説明

入力装置および入力装置の制御方法

【課題】キーやボタンの押下に基づいて所定時間後に実行開始される動作の実行の態様を、当該押下されたキーやボタンによって操作者に報知することができる入力装置、および当該入力装置の制御方法を提供する。
【解決手段】入力装置1は、入力を受け付けるタッチセンサ11と、タッチセンサ11のタッチ面に対する押圧荷重を検出する荷重検出部12と、タッチ面を振動させる触感呈示部13と、荷重検出部12により検出される押圧荷重が、所定の荷重基準を満たす状態で所定期間継続した際に、タッチ面を押圧している押圧対象に対して触感を呈示するように触感呈示部13を制御する制御部15と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチセンサを備える入力装置、および当該入力装置の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
入力装置の操作において、機械式のスイッチにより構成されるキーやボタンに対する入力を行う際、操作者は、当該キーやボタンを入力する際の物理的な触感によるフィードバックを得ることができる。すなわち、操作者がキーやボタン(以下、「キー等」と記す)を押下する際には、自らがキー等を「押下した」という触感を得ることができる。このような、キー等を押下する際の触感は、キー等の形状やストロークまたはキー等を構成する機械式のスイッチの構造など種々の要因に応じて、様々な触感がある。
【0003】
ところで、入力装置のキー等に対する操作入力が行われると、当該入力装置を備えた端末は、一般的に、当該入力をトリガとして、所定の動作を即時開始する。例えば、文字入力装置は、操作者がキーボードから或る文字を入力すれば、当該入力に応じて、入力された文字を即座に表示部に表示する。また、所定の動作を行う機械を起動するスイッチの場合は、当該スイッチがオンされることにより、前記機械は、即座に動作を開始する。したがって、このような操作において、操作者は、入力の際にキー等を押下した触感を得ることにより、当該入力が受け付けられて所定の動作が行われる、ということの目印とする側面もある。すなわち、操作者は、キー等を押下した触感を得ることにより、所定の動作が開始することを期待するものと考えられる。
【0004】
しかしながら、入力装置を備えた端末において、所定の動作を開始するのは、必ずしも入力の受付時であるとは限らない。例えば、文字入力装置においてオートリピートの機能が実行される場合、操作者が所定の文字のキーを押下した瞬間に、まず1文字目が入力されるが、当該キーを押下し続けることにより、その後も連続して同じ文字が入力される。なお、「オートリピート」とは、キーリピート(key repeat)とも呼ばれ、同じキーが一定時間押し続けられることで、対応する文字が1文字だけでなく複数連続して入力される機能のことをいう。また、例えば入力装置においてキー等による操作入力の有効化/無効化を切り換える、キーロック/ロック解除の機能の場合、誤操作等によるロックが発生しないように、通常、所定のキー等を長押ししないとロックがかからないようになっている。なお、「長押し」とは、所定の時間、同一のキー等を押下した状態が継続する入力のことをいう。
【0005】
上述のように、入力を受け付けた時点よりも後に当該入力に基づく動作が発生する場合、機械式のスイッチにより構成されるキー等を有する入力装置は、当該動作が開始したことを、当該キー等によって操作者に通知することはできない。すなわち、機械式のスイッチにより構成されるキー等を押下した後、入力装置は、アプリケーションソフトウェア等に基づいて如何なる動作を行っても、当該キー等によって操作者に触感を呈示することはできない。このような場合、操作者は、自らの最初の入力が適式に受け付けられて、当該入力に基づいて、その後の動作が適切に実行されているか否かを、押下しているキー等により認識することはできない。
【0006】
このため、前述のキーロックのように、所定のキー等の長押しした後に動作が実行される場合、操作者は、当該動作が実行されていることを触感により判別することはできない。オートリピートのように、キー等の押下が継続する限り所定の動作が連続して実行される場合なども同様である。このような場合、操作者は、入力が正しく受け付けられていることを確認できないため、念のため操作をし直すといった手間が生じることも考えられる。また、操作者は、入力受け付け後の動作が実行される様子を把握できないため、キー等の押下状態を解除するタイミングが分からずに、誤入力が誘発されるおそれもある。
【0007】
したがって、操作者の最初の入力に基づいて、当該入力後に動作が実行される場合、当該動作の実行状態を、入力装置が何らかの態様で操作者に報知することが望ましい。通常の状況であれば、操作者の入力に基づく当該入力後の動作の進行状態は、入力装置の表示部(表示画面)に表示される文字などの各種表示の状態を目視することにより、認識することができる。
【0008】
しかしながら、操作者が操作入力を行う環境によっては、表示部を常に注視しながら操作入力を行うことができる環境ばかりとは限らない。特に、携帯電話などのように小型の端末は、端末の筐体自体が小型に設計されるため、入力結果が表示される表示部も小さいことが多く、入力結果が視認し難い場合もある。また、携帯電話のような端末においては、携帯して使用する特性上、操作者が他の動作を行いながら入力装置の操作を行うことが多く、表示部を注視していない状態で操作入力を行うことも多い。このような事情を考慮すると、表示部における表示以外の手段によっても、動作の実行状態を操作者に報知することが望ましい。
【0009】
さらに、例えば視力の弱い人や目の不自由な人が操作入力を行う場合にも、表示部を注視して正確な操作入力を行うことは困難である。その他、例えば、入力装置と、入力結果を表示する表示部とが別の場所にあるような場合などは、自らの入力が適切に受け付けられたことを視認することはできない。したがって、操作者の入力に基づく当該入力後の動作の進行状態を、視覚以外の方法で操作者に認識させることができれば好都合である。
【0010】
操作者の入力に基づく当該入力後の動作の進行状態を、視覚以外の方法で操作者に報知する手段として、操作入力に基づく結果を音によって操作者に報知する方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0011】
この特許文献1に開示のコンピュータは、キーボードのキーが長押しされたことに基づいて、オートリピートの機能が発動していることを、表示または音声により、操作者に提示することができる。このような技術を適用すれば、たとえ表示部(表示画面)の表示を視認することができない状況であったとしても、操作者は、入力に基づく当該入力後の動作の進行状態を、音声により把握することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特許公開2003−58041
