説明

共役ジエン系共重合体、その製造方法、ゴム組成物及びタイヤ

【課題】ゴム成分とシリカなどの無機充填材との相互作用に優れ、上記充填材の分散性をより改善することができ、耐破壊性や耐摩耗性に優れるゴム組成物を与える共役ジエン系共重合体を提供する。
【解決手段】(a)共役ジエン化合物由来の構成単位と、(b)下記一般式(1)


[式中、XはSi、Sn又はGe、R1は炭化水素基又は−SiR3(Rは炭化水素基であり、3つのRは同一でも異なっていてもよい。)、R2は炭化水素基を示し、nは1〜3の整数であり、OR1が複数ある場合、複数のOR1はたがいに同一でも異なっていてもよく、R2が複数ある場合、複数のR2はたがいに同一でも異なっていてもよい。]
で表される構成単位とを有する共役ジエン系共重合体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共役ジエン系共重合体、その製造方法、ゴム組成物及びタイヤに関する。さらに詳しくは、本発明は、分子中に、シリカなどの無機充填材との相互作用に優れるシロキサン構造をもつビニル化合物由来の構成単位を有する共役ジエン系共重合体、その効果的な製造方法、上記性状を有する共役ジエン系共重合体を含む耐破壊性や耐摩耗性に優れるゴム組成物、及び該ゴム組成物をタイヤ部材に用いてなるタイヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、省エネルギー、省資源の社会的要請に伴い、自動車の燃料消費を節約するために、タイヤの耐久性の要求から、低ロス性、耐破壊性ゴム材料が多く望まれるようになってきた。
タイヤの耐久性能向上のためには、ゴム組成物中の充填材の分散性を改良する手法が一般的になっており、そのための技術として、充填材と相互作用を有する官能基を導入した共重合体若しくは変性重合体の利用は極めて有効な手段である。
【0003】
例えば、有機リチウムを用いたアニオン重合で得られる共役ジエン系重合体の重合活性末端を充填材と相互作用する官能基を含有するアルコキシシラン誘導体で変性する方法が有効なものとして提案されている(例えば、特許文献1、2及び3参照)。
これらのアルコキシシラン誘導体は、いずれも分子内に、ケイ素原子に直接結合するアルコキシ基を有すると共に、充填材と相互作用を有する含窒素官能基を含むケイ素化合物であって、これにより重合活性末端が変性されてなる変性共役ジエン系重合体は、タイヤの転がり抵抗を減少させると共に、破壊特性や耐摩耗性を向上させる効果を奏する。しかしながら、近年、省エネルギーや環境問題などの観点から、さらなる自動車の低燃費化(タイヤの転がり抵抗の減少)や耐摩耗性の向上が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−158837号公報
【特許文献2】特開2005−232364号公報
【特許文献3】特開2005−290355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような状況下になされたもので、ゴム成分とシリカなどの無機充填材との相互作用に優れ、上記充填材の分散性をより改善することができ、耐破壊性や耐摩耗性に優れるゴム組成物を与える共役ジエン系共重合体、その効果的な製造方法、上記共役ジエン系共重合体を含む上記性状を有するゴム組成物、及び該ゴム組成物を用いたタイヤを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、下記の知見を得た。
分子中に、シリカなどの無機充填材との相互作用に優れるシロキサン構造をもつビニル化合物由来の構成単位を、特にランダムに導入することにより、上記充填材の分散性をより改善して、耐破壊性や耐摩耗性に優れるゴム組成物を与える共役ジエン系共重合体が得られることを見出した。
また、上記共役ジエン系共重合体において、共役ジエン化合物由来の構成単位におけるシス1,4−結合含量が90モル%以上であれば、前記効果がより良く発揮されることを見出した。
そして、前記共役ジエン系共重合体は、共役ジエン化合物と、シロキサン構造をもつビニル系化合物とを共重合させることにより、特にメタロセン錯体を含む重合触媒の存在下に、配位重合させることにより、前記の優れた性能を有する共役ジエン系共重合体が効果的に得られることを見出した。
前記共役ジエン系共重合体を10質量%以上の割合で含むゴム成分を含有するゴム組成物は、優れた耐破壊性や耐摩耗性を発揮し得ること、そして、特に補強用充填材として、シリカ及び/又は他の無機充填材を、ゴム成分100質量部に対して5〜100質量部の割合で含有することにより、上記効果が、より良く発揮されることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0007】
すなわち、本発明は、
[1](a)共役ジエン化合物由来の構成単位と、(b)下記一般式(1)
【0008】
【化1】

[式中、XはSi、Sn又はGe、R1は炭化水素基又は−SiR3(Rは炭化水素基であり、3つのRは同一でも異なっていてもよい。)、R2は炭化水素基を示し、nは1〜3の整数であり、OR1が複数ある場合、複数のOR1はたがいに同一でも異なっていてもよく、R2が複数ある場合、複数のR2はたがいに同一でも異なっていてもよい。]
【0009】
で表される構成単位とを有することを特徴とする共役ジエン系共重合体、
[2]共重合体中に、(b)構成単位がランダムに導入されてなる上記[1]の共役ジエン系共重合体、
[3]一般式(1)において、R1のうちの炭化水素基、R2で示される炭化水素基及びRで示される炭化水素基は、いずれも炭素数1〜20の炭化水素基である上記[1]又は[2]の共役ジエン系共重合体、
[4]一般式(1)において、nが1又は2である上記[1]〜[3]のいずれかの共役ジエン系共重合体、
[5]一般式(1)において、XがSiである上記[1]〜[4]のいずれかの共役ジエン系共重合体、
[6](b)構成単位が、下記一般式(1−a)又は一般式(1−b)
【0010】
【化2】

(式中、R1及びR2は前記と同じである。)
【0011】
で表される構造を有する上記[5]の共役ジエン系共重合体、
[7](b)構成単位が、下記式(1−c)
【0012】
【化3】

【0013】
で表される構造を有する上記[6]の共役ジエン系共重合体、
[8](a)構成単位を形成する共役ジエン化合物が、1,3−ブタジエン、イソプレン及び2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンの中から選ばれる少なくとも1種である上記[1]〜[7]のいずれかの共役ジエン系共重合体、
[9](a)構成単位におけるシス−1,4結合含量が、90モル%以上である上記[1]〜[8]のいずれかの共役ジエン系重合体、
[10](A)共役ジエン化合物と、(B)下記一般式(2)
【0014】
【化4】

[式中、XはSi、Sn又はGe、R1は炭化水素基又は−SiR3(Rは炭化水素基であり、3つのRは同一でも異なっていてもよい。)、R2は炭化水素基を示し、nは1〜3の整数であり、OR1が複数ある場合、複数のOR1はたがいに同一でも異なっていてもよく、R2が複数ある場合、複数のR2はたがいに同一でも異なっていてもよい。]
【0015】
で表されるビニル系化合物とを共重合させることを特徴とする上記[1]〜[9]のいずれかの共役ジエン系共重合体の製造方法、
[11](B)成分が、下記一般式(2−a)又は一般式(2−b)
【0016】
【化5】

