説明

内燃機関の過給装置

【課題】蓄圧部に貯留しておいたガスを用いて過給補助を行う際、そのガスが空燃比センサを通過しないようにすることにより、機関に供給される混合気の空燃比が適正な値に維持され得る内燃機関の過給装置を提供すること。
【解決手段】過給機35付き内燃機関10は、排気通路内のガスを収容する蓄圧タンク51と、蓄圧タンク51から供給される補助ガスによって回転される補助タービン54bと、補助タービン54bの回転により吸気通路内の空気流量を増加させる補助コンプレッサ54aと、補助タービン54bから流出する補助ガスが空燃比センサ67を通過しないように外部に放出させる補助ガス排出管57と、を有する。これにより、補助ガスが空燃比センサ67を通過しないので、空燃比センサ67は排ガスの空燃比を精度よく検出することができる。その結果、エミッション悪化を回避することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過給機と、排気通路内のガスを利用することにより内燃機関の吸入空気量を増加させる吸気増加機構と、を備えた内燃機関の過給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の出力向上を目的として、内燃機関に過給機(ターボチャージャー)を搭載することが知られている。過給機は、排気通路に設けられるとともに排気通路内のガスの流れを利用して回転されるタービンと、タービンと一体的に回転するコンプレッサとにより形成されている。過給機は、コンプレッサの回転により吸入空気を圧縮し吸入空気量を増加する。
【0003】
更に、従来の技術の一つは、減速フューエルカット運転時に機関から排出されたガス(空気)を貯める蓄圧タンクを備える。そして、この技術は、例えば加速運転時に、蓄圧タンク内の空気を排気タービンの上流側に排ガスに加えて供給する。即ち、過給補助を行う。これによって、加速開始後、コンプレッサ回転数が「望ましい過給に必要な所定の回転数」に達するまでの時間、即ち、過給効果が現れるまでの時間である「ターボラグ」を短縮することができる(例えば、特許文献1を参照。)。
【特許文献1】特開2008―2276号公報
【0004】
一方、排気通路に触媒(例えば、三元触媒)と空燃比センサとを備え、この空燃比センサの出力に基づいて「機関に供給される混合気の空燃比」を所定の目標空燃比(例えば、理論空燃比)に一致させるフィードバック制御を実行する「排ガス浄化装置」が知られている。このような排ガス浄化装置は、過給機を備える内燃機関にも適用される。
【0005】
しかしながら、加速運転時において、蓄圧タンク内の空気がタービンの上流側に供給された場合、空燃比センサは「排ガスとその空気とが混合されたガス」の空燃比を検出する。これによって、空燃比センサにより検出される空燃比は、排ガスの空燃比と大きく異なる空燃比になるので、上述したフィードバック制御により機関に供給されるガスの空燃比が目標空燃比と大きく相違してしまう。この結果、触媒が良好な排ガス浄化性能を発揮できないので、エミッションが悪化するという問題が発生する。
【0006】
このような問題は、蓄圧タンクに排ガスを貯めておき、必要時にタービンの上流にその排ガスを供給して過給補助を行う場合にも発生する。蓄圧タンクに排ガスを貯めた際の排ガスの空燃比は、現時点における排ガスの空燃比と必ずしも一致しないからである。
【発明の開示】
【0007】
本発明は上記課題に対処するためになされたものである。即ち、本発明の目的の一つは、蓄圧部に貯留しておいたガスを用いて過給補助を行う際、そのガスが空燃比センサを通過しないようにする(そのガスが空燃比センサの出力に影響を及ぼすことを回避する)ことにより、機関に供給される混合気の空燃比が適正な値に維持され得る内燃機関の過給装置を提供することにある。
【0008】
上記目的を達成するための本発明による内燃機関の過給装置は、過給機と、空燃比センサと、空燃比制御手段と、吸気増加機構と、を有する。
【0009】
前記過給機は、内燃機関の燃焼室に連通した排気通路を形成する排気管に配設されたタービンと、同燃焼室に連通した吸気通路を形成する吸気管に配設され且つ同タービンの回転に伴って回転するコンプレッサと、を有する。
【0010】
前記空燃比センサは、前記排気通路内を流れるガスの空燃比に応じた信号を出力するように前記排気管に配設されている。
前記空燃比制御手段は、この空燃比センサの出力(即ち、空燃比センサによって検出された空燃比)に基づいて前記機関の燃焼室に供給されるガスの空燃比を制御するようになっている。
【0011】
前記吸気増加機構は、蓄圧部と、補助タービンと、補助タービン回転手段と、を含む。
【0012】
前記蓄圧部は、所定の蓄圧条件が成立したとき、前記排気通路内のガスを導入することにより同ガスを高圧状態にて収容する。
前記蓄圧条件は、蓄圧部に収容された高圧状態のガスを「過給補助のために使用する必要のない運転時」に成立する。このような運転時は、例えば、低〜中負荷運転時であり、減速フューエルカット運転時を含んでいても良い。
【0013】
前記補助タービンは、前記過給機のタービンとは別のタービンであって、前記蓄圧部から供給される前記高圧状態のガスによって回転されるようになっている。
前記補助タービン回転手段は、所定の過給補助条件が成立したとき「前記蓄圧部に収容されている前記高圧状態のガス」を前記補助タービンに供給することによって同補助タービンを回転させる。これにより、前記補助タービン回転手段は、前記補助タービンの回転によって前記吸気通路内を流れる空気の流量を増加させるようになっている。
前記過給補助条件は、例えば、加速開始時等のように、機関の負荷が高負荷となったときに成立する。
【0014】
このように、本過給装置は前記吸気増加機構を備えるので、過給補助条件が成立したときに「燃焼室に吸入される空気の量(吸入空気量)」が速やかに増大する。従って、ターボラグを短縮することができる。
【0015】
更に、本過給装置は、前記過給補助条件が成立したときに「前記蓄圧部から前記補助タービンに供給され且つ同補助タービンから流出する流出ガス(即ち、補助タービンを回転させるための補助ガス)」が前記空燃比センサを通過しないように、その流出ガスを外部に放出する補助ガス排出管を備える。
【0016】
従って、蓄圧部から補助タービンへと供給されることにより同補助タービンを回転させ、且つ、その後に補助タービンから排出された流出ガスは、空燃比センサを通過することなく外部に排出される。これによって、空燃比センサは、機関から排出されている排ガスの空燃比を精度よく検出することができる。この結果、空燃比制御手段は、現時点において機関に供給されるガス(混合気)の空燃比を適切に制御することができるので、エミッションが悪化することを回避することができる。
【0017】
本発明による内燃機関の過給装置の一態様において、
前記吸気増加機構の補助タービン回転手段は、
前記過給補助条件が成立したとき前記蓄圧部に収容されている前記高圧状態のガスを前記補助タービンに供給する補助ガス供給部と、
前記補助タービンと一体的に回転する補助コンプレッサと、
前記補助コンプレッサに空気を供給する空気通路を構成する大気供給管と、
前記空気通路を通して前記補助コンプレッサに供給され且つ同補助コンプレッサの回転により圧縮された空気を、前記過給機のコンプレッサの回転を補助するように同過給機のコンプレッサに供給する補助空気供給管と、
を備えていることが好適である。
【0018】
これによれば、過給補助条件が成立したとき、蓄圧タンクに貯えられているガスが補助タービンに供給されることによって補助タービンが回転し、その補助タービンと一体的に回転する補助コンプレッサが回転させられる。一方、補助コンプレッサには大気供給管を通して空気が供給されるので、補助コンプレッサは回転しながら大気供給管から供給される空気を圧縮する。更に、その圧縮された空気は、過給機のコンプレッサの回転を補助(促進)するように、補助空気供給管を通して過給機のコンプレッサに供給される。この結果、過給機のコンプレッサの回転速度を迅速に上昇させることができるので、ターボラグを短縮することができる。
【0019】
本発明による内燃機関の過給装置の他の態様において、
前記補助タービンは前記過給機のコンプレッサと一体的に回転するように構成され、
前記吸気増加機構の補助タービン回転手段は前記過給補助条件が成立したとき前記蓄圧部に収容されている前記高圧状態のガスを前記補助タービンに供給する補助ガス供給部を備えていることが好適である。