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、音声による情報の報知も、操作者が常に認識できる状況とは限らない。例えば、騒音が激しい場所で入力装置を使用する場合や、操作者の耳が不自由な場合には、操作者の入力に基づく当該入力後の動作の進行状況を音声によって報知しても、操作者が聴覚によって当該音声を認識することは困難である。また、例えば、音を出すことが望ましくない公共の場所などでは、このように音声によって報知する入力装置を使用することは好ましくない場合もある。
【0014】
したがって、かかる事情に鑑みてなされた本発明の目的は、キーやボタンの押下に基づいて所定時間後に実行開始される動作の実行の態様を、当該押下されたキーやボタンによって操作者に報知することができる入力装置、および当該入力装置の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成する請求項1に係る入力装置の発明は、
入力を受け付けるタッチセンサと、
前記タッチセンサのタッチ面に対する押圧荷重を検出する荷重検出部と、
前記タッチ面を振動させる触感呈示部と、
前記荷重検出部により検出される押圧荷重が、所定の荷重基準を満たす状態で所定期間継続した際に、前記タッチ面を押圧している押圧対象に対して触感を呈示するように前記触感呈示部を制御する制御部と、
を備えることを特徴とするものである。
【0016】
また、上記目的を達成する請求項2に係る入力装置の制御方法の発明は、
入力を受け付けるタッチセンサと、
前記タッチセンサのタッチ面に対する押圧荷重を検出する荷重検出部と、
前記タッチ面を振動させる触感呈示部と、
を備える入力装置の制御方法であって、
前記荷重検出部により検出される押圧荷重が、所定の荷重基準を満たす状態で所定期間継続した際に、前記タッチ面を押圧している押圧対象に対して触感を呈示するように前記触感呈示部を制御する、ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、入力装置のタッチ面に対する押圧荷重が、所定の荷重基準を満たす状態で所定期間継続した際に、触感呈示部が、タッチ面を押圧している押圧対象に対して触感を呈示する。したがって、キーやボタンの押下に基づいて所定時間後に実行開始される動作の実行の態様を、当該押下されたキーやボタンによって操作者に報知することができる。このため、操作者は、例えば入力装置の表示部を視認できない状況であっても、自らが行った入力が入力装置に適式に受け付けられたか否かを知ることができる。さらに、操作者は、入力に基づく動作を入力装置が正しく実行しているか否かを、当該実行の態様と
ともに知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施の形態に係る入力装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施の形態に係る入力装置の実装構造の一例を示す図である。
【図3】第1実施の形態に係る入力装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】第1実施の形態において荷重検出部が検出する押圧荷重の時間変化の例を表すグラフである。
【図5】第1実施の形態に係る入力装置の動作を説明する図である。
【図6】第1実施の形態に係る入力装置の動作を説明する図である。
【図7】第2実施の形態に係る入力装置の動作を示すフローチャートである。
【図8】第2実施の形態において荷重検出部が検出する押圧荷重の時間変化の例を表すグラフである。
【図9】第2実施の形態に係る入力装置の動作を説明する図である。
【図10】第3実施の形態に係る入力装置の動作を示すフローチャートである。
【図11】第3実施の形態において荷重検出部が検出する押圧荷重の時間変化の例を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の各実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0020】
(第1実施の形態)
図1は、本発明の第1実施の形態に係る入力装置の概略構成を示すブロック図である。
【0021】
図1に示すように、第1実施の形態に係る入力装置1は、タッチセンサ11、荷重検出部12、触感呈示部13、表示部14、および、全体の動作を制御する制御部15を備える。
【0022】
タッチセンサ11は、通常は表示部14の前面に配置して、表示部14に表示したキーやボタン等に対する操作者の指などによる押圧入力(タッチ入力)を、対応するタッチセンサ11のタッチ面により受け付ける。このタッチセンサ11は、例えば抵抗膜方式、静電容量方式、光学式等の公知の方式のもので構成する。荷重検出部12は、タッチセンサ11のタッチ面に対する押圧荷重を検出するもので、例えば、歪みゲージセンサや圧電素子等の荷重に対してリニアに反応する素子を用いて構成する。触感呈示部13は、タッチセンサ11を振動させるもので、例えば圧電振動子等を用いて構成する。表示部14は、押しボタンスイッチ(プッシュ式ボタンスイッチ)のような入力ボタン等の入力用オブジェクトを表示するもので、例えば、液晶表示パネルや有機EL表示パネル等を用いて構成する。
【0023】
図2は、図1に示した入力装置1の実装構造の一例を示すもので、図2(a)は要部断面図、図2(b)は要部平面図である。表示部14は、筐体21内に収納保持する。表示部14上には、弾性部材からなるインシュレータ22を介して、タッチセンサ11を保持する。なお、本実施の形態に係る入力装置1は、表示部14およびタッチセンサ11を、平面視で矩形状としてある。本実施の形態において、タッチセンサ11は、図2(b)に仮想線で示す表示部14の表示領域Aから外れた4隅に配設したインシュレータ22を介して表示部14上に保持する。
【0024】
また、筐体21には、表示部14の表示領域から外れたタッチセンサ11の表面領域を覆うようにアッパカバー23を設け、このアッパカバー23とタッチセンサ11との間に、弾性部材からなるインシュレータ24を配設する。
【0025】
なお、図2に示すタッチセンサ11は、タッチ面11aを有する表面部材を、例えば透明フィルムやガラスで構成し、裏面部材をガラスやアクリルで構成している。タッチセンサ11は、タッチ面11aが押圧されると、押圧部分が押圧力に応じて微少量撓む(歪む)、または構造体そのものが微少量撓む構造のものを用いる。
【0026】
