入力装置
【課題】誤って複数のキー(入力領域)にまたがる入力が行われた場合に、正しい文字が表示されやすい入力装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る入力装置101は、制御部108が、入力検出部104が複数の入力領域にまたがる入力を検出すると、表示部103に表示されている文字と記憶部105に記憶されている文字配列パターンとの比較により、複数の入力にまたがる入力で入力されるべき文字を予測し、該予測された文字を表示するための荷重閾値が、予測により予測されていない文字を表示するための荷重閾値よりも低くなるように設定する。
【解決手段】本発明に係る入力装置101は、制御部108が、入力検出部104が複数の入力領域にまたがる入力を検出すると、表示部103に表示されている文字と記憶部105に記憶されている文字配列パターンとの比較により、複数の入力にまたがる入力で入力されるべき文字を予測し、該予測された文字を表示するための荷重閾値が、予測により予測されていない文字を表示するための荷重閾値よりも低くなるように設定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文字入力用の入力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
文字を入力するための入力装置には、例えば、機械式のキーボード若しくはテンキーを有するもの又はキーボードやテンキー等が表示されたタッチパネルを有するものがある。タッチパネルは、キーレイアウトの自由度の高さや、直感的な操作が可能であることなど多くの利点を有している。このため、近年、タッチパネルを搭載した入力装置が急激に増加している。タッチパネルに入力する際にはタッチパネルに複数のキーを表示する必要があるが、表示領域の小さいタッチパネルにテンキーやフルキーボード等の入力を受け付けるためのキーを表示すると、表示されるキーがユーザの指の面積よりも小さくなってしまう場合がある。この場合ユーザは、指でタッチパネルへの入力を行うと、誤って複数のキーを押下してしまうことがある。
【0003】
複数のキーが同時に押下された場合の従来のタッチパネルの動作について図11及び図12を用いて説明する(例えば特許文献1参照)。図11は、ユーザが複数のキーを押下している様子を示している。具体的には、ユーザがローマ字入力で「honjitsuha(ほんじつは)」と入力する際に、10文字目「a」の入力のためにキー「A」を押下しようとして、誤って「A」及び「S」を押下している様子である。従来のタッチパネルでは、ユーザの指が複数のキーにまたがって触れた場合、指とキーとの接触面積の大きい文字がディスプレイに表示されることになる。キー「A」に関する接触面積531よりもキー「S」に関する接触面積532が大きいため、図12のように、ユーザが意図する「A」ではなく、キー「S」に対応する文字「s」が表示されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平05−127796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のタッチパネルでは、ユーザが複数のキーを押下してしまった場合、ユーザの指と意図するキーとの接触面積が最も大きくない限り、誤った文字が表示されることになる。キーの大きさが小さくなるほど、接触面積が最も大きくなるように意図するキー(正しいキー)を押下することは難しくなる。意図しない文字(誤った文字)が表示された場合は、ユーザは、表示された文字を削除し、正しい文字に対応するキーを押下し直さなければならない。この作業は手間である。
【0006】
従って、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされた本発明の目的は、誤って複数のキー(入力領域)にまたがる入力が行われた場合に、正しい文字が表示されやすい入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した諸課題を解決すべく、第1の観点による入力装置は、
文字が割り当てられたキーを複数表示する第1の表示部と、
文字を表示する第2の表示部と、
押下物による入力がされると、前記複数のキー毎に設定され、該キーに対応付けられた文字を第2の表示部に表示するための入力領域のうち、入力された入力領域を検出する入力検出部と、
前記入力検出部への押下荷重を検出する荷重検出部と、
文字配列パターンを記憶する記憶部と、
前記入力検出部が入力領域への入力を検出し、前記荷重検出部が文字を表示するための荷重閾値以上の押下閾値を検出すると、前記入力領域に対応するキーの文字を表示するように前記第2の表示部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記入力検出部が複数の入力領域にまたがる入力を検出すると、前記第2の表示部に表示されている文字と前記記憶部に記憶されている文字配列パターンとの比較により、前記複数の入力にまたがる入力で入力されるべき文字を予測し、該予測された文字を表示するための荷重閾値が、前記予測により予測されていない文字を表示するための荷重閾値よりも低くなるように設定することを特徴とする。
【0008】
また、第2の観点による入力装置は、
文字が割り当てられたキーを複数表示する第1の表示部と、
文字を表示する第2の表示部と、
押下物による入力がされると、前記複数のキー毎に設定され、該キーに対応付けられた文字を第2の表示部に表示するための入力領域のうち、入力された入力領域を検出する入力検出部と、
前記入力検出部への押下荷重を検出する荷重検出部と、
文字配列パターンが記憶されているサーバと通信を行う通信部と、
前記入力検出部が入力領域への入力を検出し、前記荷重検出部が文字を表示するための荷重閾値以上の押下閾値を検出すると、前記入力領域に対応するキーの文字を表示するように前記第2の表示部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記入力検出部が複数の入力領域にまたがる入力を検出すると、前記第2の表示部に表示されている文字と前記サーバに記憶されている文字配列パターンとを前記通信部を介して前記サーバと通信を行うことにより比較し、該比較により、前記複数の入力にまたがる入力で入力されるべき文字を予測し、該予測された文字を表示するための荷重閾値が、前記予測により予測されていない文字を表示するための荷重閾値よりも低くなるように設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記のように構成された本発明にかかる入力装置によれば、誤って複数のキー(入力領域)にまたがる入力が行われたとしても、正しい文字が表示されやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る入力装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図2】図2は、図1の入力装置が行う処理を示すフローチャートである。
【図3】図3は、図1の表示部の表示画面例である。
【図4】図4は、押下荷重と荷重閾値との関係の一例を示す図である。
【図5】図5は、図1の表示部の表示画面例である。
【図6】図6は、図1の触感呈示部が呈示する振動例である。
【図7】図7は、ユーザが複数のキーを押下している様子を示す図である。
【図8】図8は、押下荷重と荷重閾値との関係の一例を示す図である。
【図9】図9は、押下荷重と荷重閾値との関係の一例を示す図である。
【図10】図10は、図1の表示部の表示画面例である。
【図11】図11は、ユーザが従来のタッチパネルの複数のキーを押下している様子を示す図である。
【図12】図12は、従来のタッチパネルの表示画面例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る入力装置の概略構成を示す機能ブロック図である。本発明の入力装置101の一例としては、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話端末、携帯音楽プレイヤー、携帯テレビ、銀行のATM(Automated Teller Machine)、駅の券売機が挙げられる。この入力装置101は、表示部103及び入力検出部104を備えるタッチパネル102と、記憶部105と、荷重検出部106と、触感呈示部107と、制御部108とを有する。
【0013】