【0020】
これによれば、過給機のコンプレッサは補助タービンと一体的に回転する。従って、過給補助条件が成立したとき、過給機のコンプレッサは、過給機自身のタービンによる回転力と、補助タービンによる回転力と、を受けて回転する。この結果、過給機のコンプレッサの回転速度を迅速に上昇させることができるので、ターボラグを短縮することができる。
【0021】
本発明による内燃機関の過給装置の他の態様において、
前記吸気増加機構の補助タービン回転手段は、
前記過給補助条件が成立したとき前記蓄圧部に収容されている前記高圧状態のガスを前記補助タービンに供給する補助ガス供給部と、
前記吸気通路の前記過給機のコンプレッサの上流において前記吸気管に配設され且つ前記補助タービンと一体的に回転することにより同過給機のコンプレッサに圧縮された空気を送出する補助コンプレッサと、
を備えていることが好適である。
【0022】
この態様においては、補助タービンと一体的に回転する補助コンプレッサが、吸気通路の「過給機のコンプレッサの上流側」に配設されている。従って、過給補助条件が成立したとき、補助コンプレッサによって圧縮された空気が過給機のコンプレッサに供給され、その空気は過給機のコンプレッサによって更に圧縮される。この結果、過給機のコンプレッサの回転が比較的低い時点においても吸入空気量を増大させることができる。従って、ターボラグを短縮することができる。
【0023】
本発明による内燃機関の過給装置の他の態様において、
前記吸気増加機構の補助タービン回転手段は、
前記過給補助条件が成立したとき前記蓄圧部に収容されている前記高圧状態のガスを前記補助タービンに供給する補助ガス供給部と、
前記吸気通路の前記過給機のコンプレッサの下流において前記吸気管に配設され且つ前記補助タービンと一体的に回転することにより同過給機のコンプレッサによって圧縮された空気を更に圧縮する補助コンプレッサと、
を備えていることが好適である。
【0024】
この態様においては、補助タービンと一体的に回転する補助コンプレッサが、吸気通路の「過給機のコンプレッサの下流側」に配設されている。従って、過給補助条件が成立したとき、過給機のコンプレッサによって圧縮された空気が補助コンプレッサに供給され、その空気は補助コンプレッサによって更に圧縮される。この結果、過給機のコンプレッサの回転が比較的低い時点においても吸入空気量を増大させることができる。従って、ターボラグを短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1は、本発明の第一実施形態に係る内燃機関の過給装置(以下、「第一装置」とも称呼する。)を火花点火式・多気筒(本例では4気筒)・ガソリン燃料・内燃機関10に適用したシステムの概略構成を示している。この内燃機関10は、本体部20、吸気系統30、排気系統40及び過給補助系統(吸気増加機構、過給補助手段)50を備えている。
【0026】
本体部20は、シリンダブロック部とシリンダヘッド部とを備えている。本体部20は、ピストン頂面、シリンダ壁面及びシリンダヘッド部の下面からなる燃焼室21を複数(4個)備えている。シリンダヘッド部には、各燃焼室21に空気を供給するための図示しない吸気ポートと、各燃焼室21から排ガスを排出するための図示しない排気ポートと、が形成されている。吸気ポートは図示しない吸気弁により開閉され、排気ポートは図示しない排気弁により開閉されるようになっている。
【0027】
シリンダヘッド部には図示しない複数(4個)の点火プラグが固定されている。各点火プラグは、その火花発生部が各燃焼室21の中央部であってシリンダヘッド部の下面近傍位置に露呈するように配設されている。各点火プラグは、点火信号に応答して火花発生部から点火用火花を発生するようになっている。更に、シリンダヘッド部には複数(4個)の燃料噴射弁(インジェクタ)22が固定されている。各燃料噴射弁22は、噴射指示信号に応答し、その噴射指示信号に含まれる指示噴射量の燃料を各燃焼室21内に直接噴射するようになっている。
【0028】
吸気系統30は、インテークマニホールド31、吸気管32、吸気管32に配設されたスロットル弁33、スロットル弁アクチュエータ33a、インタークーラー34、過給機35のコンプレッサ35a及びエアフィルタ36を備えている。なお、過給機35は主過給機35とも称呼される。
【0029】
インタークーラー34は、スロットル弁33の上流位置において吸気管32に配設されている。インタークーラー34は吸気通路を通過する吸入空気の冷却を行うようになっている。インタークーラー34には図示しない冷却水導入経路により機関冷却水が導かれ、機関冷却水によって吸入空気は冷却される。
【0030】
過給機35のコンプレッサ35aは、インタークーラー34の上流位置において吸気管32に配設されている。なお、過給機35のコンプレッサ35aは主コンプレッサ35aとも称呼される。エアフィルタ36は、コンプレッサ35aの上流位置であって吸気管32の端部に配設されている。
【0031】
排気系統40は、エキゾーストマニホールド41、排気管42、過給機35のタービン35b、触媒43及び排気遮断弁44を備えている。
【0032】
エキゾーストマニホールド41は、各排気ポートに接続された複数の枝部と、それらの枝部が集合した集合部と、を備えている。排気管42は、エキゾーストマニホールド41の集合部に接続されている。エキゾーストマニホールド41、排気管42及び排気ポートは、排気通路を構成している。
【0033】
過給機35のタービン35bは、エキゾーストマニホールド41の下流位置において排気管42に配設されている。なお、過給機35のタービン35bは主タービン35bとも称呼される。
【0034】
このタービン35bは、回転軸35cを介してコンプレッサ35aと連結されている。即ち、タービン35bとコンプレッサ35aは一体的に回転するようになっている。タービン35bは、排気通路内のガス(燃焼室21から排出された排ガス)により回転させられる。これにより、コンプレッサ35aは過給動作を行う。
【0035】
触媒43は周知の三元触媒である。触媒43は、タービン35bの下流位置において排気管42に配設されている。
【0036】
排気遮断弁44は、タービン35bと触媒43との間の位置において排気管42に配設されている。排気遮断弁44は指示信号により開閉されるようになっている。排気遮断弁44は、閉弁したとき、排気遮断弁44よりも上流側の排気通路と外部(機関の外部である大気)とのガスの通流を遮断するようになっている。これにより、排気遮断弁44よりも上流側の排気通路内のガスの外部への流出を防ぐ。排気遮断弁44は、開弁したとき、排気遮断弁44よりも上流側の排気通路と外部とのガスの通流を許容するようになっている。これにより、排気遮断弁44よりも上流側の排気通路内のガスが触媒43を通して外部へ排出される。
【0037】
過給補助系統50は、蓄圧タンク51、補助ガス導入管52、補助ガス導入弁53、補助過給機54、補助ガス供給管55、補助ガス供給弁56、補助ガス排出管57、大気供給管58及び補助空気供給管59を備えている。
【0038】
蓄圧タンク51は、ガスを高圧状態にて貯留するためのタンクである。
補助ガス導入管52は、蓄圧タンク51とエキゾーストマニホールド41の集合部とを接続している。
補助ガス導入弁53は、蓄圧タンク51とエキゾーストマニホールド41の集合部との間の位置において補助ガス導入管52に配設されている。補助ガス導入弁53は指示信号により開閉されるようになっている。補助ガス導入弁53は、閉弁したとき、蓄圧タンク51とエキゾーストマニホールド41の集合部とのガスの通流を遮断するようになっている。補助ガス導入弁53は、開弁したとき、蓄圧タンク51とエキゾーストマニホールド41の集合部とのガスの通流を許容するようになっている。
【0039】
補助過給機54は、コンプレッサ54a、タービン54b及び回転軸54cを備えている。補助過給機54の容量は過給機(主過給機)35の容量よりも小さい。コンプレッサ54a及びタービン54bは、補助コンプレッサ54a及び補助タービン54bとそれぞれ称呼される。補助コンプレッサ54a及び補助タービン54bは、互いに一体的に回転するように回転軸54cによって連結されている。
【0040】