タッチセンサ11の表面上には、アッパカバー23で覆われる各辺の近傍に、タッチセンサ11に加わる荷重(押圧力)を検出するための歪みゲージセンサ31をそれぞれ接着等により設ける。また、タッチセンサ11の裏面上には、対向する2つの辺の近傍に、タッチセンサ11を振動させるための圧電振動子32をそれぞれ接着等により設ける。すなわち、図2に示す入力装置は、図1に示した荷重検出部12を4つの歪みゲージセンサ31を用いて構成し、触感呈示部13を2つの圧電振動子32を用いて構成している。そして、触感呈示部13によりタッチセンサ11を振動させることにより、タッチ面11aを振動させるようにしている。なお、図2(b)は、図2(a)に示した筐体21、アッパカバー23およびインシュレータ24の図示を省略している。
【0027】
図3は、本実施の形態に係る入力装置1の動作を示すフローチャートである。本実施の形態に係る入力装置1は、タッチセンサ11に対する入力があっても、その時点では触感を呈示せずに、前記入力が維持されたまま所定時間経過したら、所定の動作が開始されたことを示すべく触感を呈示する。なお、図3に示すフローチャートにおいては、本実施の形態の適用例として、タッチパネル等のタッチセンサを有する携帯電話等の携帯端末において、タッチ入力の有効化/無効化を切り替えるキーロックの機能を想定して説明する。
【0028】
本実施の形態に係る入力装置の動作が開始すると、制御部15は、タッチセンサ11への入力を監視するとともに、荷重検出部12で検出される荷重を監視する。ステップS11において、タッチセンサ11への指やスタイラスペン等の押圧対象(押圧物)による入力(タッチ入力)が表示部14に表示された入力用オブジェクトに対する入力であるのを検出した場合、ステップS12に移行する。本実施の形態における入力用オブジェクトは、入力を受け付ける部位を操作者に示唆する画像とすることができる。また、タッチセンサ11全体(タッチセンサ11の任意の部位)で入力を受け付ける場合には、本実施の形態における入力用オブジェクトは、表示部14に表示するキー等や背景画像など全ての画像を含む一画面全体とすることもできる。
【0029】
ステップS12において、制御部15は、荷重検出部12により検出される押圧荷重が、タッチセンサ11の押圧によって増加しながら所定の基準を満たしたか否かを判定する。なお、荷重検出部12は、例えば、4つの歪みゲージセンサ31の出力の平均値から荷重を検出する。ステップS12においてタッチセンサ11に対する入力が検知されていても、荷重検出部12により検出される押圧荷重が所定の基準を満たしていない場合、本実施の形態による動作は行わない。ステップS12において所定の基準を満たす荷重を検出したら、制御部15は、所定の時間が経過したか否かを判定する(ステップS13)。ステップS13において所定の時間が経過していない場合、制御部15は、ステップS12に戻り、荷重検出部12により検出される押圧荷重がまだ所定の基準を満たしているか否かを判定し、満たしている場合はステップS13に移行する。なお、本実施の形態において、「所定の時間」は、例えば上述した「長押し」に相当する時間とすることができる。この場合、所定の時間は、例えば2秒間などの適切な時間を設定する。
【0030】
ステップS13において、荷重検出部12により検出される押圧荷重が所定の基準を満たす状態のまま所定の時間が経過したら、ステップS14に移行する。ステップS14において、制御部15は、触感呈示部13を所定の駆動信号で駆動して、タッチセンサ11を予め設定した所定の振動パターンで振動させて触感を呈示する。すなわち、制御部15は、荷重検出部12により検出される押圧荷重が、所定の荷重基準を満たす状態で所定期間継続した際に、タッチセンサ11のタッチ面を押圧している押圧対象に対して触感を呈示するように触感呈示部13を制御する。触感呈示部13は、例えば、2つの圧電振動子32を同相で駆動する。
【0031】
ステップS14において触感呈示部13が触感を呈示したら、制御部15は、キーロック機能が実行されていない場合はキーロック機能を実行し、キーロック機能が既に実行されている場合は、当該キーロック機能を解除する(ステップS15)。なお、このキーロック/ロック解除が実行される際には、操作者の入力が適切に受け付けられたことを一層明瞭に示すために、表示部14内の押圧対象(押圧物)が接触した箇所(入力箇所)の表示態様またはオブジェクトに、色を変えるなどの変更を加えてもよい。
【0032】
図4は、本実施の形態に係る入力装置1がタッチ入力を受け付けてから触感を呈示する動作の様子の例を説明する図である。図4に示すグラフにおいて、縦軸は荷重検出部12により検出される押圧荷重を、横軸は時間を示しており、本実施の形態において荷重検出部12が検出する押圧荷重の時間変化の例を表している。なお、図4に示すグラフにおいて、荷重検出部12が検出する押圧荷重の所定の基準をPthと記す。このPthは、操作者が通常の押圧操作を行う際の押圧荷重に基づいて、例えば1N(ニュートン)などの値を予め設定し、その後も設定変更できるようにするのが好適である。
【0033】
図4(A)に示す例において、タッチセンサ11がタッチ入力を受け付けて荷重検出部12が押圧荷重を検出した時点から、グラフの曲線が開始している。図4(A)に示すように、荷重検出部12により検出される押圧荷重が、タッチセンサ11の押圧によって増加しながら所定の基準Pthを満たした時点(1)から、制御部15により所定の時間T1のカウントが開始される。なお、本実施の形態においては、図4(A)に示すように、押圧荷重が所定の基準Pthを満たした時点(1)では、所定の動作がまだ開始していないことを示すため、触感呈示部13による触感を呈示しない。その後、制御部15は、所定の時間T1の経過までカウントを進める。
【0034】
押圧荷重が所定の基準Pthを満たした時点(1)から所定の時間T1が経過した時点(2)において、所定の動作すなわちキーロック/ロック解除が開始したことを示すため、触感呈示部13による触感を呈示する。図4(A)において、時点(2)の位置に記した上向きの矢印は、触感呈示部13がタッチセンサ11のタッチ面を振動させるタイミングを示す。この時点で触感が発生することにより、操作者は、自らの(時点(1)における)入力に基づいて、時点(2)において所定の動作が適正に開始したことを認識することができる。なお、図4(A)において、操作者は、時点(2)において所定の動作が適正に開始したことを認識したため、その後の押圧荷重を弱めてタッチセンサ11のタッチ面から指などを離した様子を示している。
【0035】
図5は、本実施の形態に係る入力装置1によるキーロック機能の動作の様子を例示する図である。
【0036】
