説明

入力装置及びそれを備えた電子機器

【課題】本発明は、アナログスイッチ入力機能を有する部分に連続的なアナログ入力の大小検出に加えてオンオフのスイッチ機能を付加することでスイッチ機能の操作感に優れた入力装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、1つ以上の抵抗体又は電極を対になるように備えたシートから第1のメンブレンシート13が構成され、対になる電極どうしを相互に間隔をあけて対向配置して第2のメンブレンシート12が構成され、これら両メンブレンシートが積層され、それらの間にメタルコンタクト片25を介挿し、前記メンブレンシートの外方に前記第1または第2のシートもしくは前記メタルコンタクト片を部分的に押圧し変形させて前記メンブレンシートに内蔵された対になる抵抗体どうしを接触させる突起部を備えた操作部材7を配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯電話などの携帯用電子機器の入力装置として好適な入力装置に関し、特に、シートを押圧操作した際の操作方向と操作した力の強さを入力可能な入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話等の携帯用電子機器の入力装置において、図10に示すように左右上下に4個の抵抗体100、101、102、103を配置してなる4方向入力部105と、縦横に整列形成された複数の(図10では3×4個の)スイッチ入力部106を備えたプリント基板等のシート107を備えたものが知られている。
前記スイッチ入力部106は例えば図11に断面構造を示すように、プリント基板等のシート107上に固定接点108、109、108が離間して設けられ、固定接点108、108を橋渡しするようにドーム型の金属片からなるメタルコンタクト片110が設けられ、メタルコンタクト片110の上にコンタクトシート111とキートップ112が積層されてスイッチ接点115が構成されている。先のキートップ112のメタルコンタクト片側には凸部113が形成され、キートップ112が上下動自在に構成されているので、使用者はキートップ112を指で押圧することで凸部113を介してメタルコンタクト片110を弾性変形させ、変形したメタルコンタクト片110が固定接点108、109を接続することでスイッチが入るように、即ちスイッチとしての導通状態になるように構成されている。
【0003】
また、4方向入力部105は、例えば図12に示すようにプリント基板等のシート107の抵抗体101上に突起状の導電ゴム115が弾性体層116とキートップ117に支持された状態で設けられ、使用者がキートップ117を指で押圧して導電ゴム115を抵抗体101に押し付けることで導通がなされるとともに、押圧する力に応じて導電ゴム115と抵抗体101との接触面積が変化して抵抗体101の両端部の抵抗値が変化する。そして、キートップ117を押圧する力が大きくなればなるほど、導電ゴム115と抵抗体101との接触面積が広くなり、接触面積が広くなれば抵抗体101の両端間の抵抗値の変化量(減少分)が大きくなるので、この抵抗値の変化量を検出することにより、キートップ117を押圧する力をアナログ的に連続算出することができる。
【特許文献1】特開平1−221828号公報
【特許文献2】特開昭59−151029号公報
【特許文献3】特開2000−348574号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の入力装置においてスイッチ入力部106ではスイッチ入力が入いろうとする瞬間にメタルコンタクト片110が撓んで変形する時の操作感を使用者が感じることができるので、入力操作感に優れたスイッチ機構を提供することができる利点を有している。
しかしながら、先の入力装置において4方向入力部においては導電ゴム115の弾性変形に起因する抵抗力が使用者に伝わるのみであり、アナログ入力時の入力感覚が使用者に伝わり難く、操作感に乏しいスイッチ機構であった。
【0005】
本発明の目的は、アナログスイッチ入力機能を有する部分に連続的なアナログ入力の大小検出に加えてオンオフのスイッチ機能を付加することでスイッチ機能の操作感に優れた入力装置を提供することを目的とする。
また、本発明の目的は、アナログスイッチ入力機能を有する部分に連続的なアナログ入力の大小検出に加えてオンオフのスイッチ機能を付加し、スイッチ機能の操作感に優れた上にスイッチの配置をできるだけ小さい面積に収納してコンパクト化を図ることができる入力装置を提供することを目的とする。
