説明

内燃機関

【課題】クランクケースを含む下部構造物とシリンダブロックとが相対的に移動する圧縮比可変機構を備え、十分な量の潤滑油を各部位に供給できる内燃機関を提供する。
【解決手段】内燃機関は、クランクシャフトと共に回転する第1歯部と、第1歯部の回転力が伝達される第2歯部と、第2歯部と一体的に回転し、吸気カムシャフトに回転力を伝達するタイミングチェーンを駆動する第3歯部とを備える。第2歯部および第3歯部は、移動シャフト62により回転可能に支持されている。移動シャフト62は、クランク側支持部材73を介してクランクシャフト61に支持されている。クランクシャフト61の油路61aを流通する潤滑油が、クランク側支持部材73の油路73aを通してタイミングチェーンに供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の燃焼室においては、空気および燃料の混合気が圧縮された状態で点火される。混合気を圧縮するときの圧縮比は、出力されるトルクおよび燃料消費量に影響を与えることが知られている。圧縮比を高くすることにより出力されるトルクを大きくしたり、燃料消費量を少なくしたりすることができる。一方で、圧縮比を高くしすぎると、ノッキング等の異常燃焼が生じることが知られている。従来の技術においては、運転期間中に圧縮比を変更することができる圧縮比可変機構を備える内燃機関が知られている。
【0003】
内燃機関の可動する部分や摺動する部分には潤滑油が供給される。たとえば、クランクシャフトの支持部分、ピストンの外周面、および吸気弁および排気弁を駆動する動弁機構などに潤滑油が供給される。圧縮比可変機構を備える内燃機関においても、各部位に潤滑油を供給する必要がある。
【0004】
特開2009−144572号公報には、シリンダブロックおよびシリンダヘッドに上下方向に延在するオイル通路が形成されており、オイルパンから汲み上げられたオイルがシリンダブロックを通ってシリンダヘッドのオイル通路に供給される内燃機関が開示されている。また、シリンダヘッドに供給されたオイルは、吸気カムシャフトおよび排気カムシャフトのオイル通路に供給されることが開示されている。この内燃機関においては、シリンダヘッドの前面に動弁室に通じるオイルの落とし穴が設けられており、動弁室に落下したオイルを落とし穴から排出してタイミングチェーンに供給することが開示されている。
【0005】
特開2005−69181号公報においては、クランクケースに対してシリンダブロックが動く可変圧縮比の内燃機関が開示されている。この内燃機関においては、オイルパンに貯留された潤滑油を、ポンプによって内燃機関の各部位に圧送することが開示されている。潤滑油は、ポンプによって潤滑油供給本管に圧送された後に、潤滑油供給本管からクランクケース、シリンダブロックおよびシリンダヘッドの各部位に、供給されることが開示されている。
【0006】
特開2009−30508号公報においては、移動機構によってシリンダブロックとクランクケースとを相対移動させることにより、圧縮比を変更可能に構成されている内燃機関が開示されている。この内燃機関においては、オイルポンプにより加圧された潤滑油がメインオイル流路に供給され、メインオイル流路からシリンダヘッド、シリンダブロックに潤滑油が供給されることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−144572号公報
【特許文献2】特開2005−69181号公報
【特許文献3】特開2009−30508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
クランクケースに対して、シリンダブロックが相対的に移動する圧縮比可変機構を備える内燃機関においては、シリンダブロックに対するクランクケースの位置が変化する。このために、クランクケースに形成されている油路を流れる潤滑油をシリンダブロックに直接的に供給することが難しいという問題がある。
【0009】
たとえば、上記の特開2005−69181号公報に開示されている内燃機関においては、始めに潤滑油を潤滑油供給本管に供給し、次に潤滑油供給本管からシリンダブロック、シリンダヘッドおよびクランクケースに潤滑油を供給している。このような潤滑油供給本管からシリンダヘッド等に潤滑油を供給する管は、伸縮可能または変形可能なオイルホース等で形成し、クランクケースおよびシリンダブロックの外側に配置することができる。または、クランクケースからシリンダヘッドにオイルホースを用いて潤滑油を供給し、シリンダヘッドからシリンダブロックに潤滑油を落下させる油路を形成することにより各部位に潤滑油を供給することができる。しかしながら、シリンダブロックおよびシリンダヘッドに潤滑油を供給するための油路を複雑に構成したり、長くしたりすると、油路における圧力損失が大きくなり、各部分に十分な量の潤滑油を供給できない虞がある。または、十分な量の潤滑油を供給するために潤滑油を供給するオイルポンプを大型化しなければならなくなる虞がある。
【0010】
たとえば、内燃機関の吸気弁および排気弁は、吸気カムおよび排気カムにより開閉が行なわれる。吸気カムおよび排気カムはカムシャフトに支持され、カムシャフトには、クランクシャフトの回転力が伝達されて回転する。このような吸気弁および排気弁を駆動する動弁機構には、スプロケット、チェーン、チェーンに張力を付与するテンショナ等の潤滑油を供給すべき部位が多く存在する。このために、油路を複雑に構成すると、動弁機構に十分な量の潤滑油が供給できない虞がある。
