.1μg/mL未満)は見られなかった。固定化されたIRMの量は、反応混合物への添加量から洗浄水に見いだされた量を差し引いて計算した。
【0210】
実施例28
IRMグラフト化アクリレートビーズの製造
3mLの0.4g/mLのIRM溶液の代わりに、3mLの0.8g/mLのIRM溶液を使用したこと以外は、実施例27の手順を繰り返した。
【0211】
実施例29
IRMグラフト化アクリレートビーズの製造
実施例27の手順を繰り返した。ビーズをプロピルアミン(7.7mg)でさらに処理し、次にDPBSで5回洗浄した。
【0212】
実施例30
IRMグラフト化ポリスチレンビーズの製造
ペンシルベニア州ウォリントンのポリサイエンス(Polysciences Inc(Warrington、PA))からのカルボキシレート官能性付与ポリスチレンビーズ(2mLのポリビード(POLYBEAD)カルボキシレート溶液、2.6%ビーズ、直径平均10μm)を洗浄して、次に2mLのPBS緩衝液(pH7.4)中に再懸濁した。PBS(3mLの0.4g/L)中の1−(4−アミノブチル)−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン溶液を添加して、1N塩酸の添加によって混合物のpHをpH4.5に調節した。新鮮に作った脱イオン水中のEDC溶液(200μLの0.3mg/mL)を添加して、3Hzで作動する振盪機上で混合物を一晩インキュベートした。混合物を次に3000Gで15分間遠心分離した。上清中のIRMの濃度は、UV−Vis吸光度により247nmで求めた。上清の廃棄後、ビーズを6mLのPBSで洗浄して3000Gで2分間遠心分離した。この手順を3回繰り返した。ビーズをメタノールでさらに3回洗浄し、6mLのダルベッコのPBS(DPBS)による2回の追加的な洗浄が続いた。最終PBS洗浄液中に検出可能なIRM(0.1μg/mL未満)は見られなかった。固定化されたIRMの量は、反応混合物への添加量から洗浄水に見いだされた量を差し引いて計算した。
【0213】
実施例31
IRMグラフト化ポリスチレンビーズの製造
3mLの0.4g/mLのIRM溶液の代わりに3mLの0.8g/mLのIRM溶液を使用したこと以外は、実施例30の手順を繰り返した。
【0214】
実施例32
IRMグラフト化ポリスチレンビーズの製造
1−(4−アミノブチル)−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミンの代わりにN−{2−[4−アミノ−7−(6−アミノヘキシルオキシ)−2−エトキシメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]−1,1−ジメチルエチル}メタンスルホンアミドを使用して、実施例30の手順を繰り返した。
【0215】
試験データ
以下の様式で、実施例27〜31で製造したビーズをサイトカインを誘導するそれらの能力について試験した。250μLのRPMI完全培地中のヒト末梢血単核細胞(5×105細胞)に、20μLのビーズスラリー(80mgビーズ/mL PBS)を添加して一晩インキュベートした。ELISAによって、1:1希釈複製をIFNαおよびTNFα濃度についてアッセイした。結果を下の表に示すが、IFNおよびTNFはピコグラム/mLで報告され、sdは標準偏差である。アクリレートC1ビーズは、PBS単独でインキュベートしたビーズである。アクリレートC2ビーズはオキシラン官能基が、0.396mgのプロピルアミンを含有するPBSとのインキュベーションで部分的にクエンチされたビーズである。アクリレートC3ビーズは、7.7mgのプロピルアミンを含有するPBSとのインキュベーションでオキシラン官能基が完全にクエンチされたビーズである。ポリスチレンコントロールビーズは、PBS単独でインキュベートしたビーズである。
【0216】
【表9】

【0217】
実施例27〜31のビーズについて上述した方法を使用して、実施例19で調製したビーズをサイトカインを誘導する能力について試験した。結果を下の表に示すが、IFNおよびTNFはピコグラム/mLで報告され、sdは標準偏差である。コントロールDYNAビーズは、緩衝液単独で処理したビーズである。
【0218】
【表10】

【0219】
実施例27〜31のビーズについて上述した方法を使用して、実施例2〜11、15、および16の粒子を単一実験で試験したが、試験濃度では、顕著な量のインターフェロンαまたは腫瘍壊死因子αのいずれも誘導しなかった。
【0220】
ここで引用した特許、特許文献および公報の完全な開示は、その内容全体を個々に本願明細書に引用したように参照によってここに編入する。不一致がある場合、定義を含めた本願明細書が統制するものとする。本発明の範囲を精神を逸脱することなく本発明の様々な修正および変更ができることは当業者には明らかである。例証的な実施形態および実施例は例証としてのみ提供され、本発明の範囲の制限を意図するものではない。本発明の範囲は以下で述べる請求項によってのみ制限される。
【図面の簡単な説明】
【0221】
【図1A】単量体アビジンビーズまたは四量体アビジンビーズに結合したIRM1またはIRM2と共に一晩インキュベートしたヒト末梢血単核細胞によって作られるIFNα/TNFα比率のグラフ図である。