(式中、X、R1、R2及びnは、前記と同じである。)
【0017】
で表される構造を有するビニル系化合物である上記[10]の共役ジエン系共重合体の製造方法、
[12](B)成分が、下記式(2−c)
【0018】
【化6】

【0019】
で表される構造を有するビニル系化合物である上記[11]の共役ジエン系共重合体の製造方法、
[13](A)成分が、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンの中から選ばれる少なくとも1種である上記[10]〜[12]のいずれかの共役ジエン系共重合体の製造方法、
[14](A)共役ジエン化合物と、(B)ビニル系化合物とを、メタロセン錯体を含む重合触媒の存在下、配位重合させる上記[10]〜[13]のいずれかの共役ジエン系共重合体の製造方法、
[15]メタロセン錯体が、下記一般式(3)
【0020】
【化7】

(式中、Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、CpRは、それぞれ独立して無置換もしくは置換インデニルを示し、Ra〜Rfは、それぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基又は水素原子を示すが、その中の少なくとも4個は炭素数1〜3のアルキル基であり、Lは、中性ルイス塩基を示し、wは、0〜3の整数を示す。)
【0021】
で表される構造を有するものである上記[14]の共役ジエン系共重合体の製造方法、
[16]一般式(3)におけるMが、ガドリニウム(Gd)である上記[15]の共役ジエン系共重合体の製造方法、
[17]メタロセン錯体を含む重合触媒が、メタロセン錯体と共に、アルミノキサン、有機アルミニウム化合物及びイオン性化合物の中から選ばれる少なくとも1種の助触媒を含むものである上記[14]〜[16]のいずれかの共役ジエン系共重合体の製造方法、
[18]上記[1]〜[9]のいずれかの共役ジエン系共重合体10質量%以上を含むゴム成分(X)を含有することを特徴とするゴム組成物、
[19]ゴム成分(X)が、共役ジエン系重合体と共に、天然ゴム、合成イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−α−オレフィン共重合ゴム、エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ハロゲン化ブチルゴム及びハロゲン化メチル基を持つスチレンとイソブチレンの共重合体の中から選ばれる少なくとも1種を含む上記[18]のゴム組成物、
[20]ゴム成分(X)100質量部に対して、シリカ及び/又は他の無機充填材(Y)5〜100質量部を含有する上記[18]又は[19]のゴム組成物、
[21]さらに、シランカップリング剤(Z)を含有する上記[20]のゴム組成物、
[22]硫黄架橋性である上記[18]〜[21]のいずれかのゴム組成物、及び
[23]上記[18]〜[22]のいずれかのゴム組成物をタイヤ部材に用いたことを特徴とするタイヤ、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明の共役ジエン系共重合体は、下記の効果を奏する。
(1)本発明の共役ジエン系共重合体は、分子中に、シリカなどの無機充填材との相互作用に優れるシロキサン構造をもつビニル化合物由来の構成単位を有することから、上記充填材の分散性をより改善して、耐破壊性や耐摩耗性に優れるゴム組成物を与える。
(2)(b)構成単位がランダムに導入されていることにより、上記(1)の効果が一層良く発揮される。
(3)(b)構成単位における一般式(1)において、各炭化水素基の炭素数が1〜20である場合、(b)構成単位を有する効果が、よりよく発揮され、特にnが1又は2で、XがSiである場合、該効果が大きく、(b)構成単位が式(1−c)で表される構造を有する場合に、該効果が最も大きく発揮される。
(4)(a)構成単位を構成する共役ジエン化合物が、1,3−ブタジエンなどであって、(a)構成単位におけるシス−1,4結合含量が90モル%以上であれば、該共役ジエン系共重合体を含むゴム組成物は、耐破壊性及び耐摩耗性がさらに向上する。
【0023】
本発明の共役ジエン系共重合体の製造方法は、下記の効果を奏する。
(5)(A)共役ジエン化合物と、(B)一般式(2)で表されるシロキサン構造をもつビニル系化合物とを共重合させることにより、特にメタロセン錯体を含む重合触媒の存在下に、配位重合させることにより、(a)構成単位におけるシス−1,4結合含量が90モル%以上である、前記の優れた性能を有する共役ジエン系共重合体を効果的に製造することができる。
(6)メタロセン錯体が、一般式(3)で表される構造を有し、特に該錯体を構成する金属がガドリニウムである場合、目的の共役ジエン系共重合体を製造する触媒性能に優れている。
(7)重合触媒が、メタロセン錯体と共に、助触媒として、アルミノキサン、有機アルミニウム化合物及び/又はイオン性化合物を含むことにより、該重合触媒の活性が優れたものになる。
【0024】
本発明のゴム組成物は、下記の効果を奏する。
(8)前記共役ジエン系共重合体を10質量%以上の割合で含むゴム成分を含有するゴム組成物は、優れた耐破壊性や耐摩耗性を発揮することができる。
(9)特に、補強用充填材として、シリカ及び/又は他の無機充填材を、ゴム成分100質量部に対して5〜100質量部の割合で含有することにより、上記(8)の効果が、より良く発揮される。
(10)本発明のゴム組成物を、トレッドなどのタイヤ部材に用いることにより、耐破壊性や耐摩耗性に優れるタイヤを与えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
まず、本発明の共役ジエン系共重合体について説明する。
[共役ジエン系共重合体]
本発明の共役ジエン系共重合体は、(a)共役ジエン化合物由来の構成単位と、(b)下記一般式(1)
【0026】
【化8】