更に本発明の目的は、アナログスイッチ入力機能を有する部分に連続的なアナログ入力の大小検出に加えてオンオフのスイッチ機能を付加することでスイッチ機能の操作感に優れるとともに、アナログスイッチ機能の制御に入力モードとスリープモードを導入してスリープモード時に省電力化した構成の入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の入力装置は前記課題を解決するために、電子機器の各種の入力操作に応じた画像を前記電子機器が備える表示パネルに表示させながら、前記電子機器への入力操作を行うための入力装置であって、複数の抵抗体又は電極を備えた第1のシートと、複数の電極又は抵抗体を備えた第2のシートとを、相互に間隔をあけて互いの対となる抵抗体と電極とを対向させて配置してなる第1のメンブレンシートと、複数の電極を備えた第3のシートと、複数の電極を備えた第4のシートとを、相互に間隔をあけて互いの対となる電極どうしを対向させて配置してなる第2のメンブレンシートと、前記第1のメンブレンシートの対となる抵抗体と電極との接点と、前記第2のメンブレンシートの対となる電極どうしの接点との位置を合わせて、前記第1のメンブレンシートと前記第2のメンブレンシートとが積層されるとともに、前記第1のメンブレンシートの上に配置されて、前記位置合わせされた各接点と平面視で重なる位置を部分的に押圧するためのスイッチ入力部を構成し且つ弾性体からなる複数の突起部を備えた操作部材とを具備し、前記操作部材の何れかのスイッチ入力部を押圧操作することによって、前記突起部を前記第1のメンブレンシートに押し付けて弾性変形させながら、前記第1のメンブレンシートを撓ませて、前記第1のメンブレンシートの対となる抵抗体と電極とを接触させると共に、前記突起部を前記第1のメンブレンシートに押し付ける力の大小により前記第1のメンブレンシートの対となる抵抗体と電極との接触面積が調整自在とされてなるアナログ入力によって、前記表示パネルに表示される表示画面又はカーソルの移動を制御し、この状態から更に前記操作部材に対する押圧力を高めることで、前記第1及び第2のメンブレンシートを撓ませて、前記第2のメンブレンシートの対となる電極どうしを接触させるスイッチ入力によって、前記表示画面の特定位置での選択を制御することを特徴とする。
【0007】
本発明の入力装置は前記課題を解決するために、前記表示パネルの表示画面に地図が表示される場合に、前記アナログ入力によって前記地図上におけるカーソルの移動を制御し、前記スイッチ入力によって前記地図上における特定位置の選択を制御することで、当該特定位置の拡大地図が前記表示画面に表示されることを特徴する。
【0008】
本発明の入力装置は前記課題を解決するために、前記第1のメンブレンシートと前記第2のメンブレンシートとの間の前記位置合わせされた接点と平面視で重なる位置に各々介挿されて、凸面側を前記第1のメンブレンシート側に向けたドーム型の複数のメタルコンタクト片を備え、前記アナログ入力操作と同時に、前記操作部材に対する押圧力を高めることで、前記第1及び第2のメンブレンシートを撓ませて、前記メタルコンタクト片を下側に凸となるように弾性変形させ、これに伴うクリック感を得ることを特徴する。
【0009】
本発明の入力装置は前記課題を解決するために、前記第1のメンブレンシートの対となる抵抗体と電極との接点が、その基準位置を平面視的に囲む点対称位置に、少なくとも周回りに90゜間隔で4つ配置され、前記第2のメンブレンシートの対となる電極どうしの接点が、その基準位置を平面視的に囲む点対称位置に、少なくとも周回りに90゜間隔で4つ配置され、互いの接点の位置を合わせて前記第1のメンブレンシートと前記第2のメンブレンシートとが積層されることを特徴する。
【0010】
本発明の入力装置は前記課題を解決するために、第1及び第2の出力端子と、アナログ電圧入力端子とを具備する制御部が設けられ、前記対になる抵抗体と電極又は抵抗体どうしからなるスイッチ入力部が4つブリッジ接続され、前記第1の出力端子が前記ブリッジ接続部分の一部に接続され、前記第2の出力端子が前記電極又は抵抗体に接続されるとともに抵抗体を介して電源に接続され、ブリッジ接続部分の他の一部が接地され、前記アナログ電圧入力端子がブリッジ接続部分の更に他の一部に接続されてなることを特徴とする。
【0011】
本発明の入力装置は前記課題を解決するために、前記制御部が、前記出力端子の印加電圧とアナログ入力端子からの電圧との比較により前記対になる抵抗体と電極又は抵抗体どうしの接触によるアナログ入力を検出する動作モードと、前記第1の出力端子を接地して出力端子を割り込み入力とするスリープモードを有し、前記抵抗体と電極又は抵抗体どうしの接触による波形により前記スリープモードを解除して前記動作モードに切り替え自在にされてなることを特徴とする。
【0012】