【0011】
本発明は、クランクケースを含む下部構造物とシリンダブロックとが相対的に移動する圧縮比可変機構を備え、十分な量の潤滑油を各部位に供給できる内燃機関を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の内燃機関は、クランクシャフトを支持するクランクケースを含む下部構造物と、ピストンが配置される穴部を有するシリンダブロックと、下部構造物に対してシリンダブロックが相対移動することにより燃焼室の容積が変化して圧縮比が変化する圧縮比可変機構と、クランクシャフトと共に回転する第1の回転駆動部と、第1の回転駆動部の回転力がクランク側巻掛け部材により伝達される第2の回転駆動部と、第2の回転駆動部と一体的に回転し、吸気カムシャフトおよび排気カムシャフトに回転力を伝達するカムシャフト側巻掛け部材に係合する第3の回転駆動部とを備える。第2の回転駆動部および第3の回転駆動部は、下部構造物に対するシリンダブロックの移動に伴って移動する移動シャフトにより回転可能に支持されている。移動シャフトは、クランク側支持部材を介してクランクシャフトに支持されている。クランクシャフトは、潤滑油の油路を有し、クランク側支持部材は、クランクシャフトの油路に接続されている潤滑油の油路を有する。クランクシャフトの油路を流通する潤滑油が、クランク側支持部材の油路を通してカムシャフト側巻掛け部材に供給される。
【0013】
上記発明においては、移動シャフトは、クランク側支持部材の油路に接続されている潤滑油の油路を有し、移動シャフトの油路は、潤滑油を移動シャフトの外部に放出可能に形成されており、移動シャフトの油路を通して潤滑油を放出することにより、カムシャフト側巻掛け部材に潤滑油が供給されることが好ましい。
【0014】
上記発明においては、移動シャフトの油路は、潤滑油が第2の回転駆動部および第3の回転駆動部の間の領域から放出可能に形成されており、第2の回転駆動部および第3の回転駆動部の間の領域において潤滑油が放出されることにより、カムシャフト側巻掛け部材およびクランク側巻掛け部材に潤滑油が供給されることが好ましい。
【0015】
上記発明においては、シリンダブロックに固定されているブロック側シャフトと、ブロック側シャフトと移動シャフトとを互いに支持するブロック側支持部材とを備え、移動シャフトは、クランク側支持部材の油路に接続されている潤滑油の油路を有し、ブロック側支持部材は、移動シャフトの油路に接続されている潤滑油の油路を有し、移動シャフトの油路を流通する潤滑油が、ブロック側支持部材の油路を通して、ブロック側支持部材とブロック側シャフトとの摺動部分に供給されることが好ましい。
【0016】
上記発明においては、第1の回転駆動部と第2の回転駆動部との間に配置され、クランク側巻掛け部材に張力を付与する張力付与装置を備え、張力付与装置は、加圧された潤滑油が供給されることにより、クランク側巻掛け部材を押圧するように形成されており、クランク側支持部材の油路から張力付与装置に加圧された潤滑油を供給することが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、クランクケースを含む下部構造物とシリンダブロックとが相対的に移動する圧縮比可変機構を備え、十分な量の潤滑油を各部位に供給できる内燃機関を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施の形態における内燃機関の概略図である。
【図2】実施の形態における内燃機関の圧縮比可変機構の概略分解斜視図である。
【図3】実施の形態における内燃機関が高圧縮比になった時のシリンダブロックおよびクランクケースの部分の概略断面図である。
【図4】実施の形態における内燃機関が低圧縮比になった時のシリンダブロックおよびクランクケースの部分の概略断面図である。
【図5】実施の形態における動弁機構の概略正面図である。
【図6】実施の形態における動弁機構のクランク側支持部材、移動シャフト、およびブロック側支持部材の部分の概略斜視図である。
【図7】実施の形態における圧縮比可変機構が駆動したときのクランク側支持部材およびブロック側支持部材の作用を説明する概略図である。
【図8】実施の形態におけるクランクシャフト、クランク側支持部材、移動シャフト、およびブロック側支持部材の内部の油路を説明する概略斜視図である。
【図9】実施の形態におけるクランク側支持部材およびクランクシャフトの概略断面図である。
【図10】実施の形態における移動シャフトおよびブロック側支持部材の部分の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1から図10を参照して、実施の形態における内燃機関について説明する。本実施の形態においては、車両に配置されている内燃機関を例に取り上げて説明する。
【0020】
図1は、本実施の形態における内燃機関の概略図である。本実施の形態における内燃機関は、火花点火式である。内燃機関は、機関本体1を備える。機関本体1は、シリンダブロック2とシリンダヘッド4とを含む。シリンダブロック2の内部には、ピストン3が配置されている。ピストン3は、シリンダブロック2の内部で往復運動する。
