説明

入場管理システム

【課題】入場管理システムのセキュリティを強化する。
【解決手段】入場管理区域10への入場を許可する認証カード4と、認証カード4の電波情報を検知する検知器5と、認証用データーに基づいて検知器5の検知情報を認証し、入場管理区域10への不正入場を監視する監視手段とを備える入場管理システムにおいて、入場管理区域10のゲート1付近に、外部からの電波情報を遮蔽する通行エリア9が設けられ、且つ、通行エリア9内に検知器5が配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入場管理区域への入場時にカード等の認証媒体を用いて入場者の認証確認を行うことにより、カード不携帯者の不正入場を防止するようにした入場管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、図3(a)に示すように、入場許可者3が携帯する認証カード4がゲート1に設けたカードリーダー5にて検知され、その検知情報が、例えば、ネットワーク7に接続されたサーバー8内において認証確認されて入場許可者と非許可者とが識別され、その識別結果に基づいてゲート1が開閉制御されることにより、入場管理区域10への入場を管理する管理システムが公知である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
こうした管理システムにおいては、通信可能距離が極端に短い近距離型の認証カード4を用いると、入場許可者は入場の都度カードリーダー5に近づいて認証カード4を翳さなければならず、荷物等を運搬していて両手がふさがっている場合等は、認証カード4を翳す行為そのものが非常に煩わしいものであり、特に、高い洗浄度を要求されるクリーンルームへ入場する場合等では、認証カード4を持つ指先を介して室内が汚染される虞がある。
【0004】
このような、不都合を解決するには、通信可能距離の長い長距離型の認証カード4を用いることが考えれるが、認証カード4の通信可能距離が拡大されると、図3(b)に示すように、入場許可者3がゲート1より離れた場所を通行している間にカード情報が検知・認証されてゲート1が開かれることになり、ゲート1付近を通行する入場を許可されていない第三者(認証カード不携帯者)12の入場をも許してしまうという問題が発生する。
【特許文献1】特開2002−334382号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ゲート付近に通行エリアを設け、通行エリア外からの送信電波を遮断することにより、上記問題を解決したセキュリティ性に優れる入場管理システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、請求項1に記載の発明は、入場管理区域への入場を許可する認証カードと、当該認証カードの電波情報を検知する検知器と、認証用データーに基づいて前記検知器の検知情報を認証し、前記入場管理区域への不正入場を監視する監視手段とを備える入場管理システムにおいて、前記入場管理区域のゲート付近に、外部からの前記電波情報を遮蔽する通行エリアが設けられ、且つ、当該通行エリア内に前記検知器が配設されていることを特徴としている。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の入場管理システムにおいて、前記通行エリアは、透過性電磁シールド材にて包囲された空間であることを特徴としている。
【0008】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2の何れかに記載の入場管理システムにおいて、前記通行エリア内の上方位置に入場者を監視する監視カメラが設置され、前記電波情報の認証結果と、前記監視カメラによる撮像画像の分析結果に基づいてカード不携帯者の共連れ入場を防止することを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1〜3に記載の発明によれば、ゲート付近に、外部電波を遮蔽する通行エリアが設けられることにより、認証カードからの電波情報は通行エリア内において発信された場合にのみ検知器にて検知されるため、入場許可者がゲートから離れた場所を通行していてゲートが開かれる不都合が回避されるため、入場が許可されていない第三者の不正入場を防止することができる。
【0010】
また、請求項2に記載の発明によれば、通行エリアが透過性電磁シールド材にて構成されているので、入場許可者を含む通行人に違和感を与えることのない、極めてデザイン性の高い通行エリアを構築することができ、よって、入場許可者に認証を意識させることなく入場の管理が行える。
【0011】
