説明

内装部品の取付構造

【課題】取付対象構造体と内装部品の係合体との隙間に起因する内装部品のがたつきが生じることを抑制することのできる内装部品の取付構造を提供する。
【解決手段】アシストグリップ10の取付構造において、アタッチメント20は、ボディパネル90の表面90A側に配置されたグリップ本体11から突き出てパネル孔91を介してボディパネル90の裏面90B側まで延びるクリップ40と、ボディパネル90の裏面90B側に位置するクリップ40の部位に設けられる第2係合爪42と、同係合爪42をボディパネル90の裏面90B側から表面90A側に向けてボディパネル90に押し付けるスライドピン50とを含めて構成される。そして、第2係合爪42がボディパネル90に押し付けられることによる第2係合爪42とボディパネル90との係合を通じて、アタッチメント20とともにグリップ本体11がボディパネル90に取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等に設けられる内装部品をその取り付けの対象となる取付対象構造体に取り付けるための内装部品の取付構造であって、より具体的には、内装部品に設けられた係合体と取付対象構造体との係合を通じて内装部品を取付対象構造体に取り付けるものに関する。
【背景技術】
【0002】
上記内装部品の取付構造として、例えば、車両のアシストグリップを金属製のクリップにより車両本体に固定するものが知られている。特許文献1には、こうした内装部品の取付構造として次のものが提案されている。
【0003】
図18に示されるように、特許文献1のアシストグリップ110には、同グリップ110を車両のボディパネル100に取り付けるための金属製のクリップ120が設けられている。またクリップ120には、ボディパネル100のクリップ穴101にはめ込まれた状態においてボディパネル100に係合する第1掛止爪121が設けられている。
【0004】
そして、ボディパネル100へのアシストグリップ110の取り付けに際しては、クリップ120の一対の脚部130が内側方向に弾性変形させられつつ、同クリップ120の先端側がボディパネル100のクリップ穴101に挿入される。その後、第1掛止爪121がボディパネル100の裏側まで押し込められ、一対の脚部130が元の形状に復元することにともない、図19に示されるように第1掛止爪121がボディパネル100の裏面側102に掛け止めされる。これにより、ボディパネル100と第1掛止爪121との係合を通じてクリップ120がボディパネル100に固定されるため、併せてアシストグリップ110がボディパネル100に固定されるようになる。ちなみに、上記同様の内装部品の取付構造は、特許文献2においても開示されている。
【特許文献1】特開2003−226182号公報
【特許文献2】特開2006−151047号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1の取付構造においては、第1掛止爪121がボディパネル100の裏面側102に掛け止めされる際、図20に示されるように、第1掛止爪121はボディパネル100の裏面側102において脚部130を通じて裏面側102から離間する方向に押されるようになる。すなわち第1掛止爪121は、まずはクリップ穴101に対応する位置Aに配置され、次に脚部130を通じてクリップ穴101の内側から外側に向けて押され、そしてクリップ穴101の縁に対応する位置を越えてボディパネル100の裏面側102に対応する位置Bまで移動させられ、さらに脚部130を通じて裏面側102から離間する方向に押される。
【0006】
これにより、一対の脚部130が元の状態に復元したときには、すなわち第1掛止爪121が裏面側102に掛け止めされたときには、図21に示されるように第1掛止爪121と裏面側102との間に隙間が形成されるため、車両の振動等にともない同隙間に起因するアシストグリップ110のがたつきが生じるようになる。なお、こうした問題は、アシストグリップを車両に取り付ける取付構造に限られず、取付対象構造体と内装部品の係合体との係合を通じて内装部品を取付対象構造体に取り付ける内装部品の取付構造であれば同様に生じるものと考えられる。
【0007】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は取付対象構造体と内装部品の係合体との隙間に起因する内装部品のがたつきが生じることを抑制することのできる内装部品の取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
(1)請求項1に記載の発明は、取付対象構造体の表側に配置された内装部品を同部品に設けられた取付体を通じて前記取付対象構造体に取り付ける内装部品の取付構造において、前記取付体は、前記取付対象構造体の表側に配置された前記内装部品から突き出て前記取付対象構造体の孔を介して前記取付対象構造体の裏側まで延びる延長体と、前記取付対象構造体の裏側に位置する前記延長体の部位に設けられる係合体と、同係合体を前記取付対象構造体の裏側から表側に向けて前記取付対象構造体に押し付ける押付体とを含めて構成されるものであり、前記係合体が前記取付対象構造体に押し付けられることによる前記係合体と前記取付対象構造体との係合を通じて、前記取付体とともに前記内装部品が前記取付対象構造体に取り付けられることを要旨としている。
【0009】
上記発明によれば、内装部品の取付体に設けられた係合体と、取付対象構造体との係合を通じて内装部品を取付対象構造体に取り付ける内装部品の取付構造において、係合体が押付体を通じて取付対象構造体に押し付けられた状態で内装部品が取付対象構造体に取り付けられるため、すなわち係合体と取付対象構造体との間に隙間が形成されていない状態で内装部品が取り付けられるため、取付対象構造体と内装部品の係合体との隙間に起因する内装部品のがたつきが生じることを的確に抑制することができるようになる。
【0010】
(2)請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の内装部品の取付構造において、前記取付体は、前記延長体と前記係合体とが一体的に構成され、前記押付体が前記延長体及び前記係合体とは各別に構成されるものであり、前記押付体は、前記取付対象構造体の孔の内側から外側へ向けて前記延長体を押すことにより、前記係合体を前記取付対象構造体の裏側から表側に向けて同取付対象構造体に押し付けるものであることを要旨としている。
【0011】
(3)請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の内装部品の取付構造において、前記押付体は、自身の先端部が前記取付対象構造体の孔を介して前記取付対象構造体の表側から裏側へ押し込められることにより、前記延長体を前記取付対象構造体の孔の内側から外側へ向けて押すものであることを要旨としている。
【0012】
(4)請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の内装部品の取付構造において、前記押付体は、前記内装部品が前記取付対象構造体の表側から裏側へ向けて押されることにともない、前記内装部品を通じて自身の先端部が前記取付対象構造体の裏側に押し込められるものであることを要旨としている。
【0013】
上記発明によれば、内装部品を取付対象構造体の表側から裏側へ向けて押す動作と、押付体の先端部を取付対象構造体の裏側に押し込める動作とが同時に行われるため、内装部品の取り付けにかかる作業性を向上させることができるようになる。
【0014】
(5)請求項5に記載の発明は、請求項2〜4のいずれか一項に記載の内装部品の取付構造において、前記係合体は、前記押付体を通じて前記取付対象構造体に押し付けられる前の状態のときに、前記取付対象構造体の裏側において前記取付対象構造体に対して所定の間隔を経た位置に配置され、前記押付体を通じて押されることにともない前記取付対象構造体の孔の縁と接触して前記取付対象構造体と係合するものであることを要旨としている。
【0015】
(6)請求項6に記載の発明は、請求項2〜5のいずれか一項に記載の内装部品の取付構造において、前記延長体は、前記取付対象構造体の表側に位置する端部を基端部とし、前記取付対象構造体の裏側に位置する端部を先端部とし、前記基端部と前記先端部との間の部位を中間部として、前記中間部から前記先端部へ向かうにつれて前記取付対象構造体の孔の外側から内側へ傾斜する傾斜部が設けられるものであり、前記係合体は、前記延長体の傾斜部において前記延長体に対して前記押付体が配置される側とは反対側に設けられるものであり、前記押付体は、前記延長体の傾斜部を前記取付対象構造体の孔の外側へ向けて押すことにより、前記延長体の係合体を前記取付対象構造体に押し付けるものであることを要旨としている。
【0016】
上記発明によれば、傾斜部が押付体を通じて取付対象構造体の孔の外側へ向けて押されるため、すなわち延長体における傾斜部の基端部を支点として傾斜部が弧を描く態様で押されるため、これに併せて係合体も弧を描く態様で取付対象構造体の裏側から表側へ向けて押されるようになる。そして、そうした弧を描く態様での係合体の移動が取付対象構造体との接触を通じて規制されることにより、係合体が取付対象構造体に押し付けられるようになる。このように、係合体が押付体を通じて取付対象構造体に確実に押し付けられた状態で内装部品が取付対象構造体に取り付けられるため、内装部品のがたつき発生の抑制にかかる効果をより一層高めることができるようになる。
【0017】
(7)請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の内装部品の取付構造において、前記取付体は、前記延長体として空間を介して対向する第1延長体及び第2延長体を備えて構成されるものであり、前記第1延長体及び前記第2延長体は、前記延長体の先端側に向かうにつれて前記第1延長体の傾斜部と前記第2延長体の傾斜部との間隔が小さくなる態様でこれら傾斜部が対応した状態で配置されるものであり、前記押付体は、前記第1延長体と前記第2延長体との間の空間に挿入されて、前記第1延長体及び前記第2延長体の傾斜部を前記取付対象構造体の孔の外側へ向けて押すことにより、前記第1延長体及び前記第2延長体の係合体をそれぞれ前記取付対象構造体に押し付けるものであることを要旨としている。
【0018】
上記発明によれば、第1延長体と第2延長体との間に押付体を挿入することにより、第1延長体及び第2延長体の係合体がそれぞれ取付対象構造体に押し付けられるため、内装部品の取付にかかる作業性をより向上させることができるようになる。また、第1延長体及び第2延長体の係合体と取付対象構造体との係合を通じて、内装部品が取付対象構造体に取り付けられるため、一方の延長体の係合体のみと取付対象構造体との係合を通じて内装部品を取り付ける場合に比べて、内装部品の取り付け状態をより安定させることができるようになる。
【0019】
(8)請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の内装部品の取付構造において、前記第1延長体には、同第1延長体の幅方向に所定の間隔を置いて一対の前記係合体が設けられ、前記第2延長体には、同第2延長体の幅方向に所定の間隔を置いて一対の前記係合体が設けられることを要旨としている。
【0020】
上記発明によれば、第1延長体及び第2延長体のそれぞれに設けられた一対の延長体と取付対象構造体との係合を通じて内装部品が取付対象構造体に取り付けられるため、内装部品の取り付け状態をより安定させることができるようになる。
【0021】
(9)請求項9に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の内装部品の取付構造において、前記延長体には、前記延長体の幅方向に所定の間隔を置いて複数の前記係合体が設けられることを要旨としている。