[式中、XはSi、Sn又はGe、R1は炭化水素基又は−SiR3(Rは炭化水素基であり、3つのRは同一でも異なっていてもよい。)、R2は炭化水素基を示し、nは1〜3の整数であり、OR1が複数ある場合、複数のOR1はたがいに同一でも異なっていてもよく、R2が複数ある場合、複数のR2はたがいに同一でも異なっていてもよい。]
で表される構成単位とを有することを特徴とする。
【0027】
((b)構成単位)
本発明の共役ジエン系共重合体における(b)構成単位は、前記一般式(1)で表される構造を有しており、該一般式(1)において、R1のうちの炭化水素基、R2で示される炭化水素基及びRで示される炭化水素基は、いずれも炭素数1〜20の炭化水素基であることが好ましい。
炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えば炭素数1〜20のアルキル基,炭素数2〜20のアルケニル基,炭素数6〜20のアリール基,炭素数7〜20のアラルキル基等を挙げることができる。ここで、上記アルキル基及びアルケニル基は直鎖状,枝分かれ状,環状のいずれであってもよく、その例としては、メチル基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,イソブチル基,sec−ブチル基,tert−ブチル基,ペンチル基,ヘキシル基,オクチル基,デシル基,ドデシル基,シクロペンチル基,シクロヘキシル基,ビニル基,プロぺニル基,アリル基,ヘキセニル基,オクテニル基,シクロペンテニル基,シクロヘキセニル基等が挙げられる。
【0028】
また、前記アリール基は、芳香環上に低級アルキル基等の置換基を有していてもよく、その例としては、フェニル基,トリル基,キシリル基,ナフチル基等が挙げられる。さらに前記アラルキル基は、芳香環上に低級アルキル基等の置換基を有していてもよく、その例としては、ベンジル基,フェネチル基,ナフチルメチル基等が挙げられる。
【0029】
これらの中で、共重合性及び共役ジエン系共重合体の性能の観点から、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素数1〜10のアルキル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
また、nとしては、共重合性や共役ジエン系共重合体の性能の観点から、1又は2であることが好ましい。OR1が複数ある場合、複数のOR1は、たがいに同一であってもよいし、異なっていてもよく、R2が複数ある場合、複数のR2は、たがいに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
1は、前記の炭化水素基又は−SiR3(Rは前記の炭化水素基を示し、3つのRはたがいに同一でも異なっていてもよい。)であるが、XがSi以外の元素、つまりSn又はGeである場合には、共役ジエン系共重合体と、シリカなどの無機充填材との相互作用の観点から、R1は−SiR3であることが肝要である。すなわち、(b)構成単位は、共役ジエン系共重合体がシリカなどの無機充填材に対して相互作用を有するためには、少なくとも一つのシロキサン結合を有することが肝要である。
XがSiである場合には、該R1は炭化水素基であってもよいし、上記−SiR3であってもよいが、−SiR3であることが好ましい。
以上の点から、一般式(1)で表される(b)構成単位は、下記一般式(1−a)又は一般式(1−b)
【0030】
【化9】

(式中、R1及びR2は、前記と同じである。)
で表される構造を有することが好ましく、下記式(1−c)
【0031】
【化10】

である構造を有することがより好ましい。
本発明の共役ジエン系共重合体においては、シリカなどの無機充填材との相互作用を充分なものとするために、当該(b)構成単位はランダムに導入されていることが好ましい。
【0032】
((a)構成単位)
本発明の共役ジエン系共重合体における(a)構成単位は、共役ジエン化合物由来の単位であって、 上記共役ジエン化合物としては、例えば1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘキサジエンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよいが、これらの中で、1,3−ブタジエン、イソプレン及び2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンが好ましく、1,3−ブタジエンが特に好ましい。
本発明の共役ジエン系共重合体においては、当該(a)構成単位におけるシス−1,4結合含量が、耐破壊性や耐摩耗性向上などの観点から、90モル%以上であることが好ましく、95モル%以上であることがより好ましい。
なお、上記シス−1,4結合含量は、フーリエ変換赤外分光計を使用し、特開2005−015590号公報に記載されたフーリエ変換赤外分光法によって測定された値である。
【0033】
次に、本発明の共役ジエン系共重合体の製造方法について説明する。
[共役ジエン系共重合体の製造方法]
本発明の共役ジエン系共重合体の製造方法は、(A)共役ジエン化合物と、(B)下記一般式(2)
【0034】
【化11】

[式中、XはSi、Sn又はGe、R1は炭化水素基又は−SiR3(Rは炭化水素基であり、3つのRは同一でも異なっていてもよい。)、R2は炭化水素基を示し、nは1〜3の整数であり、OR1が複数ある場合、複数のOR1はたがいに同一でも異なっていてもよく、R2が複数ある場合、複数のR2はたがいに同一でも異なっていてもよい。]
で表されるビニル系化合物とを共重合させることを特徴とする。
【0035】
((A)共役ジエン化合物)
本発明の共役ジエン系共重合体の製造方法(以下、単に「本発明の製造方法」と云うことがある。)において、(A)成分モノマーとして用いられる共役ジエン化合物については、前述した本発明の共役ジエン系共重合体における(a)構成単位の説明で示したとおりであり、1,3−ブタジエン、イソプレン及び2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンの中から選ばれる少なくとも1種が好ましく、1,3−ブタジエンが特に好ましい。
【0036】
((B)ビニル系化合物)
本発明の製造方法においては、(B)成分モノマーとして、上記一般式(2)で表されるビニル系化合物が用いられる。この一般式(2)におけるX、R1、R2及びnについては、前記一般式(1)の説明において示したとおりである。
また、該一般式(2)で表されるビニル系化合物としては、前述した共役ジエン系共重合体における(b)構成単位の説明において示した理由から、下記一般式(2−a)又は一般式(2−b)
【0037】
【化12】

(式中、X、R1、R2及びnは、前記と同じである。)
で表される構造を有するビニル系化合物であることが好ましく、下記式(2−c)
【0038】
【化13】

で表される構造を有するビニル系化合物であることが特に好ましい。
【0039】
前記一般式(2−a)及び一般式(2−b)において、XはSiであることが好ましい。一般式(2−a)において、XがSiである場合の好ましいビニル系化合物の例としては、メトキシジメチルビニルシラン、メトキシジエチルビニルシラン、エトキシジメチルビニルシラン、エトキシジエチルビニルシラン、トリメチルシロキシジメチルビニルシラン、トリメチルシロキシジエチルビニルシランなどを挙げることができる。
一方、一般式(2−b)において、XがSiである場合の好ましいビニル系化合物の例としては、ジメトキシメチルビニルシラン、ジメトキシエチルビニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、ジエトキシエチルビニルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)メチルビニルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)エチルビニルシラン、メトキシ(トリメチルシロキシ)メチルビニルシラン、メトキシ(トリメチルシロキシ)エチルビニルシラン、エトキシ(トリメチルシロキシ)メチルビニルシラン、エトキシ(トリメチルシロキシ)エチルビニルシランなどを挙げることができる。
これらのビニル系化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、これらの中で、共役ジエン系共重合体のシリカなどの無機充填材との相互作用の観点から、前記式(2−c)で表されるビス(トリメチルシロキシ)メチルビニルシランが特に好ましい。
【0040】
(重合方法)
本発明の製造方法における、前記の(A)共役ジエン化合物と、(B)ビニル系化合物との重合方法については、前述した性状を有する共役ジエン系共重合体が得られる方法であればよく、特に制限はないが、共重合性が良好であると共に、(a)構成単位がランダムに導入され、かつ(a)構成単位におけるシス−1,4結合含量を90モル%以上とし得る観点から、メタロセン錯体を含む重合触媒の存在下、前記の(A)共役ジエン化合物と(B)ビニル系化合物とを配位重合させる方法を好ましく採用することができる。
【0041】
<メタロセン錯体>
本発明の製造方法における重合触媒に用いるメタロセン錯体としては、特開2008−280384号公報に記載されている各種メタロセン錯体の少なくとも1種を挙げることができるが、所望の共役ジエン系共重合体を効果的に製造し得る点から、下記一般式(3)
【0042】
【化14】