補助ガス供給管55は、蓄圧タンク51と補助タービン54b(補助タービン54bのハウジングに設けられた補助ガス導入口)とを接続している。補助タービン54bは、補助ガス供給管55を通して蓄圧タンク51から供給される補助ガスにより回転させられるようになっている。
【0041】
補助ガス供給弁56は、蓄圧タンク51と補助タービン54bとの間の位置において補助ガス供給管55に配設されている。補助ガス供給弁56は指示信号により開閉されるようになっている。補助ガス供給弁56は、閉弁したとき、蓄圧タンク51と補助タービン54bとのガスの通流を遮断するようになっている。補助ガス供給弁56は、開弁したとき、蓄圧タンク51と補助タービン54bとのガスの通流を許容するようになっている。
【0042】
このような構成により、補助ガス導入弁53が閉弁させられ且つ補助ガス供給弁56が閉弁させられると、蓄圧タンク51内のガスは蓄圧タンク51内に保持され、蓄圧タンク51内の圧力が維持される。更に、補助ガス導入弁53が開弁させられ且つ補助ガス供給弁56が閉弁させられると、蓄圧タンク51内に排気通路(エキゾーストマニホールド41の集合部)内のガスが蓄圧タンク51内に流入し、蓄圧タンク51内のガスの圧力が増大する。加えて、補助ガス導入弁53が閉弁させられ且つ補助ガス供給弁56が開弁させられると、蓄圧タンク51内のガスが補助タービン54bに供給され、補助タービン54bが回転させられる。
【0043】
補助ガス排出管57の一端は、補助タービン54b(補助タービン54bのハウジングに設けられた補助ガス排出口)に接続されている。補助ガス排出管57の他端は、「触媒43と排気遮断弁44との間の位置において排気管42に配設された空燃比センサ67」及び「触媒43」よりも下流位置において排気管42に接続されている。即ち、補助ガス排出管57は、蓄圧タンク51から補助ガス供給管55を通して補助タービン54bに供給され、且つ、補助タービン54bを回転させた後に補助タービン54b(補助タービン54bのハウジングに設けられた補助ガス排出口)から排出される(流出する)補助ガスが空燃比センサ67を通過しないように配設された「空燃比センサ67をバイパスするバイパス管」である。
【0044】
大気供給管58の一端は、コンプレッサ35aの上流側位置において吸気管32に接続されている。大気供給管58の他端は、補助コンプレッサ54aに大気(空気・新気)を供給するように、補助コンプレッサ54a(補助コンプレッサ54aのハウジングに設けられた空気導入口)に接続されている。
【0045】
補助空気供給管59は、補助コンプレッサ54a(補助コンプレッサ54aのハウジングに設けられた圧縮空気排出口)と過給機35のコンプレッサ35a(コンプレッサ35aのハウジングに設けられた圧縮空気導入口)とを接続している。即ち、補助空気供給管59は、大気供給管58を通して補助コンプレッサ54aに供給され且つ補助コンプレッサ54aにより加圧された「圧縮空気」を通過させるとともに、その圧縮空気がコンプレッサ35aの回転を補助(促進・助成)するように、配置・構成されている。
【0046】
更に、この制御装置は、スロットル弁ポジションセンサ61、熱線式エアフローメータ62、機関回転速度センサ63、水温センサ64、蓄圧タンク圧センサ65、アクセル開度センサ66、空燃比センサ67及び電気制御装置70を備えている。
【0047】
スロットル弁ポジションセンサ61は、スロットル弁33の開度を検出し、スロットル弁開度TAを表す信号を出力するようになっている。
熱線式エアフローメータ62は、吸気管32内を流れる吸入空気の質量流量を検出し、その質量流量(機関10の単位時間あたりの吸入空気量)GAを表す信号を出力するようになっている。
【0048】
機関回転速度センサ63は、インテークカムシャフトが5°回転する毎に幅狭のパルスを有するとともにインテークカムシャフトが360°回転する毎に幅広のパルスを有する信号を出力するようになっている。機関回転速度センサ63から出力される信号は電気制御装置70により機関回転速度NEを表す信号に変換されるようになっている。更に、電気制御装置70は、機関回転速度センサ63及び図示しないカムポジションセンサからの信号に基づいて、機関10のクランク角度(絶対クランク角度)を取得するようになっている。
【0049】
水温センサ64は、内燃機関を冷却する冷却水の温度を検出し、その水温THWを表す信号を出力するようになっている。
【0050】
蓄圧タンク圧センサ65は、蓄圧タンク51内の圧力を取得し、その圧力を表す信号Pinを出力するようになっている。
【0051】
アクセル開度センサ66は、運転者によって操作されるアクセルペダルの操作量を検出し、アクセルペダルの操作量Accpを表す信号を出力するようになっている。
【0052】
空燃比センサ67は、各燃焼室21から排出されたガス(排気管42内を通過して空燃比センサ67に到達するガス)の空燃比を検出し、空燃比abfを表す信号を出力するようになっている。
【0053】
電気制御装置70は、CPU71,ROM72,RAM73、電源が投入された状態でデータを格納するとともに格納したデータを電源が遮断されている間も保持するバックアップRAM74,及び、ADコンバータを含むインターフェース75等からなる周知のマイクロコンピュータである。
【0054】
電気制御装置70のインターフェース75は、前記センサ61〜67と接続され、CPU71にセンサ61〜67からの信号を供給するとともに、CPU71の指示に応じて、点火プラグ、燃料噴射弁22、スロットル弁アクチュエータ33a、排気遮断弁44、補助ガス導入弁53及び補助ガス供給弁56に指示信号を送出するようになっている。
【0055】
次に、上記のように構成された第一装置の作動について場合を分けて説明する。
まず、機関10が始動された直後における第一装置の作動について説明する。電気制御装置70のCPU71は、各気筒のクランク角が圧縮上死点前の所定クランク角(例えばBTDC90°)に一致する毎に、図2に示した燃料噴射制御ルーチンを繰り返し実行するようになっている。以下、クランク角が圧縮上死点前の前記所定クランク角度に一致した気筒を燃料噴射気筒とも称呼する。
【0056】
従って、何れかの気筒のクランク角が前期所定クランク角に一致すると、CPU71は、ステップ200からステップ205に進みフューエルカット条件成立判定フラグXFCが「1」であるか否かの判定を行う。フューエルカット条件成立判定フラグXFCは、その値が「1」であるとき、現時点での運転状態が、フューエルカット(燃料噴射停止制御)を行うべき状態であることを示す。フューエルカット条件成立判定フラグXFCは、その値が「0」であるとき、現時点の運転状態がフューエルカットを行うべき必要がない状態であることを示す。
【0057】
このフューエルカット条件成立判定フラグXFCは、機関10が搭載された車両の図示しないイグニション・キー・スイッチがオフからオンに変更されたとき、CPU71が実行する図示しないイニシャルルーチンにおいて「0」に設定されるようになっている。更に、フューエルカット条件成立判定フラグXFCは後述する図3に示したルーチンにより変更されるようになっている。
【0058】
現時点は機関10の始動直後であるから、前述したイニシャルルーチンによってフューエルカット条件成立判定フラグXFCは「0」に設定されている。従って、CPU71はステップ205において「No」と判定してステップ210に進む。
【0059】
次いで、CPU71は、ステップ210にて筒内吸入空気量Mcを取得する。筒内吸入空気量Mcは、燃料噴射気筒の今回の吸気行程において燃料噴射気筒に流入した空気量(重量)である。筒内吸入空気量Mcは、熱線式エアフローメータ62から取得される質量流量GAと機関回転速度NEとに基づいて決定される。
【0060】
次いで、CPU71は、ステップ215に進み、ステップ210にて求めた筒内吸入空気量Mcを目標空燃比Abfrefにより除することによって基本燃料噴射量Fbaseを取得する。目標空燃比Abfrefは、この実施例においては理論空燃比に設定されている。従って、基本燃料噴射量Fbaseは、燃料噴射気筒に供給される混合気の空燃比を理論空燃比に一致させるための燃料噴射量となる。
【0061】
