説明

全自動炊飯装置

本発明は、米の計量から、炊飯、使用後の内釜の洗浄に至るまでの全工程を自動で行うことのできる、全自動炊飯装置を提供することを目的として成されたものである。このような目的は、内釜を所定の位置に載置して、給米手段により該内釜に所定量の米を供給して洗米手段により洗米した後、炊飯手段により炊飯を行う自動炊飯装置において、前記所定位置に内釜32を載置して、炊飯後の内釜32の内壁を洗浄する内釜洗浄手段と、前記給米手段、洗米手段、炊飯手段及び内釜洗浄手段を制御する制御手段とを設けることにより達成される。一つの装置内で、米の計量、洗米、炊飯に加えて、使用後の内釜の洗浄をも自動で行うことにより、炊飯作業を大幅に省力化できると共に、低コスト化及び省スペース化を実現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、人手を煩わすことなく炊飯を行うことのできる自動炊飯装置に関する。
【背景技術】
従来より、米の計量から、洗米、炊飯までの一連の工程を自動で行う炊飯装置として種々のものが提案されている。しかし、このような炊飯装置には、炊米を取り出した後の内釜を洗浄する手段を備えたものが無く、内釜の洗浄は手動で行わなければならず、十分に省力化されているとは言えなかった。
特開平7−231847号公報では、内釜の洗浄を自動で行う炊飯釜の自動洗浄装置が提案されており、洗米装置、炊飯装置等と組み合わせて使用することにより、米の計量から炊飯、内釜の洗浄に至るまでを流れ作業で行う自動炊飯システムが記載されている。しかし、このような自動炊飯システムは、給食センターなどの大型施設での使用を目的としたものであり、各工程毎に個別の装置が必要で、広い設置スペースと高額な設備投資を必要するため、家庭や小型店舗、小規模施設等での使用には適さなかった。
本発明は、このような問題に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは一つの装置内で、米の計量、洗米、炊飯に加えて、使用後の内釜の洗浄をも自動で行うことにより、炊飯作業を大幅に省力化できる、低コストかつ小型の全自動炊飯装置を提供することにある。
【発明の開示】
本発明に係る自動炊飯装置は、内釜を所定の位置に載置した状態で一連の工程を行う自動炊飯装置であり、該内釜に水を供給する給水手段と、該内釜に供給された水等を外部に排出するための排出手段を備え、給米手段により該内釜に所定量の米を供給した後、炊飯手段によって炊飯を行う自動炊飯装置において、前記所定位置に載置された炊飯後の内釜の内壁を洗浄する内釜洗浄手段と、前記給水手段、排出手段、給米手段、炊飯手段、及び内釜洗浄手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴とするものである。
なお、洗米の必要のない無洗米の使用を前提とする場合には上記各手段で十分であるが、通常の米も使用できるようにするため、上記各手段に加えて洗米手段を設けても良い。この場合、上記制御手段によって、洗米工程を行うか否かを予め選択できるようにし、無洗米を用いる場合には、洗米工程を行わないように設定できるようにすることが望ましい。
前記給米手段は、米を蓄える貯米部と、貯米部から供給された米を計量し、前記内釜へと供給する計量部を備えることが望ましい。これにより、炊飯の度に米を計量して内釜に入れる手間を省くことができる。
給水手段は、炊飯、内釜の洗浄、及び必要な場合には洗米を行う際、内釜に水を供給するためのものであり、排出手段は、それらの後に内釜から水等を排出するためのものである。
給水手段は、水を設定された量に計量する量水器と、前記量水器で計量された水を内釜に供給する給水部を備えることが望ましい。この給水手段は、洗米用と内釜洗浄用を別個に設けても良いし、共通のものを使用する構成としても良い。
排出手段は、前記内釜の内部底面の僅かに上方を下限として上下動する吸水管と、該吸水管を上下動させるための吸水管駆動部と、内釜内の水、または残飯を含む水を吸水管を介して吸引するためのポンプを有することが望ましい。
