説明

入退室管理システム及び環境制御システム

【課題】本発明は、建物への入館を検知したときに、その入館者が入室する居住空間を予測することで、そのシステムの構成を簡単化できる入退室管理システムを提案することを目的とする。
【解決手段】入退室管理装置3は、利用者それぞれについて、鍵制御装置2それぞれと通信することで、居住空間R1〜Rnそれぞれの入室回数を確認し、その入室回数が最多となる居住空間を、建物への入館後に入室が予測される居住空間として記憶する。そして、入館が許可された利用者について、入退館監視装置1より入退室管理装置3に通知されると、入退室管理装置3は、その利用者の入室が予測される居住空間の入室数を1人分追加する。一方、退館した利用者について、入退館監視装置1より入退室管理装置3に通知されると、入退室管理装置3は、その利用者の入室が予測される居住空間の入室数を1人分減算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の区画に区分された居住空間を有する建物における、各居住空間への入退室を管理する入退室管理システム、及び、この入退室管理システムを利用して各居住空間内の環境を制御する環境制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の区画に区分された居住空間を有する建物において、各居住空間に対する入退室を管理するために、利用者の識別情報(ID情報)を記憶したICカードなどの非接触通信用メディアと通信するリーダライタが各居住空間に設置される入退室管理システムが、従来より採用されている(特許文献1参照)。特許文献1の環境管理システムで利用している入退室管理システムでは、居住空間それぞれの出入口となるドア付近において、居住空間の外側及び内側のそれぞれに、退室管理用及び入室管理用のリーダライタが設置されており、このリーダライタと連動する電気錠がドアに具備されている。
【0003】
即ち、この入退室管理システムによると、居住空間内に入室する際、利用者が所持しているメディアと入室管理用のリーダライタとの間で非接触通信が行われて、利用者の入室許可が判定される。一方、居住空間内から退室する際には、利用者が所持しているメディアと退室管理用のリーダライタとの間で非接触通信が行われて、利用者の退室許可が判定される。そして、この入室管理用及び退室管理用それぞれのリーダライタを管理制御するリーダライタ用管理装置が、中央管理装置と通信を行うことによって、中央管理装置では、各居住空間における居室人数を管理することができる。
【0004】
又、上述の複数の居住空間の建物において、その建物への入退館を管理するために、上述のメディアと通信する入退館管理用のリーダライタを有するフラッパーゲートが、その建物のエントランスなどに設置される。即ち、建物への入退館する際に、フラッパーゲートに具備されたリーダライタと、利用者が所持するメディアとの間で非接触通信が行われ、建物への入退館の許可が判定される。そして、リーダライタとメディアとの通信結果により、入退館の許可の判定がなされると、フラッパーゲートが開いて、利用者は、建物に対して入館又は退館が許可される。更に、従来の入退室管理システムには、このような入退館を管理するためのシステムを組み合わせたものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−024404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1における入退室管理システムは、各居住空間の居室人数を正確に把握することができるが、入室管理用及び退室管理用それぞれにリーダライタが必要となるため、設置するリーダライタの個数が多くなるだけでなく、システムが煩雑なものとなる。又、ある居住空間で入室が許可された利用者が、その居住空間から退室する際においても、退室の許可を受けるために、退室管理用のリーダライタによる通信を行う必要があり、利用者にとっても、その利用が煩雑となるシステムとなってしまう。そのため、入室管理用のリーダライタのみを設けて、居住空間への入室許可のみの判定を行う構成とするシステムも多い。しかしながら、入室管理用のリーダライタのみを設けたシステムとした場合、居住空間から同時に複数人が退出したか否かが判定できないため、各居住空間の居室人数を把握することが困難であった。
