説明

免疫障害を処置するためのS1P受容体調節剤としての1−(4−ベンジルベンズアミド)−ベンジル)アゼチジン−3−カルボン酸誘導体および関連化合物

本発明は、S1P受容体調節剤としての活性を有するアミド、および不適切なS1P受容体活性を随伴する疾病を治療するためのそのような化合物の使用に関する。本化合物は、例えば、自己免疫疾患および関連免疫異常(全身性エリテマトーデスを含む)、炎症性腸疾患、例えばクローン病および潰瘍性大腸炎、I型糖尿病、ブドウ膜炎、乾癬、重症筋無力症、関節リウマチ、非糸球体性ネフローゼ、肝炎、ベーチェット病、糸球体腎炎、慢性血小板減少性紫斑病、溶血性貧血、肝炎およびヴェグナー肉芽腫を治療および予防するために;ならびに他の状態を治療するために、免疫調節薬として使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2007年9月20日に出願された、米国仮出願第60/994,812号(この内容は、その全体が参考として本明細書に援用される)の利益を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、S1P受容体調節剤としての活性を有する化合物、および不適切なS1P受容体活性を随伴する疾病を治療するためのそのような化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
スフィンゴシン−1−リン酸(S1P)が、血小板凝集、細胞増殖、細胞形態、腫瘍細胞浸潤、内皮細胞遊走および内皮細胞インビトロ血管新生を生じさせる結果となるものをはじめとする、多くの細胞作用を誘導することは立証されている。そのため、S1P受容体は、創傷治癒および腫瘍成長阻害などの治療的応用のよいターゲットである。S1Pは、一部は、S1P1、S1P2、S1P3、S1P4、およびS1P5という名の(以前はそれぞれEDG−1、EDG−5、EDG−3、EDG−6、およびEDG−8と呼ばれていた)一連のGタンパク質結合受容体によって、細胞にシグナルを送る。これらの受容体は、構造的に関連したリゾホスファチジン酸(LPA)についての3つの他の受容体(LPA1、LPA2およびLPA3(以前は、EDG−2、EDG−4およびEDG−7))と50−55%のアミノ酸およびクラスター同一性を共有する。
【0004】
Gタンパク質結合受容体(GPCR)においてリガンドがその受容体に結合すると配座シフトが誘導され、それに起因してその会合したGタンパク質のα−サブユニット上のGTPによりGDPが置換され、そしてそのGタンパク質は細胞質に放出される。するとα−サブユニットはβγ−サブユニットから解離し、それでそれぞれのサブユニットは、エフェクタータンパク質と会合することができ、それらが第二メッセンジャーを活性化して細胞応答をもたらす。結局、Gタンパク質上のGTPはGDPへと加水分解され、Gタンパク質のサブユニットは互いに、そのうえ受容体とも再び会合する。増幅は、この一般GPCR経路において重要な役割を果たす。1つのリガンドの1つの受容体への結合は、それぞれが多数のエフェクタータンパク質と会合できる多数のGタンパク質の活性化をもたらし、それが、増幅された細胞応答をもたらす。
【0005】
S1P受容体は、個々の受容体が組織特異的でもあり、応答特異的でもあるため、よい薬物ターゲットになる。S1P受容体の組織特異性は重要である。1つの受容体に対して選択的なアゴニストまたはアンタゴニストの発生が、その受容体を含有する組織への細胞応答を限局化して、望ましくない副作用を制限するからである。S1P受容体の応答特異性も重要である。他のことに影響を及ぼさずに一定の細胞応答を開始または抑制するアゴニストまたはアンタゴニストの発生がそれによって可能になるからである。例えば、S1P受容体の応答特異性によって、細胞形態に影響を及ぼさずに血小板凝集を開始させるS1P模倣体が可能になり得る。
【0006】
S1Pは、スフィンゴシンキナーゼとスフィンゴシンの反応中にスフィンゴシンの代謝産物として形成され、および高レベルのスフィンゴシンキナーゼが存在するがスフィンゴシンリアーゼに乏しい血小板凝集物の中に豊富に貯蔵されている。S1Pは、血小板凝集中に放出され、血清中に蓄積するが、悪性腹水中でも見つけられる。S1P生分解は、エクトホスホヒドロラーゼ、特にスフィンゴシン1−リン酸ホスホヒドロラーゼ、による加水分解によって進行する可能性が最も高い。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、S1P調節薬、例えばアゴニスト、部分アゴニスト、逆アゴニストおよびアンタゴニスト、を含む新規組成物の使用、ならびに様々なS1P受容体に関連した状態の治療、予防または治癒の際のそれらの使用に関する。本発明は、S1P受容体調節薬である化合物を特徴とし;1つの実施形態において、そのような化合物としては、式
【0008】
【化1】

(式中のR、Z、L、B、A、Z、Z、YおよびXは、本明細書の中で定義する)
を有するものおよびその医薬的に許容される塩が挙げられる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1つの実施形態において、本発明は、式
【0010】
【化2】

(式中、
Aは、フェニルであるか、1または2個のN原子を含有する6員ヘテロアリールであり、前記フェニルおよびヘテロアリールは、F、Cl、Br、OC1−4アルク、C1−4アルクおよびC1−4ハロアルクから選択される0、1、2または3個の置換基によって置換されており;
Bは、フェニルであるか、1または2個のN原子を含有する6員ヘテロアリールであり、前記フェニルおよびヘテロアリールは、F、Cl、Br、OC1−4アルク、C1−4アルクおよびC1−4ハロアルクから選択される0、1、2または3個の置換基によって置換されており;
Lは、−C≡C−、―CHCH−、−N(R)C(=O)−または−C(=O)N(R)−であり;
nは、0、1、2または3であり;
は、それぞれの場合、独立して、HまたはC1−6アルクであり;
は、C1−6アルク、OC1−5アルク、N(Ra)C1−5アルク;N(C1−5アルク)C1−5アルク、アリールまたはヘテロアリールから選択される。
【0011】
Xは、WC(=O)OR6a、WP(=O)R6b6c、WS(=O)OH、WCONHSOHまたは1H−テトラゾール−5−イルから選択され、この場合、Wは、直接結合であるか、酸素であるか、ハロゲン、OH、シアノ、NR、アリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、OC1−4アルクおよびCOHから独立して選択される1個以上の置換基を有するC1−4アルクであり;R6aは、水素またはC1−4アルクであり;ならびにR6bおよびR6cは、独立して、水素、OH、C1−4アルクまたはC1−4ハロアルクであり;
Yは、右および左のアスタリスクが結合点を示す、式(a)の残基
【0012】
【化3】

(この式中、
Qは、直接結合、C=O、C=S、SO、C=ONRまたは(CR1011から選択され、およびmは、0、1、2または3であり;
およびRは、水素、ハロゲン、アミノ、C1−5アルクアミノ、OH、シアノ、C1−6アルク、C1−6アルク(OH)、SC1−5アルク、OC1−5アルク、C1−6ハロアルクおよびOC1−5アルクから独立して選択され;またはRおよびRは、それらが結合している原子と一緒になって、4から7員環(これは、N、OおよびSから選択されるヘテロ原子を場合によっては有する)を形成することがあり;ならびに
は、水素、ハロゲン、OH、シアノ、C1−6アルク、SC1−5アルク、OC1−5アルク、C1−6ハロアルクまたはOC1−5ハロアルクから選択され;
10およびR11は、水素、ハロゲン、OH、シアノ、C1−6アルク、OC1−5アルク、SC1−5アルク、C1−6ハロアルクまたはOC1−5ハロアルクより独立して選択される)
であり;および
およびZは、O、NR、S、S(=O)、S(=O)、S(=O)NR、(CR、C=O、C=S、C=N−R、または直接結合より独立して選択され、この場合、
は、水素、OH、SO、C=O、C=S、C=NH、C1−6アルク、OC1−5アルク、SC1−5アルク、C1−6ハロアルクおよびOC1−5ハロアルク、アリールもしくはヘテロアリールから選択され;またはZが直接結合であるとき、Rは、ヘテロ原子を場合によっては含有するC−C環であり;ならびに
およびRは、水素、ハロゲン、OH、シアノ、C1−6アルク、OC1−5アルク、SC1−5アルク、C1−6ハロアルクおよびOC1−5ハロアルク、アリールおよびヘテロアリールから独立して選択されるか、一緒にC=Oを形成する)
を有する化合物またはその医薬的に許容される塩に関する。
【0013】
もう1つの実施形態において、いずれかの上または下の実施形態に関連して、Aは、F、Cl、Br、OC1−4アルク、C1−4アルクおよびC1−4ハロアルクから選択される0、1、2または3個の置換基によってさらに置換されているフェニルである。
【0014】
もう1つの実施形態において、いずれかの上または下の実施形態に関連して、Aは、F、Cl、Br、OC1−4アルク、C1−4アルクおよびC1−4ハロアルクから選択される0、1、2または3個の置換基によってさらに置換されている1,4−フェニルである。
【0015】
もう1つの実施形態において、いずれかの上または下の実施形態に関連して、Aは、F、Cl、Br、OC1−4アルク、C1−4アルクおよびC1−4ハロアルクから選択される0、1、2または3個の置換基によってさらに置換されている1,3−フェニルである。
【0016】
もう1つの実施形態において、いずれかの上または下の実施形態に関連して、Aは、F、Cl、Br、OC1−4アルク、C1−4アルクおよびC1−4ハロアルクから選択される0、1、2または3個の置換基によってさらに置換されている1,2−フェニルである。
【0017】
もう1つの実施形態において、いずれかの上または下の実施形態に関連して、Aは、F、Cl、Br、OC1−4アルク、C1−4アルクおよびC1−4ハロアルクから選択される0、1、2または3個の置換基によってさらに置換されているピリジニル(pyrdinyl)である。
【0018】
もう1つの実施形態において、いずれかの上または下の実施形態に関連して、Aは、F、Cl、Br、OC1−4アルク、C1−4アルクおよびC1−4ハロアルクから選択される0、1、2または3個の置換基によってさらに置換されているピリミジニルである。
【0019】
もう1つの実施形態において、いずれかの上または下の実施形態に関連して、Bは、F、Cl、Br、OC1−4アルク、C1−4アルクおよびC1−4ハロアルクから選択される0、1、2または3個の置換基によってさらに置換されているフェニルである。
【0020】
もう1つの実施形態において、いずれかの上または下の実施形態に関連して、Bは、F、Cl、Br、OC1−4アルク、C1−4アルクおよびC1−4ハロアルクから選択される0、1、2または3個の置換基によってさらに置換されているピリジニルである。
【0021】
もう1つの実施形態において、いずれかの上または下の実施形態に関連して、Bは、F、Cl、Br、OC1−4アルク、C1−4アルクおよびC1−4ハロアルクから選択される0、1、2または3個の置換基によってさらに置換されているピリミジニルである。
【0022】
もう1つの実施形態において、いずれかの上または下の実施形態に関連して、Aは、F、Cl、Br、OC1−4アルク、C1−4アルクおよびC1−4ハロアルクから選択される0、1、2または3個の置換基によってさらに置換されているフェニルであり;ならびにBは、F、Cl、Br、OC1−4アルク、C1−4アルクおよびC1−4ハロアルクから選択される0、1、2または3個の置換基によってさらに置換されているフェニルである。
【0023】
もう1つの実施形態において、いずれかの上または下の実施形態に関連して、Lは、−N(R)C(=O)−である。
【0024】
もう1つの実施形態において、いずれかの上または下の実施形態に関連して、Lは、−C(=O)N(R)−である。
【0025】
もう1つの実施形態において、いずれかの上または下の実施形態に関連して、Lは、−C≡C−である。
【0026】
もう1つの実施形態において、いずれかの上または下の実施形態に関連して、Lは、−CHCH−である。
【0027】
もう1つの実施形態において、いずれかの上または下の実施形態に関連して、−Y−Xは、
【0028】
【化4】

である。
【0029】
本発明のもう1つの態様は、式
【0030】
【化5】

(式中、
Aは、フェニルであるか、1または2個のN原子を含有する6員ヘテロアリールであり、前記フェニルおよびヘテロアリールは、F、Cl、Br、C1−4アルクおよびC1−4ハロアルクから選択される0、1、2または3個の置換基によって置換されており;
Bは、フェニルであるか、1または2個のN原子を含有する6員ヘテロアリールであり、前記フェニルおよびヘテロアリールは、F、Cl、Br、C1−4アルクおよびC1−4ハロアルクから選択される0、1、2または3個の置換基によって置換されており;
Lは、−N(R)C(=O)−または−C(=O)N(R)−であり;
nは、0、1、2または3であり;
は、それぞれの場合、独立して、HまたはC1−6アルクであり;
は、C1−6アルク、OC1−5アルク、N(Ra)C1−5アルク;N(C1−5アルク)C1−5アルク、アリールまたはヘテロアリールから選択される。
【0031】
は、O、NR、S、S(=O)、S(=O)、S(=O)NR、(CR、C=O、C=S、C=N−R、または直接結合から選択され、この場合、
は、水素、OH、SO、C=O、C=S、C=NH、C1−6アルク、OC1−5アルク、SC1−5アルク、C1−6ハロアルクおよびOC1−5ハロアルク、アリールもしくはヘテロアリールから選択され;またはZが直接結合であるとき、Rは、ヘテロ原子を場合によっては含有するC−C環であり;ならびに
およびRは、水素、ハロゲン、OH、シアノ、C1−6アルク、OC1−5アルク、SC1−5アルク、C1−6ハロアルクおよびOC1−5ハロアルク、アリールおよびヘテロアリールから独立して選択されるか、一緒にC=Oを形成する)
を有する化合物またはその医薬的に許容される塩に関する。
【0032】
本発明のもう1つの実施形態において、上または下の実施形態に関連して、Rは、フェニルおよびヘテロアリールから選択され、これらの両方がハロゲンで場合によっては置換されている。
【0033】
本発明のもう1つの実施形態において、上または下の実施形態に関連して、Rは、ハロゲンで場合によっては置換されているフェニルである。
【0034】
本発明のもう1つの実施形態において、上または下の実施形態に関連して、Rは、ハロゲンで場合によっては置換されているヘテロアリールである。
【0035】
本発明のもう1つの実施形態において、上または下の実施形態に関連して、Rは、フェニルである。
【0036】
本発明のもう1つの実施形態において、上または下の実施形態に関連して、Rは、ヘテロアリールである。
【0037】
本発明のもう1つの実施形態において、上または下の実施形態に関連して、Rは、N、OおよびSから選択される1個の原子と、0、1、2または3個の追加のN原子とを含む、5または6員不飽和環である。
【0038】
本発明のもう1つの実施形態において、上または下の実施形態に関連して、Rは、ピリジニル、ピリミジン、チアゾリル、オキサゾリル、フラニルおよびチオフェニルから選択される。
【0039】
本発明のもう1つの実施形態において、上または下の実施形態に関連して、Xは、WC(O)OR6a、WP(O)R6b6c、WS(O)OH、WCONHSOHまたは1H−テトラゾール−5−イルから選択される。Wは、直接結合であるか、酸素であるか、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヘテロアリールアミノおよびC1−4アルコキシから独立して選択される置換基を有するC1−4アルキルであり;ならびにR6aは、水素またはC1−4アルキルであり;R6bおよびR6cは、水素、ヒドロキシル、C1−4アルキルおよびハロゲン置換C1−4アルキルから独立して選択される。
【0040】
本発明のもう1つの実施形態において、上または下の実施形態に関連して、Xは、COHである。
【0041】
本発明のもう1つの実施形態において、上または下の実施形態に関連して、Yは、
【0042】
【化6】

