説明

内燃機関の過給補助方法及び内燃機関

【課題】ブレーキ作動用の圧力容器と兼用にした蓄ガス容器に溜め込んだガスを過給補助に用いる内燃機関において、ガスの漏れを検出して蓄ガス容器に対して漏れの箇所を遮断してガスの漏れを停止できて、ブレーキ作動への影響を無くすことができる内燃機関の過給補助方法及び内燃機関を提供する。
【解決手段】ガス圧縮装置25の作動時でかつブレーキ非作動時に蓄ガス容器27内の圧力Pvが上がらない第1状態と、ガス圧縮装置25の非作動時でかつブレーキ非作動時に圧力Pvが下がる第2状態と、過給補助を開始後の所定時間の間における吸気マニホールド11a内の圧力Pi、圧力Pvの圧力低下率ΔPv、圧力Pvと圧力Piの圧力差ΔPのいずれかの判定を用いて判定される第3状態のいずれかの状態で、圧縮ガス供給通路26の緊急遮断弁51と蓄ガス供給通路28の緊急遮断弁52を閉弁する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の過渡状態のときに、蓄ガス容器に蓄圧されたガスをシリンダ内に供給してEGR率を高めることができる内燃機関の過給補助方法及び内燃機関に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジン等の内燃機関の排気ガス中のNOx(窒素酸化物)を低減するEGR(排気再循環)においては、過給システムを備えた内燃機関では、高圧EGR方式と低圧EGR方式とがある。この高圧EGR方式では、例えば、図11に示すように、高圧EGRシステムを備えた内燃機関1Xでは、ターボ式過給機14よりもエンジン本体11側にEGR通路17が設けられており、エンジン本体11の排気マニホールド11bから吸気マニホールド11aにEGR通路17経由でEGRガスGeを還流している。また、低圧EGR方式では、例えば、図12に示すように、低圧EGRシステムを備えた内燃機関1Yでは、ターボ式過給機14よりもエンジン本体11とは反対側にEGR通路17が設けられており、タービン14bの下流側からコンプレッサ14aの上流側にEGR通路17経由でEGRガスGeを還流している。
【0003】
これらのいずれのEGR方式でも、EGRガス量の制御には、MAF制御方式が一般的に使用されている。このMAF制御方式では、EGR無しでエンジンのシリンダ内に吸入される新気量(空気量)をMoとし、EGRを行うことでシリンダ内に吸入される新気量をMeとすると、還流されるEGRガス量のMegrがMegr=Mo−Meとなるので、これに基づいて、EGR弁21の弁開度により新気量Meを制御することで、EGRガス量Megrを制御している。
【0004】
つまり、エンジンの回転速度Neと燃料負荷Qをパラメータにして、各エンジンの運転状態に対する新気量Meを予め設定して作成した新気量Meのデータマップを基に、実際のエンジン運転時の回転速度Neと燃料負荷Qから目標の新気量Metを算出して、実際の新気量Meをこの目標の新気量Metになるように制御することで、EGRガス量Megrを制御している。
【0005】
しかしながら、ターボ式過給機を使用する場合には排気ガスのエネルギー(エンタルピ)を用いて過給を行うため、ターボ式過給機の応答遅れ(ターボラグ)を無くすことは不可能であり、このMAF制御方式では、このターボラグに起因する次のような問題がある。ターボラグにより負荷が急激に増加する過渡運転状態では、過給圧が定常運転時に設定した圧力まで上昇しないため、エンジンの吸入空気量が低下する。つまり、ターボ式過給機付きエンジンでも無過給エンジンと同程度の吸気量となってしまう。
【0006】
従って、定常運転条件で設定した目標のEGR量に達成することができず、図13に示すように、急激な過渡運転を行う際にNOxの排出量が増加する。また、煤の発生量を制限するために、過給圧があるレベルより上がらない場合には煤が増加しない領域内に燃料の投入量が抑えられるというスモークリミット制御が行われる。その結果、図14及び図15に示すように、燃料噴射量Qと空気量(Mo、Me)が共に点線で示されるように抑えられ、加速時のパワーが抑えられてしまうという問題がある。そのために、加速時等の負荷が急激に増加する過渡運転時には、NOx排出量の増加や燃費の悪化が発生する。
【0007】
一方、エンジンのクランクシャフト等によって、過給機を直接駆動して過給を行う機械式過給装置を使用する場合では、過給の応答遅れをなくす事ができるが、エンジンの回転速度が決まると燃料量の多少に関わらず、過給量が決まるために、また、駆動に要する仕事量が大きいために、燃費が悪化するという問題がある。
【0008】
