説明

入力装置、操作受付方法および操作受付プログラム

【課題】 操作を容易にすること。
【解決手段】 MFPは、受付面を有し、受付面におけるユーザにより指示された位置を検出するタッチパネルと、タッチパネルにより受付面において同時に検出される位置の数に基づいて操作対象物の種類を判別する操作対象判別部53と、判別された操作対象物の種類に基づいて、予め定められた複数の操作体系のうちからいずれか1つを決定する操作体系決定部55と、タッチパネルにより検出された位置に基づいて、複数の操作体系のうち決定された操作体系に従った操作を受け付ける操作受付部61と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、入力装置、操作受付方法および操作受付プログラムに関し、特にタッチパネルを備えた入力装置、その入力装置で実行される操作受付方法およびその方法をコンピュータに実行させるための操作受付プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
MFPで代表される画像形成装置は、多機能化に伴い操作が複雑になっている。操作を簡便にするために、タッチパネルを用いたものが登場しており、タッチパネルを用いた入力を容易にする技術が開発されている。例えば、特開平7−111644号公報(特許文献1)には、オペレータの手の指によるタッチ操作を検出するパネル面を有したパネル入力装置であって、タッチ操作位置間隔設定のための設定モード下における上記パネル面に対する複数の指によるタッチ操作により、そのタッチ操作された各指による操作位置の隣り合う間隔を検出する検出手段と、その検出された操作位置の隣り合う間隔に基づいて、複数の指によるタッチ操作位置間隔を設定する設定手段と、を具備したことを特徴とするパネル入力装置が記載されている。
【0003】
一方、タッチパネルを用いた入力方法には、人が指でタッチパネルに直接触れる入力方法の他に、スタイラスペンでタッチパネルに触れる入力方法がある。スタイラスペンを用いた入力方法は、スタイラスペンとタッチパネルとの接触面積が、指とタッチパネルとの接触面積に比較して小さいため、細かい操作を入力するのに適している。このため、ボタン操作で指示を入力する操作体系とは別に、例えばドラッグアンドドロップ等といった操作体系で指示を入力することが可能となる。従来の入力装置は、人の手のサイズに応じてキーサイズを設定することができるが、スタイラスペンに適した操作体系での入力方法に対応することができないといった問題がある。
【特許文献1】特開平7−111644号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は上述した問題点を解決するためになされたもので、この発明の目的の1つは、操作を容易にした入力装置を提供することである。
【0005】
この発明の他の目的は、操作を容易にした操作受付方法を提供することである。
【0006】
この発明のさらに他の目的は、操作を容易にした操作受付プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するためにこの発明のある局面によれば、受付面を有し、受付面におけるユーザにより指示された位置を検出するポインティングデバイスと、ポインティングデバイスにより受付面において同時に検出される位置の数に基づいて操作対象物の種類を判別する操作対象判別手段と、判別された操作対象物の種類に基づいて、予め定められた複数の操作体系のうちからいずれか1つを決定する操作体系決定手段と、ポインティングデバイスにより検出された位置に基づいて、複数の操作体系のうち決定された操作体系に従った操作を受け付ける操作受付手段と、を備える。
【0008】
この局面によれば、受付面におけるユーザにより同時に検出される位置の数に基づいて操作対象物の種類が判別され、操作対象物の種類に基づいて、予め定められた複数の操作体系のうちからいずれか1つが決定され、決定された操作体系に従って操作が受け付けられる。このため、操作対象物に応じた操作体系に変更するので、操作の入力が容易になる。また、操作対象物による操作で種類が判別されるので、ユーザは操作体系を変更するために特別な指示を入力しなくてよく、操作を簡略にすることができる。その結果、操作を容易にした入力装置を提供することができる。
【0009】
好ましくは、操作対象判別手段は、ポインティングデバイスにより所定数以下の位置が検出される場合、第1種類を判別し、ポインティングデバイスにより所定数を越える位置が検出される場合、第2種類を判別する。
【0010】
好ましくは、複数の操作体系は、ポインティングデバイスにより検出される複数の位置で操作が特定される第1の操作体系と、ポインティングデバイスにより検出される単一の位置で操作が特定される第2の操作体系と、を含む。
【0011】
