説明

共有会計装置及び共有会計プログラム

【課題】 経費として不適切な電子決済を防止するとともに、CO排出量削減に貢献することが可能な共有会計装置を提供する。
【解決手段】 共有会計装置50Aは、電子決済を行う使用者に関する使用者IDと、当該使用者が使用しようとする決済金額と、決済金額によって当該使用者が購入しようとする商品に関する商品IDと、商品の用途に関する用途データと、用途データに関連して予め設定された当該使用者の決済可能金額と、商品に対応するCO排出量に関するCO排出量データと、用途データに関連して予め設定された当該使用者のCO排出量上限と、を取得するデータ取得部53aと、データ取得部53aによって取得された使用者の決済金額及びCO排出量データのそれぞれが当該使用者の決済可能金額及びCO排出量上限のそれぞれ以下である場合に決済可能であると判定し、それ以外の場合に決済不可であると判定する判定部53bと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子決済に用いられる共有会計装置及び共有会計プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、現金決済に代えて、クレジットカード、電子マネー等を用いた電子決済が普及してきている(例えば、特許文献1参照)。かかる電子決済は、使用者が現金を携行せずにすむ等といった利便性を有している。また、ICカード、携帯電話等を用いた電子マネーの普及によって、電子決済の普及がさらに進んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−221502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の電子決済では、決済後に使用者が所属する会社において、決済された支払いを承認するか否かを判断する必要があった。そのため、承認不可な決済があった場合等に不具合が生じていた。例えば、使用者の職位、決済される金額の利用内容等によって承認するか否かの判断基準が異なる場合には、使用者がかかる判断基準をすべて把握するのは困難であり、そのため、承認不可な決済が行われてしまうおそれがある。このような場合には、かかる決済を適切な経費使用として処理することができないという問題が生じてしまう。
【0005】
また、地球温暖化問題への対策として、CO排出量を削減する取り組みが始まりつつある。そのため、通常の商取引においても、CO排出量を削減することが可能な仕組みが要望されている。
【0006】
本発明は、前記した問題を解決すべく創案されたものであり、経費として不適切な電子決済を防止するとともに、CO排出量削減に貢献することが可能な共有会計装置及び共有会計プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明の共有会計装置は、電子決済を行う使用者に関する使用者IDと、当該使用者が使用しようとする決済金額と、前記決済金額によって当該使用者が購入しようとする商品に関する商品IDと、前記商品の用途に関する用途データと、前記用途データに関連して予め設定された当該使用者の決済可能金額と、前記商品に対応するCO排出量に関するCO排出量データと、前記用途データに関連して予め設定された当該使用者のCO排出量上限と、を取得するデータ取得部と、前記データ取得部によって取得された前記使用者の決済金額及びCO排出量データのそれぞれが当該使用者の決済可能金額及びCO排出量上限のそれぞれ以下である場合に決済可能であると判定し、それ以外の場合に決済不可であると判定する判定部と、前記判定部による判定結果を出力するデータ出力部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
かかる構成によると、決済金額及びCO排出量のそれぞれが決済可能金額及びCO排出量上限のそれぞれ以下である場合のみに電子決済を行うことができるようになるので、経費として不適切な電子決済を防止するとともに、CO排出量削減に貢献することができる。
【0009】