また、請求項3に記載の発明では、通行エリア内の情報位置に監視カメラが設置されることにより、カード情報の認証結果と画情報の分析結果より、カード不携帯者の共連れ入場を素早く察知して不正入場を阻止することができ、より優れたセキュリティ管理が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図1、図2に基づいて本発明の実施形態による入場管理システムについて説明する。図1は本実施形態による入場管理システムを示し、図2は共連れ防止装置を備えた入場管理システムを示している。
尚、説明を簡略化するため、以下の説明において従来と共通する部材については同一の符号を用いた。
【0013】
図1中の符号1は、入場管理区域(セキュリティゾーン)10への出入りを行う電気錠E付きのゲートである。このゲート1は入退場時にのみ解錠され、通常時は施錠されている。
また、このゲート1の通路2側に、入場許可者3が携帯している認証カード4の情報を検知するカードリーダー5(検知器)が配設されている。このカードリーダー5は、例えば、ゲート1の近傍の壁面や天井面等に設置された制御ユニット6に接続されており、また、制御ユニット6は、ネットワーク7を介して遠隔地のサーバー8に接続されている。そして、これら制御ユニット6とサーバー8とで監視手段が構成されている。
【0014】
認証カード4には、それぞれ特定の個人情報等の各種情報が登録されており、特定場所への入場を許可された者(入場許可者)が携帯している。認証カード4としては、例えば、RFIDのICタグ(電波式タグ)を用いることができる。
尚、ICタグとしては、電池内蔵型の長距離交信が可能なアクティブタグや電池を内蔵せず、近距離交信が可能なパッシブタグの使用が可能であるが、少なくとも1m以上の交信距離(通信可能距離)が確保されていることが望ましい。
【0015】
サーバー8には、各認証カード4に登録された個人情報に対応する認証用データベースが構築されている。
【0016】
制御ユニット6は、カードリーダー5にて検知された情報(カード情報)をネットワーク7を介してサーバー8へ送信すると共に、サーバー8より送信される認証確認の結果を受信する。また、制御ユニット6は、この認証結果に応じて電気錠Eの施錠や解錠を制御し、ゲート1の開閉を遠隔操作する。
【0017】
ところで、本実施形態で特筆すべきは、ゲート1付近の通路2側に外部からの発信電波を遮蔽する通行エリア9が形成され、且つ、この通行エリア9内のゲート1近傍に上述したカードリーダー5が配設されている点であり、入場許可者3は、この通行エリア9内を通過して入場管理区域10内に入場するようになっている。
【0018】
通行エリア9は、透過性電磁シールド材にて周囲と上部が包囲された空間であって、入場手段となる開閉扉の間口が約2〜3m×3〜4mと人が違和感を感じずに通行できるゆったりとしたスペースが確保されており、且つ、奥行きは、少なくとも使用される認証カード4の持つ通信可能距離以内の寸法に設定されている。
また、透過性磁性シールド材として、透明度の高い、例えば、電磁シールドガラスやシールドフィルム等が用いられ、例えば、図2(a)に示すような細長箱形状に形成されるとデザイン上好ましい。
【0019】
上記構成の入場管理システムでは、認証カード4を携帯した入場許可者3が通行エリア9の外を通行している間は、例え、カードリーダー5が通信可能距離内に存在していても認証カード4の電波情報は通行エリア9にて遮断され、カードリーダー5には検知されないため、入場許可者3の認証は行われない。従って、ゲート1は施錠された状態を維持しており、例えば、図1に示すように、ゲート1の近傍に認証カード4を所持しない第三者12がたまたま通行していても、この第三者12は入場管理区域10に入場することはできない。
【0020】
入場許可者3が通行エリア9内に達すると、入場許可者3の携帯する認証カード4の電波情報をカードリーダー5が検知し、その検知情報が制御ユニット6に伝達されると共に、制御ユニット6よりネットワーク7を介してサーバー8に送信される。
サーバー8側では、制御ユニット6からの情報を認証用データーベースに基づいて認証確認を行い、入場許可者であることが認証された場合に、サーバー8より制御ユニット6に対してゲート開放指令、すなわち、電気錠Eの解錠指令が発行される。制御ユニット6は、このゲート開放指令を受けてゲート1の電気錠Eの施錠を解除し、これで、入場許可者3は入場可能となる。
【0021】
以上のように、本実施形態では、ゲート1の付近に、外部電波を遮蔽する通行エリア9が設けられているため、認証カード4からの電波情報は、この通行エリア9内において発信された場合にのみカードリーダー5にて検知可能であり、これにより、入場許可者3が通行エリア9外を通行している間にゲート1が開放される不都合が回避され、入場を許可されていない第三者12の入場を阻止することができ、入場管理区域10のセキュリティが確保される。
【0022】