【0022】
上記発明によれば、延長体に設けられた複数の係合体と取付対象構造体との係合を通じて内装部品が取付対象構造体に取り付けられるため、内装部品の取り付け状態をより安定させることができるようになる。
【0023】
(10)請求項10に記載の発明は、請求項1〜9のいずれか一項に記載の内装部品の取付構造において、前記延長体の先端部には前記押付体側に向けて突き出る延長突出部が設けられることを要旨としている。
【0024】
上記発明によれば、押付体側に向けて突き出る延長突出部が延長体の先端部に設けられていることにより、係合体を取付対象構造体に押し付ける力が押付体と延長突出部との接触を通じて強められるため、取付対象構造体と内装部品の係合体との間に隙間が形成されることをより的確に抑制することができるようになる。
【0025】
(11)請求項11に記載の発明は、請求項1〜10のいずれか一項に記載の内装部品の取付構造において、前記押付体の先端部には前記延長体側に向けて突き出る押付突出部が設けられることを要旨としている。
【0026】
上記発明によれば、延長体側に向けて突き出る押付突出部が押付体の先端部に設けられていることにより、係合体を取付対象構造体に押し付ける力が延長体と押付突出部との接触を通じて強められるため、取付対象構造体と内装部品の係合体との間に隙間が形成されることをより的確に抑制することができるようになる。
【0027】
(12)請求項12に記載の発明は、請求項1〜11のいずれか一項に記載の内装部品の取付構造において、前記延長体の先端部には前記押付体側に向けて突き出る延長突出部が設けられ、前記押付体の先端部には前記延長体側に向けて突き出る押付突出部が設けられるとともに、前記係合体が前記取付対象構造体に押し付けられる状態のときに前記延長突出部と前記押付突出部とが接触した状態に維持されることを要旨としている。
【0028】
上記発明によれば、係合体を取付対象構造体に押し付ける力が延長突出部と押付突出部との接触を通じて強められるため、取付対象構造体と内装部品の係合体との間に隙間が形成されることをより的確に抑制することができるようになる。
【0029】
(13)請求項13に記載の発明は、請求項1〜12のいずれか一項に記載の内装部品の取付構造において、前記取付体は、前記内装部品を保持する保持体を備えるとともに、前記保持体の内部に前記押付体の先端部が挿入され、且つ前記押付体と前記保持体との間に前記延長体が配置される状態で前記延長体と前記押付体と前記保持体とが組み合わされるものであることを要旨としている。
【0030】
(14)請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の内装部品の取付構造において、前記取付体は、前記押付体が前記保持体に対して前記取付対象構造体側に向けて押し込まれることを通じて、前記係合体が前記押付体の先端部により前記取付対象構造体に押し付けられた状態に移行するものであり、前記取付対象構造体と前記係合体との係合にともない前記押付体の押付係合部と前記保持体の保持係合部とが係合して前記保持体に対する前記押付体の移動が規制されるものであることを要旨としている。
【0031】
上記発明によれば、取付対象構造体と係合体との係合にともない押付係合部と保持係合部との係合を通じて保持体に対する押付体の移動が規制されるため、押付体のがたつきが生じることを的確に抑制することができるようになる。
【0032】
(15)請求項15に記載の発明は、請求項14に記載の内装部品の取付構造において、前記取付体は、前記押付体が前記保持体に対して前記取付対象構造体側に向けて押し込まれる過程において、前記押付係合部が前記保持体の保持案内部により前記保持係合部に案内されるとともに前記押付係合部が前記保持案内部に接触しはじめてから前記押付係合部と前記保持係合部とが係合するまでにわたり前記押付係合部及び前記保持案内部が互いに接触した状態に維持されるものであり、前記押付係合部及び前記保持案内部の少なくとも一方は、前記押付体が前記保持体に対して前記取付対象構造体側に押し込まれる過程において、前記押付係合部と前記保持案内部との接触により生じる力を徐々に増大させる態様で形成されるものであることを要旨としている。
【0033】
上記発明によれば、押付係合部が保持案内部に接触した状態に維持されつつ保持係合部に案内されるため、押付係合部と保持係合部とを的確に係合させることができるようになる。また、押付体が保持体に対して押し込まれる過程において押付係合部及び保持案内部が互いに接触した状態に維持されるものの、この接触にともない生じる力が徐々に増大するため、押付体の押し込みを円滑に行うことができるようになる。
【0034】
(16)請求項16に記載の発明は、請求項15に記載の内装部品の取付構造において、前記保持案内部は、前記内装部品側から前記取付対象構造体側へ向かうにつれて前記保持体の中心側からの突出量が増大する態様で傾斜するものであることを要旨としている。
【0035】
上記発明によれば、保持案内部はその突出量が内装部品側から取付対象構造体側へ向かうにつれて増大する態様で傾斜しているため、押付体が保持体に対して押し込まれるにつれて、保持案内部が押付係合部を保持体の中心側から離間させる方向に押す力が増大するようになる。すなわち、押付体が保持体に対して取付対象構造体側に押し込まれる過程において、押付係合部と保持案内部との接触にともない生じる力が徐々に増大するようになる。
【0036】
(17)請求項17に記載の発明は、請求項16に記載の内装部品の取付構造において、前記保持案内部の突出量が最も大きい部位よりも前記取付対象構造体側に隣接して前記保持係合部が設けられ、前記保持体に対する前記押付体の移動にともない前記押付係合部が前記突出量の最も大きい部位を乗り越えて前記保持係合部に入り込むことにより前記押付係合部と前記保持係合部との係合を通じて前記保持体に対する前記押付体の移動が規制されることを要旨としている。
【0037】
(18)請求項18に記載の発明は、請求項13〜17のいずれか一項に記載の内装部品の取付構造において、前記取付体は、前記延長体と前記保持体との係合を通じて前記保持体と前記延長体との相対的な移動が規制されるものであることを要旨としている。
【0038】
上記発明によれば、保持体と延長体との相対的な移動が規制されるため、保持体と延長体との相対移動に起因する内装部品のがたつきが生じることを的確に抑制することができるようになる。
【0039】
(19)請求項19に記載の発明は、請求項13〜18のいずれか一項に記載の内装部品の取付構造において、前記押付体が前記延長体と組み合わされているものの前記係合体が前記押付体により押されていない前記取付体の各構成要素の組み合わせ状態を仮止め状態とし、前記押付体と前記延長体との組み合わせを通じて前記係合体が前記押付体により押されている前記取付体の各構成要素の組み合わせ状態を本止め状態として、前記取付体は、前記保持体に対する前記押付体の移動を通じて、前記取付体を前記仮止め状態に保持する前記押付体及び前記保持体の係合状態と、前記取付体を前記本止め状態に保持する前記押付体及び前記保持体の係合状態との変更が許容されるものであることを要旨としている。
【0040】
上記発明によれば、取付体を仮止め状態に保持する押付体及び保持体の係合状態と、取付体を本止め状態に保持する押付体及び保持体の係合状態とを変更することが許容されるため、例えば取付体を仮止め状態に保持した状態で内装部品を組み上げ、この内装部品の取付体を取付対象構造体と組み合わせた後に、保持体に対する押付体の移動を通じて取付体を本止め状態に保持することが可能となる。すなわち、取付体の各構成要素を予め組み合わせて単一のアッセンブリとした状態で内装部品を取付対象構造体に取り付けることが許容されるため、内装部品の取り付けにかかる作業性をより向上させることができるようになる。
【0041】
(20)請求項20に記載の発明は、請求項1〜18のいずれか一項に記載の内装部品の取付構造において、前記押付体が前記延長体と組み合わされているものの前記係合体が前記押付体により押されていない前記取付体の各構成要素の組み合わせ状態を仮止め状態とし、前記押付体と前記延長体との組み合わせを通じて前記係合体が前記押付体により押されている前記取付体の各構成要素の組み合わせ状態を本止め状態として、前記取付体は、前記延長体に対する前記押付体の移動を通じて、前記仮止め状態と前記本止め状態との変更が許容されるものであることを要旨としている。
【0042】
上記発明によれば、取付体の仮止め状態と本止め状態とを変更することが許容されるため、例えば取付体を仮止め状態に保持した状態で内装部品を組み上げ、この内装部品の取付体を取付対象構造体と組み合わせた後に、延長体に対する押付体の移動を通じて取付体を本止め状態に保持することが可能となる。すなわち、取付体の各構成要素を予め組み合わせて単一のアッセンブリとした状態で内装部品を取付対象構造体に取り付けることが許容されるため、内装部品の取り付けにかかる作業性をより向上させることができるようになる。
【0043】
(21)請求項21に記載の発明は、請求項19または20に記載の内装部品の取付構造において、前記取付体を構成して前記内装部品を保持する保持体と前記押付体との係合により前記仮止め状態が維持されることを要旨としている。
【0044】
(22)請求項22に記載の発明は、請求項21に記載の内装部品の取付構造において、前記保持体及び前記押付体には、互いに係合して前記仮止め状態を維持する仮止め係合部が設けられ、前記押付体には、前記保持体の仮止め係合部と前記押付体の仮止め係合部との係合が解除される際に前記保持体とは反対側に向けての自身の一部の変形を促すスリットが設けられることを要旨としている。
【0045】
上記発明によれば、押付体の仮止め係合部と保持体の仮止め係合部との係合が解除される際、押付体の一部(仮止め係合部が設けられた部位及びその付近)がスリットに向けて変形するため、押付体の移動に必要となる力がより小さなものとなる。これにより、仮止め状態から本止め状態への移行を容易に行うことが可能となるため、内装部品の組付性を一層向上させることができるようになる。
【0046】
(23)請求項23に記載の発明は、請求項1〜22のいずれか一項に記載の内装部品の取付構造において、前記内装部品は、車両の室内に設けられて乗員により取手として使用されるアシストグリップであり、前記取付対象構造体は、前記車両のボディパネルであり、前記取付対象構造体の表側は、前記車両の室内側に位置する前記ボディパネルの表面側であり、前記取付対象構造体の裏側は、前記車両の室内側とは反対側に位置する前記ボディパネルの裏面側であることを要旨としている。
【発明の効果】
【0047】
本発明によれば、係合体が押付体を通じて取付対象構造体に押し付けられた状態で内装部品が取付対象構造体に取り付けられるため、すなわち係合体と取付対象構造体との間に隙間が形成されていない状態で内装部品が取り付けられるため、取付対象構造体と内装部品の係合体との隙間に起因する内装部品のがたつきが生じることを的確に抑制することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
(第1実施形態)
図1〜8を参照して、本発明の内装部品の取付構造を車両の内装部品である可倒式アシストグリップの取付構造として具体化した第1実施形態について説明する。
【0049】
