説明

内燃機関の制御装置

【課題】排気ガスセンサの活性状態での検出結果に基づいて空燃比フィードバック制御を実行するとともに、内燃機関が運転停止となった場合に内燃機関の運転停止から所定時間が経過した時点でヒータヘの通電を停止する内燃機関の制御装置において、排気ガスセンサを熱的ショックから保護する。
【解決手段】制御装置10は、外気温度に基づいて設定した設定時間の経過時点と、内燃機関3の冷却水温度が所定温度まで低下した時点とのいずれかにて排気ガスセンサ8又は9のヒータ8A又は9Aヘの通電を停止するタイミングを設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、内燃機関の制御装置に係り、特に車両に搭載される内燃機関の排気ガスセンサのヒータ制御であって、車両の走行中に内燃機関の運転状態と停止状態との切り替えが繰り返し行われ、内燃機関の停止状態が長く設けられる内燃機関の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両には、燃費向上を目的として、電動車両としてのハイブリッド車が提案され、実用化されている。
このハイブリッド車は、内燃機関によって電気エネルギを発生させ、その電気エネルギにより発電機(モータ)が車両を駆動させる手段として存在するシリーズ式ハイブリッド車と、内燃機関及び発電機によって駆動輪を回転させるパラレル式ハイブリッド車とに分類される。
シリーズ式ハイブリッド車では、内燃機関による発電部分と駆動モータによる走行部分とが、実質的に分離して稼動することができるため、内燃機関の運転状態と停止状態の切り替えを任意に設定することができる。すなわち、内燃機関を常時駆動する形態に設定すること、内燃機関を間欠的に駆動する(内燃機関の運転状態と停止状態の切り替えが繰り返し行われる)形態に設定することができる。
上記の内燃機関を間欠的に駆動する形態に設定する場合は、レンジエクステンダ(RE)と言い、ハイブリッド走行とEV走行(内燃機関を停止してバッテリのみで駆動モータによる走行)とを切り替えし、つまり、車両の停車状態、走行状態に関係なく、内燃機関の運転状態と停止状態の切り替えを行い、一時的に内燃機関を停止させる時間(数分程度)が、いわゆるアイドリングストップ車と比較しても長いことがある。
また、通常、アイドリングストップ車では、内燃機関の停止中に再始動に備え、排気ガスを浄化のためにヒータに通電し、排気ガスセンサを活性化している。
ヒータ付きの排気ガスセンサにおいて、通常、内燃機関の始動後、排気温度が上昇し、排気管に凝縮水が発生しないと判定し、破損が起こらないようになってからヒータに通電が行われる。
しかし、シリーズハイブリット車の中でもレンジエクステンダ(RE)のように、内燃機関が起動し、一度排気温度が上昇してから一時的に内燃機関を停止すること(アイドルストップ)が長く継続すると、排気管温度が低下し、凝給水が発生する。そして、内燃機関の再始動時には、その凝縮水が排気ガスセンサに飛散し、そのとき、ヒータへの通電を行っていると破損する確率が高くなる。
シリーズハイブリッド車においては、内燃機関の停止状態にて走行するため、外気温度、走行風、又は放熱の影響により排気管温度が下がり、破水による排気ガスセンサの破損が起こる確率が高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−88688号公報
【特許文献2】特開2010−209797号公報
【0004】
特許文献1に係る空燃比センサの活性化制御装置は、エコランによる内燃機関の停止時に、空燃比センサの活性化が必要であるとみなし、空燃比センサを活性状態に保持すべくヒータの通電制御を実施するものであり、また、内燃機関の冷却水温度でヒータをオンとし、及び所定時間にてヒータをオフするものである。
特許文献2に係るヒータ付センサのヒータ制御装置は、排気温度の状態によってヒータをオンするタイミングを設定するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記の特許文献1では、排気ガスセンサのヒータヘの通電を最終的にオフするタイミング(内燃機関の停止時からの経過時間)が、―つに決まっており、排気ガス中の水分が凝縮するような長い一時停止時間等の環境を考慮していないため、被水による破損を防止できないおそれがある。また、基本的に、短い一時停止時間に主眼をおいているため、排気ガスセンサを活性状態に維持する場合のデューティ制御におけるオフ時間が冷却水温度に応じて長いだけということに過ぎない。よって、冷却水温度に応じた設定時間を用いているが、活性状態を外さないようにする時間なので、排ガス中の水分が凝縮するような長い一時停止時間等の環境に依存する技術課題には繋がらない。