(式中、Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、CpRは、それぞれ独立して無置換もしくは置換インデニルを示し、Ra〜Rfは、それぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基又は水素原子を示すが、その中の少なくとも4個は炭素数1〜3のアルキル基であり、Lは、中性ルイス塩基を示し、wは、0〜3の整数を示す)で表されるメタロセン錯体が好適である。
【0043】
一般式(3)における中心金属Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムである。ランタノイド元素には、原子番号57〜71の15元素が含まれ、これらのいずれでもよい。中心金属Mとしては、サマリウムSm、ネオジムNd、プラセオジムPr、ガドリニウムGd、セリウムCe、ホルミウムHo、スカンジウムSc及びイットリウムYが好ましく、特にガドリニウムGdが好適である。
【0044】
また、一般式(3)において、式中のCpRは、無置換インデニル又は置換インデニルである。インデニル環を基本骨格とするCpRは、C97-XX又はC911-XXで示され得る。ここで、Xは0〜7又は0〜11の整数である。また、Rはそれぞれ独立してヒドロカルビル基又はメタロイド基であることが好ましい。ヒドロカルビル基の炭素数は1〜20であることが好ましく、1〜10であることが更に好ましく、1〜8であることが一層好ましい。該ヒドロカルビル基として、具体的には、メチル基、エチル基、フェニル基、ベンジル基等が好適に挙げられる。一方、メタロイド基のメタロイドの例としては、ゲルミルGe、スタニルSn、シリルSiが挙げられ、また、メタロイド基はヒドロカルビル基を有することが好ましく、メタロイド基が有するヒドロカルビル基は上記のヒドロカルビル基と同様である。該メタロイド基として、具体的には、トリメチルシリル基等が挙げられる。置換インデニルとして、具体的には、2−フェニルインデニル、2−メチルインデニル等が挙げられる。なお、二つのCpRは、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよい。
【0045】
一般式(3)で表されるメタロセン錯体は、ビス(トリアルキルシリル)アミド配位子[−N(SiR3)2]又はビス(ジアルキルシリル)アミド配位子[−N(SiR2)2]を含むことができる。ビス(トリアルキルシリル)アミドに含まれる6個のアルキル基R(一般式(3)におけるRa〜Rf)は、それぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基であり、メチル基であることが好ましい。また、ビス(ジアルキルシリル)アミドに含まれる4個のアルキル基は、それぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基であり、メチル基であることが好ましい。
【0046】
上記一般式(3)で表されるメタロセン錯体は、更に0〜3個、好ましくは0〜1個の中性ルイス塩基Lを含む。ここで、中性ルイス塩基Lとしては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメチルアニリン、トリメチルホスフィン、塩化リチウム、中性のオレフィン類、中性のジオレフィン類等が挙げられる。ここで、上記錯体が複数の中性ルイス塩基Lを含む場合、中性ルイス塩基Lは、同一であっても異なっていてもよい。
【0047】
上記一般式(3)で表されるメタロセン錯体は、単量体として存在していてもよく、二量体又はそれ以上の多量体として存在していてもよい。このメタロセン錯体は、例えば、溶媒中でランタノイドトリスハライド、スカンジウムトリスハライド又はイットリウムトリスハライドを、インデニルの塩(例えばカリウム塩やリチウム塩)及びビス(トリアルキルシリル)アミドの塩(例えばカリウム塩やリチウム塩)と反応させることで得ることができる。なお、反応温度は室温程度にすればよいので、温和な条件で製造することができる。また、反応時間は任意であるが、数時間〜数十時間程度である。反応溶媒は特に限定されないが、原料及び生成物を溶解する溶媒であることが好ましく、例えばトルエンを用いればよい。
【0048】
<助触媒>
本発明で用いる重合触媒は、前記メタロセン錯体と共に、アルミノキサン、有機アルミニウム化合物及びイオン性化合物などの中から選ばれる少なくとも1種の助触媒を含むことができる。
上記アルミノキサンとしては、アルキルアミノキサンが好ましく、例えば、メチルアルミノキサン(MAO)、修飾メチルアルミノキサン等が挙げられる。また、修飾メチルアルミノキサンとしては、MMAO−3A(東ソーファインケム社製)等が好ましい。なお、上記重合触媒におけるアルミノキサンの含有量は、メタロセン錯体の中心金属Mと、アルミノキサンのアルミニウム元素Alとの元素比率Al/Mが、10〜1000程度、好ましくは100程度となるようにすることが好ましい。
【0049】
一方、上記有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムクロライド、アルキルアルミニウムジクロライド、ジアルキルアルミニウムハイドライド等が挙げられ、これらの中でも、トリアルキルアルミニウムが好ましい。また、トリアルキルアルミニウムとしては、例えば、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等が挙げられる。なお、上記重合触媒における有機アルミニウム化合物の含有量は、メタロセン錯体に対して1〜50倍モルであることが好ましく、約10倍モルであることが更に好ましい。
【0050】
さらに、イオン性化合物としては、一般式[A]+[B]-で表される化合物が用いられる。ここで、[A]+はカチオンを示し、[B]-は非配位性アニオンを示す。
[A]+で表されるカチオンとしては、例えば、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アミンカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプタトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオン等が挙げられる。カルボニウムカチオンとしては、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリ(置換フェニル)カルボニウムカチオン等の三置換カルボニウムカチオン等が挙げられ、トリ(置換フェニル)カルボニルカチオンとして、具体的には、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン等が挙げられる。アミンカチオンとしては、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン等のトリアルキルアンモニウムカチオン;N,N-ジメチルアニリニウムカチオン、N,N-ジエチルアニリニウムカチオン、N,N-2,4,6-ペンタメチルアニリニウムカチオン等のN,N-ジアルキルアニリニウムカチオン;ジイソプロピルアンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオン等のジアルキルアンモニウムカチオン等が挙げられる。ホスホニウムカチオンとしては、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオン等のトリアリールホスホニウムカチオン等が挙げられる。これらカチオンの中でも、N,N-ジアルキルアニリニウムカチオン又はカルボニウムカチオンが好ましく、N,N-ジアルキルアニリニウムカチオンが特に好ましい。
【0051】
一方、[B]-で示される非配位性アニオンとしては、例えば、4価のホウ素アニオンが挙げられる。該4価のホウ素アニオンとして、具体的には、テトラフェニルボレート、テトラキス(モノフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ジフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラ(トリル)ボレート、テトラ(キシリル)ボレート、(トリフェニル,ペンタフルオロフェニル)ボレート、[トリス(ペンタフルオロフェニル),フェニル]ボレート、トリデカハイドライド-7,8-ジカルバウンデカボレート等が挙げられ、これらの中でも、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが好ましい。
【0052】
一般式[A]+[B]-で表されるイオン性化合物としては、上記の非配位性アニオン及びカチオンからそれぞれ選択し組み合わせた化合物であって、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が好ましい。また、一般式[A]+[B]-で表されるイオン性化合物は、メタロセン錯体に対して0.1〜10倍モル加えることが好ましく、約1倍モル加えることが更に好ましい。
【0053】
本発明においては、このように、一般式(3)で表されるメタロセン錯体と、上記助触媒を適切に組み合わせた重合触媒を用いて、重合反応を行うことにより、シス−1,4結合含量や共重合体の分子量を増大させることができる。
<重合反応>
本発明の共重合体の製造方法は、上記した通り、重合触媒として上述した重合触媒を用いること以外は、従来の配位イオン重合触媒を用いる重合反応による重合体の製造方法と同様とすることができる。ここで、本発明の共重合体の製造方法は、例えば、(1)単量体として(A)共役ジエン化合物及び(B)ビニル系化合物を含む重合反応系中に、重合触媒の構成成分を別個に提供し、該反応系中において重合触媒としてもよいし、(2)予め調製された重合触媒を重合反応系中に提供してもよい。また、(2)においては、助触媒によって活性化されたメタロセン錯体(活性種)を提供することも含まれる。なお、重合触媒に含まれるメタロセン錯体の使用量は、(A)共役ジエン化合物及び(B)ビニル系化合物の合計に対して、0.0001〜0.01倍モルの範囲が好ましい。
【0054】
また、上記重合反応は、不活性ガス、好ましくは窒素ガスやアルゴンガスの雰囲気下において行われることが好ましい。
上記重合反応の重合温度は、特に制限されないが、例えば−100℃〜200℃の範囲が好ましく、室温程度とすることもできる。なお、重合温度を上げると、重合反応のシス−1,4選択性が低下することがある。一方、上記重合反応の反応時間も特に制限されず、例えば1秒〜10日の範囲が好ましいが、重合される単量体の種類、触媒の種類、重合温度等の条件によって適宜選択することができる。
【0055】
このような本発明の製造方法により得られる共役ジエン系共重合体において、該共重合体の数平均分子量(Mn)は、特に限定されず、低分子量化の問題が起きることもない。更に、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、4以下が好ましく、2.5以下が更に好ましい。ここで、平均分子量及び分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレンを標準物質として求めることができる。
【0056】
さらに、本発明の製造方法により得られる共役ジエン系共重合体においては、(a)構成単位における、ビニル結合含量は、通常5.0モル%以下であり、かつ1,4−シス結合含量は、前述したように90モル%以上であることが好ましく、95モル%以上であることがより好ましい。
また、(b)構成単位は、前述したように該共役ジエン系共重合体中にランダムに導入させることが好ましい。該(b)構成単位がランダムに導入していることは、例えば13C−NMRより得られる主鎖メチレン部のシーケンス解析等の測定により証明することができる。
【0057】
次に、本発明のゴム組成物について説明する。
[ゴム組成物]
本発明のゴム組成物は、前述した本発明の共役ジエン系共重合体10質量%以上を含むゴム成分(X)を含有することを特徴とする。
(ゴム成分(X))
本発明のゴム組成物において、ゴム成分(X)が本発明の共役ジエン系共重合体を10質量%以上含むことにより、ゴム組成物中のシリカなどの無機充填材に対する相互作用を高め、該ゴム組成物に優れた耐破壊性や耐摩耗性を付与することができる。当該ゴム成分(X)中の共役ジエン系共重合体の含有量は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。
【0058】
当該ゴム成分(X)は、前記共役ジエン系共重合体と共に、天然ゴム、合成イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−α−オレフィン共重合ゴム、エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ハロゲン化ブチルゴム及びハロゲン化メチル基を持つスチレンとイソブチレンの共重合体の中から選ばれる少なくとも1種を、90質量%以下、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下の割合で含むことができる。
また、本発明のゴム組成物においては、前記共役ジエン系共重合体として、加水分解などの化学処理を施すことにより、(b)構成単位がシラノール構造を有するものを用いることで、前記効果をより顕著に発揮させることができる。
【0059】
(補強用充填材(Y))
本発明のゴム組成物においては、前記ゴム成分(X)100質量部に対して、補強用充填材として、シリカ及び/又は他の無機充填材(Y)を5〜100質量部の割合で含有することができる。
シリカとしては特に制限はなく、従来ゴムの補強用充填材として慣用されているものの中から任意に選択して用いることができる。このシリカとしては、例えば湿式シリカ(含水ケイ酸),乾式シリカ(無水ケイ酸),が挙げられるが、中でも破壊特性の改良効果並びにウェットグリップ性及び低転がり抵抗性の両立効果が最も顕著である湿式シリカが好ましい。
この湿式シリカは、補強性、加工性、ウェットグリップ性、耐摩耗性のバランス等の面から、BET法(ISO 5794/1に準拠する)による窒素吸着比表面積(N2SA)が140〜280m2/gであることが好ましく、170〜250m2/gであることがより好ましい。好適な湿式シリカとしては、例えば東ソー・シリカ(株)製のAQ、VN3、LP、NA等、デグッサ社製のウルトラジルVN3(N2SA:210m2/g)等が挙げられる。
【0060】
また、他の無機充填材としては、下記一般式(4)で表される化合物を挙げることができる。
mM1・xSiOy・zH2O ・・・(4)
(式中、M1は、アルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム、及びジルコニウムからなる群から選ばれる金属、これらの金属の酸化物又は水酸化物、及びそれらの水和物、又はこれらの金属の炭酸塩から選ばれる少なくとも一種であり、m、x、y及びzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である。尚、上記式において、x、zがともに0である場合には、該無機化合物はアルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム及びジルコニウムから選ばれる少なくとも1つの金属、金属酸化物又は金属水酸化物となる。)