また、CDM(Clean Development Mechanism)及びGHG(GreenHouse Gas)プロトコル基準以上の基準を満たすようにCO排出量上限を設定することにより、これらを満たさない商品の電子決済が不可能となり、CO排出量を好適に削減することができる。さらに、商品の流通経路、取引ルートが明確になるため、不正を防止することができる。また、伝票のみをやりとりした空取引を防止することができる。
【0010】
前記共有会計装置は、前記使用者IDごとに、決済可能であると判定された決済金額に基づいて、当該決済金額及び当該決済金額に対応する前記用途データを含む仕訳データを生成する仕訳データ生成部をさらに備えることが望ましい。
【0011】
前記データ取得部は、前記電子マネーが使用される店舗に関する店舗IDをさらに取得し、前記仕訳データ生成部は、前記店舗IDごとに、決済可能であると判定された決済金額に基づいて、当該決済金額及び当該決済金額に対応する前記使用者IDを含む仕訳データを生成することが望ましい。
【0012】
かかる構成によると、判定とともに仕訳データを生成するので、仕訳の手間を省くことができる。
【0013】
また、前記課題を解決するため、本発明の共有会計装置は、電子決済を行う使用者に関する使用者IDと、当該使用者が使用しようとする決済金額と、前記決済金額によって当該使用者が購入しようとする商品に関する商品IDと、を取得するデータ取得部と、使用者IDと、前記商品の用途に関する用途データと、前記用途データに関連して予め設定された当該使用者の決済可能金額と、を関連付けて記憶し、前記商品IDと、前記商品に対応するCO排出量データと、を関連付けて記憶し、前記用途データと、前記用途データに関連して予め設定された当該使用者のCO排出量上限と、を関連付けて記憶する記憶部と、前記データ取得部によって取得された前記使用者ID及び前記商品IDと、前記記憶部に記憶された前記使用者ID、前記用途データ、前記決済可能金額、前記CO排出量データ及び前記CO排出量上限に基づいて、前記データ取得部によって取得された前記使用者の決済金額及びCO排出量データのそれぞれが当該使用者の決済可能金額及びCO排出量上限のそれぞれ以下である場合に決済可能であると判定し、それ以外の場合に決済不可であると判定する判定部と、前記判定部による判定結果を出力するデータ出力部と、を備えることを特徴とする。
【0014】
かかる構成によると、決済金額及びCO排出量のそれぞれが決済可能金額及びCO排出量上限のそれぞれ以下である場合のみに電子決済を行うことができるようになるので、経費として不適切な電子決済を防止するとともに、CO排出量削減に貢献することができる。
【0015】
前記共有会計装置は、前記使用者IDごとに、決済可能であると判定された決済金額に基づいて、当該決済金額及び当該決済金額に対応する用途データを含む仕訳データを生成する仕訳データ生成部をさらに備えることが望ましい。
【0016】
前記データ取得部は、前記電子マネーが使用される店舗に関する店舗IDをさらに取得し、前記仕訳データ生成部は、前記店舗IDごとに、決済可能であると判定された決済金額に基づいて、当該決済金額及び当該決済金額に対応する前記使用者IDを含む仕訳データを生成することが望ましい。
【0017】
かかる構成によると、判定とともに仕訳データを生成するので、仕訳の手間を省くことができる。
【0018】
また、前記課題を解決するため、本発明の共有会計プログラムは、コンピュータを、電子決済を行う使用者に関する使用者IDと、当該使用者が使用しようとする決済金額と、前記決済金額によって当該使用者が購入しようとする商品に関する商品IDと、前記商品の用途に関する用途データと、前記用途データに関連して予め設定された当該使用者の決済可能金額と、前記商品に対応するCO排出量に関するCO排出量データと、前記用途データに関連して予め設定された当該使用者のCO排出量上限と、を取得するデータ取得部、前記データ取得部によって取得された前記使用者の決済金額及びCO排出量データのそれぞれが当該使用者の決済可能金額及びCO排出量上限のそれぞれ以下である場合に決済可能であると判定し、それ以外の場合に決済不可であると判定する判定部、及び、前記判定部による判定結果を出力するデータ出力部、として機能させることを特徴とする。
【0019】