好ましくは、複数の操作体系それぞれに対応する複数種類の操作画面をポインティングデバイスの受付面に重畳して表示可能な画面表示手段をさらに備え、画面表示手段は、複数種類の操作画面のうち決定された操作体系に対応する種類の操作画面を表示する。
【0012】
この発明の他の局面によれば、操作受付方法は、ポインティングデバイスを備えた入力装置で実行される操作受付方法であって、ポインティングデバイスの受付面におけるユーザにより指示された位置を検出するステップと、ポインティングデバイスにより同時に検出される位置の数に基づいて操作対象物の種類を判別するステップと、判別された操作対象物の種類に基づいて、予め定められた複数の操作体系のうちからいずれか1つを決定するステップと、ポインティングデバイスにより検出された位置に基づいて、複数の操作体系のうち決定された操作体系に従った操作を受け付けるステップと、を含む。
【0013】
この局面に従えば、操作を容易にした操作受付方法を提供することができる。
【0014】
この発明のさらに他の局面によれば、操作受付プログラムは、ポインティングデバイスを備えたコンピュータで実行される操作受付プログラムであって、ポインティングデバイスの受付面におけるユーザにより指示された位置を検出するステップと、ポインティングデバイスにより同時に検出される位置の数に基づいて操作対象物の種類を判別するステップと、判別された操作対象物の種類に基づいて、予め定められた複数の操作体系のうちからいずれか1つを決定するステップと、ポインティングデバイスにより検出された位置に基づいて、複数の操作体系のうち決定された操作体系に従った操作を受け付けるステップと、をコンピュータに実行させる。
【0015】
この局面に従えば、操作を容易にした操作受付プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。以下の説明では同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態の1つにおけるMFPの外観を示す斜視図である。図2は、MFPのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図1および図2を参照して、MFP100は、メイン回路110と、原稿に形成された原稿画像を読み取るための原稿読取部130と、原稿を原稿読取部130に搬送するための自動原稿搬送装置120と、原稿読取部130が原稿に形成された原稿画像を読み取って出力する静止画像を用紙等に形成するための画像形成部140と、画像形成部140に用紙を供給するための給紙部150と、ユーザインターフェースとしての操作パネル160と、を含む。
【0018】
メイン回路110は、CPU111と、通信インターフェース(I/F)部112と、ROM113と、RAM114と、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)115と、大容量記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)116と、ファクシミリ部117と、フラッシュメモリ118Aが装着されるカードインターフェース(I/F)118とを含む。CPU111は、自動原稿搬送装置120、原稿読取部130、画像形成部140、給紙部150および操作パネル160と接続され、MFP100の全体を制御する。
【0019】
ROM113は、CPU111が実行するプログラム、またはそのプログラムを実行するために必要なデータを記憶する。RAM114は、CPU111がプログラムを実行する際の作業領域として用いられる。また、RAM114は、原稿読取部130から連続的に送られてくる静止画像を一時的に記憶する。
【0020】
操作パネル160は、MFP100の上面に設けられ、表示部161と操作部163とを含む。表示部161は、液晶表示装置(LCD)、有機ELD(Electroluminescence Display)等の表示装置であり、ユーザに対する指示メニューや取得した画像データに関する情報等を含む操作画面を表示する。操作部163は、複数のキーを備え、キーに対応するユーザの操作による各種の指示、文字、数字などのデータの入力を受付ける。操作部163は、表示部161上に設けられたタッチパネル165をさらに含む。
【0021】
通信I/F部112は、MFP100をネットワークに接続するためのインターフェースである。CPU111は、通信I/F部112を介してネットワークに接続された他のコンピュータとの間で通信し、データを送受信する。また、通信I/F部112は、ネットワークを介してインターネットに接続されたコンピュータと通信が可能である。
【0022】
ファクシミリ部117は、公衆交換電話網(PSTN)に接続され、PSTNにファクシミリデータを送信する、またはPSTNからファクシミリデータを受信する。ファクシミリ部117は、受信したファクシミリデータを、HDD116に記憶する、または画像形成部140に出力する。画像形成部140は、ファクシミリ部117により受信されたファクシミリデータを用紙に印刷する。また、ファクシミリ部117は、HDD116に記憶されたデータをファクシミリデータに変換して、PSTNに接続されたファクシミリ装置に送信する。