表示部(第1の表示部及び第2の表示部)103は、文字を入力するためのキー又はボタン(以下、キー、ボタン及び文字を入力するためのオブジェクト等を、キーと略する)、及び入力された文字を表示するもので、例えば、液晶表示パネルや有機EL表示パネル等を用いて構成される。なお、文字とは、ひらがな、片仮名、アルファベットのみならず、数字や記号等も含むものとする。キーには、文字が割り当てられている。キーに対して入力が行われると、当該キーに割り当てられた文字が表示部103に表示される。つまり、キーは、文字に対応する入力領域を示すものである。ある入力領域に入力が行われると、当該入力領域に対応するキーに割り当てられている文字が表示部103に表示される。以下、本実施形態では、キーの形状と入力領域とが一致するものとする。なお、本発明では、文字に対応する入力領域とキーの形状とを必ずしも一致させる必要はなく、入力領域をキーよりも広く(又は狭く)設定することもできることに留意されたい。また、入力領域(キー)に対応する文字とは、例えば、入力領域に対応するキーの文字、入力領域に対応するキーに割り当てられた文字との意味である。
【0014】
入力検出部104は、ユーザの指やスタイラスペン等(押下物)による入力を検出するもので、抵抗膜方式、静電容量方式、光学式等の公知の方式のもので構成される。入力検出部104は、特に、文字に対応する入力領域(キー)への入力を検出する。なお、入力検出部104が入力を検出する上で、押下物が入力検出部104を物理的に押下することは必須ではない。例えば、入力検出部104が光学式である場合は、入力検出部104は入力検出部104上の赤外線が指やスタイラスペン等で遮られた位置を検出するため、押下物が入力検出部104を押下することは不要である。
【0015】
入力検出部104は、何れの入力領域(キー)への入力が行われたかを検出するとともに、更に、検出された入力領域(キー)と押下物との接触の度合い(例えば、面積や圧力)も検出するもので、例えば、接触面積に応じて出力電圧が変化する面積センサや接触圧力に応じて出力電圧が変化する圧力センサの機能も有するものとする。以下、本実施形態では、接触の度合いとは接触面積を指すものとする。
【0016】
記憶部105は、入力された各種情報、文字を表示するための荷重閾値及び(正しい)文字配列パターンなどを記憶するとともに、ワークメモリ等としても機能する。荷重閾値は、制御部108がキー毎に任意に設定できる事項である。(正しい)文字配列パターンとは、辞書に記載されているような(言語として正しい)単語や文章又はローマ字入力において(正しく)かな変換されるアルファベットの配列である。
【0017】
荷重検出部106は、入力検出部104に対する押下荷重を検出するもので、例えば、歪みゲージセンサや圧電素子などの荷重に対して線形に反応する素子を用いて構成される。
【0018】
触感呈示部107は、入力検出部104を振動させ、入力検出部104を押下しているユーザの指やスタイラスペンなど(押下物)に触感を呈示するもので、例えば、圧電素子などの振動素子を用いて構成される。呈示する触感は、何らかの振動であればよく、周波数、周期(波長)、振幅、波形を、呈示する触感に応じて適宜設定することができる。また、触感呈示部107は、単なる振動ではなく、機械的なキーを押した際に感じられるカチッとした硬質的な触感(リアルなクリック感)を押下物に対して呈示することもできる。触感を呈示する条件(例えば、押下荷重が1N[ニュートン]を超えること)を設定することにより、この条件を満たすまでは、ユーザの圧覚を刺激し、条件を満たすと、触感呈示部107が入力検出部104を振動させてユーザの触覚を刺激することが可能になる。このように、ユーザの圧覚と触覚を刺激することにより、カチッとした硬質的な触感をユーザに呈示できる。入力検出部104自体は、押下されても機械的なキーのように物理的に変位しないが、上記のような触感をタッチ対象に呈示することにより、ユーザは、機械的なキーを操作した場合と同様のリアルなクリック感を得ることができる。これにより、ユーザは、押下によるフィードバックが本来ない入力検出部104への入力操作を違和感なく行うことが可能となる。カチッとした硬質的な触感は、例えば140Hz〜500Hzのサイン波を1周期又は矩形波を1周期呈示することにより実現できる。なお、荷重検出部106及び触感呈示部107が圧電素子を用いて構成される場合には、圧電素子を共用して、荷重検出部106及び触感呈示部107を構成することができる。圧電素子は、圧力が加わると電力を発生し、電力が加えられると変形するためである。
【0019】
制御部108は、入力装置101の各機能ブロックをはじめとして入力装置101の全体を制御及び管理する。ここで、制御部108は、CPU(中央処理装置)等の任意の好適なプロセッサ上で実行されるソフトウェアとして構成したり、処理ごとに特化した専用のプロセッサ(例えばDSP(デジタルシグナルプロセッサ))によって構成したりすることができる。制御部108は、入力検出部104が入力領域への入力を検出し、荷重検出部106が文字を表示するための荷重閾値以上の押下閾値を検出すると、入力領域に対応するキーの文字を表示するように表示部103を制御する。制御部108の行うその他の処理については、後述の図2の説明にて詳述する。
【0020】
以下、ユーザが「ほんじつは」と入力しようとする場合について説明する。なお、本実施形態では、入力方法は日本語(かな文字)のローマ字入力であるとする。ユーザは「H」「O」「N」「J」「I」「T」「S」「U」「H」「A」の入力を試み、「A」の入力の際、誤って「S」のキーも押下してしまったとする。
【0021】
図2は、図1の入力装置が行う処理を示すフローチャートである。図3は、表示部の表示画面例である。表示部103は、例えば図3のようにメイン表示部111(第2の表示部)及びキー表示部(第1の表示部)112で構成されている。キー表示部112は、ユーザが入力を行うためのものであり、文字が割り当てられたキーを複数表示する。メイン表示部111は、キー表示部112への入力結果を表示させるためのものであり、文字を表示する。
【0022】
まず、キー表示部112に表示されたキーへの入力が、ユーザの指やスタイラスペン等の押下物によって行われると、入力検出部104は、この入力を検出する(ステップS101)。つまりステップS101で、どのキー(入力領域)に対する入力であるのかが検出されることになる。そして、入力検出部104は、入力の検出とともに、押下物とキー(入力領域)との接触面積を検出することができる(ステップS102)。
【0023】
荷重検出部106は、入力検出部104に利用者の指やスタイラスペンなどの押下物が接触した時点から、入力検出部104に対する押下荷重を検出し始める(ステップS103)。
【0024】
続いて、入力検出部104の検出結果に基づいて、制御部108は、キーへの入力が複数のキーにまたがる入力であるか否かを判断する(ステップS104)。1つの所望のキーのみへの入力が行われた場合(ステップS104のNo)、制御部108は、荷重検出部106により検出された押下荷重が、記憶部105に記憶されている文字を表示するための荷重閾値以上であるか(に達したか)判断する(ステップS105)。例えば、図4のように遷移する押下荷重でキーが押下されたとする。文字を表示するための荷重閾値がF1[N]に設定されている場合、制御部108は、時刻t1[ms]で押下荷重が文字を表示するための荷重閾値以上になったと判断する(ステップS105のYes)。押下荷重が文字を表示するための荷重閾値未満であるとき(ステップS105のNo)、つまり時刻t1[ms]未満では、ステップS101〜S104の処理が繰り返されることになる。
【0025】
押下荷重が文字を表示するための荷重閾値以上となった場合(ステップS105のYes)、制御部108は、検出された入力に対応する文字をメイン表示部111に表示すべき文字として受け付ける(ステップS106)。そして、制御部108は、表示すべき文字がかな文字に対応する場合(例えば、表示すべき文字が母音(「A」「I」「U」「E」「O」))は、表示すべき文字をかな変換してメイン表示部111に表示させる(ステップS107)。また、制御部108は、表示すべき文字がかな文字に対応しない場合(例えば、表示すべき文字が子音)は、表示すべき文字自体をメイン表示部111に表示させる(ステップS107)。つまり、メイン表示部111には、アルファベット(ローマ字)が表示されることになる。「H」「O」「N」「J」「I」「T」「S」「U」「H」までの各入力により、メイン表示部111の表示は、図5のように、「h」、「ほ」、「ほn」、「ほんj」、「ほんじ」「ほんじt」、「ほんじts」、「ほんじつ」、「ほんじつh」の順に変化する。なお、このように、本明細書において、入力領域に対応するキーの文字(キーに対応する文字)をメイン表示部111(第2の表示部)に表示するといった場合、その入力領域に対応するキーに実際に割り当てられている文字(例えば、O)をそのまま表示する態様のみならず、入力に対応するキー実際に割り当てられている文字「O」を、既に表示すべき文字として受け付けられている(表示されている)「H」と関連付けて、「ほ」を表示するような態様も含まれることに留意されたい。また、本実施形態では、例えば、キー「H」にはアルファベットの大文字の「H」および小文字の「h」がそれぞれ割り当てられており、事前の設定によりキー「H」を入力することにより、「h」が表示されるようになっている。本明細書においてはアルファベットの大文字、小文字には特段の差異を持たせていない。受け付けられた文字をメイン表示部111に表示した後、制御部108は、触感呈示部107を制御して入力検出部104を振動させることにより、押下物に触感を呈示することができる(ステップS108)。例えば、制御部108は、触感呈示部107に図6のような一周期のサイン波を発生させて入力検出部104を振動させることができる。