また、前記課題を解決するため、本発明の共有会計プログラムは、コンピュータを、電子決済を行う使用者に関する使用者IDと、当該使用者が使用しようとする決済金額と、前記決済金額によって当該使用者が購入しようとする商品に関する商品IDと、を取得するデータ取得部、記憶部に関連付けて記憶された使用者ID、前記商品の用途に関する用途データ、及び、前記用途データに関連して予め設定された当該使用者の決済可能金額と、前記商品ID及び前記商品に対応するCO排出量データと、前記用途データ及び前記用途データに関連して予め設定された当該使用者のCO排出量上限と、前記データ取得部によって取得された前記使用者ID及び前記商品IDに基づいて、前記データ取得部によって取得された前記使用者の決済金額及びCO排出量データのそれぞれが当該使用者の決済可能金額及びCO排出量上限のそれぞれ以下である場合に決済可能であると判定し、それ以外の場合に決済不可であると判定する判定部、及び、前記判定部による判定結果を出力するデータ出力部、として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、経費として不適切な電子決済を防止するとともに、CO排出量削減に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係る共有会計装置を備える共有会計システムを模式的に示す図である。
【図2】図1の顧客側装置及び顧客用端末を模式的に示す図である。
【図3】図1の顧客用端末及び端末読取装置を模式的に説明する図である。
【図4】図1の店舗側装置を模式的に説明する図である。
【図5】本発明の第一の実施形態に係る共有会計装置を模式的に説明する図である。
【図6】本発明の第一の実施形態に係る記憶部内に記憶されたデータを模式的に示す図である。
【図7】本発明の第一の実施形態に係る顧客用仕訳データによる表示画面を模式的に示す図である。
【図8】本発明の第一の実施形態に係る店舗用仕訳データによる表示画面を模式的に示す図である。
【図9】本発明の第二の実施形態に係る共有会計装置を模式的に説明する図である。
【図10】本発明の第三の実施形態に係るプロジェクト対応仕訳データによる表示画面を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
CO排出量削減に貢献する一手法として、CAP&TRADEのCO排出量の総量測定が挙げられる。COの排出は、商品の購入から廃棄までにおける商品の使用時、すなわち、什器、備品、車両等といった、固定資産(減価償却資産)の減価償却の際にも継続的に生じる。かかる継続的なCO排出量の測定も、減価償却資産稼動時の仕訳に連動して数値化する必要がある。また、償却資産に属する個別資産の稼動に応じたCO排出量、生産者削減認証証明に応じたCO排出量も、固定資産会計に準じて数値化する必要がある。そこで、本発明の共有会計装置は、商品の発生源泉、製造、使用、廃棄までのすべてのCO排出量を算出して数値化する。
【0023】
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら説明する。同様の部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0024】
<第一の実施形態>
図1は、本発明の実施形態に係る共有会計装置を備える共有会計システムを模式的に示す図である。図2は、図1の顧客側装置及び顧客用端末を模式的に示す図である。図3は、図1の顧客用端末及び端末読取装置を模式的に説明する図である。図4は、図1の店舗側装置を模式的に説明する図である。図5は、本発明の第一の実施形態に係る共有会計装置を模式的に説明する図である。
【0025】
図1に示すように、本発明の第一の実施形態に係る共有会計システム1Aは、複数の顧客側装置10,10,・・・と、複数の顧客用端末20,20,・・・と、複数の端末読取装置30,30,・・・と、複数の店舗側装置40,40,・・・と、共有会計装置50Aと、を備えている。顧客側装置10,10,・・・、端末読取装置30,30,・・・、店舗側装置40,40,・・・及び共有会計装置50Aは、それぞれネットワークNWによって互いに通信可能に接続されている。
【0026】
≪顧客側装置10≫