【0021】
燃焼室5は、それぞれの気筒ごとに形成されている。燃焼室5には、機関吸気通路および機関排気通路が接続されている。機関吸気通路は、燃焼室5に空気または燃料と空気との混合気を供給するための通路である。機関排気通路は、燃料の燃焼により生じた排気を燃焼室5から排出するための通路である。
【0022】
シリンダヘッド4には、吸気ポート7および排気ポート9が形成されている。吸気弁6は吸気ポート7の端部に配置され、燃焼室5に連通する機関吸気通路を開閉可能に形成されている。排気弁8は、排気ポート9の端部に配置され、燃焼室5に連通する機関排気通路を開閉可能に形成されている。シリンダヘッド4には、点火装置としての点火プラグ10が固定されている。点火プラグ10は、燃焼室5にて燃料を点火するように形成されている。
【0023】
本実施の形態における内燃機関は、燃焼室5に燃料を供給するための燃料噴射弁11を備える。本実施の形態における燃料噴射弁11は、吸気ポート7に燃料を噴射するように配置されている。燃料噴射弁11は、この形態に限られず、燃焼室5に燃料を供給できるように配置されていれば構わない。たとえば、燃料噴射弁は、燃焼室に直接的に燃料を噴射するように配置されていても構わない。
【0024】
燃料噴射弁11は、電子制御式の吐出量可変な燃料ポンプ29を介して燃料タンク28に接続されている。燃料タンク28内に貯蔵されている燃料は、燃料ポンプ29によって燃料噴射弁11に供給される。
【0025】
各気筒の吸気ポート7は、対応する吸気枝管13を介してサージタンク14に連結されている。サージタンク14は、吸気ダクト15を介してエアクリーナ(図示せず)に連結されている。吸気ダクト15の内部には、吸入空気量を検出する吸入空気量検出器16が配置されている。吸気ダクト15の内部には、ステップモータ17によって駆動されるスロットル弁18が配置されている。一方、各気筒の排気ポート9は、対応する排気枝管19に連結されている。排気枝管19は、排気処理装置21に連結されている。本実施の形態における排気処理装置21は、三元触媒20を含む。排気処理装置21は、排気管22に接続されている。
【0026】
本実施の形態における内燃機関は、電子制御ユニット31を備える。本実施の形態における電子制御ユニット31は、デジタルコンピュータを含む。電子制御ユニット31は、双方向バス32を介して相互に接続されたRAM(ランダムアクセスメモリ)33、ROM(リードオンリメモリ)34、CPU(マイクロプロセッサ)35、入力ポート36および出力ポート37を含む。
【0027】
吸入空気量検出器16の出力信号は、対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。アクセルペダル40には、負荷センサ41が接続されている。負荷センサ41の出力信号は、対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。
【0028】
クランク角センサ42は、クランクシャフトが、例えば所定の角度を回転する毎に出力パルスを発生し、この出力パルスは入力ポート36に入力される。クランク角センサ42の出力により、機関回転数を検出することができる。また、クランク角センサ42の出力により、クランク角度を検出することができる。機関排気通路において、排気処理装置21の下流には、排気処理装置21の温度を検出する温度検出器としての温度センサ43が配置されている。温度センサ43の出力は、対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。
【0029】
電子制御ユニット31の出力ポート37は、それぞれの対応する駆動回路39を介して燃料噴射弁11および点火プラグ10に接続されている。本実施の形態における電子制御ユニット31は、燃料噴射制御や点火制御を行うように形成されている。すなわち、燃料を噴射する時期および燃料の噴射量が電子制御ユニット31により制御される。更に点火プラグ10の点火時期が電子制御ユニット31により制御されている。また、出力ポート37は、対応する駆動回路39を介して、スロットル弁18を駆動するステップモータ17および燃料ポンプ29に接続されている。これらの機器は、電子制御ユニット31により制御されている。
【0030】
吸気弁6は、吸気カム51が回転することにより開閉するように形成されている。排気弁8は、排気カム52が回転するようことにより開閉するように形成されている。本実施の形態における内燃機関は、可変動弁機構を備える。可変動弁機構は、吸気弁6の開閉時期を変更する可変バルブタイミング装置53を含む。本実施の形態における可変バルブタイミング装置53は、吸気カム51の回転軸に接続されている。可変バルブタイミング装置53は、電子制御ユニット31により制御されている。
【0031】
本実施の形態における内燃機関は、圧縮比可変機構を備える。本発明においては、ピストンが圧縮上死点に達したときにピストンの冠面とシリンダヘッドとに囲まれる気筒内の空間を燃焼室と称する。内燃機関の圧縮比は、燃焼室の容積等に依存して定まる。本実施の形態における圧縮比可変機構は、燃焼室の容積を変更することにより圧縮比を変更するように形成されている。内燃機関の圧縮比は、(圧縮比)=(燃焼室の容積+吸気弁が閉じている期間のピストンの行程容積)/(燃焼室の容積)で示される。