また、上記の特許文献2では、排気ガスセンサのヒータヘの通電をオンにするタイミングを早めるものであり、水分に関連する乾燥度を考慮しているものの、長い一時停止時間でいつ停止させるかを決定する技術は開示していない。
ところで、内燃機関の始動のタイミング、すなわち、停止状態から運転状態への切り替えタイミングを、常に時間的な余裕を確保して前もって把握することは難しい。これは、人為的な操作(例えば、アクセルペダルの踏み込み操作、ブレーキ解放操作等)を条件とする場合でも、駆動用バッテリのSOC値(%)(充電状態、電池残量)の判定成立を条件とする場合でも、同様に困難である。駆動用バッテリのSOC値の判定成立を条件する場合には、基本的な燃焼制御のみを行う内燃機関の制御手段(ECM:エンジンコントローラ)が、独自に駆動用バッテリのSOC値の判定成立を行うことが困難であった。
【0006】
そこで、この発明の目的は、排気ガスセンサを熱的ショックから保護すること、運転状態と停止状態との切り替えが繰り返し行われる内燃機関での停止時間が長く設定される場合に好適な排気ガスセンサのヒータ制御を実施する内燃機関の制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、内燃機関の排気ガスにおける空燃比又は酸素濃度を検出する排気ガスセンサを設け、この排気ガスセンサに付属して前記排気ガスセンサを早期に活性化ないし活性状態に維持可能なヒータを設け、前記排気ガスセンサの活性状態での検出結果に基づいて空燃比フィードバック制御を実行するとともに、前記内燃機関が運転停止となった場合に前記内燃機関の運転停止から所定時間が経過した時点で前記ヒータヘの通電を停止する内燃機関の制御装置において、外気温度に基づいて設定した設定時間の経過時点と前記内燃機関の冷却水温度が所定温度まで低下した時点とのいずれかにて前記ヒータヘの通電を停止するタイミングを設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明の内燃機関の制御装置は、排気ガスセンサを熱的ショックから保護すること、運転状態と停止状態との切り替えが繰り返し行われる内燃機関での停止時間が長く設定される場合に好適な排気ガスセンサのヒータ制御を実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は内燃機関の制御装置のシステム構成図である。(実施例)
【図2】図2は第2の制御手段のブロック回路図である。(実施例)
【図3】図3は第2の制御手段のヒータ通電制御におけるフローチャートである。(実施例)
【図4】図4は第2の制御手段において所定時間の設定のテーブルを示す図である。(実施例)
【図5】図5は第1の制御手段のヒータ制御におけるフローチャートである。(実施例)
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明は、排気ガスセンサを熱的ショックから保護すること、運転状態と停止状態との切り替えが繰り返し行われる内燃機関での停止時間が長く設定される場合に好適な排気ガスセンサのヒータ制御を実施する目的を、ヒータ通電をオフにするタイミングを外気温度からの時間の経過時点と水温低下時点とにて設定し、また、第2の制御装置で判断を行って第1の制御手段が実行することで実現するものである。
【実施例】
【0011】
図1〜図5は、この発明の実施例を示すものである。
図1において、1は電動車両としてのシリーズ式ハイブリッド車(以下「ハイブリッド車」という)、2・2は駆動輪である。
ハイブリッド車1は、内燃機関3と、この内燃機関3によって駆動される発電機4と、この発電機4により発電された電力を貯蓄可能であるとともに電力貯蓄状態であるSOC値(電池残量、充電状態)を検知可能な駆動用バッテリ(電池)5と、発電機4により発電された電力又は駆動用バッテリ5に貯蓄された電力を使って車両1を推進可能な駆動モータ6とを搭載している。
内燃機関3には、この内燃機関3の排気ガスにおける空燃比又は酸素濃度を検出する排気ガスセンサ7が設けられている。