図5(A)に示す入力装置1は、表示部14にテンキー等のオブジェクトを表示して、これらオブジェクトの位置に対応するタッチセンサ11のタッチ面に対して、操作者の操作入力を受け付ける。例えば、入力装置1をしばらく使用しない等の事情により、タッチセンサ11のタッチ面に対する意図しない入力を防ぎたい場合、入力装置1のタッチ面に対するタッチ入力を無効化(キーロック)する。このためには、操作者は、図5(B)に示すように、タッチセンサ11のタッチ面を、所定の基準以上の押圧荷重によって、所定の時間以上押圧する。すると、前記所定の時間の経過後に、図5(C)に示すように、キーロック機能が実行され、以後のタッチ面に対するタッチ入力は無効化される。この時、入力装置1は、触感呈示部13による触感を呈示する。このため、操作者は、自らの長押し入力に基づいて、キーロックの機能が正しく開始したことを認識することができる。
【0037】
図6は、本実施の形態に係る入力装置1によるキーロック機能を解除する動作の様子を例示する図である。図6に示す動作は、図5で説明したキーロック機能の動作の逆の動作に相当する。図6(A)は、図5(C)と同様に、キーロック機能が実行されてタッチ面に対するタッチ入力は無効化されている状態を示している。キーロック機能が実行されてタッチ入力が無効化された入力装置1のタッチ入力を再び有効化(キーロック解除)したい場合、操作者は、図6(B)に示すように、タッチセンサ11のタッチ面を、所定の基準以上の押圧荷重によって、所定の時間以上押圧する。すると、前記所定の時間の経過後に、図6(C)に示すように、キーロック機能が解除され、以後のタッチ面に対するタッチ入力は有効化される。この時も、入力装置1は、触感呈示部13による触感を呈示する。このため、操作者は、自らの長押し入力に基づいて、キーロック機能の解除が正しく行われたことを認識することができる。
【0038】
上述した本実施の形態の説明では、図4(A)に示すように、押圧荷重が所定の基準Pthを満たした時点(1)では、所定の動作がまだ開始していないことを示すため、触感呈示部13による触感を呈示していない。しかしながら、図4(B)に示すように、押圧荷重が所定の基準Pthを満たした時点(1)においても、キー等に対する最初の入力を受け付けたことを(すなわち所定の時間T1のカウントが開始されたことを)示すために、触感を呈示してもよい。この場合、時点(1)において呈示する触感と、時点(2)において呈示する触感とは、同じ触感を呈示するようにしてもよいし、異なる触感を呈示してもよい。時点(1)と時点(2)とで異なる触感を呈示する場合、例えば、時点(1)においては、キー等を押下した際の感触としてクリック触感を呈示し、時点(2)においては、キーロックが実行されたことを示す、クリック触感とは異なる触感を呈示することができる。
【0039】
操作者に対してリアルなクリック触感を呈示するためには、入力装置1は、以下のような動作を行うことにより、操作者の圧覚を刺激した状態で触覚を刺激する。すなわち、入力装置1は、タッチセンサ11に加わる荷重が、触感を呈示する基準(例えば1N)を満たすまでは、圧覚を刺激するようにし、荷重が当該基準を満たすと、圧電振動子32を所定の駆動信号で駆動してタッチ面11aを振動させて触覚を刺激する。これにより、入力装置1は、押しボタンスイッチ(プッシュ式ボタンスイッチ)のようなボタンスイッチを押した際に得られるのと同様なクリック触感を、操作者に呈示することができる。したがって、操作者は、タッチセンサ上部に描画された押しボタンスイッチであっても、現実の押しボタンスイッチを操作した場合と同様のリアルなクリック触感を得ながら、タッチセンサ11に対して入力操作を行うことができるので、違和感を覚えることがない。また、タッチセンサ11を「押した」という意識との連動で入力操作を行うことができるので、単なる押圧による入力ミスも防止することができる。
【0040】
上述したクリック触感を呈示する際の駆動信号、すなわち触覚を刺激する一定周波数、周期(波長)、波形、振幅は、呈示するクリック触感に応じて適宜設定することができる。例えば、携帯端末に使用されているメタルドームスイッチに代表されるクリック触感を呈示する場合、上記の時点(1)で、例えば、170Hzの一定周波数のSin波からなる1周期分の駆動信号により触感呈示部13を駆動する。このような駆動信号により触感呈示部13を駆動させて、タッチ面11aを、基準の押圧荷重Pthが加わった状態で、約15μm振動させる。これにより、実際のキーをクリックした場合のような、リアルなクリック触感を操作者に呈示することができる。
【0041】
このように、本実施の形態によれば、操作者は、入力装置1のタッチセンサ11のタッチ面に対して長押し入力をすることで、キーロック/キーロック解除の機能が正しく実行されたか否かを、当該タッチ面によって認識することができる。また、本実施の形態によれば、荷重検出部12が所定の基準の荷重を検出しても、当該荷重が検出された状態で所定の時間が経過しないと、キーロック/キーロック解除の機能を実行しない。したがって、例えば、入力装置1のタッチセンサ11のタッチ面に意図せず何かが触れてしまい、所定の基準の荷重Pthがかかってしまった場合でも、勝手にキーロックが解除されて不所望な動作が行われるという不都合は解消される。
【0042】
(第2実施の形態)
次に、本発明の第2実施の形態に係る入力装置について説明する。第2実施の形態に係る入力装置2は、第1実施の形態にて説明した入力装置1と同じ構成により実施することができ、第1実施の形態における動作を一部変更するものである。したがって、第1実施の形態と同じ内容になる説明は、適宜省略する。
【0043】
図7は、本実施の形態に係る入力装置2の動作を示すフローチャートである。第2実施の形態に係る入力装置2は、上述の第1実施の形態において、タッチ入力の押圧荷重が所定の基準を満たす状態で所定の時間が経過した後の所定の動作を、当該入力が続く限り連続して実行する。なお、図7に示すフローチャートにおいては、本実施の形態の適用例として、タッチパネル等のタッチセンサを有する携帯電話等の携帯端末において、タッチ入力による文字入力のオートリピートの機能を想定して説明する。
【0044】
本実施の形態に係る入力装置の動作が開始すると、第1実施の形態と同様に、制御部15は、タッチセンサ11への入力を監視するとともに、荷重検出部12で検出される荷重を監視する。ステップS31において、タッチセンサ11への指やスタイラスペン等の押圧対象(押圧物)による入力(タッチ入力)が表示部14に表示された入力用オブジェクトに対する入力であるのを検出した場合、ステップS32に移行する。なお、本実施の形態における入力用オブジェクトは、長押しによりオートリピート機能が開始するキー等のオブジェクトとする。
【0045】
ステップS32においては、制御部15は、荷重検出部12により検出される押圧荷重が、タッチセンサ11の押圧によって増加しながら所定の基準を満たしたか否かを判定する。ステップS32においてタッチセンサ11に対する入力が検知されていても、荷重検出部12により検出される押圧荷重が所定の基準を満たしていない場合、本実施の形態による動作は行わない。