【0023】
カードI/F118は、フラッシュメモリ118Aが装着される。CPU111は、カードI/F118を介してフラッシュメモリ118Aにアクセス可能である。CPU111は、カードI/F118に装着されたフラッシュメモリ118Aに記録されたプログラムをRAM114にロードして実行する。なお、CPU111が実行するプログラムは、フラッシュメモリ118Aに記録されたプログラムに限られず、HDD116に記憶されたプログラムをRAM114にロードして実行するようにしてもよい。この場合、ネットワークに接続された他のコンピュータが、MFP100のHDD116に記憶されたプログラムを書換える、または、新たなプログラムを追加して書き込むようにしてもよい。さらに、MFP100が、ネットワークに接続された他のコンピュータからプログラムをダウンロードして、そのプログラムをHDD116に記憶するようにしてもよい。ここでいうプログラムは、CPU111が直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む。
【0024】
図3は、操作パネルの一例を示す平面図である。図3を参照して、操作パネル160は、表示部161と、操作部163とを含む。操作部163は、テンキー163Aと、スタートキー163Bと、入力内容をキャンセルするためのクリアキー163Cと、コピー処理を実行するためのコピーモードにMFP100を遷移させるためのコピーキー163Dと、スキャン処理を実行するためのスキャンモードにMFP100を遷移させるためのスキャンキー163Eと、データ送信処理を実行するためのデータ送信モードにMFP100を遷移させるためのBOXキー163Fと、表示部161に重畳され、透明な部材からなるタッチパネル165と、を含む。タッチパネルは、ポインティングデバイスであり、操作を受け付けるための受付面を有する。タッチパネル165の方式は、特に限定するものではないが、例えば、抵抗膜方式または表面弾性波方式などであればよい。
【0025】
図4は、MFPが備えるCPUの機能の一例をHDDに記憶される情報とともに示す機能ブロック図である。図4を参照して、MFP100が備えるCPU111は、タッチパネル165を制御するためのタッチパネル制御部51と、タッチパネル165に触れた操作対象物を判別する操作対象判別部53と、操作体系を決定する操作体系決定部55と、表示部161を制御するための画面表示制御部57と、タッチパネル165が指示された位置を検出する指示位置検出部59と、操作を受け付ける操作受付部61と、受け付けられた操作に従って処理を実行する処理実行部63と、を含む。
【0026】
タッチパネル制御部51は、タッチパネル165を制御する。タッチパネル165は、指またはスタイラスペンで指示された位置を検出し、検出した位置の座標をCPU111に出力する。指がタッチパネル165に触れる面積は、スタイラスペンがタッチパネル165に触れる面積よりも大きい、このため、タッチパネル165は、指がタッチパネル165に触れた場合に同時に検出する位置の数は、スタイラスペンがタッチパネル165に触れた場合に同時に検出する位置の数よりも多い。タッチパネル制御部51は、タッチパネル165から入力される位置の座標を操作対象判別部53および指示位置検出部59に出力する。タッチパネル制御部51は、タッチパネル165から複数の位置の座標が入力される場合には、複数の位置の座標のすべてを、操作対象判別部53および指示位置検出部59に出力する。
【0027】
画面表示制御部57は、表示部161を制御し、表示部161に画面を表示させる。画面表示制御部57は、ユーザがログインしていない段階で、ログイン画面を表示部161に表示する。図5は、ログイン画面の一例を示す図である。図5を参照して、ログイン画面300は、ユーザを識別するためのユーザ識別情報が入力される領域301と、パスワードが入力される領域303と、ログインの文字が表されたログインボタン305とを含む。ユーザが、領域301にユーザ識別情報を入力し、領域303にパスワードを入力した後、ログインボタン305を指またはスタイラスペンで指示すれば、領域301,303にそれぞれ入力されたユーザ識別情報およびパスワードが後述する操作受付部61により受け付けられ、さらに、後述する処理実行部63により、受け付けられたユーザ識別情報およびパスワードに基づく認証処理が実行される。
【0028】
図4に戻って、操作対象判別部53は、画面表示制御部57により表示されたログイン画面300のログインボタン305が指示されたときに、タッチパネル制御部51から入力される1以上の位置の座標に基づいて、タッチパネル165に触れた操作対象物を判別する。具体的には、タッチパネル制御部51から入力される1以上の位置の座標の数が、予め定められたしきい値より大きければ、操作対象物を人の指と判別し、予め定められたしきい値以下ならば、操作対象物をスタイラスペンと判別する。操作対象判別部53は、判別結果を操作体系決定部55に出力する。