【図1B】単量体アビジンビーズまたは四量体アビジンビーズに結合したIRM1またはIRM2と共に一晩培養されたヒト末梢血単核細胞によって作られるIFNαおよびTNFαのグラフ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
巨大分子担体材料に付着するIRM化合物を含んでなる、IRM−担体複合体。
【請求項2】
前記IRM化合物が、前記巨大分子担体材料に共有結合的に付着する、請求項1に記載のIRM−担体複合体。
【請求項3】
前記巨大分子担体材料が、ゲル、フォーム、スポンジ、繊維、ヒドロゲル、およびビーズよりなる群から選択される、請求項1に記載のIRM−担体複合体。
【請求項4】
前記IRM化合物が、少なくとも1つのTLRの作動薬である、請求項1に記載のIRM−担体複合体。
【請求項5】
前記TLRが、TLR6、TLR7、TLR8、およびそれらの組み合わせよりなる群から選択される、請求項4に記載のIRM−担体複合体。
【請求項6】
前記IRM化合物が、小分子免疫反応調節物質である、請求項1に記載のIRM−担体複合体。
【請求項7】
前記IRM化合物が、イミダゾキノリンアミンと、テトラヒドロイミダゾキノリンアミンと、イミダゾピリジンアミンと、1,2−架橋イミダゾキノリンアミンと、6,7−縮合シクロアルキルイミダゾピリジンアミンと、イミダゾナフチリジンアミンと、テトラヒドロイミダゾナフチリジンアミンと、オキサゾロキノリンアミンと、チアゾロキノリンアミンと、オキサゾロピリジンアミンと、チアゾロピリジンアミンと、オキサゾロナフチリジンアミンと、チアゾロナフチリジンアミンと、ピリジンアミン、キノリンアミン、テトラヒドロキノリンアミン、ナフチリジンアミン、またはテトラヒドロナフチリジンアミンに縮合した1H−イミダゾ二量体と、それらの組み合わせよりなる群から選択される、請求項1に記載のIRM−担体複合体。
【請求項8】
前記IRM化合物が、プリン、イミダゾキノリンアミド、ベンズイミダゾール、1H−イミダゾピリジン、アデニン、およびそれらの誘導体よりなる群から選択される、請求項1に記載のIRM−担体複合体。
【請求項9】
前記IRM化合物が、五員環の窒素含有複素環に縮合した2−アミノピリジンを含んでなる、請求項1に記載のIRM−担体複合体。
【請求項10】
前記IRM化合物が、五員環の窒素含有複素環に縮合した4−アミノピリミジンを含んでなる、請求項1に記載のIRM−担体複合体。
【請求項11】
前記巨大分子担体材料が、少なくともlnmの平均最大寸法を有する、請求項1に記載のIRM−担体複合体。
【請求項12】
ポリマーに付着する免疫反応調節物質を含んでなる、IRM−担体複合体。
【請求項13】
前記免疫反応調節物質が前記ポリマーに共有結合的に付着する、請求項12に記載のIRM−担体複合体。
【請求項14】
前記ポリマーが生体接着性ポリマーである、請求項13に記載のIRM−担体複合体。
【請求項15】
請求項12に記載のIRM−担体複合体で被覆された医療用品。
【請求項16】
前記IRM−担体複合体が、巨大分子担体材料に付着するIRM化合物を含んでなる、IRM−担体複合体を含んでなる医療用品。
【請求項17】
前記医療用品が、ステント、シャント、人工弁、縫合糸、手術用クリップ、手術用ステープル、留置カテーテル、人工歯根、整形外科インプラント、外科補装具、植込型脈管アクセスポート、人工心臓、心室補助ポンプ、血液酸素供給器、血液フィルター、血液透析ユニット、血液灌流ユニット、人工心肺装置内の導管、透析装置内のチューブ、血漿交換ユニット内のチューブ、人工膵臓、人工肝臓、人工肺、眼内レンズ、およびコンタクトレンズよりなる群から選択される、請求項16に記載の医療用品。
【請求項18】
植込型装置である、請求項17に記載の医療用品。
【請求項19】
その上に免疫反応調節物質が付着する表面を含んでなる、ステント、シャント、または弁。
【請求項20】
前記免疫反応調節物質が、前記ステント、シャント、または弁の表面に共有結合的に付着する、請求項19に記載のステント、シャント、または弁。
【請求項21】
その上にIRMが配置された医療用品であるが、ただしペリオチップでない前記医療用品。
【請求項22】
ステント、シャント、人工弁、縫合糸、手術用クリップ、手術用ステープル、留置カテーテル、人工歯根、整形外科インプラント、外科補装具、植込型脈管アクセスポート、人工心臓、心室補助ポンプ、血液酸素供給器、血液フィルター、血液透析ユニット、血液灌流ユニット、人工心肺装置内の導管、透析装置内のチューブ、血漿交換ユニット内のチューブ、人工膵臓、人工肝臓、人工肺、眼内レンズ、およびコンタクトレンズよりなる群から選択される、請求項21に記載の医療用品。
【請求項23】
ステントである請求項22に記載の医療用品。
【請求項24】
巨大分子担体に付着する第1の免疫反応調節物質を含んでなる、IRM−担体複合体を含んでなる調合物。
【請求項25】
巨大分子担体材料に付着していない第2の免疫反応調節物質をさらに含んでなる、請求項24に記載の調合物。
【請求項26】
溶剤をさらに含んでなる請求項24に記載の調合物。
【請求項27】
ゲルの形態である請求項24に記載の調合物。
【請求項28】
免疫反応調節物質を巨大分子担体材料に付着させるステップを含んでなる、IRM−担体複合体を製造する方法。
【請求項29】