【0046】
ステップS32において所定の基準を満たす押圧荷重を検出したら、制御部15は、触感呈示部13を所定の駆動信号で駆動して、タッチセンサ11を予め設定した所定の振動パターンで振動させて触感を呈示する(ステップS33)。この場合、文字を出力する際の触感の呈示であるため、キー等を押下した際の感触としてクリック触感を呈示するのが好適である。
【0047】
ステップS33において触感を呈示したら、制御部15は、タッチセンサ11からの位置情報に基づいて、入力位置に対応するオブジェクトを検出し、当該オブジェクトが文字入力に係るものである場合、対応する文字を出力する(ステップS34)。すなわち、タッチセンサ11からの位置情報に基づいて、表示部14上で例えば数字「2」のキーのオブジェクトに対する入力であると判定したら、制御部15は、当該入力に応じて、数字「2」を出力して表示するように表示部14を制御する。
【0048】
ステップS34において文字を出力したら、制御部15は、押圧荷重が所定の基準を満たす状態で所定の時間が経過したか否かを判定する(ステップS35)。本実施の形態における所定の時間は、最初の入力からオートリピートの機能が開始するまでの時間間隔として適当な時間、例えば1秒などの時間を、予め設定する。ステップS35において所定の時間がまだ経過していない場合、制御部15は、荷重検出部12が所定の基準を満たす押圧荷重の検出をまだ維持しているか否かを判定する(ステップS36)。ステップS36において、所定の基準を満たす押圧荷重の検出が維持されていない場合は、本実施の形態の動作を終了する。一方、ステップS36において、所定の基準を満たす押圧荷重の検出をまだ維持している場合、ステップS35に戻り、押圧荷重が所定の基準を満たす状態で所定の時間が経過したか否かを判定する。
【0049】
一方、ステップS35において押圧荷重が所定の基準を満たす状態で所定の時間が経過した場合、制御部15は、触感を呈示して(ステップS37)、文字を出力する(ステップS38)。なお、ステップS37における触感の呈示はステップS33と同様の動作であり、ステップS38における文字の出力はステップS34と同様の動作である。ステップS37で呈示する触感は、ステップS33で呈示する触感と同じにしてもよいし、オートリピートが実行されていることを示すため、ステップS33とは異なる態様の触感としてもよい。
【0050】
ステップS38において文字を出力したら、制御部15は、荷重検出部12が所定の基準を満たす押圧荷重の検出をまだ維持しているか否かを判定する(ステップS39)。ステップS39において、所定の基準を満たす押圧荷重の検出が維持されていない場合は、本実施の形態の動作を終了する。
【0051】
一方、ステップS39において、所定の基準を満たす押圧荷重の検出がまだ維持されている場合、制御部15は、押圧荷重が所定の基準を満たす状態で第2の所定の時間であるリピート間隔が経過したか否かを判定する(ステップS40)。このリピート間隔は、オートリピートの機能が実行中に文字が連続して出力される時間間隔であり、通常は、上記所定の時間よりも短い例えば0.2秒などの時間間隔を、予め設定する。
【0052】
ステップS40においてリピート間隔の時間がまだ経過していない場合、ステップS39に戻り、制御部15は、荷重検出部12が所定の基準を満たす押圧荷重の検出をまだ維持しているか否かを判定する(ステップS39)。一方、ステップS40においてリピート間隔の時間が経過した場合、制御部15は、触感を呈示して(ステップS37)、文字を出力する(ステップS38)。以後、所定の基準を満たす押圧荷重の検出が維持されている限り、上記動作を繰り返す。すなわち、本実施の形態では、制御部15は、押圧荷重が所定の荷重基準Pthを満たす状態で継続している間、タッチセンサ11のタッチ面を押圧している押圧対象に対して繰り返し触感を呈示するように、触感呈示部13を制御する。
【0053】
図8は、本実施の形態に係る入力装置2がタッチ入力を受け付けてから触感を呈示する動作の様子の例を説明する図である。図8のグラフにおいて記号等が表す意味は、図4で説明したものと同様である。
【0054】
図8(A)に示す例において、タッチセンサ11がタッチ入力を受け付けて荷重検出部12が押圧荷重を検出した時点から、グラフの曲線が開始している。図8(A)に示すように、荷重検出部12により検出される押圧荷重が、タッチセンサ11の押圧によって増加しながら所定の基準Pthを満たした時点(1)から、制御部15により所定の時間T1のカウントが開始される。なお、本実施の形態においては、図8(A)に示すように、押圧荷重が所定の基準Pthを満たした時点(1)で、最初の文字を出力したことを示すため、触感呈示部13による触感を呈示する。また、この時点(1)において、入力を受け付けたキー等に対応する文字を表示部14に表示する。すなわち、例えば数字「2」のキーのオブジェクトに対する入力であれば、当該入力に応じて、数字「2」を出力する。その後、制御部15は、所定の時間T1の経過までカウントを進める。
【0055】
図8(A)に示すように、押圧荷重が所定の基準Pthを満たした時点(1)から所定の時間T1が経過した時点(2)において、再び文字を出力したことを示すため、触感呈示部13による触感を呈示する。本実施の形態においては、時点(2)において呈示する触感は、時点(1)と同様に文字を出力した旨の意味を有するため、時点(1)において呈示した触感と同じ触感とするのが好適である。しかしながら、時点(2)において、オートリピートの機能が実行中であることを示すため、時点(1)とは異なる触感を呈示することもできる。また、この時点(2)において、入力を受け付けたキー等に対応する文字を表示部14に表示する。
【0056】
この後、制御部15は、第2の所定の時間であるリピート間隔T2の経過までカウントを進める。図8(A)に示すように、時点(2)からリピート間隔T2が経過した時点(3)において、再び文字を出力したことを示すため、触感呈示部13による触感を呈示する。また、この時点(3)においても、入力を受け付けたキー等に対応する文字を出力する。以後、押圧荷重が所定の基準Pthを満たしている限り、時点(4)、(5)、(6)、(7)において、触感呈示部13による触感を呈示して表示部14に文字を順次表示する。
【0057】
図8(B)は、本実施の形態に係る入力装置2による動作の他の例を説明する図である。図8(B)に示す例においては、タッチセンサ11がタッチ入力を受け付けて荷重検出部12が押圧荷重を検出した時点(1)から、所定の時間T1が経過した時点(2)までは図8(A)と同様である。
【0058】