洗米時には上記吸水管は下限位置、すなわち吸水管の先端が内釜の底面から僅かに上方に来るようにする。これは吸水時に、水と共に米を吸い込むことを防ぐためであり、吸水管の先端と内釜の内部底面との距離は、米が入らない程度の距離とする。一方、内釜洗浄時においては、上記吸水管の先端位置が、始めは残飯を含む水を吸い込みやすいように上記下限位置よりも高い位置になるようにし、その後、徐々に下降させ、最終のすすぎが完了して、内釜の水を全て排水する際には、上記下限位置まで下げて、残水が最小限となるようにすることが望ましい。
内釜洗浄手段としては、内釜の内壁に沿って移動する電動ブラシ等を用いるほか、超音波で内釜内の水及び残飯に微振動を与え、内釜に付着した残飯を剥離させる方法など、電気的に制御できるものであれば、いかなる方法を用いてもよい。
洗米及び内釜の洗浄は、それぞれ異なる手段によって行ってもよいが、内釜洗浄手段として超音波を用いる場合には、洗米工程も同一の手段によって行う構成とすることもできる。この場合、洗米時には、内釜内の水及び米に超音波によって微振動を与えることにより、米表面の糠や汚れを剥離することができる。洗米、及び内釜洗浄を同一の手段で行う構成とすることにより、部品の数を抑えることができ、製造コストを抑えることができると共に、装置を小型化することができる。
超音波による洗浄を行う場合、内釜の周囲に均等に配置した複数個の超音波振動子によって、超音波を発生させる構成とすることが望ましい。これにより、内釜内の水や米に均等に超音波が伝わり、高い洗浄効果を得ることができる。
本発明の全自動炊飯装置には、前記給米手段、炊飯手段、内釜洗浄手段、給水手段、排出手段、及び必要な場合には洗米手段を制御するための制御手段が設けられている。制御手段によって上記各手段を制御することにより、給米、洗米、炊飯、内釜洗浄の各工程及びそれらの切り替えを人の手を煩わせることなく自動で行うことができる。また上記の通り、洗米工程を行うか否かを予め選択できるようにし、無洗米を用いる場合には、洗米工程を行わないというコースを設定できるようにすることが望ましい。更に、炊きあがり時刻と炊飯量のみを設定することで、設定に応じた米や水の量、及び米の計量、洗米、浸漬、加熱、蒸らしの各工程の時間等が自動的にセットされるようにするとより望ましい。
また、前記炊飯手段は、加熱部を備えた炊飯器本体、内釜、及び蓋からなり、、水平方向に移動可能とすることが望ましい。炊飯器本体を水平移動させることができれば、炊米が取り出しやすくなり、蓋を水平移動させることができれば、給米、給水及び排水の各操作を容易に行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
第1図 本発明の全自動炊飯装置の実施例を示す側面断面図
第2図 同実施例を示す正面図
第3図 同実施例に係る計量部の拡大図。(a)側面断面図(b)正面断面図
第4図 同実施例の排水時の状態を示す側面断面図
第5図 同実施例において炊飯手段を引き出した状態を示す側面断面図
第6図 同実施例の制御手段と各手段の関係を示すブロック図
【発明を実施するための最良の形態】
以下図を用いて本発明の最良の実施形態を説明する。また、以下の説明においては、第1図の左側を前方、右側を後方と定義する。
本実施形態に係る全自動炊飯装置10は、超音波を利用して洗米及び内釜の洗浄を行うものであり、給米手段20、炊飯手段30、超音波発生手段40、給水手段50、排出手段60、制御手段70、及びケースを備えている。
上記ケースは、底面板81、前面板82、背面板83、右側面板84、左側面板85、及び天板86からなるものであり、ケース前面の下方には、炊飯器本体をケースの外に出すための開口部が設けられている。
上記天板86は貯米部を覆う蓋の役割を果たすものであり、貯米部に米を補給する際に取り外す必要があるため、開閉自在に取り付けられている。
炊飯手段30は、炊飯器本体31と、内釜32、加熱部33、蓋34、スライド台35、炊飯器スライドレール36、スライド台駆動部37、伸縮軸38、蓋スライドレール39、スライドアーム39bを備えている。炊飯器本体31は内部に内釜32を隙間無く収納できるようになっており、その底部には炊飯時に内釜を加熱するための加熱部33が設けられている。スライド台35は、上記ケースの底面板81に設置された炊飯器スライドレール36上に摺動可能に載置されており、炊飯器本体31を載せた状態で、前後に水平移動させることができる。また、蓋34の上面中央には伸縮軸38が固定されており、スライドアーム39bを介して、蓋スライドレール39に摺動可能に連結されている。伸縮軸38は蓋34を上下動させるためのものであり、蓋スライドレール39は蓋34を前後に水平移動させるためのものである。