顧客側装置10は、電子決済を行う使用者が所属している会社等に設置されている装置であり、コンピュータ等から構成される。図2に示すように、顧客側装置10は、キーボード、マウス等の入力部11と、ディスプレイ等の出力部12と、制御部13と、ネットワークインターフェース14と、端末用インターフェース15と、を備えている。制御部13は、例えば、CPU、RAM、ROM及び入出力回路を備えて構成されており、入力部11を介した作業者の入力操作に基づいて、各種制御を実行する。
【0027】
≪顧客用端末20≫
顧客用端末20は、電子決済を行う使用者が携行するものであり、電子決済機能を有する携帯電話、クレジットカード、電子マネー用カード等である。図2に示すように、顧客用端末20は、インターフェース21と、記憶部22と、を備えている。記憶部22には、電子決済を行う使用者に関する使用者IDと、当該使用者の決済可能金額と、が関連付けて記憶されている。ここで、決済可能金額は、後記する用途データに関連付けられた用途対応決済可能金額である。前記した顧客側装置10の制御部13は、作業者による入力部11の入力操作に基づいて、端末用インターフェース15及びインターフェース21を介して記憶部22内のデータを更新することができる。
【0028】
顧客用端末20は、国際会計基準準用、取引会社別決済基準、取引商品別決済基準、商法会計仕分け基準、商法会計監査基準、自社会計監査基準、コンプライアンス取引基準、CDM(Clean Development Mechanism)及びGHG(GreenHouse Gas)プロトコル基準以上の基準を満たしている企業の社員に対して付与されることが望ましい。
【0029】
図6は、本発明の第一の実施形態に係る記憶部内に記憶されたデータを模式的に示す図である。図6に示すように、記憶部22には、電子決済を行う使用者に関する使用者IDと、用途と、当該用途に対応する当該使用者の用途対応決済可能金額と、当該用途に対応する当該使用者の用途対応CO排出量上限と、が関連付けて記憶されている。用途対応決済可能金額は、用途(例えば、交際費、会議費、旅費交通費等)ごとに予め設定されている。かかる用途対応決済可能金額は、使用者の所属会社、役職等によって異なるように設定可能である。
【0030】
≪端末読取装置30≫
端末読取装置30は、店舗に設置されている装置であり、コンピュータ等から構成される。図3に示すように、端末読取装置30は、店舗に設置されているキャッシュレジスターCRと通信可能に接続されており、出力部31と、制御部32と、ネットワークインターフェース33と、端末用インターフェース34と、を備えている。端末用インターフェースは、顧客用端末20に加えてキャッシュレジスターCRにも接続されている。制御部32は、例えば、CPU、RAM、ROM及び入出力回路を備えて構成されており、キャッシュレジスターCRから、電子決済において使用者が使用しようとする決済金額と、決済金額によって当該使用者が購入しようとする商品に関する商品IDと、当該決済金額の用途に関する用途データと、商品に対応するCO排出量データと、を取得するとともに、顧客用端末20から、使用者IDと、用途対応決済可能金額と、を取得する。CO排出量データは、当該商品を製造、流通するに当たって排出されたCOの量を示すデータであり、本実施形態では、商品IDと予め関連付けられてキャッシュレジスターCRに記憶されている。取得されたこれらのデータは、制御部32に予め記憶された店舗IDとともに、ネットワークインターフェース33及びネットワークNWを介して、共有会計装置50Aに出力される。また、制御部32は、後記する共有会計装置50Aから出力された判定結果に基づいて、当該判定結果を出力部31に出力し、端末読取装置30を使用している店員等に通知する。
【0031】
≪店舗側装置40≫
店舗側装置40は、店舗、当該店舗の本社等に設置されている装置であり、コンピュータ等から構成される。図4に示すように、店舗側装置40は、キーボード、マウス等の入力部41と、ディスプレイ等の出力部42と、制御部43と、ネットワークインターフェース44と、を備えている。制御部43は、例えば、CPU、RAM、ROM及び入出力回路を備えて構成されており、入力部41を介した作業者の入力操作に基づいて、各種制御を実行する。
【0032】
≪共有会計装置50A≫