この排気ガスセンサ7は、例えば、触媒の上流側となる排気マニホルドの集合部の中央に配置された空燃比センサ8、あるいは、触媒の下流側の吸気管に配置されたリヤO2センサ9からなる。空燃比センサ8は、この空燃比センサ8を早期に活性化ないし活性状態に維持可能なヒータ8Aを付属、つまり内蔵し、酸素濃度によって出力電圧が変化し、排出ガス中の酸素濃度(混合気の空燃比)をリーンからリッチまでの広範囲にわたってリニア検出するものである。リヤO2センサ9は、このリヤO2センサ9を早期に活性化ないし活性状態に維持可能なヒータ9Aを付属、つまり内蔵し、酸素濃度の差によって起電力を発生し、排出ガス中の酸素濃度の変化を検出するものである。
【0012】
内燃機関3は、制御装置10によって制御される。
この制御装置10は、燃料噴射量や点火時期等を制御して燃焼状態をストイキ運転やエンリッチ運転に制御する制御手段としての第1の制御手段(ECM:エンジンコントローラ)11と、この第1の制御手段11へ内燃機関制御指令(ヒータ通電解除フラグの信号を含む)(PWR3)を出力する他の制御手段としての第2の制御手段(HCU:ハイブリッドコントローラ)12とを備え、特に、内燃機関3を車両の航続距離を伸ばすレンジエクステンダ(RE)として使用する車両に好適である。
【0013】
第1の制御手段11は、空燃比センサ8又はリヤO2センサ9の活性状態での検出結果に基づいて空燃比フィードバック制御を実行するとともに、内燃機関3が運転停止となった場合に内燃機関3の運転停止から所定時間が経過した時点でヒータ8A又は9Aヘの通電を停止する。発電機4と駆動モータ6と第1の制御手段11とは、第2の制御手段12に連絡している。また、発電機4と駆動用バッテリ5との間で、その他の電気負荷13が接続している。
第1の制御手段11は、ヒータ通電解除フラグの信号を受信すると、空燃比センサ8のヒータ8A又はリヤO2センサ9のヒータ9Aのヒータ通電(デューティ制御信号)を停止して通電解除するものである。
また、第1の制御手段11は、触媒の上流側の空燃比センサ8の情報に加え、リヤO2センサ9の情報を判断要素として、空燃比のフィードバック制御を行うことにより、常に触媒の浄化率を高い状態に維持し、排出ガスの安定化を図るものである。
この第1の制御手段11による空燃比センサ8のヒータ制御では、空燃比センサ8の活性を早め、あるいは、活性状態を維持するために、空燃比センサ8のヒータ8Aの通電をデューティ制御する。
この第1の制御手段11によるO2センサ9のヒータ制御では、O2センサ9の活性を早める、あるいは、活性状態を維持するために、O2センサ9のヒータ9Aの通電をデューティ制御する。
【0014】
第2の制御手段12は、SOC(充電状態、電池残量)情報を入力するために駆動用バッテリ5に連絡するとともに、アクセル開度を検出するアクセルセンサ14と、車速を検出する車速センサ15と、外気温度を検出する外気温センサ16と、内燃機関3の冷却水(クーラント)温度を検出する水温センサ17とに連絡し、内燃機関制御指令(ヒータ通電解除フラグの信号を含む)(PWR3)を第1の制御手段11に出力して内燃機関3を駆動制御するとともに、発電トルク指令を出力して発電機4を駆動制御し、さらに、駆動トルク指令を出力して駆動モータ6を駆動制御する。
外気温センサ16としては、いゆわるエンジンルームや、空調システム等の他のシステム用に設けたセンサが用いられる。
【0015】
第2の制御手段12においては、図2に示すように、発電電力の決定を行うように、発電機4の発電時に内燃機関3の出力を制御するものであって、アクセルセンサ14と車速センサ15と外気温センサ16と水温センサ17とに連絡して駆動トルク指令を演算するとともに駆動モータ6に駆動トルク指令を出力する駆動トルク演算部18と、この駆動トルク演算部18に連絡して実駆動モータ出力(PWR1)を演算する実駆動モータ出力演算部19と、駆動用バッテリ5とSOC目標値設定部20とに連絡して駆動用バッテリ5からのSOC値(%)(充電状態、電池残量)とSOC目標値設定部20からのSOC目標値とを比較するSOC値比較部21と、このSOC値比較部21に連絡してSOC値とSOC目標値との偏差を算出するSOC偏差算出部22と、このSOC偏差算出部22に連絡して電池要求電力(PWR2)を演算する電池要求電力演算部23と、この電池要求電力演算部23と実駆動モータ出力演算部19とに連絡して電池要求電力(PWR2)と実駆動モータ出力(PWR1)とを比較する出力比較部24と、この出力比較部24に連絡した発電要求部25と、この発電要求部25に連絡して第1の制御手段11へ内燃機関制御指令(ヒータ通電解除フラグの信号を含む)(PWR3)と発電トルク指令とを制御して出力する出力制御部26とを備え、第1の制御手段11に指示する制御指令機能を有する。