【0007】
このような問題を鑑みて、本発明は、建物への入館を検知したときに、その入館者が入室する居住空間を予測することで、そのシステムの構成を簡単化できる入退室管理システムを提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の入退室管理システムは、複数の居住空間に区分された建物における、該居住空間それぞれの居室人数を管理する入退室管理システムにおいて、前記建物の入退館者を認証して前記建物への入退館を管理する入退館監視装置と、前記複数の居住空間それぞれに設置されるとともに、居住空間への入室者を認証して当該居住空間の入室の可否を判定する入室判定装置と、前記入退館監視装置で確認された前記建物への入退館者と、前記居住空間それぞれの前記入室判定装置で確認された各居住空間への入室者とが、通知されて、前記居住空間それぞれの居室人数を管理する入退室管理装置と、を備え、前記入退室管理装置は、前記入室判定装置からの通知に基づいて、前記建物の利用者毎に、前記居住空間それぞれに対する入室回数の統計を取り、その入室回数の多い居住空間を、その利用者が前記建物の入館により必ず入室するものと予測される居住空間として設定し、前記入退館監視装置から当該利用者が入館したことを通知したときに、前記入退室管理装置は、当該利用者が前記予測された居住空間に入室したものとして、当該予測された居住空間の居住人数を一人分追加する一方で、前記入退館監視装置から当該利用者が退館したことを通知したときに、前記入退室管理装置は、当該利用者が前記予測された居住空間から退室したものとして、当該予測された居住空間の居住人数を一人分減算することを特徴とする。
【0009】
又、本発明の環境制御システムは、複数の居住空間に区分された建物における、該居住空間それぞれの環境を制御する環境制御システムにおいて、上述の入退室管理システムを有するとともに、該入退室管理システムで管理される前記居住空間それぞれの居室人数に応じて、前記居住空間それぞれの環境の設定を決定して、前記居住空間それぞれの環境を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、利用者それぞれについて、各居住空間への入室回数の統計をとり、その入室回数の多い居住空間を、入館後に必ず入室すると予測される居住空間に設定し、その利用者が入退館したことを確認したときに、予測した居住空間の居室人数を増減できる構成としている。そのため、居住空間それぞれに設置された入室判定装置のように、居住空間の入室のみを認証するための装置を設置するだけでよく、特許文献1のシステムと比べて、そのシステムの構成を簡単なものとできる。これにより、居住空間それぞれの入室及び退室を認証して管理するシステムでなくても、建物への入退館を検知することによって、各居住空間の居室人数を容易に管理することができる。更に、この入退室管理システムを利用した環境制御システムとすることによって、各居住空間の環境を、その居住空間の人数に応じた環境に設定することができるため、その環境を設定するための制御動作に必要な電力量を抑制でき、省電力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】は、本発明の実施の形態となる入退室管理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】は、図1に示す入退室管理システムにおける入退室管理装置の内部構成を示すブロックである。
【図3】は、図2に示す入退室管理装置におけるメモリに記憶されるテーブルの構成を示す図で、(a)が入室予測テーブルの構成を示し、(b)が入退室管理テーブルの構成を示し、(c)が認証用テーブルの構成を示す。
【図4】は、本発明の実施の形態となる環境制御システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(入退室管理システム)
本発明の入退室管理システムにおける実施の形態について、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態の入退室管理システムの構成を示すブロック図である。
【0013】
