説明

内燃機関の始動補助装置

【課題】内燃機関の始動補助装置に関し、低温条件下でも内燃機関の始動性を効果的に確保する。
【解決手段】内燃機関30の吸気通路10に設けられ、始動時に吸気を圧縮昇温する過給機11と、外気温度を検出する外気温検出手段15と、始動時に過給機11から送出される圧縮吸気の一部を過給機11よりも上流側の吸気通路10に還流させる圧縮吸気還流通路13と、始動時に圧縮吸気還流通路13により還流される圧縮吸気の還流率を外気温検出手段15の検出値に応じて調整する還流率調整手段14と備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の始動補助装置に関し、特に内燃機関の始動時に吸気を圧縮昇温する過給機を有する内燃機関の始動補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ディーゼルエンジン等の内燃機関(以下、エンジンという)の始動補助装置として、エンジン始動時の始動性を向上すべく、吸気系に設けたヒータで始動時の吸気を昇温する技術が知られている。また、始動時に吸気通路に設けた吸気スロットルを絞って始動トルクを下げることで、エンジンの始動性を向上させる技術も知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2704650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、エンジンの熱効率向上の観点からエンジンのダウンサイジング化が行われている。一般的に、エンジンのダウンサイジング化では排気量の小さなエンジンで排気量の大きなエンジンと同程度の出力を必要とするので、エンジンは必然的に高過給となる。そのため、エンジンのダウンサイジング化が進められると、エンジンの過給度は上がり筒内最高圧力も高くなるが、耐久性の観点からはエンジンの圧縮比を下げる必要がある。
【0005】
しかし、エンジンの圧縮比を下げると、エンジンの筒内温度が低くなるので、特に低温条件下(例えばマイナス25℃等の氷点下)では、エンジンの始動性が悪化してしまう可能性がある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みてなされたもので、その目的は、低温条件下でも内燃機関の始動性を効果的に確保することができる内燃機関の始動補助装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の内燃機関の始動補助装置は、内燃機関の吸気通路に設けられ、前記内燃機関の始動時に吸気を圧縮昇温する過給機と、外気温度を検出する外気温検出手段と、前記内燃機関の始動時に、前記過給機から送出される圧縮吸気の一部を前記過給機よりも上流側の前記吸気通路に還流させる圧縮吸気還流通路と、前記圧縮吸気還流通路に設けられ、前記内燃機関の始動時に、前記圧縮吸気還流通路により還流される圧縮吸気の還流率を前記外気温検出手段の検出値に応じて調整する還流率調整手段とを有することを特徴とする。
【0008】
また、前記内燃機関からの排気で駆動するターボチャージャと、該ターボチャージャで圧縮された吸気を冷却するインタークーラとを更に備えるとともに、前記吸気通路は、前記インタークーラを迂回するバイパス通路であってもよい。
【0009】
また、前記過給機は、電磁クラッチを介して前記内燃機関により駆動されるスーパチャージャであってもよい。
【0010】
また、前記還流率調整手段は、前記外気温検出手段の検出値がマイナス25℃の場合に、前記還流率を10%に設定するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の内燃機関の始動補助装置によれば、低温条件下でも内燃機関の始動性を効果的に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る内燃機関の始動補助装置を示す模式的な全体構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る内燃機関の始動補助装置による制御内容を示すフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態に係る内燃機関の始動補助装置によるスーパチャージャ回転回数と吸気温度上昇との関係を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る内燃機関の始動補助装置による吸気マニホールド入口温度と筒内最高温度との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図1〜4に基づいて、本発明に係る一実施形態について説明する。
