説明

内壁パネルの取り付け構造

【課題】鉄筋鉄骨コンクリート構造物では、コンクリートの打ち放しでは、室内として落ち着きがなく、展示場や仮設工事現場のイメージとなるので、多数の内装パネルを並べたり、裏面に接着剤を備えたプラスチックシートからなる内装シートを貼り付けていた。いずれにしても施工後の修理、交換には、内装パネル、内装シ−トの剥離によって大きな工事となる。
【解決手段】床面F及び天井Rに長尺で溝型のパネル保持材3、4を配置し、コンクリート壁Wには上下二段の内壁パネルPを保持する長尺の支持係合部材5をコンクリート壁Wにアンカーボルト7にて固定し、周縁に溝形の縁枠1b、2bを備えた下内壁パネル2及び上内壁パネル1を、上下のパネル保持材3、4及び支持係合部材5により垂直に配置し、床面Fには幅木8を、上下二段の内壁パネルPに跨がるボーダー9を、天井面には廻り縁10を夫々ねじ込み内壁パネルPとする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、鉄筋コンクリート、鉄筋鉄骨コンクリート構造に係るオフィスビルやマンションなどの住宅において、コンクリート構造物の内壁面に沿わせて配置固定する壁仕上げ材としての内壁パネルの取り付け構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、鉄筋鉄骨コンクリート構造物では、コンクリートの打ち放しでは、室内として落ち着きがなく、展示場や仮設工事現場のイメージとなるので、多数の内装パネルを並べたり、裏面に接着剤を備えたプラスチックシートからなる内装シートを貼り付けていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これら従来例においては次の問題を有していた。
(1)複数の内装パネルの固定を接着剤などで行うと、作業に熟練を要し作業効率が悪い。
(2)本固定の後、内装パネルの片面に壁紙を貼ったり、塗装を行うなどの仕上げ工程が必要となったりすると省力化にならない。
(3)内装パネルが汚損したり、寿命で交換する場合に貼り付けると、剥すのが面倒であり、ネジなど締結手段で固定すると壁面に穴が残るので補修の手間がかかることになる。
(4)内装シ−トを貼り付けるものでは、厚みにもよるがコンクリ−トの表面を予め平滑に仕上げておかないと凹凸が生じることになる。
(5)いずれにしても施工後の修理、交換には、内装パネル、内装シ−トの剥離によって大きな工事となる。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記した従来の内装パネル、内装シ−トによる内装仕上げ工事における問題点に鑑み行ったもので、釘打ちや、内装の仕上げ工事を必要とせず、施工が簡単で且つ工事手順がよく、さらに修理や追加工事が容易な内装パネルの取り付け構造に関するもので、コンクリート壁の内装表面材としての壁パネルを上下に縦方向に順次並べて取り付けるようにするものである。
そして、請求項1の発明の要旨とするのは、コンクリート壁への内壁パネルであって、床面及び天井に長尺で溝形のパネル保持材を配置し、コンクリート壁には上下二段の内壁パネルを保持する長尺の支持係合部材をコンクリート壁にアンカーにて固定し、周縁に溝形の縁枠を備えた下内壁パネル及び上内壁パネルを、上下のパネル保持材及び支持係合部材により垂直に配置し、床面には幅木を、上下二段の内壁パネルに跨がるボーダーを、天井面には廻り縁を夫々ねじ込み内壁パネルを構成するようにしたことを特徴とするものである。
【0005】
請求項2の発明の要旨とするのは、支持係合部材を、壁面への取付板と水平板とから構成し、取付板をアンカーボルトにて壁面に固定するようにし、水平板の長手方向の上部には金属板にて突条を設け、水平板の長手方向の下部には弾性を備えた翼片を設け、上内壁パネルは縁枠の下端面に凹溝を形成し、パネル保持材内に持ち上げて挿入してから落とし込むことで凹溝が水平板の突条に入り込み壁面と垂直となり、下内壁パネルの縁枠の上端部に凹溝を設けるようにし、パネル保持材に嵌め込みながら上部を押し当てて支持係合部材の翼片を変形させて凹溝に嵌り込むようにして下内壁パネルを垂直に配置しするようにしたことを特徴とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下図面に示す発明の実施の形態に即して説明する。
コンクリ−ト壁面Wに、内壁パネルPを縦方向に並列配置して被うようにするものである。
内壁パネルPは、上下二段となるように上内壁パネル1と下内壁パネル2で構成され、このパネルは合板、ファイバーボード、石膏ボード、ケイ酸カルシウム板などの下地板の表面に、塗装仕上げをしたり、クロス貼り或いは肉薄の化粧合板を貼り付けるなどして表面板1a、2aを構成するもので、背面の周縁には溝形の縁枠1b、2bを適宜手段で取り付け一体となるようにしてある。
【0007】
天井R及び床面Fには、長尺で溝形のパネル保持材3、4を開放部が向き合うように配置固定し、上内壁パネル1の上端部及び下内壁パネル2の下端部を嵌め込ませるようにしてある。
コンクリート壁Wには、上下二段の内壁パネルPの上内壁パネル1の下端部及び下内壁パネル2の上端部を保持する長尺の支持係合部材5をスペーサー6を介してアンカーボルト7にて固定するようにしてある。スペーサー6は、スロット6aを設けねじ軸に掛けられるようにした金属板から構成してあり、図示の例では複数のスペーサー6を用いるようにしてある。