【0016】
この第2の制御手段12は、駆動用バッテリ5のSOC値といった車両状態に基づいて内燃機関3の第1の制御手段11に内燃機関3の運転状態と停止状態の切り替えを指示したり、第1の制御手段11にその運転状態の程度を指示したりする制御指令機能(内燃機関制御指令機能)を備えた他の制御手段であり、図3のフローチャートでの判断を行って、第1の制御手段11にヒータ通電解除フラグの信号を内燃機関制御指令の一つとして送信するものである。
この第2の制御手段12は、駆動モータ6に対して駆動トルク指令を送信して制御する。車両走行に必要な駆動モータ6ヘの駆動トルク指令は、運転者の人為操作に基づくアクセル開度(スロットル関度)と車速とから演算する。
この第2の制御手段12は、駆動モータ6とその他の電気負荷13が消費する電力を発電するために、内燃機関3の第1の制御手段11に内燃機関制御指令を送信し、発電機4に対して発電トルク指令を送信して制御する。
この第2の制御手段12は、「運転者要求発電量」、「SOC値」、「目標SOC値とするための要求電力」を算出するとともに、内燃機関3の出力を制御する。
内燃機関3の運転と停止の状態は、基本的に、駆動用バッテリ5のSOC値に依存する。ここで、SOC値が低くなれば、内燃機関3を始動して運転状態となり、SOC値が高くなれば、内燃機関3を停止する。
内燃機関3の運転時は、発電機4の発電時と一致し、このとき、総じて見れば消費電力=発電電力となるよう制御する。なお、駆動用バッテリ5を電カバッファとして使用することで、電力収支の差分を充電/放電することにより、消費電力と発電電力の瞬時値が必ずしも一致している必要はない。
【0017】
そして、制御装置10は、外気温度に基づいて設定した設定時間の経過時点と、内燃機関3の冷却水温度が所定温度まで低下した時点とのいずれかにてヒータ8A又は9Aヘの通電を停止するタイミングを設定する。
また、第2の制御手段12は、外気温度に基づいて設定する設定時間の設定と内燃機関3の運転停止時からの経過時間の計測とを行ってこの計測した経過時間が前記設定した設定時間に達することの第一の判断を行う一方、内燃機関3の冷却水温度が予め設定した水温低下判定用の判定水温度に達することの第二の判断を行い、且つ、これら2つの判断に基づいて第1の制御手段11にヒータ通電を解除する信号の送信を行う。そして、第1の制御手段11は、前記ヒータ通電を解除する信号の受信に基づいてヒータ8A・9Aヘの通電停止を実行する。
なお、内燃機関3の冷却水温度の降下を、予め設定した設定温度に達するか、それ以下となることによって判断しているが、冷却水温度の降下量を設定して、内燃機関3の一時停止の開始時からの検出温度の差分を設定した降下量と比較するようにしても良い。
【0018】
内燃機関3の運転(燃焼)は、以下のように行われる。
第2の制御手段12は、運転者による人為操作であるアクセル操作(スロットル操作)により「運転者要求発電量」を算出する。そして、車速と運転者による人為操作であるアクセル操作(スロットル操作)とにより「駆動モータトルク」を算出できる。
駆動用バッテリ5の通常の使用範囲として許容する範囲の下限、すなわち、許容下限値として、設定値αを設定している。現時点(算出時点)でのSOC値が設定値α以上であれば、SOC値が許容下限値に対して余裕があると判断する。駆動用バッテリ5の通常の使用範囲は、駆動用バッテリ5の使用可能な範囲より狭い範囲に設定してあるため、駆動用バッテリ5の使用可能な範囲の下限値と比べて許容下限値は余裕幅を持って大きい値である。
現時点でのSOC値が設定値α未満であれば、これ以上SOC値が下げられず、状態回復の必要があると判断する。
そして、「運転者要求発電量」+「目標SOC値とするための要求電力」を、「内燃機関の目標出力値」とし、人為操作に基づく駆動出力を確保しつつ、SOC値の改善を図る。このとき、内燃機関3の運転(燃焼)は、エンリッチ領域となる。
内燃機関3の運転(燃焼)において、ストイキ領域とエンリッチ領域との境界に対応する機関出力に相当する閾値βを設定している。現時点でのSOC値が設定値α以上である場合は、「運転者要求発電量」+「目標SOCとする為の要求電力」を、閾値βと比較する。