【0026】
次に、複数のキーにまたがる入力が行われる場合、つまり「A」の入力での文字の表示方法について説明する。以下、複数のキーにまたがる入力は、2つのキーにまたがる入力であるとして説明するが、3つ以上のキーにまたがる入力が行われた場合も同様である。なお、複数のキーにまたがる入力とは、複数のキーが押下された時間が完全に一致する入力だけでなく、通常の文字入力においてユーザが連続して2文字を入力する間隔と区別できるほど短い間隔での連続する複数のキーへの押下による入力も含む。閾値となるこの短い間隔とは、ユーザの押下速度やタッチパネルの処理速度等を勘案して自由に設定できる事項である。
【0027】
まず、ユーザが図7のように、「A」及び「S」のキーの双方にまたがる入力を行ったとする。すると、入力検出部104がキー「A」及び「S」に対する入力であることを検出し(ステップS101)、キー「A」及び「S」と押下物との接触面積をそれぞれ検出する(ステップS102)。そして、荷重検出部106は、入力検出部104に対する押下荷重を検出する(ステップS103)。その後、制御部108は、当該入力が複数のキーにまたがる入力であると判断する(ステップS104のYes)。
【0028】
続いて、制御部108は、メイン表示部111に表示されている文字(文字列)を基に、次に入力されるべき文字を予測する(ステップS109)。当該予測は、例えば、記憶部105に記憶されている(正しい)文字配列パターンとメイン表示部111に表示されている文字(文字列)との比較により行われる。また、制御部108は、過去のユーザの入力履歴を記憶部105に記憶させ、入力履歴とメイン表示部111に表示されている文字(文字列)との比較により入力されるべき文字を予測することもできる。以下、制御部108は、かな文字に対応付けられるアルファベットの配列である(正しい)文字配列パターンに基づいて入力されるべき文字を予測するとする。前回の入力でメイン表示部111に表示されている「h」が(正しく)かな変換される(かな文字に対応付けられる)ために、今回の入力では、母音が入力される可能性が高い。そのため、制御部108は、母音(「A」「I」「U」「E」「O」)が入力されるべき文字であると予測する。つまり、表示されている文字が「h」であり、記憶部105に記憶されている文字配列パターンは、「ha」、「hi」、「hu」、「he」及び「ho」である。そして、「h」と「ha」、「hi」、「hu」、「he」及び「ho」とを比較することにより、入力されるべき文字が母音(「A」「I」「U」「E」「O」)と予測される。なお、ユーザは、「A」及び「S」のキーの双方にまたがる入力を行っているので、制御部108は、複数の入力領域にまたがる入力で入力されるべき文字として、「A」のみ予測してもよい(複数の入力領域にまたがる入力において、その複数の入力領域にそれぞれ対応づけられたキーの文字のうちから入力されるべき文字を予測してもよい)。
【0029】
そして、制御部108は、予測された文字を表示するための荷重閾値が、該予測により予測されていない文字を表示するための荷重閾値よりも低くなるように設定する(ステップS110)。例えば、制御部108は、予測されていない文字「S」に対応する荷重閾値をF1[N]、予測された文字「A」に対応する荷重閾値F2[N](F2<F1)に設定する。
【0030】
荷重閾値の設定後、設定後の文字を表示するための荷重閾値を用いて、制御部108は、荷重検出部106が検出する押下荷重が荷重閾値(「A」を表示するための荷重閾値)F2[N]以上であるか、又は押下荷重が荷重閾値(「S」を表示するための荷重閾値)F1[N]以上であるかを判断する(ステップS105)。荷重検出部106が検出する押下荷重は、図8のように等しく遷移するとする。
【0031】
荷重検出部106が検出する押下荷重が、ステップS110で設定した荷重閾値のうち最も低く設定された荷重閾値(ここでは、「A」を表示するための荷重閾値)以上である場合(ステップ105のYes)、制御部108は、当該荷重閾値(「A」を表示するための荷重閾値)が設定された入力領域(キー)に対応する文字(「A」)をメイン表示部111に表示すべき文字として受け付ける(ステップS106)。例えば、図8に示される押下荷重は、荷重閾値(「A」を表示するための荷重閾値)F2以上ではあるが荷重閾値(「S」を表示するための荷重閾値)F1未満であるので、制御部108は、文字「A」をメイン表示部111に表示すべき文字として受け付ける。また、図9のように、押下荷重が荷重閾値(「S」を表示するための荷重閾値)F1及び荷重閾値(「A」を表示するための荷重閾値)F2以上となるように遷移する場合は、制御部108は、最初に荷重閾値以上の押下荷重で押下されたキーに対応する文字、つまり文字「A」を受け付ける。なお、またがって押下された2つのキーに対応する文字の双方ともが、予測される文字又は予測されない文字である場合、制御部108は、2つのキーに関する荷重閾値を同じ値に設定することができる。このとき、2つのキーへの押下荷重が同時に荷重閾値以上になることがある。制御部108は、入力検出部104により検出される接触面積が大きいキーに対応する文字を表示部103に表示すべき文字として受け付けることができる。なお、押下荷重が荷重閾値(「S」を表示するための荷重閾値)F1及び荷重閾値(「A」を表示するための荷重閾値)F2以上となるように遷移する場合は、「S」を「A」の代わりに表示すべき文字として受け付け、メイン表示部111に表示してもよい。
【0032】
表示すべき文字(「A」)が母音であるため、制御部108は、表示すべき文字をかな変換してメイン表示部111に表示する(ステップS107)。つまり、前回の入力で文字「h」がメイン表示部111に表示されているので、制御部108は、「h」と「a」の構成により対応するひらがな(かな文字)「は」を図10のようにメイン表示部111に表示する。受け付けられた文字をメイン表示部111に表示した後、制御部108は、触感呈示部107を制御して入力検出部104を振動させることにより、押下物に触感を呈示することができる(ステップS108)。なお、制御部108は、受け付けられた文字が複数のキーにまたがる入力によるものか否かで、押下物に異なる触感を呈示するように触感呈示部107を制御することができる。
【0033】
ステップS105において、荷重検出部106が検出する押下荷重が文字を表示するための荷重閾値未満である場合は(ステップ105のNo)、ステップS101〜S104、S109及びS110の処理が繰り返される。つまり、ユーザは、視覚により複数のキーにまたがる入力を行っていることを認識した場合は、文字を表示するための荷重閾値以上の荷重で押下しない限り入力し直すことが可能である。
【0034】
このように本実施形態では、入力装置101の制御部108は、入力検出部104が複数の入力領域にまたがる入力を検出すると、メイン表示部111に表示されている文字と記憶部105に記憶されている文字配列パターンとの比較により、複数の入力領域にまたがる入力で入力されるべき文字を予測し、予測された文字を表示するための荷重閾値が、予測されていない文字を表示するための荷重閾値よりも低くなるように設定する。これにより、予測された文字は、予測されていない文字と比較し、文字を表示するための荷重閾値が低いため、たとえ接触面積が小さくてもメイン表示部111に表示されやすくなる。予測された文字は、ユーザの意図する文字である可能性が高いため、ユーザが誤って複数の入力領域にまたがる入力を行ってしまった場合に、ユーザの意図しない文字(誤った文字)がメイン表示部111に表示される可能性は低くなる。よって、誤った文字を訂正する回数は減り、文字入力作業の効率が上がる。
【0035】
また、本実施形態では、制御部108は、メイン表示部111に表示されている文字と、記憶部105に記憶されている(正しい)文字配列パターンとの比較により、入力されるべき文字を予測することができる。これにより、(言語として正しい)単語や文章を成立させる文字や(正しく)かな変換される文字がメイン表示部111に表示されやすくなる。