共有会計装置50Aは、コンピュータ等から構成される。図5に示すように、共有会計装置50Aは、キーボード、マウス等の入力部51と、ディスプレイ等の出力部52と、制御部53Aと、ネットワークインターフェース54と、を備えている。制御部53Aは、例えば、CPU、RAM、ROM及び入出力回路を備えて構成されており、入力部を介した作業者の入力操作に基づいて、各種制御を実行する。制御部53Aは、機能部として、データ取得部53aと、判定部53bと、仕訳データ生成部53cと、データ出力部53dと、を備えている。
【0033】
データ取得部53aは、ネットワークインターフェース54を介して、使用者ID、決済金額、商品ID、用途データ、用途対応決済可能金額、CO排出量データ及び用途対応CO排出量上限を取得する。取得されたこれらのデータは、判定部53b及び仕訳データ生成部53cに出力される。
【0034】
判定部53bは、決済金額、用途データ、用途対応決済可能金額、CO排出量データ及び用途対応CO排出量上限に基づいて、当該決済金額及び当該CO排出量データのそれぞれが用途対応決済可能金額及び用途対応CO排出量上限のそれぞれ以下である場合に決済可能であると判定し、それ以外の場合に決済不可であると判定する。判定結果は、仕訳データ生成部53c及びデータ出力部53dに出力される。
【0035】
ここで、同一商品をA社〜D社が販売している場合について考える。A社の商品は、価格100円、CO排出量300であり、B社の商品は、価格500円、CO排出量50、C社の商品は、価格300円、CO排出量150であり、D社の商品は、価格1000円、CO排出量10であるとする。ここで、決済可能金額500円、CO排出量上限200である場合には、判定部53bは、B社又はC社の商品を購入しようとしている場合に決済可能であると判定し、A社又はD社の商品を購入しようとしている場合に決済不可であると判定する。
【0036】
仕訳データ生成部53cは、判定結果が「決済可能」である場合の使用者ID、用途データ、決済金額及びCO排出量データに基づいて、これらのデータを含む顧客用仕訳データを生成する。生成された顧客用仕訳データは、データ出力部53dに出力される。
【0037】
また、仕訳データ生成部53cは、判定結果が「決済可能」である場合の使用者ID、店舗ID、決済金額及びCO排出量データに基づいて、これらのデータを含む店舗用仕訳データを生成する。生成された店舗用仕訳データは、データ出力部53dに出力される。
【0038】
データ出力部53dは、判定部53bによる判定結果を、対応する決済金額等を送信してきた端末読取装置30に出力する。すなわち、判定部53bは、決済可能であると判定された決済金額に対応する取引に対して認証を与える。また、データ出力部53dは、使用者IDに基づいて、顧客用仕訳データを該当する顧客が所属する会社等の顧客側装置10に出力するとともに、店舗IDに基づいて、店舗用仕訳データを該当する店舗の店舗側装置40に出力する。
【0039】
顧客側装置10の制御部13は、顧客用仕訳データを出力部12の一例であるディスプレイに出力して表示させる。図7は、本発明の第一の実施形態に係る顧客用仕訳データによる表示画面を模式的に示す図である。顧客側装置10を操作する作業者は、出力部12に表示された表示画面を見ることによって、各使用者の決済金額、CO排出量及びその用途を確認することができる。
【0040】
店舗側装置40の制御部43は、店舗用仕訳データを出力部42の一例であるディスプレイに出力して表示させる。図8は、本発明の第一の実施形態に係る店舗用仕訳データによる表示画面を模式的に示す図である。店舗側装置40を操作する作業者は、出力部42に表示された表示画面を見ることによって、当該店舗の決済金額、CO排出量及びその使用者を確認することができる。
【0041】
本発明の第一の実施形態に係る共有会計装置50Aは、決済金額及びCO排出量データのそれぞれが決済可能金額及びCO排出量上限のそれぞれ以下である場合にのみ電子決済を行うことができるようになるので、経費として不適切な電子決済を防止することができる。また、用途に応じた判定を行うので、経費として不適切な電子決済をより効率的に防止することができる。さらには、判定とともに仕訳データを生成するので、仕訳の手間を省くことができる。また、第一の実施形態に係る共有会計装置50Aは、生成された仕訳データを記憶する記憶部を備えている構成とすることができ、この場合には、過去のCO排出量との比較(前年同日比、前年同月比等)を行う(例えば、仕訳データ生成部53cが、顧客用仕訳データを生成する際に、当該顧客の当日のCO排出量と、過去(前年同日)のCO排出量と、を含む顧客用仕訳データを生成し、これらのCO排出量を顧客側装置10の出力部12に出力させる)ことにより、CO排出量削減を数値化することができる。