であり、この式中のRは、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、C1−6アルキル、C1−5アルキルチオ、C1−5アルコキシ、ハロゲン置換C1−6アルキルおよびハロゲン置換C1−5アルコキシから選択される。
【0043】
本発明のもう1つの実施形態において、上または下の実施形態に関連して、Yは、
【0044】
【化7】

であり、この式中のRは、水素、ハロゲンおよびヒドロキシルから選択される。
【0045】
本発明のもう1つの実施形態において、上または下の実施形態に関連して、Rは、水素である。
【0046】
本発明のもう1つの実施形態において、上または下の実施形態に関連して、Rは、ヒドロキシルである。
【0047】
本発明のもう1つの実施形態において、上または下の実施形態に関連して、Zは、CRであり、この場合のRおよびRは、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、C1−6アルキル、C1−5アルコキシ、C1−5アルキルチオ、ハロゲン置換C1−6アルキルまたはハロゲン置換C1−5アルコキシである。
【0048】
本発明のもう1つの実施形態において、いずれかの上または下の実施形態に関連して、Zは、CRであり、この場合のRおよびRは、独立して、水素、ハロゲン、C1−6アルキルまたはハロゲン置換C1−6アルキルである。
【0049】
本発明のもう1つの実施形態において、いずれかの上または下の実施形態に関連して、Zは、CHである。
【0050】
本発明のもう1つの実施形態において、上または下の実施形態に関連して、
は、O、NR、S、S(O)、S(O)、S(O)NR、(CR、C=O、C=S、およびC=N−Rから選択され;
は、水素、ヒドロキシル、C1−6アルキル、C1−5アルコキシ、C1−5アルキルチオ、ハロゲン置換C1−6アルキルまたはハロゲン置換C1−5アルコキシであり;
およびRは、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、C1−6アルキル、C1−5アルコキシ、C1−5アルキルチオ、ハロゲン置換C1−6アルキルおよびハロゲン置換C1−5アルコキシから独立して選択されるか、一緒に「C=O」を形成し;ならびに
nは、1、2または3である。
【0051】
本発明のもう1つの実施形態において、上または下の実施形態に関連して、
は、O、NR、S、S(O)、S(O)、S(O)NR、CR、C=O、C=S、およびC=N−Rから選択され;
は、水素、ヒドロキシル、C1−6アルキル、C1−5アルコキシ、C1−5アルキルチオ、ハロゲン置換C1−6アルキルまたはハロゲン置換C1−5アルコキシであり;ならびに
およびRは、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、C1−6アルキル、C1−5アルコキシ、C1−5アルキルチオ、ハロゲン置換C1−6アルキルおよびハロゲン置換C1−5アルコキシから独立して選択される。
【0052】
本発明のもう1つの実施形態において、上または下の実施形態に関連して、
は、O、NR、S、CR、C=O、C=S、およびC=N−Rから選択され;
は、水素、ヒドロキシル、C1−6アルキル、C1−5アルコキシ、C1−5アルキルチオ、ハロゲン置換C1−6アルキルまたはハロゲン置換C1−5アルコキシであり;ならびに
およびRは、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、C1−6アルキル、C1−5アルコキシ、C1−5アルキルチオ、ハロゲン置換C1−6アルキルおよびハロゲン置換C1−5アルコキシから独立して選択される。
【0053】
本発明のもう1つの実施形態において、上または下の実施形態に関連して、Zは、O、S、CH、C=O、C=S、およびC=N−OHから選択される。
【0054】
本明細書およびクレームは、「...および...から選択される」および「は、...または...である」という文体を用いる化学種のリスティングを含む(時として、マーカッシュグループと呼ばれる)。この文体が本願の中で用いられているとき、別様に述べていない限り、それは、そのグループを全体として、またはその任意の単一メンバーを、またはその任意のサブグループを含むものとする。この文体の使用は、単に速記のためであり、如何なる点においても、必要に応じて個々の要素またはサブグループを除去することを意味しない。
【0055】
一つの態様において、本発明は、S1P−1受容体媒介生物活性を調節するための方法を提供する。本発明は、卵巣癌、腹膜癌、子宮内膜癌、子宮頚癌、乳癌、結腸直腸癌、子宮癌、胃癌、小腸癌、甲状腺癌、肺癌、腎臓癌、膵臓癌および前立腺癌(prostrate cancer);急性肺疾患、成人呼吸促迫症候群(「ARDS」)、慢性肺疾患、例えば喘息、の急性炎症性憎悪、胚上皮細胞障害、例えば経角膜凍傷または皮膚の火傷、ならびに心血管疾患、例えば虚血などの疾病の治療または予防をそのような治療または予防が必要な被験者において行う際のS1P−1調節薬(すなわち、アゴニストまたはアンタゴニスト)の使用方法も提供する。
【0056】
もう1つの態様において、本発明は、大脳動脈における血管収縮、自己免疫疾患および関連免疫異常(全身性エリテマトーデスを含む)、炎症性腸疾患、例えばクローン病および潰瘍性大腸炎、I型糖尿病、ブドウ膜炎、乾癬、重症筋無力症、関節リウマチ、非糸球体性ネフローゼ、肝炎、ベーチェット病、糸球体腎炎、慢性血小板減少性紫斑病、溶血性貧血、肝炎およびヴェグナー肉芽腫などの(しかし、これらに限定されない)疾患を治療または予防する際のS1P−1調節薬の使用方法を提供する。
【0057】
さらにもう1つの態様において、本発明は、被験者における疾病または疾患を治療または予防するためのS1P−1調節薬の使用方法を提供し、この方法は、免疫系を刺激するS1P−1調節薬、例えばアゴニスト、の治療有効量をそのような治療または予防が必要な被験者に投与することを含む。一定の実施形態において、前記被験者は、感染因子に苦しんでいる。他の実施形態おいて、前記被験者は、免疫減弱状態である。
【0058】
さらにもう1つの態様において、本発明は、細胞におけるS1P−1受容体媒介生物活性を調節する方法を提供する。S1P−1受容体を発現する細胞を、S1P−1受容体媒介生物活性を調節するために十分な量のS1P−1受容体調節薬と接触させる。
【0059】
さらにもう1つの態様において、本発明は、被験者におけるS1P−1受容体媒介生物活性を調節するための方法を提供する。そのような方法では、S1P−1受容体媒介生物活性を調節するために有効な量のS1P−1受容体調節薬をその被験者に投与する。
【0060】
さらにもう1つの態様において、本発明は、被験者におけるS1P−1受容体媒介状態を治療、予防または改善するための方法を提供する。そのような方法では、S1P−1受容体媒介生物活性を調節するために有効な量のS1P−1受容体調節薬をその被験者に投与する。前記S1P−1受容体媒介状態は、例えば、移植片拒絶反応(実質性臓器移植片および島細胞);移植片拒絶反応(組織);癌;自己免疫/炎症性疾患;関節リウマチ;狼瘡;インスリン依存型糖尿病(I型);インスリン非依存型糖尿病(II型);多発性硬化症;乾癬;潰瘍性大腸炎;炎症性腸疾患;クローン病;急性および慢性リンパ球性白血病およびリンパ腫であり得る。
【0061】
さて、本発明の特徴および他の詳細をより詳細に説明しよう。本明細書に記載する個々の実施形態が、例証のために示され、本発明の制限として示されるのではないことは、理解されるであろう。本発明の範囲を逸脱することなく様々な実施形態に本発明の主要特徴を利用することができる。すべての部および百分率は、特に他の指定がない限り、重量によるものである。
【0062】
定義
便宜上、本明細書および実施例において用いる一定の用語をここに集める。
【0063】
「治療すること」は、その状態、疾病、疾患などの改善を結果として生じさせる任意の作用、例えば、減少、軽減、調節または除去を含む。
【0064】
「Cα−βアルク(alk)」は、分岐した、環状のもしくは線状の関係またはこの3つの任意の組み合わせで最低α個および最大β個の炭素原子を含むアルキル基を意味し、この場合のαおよびβは整数を表す。このセクションにおいて説明するアルキル基は、1つまたは2つの二重または三重結合も含有する場合がある。Cアルクという呼称は、直接結合を示す。C1−6アルキルの例としては、次のもの挙げられるが、それらに限定されない:
【0065】
【化8】