図1及び2に示されるように、可倒式のアシストグリップ10は、乗員により取手として使用されるグリップ本体11と、グリップ本体11を回動させるための回転軸となるピン12と、グリップ本体11をボディパネル90に向けて回転させる力をグリップ本体11に対して常に付与するばね13と、グリップ本体11を車両のボディパネル90に取り付けるためのアタッチメント20とを含めて構成されている。また、グリップ本体11がボディパネル90に対して室内側RAに配置された状態において、室内側RAから室外側RBへ向けてアシストグリップ10が押されることを通じてアタッチメント20の一部がボディパネル90の孔(パネル孔91)にはめ込まれることにより、アタッチメント20とともにグリップ本体11がボディパネル90に取り付けられている。すなわち、ボディパネル90に取り付けられたアシストグリップ10において、グリップ本体11の全体はボディパネル90の室内側RAに配置され、アタッチメント20はボディパネル90をまたいで室内側RA及び室外側RBにわたり配置されている。
【0050】
そして、ボディパネル90に取り付けられたアシストグリップ10について、乗員がグリップ本体11を室内側RAへ向けて引っ張った際には、グリップ本体11は乗員の力によりピン12を回転軸として室内側RAまわりに回動し、回動可能な範囲において最大限まで室内側RAまわりに回動した位置に保持される。その後、乗員がグリップ本体11を離した際には、グリップ本体11はばね13の力によりピン12を回転軸として室外側RBまわりに回動し、回動可能な範囲において最大限まで室外側RBまわりに回動した位置に保持される。なお以降では、ボディパネル90への取り付けに際してアシストグリップ10が押し込められる方向を押込方向ABとし、この押込方向ABとは反対の方向、すなわちボディパネル90からの取り外しに際してアシストグリップ10が引き抜かれる方向を引抜方向AAとする。また、ボディパネル90の室内側RAの面を表面90Aとし、ボディパネル90の室外側RBの面を裏面90Bとする。
【0051】
次に、図3〜6を参照してアタッチメント20の詳細な構造について説明する。なお、図3(A)は図1のDA−DA線に沿うアシストグリップ10の断面構造を、図3(B)は図1のDB−DB線に沿うアシストグリップ10の断面構造をそれぞれ示す。また、図4(A)は図3(A)のA部の拡大構造を、図4(B)は図3(A)のB部の拡大構造をそれぞれ示す。
【0052】
図3に示されるように、アタッチメント20は、グリップ本体11を回動可能な状態で保持するためのケース30と、ケース30の孔(ケース孔35)への挿入を通じてケース30に組み付けられてアタッチメント20をボディパネル90に係合させるための一対のクリップ40と、同じくケース孔35への挿入を通じてケース30に組み付けられて一対のクリップ40をボディパネル90に押し付けるためのスライドピン50との組み合わせにより構成されている。そして、各別に形成された一対のクリップ40がそれぞれスライドピン50を通じてボディパネル90に押し付けられて、裏面90B側においてボディパネル90と係合していることにより、アタッチメント20とともにグリップ本体11がボディパネル90に固定されている。すなわち、各クリップ40の間へのスライドピン50の挿入を通じて、各クリップ40の一部がケース孔35の内側から外側へ向けて押されていることにより、各クリップ40のそれぞれとボディパネル90との係合状態が保持されて、アシストグリップ10がボディパネル90に固定されている。なお、グリップ本体11、ケース30及びスライドピン50は樹脂を素材として、またクリップ40は金属を素材としてそれぞれ形成されている。
【0053】
図5に示されるように、クリップ40には、ケース30と組み合わせられた状態においてケース孔35の軸方向に沿う平面部43と、ケース30と組み合わせられた状態且つスライドピン50により押されていない状態において、ケース孔35の軸方向(平面部43)に対して傾斜する傾斜部44と、ケース30と組み合わせられた状態においてケース30の第1係合部31に係合する係合部45とが設けられている。また、図6に示されるように傾斜部44は、スライドピン50により押されていないときには平面部43に対して傾斜した状態に保持される(図6(A))。そして、スライドピン50を通じて押されることにより、平面部43との接続部を支点として弧を描く態様で平面部43に対する姿勢が変化し、最終的には平面部43に対して実質的に平行となる(図6(B))。
【0054】
クリップ40のより具体的な構造について、平面部43には、ケース30の第2係合部32に係合する第1係合爪41が設けられている。また傾斜部44には、ケース30と組み合わせられた状態においてスライドピン50側へ向けて突き出る突出部46と、ボディパネル90の裏面90Bに係合する一対の第2係合爪42と、スライドピン50の突出部56を配置するための中間孔47とが設けられている。一対の第2係合爪42は、クリップ40の幅方向において一定の間隔を経て設けられている。中間孔47は、平面部43の係合部45付近から傾斜部44の突出部46付近までにわたり設けられている。
【0055】
ここで傾斜部44は、クリップ40の基端部側(室内側RA)から先端部側(室外側RB)へ向かうにつれてケース孔35の外側から内側へ向けて傾斜する要素として形成されている。また係合部45は、ケース30の第1係合部31との係合を通じて、ケース30に対する押込方向ABへのクリップ40の移動を規制する要素として形成されている。また突出部46は、図4(A)に示されるように、傾斜部44がスライドピン50を通じてケース孔35の外側へ向けて押される際に、スライドピン50の突出部56と接触する要素として形成されている。また第1係合爪41は、図4(B)に示されるように、ケース30の第2係合部32との係合を通じて、ケース30に対するクリップ40の移動を規制する要素として形成されている。また第2係合爪42は、ボディパネル90との係合を通じて、ボディパネル90に対する引抜方向AAへのクリップ40の移動を規制する要素として形成されている。なお、ケース30に対するクリップ40の移動は、係合部45と第1係合爪41とが併せてケース30に係合することを通じてより確実に規制される。
【0056】
図3(A)に示されるように、アタッチメント20においては上記各構成要素が次の態様で組み合わされている。すなわち各クリップ40及びスライドピン50は、それぞれケース孔35に対して室内側RAから室外側RBへ向けて挿入されて、またすなわちボディパネル90の表面90A側から裏面90B側へ向けて挿入されて、ケース30と組み合わされている。
【0057】
具体的には、まずは各クリップ40が室内側RAから室外側RBへ向けてケース30のケース孔35に挿入され、ケース30の第1係合部31とクリップ40の係合部45との係合を通じてケース30に対する室外側RBへ向けてのクリップ40の移動が規制されるまで、各クリップ40が室外側RBへ押し込められる。そして、第1係合部31と係合部45とが係合したときに、各クリップ40が空間を介して対向する状態でケース30と組み合わせられた状態が確保される。このとき、クリップ40の傾斜部44はケース孔35の外側へ向けて押されていないため、図6(A)に示される状態に保持され、これに併せて傾斜部44上の第2係合爪42はボディパネル90に対して所定の間隔を経て離間する位置に保持される。
【0058】
その後、スライドピン50の室外側RBの端部(先端部54)が室内側RAから室外側RBへ向けて上記空間に対して挿入され、ケース30の第1係合部31とスライドピン50の室内側RAの端部(基端部55)との係合を通じてケース30に対する室外側RBへ向けてのスライドピン50の移動が規制されるまで、スライドピン50が室外側RBへ押し込められる。そして、第1係合部31と基端部55とが係合したときに、各クリップ40の間に形成された上記空間の全体にわたりスライドピン50が配置された状態で、ケース30と各クリップ40とスライドピン50とが組み合わせられた状態が確保される。このとき、クリップ40の傾斜部44はスライドピン50の先端部54を通じてケース孔35の外側へ向けて押されているため、図6(B)に示される状態に保持され、これに併せて傾斜部44上の第2係合爪42はボディパネル90に対して係合する位置に保持される。また、クリップ40にはスライドピン50に向けて突き出た上記突出部46が設けられ、スライドピン50にはクリップ40に向けて突き出た上記突出部56が設けられているため、上記組み合わせ状態においては、クリップ40の傾斜部44をケース孔35の外側へ向けて押す力がこれら突出部46と突出部56との接触を通じてより強められている。
【0059】
図3(B)に示されるように、アタッチメント20においては、ケース30の内周側(ケース孔35を構成する面)に凸部として設けられた一対の第3係合部33と、この第3係合部33に対応してスライドピン50の外周側に凹部として設けられた一対の第1係合部51または第2係合部52との係合を通じて、ケース30に対する押込方向AB(引抜方向AA)についてのスライドピン50の位置決めがなされるように構成されている。また、ケース30の外周側に凹部として設けられた一対の第4係合部34と、この第4係合部34に対応してスライドピン50の側壁部57の内周側に凸部として設けられた一対の第3係合部53との係合によって、ケース30に対する引抜方向AAについてのスライドピン50の移動が規制されるように構成されている。
【0060】
ここで側壁部57は、クリップ40の傾斜部44がスライドピン50を通じてケース孔35の外側へ向けて押されている状態(図3(B))において、ケース30の側方に配置される態様でスライドピン50の基端部55に設けられている。また側壁部57の第3係合部53は、スライドピン50の押込方向ABへの移動を通じて側壁部57がケース30から離間する方向へ変形することにより、第4係合部34にはめ込まれる要素として形成されている。
【0061】
そして、ケース30の第3係合部33とスライドピン50の第2係合部52とが係合するとき(図7(B))、すなわちスライドピン50の凹部である第2係合部52にケース30の凸部である第3係合部33がはめ込まれるとき、スライドピン50は、ケース30に組み合わされているものの各クリップ40の傾斜部44をケース孔35の外側へ向けて押さない位置に保持される。一方、ケース30の第3係合部33とスライドピン50の第1係合部51とが係合するとき(図8(B))、すなわちスライドピン50の凹部である第1係合部51にケース30の凸部である第3係合部33がはめ込まれるとき、スライドピン50は、ケース30に組み合わされているとともに各クリップ40の傾斜部44をケース孔35の外側へ向けて押す位置に保持される。
【0062】
このように、アタッチメント20はケース30と各クリップ40とスライドピン50との組み合わせ状態として、ケース30の第3係合部33とスライドピン50の第2係合部52とが係合した仮止め状態(図7)と、ケース30の第3係合部33とスライドピン50の第1係合部51とが係合した本止め状態(図8)とを選択することが可能となっている。
【0063】
ここで、アシストグリップ10においてアタッチメント20が仮止め状態にあるとき(図7)、グリップ本体11は、ケース30に対する室内側RAへ向けてのスライドピン50の突出量に応じて、最大限まで室外側RBまわりに回動した位置に対して一定量だけ室内側RAまわりに回動した位置に保持されている。このとき、グリップ本体11にはばね13を通じて室外側RBまわりに回動させられる力が付与されているため、グリップ本体11はスライドピン50との接触を通じて同力による回動が規制されて、上述した一定量だけ室内側RAにまわり回動した位置に保持されている。
【0064】
また、アタッチメント20が仮止め状態にある上記アシストグリップ10は、各クリップ40の傾斜部44がスライドピン50を通じて押されていないことにより、各クリップ40の第2係合爪42はボディパネル90に係合しないため、アシストグリップ10は各構成要素が全て組み合わされて単一のアッセンブリとして存在しているものの、このままではボディパネル90に対して固定されない状態に保持されているといえる。換言すると、各クリップ40の第2係合爪42をボディパネル90に対して取り付け可能な位置に配置し、その後にグリップ本体11とともにスライドピン50を室外側RBへ向けて押し込みさえすれば、ボディパネル90に対して速やかに固定可能な状態に保持されているといえる。ちなみに、上記仮止め状態においては、スライドピン50の先端部54が各クリップ40の傾斜部44の間まで押し込まれているものの、先端部54の形状が傾斜部44との間に空間が形成される形状に設定されているため、先端部54により傾斜部44が押されることはない。また、スライドピン50には突出部56が設けられているものの、上記仮止め状態においてはこの突出部56がクリップ40の中間孔47に配置されるため、突出部56により傾斜部44が押されることもない。