本発明の電子機器は前記課題を解決するために、先のいずれかの請求項に記載の入力装置を操作ボタンの底部側に備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように本発明の入力装置によれば、操作部材への押圧力に伴う抵抗体の接触面積の変化によるアナログ入力操作を得ることができると同時に、操作部材への押圧力を高めることでメタルコンタクト片の変形に伴う振動によるクリック感を得ることができ、これによりアナログ入力時の良好な操作感を得ることができる。また、操作部材への押圧力を高めることで変形させたメタルコンタクト片を介してその下側の第2のメンブレンシートの対になる電極を接触させてスイッチ入力機能を奏することができる。
従って良好なアナログ入力感とスイッチ入力感を兼ね備えたスイッチ入力操作感を得ることができる。
また、本発明の入力装置によれば、前記アナログ入力によって表示パネルに表示される表示画面又はカーソルの移動を制御し、前記スイッチ入力によって前記表示画面の特定位置での選択を制御することで、表示パネルにおける表示画面の移動と表示部分の選択の機能を有した電子機器を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に本発明を更に詳細に説明する。
図1は本発明に係る入力装置が備えられた携帯電話(携帯型電子機器)の一形態を示すもので、この形態の携帯電話1は縦長の薄型箱状のケース体2の上面基部側(手前側)に操作パネル部3が形成され、ケース体2の上面先端部側(手先側)に液晶パネル等からなる表示パネル部4が設けられて構成されている。
本実施形態に係る入力装置は、操作パネル部3に内蔵されるもので、操作パネル部3の下部側には縦方向に5個ずつ3列の合計15個の操作ボタン(操作体)5が設けられ、操作パネル部3の上部側には左右上下に間隔をあけて4つの操作ボタン(操作部材)6とこれら4つの操作ボタン6に囲まれた位置にドーナツ盤型の4方向操作ボタン(操作部材)7が設けられ、更に4方向操作ボタン7の中心部に別個に操作ボタン(操作部材)8が設けられている。
【0015】
これらの操作パネル部3の各操作ボタンの底部側に配置されているスイッチシート10の平面形状を図2に示し、そのスイッチシート10の展開状態を図3に示すとともに、4方向操作ボタン7の周縁底部側に配置されている入力装置の1つの断面構造を図4に示し、4方向操作ボタン7の底部周縁側の断面構造を図5に示す。
前記スイッチシート10は操作パネル3の底部側をほぼカバーできる大きさの縦長の第2のメンブレンシート12とこの第2のメンブレンシート12の1/3程度の長さで同幅の第1のメンブレンシート13とが折り畳み自在に連結されてなり、第2のメンブレンシート12の上部側に先の第1のメンブレンシート13を重ねることで構成されている。
【0016】
前記第2のメンブレンシート12には携帯電話1に設けられている複数の操作ボタン5の下に個々に位置する図2に示すスイッチ入力部15が形成されるとともに、第2のメンブレンシート12と第1のメンブレンシート13とが重ねられた部分には4つの操作ボタン6の下に個々に位置する図2に示すスイッチ入力部16が形成され、更に操作ボタン7の下には4つのスイッチ入力部17が、操作ボタン8の下にはスイッチ入力部18がそれぞれ設けられている。
【0017】
前記4つのスイッチ入力部17はドーナツ盤状の操作ボタン7を平面視してその中心まわりの点対称位置に、換言すると、操作ボタン7の周回りに90゜間隔で図2又は図3に示すように配置され、それらの断面構造は図4に示す構造とされている。
操作ボタン7の下面側にはゴム等の弾性体からなる保持層20が設けられ、該保持層20においてスイッチ入力部17の形成位置に位置合わせするように突起部21が形成され、突起部21の先端部21aは断面台型の先細り形状とされている。なお、先端部21aの形状は特にこの形状に限るものではなく、断面丸型のもの、断面楕円型のもの等、種々の形状が適用できる。
【0018】
前記突起部21の下側には図4に示すように上側の第1のシート13aと下側の第2のシート13bとこれらの間に介在されて両シート13a、13bを間隔をあけて対向配置させるスペーサシート13cからなる第1のメンブレンシート13が設けられ、前記スペーサシート13cにおいて前記突起部21に位置合わせされた部分に穴部13dが形成され、この穴部13dを介して第1のシート13aと第2のシート13bとが対向配置されるとともに、第1のシート13aの穴部13d側の面に平面視長方形状のAgパターン等からなる電極(導電体)22が設けられ、第2のシート13bの穴部13d側の面に平面視長方形状のカーボン抵抗等の抵抗体(抵抗層)23が設けられ、電極22と抵抗体23が穴部13dを介して所定の間隔で対向配置させられている。
【0019】