【0014】
図1は本発明の一実施形態に係る内燃機関の始動補助装置1を示す全体構成図である。同一の部品には同一の符号を付してあり、それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0015】
図1に示すように、ディーゼルエンジン等の内燃機関(以下、エンジンという)30には、吸気マニホールド31と排気マニホールド32とが設けられている。また、吸気マニホールド31には、吸気弁(不図示)の開弁により後述するターボチャージャ33から送出される吸気を導入する第1吸気通路34が接続され、排気マニホールド32には、排気弁(不図示)の開弁により排気を排出する第1排気通路35が接続されている。
【0016】
第1吸気通路34には、図1に示すように、ターボチャージャ33から送出される吸気を冷却水との熱交換により冷却するインタークーラ38が介装されている。また、後述するバイパス通路10とインタークーラ38との間の第1吸気通路34には、吸気の流路を切替える切替バルブ39が設けられている。この切替バルブ39の開閉駆動は、後述するECU20によって制御されている。
【0017】
ターボチャージャ33は、図1に示すように、第1吸気通路34の上流側に設けられたコンプレッサ33aと、第1排気通路35の下流側に設けられたタービン33bとを有する。また、コンプレッサ33aには、図示しないエアクリーナを介して新気を導入する第2吸気通路36が接続され、タービン33bの下流側には図示しない排気浄化装置に排気を送出する第2排気通路37が接続されている。すなわち、ターボチャージャ33は、エンジン30からの排気エネルギーでタービン33bが駆動されると共に、同軸に設けられたコンプレッサ33aによりエアクリーナから第2吸気通路36を介して導入される新気を圧縮してエンジン30へと送出するように構成されている。
【0018】
次に、本実施形態に係る始動補助装置1を説明する。始動補助装置1は、図1に示すように、バイパス通路(吸気通路)10と、スーパチャージャ(過給機)11と、電磁クラッチ12と、圧縮吸気還流通路13と、バイパスバルブ14と、外気温センサ(外気温検出手段)15と、ECU20とを備える。なお、本実施形態において、バイパスバルブ14と後述するECU20のバイパスバルブ制御部22とは、本発明の還流率調整手段を構成する。
【0019】
バイパス通路10は、図1に示すように、インタークーラ38を迂回すべく、一端をコンプレッサ33aとインタークーラ38との間の第1吸気通路34に接続され、他端をインタークーラ38と吸気マニホールド31との間の第1吸気通路34に接続されている。
【0020】
スーパチャージャ11は、容積型の機械式過給機であって、図1に示すようにバイパス通路10に介装されている。このスーパチャージャ11は、エンジン30のクランクシャフト(不図示)により電磁クラッチ12を介して回転駆動される。
【0021】
電磁クラッチ12は、図1に示すように、クランクシャフトとスーパチャージャ11との間に設けられている。また、電磁クラッチ12は電気配線を介してECU20に接続されている。すなわち、ECU20によって電磁クラッチ12がONに制御されスーパチャージャ11が作動すると、ターボチャージャ33のコンプレッサ33aから送出されバイパス通路10に流入する吸気は、スーパチャージャ11で圧縮昇温された後に、エンジン30へと供給される。
【0022】
圧縮吸気還流通路13は、図1に示すように、一端をスーパチャージャ11よりも下流側に位置するバイパス通路10に接続され、他端をスーパチャージャ11よりも上流側に位置するバイパス通路10に接続されている。
【0023】
バイパスバルブ14は、図1に示すように、圧縮吸気還流通路13に設けられており、スーパチャージャ11から送出される圧縮吸気の還流率を調整する。このバイパスバルブ14の開度は、ECU20のバイパスバルブ制御部22によって制御されている。
【0024】
外気温センサ15は、外気温度を検出してECU20に出力するもので、図1に示すように、電気配線を介してECU20に接続されている。
【0025】
