説明

入退室情報管理装置および入退室情報管理方法

【課題】複数個所に渡って入退室の管理が行われている環境において、一括して入退室管理情報を容易に取り扱うことができるようにする。
【解決手段】要求受け付け部105は、例えば端末装置140より送出された入退室履歴情報の送出要求を、端末装置140より送出されたテナント情報と共に広域通信網120を介して受け付け、領域検索部106が、要求受け付け部105が受け付けたテナント情報をもとに、対応する領域情報を管理情報記憶部104より検索して取り出し、入退室履歴情報検索部107が、領域検索部106が取得した領域情報をもとに、対応するカード情報の入退室履歴情報を、履歴情報記憶部102より検索して取り出し、入退室履歴情報通知部108が、入退室履歴情報を、これに対応するカード情報と共に、広域通信網120を介して要求元の端末装置140に通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理されている入退室情報を提供する入退室情報管理装置および入退室情報管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年では、情報管理に関する意識の高まりから、入退室の管理に関する技術が多く開発され、例えば複数のテナントが入っている既存の建築物において、テナント毎に独自の小規模なセキュリティシステムが導入されるようになってきている。このような入退室の管理システムにおいては、個人を識別する情報を記憶したICカードを用い、対象領域の出入り口に設けられたカードリーダが、ICカードより必要な情報を読み取ることで、入退室の管理や制御を行っている(特許文献1参照)。また、入退室の管理情報を、構内通信網により配信可能とされている(非特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2002−281573号公報
【特許文献2】特開2007−114871号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、規模の大きい企業では、複数のビルに渡って複数の貸し室を利用している場合が多い。ところが、入退室管理装置は、建築物毎に設置されており、上述したように、複数個所に管理領域が分散している場合、一括して入退室管理情報を取り扱うことが容易ではないという問題があった。
【0005】
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、複数個所に渡って入退室の管理が行われている環境において、一括して入退室管理情報を容易に取り扱うことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る入退室情報管理装置は、広域通信網を介して受け付けられ、入退室履歴情報が入退室の管理対象となる利用者が所有しているICカードを識別するためのカード情報およびカード情報で識別されるICカードが用いられる領域を識別するための領域情報と共に記憶される履歴情報記憶部と、利用者が所属するテナントを識別するテナント情報と、領域情報とが関連付けられた管理情報を記憶する管理情報記憶部と、広域通信網を介して入退室履歴情報の送出要求をテナント情報と共に受け付ける要求受け付け手段と、要求受け付け手段が受け付けたテナント情報をもとに、対応する領域情報を管理情報記憶部より検索して取り出す領域検索手段と、この領域検索手段が取り出した領域情報をもとに、対応するカード情報の入退室履歴情報を、履歴情報記憶部より検索して取り出す入退室履歴情報検索手段と、入退室履歴情報検索手段が取り出した入退室履歴情報を、これに対応するカード情報と共に広域通信網を介して要求元に通知する入退室履歴情報通知手段とを少なくとも備える。
【0007】
上記入退室情報管理装置において、管理情報のテナント情報には、領域を管理する管理会社を識別するための管理会社情報が関連付けられ、領域検索手段は、要求受け付け手段が受け付けた管理会社情報に関連するテナント情報をもとに対応する領域情報を管理情報記憶部より検索して取り出すようにしてもよい。なお、広域通信網は、インターネットである。
【0008】