超音波発生手段40は、複数個の超音波振動子41とインバータ(図示略)を備えており、制御手段70により制御されたインバータが超音波振動子41に高周波電力を供給する構成となっている。超音波振動子41は炊飯器本体31に均等に配置され、その超音波発生面が内釜32に接触するように取り付けられる。
給米手段20は、貯米部21と計量部22を有している。貯米部21は炊飯器本体31の上方に位置し、その底面はテーパー状に形成されており、貯米部21と一体に形成された筒状の給米口23へと米が自然に集まるようになっている。計量部22は上記給米口23と、給米口23内部に設けられた計量ドラム24を有している。計量ドラム24は水車状の形状をしており、第3図に示すように、2枚の円盤24aの中心を中空の軸受け24bによって連結し、該2枚の円盤24aで挟まれた領域を8枚の羽板24cによって、外周面が開放された状態で区切った構造となっている。上記2枚の円盤24aの中央には、上記軸受け24bの中空部と対応する位置にそれぞれ穴が設けられ、その穴及び軸受け24bの中空部を貫通するようにシャフト24dが挿通される。上記のように形成された計量ドラム24は、給米口23内部に、シャフト24dを中心軸として回転可能に取り付けられ、上記羽板24cと2枚の円盤24aで挟まれた空間に入った一定量の米が、計量ドラム24の回転によって、給米口23から外部へ排出されるようになっている。更に、上記シャフト24dの一端はモータ24eの回転軸(図示略)に連結されており、制御手段70によってモータ24eの回転を制御することにより、給米口23から排出される米の量を調節することができる。
給水手段50は、貯米部21の下部に位置し、量水器51及び給水部52を備えており、量水器51によって水の供給量を制御し、供給量を制御された水を給水部52によって内釜32へと供給する構造となっている。量水器51は、外部から供給される水の圧力を調節するための減圧弁53と、外部から供給された水を一時的に貯蔵するためのタンク54と、タンク54から給水部52への水の供給量を制御するための電磁弁55からなり、電磁弁55の開閉時間を調節することにより、給水部52への水の供給量を制御することができる。給水部52は量水器51から内釜32へと水を供給するパイプ状の構造物であり、水が流れやすいように下り勾配が付けられている。給水部52の先端は内釜32の上方中央付近に位置しており、給水部52から出る水が確実に内釜32に入るようになっている。
排出手段60は、吸水管61、吸水管駆動部62、ホース63、ポンプ64及び排水管65からなる。吸水管61は、その下端の吸水口66が、平面視で内釜32の略中央になるよう配置されおり、蓋スライドレール39の前方に設けられた吸水管駆動部62によって上下動可能に取り付けられている。吸水管61は、非使用時には炊飯器本体31の上方に保持されており、使用時には内釜32の内部に降下させることができる。吸水管61の上端はホース63と接続されており、該ホース63の他端は、ケースの背面板83の内側下方に設置されたポンプ64の吸入側に接続されている。上記ポンプ64の排出側は、背面板83を貫通する排水管65に接続されており、排水が外部に排出される構成となっている。
制御手段70は上記の各手段を制御するものであり、制御部71、操作パネル72、及び電源部73で構成されている。制御部71は制御回路を備えており、操作パネル72には、炊飯スイッチ、内釜洗浄スイッチ、炊飯部移動スイッチ、及び停止スイッチが設けられている。炊飯スイッチは炊飯の開始信号を制御部71に伝えるものであり、内釜洗浄スイッチは内釜洗浄の開始信号を制御部71に伝えるものである。また、炊飯部移動スイッチはスライド台35を前方及び後方に移動させるための信号を制御部71に伝え、停止スイッチは全自動炊飯装置10の動作を停止する信号を制御部71に伝える。各スイッチからの信号を受け取った制御部71は所定のプログラムを実行し、それによって上記の各手段による炊飯工程が順次実行される。