【0032】
図2は、本実施の形態における内燃機関の圧縮比可変機構の分解斜視図である。図3は、内燃機関の燃焼室の部分の第1の概略断面図である。図3は、圧縮比可変機構により高圧縮比になったときの概略図である。本実施の形態における内燃機関は、クランクケースを含む下部構造物と、下部構造物の上側に配置されているシリンダブロックとが互いに相対移動する。本実施の形態における下部構造物は、圧縮比可変機構を介してシリンダブロックを支持している。また、本実施の形態における下部構造物は、クランクシャフトを支持している。
【0033】
図2および図3を参照して、シリンダブロック2の両側の側壁の下方には複数個の突出部80が形成されている。突出部80には、断面形状が円形のカム挿入孔81が形成されている。クランクケース79の上壁には、複数個の突出部82が形成されている。突出部82には、断面形状が円形のカム挿入孔83が形成されている。クランクケース79の突出部82は、シリンダブロック2の突出部80同士の間に嵌合する。
【0034】
本実施の形態における圧縮比可変機構は、シリンダブロックの支持軸としての一対のカムシャフト84,85を含む。カムシャフト84,85には、それぞれのカム挿入孔83内に回転可能に挿入される円形カム88が固定されている。円形カム88は各カムシャフト84,85の回転軸線と同軸状に配置されている。
【0035】
一方で、それぞれの円形カム88の両側には、カムシャフト84,85の回転軸線に対して偏心して配置された偏心軸87が延びている。この偏心軸87上には、別の円形カム86が偏心して回転可能に取付けられている。これらの円形カム86は円形カム88の両側に配置されている。円形カム86は対応するカム挿入孔81内に回転可能に挿入されている。
【0036】
圧縮比可変機構は、モータ89を含む。モータ89の回転軸90には、螺旋方向が互いに逆向きの2つのウォームギヤ91,92が取付けられている。それぞれのカムシャフト84,85の端部には、歯車93,94が固定されている。歯車93,94は、ウォームギヤ91,92と噛み合うように配置されている。モータ89が回転軸90を回転させることにより、カムシャフト84,85を、互いに反対方向に回転させることができる。
【0037】
図3を参照して、それぞれのカムシャフト84,85上に配置された円形カム88を、矢印97に示すように互いに反対方向に回転させると、偏心軸87が円形カム88の上端に向けて移動する。円形カム86は、カム挿入孔81内において、矢印96に示すように円形カム88と反対方向に回転する。
【0038】
図4に、本実施の形態における内燃機関の燃焼室の部分の第2の概略断面図を示す。図4は、圧縮比可変機構により低圧縮比になったときの概略図である。図4に示されるように偏心軸87が円形カム88の上端まで移動すると、円形カム88の中心軸が偏心軸87よりも下方に移動する。図3および図4を参照して、クランクケース79とシリンダブロック2との相対位置は、円形カム86の中心軸と円形カム88の中心軸との距離によって定まる。円形カム86の中心軸と円形カム88の中心軸との距離が大きくなるほどシリンダブロック2はクランクケース79から離れる。矢印98に示すようにシリンダブロック2がクランクケース79から離れるほど、ピストン3が圧縮上死点に達したときの燃焼室5の容積が大きくなる。
【0039】
本実施の形態における圧縮比可変機構は、クランクケースに対してシリンダブロックが相対的に移動することにより、燃焼室の容積が可変に形成されている。図3ではピストン3が圧縮上死点に到達しており、燃焼室5の容積が小さくなっている。この状態では、圧縮比が大きくなる。これに対して、図4ではピストン3が圧縮上死点に到達しており、燃焼室5の容積が大きくなっている。この状態では、圧縮比が小さくなる。このように、本実施の形態における内燃機関は、運転期間中に圧縮比を変更することができる。たとえば、内燃機関の運転状態に応じて、圧縮比可変機構により圧縮比を変更することができる。
【0040】
本実施の形態における圧縮比可変機構は、回転軸を偏心させた円形カムを回転させることにより、クランクケースに対してシリンダブロックを相対的に移動させているが、この形態に限られず、クランクケースに対してシリンダブロックを移動させて圧縮比を変更できる任意の圧縮比可変機構を採用することができる。
【0041】
内燃機関は、一般的に機関負荷が低いほど熱効率が悪くなる。従って、内燃機関の運転時における熱効率を向上させるためには、負荷が低いときの熱効率を向上させることが好ましい。本実施の形態における圧縮比可変機構にて圧縮比を高くすることにより熱効率を向上させることができる。特に、圧縮比を高くすると、ピストンが上死点から下死点に向かうときの膨張比が大きくなるために熱効率が向上する。ところが、圧縮比可変機構により圧縮比を上昇させると、所定の圧縮比でノッキング等の異常燃焼が発現する。
【0042】
本実施の形態における内燃機関は、可変動弁機構を備え、吸気弁の開閉時期が可変に形成されている。吸気弁を閉じる時期を遅くすることにより、燃焼室に流入する空気量を少なくすることができる。すなわち、吸気弁を閉じる時期を遅くすることにより、燃焼室において混合気が圧縮される実際の圧縮比を小さくすることができる。