【0029】
また、操作対象判別部53が操作対象を判別するタイミングは、画面表示制御部57により表示されたログイン画面300のログインボタン305が指示されたときである。このため、タッチパネル制御部51から入力される1以上の位置の座標を、ログインボタン305の領域に含まれる座標に制限することができ、操作対象物を判別するための演算回数を少なくすることができる。その結果、判別のための処理速度を早くすることができる。また、ユーザは、操作体系を選択するための特別な操作をすることなく、操作体系を選択することができる。
【0030】
操作体系決定部55は、操作対象判別部53から入力される判別結果に基づいて、操作体系を決定する。ここでは、操作対象物がスタイラスペンを示す判別結果が入力される場合は第1操作体系に決定し、操作対象物が人の指を示す判別結果が入力される場合は第2操作体系に決定する。操作体系決定部55は、決定結果を画面表示制御部57および操作受付部61に出力する。
【0031】
画面表示制御部57は、さらに、操作体系決定部55からそれにより決定された操作体系が入力された後、ユーザがログアウトするまで、入力される操作体系に対応する操作画面を表示部161に表示する。HDD116は、画面記憶部71を有し、画面記憶部71は、第1操作体系に対応する操作画面として第1操作体系用画面73と、第2操作体系に対応する操作画面として第2操作体系用画面75と、を予め記憶する。画面表示制御部57は、操作体系決定部55から第1操作体系を示す決定結果が入力される場合、第1操作体系用画面73を読出し、表示部161に表示し、操作体系決定部55から第2操作体系を示す決定結果が入力される場合、第2操作体系用画面75を読出し、表示部161に表示する。画面表示制御部57は、表示部161に表示した第1操作体系用画面73または第2操作体系用画面75を識別するための画面情報を操作受付部61および処理実行部63に出力する。
【0032】
指示位置検出部59は、タッチパネル制御部51から入力される1以上の座標に基づいて、タッチパネル165が指示された指示位置を検出する。具体的には、タッチパネル制御部51から1つの座標が入力される場合には、その座標を指示位置として検出し、タッチパネル制御部51から複数の座標が入力される場合には、複数の座標の中点を指示位置として検出する。指示位置検出部59は、検出した指示位置の座標を操作受付部61に出力する。
【0033】
操作受付部61は、画面表示制御部57より画面情報が入力され、指示位置検出部59から指示位置が入力される。操作受付部61は、画面情報で特定される操作画面と、指示位置とに基づいて操作を特定する。例えば、ログイン画面300を識別するための画面情報が入力される場合、ログイン画面300に対応して予め定められた認証処理を特定し、特定した処理のための操作を特定する。具体的には、ユーザ識別情報の入力操作、パスワードの入力操作、ログイン指示の入力の操作を特定する。そして、指示位置の座標がログイン画面300の領域301に含まれるならば、ユーザ識別情報の一覧を表示部161に表示し、その後指示位置検出部59から入力される指示位置の座標に表示されたユーザ識別情報を受け付ける。また、指示位置の座標がログイン画面300の領域303に含まれるならば、テンキー163Aから入力されるパスワードを受け付ける。さらに、操作受付部61は、指示位置の座標がログイン画面300のログインボタン405に含まれるならば、ログイン指示を受け付ける。操作受付部61は、ログイン指示を受け付けると、ユーザ識別情報と、パスワードと、認証処理の実行コマンドと、を処理実行部63に出力する。
【0034】
なお、操作受付部61がログイン指示を受け付けたとき、操作対象判別部53にログイン指示を受け付けたことを示す信号を出力するようにし、操作対象判別部53に操作対象を判別するタイミングを通知するようにしても良い。
【0035】
処理実行部63は、操作受付部61から入力される指示に従って処理を実行する。例えば、操作受付部61からユーザ識別情報、パスワードおよび認証処理の実行コマンドとが入力されると、操作受付部61から入力されるユーザ識別情報とパスワードとを用いて、認証処理を実行する。
【0036】
さらに、操作受付部61は、画面情報で特定される画面が第1操作体系用画面73または第2操作体系用画面75の場合、異なる操作を特定する。以下、第1操作体系および第2操作体系の具体例を説明する。
【0037】