【0061】
上記式で表わされる無機充填材としては、γ−アルミナ、α−アルミナ等のアルミナ(Al23)、ベーマイト、ダイアスポア等のアルミナ一水和物(Al23・H2O)、ギブサイト、バイヤライト等の水酸化アルミニウム[Al(OH)3]、炭酸アルミニウム[Al2(CO32]、水酸化マグネシウム[Mg(OH)2]、酸化マグネシウム(MgO)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、タルク(3MgO・4SiO2・H2O)、アタパルジャイト(5MgO・8SiO2・9H2O)、チタン白(TiO2)、チタン黒(TiO2n-1)、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム[Ca(OH)2]、酸化アルミニウムマグネシウム(MgO・Al23)、クレー(Al23・2SiO2)、カオリン(Al23・2SiO2・2H2O)、パイロフィライト(Al23・4SiO2・H2O)、ベントナイト(Al23・4SiO2・2H2O)、ケイ酸アルミニウム(Al2SiO5 、Al4・3SiO4・5H2O等)、ケイ酸マグネシウム(Mg2SiO4、MgSiO3等)、ケイ酸カルシウム(Ca2・SiO4等)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al23・CaO・2SiO2等)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO4)、炭酸カルシウム(CaCO3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、水酸化ジルコニウム[ZrO(OH)2・nH2O]、炭酸ジルコニウム[Zr(CO32]、各種ゼオライトのように電荷を補正する水素、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む結晶性アルミノケイ酸塩等が使用できる。また、前記一般式(4)中のM1がアルミニウム金属、アルミニウムの酸化物又は水酸化物、及びそれらの水和物、又はアルミニウムの炭酸塩から選ばれる少なくとも一つである場合が好ましい。
上記式で表されるこれらの無機充填材は、単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよく、また前記シリカと併用することができる。
【0062】
本発明のゴム組成物においては、ゴム成分(X)100質量部に対して、前記のシリカ及び/又は他の無機充填材(Y)を、5〜100質量部の割合で含有することにより、補強効果及び他の物性改良効果が発揮される。当該シリカ及び/又は他の無機充填材(Y)の含有量は、補強効果及び他の物性改良効果などの観点から、30〜100質量部であることが好ましく、40〜70質量部であることがより好ましい。補強性充填材(Y)の中で、特にシリカが、本発明の効果をより良く発揮させ得るので好ましい。
【0063】
(シランカップリング剤(Z))
本発明のゴム組成物においては、耐破壊性や耐摩耗性をさらに向上させる目的で、シランカップリング剤を配合することができる。
このシランカップリング剤としては、例えばビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−卜リエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィドなどが挙げられるが、これらの中で補強性改善効果などの点から、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド及び3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィドが好適である。
これらのシランカップリング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0064】
本発明のゴム組成物においては、ゴム成分として、シリカ及び/又は他の無機充填材との相互作用に優れるシロキサン構造をもつビニル化合物由来の構成単位を有する共役ジエン系共重合体を含有しているため、シランカップリング剤の配合量は、通常の場合より低減することができる。好ましいシランカップリング剤の配合量は、シランカップリング剤の種類などにより異なるが、シリカ及び/又は他の無機充填材に対して、好ましくは1〜20質量%の範囲で選定される。この量が1質量%未満ではカップリング剤としての効果が充分に発揮されにくく、また、20質量%を超えるとゴム成分のゲル化を引き起こすおそれがある。カップリング剤としての効果およびゲル化防止などの点から、このシランカップリング剤の好ましい配合量は、5〜15質量%の範囲である。
【0065】
(その他配合成分)
本発明のゴム組成物は、硫黄架橋性であることが好ましく、加硫剤として硫黄が好適に用いられる。その使用量としては、ゴム成分100質量部に対し、硫黄分(硫黄及び硫黄供与剤の硫黄分の合計量)を0.1〜10質量部配合することが好ましい。この範囲であれば、加硫ゴム組成物の必要な弾性率及び強度を確保すると共に低燃費性を得ることができるからである。この観点から、硫黄分を0.5〜5質量部配合することが更に好ましい。
【0066】
本発明のゴム組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望により、通常ゴム工業界で用いられる各種薬品、例えば硫黄以外の加硫剤、加硫促進剤、プロセス油、可塑剤、老化防止剤、スコーチ防止剤、亜鉛華、ステアリン酸、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等を含有させることができる。
【0067】
本発明で使用できる加硫促進剤は、特に限定されるものではないが、例えば、M(2−メルカプトベンゾチアゾール)、DM(ジベンゾチアジルジスルフィド)、CZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)等のチアゾール系、あるいはDPG(ジフェニルグアニジン)等のグアニジン系の加硫促進剤等を挙げることができ、その使用量は、ゴム成分100質量部に対し、0.1〜5.0質量部が好ましく、更に好ましくは0.2〜3.0質量部である。
【0068】
また、本発明のゴム組成物で使用できる軟化剤として用いるプロセス油としては、例えば、パラフィン系、ナフテン系、アロマチック系等を挙げることができる。引張強度、耐摩耗性を重視する用途にはアロマチック系が、ヒステリシスロス、低温特性を重視する用途にはナフテン系又はパラフィン系が用いられる。その使用量は、ゴム成分100質量部に対して、0〜100質量部が好ましく、100質量部以下であれば加硫ゴムの引張強度、低発熱性(低燃費性)が悪化するのを抑制することができる。
【0069】
更に、本発明のゴム組成物で使用できる老化防止剤としては、例えば3C(N−イソプロピル−N'−フェニル−p−フェニレンジアミン)、6C[N−(1,3−ジメチルブチル)−N'−フェニル−p−フェニレンジアミン]、AW(6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン)、ジフェニルアミンとアセトンの高温縮合物等を挙げることができる。その使用量は、ゴム成分100質量部に対して、0.1〜6.0質量部が好ましく、更に好ましくは0.3〜5.0質量部である。
【0070】
(ゴム組成物の調製、用途)
本発明のゴム組成物は、ロールなどの開放式混練機、バンバリーミキサーなどの密閉式混練機などの混練り機を用いて混練りすることによって得られ、成形加工後に加硫を行ない、各種ゴム製品に適用可能である。例えば、タイヤトレッド、アンダートレッド、カーカス、サイドウォール、サイド補強ゴム、ビード部(特にビードフィラー)などのタイヤ用途を始め、防振ゴム、防舷材,ベルト、ホースその他の工業品などの用途に用いることができるが、特に、耐摩耗性、破壊強度に優れた、低燃費用タイヤ、大型タイヤ、高性能タイヤのトレッド用ゴムとして好適に使用される。
【0071】
[タイヤ]
本発明のタイヤは、前述した本発明のゴム組成物をタイヤ部材に用いたことを特徴とする。タイヤ部材としては、トレッド、ベーストレット、サイドウォール、サイド補強ゴム及びビードフィラーを好ましく挙げることができ、これらのいずれかに、本発明のゴム組成物を用いることができるが、特にトレッドに用いることが好ましい。
本発明のゴム組成物をトレッドに用いたタイヤは、低燃費性であって、破壊特性及び耐摩耗性に優れる。なお、本発明のタイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を変えた空気、又は窒素等の不活性ガスが挙げられる。本発明のゴム組成物をトレッドに用いる場合は、例えばトレッド用部材に押出し加工され、タイヤ成形機上で通常の方法により貼り付け成形され、生タイヤが成形される。この生タイヤを加硫機中で加熱加圧して、タイヤが得られる。
【実施例】
【0072】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
なお、各例における諸特性は、以下に示す方法により求めた。
<ブタジエンゴム、ブタジエン−ビニルシロキサン共重合体>
(1)ブタジエン部分のシス−1,4結合含量及びビニル結合含量
フーリエ変換赤外分光光度計(商品名「FT/IR−4100」、日本分光社製)を使用し、特開2005−015590号公報に記載されたフーリエ変換赤外分光法によって求めた。
(2)ガラス転移温度Tg
サンプルを10mg±0.5mg秤量し、アルミニウム製の測定パンに入れ蓋をしたものを、DSC装置(TAインスツルメント社製)にて、室温から50℃まで加温し、10分間安定させた後、−110℃まで冷却し、−110℃で10分間安定させてから、10℃/minの昇温速度で50℃まで昇温しながらガラス転移点Tg(ピーク値)を測定した。
(3)ビニルシロキサン単位含有量
プロトン核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)により、ブタジエン部とトリメチルシロキサン部との積分値より算出した。
【0073】
<加硫ゴム物性>
(1)耐破壊性
加硫ゴムシートについて、JIS K 6251:2004に準拠し、室温(25℃)にて切断時張力(TSb)を測定し、比較例1の数値を100として指数表示し、耐破壊性を求めた。指数の値が大きいほど良好である。
(2)耐摩耗性
加硫ゴムシートについて、ランボーン型摩耗試験機を用い、スリップ率が25%の摩耗量を測定し、比較例1の数値の逆数を100とし、指数表示した。測定温度は室温とした。指数が大きいほど、良好である。
【0074】
実施例1 重合体Bの製造
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、十分に乾燥した100mL耐圧ガラスボトルに、ビス(トリメチルシロキシ)メチルビニルシラン[前記式(2−c)]0.39g(1.57mmol)及びトルエン50mLを添加し、ボトルを打栓した。その後、グローブボックスからボトルを取り出し、1,3−ブタジエンを15.0g(0.28mol)仕込み、モノマー溶液とした。
一方、窒素雰囲気下のグローブボックス中で、ガラス製容器に、ビス(2−フェニル−1−メチルインデニル)ガドリニウムビス(ジメチルシリル)アミド[(2−Ph−1−MeC952GdN(SiHMe22]を10μmol、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[Me2NHPhB(C654]を10μmol及びジイソブチルアルミニウムハイドライドを330μmol仕込み、トルエン5mLで溶解させ、触媒溶液とした。
その後、グローブボックスから触媒溶液を取り出し、モノマー溶液へ添加し、25℃で25分間重合を行った。重合後、BHT[2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール]の10質量%メタノール溶液10mLを加えて反応を停止させ、さらに大量のメタノール/塩酸混合溶媒で重合体を分離させ、60℃で真空乾燥することにより、ブタジエン−ビス(トリメチルシロキシ)メチルビニルシラン共重合体(重合体B)14.1gを得た。
この重合体Bの性状を第1表に示す。
【0075】
実施例2 重合体Cの製造
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、十分に乾燥した1L耐圧ガラスボトルに、ビス(トリメチルシロキシ)メチルビニルシラン[前記式(2−c)]0.39g(1.57mmol)及びトルエン150mLを添加し、ボトルを打栓した。その後、グローブボックスからボトルを取り出し、1,3−ブタジエンを30.0g(0.56mol)仕込み、モノマー溶液とした。
一方、窒素雰囲気下のグローブボックス中で、ガラス製容器に、ビス(2−フェニルインデニル)ガドリニウムビス(ジメチルシリル)アミド[(2−PhC962GdN(SiHMe22]を20μmol、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[Me2NHPhB(C654]を20μmol及びジイソブチルアルミニウムハイドライドを660μmol仕込み、トルエン10mLで溶解させ、触媒溶液とした。
その後、グローブボックスから触媒溶液を取り出し、モノマー溶液へ添加し、30℃で45分間重合を行った。重合後、BHT[2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール]の10質量%メタノール溶液10mLを加えて反応を停止させ、さらに大量のメタノール/塩酸混合溶媒で重合体を分離させ、60℃で真空乾燥することにより、ブタジエン−ビス(トリメチルシロキシ)メチルビニルシラン共重合体(重合体C)28.5gを得た。
この重合体Cの性状を第1表に示す。
【0076】
実施例3 重合体Dの製造
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、十分に乾燥した1L耐圧ガラスボトルに、ビス(トリメチルシロキシ)メチルビニルシラン[前記式(2−c)]0.09g(0.36mmol)及びトルエン150mLを添加し、ボトルを打栓した。その後、グローブボックスからボトルを取り出し、1,3−ブタジエンを32.0g(0.59mol)仕込み、モノマー溶液とした。
一方、窒素雰囲気下のグローブボックス中で、ガラス製容器に、ビス(2−フェニルインデニル)ガドリニウムビス(ジメチルシリル)アミド[(2−PhC962GdN(SiHMe22]を30μmol、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[Me2NHPhB(C654]を30μmol及びジイソブチルアルミニウムハイドライドを660μmol仕込み、トルエン10mLで溶解させ、触媒溶液とした。
その後、グローブボックスから触媒溶液を取り出し、モノマー溶液へ添加し、30℃で25分間重合を行った。重合後、BHT[2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール]の10質量%メタノール溶液10mLを加えて反応を停止させ、さらに大量のメタノール/塩酸混合溶媒で重合体を分離させ、60℃で真空乾燥することにより、ブタジエン−ビス(トリメチルシロキシ)メチルビニルシラン共重合体(重合体D)31.1gを得た。
この重合体Dの性状を第1表に示す。
【0077】
【表1】