また、本発明に係る入退室情報管理方法は、広域通信網を介して受け付けられ、入退室履歴情報が入退室の管理対象となる利用者が所有しているICカードを識別するためのカード情報およびカード情報で識別されるICカードが用いられる領域を識別するための領域情報と共に履歴情報記憶部に記憶する第1ステップと、利用者が所属するテナントを識別するテナント情報と、領域情報とが関連付けられた管理情報を管理情報記憶部に記憶する第2ステップと、広域通信網を介して入退室履歴情報の送出要求をテナント情報と共に受け付ける第3ステップと、受け付けたテナント情報をもとに、対応する領域情報を管理情報記憶部より検索して取り出す第4ステップと、取り出した領域情報をもとに、対応するカード情報の入退室履歴情報を、履歴情報記憶部より検索して取り出す第5ステップと、取り出した入退室履歴情報を、これに対応するカード情報と共に広域通信網を介して要求元に通知する第6ステップとを少なくとも備える。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、本発明によれば、受け付けたテナント情報をもとに、対応する領域情報を検索して取り出し、取り出した領域情報をもとに、対応するカード情報の入退室履歴情報を検索して取り出し、取り出した入退室履歴情報を、これに対応するカード情報と共に広域通信網を介して要求元に通知するようにしたので、複数個所に渡って入退室の管理が行われている環境において、一括して入退室管理情報を容易に取り扱うことができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態における入退室情報管理装置101の構成例を示す構成図である。入退室情報管理装置101は、履歴情報記憶部102、履歴情報収集部103、管理情報記憶部104、要求受け付け部105、領域検索部106、入退室履歴情報検索部107、および入退室履歴情報通知部108を備える。また、入退室情報管理装置101は、広域通信網120を介して入退室管理装置131,132,133と接続している。広域通信網120は、例えば、インターネットである。また、広域通信網120は、専用線を用いたネットワークであってもよい。また、本例では、3つの入退室管理装置について示しているが、これに限るものではなく、本発明は、複数の入退室管理装置に対して適用可能である。
【0011】
履歴情報記憶部102は、入退室管理装置131,132,133から送出された入退室履歴情報が記憶されている。入退室履歴情報は、入退室の管理対象となる利用者が所有しているICカードを識別するためのカード情報と共に記憶されている。例えば、図2に示すように、履歴情報記憶部102には、入室した時刻や退出した時刻の情報が、カード情報(氏名を含む)毎に記憶されている。また、カード情報には、カード情報で識別されるICカードが用いられる領域を識別するための領域情報(管理点を含む)が、カード情報毎に一意に備えられている。なお、管理点は、例えば、同一の領域(建物)内における部屋を示すものある。
【0012】
上記領域情報は、入退室管理装置131,132,133が設けられている領域を識別する。履歴情報収集部103は、入退室管理装置131,132,133より送出された上述したような入退室履歴情報を広域通信網120を介して収集し、履歴情報記憶部102に記憶する。
【0013】
管理情報記憶部104は、入退室管理装置131,132,133が設けられている領域のテナントを識別するテナント情報と上述した領域情報とが関連付けられた管理情報が記憶されている。テナントは、例えば、入退室の管理対象となる利用者が所属しているものであり、例えば、利用者が勤務する企業である。例えば、図3に示すように、管理情報記憶部104には、領域情報としての領域番号にテナント情報としてのテナント番号が関連付けられて記憶されている。この例では、領域番号「10010」および「10020」に、同じテナント番号「000001」が関連付けられており、テナント番号「000001」のテナント会社が、領域番号「10010」および「10020」で識別されるビルや貸し室を使用していることがわかる。また、テナント会社の社員入退室の管理担当者に与えられているユーザIDが、テナント情報として関連付けられているようにしてもよい。
【0014】
要求受け付け部105は、例えば端末装置140より送出された入退室履歴情報の送出要求を、端末装置140より送出されたテナント情報と共に、広域通信網120を介して受け付ける。端末装置140は、例えば、テナント会社に設けられている。例えば、上記管理担当者の操作により、送出要求やテナント情報が入力されて送出される。
【0015】
領域検索部106は、要求受け付け部105が受け付けたテナント情報をもとに、対応する領域情報を管理情報記憶部104より検索して取り出す。入退室履歴情報検索部107は、領域検索部106が取得した領域情報をもとに、対応するカード情報の入退室履歴情報を、履歴情報記憶部102より検索して取り出す。入退室履歴情報通知部108は、入退室履歴情報検索部107が取得した入退室履歴情報を、これに対応するカード情報と共に、広域通信網120を介して要求元の端末装置140に通知(送出)する。
【0016】