「ハロ」または「ハロゲン」は、F、Cl、BrおよびIから選択されるハロゲン原子を意味する。
【0066】
「Cv−wハロアルク」は、アルク鎖に付いている任意の数−−少なくとも1つ−−の水素原子が、F、Cl、BrまたはIによって置換されている場合の、上で説明したような、アルク基を意味する。
【0067】
「置換アルキル」は、炭化水素骨格の1つ以上の炭素上の水素を置換している置換基を有するアルキル部分を指す。そのような置換基としては、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ、アシルアミノ、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジドまたはヘテロシクリルを挙げることができる。
【0068】
「アリール」は、ゼロから4個のヘテロ原子を含む場合がある5および6員非接合(すなわち、単環)芳香族基、ならびに芳香族である少なくとも1つの環を有する接合(すなわち、多環式)系をはじめとする、芳香族性を有する基を含む。アリール基の例としては、ベンゼン、フェニル、トリルおよびこれらに類するものが挙げられる。多環式アリール基としては、三環式および二環式の系、例えば、ナフタレン、ベンズオキサゾール、ベンゾジオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチオフェン、メチレンジオキシフェニル、キノリン、イソキノリン、ナフトリジン、インドール、ベンゾフラン、プリン、ベンゾフラン、デアザプリン、インドリジン、テトラリン、およびメチレンジオキシフェニルが挙げられる。
【0069】
環構造内にヘテロ原子を有するアリール基は、「アリール複素環」、「複素環」、「ヘテロアリール」または「複素芳香族」、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジンおよびピリミジンと呼ばれることもある。前記芳香族環は、1つ以上の環位置で、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アラルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アラルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ、アシルアミノ、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族もしくは複素芳香族部分で置換されていることがある。
【0070】
「アルキルアリール」または「アラルキル」部分は、アリール基で置換されているアルキル(例えば、フェニルメチル(ベンジル))である。
【0071】
炭素数が特に指定されていない限り、「低級アルキル」は、その骨格構造内に1から10個、さらに好ましくは1から6個、の炭素原子を有すること以外は上で定義したとおりのアルク基を含む。「低級アルケニル」および「低級アルキニル」は、例えば、炭素原子数2−5の鎖長を有する。
【0072】
「アシル」は、アシルラジカル(CHCO−)またはカルボニル基を含有する化合物および部分を含む。「置換アシル」は、水素原子の1つ以上が、例えば、アルキル基、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシ、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族もしくは複素芳香族部分によって置換されている場合のアシル基を含む。
【0073】
「アシルアミノ」は、アシル部分がアミノ基に結合している場合の部分を含む。例えば、この用語は、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイド基を含む。「アルキルアミノ」は、アルキル部分がアミノ基に結合している場合の部分を含み;「ジアルキルアミノ」、「アリールアミノ」、「ジアリールアミノ」、および「アルキルアリールアミノ」は、類似に名づけられている。一部の実施形態において、「アミノ」は、アシルアミノおよび/またはアルキルアミノ基を含むことがある。
【0074】
「アルコキシアルキル」、「アルキルアミノアルキル」および「チオアルコキシアルキル」は、1つ以上の炭化水素骨格炭素原子を置換している酸素、窒素または硫黄原子、例えば、酸素、窒素または硫黄原子をさらに含む、上で説明したとおりの、アルキル基を含む。
【0075】
「アルコキシ」は、酸素原子に共有結合しているアルキル、アルケニルおよびアルキニル基を含む。アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、プロポキシ、ブトキシおよびペントキシ基が挙げられる。「置換アルコキシ」基の例としては、ハロゲン化アルコキシ基が挙げられる。置換アルコキシ基は、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ、アシルアミノ、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、またはヘテロシクリル置換基を含む場合がある。ハロゲン置換アルコキシ基の例としては、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、クロロメトキシ、ジクロロメトキシ、およびトリクロロメトキシが挙げられる。
【0076】
用語「ヘテロシクリル」または「複素環基」は、1個以上のヘテロ原子を含む、閉環構造、例えば3から10、または4から7員環、を含む。ヘテロシクリル基は、飽和されている場合もあり、または不飽和である場合もあり、ならびにそれらとしては、ピロリジン、オキソラン、チオラン、ピペリジン、piperizine、モルホリン、ラクトン、ラクタム、例えばアゼチジノンおよびピロリジノン、スルタム、スルトン、およびこれらに類するものが挙げられる。
【0077】
複素環は、1つ以上の位置において、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシ、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ、アシルアミノ、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、または芳香族もしくは複素芳香族部分などの上に記載したような置換基で置換されていることがある。
【0078】
用語「チオカルボニル」または「チオカルボキシ」は、硫黄原子に二重結合で連結されている炭素を含有する化合物および部分を含む。
【0079】
用語「エーテル」は、2個の異なる炭素原子またはヘテロ原子に結合している酸素を含有する化合物および部分を含む。例えば、この用語は、別のアルキル基に共有結合している酸素原子に共有結合しているアルキル、アルケニルまたはアルキニル基を指す「アルコキシアルキル」を含む。
【0080】
用語「エステル」は、カルボニル基の炭素に結合している酸素原子に結合している炭素またはヘテロ原子を含有する化合物および部分を含む。用語「エステル」は、アルコキシカルボキシ基、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニルなどを含む。前記アルキル、アルケニルまたはアルキニル基は、上で定義したとおりである。
【0081】
用語「チオエーテル」は、2個の異なる炭素またはヘテロ原子に結合している硫黄原子を含有する化合物および部分を含む。チオエーテルの例としては、アルクチオアルキル、アルクチオアルケニル、およびアルクチオアルキニルが挙げられるが、それらに限定されない。用語「アルクチオアルキル」は、アルキル基に結合している硫黄原子に結合しているアルキル、アルケニルまたはアルキニル基を有する化合物を含む。同様に、用語「アルクチオアルケニル」および「アルクチオアルキニル」は、アルキル、アルケニルまたはアルキニル基が、アルキニル基に共有結合している硫黄原子に結合している場合の化合物および部分を含む。
【0082】
用語「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」は、−OHまたは−Oを有する基を含む。
【0083】
用語「ハロゲン」は、フッ素、臭素、塩素、ヨウ素などを含む。用語「過ハロゲン化された」は、すべての水素がハロゲン原子によって置換されている場合の部分を指す。
【0084】
「ヘテロ原子」は、炭素または水素以外の任意の元素の原子を含む。ヘテロ原子の例としては、窒素、酸素、硫黄およびリンが挙げられる。
【0085】
「少なくとも部分的に芳香族の二環式環構造」は、その二環を構成する環のいずれかまたは両方が芳香族である場合の二環式環構造を意味する。
【0086】
本発明の一部の化合物の構造は不斉炭素原子を含むことに注意しよう。特に他の指示がない限り、そのような不斉から生ずる異性体(例えば、全ての光学異性体およびジオステレオマー)が本発明の範囲に含まれることは、理解されるはずである。そのような異性体は、伝統的な分離技術によって、および立体化学的に制御された合成によって、実質的に純粋な状態で得ることができる。さらに、本願に開示する構造ならびに他の化合物および部分は、それらのすべての互変異性体も含む。アルケンは、適宜、E−幾何学的配置を含むこともあり、Z−幾何学的配置を含むこともある。
【0087】
「併用療法」(または「共同療法」)は、本発明のS1P受容体調節薬と少なくとも第二の薬剤とを、これらの治療薬の共同作用から有益効果を生じさせるように計画された特定の治療レジメンの一部として投与することを含む。この併用の有益効果としては、治療薬の併用の結果として生ずる薬物動態的または薬力学的共同作用が挙げられるが、これらに限定されない。併用でのこれらの治療薬の投与は、概して、被定義期間(選択される併用に依存して、通常、数分、数時間、数日または数週間)にわたって行われる。「併用療法」は、偶発的におよび任意に本発明を併用する結果となる、別個の単独療法レジメンの一部としてのこれらの治療薬の2つ以上の投与を包含すると、一般にではないが、解釈される場合もある。「併用療法」は、これらの薬剤の逐次様式での投与、すなわちそれぞれの治療薬を異なる時点で投与する場合、ならびにこれらの治療薬、またはこれらの治療薬のうちの少なくとも2つ、の実質的同時様式での投与を包含すると解釈する。実質的同時投与は、例えば、固定比率のそれぞれの治療薬を有する単一のカプセルを被験者に投与すること、またはそれぞれの治療薬の各々のカプセルを同時に被験者に投与することによって、遂行することができる。それぞれの治療薬の逐次的投与または実質的同時投与は、経口経路、静脈内経路、筋肉内経路、および粘膜組織を通した直接吸収をはじめとする(しかし、これらに限定されない)任意の適切な経路によって果たすことができる。それらの治療薬を同じ経路によってまたは異なる経路によって投与することができる。例えば、選択された併用の第一の治療薬を静脈内注射によって投与し、その一方でその併用の他の治療薬を経口投与することができる。あるいは、例えば、すべての治療薬を経口投与することができ、またはすべての治療薬を静脈内注射によって投与することができる。治療薬を投与する順序は、厳密には重要でない。「併用療法」は、他の生物活性成分および非薬物療法(例えば、外科手術または放射線治療)とさらに併用での上で説明したような治療薬の投与も包含し得る。併用療法が非薬物治療をさらに含む場合、それらの治療薬とその非薬物治療の併用の共同作用からの有益効果が達成される限り、その非薬物治療を任意の適するときに行うことができる。例えば、適切な場合には、非薬物治療が、治療薬の投与から時間的に離れているときに、ことによると、数日離れているときに、または数週間離れているときでさえ、有益効果は依然として達成される。
【0088】
本明細書において用いる場合の「アニオン基」は、生理的pHで負の電荷を有する基を指す。好ましいアニオン基としては、カルボキシレート、スルフェート、スルホネート、スルフィネート、スルファメート、テトラゾリル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、もしくはホスホロチオエートまたはそれらの機能的等価物が挙げられる。アニオン基の「機能的等価物」は、生物同配体(bioisostere)、例えばカルボキシレート基の生物同配体、を含むと解釈する。生物同配体は、古典的生物同配体等価物と非古典的生物同配体等価物の両方を包含する。古典的および非古典的生物同配体は、当該技術分野において公知である(例えば、Silverman,R.B.The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action,Academic Press,Inc.:San Diego,Calif.,1992,pp.19−23参照)。特に好ましいアニオン基は、カルボキシレートである。
【0089】
用語「複素環基」は、環内の原子の1個以上が炭素以外の元素、例えば窒素または酸素または硫黄、である閉環構造を含むと解釈する。複素環基は、飽和されている場合もあり、不飽和である場合もあり、ならびにピロールおよびフランなどの複素環基は、芳香族特性を有することができる。それらは、キノリンおよびイソキノリンなどの縮合環構造を含む。複素環基の他の例としては、ピリジンおよびプリンが挙げられる。複素環基は、1つ以上の構成原子が、例えば、ハロゲン、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、低級アルキルアミノ、低級アルキルカルボキシル、ニトロ、ヒドロキシル、−CF、−CN、またはこの種の他のもので置換されている場合もある。
【0090】
「S1P調節剤」は、本明細書において下で説明するバイオアッセイなどの所与のアッセイによって測定して、インビボまたはインビトロでのS1P受容体活性の検出可能な変化、例えばS1P活性の少なくとも10%の増加または減少、を誘導することができる化合物または組成物を含む。
【0091】
「薬剤のEC50」は、スフィンゴシン、もしくはS1P受容体の他のリガンドの結合、および/またはS1P受容体の機能的活性(例えば、シグナル伝達活性)をはじめとする所与の活性が、S1P受容体のものの最大値の50%である、薬剤の濃度を含んだ。別の言い方をすると、EC50は、100%活性化を、さらなるリガンド/アゴニストが付加されても増えないS1P受容体の活性量とし、0%活性化を、付加リガンド/アゴニストが不在の状態でのアッセイにおける活性量としたとき、50%活性化をもたらす薬剤の濃度である。
【0092】
「精製された」および同様の用語は、天然または自然環境においてその分子または化合物に通常付随する不純物が実質的にない形態での分子または化合物の単離に関する。
【0093】
「有効量」は、選択された効果を生じさせるために十分な量を含む。例えば、S1P受容体アンタゴニストの有効量は、S1P受容体の細胞シグナル伝達活性を減少させる量である。
【0094】
「免疫修飾」は、免疫系の機能化に対する作用を含み、および免疫応答の強化と免疫応答の抑制の両方を含む。
【0095】
本発明の化合物および他の薬理活性薬剤を、患者に、同時に、逐次的にまたは併用で投与することができる。本発明の併用を用いるとき、本発明の化合物および他の薬理活性薬剤が同じ医薬的に許容される担体中に存在する場合があり、従ってそれらを同時に投与できることは、理解されるであろう。同時に摂取される従来の経口剤形のように、それらは、別々の医薬用担体中に存在する場合もある。用語「併用」は、化合物が別々の剤形の中に供給され、逐次的に投与される場合をさらに指す。
【0096】
本発明の化合物は、最適な薬学的効能をもたらすであろう投薬量でそのような治療が必要な患者(動物およびヒト)に投与することができる。任意の個々の用途での使用に必要な用量が、選択される個々の化合物または組成物ばかりでなく、投与経路、治療する状態の性質、患者の年齢および状態、そのとき患者が従っている併用薬物療法または特別な食事、ならびに当業者が認識しているであろう他の要因によっても患者ごとに異なり、最終的には、その適切な投薬量が掛かりつけの医師の判断次第であることは、理解されるであろう。
【0097】
適切な投薬レベルは、一般に、単回または多回用量で投与することができる、1日につき患者の体重のkgあたり約0.001から50mgであろう。好ましくは、前記投薬レベルは、1日につき約0.01から約25mg/kg;さらに好ましくは、1日につき約0.05から約10mg/kgであろう。例えば、中枢神経系の疾患の治療または予防の場合、適する投薬レベルは、1日につき約0.001から10mg/kg、好ましくは1日につき約0.005から5mg/kg、およびとりわけ1日につき約0.01から1mg/kgである。前記化合物を1日に1から4回、好ましくは1日に1回または2回、のレジメンで投与することができる。
【0098】
任意の治療での使用に必要な本発明の化合物の量が、選択される個々の化合物または組成物ばかりでなく、投与経路、治療する状態の性質、および患者の年齢および状態によっても変わるであろうこと、ならびに最終的には掛かりつけの医師の判断次第であろうことは、理解されるであろう。
【0099】
本発明の組成物および併用療法は、本明細書に記載するような安定剤、担体および/またはカプセル封入調合物をはじめとする様々な医薬用賦形剤と併用で施与することができる。
【0100】
本発明の水性組成物は、医薬的に許容される担体または水性媒質に溶解または分散された、本発明の化合物の有効量を含む。
【0101】
「医薬的にまたは薬理学的に許容される」は、動物またはヒトに、適宜、投与されたときに有害反応、アレルギー反応または他の望ましくない反応を生じさせない分子単位および組成物を含む。「医薬的に許容される担体」は、任意のおよびすべての溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌および抗真菌剤、等張および吸収遅延剤ならびにこれらに類するものを含む。医薬活性物質のためのそのような媒質および薬剤の使用は、当該技術分野において周知である。いずれの従来の媒質または薬剤も活性成分と不相溶性である場合を除き、治療組成物におけるその使用が考えられる。補助活性成分も前記組成物に添合することができる。
【0102】
ヒトへの投与のための製剤は、FDA生物製剤部(Office of Biologics)規格によって要求されているような無菌性、発熱原性、一般的安全性および純度規格を満たさなければならない。
【0103】
さて、本発明の組成物および併用療法は、一般に、非経口投与用に調合される、例えば、静脈内、筋肉内、皮下、病変内、またはさらに腹腔内経路による注射用に調合されるであろう。本発明の組成物または活性構成成分もしくは成分を含有する水性組成物の調製は、本開示を考慮して当業者にはわかるであろう。概して、そのような組成物は、注射用として、溶液または懸濁液のいずれかとして、調製することができ;注射前に液体に添加することにより溶液または懸濁液を調製するための使用に適する固体形態を調製することもでき;およびそれらの製剤を乳化させることもできる。
【0104】
注射使用に適する医薬形としては、滅菌水溶液または水性分散液;ゴマ油、落花生油または水性プロピレングリコールをはじめとする調合物;および滅菌注射用溶液または分散液の即時調製用の滅菌粉末が挙げられる。すべての場合、前記形態は、無菌でなければならず、および容易に注射できる程度に流動性でなければならない。それは、製造および保管条件下で安定でなければならず、ならびに細菌および真菌などの微生物の汚染作用から保護されなければならい。
【0105】
ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と安定的に混合された水中の、遊離塩基または薬理学的に許容される塩としての活性化合物の溶液を調製することができる。グリセロール、液体ポリエチレングリコールおよびそれらの混合物中ならびに油中の分散液を調製することもできる。通常の保管および使用条件下、これらの製剤は、微生物の成長を防止するための保存薬を含有する。
【0106】
本発明の治療組成物または薬理学的組成物は、一般に、医薬的に許容される媒質に溶解または分散された、併用療法の構成成分(単数または複数)の有効量を含むであろう。医薬的に許容される媒質または担体としては、任意のまたはすべての溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌および抗真菌剤、等張および吸収遅延剤ならびにこれらに類するものが挙げられる。医薬活性物質のためのそのような媒質および薬剤の使用は、当該技術分野において周知である。補助活性成分も本発明の治療組成物に添合することができる。
【0107】
医薬組成物または薬理学的組成物の調製は、本開示を考慮して当業者にはわかるであろう。概して、そのような組成物は、注射用として、溶液もしくは懸濁液のいずれかとして;注射前に液体に溶液もしくは懸濁させるために適する固体形態;経口投与のための錠剤または他の固体として;徐放性カプセルとして;またはクリーム、ローション、マウスウォッシュ、吸入剤およびこれらに類するものをはじめとする、現在使用されている任意の他の形態で、調製することができる。
【0108】
滅菌注射用溶液は、適切な溶媒中の必要量の活性化合物と上に列挙した様々な他の成分とを必要に応じて配合し、その後、濾過滅菌することによって調製される。一般に、分散液は、塩基性分散媒と上に列挙したものからの必要な他の成分とを含有する滅菌ビヒクルに様々な滅菌活性成分を添合することによって調製される。滅菌注射用溶液の調製のための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、活性成分と追加の所望の成分を兼ね備えた粉末を、それらの前もって滅菌濾過された溶液から生じさせる、真空乾燥および凍結乾燥技術である。
【0109】
筋肉内注射のためのより濃縮された、すなわち高濃度の溶液の調製も考えられる。これに関しては、溶媒としてDMSOの使用が好ましい。これは、高濃度の活性構成成分(単数もしくは複数)または薬剤(単数もしくは複数)を小さな領域に送達する、極めて迅速な浸透を生じさせる結果となるであろうからである。
【0110】
手術現場の特定領域を浄化するための外科医、内科医または保健医療従事者による滅菌調合物、例えば食塩水系洗浄液の使用も、特に有用である。本発明による治療調合物は、マウスウォッシュの形態で、または抗真菌試薬と共に、再構成することもできる。吸入形態も想像される。本発明の治療調合物は、クリームおよびローションなどの局所投与に適する形態で調製することもできる。
【0111】
そのような溶液における使用に適する保存薬としては、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、クロロブタノール、チメロサールおよびこれらに類するものが挙げられる。適する緩衝剤としては、約pH6とpH8の間、および好ましくは約pH7とpH7.5の間でpHを維持するために十分な量での、ホウ酸、重炭酸ナトリウムおよびカリウム、ホウ酸ナトリウムおよびカリウム、炭酸ナトリウムおよびカリウム、酢酸ナトリウム、重リン酸ナトリウムならびにこれらに類するものが挙げられる。適する等張化剤は、眼科用液剤の塩化ナトリウム当量が0.9プラスまたはマイナス0.2%の範囲内になるような、デキストラン40、デキストラン70、デキストロース、グリセリン、塩化カリウム、プロピレングリコール、塩化ナトリウムおよびこれらに類するものである。適する抗酸化物質および安定剤としては、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ亜硫酸ナトリウム、チオ尿素およびこれらに類するものが挙げられる。適する湿潤および清澄剤としては、ポリソルベート80、ポリソルベート20、ポロキサマー282およびチロキサポールが挙げられる。適する増粘剤としては、デキストラン40、デキストラン70、ゼラチン、グリセリン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルプロピルセルロース、ラノリン、メチルセルロース、ワセリン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースおよびこれらに類するものが挙げられる。
【0112】
調合したら、治療薬をその投薬調合物に適合した様式で、および薬理学的に有効であるような量で、投与することとなる。それらの調合物は、上で説明した注射用溶液タイプなどの様々な剤形で容易に投与されるが、薬物放出カプセルおよびこれに類するものを利用することもできる。
【0113】
これに関連して、投与する活性成分の量および組成物の体積は、治療する宿主動物に依存する。投与に必要な活性化合物の正確な量は、現場の人間の判断に依存し、およびそれぞれの個体に対して個々のものである。
【0114】
活性化合物を分散させるために必要な組成物の最小体積が概して利用される。投与に適するレジメも様々であるが、概して、最初に化合物を投与し、その結果をモニターし、その後、さらなる間隔でさらなる制御用量を与えることによるものであろう。例えば、非経口投与については、適切に緩衝された、および必要な場合には等張性の水溶液を調製し、静脈内投与に、筋肉内投与に、皮下投与に、または腹腔内投与にも使用することとなろう。ある投薬量を1mLの等張NaCl溶液に溶解し、1000mLの皮下注入(hypodermolysis)液に添加してもよいし、または計画された注入部位に注射してもよい(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences 15th Edition,pages 1035−1038および1570−1580参照)。
【0115】
一定の実施形態では、活性化合物を経口投与することができる。これは、消化酵素によるタンパク質分解に対して一般に耐性であるまたは耐性にされた薬剤について考えられる。そのような化合物は、化学的に設計されたまたは修飾された薬剤;右旋性ペプチド;ならびにペプチダーゼおよびリパーゼ分解を回避するために徐放性カプセルの中のペプチドおよびリポソーム製剤を含むと考えられる。