また、本実施例の炊飯装置の各部には、動作の完了を検知する検知器(図示略)が設けられており、各部の動作が完了すると、該検知器により動作の完了を示す信号が前記制御部へと送られる構成となっている。
次に、本発明の全自動炊飯装置による炊飯手順を説明する。
炊飯開始前の時点では、本発明の炊飯装置10は、第1図のように炊飯器本体31が蓋34によって閉じられ、吸水管61が上方で停止した状態にある。
操作者が操作パネル72の炊飯スイッチを操作すると、本発明の炊飯装置10は一連の炊飯作業を開始する。まず、炊飯開始の信号を受け取った制御部71は、蓋34の上面に固定された伸縮軸38に収縮のための信号を送り、該信号を受け取った伸縮軸38が収縮することにより、蓋34が上昇する。所定の位置で伸縮軸38の収縮が停止すると、スライドアーム39bが蓋スライドレール39に沿って後方にスライドし、スライドアーム39bに固定された伸縮軸38及び蓋34が後方へと移動する。スライドアーム39bが所定の位置で停止すると、検知器がそれを検知し、スライドアーム39bの停止を示す信号を制御部71へ送る。該信号を受け取った制御部71は吸水管駆動部62に信号を送り、吸水管駆動部62が吸水管61を下限位置まで降下させる。なお、吸水管61の下限位置は、吸水管先端の吸水口66と内釜32の内側底面との隙間が、吸水口66に米が入り込むことなく、水だけを吸入できる距離になるよう予め設定されている。
以上により洗米のための準備が完了し、第4図に示すような状態になると、給米手段20による給米作業が開始される。まず、制御部71は計量ドラム24の回転を制御するモータ24eに信号を送り、回転ドラムを所定の回転数だけ回転させる。計量ドラム24では、2枚の円盤24a及び羽板24cによって区切られた空間に一定量の米が入るようになっており、計量ドラム24が回転することにより、その回転数に応じた量の米が貯米部21から排出され、給米口23を通って内釜32へと排出される仕組みになっている。計量ドラム24の回転数はモータ24eによって制御されるため、制御部71によりモータ24eの回転を制御することにより所定量の米を計量することができる。所定量の米が内釜32へと供給され、計量ドラム24のモータ24eが停止すると、その停止信号が制御部71へと伝えられる。
上記の給米作業が終了すると、続いて給水手段50による給水作業が開始される。制御手段70によって電磁弁55を開放するための信号が送られると、電磁弁55が開放され、炊飯装置10の外部から供給された水が、給水部52を通って内釜32へと供給される。このとき外部から炊飯装置10に流入する水は、減圧弁53によって一定の水圧になるよう調節されており、単位時間あたりに電磁弁55を通る水の量が一定となっているため、電磁弁55の開放時間を調節することにより内釜32へ供給する水の量を調節することができる。電磁弁55の開放から所定の時間が経過すると、制御部71は電磁弁55を閉鎖する信号を電磁弁55へと送り、内釜32への水の供給が終了する。
上記の給水作業が終了すると、超音波発生手段40による洗米作業が開始される。まず、制御部71が超音波振動子41を制御するためのインバータに信号を送り、該インバータが超音波振動子41に高周波電力を供給する。超音波振動子41は受けた電力を超音波に変換し、内釜32を介して内釜32内部の米及び水に超音波振動を加え、それによって、米表面の糠や汚れを米から分離させる。洗浄開始から所定時間が経過すると、制御部71より洗浄終了の信号が送られ、超音波振動子41による洗浄が終了する。
洗浄終了の信号を受けた制御部71はポンプ64を作動させ、洗米後の水を吸水口66から吸引しホース63及びポンプ64を介して炊飯装置10の外部へと排出する。十分な洗浄を行うために、上記の給水、超音波による洗米及び排水の一連の工程は所定の回数繰り返される。