ECU20は、エンジン30の運転状態に応じて燃料噴射期間や燃料噴射量等の各種制御を行うもので、公知のCPUやROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備え構成されている。この各種制御を行うために、ECU20には、外気温センサ15、アクセルセンサ(不図示)、エンジン回転数センサ(不図示)等の各種センサの出力信号がA/D変換された後に入力される。
【0026】
また、ECU20は、切替バルブ制御部21と、バイパスバルブ制御部22と、電磁クラッチ制御部23とを一部の機能要素として有する。これら各機能要素は、本実施形態では一体のハードウェアであるECU20に含まれるものとして説明するが、これらのいずれか一部を別体のハードウェアに設けることもできる。
【0027】
切替バルブ制御部21は、エンジン30の始動時に、外気温センサ15の検出値に応じて切替バルブ39の開閉を制御する。具体的には、エンジン30の始動時に、外気温センサ15の検出値TINが所定の閾値(例えば25℃)よりも小さい場合(TIN<25℃)は、切替バルブ39を閉状態にする制御信号を出力する。一方、エンジン30の始動時に、外気温センサ15の検出値TINが所定の閾値(例えば25℃)以上の場合(TIN≧25℃)は、切替バルブ39を開状態にする制御信号を出力する。また、切替バルブ制御部21は、エンジン30始動後の通常運転時は、切替バルブ39を開状態にする制御信号を出力する。
【0028】
バイパスバルブ制御部22は、エンジン30の始動時に、外気温センサ15の検出値TINに応じてバイパスバルブ14の開度を調整制御する。ECU20には、予め実験等により作成された外気温度とスーパチャージャ11に還流される圧縮吸気の還流率との関係を示す第1マップ(不図示)および、還流率とバイパスバルブ14のバルブ開度との関係を示す第2マップ(不図示)が記憶されている。この第1マップでは、例えば外気温度がマイナス25℃の時は、圧縮吸気の還流率は10%に設定され、外気温度が25℃の時は、圧縮吸気の還流率は0%に設定されている。そして、バイパスバルブ制御部22は、エンジン30の始動時に、外気温センサ15の検出値TINが所定の閾値(例えば25℃)よりも小さい場合(TIN<25℃)は、検出値TINに応じた還流率を第1マップから読み取るとともに、係る還流率に対応するバルブ開度を第2マップから読み取ってバイパスバルブ14に出力する。また、バイパスバルブ制御部22は、エンジン30の始動時に、外気温センサ15の検出値TINが所定の閾値(例えば25℃)以上の場合(TIN≧25℃)は、バルブ開度を0%(閉状態)にする制御信号をバイパスバルブ14に出力する。なお、バイパスバルブ制御部22は、エンジン30始動後の通常運転時は、バイパスバルブ14の開度を0%(閉状態)にする制御信号を出力する。
【0029】
電磁クラッチ制御部23は、エンジン30の始動時に、スーパチャージャ11の作動を制御する。すなわち、電磁クラッチ制御部23は、エンジン30の始動時に、外気温センサ15の検出値TINが所定の閾値(例えば25℃)よりも小さい場合(TIN<25℃)は、電磁クラッチ12をONにする制御信号を出力する。また、エンジン30の始動時に、外気温センサ15の検出値TINが所定の閾値(例えば25℃)以上の場合(TIN≧25℃)は、電磁クラッチ12をOFFにする制御信号を出力する。なお、エンジン30始動後の通常運転時は、電磁クラッチ12をOFFにする制御信号を出力する。
【0030】
本発明の一実施形態に係る始動補助装置1は、以上のように構成されているので、例えば、低温条件下におけるエンジン30の始動時には、図2に示すフローに従って以下のような制御が行われる。
【0031】
ステップ(以下、ステップを単にSと記載する)100では、イグニッションスイッチが操作されキースイッチがONにされると、車両の電気系統にバッテリー(不図示)から電力が供給されて電気系がONに制御される。
【0032】
S110では、ECU20に外気温センサ15の検出値TINが読み込まれ、始動温度判定が行われる。外気温センサ15の検出値TINが所定の閾値(例えば25℃)よりも小さい場合は、始動補助装置1によるエンジン30の始動補助を必要と判定してS120へと進む。一方、外気温センサ15の検出値TINが所定の閾値(25℃)以上の場合は、始動補助装置1によるエンジン30の始動補助を不要と判定して本制御はリターンされる。すなわち、切替バルブ39を開状態に制御し、かつ、バイパスバルブ14を閉状態に制御し、かつ、電磁クラッチ12をOFFに制御して本制御を終了する。
【0033】