【0116】
前記担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール、ならびにこれらに類するもの)、それらの適する混合物、および植物油を含有する、溶媒または分散媒である場合もある。例えば、レシチンなどのコーティング剤の使用により、分散液の場合には必要な粒径の維持により、および界面活性剤の使用により、適切な流動性を維持することができる。微生物の作用の防止は、様々な抗菌および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールおよびこれらに類するもの、によって生じさせることができる。多くの場合、等張剤、例えば糖または塩化ナトリウム、を含めることが好ましいであろう。注射用組成物の持続吸収は、吸収を遅らせる薬剤、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチン、の組成物における使用によって生じさせることができる。
【0117】
滅菌注射用溶液は、適切な溶媒中の必要量の活性化合物と、上に列挙した様々な他の成分とを配合し、その後、濾過滅菌することによって調製される。一般に、分散液は、塩基性分散媒と上に列挙したものからの必要な他の成分とを含有する滅菌ビヒクルに様々な滅菌活性成分を添合することによって調製される。滅菌注射用溶液の調製のための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、活性成分と追加の所望の成分を兼ね備えた粉末を、それらの前もって滅菌濾過された溶液から生じさせる、真空乾燥および凍結乾燥技術である。
【0118】
直接注射のためのより濃縮された、すなわち高濃度の溶液の調製も考えられ、この場合、溶媒としてDMSOは、高濃度の活性薬剤を小さな領域に送達する、極めて迅速な浸透を生じさせる結果となると想像される。
【0119】
調合したら、溶液をその投薬調合物に適合した様式で、および治療有効量で、投与することとなる。それらの調合物は、上で説明した注射用溶液タイプなどの様々な剤形で容易に投与されるが、薬物放出カプセルおよびこれに類するものを利用することもできる。
【0120】
水溶液での非経口投与については、例えば、溶液を必要に応じて適切に緩衝すべきであり、先ずはその希釈液を十分な食塩水またはグルコースで等張性にすべきである。これらの特別な水溶液は、静脈内、筋肉内、皮下および腹腔内投与に特に適する。ちなみに、利用することができる滅菌水性媒質は、本開示を考慮して当業者にはわかるであろう。
【0121】
静脈内または筋肉内注射などの非経口投与のために調合される化合物に加えて、他の医薬的に許容される形態としては、例えば、経口投与のための錠剤または他の固体;リポソーム製剤;徐放性カプセル;およびクリームをはじめとする現在使用されている任意の他の形態が挙げられる。
【0122】
他の投与方式に適する追加の調合物としては、坐剤が挙げられる。坐剤のための従来の結合剤および担体としては、例えば、ポリアルキレングリコールまたはトリグリセリドを挙げることができ;そのような坐剤は、活性成分を0.5%から10%、好ましくは1%−2%、の範囲で含有する混合物から形成することができる。
【0123】
経口調合物は、例えば、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムおよびこれらに類するものなどの、通常利用されている賦形剤を含む。これらの組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、ピル、カプセル、持続放出性調合物または粉末の形態をとる。
【0124】
一定の被定義実施形態において、経口医薬組成物は、不活性希釈剤もしくは同化性可食担体を含むであろうし、またはそれらをハードもしくはソフト・シェル・カプセルに封入することができ、またはそれらを錠剤に圧縮することができ、またはそれらを食事の食品に直接添合することができる。経口治療投与のために、活性化合物を賦形剤と配合し、摂取可能な錠剤、バッカル錠剤、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロップ、オブラート、およびこれらに類するものの形態で使用することができる。そのような組成物および製剤は、少なくとも0.1%の活性化合物を含有する。前記組成物および製剤の百分率は、勿論、変えることができ、適便には、その単位の約2から約75重量%の間、または好ましくは25−60%の間であり得る。そのような治療に有用な組成物中の活性化合物の量は、適する投薬量が得られるであるような量である。
【0125】
前記錠剤、トローチ、ピル、カプセルおよびこれらに類するものは、次のものも含有することがある:結合剤、例えば、トラガカントゴム、アラビアゴム、トウモロコシデンプンまたはゼラチン;賦形剤、例えば、リン酸二カルシウム;崩壊剤、例えば、トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、アルギン酸およびこれらに類するもの;滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム;ならびに甘味料、例えば、スクロース、ラクトースもしくはサッカリン(添加されることがある)、または着香剤、例えばハッカ、ウィンターグリーン油、もしくはチェリー着香剤。投薬単位形がカプセルであるとき、それは、上のタイプの材料に加えて、液体担体を含有することがある。様々な他の材料が、コーティング剤として存在することがあり、またはその投薬単位の物理的形状を別様に変更するために存在することがある。例えば、錠剤、ピルまたはカプセルをセラック、糖または両方でコーティングしてもよい。エリキシルのシロップは、活性化合物、甘味料としてスクロース、保存薬としてメチルおよびプロピルパラベン、染料、および着香剤、例えばチェリーもしくはオレンジフレーバー、を含有し得る。
【0126】
本発明の医薬組成物は、例えば外部、経腸的または非経口適用に適する有機または無機担体または賦形剤との混合物で本発明の化合物の1つ以上を活性成分として含有する、医薬製剤の形態で、例えば固体、半固体または液体で使用することができる。活性成分を、例えば、錠剤、ペレット、カプセル、坐剤、溶液、エマルジョン、懸濁液、および使用に適する任意の他の形態のための通常の非毒性で医薬的に許容される担体と、配合することができる。使用することができる担体は、固体、半固体または液体形態での、水、グルコース、ラクトース、アラビアゴム、ゼラチン、マンニトール、デンプンペースト、三ケイ酸マグネシウム、タルク、トウモロコシデンプン、ケラチン、コロイド状シリカ、馬鈴薯デンプン、尿素、および製剤の製造に適する他の担体であり、加えて、助剤、安定剤、増粘剤、着色剤および香料を使用することができる。前記活性対象化合物を、医薬組成物に、その疾病の経過または状態に対して望ましい効果を生じさせるために十分な量で含める。
【0127】
錠剤などの固体組成物の調製については、主活性成分を、医薬用担体、例えば、従来の錠剤形成用成分、例えばコーンスターチ、ラクトース、スクロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウムまたはゴム、および他の医薬用希釈剤、例えば水、と混合して、本発明の化合物またはその非毒性で医薬的に許容される塩の均一混合物を含有する固体予備調合組成物を形成する。これらの予備調合組成物を均一と呼ぶとき、それは、活性成分がその組成物全体にわたって均等に分散されており、そのためその組成物を等しく有効な単位剤形、例えば錠剤、ピルおよびカプセル、に容易に細分できることを意味する。そこで、この固体予備調合組成物を、0.1から約500mgの本発明の活性成分を含有する、上で説明したタイプの単位剤形に細分する。その新規組成物の錠剤またはピルをコーティングまたは別様に配合して、持続性作用の利点をもたらす剤形を生じさせることができる。例えば、前記錠剤またはピルは、内部投薬成分と外部投薬成分を含み、後者は前者を覆うエンベロープの形態である。それら2つの成分を腸溶層によって隔てることができ、この層は、胃での消化に耐えるために役立ち、その内部成分を無損傷で十二指腸に進ませる、またはその内部成分の放出を遅らせることができる。様々な材料をそのような腸溶層またはコーティングに使用することができ、そのような材料としては、多数の高分子酸、ならびに高分子酸とセラック、セチルアルコールおよび酢酸セルロースなどの材料との混合物が挙げられる。
【0128】
経口投与または注射による投与のために本発明の組成物を添合することができる液体形体としては、水溶液、適切に着香されたシロップ、水性または油性分散液、および許容される油、例えば綿実油、ごま油、ヤシ油、落花生油を伴う、または静脈内使用に適する可溶化もしくは乳化剤を伴うエマルジョン、ならびにエリキシルおよび類似の医薬用ビヒクルが挙げられる。水性懸濁液に適する分散または懸濁化剤としては、合成および天然ゴム、例えば、トラガカントゴム、アラビアゴム、アルジネート、デキストラン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリビニルピロリドンまたはゼラチンが挙げられる。
【0129】
吸入または通気のための組成物としては、医薬的に許容される水性もしくは有機溶媒またはそれらの混合物中の溶液および懸濁液、ならびに粉末が挙げられる。前記液体または固体組成物は、上で述べたような適する医薬的に許容される賦形剤を含有することがある。好ましくは、前記組成物は、局所または全身作用のために経口または鼻呼吸経路によって投与される。好ましくは滅菌した医薬的に許容される溶媒中の組成物を、不活性ガスの使用によって霧状にすることができる。霧化された溶液を噴霧装置から直接吸うことができ、または噴霧装置をマスク、テントもしくは間欠的陽圧呼吸機に取り付けることができる。溶液、懸濁液または粉末組成物は、その調合物を適切な様式で送達する装置から、好ましくは経口的にまたは経鼻的に、投与することができる。
【0130】
上で述べた臨床状態および疾病を治療するために、本発明の化合物を、従来の非毒性で医薬的に許容される担体、アジュバントおよびビヒクルを含有する投薬単位調合物で、経口的に、局所的に、非経口的に、吸入スプレーにより、または直腸内に、投与することができる。本明細書において用いる場合の非経口的という用語は、皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内注射または注入技術を含む。
【0131】
本発明の化合物は、様々なS1P受容体に対する高親和性アゴニスト(またはアンタゴニスト)である。本発明の化合物は、齧歯動物、非ヒト霊長類またはヒトに導入されたとき、リンパ球数減少を誘発することも予想される。従って、本発明の化合物は、免疫調節薬として使用することができ、ならびに臓器移植片などの組織移植片に対する急性または慢性拒絶反応および自己免疫疾患をはじめとする、リンパ球作用によって媒介される病状の治療または予防に有用である。本発明の化合物で治療することができる自己免疫疾患としては、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、ベーチェット病、糸球体腎炎、関節リウマチ、炎症性腸疾患、例えばクローン病および潰瘍性大腸炎、I型糖尿病、ブドウ膜炎、乾癬、重症筋無力症、橋本甲状腺炎、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性血小板減少性紫斑病、肝炎およびヴェグナー肉芽腫が挙げられる。
【0132】
本発明の化合物は、アトピー性喘息、炎症性糸球体損傷および虚血性−再潅流傷害をはじめとする、炎症性疾患の治療にも有用である。
【0133】
リゾリン脂質、S1Pおよびリゾホスファチジン酸(LPA)は、細胞増殖を刺激し、ならびにGタンパク結合内皮分化遺伝子をコードする(S1P)受容体によって非常に多数の細胞機能に影響を及ぼす。従って、本発明のS1P受容体調節薬は、免疫修飾において、例えば、抗血管新生療法において、例えば腫瘍性疾患の治療において有用性を有すると予想される。
【0134】
本発明の1つの実施形態では、本発明のS1P受容体アゴニストの1つ以上を含む医薬組成物を、ヒトをはじめとする哺乳動物種に投与して、その種の創傷治癒を増進させる、ニューロン機能を向上させる、または免疫応答を強化する。S1Pが様々な臓器における線維症を抑制することも報告されている。従って、本発明のS1P受容体アゴニストは、臓器線維症を随伴する疾病、例えば、肺線維症、間質性肺炎、慢性肝炎、肝硬変、慢性腎不全または腎糸球体硬化症を予防/治療するために使用することができる。1つの実施形態において、本発明のS1P受容体アゴニストを含む組成物は、火傷、切断、裂傷、外科的切開、床ずれ、および治癒が遅い潰瘍、例えば糖尿病の際に見られるもの、を治療するために用いられる。
【0135】
加えて、本発明のS1P調節化合物は、リンパ球を可動化し、二次リンパ球組織へのそれらの回帰を増加させると考えられる。従って、本化合物を使用して、移植臓器、例えば、同種移植片、または健常な細胞、例えばI型糖尿病の場合などの膵島、ミエリン鞘(多発性硬化症)、または望ましくない免疫応答を受け得る他の組織から離れる方向にリンパ球を向かせることができ、従って、免疫系からのそのような組織への障害を減少させることができる。
【0136】
もう1つの実施形態では、本発明のS1P受容体調節化合物を被験者に投与して、異常な細胞成長および分化の疾患を治療または予防する。これらの疾患としては、アルツハイマー病、異所黄体形成、骨粗しょう症、無排卵、パーキンソン病、および癌が挙げられる。1つの実施形態では、S1Pアンタゴニストを患者に投与して、異常成長に関連した疾病を治療する。
【0137】
1つの実施形態では、本発明の化合物を免疫調節薬として使用して、免疫系の活性を改変し、ならびに自己免疫疾患の際および臓器移植の際に別様に発生する健常組織への障害を予防する。詳細には、膵臓、膵島、腎臓、心臓および肺移植をはじめとする臓器移植を随伴する治療の一部として、本化合物を患者に投与することができる。本S1P調節薬は、単独で投与することができ、または公知免疫抑制薬、例えば、シクロスポリン、タクロリムス、ラパマイシン、アザチオプリン、シクロホスファミド、メトトレキサートおよびコルチコステロイド、例えばコルチゾン、デス−オキシメタゾン、ベタメタゾン、デサメタゾン、フルニソリド、プレドニゾロン、プレドニゾン、アムシノミド(amcinomide)、デソニド、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、およびアルクロメタゾンと併用で投与することができる。
【0138】
S1Pは、多くの細胞タイプにおいて生存因子としても作用する。詳細には、S1Pアンタゴニスト活性を有する本発明の化合物は、低酸素状態からの細胞および組織の保護に有用であると予想される。1つの実施形態によると、虚血の結果として被った傷害をはじめとする低酸素状態にさらされている細胞および組織を治療するために、治療が必要であると思われるまたは実際に治療が必要である患者に本発明の化合物を投与する。1つの実施形態によると、S1P受容体アンタゴニスト活性を示す本発明の化合物を使用して、虚血再潅流型傷害を治療することができる。組織への酸化血液の供給への干渉を虚血と定義する。虚血の作用が進行性であることは公知であり、そのため、時間の経過とともに細胞の活力は低下し続け、組織が壊死する。組織の酸素潅流が制限される全持続性虚血は、細胞死をおよび最終的には動脈血での再潅流にもかかわらず凝血誘導壊死を生じさせる結果となる。証拠は、虚血を随伴する傷害の有意な割合が、虚血組織の再潅流を随伴する事象の結果であることを示している(それ故、用語「再潅流傷害」)。
【0139】
本発明の化合物を含む医薬組成物は、局所、経口、静脈内、筋肉内、動脈内、髄内、髄腔内、心室内、経皮、皮下、腹腔内、経鼻、経腸、局所、舌下または直腸内手段をはじめとする、任意の数の経路によって、必要がある個体に投与することができる。経口経路は、本発明の化合物を必要とする大多数の状態に利用される。急性治療には静脈内注射または注入が好ましい。維持レジメンには、経口または非経口、例えば筋肉内もしくは皮下、経路が好ましい。1つの実施形態によると、本発明の化合物とアルブミンとを含む、例えば、本発明の化合物と、医薬的に許容される担体と、0.1−1.0%アルブミンとを含む組成物を提供する。アルブミンは、緩衝剤として機能し、本化合物の可溶性を向上させる。
【0140】
本発明は、本発明の医薬組成物の成分の1つ以上を充填した1つ以上の容器を含む医薬パックまたはキットも提供する。1つの実施形態によると、そのキットの使用についての説示を含む、免疫修飾が必要な患者を治療するためのキットを提供する。この実施形態において、前記キットは、本発明のS1P調節薬の1つ以上を含み、および1つ以上の公知免疫抑制薬も含む場合がある。これらの医薬は、様々な容器、例えば、バイアル、チューブ、マイクロタイター・ウエル・プレート、ボトルおよびこれらに類するものの中に包装することができる。他の試薬を別の容器に含め、そのキットと共に提供することができる;例えば、ポジティブ対照サンプル、ネガティブ対照サンプル、緩衝剤、細胞培養基など。好ましくは、前記キットは、使用についての説示も含むであろう。
【0141】
本発明の化合物の活性は、S1P受容体活性を検出するためのアッセイ(例えば、[γ−35S]GTP結合アッセイ)を用い、S1Pおよび試験化合物の存在下で活性についてアッセイすることによって決定することができる。より詳細には、Traynorら、1995,Mol.Pharmacol.47:848−854によって記載された方法(参照により本明細書に援用されている)では、標識GTPの結合を測定することによって、膜へのGタンパク質結合を評価することができる。
【0142】
例えば、S1Pポリペプチドを発現する細胞から単離された膜を含むサンプルを、リガンド(すなわちS1P)へのそのポリペプチドの結合を促進する緩衝液中、放射性標識GTPおよび非標識GDPの存在下で(例えば、20mM HEPES、pH7.4、100mM NaCl、および10mM MgCl、80pM35S−GTPγSおよび3μM GDP中で)、候補調節薬と共にまたは伴わずにインキュベートすることができる。その受容体への結合およびその受容体の活性化を可能にするために適する期間、そのアッセイ混合物をインキュベートし(例えば、30℃で60分間)、この時間の後、(例えば、GF/Bフィルターでの濾過により)未結合標識GTPを除去する。結合した標識GTPは、液体シンチレーション計数によって測定することができる。シンチレーション計数によって測定したとき、候補調節薬を含有するサンプルにおける標識GTP結合の、その調節薬を伴わないサンプルと比較して、10%以上の減少は、その候補調節薬がS1P受容体活性の阻害剤であることを示す。
【0143】
同様のGTP結合アッセイをリガンド(S1P)の存在なしで行って、アゴニストとして作用する薬剤を同定することができる。この場合、リガンド刺激GTP結合を標準として用いる。薬剤は、その薬剤が10μm以下で存在するときにS1Pによって誘導されるGTP結合のレベルの少なくとも50%を誘導する場合、および好ましくは、そのリガンドによって誘導されるものと同じであるかそれより高いレベルを誘導するであろう場合、アゴニストとみなされる。
【0144】
GTPase活性は、S1P受容体を含有する細胞膜抽出物をγ32P−GTPと共にインキュベートすることによって測定することができる。活性GTPaseは、その標識を無機ホスフェートとして放出するであろう。これは、20mM HPO中の活性炭の5%懸濁液の中の遊離無機ホスフェートの分離、その後のシンチレーション計数によって検出することができる。対照は、候補調節薬の起こりうる非特異的作用を排除するために、S1P受容体を発現しない細胞(例えば、模擬トランスフェクト細胞)から単離した膜抽出物を使用するアッセイを含むであろう。S1P調節GTPase活性に対する候補調節薬の作用をアッセイするために、その調節薬を伴いまたは伴わずにリガンド(S1P)と共に細胞膜サンプルをインキュベートすることができ、そして上で説明したようにGTPaseアッセイを行うことができる。調節薬を伴わないサンプルと比較してGTP結合またはGTPase活性のレベルの10%以上の変化(増加または減少)は、候補調節薬によるS1P調節を示す。
【0145】
S1P受容体(hS1P1、hS1P3、rS1P1、rS1P3および親細胞)Ca2+フラックスプロトコル
1.材料
a.FLIPR緩衝液:1x HBSS;10mM HEPES
b.細胞成長培地:
i.ヒトおよびラットS1P1およびS1P3:F12−ハム培地;10% FBS(検定済み);1x Pen/Strep/Glu;300ug/mL ヒグロマイシン;400ug/mL ゲネチシン
ii.親細胞:ヒトおよびラットS1P1およびS1P3:F12−ハム培地;10% FBS(検定済み);1x Pen/Strep/Glu;300ug/mL ヒグロマイシン;
c.細胞播種培地;F12−ハム培地;10% FBS(チャコール/デキストランストリッピング済み);1x Pen/Strep/Glu;
d.細胞解離緩衝液:InvitrogenからのVersene
e.アゴニスト(S1P)溶解緩衝液:FLIPR緩衝液中の0.4%(w/v)脂肪酸不含BSA(Sigma# A8806)
f.FLIPR色素:BD PBXカルシウムアッセイキット;Cat#641077は、カルシウム指示薬(Ca#850000)および100x PBSシグナル強化剤(cat#850001)から成る。100x PBSシグナル強化剤をFLIPR緩衝液で1:100希釈し、その後、カルシウム指示薬を1:1000比で添加する。
【0146】
g.細胞プレート(96ウエル):Greiner Cat#655090
h.化合物プレート(96ウエル):Costar #3365
i.S1P保存溶液調製:S1PをCalBioChemから購入する(カタログ#970471;1mgバイアル;メタノールを使用する注文調製、およびガラスバイアル内を窒素ガス乾燥;−20℃で保存)。50mLの遠心チューブの中でS1Pのバイアル1本を26.4mLのアゴニスト溶解緩衝液に溶解する;S1Pのボトルからラベルを除去し、開いて、ボトル全部をチューブに滴下する。37℃で1/2時間、超音波処理する。結果として100μMの透明な溶液が得られるであろう。この保存溶液を等分し、−80℃で保存する。
【0147】
2.細胞系維持
a.hS1P1、hS1P3、rS1P1およびrS1P3のN末端にV5タグを付加させた。Gqi5を安定的に発現するCHO K1細胞に、4つすべての遺伝子をトランスフェクトした。
【0148】
b.hS1P1およびhS1P3を安定なクローンとして樹立し、rS1P1およびrS1P3を抗V5タグによって選別し、選別後に安定なプールとして樹立した。
【0149】
c.親細胞系CHO/K1 Gqi5を対照として使用する。
【0150】
d.すべての細胞を細胞成長培地中で維持し、Verseneを使用して週2回、分割する。
【0151】
e.すべての細胞系を継代30で使用する。
【0152】
3.アッセイプロトコル
a.細胞播種:細胞をVerseneによってフラスコから外し、細胞播種培地中、50K/ウエルで細胞プレートに播種する。細胞を一晩、37度で成長させる。
【0153】
b.細胞負荷:細胞播種培地を廃棄する。室温で、90分間、細胞に50uLのFLIPR色素を負荷する。色素負荷後5時間以下の間、シグナルは安定である。
【0154】
c.アゴニスト(S1P)調製:使用前に、毎回、S1Pの冷凍ストックを解凍し、37℃で30分間、超音波処理する。その後、そのストックをFLIPR緩衝液で適切な濃度に希釈する。
【0155】
d.化合物調製:化合物をDMSOに溶解する。DMSOでの化合物の3x、10点希釈を行う。その後、DMSO濃度が0.75%になるように、化合物をアッセイ緩衝液で133x希釈する。
【0156】
e.活性測定:化合物を添加したら細胞の蛍光シグナル変化をFLIPRtetraでモニターする。25uLの化合物を細胞プレートに移す(50uLのFLIPR染料;DMSO濃度:0.25%)。化合物添加後90秒間、シグナルを記録する。その後、50uLの500nM S1Pを細胞プレートに添加し、添加後90秒間、シグナルを記録する。
【0157】
4.データ分析
a.それぞれの化合物/S1P添加についてピーク値を計算する
b.200nMのS1Pのピーク値を高対照(100%)として用い、および緩衝液のみのピーク値を低対照(0%)として用いる。
【0158】
c.次の方程式を用いて高および低対照に対してデータを正規化する:
POC_S=100*(RAW−LO)/(HI−LO)
d.ピーク値を化合物濃度に対してプロットする。
【0159】
e.4変数当てはめを用いて、曲線に当てはめる:
Y=(A+(B/(1+((x/C)^D))))
式中:Yは、POC_S(またはPOC)である
Xは、化合物濃度である
Aは、最低値(EC50minまたはIC50min)である
Bは、最大値(EC50maxまたはIC50max)である
Cは、変曲点(EC50IPまたはIC50IP)である
Dは、傾き(hill slope)(EC50傾きまたはIC50傾き)である
同定されたS1P受容体アゴニストおよびアンタゴニストは、感染、例えば細菌、真菌、原生動物およびウイルス感染、特に、HIV−1またはHIV−2によって引き起こされる感染;疼痛;癌;糖尿病、肥満;食欲不振;過食症;喘息;パーキンソン病;急性心不全;低血圧;高血圧;閉尿;骨粗しょう症;狭心症;心筋梗塞;脳卒中;潰瘍;喘息;アレルギー;良性前立腺肥大症;偏頭痛;嘔吐;精神および神経障害(不安、統合失調症、躁うつ病、うつ病、せん妄、認知症、および重症精神遅滞の治療をはじめとする(しかし、これらに限定されない)、様々な人間の疾病および疾患の治療に使用することができる。