この対策として、近年では、図16に示すような蓄ガス供給システムを備えた内燃機関1Zが研究されており、この蓄ガス供給システムでは、内燃機関1Zから排出される排気ガスGの一部Gpを空気Aaと混合した混合ガスCを容積型コンプレッサ(排気圧縮器)25で圧縮して高圧化し、この高圧化した混合ガスCを蓄ガス容器(圧力容器)27内に溜め込み、過渡時に放出電磁弁36を開弁して混合ガスCを調圧弁29経由で吸気弁(吸気スロットル)35の下流の吸気通路12に放出し、これにより、内燃機関1Zのシリンダ内への吸気量を過給機付きエンジン並みに増加させると共に、EGRの効果によるNOxの低減を図り、ターボラグの問題を解消している過給制御装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
この蓄ガス供給システムを採用した場合は、過渡時に加圧された混合ガスCをエンジン1Zの吸気通路12内に放出することで過給圧を上げて、シリンダ内への空気量を増加させることができるので燃料量も増やすことができる。その結果、加速性能が向上し、煤の排出も抑えることができる。また、過給圧は排気マニホールド11bの内圧よりも高くなるので、内燃機関1Zのポンピング損失が低下し燃費の向上を図ることができる。
【0010】
また、一方で、近年、内燃機関を高出力化する際に、車両の内燃機関を従来の排気量の内燃機関から小排気量で且つ高出力化した内燃機関に載せ換える、いわゆるダウンサイジングの動きが大きな流れになっている。ところが、このダウンサイジングされた車両では、小排気量の内燃機関に伴う発進性の悪化も起こるので、この蓄ガス供給システムは、極めて有効な手段である。
【0011】
しかしながら、この蓄ガス供給システムでは、過給補助のために排気ガスと空気との混合ガスを蓄圧するための圧力容器である蓄ガス容器が必要である。一方、4トン車以上の車両では、ブレーキ作動用空気を蓄圧するための圧力容器を装着している。ところが、この過給補助用の蓄ガス容器とブレーキ作動用空気の圧力容器を共用する場合には、圧力容器からエンジン本体までの過給補助用の経路の配管に亀裂やシール不良が発生して、圧力容器に蓄圧されたガスの漏れが発生すると、ブレーキ作動が不確実になるという問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2011−21558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記の状況を鑑みてなされたものであり、その目的は、ガス圧縮装置を用いて、排気ガスの一部と空気とこれらの混合ガスのいずれかのガスを蓄ガス容器に溜め込み、負荷が急激に増加する過渡状態のときに前記ガスをシリンダ内に一時的に供給して、過渡状態におけるNOxの排出を抑制するとともに加速性能を向上させる内燃機関において、この蓄ガス容器からエンジン本体までの過給補助用の経路の配管に亀裂やシール不良が万一発生しても、蓄ガス容器から過給補助経路に連通する経路を遮断できて、過給補助用の蓄ガス容器とブレーキ作動用の圧力容器を兼用にした場合でも、ブレーキ作動に与える影響を無くすことができる内燃機関の過給補助方法及び内燃機関を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するための本発明の内燃機関の過給補助方法は、内燃機関の排気ガスの一部をシリンダ内に再循環するためのEGR通路と、内燃機関の排気ガスの一部と空気とこれらの混合ガスのいずれかのガスを圧縮するガス圧縮装置と、該ガス圧縮装置で圧縮された前記ガスを貯蓄する蓄ガス容器と、該蓄ガス容器と吸気系通路を流路切替装置を介して接続する蓄ガス供給通路を備えた内燃機関の過給補助方法において、過給補助用の前記蓄ガス容器とブレーキ作動用の圧力容器とを兼用にし、前記ガス圧縮装置の作動時でかつブレーキ非作動時に前記蓄ガス容器内の圧力が上がらない第1状態と、前記ガス圧縮装置の非作動時でかつブレーキ非作動時に前記蓄ガス容器内の圧力が下がる第2状態と、過給補助を開始してから予め設定した第1時間と第2時間の間において、吸気マニホールド内の圧力が予め設定した設定圧力以下となるか、前記蓄ガス容器の圧力の低下率が予め設定した設定低下率以上となるか、前記蓄ガス容器内の圧力と前記吸気マニホールド内の圧力の圧力差が予め設定した設定圧力差以上となるかのいずれか一つ又は幾つかの組み合わせが発生した第3状態のいずれかの状態となった場合に、前記ガス圧縮装置と前記蓄ガス容器との間の圧縮ガス供給通路に設けた緊急遮断弁と前記蓄ガス供給通路に設けた緊急遮断弁とを閉弁することを特徴とする方法である。
【0015】
この方法は、ブレーキ作動用の圧力容器を蓄ガス容器として兼用して、内燃機関の吸気通路に過給補助を行う過給補助方法で、蓄ガス容器から過給補助のための通路の間で配管亀裂等による漏れが発生した場合に、それを検知して蓄ガス容器の前後に設けた緊急遮断弁で過給補助のための通路を遮断する方法である。
【0016】