【0042】
<第二の実施形態>
続いて、本発明の第二の実施形態に係る共有会計システムについて、第一の実施形態に係る共有会計システム1Aとの相違点を中心に説明する。図9は、本発明の第二の実施形態に係る共有会計装置を模式的に説明する図である。本発明の第二の実施形態に係る共有会計システム1B(図1参照)は、共有会計装置50Aに代えて共有会計装置50Bを備えている。
【0043】
≪共有会計装置50B≫
図9に示すように、共有会計装置50Bは、制御部53Aに代えて制御部53Bを備えている。制御部53Bは、制御部53Aと比較して、記憶部53eをさらに備えている。記憶部53eには、第一の実施形態では各顧客用端末20の記憶部22に記憶されていたデータが記憶されている(図6参照)。また、記憶部53eには、商品IDと、商品に対応するCO排出量データと、が関連付けて記憶されているとともに、用途データと、用途データに関連して予め設定された当該使用者の用途対応CO排出量上限と、が関連付けて記憶されている。判定部53bは、取得部53aによって取得された使用者ID、決済金額及び用途データと、記憶部53eに記憶された使用者ID、用途データ、用途対応決済可能金額等と、に基づいて、当該決済金額及び当該CO排出量データのそれぞれが用途対応決済可能金額及び用途対応CO排出量上限のそれぞれ以下である場合に決済可能であると判定し、それ以外の場合に決済不可であると判定する。判定結果は、仕訳データ生成部53c及びデータ出力部53dに出力される。
【0044】
<第三の実施形態>
続いて、本発明の第三の実施形態に係る共有会計システムについて、第一及び第二の実施形態に係る共有会計システム1A,1Bとの相違点を中心に説明する。図10は、本発明の第三の実施形態に係る共有会計装置の仕訳データ生成部によって生成されるプロジェクト対応仕訳データによる表示画面を模式的に示す図である。
【0045】
第三の実施形態においては、顧客用端末20(図1参照)は、プロジェクト毎に発行されたプロジェクトカードであり、プロジェクトIDを記憶している。端末読取装置30は、各種データとともにプロジェクトIDを送信する。共有会計装置(Kaikei Cyborg)50A,50Bの仕訳データ生成部53cは、プロジェクトIDごとのプロジェクト対応仕訳データを生成し、当該プロジェクトに参加している会社の顧客側装置10に送信する。図10に示すように、かかるプロジェクト対応仕訳データは、複数の会社にわたって共同実施されるプロジェクト(単一会社によるものでも可)における決済金額及びCO排出量を表示することができる。従来の会計文書は、財務諸表ごとに表示又は印刷された単体の情報に基づいて検討されるものであったのに対して、第三の実施形態に係る共有会計装置50A,50Bは、共有会計に参画した全ての決済金額及びCO排出量をデータベース化することができるので、データベース化された各情報を関連付け、かかる関連付けに基づいて情報を編集して提供することができる。すなわち、第三の実施形態に係る共有会計装置50A,50Bは、従来の二次元の財務諸表で表されていた会計(二次元会計)に対して、複数の財務諸表を関連付けたことにによる新たな軸を有する会計、すなわち三次元会計を提供することができる。
なお、第三の実施形態に係る共有会計装置50A,50Bは、仕訳データ生成部53cによって生成された仕訳データをデータベース化して記憶する記憶部を備えていてもよく、別体である複数の記憶装置(リレーショナルデータベース)に記憶させる構成であってもよい。
第三の実施形態に係る共有会計装置50A,50Bは、生成された仕訳データをドリルダウン機能を用いて探索することができるので、一の仕訳データに関連する他の仕訳データを容易に探索することができる。すなわち、第三の実施形態に係る共有会計装置50A,50Bは、一のプロジェクトにおける総CO排出量等の情報を収集し、いわゆるフットプリントを提供することができる。例えば、リゾート開発・建設で排出された総CO排出量、工事にかかわった各企業のCO排出量を表示することができる。