図6は、第1操作体系用画面であるデータコピー画面の一例を示す図である。図6を参照して、第1操作体系用画面73であるデータコピー画面310は、HDD116が有する複数の記憶領域をそれぞれ識別するするための複数のボックス名を表示する領域317と、領域317で指定された記憶領域に記憶された複数の画像データの画像をそれぞれ縮小した複数のサムネイル321,323,325,327,329を表示する領域311とを含む。第1操作体系用画面73であるデータコピー画面310においては、ドラッグ・アンド・ドロップの操作で、ある記憶領域に含まれる画像データを、別の記憶領域にコピーすることができる。ここでは、サムネイル321に対応する画像データを、ボックス名「BOX B」の記憶領域にコピーする操作を示している。最初に、スタイラスペン315でサムネイル321を指示すると、サムネイル321がドラッグされる。スタイラスペン315をタッチパネル165に接触させたまま領域317のボックス名「BOX B」が表示されている位置に移動させ、その位置でスタイラスペン315をタッチパネル165から離せば、ドラッグされたサムネイル321がボックス名「BOX B」319にドロップされる。この操作により、サムネイル321に対応する画像データが、ボックス名「BOX B」の記憶領域にコピーされる。
【0038】
図4に戻って、操作受付部61は、第1操作体系用画面73であるデータコピー画面310を識別するための画面情報が入力される場合、第1操作体系用画面73であるデータコピー画面310に対応して予め定められたコピー処理を特定し、特定した処理のためのドラッグ・アンド・ドロップの操作を特定する。具体的には、コピー元の画像データを指定するドラッグ操作、HDD116が有するコピー先の記憶領域を指定するドロップ操作を特定する。例えば、指示位置の座標が第1操作体系用画面73であるデータコピー画面310のサムネイル321の領域に含まれるならば、コピー元の画像データを指定するドラッグ操作が受け付けられたとしてサムネイル321に対応する画像データをコピー元の画像データとして受け付ける。そして、指示位置の座標が連続して変化した後に指示位置が受け付けられなくなったときに最後に受け付けられた指示位置の座標が第1操作体系用画面73であるデータコピー画面310のボックス名「BOX B」319であれば、ドロップ操作が受け付けられたとして、ボックス名「BOX B」319で識別されるHDD116が有する記憶領域をコピー先の記憶領域として受け付ける。すなわち、第1操作体系は、指示位置の座標が連続して変化する操作、換言すれば、複数の指示位置で特定される操作である。
【0039】
操作受付部61は、コピー元の画像データとして受け付けたサムネイル321に対応する画像データのファイル名と、コピー先の記憶領域として受け付けたHDD116が有する記憶領域のボックス名と、コピーコマンドとを、処理実行部63に出力する。処理実行部63は、操作受付部61から入力されるファイル名で特定される画像データを、ボックス名で識別される記憶領域にコピーする。
【0040】
図7は、第2操作体系用画面であるデータ操作画面の一例を示す図である。図7を参照して、第2操作体系用画面75であるデータ操作画面330は、コマンドボタン333〜336を表示する領域331と、HDD116が有する複数の記憶領域の1つに記憶された複数の画像データの画像をそれぞれ縮小した複数のサムネイル343〜346を表示する領域341とを含む。コマンドボタン333は、選択されたデータをコピー元のデータに設定するコマンドが対応付けられており、コマンドボタン334は、選択されたデータを移動元のデータに設定するコマンドが対応付けられており、コマンドボタン335は、コピー元または移動元のデータとして選択されたデータを、選択されている記憶領域に記憶するコマンドが対応付けられており、コマンドボタン336は、HDD116が有する複数の記憶領域を選択するための画面に表示を切り換えるコマンドが対応付けられている。
【0041】
第2操作体系用画面75であるデータ操作画面330においては、処理対象を選択する操作と、処理内容を特定する操作とで、あるボックスに含まれる画像データを処理する操作を入力することができる。ここでは、サムネイル343に対応する画像データをコピー元のデータとして選択する操作について説明する。例えば、最初に、サムネイル343を指で指示する操作で、サムネイル321に対応する画像データが選択される。次にコマンドボタン333を指で指示する操作で、コピー元のデータとして選択する処理内容が特定される。この操作により、サムネイル343に対応する画像データが、コピー元のデータとして選択される。
【0042】
図4に戻って、操作受付部61は、第2操作体系用画面75であるデータ操作画面330を識別するための画面情報が入力される場合、第2操作体系用画面75であるデータ操作画面330に対応して予め定められたデータ選択操作および処理特定操作を特定する。例えば、指示位置の座標が第2操作体系用画面75であるデータ操作画面330のサムネイル343の領域に含まれるならば、処理対象とする画像データを指定するデータ選択操作が受け付けられたとしてサムネイル343に対応する画像データを処理対象の画像データとして受け付ける。そして、指示位置の座標が第2操作体系用画面75であるデータ操作画面330のコマンド333〜336のいずれかに含まれるならば、処理特定操作が受け付けられたとして、コマンド333〜336のうち指示位置が含まれるものに対応するコマンドを受け付ける。操作受付部61は、処理対象として受け付けられたサムネイル343に対応する画像データのファイル名と、受け付けられたコマンドと、を処理実行部63に出力する。処理実行部63は、操作受付部61から入力されるファイル名で特定される画像データに対して、コマンドで特定される処理を実行する。