図1に示す入退室管理システムは、建物のエントランスE1に設置されたフリッパーゲート11を開閉する入退館監視装置1と、複数の区画に区分された居住空間R1〜Rn(nは、1以上の自然数)それぞれの出入口となるドア20に設置された電気錠21を施解錠するn個の鍵制御装置2と、入退館監視装置1及び鍵制御装置2それぞれとネットワークNT1を介して通信を行うことで居住空間R1〜Rnに対する入退室を管理する入退室管理装置3と、を備える。そして、入退館監視装置1は、利用者の識別番号を記憶したICカード4と非接触通信を行う入館用リーダライタ12及び退館用リーダライタ13と接続される。又、鍵制御装置2は、居住空間R1〜Rnそれぞれの外側に設置されるとともにICカードと非接触通信を行う入室用リーダライタ22と接続され、居住空間R1〜Rnそれぞれへの入室の可否を判定する入室判定装置として動作する。
【0014】
又、入退室管理装置3は、図2に示すように、ネットワークNT1と接続される通信部301と、通信部301を通じて入退館監視装置1及び鍵制御装置2と通信を行ってICカード4の認証を実行する制御部302と、通信部301で受信した信号が制御部302を介して与えられることで各利用者の入室を予測するための入室予測テーブルT1を生成する入室予測テーブル生成部303と、通信部301で受信した信号が制御部302を介して与えられることで各居住空間の入退室を管理する入退室管理部304と、入室予測テーブルT1、入退室管理テーブルT2、及び認証用テーブルT3それぞれを記憶するメモリ305と、を備える。
【0015】
この入退室管理装置3において、入室予測テーブルT1は、図3(a)に示すように、入退館監視装置1で入館が許可された利用者の入室する居住空間の統計を記憶すると同時に、最も入室回数が多い居住空間を、その利用者が建物に入館した後に入室する居住空間に設定する。又、入退室管理テーブルT2は、図3(b)に示すように、居住空間R1〜Rnそれぞれにおける居室人数を記憶する。そして、認証用テーブルT3は、図3(c)に示すように、利用者それぞれの識別情報に対して、その利用者が入室可能な居住空間と、入退館又は在室する居住空間などの利用者の現状とを記憶する。
【0016】
1.建物に対する入退館時における入退室管理システムの動作
このような構成の入退室管理システムにおいて、建物に入館する利用者は、入退館監視装置1に接続された入館用リーダライタ12に対して、所持するICカード4を用いた非接触通信を行う。入館用リーダライタ12とICカード4との間で非接触通信が実行されると、ICカード4に記憶された、利用者の識別情報が入退館監視装置1に送信される。これにより、入退館監視装置1は、ICカード4より読み出された識別情報に基づいて認証を行い、ICカード4を所持する利用者の入館の可否を決定する。このとき、入退館監視装置1は、自身が記憶している認証用テーブルを参照して認証動作を実行するものであってもよいし、入退室管理装置3と通信を行うことで、入退室管理装置3に記憶された認証用テーブルT3を参照して認証動作を実行するものであってもよい。
【0017】
入退館監視装置1は、ICカード4を認証して、その利用者の入館を許可する場合は、フリッパーゲート11を開く一方で、ICカード4を認証することなく、その利用者の入館を許可しない場合は、フリッパーゲート11を閉じた状態を維持させる。尚、フリッパーゲート11は、利用者の入退館による通過がない場合は閉じた状態であり、入退館のために利用者が通過したことを検知すると、開いた状態から閉じた状態へ状態遷移する。そして、フリッパーゲート11を開いて利用者の入館を許可した場合、入退館監視装置1は、許可した利用者が所持するICカードに記憶された識別情報を、ネットワークNT1を通じて入退室管理装置3へ送信する。よって、入退室管理装置3は、通信部301で、入退館監視装置1で入館が認証された識別情報を受信すると、制御部302により、その識別番号に対応する利用者が入館したことを確認する。そして、入退室管理装置3は、確認した利用者に対して認証用テーブルT3に記憶している現状を、建物内に不在であることを示す「建物外」から、建物内に入館したことを示す「館内」に更新する。
【0018】