【0078】
[注]
1)ビニルシロキサン含有量:ビス(トリメチルシロキシ)メチルビニルシラン由来の構成単位含有量
2)シス結合含量:1,4−シス結合含量
3)重合体A:宇部興産社製、ブタジエンゴム「BR150L」
第1表から分かるように、重合体B、C及びDは、いずれも1,4−シス結合含量が90モル%を超える値を示している。
【0079】
実施例4〜6及び比較例1
実施例1で得たブタジエン−ビス(トリメチルシロキシ)メチルビニルシラン共重合体(重合体B)、実施例2で得たブタジエン−ビス(トリメチルシロキシ)メチルビニルシラン共重合体(重合体C)、実施例3で得たブタジエン−ビス(トリメチルシロキシ)メチルビニルシラン共重合体(重合体D)及びブタジエンゴム(重合体A)を用い、第2表に示す配合組成に従い、それぞれ実施例4、実施例5、実施例6及び比較例1の4種のゴム組成物を調製した。
なお、ゴム組成物の調製は、まず第1ステージの各成分を混練りしたのち、これに第2ステージの各成分を加えて混練りすることにより行った。
これらの未加硫ゴム組成物を165℃で15分間加硫処理して、4種の評価用の加硫ゴムシートを作製し、耐破壊性及び耐摩耗性を評価した。その結果を第3表に示す。
【0080】
【表2】