【0065】
一方、アシストグリップ10においてアタッチメント20が本止め状態にあるとき(図8)、グリップ本体11は、最大限まで室外側RBまわりに回動した位置に保持されている。また、各クリップ40の傾斜部44がスライドピン50を通じて押されていることにより、各クリップ40の第2係合爪42はボディパネル90に対して係合可能な状態にある。すなわち、アタッチメント20が本止め状態にある上記アシストグリップ10は、ボディパネル90に取り付けられたときのアシストグリップ10に相当する。
【0066】
次に、ボディパネル90に対するアシストグリップ10の取り付け手順の一例について、図7及び8を参照して説明する。
まずは、グリップ本体11が組み付けられたケース30と各クリップ40とスライドピン50とを組み合わせて、アタッチメント20が上記仮止め状態に設定されたアシストグリップ10を組み立てる。そして、このアシストグリップ10の各クリップ40を押込方向ABに向けてボディパネル90のパネル孔91に挿入し、ケース30がボディパネル90に突き当たることによりボディパネル90に対する押込方向ABへのアシストグリップ10の移動が規制されるまで、アシストグリップ10を押込方向ABへ押し込む。これにより、アシストグリップ10は図7に示される状態に保持され、ボディパネル90と各クリップ40の第2係合爪42との間には所定の大きさの隙間が形成される。
【0067】
次に、上記アシストグリップ10のグリップ本体11を室外側RBまわりに回動させることを通じてグリップ本体11を押込方向ABに押し込み、スライドピン50の基端部55がケース30に突き当たることによりケース30に対する押込方向ABへのスライドピン50の移動が規制されるまで、グリップ本体11を回動させる。すなわち、グリップ本体11を室外側RBまわりに向けて最大限まで回動させる。これにより、アシストグリップ10は図8に示される状態に保持され、ボディパネル90に対する各クリップ40の第2係合爪42の係合を通じてアシストグリップ10がボディパネル90に固定される。
【0068】
(実施形態の効果)
以上にて詳述したように、本実施形態の内装部品(アシストグリップ10)の取付構造は、次のように構成されている。
【0069】
すなわちアタッチメント20は、ボディパネル90の表面90A側に配置されたグリップ本体11から突き出てパネル孔91を介してボディパネル90の裏面90B側まで延びるクリップ40と、ボディパネル90の裏面90B側に位置するクリップ40の部位にクリップ40と一体的に設けられる第2係合爪42と、クリップ40とは各別に形成されて第2係合爪42をボディパネル90の裏面90B側から表面90A側に向けてボディパネル90に押し付けるスライドピン50とを含む要素として構成されている。そして、第2係合爪42がボディパネル90に押し付けられることによる第2係合爪42とボディパネル90との係合を通じて、アタッチメント20とともにグリップ本体11がボディパネル90に取り付けられる。
【0070】
またスライドピン50は、パネル孔91の中心側から外周側へ向けてクリップ40の傾斜部44を押すことにより、第2係合爪42をボディパネル90の裏面90B側から表面90A側に向けてボディパネル90に押し付ける要素として構成されている。また、先端部54がパネル孔91を介してボディパネル90の表面90A側から裏面90B側へ押し込められることにより、クリップ40の傾斜部44をパネル孔91の中心側から外周側へ向けて押す要素として構成されている。また、グリップ本体11がボディパネル90の表面90A側から裏面90B側へ向けて押されることにともない、このグリップ本体11を通じて先端部54がボディパネル90の裏面90B側に押し込められる要素として構成されている。
【0071】
またクリップ40において、傾斜部44は、ボディパネル90の表面90A側に位置する端部を基端部とし、ボディパネル90の裏面90B側に位置する端部を先端部とし、基端部と先端部との間の部位を中間部として、中間部から先端部へ向かうにつれてパネル孔91の外周側から中心側へ傾斜する要素として構成されている。加えて第2係合爪42は、クリップ40の傾斜部44においてクリップ40に対してスライドピン50が配置される側とは反対側に設けられ、スライドピン50を通じてパネル孔91の外周側へ向けて押されることによりボディパネル90に押し付けられる要素として構成されている。そして各クリップ40は、空間を介して対向し、且つクリップ40の先端側に向かうにつれて各傾斜部44の間隔が小さくなる態様で傾斜部44が対応した状態で配置されている。そして、各クリップ40の間の空間にスライドピン50が挿入されて、各クリップ40の傾斜部44がパネル孔91の外周側へ向けて押されることにより、第2係合爪42がボディパネル90に押し付けられる。
【0072】
従って、こうした本実施形態の内装部品の取付構造によれば、以下の(1)〜(8)に示すような効果を奏することができるようになる。
(1)本実施形態の内装部品の取付構造によれば、各クリップ40の第2係合爪42がスライドピン50を通じてボディパネル90に押し付けられた状態でアシストグリップ10がボディパネル90に取り付けられるため、すなわちボディパネル90と第2係合爪42との間に隙間が形成されていない状態でアシストグリップ10が取り付けられるため、ボディパネル90とアシストグリップ10の第2係合爪42との隙間に起因するアシストグリップ10のがたつきが生じることを的確に抑制することができるようになる。
【0073】
(2)本実施形態の内装部品の取付構造によれば、クリップ40の傾斜部44がスライドピン50を通じてパネル孔91の外側へ向けて押されるため、すなわち傾斜部44の基端部(平面部43との接続部)を支点として傾斜部44が弧を描く態様で押されるため、これに併せて第2係合爪42も弧を描く態様でボディパネル90の裏面90B側から表面90A側へ向けて押されるようになる。そして、そうした弧を描く態様での第2係合爪42の移動がボディパネル90との接触を通じて規制されることにより、第2係合爪42がボディパネル90に押し付けられるようになる。このように、第2係合爪42がスライドピン50を通じてボディパネル90に確実に押し付けられた状態でアシストグリップ10がボディパネル90に取り付けられるため、アシストグリップ10のがたつき発生の抑制にかかる効果をより一層高めることができるようになる。
【0074】
(3)本実施形態の内装部品の取付構造によれば、各クリップ40の間にスライドピン50を挿入することにより、各クリップ40の第2係合爪42がそれぞれボディパネル90に押し付けられるため、アシストグリップ10の取り付けにかかる作業性を向上させることができるようになる。また、各クリップ40の第2係合爪42とボディパネル90との係合を通じて、アシストグリップ10がボディパネル90に取り付けられるため、一方のクリップ40の第2係合爪42のみとボディパネル90とを係合させてアシストグリップ10を取り付ける場合に比べて、アシストグリップ10の取り付け状態を安定させることができるようになる。
【0075】
(4)本実施形態の内装部品の取付構造によれば、各クリップ40のそれぞれに設けられた一対の第2係合爪42とボディパネル90との係合を通じてアシストグリップ10をボディパネル90に取り付けるようにしているため、アシストグリップ10の取り付け状態をより安定させることができるようになる。
【0076】
(5)本実施形態の内装部品の取付構造によれば、スライドピン50に向けて突き出る突出部46を各クリップ40の傾斜部44に設けるとともに、クリップ40に向けて突き出る突出部56をスライドピン50の先端部54に設けるようにしているため、第2係合爪42をボディパネル90に押し付ける力がこれら突出部46及び突出部56の接触を通じて強められるようになる。これにより、ボディパネル90とアシストグリップ10の第2係合爪42との間に隙間が形成されることをより的確に抑制することができるようになる。
【0077】
(6)本実施形態の内装部品の取付構造によれば、ケース30の第2係合部32と各クリップ40の第1係合爪41との係合を通じて、ケース30と各クリップ40との幅方向についての相対的な移動が規制されるため、ケース30と各クリップ40との相対移動に起因するアシストグリップ10のがたつきが生じることを的確に抑制することができるようになる。
【0078】
(7)本実施形態の内装部品の取付構造によれば、アタッチメント20を仮止め状態に保持するスライドピン50及びケース30の係合状態(図7(B))と、アタッチメント20を本止め状態に保持するスライドピン50及びケース30の係合状態(図8(B))とを変更することができるようにしている。従って、アタッチメント20を仮止め状態に保持した状態でアシストグリップ10を組み上げ、このアシストグリップ10のアタッチメント20をボディパネル90と組み合わせた後に、ケース30に対するスライドピン50の移動を通じてアタッチメント20を本止め状態に保持することが可能となる。すなわち、アタッチメント20の各構成要素を予め組み合わせて単一のアッセンブリとした状態でアシストグリップ10をボディパネル90に取り付けることが許容されるため、アシストグリップ10の取り付けにかかる作業性をより向上させることができるようになる。
【0079】
(8)本実施形態の内装部品の取付構造によれば、アシストグリップ10の取り付けに際して、グリップ本体11をボディパネル90の表面90A側から裏面90B側へ向けて押す動作と、スライドピン50の先端部54をボディパネル90の裏面90B側に押し込める動作とが同時に行われるようにしているため、アシストグリップ10の取り付けにかかる作業性をより向上させることができるようになる。
【0080】
(9)本実施形態の内装部品の取付構造では、クリップ40がボディパネル90に係合することにともない、スライドピン50の基端部55をケース30に突き当てた状態、且つケース30の第3係合部33をスライドピン50の第1係合部51に係合させた状態、且つスライドピン50の第3係合部53をケース30の第4係合部34に係合させた状態を維持するようにしている。これにより、本止め状態においてケース30に対する引抜方向AA及び押込方向ABへのスライドピン50の移動が規制されるため、スライドピン50のがたつきが生じることをより的確に抑制することができるようになる。
【0081】
(第2実施形態)
図9〜14を参照して、本発明の内装部品の取付構造を車両の内装部品である可倒式アシストグリップの取付構造として具体化した第2実施形態について説明する。
【0082】
ここで、本実施形態のアシストグリップ10は、前記第1実施形態のアシストグリップ10のアタッチメント20を図9〜12に示すように変更したものとなっている。なお、図9(A)は図1のDA−DA線に沿う本実施形態のアシストグリップ10の断面構造を、図9(B)は図1のDB−DB線に沿う本実施形態のアシストグリップ10の断面構造をそれぞれ示す。また、図10(A)は図9(A)のC部の拡大構造を、図10(B)は図9(A)のD部の拡大構造をそれぞれ示す。
【0083】