一方、利用者が建物から退館する際は、利用者が所持するICカード4により退館用リーダライタ13との非接触通信が行われる。このとき、ICカード4内の識別情報が退館用リーダライタ13により読み出されて、入退館監視装置1に送信されるため、入退館監視装置1は、退館用リーダライタ13より受信した識別番号より、建物を退館しようとする利用者を特定できる。そして、入退館監視装置1は、識別番号を認証した場合は、フリッパーゲート11を開いて、利用者の退館を許可する。このようにして、利用者の退館を入退館監視装置1が確認すると、入退館監視装置1は、退館した利用者に対応する識別情報を、入退室管理装置3に送信する。よって、入退室管理装置3は、通信部301で、入退館監視装置1で退館が認証された識別情報を受信すると、制御部302により、その識別番号に対応する利用者が退館したことを確認する。そして、入退室管理装置3は、確認した利用者に対して認証用テーブルT3に記憶している現状を、建物内に不在であることを示す「建物外」に更新する。
【0019】
又、入退室管理装置3は、入退館監視装置1より入館が許可された利用者の識別情報を受信すると、入退室管理部304によって、入室予測テーブルT1が参照されて、入館が許可された利用者が入室する居住空間が予測される。そして、入退室管理部304は、このとき予測された居住空間について、在室している利用者と在室が予測されている利用者の総数を、認証用テーブルT3に記憶した各利用者の現状より確認し、入退室管理テーブルT2の記憶を更新する。即ち、建物への利用者の入館が入退館監視装置1によって確認されたとき、入退室管理装置3は、その利用者が入室する居住空間を予測すると同時に、予測した居住空間の居室人数を1人加算する。
【0020】
更に、入退室管理装置3は、入退館監視装置1より退館が許可された利用者の識別情報を受信すると、入退室管理部304によって、入室予測テーブルT1及び認証用テーブルT3が参照されて、その利用者が在室していた又は在室が予測されていた居住空間が確認される。そして、入退室管理部304は、このとき予測された居住空間について、在室している利用者と在室が予測されている利用者の総数を、認証用テーブルT3に記憶した各利用者の現状より確認し、入退室管理テーブルT2の記憶を更新する。即ち、建物への利用者の退館が入退館監視装置1によって確認されたとき、入退室管理装置3は、その利用者が入室していた居住空間を特定すると同時に、特定した居住空間の居室人数を1人減算する。
【0021】
2.居住空間に対する入室時における入退室管理システムの動作
建物に入館した利用者が、居住空間Rk(kは、1〜nのいずれかの自然数)に入室する際、所持しているICカード4と入室用リーダライタ22との非接触通信が実行され、鍵制御装置2が入室のための利用者の認証を行う。このとき、入室用リーダライタ22が、ICカード4より読み出した識別情報を鍵制御装置2に送信し、鍵制御装置2は、その利用者に対応する識別情報による認証を行い、入室の可否を判定する。この鍵制御装置2は、ネットワークNT1を通じて、入退室管理装置3と通信を行い、入退室管理装置3のメモリ305に記憶された認証用テーブルT3を参照することで、利用者の認証を実行する。尚、鍵制御装置2自身が、居住空間Rkへの入室を許可した識別情報を全て記憶した認証用テーブルを備えるものとし、入退室管理装置3との通信を行うことなく、認証動作が行われるものとしてもよい。
【0022】
鍵制御装置2は、認証用テーブルT3に記憶された居住空間Rkへの入室が許可された識別情報と、入室用リーダライタ2からの識別情報とを対比することで、居住空間Rkに入室しようとしている利用者の認証を行い、入室の可否を判定する。そして、鍵制御装置2は、その認証結果により、入室が許可されていると判定した場合は、電気錠21を解錠する。よって、利用者は、ドア20を開くことができるため、ドア20を開いて居住空間Rkに入室する。利用者が居住空間Rkに入室した後に、ドア20が閉じられると、鍵制御装置2は電気錠21を施錠する。
【0023】
このようにして、利用者の入室を鍵制御装置2が確認すると、鍵制御装置2は、入室した利用者に対応する識別情報を、入退室管理装置3に送信する。よって、入退室管理装置3は、通信部301で、鍵制御装置2で居住空間Rkへの入室が認証された識別情報を受信すると、制御部302により、その識別番号に対応する利用者が居住空間Rkへの入室したことを確認する。そして、入退室管理装置3は、確認した利用者に対して認証用テーブルT3に記憶している現状を、居住空間Rkに在室であることを示す「Rkに在室」に更新する。一方、鍵制御装置2は、その認証結果により、入室が許可されていないと判定した場合は、電気錠21を解錠することなく、施錠状態を維持させる。