次に、本実施の形態における入退室情報管理装置の動作例(入退室情報管理方法)について説明する。始めに、入退室履歴情報の収集について説明する。まず、図4に示すように、ステップS401で、履歴情報収集部103が、広域通信網120を介して入退室履歴情報を収集する。例えば、設定されている時間毎に、入退室管理装置131,132,133より入退室履歴情報が広域通信網120を介して送出され、これら送出された入退室履歴情報を、履歴情報収集部103が収集する。また、設定されている時間毎に、履歴情報収集部103が入退室履歴情報の送出指示を広域通信網120を介して入退室管理装置131,132,133に通知し、この結果、入退室管理装置131,132,133より送出された入退室履歴情報を、広域通信網120を介して履歴情報収集部103が収集する。
【0017】
以上のようにして、履歴情報収集部103が、入退室履歴情報を収集すると、ステップS402で、履歴情報収集部103は、収集した入退室履歴情報を履歴情報記憶部102に記憶させる。
【0018】
次に、入退室履歴情報の通知について、図5のフローチャートを用いて説明する。まず、要求受け付け部105が、端末装置140からの入退室履歴情報の送出要求をテナント情報と共に広域通信網120を介して受け付けると(ステップS501)、領域検索部106が、要求受け付け部105が受け付けたテナント情報をもとに、対応する領域情報を管理情報記憶部104より検索して取り出す(ステップS502)。
【0019】
次に、ステップS503で、入退室履歴情報検索部107が、領域検索部106が取得した領域情報をもとに、対応するカード情報の入退室履歴情報を、履歴情報記憶部102より検索して取り出す。この後、ステップS504で、入退室履歴情報通知部108が、入退室履歴情報検索部107が取得した入退室履歴情報を、これに対応するカード情報と共に、広域通信網120を介して要求元の端末装置140に通知する。例えば、図6に示すように、「テナント番号 000001」で識別されるテナントを対象とした入退室履歴情報が通知される。なお、図6では、便宜上「テナント番号 000001」と示したが、テナント名が示されていてもよいことはいうまでもない。この場合、例えば、管理情報記憶部104に、テナント番号に対してテナント名が関連付けられて記憶されていればよい。
【0020】
以上に説明したように、本実施の形態によれば、建築物毎や貸し室毎など領域毎に入退室管理装置が設置されており、また、テナントが複数の領域に分散している場合であっても、同一のテナントに属するICカードの利用者を対象として一括して入退室管理情報を取り扱うことができるようになる。
【0021】
なお、上述では、テナント会社側より入退室履歴情報の送出要求がなされるものとしたが、これに限るものではない。例えば、入退室管理装置131,132,133が設置されている建築物や貸し室などの設備を管理する管理会社に、端末装置140が配置され、管理会社の担当者の操作により、送出要求やテナント情報が入力されて送出されるものであってもよい。この場合、例えば、管理情報記憶部104には、入退室管理装置131,132,133が設けられている領域のテナントを識別するテナント情報および領域情報に加え、管理会社を識別するための管理会社情報が関連付けられた管理情報が記憶されていればよい。管理会社情報を受け付けることで、領域検索部が、これに関連するテナント情報をもとに、対応する領域情報を管理情報記憶部より検索して取り出すことができる。テナント会社が管理会社に対して入退室履歴情報の開示を許可している場合、上述したように、管理会社情報が管理情報に含まれており、管理会社も入退室履歴情報を得ることができる。
【0022】
また、管理情報記憶部105には、領域番号に加えて、この領域番号で識別されるビルなどの名称や所在地などの情報が関連付けられていてもよい。例えば、入退室履歴情報通知部108が、入退室履歴情報とこれに対応するカード情報とを通知するときに、これらに加え、対応する領域情報に関連付けられている名称や所在地を、要求元に通知することが可能となる。
【0023】
また、管理対象のビル全体を1つのセキュリティシステムで運用した場合、テナントからの自身のテナントのみの出入履歴情報を提供するための手間が大きくなるが、上述した本実施の形態によれば、容易に出入履歴情報が提供できるようになる。また、セキュリティシステムを、LANによりによりテナントの端末に接続することで、テナントに当該テナントのみの出入履歴情報を配信しようとすると、ビル内にLANを敷設する工事が必要となり、また、セキュリティ対策のコストや運用業務が負担となる。これに対し、本実施の形態によれば、広域通信網により情報を配信するので、対象とするビルに新たなLANを敷設するなどの負担や、これに伴う運用業務の負担などがない。
【0024】
