説明

内照式表示体

【課題】組み立てが容易であるとともに、外観意匠性に優れ堅牢性も高い内照式表示体を提供する。
【解決手段】上下枠2,3と、背板4と、上下枠2,3と背板4とを連結するコーナージョイント部材5a,5bと、側板11と、表示板6と、照明部9や光反射板10などで構成する発光ユニット30とを備えており、上下枠と背板とコーナージョイント部材は、押出形材からなり、上下枠の少なくとも非表示側端面と背板の上下両側端面には、形材押出方向に連続する係止部が設けてあり、コーナージョイント部材の上下枠および背板の各々に連結する側の端面には、形材押出方向にスライドして上下枠および背板の係止部と係止する被係止部が設けてある。係止部と被係止部が係止したときに両孔形成溝が対面して形成された挿入孔の孔開口には、棒材の長手側両端をそれぞれ押圧して棒材を湾曲変形させる押圧部材23が嵌入してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通案内や広告に利用される内照式表示体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
案内標識や宣伝広告用として昼夜の表示を目的とした内照式表示体があり、これらは一般に、金属板からなる上下枠と左右枠と背板をボルトやネジなどの固着具を用いて箱組みして本体を形成し、さらに、本体背板の内周面に、LEDや蛍光管などの照明部や光反射板などの発光ユニットをL字アングルやブラケットなどの支持具を介して固着具で固定している。また、開放した本体正面側には、一面側に文字や絵柄などを表示するアクリル乳半板を前述した発光ユニットと同様、支持具を介してネジやボルトで固定する構造である。そして、上記のように形成された内照式表示体は、本体内部のLED照明や蛍光管を点灯し、その光を光反射板やアクリル乳半板で拡散することで、文字や絵柄が表示板に鮮明且つ均一に照らし出される構造をなしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−29673号公報
【特許文献2】特開2007−86299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような内照式表示体にあっては、表示板や発光ユニットを本体に固定するときに、上下枠や背板に直接ネジやボルトなどの固着具を挿通して支持具を固定するものであったため、固着具の頭部が本体外周面に露出して外観の体裁が損なわれていた。さらに、箱組みした本体に上記発光ユニットや表示板を一つ一つ取り付けていく地道な作業が要求されることから、組み立てが煩わしく歩留まりも多く発生し、生産性が落ちる問題点があった。
【0005】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、組み立てが容易であるとともに、外観意匠性に優れ堅牢性も高い内照式表示体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のうち請求項1記載の発明は、上下枠と、背板と、上下枠と背板とを連結するコーナージョイント部材と、側板と、表示板と、照明部や光反射板などで構成する発光ユニットとを備えており、上下枠と背板とコーナージョイント部材は、押出形材からなり、上下枠の少なくとも非表示側端面と背板の上下両側端面には、形材押出方向に連続する係止部が設けてあり、コーナージョイント部材の上下枠および背板の各々に連結する側の端面には、形材押出方向にスライドして上下枠および背板の係止部と係止する被係止部が設けてあり、上下枠および背板の内周側には、発光ユニットと表示板を所定位置で支持する支持具を上下枠又は背板に固定する固着具の頭部を挿通するほぼ凹状をなす溝部が形材押出方向に連続して設けてあり、溝部は、溝部内周側の両側壁に溝幅を狭めて溝部内に挿入した固着具の頭部を係止する突状をそれぞれ有していることを特徴とする。ここで、押出形材は、ソリッド材や、中空押出形材、あるいは、ソリッド材を連結して中空状に形成した複合材などが含まれる。
【0007】
本発明の請求項2記載の発明では、押出形材の端面とコーナージョイント部材の連結壁部には、各々に挿入孔形成溝が設けてあり、係止部と被係止部が係止したときに両孔形成溝が対面して挿入孔を形成し、挿入孔は、挿入孔の孔長と略同一の長さを有し且つ弾性を有する棒材が挿通してあり、挿入孔の孔開口には、棒材の長手側両端をそれぞれ押圧して棒材を湾曲変形させる押圧部材が嵌入してあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の請求項1記載の発明によれば、押出形材に溝部を設け、その溝部内に支持具を固定するためのネジ頭やボルトヘッドをスライドし、溝部の溝開口を狭める両突条に係止させる。これにより、上下枠や背板に固着具用の孔を開けることなく、溝部を利用して固定した支持具によって発光ユニットや表示板が取り付けられるので、本体に表示板や発光ユニットを組み込み易く、また、溝部を利用することにより、支持具の取付位置が調整できて取付精度が確保されることから歩留まりが少なく、生産性の高い内照式表示体を提供できる。しかも、この種の内照式表示体の性質上、人目に付く外観にネジ頭やボルトヘッドが露出せず、外観の凹凸が少なくなることで、木の葉やゴミなどの付着が少なくなることから外観意匠性が良好となる。また、押出形材の溝部を利用して発光ユニットの配線を格納することもでき、本体内の配線の取り回しが容易且つ整然と行えて組み立てを一層効率的に行える。