また、この第1時間と第2時間は、内燃機関の吸気系の容積と蓄ガス容器の容積によって異なるので、個々の内燃機関によって実験等で決められる値であり、例えば、第1時間は、0.25秒に、第2時間は、0.30秒に設定される。設定圧力、設定低下率、設定圧力差等も実験等によって決められる値である。
【0017】
この方法によれば、精度良く、蓄ガス容器の周囲の配管からのガスの漏れを検知することができ、漏れを検出した場合に、緊急遮断弁を閉弁することで蓄ガス容器内のガスの漏出を迅速に防止することができる。その結果、この蓄ガス容器から吸気通路までの過給補助用の圧縮ガス供給通路と蓄ガス供給通路の配管に亀裂やシール不良が万一発生しても、これらの通路を遮断できて、過給補助用の蓄ガス容器とブレーキ作動用の圧力容器を兼用にした場合でも、ブレーキ作動に与える悪影響を少なくして支障なくブレーキ作動を行うことができる。
【0018】
上記の内燃機関の過給補助方法において、前記緊急遮断弁の閉弁時に、前記ガス圧縮装置と前記蓄ガス容器とを連通する圧縮ガス供給通路と並行に設けた予備圧縮ガス供給通路経由で前記ガスを前記ガス圧縮装置から前記蓄ガス容器に供給する方法を採用すると、ガス圧縮装置から蓄ガス容器までの圧縮ガス供給通路が緊急遮断弁によって遮断された場合でも、予備圧縮ガス供給通路により蓄ガス容器へガスを支障なく充填することができ、過給補助用の蓄ガス容器とブレーキ作動用の圧力容器を兼用にした場合でも、ブレーキ作動に与える悪影響を無くして支障なくブレーキ作動を行うことができる。
【0019】
そして、上記の目的を達成するための内燃機関は、上記の内燃機関の給補助方法を実施できる内燃機関であり、内燃機関の排気ガスの一部をシリンダ内に再循環するためのEGR通路と、内燃機関の排気ガスの一部と空気とこれらの混合ガスのいずれかのガスを圧縮するガス圧縮装置と、該ガス圧縮装置で圧縮された前記ガスを貯蓄する蓄ガス容器と、該蓄ガス容器と吸気系通路を流路切替装置を介して接続する蓄ガス供給通路を備えた内燃機関において、過給補助用の前記蓄ガス容器と内燃機関を搭載した車両のブレーキ作動用の圧力容器とを兼用にし、吸気マニホールド内の圧力を検出する第1圧力センサと前記蓄ガス容器内の圧力を検出する第2圧力センサを設けると共に、前記ガス圧縮装置と前記蓄ガス容器との間の圧縮ガス供給通路に第1緊急遮断弁を、前記蓄ガス供給通路に第2緊急遮断弁を設け、更に、前記第1圧力センサと前記第2圧力センサで検出された前記圧力をもとに、前記第1緊急遮断弁と前記第2緊急遮断弁の開閉を制御する制御装置を備えて、該制御装置が、前記ガス圧縮装置の作動時でかつブレーキ非作動時に前記蓄ガス容器内の圧力が上がらない第1状態と、前記ガス圧縮装置の非作動時でかつブレーキ非作動時に前記蓄ガス容器内の圧力が下がる第2状態と、過給補助を開始してから予め設定した第1時間と第2時間の間において、吸気マニホールド内の圧力が予め設定した設定圧力以下となるか、前記蓄ガス容器の圧力の低下率が予め設定した設定低下率以上となるか、前記蓄ガス容器内の圧力と前記吸気マニホールド内の圧力の圧力差が予め設定した設定圧力差以上となるかのいずれか一つ又は幾つかの組み合わせが発生した第3状態のいずれかの状態となった場合に、前記第1緊急遮断弁と前記第2緊急遮断弁を閉弁する制御を行うように構成される。
【0020】
この構成によれば、精度良く、蓄ガス容器の周囲の配管からのガスの漏れを検知して緊急遮断弁を閉弁することで蓄ガス容器内のガスの漏出を迅速に防止することができる。その結果、この蓄ガス容器から吸気通路までの過給補助用の圧縮ガス供給通路と蓄ガス供給通路の配管に亀裂やシール不良が万一発生した場合でも、これらの通路を遮断できて、過給補助用の蓄ガス容器とブレーキ作動用の圧力容器を兼用にした場合でも、ブレーキ作動に与える悪影響を少なくして支障なくブレーキ作動を行うことができる。
【0021】
上記の内燃機関において、前記ガス圧縮装置と前記蓄ガス容器とを連通する圧縮ガス供給通路と並行に予備圧縮ガス供給通路を設け、前記制御装置が、前記緊急遮断弁の閉弁時に、前記予備圧縮ガス供給通路経由で前記ガスを前記ガス圧縮装置から前記蓄ガス容器に供給する制御を行うように構成すると、ガス圧縮装置から蓄ガス容器までの圧縮ガス供給通路が緊急遮断弁によって遮断された場合でも、予備圧縮ガス供給通路により蓄ガス容器へガスを支障なく充填することができ、過給補助用の蓄ガス容器とブレーキ作動用の圧力容器を兼用にした場合でも、ブレーキ作動に与える悪影響を無くして支障なくブレーキ作動を行うことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る内燃機関の過給補助方法及び内燃機関によれば、ガス圧縮装置を用いて、内燃機関の排気ガスの一部と空気とこれらの混合ガスのいずれかのガスを蓄ガス容器に溜め込み、負荷が急激に増加する過渡状態のときに前記ガスをシリンダ内に一時的に供給して、過渡状態のNOxの排出を抑制するとともに加速性能を向上させる内燃機関において、精度良く、蓄ガス容器の周囲の配管からの前記ガスの漏れを検知することができ、漏れを検出した場合に、緊急遮断弁を閉弁することで蓄ガス容器内の前記ガスの漏出を迅速に防止することができる。