S120では、ECU20の切替バルブ制御部21から切替バルブ39に制御信号が出力されて、切替バルブ39は閉状態に制御される。すなわち、第1吸気通路34を流れる低温吸気(外気とほぼ等しい低温状態の吸気)の流路は、インタークーラ38を迂回するバイパス通路10に切替えられる。
【0034】
S130では、ECU20のバイパスバルブ制御部22により、スーパチャージャ11から送出される圧縮吸気の還流率を所定値(外気温度がマイナス25℃の場合は10%)にするバルブ開度の制御信号がバイパスバルブ14に出力される。
【0035】
S140では、ECU20の電磁クラッチ制御部23から電磁クラッチ12に、接続をONにする制御信号が出力される。すなわち、スーパチャージャ11は電磁クラッチ12を介してエンジン30のクランクシャフトと接続状態になる。なお、これらS120〜140の動作は同時に行われるようにしてもよい。
【0036】
S150では、エンジン始動条件が成立したか否かが判定される。上述のS120〜140で、切替バルブ39が閉状態に制御され、スーパチャージャ11への圧縮吸気の還流率が所定値(10%)に設定され、かつ、電磁クラッチ12の接続がONに制御されている場合は、始動条件が全て成立したものとしてS160へと進む。一方、いずれかの条件が成立していない場合は、エンジン始動条件は成立していないものと判定され、本制御は前述のS120に戻される。
【0037】
S160では、エンジン始動条件が成立したことを受けて、スタータモータ(不図示)によるエンジン30のクランキングが実行される。すなわち、スタータモータによるクランキングが継続されるとともに、スーパチャージャ11が回転駆動される。そして、スーパチャージャ11により送出される圧縮吸気は、所定量(外気温度がマイナス25℃の場合は10%)が圧縮吸気還流通路13によってスーパチャージャ11の入口に戻され、更に圧縮昇温されながらエンジン30へと供給される。
【0038】
S160では、スーパチャージャ11から送出される圧縮吸気によりエンジン30の筒内温度がエンジン始動温度(例えば400℃)まで昇温されるとともに、エンジン30が始動して本制御はリターンされる。
【0039】
なお、エンジン30の通常走行時は、切替バルブ39は開状態に制御され、バイパスバルブ14の開度は0%に設定され、かつ、電磁クラッチ12の接続はOFFに制御される。すなわち、ターボチャージャ33のコンプレッサ33aで圧縮された吸気は第1吸気通路34を流れ、インタークーラ38で冷却された後にエンジン30へと供給される。
【0040】
以上のような構成により、本発明の一実施形態に係る内燃機関の始動補助装置1によれば以下のような作用効果を奏する。
【0041】
例えば、マイナス25℃の低温条件下におけるエンジン30の始動時には、切替バルブ39は閉状態に制御され、スーパチャージャ11への圧縮吸気の還流率は10%に設定され、かつ、電磁クラッチ12の接続はONに制御される。すなわち、第1吸気通路34を流れる吸気は、インタークーラ38を迂回してバイパス通路10へと流され、スーパチャージャ11で圧縮昇温される。そして、スーパチャージャ11から送出される圧縮吸気は、その一部である10%が圧縮吸気還流通路13によって再びスーパチャージャ11の入口に戻され、更に圧縮昇温された後にエンジン30へと供給される。その後、エンジン30の筒内温度は、圧縮昇温された吸気によってエンジン始動温度(例えば400℃)まで速やかに上昇される。
【0042】
したがって、マイナス25℃の低温条件下でも、エンジン30の筒内温度がエンジン始動温度まで速やかに上昇されるので、エンジン30の始動性を効果的に確保することができる。
【0043】
また、低温条件下において、低圧縮比でもエンジン30の始動性を確保できるので、エンジン30の筒内最高圧力を低い状態に維持することができ、エンジン30の耐久性への影響も効果的に低減することができる。
【0044】
ここで、図3に本実施形態に係る始動補助装置1によるスーパチャージャ11の回転回数と吸気温度上昇との関係を示す。また、図4に本実施形態に係る始動補助装置1による吸気マニホールド31の入口温度とエンジン30の筒内最高温度との関係を示す(圧縮比:11.5、クランキング回転数:100rpm)。
【0045】
図3において、破線αはスーパチャージャ11により単に吸気を圧縮した場合の吸気温度上昇を示し、一点鎖線βはスーパチャージャ11で圧縮された吸気のうち10%の圧縮吸気を再びスーパチャージャ11に還流させた場合の吸気温度上昇を示す。図3に示すように、破線αでは吸気温度は約35℃で飽和状態になるが、一点鎖線β(10%をスーパチャージャ11に還流させた場合)では吸気温度はスーパチャージャ11の回転回数の上昇とともに約55℃まで速やかに上昇することが分かる。