なお、入退室情報管理装置は、CPUと主記憶装置と外部記憶装置とネットワーク接続装置となどを備えたコンピュータ機器であり、主記憶装置に展開されたプログラムによりCPUが動作することで、上述した各機能が実現される。また、各機能は、複数のコンピュータ機器に分散させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態における入退室情報管理装置101の構成例を示す構成図である。
【図2】履歴情報記憶部102に記憶されている情報の構成例を示す構成図である。
【図3】管理情報記憶部104に記憶されている情報の構成例を示す構成図である。
【図4】本実施の形態における入退室情報管理装置における入退室履歴情報の収集動作について説明するフローチャートである。
【図5】本実施の形態における入退室情報管理装置における入退室履歴情報の通知動作について説明するフローチャートである。
【図6】通知される入退室履歴情報の1例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0026】
101…入退室情報管理装置、102…履歴情報記憶部、103…履歴情報収集部、104…管理情報記憶部、105…要求受け付け部、106…領域検索部、107…入退室履歴情報検索部、108…入退室履歴情報通知部、120…広域通信網、131,132,133…入退室管理装置、140…端末装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
広域通信網を介して受け付けられ、入退室履歴情報が入退室の管理対象となる利用者が所有しているICカードを識別するためのカード情報およびカード情報で識別されるICカードが用いられる領域を識別するための領域情報と共に記憶される履歴情報記憶部と、
前記利用者が所属するテナントを識別するテナント情報と、前記領域情報とが関連付けられた管理情報を記憶する管理情報記憶部と、
前記広域通信網を介して前記入退室履歴情報の送出要求を前記テナント情報と共に受け付ける要求受け付け手段と、
前記要求受け付け手段が受け付けたテナント情報をもとに、対応する領域情報を前記管理情報記憶部より検索して取り出す領域検索手段と、
この領域検索手段が取り出した領域情報をもとに、対応するカード情報の入退室履歴情報を、前記履歴情報記憶部より検索して取り出す入退室履歴情報検索手段と、
入退室履歴情報検索手段が取り出した入退室履歴情報を、これに対応するカード情報と共に前記広域通信網を介して要求元に通知する入退室履歴情報通知手段と
を少なくとも備えることを特徴とする入退室情報管理装置。
【請求項2】
請求項1記載の入退室情報管理装置において、
前記管理情報の前記テナント情報には、前記領域を管理する管理会社を識別するための管理会社情報が関連付けられ、
前記領域検索手段は、前記要求受け付け手段が受け付けた管理会社情報に関連するテナント情報をもとに対応する領域情報を前記管理情報記憶部より検索して取り出す
ことを特徴とする入退室情報管理装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の入退室情報管理装置において、前記広域通信網は、インターネットであることを特徴とする入退室情報管理装置。
【請求項4】
広域通信網を介して受け付けられ、入退室履歴情報が入退室の管理対象となる利用者が所有しているICカードを識別するためのカード情報およびカード情報で識別されるICカードが用いられる領域を識別するための領域情報と共に履歴情報記憶部に記憶する第1ステップと、
前記利用者が所属するテナントを識別するテナント情報と、前記領域情報とが関連付けられた管理情報を管理情報記憶部に記憶する第2ステップと、
前記広域通信網を介して前記入退室履歴情報の送出要求を前記テナント情報と共に受け付ける第3ステップと、
受け付けたテナント情報をもとに、対応する領域情報を前記管理情報記憶部より検索して取り出す第4ステップと、
取り出した領域情報をもとに、対応するカード情報の入退室履歴情報を、前記履歴情報記憶部より検索して取り出す第5ステップと、
取り出した入退室履歴情報を、これに対応するカード情報と共に前記広域通信網を介して要求元に通知する第6ステップと
を少なくとも備えることを特徴とする入退室情報管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−134516(P2010−134516A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−307200(P2008−307200)
【出願日】平成20年12月2日(2008.12.2)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】