所定回数の洗米作業が行われ、最後の排水が完了すると、制御部71は吸水管駆動部62に吸水管61を上昇させるための信号を送る。吸水管61が上昇して所定の位置で停止すると、制御部71は、電磁弁55を一定時間開放させ、炊飯に必要な量の水を内釜32へと供給する。給水完了の信号を受けると、制御部71はスライドアーム39bを前方に移動させるための信号を送り、スライドアーム39b、及びそれに固定された伸縮軸38と蓋34が前方に移動し、炊飯器本体31の略直上で停止する。その停止信号を受け取った制御部71は、続いて伸縮軸38に、伸長するための信号を送る。伸縮軸38が伸長することによって、該伸縮軸38の下端に固定された蓋34が下降し、炊飯器本体31上に載置される。以上の工程により炊飯の準備が完了する。
蓋34の停止信号を受け取った制御部71は、米を一定時間浸漬させた後、加熱部33に炊飯のための信号を送り、炊飯を開始させる。炊飯が終了すると、その終了信号を受けた制御部71は加熱部33に保温のための信号を送り、炊飯器本体31は保温状態になる。本実施例の炊飯装置10は、保温状態に入ったところで、一旦一連の工程を終了する。
炊米を取り出す際には、操作者が操作パネル72の炊飯部移動スイッチを操作して、制御部71に炊飯部移動の信号を送る。炊飯部移動の信号を受け取った制御部71は、まず、伸縮軸38に対して収縮の信号を送る。伸縮軸38が収縮することにより蓋34が上昇し、所定の上限位置で停止する。蓋34の停止信号を受け取った制御部71は次にスライド台駆動部37にスライド台35を前方移動させるための信号を送る。その信号を受け取ったスライド台駆動部37は、炊飯器本体31を載せたスライド台35を前方に移動させ、所定の位置で停止させる。これにより、第5図に示したように、炊飯器本体31が炊飯装置10の手前外側に引き出され、炊米が取り出せる状態になる。
炊米を取り出した後は、操作者が再び操作パネル72の炊飯部移動スイッチを操作し、制御部71からスライド台駆動部37へ、スライド台35を後方移動させるための信号を送る。スライド台35が後方に移動し、所定の位置で停止すると、停止の信号を受け取った制御部71が、伸縮軸38に伸長のための信号を送り、蓋34が下降して炊飯器本体31を閉じる。以上により、炊飯器収納の工程が終了する。
炊米を全て取りだし、内釜32の洗浄を行う際には、まず操作者が操作パネル72の内釜洗浄スイッチを操作し、制御部71へ内釜洗浄開始の信号を送る。信号を受けた制御部71は、上記と同様に伸縮軸38及びスライドアーム39bに信号を送り、蓋34を上昇させると共に後方に移動させ、所定の後方位置で停止させる。蓋34の停止信号を受けた制御部71は次に電磁弁55を一定時間開放させ、内釜32が満水になるまで水を供給する。給水完了の信号を受けた制御部71は、蓋34を前方に移動させると共に下降させ、炊飯器を閉じる。蓋34の下降が停止すると、制御部71はインバータに信号を送り、該インバータが超音波振動子41に高周波電力を供給する。超音波振動子41は、インバータに供給された電力を超音波に変換し、内釜内の水や残飯に超音波振動を与え、内釜32及び蓋34に付着した残飯を剥離させ、水中に浮遊又は沈殿させる。
所定時間が経過すると、超音波振動子41による洗浄が終了し、終了信号が制御部71へ送られる。終了信号を受け取った制御部71は再び蓋34を上昇させ後方位置で待機させる。蓋34の停止信号を受け取った制御部71は次に、吸水管駆動部62に吸水管下降のための信号を送る。信号を受け取った吸水管駆動部62は吸水管61を内釜32内部に下降させ、所定の位置で停止させる。このとき、吸水口66の位置は、洗浄水に含まれる残飯を吸引しやすいよう、前記下限位置よりも高い位置になるようにする。吸水管61の停止信号を受け取った制御部71は、ポンプ64を駆動させ、残飯が混入した水を排出させる。上記給水、超音波による洗浄及び排水の一連の工程を所定回数繰り返すことにより、十分に内釜洗浄を行う。このとき、吸水管61を徐々に下降させて行き、最終の洗浄が終了し、内釜32の水を排出する際には、吸水口66を内釜32の底に最小限接近させて、残水が最小限となるようにする。
所定回数の内釜洗浄作業が終了し、排水の終了信号が制御部71に伝えられると、制御部71は吸水管61を上昇させ所定の位置で停止させる。停止信号を受け取った制御部71は、加熱部33に加熱のための信号を所定時間送り、内釜32を乾燥させる。該所定時間が経過すると、制御部71は前記加熱のための信号を停止し、内釜乾燥工程を終了させる。乾燥工程が終了すると制御部71は蓋34を下降させ、炊飯器本体31を閉じる。