「運転者要求発電量」+「目標SOC値とする為の要求電力」が閾値β以下であれば、「運転者要求発電量」+「目標SOC値とするための要求電力」を、「内燃機関の目標出力」とし、人為操作に基づく駆動出力を確保しつつ、SOC値の改善を図る。このとき、内燃機関3の運転(燃焼)は、ストイキ領域となる。
「運転者要求発電量」+「目標SOC値とするための要求電力」が閾値βを超えているのであれば、「運転者要求発電量」+「目標SOC値とするための要求電力」を、閾値βと同値に設定し、人為操作に基づく駆動出力をできるだけ優先して確保しつつ、余裕があれば、SOC値の改善を図ることになる。この時、SOC値の偏差分の発電がそのまま充電されず抑制されることになる。「運転者要求発電量」のみで閾値βを超えているのであれば、車両の駆動トルクが制限され、SOC値の改善(駆動用バッテリ5ヘの充電)は行われないことになる。このときも、内燃機関3の運転(燃焼)は、ストイキ領域となる。
【0019】
また、内燃機関3による発電電力の決定方法は、以下のように行われる。
駆動トルクに基づいて、車両走行に必要な電力を供給するための運転者要求発電量演算を行う。これは、実駆動モータの出力(PWR1)に対応する。運転者要求発電量演算による発電量の演算結果は、駆動用モータ6が消費する電力と必ずしも一致させる必要はない。
車両走行に影響を与える発電量は、内燃機関3の運転状態と密接に関連するため、操作に対して期持する内燃機関3の運転状態とずれて運転者が違和感を覚えることがないように、アクセル開度(スロットル開度)を主とする運転状態を基に、運転者要求発電量を決定する。運転者要求発電量をアクセル開度(スロットル開度)が小さいときより大きいときの方が増加勾配が小さくなるように非線形に設定している。
SOC値と目標SOC値の差分であるSOC偏差を求め、このSOC偏差に基づいて発電補正量演算を行う。発電補正量が、目標SOC値とするための要求電力(PWR2)に対応する。また、この結果、SOC値は、SOC偏差に基づいて充電/放電の各状態に制御されるので、SOC値は、目標SOC値を中心とするある範囲に収まることになる。
運転者要求発電量である実駆動モータ出力(PWR1)と発電補正量演算である目標SOC値とするための要求電力(PWR2)を足し合わせ、発電要求を求める。この発電要求に従い発電制御が実施される。また、内燃機関3の燃焼制御は、この発電要求に基づいて最終的な内燃機関制御指令である内燃機関3の目標出力値(PWR3)を求める。
運転者要求発電量のみに従って発電制御を実施すると、駆動用バッテリ5は、電流の流れ込み状態若しくは電流の持ち出し状態への傾倒が大きくなり、過充電や過放電に至る恐れがあるが、この制御により、それらを回避することができる。
【0020】
内燃機関3の停止時の外気温度に基づいて設定する所定時間の設定を、図4のテーブルとして、第2の制御手段12が格納して有する。その傾向は、図4に示すように、非線形的であり、外気温度が低い程、所定時間が短くなり、外気温度が高い程、その所定時間が長くなる。また、外気温度が低いあるいは高い程、中間温度(常温付近)よりも所定時間がより長くなる傾向にある。
【0021】
次に、この実施例に係る排気ガスセンサ7のヒータ制御を、図3のフローチャートに基づいて説明する。
図3に示すように、第2の制御手段12においてヒータ通電制御のプログラムがスタートすると(ステップA01)、ヒータ通電のオン後か否かを判断し(ステップA02)、このステップA02がNOの場合には、この判断を継続する。
このステップA02がYESの場合には、内燃機関3が一時停止か否かを判断し(ステップA03)、このステップA03がNOの場合には、この判断を継続する。
このステップA03がYESの場合には、所定時間を設定し、内燃機関3の一時停止時間を積算し、冷却水温度も逐次取り込む(ステップA04)。上記の所定時間は、図4に示すように、内燃機関3の停止時の外気温度状態によって設定される。
そして、内燃機関3の一時停止時間≧所定時間、水温≦設定水温か否かを判断し(ステップA05)、このステップA05がNOの場合には、前記ステップA03に戻す。
このステップA05がYESの場合には、ヒータ通電解除フラグの信号を第1の制御手段11に送信し(ステップA06)、プログラムをエンドとする(ステップA07)。
【0022】
一方、第1の制御手段11では、図5に示すように、ヒータ通電制御を行う。
図5に示すように、第1の制御手段11において、プログラムがスタートすると(ステップB01)、ヒータ通電解除フラグの信号等の各種パラメータを入力し(ステップB02)、ヒータ通電条件が成立したか否かを判断する(ステップB03)。