次に、先の第1のメンブレンシート13の下側には上側の第3のシート12aと下側の第4のシート12bとこれらの間に介在されて両シート12a、12bを間隔をあけて対向配置させるスペーサシート12cからなる第2のメンブレンシート12が設けられ、前記スペーサシート12cにおいて前記突起部21に位置合わせされた部分に穴部12dが形成され、この穴部12dを介して第3のシート12aと第4のシート12bとが対向されるとともに、第3のシート12aの穴部12d側の面に平面視長方形状の電極(導電体)22Bが形成され、第4のシート12bの穴部12d側の面に平面視長方形状の電極(導電体)23Bが形成され、互いの電極22B、23Bが穴部12dを介して所定の間隔で対向配置されている。
【0020】
次に、第1のメンブレンシート13と第2のメンブレンシート12との間には例えば金属板をドーム型に打ち抜いて形成されたメタルコンタクト片25がその凸面側を第1のメンブレンシート13側に向け、その中心を穴部12d、13dの中心に位置合わせして介挿されている。なお、図面では略したがこのメタルコンタクト片25は第3のシート12aの上面側に重ねられる粘着層付きの透明接着シートにより第3のシート12aの上面に支持固定されている。
また、前記第2のメンブレンシート12において携帯電話1に備えられている複数の操作ボタン5の下側には個々にスイッチ入力部15が設けられていて、各スイッチ入力部15は第2のメンブレンシート12とメタルコンタクト片25のみから構成されている。更に、複数の操作ボタン6の下側に個々にスイッチ入力部16が設けられ、操作ボタン8の下側にもスイッチ入力部18が設けられているが、スイッチ入力部16、18は第2のメンブレンシート12とメタルコンタクト片25とそれらに重ねられた第1のメンブレンシート13とから構成されている。ここでメタルコンタクト片25の上に重ねされている第1のメンブレンシート13には特に穴部13dや電極22、抵抗体23が備えられていない部分、即ち、第1のシート13aと第2のシート13bとスペーサシート13cとが単に積層された部分が配置されている。
なお、図4に示す断面構造は4つのスイッチ入力部17のうちの1つのみを示した断面図であるので、図4に示すような断面構造のスイッチ入力部17がスイッチ入力部18の周囲に90゜間隔で配置されていることになる。
【0021】
前述の構成において携帯電話1の使用者は必要な操作ボタンを押し付けることで携帯電話の送受信等の各種作業、画像入力等の作業、各種機能選択等の作業を行うことができる。
ここで操作ボタン5あるいは操作ボタン6、8のうちの所望の1つを押し付けた場合、各操作ボタンの下部に形成された突起部により第1のメンブレンシート13を介して第2のメンブレンシート12のメタルコンタクト片15を押し付けることになる。即ち、押し付けたボタンに対する押し付け力が大きくなればメタルコンタクト片25は変形して下側に凸になるように撓むので、メタルコンタクト片25を介して第2のメンブレンシート12側の第3のシート12aを撓ませて電極22Bと電極23Bを接触させることができ、これによりスイッチオンとしてスイッチ入力を行ったことになる。ここでメタルコンタクト片25が変形して撓む場合、使用者の指にはメタルコンタクト片25の変形に伴って生じる振動が伝達されるのでこの振動を指先で把握することでスイッチ入力操作の完了を把握することができ、優れたキー入力感、キークリック感を得ることができる。
【0022】
次に、使用者が操作ボタン7の円周部の一部を押圧すると図4に示す状態から突起部21が第1のメンブレンシート13に当接して第1のシート13aを変形させ、第1のシート13側の電極22を抵抗体23側に押し付けるとともに、操作ボタン7の押圧力の変化に応じて電極22と抵抗体23との接触面積を変化させることができるので、電極22、抵抗体23の両端部間の抵抗値の変化量を検出することで操作ボタン7の押圧力を算出してアナログ入力装置として使用することができる。即ち、操作ボタン7への押し付け力の大小に応じたアナログ入力出力を得ることができる。
【0023】
次いで操作ボタン7の押圧力を更に高めると突起部21が第1のメンブレンシート13を介して、メタルコンタクト片25を撓ませ、メタルコンタクト片25の撓み変形が大きくなると、メタルコンタクト片25が第2のメンブレンシート12側に凸になるように変形する。この変形時に変形に伴う振動が使用者の指に伝わるので、操作ボタン7を押している使用者は操作ボタン7によるアナログ入力値が十分に大きくなってメタルコンタクト片25が変形したことを知覚することができる。この後にメタルコンタクト片25が第2のメンブレンシート12側の電極22Bを電極23Bに押し付けるので、ここで電極22Bと電極23Bとが接触する作用によるスイッチ機能を奏することができる。従って操作ボタン7を使用している操作者には最初の段階で第1のメンブレンシート13の電極22と抵抗体23の接触機能によるアナログ入力操作を得た上で、その後にメタルコンタクト片25の変形に伴う振動を伴う電極22B、23Bのスイッチ入力感を得ることができる、いわゆるタクティルフィーリングを有する使用感の良好なスイッチ入力機能を得ることができる。