【0160】
疼痛は、実質的または潜在的な組織障害およびそれに対する感情応答を反映する複合的な自覚的感覚である。急性疼痛は、潜在的または現実の傷害を示す生理的シグナルである。慢性疼痛は、体因性(器質性)である場合もあり、または心因性である場合もある。慢性疼痛には、多くの場合、自律神経徴候が随伴または追随し、その結果、うつ病となることが多い。
【0161】
体因性疼痛は、侵害受容に起因する場合もあり、炎症性である場合もあり、または神経障害性である場合もある。侵害受容性疼痛は、体性痛または内蔵痛感受性神経線維の進行中の活性化に比例すると思われる。神経障害性疼痛は、神経系の機能不全に起因し;末梢神経系、CNS、または両方における異常体性感覚プロセスによって被ると考えられている。慢性疼痛は、個人が被るおよび社会経済的な、とてつもない程度の費用を生じさせる結果となる。既存の薬理疼痛療法は、効能の点でも、安全性の点でも、甚だしく不満足である。
【0162】
1つの実施形態では、本発明のS1P調節薬を免疫調節薬として使用して、免疫系を抑制し、ならびに自己免疫疾患の際および臓器移植の際に別様に発生する健常組織への障害を予防する。膵臓、膵島、腎臓、心臓および肺移植をはじめとする臓器移植を随伴する治療の一部として、本化合物を患者に投与することができる。本S1P調節薬は、単独で投与することができ、または公知免疫抑制薬、例えば、シクロスポリン、タクロリムス、アザチオプリン、デスオキシメタゾン、シクロホスファミド、コルチゾン、ベタメタゾン、FK506(真菌マクロライド系免疫抑制薬)、デサメタゾン、フルニソリド、プレドニゾロン、プレドニゾン、アムシノミド(amcinomide) デソニド、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、アルクロメタゾンおよびメトトレキサートと併用で投与することができる。
【0163】
使用する投薬量は、勿論、治療する具体的な疾患、ならびに年齢、体重、総合的な健康状態、症状の重症度、治療の頻度、および追加の医薬がその治療に随伴するかどうかをはじめとする追加の要因に依存する。前記投薬量は、一般に、1日数回で、および好ましくは1日1から3回で投与される。個々の活性化合物の量は、通常の当業者に公知の常例的手順によって容易に決められる。
【0164】
S1Pは、多数の細胞タイプにおいて生存因子としても作用する。S1P受容体調節薬は、低酸素状態からの細胞および組織の保護に関して活性を有すると予想される。1つの実施形態によると、虚血の結果として被った傷害をはじめとする低酸素状態にさらされている細胞および組織を治療するために、本発明の化合物を投与する。1つの実施形態によると、アンタゴニスト活性を有するS1P調節薬を使用して、虚血再潅流型傷害を治療することができる。組織への酸化血液の供給への干渉を虚血と定義する。虚血の作用が進行性であることは公知であり、そのため、時間の経過とともに細胞の活力は低下し続け、組織が壊死する。組織の酸素潅流が制限される全持続性虚血は、細胞死をおよび最終的には動脈血での再潅流にもかかわらず凝血誘導壊死を生じさせる結果となる。
【0165】
本発明の化合物および他の薬理活性薬剤を、患者に、同時に、逐次的にまたは併用で投与することができる。本発明の併用を用いるとき、本発明の化合物および他の薬理活性薬剤が同じ医薬的に許容される担体中に存在する場合があり、従ってそれらを同時に投与できることは、理解されるであろう。同時に摂取される従来の経口剤形のように、それらは、別々の医薬用担体中に存在する場合もある。用語「併用」は、化合物が別々の剤形の中に供給され、逐次的に投与される場合をさらに指す。
【0166】
本発明の化合物は、最適な薬学的効能をもたらすであろう投薬量でそのような治療が必要な患者(動物およびヒト)に投与することができる。任意の個々の用途での使用に必要な用量が、選択される個々の化合物または組成物ばかりでなく、投与経路、治療する状態の性質、患者の年齢および状態、そのとき患者が従っている併用薬物療法または特別な食事、ならびに当業者が認識しているであろう他の要因によっても患者ごとに異なり、最終的には、その適切な投薬量が掛かりつけの医師の判断次第であることは、理解されるであろう。
【0167】
適切な投薬レベルは、一般に、単回または多回用量で投与することができる、1日につき患者の体重のkgあたり約0.001から50mgであろう。好ましくは、前記投薬レベルは、1日につき約0.01から約25mg/kg;さらに好ましくは、1日につき約0.05から約10mg/kgであろう。例えば、中枢神経系の疾患の治療または予防の場合、適する投薬レベルは、1日につき約0.001から10mg/kg、好ましくは1日につき約0.005から5mg/kg、およびとりわけ1日につき約0.01から1mg/kgである。前記化合物を1日に1から4回、好ましくは1日に1回または2回、のレジメンで投与することができる。
【0168】
任意の治療での使用に必要な本発明の化合物の量が、選択される個々の化合物または組成物ばかりでなく、投与経路、治療する状態の性質、および患者の年齢および状態によっても変わるであろうこと、ならびに最終的には掛かりつけの医師の判断次第であろうことは、理解されるであろう。
【0169】
本発明の組成物および併用療法は、本明細書に記載するような安定剤、担体および/またはカプセル封入調合物をはじめとする様々な医薬用賦形剤と併用で施与することができる。
【0170】
本発明の水性組成物は、医薬的に許容される担体または水性媒質に溶解または分散された、本発明の化合物の有効量を含む。
【0171】
「医薬的にまたは薬理学的に許容される」は、動物またはヒトに、適宜、投与されたときに有害反応、アレルギー反応または他の望ましくない反応を生じさせない分子単位および組成物を含む。「医薬的に許容される担体」は、任意のおよびすべての溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌および抗真菌剤、等張および吸収遅延剤ならびにこれらに類するものを含む。医薬活性物質のためのそのような媒質および薬剤の使用は、当該技術分野において周知である。いずれの従来の媒質または薬剤も活性成分と不相溶性である場合を除き、治療組成物におけるその使用が考えられる。補助活性成分も前記組成物に添合することができる。
【0172】
ヒトへの投与のための製剤は、FDA生物製剤部規格によって要求されているような無菌性、発熱原性、一般的安全性および純度規格を満たさなければならない。
【0173】
さて、本発明の組成物および併用療法は、一般に、非経口投与用に調合される、例えば、静脈内、筋肉内、皮下、病変内、またはさらに腹腔内経路による注射用に調合されるであろう。本発明の組成物または活性構成成分もしくは成分を含有する水性組成物の調製は、本開示を考慮して当業者にはわかるであろう。概して、そのような組成物は、注射用として、溶液または懸濁液のいずれかとして、調製することができ;注射前に液体に添加することにより溶液または懸濁液を調製するための使用に適する固体形態を調製することもでき;およびそれらの製剤を乳化させることもできる。
【0174】
注射使用に適する医薬形としては、滅菌水溶液または水性分散液;ゴマ油、落花生油または水性プロピレングリコールをはじめとする調合物;および滅菌注射用溶液または分散液の即時調製用の滅菌粉末が挙げられる。すべての場合、前記形態は、無菌でなければならず、および容易に注射できる程度に流動性でなければならない。それは、製造および保管条件下で安定でなければならず、ならびに細菌および真菌などの微生物の汚染作用から保護されなければならい。
【0175】
ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と安定的に混合された水中の、遊離塩基または薬理学的に許容される塩としての活性化合物の溶液を調製することができる。グリセロール、液体ポリエチレングリコールおよびそれらの混合物中ならびに油中の分散液を調製することもできる。通常の保管および使用条件下、これらの製剤は、微生物の成長を防止するための保存薬を含有する。
【0176】
本発明の治療組成物または薬理学的組成物は、一般に、医薬的に許容される媒質に溶解または分散された、併用療法の構成成分(単数または複数)の有効量を含むであろう。医薬的に許容される媒質または担体としては、任意のまたはすべての溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌および抗真菌剤、等張および吸収遅延剤ならびにこれらに類するものが挙げられる。医薬活性物質のためのそのような媒質および薬剤の使用は、当該技術分野において周知である。補助活性成分を本発明の治療組成物に配合することもできる。
【0177】
医薬組成物または薬理学的組成物の調製は、本開示を考慮して当業者にはわかるであろう。概して、そのような組成物は、注射用として、溶液もしくは懸濁液のいずれかとして;注射前に液体に溶液もしくは懸濁させるために適する固体形態;経口投与のための錠剤または他の固体として;徐放性カプセルとして;またはクリーム、ローション、マウスウォッシュ、吸入剤およびこれらに類するものをはじめとする、現在使用されている任意の他の形態で、調製することができる。
【0178】
滅菌注射用溶液は、適切な溶媒中の必要量の活性化合物と、上に列挙した様々な他の成分とを必要に応じて配合し、その後、濾過滅菌することによって調製される。一般に、分散液は、塩基性分散媒と上に列挙したものからの必要な他の成分とを含有する滅菌ビヒクルに様々な滅菌活性成分を添合することによって調製される。滅菌注射用溶液の調製のための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、活性成分と追加の所望の成分を兼ね備えた粉末を、それらの前もって滅菌濾過された溶液から生じさせる、真空乾燥および凍結乾燥技術である。
【0179】
筋肉内注射のためのより濃縮された、すなわち高濃度の溶液の調製も考えられる。これに関しては、溶媒としてDMSOの使用が好ましい。これは、高濃度の活性構成成分(単数もしくは複数)または薬剤(単数もしくは複数)を小さな領域に送達する、極めて迅速な浸透を生じさせる結果となるであろうからである。
【0180】
手術現場の特定領域を浄化するための外科医、内科医または保健医療従事者による滅菌調合物、例えば食塩水系洗浄液の使用も、特に有用である。本発明による治療調合物は、マウスウォッシュの形態で、または抗真菌試薬と共に、再構成することもできる。吸入形態も想像される。本発明の治療調合物は、クリームおよびローションなどの局所投与に適する形態で調製することもできる。
【0181】
そのような溶液における使用に適する保存薬としては、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、クロロブタノール、チメロサールおよびこれらに類するものが挙げられる。適する緩衝剤としては、約pH6とpH8の間、および好ましくは約pH7とpH7.5の間でpHを維持するために十分な量での、ホウ酸、重炭酸ナトリウムおよびカリウム、ホウ酸ナトリウムおよびカリウム、炭酸ナトリウムおよびカリウム、酢酸ナトリウム、重リン酸ナトリウムならびにこれらに類するものが挙げられる。適する等張化剤は、眼科用液剤の塩化ナトリウム当量が0.9プラスまたはマイナス0.2%の範囲内になるような、デキストラン40、デキストラン70、デキストロース、グリセリン、塩化カリウム、プロピレングリコール、塩化ナトリウムおよびこれらに類するものである。適する抗酸化物質および安定剤としては、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ亜硫酸ナトリウム、チオ尿素およびこれらに類するものが挙げられる。適する湿潤および清澄剤としては、ポリソルベート80、ポリソルベート20、ポロキサマー282およびチロキサポールが挙げられる。適する増粘剤としては、デキストラン40、デキストラン70、ゼラチン、グリセリン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルプロピルセルロース、ラノリン、メチルセルロース、ワセリン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースおよびこれらに類するものが挙げられる。
【0182】
調合したら、治療薬をその投薬調合物に適合した様式で、および薬理学的に有効であるような量で、投与することとなる。それらの調合物は、上で説明した注射用溶液タイプなどの様々な剤形で容易に投与されるが、薬物放出カプセルおよびこれに類するものを利用することもできる。
【0183】
これに関連して、投与する活性成分の量および組成物の体積は、治療する宿主動物に依存する。投与に必要な活性化合物の正確な量は、現場の人間の判断に依存し、およびそれぞれの個体に対して個々のものである。
【0184】
活性化合物を分散させるために必要な組成物の最小体積が概して利用される。投与に適するレジメも様々であるが、概して、最初に化合物を投与し、その結果をモニターし、その後、さらなる間隔でさらなる制御用量を与えることによるものであろう。例えば、非経口投与については、適切に緩衝された、および必要な場合には等張性の水溶液を調製し、静脈内投与に、筋肉内投与に、皮下投与に、または腹腔内投与にも使用することとなろう。ある投薬量を1mLの等張NaCl溶液に溶解し、1000mLの皮下注入(hypodermolysis)液に添加してもよいし、または計画された注入部位に注射してもよい(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences 15th Edition,pages 1035−1038および1570−1580参照)。
【0185】
一定の実施形態では、活性化合物を経口投与することができる。これは、消化酵素によるタンパク質分解に対して一般に耐性であるまたは耐性にされた薬剤について考えられる。そのような化合物は、化学的に設計されたまたは修飾された薬剤;右旋性ペプチド;ならびにペプチダーゼおよびリパーゼ分解を回避するために徐放性カプセルの中のペプチドおよびリポソーム製剤を含むと考えられる。
【0186】
医薬的に許容される塩としては、酸付加塩が挙げられ、これらは、例えば塩酸、臭化水素酸、ホウ酸、リン酸、硫酸もしくはリン酸などの無機酸、または酢酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、クエン酸、コハク酸、メシル酸、マンデル酸、コハク酸、安息香酸、アスコルビン酸、メタンスルホン酸、a−ケトグルタル酸、a−グリセロリン酸、グルコース−1−リン酸およびこれらに類するもののような有機酸とで形成される。遊離カルボキシル基とで形成される塩を、例えば水酸化ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウムまたは第二鉄などの無機塩基、ならびにイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカインおよびこれらに類するもののような有機塩基から誘導することもできる。医薬的に許容される塩の他の例としては、第四級誘導体、および分子内塩、例えばN−オキシドが挙げられる。
【0187】
前記担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール、ならびにこれらに類するもの)、それらの適する混合物、および植物油を含有する、溶媒または分散媒である場合もある。例えば、レシチンなどのコーティング剤の使用により、分散液の場合には必要な粒径の維持により、および界面活性剤の使用により、適切な流動性を維持することができる。微生物の作用の防止は、様々な抗菌および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールおよびこれらに類するもの、によって生じさせることができる。多くの場合、等張剤、例えば糖または塩化ナトリウム、を含めることが好ましいであろう。注射用組成物の持続吸収は、吸収を遅らせる薬剤、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチン、の組成物における使用によって生じさせることができる。
【0188】
適する注射用溶液は、適切な溶媒中の必要量の活性化合物と、上に列挙した様々な他の成分とを配合し、その後、濾過滅菌することによって調製される。一般に、分散液は、塩基性分散媒と上に列挙したものからの必要な他の成分とを含有する滅菌ビヒクルに様々な滅菌活性成分を配合することによって調製される。滅菌注射用溶液の調製のための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、活性成分と追加の所望の成分を兼ね備えた粉末を、それらの前もって滅菌濾過された溶液から生じさせる、真空乾燥および凍結乾燥技術である。
【0189】
直接注射のためのより濃縮された、すなわち高濃度の溶液の調製も考えられ、この場合、溶媒としてDMSOは、高濃度の活性薬剤を小さな領域に送達する、極めて迅速な浸透を生じさせる結果となると想像される。
【0190】
調合したら、溶液をその投薬調合物に適合した様式で、および治療有効量で、投与することとなる。それらの調合物は、上で説明した注射用溶液タイプなどの様々な剤形で容易に投与されるが、薬物放出カプセルおよびこれに類するものを利用することもできる。
【0191】
水溶液での非経口投与については、例えば、溶液を必要に応じて適切に緩衝すべきであり、先ずはその希釈液を十分な食塩水またはグルコースで等張性にすべきである。これらの特別な水溶液は、静脈内、筋肉内、皮下および腹腔内投与に特に適する。ちなみに、利用することができる滅菌水性媒質は、本開示を考慮して当業者にはわかるであろう。
【0192】
静脈内または筋肉内注射などの非経口投与のために調合される化合物に加えて、他の医薬的に許容される形態としては、例えば、経口投与のための錠剤または他の固体;リポソーム製剤;徐放性カプセル;およびクリームをはじめとする現在使用されている任意の他の形態が挙げられる。
【0193】
他の投与方式に適する追加の調合物としては、坐剤が挙げられる。坐剤のための従来の結合剤および担体としては、例えば、ポリアルキレングリコールまたはトリグリセリドを挙げることができ;そのような坐剤は、活性成分を0.5%から10%、好ましくは1%−2%、の範囲で含有する混合物から形成することができる。
【0194】
経口調合物は、例えば、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムおよびこれらに類するものなどの、通常利用されている賦形剤を含む。これらの組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、ピル、カプセル、持続放出性調合物または粉末の形態をとる。
【0195】
一定の被定義実施形態において、経口医薬組成物は、不活性希釈剤もしくは同化性可食担体を含むであろうし、またはそれらをハードもしくはソフト・シェル・カプセルに封入することができ、またはそれらを錠剤に圧縮することができ、またはそれらを食事の食品に直接添合することができる。経口治療投与のために、活性化合物を賦形剤と配合し、摂取可能な錠剤、バッカル錠剤、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロップ、オブラート、およびこれらに類するものの形態で使用することができる。そのような組成物および製剤は、少なくとも0.1%の活性化合物を含有する。前記組成物および製剤の百分率は、勿論、変えることができ、適便には、その単位の約2から約75重量%の間、または好ましくは25−60%の間であり得る。そのような治療に有用な組成物中の活性化合物の量は、適する投薬量が得られるであるような量である。
【0196】
前記錠剤、トローチ、ピル、カプセルおよびこれらに類するものは、次のものも含有することがある:結合剤、例えば、トラガカントゴム、アラビアゴム、トウモロコシデンプンまたはゼラチン;賦形剤、例えば、リン酸二カルシウム;崩壊剤、例えば、トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、アルギン酸およびこれらに類するもの;滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム;ならびに甘味料、例えば、スクロース、ラクトースもしくはサッカリン(添加されることがある)、または着香剤、例えばハッカ、ウィンターグリーン油、もしくはチェリー着香剤。投薬単位形がカプセルであるとき、それは、上のタイプの材料に加えて、液体担体を含有することがある。様々な他の材料が、コーティング剤として存在することがあり、またはその投薬単位の物理的形状を別様に変更するために存在することがある。例えば、錠剤、ピルまたはカプセルをセラック、糖または両方でコーティングしてもよい。エリキシルのシロップは、活性化合物、甘味料としてスクロース、保存薬としてメチルおよびプロピルパラベン、染料、および着香剤、例えばチェリーもしくはオレンジフレーバー、を含有し得る。
【0197】
本発明の医薬組成物は、例えば外部、経腸的または非経口適用に適する有機または無機担体または賦形剤との混合物で本発明の化合物の1つ以上を活性成分として含有する、医薬製剤の形態で、例えば固体、半固体または液体で使用することができる。活性成分を、例えば、錠剤、ペレット、カプセル、坐剤、溶液、エマルジョン、懸濁液、および使用に適する任意の他の形態のための通常の非毒性で医薬的に許容される担体と配合することができる。使用することができる担体は、固体、半固体または液体形態での、水、グルコース、ラクトース、アラビアゴム、ゼラチン、マンニトール、デンプンペースト、三ケイ酸マグネシウム、タルク、トウモロコシデンプン、ケラチン、コロイド状シリカ、馬鈴薯デンプン、尿素、および製剤の製造に適する他の担体であり、加えて、助剤、安定剤、増粘剤、着色剤および香料を使用することができる。前記活性対象化合物を、医薬組成物に、その疾病の経過または状態に対して望ましい効果を生じさせるために十分な量で含める。
【0198】
錠剤などの固体組成物の調製については、主活性成分を、医薬用担体、例えば、従来の錠剤形成用成分、例えばコーンスターチ、ラクトース、スクロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウムまたはゴム、および他の医薬用希釈剤、例えば水、と混合して、本発明の化合物またはその非毒性で医薬的に許容される塩の均一混合物を含有する固体予備調合組成物を形成する。これらの予備調合組成物を均一と呼ぶとき、それは、活性成分がその組成物全体にわたって均等に分散されており、そのためその組成物を等しく有効な単位剤形、例えば錠剤、ピルおよびカプセル、に容易に細分できることを意味する。そこで、この固体予備調合組成物を、0.1から約500mgの本発明の活性成分を含有する、上で説明したタイプの単位剤形に細分する。その新規組成物の錠剤またはピルをコーティングまたは別様に配合して、持続性作用の利点をもたらす剤形を生じさせることができる。例えば、前記錠剤またはピルは、内部投薬成分と外部投薬成分を含み、後者は前者を覆うエンベロープの形態である。それら2つの成分を腸溶層によって隔てることができ、この層は、胃での消化に耐えるために役立ち、その内部成分を無損傷で十二指腸に進ませる、またはその内部成分の放出を遅らせる。様々な材料をそのような腸溶層またはコーティングに使用することができ、そのような材料としては、多数の高分子酸、ならびに高分子酸とセラック、セチルアルコールおよび酢酸セルロースなどの材料との混合物が挙げられる。
【0199】
経口投与または注射による投与のために本発明の組成物を添合することができる液体形体としては、水溶液、適切に着香されたシロップ、水性または油性分散液、および許容される油、例えば綿実油、ごま油、ヤシ油、落花生油を伴う、または静脈内使用に適する可溶化もしくは乳化剤を伴うエマルジョン、ならびにエリキシルおよび類似の医薬用ビヒクルが挙げられる。水性懸濁液に適する分散または懸濁化剤としては、合成および天然ゴム、例えば、トラガカントゴム、アラビアゴム、アルジネート、デキストラン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリビニルピロリドンまたはゼラチンが挙げられる。
【0200】
吸入または通気のための組成物としては、医薬的に許容される水性もしくは有機溶媒またはそれらの混合物中の溶液および懸濁液、ならびに粉末が挙げられる。前記液体または固体組成物は、上で述べたような適する医薬的に許容される賦形剤を含有することがある。好ましくは、前記組成物は、局所または全身作用のために経口または鼻呼吸経路によって投与される。好ましくは滅菌した医薬的に許容される溶媒中の組成物を、不活性ガスの使用によって霧状にすることができる。霧化された溶液を噴霧装置から直接吸うことができ、または噴霧装置をマスク、テントもしくは間欠的陽圧呼吸機に取り付けることができる。溶液、懸濁液または粉末組成物は、その調合物を適切な様式で送達する装置から、好ましくは経口的にまたは経鼻的に、投与することができる。
【0201】
上で述べた臨床状態および疾病を治療するために、本発明の化合物を、従来の非毒性で医薬的に許容される担体、アジュバントおよびビヒクルを含有する投薬単位調合物で、経口的に、局所的に、非経口的に、吸入スプレーにより、または直腸内に、投与することができる。本明細書において用いる場合の非経口的という用語は、皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内注射または注入技術を含む。
【0202】
以下の実施例は、本発明の例証を目的として与えるものであり、本発明の範囲および精神を限定するために与えるものではない。
【実施例】
【0203】
スキーム1
【0204】
【化9】