【0009】
本発明の請求項2記載の発明によれば、押出形材からなる上下枠および背板の被係止部とコーナージョイント部材の係止部とが係止したときに、上下枠および背板とコーナージョイント部材との間に互いの挿入孔形成溝が対峙し、且つ合わさって形成された挿入孔に棒材を圧入することで、互いの係止状態がより強固となり、本体の堅牢性が高い内照式表示体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】(a)は、本実施による内照式表示体として道路標識用内照灯を示す図2(a)中B−B線縦断面図であり、(b)は、図2(a)中Aを拡大して示す側面図である。
【図2】本実施による道路標識用内照灯の全体を示す斜視図である。
【図3】(a)は、図1中Dを拡大して示す側面図であり、(b)は、コーナージョイント部材の側面図であり、(c)は、挿入孔内でピンが棒材を押圧する状態を示す一部を拡大した図2中C−C線縦断面図である。
【図4】本実施による道路標識用内照等の組み立て手順を示す簡略化した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、図面に基づいて本実施による内照式表示体として、道路標識用内照灯の実施の形態を説明する。
【0012】
本実施による道路標識用内照灯(内照式表示体)は、図1(a)と図2を参照すれば、正面側に表示面を有する矩形箱型をなしており、中空押出形材からなる上枠2と、下枠3と、上下枠2,3の間に配置する背板4と、上下枠2,3と背板4とを各々連結するコーナージョイント部材5a,5bとから、側面視してほぼコ字型をなす本体1の中空押出形材構成部分を構成している。また、前述した中空押出形材構成部分の両側端面には、側板11が皿ネジ34で固定してあり、本体1の両側面を覆っている。また、背板4の本体1内周部側には、LED照明(照明部)9や光反射板10などの発光ユニット30が取り付けてあり、さらに、前述した左右両側部と同様に開放した本体1の正面側には、本道路標識用内照灯の表示面となる外周面側に文字や絵柄が印刷されたフィルムを貼着したアクリル乳半板6が、上下枠2,3内周部側にボルト12とナット13で固定したL字アングル7とブロック材8とに挟まれる状態で取り付けてある。
尚、図中の符号33は、中空押出形材からなる端部キャップである。
【0013】
上下枠2,3と背板4を構成する中空押出形材は、横幅(本体1形成後は奥行き方向)に比べて形材押出方向に長く形成してあるもので、本体1の外周部側と内周部側に位置し且つ平行な配置関係にある内周壁部2a,3a,4aと外周壁部2b,3b,4bと、内周壁部2a,3a,4aと外周壁部2b,3b,4bの両端を繋ぐ端面壁部2c,3c,4cとからほぼ矩形状に形成してある。また、内周壁部2a,3a,4aまたは外周壁部2b,3b,4bのほぼ中央部には、形材押出方向に沿う断面ほぼ凹状をなす溝部2d,3d,4dが設けてある。溝部2d,3d,4dの形状については、図1(b)のように、溝内周両側部の溝開口28とほぼ面一となる位置から各々内向きに突出する突状26が各々設けてあり、両突状26によって溝開口28が狭められる。この溝部2d,3d,4dを利用し、上下枠2,3あるいは背板4の溝部2d,3d,4dにボルトヘッド(頭部)12aを挿入してスライドさせ、さらに、ナット13で締結したときに、ボルトヘッド12aが両突状26の溝2d,3d,4dに面する内周側に係止する。また、端面壁部2c,3c,4cには、図3(a)を参照すれば、コーナージョイント部材5a,5bと係止するための被係止部15が設けてあり、この被係止部15は、内周壁部2a,3a,4aまたは外周壁部2b,3b,4bとほぼ平行な方向に突出する垂直片15aと、垂直片15aの突出先端部から端面壁部2c,3c,4cとほぼ平行な方向に突出する水平片15bとからなる、ほぼL字状をなしている。尚、上枠2と下枠3は、上下を逆にして使用することもできる。
【0014】
コーナージョイント部材5a,5bは、図3(a)(b)のように、断面ほぼ三角形状をなす中空押出形材であり、本体1コーナー部の入隅角度を設定する一対の連結壁部17a,17bと、各連結壁部17a,17b間をつなぐ円弧状をなす露出壁部18とからなっている。また、連結壁部17a,17bには、連結壁部17a,17bから離れる方向に突出する垂直片19aと、垂直片19aの突出先端から連結壁部17a,17bと平行する方向に突出する水平片19bとからなるほぼL字状をなす係止部19を有しており、係止部19は、本体1を形成したときの連結壁部17a,17bにおける内周側と外周側間で間隔をあけた二箇所にあり、各係止部19,19間には、ほぼ半円状に窪んだ挿入孔形成溝20aが設けてある。
【0015】