【0024】
操作ボタン7においてはその周回りに90゜間隔の4つの位置でのアナログ入力操作が可能となるので、4方向アナログスイッチとして操作ボタン7を使用することができ、更に操作ボタン7を深く押し込むことでの4方向のスイッチ機能も有することができる。
そして、操作ボタン7に加えられていた荷重を解放すると、操作ボタン7は操作ボタン用の保持層20の弾性復原力により、元の平行状態に戻り、電極22、抵抗体23も元の位置に復元し、入力状態は解除される。このように前記の構成においてはゴムなどの弾性体からなる保持層20が設けられているので、信頼性が高く、製品寿命も長いものとなる。また、突起部21を第1のシート13aを介して電極22と抵抗体23を接触させる構成のため、摩滅しにくく、信頼性が高く、高寿命な構成とされている。
【0025】
以上説明の実施形態においては、第1のメンブレンシート13と第2のメンブレンシート12とメタルコンタクト片25を重ねて平面視同一位置に配置したので、アナログ入力機能部分とスイッチ入力機能部分を平面的に別々の位置に配置する構成に比べて装置面積を小さくして小型化を図ることができる。
また、先の構成の4方向操作ボタン7を有する携帯電話1であるならば、例えば、GPS携帯等において表示パネル部4に地図等を表示しておき、地図上のカーソル位置を地図に沿って移動させてゆき、特定の位置に来たならばその地域を選択して更に別の拡大地図画面等に変える場合、電極22と抵抗体23の接触面積の変化に応じたアナログ入力によりカーソル移動を制御し、特定の位置にきたならばその位置を選択する場合に操作ボタン7への押圧力を高めてメタルコンタクト片25を撓ませて第2のメンブレンシート12の電極22B、23Bを接触させてスイッチを入力するといった操作方法を選択することができる。従ってこの例の構成を採用することで、表示パネル4における表示画面の移動と表示部分の選択の機能を有した携帯電話1を提供できる。
【0026】
ところでこの実施形態においては、4方向スイッチ機能を有する操作ボタン7にスイッチ入力部17を適用したので、4つのスイッチ入力部17を設けたが、2方向、3方向、6方向あるいは8方向スイッチ等の多方向スイッチ機能を有する操作ボタンに本発明構成を適用する場合はそれらの機能に合わせた数のスイッチ入力部17を必要数設ければ良い。
また、本発明を適用できる電子機器は先の実施形態のような携帯電話に限らず、携帯用の小型情報端末やノートパソコン等のパーソナルコンピュータ、あるいは、それらに接続して使用される操作ボタン、あるいは、テレビや映像記録再生機器等用のリモコンの操作ボタン等であり、これらの電子機器に広く適用できるのは勿論である。
【0027】
図7は本発明に係る入力装置の第2実施形態を示すもので、この形態の入力装置においては、先の実施形態において説明したアナログ入力部分を構成するための操作ボタン7と突起部21付きの保持層20と第1のメンブレンシート13とが重ねられた部分30が、平面視矩形状のシート本体31の中央部の特定の一点を囲む点対称位置(この例では周方向に90゜間隔で)に形成されるとともに、それらの若干外側に図11に示す構造と同等のスイッチ接点115を備えたスイッチシート32が、シート本体31の中央部の特定の一点を囲む点対称位置(この例では周方向に90゜間隔で)に各スイッチ接点115を配置するように積層されて形成されている。
図7に示すような配置とすることにより、4方向入力を行う抵抗体を備えた部分30とスイッチ入力を行うスイッチを備える構成において平面視小型化できるスイッチとすることができる。また、アナログ入力部を構成する部分30の作用効果については先の実施形態の突起部21と第1のメンブレンシート13とからなるアナログ入力部分と同等の効果が得られる。また、スイッチ接点115についてはキークリック感を有する操作感の良好なスイッチ入力感を得ることができる。
【0028】
図8は本発明に係る入力装置の第3実施形態を示すもので、この形態の入力装置においては、先の実施形態において説明したアナログ入力部分を構成するための操作ボタン7と突起部21付きの保持層20と第1のメンブレンシート13とが重ねられた部分30が、平面視矩形状のシート本体34の中央部の特定の一点を囲む点対称位置(この例では周方向に90゜間隔で)に形成されるとともに、それらと同じ円周位置に周方向に位置をずらせて図11に示す構造と同等のスイッチ接点115を備えたスイッチシート32が、シート本体31の中央部の特定の一点を囲む点対称位置(この例では周方向に90゜間隔で)に各スイッチ接点115を配置するように積層されて形成されている。