また、時点(2)以降、リピート間隔T2が経過した時点(3)、(4)、(5)、(6)までも、図8(A)と同様であるが、その後、第3の所定の時間であるリピート間隔T3の経過までカウントを進める。図8(B)に示す例においては、リピート時間T3は、リピート時間T2よりも短い時間間隔としている。以後、押圧荷重が所定の基準Pthを満たしている限り、リピート時間T3ごとに、時点(7)、(8)、(9)、(10)、(11)において、触感呈示部13による触感を呈示して表示部14に文字を順次表示する。すなわち、図8(B)に示す例は、オートリピートの機能による文字の出力の動作が、段階的に速くなるようにしたものである。このように、本実施の形態に係る入力装置2においては、必要に応じて、オートリピートの機能による文字の出力の動作が段階的に変化するようにもできる。このように、オートリピートの機能による文字の出力の速度を途中で切り換える場合、当該切り換えの時点を、文字の出力回数やキー等の押圧時間などをパラメータとして、適当に設定する。
【0059】
図9は、本実施の形態に係る入力装置2によるオートリピート機能の動作の様子を例示する図である。
【0060】
図9(A)に示す入力装置2は、表示部14にテンキー等のオブジェクトを表示して、これらオブジェクトの位置に対応するタッチセンサ11のタッチ面に対して、操作者の操作入力を受け付ける。この入力装置2は、テンキーに対する操作者のタッチ入力を受け付けて、各数字キーに対応する数字を出力する。例えば、入力装置2において、表示部14に表示された数字キーの「3」の位置に対応する、タッチセンサ11のタッチ面に対するタッチ入力を一瞬行った場合(いわゆる「短押し」)、押圧荷重が所定の基準Pthを満たしていれば、数字「3」を1回出力する。
【0061】
一方、図9(A)に示すように、操作者によって、表示部14に表示された数字キーの「3」の位置に対応するタッチセンサ11のタッチ面が、所定の基準を満たす押圧荷重によって押圧されると、入力装置2は、数字「3」を1回出力して表示部14に表示する。この時、所定の基準を満たす押圧荷重が検出されたことにより、入力装置2は、触感呈示部13による触感を呈示する。これにより、操作者は、文字が正しく出力されたことを、入力を行っているタッチセンサ11によって認識することができる。
【0062】
その後、操作者によって、タッチセンサ11のタッチ面が所定の基準以上の押圧荷重によって所定の時間T1以上押圧されると、入力装置2はオートリピートを開始し、次の文字である数字「3」を出力して表示部14に表示する。この時、所定の基準を満たす押圧荷重が所定時間T1以上検出されたことにより、入力装置2は、触感呈示部13による触感を呈示する。これにより、操作者は、オートリピートが開始して次の文字が正しく出力されたことを認識することができる。
【0063】
さらにその後、タッチセンサ11のタッチ面が所定の基準以上の押圧荷重によって所定の時間T2以上押圧されると、入力装置2は、継続するオートリピートにより、次の文字である数字「3」を出力して表示部14に表示する。この時、所定の基準を満たす押圧荷重が所定時間T2以上検出されたことにより、入力装置2は、触感呈示部13による触感を再び呈示する。これにより、操作者は、オートリピートが継続して次の文字が正しく出力されたことを認識することができる。
【0064】
以後、タッチセンサ11のタッチ面が所定の基準以上の押圧荷重によって所定の時間T2の間押圧されるごとに、入力装置2は、次の文字である数字「3」を連続的に出力して表示部14に表示して、触感呈示部13による触感を繰り返し呈示する。これにより、操作者は、押下したキーによって、文字が連続して正しく出力されていることを認識することができる。なお、図9(B)は、上述のように所定の基準Pth以上の押圧荷重が維持されたまま、所定の時間T1経過後に、所定の時間T2の経過が連続して3回検出されたことにより、表示部14には、「3」の文字が合計4つ表示されている様子を表している。同様に、図9(C)は、所定の基準Pth以上の押圧荷重が維持されたまま、所定の時間T1経過後に、所定の時間T2の経過が連続して9回検出されたことにより、表示部14には、「3」の文字が合計10個表示されている様子を表している。
【0065】
このように、本実施の形態によれば、荷重検出部12が所定の基準を満たす押圧荷重を検出し続ける間、オートリピートの入力を行うことができるとともに、当該オートリピートの機能が実行されている間、操作者の指などに触感を呈示する。これにより、操作者は、表示されたキーに対応するタッチ面に対する長押しを継続することにより、オートリピートの機能が正しく実行されているか否かを、当該タッチ面によって認識することができる。
【0066】
(第3実施の形態)
次に、本発明の第3実施の形態に係る入力装置について説明する。第3実施の形態に係る入力装置3は、第1実施の形態にて説明した入力装置1と同じ構成により実施することができ、第2実施の形態における動作を一部変更するものである。したがって、第1および第2実施の形態と同じ内容の説明は、適宜省略する。
【0067】
図10は、本実施の形態に係る入力装置3の動作を示すフローチャートである。第3実施の形態に係る入力装置3は、上述の第2実施の形態において、周期的な反復動作が1周して元の動作を再び実行する際に、第2実施の形態の触感とは異なる態様の触感を呈示する。なお、図10に示すフローチャートにおいては、本実施の形態の適用例として、タッチパネル等のタッチセンサを有する携帯電話等の携帯端末において、タッチ入力による文字入力を行う際のマルチタップ入力を想定して説明する。
【0068】
「マルチタップ」とは、例えばテンキーの数字キー等に、それぞれ平仮名の各行(例えば「あ行(=あ・い・う・え・お)」や「か行(=か・き・く・け・こ)」)などの複数の文字(文字群)を割り当てて、それらのキーに対する押下入力を受け付ける入力方式である。この入力方式では、同一のキーに対する複数回の連続した押下入力を受け付けると、その押下回数に応じて、各キーに割り当てられた複数の文字を、順次切り換えて表示する。
【0069】
すなわち、例えば、ユーザが「あ行」のキーを1回押下すると「あ」が入力され、2回連続で押下すると「あ」が「い」に変化して入力され、3回連続だと「あ」→「い」→「う」のように変化して入力される。このように、ユーザが、同じキーを連続して押下すると、キーを押すごとに順番に次の文字が現れる。このマルチタップ入力方式は、「かなめくり」、「トグル打ち」などとも称されるが、本願では「マルチタップ」と記す。
【0070】
図10に示すように、第3実施の形態に係る入力装置3の動作を示すフローチャートは、図7に示した第2実施の形態において、ステップS35の後にステップS51を、ステップS51の後にステップS52を追加したものである。その他の動作については、上述した第2実施の形態と同様である。
【0071】