そして、上記した上下枠2,3と背板4とコーナージョイント部材5a,5bとの連結については、上枠2または下枠3の被係止部15にコーナージョイント部材5a,5bのいずれか一方の係止部19を、コーナージョイント部材5a,5bの形材押出方向に沿ってスライドしながら係止し、係止部19と被係止部15の互いの水平片15b,19b同士で奥行き方向と上下方向の抜け出しを規制する。また、コーナージョイント部材5a,5bと上下枠2,3あるいは背板4を係止したときに、互いの挿入孔形成溝20a,20bが対向してほぼ円形状をなし、且つ形材押出方向に延びる挿入孔20を形成する。そして、図2(c)のように、上記した挿入孔20に棒材21を挿通するとともに、挿入孔20の両側の孔開口部22,22に各々ピン(押圧部材)23を嵌入して棒材21長手方向端部を両側から内向きに押圧することで、ピン23の先端に押し込まれた棒材21が彎曲して上下枠2,3とコーナージョイント部材5a,5b、および、背板4とコーナージョイント部材5a,5bの双方を押し拡げる方向に押圧する。これにより、コーナージョイント部材5a,5bと上下枠2、3および背板4の連結力が強固なものとなり、結果、堅牢な形成される。
【0016】
次に、本実施による道路標識用内照灯の組み立てについて、図4に基づいて以下に説明する。
まず、連結した上枠2と下枠3の本体1内周側には、それぞれに本道路標識用内照灯の表示面となるアクリル乳半板6を固定するためのL字アングル7が固着される。そして、上下枠2,3内周側へのL字アングル7の固着には、前述の溝部2d,3d,4dが利用される。具体的には、L字アングル7の水平片7aの挿通孔14(図1(b)参照)に挿通したボルト12のボルトヘッド12aを上枠2および下枠3の溝部2d,3d,4dにスライドし、L字アングル7のL字の垂直片7bを本体1正面側開口部のほうに位置させ、水平片7aから突出するボルト12のネジ部12bにナット13をかけて締結することで、両突条26をボルトヘッド12aとナット13で上下に挟持してL字アングル7を上下枠2,3の本体1内周側に固着する。また、LED照明9や光反射板10などの固定についても、背板4の本体1内周側に設けてある溝部4dを利用し、図1(a)を参照すれば、LED照明9や光反射板10から持ち出されたフランジや、ブラケットなどにネジ部を挿通したボルト12のボルトヘッド12aをスライドし、さらに、ナット13を締結して固着している。
【0017】
また、図示は省略するが、LED照明9や電源ユニットなどを接続するケーブル類は、溝部2d,3d,4dの中に収めてあり、本体1内部に配線が露出しない状態となっている。これにより、配線の取り回しがし易くなって省スペース化がなされるので、LED照明9や電源ユニットの取り付けが簡単になり、さらに、配線の露出が少なくなることで、メンテナンス時の工具による配線への接触や水分の吹きかかりなどが防がれて耐用性の向上が見込まれる。尚、本実施のものはLED照明9について開示したが、照明部としては蛍光管や電球などの他の発光手段であってもよい。また、本実施では中空押出形材を用いて本体を形成しているが、中空押出形材に替えて本体1をソリッド材で形成したり、あるいは、ソリッド材を連結して中空状にした複合材で形成することも可能である。
【符号の説明】
【0018】
1 本体
2 上枠(押出形材)
3 下枠(押出形材)
4 背板(押出形材)
2d,3d,4d 溝部
5a,5b コーナージョイント部材
6 アクリル乳半板(表示板)
7 L字アングル(支持具)
9 LED照明(照明部)
10 光反射板
12 ボルト(固着具)
12a 頭部
15 被係止部
19 係止部
20a,20b 挿入孔形成溝
20 挿入孔
21 棒材
23 ピン(押圧部材)
30 発光ユニット



【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下枠と、背板と、上下枠と背板とを連結するコーナージョイント部材と、側板と、表示板と、照明部や光反射板などで構成する発光ユニットとを備えており、上下枠と背板とコーナージョイント部材は、押出形材からなり、上下枠の少なくとも非表示側端面と背板の上下両側端面には、形材押出方向に連続する係止部が設けてあり、コーナージョイント部材の上下枠および背板の各々に連結する側の端面には、形材押出方向にスライドして上下枠および背板の係止部と係止する被係止部が設けてあり、上下枠および背板の内周側には、発光ユニットと表示板を所定位置で支持する支持具を上下枠又は背板に固定する固着具の頭部を挿通するほぼ凹状をなす溝部が形材押出方向に連続して設けてあり、溝部は、溝部内周側の両側壁に溝幅を狭めて溝部内に挿入した固着具の頭部を係止する突状をそれぞれ有していることを特徴とする内照式表示体。
【請求項2】
押出形材の端面とコーナージョイント部材の連結壁部には、各々に挿入孔形成溝が設けてあり、係止部と被係止部が係止したときに両孔形成溝が対面して挿入孔を形成し、挿入孔は、挿入孔の孔長と略同一の長さを有し且つ弾性を有する棒材が挿通してあり、挿入孔の孔開口には、棒材の長手側両端をそれぞれ押圧して棒材を湾曲変形させる押圧部材が嵌入してあることを特徴とする請求項1記載の内照式表示体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−203372(P2011−203372A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−68602(P2010−68602)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(510031970)有限会社アートスタジオ (3)
【出願人】(000004592)日本カーバイド工業株式会社 (165)
【出願人】(000112185)ビニフレーム工業株式会社 (53)
【Fターム(参考)】