次いで、CPU71は、ステップ220に進み、基本燃料噴射量Fbaseに燃料噴射補正量(空燃比フィードバック補正量)DFiを加えることによって燃料噴射量Fiを取得する。燃料噴射補正量DFiは、図示しない燃料噴射量フィードバックルーチンにおいて設定されるようになっている。より具体的に述べると、燃料噴射量フィードバックルーチンにおいて、空燃比センサ67により検出された空燃比abfが目標空燃比Abfrefよりもリーンであるとき(大きいとき)、燃料噴射補正量DFiは、一定量だけ増大せしめられる。更に、燃料噴射量フィードバックルーチンにおいて、空燃比センサ67により検出された空燃比abfが目標空燃比Abfrefよりもリッチであるとき(小さいとき)、燃料噴射補正量DFiは一定量だけ減少せしめられる。この結果、燃料噴射量Fiは、燃料噴射気筒に供給される混合気の空燃比を目標空燃比Abfref(この場合、理論空燃比)に一致させることができる燃料量へと補正される。
【0062】
次いで、CPU71は、ステップ225に進み、燃料噴射気筒に対して設けられている燃料噴射弁22から燃料噴射量Fiだけ燃料の噴射が行われるように、その燃料噴射弁22に開弁指示を行う。次いで、CPU71は、ステップ295に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0063】
更に、CPU71は、図3に示したフューエルカット条件判定ルーチンを所定時間の経過毎に繰り返し実行するようになっている。従って、CPU71は所定のタイミングにてステップ300からステップ305に進み、フューエルカット条件成立判定フラグXFCが「0」であるか否かを判定する。
【0064】
前述の仮定に従うと、現時点においてフューエルカット条件成立判定フラグXFCは「0」に設定されている。従って、CPU71はステップ305にて「Yes」と判定しステップ310に進む。
【0065】
CPU71は、ステップ310にてフューエルカット条件が成立しているか否かを判定する。フューエルカット条件は、以下の条件1及び条件2が総て成立した場合に成立する。
(条件1)スロットル弁ポジションセンサ61により検出されるスロットル弁開度TAが「0」である。
(条件2)機関回転速度センサ63により検出される機関回転速度NEが第1閾値NEFC以上(NE≧NEFC)である。
【0066】
このフューエルカット条件は、機関10の運転条件がトルクを必要としない運転状態にあるときに成立する。即ち、減速時に成立する条件である。現時点は機関10の始動直後であるから、減速時ではない。従って、フューエルカット条件は成立していない。このため、CPU71は、ステップ310にて「No」と判定し、ステップ395に進んで、本ルーチンを一旦終了する。
【0067】
ところで、CPU71は、図4に示した蓄圧条件成立フラグ設定ルーチンを所定時間の経過毎に繰り返し行うようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPU71はステップ400から処理を開始し、ステップ405に進む。
【0068】
CPU71は、ステップ405においてフューエルカット条件成立判定フラグXFCが「1」であるか否かの判定を行うことにより、蓄圧条件が成立しているか否かを判定する。
【0069】
現時点において、フューエルカット条件成立判定フラグXFCは「0」である。従って、CPU71はステップ405にて「No」と判定し、ステップ425に進む。
【0070】
次いで、CPU71はステップ425にて過給補助条件が成立しているか否かを判定する。この過給補助条件は、機関10の運転条件が過給を必要とする運転状態にあるときに成立する。即ち、過給補助条件は、機関10の負荷が所定の過給必要負荷閾値よりも大きいときに成立する条件である。
【0071】
より具体的に述べると、CPU71は、ステップ425にて以下の条件3及び条件4が共に成立したときに過給補助条件が成立していると判定する。
(条件3)アクセル開度センサ66により検出されるアクセルペダル操作量Accpが過給必要負荷閾値Accpth以上である。
(条件4)蓄圧タンク圧センサ65により検出される蓄圧タンク内圧Pinが閾値Pinth以上である。閾値Pinthは、蓄圧タンク内圧Pinが閾値Pinth以上であるとき、過給補助制御が可能となる値に選択されている。過給補助制御は、蓄圧タンク51内のガスを補助タービン54bに供給することにより、補助コンプレッサ54aを回転させる制御である。即ち、過給補助制御は蓄圧タンク51内のガスを利用して、コンプレッサ35aの回転を補助し、以って過給圧を増大する制御である。
【0072】
現時点は機関10が始動された直後である。従って、アクセルペダル操作量Accpは過給必要負荷閾値Accpthよりも小さい。
【0073】
このため、CPU71はステップ425にて「No」と判定し、ステップ445に進んで補助ガス導入弁53を閉弁する。これにより、蓄圧タンク51とエキゾーストマニホールド41の集合部とのガスの流通が遮断される。
【0074】
次いで、CPU71は、ステップ450に進んで排気遮断弁44を開弁する。これにより、排気遮断弁44よりも上流側の排気通路と外部との間のガスの流通が許容される。この結果、排気通路内のガス(即ち、排ガス)が触媒43を通して浄化された後に外部へ排出される。
【0075】
次いで、CPU71は、ステップ455に進んで補助ガス供給弁56を閉弁する。これにより、蓄圧タンク51と補助過給機54とのガスの流通が遮断される。次いで、CPU71は、ステップ495に進んで本ルーチンを一旦終了する。
以上のように、機関10の始動直後は、蓄圧タンク51にガスが導入されないので蓄圧制御が実行されず、且つ、補助タービン54bに蓄圧タンク51内のガスが供給されないので過給補助制御も実行されない。
【0076】
次に、機関10の運転が継続され、前述したフューエルカット条件(従って、蓄圧条件)が成立した場合の第一装置の作動について説明する。
この場合、CPU71が図3のステップ300から処理を開始して、ステップ305に進んだとき、フューエルカット条件成立判定フラグXFCは「0」に設定されている。従って、CPU71はステップ305において「Yes」と判定してステップ310に進む。
【0077】
次いで、CPU71は、ステップ310にて「Yes」と判定してステップ315に進み、フューエルカット条件成立判定フラグXFCを「1」に設定する。次いで、CPU71は、ステップ395に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0078】
この状態において、CPU71が図2のステップ200から処理を開始し、ステップ205に進むと、CPU71はステップ205にて「Yes」と判定する。次いで、CPU71は、ステップ295に進んで本ルーチンを一旦終了する。この結果、CPU71はステップ225の処理(燃料噴射弁22への開弁指示)を行わないので、燃料噴射は行われない。即ちフューエルカットが行われる。
【0079】
この状態(即ち、フューエルカット条件成立判定フラグXFCが「1」に設定された状態)において、CPU71が図4のステップ400から処理を開始すると、CPU71はステップ405にて「Yes」と判定し、ステップ410に進んで補助ガス導入弁53を開弁する。これにより、蓄圧タンク51とエキゾーストマニホールド41の集合部とのガスの流通が許容される。フューエルカット条件成立時には燃料噴射が行われないから、排気通路には機関10(燃焼室21)から新気(大気)が排出される。従って、フューエルカット条件成立時、排気遮断弁44よりも上流側の排気通路内のガスである「新気」が蓄圧タンク51内に貯められる。
【0080】
次いで、CPU71は、ステップ415に進んで排気遮断弁44を閉弁する。これにより、排気遮断弁44よりも上流側の排気通路と外部とのガスの流通が遮断される。
この結果、排気遮断弁44よりも上流側の排気通路内のガスの外部への流出が防がれ、従って、機関10から排出された新気が外部へと流出しなくなる。その結果、排気遮断弁44よりも上流側の排気通路内におけるガスの圧力が上昇するから、蓄圧タンク51内の圧力が効率よく増大する。即ち、蓄圧タンク51への蓄圧が実行される。
【0081】
次いで、CPU71は、ステップ420に進んで補助ガス供給弁56を閉弁する。これにより、蓄圧タンク51から補助タービン54bへのガスの流通は遮断される。この結果、蓄圧タンク51内の圧力が効率よく増大し、蓄圧タンク内圧Pinは閾値Pinth以上になる。次いで、CPU71は、ステップ495に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0082】