第3実施の形態は、第2実施の形態で説明したオートリピートによる連続入力を、マルチタップによる文字入力に適用するものである。したがって、所定の基準Pthを満たす押圧荷重を検出したら(ステップS32)、制御部15は、触感呈示部13を所定の駆動信号で駆動して、タッチセンサ11を予め設定した所定の振動パターンで振動させて触感を呈示する(ステップS33)。この場合も、第2実施の形態と同様に、文字を出力する際の触感の呈示であるため、キー等を押下した際の感触としてクリック触感を呈示するのが好適である。しかしながら、後述するように、第2実施の形態で説明したクリック触感とは異なる態様の触感を呈示してもよい。
【0072】
ステップS33において触感を呈示したら、制御部15は、タッチセンサ11からの位置情報に基づいて、入力位置に対応するオブジェクトを検出し、当該オブジェクトが文字入力に係るものである場合、対応する文字を出力する(ステップS34)。なお、本実施の形態における入力用オブジェクトは、仮名文字の各「行」を構成する文字が割り当てられたキー等のオブジェクトとする。すなわち、タッチセンサ11からの位置情報に基づいて、表示部14上で例えば「あ行」のキーのオブジェクトに対する初回の入力であると判定したら、制御部15は、当該入力に応じて、「あ行」最初の「あ」の文字を出力して表示するように表示部14を制御する。
【0073】
ステップS34において文字を出力したら、制御部15は、押圧荷重が所定の基準を満たす状態で所定の時間T1が経過したか否かを判定する(ステップS35)。本実施の形態における所定の時間T1は、最初の入力から、長押しによるマルチタップの連続入力の機能が開始するまでの時間間隔として適当な時間、例えば1秒などの時間を、予め設定する。ステップS35において押圧荷重が所定の基準を満たす状態で所定の時間T1が経過した場合、制御部15は、次の文字を表示する動作が、周期後の元の動作であるか否かを判定する(ステップS51)。すなわち、ステップS51において、制御部15は、次に表示すべき文字が仮名文字の各行の最初の文字であるか否かを判定する。マルチタップ入力方式においては、例えば「あ行」の最初の文字は「あ」の文字である。このマルチタップ入力方式においては、「あ行」の仮名文字は、入力のたびに「あ・い・う・え・お」の順に1つずつ文字を表示し、これらの仮名文字が1周すると(つまり「お」の文字の次は)、周期後の元の動作として、再び「あ」の文字を表示する。
【0074】
ステップS51において、次の文字を表示する動作が、周期後の元の動作(例えば再び「あ」の文字を表示する動作)ではない場合、制御部15は、第2実施の形態と同様の触感を呈示して(ステップS37)、次の文字を出力する(ステップS38)。この場合、以後の動作は第2実施の形態と同じであり、制御部15は、荷重検出部12が所定の基準を満たす押圧荷重の検出をまだ維持しているか否かを判定する(ステップS39)。ステップS39において、所定の基準を満たす押圧荷重の検出が維持されていない場合は、本実施の形態の動作を終了する。
【0075】
一方、ステップS39において、所定の基準を満たす押圧荷重の検出がまだ維持されている場合、制御部15は、押圧荷重が所定の基準を満たす状態でリピート間隔T2が経過したか否かを判定する(ステップS40)。本実施の形態のリピート間隔は、長押しによるマルチタップの連続入力が実行中に文字が連続して出力される時間間隔であり、通常は、上記所定の時間T1よりも短い例えば0.2秒などの時間間隔を、予め設定する。ステップS40においてリピート間隔の時間T2がまだ経過していない場合、ステップS39に戻り、制御部15は、荷重検出部12が所定の基準を満たす押圧荷重の検出をまだ維持しているか否かを判定する(ステップS39)。
【0076】
また、ステップS40においてリピート間隔の時間T2が経過した場合、ステップS51に戻り、制御部15は、次の文字を表示する動作が、周期後の元の動作(例えば再び「あ」の文字を表示する動作)であるか否かを判定する。
【0077】
ステップS51において、次の文字を表示する動作が、周期後の元の動作である場合、制御部15は、第2実施の形態とは異なる触感を呈示してから(ステップS52)、ステップS38に移行して、さらに次の文字を出力する。つまり、押圧荷重が所定の荷重基準を満たす状態で継続している間、周期的な反復動作が1周して元の動作が再び実行される際に、制御部15は、タッチセンサ11のタッチ面を押圧している押圧対象に対して、触感を呈示するように触感呈示部13を制御する。本実施の形態において、「周期的な反復動作」とは、マルチタップの入力方式による文字の入力動作を意味する。このステップS52においては、制御部15は、触感呈示部13が第2実施の形態による繰り返し呈示する触感(例えばクリック触感)とは異なる態様の触感、例えばクリック触感よりも強め(または長め)の触感を呈示するように制御する。
【0078】
図11は、本実施の形態に係る入力装置3がタッチ入力を受け付けてから触感を呈示する動作の様子の例を説明する図である。図11のグラフにおいて記号等が表す意味は、図4で説明したものと同様である。
【0079】
図11に示す例において、タッチセンサ11がタッチ入力を受け付けて荷重検出部12が押圧荷重を検出した時点から、グラフの曲線が開始している。図8(A)に示すように、荷重検出部12により検出される押圧荷重が、タッチセンサ11の押圧によって増加しながら所定の基準Pthを満たした時点(1)から、制御部15により所定の時間T1のカウントが開始される。なお、本実施の形態においても、図11に示すように、押圧荷重が所定の基準Pthを満たした時点(a)で、最初の文字を表示したことを示すため、触感呈示部13による触感を呈示する。また、この時点(a)において、入力を受け付けたキー等に対応する文字を表示部14に表示する。すなわち、例えば「あ行」のキーのオブジェクトに対する入力であれば、当該入力に応じて、最初の文字「あ」を出力する。その後、制御部15は、所定の時間T1の経過までカウントを進める。
【0080】
図11に示すように、押圧荷重が所定の基準Pthを満たした時点(a)から所定の時間T1が経過した時点(b)において、次の文字を表示したことを示すため、触感呈示部13による触感を呈示する。本実施の形態においても、時点(b)において呈示する触感は、時点(a)と同様に文字を出力した旨の意味を有するため、時点(a)において呈示した触感と同じ触感とするのが好適である。また、この時点(b)において、入力を受け付けたキー等に対応する文字を表示部14に表示する。図11に示すように、時点(a)において表示していた文字が「あ」であれば、時点(b)においては次の文字「い」に変更して表示する。
【0081】