図8に示すような配置とすることにより、平面視小型化できるスイッチとすることができる。また、アナログ入力部を構成する部分30の作用効果については先の実施形態の突起部21と第1のメンブレンシート13とからなるアナログ入力部分と同等の効果が得られる。また、スイッチ接点115についてはメタルコンタクト片110の変形に伴うキークリック感を有する操作感の良好なスイッチ入力感を得ることができる。
【0029】
図9は先に説明した第1実施形態の4方向のスイッチ入力部17の抵抗体23の抵抗値を検出する場合に用いて好適な回路の一例を示すものである。
この回路の説明においては、先の第1実施形態において図2に示すように点対象位置に4つ設けられているスイッチ入力部17のうち、右側のスイッチ入力部17の抵抗体を23X+、電極を22aとし、左側のスイッチ入力部17の抵抗体を23X−、電極22bとし、上側のスイッチ入力部17の抵抗体を23Y+、電極を22cとし、下側のスイッチ入力部17の抵抗体を23X−、電極を22dとして以下に説明する。
即ち、図9に示すようにこの形態の検出回路は、ブリッジ回路として組まれた4個の抵抗体23X+、23X−、23Y+、23Y−と、それらに対応する4個の電極22a〜22dと、それらに接続された制御部(CPU)50とを具備して構成されている。
【0030】
前記制御部50はアナログ電圧が入力されるアナログ電圧入力端子A/D1、A/D2と、ハイレベル又はローレベルの電圧を出力する出力端子OUT1(第1の出力端子)、OUT2(第2の出力端子)などの複数の入出力端子を有している。
前記抵抗体23X+、23X−と、抵抗体23Y+、23Y−とは、それぞれ直列接続になるように一端どうしが接続されている。そして、抵抗体23X+と抵抗体23Y+の他端は制御部50の出力端子OUT1に接続され、抵抗体23X−と抵抗体23Y−の他端はグランドに接続されている。また、抵抗体23X+と抵抗体23X−の接続点は前記アナログ電圧入力端子A/D1に接続されるとともに、抵抗体23Y+と抵抗体23Y−の接続点はアナログ電圧入力端子A/D2に接続されている。
【0031】
そして、前記電極22a〜22dは、それぞれ逆流防止ダイオードD1、D2、D3、D4を介して同一の線路を介して制御部50の出力端子OUT2に接続されている。これらの逆流防止ダイオードD1〜D4は、いずれかの電極と抵抗体とを接触させて電極に電圧を印加させた場合に、その発生した電圧が他の電極に及ばないようするために設けられている。更に逆流防止ダイオードD4と出力端子OUT2とが接続されている線路の途中には分岐線を介して抵抗Rが並列に接続され、該分岐線は電源側に接続されている。
【0032】
前記いずれのスイッチ入力部17も操作されない状態において、各抵抗体23X+、23X−、23Y+、23Y−の抵抗値は共に等しいので、2つのアナログ入力端子A/D1、A/D2には共に所定の電圧Vccの1/2の電圧が入力されるようになっている。例えば図9に示す回路において、抵抗Rを10MΩ前後の高抵抗値として、各抵抗体が1.5kΩとすると、アナログ検出時に、出力端子OUT1(GPIO)の電圧を例えば、5Vとすると、抵抗体23X+と抵抗体23Y+の接続点には5Vが印加され、抵抗体23X−と抵抗体23Y−の接続点は0Vとなり、アナログ入力端子A/D1、A/D2には共に2.5Vの電圧が得られる。
【0033】
スイッチ入力部17のいずれかを押し込み、いずれかの電極と抵抗体との接触面積を増減させると、電極と抵抗体との接触面積の大小により抵抗値の変化量を検出することができ、予め接触面積の大小による抵抗値の変化を計測して把握しておくならば、抵抗値の変化量と電極に加えられた力は概略比例関係となるので抵抗値の変化量から該当する電極の押圧された力の強さを算出することができ、その算出結果を制御部50は図示略の出力端子から出力することができる。
例えば、抵抗体23X+、23X−、23Y+、23Y−の抵抗値がいずれも1.5kΩの場合にアナログ入力端子A/D1、A/D2には共に2.5Vの出力が得られている状態から、例えば任意の1つのスイッチ入力部17の電極を抵抗体に押し付けて該抵抗体の抵抗値を減少させると、抵抗値の減少分に合わせたいずれかのアナログ入力端子に2.5Vから変化した電圧が入力されるので、その割合に応じてアナログ出力を得ることができる。
【0034】
図9に示す回路においては、スリープモードの切替ができ、スリープモードの際に回路に電流が流れないようにして省電力化することができる。