その結果、この蓄ガス容器から吸気通路までの過給補助用の圧縮ガス供給通路と蓄ガス供給通路の配管に亀裂やシール不良が万一発生した場合でも、これらの通路を遮断できて、過給補助用の蓄ガス容器とブレーキ作動用の圧力容器を兼用にした場合でも、ブレーキ作動に与える悪影響を少なくして支障なくブレーキ作動を行うことができる。
【0023】
また、さらに、予備圧縮ガス供給通路を用いるようにすると、過給補助システムの使用を緊急事態のために停止しても、ブレーキの作動に支障をきたすことなく車両の運転ができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る第1の実施の形態の内燃機関の構成を示す図である。
【図2】本発明に係る第2の実施の形態の内燃機関の構成を示す図である。
【図3】図1及び図2の蓄ガス容器の周辺の拡大図である。
【図4】0.25秒間で1000rpmから2500rpmまで加速したときの蓄ガス容器内の圧力と吸気マニホールド内の圧力と両者の圧力差の時系列を示す図である。
【図5】0.25秒間で1000rpmから5000rpmまで急加速したときの蓄ガス容器内の圧力と吸気マニホールド内の圧力と両者の圧力差の時系列を示す図である。
【図6】図4と図5の圧力差をまとめて示す図である。
【図7】図4と図5の圧力差の変化率をまとめて示す図である。
【図8】蓄ガス用のガス圧縮装置の駆動を説明するための図である。
【図9】三方切替弁で構成された流路切替装置の構造を吸気ラインが連通された状態で示す図である。
【図10】三方切替弁で構成された流路切替装置の構造を蓄ガス供給ラインが連通された状態で示す図である。
【図11】従来技術の高圧EGR方式の内燃機関の構成を示す図である。
【図12】従来技術の低圧EGR方式の内燃機関の構成を示す図である。
【図13】車速の変化と瞬時NOx排出量の関係を示す図である。
【図14】全負荷における燃料噴射量の特性と過渡時の動きを示す図である。
【図15】過渡時のターボ式過給機の応答遅れとEGRの関係を示す図である。
【図16】先行技術の内燃機関の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る実施の形態の内燃機関の過給補助方法及び内燃機関について、図面を参照しながら説明する。
【0026】
図1に示すように、本発明に係る第1の実施の形態のエンジン(内燃機関)1は、エンジン本体11と吸気マニホールド11aに接続する吸気通路12と排気マニホールド11bに接続する排気通路13を有して構成される。この吸気マニホールド11aと吸気通路12とで吸気系通路を形成し、排気マニホールド11bと排気通路13とで排気系通路を形成する。
【0027】
吸気通路12には、ターボ式過給機14のコンプレッサ14aが設けられ、排気通路13には、ターボ式過給機14のタービン14bと、ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)装置15とNOx吸蔵還元型触媒等で形成されるNOx浄化触媒16が設けられている。
【0028】
また、タービン14bの上流側の排気通路13からEGR通路17が分岐され、コンプレッサ14aの上流側の吸気通路12にEGR合流部18で合流している。このEGR通路17には上流側から、ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)装置19とEGRクーラ20とEGR弁21が設けられている。
【0029】
更に、NOx浄化触媒16の下流側の排気通路13から分岐して、排気ガス導入通路22が設けられている。この排気ガス導入通路22にはEGRクーラ23と三方弁24が設けられ、この排気ガス導入通路22は機械式の容積型過給機(往復動式が望ましい)等で形成されるガス圧縮装置25に接続されている。このガス圧縮装置25は、圧縮ガス供給通路26により圧力容器等で形成される蓄ガス容器27に接続されている。また、この蓄ガス容器27は蓄ガス供給通路28により吸気通路12と接続されている。この排気ガス導入通路22と圧縮ガス供給通路26と蓄ガス供給通路28で蓄圧ガス系通路を形成する。
【0030】