【0046】
また、図4に示すように、吸気マニホールド31の入口温度がマイナス25℃の場合、筒内最高温度は325℃程度である。すなわち、マイナス25℃の低温条件下でエンジン30の始動性を確保すべく筒内温度をエンジン始動温度の400℃まで上昇させるためには、吸気マニホールド31の入口温度を約50℃ほど上昇させればよいことが分かる。
【0047】
ここで、本実施形態に係る始動補助装置1では、吸気マニホールド31の入口温度がマイナス25℃の低温条件下においても、10%の圧縮吸気を再びスーパチャージャ11に還流させることで、吸気温度を速やかに約55℃まで上昇し(図3参照)、筒内温度もエンジン始動温度の400℃まで速やかに昇温できることからも(図4参照)、本発明の効果が分かる。
【0048】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変形して実施することが可能である。
【0049】
上述の実施形態において、バイパス通路10を流れる吸気はスーパチャージャ11により圧縮昇温されるものとして説明したが、このスーパチャージャ11に替えて、例えばエンジン30の排気エネルギーで駆動するターボチャージャ等の遠心圧縮機を適用してもよい。この場合は、遠心圧縮機の上流側もしくは下流側のいずれか一方のバイパス通路10に、エンジン30の通常運転時にバイパス通路10を閉鎖する開閉バルブを設ければよい。
【0050】
また、上述の実施形態において、スーパチャージャ11への圧縮吸気の還流率は、外気温センサ15の検出値TINに応じてマップから読み取られた値に基づいて調整されるものとして説明したが、例えば、エンジン30の始動時は還流率を常に10%に設定するようにしてもよい。また、係る還流率を10%よりも大きい値に設定することもできる。
【0051】
また、上述の実施形態において、始動補助装置1は一個のターボチャージャ33を備える一段過給システムに適用されるものとして説明したが、例えば低圧段ターボと高圧段ターボとを備える二段過給システムに適用することもできる。この場合も上述の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 始動補助装置
10 バイパス通路(吸気通路)
11 スーパチャージャ(過給機)
13 圧縮吸気還流通路
14 バイパスバルブ(還流率調整手段)
15 外気温センサ(外気温検出手段)
20 ECU
30 エンジン(内燃機関)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の吸気通路に設けられ、前記内燃機関の始動時に吸気を圧縮昇温する過給機と、
外気温度を検出する外気温検出手段と、
前記内燃機関の始動時に、前記過給機から送出される圧縮吸気の一部を前記過給機よりも上流側の前記吸気通路に還流させる圧縮吸気還流通路と、
前記圧縮吸気還流通路に設けられ、前記内燃機関の始動時に、前記圧縮吸気還流通路により還流される圧縮吸気の還流率を前記外気温検出手段の検出値に応じて調整する還流率調整手段と、を有する
ことを特徴とする内燃機関の始動補助装置。
【請求項2】
前記内燃機関からの排気で駆動するターボチャージャと、該ターボチャージャで圧縮された吸気を冷却するインタークーラとを更に備えるとともに、
前記吸気通路は、前記インタークーラを迂回するバイパス通路である
ことを特徴とする請求項1記載の内燃機関の始動補助装置。
【請求項3】
前記過給機は、電磁クラッチを介して前記内燃機関により駆動されるスーパチャージャである
ことを特徴とする請求項1又は2記載の内燃機関の始動補助装置。
【請求項4】
前記還流率調整手段は、前記外気温検出手段の検出値がマイナス25℃の場合に、前記還流率を10%に設定する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関の始動補助装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−67727(P2012−67727A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−215432(P2010−215432)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000000170)いすゞ自動車株式会社 (1,721)
【Fターム(参考)】