還元アミノ化の一般手順
ジクロロメタン(DCM)/MeOH(1:1、10mL)中のアルデヒド(1.0mmol)、酢酸(1.5mmol)およびアゼチジン−3−カルボン酸またはピペリジン−4−カルボン酸(1.2−1.5mmol)の混合物を室温で1時間攪拌した。シアノ水素化ホウ素ナトリウム(0.5mmol)を添加し、その反応混合物を2−3時間、室温で攪拌した。減圧下で溶媒を濃縮した後、得られた残留物をDMSOに溶解し、濾過し、逆相分取HPLC(Phenomenex reverse phase Luna 5u C18(2)カラム、60x21.2mm ID、移動相:A=水中の0.05% TFA、B=アセトニトリル中の0.05%トリフルオロ酢酸。流量は10−12mL/分であった)によって精製して、95%より高い純度を有する所望の最終生成物を得た。すべての最終生成物は、別様に述べていない限り、TFA塩として得た。あるいは、還元アミノ化の前記粗製混合物を、MeOHおよび水での研和によって精製することができる。
【0205】
実施例1:1−(4−(4−ベンジルベンズアミド)−3−フルオロベンジル)アゼチジン−3−カルボン酸
4−(4−ベンジルベンズアミド)−3−フルオロ安息香酸エチル:
【0206】
【化10】