【0036】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各部材、各手段、各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段やステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0037】
上述した本発明の実施形態の説明では、(正しい)文字配列パターンとしてかな文字に対応付けられるアルファベットの配列が記憶部105に記憶され、当該アルファベット配列に基づいて、入力されるべき文字の予測が行われる場合について想定されている。しかし、(正しい)文字配列パターンとして、かな文字に対応付けられるアルファベットの配列に限定されず、辞書に記載されている単語を構成する文字列を選択することもできる。例えば、ユーザが英単語「fantastic」を入力する際に、8文字目の「i」の入力で、誤って「I」のキーと「O」のキーとにまたがる入力を行ってしまったとする。このとき、制御部は、「fantasti」又は「fantasto」が(正しい)文字配列パターンを構成する文字列に該当するか否か判断する。「fantasto」を含む単語は英単語としては存在しないため、制御部は、入力されるべき文字は「i」であると予測する。そして、制御部は、文字「I」に対応する荷重閾値を、文字「O」に対応する荷重閾値よりも低く設定できる。「I」及び「O」は双方とも母音であるため、(正しい)文字配列パターンがかな文字に対応付けられるアルファベットの配列である場合には、「I」のみではなく「O」も入力されるべき文字として予測される。そのため、「I」と「O」との荷重閾値に異なる値を設定することができない。よって、(正しい)文字配列パターンが辞書に記載されている単語を構成する文字列である場合は、精度の高い予測が実現される。なお、仮に「fantasto」を含む単語が存在する場合は、制御部は、文字「i」により構成される単語の数と、文字「o」により構成される単語の数とを比較し、候補数の多い文字に対応する荷重閾値を低くすることができる。
【0038】
また、上述した本発明の実施形態の説明では、制御部108は、荷重閾値以上の押下荷重で押下されたキーに対応する文字を表示すべき文字として受け付けるが、文字を受け付ける条件として押下物とキーとの接触面積を考慮することもできる。例えば、制御部108は、押下荷重が荷重閾値以上であり、且つ接触面積がキーの面積の所定の割合以上(例えば、30%以上)である場合に、押下されたキーに対応する文字を表示すべき文字として受け付けることができる。予測される文字及び予測されない文字に対応するキーにまたがる入力が行われた場合、予測される文字のキーに関する接触面積が小さければ小さいほど、ユーザは、予測されない文字の入力を意図している可能性が高い。ユーザが予測されない文字の入力を意図する場合とは、例えば、ユーザが新語、造語、話し言葉等の辞書に掲載されてない単語を入力したい場合である。よって、制御部が文字を受け付ける条件に荷重閾値のみならず接触面積も加えることにより、予測されない文字を必要以上に排除することを避けることができる。
【0039】
また、上述の本発明の実施形態の説明において、例えば、荷重閾値「以上」または荷重閾値「未満」のような表現の技術的思想が意味する内容は必ずしも厳密な意味ではなく、入力装置の仕様に応じて、基準となる値を含む場合又は含まない場合の意味を包含するものとする。例えば、荷重閾値「以上」とは、押下荷重が荷重閾値に達した場合のみならず、荷重閾値を超えた場合も含意し得るものとする。また、例えば荷重閾値「未満」とは、押下荷重が荷重閾値を下回った場合のみならず、荷重閾値に達した場合、つまり荷重閾値以下になった場合も含意し得るものとする。
【0040】
また、本実施形態の説明における「第1の表示部」と「第2の表示部」は、それぞれ別個のハードウェアにより2画面で構成されていてもよいし、1のハードウェアにより1画面で構成され、2つの表示領域により構成されていてもよい。また、文字が割り当てられたキーを複数表示する第1の表示部は、入力検出部と一体となって構成され、タッチセンサ上にキー等を描画することにより、該キーを表示すると共に、該キーに対する入力を検出してもよい。
【0041】
また、本実施形態における入力装置101は、文字配列パターンを記憶する記憶部105の代わりに、文字配列パターンが記憶されているサーバと通信を行う通信部を備えることができる。このような入力装置101においては、制御部108が、入力検出部104が複数の入力領域にまたがる入力を検出すると、第2の表示部(メイン表示部111)に表示されている文字とサーバに記憶されている文字配列パターンとを通信部を介してサーバと通信を行うことにより比較し、該比較により、複数の入力にまたがる入力で入力されるべき文字を予測し、該予測された文字を表示するための荷重閾値が、予測により予測されていない文字を表示するための荷重閾値よりも低くなるように設定することにより、入力装置101に、文字配列パターンを記憶する記憶部105が無くとも、文字配列パターンが記憶されているサーバを用いることにより、上述した実施形態における入力装置101と同様な効果を得ることができる。
【0042】
また、本実施形態における入力装置101は、文字配列パターンを記憶する記憶部105を備えているが、この記憶部105は、入力装置101にUSB等のインターフェースにより接続可能な外部記憶部も含むことに留意されたい。
【0043】
また、本実施形態における荷重検出部106は、押下荷重を検出するための圧電素子等を入力の端部に複数設置することにより、タッチパネルが複数の位置を同時に押下されたとしても、複数設置されたそれぞれの圧電素子等の出力から、同時に押下されたそれぞれの位置および押下荷重を検出するように構成してもよい。このように構成した場合、荷重検出部106は、押下物により入力されている入力領域ごとの押下荷重を検出することができるので、文字を表示するための荷重閾値を入力領域ごとに設定し、制御部108は、荷重検出部108が検出する入力領域の押下荷重と、該入力領域に設定された文字を表示するための荷重閾値とに基づき、上述の実施形態のように入力領域に対応するキーの文字を表示させてもよい。
【符号の説明】
【0044】
101 入力装置
102 タッチパネル
103 表示部
104 入力検出部
105 記憶部
106 荷重検出部
107 触感呈示部
108 制御部
111 メイン表示部
112 キー表示部
【技術分野】
【0001】
本発明は、文字入力用の入力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
文字を入力するための入力装置には、例えば、機械式のキーボード若しくはテンキーを有するもの又はキーボードやテンキー等が表示されたタッチパネルを有するものがある。タッチパネルは、キーレイアウトの自由度の高さや、直感的な操作が可能であることなど多くの利点を有している。このため、近年、タッチパネルを搭載した入力装置が急激に増加している。タッチパネルに入力する際にはタッチパネルに複数のキーを表示する必要があるが、表示領域の小さいタッチパネルにテンキーやフルキーボード等の入力を受け付けるためのキーを表示すると、表示されるキーがユーザの指の面積よりも小さくなってしまう場合がある。この場合ユーザは、指でタッチパネルへの入力を行うと、誤って複数のキーを押下してしまうことがある。
【0003】
複数のキーが同時に押下された場合の従来のタッチパネルの動作について図11及び図12を用いて説明する(例えば特許文献1参照)。図11は、ユーザが複数のキーを押下している様子を示している。具体的には、ユーザがローマ字入力で「honjitsuha(ほんじつは)」と入力する際に、10文字目「a」の入力のためにキー「A」を押下しようとして、誤って「A」及び「S」を押下している様子である。従来のタッチパネルでは、ユーザの指が複数のキーにまたがって触れた場合、指とキーとの接触面積の大きい文字がディスプレイに表示されることになる。キー「A」に関する接触面積531よりもキー「S」に関する接触面積532が大きいため、図12のように、ユーザが意図する「A」ではなく、キー「S」に対応する文字「s」が表示されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平05−127796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のタッチパネルでは、ユーザが複数のキーを押下してしまった場合、ユーザの指と意図するキーとの接触面積が最も大きくない限り、誤った文字が表示されることになる。キーの大きさが小さくなるほど、接触面積が最も大きくなるように意図するキー(正しいキー)を押下することは難しくなる。意図しない文字(誤った文字)が表示された場合は、ユーザは、表示された文字を削除し、正しい文字に対応するキーを押下し直さなければならない。この作業は手間である。