図9に示されるように、アタッチメント20は、グリップ本体11を回動可能な状態で保持するためのケース60と、ケース60の孔(ケース孔65)への挿入を通じてケース60に組み付けられてアタッチメント20をボディパネル90に係合させるための一対のクリップ70と、同じくケース孔65への挿入を通じてケース60に組み付けられて一対のクリップ70をボディパネル90に押し付けるためのスライドピン80との組み合わせにより構成されている。そして、各別に形成された一対のクリップ70がそれぞれスライドピン80を通じてボディパネル90に押し付けられて、裏面90B側においてボディパネル90と係合していることにより、アタッチメント20とともにグリップ本体11がボディパネル90に固定されている。すなわち、各クリップ70の間へのスライドピン80の挿入を通じて、各クリップ70の一部がケース孔65の内側から外側へ向けて押されていることにより、各クリップ70のそれぞれとボディパネル90との係合状態が保持されて、アシストグリップ10がボディパネル90に固定されている。なお、グリップ本体11、ケース60及びスライドピン80は樹脂を素材として、またクリップ70は金属を素材としてそれぞれ形成されている。
【0084】
図11に示されるように、クリップ70には、ケース60と組み合わせられた状態においてケース孔65の軸方向に沿う平面部73と、ケース60と組み合わせられた状態且つスライドピン80により押されていない状態において、ケース孔65の軸方向(平面部73)に対して傾斜する傾斜部74と、ケース60と組み合わせられた状態においてケース60の第1係合部61に係合する係合部75とが設けられている。また、図12に示されるように傾斜部74は、スライドピン80により押されていないときには平面部73に対して傾斜した状態に保持される(図12(A))。そして、スライドピン80を通じて押されることにより、係合部75との接続部を支点として弧を描く態様で平面部73に対する姿勢が変化し、最終的には平面部73に対して実質的に平行となる(図12(B))。
【0085】
クリップ70のより具体的な構造について、平面部73には、ケース60の第2係合部62に係合する第1係合爪71が設けられている。また傾斜部74には、ケース60と組み合わせられた状態においてスライドピン80側へ向けて突き出る突出部76と、ボディパネル90の裏面90Bに係合する一対の第2係合爪72と、スライドピン80の突出部86及び平面部73を配置するための中間孔77とが設けられている。一対の第2係合爪72は、クリップ70の幅方向において一定の間隔を経て設けられている。中間孔77は、傾斜部74における係合部75側の端部から突出部76付近までにわたり設けられている。平面部73は、この中間孔77に対応する態様で、すなわち傾斜部74が平面部73に対して実質的に平行となる姿勢のときに中間孔77に配置される態様で設けられている。平面部73及び傾斜部74は、それぞれクリップ70の基端部側(室内側RA)の端部において係合部75に接続される態様で設けられている。
【0086】
ここで傾斜部74は、クリップ70の基端部側(室内側RA)から先端部側(室外側RB)へ向かうにつれてケース孔65の外側から内側へ向けて傾斜する要素として形成されている。また係合部75は、ケース60の第1係合部61との係合を通じて、ケース60に対する押込方向ABへのクリップ70の移動を規制する要素として形成されている。また突出部76は、図10(A)に示されるように、傾斜部74がスライドピン80を通じてケース孔65の外側へ向けて押される際に、スライドピン80の突出部86と接触する要素として形成されている。また第1係合爪71は、図10(B)に示されるように、ケース60の第2係合部62との係合を通じて、ケース60に対するクリップ70の移動を規制する要素として形成されている。また第2係合爪72は、ボディパネル90との係合を通じて、ボディパネル90に対する引抜方向AAへのクリップ70の移動を規制する要素として形成されている。なお、ケース60に対するクリップ70の移動は、係合部75と第1係合爪71とが併せてケース60に係合することを通じてより確実に規制される。
【0087】
図9(A)に示されるように、アタッチメント20においては上記各構成要素が次の態様で組み合わされている。すなわち各クリップ70及びスライドピン80は、それぞれケース孔65に対して室内側RAから室外側RBへ向けて挿入されて、またすなわちボディパネル90の表面90A側から裏面90B側へ向けて挿入されて、ケース60と組み合わされている。
【0088】
具体的には、まずは各クリップ70が室内側RAから室外側RBへ向けてケース60のケース孔65に挿入され、ケース60の第1係合部61とクリップ70の係合部75との係合を通じてケース60に対する室外側RBへ向けてのクリップ70の移動が規制されるまで、各クリップ70が室外側RBへ押し込められる。そして、第1係合部61と係合部75とが係合したときに、各クリップ70が空間を介して対向する状態でケース60と組み合わせられた状態が確保される。このとき、クリップ70の傾斜部74はケース孔65の外側へ向けて押されていないため、図12(A)に示される状態に保持され、これに併せて傾斜部74上の第2係合爪72はボディパネル90に対して所定の間隔を経て離間する位置に保持される。
【0089】
その後、スライドピン80の室外側RBの端部(先端部84)が室内側RAから室外側RBへ向けて上記空間に対して挿入され、ケース60の第1係合部61とスライドピン80の室内側RAの端部(基端部85)との係合を通じてケース60に対する室外側RBへ向けてのスライドピン80の移動が規制されるまで、スライドピン80が室外側RBへ押し込められる。そして、第1係合部61と基端部85とが係合したときに、各クリップ70の間に形成された上記空間の全体にわたりスライドピン80が配置された状態で、ケース60と各クリップ70とスライドピン80とが組み合わせられた状態が確保される。このとき、クリップ70の傾斜部74はスライドピン80の先端部84を通じてケース孔65の外側へ向けて押されているため、図12(B)に示される状態に保持され、これに併せて傾斜部74上の第2係合爪72はボディパネル90に対して係合する位置に保持される。
【0090】
ここで、クリップ70にはスライドピン80に向けて突き出た上記突出部76が設けられ、スライドピン80にはクリップ70に向けて突き出た上記突出部86が設けられているため、上記組み合わせ状態においては、クリップ70の傾斜部74をケース孔65の外側へ向けて押す力がこれら突出部76と突出部86との接触を通じてより強められている。また突出部86は、上記組み合わせ状態において、クリップ70に対する室内側RAの端部の位置が平面部73の第1係合爪71付近に対応するように、軸方向についての長さ(スライドピン80先端から同端部までの長さ)が前記第1実施形態の突出部56よりも大きく設定されている。
【0091】
図9(B)に示されるように、アタッチメント20においては、ケース60の内周側(ケース孔65を構成する面)に凸部として設けられた一対の第3係合部63と、この第3係合部63に対応してスライドピン80の外周側に凹部として設けられた一対の第1係合部81または第2係合部82との係合を通じて、ケース60に対する押込方向AB(引抜方向AA)についてのスライドピン80の位置決めがなされるように構成されている。また、ケース60の外周側に凹部として設けられた一対の第4係合部64と、この第4係合部64に対応してスライドピン80の側壁部87の内周側に凸部として設けられた一対の第3係合部83との係合によっても、ケース60に対する押込方向AB(引抜方向AA)についてのスライドピン80の位置決めがなされるように構成されている。
【0092】
ここで側壁部87は、クリップ70の傾斜部74がスライドピン80を通じてケース孔65の外側へ向けて押されている状態(図9(B))において、ケース60の側方に配置される態様でスライドピン80の基端部85に設けられている。また側壁部87の第3係合部83は、スライドピン80の押込方向ABへの移動を通じてケース60の第4係合部64にはめ込まれる際に、ケース60との接触を通じて側壁部87がケース60から離間する方向へ滑らかに変形するように、ケース60と接触する部位が傾斜した形状に設定されている。すなわち、側壁部87の第3係合部83において、ケース60の第4係合部64へのはめ込みに際してケース60と接触する部位は、第4係合部64への当該第3係合部83のはめ込みが滑らかに行われる態様での側壁部87の変形を促進させる形状に設定されている。
【0093】
そして、ケース60の第3係合部63とスライドピン80の第2係合部82とが係合するとき(図13(B))、すなわちスライドピン80の凹部である第2係合部82にケース60の凸部である第3係合部63がはめ込まれるとき、スライドピン80は、ケース60に組み合わされているものの各クリップ70の傾斜部74をケース孔65の外側へ向けて押さない位置に保持される。一方、ケース60の第3係合部63とスライドピン80の第1係合部81とが係合するとき(図14(B))、すなわちスライドピン80の凹部である第1係合部81にケース60の凸部である第3係合部63がはめ込まれるとき、スライドピン80は、ケース60に組み合わされているとともに各クリップ70の傾斜部74をケース孔65の外側へ向けて押す位置に保持される。またこのとき、ケース60の第4係合部64と側壁部87の第3係合部83とが係合することによっても、スライドピン80が各クリップ70の傾斜部74をケース孔65の外側へ向けて押す位置に保持される。
【0094】
このように、アタッチメント20はケース60と各クリップ70とスライドピン80との組み合わせ状態として、ケース60の第3係合部63とスライドピン80の第2係合部82とが係合した仮止め状態(図13)と、ケース60の第3係合部63とスライドピン80の第1係合部81とが係合した本止め状態(図14)とを選択することが可能となっている。なお、アタッチメント20が仮止め状態または本止め状態にあるアシストグリップ10の具体的な態様は、前記第1実施形態にて述べた仮止め状態または本止め状態のアシストグリップ10の態様に準じたものとなっている。
【0095】
そして、ボディパネル90に対するアシストグリップ10の取り付けは、図13及び14に示されるように、前記第1実施形態にて述べた取り付け手順に準じた態様をもって行うことができる。すなわち、アタッチメント20を仮止め状態に保持した状態でアシストグリップ10を組み上げ、このアシストグリップ10のアタッチメント20をボディパネル90と組み合わせた後に、ケース60に対するスライドピン80の移動を通じてアタッチメント20を本止め状態に移行させることにより、アシストグリップ10をボディパネル90に固定することができる。
【0096】
(実施形態の効果)
以上にて詳述したように、本実施形態の内装部品(アシストグリップ10)の取付構造は、前記第1実施形態の取付構造に準じて構成されている。従って、こうした本実施形態の内装部品の取付構造によれば、前記第1実施形態による(1)〜(8)の効果に準じた効果を奏することができるようになる。
【0097】
(第3実施形態)
図15〜17を参照して、本発明の内装部品の取付構造を車両の内装部品である可倒式アシストグリップの取付構造として具体化した第3実施形態について説明する。
【0098】
ここで、本実施形態のアシストグリップ10は、前記第1実施形態のアシストグリップ10のアタッチメント20のうちのケース30及びスライドピン50の構造を図15に示すように変更したものとなっている。なお、図15(A)は図1のDA−DA線に沿う本実施形態のアシストグリップ10の断面構造を、図15(B)は図1のDB−DB線に沿う本実施形態のアシストグリップ10の断面構造をそれぞれ示す。また図15〜17では、前記第1実施形態において30番台の符合を付した各構成要素について、これらのそれぞれに対応する本実施形態の各構成要素に300番台の符合を付し、前記第1実施形態において50番台の符合を付した各構成要素について、これらのそれぞれに対応する本実施形態の構成要素に500番台の符合を付している。