ジクロロメタン(10mL)中の4−ベンジル安息香酸(1.06g、5mmol)の溶液に塩化オキサリル(1mL)、続いて数滴のDMFを0℃で添加した。得られた混合物を室温で3時間、攪拌した。溶媒を除去することによって残留物を得、それをジクロロメタン(2mL)に溶解し、0℃でジクロロメタン(50mL)中のトリエチルアミン(1.4mL、10mmol)および4−アミノ−3−フルオロ安息香酸エチル(916mg、5mmol)の溶液に添加した。室温で48時間攪拌した後、その混合物を飽和重炭酸ナトリウムおよび1N HClで洗浄した。併せた有機抽出物をブラインで洗浄し、乾燥させ、減圧下で濃縮して残留物を得、それを、ISCOシステムでのシリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。所望の生成物をオフホワイトの固体として得た:
【0207】
【化11】

4−ベンジル−N−(2−フルオロ−4−(ヒドロキシメチル)フェニル)ベンズアミド:
【0208】
【化12】

室温でMeOH(10mL)中の4−(4−ベンジルベンズアミド)−3−フルオロ安息香酸メチルエチル(100mg、0.265mmol)溶液に水素化ホウ素ナトリウム(200mg、5.3mmol)を添加した。その混合物を室温で3日間、攪拌した。溶媒を除去することによって残留物を得、それをEtOAc(50mL)で希釈し、1N NaOHおよびブラインで洗浄した。有機層を分離し、乾燥させ、濃縮した。残留物をISCOシステム(ジクロロメタン中の1%メタノール)で精製して、純粋な生成物を白色の結晶質のものとして得た。
【0209】
【化13】

4−ベンジル−N−(2−フルオロ−4−ホルミルフェニル)ベンズアミド:
【0210】
【化14】

10mLのCHCN中の4−ベンジル−N−(2−フルオロ−4−(ヒドロキシメチル)フェニル)ベンズアミド(200mg、0.60mmol)、4−メチルモルホリンN−オキシド(140mg、1.2mmol)および4Aモレキュラーシーブ(1g)の混合物を過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウム(10mg、0.03mmol)で処理し、得られた混合物を室温で12時間攪拌した。固体を濾過し、濾過されたものを濃縮した。残留物をISCOシステム(ジクロロメタン中の80%ヘキサン)で精製して、純粋な生成物を白色の結晶質のものとして得た:
【0211】
【化15】

1−(4−(4−ベンジルベンズアミド)−3−フルオロベンジル)アゼチジン−3−カルボン酸:
【0212】
【化16】

還元アミノ化のための前記一般法によって表題化合物を調製して、表題化合物を得た:
【0213】
【化17】

スキーム2
【0214】
【化18】

実施例2:1−(4−((4−ベンジルフェニル)カルバモイル)−3−フルオロベンジル)アゼチジン−3−カルボン酸
1−ブロモ−4−(ジエトキシメチル)−2−フルオロベンゼン
【0215】
【化19】

乾燥EtOH(120mL)中の3−フルオロ−4−ブロモベンズアルデヒド(20.0g、98.5mmol)の溶液に、塩化アセチル(2.04mL、29.6mmol)を添加し、その後、オルトギ酸トリエチル(6.55mL、39.4mmol)を添加し、内容物を3時間、70℃に加熱した。内容物を室温に冷却し、ロータリー・エバポレーターに移し、浴温65℃で45分間、減圧(280mmHg)に付した。圧力をさらに低下させて、すべての溶媒を除去した。この混合物に、新たなエタノール(60mL)、塩化アセチル(1.5mL)、オルトギ酸トリエチル(5.0mL)、そして2時間70℃に加熱した。減圧下で溶媒を除去し、EtOAc(200mL)で希釈し、飽和重炭酸ナトリウム(3x100mL)、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を蒸発させ、残留物をシリカゲルカラム(5%EtNで塩基性化したもの;溶離剤:EtOAc/ヘキサン、1/20)によって精製して、1−ブロモ−4−(ジエトキシメチル)−2−フルオロベンゼンを無色の油として得た。
【0216】
【化20】

2−フルオロ−4−ホルミル安息香酸
【0217】
【化21】

−78℃に冷却した1−ブロモ−4−(ジエトキシメチル)−2−フルオロベンゼン(10.12g、36.53mmol)の溶液に、n−ブチルリチウム(ヘキサン中の2.5M、16.5mL、43.83mmol)を添加し、これは、10分間かけて1滴ずつ添加した。内容物を30分間、さらに攪拌し、その混合物を0.5時間、COでバブリングした(発熱性)。冷却浴を取り外し、内容物を室温に温めた。その混合物をNaOH水溶液(1N、100mL)で処理し、EtOAcで洗浄した。水性層をHCl(5N)でpH2に酸性化し、遊離酸をEtOAc(3x75mL)で抽出した。併せた有機層を水およびブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、蒸発させた。残留物をエーテル(30mL)、TFA(1.5mL)および水(2.0mL)に溶解し、一晩攪拌した。揮発分を減圧下で除去し、トルエンと共蒸発させた。その後、その残留物をジエチルエーテル(75mL)で処理し、濾過した。フィルターケークを真空下で乾燥させ、さらに精製せずに、2−フルオロ−4−ホルミル安息香酸を白色の固体として得た。
【0218】
【化22】

N−(4−ベンジルフェニル)−2−フルオロ−4−ホルミルベンズアミド
【0219】
【化23】

DMF(2.00mL)中の4−ベンジルベンゼンアミン(0.100g、0.55mmol)、2−フルオロ−4−ホルミル安息香酸(0.092g、0.55mmol)、N,N−ジエチルプロパン−2−アミン(0.10mL、0.65mmol)の溶液にHBTUを添加した。その反応混合物を室温で1時間攪拌した。その混合物をEtOAcで希釈し、水で洗浄し、MgSOで乾燥させた。溶媒を蒸発させ、残留物をEtOAc/ヘキサン系でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物を得た。
【0220】
【化24】

1−(4−((4−ベンジルフェニル)カルバモイル)−3−フルオロベンジル)アゼチジン−3−カルボン酸
【0221】
【化25】

還元アミノ化のための前記一般法によって化合物を調製して、表題化合物を得た。
【0222】
【化26】

スキーム3
【0223】
【化27】

スキーム4
【0224】
【化28】

実施例3:1−(4−エチニル−3−フルオロベンジル)アゼチジン−3−カルボン酸メチル
1−(4−ブロモ−3−フルオロベンジル)アゼチジン−3−カルボン酸メチル
【0225】
【化29】

アゼチジン−3−カルボン酸(43g、421mmol)、4−ブロモ−3−フルオロベンズアルデヒド(81.4g、401mmol)、オルトギ酸メチル(219mL、2005mmol)、およびAcOH(34mL、601mmol)を室温、N雰囲気下でDCM(700mL)に添加した。その混合物を15分間攪拌し、その時点でトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(127g、601mmol)を少しずつ添加した(発熱性)。2時間後、溶媒をMeOH(257g、8019mmol)と交換し、硫酸(79g、802mmol)をゆっくりと添加した(発熱性)。その混合物を還流させながら18時間加熱した。溶媒を除去し、DCMおよび水を使用してその混合物を抽出した。Biotageカラム(イソプロパノール/ヘプタン)を使用して有機層を精製して、1−(4−ブロモ−3−フルオロベンジル)アゼチジン−3−カルボン酸メチルを透明な油として得た。MS(ESI)m/z:計算値:301.0;実測値:302.0(M+1)。
【0226】
1−(3−フルオロ−4−(2−(トリメチルシリル)エチニル)ベンジル)アゼチジン−3−カルボン酸メチル
【0227】
【化30】

1−(4−ブロモ−3−フルオロベンジル)アゼチジン−3−カルボン酸メチル(25.00g、82.7mmol)、ヨウ化銅(I)(3.14g、16.5mmol)、(トリメチルシリル)アセチレン(81.9mL、579mmol)、塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(5.81g、8.27mmol)、およびヒューニッヒ塩基(115mL、662mmol)を密封可能な試験管の中で100mL THFと併せた。その試験管を密封し、激しく攪拌しながら24時間、80℃に加熱した。その後、その混合物を室温に冷却し、濾過し、蒸発させた。得られた油をBiotage(75L、0−50% EtOAc/ヘキサン)によって精製して、1−(3−フルオロ−4−(2−(トリメチルシリル)エチニル)ベンジル)アゼチジン−3−カルボン酸メチルを透明な褐色の油として得た。MS(ESI)m/z:計算値:319.1;実測値:320.1(M+1)。
【0228】
1−(4−エチニル−3−フルオロベンジル)アゼチジン−3−カルボン酸メチル
【0229】
【化31】

1−(3−フルオロ−4−(2−(トリメチルシリル)エチニル)ベンジル)アゼチジン−3−カルボン酸メチル(20.9g、65mmol)およびフッ化セシウム(11g、72mmol)をDMF(50mL)に添加した。MeOH(100mL)を添加した。2時間後、MeOHを除去し、その混合物をDCMおよび水で抽出した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を除去し、その材料をBiotage(75L、7−100% EtOAc/ヘキサン)によって精製して、1−(4−エチニル−3−フルオロベンジル)アゼチジン−3−カルボン酸メチルを淡黄色の油として得た。MS(ESI)m/z:計算値:247.1;実測値:248.0(M+1)。
【0230】
1−(4−(2−(5−ベンジルピリジン−2−イル)エチニル)−3−フルオロベンジル)アゼチジン−3−カルボン酸および1−(4−(2−(5−ベンジルピリジン−2−イル)エチル)−3−フルオロベンジル)アゼチジン−3−カルボン酸
1−(4−(2−(5−ブロモピリジン−2−イル)エチニル)−3−フルオロベンジル)アゼチジン−3−カルボン酸メチル
【0231】
【化32】

トリエチルアミン(9.4mL)中の5−ブロモ−2−ヨードピリジン(800mg、2818μmol)、1−(4−エチニル−3−フルオロベンジル)アゼチジン−3−カルボン酸メチル(704mg、2846μmol)、およびヨウ化銅(I)(21.5mg、113μmol)の溶液をアルゴンでスパージし(30秒)、その後、25℃でPdCl(PPh(79.1mg、113μmol)を1回で添加した。その反応混合物を0℃に冷却し、40分間攪拌し、その後、25℃で1.5時間、攪拌させておいた。その後、その混合物をEtOAc(120mL)で希釈し、水(4×30mL)そしてブライン(30mL)で順次洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。残留物のクロマトグラフ精製(シリカゲル、0−100% EtOAc/ヘキサン)によって1−(4−(2−(5−ブロモピリジン−2−イル)エチニル)−3−フルオロベンジル)アゼチジン−3−カルボン酸メチルを淡黄色の油として得た。MS(ESI)m/z:計算値:402.0/404.0;実測値:402.8/404.8(M+1)。
【0232】
1−(4−(2−(5−ベンジルピリジン−2−イル)エチニル)−3−フルオロベンジル)アゼチジン−3−カルボン酸メチル
【0233】
【化33】

1−(4−(2−(5−ベンジルピリジン−2−イル)エチニル)−3−フルオロベンジル)アゼチジン−3−カルボン酸ベンジル
【0234】
【化34】

1−(4−(2−(5−ブロモピリジン−2−イル)エチニル)−3−フルオロベンジル)アゼチジン−3−カルボン酸メチル(340.0mg、843μmol)、PdCl(P(t−Bu)Ph)(37mg、59μmol)、およびTHF(4.0mL)をアルゴン雰囲気下で併せた。臭化ベンジル亜鉛(II)(THF中の0.5M;1.92mL、961μmol)を注射器によって添加し、得られた溶液を25℃で1時間攪拌した。その後、追加の臭化ベンジル亜鉛(II)(THF中の0.5M;1.92mL)を添加し、得られた溶液を1時間、25℃で攪拌した。その後、臭化ベンジル亜鉛(II)(THF中の0.5M;1.92mL)を3回で添加し、得られた溶液を1時間、25℃で攪拌した。その後、その混合物を半飽和NaHCO水溶液(50mL)とEtOAc(100mL)とで分配した。有機層を分離し、ブライン(30mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。残留物のクロマトグラフ精製(シリカゲル、0−100% EtOAc/ヘキサン)によって、1−(4−(2−(5−ベンジルピリジン−2−イル)エチニル)−3−フルオロベンジル)アゼチジン−3−カルボン酸ベンジル(MS(ESI)m/z:計算値:490.2;実測値:490.8(M+1))および1−(4−(2−(5−ベンジルピリジン−2−イル)エチニル)−3−フルオロベンジル)アゼチジン−3−カルボン酸メチル(MS(ESI)m/z:計算値:414.2;実測値:414.8(M+1))を黄色の油として別々に得た。
【0235】
1−(4−(2−(5−ベンジルピリジン−2−イル)エチニル)−3−フルオロベンジル)アゼチジン−3−カルボン酸
【0236】
【化35】

THF(2.7mL)および水(0.69mL)中の水酸化リチウム水和物(28.4mg、677μmol)および1−(4−(2−(5−ベンジルピリジン−2−イル)エチニル)−3−フルオロベンジル)アゼチジン−3−カルボン酸メチル(77.9mg、188μmol)の混合物を25℃で3時間攪拌した。その後、その反応混合物を(THFを除去するために)真空下で軽度に濃縮し、水(1.5mL)を添加し、得られた溶液を1分間、超音波処理した。その後、その反応溶液を1.0N HCl(670μL)で酸性化し、1M NaHPO/NaHPOリン酸緩衝液(1.0mL)でpH6にし、超音波処理した。結果として生じた沈殿を真空濾過によって回収し、水(3.0mL)で洗浄し、真空下で乾燥させて、1−(4−(2−(5−ベンジルピリジン−2−イル)エチニル)−3−フルオロベンジル)アゼチジン−3−カルボン酸を淡黄色の固体として得た。MS(ESI)m/z:計算値:400.2;実測値:401.1(M+1)。
【0237】
実施例4:1−(4−(2−(5−ベンジルピリジン−2−イル)エチル)−3−フルオロベンジル)アゼチジン−3−カルボン酸
【0238】
【化36】