前記免疫反応調節物質が、前記巨大分子担体材料に共有結合的に付着する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記方法が、前記IRMをアルコキシシラン部分を含んでなるように修飾するステップを含んでなる、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記IRM−修飾アルコキシシランがケイ素含有担体材料に付着する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
対象に請求項1に記載のIRM−担体複合体を投与するステップを含んでなる、ウィルス感染を前記対象において処置する方法。
【請求項33】
前記IRM−担体複合体が、経口的、経鼻的、経眼球的、経膣的、経皮的、または経直腸的に投与される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
対象に請求項1に記載のIRM−担体複合体を投与するステップを含んでなる、アトピー性免疫反応を前記対象において処置する方法。
【請求項35】
前記IRM−基材が、経口的、経鼻的、経膣的、経眼球的、経皮的、または経直腸的に投与される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
対象にIRMがその上に付着するステントを移植するステップを含んでなる、再狭窄を前記対象において防止する方法。
【請求項37】
対象にIRMがその上に配置されたステントを移植するステップを含んでなる、再狭窄を前記対象において防止する方法。
【請求項38】
前記IRM化合物が、少なくとも1つのTLRの作動薬である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記TLRがTLR6、TLR7、TLR8、およびそれらの組み合わせよりなる群から選択される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記IRM化合物が小分子免疫反応調節物質である、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
前記IRM化合物が、イミダゾキノリンアミンと、テトラヒドロイミダゾキノリンアミンと、イミダゾピリジンアミンと、1,2−架橋イミダゾキノリンアミンと、6,7−縮合シクロアルキルイミダゾピリジンアミンと、イミダゾナフチリジンアミンと、テトラヒドロイミダゾナフチリジンアミンと、オキサゾロキノリンアミンと、チアゾロキノリンアミンと、オキサゾロピリジンアミンと、チアゾロピリジンアミンと、オキサゾロナフチリジンアミンと、チアゾロナフチリジンアミンと、ピリジンアミン、キノリンアミン、テトラヒドロキノリンアミン、ナフチリジンアミン、またはテトラヒドロナフチリジンアミンに縮合した1H−イミダゾ二量体、およびそれらの組み合わせよりなる群から選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項42】
前記IRM化合物が、プリン、イミダゾキノリンアミド、ベンズイミダゾール、1H−イミダゾピリジン、アデニン、およびそれらの誘導体よりなる群から選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項43】
前記IRM化合物が、五員環の窒素含有複素環に縮合した2−アミノピリジンを含んでなる、請求項37に記載の方法。
【請求項44】
前記IRM化合物が、五員環の窒素含有複素環に縮合した4−アミノピリミジンを含んでなる、請求項37に記載の方法。
【請求項45】
IRMを巨大分子担体複合体に付着させることで、前記IRMのサイトカイン誘導プロフィールを修正する方法。
【請求項46】
前記サイトカイン誘導プロフィールが、インターフェロンα誘導の利益になるように修正される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
対象に、巨大分子担体材料に付着する免疫反応調節物質を含んでなるIRM−担体複合体を投与するステップを含んでなる、前記対象による前記免疫反応調節物質の全身性の吸収を防止する方法。
【請求項48】
樹状細胞を巨大分子担体材料に付着するIRM化合物と接触させることにより、前記細胞を活性化する方法。
【請求項49】
対象に、巨大分子担体材料に付着するIRM化合物を含んでなるIRM−担体複合体を投与するステップを含んでなる、前記対象において固形腫瘍を処置する方法。
【請求項50】
頚部に、巨大分子担体材料に付着するIRM化合物を含んでなるIRM−担体複合体を塗布するステップを含んでなる、対象において子宮頚部異形成を処置する方法。
【請求項51】
膀胱に、巨大分子担体材料に付着するIRM化合物を含んでなるIRM担体複合体を塗布するステップを含んでなる、対象において膀胱癌を処置する方法。

【図1A】
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【公表番号】特表2006−522823(P2006−522823A)
【公表日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509884(P2006−509884)
【出願日】平成16年4月9日(2004.4.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/011062
【国際公開番号】WO2004/091500
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】