【0099】
図15に示されるように、アタッチメント20は、グリップ本体11を回動可能な状態で保持するためのケース300と、ケース300の孔(ケース孔305)への挿入を通じてケース300に組み付けられてアタッチメント20をボディパネル90に係合させるための一対のクリップ40と、同じくケース孔305への挿入を通じてケース300に組み付けられて一対のクリップ40をボディパネル90に押し付けるためのスライドピン500との組み合わせにより構成されている。そして、各別に形成された一対のクリップ40がそれぞれスライドピン500を通じてボディパネル90に押し付けられて、裏面90B側においてボディパネル90と係合していることにより、アタッチメント20とともにグリップ本体11がボディパネル90に固定されている。すなわち、各クリップ40の間へのスライドピン500の挿入を通じて、各クリップ40の一部がケース孔305の内側から外側へ向けて押されていることにより、各クリップ40のそれぞれとボディパネル90との係合状態が保持されて、アシストグリップ10がボディパネル90に固定されている。なお、グリップ本体11、ケース300及びスライドピン500は樹脂を素材として、またクリップ40は金属を素材としてそれぞれ形成されている。
【0100】
図15(A)に示されるように、アタッチメント20においては上記各構成要素が次の態様で組み合わされている。すなわち各クリップ40及びスライドピン500は、それぞれケース孔305に対して室内側RAから室外側RBへ向けて挿入されて、またすなわちボディパネル90の表面90A側から裏面90B側へ向けて挿入されて、ケース300と組み合わされている。
【0101】
具体的には、まずは各クリップ40が室内側RAから室外側RBへ向けてケース300のケース孔305に挿入され、ケース30の第1係合部301とクリップ40の係合部45との係合を通じてケース300に対する室外側RBへ向けてのクリップ40の移動が規制されるまで、各クリップ40が室外側RBへ押し込められる。そして、第1係合部301と係合部45とが係合したときに、各クリップ40が空間を介して対向する状態でケース300と組み合わせられた状態が確保される。このとき、クリップ40の傾斜部44はケース孔305の外側へ向けて押されていないため、図15(A)に示される状態に保持され、これに併せて傾斜部44上の第2係合爪42はボディパネル90に対して所定の間隔を経て離間する位置に保持される。
【0102】
その後、スライドピン500の室外側RBの端部(先端部504)が室内側RAから室外側RBへ向けて上記空間に対して挿入され、ケース300の第1係合部301とスライドピン500の室内側RAの端部(基端部505)との係合を通じてケース300に対する室外側RBへ向けてのスライドピン500の移動が規制されるまで、スライドピン500が室外側RBへ押し込められる。そして、第1係合部301と基端部505とが係合したときに、各クリップ40の間に形成された上記空間の全体にわたりスライドピン500が配置された状態で、ケース300と各クリップ40とスライドピン500とが組み合わせられた状態が確保される。このとき、クリップ40の傾斜部44はスライドピン500の先端部504を通じてケース孔305の外側へ向けて押されているため、図15(B)に示される状態に保持され、これに併せて傾斜部44上の第2係合爪42はボディパネル90に対して係合する位置に保持される。また、クリップ40にはスライドピン500に向けて突き出た突出部46が設けられ、スライドピン500にはクリップ40に向けて突き出た上記突出部506が設けられているため、上記組み合わせ状態においては、クリップ40の傾斜部44をケース孔305の外側へ向けて押す力がこれら突出部46と突出部506との接触を通じてより強められている。
【0103】
図15(B)に示されるように、アタッチメント20においては、ケース300の内周側(ケース孔305を構成する面)に凸部として設けられた一対の第3係合部303と、この第3係合部303に対応してスライドピン500の外周側に凹部として設けられた一対の第2係合部502との係合を通じて、ケース300に対する押込方向AB(引抜方向AA)についてのスライドピン500の位置決めがなされるように構成されている。そして、第3係合部303と第2係合部502とが係合するとき(図16(B))、すなわちスライドピン500の凹部である第2係合部502にケース300の凸部である第3係合部303がはめ込まれるとき、スライドピン500は、ケース300に組み合わされているものの各クリップ40の傾斜部44をケース孔305の外側へ向けて押さない位置に保持される。
【0104】
また、ケース300の外周側に凹部として設けられた一対の第4係合部304と、この第4係合部304に対応してスライドピン500の側壁部507の内周側に凸部として設けられた一対の第3係合部503との係合によって、ケース300に対する引抜方向AAについてのスライドピン500の移動が規制されるように構成されている。そして、第4係合部304と第3係合部503とが係合するとき(図16(B))、すなわちスライドピン500の凸部である第3係合部503がケース300の凹部である第4係合部304にはめ込まれるとき、スライドピン500は各クリップ40の傾斜部44をボディパネル90に押し付ける位置に保持される。
【0105】
第3係合部503は、スライドピン500がケース300に対してボディパネル90に向けて押し込まれる過程において、すべり台306により第4係合部304に案内される。また、第3係合部503がすべり台306に接触しはじめてから第3係合部503と第4係合部304とが係合するまでにわたり第3係合部503及びすべり台306は互いに接触した状態に維持される。
【0106】
すべり台306は、スライドピン500がケース300に対して押し込まれる過程において、第3係合部503とすべり台306との接触により生じる力を徐々に増大させる態様で形成されている。すなわち、室内側RAから室外側RBに向かうにつれてケース300の幅方向の中心側(引抜方向AA及び押込方向ABに対して直交する方向においての中心側)からの突出量、すなわちケース300の外周面から幅方向外側へ向けての突出量が徐々に増大する態様で傾斜した部位として形成されている。
【0107】
第4係合部304は、すべり台306の突出量が最も大きい部位(すべり台306においての最も室外側RBの部位)よりもボディパネル90側に隣接して設けられている。そして、ケース300へのスライドピン500の押し込みにともない第3係合部503がすべり台306との接触を維持しつつすべり台306上を移動し、上記突出量の最も大きい部位を乗り越えて第4係合部304に入り込むことにより第3係合部503と第4係合部304との係合を通じてケース300に対するスライドピン500の移動が規制される。
【0108】
側壁部507は、クリップ40の傾斜部44がスライドピン500を通じてケース孔305の外側へ向けて押されている状態(図15(B))において、ケース300の側方に配置される態様でスライドピン500の基端部505に設けられている。また側壁部507の第3係合部503は、スライドピン500の押込方向ABへの移動を通じて側壁部507がケース300から離間する方向へ変形することにより、第4係合部304にはめ込まれる要素として形成されている。
【0109】
ここでスライドピン500には、第3係合部303と第2係合部502との係合状態が解除される際にケース300とは反対側に向けての自身の一部の変形を促すスリット508が設けられている。これにより、第3係合部303と第2係合部502との係合が解除される際、スライドピン500の一部(第2係合部502が設けられた部位及びその付近)がスリット508に向けて変形するため、スライドピン500の移動に必要となる力がより小さなものとなる。
【0110】
以上のように、アタッチメント20はケース300と各クリップ40とスライドピン500との組み合わせ状態として、ケース300の第3係合部303とスライドピン500の第2係合部502とが係合した仮止め状態(図16)と、ケース300の第4係合部304とスライドピン500の第3係合部503とが係合した本止め状態(図17)とを選択することが可能となっている。なお、アタッチメント20が仮止め状態または本止め状態にあるアシストグリップ10の具体的な態様は、次の点を除いては、前記第1実施形態にて述べた仮止め状態または本止め状態のアシストグリップ10の態様に準じたものとなっている。すなわち前記第1実施形態においては、ケース30の第3係合部33に係合する部位としてスライドピン50に第1係合部51及び第2係合部52が設けられており、これによって本止め状態のときにケース30の第3係合部33とスライドピン50の第2係合部52とが係合した状態に維持される。これに対して本第3実施形態においては、ケース300の第3係合部303に係合する部位としてスライドピン500に第2係合部502のみが設けられており、これによって本止め状態のときにケース300の第3係合部303はスライドピン500と係合しない状態に維持される。
【0111】
そして、ボディパネル90に対するアシストグリップ10の取り付けは、図16及び17に示されるように、前記第1実施形態にて述べた取り付け手順に準じた態様をもって行うことができる。すなわち、アタッチメント20を仮止め状態に保持した状態でアシストグリップ10を組み上げ、このアシストグリップ10のアタッチメント20をボディパネル90と組み合わせた後に、ケース300に対するスライドピン500の移動を通じてアタッチメント20を本止め状態に移行させることにより、アシストグリップ10をボディパネル90に固定することができる。
【0112】
(実施形態の効果)
以上にて詳述したように、本実施形態の内装部品(アシストグリップ10)の取付構造は、前記第1実施形態の取付構造に準じて構成されている。従って、前記第1実施形態による(1)〜(8)の効果に準じた効果を奏することができるようになる。またこれに加えて、以下の効果を奏することができるようになる。
【0113】
(10)本実施形態の内装部品の取付構造では、クリップ40がボディパネル90に係合することにともない、スライドピン500の基端部505をケース300に突き当てた状態、且つスライドピン500の第3係合部503をケース300の第4係合部304に係合させた状態を維持するようにしている。これにより、本止め状態においてケース300に対する引抜方向AA及び押込方向ABへのスライドピン500の移動が規制されるため、スライドピン500のがたつきが生じることをより的確に抑制することができるようになる。
【0114】
(11)本実施形態の内装部品の取付構造では、スライドピン500がケース300に押し込まれる過程において、第3係合部503がすべり台306により第4係合部304に案内されるとともに、第3係合部503が第4係合部304に接触しはじめてから第3係合部503と第4係合部304とが係合するまでにわたり第3係合部503及びすべり台306が互いに接触した状態に維持されるようにしている。これにより、第3係合部503と第4係合部304とを的確に係合させることができるようになる。
【0115】
(12)本実施形態の内装部品の取付構造では、スライドピン500がケース300に押し込まれる過程において第3係合部503とすべり台306との接触により生じる力を徐々に増大させるべくすべり台306の形状を設定するようにしている。すなわち、室内側RAから室外側RBへ向かうにつれてケース300の外周面からの突出量が徐々に増大する態様ですべり台306を形成するようにしている。これにより、スライドピン500がケース300に対して押し込まれる過程において第3係合部503及びすべり台306が互いに接触した状態に維持されるものの、この接触にともない生じる力が徐々に増大するため、スライドピン500の押し込みを円滑に行うことができるようになる。