図8に示すように、このガス圧縮装置25は、エンジン1を搭載した車両の車軸31から歯車32、33と、電磁クラッチ34を経由してガス圧縮装置25の駆動軸に動力を伝達する。この電磁クラッチ34をONにして接続することにより、ガス圧縮装置25を駆動して、排気ガス導入通路22からの排気ガスGの一部Gpと空気Aaとこれらの混合ガスのいずれかのガスCを、圧縮して高圧化して蓄ガス容器27に供給し、貯蔵する。このとき、三方弁24で、排気ガスGの一部Gpの量と空気Aaの量を調整して、蓄ガス容器27で貯蔵されるガスCにおける酸素濃度を略一定に保つことが好ましく、これにより、EGRを行うときの制御を単純化することができる。また、図1に示すように、蓄ガス供給通路28には、調圧弁29が配置され、流路切替装置30に供給されるガスCの圧力を調整する。
【0031】
なお、図1に示すように、この蓄ガス容器27の内部の最大圧を調整する調整弁27aを、蓄ガス容器27に設けて、ガス圧縮装置25を駆動している時には、常に仕事が発生するように調整弁27aを調整する。なお、図1では、調整弁27aを蓄ガス容器27に設けているが、調整弁27aを蓄ガス容器27とガス圧縮装置25の間の圧縮ガス供給通路26に設けてもよい。
【0032】
つまり、エンジン1は、排気ガスGの一部Geをシリンダ内に再循環するためのEGR通路17と、エンジン1の排気ガスGの一部Gpと空気Aaとこれらの混合ガスのいずれかのガスCを圧縮するガス圧縮装置25と、このガス圧縮装置25で圧縮されたガスCを貯蓄する蓄ガス容器27と、この蓄ガス容器27と吸気通路12を接続する蓄ガス供給通路28を備えて構成される。
【0033】
そして、吸気通路12と蓄ガス供給通路28は流路切替装置30を介して接続される。図1に示すように、この流路切替装置30をEGR通路17と吸気通路12との合流部であるEGR合流部18よりも下流側に配置する。また、流路切替装置30は吸気通路12の下流側の通路側を開放したまま、蓄ガス供給通路28側と吸気通路12の上流側の通路側とを切り替えるように構成される。この流路切替装置30は、図9及び図10に示すような三方切替弁で構成することができる。
【0034】
図9及び図10に示す流路切替装置30では、駆動用ガスApを入れてピストンの背面の空気Aeを抜くことで、駆動用高速シリンダ30aのロッド30bを移動させることにより、シャッター部30cを移動させて、図9に示すように、蓄ガス供給通路28側を閉じて、吸気通路12の上流側12aと下流側12bを連通させ、また、図10に示すように、吸気通路12の上流側12a側を閉じて、蓄ガス供給通路28と吸気通路12の下流側12bを連通させる。
【0035】
また、図1及び図3に示すように、過給補助用の蓄ガス容器27とエンジン1を搭載した車両のブレーキ作動用の圧力容器とを兼用にし、ガス圧縮装置25と蓄ガス容器27との間の圧縮ガス供給通路26に第1緊急遮断弁51を設け、蓄ガス供給通路28に第2緊急遮断弁52を設ける。これらの第1緊急遮断弁51と第2緊急遮断弁52はできるだけ蓄ガス容器27に近く設けることが好ましい。
【0036】
また、ガス圧縮装置25と蓄ガス容器27とを連通する圧縮ガス供給通路26と並行に予備圧縮ガス供給通路53を設ける。これにより、ガス圧縮装置25から蓄ガス容器27に排気ガスGの一部Gpと空気Aaとこれらの混合ガスのいずれかのガスCを圧送する配管を主配管の圧縮ガス供給通路26と副配管の予備圧縮ガス供給通路53の2系列とする。更に、吸気マニホールド11a内の圧力Piを検出する第1圧力センサ54と蓄ガス容器27内の圧力Pvを検出する第2圧力センサ55を設ける。
【0037】
そして、エンジン1の運転の全般及び上記の機器類の制御を行うために、エンジンコントロールユニット(ECU)と呼ばれる制御装置40を設け、図8に示すように、この制御装置40で吸気マニホールド11a内の圧力Piや蓄ガス容器27内の圧力Pvやエンジン回転速度Neやアクセル開度Ac等を検出して、その結果に基づいて電磁クラッチ34や三方弁24を制御して、蓄ガス容器27内のガスCの量(圧力)と排気ガスGpと空気Aaの混合比率を調整制御すると共に、第1圧力センサ54で検出された圧力である吸気マニホールド11a内の圧力Piと第2圧力センサ55で検出された圧力である蓄ガス容器27内の圧力Pvをもとに、第1緊急遮断弁51と第2緊急遮断弁52の開閉を制御するように構成する。
【0038】
次に、本発明に係る第2の実施の形態のエンジン(内燃機関)1Aについて説明する。図2に示すように、この第2の実施の形態のエンジン1Aでは、EGR通路17がNOx浄化触媒16の下流側の排気通路13から分岐している点が、EGR通路17がターボ式過給機14のタービン14bの上流側の排気通路13から分岐している第1の実施の形態と異なっている。その他の点は、第1の実施の形態と同じである。
【0039】