【0043】
図8は、操作受付処理の流れの一理を示すフローチャートである。操作受付処理は、CPU111が操作受付プログラムを実行することにより、CPU111により実行される処理である。図8を参照して、CPU111は、表示部161にログイン画面300を表示する(ステップS01)。そして、認証情報を受け付ける(ステップS02)。認証情報は、ユーザ識別情報とパスワードとを含む。次に、ログインボタン305が指示されたか否かを判断する(ステップS03)。ログインボタン305が指示されたならば処理をステップS04に進めるが、そうでなければ処理をステップS02に戻す。
【0044】
ステップS04においては、判定領域の検出位置をカウントする。判定領域は、ログイン画面300のログインボタン305の領域である。検出位置は、タッチパネル165により検出される、指またはスタイラスペンで指示された位置である。具体的には、タッチパネル165が出力する位置の座標のうち、ログインボタン305の領域に含まれる座標の数をカウントする。
【0045】
そして、カウント値がしきい値T以下か否かを判断する(ステップS05)。カウント値がしきい値T以下ならば処理をステップS16に進め、カウント値がしきい値Tを超えるならば処理をステップS11に進める。しきい値Tは、タッチパネル165に人の指が触れたときの接触部分で、タッチパネル165が検出可能な位置の総数とすればよい。人の指のサイズに個人差があるので、タッチパネル165にスタイラスペンが触れたときの接触部分で、タッチパネル165が検出可能な位置の総数より大きな値であればよい。
【0046】
処理がステップS06に進む場合、タッチパネル165がスタイラスペンで指示された場合である。この場合、操作体系を第1操作体系に決定する。次のステップS07においては、HDD116に記憶されている第1操作体系用画面73を読出し、表示部161に表示する。そして、操作を受け付けたか否かを判断する。ここでは、ステップS06において決定された第1操作体系で操作が受け付けられる。そして、受け付けられた操作で特定される処理を実行し(ステップS09)、処理をステップS10に進める。ステップS10においては、ログアウト指示を受け付けたか否かを判断する。ログアウト指示を受け付けたならば処理を終了するが、そうでなければ処理をステップS07に戻す。すなわち、ユーザが認証されてログインしてからログアウトするまで、第1操作体系で操作が受け付けられる。
【0047】
処理がステップS11に進む場合、タッチパネル165が指で指示された場合である。この場合、操作体系を第2操作体系に決定する。次のステップS12においては、HDD116に記憶されている第2操作体系用画面75を読出し、表示部161に表示する。そして、操作を受け付けたか否かを判断する。ここでは、ステップS11において決定された第2操作体系で操作が受け付けられる。そして、受け付けられた操作で特定される処理を実行し(ステップS14)、処理をステップS15に進める。ステップS15においては、ログアウト指示を受け付けたか否かを判断する。ログアウト指示を受け付けたならば処理を終了するが、そうでなければ処理をステップS12に戻す。すなわち、ユーザが認証されてログインしてからログアウトするまで、第2操作体系で操作が受け付けられる。
【0048】
以上説明したように本実施の形態におけるMFP100は、タッチパネル165が受付面において同時に検出する位置の数に基づいて操作対象物がスタイラスペンと人の指とのいずれであるかを判別し、判別結果に基づいて、第1操作体系と第2操作体系とのいずれか一方に決定し、タッチパネルにより検出された位置に基づいて、第1操作体系と第2操作体系のうち決定されたものに従って操作を受け付ける。このため操作対処物に適した操作体系で操作を入力することができ、操作が容易となる。
【0049】
また、タッチパネル165によりしきい値T以下の位置が検出される場合、操作対象物が人の指と判別し、しきい値Tを越える位置が検出される場合、操作対象物がスタイラスペンと判別する。このため、操作対象物を容易に判別することができる。
【0050】
なお、上述した実施の形態においては、入力装置としてMFP100を例に説明したが、図8に示した処理を実行するための操作受付方法またはその操作受付方法をコンピュータに実行させるための操作受付プログラムとして発明を捉えることができるのは言うまでもない。