【0116】
(13)本実施形態の内装部品の取付構造では、アタッチメント20の仮止め状態から本止め状態への移行にともないケース300の第3係合部303とスライドピン500の第2係合部502との係合が解除される際に、ケース300とは反対側に向けてのスライドピン500の一部の変形を促すスリット508を設けるようにしている。これにより、第3係合部303と第2係合部502との係合が解除される際、スライドピン500の一部(第2係合部502が設けられた部位及びその付近)がスリット508に向けて変形するため、スライドピン500の移動に必要となる力がより小さなものとなる。従って、仮止め状態から本止め状態への移行を容易に行うことが可能となり、内装部品の組付性を一層向上させることができるようになる。
【0117】
(14)本実施形態の内装部品の取付構造では、ケース300の第3係合部303に係合する部位としてスライドピン500に第2係合部502のみを設けるようにしているため、アタッチメント20を仮止め状態から本止め状態に移行させる際に、ケース300の第3係合部303とスライドピン500との接触が回避されるようになる。これにより、スライドピン500の移動に必要となる力がより小さなものとなり、仮止め状態から本止め状態への移行を容易に行うことが可能となるため、内装部品の組付性をより一層向上させることができるようになる。
【0118】
(その他の実施形態)
本発明にかかる内装部品の取付構造は、上記各実施形態にて例示した構成に限られず、例えば以下に示すように変更して具体化することもできる。
【0119】
・上記第3実施形態では、スライドピン500がケース300に対して押し込まれる過程において互いに接触した状態に維持される第3係合部503とすべり台306とのうち、後者についてのみ、第3係合部503とすべり台306との接触により生じる力を徐々に増大させる構造を採用したが、すべり台306に準じて第3係合部503に対して上記接触により生じる力を徐々に増大させる構造を採用することもできる。
【0120】
・上記第3実施形態では、ケース300にすべり台306及び第4係合部304を設けるとともにスライドピン500に第3係合部503を設け、すべり台306により第3係合部503を案内して本止め状態において第3係合部503と第4係合部304とを係合させる構造を採用したが、すべり台306及び第4係合部304と第3係合部503との関係を入れ替えることもできる。すなわち、スライドピン500にすべり台306及び第4係合部304に相当するものを設けるとともにケース300に第3係合部503に相当するものを設けることもできる。より具体的には、上記スライドピン500のすべり台は、スライドピン500がケース300に対して押し込まれる過程において、ケース300の第3係合部とスライドピン500のすべり台との接触により生じる力を徐々に増大させる態様で形成される。すなわち、室外側RBから室内側RAに向かうにつれてスライドピン500の内周面から幅方向内側へ向けての突出量が徐々に増大する態様で傾斜した部位として形成される。また上記スライドピン500の第4係合部は、すべり台の突出量が最も大きい部位(すべり台においての最も室内側RAの部位)よりも室内側RAに隣接して設けられている。そして、ケース300へのスライドピン500の押し込みにともないスライドピン500のすべり台がケース300の第3係合部との接触を維持しつつ第3係合部上を移動し、この第3係合部がスライドピン500の第4係合部に入り込むことにより第3係合部と第4係合部との係合を通じてケース300に対するスライドピン500の移動が規制される。
【0121】
・上記第3実施形態におけるスライドピン500のスリット508について、これに準じた機能を有するものを上記第1実施形態のスライドピン50または上記第2実施形態のスライドピン80に設けることもできる。
【0122】
・上記第3実施形態におけるケース300のすべり台306について、これに準じた機能を有するものを上記第1実施形態のケース30または上記第2実施形態のケース60に設けることもできる。
【0123】
・上記第1実施形態におけるスライドピン50の第1係合部51について、これに準じた機能を有するものを上記第3実施形態のスライドピン500に設けることもできる。
・上記第1実施形態におけるスライドピン50の第1係合部51及び上記第2実施形態におけるスライドピン80の第1係合部81について、これを上記第3実施形態のスライドピン500に準じて省略することもできる。
【0124】
・上記各実施形態では、グリップ本体11とケース30とクリップ40とスライドピン50とを各別に形成し、これらを組み合わせてアシストグリップ10を構成する場合を想定したが、アシストグリップ10の上記各構成要素の少なくとも2つを適宜組み合わせて一体化することもできる。
【0125】
・上記各実施形態では、ボディパネル90に対するアシストグリップ10の取り付け手順として、仮止め状態のアシストグリップ10を組み立てた後、このアシストグリップ10を本止め状態に移行させてボディパネル90に取り付ける手順を想定したが、アシストグリップ10の取り付け手順はこれに限られるものではない。例えば、アシストグリップ10の各構成要素のそれぞれを順次ボディパネル90上にて組み合わせることを通じて、アシストグリップ10をボディパネル90に取り付けることもできる。
【0126】
・上記各実施形態では、車両のアシストグリップの取付構造として本発明を具体化した場合を想定したが、本発明にかかる内装部品の取付構造は、内装部品に設けられた係合体と取付対象構造体との係合を通じて内装部品を取付対象構造体に取り付けるものであれば、いずれの内装部品の取付構造に対しても適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】本発明にかかる内装部品の取付構造を車両のアシストグリップの取付構造として具体化した第1実施形態について、同アシストグリップの斜視構造を示す斜視図。
【図2】同実施形態のアシストグリップについて、その側面構造を示す側面図。
【図3】(A)同実施形態のアシストグリップについて、図1のDA−DA線に沿う断面構造を示す断面図。(B)同実施形態のアシストグリップについて、図1のDB−DB線に沿う断面構造を示す断面図。
【図4】(A)同実施形態のアシストグリップについて、図3(A)のA部の拡大構造を示す拡大図。(B)同実施形態のアシストグリップについて、図3(A)のB部の拡大構造を示す拡大図。
【図5】同実施形態のアシストグリップについて、その構成要素の一つであるクリップの斜視構造を示す斜視図。
【図6】(A)同実施形態のアシストグリップのクリップについて、変形前の側面構造を示す側面図。(B)同実施形態のアシストグリップのクリップについて、変形後の側面構造を示す側面図。
【図7】(A)同実施形態のアシストグリップについて、仮止め状態においての断面構造であって図1のDA−DA線に対応する断面構造を示す断面図。(B)同実施形態のアシストグリップについて、仮止め状態においての断面構造であって図1のDB−DB線に対応する断面構造を示す断面図。
【図8】(A)同実施形態のアシストグリップについて、本止め状態においての断面構造であって図1のDA−DA線に対応する断面構造を示す断面図。(B)同実施形態のアシストグリップについて、本止め状態においての断面構造であって図1のDB−DB線に対応する断面構造を示す断面図。
【図9】(A)本発明にかかる内装部品の取付構造を車両のアシストグリップとして具体化した第2実施形態について、図1のDA−DA線に沿う同アシストグリップの断面構造を示す断面図。(B)同実施形態のアシストグリップについて、図1のDB−DB線に沿う断面構造を示す断面図。
【図10】(A)同実施形態のアシストグリップについて、図9(A)のC部の拡大構造を示す拡大図。(B)同実施形態のアシストグリップについて、図9(A)のD部の拡大構造を示す拡大図。
【図11】同実施形態のアシストグリップについて、その構成要素の一つであるクリップの斜視構造を示す斜視図。
【図12】(A)同実施形態のアシストグリップのクリップについて、変形前の側面構造を示す側面図。(B)同実施形態のアシストグリップのクリップについて、変形後の側面構造を示す側面図。
【図13】(A)同実施形態のアシストグリップについて、仮止め状態においての断面構造であって図1のDA−DA線に対応する断面構造を示す断面図。(B)同実施形態のアシストグリップについて、仮止め状態においての断面構造であって図1のDB−DB線に対応する断面構造を示す断面図。
【図14】(A)同実施形態のアシストグリップについて、本止め状態においての断面構造であって図1のDA−DA線に対応する断面構造を示す断面図。(B)同実施形態のアシストグリップについて、本止め状態においての断面構造であって図1のDB−DB線に対応する断面構造を示す断面図。
【図15】(A)本発明にかかる内装部品の取付構造を車両のアシストグリップとして具体化した第3実施形態について、図1のDA−DA線に沿う同アシストグリップの断面構造を示す断面図。(B)同実施形態のアシストグリップについて、図1のDB−DB線に沿う断面構造を示す断面図。
【図16】(A)同実施形態のアシストグリップについて、仮止め状態においての断面構造であって図1のDA−DA線に対応する断面構造を示す断面図。(B)同実施形態のアシストグリップについて、仮止め状態においての断面構造であって図1のDB−DB線に対応する断面構造を示す断面図。
【図17】(A)同実施形態のアシストグリップについて、本止め状態においての断面構造であって図1のDA−DA線に対応する断面構造を示す断面図。(B)同実施形態のアシストグリップについて、本止め状態においての断面構造であって図1のDB−DB線に対応する断面構造を示す断面図。
【図18】従来の車両のアシストグリップについて、ボディパネルへの取付前の状態における断面構造を示す断面図。
【図19】従来の車両のアシストグリップについて、ボディパネルへの取付後の状態における断面構造を示す断面図。
【図20】従来の車両のアシストグリップについて、図19のZ部の拡大構造を示す拡大図。
【図21】従来の車両のアシストグリップについて、図19のZ部の拡大構造を示す拡大図。
【符号の説明】
【0128】
10…アシストグリップ(内装部品)、11…グリップ本体、12…ピン、13…ばね、20…アタッチメント(取付体)、30…ケース(保持体)、31…第1係合部、32…第2係合部、33…第3係合部(仮止め係合部)、34…第4係合部(保持係合部)、35…ケース孔、40…クリップ(延長体(第1延長体または第2延長体))、41…第1係合爪、42…第2係合爪(係合体)、43…平面部、44…傾斜部、45…係合部、46…突出部(延長突出部)、47…中間孔、50…スライドピン(押付体)、51…第1係合部、52…第2係合部(仮止め係合部)、53…第3係合部(押付係合部)、54…先端部、55…基端部、56…突出部(押付突出部)、57…側壁部、60…ケース(保持体)、61…第1係合部、62…第2係合部、63…第3係合部(仮止め係合部)、64…第4係合部(保持係合部)、65…ケース孔、70…クリップ(延長体(第1延長体または第2延長体))、71…第1係合爪、72…第2係合爪(係合体)、73…平面部、74…傾斜部、75…係合部、76…突出部(延長突出部)、77…中間孔、80…スライドピン(押付体)、81…第1係合部、82…第2係合部(仮止め係合部)、83…第3係合部(保持係合部)、84…先端部、85…基端部、86…突出部(押付突出部)、87…側壁部、90…ボディパネル(取付対象構造体)、90A…表面、90B…裏面、91…パネル孔、300…ケース、301…第1係合部、302…第2係合部、303…第3係合部(仮止め係合部)、304…第4係合部、305…ケース孔、306…すべり台(保持案内部)、500…スライドピン、502…第2係合部(仮止め係合部)、503…第3係合部、504…先端部、505…基端部、506…突出部、507…側壁部、508…スリット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付対象構造体の表側に配置された内装部品を同部品に設けられた取付体を通じて前記取付対象構造体に取り付ける内装部品の取付構造において、