次に、フューエルカット条件が成立している状態から不成立の状態に変化した場合の第一装置の作動について説明する。この場合、CPU71が図3のステップ300から処理を開始して、ステップ305に進んだとき、フューエルカット条件成立判定フラグXFCは「1」に設定されている。従って、CPU71はステップ305において「No」と判定してステップ320に進む。
【0083】
CPU71は、ステップ320にて燃料噴射再開条件が成立しているか否かを判定する。燃料噴射再開条件は、以下の条件5又は条件6が成立した場合に成立する。
(条件5)スロットル弁ポジションセンサ61により検出されるスロットル弁開度TAが「0」より大きい(TA>0)。
(条件6)機関回転速度センサ63により検出される機関回転速度NEが第2閾値NEFCa以下(NE≦NEFCa)である。第2閾値NEFCaは、機関回転速度NEが第2閾値NEFCa以下であるとき、燃料噴射を再開する値に選択されている。なお、第2閾値NEFCaは第1閾値NEFCよりも小さい。
【0084】
上述の仮定に従うと、条件5及び条件6のいずれかが成立している。従って、CPU71は、ステップ320にて「Yes」と判定し、ステップ325に進み、フューエルカット条件成立判定フラグXFCを「0」に設定する。次いで、CPU71は、ステップ395に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0085】
この状態において、CPU71が図2のステップ200から処理を開始し、ステップ205に進むと、CPU71はステップ205にて「No」と判定する。従って、CPU71は、ステップ210乃至ステップ225の処理を実行する。この結果、フューエルカットが停止される(燃料供給が再開される)。
【0086】
更に、CPU71は、所定のタイミングにて図4のステップ400から処理を開始し、ステップ405に進む。
【0087】
現時点において、フューエルカット条件成立判定フラグXFCの値は「0」である。従って、CPU71はステップ405にて「No」と判定し、ステップ425に進む。
【0088】
現時点は、フューエルカット条件が成立している状態から不成立の状態に変化した直後である。従って、アクセルペダル操作量Accpは過給必要負荷閾値Accpthに到致していない。このため、CPU71はステップ425にて「No」と判定し、ステップ445乃至ステップ455の処理を実行する。この結果、補助ガス導入弁53は閉弁させられ排気遮断弁44は開弁させられ、且つ補助ガス供給弁56は閉弁させられる。
【0089】
以上のように、フューエルカット条件が成立している状態から不成立の状態に変化すると、CPU71は、ステップ210からステップ225までの燃料噴射制御を実行する。この結果、機関10は通常の運転状態に復帰する。また、蓄圧タンク51内のガス(新気)の圧力は高圧状態にて維持される。
【0090】
次に、運転者がアクセルペダルAPを踏み込み、アクセルペダル操作量Accpが過給必要負荷閾値Accpth以上となることに伴って、上記過給補助条件(Accp≧Accpth且つPin≧Pinth)が成立した場合の第一装置の作動について説明する。この場合、CPU71が図4のステップ400から処理を開始すると、CPU71はステップ405にて「No」と判定し、ステップ425に進む。さらに、CPU71はステップ425にて「Yes」と判定し、ステップ430に進む。なお、蓄圧タンク内圧Pinが閾値Pinthよりも小さい場合、CPU71はステップ425にて「No」と判定し、前述したステップ445乃至ステップ455の処理を実行する。従って、過給補助制御は実行されない。
【0091】
CPU71は、ステップ430に進むと、そのステップ430にて補助ガス導入弁53を閉弁する。次いで、CPU71はステップ435に進み、排気遮断弁44を開弁する。更に、CPU71は、ステップ440に進み、補助ガス供給弁56を開弁する。その後、CPU71は、ステップ495に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0092】
以上の処理により、燃焼室21からエキゾーストマニホールド41に排出された排ガスは、補助ガス導入弁53が閉弁しているので蓄圧タンク51内に流入することなく、排気管42を通してタービン35bのハウジングに流入する。これにより、過給機35が過給動作を開始する。そして、排気遮断弁44が開弁しているので、タービン35bに流入したガスはタービン35bを回転させた後、排気管42を通して触媒43へと流入する。
【0093】
一方、蓄圧タンク51内に蓄えられていた高圧のガス(フューエルカット中に蓄えられた新気)は、補助ガス供給弁56が開弁しているので、補助ガス供給管55を通して補助タービン54bに供給される。従って、補助タービン54bが回転し、それに伴って補助コンプレッサ54aが回転させられる。この結果、大気供給管58を通して補助コンプレッサ54aに供給されている空気が圧縮され、その圧縮された空気は補助空気供給管59を通してコンプレッサ35aに供給される。これにより、過給機35のコンプレッサ35aの回転速度が迅速に上昇する。従って、過給開始時のターボラグを短縮することができる。
【0094】
更に、蓄圧タンク51から補助ガス供給管55を通して補助タービン54bに供給されたガス(新気)は、補助タービン54bを回転させた後に補助ガス排出管57を通して「空燃比センサ67及び触媒43」よりも下流位置にて排気管42に排出される。
【0095】
これによって、燃焼室21からエキゾーストマニホールド41に排出された排ガスのみが空燃比センサ67に到達し、蓄圧タンク51から補助ガス供給管55を通して補助タービン54bに供給されたガス(新気)は空燃比センサ67に到達しない。従って、空燃比センサ67は、現時点において機関10から排出されている排ガスの空燃比(現時点において機関10に供給されているガスの空燃比)を精度よく検出することができる。従って、燃料噴射補正量DFiは機関10に供給されるガスの空燃比を目標空燃比Abfrefに一致させる適切な値となる。
【0096】
この状態においては、フューエルカット条件成立判定フラグXFCは「0」に設定されている。従って、CPU71は図2のステップ200から処理を開始すると、ステップ205にて「No」と判定し、前述したステップ210乃至ステップ225の処理を実行する。この結果、通常の燃料噴射が行われ、燃焼室21に供給される混合気の空燃比が適切な値となる。従って、エミッションが悪化することを回避することができる。
【0097】
以上、説明したように、第一装置は、
「排気管42に配設されたタービン35b」と「吸気管32に配設され且つタービン35bと一体的に回転するコンプレッサ35a」とを有する過給機35と、
排気管42に配設された空燃比センサ67と、
空燃比センサ67の出力に基づいて燃焼室21に供給されるガスの空燃比を制御する空燃比制御手段(燃料噴射補正量DFiを算出する機能及び図2のステップ220を参照。)と、
所定の蓄圧条件が成立したとき前記排気通路内のガスを導入することにより同ガスを高圧状態にて収容する蓄圧部(蓄圧タンク51)と、蓄圧部から供給される前記高圧状態のガスによって回転される補助タービン54bと、所定の過給補助条件が成立したとき前記蓄圧部に収容されている前記高圧状態のガスを補助タービン54bに供給することによって補助タービン54bを回転させその補助タービン54bの回転により吸気通路内を流れる空気の流量を増加させる補助タービン回転手段(補助ガス供給管55、補助ガス供給弁56、大気供給管58及び補助空気供給管59等)と、を含む吸気増加機構と、
前記過給補助条件が成立したとき前記蓄圧部から補助タービン54bを回転させるように補助タービン54bに供給され且つ補助タービン54bから流出する補助ガスが空燃比センサ67を通過しないように補助ガスを外部に放出させる補助ガス排出管57と、
を備える。
【0098】
従って、蓄圧部(蓄圧タンク51)から補助タービン54bへと供給され、補助タービン54bを回転させた後に補助タービン54bから排出される流出ガスは、空燃比センサ67を通過することなく外部に排出される。これによって、空燃比センサ67は、機関から排出されている排ガスの空燃比を精度よく検出することができる。この結果、空燃比制御手段は、現時点において機関に供給される混合気の空燃比を適切に制御することができるので、エミッションが悪化することを回避することができる。