また、本実施形態に係る共有会計装置50A,50Bを見積書に適用すれば、見積段階において各企業のCO排出量等を知ることができ、CO排出量が小さい企業をプロジェクトに採用することが可能となる。
この場合には、各企業の顧客側装置10は、プロジェクトにおける材料、電気、水道、ガス、エネルギー、使用設備、使用什器、使用原材料、参加人数、工事開発、工事造成等によって排出されるCO排出量(カーボンデューティプリント)を共有会計装置50A,50Bへ出力し、共有会計装置50Aは、かかるカーボンデューティプリントに基づいて、プロジェクトごとのCO排出量(カーボンフットプリント)を算出することができる。
【0046】
また、本実施形態に係る共有会計装置50A,50Bは、ネットワーク上に複数存在していてもよく、従来は個別企業の仕訳が独立していたところを、プロジェクトIDをキーとして追跡検索し、名寄せ統合したプロジェクト対応仕訳データを生成することができる。すなわち、会計の見地から、商品の発生源泉から最終破棄までの履歴を検索したり、ある商品を用いて部品が形成され、さらにアセンブリが形成される一連の流れにおけるCO排出量を知ったりすることができる。また、端末読取装置30が送信するデータとして、業界ID(建設業界、飲食店業界等)を用いれば、業界IDをキーとして追跡検索し、その業界の関係各社の仕訳データを生成することも可能である。
【0047】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更可能である。例えば、第一の実施形態において、端末読取装置30と共有会計装置50Aとを一体的な装置として具現化することができる。また、共有会計装置50Aが、店舗IDとそれに対応する用途データ(例えば、飲食店に対して飲食費)とを予め記憶しておき、かかる用途データを用いて判定を行う構成であってもよい。また、用途データが数量(例えば、飲食費における人数)を含み、用途対応決済可能金額が単位数量あたりの金額である構成であってもよい。また、本発明は、コンピュータを共有会計装置50A,50Bとして機能させる共有会計プログラムとしても具現化可能である。
【符号の説明】
【0048】
1A,1B 共有会計システム
50A,50B 共有会計装置
53a データ取得部
53b 判定部
53c 仕訳データ生成部
53d データ出力部
53e 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子決済を行う使用者に関する使用者IDと、当該使用者が使用しようとする決済金額と、前記決済金額によって当該使用者が購入しようとする商品に関する商品IDと、前記商品の用途に関する用途データと、前記用途データに関連して予め設定された当該使用者の決済可能金額と、前記商品に対応するCO排出量に関するCO排出量データと、前記用途データに関連して予め設定された当該使用者のCO排出量上限と、を取得するデータ取得部と、
前記データ取得部によって取得された前記使用者の決済金額及びCO排出量データのそれぞれが当該使用者の決済可能金額及びCO排出量上限のそれぞれ以下である場合に決済可能であると判定し、それ以外の場合に決済不可であると判定する判定部と、
前記判定部による判定結果を出力するデータ出力部と、
を備えることを特徴とする共有会計装置。
【請求項2】
前記使用者IDごとに、決済可能であると判定された決済金額に基づいて、当該決済金額及び当該決済金額に対応する前記用途データを含む仕訳データを生成する仕訳データ生成部
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の共有会計装置。
【請求項3】
前記データ取得部は、前記電子マネーが使用される店舗に関する店舗IDをさらに取得し、
前記仕訳データ生成部は、前記店舗IDごとに、決済可能であると判定された決済金額に基づいて、当該決済金額及び当該決済金額に対応する前記使用者IDを含む仕訳データを生成する
ことを特徴とする請求項2に記載の共有会計装置。
【請求項4】