MeOH(4.0mL)中の1−(4−(2−(5−ベンジルピリジン−2−イル)エチニル)−3−フルオロベンジル)アゼチジン−3−カルボン酸ベンジル(103.0mg、210μmol)および炭素担持10%パラジウム(22mg、21μmol)の混合物をH雰囲気下で循環させ(あるいは、フラスコを1トルに排気、その後、H(1気圧)を再充填;3回反復)、その後、H(1気圧)下、25℃で5時間、攪拌した。その後、その反応懸濁液をセライトによって濾過し(MeOH(10mL)で洗浄)、濾液を真空下で濃縮した。残留物のrpHPLC精製(C18、0−100% CHCN/HO+0.1% TFA)によって、1−(4−(2−(5−ベンジルピリジン−2−イル)エチル)−3−フルオロベンジル)アゼチジン−3−カルボン酸、ビス(トリフルオロ酢酸)塩を無色の油として得た。MS(ESI)m/z:計算値:404.2;実測値:405.1(M+1)。
【0239】
実施例5:1−(4−(2−(5−ベンジル−2−(メチルアミノ)フェニル)エチニル)−3−フルオロベンジル)アゼチジン−3−カルボン酸
【0240】
【化37】

表題化合物は、実施例3におけるものに類似した方法を用いて作ることができる。MS m/z:計算値428.19:実測値:429.2。
【0241】
本発明の化合物の活性
上で述べた合成に従って作った本発明の化合物を、S1P−1受容体を調節するそれらの能力についてアッセイすることができる。標準的なインビトロ受容体内在化アッセイを用いて、化合物を、S1P1特異的受容体内在化を誘導するそれらの能力について評価することができ、そしてその受容体内在化アッセイにおいて測定されるS1P1受容体のアゴニストとしてのそれらの活性(10nMまたは300nMでS1P対照の>50%)によって、免疫調節剤としてのそれらの有用性を立証することができる。従って、本化合物は、例えば、様々なS1P−1受容体媒介臨床状態の治療の際、S1P−1受容体調節薬として有用であると予想される。そのような状態としては、移植片拒絶反応(実質性臓器移植および膵島);移植片拒絶反応(組織);癌;自己免疫/炎症性疾患;関節リウマチ;狼瘡;インスリン依存型糖尿病(I型);インスリン非依存型糖尿病(II型);多発性硬化症;乾癬;潰瘍性大腸炎;炎症性腸疾患;クローン病;急性および慢性リンパ球性白血病およびリンパ腫が挙げられる。
【0242】
免疫抑制が中心である(従って、リンパ球数減少の減数が、定着した指標である)移植片拒絶反応;癌;自己免疫/炎症性疾患;関節リウマチ;狼瘡;糖尿病;多発性硬化症;乾癬;潰瘍性大腸炎;炎症性腸疾患;クローン病;急性および慢性リンパ球性白血病およびリンパ腫などの状態の治療のためのS1P−1受容体調節薬としての本発明の化合物の適性をさらに立証するために、下で説明するように実験動物で本発明の化合物を評価することができる。
【0243】
プロトコル
マウス
C57BL/6Jマウス(B6、メイン州、バーハーバーのJackson Laboratories)を、マイクロアイソレーター収容システムのもと、特定病原体不在環境で維持することができる。バージニア大学動物管理使用委員会(the Animal Care and Use Committee at the University of Virginia)によって再考され承認され得るすべての実験に、年齢を合わせた成体のオスとメス両方のマウスを使用することができる。このプロトコルを述べるときには必ず、マウスを塩酸ケタミン(125mg/kg;ニューヨーク州、ニューヨークのSanofi Winthrop Pharmaceuticals)、キシラジン(12.5mg/kg TanquiVed;ミズーリ州、セントジョセフのPhoenix Scientific)および硫酸アトロピン(0.025mg/kg;イリノイ州、ディアフィールドのFujisawa USA)の腹腔内注射によって麻酔した。
【0244】
フローサイトメトリー試料および分析
試験化合物を1日1回、1日、3日または7日投与した後、それぞれ0、4、8、24、48、72時間の時点で、少なくとも6匹のマウスから血液を採取することができる。最終採血の後、治療を受けているすべての動物から脳および一定の他の組織を回収することができる。全血からの細胞数を決定して、マイクロリットルあたりの細胞の千単位(K/IL)での細胞数を得ることができる。
【0245】
リンパ球サブセットを同定および定量するために、細胞懸濁液をフローサイトメトリーによって分析した。赤血球溶解後、CD3、CD4、CD8、CD19およびNK1.1に対する抗マウスモノクローナル抗体(カリフォルニア州、サンホゼのBD Biosciences)で細胞を染色した。バージニア大学癌センター・コア・ファシリティー(the University of Virginia Cancer Center Core Facility)においてFACSCalibur(BD Biosciences)での四色フローサイトメトリーによって細胞を分析した。B細胞、全T細胞、CD4 T細胞、CD8 T細胞、ダブル・ポジティブ胸腺細胞、ダブル・ネガティブ胸腺細胞、NK細胞およびNK/T細胞を含むリンパ球サブセットを分析した。Hemavetまたは血球計によって記録された総リンパ球数とフローサイトメーターによって記録されたポジティブリンパ球の積として、それぞれの細胞集団のサイズを計算した。BD Biosciences Cell Quest分析ソフトウェアですべてのデータを分析した。
【0246】
本発明の化合物は、免疫抑制が中心である移植片拒絶反応;癌;自己免疫/炎症性疾患;関節リウマチ;狼瘡;糖尿病;多発性硬化症;乾癬;潰瘍性大腸炎;炎症性腸疾患;クローン病;急性および慢性リンパ球性白血病およびリンパ腫などの状態の治療に有用な薬物であると予想される。
【0247】
ラットリンパ球数減少研究プロトコル
動物:
メスLewisラット(150−175グラム、6−8週)をCharles River Laboratorisから受け取り、研究にかける前に少なくとも1週間、放置して順化させる。
【0248】
手順:
1)ラット(n=4/群)に化合物またはビヒクル(水中の12.5%カプチゾル(captisol))を時間0の時点で経口投与(PO、10mg/kg)する。
【0249】
2)投与後様々な時点(1、4、8または24時間)で、CO2吸入によって動物を犠牲にする。
【0250】
3)20G針および1cc注射器を使用して、心臓穿刺によって血液を採取する。
【0251】
4)EDTA(BD#365973)が入っているマイクロテイナーチューブにおよそ500μLの血液を入れ、そのサンプルを入念に混合する。
【0252】
5)BayerによるAdvia 120血液学システムを使用して、鑑別細胞計数を行う。
【0253】
等価物
常例的な実験以上のものを何も用いずとも、当業者には本明細書に記載する特定の手順の非常に多くの等価物がわかるであろう、またはそれらを突きとめることができるであろう。そのような等価物は、本発明の範囲内であるとみなされる。本発明の精神および範囲を逸脱することなく、本発明に対する様々な置換、変更および変形を行うことができる。他の態様、利点および変形は、本発明の範囲内である。本明細書中で引用したすべての参考文献、発行特許、および公開特許出願の内容は、参照により本明細書に援用されている。それらの特許、出願および他の文献の適切な構成成分、プロセスおよび方法を本発明およびその実施形態のために選択することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化38】

を有する化合物またはその医薬的に許容される塩であって、式中、
Aは、フェニルであるか、1または2個のN原子を含有する6員ヘテロアリールであり、前記フェニルおよびヘテロアリールは、F、Cl、Br、OC1−4アルク、C1−4アルクおよびC1−4ハロアルクから選択される0、1、2または3個の置換基によって置換されており;
Bは、フェニルであるか、1または2個のN原子を含有する6員ヘテロアリールであり、前記フェニルおよびヘテロアリールは、F、Cl、Br、OC1−4アルク、C1−4アルクおよびC1−4ハロアルクから選択される0、1、2または3個の置換基によって置換されており;
Lは、−C≡C−、―CHCH−、−N(R)C(=O)−または−C(=O)N(R)−であり;
は、それぞれの場合、独立して、HまたはC1−6アルクであり;
は、C1−6アルク、OC1−5アルク、N(Ra)C1−5アルク;N(C1−5アルク)C1−5アルク、アリールまたはヘテロアリールから選択され、
Xは、WC(=O)OR6a、WP(=O)R6b6c、WS(=O)OH、WCONHSOHまたは1H−テトラゾール−5−イルから選択され、この場合、Wは、直接結合であるか、酸素であるか、ハロゲン、OH、シアノ、NR、アリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、OC1−4アルクおよびCOHから独立して選択される1個以上の置換基を有するC1−4アルクであり;R6aは、水素またはC1−4アルクであり;ならびにR6bおよびR6cは、独立して、水素、OH、C1−4アルクまたはC1−4ハロアルクであり;
Yは、右および左のアスタリスクが結合点を示す、式(a)の残基
【化39】

であり、式中、
Qは、直接結合、C=O、C=S、SO、C=ONRまたは(CR1011から選択され、およびmは、0、1、2または3であり;
およびRは、水素、ハロゲン、アミノ、C1−5アルクアミノ、OH、シアノ、C1−6アルク、C1−6アルク(OH)、SC1−5アルク、OC1−5アルク、C1−6ハロアルクおよびOC1−5アルクから独立して選択され;またはRおよびRは、それらが結合している原子と一緒になって、N、OおよびSから選択されるヘテロ原子を場合によっては有する4から7員環を形成することがあり;ならびに
は、水素、ハロゲン、OH、シアノ、C1−6アルク、SC1−5アルク、OC1−5アルク、C1−6ハロアルクまたはOC1−5ハロアルクから選択され;
10およびR11は、水素、ハロゲン、OH、シアノ、C1−6アルク、OC1−5アルク、SC1−5ハロアルク、C1−6ハロアルクまたはOC1−5ハロアルクより独立して選択され;そして
およびZは、O、NR、S、S(=O)、S(=O)、S(=O)NR、(CR、C=O、C=S、C=N−R、または直接結合より独立して選択され、この場合、
nは、0、1、2または3であり;
は、水素、OH、SO、C=O、C=S、C=NH、C1−6アルク、OC1−5アルク、SC1−5アルク、C1−6ハロアルクおよびOC1−5ハロアルク、アリールもしくはヘテロアリールから選択され;またはZが直接結合であるとき、Rは、ヘテロ原子を場合によっては含有するC−C環であり;ならびに
およびRは、水素、ハロゲン、OH、シアノ、C1−6アルク、OC1−5アルク、SC1−5アルク、C1−6ハロアルクおよびOC1−5ハロアルク、アリールおよびヘテロアリールから独立して選択されるか、一緒にC=Oを形成する、
化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項2】
Aが、F、Cl、Br、OC1−4アルク、C1−4アルクおよびC1−4ハロアルクから選択される0、1、2または3個の置換基によってさらに置換されているフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Bが、F、Cl、Br、OC1−4アルク、C1−4アルクおよびC1−4ハロアルクから選択される0、1、2または3個の置換基によってさらに置換されているフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Aが、F、Cl、Br、OC1−4アルク、C1−4アルクおよびC1−4ハロアルクから選択される0、1、2または3個の置換基によってさらに置換されているフェニルであり;ならびに
Bが、F、Cl、Br、OC1−4アルク、C1−4アルクおよびC1−4ハロアルクから選択される0、1、2または3個の置換基によってさらに置換されているフェニルである、
請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
Lが、−N(R)C(=O)−である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
Lが、−C(=O)N(R)−である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
−Y−Xが、
【化40】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】

【化41】

を有する化合物またはその医薬的に許容される塩であって、式中、
Aは、フェニルであるか、1または2個のN原子を含有する6員ヘテロアリールであり、前記フェニルおよびヘテロアリールは、F、Cl、Br、OC1−4アルク、C1−4アルクおよびC1−4ハロアルクから選択される0、1、2または3個の置換基によって置換されており;
Bは、フェニルであるか、1または2個のN原子を含有する6員ヘテロアリールであり、前記フェニルおよびヘテロアリールは、F、Cl、Br、OC1−4アルク、C1−4アルクおよびC1−4ハロアルクから選択される0、1、2または3個の置換基によって置換されており;
Lは、−N(R)C(=O)−または−C(=O)N(R)−であり;
nは、0、1、2または3であり;
は、それぞれの場合、独立して、HまたはC1−6アルクであり;
は、C1−6アルク、OC1−5アルク、N(Ra)C1−5アルク;N(C1−5アルク)C1−5アルク、アリールまたはヘテロアリールから選択され、
は、O、NR、S、S(=O)、S(=O)、S(=O)NR、(CR、C=O、C=S、C=N−R、または直接結合から選択され、この場合、
は、水素、OH、SO、C=O、C=S、C=NH、C1−6アルク、OC1−5アルク、SC1−5アルク、C1−6ハロアルクおよびOC1−5ハロアルク、アリールもしくはヘテロアリールから選択され;またはZが直接結合であるとき、Rは、ヘテロ原子を場合によっては含有するC−C環であり;ならびに
およびRは、水素、ハロゲン、OH、シアノ、C1−6アルク、OC1−5アルク、SC1−5アルク、C1−6ハロアルクおよびOC1−5ハロアルク、アリールおよびヘテロアリールから独立して選択されるか、一緒にC=Oを形成する、
化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項9】
請求項1に記載の化合物;および
医薬的に許容される担体または希釈剤
を含む、医薬組成物。
【請求項10】
実質性臓器移植片および島細胞に関連した移植片拒絶反応;組織に関連した移植片拒絶反応;関節リウマチ;狼瘡;インスリン依存型糖尿病;インスリン非依存型糖尿病;多発性硬化症;乾癬;潰瘍性大腸炎;炎症性腸疾患;クローン病;ならびに急性および慢性リンパ球性白血病およびリンパ腫から選択される状態を治療する方法であって、その必要がある患者に請求項1に記載の化合物を前記状態の治療に有効な量で投与することを含む方法。
【請求項11】
実質性臓器移植片および島細胞に関連した移植片拒絶反応;組織に関連した移植片拒絶反応;関節リウマチ;狼瘡;インスリン依存型糖尿病;インスリン非依存型糖尿病;多発性硬化症;乾癬;潰瘍性大腸炎;炎症性腸疾患;クローン病;または急性および慢性リンパ球性白血病およびリンパ腫を治療する際に使用するための、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
実質性臓器移植片および島細胞に関連した移植片拒絶反応;組織に関連した移植片拒絶反応;関節リウマチ;狼瘡;インスリン依存型糖尿病;インスリン非依存型糖尿病;多発性硬化症;乾癬;潰瘍性大腸炎;炎症性腸疾患;クローン病;または急性および慢性リンパ球性白血病およびリンパ腫の治療用薬物の調製のための、請求項1に記載の化合物。

【公表番号】特表2010−540438(P2010−540438A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−525834(P2010−525834)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【国際出願番号】PCT/US2008/010887
【国際公開番号】WO2009/038759
【国際公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(500049716)アムジエン・インコーポレーテツド (242)
【出願人】(397050785)エピックス ファーマシューティカルズ,インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】