【0024】
又、入退室管理装置3は、鍵制御装置2より居住空間Rkへの入室が許可された利用者の識別情報を受信すると、入退室管理部304によって、認証用テーブルT3が参照されて、居住空間Rkへの入室前の利用者の現状が確認される。このとき、入室前の利用者の現状が「館内」であり、居住空間R1〜Rnのいずれにも入室していない場合、入退室管理部304は、入室予測テーブルT1を参照して、入室が予測されている居住空間が居住空間Rkであるか否かを確認する。そして、入室が予測されている居住空間が居住空間Rkでない場合は、入退室管理部304は、予測されている居住空間の居室人数を1人減算すると同時に、入室が確認された居住空間Rkの居室人数を1人加算するように、入退室管理テーブルT2の記憶内容を更新する。一方、入室が予測されている居住空間が居住空間Rkである場合は、入退室管理部304による入退室管理テーブルT2の記憶内容の更新は成されない。又、入退室管理部304は、認証用テーブルT3を参照して、利用者が居住空間Rk以外の居住空間に入室していたことを認識したときは、居住空間Rkへの入室前の居住空間の居室人数を1人減算すると同時に、入室が確認された居住空間Rkの居室人数を1人加算するように、入退室管理テーブルT2の記憶内容を更新する。
【0025】
3.入室予測テーブルの記憶内容の更新
更に、入退室管理装置3は、鍵制御装置2より居住空間Rkへの入室が許可された利用者の識別情報を受信すると、入室予測テーブル生成部303は、入室予測テーブルT1に対して、その利用者の居住空間Rkへの入室回数を1回分計数して記憶させる。即ち、入室予測テーブルT1に記憶されている、通知された識別情報による利用者の居住空間Rkへの入室回数が、1回分加算された値に更新される。又、入室予測テーブル生成部303は、このように更新された入室予測テーブルT1の記憶内容を参照して、利用者それぞれについて、最も入室回数の多い居住空間を特定し、特定した居住空間を、入館時に入室が予測される居住空間として、入室予測テーブルT1に記憶させる。即ち、入室予測テーブルT1の記憶内容が、図3(a)のような内容となる場合、利用者X1については、居住空間R1に入室した回数が最も多くなるため、入館時に入室が予測される居住空間を居住空間R1に特定されて入室予測テーブルT1に記憶される。
【0026】
尚、入室予測テーブルT1における、入館時に入室が予測される居住空間については、その入室回数が最多となる居住空間に特定されるが、利用者が建物内での居住空間の入室回数が所定回数を超えた場合にはじめて、特定されるものとしてもよいし、最多となる入室回数が所定回数を超えた場合にはじめて、特定されるものとしてもよい。このように、建物内に入館した利用者の入室する居住空間についての統計を取るために、所定回数以上の入室回数が必要とされる場合、所定回数に達するまでは、入退室管理装置3は、入退館監視装置1による入館の検出により、その利用者の入室する居住空間が予測できない。よって、この場合は、入退室管理装置3は、入館後の利用者が入室した居住空間に設置された鍵制御装置2からの通知によって、入退室管理テーブルT2の記憶内容を更新する。
【0027】
このように、本実施形態の入退室管理システムは、入退館監視装置1で入館が確認された利用者の識別情報が、入退室管理装置3に送信されると、入退室管理装置3は、入室予測テーブルT1を参照して、その識別情報に特定される利用者が入室する居住空間を予測し、入退室管理テーブルT2の記憶内容を更新する。即ち、入退室管理装置3は、入館により入室されると予測した居住空間の居室人数を加算して、入退室管理テーブルT2に記憶させる。又、入館後の利用者が、別の居住空間に移動した場合や、予測された居住空間以外の居住空間に入室した場合、入室した居住空間に設置された鍵制御装置2から、その利用者の識別情報が入退室管理装置3に送信されて、入退室管理装置3は、入退室管理テーブルT2の記憶内容を更新する。即ち、入退室管理装置3は、退室した又は予測した居住空間の居室人数を減算するとともに、新たに入室した居住空間の居室人数を加算して、入退室管理テーブルT2に記憶させる。更に、入館後の利用者が建物より退館した場合は、入退館監視装置1で退館が確認された利用者の識別情報が、入退室管理装置3に送信されて、入退室管理装置3は、入退室管理テーブルT2の記憶内容を更新する。即ち、入退室管理装置3は、入退室管理装置3は、その利用者が入室していた居住空間の居室人数を減算して、入退室管理テーブルT2に記憶させる。