【0043】
本実施の形態の内燃機関では、低負荷のときには圧縮比可変機構により機械的な圧縮比が高くなるように制御している。すなわち、ピストンが圧縮上死点に到達したときの燃焼室の容積が小さくなるように制御している。一方で、可変動弁機構により吸気弁を閉じる時期を遅くし、実際の圧縮比が高くなり過ぎない様に制御して、ノッキング等の発生を抑制することができる。吸気弁を閉じる時期を遅くしても、膨張比は大きくなったままであるために、熱効率の向上を図ることができる。このように、本実施の形態における内燃機関は、燃焼室における実際の圧縮比を異常燃焼の発現する圧縮比未満に維持しながら、膨張比を大きくして熱効率を向上させることができる。
【0044】
図5に、本実施の形態における吸気弁および排気弁を駆動する動弁機構の概略正面図を示す。吸気カム51は、吸気カムシャフト69により支持されている。また、排気カム52は、排気カムシャフト70により支持されている。吸気カムシャフト69には、吸気カムスプロケット67が固定されている。排気カムシャフト70には、排気カムスプロケット68が固定されている。吸気カムスプロケット67および排気カムスプロケット68には、カムシャフト側巻掛け部材としてのタイミングチェーン72が係合している。
【0045】
図6に、本実施の形態におけるクランク側支持部材、移動シャフト、およびブロック側支持部材の部分の拡大概略図を示す。図5および図6を参照して、本実施の形態におけるクランクシャフト61は、クランクケースに支持されている。クランクシャフト61には、スプロケット59が固定されている。スプロケット59は、第1の回転駆動部としての第1歯部64を有する。第1歯部64は、周方向に沿って複数の歯を有し、クランク側チェーン71に係合している。第1歯部64は、クランクシャフト61と共に回転する。
【0046】
本実施の形態における内燃機関は、スプロケット60を有する。スプロケット60は、第2の回転駆動部としての第2歯部65を含む。スプロケット60は、第3の回転駆動部としての第3歯部66を含む。第2歯部65および第3歯部66のそれぞれの歯部は、周方向に沿って複数の歯を有している。本実施の形態における第2歯部65および第3歯部66は、一体的に1つのスプロケット60に形成されている。第2歯部および第3歯部としては、この形態に限られず、第2歯部および第3歯部が一体的に回転するように形成されていれば構わない。たとえば、第2歯部を有するスプロケットおよび第3歯部を有するスプロケットが別体で形成され、これらの2つのスプロケットが互いに固定されていても構わない。
【0047】
スプロケット60は、移動シャフト62により回転可能に支持されている。移動シャフト62は、後述するようにクランクケース79に対するシリンダブロック2の移動に伴って移動する。
【0048】
第1歯部64および第2歯部65には、クランク側巻掛け部材としてのクランク側チェーン71が巻回されている。クランクシャフト61の回転力は、第1歯部64からクランク側チェーン71を介して第2歯部65に伝達される。第3歯部66は、タイミングチェーン72に係合しており、第2歯部65と一体的に回転する。このため、第2歯部65の回転力は、第3歯部66およびタイミングチェーン72を介して、吸気カムスプロケット67および排気カムスプロケット68に伝達される。吸気カムシャフト69および排気カムシャフト70が回転することにより、吸気弁および排気弁が開閉される。
【0049】
タイミングチェーン72は、吸気カムスプロケット67と第3歯部66との間の領域がダンパ77によって支持されている。また、排気カムスプロケット68と第3歯部66との間の領域が、スリッパ76により支持されている。スリッパ76には、テンショナ75が接続されている。テンショナ75がスリッパ76を介してタイミングチェーン72を押圧することにより、タイミングチェーン72の張力が調整される。
【0050】
また、本実施の形態における内燃機関は、スプロケット59とスプロケット60との間に、クランク側チェーン71に張力を付与する張力付与装置としてのテンショナ78が配置されている。本実施の形態におけるテンショナ78は、油圧により駆動するプランジャを含む。テンショナ78は、加圧された潤滑油が供給されることにより、クランク側チェーン71を外側に向かって押圧してクランク側チェーン71の張力を調整する。
【0051】
移動シャフト62は、クランク側支持部材73を介して、クランクシャフト61に支持されている。クランク側支持部材73は、クランクシャフト61と移動シャフト62との距離をほぼ一定に保つ機能を有する。また、移動シャフト62は、ブロック側支持部材74を介して、ブロック側シャフト63に支持されている。ブロック側シャフト63は、固定部材58を介してシリンダブロック2に固定されている。ブロック側支持部材74は、ブロック側シャフト63と移動シャフト62との間の距離をほぼ一定に保つ機能を有する。
【0052】
本実施の形態における圧縮比可変機構では、クランクケース79に対してシリンダブロック2が相対的に移動する。本実施の形態における開閉弁としての吸気弁および排気弁の動弁機構は、移動シャフト62、クランク側支持部材73、およびブロック側支持部材74が移動することにより、圧縮比可変機構の動作に追従する。
【0053】