つまり、EGR通路17に流入する排気ガスGeが、第1の実施の形態のエンジン1では、ターボ式過給機14のタービン14bを通過する前の排気ガスGの一部となっているのに対して、この第2の実施の形態のエンジン1Aでは、ターボ式過給機14のタービン14bを通過した後の排気ガスGの一部となっている。言い換えれば、第1の実施の形態のエンジン1では、高圧EGR方式が採用されており、第2の実施の形態のエンジン1Aでは低圧EGR方式が採用されている。
【0040】
次に、エンジン(内燃機関)1、1Aの制御装置40で行う、内燃機関の過給補助方法について説明する。この内燃機関の過給補助方法は、上記の構成のエンジン1、1Aで実施できる方法である。この内燃機関の過給補助方法は、エンジン1、1Aの排気通路(排気系通路)13の排気ガスGの一部Gpと空気Aaとこれらの混合ガスのいずれかのガスCを圧縮して貯蓄する。
【0041】
それと共に、過給補助方法では、エンジン1、1Aの運転状態が過渡状態でないときには、エンジン1、1Aの排気ガスGの一部Geを、EGR通路17を経由してシリンダ内に再循環し、エンジン1、1Aが過渡状態であるときには、ガスCを一時的に吸気通路(吸気系通路)12に供給する過給補助を行う。つまり、エンジン1、1Aが過渡状態であるときには、EGR通路17からのEGRガスGeと、吸気通路12からの新気Aとを流路切替装置30で遮断して、ガスCのみを吸気通路12に供給する。
【0042】
また、この内燃機関の過給補助方法において、EGRガスGeと新気Aとの遮断、及びガスCの供給を、図9と図10で示すような三方切替弁で構成した流路切替装置30で行う。
【0043】
これらの制御においては制御装置40で、エンジン回転速度Ne、エンジン空気量(Mo、Me)、エンジン燃料量(燃料噴射量)Q、蓄ガス容器27の内部の圧力Pv等の検出値等に基づいて、調圧弁29とEGR弁21と流路切替装置30を制御する。
【0044】
次に、本発明におけるガスの漏れ検出方法と漏れ対処方法について説明する。このガスの漏れ検出方法と漏れ対処方法は、上記の第1の実施の形態のエンジン1と第2の実施の形態のエンジン1Aにおける制御方法であり、制御装置40によって実施される。
【0045】
このガスの漏れ検出方法では、ガス圧縮装置25の作動時(電磁クラッチ34がON)でかつブレーキ非作動時に蓄ガス容器27内の圧力Pvが上がらない第1状態と、ガス圧縮装置25の非作動時でかつブレーキ非作動時に蓄ガス容器27内の圧力Pvが下がる第2状態と、ガスCを用いて過給補助を行っているときの蓄ガス容器27内の圧力Pvの低下が大きい第3状態のいずれかである場合に、蓄ガス容器27の周辺の配管、すなわち、圧縮ガス供給通路26や蓄ガス供給通路28等に重大な漏れが発生しているとする。
【0046】
この漏れが発生しているとの判定を受けて、ガス圧縮装置25と蓄ガス容器27との間の圧縮ガス供給通路26に設けた第1緊急遮断弁51と蓄ガス供給通路28に設けた第2緊急遮断弁52とを閉弁する。それと共に、予備圧縮ガス供給通路53を用いてガス圧縮装置25からのガスCを蓄ガス容器27に供給するように切り替える。この切り替えにより、過給補助システムの使用を緊急事態のために停止しても、蓄ガス容器27内の圧力Pvをブレーキ作動に必要な圧力に維持できるので、ブレーキの作動に支障をきたすことなく車両の運転を継続して行うことができる。
【0047】
この第3の状態であるか否かに関しては、過給補助を開始してから予め設定した第1時間t1(例えば、0.25秒)と第2時間t2(例えば、0.30秒)の間において、吸気マニホールド11a内の圧力Piが予め設定した設定圧力Pic以下となるか、蓄ガス容器27の圧力Pvの低下率ΔPvが予め設定した設定低下率ΔPvc以上となるか、蓄ガス容器27内の圧力Pvと吸気マニホールド11a内の圧力Piの圧力差(ΔP=Pv−Pi)が予め設定した設定圧力差ΔPc以上となるかのいずれか一つ又は幾つかの組み合わせが発生した場合に第3状態にあると判定する。
【0048】
この第3の状態であるか否かの判定方法は、次の知見に基づいている。図4に、エンジンを2.5秒間で1000rpmから2500rpmに加速した場合の蓄ガス容器27内の圧力Pvと吸気マニホール11a内の圧力Piと両者の差ΔP=Pv−Piを示す。また、図5に、エンジンを2.5秒間で1000rpmから5000rpmに加速した場合の蓄ガス容器27内の圧力Pvと吸気マニホール11a内の圧力Piと両者の圧力差ΔP=Pv−Piを示す。また、図6に、圧力差ΔPをまとめて示し、図7に圧力差ΔPの変化率をまとめて示す。
【0049】
この図4及び図5から分かるように、両加速条件での蓄ガス容器27内の圧力Pvと吸気マニホールド11a内の圧力Piの値は異なるが、図6に示すように、両者の圧力差ΔPにおける違いは比較的少ない。また、両者の圧力差ΔPが一定値に達するまでの時間に関しても、加速条件の違いによる差は少ないことが分かる。またエンジンの加速条件が違っても、図7に示すように、加速開始後の0.25秒程度で略変化率が一定となる。