電子決済を行う使用者に関する使用者IDと、当該使用者が使用しようとする決済金額と、前記決済金額によって当該使用者が購入しようとする商品に関する商品IDと、を取得するデータ取得部と、
使用者IDと、前記商品の用途に関する用途データと、前記用途データに関連して予め設定された当該使用者の決済可能金額と、を関連付けて記憶し、前記商品IDと、前記商品に対応するCO排出量データと、を関連付けて記憶し、前記用途データと、前記用途データに関連して予め設定された当該使用者のCO排出量上限と、を関連付けて記憶する記憶部と、
前記データ取得部によって取得された前記使用者ID及び前記商品IDと、前記記憶部に記憶された前記使用者ID、前記用途データ、前記決済可能金額、前記CO排出量データ及び前記CO排出量上限に基づいて、前記データ取得部によって取得された前記使用者の決済金額及びCO排出量データのそれぞれが当該使用者の決済可能金額及びCO排出量上限のそれぞれ以下である場合に決済可能であると判定し、それ以外の場合に決済不可であると判定する判定部と、
前記判定部による判定結果を出力するデータ出力部と、
を備えることを特徴とする共有会計装置。
【請求項5】
前記使用者IDごとに、決済可能であると判定された決済金額に基づいて、当該決済金額及び当該決済金額に対応する用途データを含む仕訳データを生成する仕訳データ生成部
をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載の共有会計装置。
【請求項6】
前記データ取得部は、前記電子マネーが使用される店舗に関する店舗IDをさらに取得し、
前記仕訳データ生成部は、前記店舗IDごとに、決済可能であると判定された決済金額に基づいて、当該決済金額及び当該決済金額に対応する前記使用者IDを含む仕訳データを生成する
ことを特徴とする請求項5に記載の共有会計装置。
【請求項7】
コンピュータを、
電子決済を行う使用者に関する使用者IDと、当該使用者が使用しようとする決済金額と、前記決済金額によって当該使用者が購入しようとする商品に関する商品IDと、前記商品の用途に関する用途データと、前記用途データに関連して予め設定された当該使用者の決済可能金額と、前記商品に対応するCO排出量に関するCO排出量データと、前記用途データに関連して予め設定された当該使用者のCO排出量上限と、を取得するデータ取得部、
前記データ取得部によって取得された前記使用者の決済金額及びCO排出量データのそれぞれが当該使用者の決済可能金額及びCO排出量上限のそれぞれ以下である場合に決済可能であると判定し、それ以外の場合に決済不可であると判定する判定部、及び、
前記判定部による判定結果を出力するデータ出力部、
として機能させることを特徴とする共有会計プログラム。
【請求項8】
コンピュータを、
電子決済を行う使用者に関する使用者IDと、当該使用者が使用しようとする決済金額と、前記決済金額によって当該使用者が購入しようとする商品に関する商品IDと、を取得するデータ取得部、
記憶部に関連付けて記憶された使用者ID、前記商品の用途に関する用途データ、及び、前記用途データに関連して予め設定された当該使用者の決済可能金額と、前記商品ID及び前記商品に対応するCO排出量データと、前記用途データ及び前記用途データに関連して予め設定された当該使用者のCO排出量上限と、前記データ取得部によって取得された前記使用者ID及び前記商品IDに基づいて、前記データ取得部によって取得された前記使用者の決済金額及びCO排出量データのそれぞれが当該使用者の決済可能金額及びCO排出量上限のそれぞれ以下である場合に決済可能であると判定し、それ以外の場合に決済不可であると判定する判定部、及び、
前記判定部による判定結果を出力するデータ出力部、
として機能させることを特徴とする共有会計プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−244345(P2010−244345A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−93163(P2009−93163)
【出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【出願人】(506404142)株式会社Verifirm (4)
【Fターム(参考)】