図7に、圧縮比可変機構が駆動したときのクランク側支持部材とブロック側支持部材の概略図を示す。図7は、高圧縮比から低圧縮比に移行する時のそれぞれの支持部材の動作を説明する図である。本実施の形態の内燃機関においては、クランクシャフト61の回転軸は不動である。図3を参照して、矢印98に示すように、クランクケース79に対してシリンダブロック2が上昇することにより圧縮比が低下する。図7を参照して、圧縮比が低下したときには、シリンダブロック2に固定されているブロック側シャフト63が矢印101に示す向きに移動する。移動シャフト62が移動可能に形成されてために、ブロック側シャフト63の移動に伴って、移動シャフト62が矢印102に示すように移動する。クランク側支持部材73およびブロック側支持部材74は、移動シャフト62を支持しながら移動する。
【0054】
図5から図7を参照して、本実施の形態における動弁機構は、圧縮比が変化してもクランクシャフト61と移動用シャフト62との距離が、クランク側支持部材73によってほぼ一定に維持される。このために、クランク側チェーン71の張力をほぼ一定に保つことができる。たとえば、クランク側チェーン71が緩んでしまうことを抑制できる。タイミングチェーン72の張力は、テンショナ75がスリッパ76を介してタイミングチェーン72を押圧することにより、圧縮比可変機構が駆動しても調整することができる。
【0055】
本実施の形態においては、スプロケット59とスプロケット60との間に、テンショナ78が配置されているが、この形態に限られず、テンショナ78が配置されてなくても構わない。この場合においても、圧縮比が変化してもクランクシャフト61と移動シャフト62との距離がほぼ一定に保たれるために、クランク側チェーン71の張力を適正に保つことができる。
【0056】
このように、本実施の形態における内燃機関は、クランクケースに対してシリンダブロックが移動しても、クランクシャフトの回転力を吸気カムシャフトおよび排気カムシャフトに確実に伝達することができる。
【0057】
本実施の形態の内燃機関においては、それぞれのチェーンと歯部との接触部分、およびそれぞれのシャフトと支持部材との摺動部分に潤滑油を供給する潤滑油供給機構を有する。本実施の形態における内燃機関は、クランクシャフトの内部に形成されている油路に供給された潤滑油をそれぞれの部位に供給する。
【0058】
図8に、本実施の形態における内燃機関のクランクシャフト、クランク側支持部材、移動シャフト、およびブロック側支持部材の部分の概略斜視図を示す。図8においては、それぞれの部材の内部に形成されている油路が破線で示されている。本実施の形態におけるクランクシャフト61は、内部に油路61aを有する。本実施の形態における油路61aは、クランクシャフト61の軸受け部分と摺動するクランクジャーナルに形成された油路に接続されている。
【0059】
図9に、本実施の形態におけるクランクシャフトとクランク側支持部材との概略断面図を示す。クランクシャフト61は、径方向に延びる油路61bを内部に有する。油路61bは、油路61aに接続されている。クランク側支持部材73の内部には、油路73aと油路73bとが形成されている。油路73aは、クランク側支持部材73の延びる方向に沿って形成されている。
【0060】
本実施の形態におけるクランク側支持部材73は、クランクシャフト61の軸受け部分に、溝部73cを有する。クランクシャフト61と溝部73cとに囲まれる空間により油路が形成される。クランクシャフト61の内部の油路61bは、溝部73cにより形成される油路に連通する。溝部73cによって形成される油路は、クランク側支持部材73の油路73aに接続されている。このように、本実施の形態におけるそれぞれのシャフトと支持部材との接触部分には、シャフトの軸受けとなる部分に溝部が形成されることにより、シャフトの油路と支持部材の油路とが接続されている。
【0061】
また、図8および図9を参照して、クランク側支持部材73の油路73bは、油路73aから分岐している。油路73bは、テンショナ78に潤滑油を供給可能に形成されている。
【0062】
図10に、移動シャフトとブロック側支持部材との部分の概略断面図を示す。スプロケット60の第2歯部65と第3歯部66とは、同軸状に形成されている。また、第2歯部65と第3歯部66とは、互いに間隔を空けて配置されている。移動シャフト62は、内部に油路62aと油路62bとを有する。油路62aは、移動シャフト62の軸方向に沿って延びるように形成されている。油路62bは、移動シャフト62の径方向に沿って延びる様に形成されている。本実施の形態においては、複数箇所において油路62bが形成されている。移動シャフト62の油路62bは、クランク側支持部材73の油路73aに接続されている。
【0063】
本実施の形態において、油路62bは、スプロケット60と移動シャフト62との摺動部分に潤滑油を供給するように形成されている。また、油路62bは、移動シャフト62とブロック側支持部材74との摺動部分に潤滑油を供給するように形成されている。
【0064】
本実施の形態におけるスプロケット60は、内部に油路60aを有する。スプロケット60には、油路を連通させるための溝部が形成されている。スプロケット60の油路60aは、移動シャフト60の油路62bに接続されている。油路62bおよび油路60aを通して、外部に潤滑油を放出できるように形成されている。