【0006】
従って、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされた本発明の目的は、誤って複数のキー(入力領域)にまたがる入力が行われた場合に、正しい文字が表示されやすい入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した諸課題を解決すべく、第1の観点による入力装置は、
文字が割り当てられたキーを複数表示する第1の表示部と、
文字を表示する第2の表示部と、
押下物による入力がされると、前記複数のキー毎に設定され、該キーに対応付けられた文字を第2の表示部に表示するための入力領域のうち、入力された入力領域を検出する入力検出部と、
前記入力検出部への押下荷重を検出する荷重検出部と、
文字配列パターンを記憶する記憶部と、
前記入力検出部が入力領域への入力を検出し、前記荷重検出部が文字を表示するための荷重閾値以上の押下閾値を検出すると、前記入力領域に対応するキーの文字を表示するように前記第2の表示部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記入力検出部が複数の入力領域にまたがる入力を検出すると、前記第2の表示部に表示されている文字と前記記憶部に記憶されている文字配列パターンとの比較により、前記複数の入力にまたがる入力で入力されるべき文字を予測し、該予測された文字を表示するための荷重閾値が、前記予測により予測されていない文字を表示するための荷重閾値よりも低くなるように設定することを特徴とする。
【0008】
また、第2の観点による入力装置は、
文字が割り当てられたキーを複数表示する第1の表示部と、
文字を表示する第2の表示部と、
押下物による入力がされると、前記複数のキー毎に設定され、該キーに対応付けられた文字を第2の表示部に表示するための入力領域のうち、入力された入力領域を検出する入力検出部と、
前記入力検出部への押下荷重を検出する荷重検出部と、
文字配列パターンが記憶されているサーバと通信を行う通信部と、
前記入力検出部が入力領域への入力を検出し、前記荷重検出部が文字を表示するための荷重閾値以上の押下閾値を検出すると、前記入力領域に対応するキーの文字を表示するように前記第2の表示部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記入力検出部が複数の入力領域にまたがる入力を検出すると、前記第2の表示部に表示されている文字と前記サーバに記憶されている文字配列パターンとを前記通信部を介して前記サーバと通信を行うことにより比較し、該比較により、前記複数の入力にまたがる入力で入力されるべき文字を予測し、該予測された文字を表示するための荷重閾値が、前記予測により予測されていない文字を表示するための荷重閾値よりも低くなるように設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記のように構成された本発明にかかる入力装置によれば、誤って複数のキー(入力領域)にまたがる入力が行われたとしても、正しい文字が表示されやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る入力装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図2】図2は、図1の入力装置が行う処理を示すフローチャートである。
【図3】図3は、図1の表示部の表示画面例である。
【図4】図4は、押下荷重と荷重閾値との関係の一例を示す図である。
【図5】図5は、図1の表示部の表示画面例である。
【図6】図6は、図1の触感呈示部が呈示する振動例である。
【図7】図7は、ユーザが複数のキーを押下している様子を示す図である。
【図8】図8は、押下荷重と荷重閾値との関係の一例を示す図である。
【図9】図9は、押下荷重と荷重閾値との関係の一例を示す図である。
【図10】図10は、図1の表示部の表示画面例である。
【図11】図11は、ユーザが従来のタッチパネルの複数のキーを押下している様子を示す図である。
【図12】図12は、従来のタッチパネルの表示画面例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る入力装置の概略構成を示す機能ブロック図である。本発明の入力装置101の一例としては、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話端末、携帯音楽プレイヤー、携帯テレビ、銀行のATM(Automated Teller Machine)、駅の券売機が挙げられる。この入力装置101は、表示部103及び入力検出部104を備えるタッチパネル102と、記憶部105と、荷重検出部106と、触感呈示部107と、制御部108とを有する。
【0013】
表示部(第1の表示部及び第2の表示部)103は、文字を入力するためのキー又はボタン(以下、キー、ボタン及び文字を入力するためのオブジェクト等を、キーと略する)、及び入力された文字を表示するもので、例えば、液晶表示パネルや有機EL表示パネル等を用いて構成される。なお、文字とは、ひらがな、片仮名、アルファベットのみならず、数字や記号等も含むものとする。キーには、文字が割り当てられている。キーに対して入力が行われると、当該キーに割り当てられた文字が表示部103に表示される。つまり、キーは、文字に対応する入力領域を示すものである。ある入力領域に入力が行われると、当該入力領域に対応するキーに割り当てられている文字が表示部103に表示される。以下、本実施形態では、キーの形状と入力領域とが一致するものとする。なお、本発明では、文字に対応する入力領域とキーの形状とを必ずしも一致させる必要はなく、入力領域をキーよりも広く(又は狭く)設定することもできることに留意されたい。また、入力領域(キー)に対応する文字とは、例えば、入力領域に対応するキーの文字、入力領域に対応するキーに割り当てられた文字との意味である。
【0014】
入力検出部104は、ユーザの指やスタイラスペン等(押下物)による入力を検出するもので、抵抗膜方式、静電容量方式、光学式等の公知の方式のもので構成される。入力検出部104は、特に、文字に対応する入力領域(キー)への入力を検出する。なお、入力検出部104が入力を検出する上で、押下物が入力検出部104を物理的に押下することは必須ではない。例えば、入力検出部104が光学式である場合は、入力検出部104は入力検出部104上の赤外線が指やスタイラスペン等で遮られた位置を検出するため、押下物が入力検出部104を押下することは不要である。
【0015】
入力検出部104は、何れの入力領域(キー)への入力が行われたかを検出するとともに、更に、検出された入力領域(キー)と押下物との接触の度合い(例えば、面積や圧力)も検出するもので、例えば、接触面積に応じて出力電圧が変化する面積センサや接触圧力に応じて出力電圧が変化する圧力センサの機能も有するものとする。以下、本実施形態では、接触の度合いとは接触面積を指すものとする。
【0016】
記憶部105は、入力された各種情報、文字を表示するための荷重閾値及び(正しい)文字配列パターンなどを記憶するとともに、ワークメモリ等としても機能する。荷重閾値は、制御部108がキー毎に任意に設定できる事項である。(正しい)文字配列パターンとは、辞書に記載されているような(言語として正しい)単語や文章又はローマ字入力において(正しく)かな変換されるアルファベットの配列である。
【0017】
荷重検出部106は、入力検出部104に対する押下荷重を検出するもので、例えば、歪みゲージセンサや圧電素子などの荷重に対して線形に反応する素子を用いて構成される。
【0018】