【0081】
[注]
1)NR:天然ゴム;RSS#3
2)BR:ブタジエンゴム(重合体A)、[宇部興産社製、商品名「BR150L」]
BR共重合体:実施例1〜3で得られた重合体B、重合体C、重合体D
3)シリカ:東ソー・シリカ(株)製、商品名「ニプシルAQ」
4)軟化剤:ナフテニックオイル、(株)ジャパンエナジー製
5)シランカップリング剤:デグサ社製、商品名「Si69」
6)老化防止剤6C:N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン[大内新興化学工業(株)製、商品名「ノクラック6C」]
7)加硫促進剤DPG:ジフェニルグアニジン[大内新興化学工業(株)製、商品名「ノクセラーD」]
8)加硫促進剤MZ:2−メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩[大内新興化学工業(株)製、商品名「ノクセラーMZ」]
9)加硫促進剤TBBS:N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、[大内新興化学工業(株)製、商品名「ノクセラーNS−P」]
【0082】
【表3】

【0083】
第3表から分かるように、実施例4〜6の本発明のゴム組成物は、比較例1のものに比べて、耐破壊性及び耐摩耗性のいずれにも優れている。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明の共役ジエン系共重合体は、分子中に、シリカなどの無機充填材との相互作用に優れるシロキサン構造をもつビニル化合物由来の構成単位((b)構成単位)を有することから、上記充填材の分散性をより改善して、耐破壊性や耐摩耗性に優れるゴム組成物やタイヤを与えることができる。
また、当該共役ジエン系共重合体は、本発明の製造方法、特にメタロセン錯体を含む重合触媒を用いる配位重合により、効果的に製造することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)共役ジエン化合物由来の構成単位と、(b)下記一般式(1)
【化1】