スリープモード時は、出力端子OUT1(GPIO)をGNDに設定し、出力端子OUT2(INTGPIO)は割り込み入力に設定し、抵抗Rより電源側にプルアップされている状態とする。ここで、A/D1、A/D2ともにオープン(OPEN)設定とすることにより、センサ用抵抗体23X±、23Y±はいずれもGND、電極22a、22b、22c、22dは電源側となり、いずれかの電極22と抵抗体23が接触することにより、出力端子OUT2(INTGPIO)では、立ち下がりの波形入力があり、これを割り込み信号として取り扱う。
ここでは、「抵抗Rの抵抗値>>抵抗体23X、23Yの抵抗値」の関係が必要となる。この割り込み信号入力により出力端子OUT1(GPIO)を電源側へ設定することで先に説明した通常の入力検出状態とすることができる。
先のスリープモード時においては、センサへの電流消費は実質的に無く、高抵抗の抵抗Rの消費分のみの低消費電力状態とすることができる。
【0035】
一方、4つのスイッチ入力部17のうち、例えば斜め右上方向(電極23X+と電極23Y+との間の方向)が押圧された場合には、電極23X+と抵抗体22aが接触し、更に電極23Y+と抵抗体22cとが接触する。そして、電極23X+に加えられた力PXと電極23Y+に加えられた力PYとが算出される。
この場合、スイッチ入力部17に加えられた力Pは、P=PX+PYから算出される。
次に、抵抗体23X+と抵抗体23X−を配置した方向のX軸の正方向(抵抗体23X+の方向)を0゜とした時、スイッチ入力部17の押圧された方向をθ(゜)とすると、θは、tanθ=PY/PXから求められ、押圧された位置が斜め方向であっても、押圧された方向と押圧された力の強さを算出することができ、制御部50はその結果を図示略の出力端子から出力する。
そして、携帯電子機器では、この出力された方向から、カーソルの移動方向やスクロールの向きを制御し、この出力された力の強さから、カーソルの移動速度やスクロールの速さを制御することができるようになっていて、斜め方向にもカーソルを移動させたり、スクロールさせることができるので、使用者に使いやすい機器となる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1は本発明に係る入力装置を備えた携帯電話の一例を示す斜視図である。
【図2】図2は図1に示す携帯電話に採用された入力装置のメンブレンシートの部分拡大断面図である。
【図3】図3は同入力装置の部分断面を示す断面図である。
【図4】図4は同入力装置に備えられるメンブレンシートを示す平面図である。
【図5】図5は同入力装置に備えられるメンブレンシートの折り畳み状態を示す平面図である。
【図6】図6は同メンブレンシートの部分展開図である。
【図7】図7は本発明に係るメンブレンシートの構造の第2の実施形態の平面図である。
【図8】図8は本発明に係るメンブレンシートの構造の第3の実施形態の平面図である。
【図9】図9は第1の実施形態の入力装置に用いて好適な抵抗体の抵抗値を測定するための回路の一例を示す回路図である。
【図10】図10は従来の入力装置に備えられているプリント基板示す平面図である。
【図11】図11は従来の入力装置に備えられているスイッチ部の断面図である。
【図12】図12は従来の入力装置に備えられているアナログスイッチ部の断面図である。
【図13】図13は図12に示すアナログスイッチ部を押圧操作した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0037】
6、7、8…操作ボタン(操作部材)、10…スイッチシート、12…第2のメンブレンシート、12a…第3のシート、12b…第4のシート、13…第1のメンブレンシート、13a…第1のシート、13b…第2のシート、13c…スペーサシート、17…スイッチ入力部、20…保持層、21…突起部、21a…先端部、22…電極、23…抵抗体、22B、23B…電極、25…メタルコンタクト片、115…スイッチ接点、OUT1…第1の出力端子、OUT2…第2の出力端子、50…制御部、A/D1…第1のアナログ入力端子、A/D2…第2のアナログ入力端子、R…抵抗、23X+、23X−…抵抗体、23Y+、23Y−…抵抗体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器の各種の入力操作に応じた画像を前記電子機器が備える表示パネルに表示させながら、前記電子機器への入力操作を行うための入力装置であって、
複数の抵抗体又は電極を備えた第1のシートと、複数の電極又は抵抗体を備えた第2のシートとを、相互に間隔をあけて互いの対となる抵抗体と電極とを対向させて配置してなる第1のメンブレンシートと、
複数の電極を備えた第3のシートと、複数の電極を備えた第4のシートとを、相互に間隔をあけて互いの対となる電極どうしを対向させて配置してなる第2のメンブレンシートと、