【0050】
この略一定となる時間t1はエンジンの吸気系の容積と圧力容器の容積によって異なるので、第1時間t1と第2時間t2は個々のエンジンによって実験で決める値となる。本例では、実験に用いたエンジンでの値を例にすると、第1時間t1は、0.25秒に、第2時間t2は0.30秒になる。
【0051】
従って、エンジンは間欠的に吸気を行っているので、定常的な漏れが発生した場合には吸気マニホールド11a内の圧力Piが下がるので、第1時間t1と第2時間t2の間で測定したときに、吸気マニホールド11a内の圧力Piが低下し、実験により決定する設定圧力Pc以下となる。
【0052】
また、漏れが発生した場合は、蓄ガス容器27内の圧力Pvの低下率ΔPvが大きくなるので、第1時間t1と第2時間t2の間で測定したときに、蓄ガス容器27内の圧力Pvの圧力低下率ΔPvが実験により決定する設定圧力低下率ΔPvc以上となる。
【0053】
また、漏れが発生した場合は、吸気マニホールド11a内の圧力Piが上昇し難くなるので、第1時間t1と第2時間t2の間で測定したときに、蓄ガス容器27内の圧力Pvと吸気マニホールド11a内の圧力Piの圧力差ΔP(=Pv−Pi)が実験により決定する設定圧力差ΔPc以上となる。
【0054】
従って、過給補助システムのガス圧縮装置25からの圧縮ガス供給通路26と蓄ガス供給通路28と吸気系通路12、11aのいずれかに重大な漏れが発生した場合には、上記の圧力Piの判定、圧力低下率ΔPvの判定、圧力差ΔPの判定のいずれかまたは幾つかの組み合わせで判定することができることになる。この組み合わせとしては、「OR」によるものと、「AND」によるものと、その組み合わせによるものが考えられるが、実験などにより、より適切なものを適宜選択すればよい。
【0055】
上記の内燃機関の過給補助方法及びエンジン(内燃機関)1、1Aによれば、エンジン1、1Aを搭載した車両の急加速時や発進時等のエンジン1、1Aの過渡運転時において、ターボ式過給機14のターボラグに起因する加速性能の低下を最小限に防止し、排気ガスG中の粒子状物質(PM)と窒素酸化物(NOx)の低減を図ることができるガスCによる過給補助において、精度良く、蓄ガス容器27の周囲の圧縮ガス供給通路26と蓄ガス供給通路28と吸気系通路12、11aの配管からのガスCの漏れを検知することができ、漏れを検出した場合に、第1緊急遮断弁51と第2緊急遮断弁段52を閉弁することで蓄ガス容器27内のガスCの漏出を迅速に防止することができる。
【0056】
その結果、この蓄ガス容器27から吸気通路12までの過給補助用の圧縮ガス供給通路26と蓄ガス供給通路28と吸気系通路12、11aの配管に亀裂やシール不良が万一発生した場合でも、これらの通路を遮断できて、過給補助用の蓄ガス容器とブレーキ作動用の圧力容器を兼用にした場合でも、ブレーキ作動に与える悪影響を少なくして支障なくブレーキ作動を行うことができる。
【0057】
また、さらに、予備圧縮ガス供給通路53を用いることで、過給補助システムの使用を緊急事態のために停止しても、過給補助用の蓄ガス容器とブレーキ作動用の圧力容器を兼用にした場合でも、ブレーキの作動に支障をきたすことなく車両の運転ができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の内燃機関の過給補助方法及び内燃機関は、ガス圧縮装置を用いて、排気ガスの一部と空気とこれらの混合ガスのいずれかのガスを蓄ガス容器に溜め込み、負荷が急激に増加する過渡状態のときに前記ガスをシリンダ内に一時的に供給して、過渡状態のNOxの排出を抑制するとともに加速性能を向上させる内燃機関において、万一、蓄ガス供給システムと吸気系通路の配管に亀裂やシール不良が発生した場合にも、これらの通路を遮断できて、過給補助用の蓄ガス容器とブレーキ作動用の圧力容器を兼用にした場合でも、ブレーキ作動に与える悪影響を少なくして支障なくブレーキ作動を行うことができる。
【0059】
従って、ガス圧縮装置を用いて、排気ガスの一部と空気とこれらの混合ガスのいずれかのガスを蓄ガス容器に溜め込み、負荷が急激に増加する過渡状態のときに前記ガスをシリンダ内に一時的に供給して、過渡状態のNOxの排出を抑制するとともに加速性能を向上させる、トラックやバスや乗用車等に搭載する内燃機関の過給補助方法及び内燃機関で利用できる。
【符号の説明】
【0060】
1、1A、1X、1Y、1Z エンジン(内燃機関)
11 エンジン本体
11a 吸気マニホールド(吸気系通路)
12 吸気通路(吸気系通路)
13 排気通路(排気系通路)
14 ターボ式過給機
17 EGR通路
21 EGR弁
22 排気ガス導入通路
25 ガス圧縮装置
26 圧縮ガス供給通路
27 蓄ガス容器