前記取付体は、前記取付対象構造体の表側に配置された前記内装部品から突き出て前記取付対象構造体の孔を介して前記取付対象構造体の裏側まで延びる延長体と、前記取付対象構造体の裏側に位置する前記延長体の部位に設けられる係合体と、同係合体を前記取付対象構造体の裏側から表側に向けて前記取付対象構造体に押し付ける押付体とを含めて構成されるものであり、
前記係合体が前記取付対象構造体に押し付けられることによる前記係合体と前記取付対象構造体との係合を通じて、前記取付体とともに前記内装部品が前記取付対象構造体に取り付けられる
ことを特徴とする内装部品の取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載の内装部品の取付構造において、
前記取付体は、前記延長体と前記係合体とが一体的に構成され、前記押付体が前記延長体及び前記係合体とは各別に構成されるものであり、
前記押付体は、前記取付対象構造体の孔の内側から外側へ向けて前記延長体を押すことにより、前記係合体を前記取付対象構造体の裏側から表側に向けて前記取付対象構造体に押し付けるものである
ことを特徴とする内装部品の取付構造。
【請求項3】
請求項2に記載の内装部品の取付構造において、
前記押付体は、自身の先端部が前記取付対象構造体の孔を介して前記取付対象構造体の表側から裏側へ押し込められることにより、前記延長体を前記取付対象構造体の孔の内側から外側へ向けて押すものである
ことを特徴とする内装部品の取付構造。
【請求項4】
請求項3に記載の内装部品の取付構造において、
前記押付体は、前記内装部品が前記取付対象構造体の表側から裏側へ向けて押されることにともない、前記内装部品を通じて自身の先端部が前記取付対象構造体の裏側に押し込められるものである
ことを特徴とする内装部品の取付構造。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか一項に記載の内装部品の取付構造において、
前記係合体は、前記押付体を通じて前記取付対象構造体に押し付けられる前の状態のときに、前記取付対象構造体の裏側において前記取付対象構造体に対して所定の間隔を経た位置に配置され、前記押付体を通じて押されることにともない前記取付対象構造体の孔の縁と接触して前記取付対象構造体と係合するものである
ことを特徴とする内装部品の取付構造。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれか一項に記載の内装部品の取付構造において、
前記延長体は、前記取付対象構造体の表側に位置する端部を基端部とし、前記取付対象構造体の裏側に位置する端部を先端部とし、前記基端部と前記先端部との間の部位を中間部として、前記中間部から前記先端部へ向かうにつれて前記取付対象構造体の孔の外側から内側へ傾斜する傾斜部が設けられるものであり、
前記係合体は、前記延長体の傾斜部において前記延長体に対して前記押付体が配置される側とは反対側に設けられるものであり、
前記押付体は、前記延長体の傾斜部を前記取付対象構造体の孔の外側へ向けて押すことにより、前記延長体の係合体を前記取付対象構造体に押し付けるものである
ことを特徴とする内装部品の取付構造。
【請求項7】
請求項6に記載の内装部品の取付構造において、
前記取付体は、前記延長体として空間を介して対向する第1延長体及び第2延長体を備えて構成されるものであり、
前記第1延長体及び前記第2延長体は、前記延長体の先端側に向かうにつれて前記第1延長体の傾斜部と前記第2延長体の傾斜部との間隔が小さくなる態様でこれら傾斜部が対応した状態で配置されるものであり、
前記押付体は、前記第1延長体と前記第2延長体との間の空間に挿入されて、前記第1延長体及び前記第2延長体の傾斜部を前記取付対象構造体の孔の外側へ向けて押すことにより、前記第1延長体及び前記第2延長体の係合体をそれぞれ前記取付対象構造体に押し付けるものである
ことを特徴とする内装部品の取付構造。
【請求項8】
請求項7に記載の内装部品の取付構造において、
前記第1延長体には、同第1延長体の幅方向に所定の間隔を置いて一対の前記係合体が設けられ、前記第2延長体には、同第2延長体の幅方向に所定の間隔を置いて一対の前記係合体が設けられる
ことを特徴とする内装部品の取付構造。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の内装部品の取付構造において、
前記延長体には、前記延長体の幅方向に所定の間隔を置いて複数の前記係合体が設けられる
ことを特徴とする内装部品の取付構造。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の内装部品の取付構造において、
前記延長体の先端部には前記押付体側に向けて突き出る延長突出部が設けられる
ことを特徴とする内装部品の取付構造。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の内装部品の取付構造において、
前記押付体の先端部には前記延長体側に向けて突き出る押付突出部が設けられる
ことを特徴とする内装部品の取付構造。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の内装部品の取付構造において、
前記延長体の先端部には前記押付体側に向けて突き出る延長突出部が設けられ、前記押付体の先端部には前記延長体側に向けて突き出る押付突出部が設けられるとともに、前記係合体が前記取付対象構造体に押し付けられる状態のときに前記延長突出部と前記押付突出部とが接触した状態に維持される
ことを特徴とする内装部品の取付構造。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の内装部品の取付構造において、
前記取付体は、前記内装部品を保持する保持体を備えるとともに、前記保持体の内部に前記押付体の先端部が挿入され、且つ前記押付体と前記保持体との間に前記延長体が配置される状態で前記延長体と前記押付体と前記保持体とが組み合わされるものである
ことを特徴とする内装部品の取付構造。
【請求項14】
請求項13に記載の内装部品の取付構造において、
前記取付体は、前記押付体が前記保持体に対して前記取付対象構造体側に向けて押し込まれることを通じて、前記係合体が前記押付体の先端部により前記取付対象構造体に押し付けられた状態に移行するものであり、前記取付対象構造体と前記係合体との係合にともない前記押付体の押付係合部と前記保持体の保持係合部とが係合して前記保持体に対する前記押付体の移動が規制されるものである
ことを特徴とする内装部品の取付構造。
【請求項15】
請求項14に記載の内装部品の取付構造において、
前記取付体は、前記押付体が前記保持体に対して前記取付対象構造体側に向けて押し込まれる過程において、前記押付係合部が前記保持体の保持案内部により前記保持係合部に案内されるとともに前記押付係合部が前記保持案内部に接触しはじめてから前記押付係合部と前記保持係合部とが係合するまでにわたり前記押付係合部及び前記保持案内部が互いに接触した状態に維持されるものであり、
前記押付係合部及び前記保持案内部の少なくとも一方は、前記押付体が前記保持体に対して前記取付対象構造体側に押し込まれる過程において、前記押付係合部と前記保持案内部との接触により生じる力を徐々に増大させる態様で形成されるものである
ことを特徴とする内装部品の取付構造。
【請求項16】
請求項15に記載の内装部品の取付構造において、
前記保持案内部は、前記内装部品側から前記取付対象構造体側へ向かうにつれて前記保持体の中心側からの突出量が増大する態様で傾斜するものである
ことを特徴とする内装部品の取付構造。
【請求項17】
請求項16に記載の内装部品の取付構造において、
前記保持案内部の突出量が最も大きい部位よりも前記取付対象構造体側に隣接して前記保持係合部が設けられ、前記保持体に対する前記押付体の移動にともない前記押付係合部が前記突出量の最も大きい部位を乗り越えて前記保持係合部に入り込むことにより前記押付係合部と前記保持係合部との係合を通じて前記保持体に対する前記押付体の移動が規制される
ことを特徴とする内装部品の取付構造。
【請求項18】
請求項13〜17のいずれか一項に記載の内装部品の取付構造において、
前記取付体は、前記延長体と前記保持体との係合を通じて前記保持体と前記延長体との相対的な移動が規制されるものである
ことを特徴とする内装部品の取付構造。
【請求項19】
請求項13〜18のいずれか一項に記載の内装部品の取付構造において、
前記押付体が前記延長体と組み合わされているものの前記係合体が前記押付体により押されていない前記取付体の各構成要素の組み合わせ状態を仮止め状態とし、前記押付体と前記延長体との組み合わせを通じて前記係合体が前記押付体により押されている前記取付体の各構成要素の組み合わせ状態を本止め状態として、
前記取付体は、前記保持体に対する前記押付体の移動を通じて、前記取付体を前記仮止め状態に保持する前記押付体及び前記保持体の係合状態と、前記取付体を前記本止め状態に保持する前記押付体及び前記保持体の係合状態との変更が許容されるものである
ことを特徴とする内装部品の取付構造。
【請求項20】
請求項1〜18のいずれか一項に記載の内装部品の取付構造において、
前記押付体が前記延長体と組み合わされているものの前記係合体が前記押付体により押されていない前記取付体の各構成要素の組み合わせ状態を仮止め状態とし、前記押付体と前記延長体との組み合わせを通じて前記係合体が前記押付体により押されている前記取付体の各構成要素の組み合わせ状態を本止め状態として、
前記取付体は、前記延長体に対する前記押付体の移動を通じて、前記仮止め状態と前記本止め状態との変更が許容されるものである
ことを特徴とする内装部品の取付構造。
【請求項21】
請求項19または20に記載の内装部品の取付構造において、
前記取付体を構成して前記内装部品を保持する保持体と前記押付体との係合により前記仮止め状態が維持される
ことを特徴とする内装部品の取付構造。
【請求項22】
請求項21に記載の内装部品の取付構造において、
前記保持体及び前記押付体には、互いに係合して前記仮止め状態を維持する仮止め係合部が設けられ、前記押付体には、前記保持体の仮止め係合部と前記押付体の仮止め係合部との係合が解除される際に前記保持体とは反対側に向けての自身の一部の変形を促すスリットが設けられる
ことを特徴とする内装部品の取付構造。
【請求項23】
請求項1〜22のいずれか一項に記載の内装部品の取付構造において、
前記内装部品は、車両の室内に設けられて乗員により取手として使用されるアシストグリップであり、前記取付対象構造体は、前記車両のボディパネルであり、前記取付対象構造体の表側は、前記車両の室内側に位置する前記ボディパネルの表面側であり、前記取付対象構造体の裏側は、前記車両の室内側とは反対側に位置する前記ボディパネルの裏面側である
ことを特徴とする内装部品の取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2009−30796(P2009−30796A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−313937(P2007−313937)
【出願日】平成19年12月4日(2007.12.4)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】