【0065】
ブロック側支持部材74の内部には、油路74aが形成されている。油路74aは、ブロック側支持部材74の延びる方向に沿って形成されている。本実施の形態における移動シャフト62の油路62bは、ブロック側支持部材74の油路74aに接続されている。油路74aは、ブロック側支持部材74とブロック側シャフト63との摺動部分まで到達するように形成されている。
【0066】
本実施の形態の内燃機関においては、クランクケースの下部に配置されているオイルパンに貯留する潤滑油が、オイルポンプによって加圧される。加圧された潤滑油は、クランクケースの内部に形成されているメインオイルホールに貯留する。
【0067】
図8から図10を参照して、メインオイルホールに貯留する潤滑油の一部は、クランクジャーナルを通ってクランクシャフト61の油路61aに供給される。潤滑油は、矢印107に示すように、油路61aを通った後に油路61bに流入する。
【0068】
油路61bに流入した潤滑油は、溝部73cにより構成される油路を通って、クランク側支持部材73の油路73aに流入する。また、油路61bに流入した潤滑油は、クランクシャフト61と、クランク側支持部材73の軸受け部分との摺動部分に供給される。クランクシャフト61と、クランク側支持部材73の軸受け部分との摺動部分が潤滑される。
【0069】
クランク側支持部材73の油路73aに流入した潤滑油は、矢印102に示す向きに移動シャフト62に向かって流れる。潤滑油の一部は、油路73bに流入し、矢印103に示すように、油路73bの放出口からテンショナ78に供給される。テンショナ78は、側面に形成された穴部から潤滑油が導入されることにより、プランジャが駆動してクランク側チェーン71を押圧することができる。クランク側支持部材73と移動シャフト62との摺動部分には、油路73aにより潤滑油が供給される。
【0070】
クランク側支持部材73の油路73aを流れる潤滑油は、移動シャフト62の油路62aに流入する。油路62aにおいては、矢印104に示すように、移動シャフト62の軸方向に沿って流れる。油路62aから径方向に延びる油路62bに流入した潤滑油の一部は、ブロック側支持部材74の油路74aに流入する。油路74aに流入した潤滑油は、矢印105に示すように、ブロック側支持部材74とブロック側シャフト63との摺動部分まで移送される。ブロック側シャフト63とブロック側支持部材74との摺動部分に潤滑油が供給され、この摺動部分を潤滑することができる。
【0071】
また、移動シャフト62の油路62bに流入した潤滑油の一部は、スプロケット60の油路60aを通って、矢印106に示すように、径方向の外側に向かって放出される。スプロケット60の油路60aから潤滑油が放出されることにより、第2歯部65に係合しているクランク側チェーン71および第3歯部66に係合しているタイミングチェーン72に潤滑油を供給することができる。
【0072】
このように、本実施の形態における内燃機関は、クランクシャフトに形成された油路からクランク側支持部材を介してタイミングチェーンに潤滑油を供給することができる。または、クランクケースからシリンダヘッドに供給した潤滑油を用いなくてもタイミングチェーンに潤滑油を供給することができる。このために、タイミングチェーンに十分な量の潤滑油を供給することができる。また、クランクケースからシリンダヘッドまたはシリンダブロックに供給する必要のある潤滑油の量を少なくすることができる。この結果、十分な量の潤滑油を各部位に供給することができる。または、シリンダヘッド等に潤滑油を供給するためのオイルポンプが大型になることを抑制できる。
【0073】
更に、本実施の形態における内燃機関は、クランク側チェーンに対してもクランクシャフトに形成された油路から潤滑油を供給することができる。また、クランク側チェーンに張力を付与するテンショナに対しても、クランクシャフトに形成された油路から潤滑油を供給することができる。このように、本実施の形態における内燃機関は、クランクシャフトを流れる潤滑油を、動弁機構の多くの部分に供給することができて、クランクケースからシリンダヘッドまたはシリンダブロックに供給する必要のある潤滑油の量を少なくすることができる。
【0074】
本実施の形態における内燃機関は、移動シャフトの油路を通る潤滑油が外部に放出されることにより、タイミングチェーンに潤滑油が供給されている。この構成を採用することにより、タイミングチェーンに近い位置から潤滑油を放出することができて、より確実にタイミングチェーンに潤滑油を供給することができる。タイミングチェーンに潤滑油を供給する構成としては、この形態に限られず、クランク側支持部材の油路を通して、タイミングチェーンに潤滑油が供給されるように形成されていれば構わない。例えば、クランク側支持部材の油路からタイミングチェーンに向かって潤滑油を噴出するように形成されていても構わない。
【0075】
本実施の形態における移動シャフトの油路は、潤滑油が第2歯部および第3歯部の間の領域から放出可能に形成されており、第2歯部および第3歯部の間の領域において潤滑油が放出されることにより、タイミングチェーンに加えてクランク側チェーンに潤滑油が供給されている。この構成により、一つの放出口から2つのチェーンに対して潤滑油を供給することができて、効率よく潤滑油を供給することができる。