前記第1のメンブレンシートの対となる抵抗体と電極との接点と、前記第2のメンブレンシートの対となる電極どうしの接点との位置を合わせて、前記第1のメンブレンシートと前記第2のメンブレンシートとが積層されるとともに、前記第1のメンブレンシートの上に配置されて、前記位置合わせされた各接点と平面視で重なる位置を部分的に押圧するためのスイッチ入力部を構成し且つ弾性体からなる複数の突起部を備えた操作部材とを具備し、
前記操作部材の何れかのスイッチ入力部を押圧操作することによって、前記突起部を前記第1のメンブレンシートに押し付けて弾性変形させながら、前記第1のメンブレンシートを撓ませて、前記第1のメンブレンシートの対となる抵抗体と電極とを接触させると共に、前記突起部を前記第1のメンブレンシートに押し付ける力の大小により前記第1のメンブレンシートの対となる抵抗体と電極との接触面積が調整自在とされてなるアナログ入力によって、前記表示パネルに表示される表示画面又はカーソルの移動を制御し、
この状態から更に前記操作部材に対する押圧力を高めることで、前記第1及び第2のメンブレンシートを撓ませて、前記第2のメンブレンシートの対となる電極どうしを接触させるスイッチ入力によって、前記表示画面の特定位置での選択を制御することを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記表示パネルの表示画面に地図が表示される場合に、前記アナログ入力によって前記地図上におけるカーソルの移動を制御し、前記スイッチ入力によって前記地図上における特定位置の選択を制御することで、当該特定位置の拡大地図が前記表示画面に表示されることを特徴する請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記第1のメンブレンシートと前記第2のメンブレンシートとの間の前記位置合わせされた接点と平面視で重なる位置に各々介挿されて、凸面側を前記第1のメンブレンシート側に向けたドーム型の複数のメタルコンタクト片を備え、
前記アナログ入力操作と同時に、前記操作部材に対する押圧力を高めることで、前記第1及び第2のメンブレンシートを撓ませて、前記メタルコンタクト片を下側に凸となるように弾性変形させ、これに伴うクリック感を得ることを特徴する請求項1又は2に記載の入力装置。
【請求項4】
前記第1のメンブレンシートの対となる抵抗体と電極との接点が、その基準位置を平面視的に囲む点対称位置に、少なくとも周回りに90゜間隔で4つ配置され、前記第2のメンブレンシートの対となる電極どうしの接点が、その基準位置を平面視的に囲む点対称位置に、少なくとも周回りに90゜間隔で4つ配置され、互いの接点の位置を合わせて前記第1のメンブレンシートと前記第2のメンブレンシートとが積層されることを特徴する請求項1〜3の何れか一項に記載の入力装置。
【請求項5】
第1及び第2の出力端子と、アナログ電圧入力端子とを具備する制御部が設けられ、前記対になる抵抗体と電極又は抵抗体どうしからなるスイッチ入力部が4つブリッジ接続され、前記第1の出力端子が前記ブリッジ接続部分の一部に接続され、前記第2の出力端子が前記電極又は抵抗体に接続されるとともに抵抗体を介して電源に接続され、ブリッジ接続部分の他の一部が接地され、前記アナログ電圧入力端子がブリッジ接続部分の更に他の一部に接続されてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の入力装置。
【請求項6】
前記制御部が、前記出力端子の印加電圧とアナログ入力端子からの電圧との比較により前記対になる抵抗体と電極又は抵抗体どうしの接触によるアナログ入力を検出する動作モードと、前記第1の出力端子を接地して出力端子を割り込み入力とするスリープモードを有し、前記抵抗体と電極又は抵抗体どうしの接触による波形により前記スリープモードを解除して前記動作モードに切り替え自在にされてなることを特徴とする請求項5に記載の入力装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の入力装置を操作ボタンの底部側に備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−146679(P2008−146679A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−36713(P2008−36713)
【出願日】平成20年2月18日(2008.2.18)
【分割の表示】特願2002−137651(P2002−137651)の分割
【原出願日】平成14年5月13日(2002.5.13)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】