【0099】
更に、前記吸気増加機構の補助タービン回転手段は、
前記過給補助条件が成立したとき前記蓄圧部に収容されている前記高圧状態のガスを補助タービン54bに供給する補助ガス供給部(補助ガス供給管55及び補助ガス供給弁56)と、
補助タービン54bと一体的に回転する補助コンプレッサ54aと、
補助コンプレッサ54aに空気を供給する空気通路を構成する大気供給管58と、
前記空気通路を通して補助コンプレッサ54aに供給され且つ補助コンプレッサ54a
の回転により圧縮された空気を、過給機35のコンプレッサ35aの回転を補助するように過給機35のコンプレッサ35aに供給する補助空気供給管59と、
を備えている。
【0100】
従って、過給補助条件が成立したとき、蓄圧タンク51に貯えられているガスが補助タービン54bに供給されることによって補助タービン54bと補助コンプレッサ54aとが回転させられる。一方、補助コンプレッサ54aには大気供給管58を通して空気が供給されるので、補助コンプレッサ54aは回転しながら大気供給管58から供給される空気を圧縮する。更に、その圧縮された空気は、過給機35のコンプレッサ35aの回転を補助(促進)するように、補助空気供給管59を通して過給機35のコンプレッサ35aに供給される。この結果、過給機35のコンプレッサ35aの回転速度を迅速に上昇させることができるので、ターボラグを短縮することができる。
【0101】
次に、本発明の第二実施形態に係る内燃機関の過給装置(以下、「第二装置」とも称呼する。)について説明する。第二装置は、第一装置が備える過給補助系統50に代え、過給補助系統80を備えている点のみにおいて相違している。従って、以下、この相違点を中心として説明を加える。
【0102】
図5は、この第二装置の概略構成を示している。図5において第一装置が備える構成部品と同一の構成部品については、第一装置が備える構成部品と同じ符号が付されている。図5に示したように、第二装置の過給補助系統80は、補助タービン54bに代わる補助タービン54dと、回転軸54eと、を備える。
【0103】
補助タービン54dは、回転軸54eを介して過給機35の「タービン35b及びコンプレッサ35a」と接続されている。即ち、タービン35b及びコンプレッサ35aは、補助タービン54dと一体的に回転するように構成されている。
【0104】
第二装置の補助ガス供給管55は、蓄圧タンク51と補助タービン54d(補助タービン54dのハウジングに設けられた補助ガス導入口)とを接続している。補助タービン54dは、補助ガス供給管55を通して蓄圧タンク51から供給される補助ガスにより回転させられるようになっている。
【0105】
第二装置の補助ガス排出管57の一端は、補助タービン54d(補助タービン54dのハウジングに設けられた補助ガス排出口)に接続されている。補助ガス排出管57の他端は、第一装置と同様、空燃比センサ67及び触媒43よりも下流位置において排気管42に接続されている。即ち、補助ガス排出管57は、蓄圧タンク51から補助ガス供給管55を通して補助タービン54dに供給され、且つ、補助タービン54dを回転させた後に補助タービン54d(補助タービン54dのハウジングに設けられた補助ガス排出口)から排出される(流出する)補助ガスが空燃比センサ67を通過しないように配設された「空燃比センサ67をバイパスするバイパス管」である。
【0106】
このように、第二装置の補助タービン54dは過給機35のコンプレッサ35aと一体的に回転するように構成されている。
また、第二装置の吸気増加機構の補助タービン回転手段は、前記過給補助条件が成立したとき前記蓄圧部(蓄圧タンク51)に収容されている「高圧状態のガス」を補助タービン54dに供給する補助ガス供給部(補助ガス供給管55及び補助ガス供給弁56)を備えている。
更に、第二装置のCPUは、第一装置のCPU71と同様、図2乃至図4に示されたルーチンを実行する。
【0107】
これによれば、過給機35のコンプレッサ35aは補助タービン54dと一体的に回転する。従って、過給補助条件が成立したとき、過給機35のコンプレッサ35aは、過給機35自身のタービン35bによる回転力と、補助タービン54dによる回転力と、を受けて回転する。この結果、過給を開始する際におけるコンプレッサ35aの回転速度を迅速に上昇させることができるので、ターボラグを短縮することができる。
【0108】
また、補助タービン54dを回転させた補助ガスは、補助ガス排出管57を通して空燃比センサ67及び触媒43よりも下流位置において排気管42に排出される。これにより、補助タービン54dを回転させた後に補助タービン54dから排出される補助ガス(蓄圧タンク51内に蓄積されていた新気)は、空燃比センサ67を通過しないように外部に放出される。この結果、CPU71は、現時点において機関10に供給されるガスの空燃比を適切に制御することができるので、エミッションが悪化することを回避することができる。
【0109】
次に、本発明の第三実施形態に係る内燃機関の過給装置(以下、「第三装置」とも称呼する。)について説明する。第三装置は、第一装置が備える過給補助系統50に代え、過給補助系統90を備えている点のみにおいて相違している。従って、以下、この相違点を中心として説明を加える。
【0110】
図6は、この第三装置の概略構成を示している。図6において第一装置が備える構成部品と同一の構成部品については、第一装置が備える構成部品と同じ符号が付されている。図6に示したように、第三装置の過給補助系統90は、第一装置の過給補助系統50と同様、補助過給機54を備える。但し、第三装置は、第一装置の吸気管32に代わる吸気管32a、32b及び32cを備えている。
【0111】
吸気管32aは最も上流側の吸気管を構成している。吸気管32aの一端にはエアフィルタ36が配設されている。吸気管32aの他端は補助過給機54の補助コンプレッサ54a(補助コンプレッサ54aのハウジングに設けられた空気導入口)に直接接続されている。
【0112】
吸気管32bの一端は、補助コンプレッサ54a(補助コンプレッサ54aのハウジングに設けられた圧縮空気排出口)に接続されている。吸気管32bの他端は過給機35のコンプレッサ35a(コンプレッサ35aのハウジングに設けられた空気導入口)に接続されている。
【0113】
吸気管32cの一端は、コンプレッサ35a(コンプレッサ35aのハウジングに設けられた圧縮空気排出口)に接続されている。吸気管32cの他端はインテークマニホールド31に接続されている。吸気管32cには、上流から下流に向けてインタークーラー34とスロットル弁33とが配設されている。
【0114】
即ち、第三装置においては、吸気通路において補助過給機54の補助コンプレッサ54aが過給機35のコンプレッサ35aの上流側に配置されている。更に、第三装置のCPUは、第一装置のCPU71と同様、図2乃至図4に示されたルーチンを実行する。
【0115】
これによれば、過給補助条件が成立したとき、吸気管32aを通して補助コンプレッサ54aに流入するとともに補助コンプレッサ54aによって圧縮された空気は、過給機35のコンプレッサ35aに供給される。更に、その空気は過給機35のコンプレッサ35aによって圧縮される。この結果、過給機35のコンプレッサ35aの回転が比較的低い時点(即ち、過給動作開始直後)においても吸入空気量を迅速に増大させることができる。従って、ターボラグを短縮することができる。
【0116】
また、補助タービン54bを回転させた補助ガスは、補助ガス排出管57を通して空燃比センサ67及び触媒43よりも下流位置において排気管42に排出される。これにより、補助タービン54bを回転させた後に補助タービン54bから排出される補助ガス(蓄圧タンク51内に蓄積されていた新気)は、空燃比センサ67を通過しないように外部に放出される。この結果、CPU71は、現時点において機関10に供給されるガスの空燃比を適切に制御することができるので、エミッションが悪化することを回避することができる。
【0117】
次に、本発明の第四実施形態に係る内燃機関の過給装置(以下、「第四装置」とも称呼する。)について説明する。第四装置は、第一装置が備える過給補助系統50に代え、過給補助系統100を備えている点のみにおいて相違している。従って、以下、この相違点を中心として説明を加える。