触感呈示部107は、入力検出部104を振動させ、入力検出部104を押下しているユーザの指やスタイラスペンなど(押下物)に触感を呈示するもので、例えば、圧電素子などの振動素子を用いて構成される。呈示する触感は、何らかの振動であればよく、周波数、周期(波長)、振幅、波形を、呈示する触感に応じて適宜設定することができる。また、触感呈示部107は、単なる振動ではなく、機械的なキーを押した際に感じられるカチッとした硬質的な触感(リアルなクリック感)を押下物に対して呈示することもできる。触感を呈示する条件(例えば、押下荷重が1N[ニュートン]を超えること)を設定することにより、この条件を満たすまでは、ユーザの圧覚を刺激し、条件を満たすと、触感呈示部107が入力検出部104を振動させてユーザの触覚を刺激することが可能になる。このように、ユーザの圧覚と触覚を刺激することにより、カチッとした硬質的な触感をユーザに呈示できる。入力検出部104自体は、押下されても機械的なキーのように物理的に変位しないが、上記のような触感をタッチ対象に呈示することにより、ユーザは、機械的なキーを操作した場合と同様のリアルなクリック感を得ることができる。これにより、ユーザは、押下によるフィードバックが本来ない入力検出部104への入力操作を違和感なく行うことが可能となる。カチッとした硬質的な触感は、例えば140Hz〜500Hzのサイン波を1周期又は矩形波を1周期呈示することにより実現できる。なお、荷重検出部106及び触感呈示部107が圧電素子を用いて構成される場合には、圧電素子を共用して、荷重検出部106及び触感呈示部107を構成することができる。圧電素子は、圧力が加わると電力を発生し、電力が加えられると変形するためである。
【0019】
制御部108は、入力装置101の各機能ブロックをはじめとして入力装置101の全体を制御及び管理する。ここで、制御部108は、CPU(中央処理装置)等の任意の好適なプロセッサ上で実行されるソフトウェアとして構成したり、処理ごとに特化した専用のプロセッサ(例えばDSP(デジタルシグナルプロセッサ))によって構成したりすることができる。制御部108は、入力検出部104が入力領域への入力を検出し、荷重検出部106が文字を表示するための荷重閾値以上の押下閾値を検出すると、入力領域に対応するキーの文字を表示するように表示部103を制御する。制御部108の行うその他の処理については、後述の図2の説明にて詳述する。
【0020】
以下、ユーザが「ほんじつは」と入力しようとする場合について説明する。なお、本実施形態では、入力方法は日本語(かな文字)のローマ字入力であるとする。ユーザは「H」「O」「N」「J」「I」「T」「S」「U」「H」「A」の入力を試み、「A」の入力の際、誤って「S」のキーも押下してしまったとする。
【0021】
図2は、図1の入力装置が行う処理を示すフローチャートである。図3は、表示部の表示画面例である。表示部103は、例えば図3のようにメイン表示部111(第2の表示部)及びキー表示部(第1の表示部)112で構成されている。キー表示部112は、ユーザが入力を行うためのものであり、文字が割り当てられたキーを複数表示する。メイン表示部111は、キー表示部112への入力結果を表示させるためのものであり、文字を表示する。
【0022】
まず、キー表示部112に表示されたキーへの入力が、ユーザの指やスタイラスペン等の押下物によって行われると、入力検出部104は、この入力を検出する(ステップS101)。つまりステップS101で、どのキー(入力領域)に対する入力であるのかが検出されることになる。そして、入力検出部104は、入力の検出とともに、押下物とキー(入力領域)との接触面積を検出することができる(ステップS102)。
【0023】
荷重検出部106は、入力検出部104に利用者の指やスタイラスペンなどの押下物が接触した時点から、入力検出部104に対する押下荷重を検出し始める(ステップS103)。
【0024】
続いて、入力検出部104の検出結果に基づいて、制御部108は、キーへの入力が複数のキーにまたがる入力であるか否かを判断する(ステップS104)。1つの所望のキーのみへの入力が行われた場合(ステップS104のNo)、制御部108は、荷重検出部106により検出された押下荷重が、記憶部105に記憶されている文字を表示するための荷重閾値以上であるか(に達したか)判断する(ステップS105)。例えば、図4のように遷移する押下荷重でキーが押下されたとする。文字を表示するための荷重閾値がF1[N]に設定されている場合、制御部108は、時刻t1[ms]で押下荷重が文字を表示するための荷重閾値以上になったと判断する(ステップS105のYes)。押下荷重が文字を表示するための荷重閾値未満であるとき(ステップS105のNo)、つまり時刻t1[ms]未満では、ステップS101〜S104の処理が繰り返されることになる。
【0025】
押下荷重が文字を表示するための荷重閾値以上となった場合(ステップS105のYes)、制御部108は、検出された入力に対応する文字をメイン表示部111に表示すべき文字として受け付ける(ステップS106)。そして、制御部108は、表示すべき文字がかな文字に対応する場合(例えば、表示すべき文字が母音(「A」「I」「U」「E」「O」))は、表示すべき文字をかな変換してメイン表示部111に表示させる(ステップS107)。また、制御部108は、表示すべき文字がかな文字に対応しない場合(例えば、表示すべき文字が子音)は、表示すべき文字自体をメイン表示部111に表示させる(ステップS107)。つまり、メイン表示部111には、アルファベット(ローマ字)が表示されることになる。「H」「O」「N」「J」「I」「T」「S」「U」「H」までの各入力により、メイン表示部111の表示は、図5のように、「h」、「ほ」、「ほn」、「ほんj」、「ほんじ」「ほんじt」、「ほんじts」、「ほんじつ」、「ほんじつh」の順に変化する。なお、このように、本明細書において、入力領域に対応するキーの文字(キーに対応する文字)をメイン表示部111(第2の表示部)に表示するといった場合、その入力領域に対応するキーに実際に割り当てられている文字(例えば、O)をそのまま表示する態様のみならず、入力に対応するキー実際に割り当てられている文字「O」を、既に表示すべき文字として受け付けられている(表示されている)「H」と関連付けて、「ほ」を表示するような態様も含まれることに留意されたい。また、本実施形態では、例えば、キー「H」にはアルファベットの大文字の「H」および小文字の「h」がそれぞれ割り当てられており、事前の設定によりキー「H」を入力することにより、「h」が表示されるようになっている。本明細書においてはアルファベットの大文字、小文字には特段の差異を持たせていない。受け付けられた文字をメイン表示部111に表示した後、制御部108は、触感呈示部107を制御して入力検出部104を振動させることにより、押下物に触感を呈示することができる(ステップS108)。例えば、制御部108は、触感呈示部107に図6のような一周期のサイン波を発生させて入力検出部104を振動させることができる。
【0026】
次に、複数のキーにまたがる入力が行われる場合、つまり「A」の入力での文字の表示方法について説明する。以下、複数のキーにまたがる入力は、2つのキーにまたがる入力であるとして説明するが、3つ以上のキーにまたがる入力が行われた場合も同様である。なお、複数のキーにまたがる入力とは、複数のキーが押下された時間が完全に一致する入力だけでなく、通常の文字入力においてユーザが連続して2文字を入力する間隔と区別できるほど短い間隔での連続する複数のキーへの押下による入力も含む。閾値となるこの短い間隔とは、ユーザの押下速度やタッチパネルの処理速度等を勘案して自由に設定できる事項である。
【0027】
まず、ユーザが図7のように、「A」及び「S」のキーの双方にまたがる入力を行ったとする。すると、入力検出部104がキー「A」及び「S」に対する入力であることを検出し(ステップS101)、キー「A」及び「S」と押下物との接触面積をそれぞれ検出する(ステップS102)。そして、荷重検出部106は、入力検出部104に対する押下荷重を検出する(ステップS103)。その後、制御部108は、当該入力が複数のキーにまたがる入力であると判断する(ステップS104のYes)。
【0028】
続いて、制御部108は、メイン表示部111に表示されている文字(文字列)を基に、次に入力されるべき文字を予測する(ステップS109)。当該予測は、例えば、記憶部105に記憶されている(正しい)文字配列パターンとメイン表示部111に表示されている文字(文字列)との比較により行われる。また、制御部108は、過去のユーザの入力履歴を記憶部105に記憶させ、入力履歴とメイン表示部111に表示されている文字(文字列)との比較により入力されるべき文字を予測することもできる。以下、制御部108は、かな文字に対応付けられるアルファベットの配列である(正しい)文字配列パターンに基づいて入力されるべき文字を予測するとする。前回の入力でメイン表示部111に表示されている「h」が(正しく)かな変換される(かな文字に対応付けられる)ために、今回の入力では、母音が入力される可能性が高い。そのため、制御部108は、母音(「A」「I」「U」「E」「O」)が入力されるべき文字であると予測する。つまり、表示されている文字が「h」であり、記憶部105に記憶されている文字配列パターンは、「ha」、「hi」、「hu」、「he」及び「ho」である。そして、「h」と「ha」、「hi」、「hu」、「he」及び「ho」とを比較することにより、入力されるべき文字が母音(「A」「I」「U」「E」「O」)と予測される。なお、ユーザは、「A」及び「S」のキーの双方にまたがる入力を行っているので、制御部108は、複数の入力領域にまたがる入力で入力されるべき文字として、「A」のみ予測してもよい(複数の入力領域にまたがる入力において、その複数の入力領域にそれぞれ対応づけられたキーの文字のうちから入力されるべき文字を予測してもよい)。