【0008】
この支持係合部材5は、主としてコンクリート壁Wへの取付板51と水平板52とから構成し、取付板51をコンクリート壁Wにスペーサー6を介して接合させてアンカーボルト7をねじ込み先端を膨らませて固定するようにし、水平板52には、その上下に上内壁パネル1及び下内壁パネル2の夫々の係合部53、54を別途設けるようにしてある。
【0009】
水平板52の長手方向の上部の係合部53は、中央に突条を備えた金属板を溶接して構成する。
係合部54は、水平板52の長手方向の下部から取付板51に断面L形の金属板54aを溶接で繋げ、この金属板54aに弾性(可撓性)を備えた翼片54bをねじ止めして係合部54としてある。金属板54aには、アンカーボルト7を通すための開口部54cを設けてある。
上内壁パネル1は、縁枠1bの下端面に凹溝1cを形成し、パネル保持材4内に持ち上げて挿入し、凹溝1cを係合部53の突条に落とし込むことでコンクリート壁面Wに沿わせて垂直に配置する。
下内壁パネル2は、縁枠2bの上端面に凹溝2cを形成してあり、パネル保持材4にその下端部を嵌め込みながら、コンクリート壁W側に押圧して支持係合部材5の係合部54の翼片54bを変形させ、凹溝2c内に翼片54bが嵌り込んで下内壁パネル2を垂直に配置する。
【0010】
そして、床面Fより幅木8を、上下二段の上内壁パネル1及び下内壁パネル2に跨がるようにボーダー9を、パネル保持材3と上内壁パネル1を繋ぎ天井Rに接する廻り縁10を、夫々ねじ11にて上内壁パネル1及び下内壁パネル2にねじ込みコンクリート壁Wに内壁を構成するようにするのである。
【0011】
【発明の効果】
この発明は以上のような構成からなるもので、請求項1の発明では、内壁パネルを上下二段に分けて、床面及び天井に長尺で溝形のパネル保持材を配置し、コンクリート壁には上下二段の内壁パネルを保持する長尺の支持係合部材をアンカーにて固定し、幅木、ボーダー、廻り縁により夫々の接合部を被うようにしてなるので、内壁パネルを組み付けるのが簡単になるものであり、かつ、内壁パネルの一部が破損、汚損したときにも簡単に交換ができることになる。
【0012】
請求項2の発明では、支持係合部材を、壁面への取付板と水平板とから構成し、取付板をアンカーボルトにて壁面に固定するようにし、水平板の長手方向の上部の係合部は金属板で突条を設けて構成し、水平板の長手方向の下部の係合部は弾性(可撓性)を備えた翼片が担うことになる。
そして、上内壁パネルは縁枠の下端面に凹溝を形成し、パネル保持材内に持ち上げて挿入してから落とし込むことで凹溝が水平板の突条に入り込み壁面と垂直となるのでいわば、戸棚の取り付けと同様簡易であり、下内壁パネルの縁枠の上端部に凹溝を設けるようにし、パネル保持材に嵌め込みながら上部を押し当てて係合部である翼片を変形させて凹溝に嵌り込むようにするので、格別の熟練を要することなく組み付けることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る内壁パネルの取り付け状態の要部断面図である。
【図2】この発明に係る内壁パネルの組み付け状態を示す概略図である。
【符号の説明】
W コンクリート壁
R 天井
F 床面
P 内壁パネル
1 上内壁パネル
2 下内壁パネル
3、4 パネル保持材
5 支持係合部材
6 スペーサー
7 アンカーボルト
8 幅木
9 ボーダー
10 廻り縁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート壁への内壁パネルであって、床面及び天井に長尺で溝形のパネル保持材を配置し、コンクリート壁には上下二段の内壁パネルを保持する長尺の支持係合部材をコンクリート壁にアンカーにて固定し、
周縁に溝形の縁枠を備えた下内壁パネル及び上内壁パネルを、上下のパネル保持材及び支持係合部材により垂直に配置し、床面には幅木を、上下二段の内壁パネルに跨がるボーダーを、天井面には廻り縁を夫々ねじ込み内壁パネルを構成するようにしたことを特徴とする内壁パネルの取り付け構造。
【請求項2】
支持係合部材を、壁面への取付板と水平板とから構成し、取付板をアンカーボルトにて壁面に固定するようにし、水平板の長手方向の上部の係合部は金属板にて突条を設けて構成し、水平板の長手方向の下部は係合部は弾性を備えた翼片を設けることで構成してなり、上内壁パネルは縁枠の下端面に凹溝を形成し、パネル保持材内に持ち上げて挿入してから落とし込むことで凹溝が水平板の突条に入り込み壁面と垂直となり、下内壁パネルの縁枠の上端部に凹溝を設けるようにし、パネル保持材に嵌め込みながら上部を押し当てて係合部である翼片を変形させて凹溝に嵌り込むようにして下内壁パネルを垂直に配置するようにしたことを特徴とする請求項1記載の内壁パネルの取り付け構造。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2004−278132(P2004−278132A)
【公開日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−71501(P2003−71501)
【出願日】平成15年3月17日(2003.3.17)
【出願人】(500432206)株式会社総合経営研究所 (12)
【Fターム(参考)】