【0118】
図7は、この第四装置の概略構成を示している。図7において第一装置が備える構成部品と同一の構成部品については、第一装置が備える構成部品と同じ符号が付されている。図7に示したように、第四装置の過給補助系統100は、第一装置の過給補助系統50と同様、補助過給機54を備える。但し、第四装置は、第一装置の吸気管32に代わる吸気管32d、32e及び32fを備えている。
【0119】
吸気管32dは最も上流側の吸気管を構成している。吸気管32dの一端にはエアフィルタ36が配設されている。吸気管32dの他端は過給機35のコンプレッサ35a(コンプレッサ35aのハウジングに設けられた空気導入口)に直接接続されている。
【0120】
吸気管32eの一端は、コンプレッサ35a(コンプレッサ35aのハウジングに設けられた圧縮空気排出口)に接続されている。吸気管32eの他端は補助過給機54の補助コンプレッサ54a(補助コンプレッサ54aのハウジングに設けられた空気導入口)に接続されている。
【0121】
吸気管32fの一端は、補助コンプレッサ54a(補助コンプレッサ54aのハウジングに設けられた圧縮空気排出口)に接続されている。吸気管32fの他端はインテークマニホールド31に接続されている。吸気管32fには、上流から下流に向けてインタークーラー34とスロットル弁33とが配設されている。
【0122】
即ち、第四装置においては、吸気通路において過給機35のコンプレッサ35aが補助過給機54の補助コンプレッサ54aの上流側に配置されている。更に、第四装置のCPUは、第一装置のCPU71と同様、図2乃至図4に示されたルーチンを実行する。
【0123】
これによれば、過給補助条件が成立したとき、吸気管32dを通してコンプレッサ35aに流入するとともにコンプレッサ35aによって圧縮された空気は、補助過給機54の補助コンプレッサ54aに供給される。更に、その空気は補助コンプレッサ54aによって圧縮される。この結果、過給機35のコンプレッサ35aの回転が比較的低い時点(即ち、過給動作開始直後)においても吸入空気量を迅速に増大させることができる。従って、ターボラグを短縮することができる。
【0124】
また、補助タービン54bを回転させた補助ガスは、補助ガス排出管57を通して空燃比センサ67及び触媒43よりも下流位置において排気管42に排出される。これにより、補助タービン54bを回転させた後に補助タービン54bから排出される補助ガス(蓄圧タンク51内に蓄積されていた新気)は、空燃比センサ67を通過しないように外部に放出される。この結果、CPU71は、現時点において機関10に供給されるガスの空燃比を適切に制御することができるので、エミッションが悪化することを回避することができる。
【0125】
以上、説明したように、本発明の各実施形態に係る過給装置(第一乃至第四装置)は、
過給機(35)と、空燃比センサ(67)と、空燃比制御手段と、吸気増加機構と、を有する。
【0126】
前記過給機(35)は、内燃機関の燃焼室(21)に連通した排気通路を形成する排気管(42)に配設されたタービン(35b)と、同燃焼室(21)に連通した吸気通路を形成する吸気管(32)に配設され且つ同タービン(35b)の回転に伴って回転するコンプレッサ(35a)と、を有する。
【0127】
前記空燃比センサ(67)は、前記排気通路内を流れるガスの空燃比に応じた信号を出力するように前記排気管(42)に配設されている。
前記空燃比制御手段は、この空燃比センサ(67)の出力に基づいて前記機関の燃焼室(21)に供給されるガスの空燃比を制御するようになっている。
【0128】
前記吸気増加機構は、蓄圧部(51)と、補助タービン(54b)と、補助タービン回転手段と、を含む。
【0129】
前記蓄圧部(51)は、所定の蓄圧条件が成立したとき、前記排気通路内のガスを導入することにより同ガスを高圧状態にて収容する(図4のステップ405乃至420を参照。)。
前記蓄圧条件は、蓄圧部(51)に収容された高圧状態のガスを「過給補助のために使用する必要のない運転時」に成立する。このような運転時は、例えば、低〜中負荷運転時であり、減速フューエルカット運転時を含んでいても良い(図3のステップ310及び図4のステップ405を参照。)。
【0130】
前記補助タービン(54b)は、前記過給機のタービン(35b)とは別のタービンであって、前記蓄圧部(51)から供給される前記高圧状態のガスによって回転されるようになっている。
前記補助タービン回転手段は、所定の過給補助条件が成立したとき「前記蓄圧部に収容されている前記高圧状態のガス」を前記補助タービン(54b)に供給することによって同補助タービン(54b)を回転させる。これにより、前記補助タービン回転手段は、前記補助タービン(54b)の回転によって前記吸気通路内を流れる空気の流量を増加させるようになっている。
前記過給補助条件は、例えば、加速開始時等のように、機関の負荷が高負荷となったときに成立する(図4のステップ425を参照。)。
【0131】
このように、本過給装置は前記吸気増加機構を備えるので、過給補助条件が成立したときに燃焼室(21)に吸入される空気の量(吸入空気量)が速やかに増大する。従って、ターボラグを短縮することができる。
【0132】
更に、本過給装置は、前記過給補助条件が成立したときに前記蓄圧部(51)から前記補助タービン(54b)に供給され且つ同補助タービン(54b)から流出する流出ガスが前記空燃比センサ(67)を通過しないように、その流出ガスを外部に放出する補助ガス排出管(57)を備える。
【0133】
従って、蓄圧部(51)から補助タービン(54b)へと供給されることにより同補助タービン(54b)を回転させ、且つ、その後に補助タービン(54b)から排出された流出ガスは、空燃比センサ(67)を通過することなく外部に排出される。これによって、空燃比センサ(67)は、機関から排出されている排ガスの空燃比を精度よく検出することができる。この結果、空燃比制御手段は、現時点において機関に供給されるガスの空燃比を適切に制御することができるので、エミッションが悪化することを回避することができる。
【0134】
本発明は、上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記各実施形態においては、フューエルカット条件(蓄圧条件)が成立した際、蓄圧タンク51内に新気が貯められる。これに対し、フューエルカットを行わない別の条件が成立したときに、蓄圧タンク51内へ排ガスを貯めてもよい。ここで、別の条件が成立したときとは、たとえば機関10が低〜中低速負荷時での運転状態にある時である。これにより、フューエルカットが行われる条件以外においても蓄圧を行うことができ、蓄圧タンク51内の圧力をより早く高めることができる。
この場合、蓄圧タンク51内部には燃焼室21での混合気の燃焼によって生じた排ガスが貯められる。
【0135】
しかしながら、蓄圧タンク51内に蓄積されていた排ガスの空燃比は、過給補助条件成立中の排ガスの空燃比と相違する可能性が高い。一方、燃料噴射補正量(空燃比フィードバック補正量)DFiは、現時点において機関に供給されるガスの空燃比をフィードバック制御する量である。従って、蓄圧タンク51内に蓄積されていた排ガスが空燃比センサ67によって検出される空燃比に影響を及ぼすことは好ましくない。
【0136】
この場合、補助ガス排出管57は、「補助タービン54b及び補助コンプレッサ54aを回転させた補助ガス(この場合、過去の排ガス)が、補助ガス排出管57を通して空燃比センサ67の下流且つ触媒43の上流の排気通路に排出される。」ように構成されることができる。これによって、蓄圧タンク51から供給された補助ガス(即ち、過去の排ガス)は触媒43によって浄化されて外部に放出される。この結果、蓄圧タンク51から供給される補助ガスによってエミッションが悪化することなく過給補助が可能となる。さらに、蓄圧タンク51から供給される補助ガスが現時点の機関に供給されるガスの空燃比に悪影響を及ぼさないので、現時点の機関に供給されるガスの空燃比を適値に維持することができる。
【0137】
なお、補助ガス排出管57に別の触媒を設けてもよく、補助ガス排出管57と排気管42とが合流する位置よりも下流位置において排気管42に別の触媒を配置してもよい。
【0138】