このステップB03がYESの場合には、ヒータ通電解除フラグが不成立か否かを判断する(ステップB04)。
このステップB04がYESの場合には、ヒータ通電をオンにする(ステップB05)。
一方、前記ステップB03がNOの場合、及び前記ステップB04がNOの場合には、ヒータ通電をオフにする(ステップB06)。
前記ステップB05の処理後、又は、前記ステップB06の処理後は、プログラムをエンドとする(ステップB07)。
【0023】
この結果、この実施例においては、外気温度に基づいて設定した設定時間の経過時点と、内燃機関3の冷却水温度が所定温度まで低下した時点とのいずれかにてヒータ8A又は9Aヘの通電を停止するタイミングを設定する。
これにより、長時間にわたる内燃機関の停止状態から再始動した際の被水による排気ガスセンサ7の破損を防止できる。
また、第2の制御手段12は、外気温度に基づいて設定する設定時間の設定と内燃機関3の運転停止時からの経過時間の計測とを行ってこの計測した経過時間が前記設定した設定時間に達することの第一の判断を行う一方、内燃機関3の冷却水温度が予め設定した水温低下判定用の判定水温度に達することの第二の判断を行い、且つ、これら2つの判断に基づいて第1の制御手段11にヒータ通電を解除する信号の送信を行う。そして、第1の制御手段11は、前記ヒータ通電を解除する信号の受信に基づいてヒータ8A又は9Aヘの通電停止を実行する。
これにより、車両1の状態を判断できる第2の制御手段12が判断を行うことにより、駆動用バッテリ5のSOC値等を考慮して内燃機関3の出力を制御する制御指令機能を利用することができ、総合的な判断が可能であり、無駄な制御ハンチングを起こし難くすることができる。また、第1の制御手段11の判断機能を省くことができ、演算負荷も小さくできる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
この発明の内燃機関の制御装置を、各種車両に適用できる。
【符号の説明】
【0025】
1 ハイブリッド車
3 内燃機関
4 発電機
5 駆動用バッテリ
6 駆動モータ
7 排気ガスセンサ
8 空燃比センサ
8A 空燃比センサのヒータ
9 リヤO2センサ
9A リヤO2センサのヒータ
10 制御装置
11 第1の制御手段(エンジンコントローラ:ECM)
12 第2の制御手段(ハイブリッドコントローラ:HCU)
16 外気温センサ
17 水温センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気ガスにおける空燃比又は酸素濃度を検出する排気ガスセンサを設け、この排気ガスセンサに付属して前記排気ガスセンサを早期に活性化ないし活性状態に維持可能なヒータを設け、前記排気ガスセンサの活性状態での検出結果に基づいて空燃比フィードバック制御を実行するとともに、前記内燃機関が運転停止となった場合に前記内燃機関の運転停止から所定時間が経過した時点で前記ヒータヘの通電を停止する内燃機関の制御装置において、外気温度に基づいて設定した設定時間の経過時点と前記内燃機関の冷却水温度が所定温度まで低下した時点とのいずれかにて前記ヒータヘの通電を停止するタイミングを設定することを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項2】
前記内燃機関を制御する第1の制御手段を設け、この第1の制御手段に指示する制御指令機能を備えた第2の制御手段を設け、この第2の制御手段は、外気温度に基づいて設定する設定時間の設定と前記内燃機関の運転停止時からの経過時間の計測とを行ってこの計測した経過時間が前記設定した設定時間に達することの第一の判断を行う一方、前記内燃機関の冷却水温度が予め設定した水温低下判定用の判定水温度に達することの第二の判断を行い、且つこれら2つの判断に基づいて前記第1の制御手段にヒータ通電を解除する信号の送信を行い、 前記第1の制御手段は、前記ヒータ通電を解除する信号の受信に基づいて前記ヒータヘの通電停止を実行することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−172592(P2012−172592A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−35429(P2011−35429)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】