また、通行エリア9が透明性の高い電磁シールドガラスやシールドフィルム等にて構成されているので、通行人に違和感を与えることのない、デザイン性の高い通行エリアを構築することができ、よって、入場許可者3に認証を意識させることなく入場許可者の管理が行えるようになる。
【0023】
また、本実施形態の入場管理システムでは、図2に示すように、通行エリア9内の上方部(例えば天井部)に入場許可者3を監視する監視カメラ13を設置することができる。
本実施形態では、図2(b)に示すように、ガラスパーティション14にて区画された通行エリア9内を対向するように通行して各側の入場管理区域10へ入場する例が示されており、各入場管理区域10のゲート1付近には図1の場合と同様にカードリーダー5が設置されており、各カードリーダー5の上方位置にそれぞれ上述した監視カメラ13が設置されている。この監視カメラ13は、図1と同様に制御ユニット6(図示せず)に接続されており、監視カメラ13の撮像データ(画情報)は、この制御ユニット6よりサーバー8(図示せず)に送信されるようになっている。
【0024】
係る構成では、カードリーダー5が検知した認証カード4の個人情報と、監視カメラ13が撮像した入場者の画情報が、それぞれ制御ユニット6に入力され、さらに、制御ユニット6よりサーバー8に送信される。サーバー8側では、認証用データベースに基づき、受信した認証カード4の情報の認証確認が行われると共に、例えば、この認証確認の回数(カード情報の受信回数)と受信した監視カメラ13の画情報を分析して得られた入場人数が比較される。
そして、カード情報による入場許可者の認証が得られ、且つ、画像分析で得られた入場人数と認証による入場許可人数とが一致した場合にのみ、サーバー8より制御ユニット6に対してゲート開放指令が発行され、電気錠Eが解錠される。これで、入場許可者3は入場可能となる。
【0025】
尚、上記実施形態では、画情報の分析をサーバー8側にて行うようにしたが、これに限るものではなく、係る画像分析を制御ユニット6で行い、得られた入場人数データを制御ユニット6よりサーバー8側に送信するように構成しても構わない。或いは、サーバー8より認証用データーを受信して、制御ユニット6において入場許可者3の認証を行うように構成しても構わない。
【0026】
このように、通行エリア9内の天井部に監視カメラ13が設置されることにより、カード情報の認証結果と画情報の分析結果(人数カウント)より、カード不携帯者12の共連れ入場を素早く察知して入場管理区域10への不正入場を阻止することができるため、より優れたセキュリティ管理が行えるようになる。
【0027】
また、図2(b)に示すように、通行エリア9の各入口に破線で示す片開きのドア15を設けておいて、不正入場が確認された場合に、不正入場許可者を通行エリア9内に封じ込めるように構成することも可能であり、セキュリティの向上に大いに寄与するものである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の入場管理システムの構成を示す図。
【図2】(a)は本発明の入場管理システムにおける共連れ防止の説明図、(b)はその平面図。
【図3】従来の入場管理システムの構成を示す図。
【符号の説明】
【0029】
1 ゲート
3 入場許可者
4 認証カード
5 検知器(カードリーダー)
9 通行エリア
10 入場管理区域
12 カード不携帯者
13 監視カメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入場管理区域への入場を許可する認証カードと、当該認証カードの電波情報を検知する検知器と、認証用データーに基づいて前記検知器の検知情報を認証し、前記入場管理区域への不正入場を監視する監視手段とを備える入場管理システムにおいて、
前記入場管理区域のゲート付近に、外部からの前記電波情報を遮蔽する通行エリアが設けられ、且つ、当該通行エリア内に前記検知器が配設されていることを特徴とする入場管理システム。
【請求項2】
前記通行エリアは、透過性電磁シールド材にて包囲された空間であることを特徴とする請求項1に記載の入場管理システム。
【請求項3】
前記通行エリア内の上方位置に入場者を監視する監視カメラが設置されており、前記監視手段は、前記電波情報の認証結果と、前記監視カメラによる撮像画像の分析結果に基づいてカード不携帯者の共連れ入場を察知することを特徴とする請求項1または請求項2の何れかに記載の入場管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−316735(P2007−316735A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−142963(P2006−142963)
【出願日】平成18年5月23日(2006.5.23)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【Fターム(参考)】