【0028】
(環境制御システム)
上述のような入退室管理システムを用いた環境制御システムの実施の形態について、図面を参照して以下に説明する。図4は、図1の入退室管理システムを用いた環境制御システムの構成を示すブロック図である。
【0029】
図4に環境制御システムは、図1に示す入退室管理システムを備えた上で、居住空間R1〜Rnそれぞれに設置された空調機器51それぞれとネットワークNT2を介して通信して空調機器51の動作を制御する空調制御管理装置5と、居住空間R1〜Rnそれぞれに設置された空調機器51及び照明機器(不図示)の積算電力量を測定する電力測定器61とネットワークNT3を介して通信して居住空間R1〜Rnそれぞれでの使用電力量を管理する電力計測管理装置6と、入退室管理装置3、空調制御管理装置5、及び電力計測管理装置6それぞれとネットワークNT4を介して通信する管理サーバ7と、管理サーバ7とネットワークNT4を通じて通信する端末装置8と、を備える。
【0030】
このように構成される環境制御システムにおいて、空調制御管理装置5は、管理サーバ7を介して入退室管理装置3と通信することで、入退室管理装置3で管理されている居住空間R1〜Rnそれぞれの居室人数を認識する。即ち、入退室管理装置3が、入退室管理テーブルT2の記憶内容を更新すると、更新した入退室管理テーブルT2を管理サーバ7に送信する。そして、管理サーバ7は、入退室管理装置3から受信した入退室管理テーブルT2を空調制御管理装置5に送信する。これにより、空調制御管理装置5は、入退室管理装置3で更新された入退室管理テーブルT2を受信し、その記憶内容により、居住空間R1〜Rnそれぞれの居室人数を把握する。そして、空調制御管理装置5は、居住空間R1〜Rnそれぞれの空調機器51について、居住空間R1〜Rnそれぞれの居室人数に応じた設定の風量又は温度で動作するように制御する。即ち、例えば、居住空間Rkの居室人数が多い場合は、風量を強くする又は温度を低く設定して、居住空間Rkの空調機器51を制御する一方で、居室人数が少ない場合は、風量を弱くする又は温度を高く設定して、居住空間Rkの空調機器51を制御する。
【0031】
尚、入退室管理装置3より、記憶内容が更新された入退室管理テーブルT2の内容全てが、管理サーバ7を介して空調制御管理装置5に送信されるものとしたが、入退室管理テーブルT2において更新された部分のみが、管理サーバ7を介して空調制御管理装置5に送信されるものとしてもよい。即ち、居室人数の変更があった居住空間と、その居室人数とが、入退室管理装置3から空調制御管理装置5に送信されるようにして、その通信量を小さくするとともに、居室人数の変更があった居住空間を空調制御管理装置5に確認させることができる。又、空調制御管理装置5が、管理サーバ7に対して、定期的に入退室管理テーブルT2の送信を要求するものとしてもよいし、入退室管理装置5が、入退室管理テーブルT2の内容を更新したときに、入退室管理テーブルT2を空調制御管理装置5に送信するものとしてもよい。
【0032】
このような環境制御システムにおいて、居住空間Rkに設置された電力測定器61は、同じ居住空間Rkに設置された空調機器51及び照明機器(不図示)による電力量の積算値(積算電力量)を測定すると、測定した積算電力量を電力計測管理装置6に送信する。これにより、電力計測管理装置6は、居住空間R1〜Rnそれぞれにおける積算電力量による使用電力量を受信すると、受信した使用電力量を測定時間に応じて記憶して、居住空間R1〜Rnそれぞれの使用電力量を管理する。このような電力計測管理装置6に対して、端末装置8が、管理サーバ7を通じてアクセスできる。即ち、端末装置8が管理サーバ7と通信を行って、電力計測管理装置6へのアクセスが認証されると、電力計測管理装置6に記憶された、居住空間R1〜Rnそれぞれの使用電力量に関する情報が、端末装置8に送信される。よって、端末装置8の利用者は、環境制御システムが構成されている建物について、その居住空間R1〜Rnそれぞれの時間毎の使用電力量を確認することができる。