この後、制御部15は、リピート間隔T2の経過までカウントを進める。図11に示すように、時点(b)からリピート間隔T2が経過した時点(c)において、再び次の文字を表示したことを示すため、触感呈示部13による触感を呈示する。また、この時点(c)においても、入力を受け付けたキー等に対応する文字を出力する。時点(b)において表示していた文字が「い」であれば、時点(c)においては次の文字「う」に変更して表示する。以後、押圧荷重が所定の基準Pthを満たしている限り、時点(d)、(e)、(a’)、(b’)、…において、触感呈示部13による触感を呈示して、表示部14の文字を、「え」、「お」、「あ」、「い」のように、順次変更して表示する。
【0082】
なお、時点(a’)においては、文字を表示する動作が、「あ行」について、1周期後の元の動作(「あ」の文字の表示)となる。すなわち、次に表示すべき文字が仮名文字の各行の最初の文字に戻る。このような場合、制御部15は、第2実施の形態とは異なる触感を呈示する(ステップS52)。つまり、制御部15は、周期的な反復動作が1周して元の動作が再び実行される際、タッチセンサ11のタッチ面を押圧している押圧対象に対して、第2実施の形態による繰り返し呈示する触感とは異なる態様の触感を呈示するように触感呈示部13を制御する。
【0083】
例えば、図11において、時点(a’)の位置に記す上向きの矢印により触感を呈示するタイミングを示すように、触感呈示部13が、タッチセンサ11のタッチ面を、前後の時点(e)および時点(b’)よりも強め(または長め)に振動させることができる。時点(a’’)の位置においても同様に、触感呈示部13が、タッチセンサ11のタッチ面を、前後の時点(e’)および時点(b’’)よりも強め(または長め)に振動させることができる。なお、図11に示す例においては、操作者がタイミングを間計らって、時点(b’’)において「い」の文字が3周期目に表示された時点で、押圧荷重を弱めてタッチセンサ11のタッチ面から指などを離した様子を示している。
【0084】
このように、本実施の形態によれば、荷重検出部12が所定の基準を満たす押圧荷重を検出し続ける間、マルチタップの入力方式により文字入力を行うことができる。それとともに、本実施の形態によれば、当該マルチタップの機能が実行されている間、表示部14に表示される文字が変更されるたびに、操作者の指などに触感を呈示する。これにより、操作者は、表示されたキーに対応するタッチ面に対する長押しを継続することにより、マルチタップの文字入力の機能が正しく実行され、表示部14に表示される文字が変更されていることを、当該タッチ面によって、認識することができる。
【0085】
さらに、本実施の形態によれば、マルチタップの文字入力によって仮名文字の各「行」における文字が1周して最初の文字が再び表示される際には、その前後の文字が表示される際とは異なる触感を呈示する。これにより、操作者は、仮名文字の各「行」における文字が1周して最初の文字が再び表示されたことを、当該タッチ面によって、認識することができる。
【0086】
なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変形または変更が可能である。例えば、上述した各実施の形態においては、動作が行われる際に音声を発生させるか否かについては言及していない。しかしながら、上記各実施の形態による動作と共に、当該動作と連動する音声を適宜発生させるようにすれば、入力装置の操作性をさらに向上させ、誤入力の発生を一層低減することができる。
【0087】
また、上述した各実施の形態における荷重検出部は、任意の個数の歪みゲージセンサを用いて構成することができる。さらに、荷重検出部は、タッチセンサにおける入力検出方式に応じて、例えば、抵抗膜方式の場合には、接触面積による抵抗変化に基づく出力信号の変化から荷重が検出できれば、歪みゲージセンサを用いることなく構成することができる。あるいは、静電容量方式の場合には、静電容量の変化に基づく出力信号の変化から荷重が検出できれば、歪みゲージセンサを用いることなく構成することができる。
【0088】
また、触感呈示部は、任意の個数の圧電振動子を用いて構成したり、タッチセンサの全面に透明圧電素子を設けて構成したり、触感を呈示する振動を表現できるのであれば、偏心モータを駆動信号の1周期で1回転させるようして構成したり、することもできる。さらに、荷重検出部および触感呈示部は、圧電素子を用いて構成する場合は、圧電素子を共用して荷重検出部および触感呈示部を構成することもできる。
【0089】
また、本発明に係る入力装置は、荷重検出部により検出される押圧荷重が、触感を呈示する基準を満たした際に、触感呈示部を駆動させる。しかしながら、上記荷重検出部により検出される押圧荷重が触感を呈示する基準を満たした際とは、荷重検出部により検出される押圧荷重が触感を呈示する基準値に達した際であってもよいし、荷重検出部により検出される押圧荷重が触感を呈示する基準値を超えた際でもよい。また、荷重検出部により触感を呈示する基準値が検出された際でもよい。
【符号の説明】
【0090】
11 タッチセンサ
11a タッチ面
12 荷重検出部
13 触感呈示部
14 表示部
15 制御部
21 筐体
21 液晶パネル
22 インシュレータ
23 アッパカバー
24 インシュレータ
31 歪みゲージセンサ
32 圧電振動子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力を受け付けるタッチセンサと、
前記タッチセンサのタッチ面に対する押圧荷重を検出する荷重検出部と、
前記タッチ面を振動させる触感呈示部と、
前記荷重検出部により検出される押圧荷重が、所定の荷重基準を満たす状態で所定期間継続した際に、前記タッチ面を押圧している押圧対象に対して触感を呈示するように前記触感呈示部を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする入力装置。
【請求項2】
入力を受け付けるタッチセンサと、
前記タッチセンサのタッチ面に対する押圧荷重を検出する荷重検出部と、
前記タッチ面を振動させる触感呈示部と、
を備える入力装置の制御方法であって、
前記荷重検出部により検出される押圧荷重が、所定の荷重基準を満たす状態で所定期間継続した際に、前記タッチ面を押圧している押圧対象に対して触感を呈示するように前記触感呈示部を制御する、ことを特徴とする入力装置の制御方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−48848(P2011−48848A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−241417(P2010−241417)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【分割の表示】特願2009−197070(P2009−197070)の分割
【原出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】