また、触媒43の下流の排気管42に下流側空燃比センサが備えられている場合、補助ガス排出管57はその下流側空燃比センサよりも下流側において排気管42に合流するように構成されることが好ましい。
【0139】
さらに、上記各実施形態の過給装置において、
前記蓄圧部は、
蓄圧タンク(51)と、
一端が前記排気通路の前記過給機のコンプレッサ(35a)の上流において前記排気管(エキゾーストマニホールド41)に接続され他端が前記蓄圧タンク(51)に接続された補助ガス導入管(52)と、
前記補助ガス導入管に配設されるとともに指示信号に応じて開弁したとき同補助ガス導入管内のガスの通流を許容し且つ指示信号に応じて閉弁したとき同補助ガス導入管内のガスの通流を遮断する補助ガス導入弁(53)と、
前記蓄圧条件が成立したとき前記補助ガス導入弁を開弁する信号を同補助ガス導入弁に送出し且つ同蓄圧条件が成立していないとき同補助ガス導入弁を閉弁する信号を同補助ガス導入弁に送出する補助ガス導入弁制御手段(図4のステップ410、430、445)と、
前記排気通路であって前記排気管と前記補助ガス導入管との接続箇所よりも下流において前記排気管に配設される排気遮断弁(44)であって指示信号に応じて開弁したとき同排気遮断弁(44)よりも上流の排ガスを同排気遮断弁(44)よりも下流に通流させ且つ指示信号に応じて閉弁したとき同排気遮断弁(44)よりも上流の排ガスを同排気遮断弁(44)よりも下流に通流させない排気遮断弁(44)と、
前記蓄圧条件が成立したとき前記排気遮断弁を閉弁する信号を同排気遮断弁に送出し且つ同蓄圧条件が成立していないとき同排気遮断弁を開弁する信号を同排気遮断弁に送出する排気遮断弁制御手段(図4のステップ415、435、450)と、
を含み、
前記補助ガス供給部は、
前記蓄圧タンク(51)と前記補助タービン(54b、54d)とを接続する補助ガス供給管(55)と、
前記補助ガス供給管に配設されるとともに指示信号に応じて開弁したとき同補助ガス供給管内のガスの通流を許容し且つ指示信号に応じて閉弁したとき同補助ガス供給管内のガスの通流を遮断する補助ガス供給弁(56)と、
前記過給補助条件が成立したとき前記補助ガス供給弁を開弁する信号を同補助ガス供給弁に送出し且つ同過給補助条件が成立していないとき同補助ガス供給弁を閉弁する信号を同補助ガス供給弁に送出する補助ガス供給弁制御手段(図4のステップ420、440、455)と、
を含み、
前記空燃比センサ(67)は、
前記排気通路の前記過給機(35)のコンプレッサ(35a)の下流において前記排気管(42)に配設され、
前記補助ガス排出管(57)は、
その一端が前記補助タービン(54b、54d)の前記補助ガスを排出する排出口に接続され且つその他端が前記排気通路の前記空燃比センサ(67)の下流において前記排気管(42)に接続されたバイパス管(57)であるように構成されていると言うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る内燃機関の過給装置が適用された内燃機関の概略図である。
【図2】図1に示したCPUが実行する燃料噴射制御ルーチンを示したフローチャートである。
【図3】図1に示したCPUが実行するフューエルカット条件判定ルーチンを示したフローチャートである。
【図4】図1に示したCPUが実行する弁制御ルーチンを示したフローチャートである。
【図5】本発明の第二の実施形態に係る内燃機関の過給装置が適用された内燃機関の概略図である。
【図6】本発明の第三の実施形態に係る内燃機関の過給装置が適用された内燃機関の概略図である。
【図7】本発明の第四の実施形態に係る内燃機関の過給装置が適用された内燃機関の概略図である。
【符号の説明】
【0141】
10…内燃機関、20…本体部、21…燃焼室、22…燃料噴射弁、30…吸気系統、31…インテークマニホールド、32…吸気管、35…過給機、35a…コンプレッサ、35b…タービン、35c…回転軸、36…エアフィルタ、40…排気系統、41…エキゾーストマニホールド、42…排気管、43…触媒、44…排気遮断弁、50…過給補助系統、51…蓄圧タンク、52…補助ガス導入管、53…補助ガス導入弁、54…補助過給機、54a…補助コンプレッサ、54b…補助タービン、54c…回転軸、54d…補助タービン、54e…回転軸、55…補助ガス供給管、56…補助ガス供給弁、57…補助ガス排出管、58…大気供給管、59…補助空気供給管、67…空燃比センサ、70…電気制御装置、80…過給補助系統、90…過給補助系統、100…過給補助系統。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の燃焼室に連通した排気通路を形成する排気管に配設されたタービンと同燃焼室に連通した吸気通路を形成する吸気管に配設され且つ同タービンと一体的に回転するコンプレッサとを有する過給機と、
前記排気通路内を流れるガスの空燃比に応じた信号を出力するように前記排気管に配設された空燃比センサと、
前記空燃比センサの出力に基づいて前記機関の燃焼室に供給されるガスの空燃比を制御する空燃比制御手段と、
所定の蓄圧条件が成立したとき前記排気通路内のガスを導入することにより同ガスを高圧状態にて収容する蓄圧部と、前記蓄圧部から供給される前記高圧状態のガスによって回転される補助タービンと、所定の過給補助条件が成立したとき前記蓄圧部に収容されている前記高圧状態のガスを前記補助タービンに供給することによって同補助タービンを回転させ同補助タービンの回転により前記吸気通路内を流れる空気の流量を増加させる補助タービン回転手段と、を含む吸気増加機構と、
前記過給補助条件が成立したとき前記蓄圧部から前記補助タービンを回転させるように前記補助タービンに供給され且つ同補助タービンから流出する補助ガスが前記空燃比センサを通過しないように同補助ガスを外部に放出させる補助ガス排出管と、
を備えた内燃機関の過給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の内燃機関の過給装置において、
前記吸気増加機構の補助タービン回転手段は、
前記過給補助条件が成立したとき前記蓄圧部に収容されている前記高圧状態のガスを前記補助タービンに供給する補助ガス供給部と、
前記補助タービンと一体的に回転する補助コンプレッサと、
前記補助コンプレッサに空気を供給する空気通路を構成する大気供給管と、
前記空気通路を通して前記補助コンプレッサに供給され且つ同補助コンプレッサの回転により圧縮された空気を、前記過給機のコンプレッサの回転を補助するように同過給機のコンプレッサに供給する補助空気供給管と、
を備える内燃機関の過給装置。
【請求項3】
請求項1に記載の内燃機関の過給装置において、
前記補助タービンは前記過給機のコンプレッサと一体的に回転するように構成され、
前記補助タービン回転手段は前記過給補助条件が成立したとき前記蓄圧部に収容されている前記高圧状態のガスを前記補助タービンに供給する補助ガス供給部を備える、
内燃機関の過給装置。
【請求項4】
請求項1に記載の内燃機関の過給装置において、
前記吸気増加機構の補助タービン回転手段は、
前記過給補助条件が成立したとき前記蓄圧部に収容されている前記高圧状態のガスを前記補助タービンに供給する補助ガス供給部と、
前記吸気通路の前記過給機のコンプレッサの上流において前記吸気管に配設され且つ前記補助タービンと一体的に回転することにより同過給機のコンプレッサに圧縮された空気を送出する補助コンプレッサと、
を備える内燃機関の過給装置。
【請求項5】
請求項1に記載の内燃機関の過給装置において、
前記吸気増加機構の補助タービン回転手段は、
前記過給補助条件が成立したとき前記蓄圧部に収容されている前記高圧状態のガスを前記補助タービンに供給する補助ガス供給部と、
前記吸気通路の前記過給機のコンプレッサの下流において前記吸気管に配設され且つ前記補助タービンと一体的に回転することにより同過給機のコンプレッサによって圧縮された空気を更に圧縮する補助コンプレッサと、
を備える内燃機関の過給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−24862(P2010−24862A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−184172(P2008−184172)
【出願日】平成20年7月15日(2008.7.15)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】