28 蓄ガス供給通路
30 流路切替装置
40 制御装置
51 第1緊急遮断弁
52 第2緊急遮断弁
53 予備圧縮ガス供給通路
54 第1圧力センサ
55 第2圧力センサ
A 新気
Aa 空気
C ガス
G 排気ガス
Ge EGRガス
Gp 排気ガスの一部
Pi 吸気マニホールド内の圧力
Pic 設定圧力
Pv 蓄ガス容器内の圧力
t1 第1時間
t2 第2時間
ΔP 圧力差
ΔPc 設定圧力差
ΔPv 蓄ガス容器の圧力の低下率
ΔPvc 設定低下率

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気ガスの一部をシリンダ内に再循環するためのEGR通路と、
内燃機関の排気ガスの一部と空気とこれらの混合ガスのいずれかのガスを圧縮するガス圧縮装置と、
該ガス圧縮装置で圧縮された前記ガスを貯蓄する蓄ガス容器と、
該蓄ガス容器と吸気系通路を流路切替装置を介して接続する蓄ガス供給通路を備えた内燃機関の過給補助方法において、
過給補助用の前記蓄ガス容器と内燃機関を搭載した車両のブレーキ作動用の圧力容器とを兼用にし、
前記ガス圧縮装置の作動時でかつブレーキ非作動時に前記蓄ガス容器内の圧力が上がらない第1状態と、
前記ガス圧縮装置の非作動時でかつブレーキ非作動時に前記蓄ガス容器内の圧力が下がる第2状態と、
過給補助を開始してから予め設定した第1時間と第2時間の間において、吸気マニホールド内の圧力が予め設定した設定圧力以下となるか、前記蓄ガス容器の圧力の低下率が予め設定した設定低下率以上となるか、前記蓄ガス容器内の圧力と前記吸気マニホールド内の圧力の圧力差が予め設定した設定圧力差以上となるかのいずれか一つ又は幾つかの組み合わせが発生した第3状態のいずれかの状態となった場合に、
前記ガス圧縮装置と前記蓄ガス容器との間の圧縮ガス供給通路に設けた緊急遮断弁と前記蓄ガス供給通路に設けた緊急遮断弁とを閉弁することを特徴とする内燃機関の過給補助方法。
【請求項2】
前記緊急遮断弁の閉弁時に、前記ガス圧縮装置と前記蓄ガス容器とを連通する圧縮ガス供給通路と並行に設けた予備圧縮ガス供給通路経由で前記ガスを前記ガス圧縮装置から前記蓄ガス容器に供給することを特徴とする請求項1記載の内燃機関の過給補助方法。
【請求項3】
内燃機関の排気ガスの一部をシリンダ内に再循環するためのEGR通路と、
内燃機関の排気ガスの一部と空気とこれらの混合ガスのいずれかのガスを圧縮するガス圧縮装置と、
該ガス圧縮装置で圧縮された前記ガスを貯蓄する蓄ガス容器と、
該蓄ガス容器と吸気系通路を流路切替装置を介して接続する蓄ガス供給通路を備えた内燃機関において、
過給補助用の前記蓄ガス容器と内燃機関を搭載した車両のブレーキ作動用の圧力容器とを兼用にし、吸気マニホールド内の圧力を検出する第1圧力センサと前記蓄ガス容器内の圧力を検出する第2圧力センサを設けると共に、前記ガス圧縮装置と前記蓄ガス容器との間の圧縮ガス供給通路に第1緊急遮断弁を、前記蓄ガス供給通路に第2緊急遮断弁を設け、更に、前記第1圧力センサと前記第2圧力センサで検出された前記圧力をもとに、前記第1緊急遮断弁と前記第2緊急遮断弁の開閉を制御する制御装置を備えて、
該制御装置が、
前記ガス圧縮装置の作動時でかつブレーキ非作動時に前記蓄ガス容器内の圧力が上がらない第1状態と、
前記ガス圧縮装置の非作動時でかつブレーキ非作動時に前記蓄ガス容器内の圧力が下がる第2状態と、
過給補助を開始してから予め設定した第1時間と第2時間の間において、吸気マニホールド内の圧力が予め設定した設定圧力以下となるか、前記蓄ガス容器の圧力の低下率が予め設定した設定低下率以上となるか、前記蓄ガス容器内の圧力と前記吸気マニホールド内の圧力の圧力差が予め設定した設定圧力差以上となるかのいずれか一つ又は幾つかの組み合わせが発生した第3状態のいずれかの状態となった場合に、
前記第1緊急遮断弁と前記第2緊急遮断弁を閉弁する制御を行うことを特徴とする内燃機関。
【請求項4】
前記ガス圧縮装置と前記蓄ガス容器とを連通する圧縮ガス供給通路と並行に予備圧縮ガス供給通路を設け、
前記制御装置が、前記緊急遮断弁の閉弁時に、前記予備圧縮ガス供給通路経由で前記ガスを前記ガス圧縮装置から前記蓄ガス容器に供給する制御を行うことを特徴とする請求項3記載の内燃機関。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−251504(P2012−251504A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−125686(P2011−125686)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(000000170)いすゞ自動車株式会社 (1,721)
【Fターム(参考)】