[式中、XはSi、Sn又はGe、R1は炭化水素基又は−SiR3(Rは炭化水素基であり、3つのRは同一でも異なっていてもよい。)、R2は炭化水素基を示し、nは1〜3の整数であり、OR1が複数ある場合、複数のOR1はたがいに同一でも異なっていてもよく、R2が複数ある場合、複数のR2はたがいに同一でも異なっていてもよい。]
で表される構成単位とを有することを特徴とする共役ジエン系共重合体。
【請求項2】
共重合体中に、(b)構成単位がランダムに導入されてなる請求項1に記載の共役ジエン系共重合体。
【請求項3】
一般式(1)において、R1のうちの炭化水素基、R2で示される炭化水素基及びRで示される炭化水素基は、いずれも炭素数1〜20の炭化水素基である請求項1又は2に記載の共役ジエン系共重合体。
【請求項4】
一般式(1)において、nが1又は2である請求項1〜3のいずれかに記載の共役ジエン系共重合体。
【請求項5】
一般式(1)において、XがSiである請求項1〜4のいずれかに記載の共役ジエン系共重合体。
【請求項6】
(b)構成単位が、下記一般式(1−a)又は一般式(1−b)
【化2】

(式中、R1及びR2は前記と同じである。)
で表される構造を有する請求項5に記載の共役ジエン系共重合体。
【請求項7】
(b)構成単位が、下記式(1−c)
【化3】

で表される構造を有する請求項6に記載の共役ジエン系共重合体。
【請求項8】
(a)構成単位を形成する共役ジエン化合物が、1,3−ブタジエン、イソプレン及び2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンの中から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜7のいずれかに記載の共役ジエン系共重合体。
【請求項9】
(a)構成単位におけるシス−1,4結合含量が、90モル%以上である請求項1〜8のいずれかに記載の共役ジエン系重合体。
【請求項10】
(A)共役ジエン化合物と、(B)下記一般式(2)
【化4】

[式中、XはSi、Sn又はGe、R1は炭化水素基又は−SiR3(Rは炭化水素基であり、3つのRは同一でも異なっていてもよい。)、R2は炭化水素基を示し、nは1〜3の整数であり、OR1が複数ある場合、複数のOR1はたがいに同一でも異なっていてもよく、R2が複数ある場合、複数のR2はたがいに同一でも異なっていてもよい。]
で表されるビニル系化合物とを共重合させることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の共役ジエン系共重合体の製造方法。
【請求項11】
(B)成分が、下記一般式(2−a)又は一般式(2−b)
【化5】

(式中、X、R1、R2及びnは、前記と同じである。)
で表される構造を有するビニル系化合物である請求項10に記載の共役ジエン系共重合体の製造方法。
【請求項12】
(B)成分が、下記式(2−c)
【化6】

で表される構造を有するビニル系化合物である請求項11に記載の共役ジエン系共重合体の製造方法。
【請求項13】
(A)成分が、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンの中から選ばれる少なくとも1種である請求項10〜12のいずれかに記載の共役ジエン系共重合体の製造方法。
【請求項14】
(A)共役ジエン化合物と、(B)ビニル系化合物とを、メタロセン錯体を含む重合触媒の存在下、配位重合させる請求項10〜13のいずれかに記載の共役ジエン系共重合体の製造方法。
【請求項15】
メタロセン錯体が、下記一般式(3)
【化7】

(式中、Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、CpRは、それぞれ独立して無置換もしくは置換インデニルを示し、Ra〜Rfは、それぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基又は水素原子を示すが、その中の少なくとも4個は炭素数1〜3のアルキル基であり、Lは、中性ルイス塩基を示し、wは、0〜3の整数を示す。)
で表される構造を有するものである請求項14に記載の共役ジエン系共重合体の製造方法。
【請求項16】
一般式(3)におけるMが、ガドリニウム(Gd)である請求項15に記載の共役ジエン系共重合体の製造方法。
【請求項17】
メタロセン錯体を含む重合触媒が、メタロセン錯体と共に、アルミノキサン、有機アルミニウム化合物及びイオン性化合物の中から選ばれる少なくとも1種の助触媒を含むものである請求項14〜16のいずれかに記載の共役ジエン系共重合体の製造方法。
【請求項18】
請求項1〜9のいずれかに記載の共役ジエン系共重合体10質量%以上を含むゴム成分(X)を含有することを特徴とするゴム組成物。
【請求項19】
ゴム成分(X)が、共役ジエン系重合体と共に、天然ゴム、合成イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−α−オレフィン共重合ゴム、エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ハロゲン化ブチルゴム及びハロゲン化メチル基を持つスチレンとイソブチレンの共重合体の中から選ばれる少なくとも1種を含む請求項18に記載のゴム組成物。
【請求項20】
ゴム成分(X)100質量部に対して、シリカ及び/又は他の無機充填材(Y)5〜100質量部を含有する請求項18又は19に記載のゴム組成物。
【請求項21】
さらに、シランカップリング剤(Z)を含有する請求項20に記載のゴム組成物。
【請求項22】
硫黄架橋性である請求項18〜21のいずれかに記載のゴム組成物。
【請求項23】
請求項18〜22のいずれかに記載のゴム組成物をタイヤ部材に用いたことを特徴とするタイヤ。

【公開番号】特開2010−202769(P2010−202769A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−49694(P2009−49694)
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【出願人】(503359821)独立行政法人理化学研究所 (1,056)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】