【0051】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施の形態の1つにおけるMFPの外観を示す斜視図である。
【図2】MFPのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図3】操作パネルの一例を示す平面図である。
【図4】MFPが備えるCPUの機能の一例をHDDに記憶される情報とともに示す機能ブロック図である。
【図5】ログイン画面の一例を示す図である。
【図6】第1操作体系用画面であるデータコピー画面の一例を示す図である。
【図7】第2操作体系用画面であるデータ操作画面の一例を示す図である。
【図8】操作受付処理の流れの一理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0053】
51 タッチパネル制御部、53 操作対象判別部、55 操作体系決定部、57 画面表示制御部、59 指示位置検出部、61 操作受付部、63 処理実行部、71 画面記憶部、73 第1操作体系用画面、75 第2操作体系用画面、110 メイン回路、111 CPU、112 通信I/F部、113 ROM、114 RAM、115 EEPROM、116 HDD、117 ファクシミリ部、118 カードI/F、118A フラッシュメモリ、120 自動原稿搬送装置、130 原稿読取部、140 画像形成部、150 給紙部、160 操作パネル、161 表示部、161 表示部、163 操作部、165 タッチパネル、300 ログイン画面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受付面を有し、前記受付面におけるユーザにより指示された位置を検出するポインティングデバイスと、
前記ポインティングデバイスにより前記受付面において同時に検出される位置の数に基づいて操作対象物の種類を判別する操作対象判別手段と、
前記判別された操作対象物の種類に基づいて、予め定められた複数の操作体系のうちからいずれか1つを決定する操作体系決定手段と、
前記ポインティングデバイスにより検出された位置に基づいて、前記複数の操作体系のうち前記決定された操作体系に従った操作を受け付ける操作受付手段と、を備えた入力装置。
【請求項2】
前記操作対象判別手段は、前記ポインティングデバイスにより所定数以下の位置が検出される場合、第1種類を判別し、前記ポインティングデバイスにより前記所定数を越える位置が検出される場合、第2種類を判別する、請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記複数の操作体系は、前記ポインティングデバイスにより検出される複数の位置で操作が特定される第1の操作体系と、前記ポインティングデバイスにより検出される単一の位置で操作が特定される第2の操作体系と、を含む請求項1に記載の入力装置。
【請求項4】
前記複数の操作体系それぞれに対応する複数種類の操作画面を前記ポインティングデバイスの前記受付面に重畳して表示可能な画面表示手段をさらに備え、
前記画面表示手段は、前記複数種類の操作画面のうち前記決定された操作体系に対応する種類の操作画面を表示する、請求項1に記載の入力装置。
【請求項5】
ポインティングデバイスを備えた入力装置で実行される操作受付方法であって、
前記ポインティングデバイスの受付面におけるユーザにより指示された位置を検出するステップと、
前記ポインティングデバイスにより同時に検出される位置の数に基づいて操作対象物の種類を判別するステップと、
前記判別された操作対象物の種類に基づいて、予め定められた複数の操作体系のうちからいずれか1つを決定するステップと、
前記ポインティングデバイスにより検出された位置に基づいて、前記複数の操作体系のうち前記決定された操作体系に従った操作を受け付けるステップと、を含む操作受付方法。
【請求項6】
ポインティングデバイスを備えたコンピュータで実行される操作受付プログラムであって、
前記ポインティングデバイスの受付面におけるユーザにより指示された位置を検出するステップと、
前記ポインティングデバイスにより同時に検出される位置の数に基づいて操作対象物の種類を判別するステップと、
前記判別された操作対象物の種類に基づいて、予め定められた複数の操作体系のうちからいずれか1つを決定するステップと、
前記ポインティングデバイスにより検出された位置に基づいて、前記複数の操作体系のうち前記決定された操作体系に従った操作を受け付けるステップと、をコンピュータに実行させる操作受付プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−3098(P2010−3098A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−161121(P2008−161121)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】