以上により、本実施例の全自動炊飯装置による米の計量から炊飯、その後の内釜洗浄に至る全工程が終了する。
以上のように、本実施例の炊飯装置は、炊飯完了までの各工程に加えて、使用後の内釜の洗浄までも自動で行うことができ、炊飯作業を大幅に省力化することができる。また、洗米及び内釜洗浄に共通の手段を用いることにより部品数を抑えることができ、低コスト化及び装置の小型化が実現できる。また、本実施例の炊飯装置は各手段を制御する制御手段70を備えているため、各工程の切り替えを人手を煩わすことなく自動で行うことができ、更なる省力化が可能となる。
更に、洗米及び内釜洗浄のための超音波発生手段40として、内釜の周囲に均等に配置された超音波振動子41を用いるため、内釜内の水や米、あるいは内釜に付着した残飯に均等に超音波振動が伝わり、十分な洗浄効果を得ることができる。なお、本実施例の全自動炊飯装置では、各動作の完了を検知して制御部へ信号を送るための検知器を装置の各部に設け、制御部が動作の完了を示す信号を受け取ってから次の動作を開始する信号を出力する構成としたが、上記のような検知器を設けず、制御部が所定の動作指示を終了した時点で、又は動作開始から所定の時間が経過した時点で、自動的に制御部が次の動作を開始する信号を出力するようにしても良い。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
内釜を所定の位置に載置した状態で一連の工程を行う自動炊飯装置であり、該内釜に水を供給する給水手段と、該内釜に供給された水等を外部に排出するための排出手段を備え、給米手段により該内釜に所定量の米を供給した後、炊飯手段によって炊飯を行う自動炊飯装置において、
前記所定位置に載置された炊飯後の内釜の内壁を洗浄する内釜洗浄手段と、
前記給水手段、排出手段、給米手段、炊飯手段、及び内釜洗浄手段を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする自動炊飯装置。
【請求項2】
更に、洗米手段を有し、前記制御手段は、前記給米手段によって前記内釜に供給された米を該洗米手段によって洗浄した後に、前記炊飯手段によって炊飯を行うことを特徴とする請求項1に記載の自動炊飯装置。
【請求項3】
前記制御手段が、設定に応じて前記洗米手段による洗米を行わないよう制御を行うことを特徴とする請求項2に記載の自動炊飯装置。
【請求項4】
前記内釜洗浄手段が洗米手段を兼ね、前記給水手段及び排出手段が、洗米及び内釜洗浄に共通に用いられることを特徴とする請求項2又は3に記載の自動炊飯装置。
【請求項5】
前記内釜洗浄手段が、洗浄時に内釜内に配置されて内釜の内壁に沿って移動するブラシを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の自動炊飯装置。
【請求項6】
前記内釜洗浄手段が、前記内釜に供給された水に超音波を伝搬させる超音波発生手段を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の自動炊飯装置。
【請求項7】
前記超音波発生手段が、内釜の周囲に均等に配置された複数の超音波振動子を有することを特徴とする請求項6に記載の自動炊飯装置。
【請求項8】
前記排出手段が、前記内釜の内側底面から所定距離だけ上方の位置を下限位置として上下動する吸水口を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の自動炊飯装置。
【請求項9】
前記制御手段が、内釜洗浄開始時には前記吸水口が前記下限位置よりも高い位置で停止し、その後徐々に下降して、内釜洗浄完了時には前記下限位置に達するように、前記排出手段を制御することを特徴とする請求項8に記載の自動炊飯装置。

【国際公開番号】WO2004/023946
【国際公開日】平成16年3月25日(2004.3.25)
【発行日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−535939(P2004−535939)
【国際出願番号】PCT/JP2003/011598
【国際出願日】平成15年9月10日(2003.9.10)
【出願人】(502330986)株式会社日豊製作所 (1)
【Fターム(参考)】