【0033】
更に、入退室管理装置3が、居住空間R1〜Rnそれぞれの居室人数を時間毎に記憶するものとして、管理サーバ7又は端末装置8によって、居住空間R1〜Rnそれぞれについて、電力計測管理装置6で記憶された時間毎の使用電力量と入室管理装置3に記憶された居室人数との関係を確認できるものとしてもよい。これにより、管理サーバ7又は端末装置8の利用者は、例えば、居住空間Rkについて、時間毎に、その居室人数と使用電力量との関係を把握できる。そのため、居室人数に対してその使用電力量が無駄に多く使用されているか否かを認識でき、例えば、空調制御管理装置5における居住空間Rkにおける使用人数に対する温度や風量を最適な値に設定できる。更に、本実施形態の環境制御システムでは、入退室管理装置3で管理された、居室空間R1〜Rnそれぞれの居室人数に応じて、居室空間R1〜Rnの空調機器51が制御されるものとしたが、空調機器51以外に、例えば、不図示の照明装置などの他の電気機器が、入退室管理装置3で管理された、居室空間R1〜Rnそれぞれの居室人数に応じて、制御されるものとしてもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 入退館監視装置
2 鍵制御装置
3 入退室管理装置
4 ICカード
5 空調制御管理装置
6 電力計測管理装置
7 管理サーバ
8 端末装置
11 フリッパーゲート
12 入館用リーダライタ
13 退館用リーダライタ
20 ドア
21 電気錠
22 入室用リーダライタ
51 空調機器
61 電力測定器
301 通信部
302 制御部
303 入室予測テーブル生成部
304 入退室管理部
305 メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の居住空間に区分された建物における、該居住空間それぞれの居室人数を管理する入退室管理システムにおいて、
前記建物の入退館者を認証して前記建物への入退館を管理する入退館監視装置と、
前記複数の居住空間それぞれに設置されるとともに、居住空間への入室者を認証して当該居住空間の入室の可否を判定する入室判定装置と、
前記入退館監視装置で確認された前記建物への入退館者と、前記居住空間それぞれの前記入室判定装置で確認された各居住空間への入室者とが、通知されて、前記居住空間それぞれの居室人数を管理する入退室管理装置と、
を備え、
前記入退室管理装置は、前記入室判定装置からの通知に基づいて、前記建物へ入館する利用者毎に、前記居住空間それぞれに対する入室回数の統計を取り、その入室回数の多い居住空間を、その利用者が前記建物の入館により必ず入室するものと予測される居住空間として設定し、
前記入退館監視装置から当該利用者が入館したことを通知したときに、前記入退室管理装置は、当該利用者が前記予測された居住空間に入室したものとして、当該予測された居住空間の居住人数を一人分追加する一方で、前記入退館監視装置から当該利用者が退館したことを通知したときに、前記入退室管理装置は、当該利用者が前記予測された居住空間から退室したものとして、当該予測された居住空間の居住人数を一人分減算することを特徴とする入退室管理システム。
【請求項2】
複数の居住空間に区分された建物における、該居住空間それぞれの環境を制御する環境制御システムにおいて、
請求項1の入退室管理システムを有するとともに、該入退室管理システムで管理される前記居住空間それぞれの居室人数に応じて、前記居住空間それぞれの環境の設定を決定して、前記居住空間それぞれの環境を制御することを特徴とする環境制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−47149(P2011−47149A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−195033(P2009−195033)
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】