【0029】
そして、制御部108は、予測された文字を表示するための荷重閾値が、該予測により予測されていない文字を表示するための荷重閾値よりも低くなるように設定する(ステップS110)。例えば、制御部108は、予測されていない文字「S」に対応する荷重閾値をF1[N]、予測された文字「A」に対応する荷重閾値F2[N](F2<F1)に設定する。
【0030】
荷重閾値の設定後、設定後の文字を表示するための荷重閾値を用いて、制御部108は、荷重検出部106が検出する押下荷重が荷重閾値(「A」を表示するための荷重閾値)F2[N]以上であるか、又は押下荷重が荷重閾値(「S」を表示するための荷重閾値)F1[N]以上であるかを判断する(ステップS105)。荷重検出部106が検出する押下荷重は、図8のように等しく遷移するとする。
【0031】
荷重検出部106が検出する押下荷重が、ステップS110で設定した荷重閾値のうち最も低く設定された荷重閾値(ここでは、「A」を表示するための荷重閾値)以上である場合(ステップ105のYes)、制御部108は、当該荷重閾値(「A」を表示するための荷重閾値)が設定された入力領域(キー)に対応する文字(「A」)をメイン表示部111に表示すべき文字として受け付ける(ステップS106)。例えば、図8に示される押下荷重は、荷重閾値(「A」を表示するための荷重閾値)F2以上ではあるが荷重閾値(「S」を表示するための荷重閾値)F1未満であるので、制御部108は、文字「A」をメイン表示部111に表示すべき文字として受け付ける。また、図9のように、押下荷重が荷重閾値(「S」を表示するための荷重閾値)F1及び荷重閾値(「A」を表示するための荷重閾値)F2以上となるように遷移する場合は、制御部108は、最初に荷重閾値以上の押下荷重で押下されたキーに対応する文字、つまり文字「A」を受け付ける。なお、またがって押下された2つのキーに対応する文字の双方ともが、予測される文字又は予測されない文字である場合、制御部108は、2つのキーに関する荷重閾値を同じ値に設定することができる。このとき、2つのキーへの押下荷重が同時に荷重閾値以上になることがある。制御部108は、入力検出部104により検出される接触面積が大きいキーに対応する文字を表示部103に表示すべき文字として受け付けることができる。なお、押下荷重が荷重閾値(「S」を表示するための荷重閾値)F1及び荷重閾値(「A」を表示するための荷重閾値)F2以上となるように遷移する場合は、「S」を「A」の代わりに表示すべき文字として受け付け、メイン表示部111に表示してもよい。
【0032】
表示すべき文字(「A」)が母音であるため、制御部108は、表示すべき文字をかな変換してメイン表示部111に表示する(ステップS107)。つまり、前回の入力で文字「h」がメイン表示部111に表示されているので、制御部108は、「h」と「a」の構成により対応するひらがな(かな文字)「は」を図10のようにメイン表示部111に表示する。受け付けられた文字をメイン表示部111に表示した後、制御部108は、触感呈示部107を制御して入力検出部104を振動させることにより、押下物に触感を呈示することができる(ステップS108)。なお、制御部108は、受け付けられた文字が複数のキーにまたがる入力によるものか否かで、押下物に異なる触感を呈示するように触感呈示部107を制御することができる。
【0033】
ステップS105において、荷重検出部106が検出する押下荷重が文字を表示するための荷重閾値未満である場合は(ステップ105のNo)、ステップS101〜S104、S109及びS110の処理が繰り返される。つまり、ユーザは、視覚により複数のキーにまたがる入力を行っていることを認識した場合は、文字を表示するための荷重閾値以上の荷重で押下しない限り入力し直すことが可能である。
【0034】
このように本実施形態では、入力装置101の制御部108は、入力検出部104が複数の入力領域にまたがる入力を検出すると、メイン表示部111に表示されている文字と記憶部105に記憶されている文字配列パターンとの比較により、複数の入力領域にまたがる入力で入力されるべき文字を予測し、予測された文字を表示するための荷重閾値が、予測されていない文字を表示するための荷重閾値よりも低くなるように設定する。これにより、予測された文字は、予測されていない文字と比較し、文字を表示するための荷重閾値が低いため、たとえ接触面積が小さくてもメイン表示部111に表示されやすくなる。予測された文字は、ユーザの意図する文字である可能性が高いため、ユーザが誤って複数の入力領域にまたがる入力を行ってしまった場合に、ユーザの意図しない文字(誤った文字)がメイン表示部111に表示される可能性は低くなる。よって、誤った文字を訂正する回数は減り、文字入力作業の効率が上がる。
【0035】
また、本実施形態では、制御部108は、メイン表示部111に表示されている文字と、記憶部105に記憶されている(正しい)文字配列パターンとの比較により、入力されるべき文字を予測することができる。これにより、(言語として正しい)単語や文章を成立させる文字や(正しく)かな変換される文字がメイン表示部111に表示されやすくなる。
【0036】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各部材、各手段、各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段やステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0037】
上述した本発明の実施形態の説明では、(正しい)文字配列パターンとしてかな文字に対応付けられるアルファベットの配列が記憶部105に記憶され、当該アルファベット配列に基づいて、入力されるべき文字の予測が行われる場合について想定されている。しかし、(正しい)文字配列パターンとして、かな文字に対応付けられるアルファベットの配列に限定されず、辞書に記載されている単語を構成する文字列を選択することもできる。例えば、ユーザが英単語「fantastic」を入力する際に、8文字目の「i」の入力で、誤って「I」のキーと「O」のキーとにまたがる入力を行ってしまったとする。このとき、制御部は、「fantasti」又は「fantasto」が(正しい)文字配列パターンを構成する文字列に該当するか否か判断する。「fantasto」を含む単語は英単語としては存在しないため、制御部は、入力されるべき文字は「i」であると予測する。そして、制御部は、文字「I」に対応する荷重閾値を、文字「O」に対応する荷重閾値よりも低く設定できる。「I」及び「O」は双方とも母音であるため、(正しい)文字配列パターンがかな文字に対応付けられるアルファベットの配列である場合には、「I」のみではなく「O」も入力されるべき文字として予測される。そのため、「I」と「O」との荷重閾値に異なる値を設定することができない。よって、(正しい)文字配列パターンが辞書に記載されている単語を構成する文字列である場合は、精度の高い予測が実現される。なお、仮に「fantasto」を含む単語が存在する場合は、制御部は、文字「i」により構成される単語の数と、文字「o」により構成される単語の数とを比較し、候補数の多い文字に対応する荷重閾値を低くすることができる。
【0038】
また、上述した本発明の実施形態の説明では、制御部108は、荷重閾値以上の押下荷重で押下されたキーに対応する文字を表示すべき文字として受け付けるが、文字を受け付ける条件として押下物とキーとの接触面積を考慮することもできる。例えば、制御部108は、押下荷重が荷重閾値以上であり、且つ接触面積がキーの面積の所定の割合以上(例えば、30%以上)である場合に、押下されたキーに対応する文字を表示すべき文字として受け付けることができる。予測される文字及び予測されない文字に対応するキーにまたがる入力が行われた場合、予測される文字のキーに関する接触面積が小さければ小さいほど、ユーザは、予測されない文字の入力を意図している可能性が高い。ユーザが予測されない文字の入力を意図する場合とは、例えば、ユーザが新語、造語、話し言葉等の辞書に掲載されてない単語を入力したい場合である。よって、制御部が文字を受け付ける条件に荷重閾値のみならず接触面積も加えることにより、予測されない文字を必要以上に排除することを避けることができる。
【0039】