【0076】
本実施の形態においては、クランクシャフトとクランク側支持部材との摺動部分、クランク側支持部分と移動シャフトとの摺動部分、移動シャフトと第2歯部および第3歯部との摺動部分、移動シャフトとブロック側支持部材との摺動部分、およびブロック側支持部材とブロック側シャフトとの摺動部分に潤滑油を供給するように形成されているが、この形態に限られず、それぞれの摺動部分には、他の潤滑油供給機構により潤滑油が供給されていても構わない。
【0077】
また、本実施の形態における内燃機関は、クランク側チェーンに張力を付与する張力付与装置に潤滑油を供給するように形成されてが、この形態に限られず、張力付与装置には、他の潤滑油供給機構から潤滑油が供給されていても構わない。
【0078】
上述のそれぞれの図において、同一または相当する部分には同一の符号を付している。なお、上記の実施の形態は例示であり発明を限定するものではない。また、実施の形態においては、特許請求の範囲に示される変更が含まれている。
【符号の説明】
【0079】
2 シリンダブロック
4 シリンダヘッド
5 燃焼室
31 電子制御ユニット
59 スプロケット
60 スプロケット
60a 油路
61 クランクシャフト
61a,61b 油路
62 移動シャフト
62a 油路
63 ブロック側シャフト
64 第1歯部
65 第2歯部
66 第3歯部
67 吸気カムスプロケット
68 排気カムスプロケット
69 吸気カムシャフト
70 排気カムシャフト
71 クランク側チェーン
72 タイミングチェーン
73 クランク側支持部材
73a,73b 油路
74 ブロック側支持部材
74a 油路
78 テンショナ
79 クランクケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランクシャフトを支持するクランクケースを含む下部構造物と、
ピストンが配置される穴部を有するシリンダブロックと、
下部構造物に対してシリンダブロックが相対移動することにより燃焼室の容積が変化して圧縮比が変化する圧縮比可変機構と、
クランクシャフトと共に回転する第1の回転駆動部と、
第1の回転駆動部の回転力がクランク側巻掛け部材により伝達される第2の回転駆動部と、
第2の回転駆動部と一体的に回転し、吸気カムシャフトおよび排気カムシャフトに回転力を伝達するカムシャフト側巻掛け部材に係合する第3の回転駆動部とを備え、
第2の回転駆動部および第3の回転駆動部は、下部構造物に対するシリンダブロックの移動に伴って移動する移動シャフトにより回転可能に支持されており、
移動シャフトは、クランク側支持部材を介してクランクシャフトに支持されており、
クランクシャフトは、潤滑油の油路を有し、
クランク側支持部材は、クランクシャフトの油路に接続されている潤滑油の油路を有し、
クランクシャフトの油路を流通する潤滑油が、クランク側支持部材の油路を通してカムシャフト側巻掛け部材に供給されることを特徴とする、内燃機関。
【請求項2】
移動シャフトは、クランク側支持部材の油路に接続されている潤滑油の油路を有し、
移動シャフトの油路は、潤滑油を移動シャフトの外部に放出可能に形成されており、
移動シャフトの油路を通して潤滑油を放出することにより、カムシャフト側巻掛け部材に潤滑油が供給されることを特徴とする、請求項1に記載の内燃機関。
【請求項3】
移動シャフトの油路は、潤滑油が第2の回転駆動部および第3の回転駆動部の間の領域から放出可能に形成されており、
第2の回転駆動部および第3の回転駆動部の間の領域において潤滑油が放出されることにより、カムシャフト側巻掛け部材およびクランク側巻掛け部材に潤滑油が供給されることを特徴とする、請求項2に記載の内燃機関。
【請求項4】
シリンダブロックに固定されているブロック側シャフトと、
ブロック側シャフトと移動シャフトとを互いに支持するブロック側支持部材とを備え、
移動シャフトは、クランク側支持部材の油路に接続されている潤滑油の油路を有し、
ブロック側支持部材は、移動シャフトの油路に接続されている潤滑油の油路を有し、
移動シャフトの油路を流通する潤滑油が、ブロック側支持部材の油路を通して、ブロック側支持部材とブロック側シャフトとの摺動部分に供給されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の内燃機関。
【請求項5】
第1の回転駆動部と第2の回転駆動部との間に配置され、クランク側巻掛け部材に張力を付与する張力付与装置を備え、
張力付与装置は、加圧された潤滑油が供給されることにより、クランク側巻掛け部材を押圧するように形成されており、
クランク側支持部材の油路から張力付与装置に加圧された潤滑油を供給することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の内燃機関。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−184725(P2012−184725A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49248(P2011−49248)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】