また、上述の本発明の実施形態の説明において、例えば、荷重閾値「以上」または荷重閾値「未満」のような表現の技術的思想が意味する内容は必ずしも厳密な意味ではなく、入力装置の仕様に応じて、基準となる値を含む場合又は含まない場合の意味を包含するものとする。例えば、荷重閾値「以上」とは、押下荷重が荷重閾値に達した場合のみならず、荷重閾値を超えた場合も含意し得るものとする。また、例えば荷重閾値「未満」とは、押下荷重が荷重閾値を下回った場合のみならず、荷重閾値に達した場合、つまり荷重閾値以下になった場合も含意し得るものとする。
【0040】
また、本実施形態の説明における「第1の表示部」と「第2の表示部」は、それぞれ別個のハードウェアにより2画面で構成されていてもよいし、1のハードウェアにより1画面で構成され、2つの表示領域により構成されていてもよい。また、文字が割り当てられたキーを複数表示する第1の表示部は、入力検出部と一体となって構成され、タッチセンサ上にキー等を描画することにより、該キーを表示すると共に、該キーに対する入力を検出してもよい。
【0041】
また、本実施形態における入力装置101は、文字配列パターンを記憶する記憶部105の代わりに、文字配列パターンが記憶されているサーバと通信を行う通信部を備えることができる。このような入力装置101においては、制御部108が、入力検出部104が複数の入力領域にまたがる入力を検出すると、第2の表示部(メイン表示部111)に表示されている文字とサーバに記憶されている文字配列パターンとを通信部を介してサーバと通信を行うことにより比較し、該比較により、複数の入力にまたがる入力で入力されるべき文字を予測し、該予測された文字を表示するための荷重閾値が、予測により予測されていない文字を表示するための荷重閾値よりも低くなるように設定することにより、入力装置101に、文字配列パターンを記憶する記憶部105が無くとも、文字配列パターンが記憶されているサーバを用いることにより、上述した実施形態における入力装置101と同様な効果を得ることができる。
【0042】
また、本実施形態における入力装置101は、文字配列パターンを記憶する記憶部105を備えているが、この記憶部105は、入力装置101にUSB等のインターフェースにより接続可能な外部記憶部も含むことに留意されたい。
【0043】
また、本実施形態における荷重検出部106は、押下荷重を検出するための圧電素子等を入力の端部に複数設置することにより、タッチパネルが複数の位置を同時に押下されたとしても、複数設置されたそれぞれの圧電素子等の出力から、同時に押下されたそれぞれの位置および押下荷重を検出するように構成してもよい。このように構成した場合、荷重検出部106は、押下物により入力されている入力領域ごとの押下荷重を検出することができるので、文字を表示するための荷重閾値を入力領域ごとに設定し、制御部108は、荷重検出部108が検出する入力領域の押下荷重と、該入力領域に設定された文字を表示するための荷重閾値とに基づき、上述の実施形態のように入力領域に対応するキーの文字を表示させてもよい。
【符号の説明】
【0044】
101 入力装置
102 タッチパネル
103 表示部
104 入力検出部
105 記憶部
106 荷重検出部
107 触感呈示部
108 制御部
111 メイン表示部
112 キー表示部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字が割り当てられたキーを複数表示する第1の表示部と、
文字を表示する第2の表示部と、
押下物による入力がされると、前記複数のキー毎に設定され、該キーに対応付けられた文字を第2の表示部に表示するための入力領域のうち、入力された入力領域を検出する入力検出部と、
前記入力検出部への押下荷重を検出する荷重検出部と、
文字配列パターンを記憶する記憶部と、
前記入力検出部が入力領域への入力を検出し、前記荷重検出部が文字を表示するための荷重閾値以上の押下閾値を検出すると、前記入力領域に対応するキーの文字を表示するように前記第2の表示部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記入力検出部が複数の入力領域にまたがる入力を検出すると、前記第2の表示部に表示されている文字と前記記憶部に記憶されている文字配列パターンとの比較により、前記複数の入力にまたがる入力で入力されるべき文字を予測し、該予測された文字を表示するための荷重閾値が、前記予測により予測されていない文字を表示するための荷重閾値よりも低くなるように設定することを特徴とする入力装置。
【請求項2】
文字が割り当てられたキーを複数表示する第1の表示部と、
文字を表示する第2の表示部と、
押下物による入力がされると、前記複数のキー毎に設定され、該キーに対応付けられた文字を第2の表示部に表示するための入力領域のうち、入力された入力領域を検出する入力検出部と、
前記入力検出部への押下荷重を検出する荷重検出部と、
文字配列パターンが記憶されているサーバと通信を行う通信部と、
前記入力検出部が入力領域への入力を検出し、前記荷重検出部が文字を表示するための荷重閾値以上の押下閾値を検出すると、前記入力領域に対応するキーの文字を表示するように前記第2の表示部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記入力検出部が複数の入力領域にまたがる入力を検出すると、前記第2の表示部に表示されている文字と前記サーバに記憶されている文字配列パターンとを前記通信部を介して前記サーバと通信を行うことにより比較し、該比較により、前記複数の入力にまたがる入力で入力されるべき文字を予測し、該予測された文字を表示するための荷重閾値が、前記予測により予測されていない文字を表示するための荷重閾値よりも低くなるように設定することを特徴とする入力装置。
【請求項1】
文字が割り当てられたキーを複数表示する第1の表示部と、
文字を表示する第2の表示部と、
押下物による入力がされると、前記複数のキー毎に設定され、該キーに対応付けられた文字を第2の表示部に表示するための入力領域のうち、入力された入力領域を検出する入力検出部と、
前記入力検出部への押下荷重を検出する荷重検出部と、
文字配列パターンを記憶する記憶部と、
前記入力検出部が入力領域への入力を検出し、前記荷重検出部が文字を表示するための荷重閾値以上の押下閾値を検出すると、前記入力領域に対応するキーの文字を表示するように前記第2の表示部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記入力検出部が複数の入力領域にまたがる入力を検出すると、前記第2の表示部に表示されている文字と前記記憶部に記憶されている文字配列パターンとの比較により、前記複数の入力にまたがる入力で入力されるべき文字を予測し、該予測された文字を表示するための荷重閾値が、前記予測により予測されていない文字を表示するための荷重閾値よりも低くなるように設定することを特徴とする入力装置。
【請求項2】
文字が割り当てられたキーを複数表示する第1の表示部と、
文字を表示する第2の表示部と、
押下物による入力がされると、前記複数のキー毎に設定され、該キーに対応付けられた文字を第2の表示部に表示するための入力領域のうち、入力された入力領域を検出する入力検出部と、
前記入力検出部への押下荷重を検出する荷重検出部と、
文字配列パターンが記憶されているサーバと通信を行う通信部と、
前記入力検出部が入力領域への入力を検出し、前記荷重検出部が文字を表示するための荷重閾値以上の押下閾値を検出すると、前記入力領域に対応するキーの文字を表示するように前記第2の表示部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記入力検出部が複数の入力領域にまたがる入力を検出すると、前記第2の表示部に表示されている文字と前記サーバに記憶されている文字配列パターンとを前記通信部を介して前記サーバと通信を行うことにより比較し、該比較により、前記複数の入力にまたがる入力で入力されるべき文字を予測し、該予測された文字を表示するための荷重閾値が、前記予測により予測されていない文字を表示するための荷重閾値よりも低くなるように設定することを特徴とする入力装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−48413(P2012−48413A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−188846(P2010−188846)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
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